○門司
委員 そうするとますます不可解になってくるのですが、
先ほどの
質疑応答を聞いていますと、財源の問題についてはほとんど触れられておらない。日本の今日の
都市行政で最も遺憾なのは先行投資がないということでしょう。
市街地をこしらえるには、まず
市街地にふさわしい先行投資をしておかなければ、そこに
市街地を幾らこしらえると言ったってそれはきわめて非民主的、というよりも非文化的なものになる。これが日本の
都市計画の最大の欠陥でしょう。たとえば、あなたのほうはよく御存じだと思うのですが、アメリカの
都市形態を見てごらんなさい。たとえば
道路はもとより、自動車の通る通路がなければならない。下水と水道と、即日電話の引ける場所でなければ家は建てさせないという方針をとっているでしょう。この
規定をぴしっと当てはめて、
あとで水道がないかいや下水がないだとかやかましいことを言う必要はない。ところがこの場合に、これに必要な予算というものがちょっとも
考えられておらない。そして、いや財投を持ってくるとかあるいは公庫のお金がどうとか言われておりますけれ
ども、こうなってくると、ひとつこの辺をもう少し掘り下げて私は聞いておきませんと、形の上だけでは家が建つことになった。しかしそこには−下水も完備しておらない、水道もどうなるか。水一道なんというのは、これは大邦市の今日の水道の状態で最も重要な問題は、水源地がだんだん遠くなっていくということである。もはや既成の、たとえば東京にしても横浜にしても大阪にしても、既成の
大都市の水源地というものは、いままでの水源地では保障はできない。どうしても水源地はだんだん遠くなる。日本全体がだんだんと文化化してしくことになってくる。家庭の生活はだんだん文化化してくる。どんなに遠いいなかに行っても、結局は下水の処理場を設けなければならない。これが一本。私
どもの
考え方としては、広域下水道というようなことで、
地方における
一つの大きな川のそばにもう
一つの川を掘って、いわゆる汚水をその川へ流して、汚水はいままでの既成の川には流さないような形態をとっていくような大
計画がこの際日本には必要だ。これは教育の問題でも同じだ。さっきから文部省の答弁を聞いておりましたが、いろいろな問題があります。過密
都市ではもっとやっかいなことがある。私
どもの横浜では
あと、五年くらいの間に、いままでの調子で人間がふえていけば、約二百くらいの小学校を建てなければ追いつかない。この資金と敷地を一体どう求めるかということである。私はこういう問題、いわゆる先行投資、ずっと新しい
市街地をおつくりになるならば、まず財政の問題を
考えて、先に、水道をどこから持ってくるんだ、下水はどう
整備するんだ、学校はこうするんだという青写真がなければ、ただこの新
都市計画であなた方の役人の何だか権力だけをふやすだけで、実態はどうにもならぬでしょう。
日本の今日の
行政で最もおくれておるといわれておる生活環境の
整備、この
整備を一体どこでするのですか。この資金については、何かさっきから聞いておると、財投であるとかいろいろなことを言っておりまするが、今日の財投
計画はそういうところに一体どれだけ回せるのか。
地方の自治体はいまどうなっているか。
地方自治体の借金している総額は、ごく大まかに見てまいりましても一般財政において約三兆、二兆九千七百七十億も借金を持っておる。こういう公共
事業というか、いわゆる公営企業に対しては三兆三千億以上の借金を持っておる、こういう事態なんです。これに支払っておる元利合計が一体どうなっておるか。その上に仕事を、新しい
都市をつくっていこうとするなら、そういう先行投資の財源が要るはずである。その財源を認めないで、見ないでおいて、そうして絵だけここにかいてみたところで、しょせんは青写真にすぎないのである。私はむしろ、こういう
法案を出されるなら、大蔵省と十分話し合いを願って、そうして、まず
道路はこうするんだ、学校はこうするんだ、水道はこうするんだ、下水はどうするんだという青写真をここに示されない限りは、こういう
法律をつくられたからといってこの
法律はどうにもならない。日本の今日の
都市計画の全体を見てまいりますと、御
承知のように、昭和二十五年の国土総合
開発以来、
地方開発に関する
法律は、この
法律ができると百七十七になるでしょう。百七十七という
法律、この
法律は全部
地域開発に関連した
法律である、多かれ少なかれ。そうしてこれは全部
地方の自治体が背負わなければならない。しかも、こうした理想的な
考え方がどんどん出てきて、そのしっぽのほうでつくるお金は一体どうするのだというと、そいつはまだわからぬというようなことで一体よろしいのかどうかということである。
私は少なくともこの機会に示していただきたいのは、さっき言いましたように
地方ではたくさん借金を背負っておりまして、これの元利の償還がどうにもならぬようになっている。ことしまでは何とか、あるいは来年までぐらいは
地方財政の中で起債がどうにか償還ができるかと私は思いますけれ
ども、もうその次になれば、おそらく赤字公債を出さなければならないようなことになるでしょう。そうなってきた場合に、
地方自治体がそれを償還する能力を持っているかということである。国は少なくとも、どんなに借金をしたからといって日本銀行が背負っておりますから、ある程度この償還できるはずである。ところが
地方の自治体はそうはまいりません。そうなってくると、結局問題は、この問題を解決しようとするには財政の問題をひとつこの際明らかにしていただく。そうして
地方の自治体に
負担をかけない、あるいは
負担をかける場合にこういう形になるんだということでないと、
住宅公団は
住宅公庫から金を借りられることはだれでも知っているし、
開発銀行からも借りられるかもしれない。あるいは
地方の自治体はこの公営企業の金庫から借りられるかもしれない。どこからでも借りられることも私
どもよく
承知しておる。しかしそれだけではものは片づかぬのであります。こういう点について、こういう目安がほんとうにどのくらいついているのか。これを施行されようとすれば一体どのくらいの財源が必要なのか。それが一体どのくらい見込まれておるのか。ただばく然と思いつきでこういう
法律を出されておるなら、それはそれでよろしい。しかしこれをやるんだということをお
考えになっているなら、大体積算の基礎というものがあるはずだと私は思う。どのくらいのものを見込まれているか。水道にはどのくらい要るか。教育費はどのくらい要るか。下水はどのくらいでどうなるか。あるいは
道路はどうなるか。はなはだしいのは、ここには「鉄道」という文字が入っておる。鉄道なんというのは敷こうとすればこれはそう簡単にはいかぬですよ。いま赤字ばかりこしらえている鉄道。どうにもなりはせぬ、これは。私はこういう
法律全体をずっと一通りだけしか読んでいません。あなた方のほうの説明はこの説明書によって
承知をした範囲ですけれ
ども、どうもこの
法律はあまりにも思いつきらしい
法律ではないかという気がしてならない。
そこで、もう私に与えられた時間も、ここに
委員長からえらいやかましい手紙が来ておりまして、これを見ると、あまり長くないように書かれておりますから、この機会に、この資金の見通しというのが一体どういう形になっているのか、これを大蔵省とそれから
自治省のほうから、資金は心配ないというのなら心配ないという、そうして
地方の自治体に迷惑をかけないというのなら迷惑をかけないということだけ、この機会にはっきり聞かしておいていただければ、大体
委員長から指図された時間になろうかと思いますから……。