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1972-03-15 第68回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月十五日(水曜日)    午後一時三十分開議  出席委員    委員長 今澄  勇君    理事 大竹 太郎君 理事 河野 洋平君    理事 佐藤 守良君 理事 丹羽 久章君    理事 後藤 俊男君 理事 宮井 泰良君    理事 渡辺 武三君      小此木彦三郎君    左藤  恵君       中村 弘海君    野中 英二君       山下 徳夫君    久保 三郎君       松平 忠久君    沖本 泰幸君       土橋 一吉君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         警察庁交通局長 片岡  誠君         行政管理庁行政         監察局長    小林  寧君         運輸省航空局長 内村 信行君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         建設省道路局長 高橋国一郎君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   高橋  元君         通商産業省重工         業局自動車課長 石原 尚久君         運輸省自動車局         業務部長    小林 正興君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         運輸省航空局首         席安全監察官  泉  靖二君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 今澄勇

    ○今澄委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますから、順次これを許します。後藤俊男君。
  3. 後藤俊男

    後藤委員 去年の五月二十一日ですか、この委員会で七項目の決議をいたしまして、その後、先般非常に簡潔な説明をいただいたわけでございますけれども、もう少し詳細にこれらの問題を中心に質問をいたしたいと考えます。  第一番には、保安基準の問題なんです。運輸省の中でも、審議会で毎年毎年一回くらいは改正をされておる、真剣に取り組んでおられる、こういうふうな話も聞いておるわけでございますけれども、あのときの、決議と申しましょうか、申し合わせの中にも、国内で使う自動車と輸出するための自動車、この関係保安基準が違うのじゃないか、たとえば、外国に輸出する場合には、御承知のように、アメリカのロサンゼルスとかカリフォルニア関係においては、公害が非常にやかましいというような関係もいろいろあるかもわかりませんけれども、第二燃焼室がついておる、国内のものについては第二燃焼室はついておらない、こういうことが現在はどうなっておるか私はわかりませんけれども、そういうようなことも聞いたわけでございます。ただ私の聞きたいのは、この保安基準につきまして国内の分と国外の分とを比較した場合に、国内の分はなるべく安く上がるような方向保安基準がつくられておるのではないか、国外の分については、公害その他いろいろな関係があり、さらにこれは条件も違うと思いますから、そういうような点も考えて保安基準がつくられておるんじゃないか、できるだけひとつ国内の分につきましても、安全を保持するための保安基準でございますから、十分なる保安基準をつくるべきである、こういうふうな趣旨申し合わせが第一項になっておるわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
  4. 隅田豊

    隅田説明員 ただいまの保安基準に対しての御質問でございますが、世界的に安全基準というものを見てみますと、まず、アメリカタイプと申しましょうか、主としてアメリカにおいて考えられておるような安全基準と、それから日本を含めましてアメリカ以外のヨーロッパ諸国を含めた国々が考えております安全基準とで若干の差があることは、お説のとおりでございます。安全基準の基本的なものの考え方としては、将来は世界じゅうが一本の方向になるようにというふうな考え方でもって、国際会議なども開きながら、技術屋が集まりまして討論はやっております。  現在の日本保安基準というものは、そういう意味で、アメリカ安全基準かなりの相違があるということは、お説のとおりでございます。特に自動車衝突をした場合の安全性の問題、こういうものにつきましては、アメリカ保安基準のほうがある程度リードしております。それらにつきましては、われわれのほうも、日本の今後の交通状態を考えます場合には、やはりある程度、衝突安全性というか、こういうようなものについての保安基準強化というものもはかる必要があると思います。  そういうような質的な転換も必要でございますので、運輸省といたしましても、現在、運輸技術審議会自動車部会におきまして、保安基準全体の考え方の再検討と申しましょうか、そういうことをやっておるわけでございます。いままでの進行状況を具体的に申し上げますと、大体予定としては、実は年度内にそういうある程度のものをつくり上げるつもりでおったのでございますが、いろいろ技術的なディスカッションが盛んでありまして、まだ結論までいっておりません。いまのところでは、五月末くらいまでにはまず総合的な安全基準の再検討の結果が出せるのではないか、答申がいただけるのではないかというふうに一応考えております。  それから、ただいお話のございましたもう一つ公害関係の問題でございますが、先生御指摘の第二燃焼室というお話がございましたが、第二燃焼室ということは、ちょっと私たち専門ことばとしてはとっていないのでございます。おそらく、エア・インジェクションといわれる、エンジンの中に新しい空気を送り込んで、そこで積極的な燃焼をさせようというようなアイデアのもののお話だろうと思います。確かにこれはカリフォルニア規制が世界的にだいぶ先行しておりますので、アメリカカリフォルニア地方への輸出車、結局これは全部そういうふうになっておるわけでございますけれども、それに対しましては、エア・インジェクション・ポンプがついておるということは事実でございます。これは私たちのほうも、主として一酸化炭素、それから炭化水素対策でありまして、燃焼状態をよくしようという意味でこれはつけることを考えられたものでございます。しかし、窒素酸化物規制というものが加わってまいりますと、この方法では窒素酸化物に対してはかえってマイナスの作用があるというようなことが明らかになってきておりまして、現在、一つ技術方向といたしましては、このエア・インジェクションといいますものはやめようという方向になってきております。しかしながら、アメリカの場合にはまだ規制が残っておるものですから、これをつけませんと、いまのカリフォルニア炭化水素基準に合わないということでございますので、やむを得ずつけておるというのが実情でございます。これはアメリカ運輸省の私たちと同じような技術担当の者の話の中にも、わりあいはっきりと、これはアメリカ関係者もそういうふうに言っております。そういう意味では、アメリカといたしましては、窒素酸化物規制を早くやりたい、それによって窒素酸化物炭化水素の両方が矛盾しないような対策が出てくるのを待っておるのだということを言っております。日本といたしましても、この公害の問題の規制は、手をこまねいて待っておるわけではございませんので、積極的に改正しながらレベルを上げていこうと考えております。ただ、いまお話のとおり、エア・インジェクション・ポンプの問題については、そういうような技術的な問題がありますので、若干差異が出てくることはやむを得ないと思っております。それと安全の問題を含めまして、輸出用のものと国内向けのものとでかなり差があることは、御指摘のとおりでございまして、これは保安基準改正という問題もございますが、それと同時に、やはり行政指導というものを加えまして、できるだけ国内のものもレベルの高いものにさせるという方向で努力していきたいと思っております。
  5. 後藤俊男

    後藤委員 いま言われました、アメリカにおける交通事故というのは衝突事故死傷者が相当多い。日本はそうではないというような条件の違いから、保安基準というもののある程度差異は免れないと思うのです。だけれども、排気の規制に対しては、これは国内だってたいへんでございますから、国外用のものはきつくせよ、国内用のものは簡単でよろしい、こういうことではないと私は思うのです。この点はどうなっておりますか。
  6. 隅田豊

    隅田説明員 お説のとおりでございまして、規制といたしまして、別に国内公害関係基準アメリカより劣っていいということを考えておるわけではございません。ただ、技術的な問題として、お話の出ましたエア・インジェクション・ポンプにつきましては、実質的にそういう問題があるということを申し上げたわけでございます。現在おくれはいたしましたけれども、もう一つ別の問題で、蒸発防止装置というものがございます。これはアメリカのほうが先行しておりまして、日本のほうは炭化水素規制がおくれておりましたものですから、保安基準に現在まだ入っておりません。これにつきましては、今年度じゅうと申しましょうか、もうあと一月もしないうちに改正ができると思いますが、その保安基準改正いたしまして、蒸発防止装置国内的な義務づけということを行ないたいと思っております。行政指導としてすでにメーカーのほうには要望いたしておりまして、一部の車には、輸出関係の車については蒸発防止装置がつくという状態になっております。今後ともできるだけ努力してまいりたいと思っております。
  7. 後藤俊男

    後藤委員 それで、いま言われました、大体五月ごろにいま審議をやっておる結論が出ます、そういうことですね。私の言いたいのは、国の内外を問わず、安全を守るという立場に立つ保安基準であろうと思います。公害を少なくするための保安基準でもあろうと思いますから、条件の違う点については差はあろうけれども、そうでない点については、国の内外を差別する必要はなかろうと私思うのです。ですから、そういう点をひとつきちっとした上でこの保安基準についてはできるだけ早く改正をしてもらう、これはぜひ必要だと思いますから、お願いしたいと思うのです。  それからその次には、これは保安基準にも関係があるかもわかりませんが、トラック運転台を下げたらどうだ、これは交通安全対策洲委員会でも、大阪のお医者さんでございましたか、わざわざここまで来ていただいて、長時間にわたって説明を聞いたわけなんですが、なるほどそうだということで、この交通安全対策委員会でも決議をしたわけなんです。その後この問題は一体どうなっておるでしょうか。
  8. 隅田豊

    隅田説明員 トラック運転台を下げるという問題につきましては、早急にその利害検討せいという御決議をいただいております。それにつきましては、この前のときにもお答えをいたしたことでありますが、専門家を集めまして現在委員会をやっております。この委員会を、いままでに本委員会を四回、特に専門部会的なものを六回開いておりますが、いままでのところ、利害得失についていろいろ議論がございまして最終結論を得ておりません。それで、いままでの中間報告を申し上げますと、下げることによる害と、それから従来の高いところに運転席があることによる利益と申しますか、これを比較してみますと、いまのところ、まだ最終的にどちらがすぐれているという結論にまで至っておりません。ただ、いままでのところで結論の出てきておりますのは、しかし、いまのままの運転台のままでいくといたしましても、大型トラック視野についてはもっとよくするということは確かに必要である。それについては、たとえば、当面すぐできるものとしては鏡の問題を考えるとか、現在でも鏡はついておりますが、必ずしも十分な視野を確保しているともいえませんので、そういう面については、これはすぐできることでございますので、早急に検討しようじゃないかというようなところにきておりますが、上下につきましては、いまのところまだ結論は出ておりません。
  9. 後藤俊男

    後藤委員 これは非常にむずかしい問題だと思うのです。私も簡単に結論が出るとは思いませんけれども、しかしながら、検討を要する問題だと私は思っておるわけなんです。目下鋭意検討中だと、こういうことですから、ひとつ早く結論を出していただいてこの問題についても解決してもらうということをお願いしたいと思うわけでございます。  それから三番目の問題が過積載の問題ですが、私も、実は宮城県の、東京で非常に評判のいいお米、ササニシキですか、あれのやみ米輸送追跡調査をしたことがあるのです、これは最近ですけれども。十五トン車で二十トン以上積むわけです。十トン車で十五トンくらい積むわけなんです。積みほうだいというわけなんだ。それでは陸運局は一体何しておるのかといえば、全然そんなところまでは手が回らないというわけだ。ですから、このササニシキの米がとれる時期になりますと全国から白トラが集まってくるわけです。そこでやみ米輸送をどんどん東京に向かってやるわけでございます。その運賃にしましても、日通と比較すると非常に安いわけなんだ。安い分だけよけい積むわけなんです。そういうようなことで採算をとりながらどんどんやられておるのです。これは一例にしかすぎませんけれども、これらの過積載を防止するための、大型自動車に、何か一目見てぱっとわかる、こういうものができぬことはないと思うのです。いまごろこれがないということは私はおかしいと思うのです。だから、この問題については早急にひとつ検討してもらって、過積載防止、これはいわゆる交通事故につながると思うのです。いかがでしょうか。
  10. 隅田豊

    隅田説明員 過積載防止の、特に自重計を車につけるという問題が運輸省担当になっておるかと思うわけでございますけれども、この自重計につきましては、これも、先ほどの運転席と同じように、特別の専門委員会をつくりまして検討いたしております。現在、ダンプにつきましては、これは特別法でもって自重計の取りつけが行なわれておりますが、しかし、技術的にはまだこれも不十分でございまして、特に取り締まり用として使えるだけの精度を持っておるものではございません。しかも、使用状態を考えていきますと、非常に誤差が多く、現在のところ、心理的効果は十分あるとは思いますけれども、取り締まりというような観点から十分活用できるような器械にはなっておりません。特に、普通のトラックにつけるとなりますといろいろ技術的な問題もございますので、目下これも専門委員に集まってもらいましてそれで検討している段階でございます。われわれといたしましても、精度がよくて実用に耐えるだけの自重計ができれば、これを使用するのにやぶさかでございません。できるだけ早くいいものができるということを期待したいと思います。
  11. 後藤俊男

    後藤委員 これは現実に私が見てきた問題ですけれども、野放しになっておるんですね。きょうは取り締まり関係おいでになりませんね。警察庁おいでになりますか。——それでは、どうでしようか、先ほど言った問題ですが、これもあなたが米のとれる時分に宮城県に行ってみると一ぺんにわかることなんですが……。
  12. 片岡誠

    片岡政府委員 仰せのとおり、お米の問題もそうだと思いますし、骨材についてもそうだと思うのです。それから生鮮食料品、特に魚の輸送についてもそういう問題があると思うのです。私どもとしましては、過積載取り締まりは、仰せのとおりにやかましく取り締まるように言っております。それからまた、現に取り締まり件数そのものはふえてまいっておりますけれども、何ぶんたくさんある対象に対して警察官の数も限られておりますので、十分に取り締まりができているとも私は思えません。問題は、現在は重量計を持っていきまして——固定式場所も少のうございますから、移動式重量計を持っていって取り締まりをやっているわけですけれども、もう少し取り締まるとしても簡単な明白な取り締まりのやり方がないものであろうか、したがって、車の構造そのものに手を加えて、一見してすぐ警察官が現認して違反が見つかるようにできないだろうか、あるいは自重計の問題もございましょうし、積載量をオーバーすれば警告灯がつくとか、何かもう少し車両の装備の面で取り締まりがやりやすいような方法もあわせて検討していただきたいということで、隅田部長のほうにもいろいろと従来からお話はしているわけでございます。
  13. 後藤俊男

    後藤委員 それで、その話は一応そういうことだと思うのですけれども、ただ私の言いますのは、現実に現在米のとれる時期には大量のそういう過積載がどんどんやられておるわけなんです。その町に行けばもうはっきりするわけなんです。ところが、陸運局なりその他はもう全然手が出ません。人がおりませんので、いわば、やりたいほうだい、したいほうだいの、放置されたかっこうになっておるわけです。だから、あなたのことばを聞けば、何とかそういうような器械ができて、  一目見てわかればと、これはわれわれもそう思わぬことはないので、現実の問題を何とか取り締まる方法はないものかということなんです。
  14. 片岡誠

    片岡政府委員 いま申しましたように、現実の問題は、第一線の警察官の能力の許す限り取り締まり強化を指導しておりますので、いまちょっと数字を手元に持っておりませんが、一昨年に比べまして昨年は過積載取り締まり件数が相当多くなっております。
  15. 後藤俊男

    後藤委員 ひとつこの問題も、設備のほうも大事でございますけれども、現状を認識された上で十分取り締まりも考えていただく必要があろうと思います。  それからその次は、自動車運転免許の問題ですが、これは一口にいえば、今日の経済成長でどんどんと車がふえる。三年、五年たてば三倍にふえてくる。車もどんどん製造が増加しておる。それに伴って運転者粗製乱造のような気がするわけなんです。ですから、やはり交通事故を防止するためには、人と車と施設というのを均衡ある体制のもとに進めるということが一番大事じゃないかと私は思うのです。そういう意味から考えてみまして、この四つ目の問題でいっておりますように、路上教習の問題ですね。ぜひこれは加えるべきだというふうに思うのですが、近く何か改正されるようにも聞いておるのですが、簡潔でけっこうですが、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  16. 片岡誠

    片岡政府委員 今国会に、十四日の日に衆議院に提案いたしました。その中身は、先般の決議にもございますように、路上教習を義務化し、路上試験を実施するというのをそのうちの一つの大きな柱にして案をつくりまして、御提案申し上げております。いずれ近く御審議いただきたいというふうに思っております。
  17. 後藤俊男

    後藤委員 次は、飲酒運転の問題です。これは長い問いろいろな場所で論議された問題だと思うのですが、飲酒運転事故率というのはことしは減っておりますね。これはいい傾向だと思うのです。だけれども、ゼロということではないと思うのです。これは日本だけではなしに、諸外国においてもこの飲酒運転については頭を悩ましておる問題だと思うのです。この飲酒運転については、ひとつ罰則強化する、さらにまた、酒を提供した者についても罰則を付与するようなことを考えたら、どうだろうかというのが、五つ目の問題になっておるわけなんですが、この問題については現状をどういうふうに処理されようとしておるのか、お答えいただきたいと思います。
  18. 片岡誠

    片岡政府委員 飲酒運転に対する罰則強化につきましては、御承知のとおり、昭和四十五年の道路交通法の一部改正で、従前の酒酔い運転罰則を、懲役一年以下でございましたのを二年以下に引き上げました。と同時に、酒気帯び運転につきましても、従来は他の違反の行為を伴った場合に刑罰が加重されるという制度でございましたのを、一定の限度以上のアルコールを保有した状態運転した者も直ちに刑罰対象とするということにいたしたわけでございます。その結果、また、その法律改正に伴う取り締まり強化あるいは飲酒運転の追放についてのキャンペーンもございまして、昭和四十五年の統計でございますが、昭和四十一年に比べまして件数だいぶ減りましたし、それから死亡事故の中における構成比も減りました。そういうことで、一応現状はいい方向に向かっているのではないだろうか、そのように考えております。もうしばらく罰則強化については研究させていただきたい。ただ、取り締まりは、十分各県とも力を入れてやっておりますので、いやしくも飲酒運転をすれば、罰則は別に強化されてないにしても、ぴしっと取り締まられて刑罰を課せられるということを励行してまいりたい。  それから、酒を飲ましたり、すすめたり、提供したりした人に対しては、御承知のように、道交法の六十五条の二項で一応訓示規定としてはございます。これは罰則はついておりません。しかし、これを罰則をつけるのは、いろいろ問題がございましたいきさつもございます。ただ、現に昨年も刑法総則を適用いたしまして、教唆または幇助ということで、飲酒運転のひどい場合に、また、明らかに酒をすすめておる、無理じいしておるといったような場合には、検挙いたしておりまして、昭和四十五年の統計でありますけれども、教唆幇助で八百八十一件検挙しております。そういうことで、現行法をフルに活用して当分やってまいりたい、そのように考えております。
  19. 後藤俊男

    後藤委員 ぜひこの問題も、非常に見のがせない問題だと思いますから。  次の問題としては、身体障害者用車いすなり子供用の車を使用する者、あるいはお年寄りですね、この人方の使用しやすいような立体横断施設整備をしたらどうだということなんですが、それと、もう一つこれに加えまして、われわれも自動車運転して走っておりますと、非常に危険な場合があるわけなんです。道路の横を歩いておる身体障害者あるいはお年寄りですね、別に灯も何もついておりませんから、前照灯でぱっと照らしたときにこれは初めてわかるのです。非常にあぶない場合が再三あるわけです。これもやはり交通事故一つの原因であろうと思うのですが、これらを防止するために、いま、一例でありますけれども、滋賀県におきましては安全チョッキというのが実行に移されようとしておるわけなんですね。チョッキを着るわけです。そのチョッキというのは、夜光塗料を塗ったチョッキです。ですから、自動車の前の電気でぱっと照らせば、ああ人が歩いておるとすぐわかるわけです。このようなことも考え、さらに、いま申しましたところの立体横断施設の問題ですね。もう少し身体障害者なりお年寄りなり、あるいは車いすに乗っておるような人が渡れるような横断施設を考えたらどうだろうかということなんですが、この辺は運輸省として今日どういう研究をしておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  20. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 身体障害者用のスロープのついた、あるいは渡りやすいような横断歩道橋なり、そういうものを設置してはどうかというような御意見でございますが、われわれといたしましても、できるだけそういうふうな方向でもって現在下部の道路管理者に指導しておるわけであります。従来もそういうことはできるだけやるようにという指示はしておるわけでございますが、一番  の難点になっておりますのは、普通の横断橋に比べまして土地をたくさん使うようでございまして、そのために、足の立つところにおける反対が非常に強うございまして、なかなか現実には進まないのが実情でございます。現在ずいぶん全国にはたくさんできつつあるわけでございますけれども、なかなか土地問題あるいは足の位置になります地主さんの御了解を得られないので、思うようにはかどってないのが実情でございます。御趣旨に従いましてわれわれも十分これを進めるように持っていきたいと考えております。     〔委員長退席渡辺(武)委員長代理着席
  21. 後藤俊男

    後藤委員 安全チョッキのほうはどうですか。問題としては小さいようですけれども、非常に効果としてはあると私は思うのですが……。
  22. 片岡誠

    片岡政府委員 子供の黄色い帽子、それからいまおっしゃったそういうチョッキは、私も非常に効果があると思います。もう少しそれが効果が実証されれば、ちょうどお年寄りに黄色いつえを持つ義務を課しておるのであります。お年寄りというか、身体障害者と同じようにある程度将来は法律の問題に取り上げていくとか、その前段階として、教則と申しますか、わかりやすく道交法を普及するために国家公安委員会で規則をつくりまして、その中で取り上げていって指導していくとか、いろいろもう少し考えさせていただきたいと思います。
  23. 後藤俊男

    後藤委員 それから最後の、これは非常にむずかしい問題ですけれども、タクシーの問題ですね。この七番で言わんとしているのは、こういうことなんです。タクシーの事故もある、事故の原因にもいろいろあろう、さらにまた、運賃値上げの問題、はたしてタクシー会社が赤字なんだろうか、社長がもうけておるのじゃないだろうかというような、これはいろいろ問題があると思うのです。さらにまた、このごろタクシーに乗りましても、タクシーの運賃は上がりましたけれども、運転しておる運転手さんの収入はふえない、かえって減るのだということを、私は自動車に乗るたびに聞くわけなんです。そういうようないろいろな問題がありますので、タクシー料金の適正なもの、あるいはタクシー会社として経営はこうあるべきだ、少なくともタクシー料金はここまで上げないことには健全なるタクシーの経営はできないのだ、会社は赤字になるのだ、あるいは運転手さんに対する労働強化であるとか、長時間労働であるとか、低賃金であるとかという問題が起きてくるのだというような点をひとつ明確にすべきじゃないかと思います。五十人で経営しておるタクシー会社もあれば、百人のタクシー会社もあれば、二百人のタクシー会社もあろうと思いますけれども、その実態を十分調査して、それぞれの経営の基準と申しましょうか、そういうものを一ぺんはっきり打ち出すべきではないか、それがはっきりするならば、タクシーの運賃値上げということも、実際計算してそういうようになって、事故防止するたてまえからそういうふうになってくるのなら、これはものの言い方も変わってくると思うのですがね。その点がこの七つ目の問題として提起されておるのです。ところが、この間の御返答を聞いてみましても、この辺のところにあまり触れておられぬわけなんです。いかがですか、その点。
  24. 小林正興

    小林説明員 最初に、運賃改定と適正な経営基準との関係かと思いますが、適正な運賃をはじきます場合に、各企業の経費の面の実績値、そういうようなものを全部寄せまして、そして、いわば適正と申しますか、標準的な、平均的な一つの支出を出すわけでございます。そういった必要な経費、これをまかなう運賃収入は幾らであるかということを考えていきます場合に、御承知のとおり、タクシー事業は、事業所を離れて個々の運転手が街頭で営業をやる事業でございますので、そういった際の一番収入の基準になる前提条件、これを、たとえば一日走行キロは幾らであるのが適正か、それから実車率と申しまして、お客さんのつく割合、こういったものがどのくらいであるかというようなこと、それから実働率等、こまかい基礎的な前提条件、これにつきましては、やはり実績をもとにいたしまして適正な一つ基準を出して、そういったものに基づいて、運賃を幾らにきめれば必要な経費がまかなえるかというようなことで運賃率を出すわけでございます。したがって、今回の運賃改定でもすでに公表いたしておりますが、たとえば東京の場合でございますと、従来の基準が一日三百五十キロ走らなければならぬというのを、三百二十キロということで査定をいたしております。また、実車率につきましても、六二%というようなことを基準にいたしまして、全体の原価をまかなうように運賃をきめておるわけでございます。  それから二番目の、そういった際の経営のもとになる経費の一つ基準というようなものに適正な標準値をつくれないかというようなことでございますが、こういった点について、御決議にあります適正標準という意味が非常にむずかしいわけでございます。これは先生も御指摘になりましたとおり、タクシー企業は、現在全国で個人タクシーがすでに二万四千ございます。法人企業で約七千、しかもその法人企業の七千のうちは、ただいお話がありましたとおり、十台未満の会社から、多くは一千台以上の会社に至るまで、企業規模が非常に多岐にわたっております。また、タクシー企業の実態は、先ほども御説明いたしましたように、個々の運転手が街頭で営業するというようなことから、人件費率は全体で約七〇%ということになっております。そのもとになります賃金といったようなものは、労使間できめるべき問題でございますし、そういったことから、厳格な意味での適正標準というようなものは、具体的にきめることは非常に困難だと思います。しかしながら、私どもといたしましては、従来から、いわば平均的な標準値というようなものをつかんで、そういったものによって一つの経営改善の参考に供したいというようなことで、毎年経営指標を作成しております。その際に、非常に多岐にわたっている事業所を幾つかのグループに分けまして、そしていろいろな指標をつくっておるわけでございまして、そういったもので経営改善の参考にさしていただく、こういうことでやっておるわけでございます。
  25. 後藤俊男

    後藤委員 いまいろいろ御説明がありましたが、ただ一点われわれの言わんとするのは、実態調査をおやりになったと思うのです。おやりになったとは思いますけれども、タクシー経営はこうあるべきだ、賃金についてはこうあるべきだ、こういうふうにしなかったならば事故防止もできないし、しかも経営もうまくいかないのだ、こういうひな型と申しましょうか、その基準経営というようなものを、大きいタクシー会社と中間的なタクシー会社と小さいタクシー会社とは違うと思いますから、三段ないし四段ぐらいに分けて検討してみたらどうだというのが、この七番目にいっておるところの趣旨でございますから、ぜひひとつその趣旨に沿って、いまも十分検討し、さらに指導しておられると思いますけれども、前に申しましたような方向検討していただきたいと思うのです。資料ができましたら、ひとつ交通安全対策委員会委員長のほうへお出しをいただきたい。     〔渡辺(武)委員長代理退席、委員長着席〕 また、タクシー運賃の問題が次々と問題になる時期も来ると思いますから、これらの参考にもなると思いますので、ぜひひとつお願いをいたしたいと思うわけです。  それで、去年の五月二十一日の決議につきましては、大体いま申し上げましたような七つの問題を、あなた方がお考えになると非常に軽い問題かもしれませんけれども、これは交通安全対策委員会としまして三晩ぐらいすったもんだで討論した結果こういうふうに集約した問題でございますから、ぜひひとつ放置しておかずに、真剣に取り組んでいただいて、さらに研究すべきものは研究を続けていただく、結論の出たものにつきましてはこの交通安全対策委員会で御報告をしていただく、こういうことでお願いをいたしたいと思うわけです。  次は、総理府のほうにちょっとお尋ねいたしたいと思うのですが、私が申し上げるまでもなく、現在の交通事故の死者というのは一万六千をこえておるわけなんですね。さらに、けがした人が九十四万。百万前後という交通事故死傷者が出ておるわけなんです。そこで、自動車の保有台数は  一体どうなっておるだろうか、昭和四十年度には約八百万台だと思うのです。違っておるかもわかりませんけれども。去年の十一月に計算をいたしますと、大体二千六百万台、五年間に三倍ぐらいに自動車の台数がふえておるわけなんです。これに伴って、道路の投資であるとか、さらに交通に関係のあるいろいろな施設、さらに国民の即応体制、これらに不均衡を生じまして、今日のような交通地獄といわれる非常に重大なことになっておるのではないかというふうに思うわけです。そこで、一口に申し上げまして、この交通事故死傷者の数の推移というのは、自動車の保有台数と正比例しておる。いわば、車がどんどんどんどん増加すれば、交通事故も増加しておる、こういうことはおおむね言えると思うのです。このまま推移していったとするならば、昭和五十年には死者が二万、負傷者が二百万ぐらいになるのではないかというような、非常に心配すべきことも予想されるというふうに思うわけでございますけれども、こういうようにならないようにするためには一体どうすべきであるか。これは私は非常に大事なことであろうと思うわけであります。  そこで、交通事故問題に対して考えられることは、安全施設の一そうの整備と、さらにまた道路整備自動車の生産、これらが総合的に調整されるところの総合施設が必要であろうと私は考えるわけなんです。建設省は建設省だ、運輸省運輸省だ、さらにまた、先ほどの話は保安基準というようなことで、個々ばらばらな体制のもとにおきましては、いま申し上げましたように、昭和五十年には二万、さらに二百万、こういう方向でずるずると進んでいくような気が私はするわけなんです。そこで、全般的に調整するところの総合体制というもの、これは当然総理府が中心になってやっておられると私は思うわけでございますけれども、これらのことに対しまして総理府は現在どういうふうにお考えになっておるのか。これは交通事故を防止する上におきましても非常に私は大切なことだと思うのです。お答えいただきたいと思います。
  26. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 お答え申し上げます。  ただい後藤先生のおっしゃいましたこと、まことにごもっともでございまして、交通安全行政というものがいろいろの官庁に分掌されておるということも、これはまた事実でございます。先ほど御指摘にございましたように、非常に自動車の保有台数というものがふえてきておるし、また、保有台数の増加に伴いまして交通事故がふえておるということも、これは事実でございます。私どものほうといたしましては、そういう交通安全行政というものをやはり総合調整していく、さらにこの機能を強化していくということも、これは当面最も大事なことでございまして、従来以上にさらにまた今後ともこの面に力を入れてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。一昨年か制定いただきました交通安全対策基本法というものに基づきまして、御承知のように、総理府に、内閣総理大臣を長とする中央交通安全対策会議というものができております。この中央交通安全対策会議におきまして、御承知と思いますが、昨年の三月に、向こう五年間の交通安全についての政府の基本的な方針というものを盛り込んだ基本計画というものを策定いたした次第でございます。さらにまた、この基本計画に基づきまして、関係省庁はいずれもこれに即した業務計画というものを立てることになっておりまして、これに即して各省庁がいずれも業務計画というものをつくりまして、私どものほうへ報告をしていただき、また私どもは各省庁と従来以上に緊密に提携して、総合調整の機能を十分に発揮してまいりたいと考えておるところでございます。  さらにまた、交通安全対策基本法におきましては、都道府県に、知事を会長といたします都道府県の交通安全対策会議というものが置かれるということになっておりまして、この都道府県の交通安全対策会議におきましても、これは知事を会長といたしまして、国の出先機関の長も含めまして構成しておるわけでございますが、都道府県の安全計画というものをつくることになっておりまして、私どものほうの指導で、大部分の都道府県はすでに安全計画というものを策定しておるわけでございます。さらに、都道府県におきましては、毎年度交通安全に関する実施計画というものをつくることになっておりまして、私どももこれを指導しておるというところでございます。さらに、都道府県だけでなくて、やはり市町村の末端まで交通安全の施策というものが徹底をするということが大事でございまして、私ども、特に市町村への指導というものを強めていくような指導を都道府県に対しても今後一そう強めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  27. 後藤俊男

    後藤委員 いまいろいろ御説明なさいましたが、私が言わんとするところは、そのことも含んではおりますけれども、まああなたの返答は返答としておいて、そこで通産省にお尋ねいたしたいと思うのです。  先ほど言いましたように、戦争が終わりまして今日まで、経済成長でどんどん自動車産業というのは国の保護もございまして成長してまいった。現在におきましても、先ほど言いましたように、五年たつと自動車の保有台が三倍に増加する。その三倍に増加するとともに交通事故もどんどんそれに正比例してふえつつあるというのが現状なんです。そうなりますと、昭和五十年を見通してみますると、二万人の死者と二百万余りの交通傷害者が発生するということも考えられないことはないのであります。ところが、自動車の生産につきましては、通産省でどういうお考えか知りませんけれども、毎年毎年さらに台数がどんどん増加をしていく。それなら、それに伴って道路もふえてくる、安全施設も心配なくそれに伴って設備が行なわれるというなら、別に私はとやかく言う気持ちはございませんけれども、そうではなしに、今日の実績というのは、自動車の数がふえれば交通事故がどんどんふえる。道路関係の投資も、ばく大な投資をしておられることは私は知っております。安全施設につきましても一生懸命にやっておられることは、いろいろ問題があるにしても、やっておられることは知っておりますけれども、現状を見た場合に、自動車の台数がどんどんふえれば事故がふえる。これが昭和五十年なり昭和五十五年になれば行き詰まってしまう。そういう見通しの上に立って、今日自動車の生産というのを何らか規制すると申しましょうか、今日何かが必要な時期に来ておるのではないかというふうに私は思うわけなんです。この点、通産省いかがでございましょうか。
  28. 石原尚久

    ○石原説明員 先ほどから御指摘のように、ただいま百万人近い方がけがをなさり、それから一万六千人の方が毎年おなくなりになっていらっしゃるということにつきまして、私ども日々頭を痛めておるわけでございます。ただ、別の面で申しますと、これはるる御説明の必要はないと思いますが、いま自動車というものが、われわれの、別に経済だけでございませんで、いろいろな面にもうしっかり入ってしまっておりまして、どうにも動かしがたいようなものにまで入ってしまっておるということは一つ言えるかと思います。それからもう一つ、これはかすかに不幸の中での明るい話かと思いますけれども、たとえば自動車十万台当たりの事故がかすかに減っておるということ、これは別に事故が減ったからいいとかいうようなことは決して考えておりませんで、お一人でも事故が起きればそれはたいへんなことだ、かように思う次第でございますけれども、ただそういうような事情がございますので、ただいま私どものほうといたしましては、生産制限ないし供給制限というところまでまだ考えを及ぼしておりませんで、もっぱらそういうことに関連いたしまして各界での御意見を十分に承って頭の中に十分取り入れておこう、こういう次第でございまして、なお、関連いたしまして、通産省でやっておりますことをちょっと御披露さしていただきますと、実は、いま昭和四十八年または昭和四十九年の末までに実験用の安全車をつくりたい、かように考えておりまして、どういうものかと申しますと、その企画の一例を申しますと、時速八十キロで壁にぶつかりました場合に、あるいは時速五十キロの車によって側面衝突を受けた場合に、乗っております方が重傷以上の事故にならないように、物理的に申しますと、車のへこみ方が十二・五センチ以下であるようにというような車を、ただいま申し上げましたように、四十八年または四十九年の末までに実験用の車として開発をいたしまして、それを漸次、将来の問題でございますが、運輸省さんのほうの保安基準に取り入れていただくようなことを考えておりまして、また、御指摘のような交通事故、これは世界的な問題でもございますので、ただいまの実験用の安全車の開発につきましては、仕様その他について、自動車生産企業がみな一緒になりまして相互に情報交換をして進めてまいる、かような手だてをただいま講じておる、弁解のようでございますけれども、そういう次第でございます。
  29. 後藤俊男

    後藤委員 時間が来ましたのでまことに残念でございますけれども、ただ、いまあなたが言われた中に、交通事故が減っておるというようなことを言われましたけれども——そうでなければそうでないでけっこうです。大体都市における交通事故は、一昨年、昨年よりかは減っております。ところが、地方における生活道路における交通事故というのは、これはふえておるわけなんです。なぜ一体都市における交通事故が減っておるかといえば、もう交通が麻痺をしてのろのろ運転になるわけなんです。それらの影響で交通事故が減っておるのではないかというようなことも言われておるわけなんです。ですから、私が通産省のほうにお尋ねいたしたいのは、なるほど、いま言われました交通事故でりっぱな自動車をどうこうという話もあります。それはけっこうなことだと思いますが、このままどんどん自動車の生産台数がふえていったら、一体交通事故はどうなるんだ、それなら、それに対応するだけの交通事故を防止する政策があるかといえば、これはないわけなんです。あるのなら、実績として今日そんなにふえておらぬと思うのです。そういう情勢を考えると、昭和五十年なり五十五年になってくると一体どうなるのだ、昭和五十年には死者二万人、負傷者二百万人ということになってきたら、たいへんなことじゃないのか、これに対して、通産省としては、自動車の生産に対して、いまあなたの答弁を聞くと、相変わらずどんどん生産をしていきます、交通事故は起こるでしょうけれども、そっちのほうはひとつはかのほうで十分検討してもらって、私どもは、事故をやったときには、衝突したときはどうのこうのの自動車を研究します、こういうものの言い方ですけれども、私は別にそのことをとやかく言っておるのではなしに、このまま生産台数がどんどんふえていく、その割りに道路はふえない、安全施設も十分じゃない、あらゆる面で交通事故というものは皆無にならぬわけなんです。いままでの実績は、台数がふえることによって交通事故が正比例してふえておる。このまま推移さしていったのでは、国としての責任がないと思うのです。その点を一体どうお考えになっておるかということを聞きたいわけなんです。簡潔でけっこうですから、もう一ぺんお答えください。
  30. 石原尚久

    ○石原説明員 御指摘の点、たいへん重大なことでございまして、私自身が責任を持ってお答えするというのは僭越過ぎるかと思いますけれども、私どもとしては、もちろんほかの省庁と十分連絡をとらせていただきまして、安全のためにやってまいりたいと思っております。
  31. 後藤俊男

    後藤委員 課長さん、もう一ぺんその問題はまたあらためてやらしていただきます。  最後に——大蔵省来ていらっしゃいますね。自賠責保険の問題です。私はあまり詳細には知りませんけれども、いま強制保険と任意保険がある。一般の生命保険とか、そういうものにつきましては所得から控除されておるわけなんですけれども、強制保険にしても任意保険にいたしましても、掛け金に対する所得からの控除というのが認められておりません。これは、私、簡単に考えて、非常におかしいのじゃないか、当然控除してしかるべきじゃないかと考えるのですが、この点いかがでしょうか。
  32. 高橋元

    高橋説明員 お答えいたします。  所得税の所得を計算いたします場合には、御承知のように、収入から経費を差し引くわけでございます。この経費と申しますのは、収入を得るのに必要な経費ということに限定されておりまして、したがって、家事上の経費というものは引かないたてまえでございます。いま御指摘自動車の強制保険、自賠責保険は、自動車を保有しております限り、保有に伴う強制的な支出でございますけれども、これが事業所得とか一般の営業なり、また山林所得とか、そういう所得を得るに必要な場合には、もちろん経費に入るわけでございます。いま御指摘の場合は、そういう事業の経費にならない場合、つまり、家事上に使用される、生活上に使用される自動車の場合だと思います。こういった場合には、他の家事上の経費、これはすべて、基礎控除なり扶養控除なり配偶者控除なり、そういう人的な控除によってカバーされるというのが、税法のたてまえでございます。先ほど御質問にありましたたとえば生命保険料控除、損保の控除というものは、確かにございます。これらは非常に沿革の古いということもございますけれども、生命保険料控除と申しますのは、いわば一種の社会保障的な機能に着目した政策的な誘引効果というものを認めてつけておるわけでございます。損保の控除と申しますのは、住宅政策という観点から、三十九年に、家屋、それから居住用の動産について特別に控除を認めようということでつけたわけでございます。自賠責保険が非常に重要な社会的な役割りを果たしていること、私どもはそのとおりだと思います。しかし、それは強制的な経費であるということで、すでに自動車をお持ちの方は、家事上にお使いになっておりましても、必ず加入されるわけでございます。そういう意味で、誘引的な政策的な控除というものをつけるべき必要は少ないのではないかということで、いま申し上げておりますように、自賠責保険は、事業所得なり山林所得なりの所得を得るのに必要な限度で経費として見る以外には、経費にしておらないわけでございます。
  33. 後藤俊男

    後藤委員 いまあなたが言われましたように、事業をやっておる人の自動車につきましては、その事業の経費として落とすことができると思うのです。ところが、自家用車の問題です。しかも強制加入です。五百万までで、それ以上については任意加入ですけれども、これも考え方によってはやはり社会保障の一環だと思うのです。片方では生命保険等は所得税の控除の対象になる。いま申し上げました、強制で加入させられ、さらに任意で加入した人、これらの人の掛け金は所得税の控除の対象にならないということは、あなたのほうとしていろいろ説明のしかたはあろうと思いますけれども、第三者としてわれわれが考えた場合に、一体どうしてこういう扱いになっておるのだろうかと疑問を持つわけなんです。ですから、この問題については、当然、税金専門委員会で何回も問題になったと私は思うのですけれども、交通安全という立場に立ちましても、強制保険については、強制ですから全部入りますが、任意保険についても、少しでも多くの人が加入していただくということ、これはどの面から考えても望ましいことだと私は思うのです。そういう点から考えるとするのなら、それぐらいのことを考えてもいいような気がするのです。生命保険料並みのことを考えてもいいのじゃないか、そこで初めて、任意加入を渋っておった者が加入するとか、あるいはそのことによって加入者がふえるというようなことにもなるのじゃないかと私は思うのですが、この点もう一ぺんあなたのほうとして検討されるという気持ちはございませんか。
  34. 高橋元

    高橋説明員 いまお話を伺いましたように、自賠責保険または自動車保険、これらにつきまして所得計算上控除すべきであるという御意見は、たびたびいただいております。したがいまして、政府の税制調査会におきましてもそのつど検討はいたしておるわけです。その結論は、要約すれば、先ほど私が申し上げたことになるわけです。いまお話にありますような問題は、一般の、たとえば基礎控除とか配偶者控除とか扶養控除とか、いわゆる人的な控除だけでカバーできない特別な経費がある。生命保険もそうでございましょうし、損害保険もそうでございましょう。そういう場合に、外国の法制では、一括してこれを特別支出控除というようなことにしまして、その中でメニュー方式で選択させていくという制度もございます。そういう制度につきましても、これをわが国の税法上取り入れるべきかどうかということについて、税制調査会でも検討いたしております。これはやや長期の検討課題ということで、そういう範疇でむしろ取り扱うべきことかと思います。自動車賠償責任保険につきましては、繰り返し、くどくて恐縮でございますが、これが加入を促進させるという意味でございますならば、これはすでに自動車を持っております限り強制加入という法律上の義務が課せられております。税を軽減して加入を誘引するという必要性に乏しいのではないかというふうに考えておる次第であります。
  35. 後藤俊男

    後藤委員 いまの問題はそう簡単に解決できると思いませんけれども、いま言いましたような趣旨に沿ってさらに検討をしていただくようにお願いをしたいと思います。  終わります。
  36. 今澄勇

    ○今澄委員長 沖本泰幸君。
  37. 沖本泰幸

    ○沖本委員 まず委員長にちょっと申し上げておきたいのですが、特別委員会というのが、ともすれば何か付随的な委員会みたいになって、御答弁に来られる方々が結局責任ある答弁ができないというようなことが非常に多いわけです。これでは特別委員会を持っている意義がなくなってくる、こういうふうな感じを受けるわけです。担当の大臣あるいは次官とか局長さんがいない場合でも、課長さんでも十分仕事の面ではその衝に当たる一番最たる方々ですから、当委員会あるいは特別委員会で取り上げられる問題は、すべて各省にまたがったものであり、重要課題である、こうお受け取りになっていただいて、十分その機能を果たせるだけの仕事をしていただく。ただ質問して答えて終わったというようなことであってはならぬと私は考えるわけでございます。本来は理事会でこういうことは申し上げることでございましょうが、ちょっと気がつきましたので、委員長にひとつ御配慮いただきたいと思いますので、特に委員長にお考えいただくようにお願いいたします。
  38. 今澄勇

    ○今澄委員長 きょうの理事会でもその話が出まして、全く私も同感で、十分御趣旨のように運営してまいりたいと思っております。
  39. 沖本泰幸

    ○沖本委員 よろしくお願いします。  それでは、いま後藤さんから陸の交通についていろいろ御質問がありましたが、私は、同じような観点から空の問題に取っ組んでいきたいと思います。問題がたくさんありまして、一ぺんに質問ができないわけなんですけれども、飛行機の問題は、ともすれば安全対策あるいは措置に関してどろなわ式が非常に多いわけです。どうしても器材とか、あるいは開発されていくような問題点のほうが先に進んで、そしてそのあと、それに対する安全対策なり何なりが後手になっていっているというふうな事実が非常にたくさんある、こう感じるわけでございます。特に、昔は野っ原を開いてプロペラ機を飛ばせばそれで事が済んだようなことだったわけですけれども、現在はそうはいかないわけです。しかし、安全対策なり何なり、そういうもの、あるいは空港整備あるいは安全施設、こういうものがどうしてもおくればせになってついていっている。そのために現実との間に非常に空白ができて、そこに大きな危機感なり危険性が伴ってきている、こういうふうに考えられることが非常に多いわけです。そういう観点に立っていろいろ御質問したいわけです。  まず一番先にお伺いしたいのは、ばらばらで御質問するようなことになりますけれども、きのう、電話回線が切断されて三時間通信が麻痺した、そのために日本の空が混乱してしまったという問題があるわけですけれども、これは、ほかの土木工事のためにケーブルが切断されて、そのためにだめになったということなんですが、この問題について現在把握されている内容はどういうことなんでしょうか、その点について御説明願います。
  40. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 昨日の電話ケーブルの事故について、御説明申し上げます。  昨日発生いたしましたのは、三月十四日の十時四十一分、発生場所といたしましては、所沢中継所と新宿中継所との間の同軸ケーブルが、久留米無人中継所から所沢方面に約一二百メートルの地点で下水用の側溝工事をしており、その際に損傷したというのが実情でございます。  その後の経過を申し上げますと、十時四十一分に切断されたのでございますけれども、これはいわゆる第四系統専用回線という回線がございますが、これが断線いたしまして、東京管内の所々方々の飛行場に行く専用線とか、あるいは福岡あるいは札幌に参ります専用線等が切断されたわけでございます。それから箱根に対空通信用施設がございますけれども、そこに参ります専用線も切断された、これが四十一分でございます。十時四十五分に、これは箱根の対空通信用の施設でございますけれども、そこに参ります専用線は、小田原の迂回ルートに切りかえまして直ちに復旧いたしました。それから、そのほかの部分につきましては、直ちに復旧はできませんで、電電公社のほうで専用線の切りかえということをやっていただいたわけでございますが、十一時二十五分に至りまして、先ほど申しました断線した第四系統を第三系統という系統に切りかえて一時復旧したわけでございます。ところが、十二時十分に至りまして、ただいま復旧いたしました第三系統がまた断線いたしました。そこで、その第三系統の断線につきましては他の系統に切りかえて復旧願ったわけでございますが、この復旧が終わりましたのが十二時五十五分でございます。全体的に全回線が復旧いたしましたのが十三時五十四分というのが、その当時の実情でございます。  そこで、私どもといたしましては、十時四十五分に、電電公社に対しまして、その所沢中継所に対しまして復旧要請を行ないましたその結果、いま申し上げたような復旧作業というものが行なわれたわけであります。  そこで、断線による影響が航空関係にどうあったかということでございますが、まず第一に、大阪地区を除きましては格段の影響はございませんでした。おもな影響は大阪地区でございます。回線の障害が発生したとき、これは十時四十一分でございますが、大阪発の出発機が五機ぐらいございました。これが約三十分程度地上における待機を余儀なくされたわけでございます。それから、回線の復旧いたしました十一時二十分前後に、この回線復旧に伴いまして待機を解除いたしましたけれども、十三時二十分ごろまでの出発機が二十五機ぐらいございましたが、これが四十分ないし五十分遅延せざるを得なかったというわけでございます。それから、十四時二十分以降遅延はほとんど解消いたしましたけれども、器材繰りにいろいろ支障がございましたので、そのためにダイヤの混乱はやはり終日続かざるを得なかったというのが実情でございます。そして、十五日現在におきまして運航は再び正常に復帰したというわけでございます。  ちなみに、その当時東京管制部としてどういう措置をとったかということを御説明申し上げます。  これは先ほど申し上げましたように、東京管制部からの回線は、福岡の管制部に二回線、それから札幌の管制部に一回線、そのほかに、HFの通信回線がそれぞれ一回線ずつございます。それから羽田のほうには、電電の専用回線のほかに、自営のマイクロ回線が相当数含まれております。それから大阪等につきましては、これは電電の専用回線が四本ぐらいございます。そういうことで、たまたま切れましたのは電電の専用回線でございます。そこで、本来の電電の専用回線が切れましたときには、電電の予備回線に先ほど申し上げましたように切りかえて、それで通信するというようなたてまえでございます。今回の場合には、その切りかえが十分にうまくいかなかったということでございます。そこで私どもといたしましては、これを補完する措置といたしまして、一般加入回線がございます、これを使いまして極力通信をはかるということにいたしたのでございますが、一般の加入電話、その他障害を受けてない回線、たとえば、名古屋につきましては浜松経由、大阪につきましては高松経由というふうなところで連絡につとめたわけでございます。それから、通常の管制間隔を延長いたしまして安全確保をはかりました。十二時二十六分から十三時二十分の間、大阪発の西行出発機は、高度のいかんにかかわらず十分の間隔を適用する交通規制を行なっております。通常でございますと、レーダーがございますと三マイルとか五マイルをセパレーションとして使っておりますが、レーダーのないところにつきましては、各高度ごとに十分の間隔でやっております。しかし、この場合には、高度のいかんを問わず、全面的に、同一方向につきましては十分の間隔をとるということをいたしまして、疎通は緩慢になりますけれども、安全をはかったような次第でございます。  それから、航行中の航空機に対する措置といたしましては、関東及び東北につきましては、東久留米の管制本部、これと直接通信ができました。それから箱根はラジオが生きております。大阪地区につきましては、信太の位置通報所、これが回線切断で聞けなくなったのでございますが、大阪の空港の中に大阪ラジオの局がございますが、この回線は障害を受けておりませんので、これを使いまして、特に措置する必要はなかったのでございます。それから中部地域につきましては、河和の位置通報所の回線が断線いたしましたので、これにかわるべき箱根のラジオによって交信するとともに、浜松のタワーの協力を得まして通信をはかったわけでございます。  以上が昨日の大体の状況でございました。
  41. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いまはきのうの措置について御報告があったわけですけれども、飛んでいる飛行機あるいはとまっている飛行機、こういうものに対して、これは動いているものなんですね。災害がよくあるような場合は、たとえば水がたくさん入るようなところでは、普通電気モーターによるポンプアップをするようになっているけれども、非常の場合はディーゼルニンジンを使ってポンプアップするような、二次的な対策が講じられているわけです。ですから、こういう場合にも、当然、非常事態が起きた場合には二次的な対策がすぐ切りかえられて行なわれるということが、寸秒を争う飛行機を扱う場合には講じられなければならない、こういうふうに考えられるわけですけれども、こういう点について、今後こういうことが再び起きて手間どったり、そこで事故なんか起きたらたいへんなことになるわけですね。ですから、こういう問題から、事故が起きないと御説明があるかもわかりませんけれども、この問題について今後の対策としてすぐとらなければならない方法は何なんでしょうか。
  42. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 先ほど申し上げましたように、電話の専用回線、これに対する事故の場合には、その専用回線を、電電の中で予備回線がございまして、それに切りかえるというふうなことがたてまえになっております。それからさらに停電なんかの場合、こういう場合もございますが、そういう場合については、自動切りかえ装置の自家発電装置をつけておりまして、その問題はないと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、そういうたてまえになっておると申しましても、現実にあれだけのおくれを生じたということは、やはりどこかに不備の点があるのではないかという点は、御指摘のとおりでございます。  その点につきましてもう一度御説明いたしますと、大体各管制部相互間には、専用回線のほかに、短波の無線電話回線がございますので、これでバックアップすればよろしい。それから東京管制部と東京国際空港の間は、電電公社の回線のほかにマイクロ回線を使用いたしておりますので、これが役立つ。それから東京管制部と大阪空港の間には、先ほど申し落としたかもしれませんが、短波の無線電話回線がございます。そういうものによってバックアップする。そのほかのものにつきましては、加入電話を利用するというたてまえになっておるわけでございます。ただ問題は、やはり先ほどの例に申し上げましたように、必ずしも切りかえがうまくいっていなかったということでございます。  そこで、いまの回線の状況を見ますと、必ずしも一回線でなくて、専用回線を二回線、三回線持っておりますけれども、それが同じケーブルの中に入ってしまっているわけであります。したがいまして、それが傷つけられると一ぺんにやられてしまうというところに問題がございますので、これにつきましては、今後電電公社とも話しまして、何か、危険分散と申しますか、軸を分けて入れるというふうなことを講ずべきではないだろうかというふうなことを考えております。それからさらに、交通量、通信量の非常に多いところにおきましては、ただい東京と羽田間はマイクロ回線を持っておりますけれども、それと同じようなことも必要ではないか。ただ、全国に空港は非常に多うございますので、至るところにマイクロ回線を設けるということは非常に困難でございます。したがいまして、何らかの方法で専用電話回線の補強あるいは危険分散というふうなことを考えていく。それから非常時の際の連絡体系、これはできておるわけでございますけれども、そういうものをきっちりといたしまして疎通をはかるということにいたしたいというふうに考えております。
  43. 沖本泰幸

    ○沖本委員 御説明を聞く以外に方法がないのですが、新聞では、「空の通信は地上回線に予備のものがなく、一つの回線が切れるとお手上げになるというお寒い状態が、工事ミスではからずも明るみに出た」、こういうことになっておるわけです。たとえば自衛隊の飛行機なりあるいは米軍の飛行機になると、一般社会のそういう通信専用、そういう内容と違うものを持ってみな運用されておるというようなことが多いわけです。ですから、やっぱりそういうものに近い航空管制部というものを持っていただくということのほうが大事じゃないか、私はこう考えるわけです。電電との関係、いろいろな社会にある施設をお使いになることも当然ですけれども、それは通常の場合ですから、いつでも何かのときにすぐこれが使えるような状態にしていただかなければならないと考えるわけです。  それから、これも新聞で見たのですが、たとえば航空安全推進会議の、パイロットや管制官のアンケートの中にも出ておったらしいのですが、羽田のレーダーが曇るとかいう問題そのためにニアミスの危険がある程度出てくる、あるいは大阪のレーダーが、雲が出てくると、そういう雲によって影響を受けてレーダーが曇ってしまう、こういうことでありますが、その内容はどうなのでしょうか。
  44. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 まず第一に、羽田のレーダーでございますが、羽田のレーダーは、昭和三十八年に完成いたしまして、設置後、二次レーダーの増設その他いろいろ性能向上もはかっておりまして、一応標準の精度は維持しているかと存じます。しかし、何ぶん相当経過年数が多うございますので、実際上それほど優秀なものではないと存じております。したがいまして、私どもといたしましては、かねがね、つけかえということを考えておりまして、現在それのつけかえ中でございますが、四十七年度の七月中旬には新しい器材が完成いたしまして、つけかえが可能であるというふうに考えております。それによりましてこの問題は解消するというふうに考えております。  それから次に、大阪のレーダーでございますが、これは新聞記事に出たものと私どもの調査と必ずしも一致しない点がございますが、私どもの知っております範囲内では、大体二月の十七日ごろから何か不明の短波による混信現象があったというふうに聞いております。そこで、私どもといたしましては、さっそく近畿の電波監理局のほうに申告いたしましてその調査を依頼したわけでございます。その調査を依頼する一方、周波数を可能な範囲で若干移動させまして、つまり、五メガくらい、上げたか下げたかわかりませんが、変えたわけです。そういたしましたら、そういう混信現象がなくなったのであります。そういうことで、三月十日以後は、先ほど申し上げましたような混信現象はなくなっております。その原因についてはよくわかっておりません。おそらく、大阪のレーダーについての問題というのは、こういうところにあるんじゃないかというふうに考えております。
  45. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それから、これも新聞に大きく載ったわけですが、全日空の飛行機が、横田から出た米軍のチャーター機のボーイング707のあとで乱気流によって横ゆれにあったということなんですが、このことについて現在どういう点を握っていらっしゃるのですか。
  46. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 技術部長のほうから御説明申し上げます。
  47. 金井洋

    ○金井政府委員 御指摘のように、全日空機が米軍のチャーター機パン・アメリカンの707のあとで後流に巻き込まれて非常に激しい動揺を感じたということで、さっそくパイロットからレポートがありましたので、よく事情を聴取いたしましたところ、ニアミスというほど近寄ったわけではないけれども、とにかく後流の中に入って激しい動揺を感じたという情報でございました。  これにつきましては、なぜそういうところを通ったのかということでございますけれども、御承知のように、ブルー14から横田エリアというのは、米軍が自家管制しておるわけでございます。以前はそこは全然通れませんで、全部、羽田から大島へ出て、大島から大阪のほうへ行くというルートを通っておったわけです。ところが、横田エリアも通れるようにしてくれというので、四十三年ごろから浦賀デパーチャーと羽田リバーサルという二つのルートを設けたわけでございます。民間機もその横田エリアを通って西のほうへ行くことができるわけで、全日空機は、たまたま、横田エリアの中を突き切って、きめられたルートを飛んでおったわけです。このルートの中へ入るときには、もちろん、東京管制部から米軍の横田の管制に連絡しまして、よろしいという許可をとって入る。その横田エリアの中におきましては全部米軍が管制するわけでございます。当然、パン・アメリカンの707と全日空の飛行機は米軍の管制下にあったわけです。で、よくこれを米軍にも調べたところ、新聞に報道されておるように接近したわけではないんで、ただ、707の後方に気流の乱れが出ます、これは後流といっておりますけれども、後流の中へ入って非常にタービュランスを受けたということでございます。これにつきましては、当分は米軍に申し入れまして、かかることがないように、たとえニアミスというほど近寄ったのでないにしても、後流の中に入って動揺を受けるということは望ましいことではないので、厳重に調査して、かかることがないよう申し入れをいたしました。まだ返事はきておりません。
  48. 沖本泰幸

    ○沖本委員 これは前々から、問題は違いますけれども、米軍のチャーター機の使い方ということは運輸委員会でも相当問題になったのです。それで羽田の視察もやったくらいなんです。で、羽田へ行ったときは、そんなに使う回数、便数はなかったというようなことで、あまり問題にもならなかったということなんですけれども、これはこの前の自衛隊機の衝突と関連するということはないですけれども、やはり米軍が管理しておる飛行機の飛ぶ内容、それと日本の民間機の内容というものが、完全にやはり日本の安全保障条約のいろんな関連の中から生まれてくるわけですから、その点、十分民間機の安全性が保証されるような話し合いができておるのか、できていないのかということにあるんじゃないかと思うわけです。それと同時に、米軍の使う飛行機と羽田へ入る飛行機とが、絶えず、羽田沖あるいは東京湾の上空で、高度なり進入する角度なり、いろいろなことで内容が複雑しているということは、前からこれも問題になっておるわけなんです。新島の射爆場をどうするかこうするかということも、飛行機の空路に大きな影響を及ぼすからということでこれも問題になったということなんです。  それと同時に、これも私はしろうと考えで疑問に思っているわけですが、たまたま私が乗った飛行機が広島の飛行場へ下りる、あるいは飛ぶことが数回あったわけですけれども、岩国の米軍の管制塔からの指示で、ずっと迂回して入らなければならない。絶えずそういうふうな迂回をさせられて、余分な飛行時間もとり、余分な、航路を変えて入っていかなければならない。もっと簡単な入りようがあるんだとかいうような話も、この前の運輸委員会調査の中で出ておったわけですが、そういう関係でやはりまだまだ米軍と日本の民間航空との間にはいろんなそういう問題点が残っているんじゃないか、こう考えられるわけですけれども、その点は完全に話し合いがついて、安全性は確保されておるのでしょうか、どうなんですか。
  49. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 それにつきましては、安全性は確保されていると思っております。ともかく、アメリカも使い、日本の国も使うというふうな場所が一部部分的にはございます。そういった点につきましてはともかく一元的に交通を管制してまいりませんと、同じ場所を両者がやっていることは非常に危険でございますので、むしろこれは責任を持たして一元的に管制をするということが望ましいというふうに考えております。  そこで、先ほど御説明申し上げましたが、例の横田区域の問題でございますけれども、これも特に米軍のほうと話をいたしまして従来——従来と申しましてもだいぶ前でございますが、これは全面的にそこの区域には民間機ははいれなかったのを、二本ばかり穴をぶち抜きまして、ここについては優先的に民間機が通過できるところである、米軍の航空機はむしろそれを避けるようにコントロールするというふうなことで話し合いはついておるわけであります。  先ほどお話がございました岩国の問題でございますが、もし私説明不十分でしたら、またあとで技術的な説明をいたしますけれども、現在、広島空港に計器飛行方式で離発着する場合は、同空港は岩国進入管制所の管轄内でございまして、岩国の進入管制所におきまして進入管制をやっております。ただ、その進入、出発経路というものはきちっときめまして、それによってやっておりますので、迂回するということはないと思います。  ただ、こういうことはあるわけです。岩国がございまして、その東側に広島があるのですけれども、その広島に着くためには、岩国を通過後——NDBが置いてあるわけです。そこへ入ります。そこでもってNDBにフィットしてから、そこを旋回しながら下りてきて入るというふうな進入方式をとっているわけです。ただ、これは、現在の計器飛行方式でございますと、NDBがあってやります場合にはこういうふうな進入をするわけでございますが、これにつきましては、広島空港の滑走路も延長されまして、近々、いわゆる飛行場監視レーダー、ASRでございますか、そういうものがつくことになっております。そういたしますと、進入方法も、そのような旋回をしないでまっすぐ入ってこられるということになりますので、そういたしますと、先ほど先生御指摘のような御不便はおかけしなくても済むのじゃないかというふうに考えております。
  50. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そこで、いま申し上げたのは、最近起きている、新聞に取り上げられるいろんな問題点をそれぞればらばらでやったわけですが、これに付随して、全日空の整備状態が悪くて連日事故を起こしたということが問題になっているわけですが、その全日空の整備関係については、運輸省との間にはどういう交渉が行なわれ、安全性を保つような結論が出るようになったわけですか。
  51. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 技術部長から御答弁申し上げます。
  52. 金井洋

    ○金井政府委員 御指摘のように、全日空大阪基地におきまして三日連続故障のために引き返したということがございまして、これにつきましては、原因を探求いたしましたところが、非常に似たような部品——正規部品でない、似たような部品をあやまって取りつけたために、それがもとで油圧の液が漏れたということでございます。そこで、まず第一に考えられますのが、なぜ誤った部品をつけたのかということと、たとえ誤った部品をつけても、二月二十九日の第一回目の故障のときに発見をしておれば、続いて起こった三月一日、二日のこの故障は防げたはずであるということで、善後策を考えまして、まず、部品が似たような形の部品であっても、なぜまぎらわしいように置いてあったのかということと、それから、似たような部品であれば、絶対間違わないように、形を変えるなりあるいは何か処置すべきである。従来は、混同しないようにペンキで色をつけておったわけですけれども、その色が長年の間に油その他で消えてしまった。したがって識別が困難であったということでございますけれども、それだけでは不十分でございますから、今後は、加工しまして部品は別な形にしたらどうかということを指示いたしております。  それからさらに、部品を取りつける場合には、部品の名称と同時に、必ずその部品には一個一個部品の番号がついておりますので、もしこの番号を確かめてつけていたら、たとえ形が同じであっても絶対間違わなかったはずでございます。したがって、それらが作業カードに、どの部品、AならAという部品をつけなさいという指示があるときには、必ず幾つ幾つという部品番号も書きなさいというふうに指示をしておるのでございます。  これも、もちろん、各航空会社の整備は、運輸大臣が認可するところの整備規程の中に整備方式というものがございまして、この整備方式に従って整備しておるわけでございます。この整備規程には、もちろん、自分がやった作業を確認する必要がございますし、それから、そばにおる整備の責任者が二重、三重のチェックをすることになっております。この二重、三重のチェックがはたして完全に行なわれていたかどうかということについても問題がありますので、これも必ず実行するようきびしく指導しております。  それから、引き返しの問題でございますけれども、引き返しの割合はどうかといいますと、全機種の統計が、大体千回出発して約一回引き返すというのがいままでの例でございます。これはもちろん、フレンドシップとかボーイングだとか、機種によって若干の相違はございますけれども、大体千離陸当たり一度の引き返しというのが過去の統計でございますが、これは年間の統計でございまして、この統計は、外国の場合と比べても大体同じ程度でございます。もちろん、引き返すこと自体は決して悪いことではないのでございまして、もしたとえ飛べたとしても引き返すようわれわれは指導しておるわけでございますけれども、一番望ましいのは、引き返すような故障が起こらないように整備せよという先生御指摘のとおりでございまして、これからも随時立ち入り検査の頻度を多くしまして、整備規程にきめられた整備方式どおり整備を実施しているかどうかを確認したいというふうに考えております。
  53. 沖本泰幸

    ○沖本委員 お伺いすることを先に答えてくださったんですが、この三月十四日の読売の夕刊の記事によりますと、「航空局の調べでは、航空機が目的地まで到達しないで引き返すといった、この程度の異常運航は、わが国では二日に一件以上の割合で発生している。」という記事が出ておるわけです。こういうように航空局では発表していらっしゃるわけですが、「航空局が昨年八月から今月初めにかけて異常運航の実態調査をしてわかったもので、約七カ月間に百十九件、月平均十七件も発生している。トラブル個所は、エンジン、油圧系統、車輪など広範囲にわたるが、とくに目立つのは各種警報灯だ。」「これについて航空会社や運輸省は「現代の航空機は二重、三重の安全システムがついているのが特徴。たとえば四発のジェット機でエンジンが三基まで止まっても、残り一基で運航できる。離陸後の引き返しは、本当はそのまま飛行しても差しつかえない場合がほとんど。安全性について心配はない」と口をそろえ「もともと飛行機は史上最高に安全な乗りもの」とつけ加える。」ということを記事に見るわけですけれども、ほんとうにこういうふうに心配ないのですか、どうなんですか。
  54. 金井洋

    ○金井政府委員 ただいまの新聞記事のことでございますが、局長以下そういうふうに指導した覚えは一つもありませんし、そういうことを新聞に述べたこともございません。ただ、確かに、重要な部分につきましては二重、三重の装備がしてございます。たとえばポンプ、油圧系統にしましても、脚とかフラップとかを上げたり下げたりする機構がありますけれども、油圧がだめになったならば電気、電気がだめになったら手動というふうに、二重、三重の設備はしてございますけれども、四発が一発になったって飛べるというようなことは申したことはございませんし、第一、これは客を乗せて飛ぶような状態ではございません。したがいまして、新聞記事についてはわれわれは一切関知しておりませんし、また、どんなに小さなトラブルであっても、絶対そういうトラブルを起こさないように、たとえ二重、三重の設備がしてあっても、絶対故障を起こすなというふうに指導しております。
  55. 沖本泰幸

    ○沖本委員 同じようにその記事からうかがえるわけですけれども、航空安全推進会議がまとめたパイロットや管制官のアンケートによると、四割がニアミスを経験しているという結果が出ているということなんです。全日空の連続故障のようなミスがあったり、福岡空港でのように、十四機も連続して雷雲に飛び込んだりするという事実がある、こうなってくると、実は心配ないどころか、惨事寸前なのではないか、全くそのとおりだということになるわけですが、こういう点について、四割の人たちがニアミスを経験しているという事実についてはお調べになったのでしょうか。
  56. 泉靖二

    ○泉説明員 お答えいたします。  昨年一年間のいわゆるニアミス、異常接近と申しておりますが、これの統計をとってみますと、異常接近の報告のあったものが四十八件でございます。そのうち、ターミナル関係が二十四件、巡航のルート関係が二十四件でございますが、よく分析いたしてみますと、このうちで、異常接近でない管制の不手ぎわであるものが十九件、そして残りの中で、片側もしくは双方が相手機を視認した、つまり、かなり見えるところまで接近したというのが十二件、それから、一応十分な目視間隔があったけれども、気象状態によっては、もしこれが雲の中で発生したならば潜在的な危険があったのではないかと思われるものが十七件、計二十九件がニアミスというふうに報告されております。     〔委員長退席渡辺(武)委員長代理着席〕  安全推進会議との数が非常に開いておりますのは、一件、一件の数え方じゃなくて、たとえば一件のニアミスに対する報告も、パイロットのほうから報告され、コーパイロットのほうから報告され、あるいは管制官のほうから報告されるというふうに、一件を何人もで報告する事態がございますので、それが数が食い違った原因ではないかというふうに考えております。
  57. 沖本泰幸

    ○沖本委員 これについては雑談的な立場で聞いたことがあるのですが、報告しても取り上げられなかったことが多いというようなことも聞いたことがあるのです。これは信憑性は非常に薄いわけなんです。だけれども、そういうふうなニアミスの問題であるとか、あるいは管制の食い違いであるとか、やはり乗っているパイロットにしてみれば、身の安全ということ、あるいは乗客の安全ということは絶えず考えておる。そういうことから、細大漏らさず報告はしておるということなんです。ところが、案外それが問題にして取り上げられていかないというところに問題があるというようなことも、別の立場の方からいろいろ聞いておるわけです。ですから、これは一番問題点にあるわけですから、こういう点は十分取り上げていただいて、対策を立てていただかなければならないと思うのです。     〔渡辺(武)委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、報告がばらばらであったということよりも、その真実性というものの内容について、それから、あるいはその中の危険度という、こういうようなものについて十分検討していただき、対策を立てていただかないと、一つ大きな事故が起きるとたいへんな問題になってくるということになるわけですから、こういう点をもっと真剣にお取り上げいただきたいと、こう考えるわけでございます。  それから、こういうことに対しまして、やはり読売がお取り上げになっていらっしゃるわけですけれども、行管庁がこの問題を大規模に監査する。これは行管庁のほうからお答えいただきたいわけですけれども、空の安全確保のためいろいろな対策は出されているけれども、ニアミスや整備不良からの事故が続出するばかりで、事態を重視した行管庁が大規模な航空行政の監察に乗り出す。十二年前に同じ監察が行なわれた。これからやるのが二回目である。前回の勧告が各関係官庁に無視された。昨年の全日空機と自衛隊機の大事故が、警告どおりになったと、行管庁ではこの監察に全力をあげる考えであるということをいっております。そういう点について、行管庁のほうから、あまり時間がないので、あとこれからどうするかということをお伺いしたいのですが、行管のほうでお調べになったのでは、日本には、一種空港が三、二種空港十七、三種空港三十、共用空港が九の、五十九空港があるが、着陸のためのILS、計器着陸装置ですね、PAR、精測進入レーダー、ASR、飛行場監視レーダー、この三つが全くない空港が、二種で函館、松山など七空港、三種では三十の全空港、共用では調布空港の三十八空港もある。これらの五十九港に着陸した飛行機は、昨年一年間で延べ六十二万八千七百九十七機にのぼっている。管制官は、管制通信官を含めて八百二十八人という少なさである。航空路管制にしても、区域を札幌、東京、福岡の三つに分けていながら、監視するレーダーのほうは、箱根と、福岡の、これは三郡山ですか、この二つだけというお粗末さである。ラッシュのときにはかなり衝突の危険がある、こういうふうなために、異例の監察に踏み切った、こういうふうなのですが、まず、航空局のほうは、こういう数字、この内容については、事実ですか。
  58. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 伺っております。
  59. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それじゃ、ここで行管庁のほうから、このとおり、これから大規模の監察をおやりになるというのですが、その時期ですね、それから監察をなさろうとする内容、あるいはどういう結果を期待していらっしゃるか、その点についてお伺いします。
  60. 小林寧

    小林(寧)政府委員 四月から三カ月の間、航空行政の監察を実施することになっております。ただいま御指摘になりましたのは新聞の資料でございまして、こういうヒヤリングと称しましたいろいろの計画を作成するための一つの資料になっておると思いますが、大体監察の考え方といたしましては、やはり最近航空の交通量というものが増加しておる、もうそのために主要空港及び幹線航空路というものにおける航空交通が非常に複雑して計器一ぱいになっている、しかも航空機の大型化や高速化によって航空交通の態様が大きく変化しておる、そういうような状態に対応しまして、しかも問題は、昨年における「ばんだい号」墜落事故あるいは全日空機の衝突事故というような問題が起きており、施設の面でも、また、さらに機能の点でも、今後大きく航空交通の安全確保対策というものを強化充実する必要がある、そういうような状況から、昨年のああいう事故も踏まえまして、今回の監察の計画は安全対策を中心に取り上げていく、こういうことになっております。  大体私のほうでは八ブロック機関ございますが、八行政監察局を全面的に使いまして、重点となりますのは、さきに申し上げましたように、航空交通管制及び航空路の整備、それから空港の整備及び管理、航空機の整備、それから特に航空従事者の養成対策、運航管理あるいは航空気象面の問題、航空機衝突事故対策、事故対策についてどういうふうに体制を強化していくか、それから騒音防止、これは大阪空港等非常にございます、そういう騒音防止等の空港周辺対策というような問題、そうしたようなものを全面的に取り上げまして今後の航空行政というものについて検討していこう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  61. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いま、四月から徹底的な監察をおやりになるということなんですが、こうなってきますと、空港の整備そのものにも問題が出てきておるということにもなってきますし、管制官の問題、これは前々から指摘されておるわけですし、  一朝一夕にこういう人的な問題が解決するとは限らないわけです。ですから、そのパイロットについても、航空大学、あるいはその専門的な高速機に乗るようなパイロットの養成についてももっと前向きの対策が要望されておるわけです。そういう中にあるわけですから、運輸省として、こういうふうな監察結果が出てから対策をお立てになるのか、現状こういうふうな事態を指摘されてみて、そのものに対して現在安全性というものが完全にはかられるのかどうか、われわれ国民の立場から立って見て、現在の航空行政、こういう現実の、現在あるものに対して、安心して飛行機に乗れるか乗れないか、こういう点、それからさらに、もうわれわれが知らない間——というのは、乗るときだけ関心を持つわけですけれども、結局、大分なら大分の飛行場にはYS11が飛んでいるのだと思っていたら、いつの間にか727が入ってきている。そうすると、一体いま全国のローカル空港に対してこういうふうなジェット機がどういう速度でおりてきつつあるのか、いつごろになったらローカル飛行場の、大半なら大半、どの程度のものがジェット化されていくのかどうか、それには、騒音なり、あるいは飛行場の整備というものが間に合うのか間に合わないのかという点、再び松山の事故であるとか羽田の事故であるとかというものの危険性、事故性というものをはらんでいるのじゃないだろうか、こういうふうな心配があるわけなんですが、現況のこういうものに対して、いまの対策はどうなんですか。
  62. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 空港並びに航空保安施設整備、これにつきましては行管の指摘を待ってやるのかという御質問がございましたが、私どもは毛頭そういうつもりはございません。行管の指摘を待つまでもなく私どもといたしましては万全をはかっていくつもりでございますけれども、これにつきましても、先般の全日空の事故あるいは「ばんだい号」の事故等につきまして、私どもといたしましては、今後の航空行政のまず第一は安全確保である、そこに向けて重点的に指向してまいりたいと考えておるわけであります。  そこで、安全確保の方法でございますけれども、これにつきましては、先生御指摘のように、人の問題、施設の問題、両方あります。  まず、施設の問題から申し上げますと、先ほど、新聞の伝えるところによるとというような御意見でございましたが、これはILSがない、あるいは精測進入レーダーがない、そういうところで飛行機を飛ばすのはおかしいじゃないかというふうな論調も一部あるようでございますが、私どもは決してそうは思っておりません。と申しますのは、ILSなりあるいはPAR、そういったものは、確かに計器進入を行なうための機械でございますから、天候が悪くても、つまり視界が悪くても飛んでいけるというものでございまして、視界が非常によければ、極端なことを申せば、そういう計器がなくても飛べるわけでございます。着陸いたしますときも、いろいろな計器を使いましても、最後は肉眼で見る。したがいまして、最終段階において肉眼で見るだけの視野でない場合には、そういった計器を使いましてもなおかつ着陸できないというふうな考え方になっております。と申しますのは、逆に裏を返して申し上げますと、視界がいいとき、それ以内において着陸するというふうなことでございますれば、必ずしもILSなりPARがなくても、不安全であるということは毛頭ないというふうに考えております。ただ、先生の御指摘のように、だんだんこれから飛行機がジェット化してまいりますし、やはり安全性と同時に、確実性と申しますか、少しくらい天候が悪くても飛べるという定期性が望まれることは当然でございます。したがいまして、私どもといたしましては、まず、その保安設備につきまして、たとえば、いまのNDBをVORに、これは精度がよくなるものにかえてまいる。そしてほとんど、定期の着く空港につきましては、今回の五カ年計画でもって大部分NDBをVORに置きかえるというようなことを考えております。  それからILSにつきましては、もうすでに基幹空港以外に相当着手いたしまして、四十六年度中に五カ所程度できるわけでございますが、さらに、こういったものを含めまして、基幹空港でないものについてもILSをつけてまいりたい。大体ジェット化するような飛行場についてはすべてILSをつけたいというふうに考えております。  それから、ジェット化するのだけれども、片方は追いつけないじゃないかというようなことでございます。それは、まず一つには滑走路の長さでございますが、現在千五百メートル級の滑走路が多うございます。ジェットになりますと、どうしても二千メートル、それから非常にエアバスクラスになりますと、二千五百メートルくらいの滑走路が要る。したがいまして、逆に申しますと、そういうふうな滑走路ができない間はジェット機は飛べないということになる。したがいまして、滑走路を整備いたしまして、滑走路はもう規格にのっとりました厚さを持っておりますから、その意味では、それが整備されればジェット機の着陸は心配ありません。と同時に、そういうところにつきましても、PARをつけますとか、あるいはILSをつけますとか、そういうことをして整備してまいります。ただいままでは、残念ながら、飛行場の整備に対しまして、ILSの整備が、偽わらず申して、若干おくれているというふうな現状がございます。  しかし、これは従来は予算が非常に少なかったわけでございます。そういった意味で、必ずしも両方一緒にできるということはできなかったわけでございますが、しかし、今後は、これは第二次五カ年計画の話になりますけれども、四十六年度から五十年度までの第二次五カ年計画を策定いたしまして、それに対する費用は大体五千六百億というように考えております。ちなみに申し上げますと、第一次五カ年計画、これは四十二年から四十六年まででございましたが、その事業規模は千百五十億くらいです。そのくらいの単位でございました。したがいまして、それに比べますと相当な予算規模の拡大になっております。こういうことは、ただ五カ年計画をつくりましても実現できなければ何にもならぬわけでございまして、やはりその財源が必要であるということから、特別会計の中でいわゆる受益者負担制度的な面を多分に導入いたしまして、今回また燃料税というふうなものも新たに創設いたしまして、そういったものを財源として、いわゆる絵にかいたもちにならないようにいたしましてこういった整備計画を進めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。  そこで、行管の方々がはたからごらんいただきまして、いろいろな面につきまして御指摘をいただけるのは、私どもたいへんありがたいと思いますし、そういった御指摘によって私どもも進めてまいりたいわけでございますが、要は金でございます。いかにこれがいい、あれがいいと申しましても、それの裏づけになる金がなければ何にもならないわけでございまして、そういったことについてもひとつよろしく御配慮を賜わりたいというふうに私どもは考えております。
  63. 沖本泰幸

    ○沖本委員 もう時間が来たわけなんですが、この第二次空港整備五カ年計画というものがいまはからずもお話の中に出てきたわけで、同時に、受益者負担の制度ということもお話しになっていらっしゃるわけです。それで、たとえて言うならば、何年までの間にローカル空港にジェット機を通すという計画のもとに行なわれておる。ところが、それとは別に、受益者負担の原則によって航空運賃が上がるわけなんです。上がると、私たちはまだできてないところに向かって投資していかなければならない受益者負担の原則というものが生まれてくることがあり得るということになると思うのです。受益者負担の原則なら、新幹線が走って、走ったら運賃が上がるということであり、既存のものであってこれだけのことになるから上げてくれとか、従来の立場からすれば反対だけれども、そういうことを政府のほうであるいは企業のほうで進めていってしまうということで、結局いろいろな負担をかけられるのは一般国民であるというようなことになる場合が出てくると思うのです。そういうものが、すでにこの前からお話ししたことがあると思うのですが、結局、仕事を始める前に制度だけきまって、金はどんどん払わされているという実態が出てくるはずなんです。その辺を国民がごまかされないようにはかっていただかなければ、ばかを見るのは国民だということになるのですね。実際にはジェット機に乗って短時間の間にいろいろなことができる内容になっておるのに、YS11に乗せられてジェット機の分だけの金を払わされるというようなことも起きないとは限らないわけです。つまり、予算が伴わないから。予算が伴う伴わないということは別問題にして、結局、空港整備五カ年計画によると、受益者負担の原則で国民は運賃を上げられて払わされるという事態が起きてくるということになるのです。これは全く四次防の先取りみたいな問題が起きてくるようになるわけですよ。  そういう点、いいかげんなことをなさらないように、十分——ほんとうは、時間があれば、きょうはその内容についても御質問したいと思っておったわけですけれども、実際国民が空の旅を安心してできるような方向にやっていただかなければならないわけです。いろいろ空港整備については地元の方の反対もある、しかし、空港をつくらなければならないという差し迫った大きな問題もあるわけです。両面でジレンマにおちいる内容もたくさんあるわけですから、そういうことと、まだ質問ができないわけですけれども、人の問題、こういう問題を十分考えて、国民だけが暗い谷間の中でひどい目にあうというようなことのないような安全対策を完全に講じていただきたい、こういうふうに考えるわけです。この問題は保留させていただいて、また時間をいただい質問したいと思います。よろしくお願いします。
  64. 今澄勇

    ○今澄委員長 渡辺武三君。
  65. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 質問に入る前に、委員長に要望しておきたいわけです。  御承知のように、交通安全は、陸上交通だけをとりましても、きわめて死亡率が高くて、いわばベトナム戦争の数倍に及ぶ死傷者を出しておる、こういうきわめて重要な問題であるわけでございます。したがって、先ほど委員のほうからも、これに対する責任ある答弁者が少ないではないかというような御意見もございましたが、ごらんをいただきますように、自民党も社会党も出席が少なく、公明党と民社党と共産党だけが一〇〇%出席をしておる。このような状況でございまして、ほんとうに交通安全に真剣味を持っておるかどうか、まことに疑わしい。こういうことでは非常に困りますので、ひとつ委員長のほうから厳重なる注意を促しておいていただきたい。冒頭にお願いしておくわけでございます。  そこで、まず総括的に、担当省庁である総理府に質問をしていきたいと思います。  御承知のように、交通安全という問題は陸海空の三つにまたがっておりますが、現在までのデータでいけば、やはり陸上交通というものがきわめて大きな率を占めておりますものですから、この面に質問を集中してまいりたいと思うわけです。日本の行政官庁のあり方が非常に複雑でございまして、各省にまたがっております。したがって、それを統括する意味で総理府総務長官が担当大臣としてやっておられるわけでございますので、そういう観点から総理府に御質問をしていきたいと思います。  第六十五国会に提出されました「交通事故の状況および交通安全施策の現況」、これをいろいろ読んでいきますと、たいへんりっぱなことが書いてあるわけですが、「交通事故の増加に対処し、交通の安全を図るためには、交通の安全に関係する多くの行政機関が相互に緊密な連絡を保ちつつ、総合的な対策を推進することが必要である。」こういうふうに書いてある。そういう認識に立って国としての交通安全推進体制がはかられてきたと思いますが、われわれが見る限り、やはり現実はそのように進んでいないのではないかというふうに考えられるわけです。担当の総理府としてはどのようにお考えになっておるか、まずこの点からお伺いをしておきたいと思います。
  66. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 お答え申し上げます。  先ほどの後藤先生の御質問に対してもお答えいたしましたが、交通安全に関する行政機関がいろいろばらばらになっておるということも、過去には確かにそういうことがあったわけでございます。御承知のように、一昨年交通安全対策基本法というものが制定されまして、これによりまして、交通安全について、もっと横の連絡、それからまた、総合的な安全対策というものを打ち出すように、法で規定されておるわけでございます。私どもは、この法律に基づきまして、先ほども申し上げましたように、基本計画もつくり、あるいはまた、都道府県というものに対しても指導を強め、あるいは都道府県でも交通安全計画をつくらせる、さらにはまた、市町村までもこれを及ぼしていくというふうに、総合調整の面につきまして従来以上に強力にやっておるつもりでございまして、やはり私どもといたしましては、こういう法律が制定されたということによりまして、かなり、そういう横の連絡と申しますか、総合調整と申しますか、そういう面の機能というものは強化されてきておるというふうに判断しておるわけでございます。今後とも私どもはそういう機能というものを強めてまいるように努力してまいりたいと思います。
  67. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 つもりや判断だけでは実は困るわけでございまして、現実の問題として、ほんとうに有機的にそういう問題がつながり合っておるのかどうか。たとえば、自動車関係の交通に関連する政府の研究機関がございます。道路関係は、これは建設省土木研究所というところでやっております。それから自動車運輸省の交通安全公害研究所、こういうふうに異なった省の管轄になっておる。そうしますと、やはり自動車道路を有機的に結んだ研究は一体どこで行なわれておるのだろうか、こういう疑問が生じてくるわけです。さらにそれに信号が加わってまいります。道路自動車、信号というようなその三つを有機的に結びつけて、そして最も効率のよい状態をつくり出していく、こういうことが、交通安全対策上はきわめて重要なことであるわけです。ところが、一つ一つの省が、それぞれその所管において、異なった管轄の中においてそういう研究所が設けられておる。それでは、それを有機的に結びつけたものは一体どこでやられておるのですか。
  68. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 確かに、各省庁におきましてはいろいろな試験研究機関というものをそれぞれ持っておることも事実でございます。私どもといたしましては、やはり総合調整という立場から、この面の総合調整といいますか、不十分でありますが、今後ともこういう面の横の連絡というものは強化してまいりたいというふうに考えております。現状は必ずしも十分とは申せませんが、一部、たとえば科学技術関係とか、あるいはその他の官庁の研究機関と提携をして共同研究していくというような問題もございまして、御指摘の点につきましては、今後一そう努力してまいりたいと思います。
  69. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 御承知のように、アメリカは、これらのものを総合して、運輸省という名称で所管の省が一つにまとまっておるのです。あるいは西ドイツでも、交通省ですか、これらがやはり一元的な省をつくり上げてやっておる。日本はモータリゼーションの進行過程がおくれておりましたけれども、いまも申し上げておりますように、きわめて大量な死傷者を出しておるという、捨ておきがたい状態が生み出されておるのだ。そういう中で、やはり旧態依然たるばらばら行政では、ほんとうに交通に対する最適条件を見出すことがむずかしいわけです。だから、横の連絡とおっしゃるけれども、それはもう総理府が主催されて関係者をお呼びになっていろいろお話し合いをされることはあるでしょうけれども、そういう話し合いだけではなくて、実際の現実の上に立っても、これはやはり道路関係は建設省の方が一番よく知っておられるのでしょう。自動車関係であれば運輸省の方が知っておられるはずなんです。そういうものが一緒になった一つの研究所というもの、あるいはそういう仕事というものがっくり上げられていかなければ、ここで言うだけでは、そういうつもりだとか、そういうふうに努力はしていきますということだけでは、これは実際問題としてなかなか進まない問題なんです。私どもが自分自身車に乗って町を歩いてみましても、いろいろな矛盾にぶつかっております。一体いつになったらこれは解決するのですか。やはりそれは、総合的、有機的にそういう問題を結びつけた判断をしたり、指導をしたり、改善改良を加えていったりするところがないからなんです。かってばらばらに責任を押しつけ合っておる。道路が悪いのではない、信号が悪いのだとか、あるいは、信号が悪いのではない、それは自動車運転のしかたが悪いのだとか、こういうようなきわめて遺憾な状態が続いておるのではなかろうか。それらを解決するためには、どうしてもやはりそういう総合的な行政、それが可及的すみやかに行なわれていかなければいけないわけです。警察庁では毎日毎日のごとく交通事故の事故統計をつくっておられます。私もいただいておりますが、これはもう不感症になっておるのですよ。統計を見ておるだけ。その統計を見たならば、そこから何をしなければならないかということが当然出てこなければならないのです。何も対策が出てこないような統計だったら、つくる必要はないのですよ。  だから、私は、主管省である総理府がやはりもう少し勇気を持ってひとつそういうことを考えてもらいたい、こういうことをひとつ強く要望をしておきたいと思います。本来ならば、きょう総理府総務長官に出席を求めて、私は担当長官とのお約束をしておきたいと思ったくらいでございますが、残念ながら、きょうは沖繩返還の批准書交換の都合で大臣が出席されないようでございますが、お帰りになりましたら、長官にもその旨を強く申し上げておいていただきたいと思います。  それから次に、安全基準の設定について少し御質問をしてまいりたいと思います。  米国ではこの安全、公害規制値を設定するためには、いわゆる膨大な調査研究データを集めまして、これはもちろん政府機関でございますが、政府はその研究機関を備えておる、それでも不足する場合には、民間の研究機関に委託をしておるというのが実際の姿なんです。もちろん、その資金というものはすべて政府負担でございます。ところが、日本現状は、極端に言いますと、政府は一銭も金を出さずに、いわゆる産業界、業界におんぶをして規制値をつくり出そう、こういうふうにしておるんではないだろうか。私は、このような根本的な姿勢そのものに大きな問題があるのではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。  この問題は特に運輸省担当しておられると思いますので、私は、もっと日本交通事故の実態というものを十分に解析をした結果をもとにして、そしてそういうものの予測によって、保安基準の制定、こういうものがなされていかなければならないと思うわけですが、ともいたしますと、この委員会でも論議をされておりますように、アメリカがどうだとか、ドイツがどうだとか、イギリスがどうだとかいうように、諸外国基準をそのまま横すべりをさせる。こういうようなきらいが実はあるわけでございますけれども、これはやはり厳に慎んでいかなければいけないことではないか。おのおのの国々によって道路の状況が違います。交通の状態が違っております。あるいは走っておる車の性能、大きさ、いろいろ異なっております。したがって、いまも申し上げましたように、そういう基準の設定にあたって、実態というものを十分に解析をするということをお役所として怠っておるわけです。不十分なわけです。したがって、どうしてもそういうことになりやすい。アメリカがこういう基準をつくっておるから、これでよかろうではないか、こういうことになりやすい。さらには、これはあえて国会議員も含まなければなりませんが、国会議員、ジャーナリスト、あるいは大学の先生等が、観念的、感情論的にこの問題を片づけようとする、これは私は非常に重大な問題であろうと思います。少なくとも、非常に多く起こっておる事故の実態というものをほんとうに十分に分析をし、解析をして、その中から、わが国の交通状態の中ではどういう保安基準をつくらなければいけないか、こういうことが私は生み出されてこなければならないと思うわけです。  したがって、こういう点について、ひとつ運輸省現状、それから、これからどうしていこうとなさるのか、その辺をひとつお聞きをしておきたいと思います。
  70. 隅田豊

    隅田説明員 ただいま先生の御指摘の、現在までの日本安全基準をつくるということに対しましての技術的なベースが非常に欠けているのではないかという御指摘につきましては、率直に申しまして、私同感でございます。どちらかといいますと腰だめ的な改正が行なわれていた面がないわけではございません。もちろん、私たちといたしましても、担当として思いつきでやっていたわけではございませんが、残念ながら、いままでの交通事故の解析データというものは、保安基準を定量的な数値としてあらわしてつくり上げるにはなかなかむずかしい点がございました。いままでの私たちのやり方といたしましては、そこに非常な苦労がございました。たとえば、国際的な実験結果あるいは研究結果、こういうようなものは、それがわが国の国情と合うものであるならば、そういう意味でそのまま利用させてもらったとか、そういうことも多々ございます。これから先の安全基準考え方といたしまして、われわれは、そういう反省を含めまして、運輸技術審議会自動車部会で、先ほど後藤先生の御質問の中でもお答えしたのでございますが、安全基準というものを全体的に見直して、今後どうあるべきかということについて、いろいろ委員の先生方に御検討をお願いしております。その中でも、各委員の先生方から、安全基準をつくるに際しては、やはり交通事故の実態というものを十分解析をして、何が必要かということをまず考えるべきであるということが盛んに議論をされております。いずれ答申の形で出てまいると思いますが、全体の考え方としてまとまりましたものをベースとして、来年度以降保安基準改正に対していろいろ努力していきたいと思います。  率直に申し上げまして、とにかく、事故を解析をして、その結果の対策を引き出すための金につきましては、予算的にも国としてはいままでほとんど取れておりません。それはわれわれも非常に反省しているところでございまして、この技術審議会の答申でそういうような考え方もはっきりと固まってまいりますれば、それに伴ってのわれわれの弾力的な姿勢というものについてもわれわれ努力していきたいと思います。
  71. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 事故の解析がいかに重要であるかということは十分おわかりだろうと思いますが、近代社会のすべては、多量なデータによって十分なるその資料の分析、解析を行なった上でやられないと非常にロスが多いし、これは国家経済的に見ても非常にマイナスが多いわけです。見ておりますと、いわば思いつき、場当たりの対策、何のデータもなく、何の資料もなく、観念的、感情的な世論に迎合するといいますか、そういう意味の思いつきの対策というものが間々やられてしまう、これは私は厳に慎んでいかなければいけないことだと思う。なぜそうなるかというと、結局は完全なデータがないからです。こういうことに私はつながってくると思うのです。  そこで、警察庁にお伺いしたいのですが、いろいろ事故資料等を十分におつくりになっておるわけです。警察庁としては、この豊富な事故の種類、数量等について一々データをおとりになっているのですが、それは主として交通法規に違反したかどうか、こういうことが主体になっておるのか、あるいは、さかのぼって車の安全基準そのものに変更を加えていかなければいけないというような資料もおとりになっておるのかどうか、またさらには、道路構造そのものについてもやはり変更を加えていかなければいけないというような資料を警察庁としておとりになっておるかどうか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  72. 片岡誠

    片岡政府委員 お答えいたします。  現在、私ども事故分析の要項をつくりまして、その要項に基づいて各府県で事故のございましたときの分析をいたしております。考え方としては、大きく分けて二つの考え方に立っております。  一つは、事故をある程度マクロ的にとらえて分析をしていく。これにつきましては原票がございますので、もしお入り用でございましたら、後ほど差し上げます。その原票に入っておりますデータをそのまま警察庁のコンピューターに入れております。したがいまして、その原票に載っているものにつきましては縦横に解析ができる仕組みになっております。現在やっております中では、もちろん、事故がございましたとき、非常に短い時間の中で、現場の実況見分をいたします、被疑者の取り調べもやります、参考人の取り調べもいたします、そういうものから入りました統計データは、現場の警察官の判断で入れたデータでございますので、それなりの限界はあると思うのでございますが、それはすべての人身事故につきまして入れておりますので、大量観察は傾向としてはできるのじゃないか。その中で取り締まりに反映していくのもございます。それから道路条件に反映するのもございます。それから数量につきましてもございますけれども、それの統計的な資料によって直ちに保安基準にフィードバックできるほどの精度は、遺憾ながら、ない現状ではないかと思います。  もう一つやっておりますのは、ミクロでやるやり方で、事故がございました場合に、主として道路交通環境との相関性の分析をやっております。これは図面もつくりまして図面にも落とす、そして事故の頻度の高い区間を特に厳密に分析しまして、そこに対していかなる安全施設なり交通規制をやれば、同じ事故が繰り返されないで済むだろうかという解析を道路ごとにやっておりまして、その結果、道路管理者のほうの安全施設にあるいは道路構造に反映させたり、あるいは公安委員会所管の信号機なりに反映させるという作業は、ここ十年くらい前から続いておりまして、それはそれなりに効果を持って行政に反映されてきておる、そういうふうに考えております。
  73. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは質問の角度を変えまして、警察庁に対して、運輸省なり建設省なりから、たとえば運輸省であれば、車両の保安基準に事故の状態データを参考にしたいので、何とかこういう資料をつくってもらいたいというような要請があったかどうか、あるいは建設省からは、道路構造上交通安全に寄与できるようなそういうデータをひとつ何とか警察庁のほうでできないだろうかという要請があったかどうか、この辺はどうなんですか。
  74. 片岡誠

    片岡政府委員 まず建設省の関係でございますが、いま申しました、主として道路交通環境との関連における事故の分析は、道路管理者と共同でやっております。私どももやりますし、道路管理者も一緒にやるというやり方で、私どものほうのデータはそっくり道路管理者に渡しております。その面では相当進んでおると思います。人事の交流もいたしておりますし、道路管理者との関係は非常にスムーズにいっておると思います。  問題は車両のほうの問題でございますけれども、これはやはり相当突っ込んだ解析をしなければむずかしいのではないか。たとえば、欠陥車の問題が出ましたときなどは、運輸省のほうからも、事故の現場におけるデータをくれというような要請もございますし、それをまた運輸省のほうに渡しているというような連絡はいたしておりますけれども、交通原票そのものについての、こういうふうにしてくれという要請は、いままでどうも記憶はございません。
  75. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実際に資料、統計等をおつくりになる立場として、交通安全に寄与しようというふうに考えるならば、そのようなことが必要だということはおわかりですね。確かに現場で立ち会われる警察官、この人たち道路技術的な構造論まで調べろというのは無理があるし、あるいは、車の安全基準について寄与するような資料をつくってこいというようなことも無理があると私は思います。したがって、逆に警察庁から、それではそういうある一定の、特定の場所、特定な区間を区切ってもいいのですけれども、そういうデータをつくるために、建設省なり運輸省なりに適当な人の立ち会いを求める、こういうことが過去にあったのか、あるいは、これからはそういうことをやろうとなさるかどうか、その辺をちょっとお聞かせ願いたい。
  76. 片岡誠

    片岡政府委員 私の存じておる範囲では、欧米ではいろいろな事故の解析を学者、研究者がやっております。しかし、それは、やっておりますのは二十四時間待機姿勢をとっておりまして、事故があったら科学者なり技術者が現場に飛んでいく、そしてそこから始めていくという体制をとってやった研究結果は、非常にりっぱなものができておると私は思います。したがって、ほんとうにやるには、そういう体制をとって、準備してやらないと、いいものができないと思います。いままで、たとえば東大の生産研の平尾先生、自動車工学の大家でございますが、平尾先生なんかを中心にそういう体制をとってやられた例もあるようでございます。したがいまして、いまのままで道路管理者なり運輸省技術者がそういう体制をとってはたしてできるものかどうか、プロジェクトチームをつくりまして計画的な組織をつくってやらないと、よほどむずかしいだろうと私は思います。
  77. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは、質問を総理府のほうに移したいと思いますが、いま有機的に結びつける機関がないから、したがって警察庁が非常に苦労をしておられる、こういうことなんですよ。したがって、今度は総理府として総括する立場として、交通安全の上からそういうことが必要だとお考えになられますか。
  78. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 交通安全対策上、当然、取り締まりあるいは事故処理に当たる警察、さらには道路管理者、あるいは車両関係運輸省関係の者、そういった担当者、これが緊密に連絡をとるということ、これはきわめて必要なことでございますし、また、おのおのが得たデータというようなものを十分に活用していくのは、これまたきわめて大事なことだというふうに考えております。
  79. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大事なことだと考えるだけでなくて、具体的にどうしようとなさるのか。いまお聞きのように、警察庁だけでは、技術的な問題もあるし、いろいろ困難だ、こうおっしゃっておるのですよ。道路の面は、道路管理者と立ち会っていろいろやって、ある程度成果はおさめておるとおっしゃるから、あとで道路局長に質問しますけれども、そういうようにきわめてむずかしい、実際必要だと思うけれども、むずかしいんだ、実際に資料をおつくりになっておるところがこうおっしゃっているんだから、有機的に結びつけたほうとしてですね。だから、本来アメリカのように、運輸省という、関係者が全部集まった、一つの独立した省ができて、すべてをそこへ網羅しておるというところならば、その省一括で十分やれるわけですけれども、日本の行政体はそうなってないでしょう。建設省、警察庁、運輸省、みんなばらばらなんですよ。そこの統括といいますか、連絡といいますか、その責任省として総理府があるわけだから、そういう各省がお困りになっておる、有機的に結びつけなければならないというような問題は、これからは総理府としてどうしていこうとなさるのか。必要性を認めるということだけではなくて、必要性をお認めになるならば、これからは具体的にどうしようとしておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  80. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 各省でいろいろそういうお困りの問題、これにつきましては、従来も私どももやってまいりましたし、今後ともそういう面について前向きに取り組んで改善するというふうに持ってまいりたいと考えております。
  81. 隅田豊

    隅田説明員 安全基準は一応運輸省担当しておりますので、ちょっとお答えさせていただきます。  先生おっしゃるとおりのそういう事故の解析というようなものにつきまして、私どもがいままで一回やった経験がございます。これは役所としての運輸省という意味ではございまんで、ちょっと学会みたいなものと考えていいのですが、自動車技術会というのがございます。先ほど交通局長がおっしゃいました平尾先生なども関係しておられる学会でございます。ここが中心になりまして、四十二年ごろだったと記憶しておりますが、プロジェクトチームをつくりまして事故の解析をやった例がございます。これはわれわれの保安基準をつくるのに非常に参考になりましたし、まだ参考にしております。こういうようなものを、私、先ほどの答弁の中でも前向きの問題として申し上げたつもりでございますが、おそらく、今度の答申にもそういうことについては相当強力な御意見も入ってくるだろうと見られておりますので、そういうものを踏まえまして予算要求その他におきまして今後強力に出していって、運輸省として安全基準をつくる上の仕事としても、総理府あるいは警察庁の協力を得なければならないと思いますけれども、前向きに取り組んでまいりたいと思っております。
  82. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 各省の立場ではそれぞれおやりになっておるだろうと思うのですよ。これは私が先ほどから言っておりますように、やはり車、道路、信号、こういうようなものを有機的に結びつけていかなくちゃいかぬ。したがって、各省が各省の立場、運輸省自動車だけの立場、警察庁は信号だけの立場、建設省は道路だけの立場でそれぞれおやりになることもけっこうだけれども、それをもっと有機的に結びつけていわゆる最適条件というものを見つけ出さなくちゃいかぬわけですよ。だから、それには、統括といいますか、責任省である総理府が今後どのようにやっていかれるのかということを先ほどからお聞きしておるのですけれども、どうもきわめて抽象的な答弁ばかりで、やるのかやらぬのか、やっていきたいと言っておられるのか、その辺すらはっきりしない。やっていきたいと言っておられるのでしょう。しかし、これはお役所一流の答弁であって、実際には、いつまでたっても、やっていきたい、やっていきたいで進んでおるわけです。ところが、交通事故が騒ぎ出されてから何年になりますか。一億国民の悲願だといわれているような問題最重点政策にしなければいけないといわれているような問題、そういう問題のために、では何のために内閣の中にこういうものができたんですか。形だけはできてくるのです。ところが、実体が伴わない。このごろ、有言不実行ということがよくいわれますけれども、形ばかりでかしてしまって、実際にはおざなりなことしかやっていない、きわめて不十分、それで民間の産業なり業界なりにおんぶしてしまう、こういうのがいまの実態なんですよ。それであってはいかぬと、私は欠陥車の問題のときにも言いました。  本来、自動車というものは運輸省が型式認定しておるじゃないか、製造開始してもよろしいといっておるじゃないか、走るときには車検を受けて、運行してもよろしいといっているじゃないか、それで欠陥が出たら、つくったやつの責任だという。それではこういうお役所としての責任はどうなるんだ。そうしたら、当時の黒住局長は、いやあ非常に技術進歩が激しくて、運輸省技術がとてもついていけないんですよ、こういう答弁です。みずからの技術の低下を認めるならば、車検なんかやめてしまったらいい。そして、つくったものに責任を負わしていく。えらそうに、おれが判を押さなければ走ってはいかぬといっているから、何も知らない国民は、国家が許してくれた、認めてくれた、車検が受かった、安心して乗っていく。変な音がしておっても、わからぬですよ。いまの車検の実態を御存じですか。スチームで洗っておいて、ぱっぱっぱっとペンキを塗れば、通るのですよ。だから、それではいかぬ。やるのなら、徹低的にポイントを押えてやりなさい。やらないなら、やめてしまいなさい。そして責任の帰趨を明らかにしなさい。メーカーの責任、あるいは何年何カ月乗ったならば必ず点検を受けなさい、それで事故が起こったときにはユーザーの責任。責任体制を明らかにすればいいわけですよ。それを、おれが認めてやらなければつくってはいかぬ、おれが認めてやらなければ走ってはいかぬ、こう言っておきながら、いざ問題が起きると責任を他に転嫁してしまう。実際いままでの行政というものがそういうことなんですよ。したがって、もっと真剣に総理府がそういう点も考えてもらわなくちゃいかぬ。  それでは道路局長にお伺いしますけれども、先ほどからお伺いしておるように、道路管理者との共同的な研究によってきわめて有効的な成果があった、こういうふうにおっしゃっているわけですが、道路構造上、あるいは交差点の形態その他についてどのような利益があったのでしょうか。
  83. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 先ほども交通局長から御答弁がありましたように、道路管理者は公安委員会と実に綿密な連絡をとりまして従来交通安全の施策に尽くしてきたわけでございます。たとえば、交通安全対策第一次の三カ年計画をつくる時点におきましては、警察庁と協力いたしまして、一般国道の直轄区間のうちに十路線をモデル地区に選定をいたしまして、徹底的に両者で共同研究を行なっております。それがもとになりまして交通安全の第一次の三カ年計画が立案されたわけでございますが、その後も引き続き道路管理者と公安委員会は絶えず各地区におきまして密接な連絡をとってそれぞれ研究しておるわけでございます。  現在、われわれが道路調査を毎年やっておるわけでございますけれども、この場合にも公安委員会の御協力をいただきまして、この場合、各地建、一県に一路線というものをモデルに必ず選ばせまして、交通事故の分析、それから発生した状況から判断していろいろその解析をいたしまして、たとえばそれが道路構造の欠陥によるものだというふうにわかる場合には、直ちに直しております。きわめて微妙な段階で、運転のミスによるのか、あるいは道路構造上の若干の欠陥があるかというふうな、非常にまぎらわしい個所がございましても、直ちにわれわれが直せるものは直す。たとえば、もしスリップに基因したと思われるようなところは、スリップしないような構造に直すとか、あるいは視距がとれなかったためとか、あるいは交差点の見通しが非常に悪くて飛び出すようなもし構造であったならば、それを直せというふうなことで、事故の分析とともに、もしそれが道路構造に基因するような疑わしい場合には、直ちに直すような処置を全国に指示し、また、そのように各地区でやっているわけでございます。
  84. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうもきわめて抽象的で、非常によくわからぬ。何か利益があったような、ないような、あると解釈すれば、あるでしょうし、ないと解釈すれば、ない、どちらにも解釈できるようなきわめて抽象的な答弁で、困っているわけですが、具体的に、いま既設の道路というものは、このごろの高速道路というのはほとんど立体交差が多いわけですけれども、既設の道路は平面交差ですね。いなかに行きますと、現実に四メートルそこそこの道路が非常に多いわけです。そういう平面交差の交差点、それはどのように改造したならばいいと、何かいままでのその中で具体的な利益がございましたか。
  85. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの、たとえばいなかの道路の交差点の処理ということでございますけれども、通常幹線道路でない、ローカルな道路である場合には、平面交差を許しておりまして、立体交差にすることはほとんどないわけでございますが、そういう場合におきましては交通量が非常に少のうございますので、一般には、見通しがよく、交通信号さえしっかりしておりますれば、事故に結びつく場合はきわめて乏しいわけでございます。東京都内であるとか、あるいは幹線道路である場合には、特に四車線以上の道路が交差する場合には、われわれは原則として立体交差というものを進めるというふうな方針で現在進んでおりますが、いま例示されましたようないなかの四メートル道路、われわれは通常、幅員が五メートル五十以上ないと、改良された道路と思っておりませんけれども、そういう非常に小さな道路は非常に交通量が少のうございますから、見通しのよい交差点であれば、あともし交通量がふえた場合には、信号で処理するのが最も適当かと考えております。
  86. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私は、いまの答弁では、警察庁がおっしゃったような、道路管理者との直接のいろいろの研究によってきわめて有益な資料を得た、こうおっしゃっておるにはきわめてほど遠いと思うのです。いなかの道路はすいているんだと簡単にお片づけになりますが、名古屋の周辺でも、毎日ヘリコプターが飛んで道路の渋滞状態をラジオを通じて放送しております。一キロも続いておるような道路がたくさんあるわけです。五、六メートルの道路で、上下一車線しかないような道路で信号をつければ解決するというような問題じゃないんです、見ておれば。たとえば右折車、左折車が直進車を妨害してしまう、そのために渋滞がさらに続いていく、そのために事故が起こるということがあるはずなんです。だから、そういうところから考えれば、たとえ幅員の狭い道路でも、少なくとも平面交差する道路の五十メートルくらいは右折左折ができるようなスペースをとらなければいけないとか、そういうことが具体的に出てきているはずなんです。だから、すぐにお答えになれないということは、やはりうまくいってないということなんですよ。口では、やっておるとおっしゃるけれども、実際にはうまくいっていない。そうすれば交通渋滞がなくなりあるいは接触事故が減ってくるということは、当然考えられるのですよ。ところが、旧態依然たる状態でしょう。そのままの状態で平面交差させておるわけですよ。あまり渋滞が激しくなってせっぱ詰まってしまうと、やむなくバイパスをつくって抜くというのがいまの状態なんです。そして改良を施していくという、それだけしか考えられないかどうか、あるいは幅員何メートルの道路はどの程度の広さの交差点をつくらなければいけないとか、あるいは、交差点の近くは、たとえば何メートル以下の道路は何メートルまで広げなければいけないとか、右折左折をさばくためにこういうことが具体的な問題として把握されていかなければならないと私は思うのです。それでこそ初めて、道路行政上、いわゆる交通安全にも十分に留意をしておると思われるわけですが、残念ながら、どうもそうではないようです。どうなんですか、その辺は。十分そういうことはおわかりになっておって、やろうと思っても、予算がないのでやれないとか、いろいろ理由があろうかと思いますが、その辺は真相はどうなんですか。
  87. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 先ほどの答弁は、幅員四メートルというお話でございましたものですから、これは一車線の道路でございます。御承知のように、往復一車線ずつ二車線というようなものは、五メートル五十以上とらないといけないというふうに私は考えておりましたので、先ほど私は非常に狭い道路と勘違いをしてそういう御説明をしたわけでございます。  ただいま先生のお話を聞きますと、非常に何キロもつながっておるような道路、二車線の道路で前がふさがっておるような道路になりますと、これはかなりの幹線道路ということでございます。あるいは通常の県道クラスのものだと思います。そういう場合におきましては、右折ないしは左折の車線をつくるということが考えられます。これは要するに、いわば交通処理上の問題といたしまして、流れを流れやすくするための処置としてしばしば用いるわけでございますが、実際問題として、交通安全上の問題になりますと、また別の観点が出てくるのじゃないかというふうに考えております。ただいま御指摘のような道路というのは全国にたくさんありまして、確かに、そういう道路につきましては、単に右折左折を容易にするような車線をつくるよりは、全線四車線にすることのほうが実は先決ではないかと思います。しかも、全国にそういうところがたくさんあるにもかかわらず、なかなか十分にいっていないということは、予算の制約ということになろうかと思います。  交通安全上われわれが一番関心を持っておりますのは、まず、今度の五カ年計画でもそうでございますけれども、最も弱い立場にあります歩行者ないしは自転車に乗る方の安全を第一義に考えまして、そのための施策に実は警察庁と協力いたしまして全力をあげているわけでございまして、まず歩道、これはわれわれの反省でございますけれども、全国道路につきまして、市街地におきましては歩道がございますが、市街地を離れますと歩道がないところが大部分でございます。これをまず歩道をつくるということに全力をあげておるというのが今回の大方針でございまして、車と車の処理につきましては先ほどちょっと御説明申し上げましたが、交差点におきます事故が非常に多うございまして、こういうところにおきます処置、それから、われわれは交差点改良というふうに申しておりますが、こういうものの処置であるとか、あるいは四車線以上の道路になりますと、対向する車がぶつかることを避けるために中央に分離帯をつくるとか、そういうふうなことを中心に考えております。  いずれにいたしましても、このわれわれの五カ年計画の最大の目標は、人と自転車で通行する人の保護ということに最重点を置きまして実は整備を進めているような次第でございます。
  88. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 まあ交通処理上の問題だと、こうおっしゃいますけれども、二車線でいかなければ、そういうことであったら四車線にしてしまったほうがいいのだ、それはそうできれば一番いいのですよ。ところが、予算上の問題があるから、できなければ交差点の付近だけでも幅員を広げるという処置、これはぼくは必ずしも交通処理上だけの問題ではないと思うのですよ、交通安全上にも非常に大きな役割りを果たしておると思うのです。だから、そういう答弁の中でわれわれが判断をするのに、ほんとうに交通安全ということに真剣になって取り組んでおられるのかどうか、実際には疑わしいわけですよ。一車線のような道路は交通処理上の問題があるから、それはもう上下線とも二車線にしたほうがいいのだ、流れの問題だ、こういうふうに片づけてしまわれずに、問題はやはりそういうところから渋滞も起こり、交通事故も起こる、渋滞が起これば、ドライバーの意識としていらいらが起こってくるであろう、そのいらいらがやはり事故につながるという統計も、警察庁の統計では出ておるはずなんです。だから、なるべくそういう交通の流れをスムーズにしてやるということも、交通安全上非常に役立つのですよ。これは全然別個の問題ではありません。だから私は、やはりそういう交通安全ということを第一に考えて、その上でいろいろな問題に当たってもらわなくちゃいかぬではないか。発想の転換といいますか、価値観の転化といいますか、やはり従来の方向考え方を変えていかなくちゃならぬ。  たとえば、警察庁が報告をしておるこの資料を見ましても、いまおっしゃっておるように、確かに歩行者を守ることは大切でしょう。いわゆる車対人、この時代は車そのものが走る凶器だといわれておった。そういうのが、時代の流れとともに、いまやアメリカ並みの、走る棺おけだといわれるようになってきた。これが上回ってきた。これは資料にはっきり書いてありますよ。ということは、もはや人対車ということよりも、車対車という事故のほうが多くなってきているのだ、警察庁ではこう言っているのですよ。そういう状況から、いま建設省の道路局長が力説をされておりますことを伺っておりますと、きわめてズレがある。数年前に騒がれたことをいま一生懸命やっておる。その時分とはもう状況が変わってきているのですよ。これはお役所仕事の通性であろうかと思いますけれども、やはり時代を先取りしていかなければいけない、そういう点についてやはり十分に留意をしていかなければいけないのじゃないか。交通安全委員会はこれからもずっと開かれますので、私は点検の結果をときどき御質問をしていきたいと思いますので、ひとつそういうことに十分留意をして——この次には、どういう対策をおとりになったか、質問をしていきますよ。どういうふうにその実効があがったのか、その結果事故がその地点ではどう減ったのか、具体的に一つ一つ質問を続けていきますので、十分に御用意を願っておきたいと思います。  それでは次に移りますが、保安基準が従来いろいろつくられてまいりました。しかし、現在までに制定されました保安基準の項目ですね、これらに対していわゆる追跡調査というものをしておられるかどうか、その追跡調査をもしもしておられるとするならば、どういう評価をされたのか、あるいは、すでにきめられている保安基準でももはや改変をしなければならないというものがないか。まあいろいろあると思います。たとえば、ダンプなんかにつけさせましたスピード表示灯、あれはどうなんでしょうか。この間私のある知人が調べにまいりましたら、ある高速道路の陸橋の上で見ておりますと、七〇%の車がランプが消えたまま走っておるということであります。そのほかにもいろいろございます。したがって、運輸省としてそういうことの追跡調査、これは運輸省としておやりにならなければ、警察庁にお願いされたかどうか、あるいは警察庁独自でおやりになっておるのかどうか、その辺もあわせてお伺いをしたいと思います。
  89. 隅田豊

    隅田説明員 保安基準追跡調査といいますのは、実は私たちも非常にやりたい問題でございますが、いま、どうやってやるかという方法、それが一番苦慮している問題でございます。追跡調査というものに確かにいろいろの意味があると思いますが、たとえば、その義務づけました装置がうまく動いておるかどうかという意味追跡調査は、どちらかといえば、むしろやりやすい調査だろうと思います。それよりも、一番問題になりますのは、その基準といいますか、義務づけた結果、具体的にどういう事故がどういうとかうに減ったかということが、ほんとうの意味での追跡調査だろうと思います。それは私どもも長年やりたいと思って実はやれないで、どうやっていいか、方法論に実は非常に苦慮しておるわけであります。警察庁あるいはうちの交通安全公害研究所で、総力をあげまして、どういうふうにこれをやるかということをいま模索している段階でございます。非常にたよりない答弁で申しわけないと思うのでございますが、われわれとしても最大の問題とは考えながら、実は手がついてないというのが現状であります。
  90. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 総理府の方、お聞きのように非常に苦慮しておられるわけですよ。確かに保安基準運輸省がつくる、実際の取り締まりのほうは警察庁、省が違いますね。そういう問題でみんな苦労しちゃうのです。どうされるのですか、統轄省としてそういう問題については。新しい基準ができた、それの追跡調査、これは総理府から警察庁に指示をされますか。
  91. 隅田豊

    隅田説明員 ちょっと補足させていただきますが、私がただいまむずかしいと申し上げましたのは、技術上の方法論の問題もございまして、警察庁にお願いをするのがむずかしい、そういうような意味ではなかったつもりなんでございます。ちょっと補足させていただきます。
  92. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 関係省庁と相談いたしまして検討したいと思います。
  93. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 追跡調査技術上の問題がむずかしいということですから、関係省庁が十分に話し合われて、どの方法が一番いいかという結論を出す必要があるわけですよ。運輸省そのものがおやりになるわけじゃないのですから、そういうために総理府が果たすべき役割りは重大なものがあるわけです。しかも担当大臣がおられる。いろいろ総理府はこの会議にも出ておるわけですから、やはりそういう総理府自身の姿勢に問題があるということは、先ほどから何回も申し上げたとおりです。一つずつ、具体的な事例が起こりましたときに、念を押していきたいと思ってお尋ねをしておるわけです。時間がございませんので、あと簡単にいたしますが、今度警察庁にお伺いをいたします。  いま自動車のドライバーが交通違反を犯しますと、やあ、しまった、運が悪かったわい、こういう気持ちがあります。これは一体なぜでしょう。どうしてそういったことが起こってきたのでしょう。どういうふうにお考えになりますか。
  94. 片岡誠

    片岡政府委員 それは、おそらく、道交法違反がたくさんあって、検挙されておる者が氷山の一角であるということからくる心理上の問題ではなかろうかと思います。
  95. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 道交法はなぜ守られないのでしょうか。どういうふうにお考えになりますか。道交法はなぜそう違反者が多いのですか。
  96. 片岡誠

    片岡政府委員 私も実はそれを知りたいところなんでございますが、私の推測いたしますところによりますと、やはりどろぼうとかいったような自然法犯ではなくて、行政法犯であって、しかも道路交通事情がわが国の場合必ずしもよくない。そうしますと、故意的に破ろうとしない人でも、つい過失で規制違反をするといったような場合も往々にしてあるのではなかろうか、そのように考えております。
  97. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 これは私の主観ですが、私は、取り締まりの方針に非常に問題があると思うのです。しかも各個ばらばらな方針で取り締まっておる。これは少し長く走ればわかることですよ。規制のしかたもそうですね。同じ道路でも、五十キロになったり四十キロになったりする。当然、地形上われわれが判断をして、こんなところでなぜやるのだろうかと思うようなところがある。さらには、たとえば四十キロ、五十キロというスピード制限が掲げられておる。これは地域によって、四十キロ台で走れば見のがしておるところがありますよ。五十キロ台で走っておれば、五十という制限を見のがしておるところがございます。ところが、四十キロ台で走っておって五十キロを一キロオーバーすると、とたんにつかまって、十一キロ違反だ、こうくるわけです。四十九キロで走っておった人はつかまってないのです。すべて見のがされておるのです。こういうことが、運が悪かったということにつながってくるのではないか。取り締まるなら、はっきりと取り締まる。取り締まらないならば、最高スピードで押える、六十キロなら六十キロで押える、こういうことが必要じゃないかと思うのですけれども、往々にしてそういうことがあるわけです。道路の幅が狭いほうが五十キロで、広いほうへ出たとたんに四十キロだというのが、地方へ出ていけばたくさんございますよ。いままで五十キロで走ってきて、道幅がうんと広くなったにかかわらず四十キロの制限になってしまう。したがって、そのスピード感覚、それから、走ってきた気持ちといいますか、そういうことからつながっていくものとして、なかなか罪の意識はわいてきません。たまたまつかまってしまうと、ああおれは運が悪かった、こういうことになる。これはやはり非常に問題がある。  さらに、制限規制そのものにいろいろな問題がございます。立てる警察官そのものが標識をよく知らないということもあるでしょう。極端な例を言いますと、カーブを曲がってスピード制限が解除されるであろうと思うのにかかわらず、カーブを曲がる前からスピード制限が解除されて、カーブを曲がってしまうとスピード制限になる、実際にこういうような矛盾した標識を見たこともあるのです。だから、ドライバー自身が走っておって、何だ、この規制は、こういうことになる。それは、公安委員会がその規制をきめたのか、立てるべき標識をとり間違えたのかわかりませんよ。わかりませんけれども、そういうことが多い。それがしまったということになる。  さらに、いろいろな規制がありますが、駐車禁止だとか、右折禁止だとか左折禁止とかいうのがありますね。都内でもそうですが、午後八時以後になりますと大体解除されるところがあるわけですよ。右折禁止のところを解除される、あるいは駐車禁止のところを解除される。ところが、スピード制限だけは、二十四時間規制されておるわけですよ。夜の十二時以降、東京の町はわりあいに車は走っておりますが、いなかに行きますとほとんど走ってない。しかも七メートル、八メートルあるような道路でも、昼間の一番混雑した時点をとらえて四十キロと制限すると、これは真夜中でも四十キロの制限。そこを警察が、昼日中混雑しているときに取り締まらぬでおいて、夜間に車が走るときに、四十キロ制限の広い道のところで覆面パトカーでつかまえておる、こういうのが実態なんです。これでは何もならない。だから、右折、左折禁止が解除になり、駐車禁止が解除になるのに、なぜスピードだけは二十四時間規制をしなければならないのですか、まずこれをお尋ねしたい。
  98. 片岡誠

    片岡政府委員 通常考えられますのは、昼間よりも夜間のほうが最高速度を下げるというのが一般常識だと思います。夜間の場合には、視野も狭くなり、暗いし、街路照明があれば別だと思いますが、一般的に、昼間よりも夜間のほうがスピードリミットが高いという例は、どこの国でもあまり例がないことだと思います。ただ問題は、わが国の場合は、欧米に比べてスピードについては相当きびしい規制をいたしております。そういう問題がございますので、昼間の規制が夜間もそのままあるということによって、仰せのような若干の問題点は出てきておる思います。しかし、そうだからといって、夜間はかえってスピードを相当上げるということについてはまだ問題は残るのではないか、私はそのように考えております。  それから、先ほどおっしゃいました、取り締まりの問題でございますが、これは世界各国ともそういう若干アローワンスを見た取り締まりを通常の慣行としていたしております。これは合理的な基礎としては二つあると思うのです。一つは、ドライバー、取り締まられるほうの方のスピードメーターの誤差をひとつ評価しなければいけないということと、それから裁判となりました場合に、やはり検事、判事の心証としても、わずかこえたのまで科罰するのはどうだろうかというわが国独特の長い慣行がありまして、そういう点に若干のアローワンスを見て取り締まりをしておるわけでございます。
  99. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 もう一つです。  考え方がきわめて硬直化していると思うのです。ヨーロッパ等に行かれるとおわかりのように、たとえば交通量によって五十キロになったり、六十キロになったり、七十キロになったり、ランプで変わってくるのですよ、それに柔軟的に対応して。確かに夜間は昼間に比べてそれは多少スピードを落とさなければいかぬかもしれませんが、それならそのように、たとえば昼間非常に混雑をしているから三十キロに制限したところでも、非常に広い道幅で、夜間ほんとうに三十キロで走らなければいかぬかどうか、これは十分検討する余地があるのですよ。だから、一般論として言われることはわかりますけれども、しかし、具体的な例から対比をしていきますと、その御答弁では納得できませんので、十分ひとつ検討をしていただきたいと思います。  終わります。
  100. 今澄勇

    ○今澄委員長 土橋一吉君。
  101. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は運輸局の幹部の皆さんにお尋ねしたいと思いますが、私がお尋ねする内容はきわめて初歩的な内容でありますので、親切に答えていただきたいと思うのであります。  きょういただいた資料の航空交通安全について、四つの項目をあげて将来のいろいろな善処方がここに書かれておりますが、私はこれらの内容についてお聞きしようとするものではありません。現在の航空交通安全のためにいま非常に私は障害である思うところの、私ども住んでおる東京あるいは三多摩地方を中心とする横田エリアというものについて、現在もそれが現存をしておるのかどうか、また、現存するとするならば、それはどういう協定に基づいて、どういう明示方法で国民に知らされておるのか、その具体的な実態は一体どういう内容のものであるか。たとえば地上から何メートル上、電離層なら電離層まで、つまり、横田エリアというものが米軍によって支配をされておるかどうかというような点について簡単に答えてもらえばいいのです。くだくだした説明は要りません。それはいわゆる安保条約の第六条の規定に基づいて、地位協定の何条の規定に該当してそれが設けられておるかというような点について、簡単に答えてもらえばよろしいのです。
  102. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 泉首席監察官をしてお答えいたさせます。
  103. 泉靖二

    ○泉説明員 第一の点でございますが、横田エリアがどういう規定で米軍の管制を認めておるのか、これは日米安保条約の第六条の地位協定でございます。それを引きまして、日米間に航空交通管制に関する合意書というのがあります。その中に、米軍の行なう進入管制に協力するという項目がございます。それによりまして事実上の管制の行為をやらしておる。その範囲は、上限を切ってございません。つまり、地表からずっと上空まで、上のほうを切らない範囲、その範囲を米軍の進入管制が横田から実施をいたされておる、こういう現状でございます。
  104. 土橋一吉

    ○土橋委員 それは地位協定第二条の規定だと思います。そしてその航空乗り入れ等についての別個の協定があるということでございますが、それはあとでまた資料を提供していただきまして、私が納得できるような、そういういわゆる協定の内容についてお示しを願いたいと思うわけです。  そこで、この横田エリアの地域でございますが、私が聞いたところによりますと、東京都を含む一都八県であるというふうにいわれておるわけであります。そうしますと、この地域は、わが国の航空交通にとっては最も重要な、しかも航空交通としては非常にふくそうした、非常に激しい地域でありますにかかわらず、アメリカ軍が依然として安保条約に基づいてそういう広大な一都七県とか八県にわたる空を占領するということは、まことに不都合千万だと私は考えておるのであります。戦後二十七年もたって依然としてかような状態でわが国の空が占領されておるということは、国民としても、また、東京に住んでおる、三多摩に住んでおるわれわれとしても、まことに残念しごくといわなければなりません。早くこれを撤去することが必要だというふうに私は考えておりますが、その及ぶ範囲は、いま申し上げまするように、東京都を含むところの、神奈川県、山梨県、静岡県、埼玉県、群馬県、長野県に間違いはないのかどうか、さらに、新潟県の南部地方も含めておるといわれておりますが、新潟県も入るのかどうか、こういう地域で間違いないのかどうか、簡単に答えていただけばよろしいです。
  105. 泉靖二

    ○泉説明員 地図上に落としてどの地域を含むか、いま正確に資料を持っておりませんが、先生のおっしゃることに間違いないと思います。それに非常に近い範囲だというふうに思います。
  106. 土橋一吉

    ○土橋委員 最近、委員長並びに委員の皆さんもお聞きのように、横田にすべての米軍の関東地方の基地が集中するということが、ロジャーズ国務長官と福田外務大臣によって表明をされました。また、立川の基地に宇都宮の陸上自衛隊が移駐をする。すでにだまし討ち的に、御承知のように、八日に移駐をするということでございましたが、七日の夜半に彼らは突如として入ってきておるのであります。この問題は地元の立川方面にとってはまことに重大な問題でございますし、いま一つは、調布の元水耕農場あとを飛行場として使用したいというようなことを運輸当局の幹部の方々が言っておられます。地元の人たちは反対をいたしまして、やはりこれは平和的に利用したい、また、立川の米軍基地あとにつきましても、やはり副都心といわれる立川方面においての平和的な利用のためこれを活用さして基地の全面的な返還を要求する、こういうことがいわれておるのであります。なお、横田の基地の返還問題は、いま逐次東京都民の中では俎上にのぼっております。こういう状況の中で、いま申し上げるような横田エリアというようなものがどんなに日本の国全体に大きな妨害と障害を与えているかということは、御承知のとおりであります。特に羽田から出る飛行機は、御承知のように、東回りもたくさんございますけれども、おもに日本の地勢と地理的な条件に従いまして西回りが多いわけです。また、北回りの飛行機もかなりございますけれども、特に新潟、富山、小松、福井方面に向かっていく飛行機もかなりの量があると考えております。それらが全部この横田エリアを迂回していくということになってまいりますと、その航空路が一そうひんぱんになってくる、つまり、交通の量が非常に激しくなってくるということは、だれにも想像ができるわけであります。私は、こういうことについて運輸当局は航空の交通安全を保障するために今日どういう基本的な施策を講じておるのかという点を聞きたいわけです。ここに書いてありますことならば、答えていただかなくてもけっこうです。ここに書いてないことで、どういうふうな基本方針をもって、そのふくそうする、特に西回りの飛行機、そういうものについて善処する考えでおるのか、あるいは交通安全を保障する体制でいるのかという点をお聞きしたいのです。
  107. 泉靖二

    ○泉説明員 基本的な問題といたしましては、安全のシステムをいかに考えるかということでございます。これはいろいろ御意見があろうかと思いますが、私は、安全のシステムというのは、一つは航空機というもの、それから飛行場というもの、管制というもの、それから電子航法機器というもの、それからさらに、それらを運用します熟練した要員というもの、こういう五つのサブシステムが組み合わされて、それでそのバランスが整斉ととれましてそうして発展していくときに、ほんとうの航空としての安全のシステムがあるのだというふうに考えております。  ただ、いま先生が御指摘になりました横田の問題だけに少ししぼらせていただきたいと思いますが、その問題につきましては、横田空域が全体の航空交通の中で全然じゃまでないのかと申しますと、これはうそになると思います。確かに、横田空域というものが東西交通に対しまし七はかなりの影響を及ぼしていると思います。そこで、われわれといたしましては、横田の空域を漸次縮小していきたいと考えておりまして、第一段階といたしましては、本年三月に米軍と調整中で実施する予定でございますが、横田空域を、いま地表から上を制限しない高度までやらしていると申しましたが、これを四万一千フィートに上限を限定いたしまして、そして、ブルー14の高度を、従来三万一千でございましたのを、これを二万八千に変更いたしまして、静浜から半径二十五マイルの空域、高度一万三千フィート以下が東京管制部の管轄でございましたが、これを一万五千フィートまでに上げまして、横須賀経由の浜松行きの出発経路、これは先ほどもちょっと論議がありましたが、羽田を出まして浜松、ブルー14から横田エリアを突っ切って東京レーダーから横田エリアにハンドオフと申しますか、渡されて突っ切っていくルートがございます。これは一万六千フィートと一万八千フィートは、横田との事前調整なしに東京管制部の専用ルートとして使用するようになっておりましたが、八千フィート及び一万フィート、低高度のプロペラ機につきましても、横田との調整なしに使用できるように米軍と折衝中でございます。  さらに第二段階としまして、人員、機材の整備を待ちまして、同空域の日光、熊谷以北の部分、これを東京管制部のほうに入れたいということを検討中でございます。
  108. 土橋一吉

    ○土橋委員 続いて、これは私先ほど聞いてみたのですが、大体こういうこまかな赤線が横田エリアじゃないかと思うのです。横田エリアの中に、御承知のようにブルー14があるわけです。このブルー14は、御承知のように、南は神奈川県の荏田から、北方は埼玉県の大宮までを中心とする、そして中央線を直角によぎりまして、東中野から国立までの間、約十キロといわれておりますが、十キロあるのか十三キロあるのか、はかってみなければわかりませんけれども、それだけの地域と、荏田から大宮までは、どう考えましても四十キロから五十キロあろうと、常識的に考えておるわけであります。この地域は、彼らのいわゆる専用の滑走路といいましょうか、あるいは航空専用路とでもいいましょうか、そういう地域になっておるのですが、このことには間違いないのか。大体私の書いたこういうような見取り図、こういうかっこうで間違いないのかどうか。私も覚えで書いたのですから多少あれですが、大体こういうのに間違いないのかどうか。なければない、違うなら違うと、ちょっと答えていただきたい。
  109. 泉靖二

    ○泉説明員 大体間違いないと思います。
  110. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、いま仰せになったここに書いてある四項目の問題について、先ほどあなたも復唱されまして、私は、ここに書いてあることはよろしい、基本的な問題はどういう点にあるかということをお尋ねしたのですが、この地図で私説明いたしましょう。  この黒いところは羽田です。そうしますと、飛行機はほとんど全部房州館山のほうへおりてまいりまして、そして大島から西に進路をとりまして伊豆半島の南端を通って普通どんどん行くわけです。ただ一部のものが、風穴をあけるように横田エリアを通って行くのだということを先ほどちょっと答弁されていましたが、そんなのはごくわずかの部分だというふうに私は思います。大部分はこのコースをとるわけです。そうなってくると、つまり、西回りの飛行機は、非常にこれからジェット機もふくそうするし、ここに書いてある施策を講じましてもなおかつ危険の度が非常に多いではないか、航空交通の安全は保障されないではないかという気がするわけなんです。  そこで、そういう中へ加えて、今度、いま問題になってくるいわゆるブルー14の中心へ調布の飛行場の地域が乗っかってくるわけです。ここの飛行機は、いまお話しになったようなそういう制限で、はたして一体、たとえばそれが国際空港の成田であろうとも、あるいは南のほうの羽田であろうとも、そういう旅客を積んで東京あるいは三多摩地域へ入ってくる、そういうことが可能であるのかどうか、一体そういうことを前提としてそういうことを運輸省は要請されておるのかどうかという点の第一点です。  第二点は、問題は要するに立川の自衛隊です。自衛隊の航空管制は一体どこが管理をしておるのか。もしこれが東久留米にあるところの運輸省の航空交通管制部の指導を受けるということになれば、これは部分的なものであって、要するに、非常に危険な航空練習をしなければならぬ。ところが、一方は、先ほどあなたのお話によりますと、横田にもちゃんと航空管制がある。つまり、自衛隊なら自衛隊が持っておる航空管制と、それから東久留米にある運輸省の航空交通管制の問題とは一体どういう関係に立っておるのか、一体どこが最後にさばきをするのか、どこが交通整理の基本的な責任を持っておるのかという点であります。これが第二点の私の質問なんです。  第三点は、こういうように多角化した航空交通の管制が、つまり、「ばんだい号」の事件にしましても、あるいは七月の末のあの雫石の飛行機の墜落事件にしましても、一体どこが基本的に責任を負うのか。民間航空に対して、やはり横田エリアを中心とするのが優先的なものであって、あそこにはまず頭が上がらぬ、あそこはとにかくよけて通って、それ以外のところは、自衛隊であろうと民間航空であろうと、民間優先を中心とする航空管制になっておるのか、それとも、依然として自衛隊関係なりあるいはアメリカ軍の横田エリアを中心とするそういう管制下に日本の民間航空はみな従うのかということが私にはわからないのです。その点を答えていただけばけっこうなんです。
  111. 泉靖二

    ○泉説明員 先ほどの第一の御質問の、調布は一体どういう使い方をするのかという点でございますが、御指摘のようにブルー14が真下にありますが、ブルー14のルートとしてのミニマムの高度は二千五百フィートであったと思います。調布を使用するといたしますと、これ以下の高度、少なくとも五百フィート以上のセパレーション、高度の分離をいたしまして、二千フィート以下で使用しなければならないということになろうかと思います。  それから第二の御質問の、東久留米にあります東京航空交通管制部、これと横田との関係はどうか、それから横田と立川ないし調布の関係はどうか、こういう御質問につきましては、日本の航空路の管制をやりますところが三つございまして、一番北にありますのが札幌でございます。ここの管轄空域は、三沢の南、仙台の北三十マイルぐらいのところでございますが、その辺から北のほうを札幌の航空交通管制部が受け持っておりまして、それから日本の南のほうを受け持っておりますのが福岡管制部と申しますが、これは岩国の西三、四十マイルのところまでが受け持ち範囲。ですから、ただいま御指摘のございました東久留米にあります航空交通管制部、これはそのまん中の残された部分、それから太平洋をちょうど半分ぐらいに分けまして、ハワイ、アンカレッジ、グアム、沖繩、こういうところを受け持っている次第でございます。  その中で進入管制が一体どういう役割りをするかと申しますと、これはもっぱら航空交通の多い空港につきまして、たとえば東京ですとか、横田ですとか、あるいは大阪ですとか、こういうふうに航空交通の多い空港で一定の空域をその飛行場にまかしてしまう、そしてそこで計器飛行を管制するというやり方をいたします。したがいまして、立川がもし日本側に返った時点では、立川の進入管制というのは横田でやる、立川は有視界の管制だけやるということになろうかと思われます。  それから民間優先の原則がどこでも貫かれているかというのは、これは非常にむずかしい問題でございまして、ケース・バイ・ケースで、どういうふうにお答えしていいのか私もちょっとわかりませんが、ただ、自衛隊との間には、先般来安全のためのいろいろの覚書をかわしまして、民間機の安全というものは十分に保障されているということだけお答えしておきます。
  112. 土橋一吉

    ○土橋委員 大体わかりましたのですが、私は、横田の飛行機というのは、C5Aギャラクシー、ファントムF4ジェット機にいたしましても、レーダーでやっていると思っていた。ところが、最近昭島市というところにミドルマーカーをつけたいという要請がアメリカ軍から施設庁を通じて行なわれて、いまミドルマーカーをつけている。彼らの説明によりますと、アウターマーカーだけでは不十分だ、いままで有視界飛行をやっておったのだ、こういう説明であるわけです。C5AギャラクシーとかファントムF4が有視界飛行をしておったというのですから、私は驚いてしまって、あ然としておるわけなんですが、横田ですらもそういう状態である。ましてや、立川は千五百メートルの滑走路しか持っていませんですよ。そこへ持っていって、これからどっさり飛行機が入ってくるとか、ヘリコプターを入れるということをいっておるのですが、非常に危険じゃないか。肝心かなめの横田が有視界飛行をやっておる。そのおつき合いをして立川も同じようなことをやってくる。これでは危険千万であって、とてもじゃないが、立川市の人が反対するのはあたりまえであって、同時に、騒音であるとか、ついせんだっても、いまから一月くらい前ですか、アメリカのヘリコプターが落ちまして兵隊さんがえらいけがをして死んじゃったのですね。性能のよろしいというアメリカのヘリコプターでもそういう状態です。まして、日本のヘリコプターは、まあそれと似たようなものでしょうから、危険千万なわけですね。しかもそれがレーダーを持っていない。ここに書いてあるような——これも通信とかいろいろのことが書いてございますけれども、それはそういうふうにつくりたいということであって、現実はつくってないわけです。ここに書いてあるような、あなたがおっしゃるような、たとえば保安の無線設備をつくりたいとか、管制の、つまりレーダーをつくりたいとか、あるいは通信施設を拡充強化したい、これは一つの希望的な観測意見であって、まだ具体的には多くの個所についてついていないわけですね。そうなってまいりますと、立川ですらもそういう危険な状態ならば、ましてや、調布の飛行場の使用という問題についても、これは全く野放しの要するに有視界飛行である。しかも、STOLを中心としていきたいというようなことを運輸省の幹部の方は仰せになっていますけれども、横田エリアを中心として、しかもそれがSTOLなんかという、これから開発をしようというジェット機、そういうものを中心に輸送するということになってくれば、まことにゆゆしき問題であるというふうに私は考えておるのです。  ですから、あとあと時間を得まして——きょうは初めてでありますので、きわめて初歩的な質問で終わりますが、いずれにしても私は、アメリカ軍の横田エリアを中心とする広大な空の占領に反対をいたしております。それからまた、ブルー14であるとかレッド1、レッド2というえてかってな航空路を彼らは設定をして、そして独立日本であるわが国の空を占領しておる、えてかってに彼らがこれを利用しておるということに対して、私は断じて認めることはできないわけですよ。要するに、安保条約を廃棄しなければこの問題は解決できないし、また、横田エリアを中心とする空の占領をどうしても奪還しなければいかぬというのが私の基本的な考え方でありますので、そういう観点から、横田エリア、ブルー14を中心とする問題について、交通安全対策を中心として、ここに書いてある四つの基本的な問題もさることながら、民間航空の安全のために解決をしていかなければならぬというふうな考えで私は質問をしたわけでございます。  時間がございませんので、もうおそい質問でもありますから、私は本日はこの程度で終えまして、今後、防衛庁にも来てもらいまして、いま申し上げるような内容について——運輸省でも十分省として、しかも対等平等であるといわれておる安保条約を、特に横田エリアをなくするために努力をしていただきたいというのが、私の基本的な願いでございます。  時間が来たようですから私はこれをもって質問を打ち切りますが、今後この問題を中心にいろいろあなた方の所見や、また、いろいろな事情についてお聞かせを願いたいというふうに思っている次第です。  委員長、これをもって終わります。
  113. 今澄勇

    ○今澄委員長 土橋君の質問はこれにて終わりました。  次回は公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十八分散会