○片岡
政府委員 お手元に「
昭和四十六年中の都通府県別
交通事故発生状況」という一枚紙がございます。先ほど来各大臣が御報告いたしておりましたように、昨年は、
昭和四十五年に比べまして、件数、
死者、
負傷者とも
減少いたしました。戦後初めてのことでございます。
死者だけにつきましては、
昭和二十四年、三十七年、四十年、四十二年と四回、対前年比で
減少したことがございますけれ
ども、件数、
負傷者とも
減少いたしましたことは、戦後初めてでございます。
ただ、
死者が大幅に
減少いたしましたのは、東京、大阪、名古屋、埼玉、神奈川、静岡、岐阜、広島といったような、比較的大きな県で
減少いたしております。逆に
増加いたしておりますのは、東北の南部、それから関東の外周辺の県、北陸、山陰、それから四国の東南部、南九州といったように、比較的
自動車の
普及がおくれておって、これからさらに
普及が
徹底していくであろうというような地方で
交通事故の
増加傾向が見受けられておるのが特徴だと思います。
大府県で
交通事故が
減少いたしました理由は、いろいろあろうと思いますけれ
ども、何と申しましても、
安全施設の投資率が高いということ、あるいは
警察官の監視力が強いというようなこと、それからまた、そこの地域住民が
道路交通の
普及に適応していっている、その適応率が高いといったような点がおもな理由ではなかろうかと私
どもは推測いたしております。したがいまして、今後の問題といたしましては、大府県並みに中小府県の場合にも
交通事故対策を
徹底して行なっていくということが、全国的に
交通事故を減らす大きな効果があるのではなかろうか、そのように考えております。
したがいまして、私
ども出面四十七
年度実施いたしたいと思っております
運営の
重点でございますが、お手元に資料がございますけれ
ども、簡単に御
説明いたしますと、まず初めに、歩行者保護のための
交通規制を
徹底して行ないたい。その具体的な方法として、スクールゾーンというものを、
総理府の
交通安全対策室を中心に
関係省庁とも御協議をいただきまして、つくっていく、そして小学校の校区中心に登下校時の子供さんたちあるいは幼児が
交通事故にあう心配を少なくしていくということに重心を置いてやってまいりたい、そのように考えております。
それから、その次にございます、
都市交通の
効率化のための
交通規制の
推進でございますが、路線バスなどの優先通行帯を積極的に広げていく。さらに、必要な場合には、優先通行帯ではなくして、専用通行帯にもしていくということを考えております。
また、大
都市における駐車
対策にも力を入れて、パーキングメーターを
設置して、どうしても業務上必要な短時間の駐車は需要を満たしながらも、長時間路上を独占して駐車しているような車に対しては、きびしくレッカー車作戦をいたしまして、移動、保管を
徹底してやることによって
防止してまいりたい、そのように考えております。
それからまた、朝夕のラッシュ時間帯につきましては、首都の通行を中心に考えまして、大型貨物の輸送については
交通の規制を
強化していくというような方法も考えてまいりたいと思っております。次に、
交通公害防止のための
交通規制もやっていく。特に、一酸化炭素と騒音の問題につきましては、
交通規制で処理できる面は積極的に処理をしていきたいというふうに考えております。
それから、
安全施設の問題でございますけれ
ども、私
どもの
所管しております
信号機とか横断
歩道の
整備につきまして強力にやってまいりたい。おかげさまで、
信号機につきましては、
昭和四十七
年度、一応、
政府原案として五十六億の
予算を組んでおります。四十五年が十億であり、四十六年が三十億であるということに比べまして、相当数の投資ができるのではなかろうかと期待をいたしております。
それから、
指導取り締まりにつきましては、五ページにもございますように、無免許運転、飲酒運転、スピード違反、それから追い越しのためのはみ出し違反、そういったいわば無謀な故意的な違反につきまして強力に取り締まっていくと同時に、先ほど申しました悪質な、実害のある駐車違反を
徹底的に取り締まってまいりたいと思っております。
それからまた、
交通安全国民運動の展開ということでございますが、これは
関係省庁と
協力いたしまして、先ほど申しましたスクールゾーン内の規制と並行しまして、幼児、新入学重などの親兄弟あるいは学校の先生方、PTAの方々と一緒になって
交通安全教育を
徹底してまいりたいと思っております。
それから次に、運転者に対する
対策でございますけれ
ども、昨年の道交法の
改正で
強化されましたいろいろの講習に力を入れていきたい。指定
自動車教習所の
指導員その他の職員に対する講習あるいは免許の更新時における講習、あるいは違反をいたしました、あるいは
事故を起こしました運転者に対する講習、こういうものの中身を充実することによって運転者の教育の
徹底をはかってまいりたいと思っております。
最後に、
交通警察体制の
整備の問題でございますが、先ほど大臣も申しましたように、路上試験制度の導入など、
運転免許制度の
改善をはかるための
道路交通法の一部
改正を予定いたしております。いずれ近く御提案して御
審議をいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
最後に、外勤及び
交通警察官四千人の
増員を予定いたしております。この中には、高速
道路の
交通警察官と、それから
交通機動警ら隊、白バイ、パトカーの増強を含めた
交通警察官の増強も入っておりますので、その点もよろしくお順いしたいと思います。
以上でございますが、次に、東名高速
道路での
死傷者二十四名を出しました
事故の概略について御
説明をいたします。
昨日の午前十時五十五分ごろに、静岡県の裾野市の東名高速
道路の下り路線上に起こりました
事故でございますが、大型貨物
自動車が、雨が降ってしかも濃霧の中を時速約八十キロで走行車線を進行しており、たまたまパンクによって路肩へ停車していた普通貨物車を至近距離で発見し、あわてて急ブレーキをかけたところがハンドルをとられまして横にすべり、中央分離帯に衝突して、これに後続中の
車両約三十台が、約八百メートルの間で三つのグループに分かれて次々に追突または衝突しました。そのうち七合が炎上いたし、その中へ乗っておりました九二名が焼死いたし、重軽傷者二十二名を出した
事故でございます。
これは、東名高速
道路としては、いままでの規模としては一番大きな
事故ではなかろうかと思います。
事故が
発生いたしまして直ちに
警察、消防その他の
関係者あるいは
道路公団の
関係者が現場に到達して
作業をやったわけでございますが、救急車は、沼津、御殿場、裾野三市から五台が現場に到達いたしております。それから消防は、沼津市の消防本部ほか二市一町の消防
自動車十台が消火に当たっております。
このような
事故が二度と起こらないための
対策につきましては、目下検討をいたしておりますけれ
ども、考えられますのは、予防
対策としては、一つは、何と申しても、こういう雨とか霧とか凍結といったような悪い気象条件のもとでの運転者の走行に対する知識が欠けている面が一つあろうと思います。スピードを落として、十分車間距離をとって運転しておれば、こういう追突
事故は起こらないわけでございますので、そういう運転者の教育の問題が一つと、それからもう一つは、運転者に悪い
道路条件、天候条件の情報を提供するという問題があろうかと思います。それからもう一つは、単に情報を提供するだけでなくして、最高速度の規制を天候条件に応じてきびしくしていく。通常ならば八十キロのところを、六十キロあるいは四十キロというふうに、最高速度の規制を
状況に応じて変えていくという問題もあろうかと思います。それから、カーラジオによる情報提供というものももう少し考えていく余地があるかとも思います。
それから、
事故が起こりました後の措置としては、救助、消火と救急の問題でございますが、そういう問題と、
事故、事件の捜査なり、
事故車あるいは燃えてしまってもう動かなくなった鉄のかたまりを早く取り片づけて原状回復していくという問題がございます。
もう一つは、他の
道路の
関係で、
事故が起こったあとの
交通規制をどのようにやっていくか、どこのブースを締めていくかという問題、この場合、初めは沼津と御殿場の間を締めたわけでございますけれ
ども、御殿場の町の中に車があふれてくるということで大井松田まで引き続いて締めたということによって、国道なり方々の
道路に非常な影響が出てくるという問題がございますので、その点も今後の
研究問題だと思います。
以上、
対策につきましては、
関係省庁、特に
建設省とも十分御相談をして、
対策の、たとえば臨時の
委員会でも設けまして、今後至急に検討いたしたい、こういうふうに思っております。