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1972-06-09 第68回国会 衆議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月九日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 金子 一平君    理事 田村 良平君 理事 葉梨 信行君    理事 服部 安司君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    大村 襄治君       梶山 静六君    野中 英二君       浜田 幸一君    藤波 孝生君       古内 広雄君    村田敬次郎君       山下 徳夫君    山本 幸雄君     早稻田柳右エ門君    井上 普方君       卜部 政巳君    佐野 憲治君       中谷 鉄也君    松浦 利尚君       柳田 秀一君    新井 彬之君       北側 義一君    吉田 之久君       浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省住宅局長         事務代理    沢田 光英君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         通商産業省鉱山         石炭局石油業務         課長      根岸 正男君         運輸省港湾局計         画課長     鮫島 泰佑君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     信沢 利世君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 棚橋  泰君         海上保安庁警備         救難監     貞廣  豊君         労働省労働基準         局補償課長   松尾 弘一君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     伊藤 直行君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 委員の異動 六月九日  辞任         補欠選任   卜部 政巳君     中谷 鉄也君 同日  辞任         補欠選任   中谷 鉄也君     卜部 政巳君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  都市公園整備緊急措置法案内閣提出第七二  号)  (参議院送付建設行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付都市公園整備緊急措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  3. 井上普方

    井上委員 都市公園整備緊急措置法という法律を拝見いたしまして、たいへん公園と名のつくものが、国立公園もあれば国定公園もある、あるいは都市公園もある、児童公園もある、それから林野庁がやっておる森林休暇公園とかなんとか――自然公園ですか、というようにある。その公園ということばですね、これがいままでわれわれが考えておった、あるいはまたそういう範疇に入るのかどうか。一体この定義公園という定義はどうなるんでしょうか。ましていわんや、このたびのこの法律を見てみますと、レクリエーション都市なんという新しいことばも出てくる。まあこれからそれが国民の間に定着するのかもしれませんけれども、これで一体、いまのこの日本人感覚に合っておるものかどうか、私はどうも疑問に思うのですが、定義についてどう考えられておりますか、ひとつお伺いいたしたいのです。
  4. 西村英一

    西村国務大臣 私、学問上の定義は知りませんけれども、大体いままで、前の厚生省があずかっており、いまの環境庁があずかっておるのは、これは自然を保護しようという立場から、一番初め国立公園という制度ができた。いまではそれが自然公園という名称になりまして、その自然公園名称の中から、国立公園国定公園と、それから都道府県都道府県立公園、こう三種類になっておるのでございます。それは同じ公園という名称は使っていますが、目的とするところは主として自然を保護して制限をする、あまり人工的なことはしない。したがって、国家の金も比較的少ないわけでございます。それとともに、建設省で従来からあずかっておるものはいわゆる都市公園都市の中の公園、自然にできておらないが、この公園は休む場所をつくっていくというような制度から発達して、都市公園法というのが、あなたも御案内のように早くからできておったのでございます。今回は、そのいわゆる都市公園というものが非常におくれておりましたから、五カ年計画でそれを進めていこう、こういう法律でございます。しかし、進めていくといっても、その中である程度のクラシフィケーション、分類をしないと非常にやりにくいということで、都市公園の中にいろいろな名称をつけて、基幹公園であるとかいろいろな名称をつけてやっておるのでございますが、大体は自然環境を守るための公園で、建設省所管しておるものはやはり人工的につくって、いわゆる都市につくるということが主眼になっております。学問上の公園とは何ぞやという定義は、あるいは勉強しておる政府委員が知っておるかもしれませんから、それで御答弁をさせますが、私はそう考えております。
  5. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 補足してお答え申し上げます。  ただいま大臣からお答えいただきましたとおりでございますが、少し体系的に申し上げさせていただきますと、一般的に公園といわれておりますものは、規模なり目的によっていろいろなものが含まれておると思いますが、私どものほうでそれを大きく分類しまして、地域性公園営造物公園、こういう二つ範疇に分けております。地域性公園といいますのは、国や公共団体が非常に風景地の保護、景色のいいところ、そういうふうなところを保護したり利用するために、一定地域をきめまして、そこでそういう維持のため権利のいろいろな規制をするということによってそういう自然環境を守っていく、そういうふうなものでございまして、当然そういうところは民有地が相当含まれるということが予想されます。この体系に入りますものが自然公園法にいっておりますところの自然公園でございます。この自然公園といいますのは、現在国立公園、それから国定公園、それから都道府県自然公園、こういうふうな大きい分類になっておるわけでございます。  一方、常造物公園といいますものは、これは国や公共団体土地につきましての権限を取得いたしまして、直接公共利用のために供しておるものでございまして、これに二つございます。一つは、国がみずからそういう目的に供しているものを国営公園と私どもは言っております。それから、この分類の一部には、いろいろな沿革的な経緯がございまして、旧皇室苑地でございますね、皇室財産が戦後、例の財産処分関係一般に開放されました。たとえば皇居広場でありますとか、それから新宿御苑でありますとか京都御所とか、そういうふうなもの、これは国民公園といっておりまして、環境庁所管しております。しかしいずれにいたしましても国が設置して管理しておるという公園には変わりないわけでございまして、私どもはそういうものを国の営造物たる国営公園といっております。それと、ただいま御審議願っておりますところの、公共剛体が設置いたしまして、都市計画に基づきまして適切な計画的な配置をしてまいりますところのものが都市公園法によりますところの都市公園、こういうことになります。国営公園都市公園法法律の対象にはなっておりませんが、その内容都市公園法公園と全く同じでございます。前段に申し上げました地域性公園のいわゆる自然公園法系統と違いまして、単に景色がいいとか、そういう風致景観に富んでおるところを保護する、保全するということではなくて、そういう公園をつくり出して都市民のためのいろんな環境改善、あるいは公害とか災害の阻止のため、それから市民休養レクリエーションの場、そういう非常に多目的目的をもって設定されるというものが都市公園でございまして、そういう意味におきまして、いわゆる国営公園もその範疇に入るものと私どもは理解いたします。つまり都市公園規模の大きいものが国営公園、である、かように思っておるわけであります。
  6. 井上普方

    井上委員 戦後、自然公園とかなんとかというのはできてまいりましたけれども、どうも公園ということば、語源――いまいろいろと分類せられましたけれどもことばそれ自体日本人感覚にぴったりきてないおそれもあるのじゃないかという気もいたすのであります。  それはともかくといたしまして、それじゃ局長林野庁がやっております自然休養林というのは、あれは公園ですか。これはいろいろございます。それが一つ。  それからもう一つ、いま京都御所国営公園である、こう言われたのですが、ちょっともう少し御説明願いたいと思う。京都御所公園であるならば、あるいはおそらく赤坂離宮公園になるのじゃないかと思うのです。この点はどうなんでございますか。
  7. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 まずお尋ねの第一点の、林野庁がいろいろ計画しておられますところの自然休養林、これは公園という概念に入らないと私ども思います。実態は、林野庁保安林がございます。そういう保安林の一部につきまして、都市近郊におきまして、それを市民レクリエーションのための保安林として、若干の、保安林機能を害しない範囲内において園路整備してやるとか、そういうものを内容といたしましたものを自然休養林ということばで呼んでおりますが、しいていうならば、私先ほど地域性公園営造物公園二つに分けましたが、その範疇からいきますと地域性公園に近いようなものじゃなかろうか、かように思うわけであります。  それから京都御所関係ですが、これはちょっとことばが足りませんでしたが、京都御所の中ではございません。京都御所周辺付属苑地がございますね、御所のまわりの広場、あれがいわゆる国民公園として一般市民のために開放されている。あれの維持管理は、皇居広場と同じように環境庁厚生省時代から引き継ぎまして維持管理をいたしておる。しかもこれは、国民公園という名前でございますが、公園としまして一般にそれを開放しているという実態でございます。
  8. 井上普方

    井上委員 そうしますと、実はこの公園ということば自体にどうも私は疑問を持つので、これは余談になるかもしれません、法律からははずれるかもしれませんが、お伺いするのです。それでは一つお伺いするのですが、皇居の東の東丸公園ですね、これなんかは公園という名前がついておりますけれども、一体どの範疇に入るのですか。これはやはり人を入れるのを制限していますね。これは一体どの範疇に入るのか。東丸公園東丸公園と言っておりますが、これは入ってくる人を制限して入れておる。また浜離宮ども公園になっておるのだろうと思いますが、これは一体どういう範疇に入るのか。  それからもう一つ、先ほど、言われた地域性公園に入るであろうといわれる林野庁がやっておる自然休養林、これは保安林をある程度伐採しながら、保安林としての機能を持たせつつも、遊歩道あるいはまたピクニック道路等々を整備しております。国民のいま左での県立公園あるいはまた国定公園というような範疇からいたしまするならば、これははっきりと自然休養林でなくて、国民感情から常識的にいいますと、自然休養林なんかは私は公園範疇に入るのではないかと思うのですが、どうでございますか。私は実態を見てみますと、これは明らかに地域性公国よりも整備せられておるし、国民レクリエーションの場として行くところに入っておると思うのですが、この点どうでございますか。
  9. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 具体的にお尋ねがございましたが、例の皇居周辺にありますところの東庭園でございます。東御苑といいますか、束公国というのですか、あれはいわゆる宮内庁所管皇居の一部たる付属苑地ということで整備をされたのでございますが、これにつきましては例の皇居造営審議会昭和三十四、五年ごろでございましたか、あそこで皇居造営にからみましていろいろ皇居並びに皇居周辺環境整備ということも議論されました。その際に、例の北の丸でございますね、武道館がございます、あれはいわゆる国民公園といたしまして、皇居広場と同じように、整備をして一般市民のために開放するという趣旨で、私どものほうでこれを整備して、現在は環境庁のほうで管理をしていただいておる。それから東御苑のほうは、皇居の一部の付属庭園ではあるが、そう一年じゅう宮中行事等で使われるものではございませんから、そういう宮中行事等関係で使用する場合以外は一般に開放する、そういう性格づけのものでつくられたものと私どもは伺っております。でございますから、これは皇居前と北の丸公園、それからさっき申しました京都御所周辺苑地、それから新宿御苑、そういうものとは若干性格が違っているということかと思います。それから浜離宮は東京都のいわゆる都市公園ということになっております。  それから再度お尋ねありました自然休養林でございますけれども、これはいろいろ考え方はあろうと思います。学問的には非常に公園というものの定義はむずかしいのでございますけれども、私が先ほど申し上げましたように、いわゆる都市公園系統営造物公園である。営造物公園といいますのは、国、地方公共団体という公的な機関がその土地なり何なりの権限を取得いたしまして、そうして直接一般市民にそれを開放するというようなものが営造物公園であるというふうにいっております。狭義の公園というのは私どもはそういう営造物公園ではないかと思います。それに対しまして広義の公園で、いわゆる地域性公園のような、民有地のままにある一定目的法律に基づいてそれを規制して、権利規制をして、それを一般市民なんかに開放するというふうな目的を持ったのが自然公園法系統である。したがって、そういう意味合いからいいますと、自然休養林保安林は、角行の保安林がかなりあるわけでございますけれども、どちらかというといわゆる地域性公園範疇に入るものじゃなかろうか、これは私の個人的な見解でございますが、かように思うわけであります。
  10. 井上普方

    井上委員 実は自然休養林なんかは、行きますと国民レクリエーションの場としても使えるというので、私はこの自然休養林ということば自体がおかしいのであって、むしろいままでの範疇からいく公園にすべきじゃないか、名前を統一すべきじゃないかという気もするのです。ただお役所のなわ張り争いだけで自然休養林なんということばをつくったのじゃないか、こんな感じがしてならないのです。大臣どうですか。自然休養林なんということばは、これは役所のなわ張り争いでつくったのじゃございませんか。内容はどんなに違います。新しいことば役所はこのごろどんどんつくられる。これは、まことにささいな問題かもしれませんが、日本人ことば混乱させるのではないか。何か公園そのもの定義というものを、これは都市公園地域性公園というように二つにお分けになりました。しかし、私らからしますならば、公国というのは不特定多数の者、国民がそこへ行ってレクリエーションの場として遊べるところだ、あるいは保養できるところだ、こういう感覚が私はどうも公開の定義じゃなかろうかと思うのです。私、広辞林をひもといておりませんけれども、そういう感覚からすると、公園ということばあるいはまた官庁がつくっておることばそれ自体に、混乱を起こさしておる原因があるのじゃないか、このように思うのです。これは私の概念として、不特定多数の国民がともかく公の場としてレクリエーションができる、保養ができる、そういうところを公園と私は解釈するのですが、どうでございます、大臣
  11. 西村英一

    西村国務大臣 あなたが言ったように、目的はまさにそのとおりでございます。しかし、一がいにそう言いましても、これで法律をつくる場合にはその法律の中によってやはり位置づけをいろいろしなければならぬ。同じ休憩の場といっても、大規模に自然を守っていこうという場所と、都市内においてそういう場所をつくろうとするものは、おのずから違った名称でいわれても不自然じゃないと思います。したがいまして、国立公園自然公園というのは非常に広い範囲でございます。国立公園阿蘇国立公園吉野熊野国立公園というのは非常に広い範囲でいわれておるわけでございまして、それが国でやる場合は国立公園、県でやる場合は県立公園と、こう名づけておるわけでございます。同じ休憩場所でも、都市内において小さくとも休憩場所をつくっていこうというものは、やはり都市公園というものである程度のことをしなければならぬ。そういうことでございますが、いま法律でいうておるのは、自然公園法都市公園法二つでございます。その他公園に類似した場所は、神社仏閣も全部休むようなところがありますから、何もかも公園、それは俗称ではそう言いますよ。だから国民公園なんというものはこれは俗称でございまして、おそらく法律上の名称にはないと思うのです、法律名称はよく知りませんけれども。大体がいまの分け方は、官僚のなわ張り争いでできたというようなことでは絶対にありません。自然に備わった名称でやっておるのです。
  12. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 まことに恐縮ですが、さっき自然休養林につきまして私が申し上げましたのは若干間違いがございました。自然休養林国有林野事業一環としてやっているものでございまして、したがって国有林が中心になって自然休養林というものが設定されておるのでございます。これは申し上げるまでもなく森林主体森そのもの主体になった、そういう目的を持った施設であるということでございますが、しかし緑という点からいきますと、都市公園と共通するものがあるわけでございまして、都市近郊にそういう自然休養林というものが機能いたします目的等からいきますと、都市公園と異なるところはないという点は全く御指摘のとおりでございます。それから私どもは、今後のいわゆる都市地域環境を保全するための緑地とかオープンスペースの確保のためには、都市公園だけではなくて、大臣がちょっとお触れになりましたような民有のいわゆる鎮守の森でありますとか神社仏閣等境内地、そういうようなものも含めまして緑とオープンスペースを今後積極的に確保していく、それがなくなっていくのを防いでいきたいというふうなこともこれから考えなければならぬと思って、せっかくいろいろそういう制度の研究もいたしております。都市近郊におきます自然休養林につきましては、これは林野行政一環林野庁がおやりになっておることで、十分行政上の調整をとりながらやっていきたい、かように思っております。
  13. 井上普方

    井上委員 その自然休養林国有林野であることも私はわかっておるから、それで申しておるのでございますが、あれなんかは都市近郊にあるのもございますが、また国立公園のごとく、たとえていいますならば、四国でいうと石鎚山にございます。これなんかは完全にいわゆる地域性公園と何ら変わるところはないのです。ところが自然休養林なんということばを使いますからどうも国民にはぴんとこない。林野庁がやるから自然休養林ということばを使っておる。行ってごらんなさい。遊歩道から広場もあります。ただ実際はそこの国有林の木を切るのを間伐程度に抑えておるというだけなんです。そうして不特定多数の国民が行って保養ができる。自然公園と全く何ら変わったところがない。ところが役所のなわ張りで――あえて私は言いますよ、自然休養林というようなことばを使う。ここらあたりが公園という概念が乱れてきておる原因じゃないか、このように思うのです。この法律でも御説明があるレクリエーション都市なんということば、これは一体何だろうかと国民は思いますよ。こういうようなのは国民の実感にぴったりと合ったことばを使っていただきたい、こう思うのです。これはひとつ大臣、あなたは国務大臣だから、ここらあたり統一させるようなお働きを願いたいと思います。あえてこのことは強くは申しませんけれども……。
  14. 西村英一

    西村国務大臣 わかりました。そういう意味で非常に混乱してきておる点はあります。私もレクリエーション都市なんて……。しかし、いま環境保全とかその方面は非常に重大視されましたから、各省自分所管でもっていろいろやりますからやや混乱を来たしておるわけですが、この際やはりそれをもう一ぺん見直して、あなたが言ったごとく皆さん方にちゃんとよくわかるようにするということは、私もそういう気がいたしますから、今後ひとつ十分全体を見まして統一あるものにしていきたい、かように考えております。今後ますます海岸等にもいろいろなものができまして、運輸省運輸省所管のところで公園規模のものをつくろうとしております。農林省はまた農林省でやっておりますから、やはりある程度の統一が要るんじゃないか。建設省もいま言ったようにレクリエーション都市なんという妙な名称が出ましたから……。私もあなたと同感でございますから、十分注意します。
  15. 井上普方

    井上委員 私もその程度でよろしゅうございます。  続いてお伺いするのですが、東京都におきましても、例の江東地区におきましてはかなり防災設備をやらなければいかぬということで、避難緑地を考えられております。特に再開発法との関係においてやられておりますが、この状況は一体どうなのでございますか。私は、白鬚橋ですか、あの付近の再開発が十年計画というような非常に長い計画で、もうこれで七、八年たっているのだろうと思いますが、まだ完成しておらぬのじゃないかと思います。この避難緑地等整備状況がどうなっておるのか。それと、再開発事業とこの都市公園整備との関係が一体どうなっておるか、この関係についてお伺いいたしたい。
  16. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 江東地区防災対策につきましては、拠点広場を確保するという基本的な構想のもとに、四十七年度からやっとその一部に着手をするという段階になっておるわけでございます。あの江東デルタ地域に六カ所くらいの拠点的な避難広場を確保するということを主体といたしました再開発事業ということになるわけでございますが、その第一号としましては、四十七年度から江東地区の、白鬚東地区といっておりますが、この地域につきまして興業に着手いたすわけでございます。これの考え方は、地区土地利用計画の概要でございますが、地区面積全体が、建築敷地とかあるいは区画街路緑地とか、そういうものを入れまして三十一・六ヘクタールございますが、このうちにいわゆる避難緑地都市公園法公園になるわけでございますが、この公園が八・八ヘクタール、それからそれ以外のいわゆる避難可能面積というものが、学校の運動場とか、そういうものもございますので、それが五・二ヘクタールでございますので、三十一・六ヘクタールのうち十四ヘクタールがそういう避難可能面積ということで、この地区において確保できるわけです。この根拠は、大体一人二平米という計算でまいりますと、避難予定人口七、万人程度避難広場がこの地区において確保できるという計画になっております。  それから事業のやり方でございますが、再開発事業との関係は、まずそういう避難広場という緑地は、都市公園のほうで私のほうが別途補助をいたします。東京都がその裏負担を持ちまして、これが一応管理者負担金というようなかっこうで、その地区全体のその他のいわゆる民地を買収いたしまして、そこへビルをつくるわけでございますが、そのつくる場合の資金にこれが回っていくわけでございます。それから道路とかそういうものもつくるわけでございますが、そういう道路関係の資金も、道路用地を生み出すと同時に、それが一部建築物の資金に回っていく。再開発事業は大体そういうしかけになっておるわけでございます。大体そういう考え方でございます。
  17. 井上普方

    井上委員 しかし局長、白鬚橋は江東地区の防災公園と同時に再開発を一緒にして、工場あと地を開発しつつあるのでございましょう。そうしますと、江東地区で不幸にして関東大震災並みの震災が起こったときには、先般来、一昨年ですかの大きな地震以来、一体江東地区では死者は幾ら出るのだというようなことが荷主新聞に、マスコミに流れまして、これは具体的になりますが、江東地区においてこの避難緑地は一体どれくらいあればいいと考えておられるのか。それに対して現在計画中のものは幾らか。いつがくれば一体どれだけできるのか。そのあたり具体的にひとつお答え願えますか。
  18. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 具体的な詳細な資料を持ち合わしておりませんので、基本的な考え方だけ申し上げますならば、墨田、江東、江戸川区の一部がいわゆる江東デルタ地区、災害の場合も一番危険な地帯といわれておりますが、現在この地域に七十万の人口があります。ゼロメートル地帯がかなりの面積を占めたりいたしております。したがいまして、一朝事ある際にはまず人命を守るということに最重点を置いて、そこに住んでおる人が避難できる場所を確保するということから、この地区内に六カ所の避難拠点を確保するという基本構想になっております。それで、この六カ所の場所につきましては、御指摘の工場あと地でありますとかあるいは木場の移転あと地でありますとか、そういうふうなスペースをこれから極力確保していくという考え方に立っておりまして、その第一号がさっき申し上げました白鬚東地区、これは鐘淵紡績か何かの工場あと地が中心だと思いますが、面積的には大体一人二平米ということを申し上げましたので、七十万にいたしますと約百四十ヘクタールのスペースを確保するというふうな構想になっております。具体的なそれの張りつけ等については、いま資料を持ち合わしておりませんので詳細をお答え申し上げることができません。別途また資料等で御説明申し上げたいと思います。
  19. 井上普方

    井上委員 わが国における都市公園機能というものは、私は、一つは災害の場合の避難場所という大きい目的もあると思うのです。したがいまして、そういうような点をお考えになってなお一そうの御努力をお願いいたしたいと思うのです。特に江東地区あるいはまた東京の下町地区都市公園は非常に少ない。一朝震災が起こった場合にはどうなるかということは常々いわれておるところなのであります。どうも事業があまり進捗していないようであります。いろいろと問題があろうとは思いますけれども、そこらあたりはさらに御努力をお願いいたしたいと思います。  この法律の第三条でいうところの「事業の実施の目標」及び「事業の量」というのは、これは何でございますか。計画には定めなければならないのですが、現在考えられておる目標と事業の量はどれくらいになっておりますか。これが第一点であります。  それから第二点といたしまして、五カ年計画でやっていきますと、地方都市と大都市との間に私は格差が出てくるのじゃなかろうかと思うのでありますが、この格差はどのようにして埋めていくおつもりなのか。これが第二点でありますが、この二つにつきましてお伺いいたします。
  20. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 法律の第三条第二項第一号に規定いたします「事業の実施の目標」につきましては、四十七年度以後五カ年間に行ないますところの都市公園整備の総投資額、これは九千億、うち予備費一千億でございますが、これを一般公共事業と地方単独事業に割り振りをいたします。また、その計画達成時におきますところの都市公園整備水準でございますが、これは一人当たり四・二平米という整備水準を確保したいということでございます。そういう基本的な考え方のもとに、各都市公園の種類ごとの事業の実施目標について定める予定にいたしております。「事業の量」につきましては、いま申し上げました都市公園全体の整備面積都市公園の種類ごとの整備面積というものを予定いたしております。全体の面積は、四十六年度末二万五千ヘクタールの公園面積がございますが、これを五十一年末、計画最終年次までに四万三千ヘクタールまで確保する。したがって、差し引き五年間に一万七千ヘクタールの公園面積を確保する。それだけふやすというふうな内容になります。具体的にそれの公園種別の張りつけにつきましてはいま現在作業中でございますので、この席で具体的なこまかい点について申し上げますのは差し控えさせていただきたいと思います。  それから、五カ年計画の中におきまして、大都市と地方都市の格差についてどう考えるかということでございますが、都市公園に関しましては、要するに都市の生活環境を改善するための基本的な施設でございます。したがって、都市地域におきましての基幹的な公園整備主体になるわけでございます。でありますから、そういうことからいきますと大都市といえども地方都市といえども、私どもは特に整備水準において差をつけておりません。具体的に申し上げますと、既成市街地の面積の三%以上の公園面積を確保するということがこの五カ年計画一つの目標になっております。したがいまして、そういう点からいきますと大都市も地方都市も目標は同じであります。ただ、現状に非常に差がある場合はその差は各都市によってまちまちでございますが、いわゆる格差というようなことは私ども計画において考えておりません。
  21. 井上普方

    井上委員 そこで、五カ年目標に人口一人当たり四・二平米にする、こう言われましたが、そうすると先ほどの江東地区公園の目標が一人当たり二平米というのとでは、ちょっと差が出てきますが、この点どうなんでございますか。これが一つ。  それから、地方都市と大都市との間の関係はわかりましたが、昨日も住宅小委員会において町田市長の話を承ったのであります。そういたしますと、町田市周辺は、町田市内において公団あるいは住宅公社が敷地をつくる場合に、ともかく緑というものは一木一草全部はいでしまうのだ。この地区はともかく公団敷地だといって全部緑をなくしておる。その近郊の山々もともかく緑がやがてなくなるだろう。これを何とかしてほしいという強い要求があったのであります。あじけない団地住まいでございますので、せいぜいその周辺に緑を残さなければならない。これは都市公園的な要素を持っておるわけなんです。そこらあたりに、私有の山林等々についていまのうちに指定をして何らかの制限を加えなければならないのじゃないかと思うわけです。特に町田市長さんはあそこに三つの大きい団地をつくったが、その周辺の山も丘もともかく破壊しつつある。こういうようなことを考えるならば、公団の住宅団地をつくる際にも、その団地の中に公園というような考え方一つ取り入れなければならぬじゃないか、こう思うのですが、これらに対する行政的な措置あるいは予算的な措置、これらについてはどうお考えになっておられますか、お伺いしたいのです。
  22. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 最初の江東地底におけるところの公園面積整備水準のお尋ねでございますが、さっきお答えしましたのは、あれは防災対策的な意味でそういう一人二平米の避難スペースをつくる。もうそれが平常時におきましてはオープンスペースなり緑のスペースということで開放されるわけでございますが、このほかに、やはり江東地区には児童公園なり近隣公園、そういうようなものが現にございます。また今後児童公園というものをさらに配置していくというふうなことも考えなければならぬ。これは東京都全体の中の問題ですが。でございますから、この地区においてはこれだけが唯一のいわゆる都市公園といいますか、公園面積ではない。ではどれくらいになるのかということでございますが、これはちょっといま江東地区だけについてのデータを持ち合わせておりませんが、考え方としましては、これのほかに現にある児童公園とか近隣公園とか、そういうものがございますし、さらにそういうものをこれから東京都全体の公園行政の中で整備をしていくということになろうかと思います。  それから町田市の点については、非常に大きな団地開発があの地域に集中をいたしております。私ども一般的には、大規模な宅地開発の場合、たとえば区画整理の場合は少なくとも三%の公園緑地は取りなさいということで指導いたしております。それから公団のような大型になれば五%の公園緑地面積は少なくとも最低取りなさいということで指導いたしておりますし、また現実にはそれ以上のそういう緑地スペースが団地の中に確保されているものと承知をいたしております。今後の考え方としましては、さらにこれをもう少しふやすべきじゃないかというふうな意見もございますし、環境対策ということが非常にやかましくいわれておる今日でございますので、さらにその緑地面積の確保について十分私ども関係方面との協議を遂げまして、前向きに取り組んでいきたいと思っております。それから団地以外の一般民有地にありますところの山林地、樹林地というものが破壊されていく、はがされていくのをいかに防ぐかという問題は、これは大都市、ことに大都市周辺の人口急増地域、そういうところについては非常に大きな問題になります。これにつきましては、民有緑地をいかに保全すべきであるかというふうな考え方のもとに、先刻申し上げましたように中央審議会の答申もございまして、その答申の考え方に沿いまして新しい制度を考えてみたいということで現在勉強中でございます。
  23. 井上普方

    井上委員 江東地区のお話、江東地区の御答弁は、私どうも数字的に納得できないのです。先ほどのお話でございますと、避難場所で百四十ヘクタールくらい、七十万といたしますと適当だというお話であった。ところがいまそのほかに人口一人当たり四・二平米にいたしますと、これはもう三百ヘクタールになってくるわけなんで、これあたりの数学がどうも合いません。具体的な数字をここに持ち合わさぬのでありましたらば、後ほどひとつ詳細に承りたいと思います。  それからもう一つの問題といたしましては、町田の場合もそうでございますが、多摩ニュータウンの場合も、大臣、あの広大なところを全部はいでしまっていますね。そうするといままであった緑と自然というものは全部一応消してしまうわけですね。そして地はだを出させてしまう。その中に新しくまた三%の公園あるいは五%の人工的な公園というものを考えておる。その周辺の山々、あの多摩ニュータウンの地域はともかく全部一応地はだを出すのですから、一木一草全部消えてしまう。まあ、あの人口四十万になる多摩ニュータウンはそれでいいにいたしましても、しかしその周辺の山々はまだまだ緑が残っております。ところがこれもやがてやられようとしておる。そうすると、人口四十万のあそこに住んだところであじけないものになってしまって、いまでこそこの周辺が緑で潤いがあるけれども、あれまでもなくなってしまった場合に一体どうなるんだということを考えざるを禍ないのです。団地の中に私も住んだ経験があるのですけれども、コンクリートの中で実にあじけないものです。これらに潤いを持たすためには、やはり周辺民有地あるいはその山ですね、こういうようなところについてもかなり強い規制をしなければいけないのじゃないか、あるいは買収をしなければいけないのじゃないか、このように考えるわけなんです。いま局長は前向きに検討しておるんだというお話でございましたが、これは地元の市町村長の意見もお聞きになると同時に、団地に住んでおる住民の意見もひとつお聞きになって、そして早急に対策を立てていただかなければ、索漠とした心境にならざるを得ないと思うのであります。ここにいま生活の潤いがなくて、国民教育のしにおきましても大きな問題が出てくる、将来出てくるおそれはなしとしないと私は思うのです。この点はひとつ十分御考慮をお願いいたしたいと思います。どうでございます。
  24. 西村英一

    西村国務大臣 十分注意をいたしたいと思います。同感でございますから十分注意をいたします。ことに多摩ニュータウンは全面買収ですから、あらゆるところを買っておると思いますから、こちらの設計次第で、計画はそういうむちゃな計画はしてはいかぬ。従来は多少、土地を取るために、宅地を広くするために、やはりそういうことが行なわれたかもしれませんけれども、いまはそれよりも環境ということのほうがやかましくいわれますので、十分そういうふうに指導したい、こう思っております。
  25. 井上普方

    井上委員 まあ、指導と同時に、あるいは本法案なり、私、法律をたくさんつくるのはあまり好きじゃないのでございますが、しかしながら必要ならば早急にそういうような立法措置もおとりになる必要があろうと思いますので、この点をお願いいたしたいと思います。  それから、この法律を読むと同時に、大臣の説明を見てみますと、レクリエーション都市レクリエーション都市と、盛んに出てくるのです。このレクリエーション都市というのはどんなことですか。
  26. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 都市公園の中の分類では、たびたび申し上げておりますが、都市の中の基幹公園――基幹公園というのは、各近隣住区、いわゆるコミュニティー単位の住区の基幹になる公園と、その都市全体のために必要な公園と、こういうものを私ども基幹公園といっております。コミュニティーのものは、その規模に応じまして児童公園と近隣公園地区公園と、こういうふうに分けております。それから都市基幹公園といいますのは、都市全体の総合公園と、それから主として運動を中心としました運動公園、この二つのタイプのものを考えております。そのほか、都市公園はいろいろな機能を持っております。その例としまして、公害、災害対策のための緑地、これは緩衝緑地というものもやっております。それから特殊ないわゆる特殊公園というものもございます。これは非常に風致県観に富んでおる風致公園、それから動植物公園でございます。動物園とか植物園、まあ有料でやっておるものが多うございます。それから歴史公園。そういうものが私どもは特殊公園といっております。大体、基幹公園とか特殊公園というのは従前から都市公園の中で考えてまいった公園でございますが、昨今いわゆる環境問題、公害問題ということから、いわゆる緩衝緑地といいますか、そういう災害対策のための、公害対策のための緑地というものがクローズアップされてまいりまして、都市公園の中でもこういう事業を非常に積極的に進めてまいっております。そのほかに、私ども新しい五カ年計画では大規模公園というものを考えております。といいますのは、市民の生活が非常にモータリゼーション等の関係で広域的になってきている、そういうこと、それからなかなか都市地域の中にそういう公園というものをとるのが非常に困難であるということから、都市地域外に大規模公園をつくるというのがその考え方でございまして、との大規模公園にはいわゆる広域公園と称するもの、たとえば東松山で武蔵丘陵森林なんかの国営公園をやっております。ああいうものが大規模公園の中の広域公園一つじゃないかと思います。  それともう一つは、やはり首都圏とか近畿圏とかあるいは中部圏とか、そういう大きなリージョナルな地域、人口五百万とか、そういうふうな地域の人々が広域的なレクリエーション活動、これからそういうものが非常に盛んになってまいりますので、そういうものを受けとめて健全なレクリエーションの基地をつくってやる。国立公園とか自然公園もありますけれども、そういうのはあるがままの自然景観を楽しむということでございましょう。そのほかに、やはりそういう環境のいいところへ健全なそういうレクリエーションのための基地をつくってやる。そういうところは非常に現在はまあ過疎地域みたいな、漁村とか山村とか、そういうふうな都市がございます。そういう市町村をつかまえまして、新産都市とかなんとかというようなレッテルがございますが、私どもはかりにレクリエーション都市というようなレッテルを張ったわけでございますが、やりますことは、そこに、非常に環境のいいところに核になりますところの都市公園、しかもかなりこれは大規模な、五百ヘクタールとか、場合によれば一千ヘクタール程度、そういう大規模都市公園をそこへつくる。そしてその都市公園と恵まれた自然環境が一体をなしたような環境整備をやって、しかもその周辺にいろいろな、そういう僻地でございますから健全な宿泊施設あるいは遊戯施設とか運動施設とか、そういうふうな土地土地に合ったようなレクリエーションのための施設を配置する。そういうものを含めた一体としたものを私どもレクリエーション都市と、こう申しておるのでございますけれども都市公園整備五カ年計画で取り上げますのは、その核になりますところの大規模都市公園というものをこの計画では考えておるわけでございます。
  27. 井上普方

    井上委員 レクリエーション都市なんという新しいことばが出てきて、都市というからよっぽど町をつくっているところとかどこかと思ったら、山村僻地。ちょっとこれは局長ことばを考えていただかなくちゃ……。お知恵のある建設省の方方、レクリエーション都市じゃなさそうで、レクリエーション山村じゃないですか、漁村じゃないですか。そこらあたりはもう少しことばを考えていただきたいですね。たとえていうならば四国は一体どこどこを考えていますか。足摺岬のあのふもとあたりを考えているんじゃないですか。
  28. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 具体的に第一号で私どもいま考えておりますのは三重県の紀伊長島というところですが、紀伊長島は人口約三万くらいの町でございます。漁港でございます。漁港を中心としたいわば都市といえば三万。その漁港を中心にしましたその周辺のいい環境のところにこういう大きなレクリエーションのための当地をつくるわけでございます。そうなりますとかなりのレクリエーションのための人がそこへ常時出入りするわけでございます。でございますから、一つの大きな観光都市レクリエーション都市として紀伊長島が今後大いに発展していくということが考えられるわけでございます。そういう意味合いから私どもレクリエーション都市といっているのですけれども名前が適切かどうか、いろいろ御批判もございますので、私ども名前そのものについては十分検討してまいりたいと思っております。  それから四国につきましては、いまいろいろ候補に上がって調査等をやっておりますのは愛媛県の南の宇和島でございますね。宇和島の市を中心にしましたあの南部地域、非常にいいリアス式の海岸地帯がございます。そういうようなところをいまいろいろ調査をいたしております。
  29. 井上普方

    井上委員 その宇和島のリアス式の非常に景色のいいところに原子力発電所がつくられるのです。ここらあたりの関係は一体どうなるのですか。調査中ということですが……。
  30. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 お答えしますが、原子力発電の候補地に上がっているというところとは違っているようでございます。原子力発電所は佐田岬の瀬戸内海側のほうだというふうに私は伺っておりますが、私どもの考えておりますのはそうじゃなくて南でございます。
  31. 井上普方

    井上委員 それはあなたおいでになったことないからですよ。南側ですよ。南と北と、瀬戸内海、佐田岬の両側にわたっているんです。主体は南側になっている。こういうようなところに原子力発電所をつくること自体についても、瀬戸内海国立公園場所でもあるし、私は問題だと思う。私は宇和島にも再三参ったことがありますけれども、はたしてどうかと思うのでございますが、それはともかくといたしまして、これは十分調査をやっていただいて――建設大臣、先日私がお伺いしたときには、建設省は国土省であるというような御表明もあったので、私は建設大臣にお願いするのでございますが、特に公害を発生させるようなものが風致地区に、そういう風光明媚でレクリエーションの場としては最適だといってともかく建設省が選んだところに原子力発電所ができるというようなときには、ひとつそれをチェックしていただきたい、このことを強く要望をいたしまして、私は質問を終わります。
  32. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、阿部昭吾君。
  33. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 簡潔にお尋ねいたしますが、今回のこの五カ年計画、この措置法と都市公園法との関係、これがすかっとつながらないものがあるわけであります。たとえばいまも議論になりましたレクリエーション都市、こういうような問題などでもありまするし、本来、この五カ年計画の措置法の中にいろいろなものが盛られてくる場合に、本法の都市公園法整備、これをやっておかなければならないというふうに思われるのであります。そういう個所が幾つかあります。したがって、本法といまの都市公園措置法との関係を一体のものとして整備をする、こういう必要があると思うのであります。私ども実は前提としては、修正案を出そうというふうに思ったのでありますが、いま修正案ということになりますといろいろこんがらかってくるというので、早急に本法と今回の措置法との関係整備をひとつはかってもらわなければいけない、こういう前提を持っておるわけであります。  時間の関係で、ずっとお尋ねをして答弁は一括してお願いいたしますが、いまの措置法、この五カ年計画で国庫補助の対象になる公園事業、これは全体の事業量に対して国庫補助の対象になるのは約四〇%。そういたしますと六〇%というのは地方の単独事業を中心としてやらざるを得ないということになるわけであります。したがって、国庫補助対象というのは一体どこを基準としてやるのか、この基準も明確にしていかなければいけないのではないかというふうに考えるのでありますが、この点が一つ。  それから、最近自然環境の確保あるいは保全、こういう問題が非常に問題になってきておるわけであります。そういう意味では開発行為を規制していく――いまも出ました建設省整備をやっていこうと考えておる地域、その中に原子力発電所が行なわれる、あるいはその他のいろいろな開発が行なわれていくということになりますと、いま措置法あるいは都市公園法一つの問題として問われる自然環境の保護、保全、こういう問題と一致をしない。こういう面が出るわけでありますから、当然これらの開発行為を規制をするということをしっかりしていかないと、一方では公園整備自然環境の確保をやろう、その一方では開発はどんどん進められて、どうも率直にいって公園整備という事業はいろいろな意味でむずかしい事業であります。特に過密地域において公園整備をやろうということになりますとなかなかむずかしい問題がある。したがって、全体からいうとどう本開発のテンポに押しまくられて、公園というのは全部下積みに埋没をしてしまう、こういう現象が随所に起こっておるわけでありますから、当然、そういう開発の行為というものを、自然環境の確保、保全という観点から、建設大臣として一定規制をしっかりと強化をしていかなければならない、こういうふうに考えるわけでありますが、その点が一つ。  それから、いまも申し上げましたように、最近は国庫補助対象になるのは、この措置法をもってしても四〇%で、六〇%は地方の単独事業その他でやらざるを得ない。特に地方公共団体公園整備のために非常な財政の負担というものをやっておる。したがって、地方公共団体の負担を軽減する措置、これをもっと強化しなければいけない。これはかつて、同じ都市局の都市政策の一環として下水道の整備計画の段階でも、いまの四〇%という補助率を七〇%に引き上げろ、こういう附帯決議を私どもは付した前例があるのであります。したがって、私ども今回のこの措置法の中でも、現在の三分の一の補助率、こういうものをもっと強化をせい、七〇%、このくらいまで上げいということを附帯決議の中に明文化したいと考えたのでありますが、そうなりますとなかなかまたいろいろなやっかいな問題も起こるということでありましたので、補助率の引き上げあるいは起債等の充当率の引き上げに努力をせい、こういうところにいまとどめております。考え方からいうといま言ったとおり、最近のこの事業に対する国民的な要請の大きさ等から見ましても、やはり一定の金額を明示した希望を申し上げたいのでありますけれども、今回決議としても準備をいたしておりますが、そこまではいたしておりません。おりませんが、考え方はそこにあるということを含んで前向きな努力をしてもらわなければいけない。これが一つであります。  それから、この間の首都圏整備の段階でも、たとえていえば立川基地のあと地、こういうものは公園であるとかあるいは地域環境保全のためにあと地利用というものを考えてもらわなければいけない、こういう意見を申し上げておったわけでありますが、公園用地の確保についても、私どもは国あるいは公有地の活用に努力をしてもらわなければなりませんし、特に基地返還という、要求はいま次第次第にますます大きなものになりつつある。この返還基地のあと地あるいは河川敷、こういうものの利用についても、公園用地に対して優先的に充てていく、こういう方向での政策を要求するわけであります。これが一つであります。  いま一つの問題は、さっきも井上委員から指摘もございましたが、レクリエーション都市、この場合に、国または地方公共団体でないいろいろな事業主体でやるものが非常に広がっておる。この場合には当然に補助金や何かも受けておる。しかし結果的には営利を目途とする事業ということになっていっている問題もたくさんあるわけであります。したがって、少なくとも公園整備といった問題が営利追求の手段になっていくということ、ではいけないのでありまして、あくまでも国民の立場に立った、利用者本位の立場に立ったやり方にしていかなければいけない。そういう意味で建設大臣の指導というものを大いに強化をしていかなければならないというふうに考えておるわけであります。  時間の関係で全部まとめて私どもの考えを申し上げ、お尋ねをしたのでありますが、答弁をお願いして、ぜひ私どもの主張に前向きにこたえるような努力を求めたい、こういうふうに思うところであります。
  34. 西村英一

    西村国務大臣 基本的なことを私申しますと、今回の法律は、いままでおくれておったいわゆる公園について、今後一歩前進しようとするものでございます。従来も予算的にやっておりましたが、それじゃ実際問題としてなかなか進みませんから、ある程度のワクを五カ年の間にこれだけ投資しますということで、今度五カ年計画をきめたというのはこの趣旨のあれです。したがいまして、皆さま方の御了承を得れば閣議決定をしましてちゃんとしておく。しかし、その対象になる、金をつぎ込む事業は何だ、こういえばいわゆる都市公園法公園が主たるものでございます。しかしだんだん時代も変わりまして、前につくった都市公園法以外に考えるものがだんだん出てきたのでございまして、その点で第一項の対象になるのがいわゆる都市公園法公園、その他都市計画できめられた緑地、それからもっと民間が協力してやろうというものも出てくるのじゃないか、こういうことでそういうふうに金をつぎ込もうということでございます。金のワクも決して私は多いとは思いません。思いませんが、従来に比べれば二倍以上の金をつぎ込むことでございまするから、まあまあということでございます。  それからいまお話のございました補助対象、補助率の問題でございます。これも非常にがんばったつもりでございまするが、この程度にしかならなかった。補助率で制限をされ、補助対象で制限をされる。それですから実際に金を投じることはわずかでございまして、その他は地方公共団体の負担になるのでございます。これを今後もわれわれとしては拡張していきたいと思っております。私はその点についての考え方は、公園地方公共団体の固有の仕事であるから、この補助率、補助対象を上げるということもさることながら、地方公共団体にそれに見合う金をどっさりやるということも一つの方法でございまするから、これはともにそういうことでとにかく公開が整備できるように進めなければならぬと思っております。  レクリエーション都市ということばが非常に問題になりましたが、これは法律用語ではないのです。法律の中にはそういうことはうたっておりません。ただ、休養場所が非常に広くなる。それはレクリエーションの勢いが非常に盛んになりまして、少々のところでは受け付け得ないように広くなっていく。都市ぐるみにならなければならぬようなところが起こるかもしれぬ。そのときにはやはり民間の協力を得ようじゃないか。しかし、第三号はきわめて少ない特殊の場合と私は思います。私自身が、井上さんが言ったようにレクリエーション都市というものは全然わからなかった。だんだんわかってきた。それですから、これから皆さんもだんだんわかるようになると思います。その運用は十分気をつけてやりたいと思っております。  その他のことは政府委員から説明させたいと思います。どうぞよろしく。
  35. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 大臣からお答えがございました以外のことにつきまして、簡単に御答弁申し上げます。  まず、都市公園法と緊急措置法の関係につきすましては、早急にこの都市公園法管理体系をもう一ぺん見直してみたいということで、作業に入ってまいりたいと思います。  それから自然環境保全のために開発行為の規制につきましては、これも中央審議会の答申がございますので、あれを受けまして、新しい、民有緑地を主にいたしました、そういう開発行為の規制等の保全措置について、何らかの制度化も勉強してまいりたいと思います。  それから基地のあと地利用につきましては、私どもも、こういう御時世でございますし、公園そのものがなかなか用地難でございますので、こういうまたとないまとまった土地につきましては、極力公園用地に転用されるような方向で最大の努力をはかってまいりたいと思います。河川敷の利用につきましても、たびたび申し上げておりますように、利用できるものは極力公園として利用してまいりたい、かように考えております。
  36. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 だんだんにわかってくると思うのでありますが、大臣、補助対象事業と単独事業、これを明らかにして公表してもらいたいと思うのであります。地方のサイドからいうと全部補助対象にしてもらいたい、こういう願望が出るわけであります。しかしそこには一定の基準があって、これこれこういう内容を整えれば補助対象になる、これこれの条件を整えなければ補助対象にならぬ、したがって地方単独事業だ。これはやはり基準を明瞭にするとともに、事業そのものも今回の、五カ年計画の中でもっと明確化して、地方が公園整備に対して的確に対応できるような方向を出してもらわなければいけない、こういうふうに思うのであります。  それから、ことばじりをとらえるわけじゃありませんが、規制の問題についても、開発行為の規制公園整備というものは両立をしない、矛盾が起こる、こういう場合にどうするかという問題、これはおいおい強化をしたいということでもありますが、私はやはり、勉強してみましょうということじゃなくて、もっと根本的に、いま私どもが指摘をいたしましたような方向での具体的な手段をひとつ進めてほしいというふうに強く要求をいたします。この問題について御答弁をいただいて終わりにしたいと思います。
  37. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 補助対象、それから単独の関係公園種別ごとに、御趣旨、御意見のとおりに、私ども五カ年計画を明らかにします際に、明確に各公共団体関係者がわかるような方法につきまして十分の措置を講じてまいりたいと思います。  それから緑地保全につきましては、次期通常国会でぜひこれを制度化するように最大の努力をはかってまいりたいと思います。
  38. 亀山孝一

    亀山委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  39. 亀山孝一

    亀山委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  内閣提出都市公園整備緊急措置法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  40. 亀山孝一

    亀山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  41. 亀山孝一

    亀山委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、葉梨信行君、阿部昭吾君、小川新一郎君及び渡辺武三君から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者葉梨信行君から趣旨の説明を求めます。葉梨信行君。
  42. 葉梨信行

    ○葉梨委員 ただいま議題となりました都市公園整備緊急措置法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してあります。  御承知のとおり、本法案は、最近における都市環境の悪化等の現状に対処するため、都市公園の緊急かつ計画的な整備を促進しようとするものでありますが、本法の施行にあたっては、現行都市公園法整備充実、すぐれた緑地等に対する保全制度の創設、地方公共団体の財政負担の軽減、国公有地の活用及びレクリエーション都市の建設に対する利用者本位の施設整備等について、政府は遺憾のないよう措置する必要があると思うのであります。  以上で趣旨の説明を終わります。委員各位の御賛同をお願いいたします。     ―――――――――――――    都市公園整備緊急措置法案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行にあたり、次の諸点について留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。 一、最近における都市環境の悪化等の現状にかんがみ、都市における公園緑地の積極的かつ計画的な整備を促進するため、本法の母体となる都市公園法をより総合的な制度とするよう整備主体及び基準、助成等について、すみやかに所要の改正を行なうこと。 二、都市及びその周辺における良好な自然環境の確保と保全を図るため、優れた樹林地、池沼等について緑地保全の制度を創設し、開発行為の規制の強化に努めること。 三、公園緑地整備の緊急性にかんがみ、地方公共団体の財政負担を軽減するため、補助対象範囲の拡大、補助率及び起債等の充当率の引上げ等に努めろこと。 四、公園用地の確保にあたつては、国・公有地活用に万全を期するとともに、特に返還基地、河川敷地の利用については、公園用地に優先的に充てること。 五、レクリエーション都市の建設にあたり、国又は地方公共団体以外の者が施置せる都市計画施設及びその周辺部におけるレクリエーション施設については、営利を追求することなく、利用者本位のものとするよう指導すること。  右決議する。     ―――――――――――――
  43. 亀山孝一

    亀山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  44. 亀山孝一

    亀山委員長 起立総員。よって、葉梨信行君外三名提出のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、西村建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。西村建設大臣
  45. 西村英一

    西村国務大臣 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見については、今後その趣旨を生かすようにつとむるとともに、議決されました附帯決議につきましても、その趣旨を十分尊重し、今後の運用に万全を期して、各位の御期待に沿うようにする所存であります。  ここに、本法案の審議を終わるに際し、委員長はじめ委員各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表し、あいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  46. 亀山孝一

    亀山委員長 なお、おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  48. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  建設行政基本施策に関する件調査のため、本日、日本道路公団理事伊藤直行君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ――――◇―――――
  50. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田唯一君。
  51. 浜田幸一

    ○浜田委員 私は五点だけ質問さしていただきます。時間が限られておりますので、答弁は簡潔にお願いを申し上げます。  まず第一点の問題は、過般御質問を申し上げました東京湾横断堤の問題であります。この問題は実は先々委員会におきましても議論をされたところでありますけれども、いまだ建設省計画というものが実は明確にされておりません。これは私どもといたしましては、新しい工法による問題でありますからたいへんであることはよくわかっておりますが、千葉県民の十カ年間にわたる願望を果たすために大切な問題でありますから、この際具体的に御質問をいたしたいと思うのであります。私どもの勉強の過程の中では、予算二千五百億円という計画を立てまして、建設省で一応試算はされまして、二千五百億円あれば横断堤の実現は可能であるということで実は私どもは記憶いたしておるのでございますが、一向にその先に進まないわけであります。たとえば、私どもはお願いをいたしまして、閣議にこれが特殊会社法の設立の認定をしていただいて、そうしてその実現を早期に果たしたいということまで実は話し合っておるところでありますが、そういうものを含めまして、建設大臣、この問題についてどのようなお考えをお持ちであるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  52. 西村英一

    西村国務大臣 簡単にお答えしますが、これは大局的には、これだけの大事業ですから、やろうとすれば特別な法律をつくってやはりやらなければならぬと思います。それで、閣議に出せというお話ですが、閣議に出す段取りまで詰まっていない。これは、最後までの詳細な設計というようなことは、やることがきまってからでいいわけですが、その前の段階が、まだやるように詰まっていないところで閣議での発言はできない。それからいよいよやるという段階になれば特殊法人をつくってやらなければいかぬと思いますが、いませっかくそういうような洋紙について詰めておる段階でございます。なかんずく、運輸省の船舶航行の問題についてまだいろいろ詰めておると聞いております。その他は私のところの予算をもってそれぞれやっておりますから、詳しいことはひとつ事務当局から……。
  53. 浜田幸一

    ○浜田委員 根本前建設大臣はこの問題についてはっきりと言い切っております、その実現のために努力しますと。そのことについては現在の西村建設大臣も同じ意向でございましょうか。その点、もう一点だけ確認さしていただきたいと思います。
  54. 西村英一

    西村国務大臣 同じでございます。
  55. 浜田幸一

    ○浜田委員 それでは運輸省にお伺いをします。これは具体的な問題に入ります。いま大臣は、運輸省が航路制限とか航行の自由の問題、そういう問題で各省と煮詰めておられるという答弁をされましたが、一応現在の建設省あるいは運輸省の検討の段階で、私どもが持っております資料を見ますと、一応一千五百メートルの幅員をもって、そこに人工島を二つつくって、そこを沈埋トンネルで通過をさせれば東京湾の航行は可能であるという、実はそういう図面まであるわけでありますが、運輸省としてはこの点についてどうですか、お伺いします。
  56. 信沢利世

    ○信沢説明員 私、鉄道監督局の施設課長で、実は新幹線のことで御質問があると伺っておりましたが……。
  57. 浜田幸一

    ○浜田委員 道路局長にお伺いします。あなたは、製作された図面を、一応あなたの部下がつくり上げられている、検討されている図面を見たことがありますか、お伺いします。
  58. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 詳細の図面については私はまだ見ておりませんけれども、いろいろな調査の資料その他につきましてはかなり詳しく調べているつもりでございます。ただいまの御質問につきましては、先生御承知のように、東京湾を横断する川崎-木更津の横断道路が十五キロメートルになっていると思います。そのうち、主として大きな船が通るところは千五百メートルの幅の主航路になっておりますが、それに両サイドに五百メートルずつの余裕をとりまして、そうしてアイランド、二つの島をつくるということになっておりまして、つまりその主航路の千五百メートルプラス五百メートルずつ、すなわち二千五百メートルの間は沈埋トンネルで通るという工法でやっているわけでございます。そのほかに副航路というのがございますが、これは五百メートルの幅をとっております。ただいまそういうことで設計いたしまして、われわれは二千五百億の金がかかるというふうに積算したわけでございますが、その後、最近におきます汚濁の問題もございますし、それとともに東京湾内における航路のふくそうの関係から、運輸省のほうといたしましては主航路をもう一つ、つまり二つ設けていただけないかというふうな意見がただいま出ておるようでございまして、事務的にはこれを現在相談中でございますが、まだ二つにせよというふうな最近の決定は出ておりません。したがいまして、この調査はまだ完全に終わってないというのが現状でございます。
  59. 浜田幸一

    ○浜田委員 そこでお伺いしたいのですけれども、各省協議といいますか、そういう調査研究をして結論を出す、そういうものは大体いつごろまでに煮詰める予定なんでしょうか。たとえば、私どももこの問題の勉強をいたしておりますけれども東京湾の今度横断提をつくる場合の底のヘドロの処分の問題も、新工法によりましてそのヘドロを全部吸い上げて取り上げまして、そこに山砂を持ってきて埋めて基盤整備をする、そういう具体的な問題まですでに煮詰まってきておると思う。ところが私たちが受けた情報によりますと、たとえば川崎から東京に乗り入れる取りつけ道路の問題、というよりもそれと連結する道路の問題ですね、そういうものの取り扱いについて、公団がやるのか建設省がやるのか、その辺の結論が出ていない。そういうことが東京湾の横断堤の実現をおくらしている理由であるということまでわれわれの中でいわれているわけですね。横断堤の本体そのものはそういう形で検討されているけれども、その付帯道路であるそういうものが、たとえば有料道路に結ぶまでの道路計画とかいうものが何かネックになっているようなことはないのでしょうか。その点ひとつお伺いをしたいと思います。
  60. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 横断堤が取りつきます道路をだれが施行するかということがきまらぬためにおくれているのじゃないかという御質問というふうに受け取れますが、実はわれわれ事務当局が一番心配しておりますのは、おっしゃるとおり、横断堤ができましても、たとえば東京都内にどういう入り方をするかとか、それから横浜にはどういうふうに行くかということが、そういう横断堤か中心といたしました東京周辺の幹線道路網の計画が完全にできないと、橋はつくった、東京都に流入して混乱するというだけでございますので、争ういう幹線道路網の計画を急いでいるわけでございます。御承知のように東京湾岸の道路がございます。これはすでに着手もしておりますし、すでに施行主体もきまってどんどん工事は進めておりますので、これはまず見通しがついております。その次に東京外郭環状線という道路がございます。これは単に川崎-木更津の横断橋のためだけじゃなくて、東京都内に入る名神、東名をはじめすべての道路を受けとめるリムとして重要でございますけれども、われわれ自身は、この川崎-木更津線ができますと一日数万台の車が、東京都を通り過ぎて宇都宮なり方々に行く車があろうと思いますので、これに対する整備がまた一つの大きな問題として考えております。ところが、御承知のように、外郭環状線につきましては、埼玉県内と千葉県の側につきましてはすでに着工しておりますが、東京都内につきましてはいまだ着工しておりません。このめどがつかないと、せっかく川崎-木更津線ができましても非常な波乱を招くだけであろうというふうなことで、実はこの東京外郭環状線の整備といいますか、都市計画決定もまだしておりませんので、このほうを非常に急いでおるという状況でございます。そういう意味から、それに若干足を引っぱられておるという感じを受けないわけではございません。
  61. 浜田幸一

    ○浜田委員 いまようやく本論に入ってまいりましたが、いま説明されたところが問題なんです。それでは、いま湾岸道路は着々と進められておると言いましたけれども、湾岸道路はいつできますか。私から言うのはたいへん恐縮なんですが、実際の問題として東京湾の埋め立ての事業認可権は千葉県が持っておる。ところがその認可権を与える主体は漁民なんです。漁民の協力なくして湾岸道路ができるとお考えになっていますか。何年たったらできるのですか。千葉県の開発計画に基づいて、埋め立てが終わったあとに道路を通すということでしょう。そうしたら、あなた図面を見てごらんなさい。湾岸道路が着々と進んでいるということであっても、沈埋トンネルはきまっていても、東葛飾を通り、小松川を通っていくところのその地先にどうやってつくろうといわれるのですか。そういう問題がネックになっている。道路状況の緩和のために、千葉県の中間地帯から南部の、京葉有料道路や湾岸道路を通ってこなければならないものを、今回東京湾の横断堤をつくり、同時にそれは東京都に乗り入れるものは乗り入れるもの、あるいは通過させるものは通過させるものということで道路の、区分帯をつくって、いまあなたの説明された環状道路に対する利用の方法とかそういうものを考えていかなければ、いまの交通は緩和できないのじゃないですか。もう一点申し上げておきますが、これに付随して、京葉道路は成田新東京国際空港まで行っていますね。湾岸道路ができ上がるのがおそくて、来年から空港を利用するようになった場合に、現在の京葉工業地帯や、成田の国際線を利用してくるお客さまあるいは利用する国民に、完全に時代の要請に沿ったような形で利用される道路だとお考えになっていますか。私はそれができないと思う。だからこの問題は、ただ単なる千葉県と東京を結ぶという形だけではなしに、将来の交通事情の緩和のためにも、実現を早くすればするだけプラスになるんだという意見に基づいて御質問申し上げている。  私はこれは一つずつお伺いしますけれども、それなら東京湾の湾岸道路というのは、千葉から東京の間は何年になったら結ばれるのですか。このことをお伺いしておきましょう。
  62. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 千葉から東京の間と申しましても広うございますので、実は東京都の端、つまり江戸川からと申し上げたいと思います。その場合は、ただいま埋め立てがまだ完全に終わっておりませんのが幕張の海岸付近でございまして、これが五十一年には完了することになっておりますので、五十一年の時点におきまして全線湾岸道路はできることになります。なお東京の都心のほうに入ります湾岸がございます。これにつきましては葛西沖の埋め立てがようやく最近着工になりましたので、これは四十九年度までに完了することになっております。四十六年度からこれを見越しまして、首部高速道路公団に葛西沖周辺、荒川を渡る橋の着工といいますか、実際に工事にかかっておりませんが、事業費としては着工を認めておりますので、これらを含めまして五十一年末、五十二年には完全に東京都心と千葉市内とは結ばれることになっております。
  63. 浜田幸一

    ○浜田委員 あなたの言われた幕張海岸、これはそういうことで終わりになるということになっておりますが、幕張海岸の漁業補償は終わっているとお思いですか。ちょっとその点聞かせてください。漁業補償が終わってない個所を五十一年までにできるなんという、そんな資料に基づいて答弁されたらたいへんですよ。その点お答えください。
  64. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 おっしゃるとおり幕張沖はまだ完全に解決しておりませんが、今年中に解決する見通しに立ちまして一応計画は進めております。
  65. 浜田幸一

    ○浜田委員 もしあなた方建設省がほんとうにこの湾岸道路というものを完成させるためには、千葉県なら千葉県が漁民を説得して漁業補償をし、そこに工場地帯の誘致をするなり何なりという形で埋め立て計画を立てなければいけないんですよ。政府の統一した見解がそういう中に脈々と生きていかなければならない。ところがそれだけの埋め立てをするためには、たとえば工場地帯の誘致をしなければ埋め立てる金が出てこない。そうすればまた現在東京で問題になっておるスモッグの問題とか開発規制の問題とかいろいろな問題に関連性が出てきて、そういう問題によってこれの解決がどんどんおくれていけば、これは道路ができないということになる。そこで建設大臣はじめ建設省に考えていただかなければいかぬ問題は、湾岸道路というものは絶対につくらなければならぬものだとするならば、千葉県当局に、現在たとえば工場地帯造成のための埋め立て地とかあるいは港をつくるための埋め立て地とかいうことではなくて、道路をつくるために必要な先行投資、予算というものをこの際国なら国が代払いをしておいて、漁民を説得しておいて埋めていく。そうして道路部分を先に通していく。片方では千葉県側にまかせっぱなしで、そして五十一年にできないものをできるという形では、私は正しい道路計画にはなっていかないと思う。  なぜそれを急ぐかという理由について申し上げますと、きょうもそのために運輸省の方々にも道路公団の方々にも来ていただいているんですけれども、成田につないだ京葉道路、これは道路局長はよく御存じのとおり、朝六時に千葉市を乗りますと、三十五分から四十分で東京の霞ケ関に着くんです。ところが七時五分に乗りますと、これが二時間二十分かかるんです。いいですか。これから夏の日曜日の夕方になったら、この有料道路を抜けるのに――木更津から千葉までわずか三十七キロです。東京まで五十キロとして八十七キロ、これがだんだん渋滞してきて八時間かかるんですよ。そのピークのときに飛行機が着く。アメリカにジャンボならジャンボあるいはマッハスリーで行く時間くらい有料道路だけで時間がかかるんですよ。それで国際空港を満足させるための道路と言えますか。いまでもそういうネックの状態にあるし、混乱した複雑な状態の中にあるから、そういう問題を解決するために湾岸道路をつくろうとしているわけでしょう。そこで五十一年までの三年、少なくとも国際空港に飛行機が来年おりるようになって、おりられる人や千葉県の人たちは、三カ年間というものは、通れない有料道路に料金を払ってそこに乗らなければいけないということになるわけですよ。この問題はわれわれ空港特別小委員会の中でもはっきり何回も主張しているわけですけれども、そういう問題があればこそ私がきょう質問をしているわけなんです。湾岸道路は五十一年までにできると覆うが、幕張の漁業補償ができなかったら湾岸道路はできないでしょう。この点をもっと逆に、建設省から千葉県側に対して、この道路を何年までに完成させなければならないから、われわれもそういう漁業補償の問題についてはこういう措置をとりますというような考え方が出てこなければ私はだめだと思う。  そこで私は、これは議論ですから、この際委員長にお許しをいただいて、大蔵省の藤井主計官にお伺いしたいと思います。いまお聞きのような状態なんですけれども、実際にいままでの漁業補償とか埋め立てとか、そういう認可権は千葉県に与えられていますし、同時に、道路をつくる場合でも、そこを埋め立てして、工場用地の中に公共用地として道路幅を百メートルなら百メートル残すというのが現在の湾岸道路計画なんです。ところが、それは漁民を説得するだけの金がなければならないはずだ。同時に誘致をするものから金を吸い上げて漁業補償を払っておりますから、そういうものが解決されないと湾岸道路はできないということになる。ところが、実際的に空港の問題一つとらえてみましてもいま申し上げたとおりのような状態なんです。そういう場合には大蔵省で、どうしてもやらなければならない問題については大蔵省として予算的に何か考える方法はないのでしょうか。その点ちょっとお伺いしておきます。
  66. 藤井直樹

    ○藤井説明員 湾岸道路の用地につきましては、ただいま先生のお話しのように、埋め立て事業と並行して、それによってできた土地の上に道路用地を確保していくという形になっておりますけれども、この形について、ただいま埋め立ての企業体のほうでなかなかそれに応ずるものがないということになるにいたしましても、やはり県自体の卒業として埋め立ては進めていけることになると思いますので、そちらのほうの資金で一応やっていただいて、その上で道路敷地の貸し付けを受けてやっていくということで対処してきているわけです。今後につきましても、実際の企業立地との関係もございましょうけれども、やはり県の企業体としての事業の中で措置をしていただく、こう  いうふうに考えております。
  67. 浜田幸一

    ○浜田委員 大蔵省の主計官としては、道路施設予算というものは建設省から要求されれば当然ペイしていく、しかしそれ以前の問題は、千葉県側の既得権があるので、千葉県側にお願いするしかないことになると思う。海の中に道路をつくる場合には、必ず民間企業の進出を求めなければ道路はつくれないという解釈になってくるわけですね。これは御理解いただけると思う。千葉県のペースでいけば、いまスモッグ、大気汚染と、あらゆる公害問題があるのに、そこに道路をつくってもらいたいという要求はありますけれども、それをつくっていくためには、いま日本の中で一番問題になっているそういう問題まであえておかさなければ道路ができないということになりますと、これはやはり国の政策として正しいことではないのではないか。むしろそういう特殊状況の中にある道路設置の問題については、当然海の中に施設をしなければ道路ができないとすれば、その道路をつくり上げるために必要な海を用地とお考えいただいて――用地取得費というのは出るわけですから、日本列島の場合。海の場合だけそういうものがペイされていかない、支出されないというのは私は理解に苦しむ。この問題は結論の出せない問題でありましょうけれども、特に幕張地区が漁業補償も終わらないとすれば、この道路は五十一年にできないかもしれない。そうしたらこれは交通上大混乱になるわけです。そういう問題がありましたときには建設省のほうからも大蔵省に話がまいると思いますけれども、どうかいままでの持論をお変えいただいて、何とかこの道路ができ上がるように、大蔵省当局としても積極的に独自の御検討をいただきたい。もちろん法律的にできないこともあるかもしれない。法律的にできないからということになればこれは立法も考えなければなりませんが、もっと大きな問題は、先ほど申し上げたとおり、煙突の林立をさせなければ、あるいは国なら国の要求である港をつくるということでなければ、漁業補償費は払えていかないのですね。そうしたら、東京湾総合利用計画案を大蔵省から運輸省から各省でつくり上げても、東京湾の問題は解決しないということです。港は横浜港、東京港、今度京葉港、木更津港、千葉港と五つの港をつくり上げて、現在の荷揚げ量の二・五倍になる。そういう東京湾の総合利用計画が、複雑怪奇な状態、いろいろな問題を解決しなければ、道路一本できていかないのですよ。そういうような問題の解決をどうするのかということを、この際大蔵省にも考えていただかなければならないのではないだろうか。新しい時代を迎えるにあたって、たとえば工場をつくらなければならない、港をつくらなければならない、そうしなければ道路ができないということだけではなしに、日本列島を縦断する大動脈をつくるために必要な条件というものなら、たとえそこが海であろうが特殊な予算を計上するような形を研究していただいてつくっていただかないと、この湾岸道路は、もし漁民を扇動するものがあったり、あるいは漁民の中にごね得をするものがあったり、いろいろなそういう条件ができたときに企業は出てこないということになって、できないことになる。それはそれでお考えいただけばいいわけでありますけれども、大気汚染は、いま川崎製鉄で〇・〇一八PPM以下ということに規制した。これはもう大気汚染をする企業は千葉県に出てこられないということははっきりしている。一体何が出てくるのですか。中小企業団地をつくる、何をつくるということになっても、交通、公害で企業が絶対出てこられないとすれば、国か県でこれをペイして漁業補償をしなければならないというときが、一年後、二年後にきっと出てくる。そういう問題を千葉県当局も煮詰めていただく必要があると私は思います。この点は要望として、主計官にひとつ研究をしていただきたいということだけをお願いしておきたいと思います。  それから、道路公団にお伺いしたいのですが、横断堤の問題、御存じでしょうが、ちょっとお答えをいただきたいと思う。
  68. 伊藤直行

    ○伊藤参考人 非常に詳しくは、ほとんど承知しておりません。
  69. 浜田幸一

    ○浜田委員 ということは、道路公団としては横断堤は問題にしていないというふうに受け取ってよろしいでしょうか。
  70. 伊藤直行

    ○伊藤参考人 現在は建設大臣からの命令の、区間に入っておりませんし、幹線自動車道路網の中に含まれてないと承知しておりますので、私のほうでは積極的にこれに参面しておりません。
  71. 浜田幸一

    ○浜田委員 それでは、そういう話があるということは御存じでしょうか。
  72. 伊藤直行

    ○伊藤参考人 承知しております。
  73. 浜田幸一

    ○浜田委員 承知はしておるけれども、非常にはなはだしく知らない。どういうことなのかわかりませんが、承知はしておるけれども研究するに値しないものであるというお考えなのか。それとも建設大臣からそういう問題の研究をしろという命令が入っていないし、現在の環状道路計画の中にも入っていないから道路公団の関知するところではないというお考えなのか。その点、どうでしょうか。全然問題にしていないということですか。
  74. 伊藤直行

    ○伊藤参考人 こういう大きなプロジェクトの問題は建設省のほうがお考えになることになっておりまして、道路公団としては積極的にその以前に調査を開始するとかいうような仕組みになっておりませんので、以上お答え申し上げたような次第でございます。
  75. 浜田幸一

    ○浜田委員 それでは、次の質問とこれは関連がありますからはっきりお答えください、伊藤理事。それでは道路公団として関係されております道路の中に千葉県では何がありますか。あなたが関係しておられる東京と千葉県を結ぶ道路として何があるか、お答えください。
  76. 伊藤直行

    ○伊藤参考人 現在のところ、一般有料道路といたしましては千葉東金道路がございます。それから幹線自動車道の高速自動車国道といたしましては、現在着手しております東関東自動車道がございます。それから一般有料道路で申し忘れましたが、京葉道路がございます。
  77. 浜田幸一

    ○浜田委員 あなたが関係しておられるそのいまの道路ですね。たとえば東金バイパスの問題にしても、それは一番入り口の基幹道路であるのですよ。京葉有料道路を通過しまして、その有料道路のルートが確保されなければ使えない道路でしょう。  それではもう一回聞いておきますが、京葉有料道路は向こう何年間機能を果たすと思いますか。――私のほうから結論を出しておきます。京葉有料道路は、有料道路としての料金を取ってはならない時期は来年の八月以降になると思いますが、あなたはどう思いますか。
  78. 伊藤直行

    ○伊藤参考人 おっしゃるように、空港が業務を開始いたしましたならばかなりふえてまいりまして、そのままではかなりの渋滞を引き起こすという可能性があると思っております。
  79. 浜田幸一

    ○浜田委員 かなりということばは幅の広いことばなんです。たとえば台数でどうなりますか。新東京国際空港が来年から出発した場合に、一日何人の乗客が乗ったりおりたりして、そしてそれの利用台数は何台で、それによって現在の台数よりもどのくらいふえて、どういう現象が起こるか、御説明ください。
  80. 伊藤直行

    ○伊藤参考人 現在、京葉道路の交通量が大体大万六千台程度であろうかと承知しております。空港が業務を開始した暁では一万二千台ほどふえるという計算を立てております。
  81. 浜田幸一

    ○浜田委員 伊藤理事、あなた、担当が違うからそういうお答えをされているんじゃありませんか。それは乗客かける台数で、乗客が一台の車に三人乗ったらそういう計算になるということじゃないんですか。その点、もう一回資料をお調べいただきたい。ということは、一人のお客さんが行くのに、いま羽田に一台の車に対して三台も見送りに行っている時期に、そういう計算をきちんとされているんですか。少なくともわれわれの計算では一万二千台の三倍の台数がふえる。ということは、現在通行しているものに対してその半分、少なくとも十万台のものが有料道路を通るであろうという計算をしているんですよ。そうしたら、いまの道路の場合、昼間あなた車に乗ってみなさい。すいていなければならない十二時の時間に、あの料金を取るところで規制をして、五つも六つもあるところを二つだけ通して東京都の中の交通緩和を考えているでしょう。一体それならば、飛行機は夜中にだけ使わせるのか、暗いうちにだけ発着させるのか、そういうことまで議論になってくるんですよ。ですから私はこの際はっきりお伺いをしておきたいのですけれども、少なくとも飛行機が発着する時点になったら車の台数は私は十万台になると思う。十万台になった場合には、現在錦糸町の有料道路のところから――こんでいるときはおたくのほうで看板を出しています、ただいま錦糸町方面渋滞という、あのところから船橋、幕張ぐらいまで車が並ぶ勘定になるんですよ。ということは機能を果たさないということになりませんか。だから私は、公団がたとえば東金バイパスもやっていただくようになった、他の道路一般有料道路としてやってもらうようになった。スピードが加算されてくる。渋滞が激しくなる。ましてや、いま新東京国際空港をあれだけの犠牲を払って千葉県が誘致したというのは、過疎地帯であった千葉県の陸地帯を解決する目的であった。千葉県一区は自然発生で開発されてきた。千葉県三区は南房総観光開発事業というものをやらなかったら千葉県のバランスのとれた開発にはならない。その場合には、当然南房総の海津地帯、九十九里は、運輸省計画をし、あらゆるところで計画をして、いま日本一の観光レクリエーションセンターにしようとしている。そういう大数計算が、有料道路をどう使うのか、何も積算していないんじゃないですか。そういう抽象的なことで道路問題が解決するわけはない。だからこそ、南房総観光開発計画というものを千葉県が持って、国と千葉県が一体で開発計画を持つならば、少なくとも何とか京葉道路を通過するものを半減させなければならない。すなわち、千葉県を二分して、中央から南は横断堤で東京なりあるいは他の地方に流すような計画をしていかなかったら解決がつかないじゃないですか。そういう見地に立って公団では検討していないんですかという質問をしているわけだ。ましてや、いま一千六百万台だの一千七百万台の車が年々、生産の規制は全くするわけじゃないし、どんどんふえていく。そういう中で、大動脈は一本しかない千葉県は、湾岸道路は千葉県が埋め立て計画をしなければできないとするならば一体どうなるんですか。その点、いまお答えをいただかなくてもけっこうですが、ひとつ資料でお答えいただければ私どもも資料で勉強しますから。そういうふうに、われわれは大臣から何も言われていないからその問題は研究していませんなんということであるとするならば、現在道路公団が研究しているものは一体何なんですか。もう一ぱいになってしまって、東京都に入れなくなるという状況が起こっているでしょう。そういう問題を、お帰りになったら理事会をお開きいただいて、私どもが納得できるような説明をしていただきたいと私は思います。これは委員長にお願いいたしておきます。質問時間の問題もありますからこれ以上私は議論を申し上げませんが、私ども空港特別小委員会というものがありまして、その中で私どもも勉強しておりますが、そういう中でもいつも抽象的な答弁だけで、だれかしらやるんだということで解決されがちでありますので、委員長権限をもって説得資料を御提示いただくようにお願いいたしておきます。
  82. 亀山孝一

    亀山委員長 わかりました。
  83. 浜田幸一

    ○浜田委員 それからもう一点、たいへん恐縮ですが、鉄道問題です。交通緩和の問題は鉄道問題でありますからお伺いしますが、成田と東京との新幹線の問題です。まず、いままでの議論をお聞きいただいて御理解をいただけたと思いますが、道路交通の緩和をするためには鉄道をいかに合理的につくるかということにあると思う。たとえばそれはモノレール方式であり、新幹線方式であり、一般鉄道であり、何らかの形ですでにこの問題の結論が出ていなければならないわけです。ところが来年から飛行機が発着するというようなときに――これは九月の予定であったのがまた延びる、来年という形でもけっこうなんですけれども、実際に新幹線はできるんですか。東京都の美濃部さんが東京に乗り入れを禁止するという発言をされて以来、新幹線の問題はもう日に日に反対の声が強くなってきている。新幹線ができない場合にどうされますか。
  84. 信沢利世

    ○信沢説明員 新幹線につきましては、昨年基本計画を決定いたしまして、ことしの二月十日に鉄道建設公団に対しまして成田新幹線の工業実施計画を認可したところでございますが、先生ただいま御指摘のとおり、認可以来各地方におきまして、環境破壊等に関連いたしまして非常に御反対をいただいておるわけでございます。工事実施計画におきましては、工期を約五年といたしまして、昭和五十一年度完成ということにしておるわけでございますが、新幹線はまあ五十一年まではいまのペースでまいりますと完成できないわけでございます。その間、しからば鉄道の輸送をどう考えておるかというお話でございますが、これは私の直接の担当ではございませんが、私鉄につきましては、京成電鉄が開港までには空港に乗り入れるというふうに聞いております。それから問題は総武線、成田線の問題でございますけれども、総武線は御存じのとおりことしの七月十五日、東京の地下駅が開設されますので、これから若干快速電車を成田へ向かって出すことができる。それから七月十五日には津田沼までの複々線が完成いたします。したがいましてそういう増発の余裕が出てくるわけでございます。それから、これはまだはっきり完成時期は承知しておりませんが、津田沼から千葉までの間の複々線化の工事を継続してまいります。おそらく二年前後の期間で完成するのではないかと思います。それからもう一つ、成田線が、これは単線で、線路容量的に非常に詰まっておりまして、佐倉と成田の間を線増いたしまして列車の増発をすると同時に、成田の駅を若干改造いたしまして、ホームを一面つくりまして、そのホームからじかにバスに乗りかえられるようにという、こういう設備を現在国鉄のほうで施工中でございます。この工事は来年の十月には完成するように聞いておりますので、その場合には東京の地下駅から総武線経由成田までの国鉄の直通の快速電車が出せるというふうに聞いております。
  85. 亀山孝一

    亀山委員長 浜田君、実はきょうは本会議もありますので、また詳しいことは後日にお譲りを願って……。
  86. 浜田幸一

    ○浜田委員 これ一点だけ。
  87. 亀山孝一

    亀山委員長 簡単に願います。
  88. 浜田幸一

    ○浜田委員 いまあなたの話を聞いておりますとすべて解決されるように聞こえますが、いまのその運輸省計画では全く解決ができない。というのは、あなたは五十一年までには新幹線ができるとお思いになっておるようですけれども、東京都が反対しておるものを千葉県が受けるわけがない。これは千葉県側も、国がよほどのことを考えない限りわれわれは反対します。これはもうできない。そこでいま千葉県がセットしておる問題は、たとえばいま印旛ニュータウンというのを御存じですか。印旛ニュータウンに八百万坪の団地をつくって、そこに東京都からの人口が流れてくる。それを運搬するだけでもあなたがいま言っただけで一ぱいになる。あなたがいまおっしゃられた問題は、現在の住民の運搬さえも正しく供給できないのですよ、交通が、輸送というものが。現在の問題を解決すること自体が三年も五年もおくれておる状況の中でそういう答弁をされることは、これはほかの一般国民にされる場合はいいけれども、われわれはそういうものを議論するために選ばれてきておる、ここの議論の対象にはならない。この議論は後刻に譲りまするけれども、いま千葉県側はそれならばというので――新東京国際空港を誘致した理由というのはすでに御存じのとおり、これは国際都市の千葉県をつくろう、千葉県を日本の中心にしようという理由で誘致に踏み切った。しかし現実の問題として輸送関係がなっておらぬということで、いま県営鉄道について運輸省に相談に行っておりませんか。あなた、なぜその答弁をされないのですか。大蔵省の主計官にきょう来ていただいた理由もそこにあるのです。いまもしあなたがもっと前向きの答弁をされたら、大蔵省の主計官からもこの問題について答弁がいただけた。どうにも解決の方法がないから、この際、たとえば市川から成田までをつなぐ県営鉄道というものを千葉県側がいま一生懸命考えて、これを運輸省や政府機関と煮詰めて実現しようと努力しておるのです。この問題の解決がなければ五年か六年の間、新幹線ができるまでの間の交通緩和というのは絶対にはかれないということをあなたは御存じでしょう。私は議論はもういたしません、いま委員長から注意されましたら、しかしいつの日にかこの問題は大きな問題になることは明らかです。もしあなたがお時間があったら私のところへ説明に来てください。私はこういう場所でなくても、あなた方がセットしていただいたところでこの問題の議論をさしていただきたいと思うのです。特にこの問題、県が踏み切った県営鉄道というもの、いまの友納知事が踏み切った県営鉄道というものの認可と、あるいはこの推進なくして絶対に交通緩和がないということだけははっきり申し上げておきましょう。  同時に、大蔵省主計官にお願いしておきますが、この問題をやりますためにはやはり特別な配慮を予算的に――われわれ千葉県の友納知事が、あれだけの反対を受け、命までもねらわれながら国際空港を誘致した、その問題の事後処理の問題なんですね。この問題については、もし県営鉄道の建設に踏み切るような場合があったときは、大蔵省にもひとつ御配慮をいただきたい。同時に、これは大蔵大臣にも実は千葉県側として特に要請してあるところでありますので、ひとつ御検討をいただきたい、このことを私はお願いいたしまして私の質問を終わります。  特に、時間を十五分超過いたしましたことを諸先輩の皆さん方におわびを申し上げます。どうもありがとうございました。
  89. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、中谷鉄也君。
  90. 中谷鉄也

    中谷委員 私は、きょうは公有水面埋立法の若干の法律上の問題点を建設省に質疑すると同時に、港湾法とのかかわり合い等において、和歌山下津港の中に企図されておる公有水面埋め立ての問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。   〔委員長退席、田村(良)委員長代理着席〕  そこで、すでに論議を木通常国会においてもされているところでありまするけれども、大正十年制定にかかる公有水面埋立法については、次の通常国会を目途として同法の改正を、建設省においては他の関係省との協議の中において努力をしておられるということであります。そこでまず私は、次のような問題について御検討の対象として討議されておるかどうか、また討議をしていただきたいという点をお尋ねをしたいと思うのであります。  まず、改正の前提として、生活環境自然環境の保全という視点からということを建設省はお話しになっておられるようでありますけれども、それとの関連において、埋立法の第三条であります。きわめてスタンダードな公有水面埋立法の解説書によりますと、明治二十三年内務省訓令第三十六号第一条は、関係市町村会の意見を聞き、免許すべしとあったそうであります。これは大臣すでに御存じのとおりの点であります。現在、法三条が「地元市町村」というふうになっております。そこで私はお尋ねをいたしたいのでありますけれども建設省の解釈は、公有水面埋立法の第三条の地元市町村の範囲については地先水面の市町村とする解釈をおとりになっておるようでありますけれども、私は第三条の解釈、地元市町村というのが、地元というのが関係市町村というよりも狭い概念であるということはわかりますけれども、地元というのを地先水面の市町村とする解釈をもって固定化するのは――私はしなくてもいいと思うのであります。必ずしもそういう解釈をすることが違法な解釈ではあり得ないと思うのです。時代の要請に対応した解釈ということもあり得ると思うのであります。しかし私がいまお尋ねをしたいのは、地先水面以外の市町村でも、埋め立てによって公害を受けるおそれがある、自然環境、生活環境の保全が害されるおそれがある、そういうような場合には、その他の市町村の意見、すなわち関係市町村の意見を聞くべきではなかろうか。こういう点についてはひとつ解釈の変更があってしかるべきである。これが私の質問の第一点であります。そして、かりにそのような解釈の変更をなさないとしても、法改正の面においてあらためて関係市町村の「関係」というそのことば内容を明確にすることによって、単に地先水面に接続するところの地元市町村に限るべきではないと思うのであります。そういう点について御検討をいただきたいと思うのが私のきょうの質問の第一点であります。この点について、公有水面埋立法についての改正の視点について、いまの点についても大臣から御答弁をいただきたいと思うのでありますが、まずこの点をお尋ねをいたします。
  91. 西村英一

    西村国務大臣 仰せのようにたいへん古い法律でございまして、建設省といたしましても古い法律はもうあとあまりございません。都市計画法が古かったのですが、それをようやく直しました。したがいまして、いろいろいままでの経過を見まして、だいぶ不都合なところも出ておるようでございます。しかしまあとにかく、それはともかくとして、これは改正をするように私のほうも努力をいたしておることは確かでございますが、現在は現在の法律が生きております。地元の市町村の解釈、この問題でございますので、これは事務当局からひとつ説明させたいと思います。
  92. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいまお話しのように非常に古い法律でございまして、当初はむしろ、狭い国土でございますので、できるだけ埋め立てを奨励するといいますか、そして開発を進める、こういったような姿勢でこの法律ができておるように私ども記憶いたしておるわけでございます。しかし、かなり埋め立て等も大型になりましたし、埋め立ての様式なりそれから影響するところ、こういった範囲もまた相当複雑化いたしております。したがって、私どもといたしましても、そういった関係市町村の意見が十分組み入れられるようにというようなことは、これは当然検討しなくちゃいけないと考えておる次第でございます。特に海の水には境界はございませんから、そういった意味では、先生の御指摘のような点は十分今後は検討していく必要があろうかと思います。ただ法律制度上、それじゃどこまでが関係の市町村になるかというような点につきましては、やはりいろいろ検討をしていく必要があろうかと思いますけれども、当面はやはり知事さんが広域的な立場で、埋め立ての免許にあたって十分調査されて、そういった意見を組み入れながら措置をされることになると思いますけれども。私どもが現在法律の改正ということでいろいろ検討を始めておるわけでございますが、そういったような御意見を何らかの形で取り入れられるように検討いたしたいと思います。
  93. 中谷鉄也

    中谷委員 いまの点について若干補足をしてお尋ねをいたしたいと思います。  公有水面埋立法第四条の第一項二号、「其ノ埋立ニ因リテ生スル利益ノ程度カ損害ノ程度ヲ著シク超過スルトキ」、利益と損害のバランスをとって、利益のほうがうんと超過するとき、この場合がいわゆる埋め立てについての制限、すなわち逆にいいますと埋め立てをなし得る場合であろうかと思います。そこで、この四条の一項二号のいまの点は次のように理解をしてよろしいでしょうか。昭和四十六年七月二十日大分地裁判決、いわゆる大阪セメント事件の判決文の一部、「すなわち、免許をうける者が一般私企業の場合、造成される埋立地の価格や土地に建設される工場のもたらす経済的利益の程度と埋立により蒙る権利者の損害の程度とを単に計数的に比較検討するだけではなく、工場建設がその地方住民の生活環境におよぼすもろもろのマイナス面の影響の有無、程度をも検討すると共に、他面、埋立により蒙る権利者の直接、間接の損害の実態を正確に把握し、国土の総合利用国民経済上の見地からして、埋立により生ずる利益の程度が既存権利の消滅、その他埋立により生ずる損害の程度より著しく超過することが、何人の目から見ても客観的に明瞭であり、既存の権利を消滅させ、又は損害を生ぜさせてもやむをえないことが肯認される場合に限ると解すべきである。」すなわち、第四条の「著シク超過スルトキ」ということ、この「著シク超過スル」場合の利益は、それは著しく超過しておらなければならないということ、その損害というものの点については、いま私が読み上げましたところの、自然環境の保全であるとか生活環境の保全などの住民生活興廃に及ぼすもろもろの影響、こういうものがいわゆる損害として算定されねばならないということ、このような四条の一項二号の解釈というものは、いま私が読み上げたような大分地裁の考え方でよろしいかどうか。だといたしますると、三条の運用の問題はともかくとして、すなわち地元市町村会の意見聴取という――地元が関係市町村とダブるのかダブらないのかという問題はさておいて、免許権者であるところの知事が関係市町村の生活環境あるいは自然環境の保全などについては十分に意見を聴取する、このことが私は免許にあたっての必須の要件であろうかと思うのです。これはもう当然のことだろうと思いまするけれども、この点について補足的にお答えをいただきたい。
  94. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいま先生のお話しのように、四条の一項の二号にそういった趣旨のことがございます。まあ、利益の程度をどのように判断するか、こういうことであろうかと思います。この法律ができました時点では、先ほど申し上げましたように、積極的に埋め立てを進めようというようなむしろ姿勢であったわけでございますが、最近ではずいぶんやはり社会環境、特に自然環境の保全、こういったことは非常に重要なことでございます。したがって、この利益ということばの中に、ただいまお話しの、単に工業生産額と水産額を比較するとかというだけでは済まない、やはりもっと大事な利益というものも当然われわれは考慮していかなくちゃいけないのじゃないかと思います。したがって私どもも単に、工業生鹿瀬がどんどんと伸びるんだ、したがって利益が非常に大きいんだというようなことだけでは、今後の埋め立ての免許にあたっては適切な判断じゃないと思います。したがって、まあ詳細については私もよく存じませんが、ただいまのお話の判決にございますようなことは今後ともやはり十分尊重していかれるべきだというように私ども考える次第でございます。なお、それに伴ってやはりいろいろな関係者が出てくるわけでございますが、今後法律の改正を検討するにあたりましてはそういった方の――これは単に隣接市町村というだけではなくて、いろいろな形の利害関係者がおられるわけでございますから、そういった方の意見を聴取するとか、あるいは土地利用計画等についてもう少し別の舞台で審議をするとか、そういったことも含めて検討をしていきたいと考えておる次第でございます。
  95. 中谷鉄也

    中谷委員 公有水面埋立法の若干の法律解釈をお伺いをして、先ほど冒頭に申しました和歌山下津港の現在企図されている埋め立て問題、下津という町の地先百五十五万平米が埋め立てられるという計画、この問題について若干の説明をさせていただきたいと思います。  この和歌山下津港、すなわち和歌山北部臨海工業地帯というのは、北から申しますると、住友金属和歌山工場、粗鋼生産能力一千万トン、現在一年間九百万トンの生産と推定される。関西電力海南火力発電所、一、二、三、四号機全部完成した場合には西日本一の二百十万キロワット、丸善石油和歌山工場、精製能力三万七千五百バーレル・一日。東亜燃料和歌山工場、十八万七千バーレル・一日。富士興産和歌山工場、四万七千六百バーレル、さらに四十七年の十月から三万バーレルの増設。ほかにもろもろの化学工場その他。そこへ丸善石油がこの地点に公有水面の埋め立てをして一日二十万バーレル程度のいわゆる増設をはかろうとしている、こういうことが問題であります。  そこで、はたしてこの埋め立てが免許されるのかどうか、免許することが適当なのかどうかということについて、港湾内における免許の一つの道筋をたどりながら通産省にまずお尋ねをいたしたいと思うのでありますけれども、通産省のほうでは、石油業法によれば石油精製工場の新設等についての基準がきめられております。許可基準がきめられておりますけれども昭和四十六年度特定設備の許可基準決定によりますと、特に立地計画等について保安対策及び公害対策が十分に講じられているということを許可の基準といたしているようであります。単に石油業法の第六条を読んでみますと、本法が業法であるだけに、そういう保安といわゆる環境保全の観点というものが表面には出ておりませんけれども、通産省の御見解としてはいわゆる石油審議会第四十回の、立地政策、立地計画の中にいわれているところの保安対策及び公害防止対策が十分に講じられるもの、講じる可能性があるもの、講ずることが可能であるもの、こういう場合にまず石油精製工場の新設を許可をする、こういう方針であることは間違いないかどうか。あたりまえの話でありますけれども、そうだという点を一点だけお答えいただきたい。
  96. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、法律には明文規定はございませんが、石油審議会等にはかりまして、公害対策の十分行なわれるということを必ず条件としております。それからそのほかに、これは御承知のとおりでございますが、地元社会の了承を得なければ、そういう公害対策その他についても十分な了解を得られているということを確認しない限りは石油審議会では許可しておりません。
  97. 中谷鉄也

    中谷委員 この和歌山下津港というのは同時に北部臨海工業地帯であって、その排出するところの汚染物質あるいはまた海上汚濁の状態というものは、四日市やその他水島の比ではないような、以上の危険性を持っていると私は思うのであります。そこで、次に港湾局に私はお尋ねをいたしたいと思うのでありますけれども、港湾管理者、すなわち港湾管理者の長というのは知事であろうかと思われますが、港湾計画を策定する場合に関係者の意向をどのように、反映をするのか、この点についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。これは先ほど、公有水面の埋め立てに関して地元心町村の意見を徴さなければならないとある。しかしその地元市町村の意見というのは、広く環境汚染、公害防止の視点からいうならば、関係のある市町村をも含めるようなかっこうのものでなければならないということを私は申し上げ、そのような趣旨の答弁をいただいたと私は理解をいたしますが、港湾局の御見解を承りたいと思います。
  98. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 お答えいたします。  港湾の計画を港湾管理者がつくるわけでございますけれども、この計画を策定する目的は申すまでもなく港湾の開発あるいは利用、そういうものを通じまして地域の住民の方々の福祉を向上するということを目的としております。したがいまして、関係の市町村及び関係者というものの意見を広く取り入れて初めて港湾計画がなされるという性質のものだというふうに考えているわけです。したがいまして、運輸省といたしましては以前から、港湾の管理者に対しまして、関係市町村等々含めました地方の港湾審議会というものをつくりまして、十分に意見を徴して計画を策定していくように指導しているわけでございます。ちなみに和歌山下津港の場合につきましては、関係市町三いたしましては和歌山、海南、有田及び下津という三市一町が地方の港湾審議会のメンバーに入っているというわけでございます。
  99. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで港湾計画の策定にあたって関係者の意向は十分に反映される。すなわち協議が整わないという場合は実務上港湾計画というものは策定されることになるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  100. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 お答えいたします。  先ほど申しましたように、運輸省は港湾管理者を指導しているわけでございますけれども、その目的はあくまでも関係者の意見というものを十分に調整してその上で港湾計画を立てるということであります。これを和歌山の下灘の場合に考えました場合に、関係しております市町、少なくとも四一町があるわけでございますけれども、この中のかりにたとえば一つの市あるいは町というものがこれに反対だということを表明したというような場合には、実際問題として港湾計画というものは成り立たない。したがって、私どもといたしましては当然十二分に調整を尽くして計画をまとめ上げるという指導をしておりますし、今後もしていくつもりでございます。
  101. 中谷鉄也

    中谷委員 この機会に若干港湾法四十八条の解釈についてお尋ねをしておきたいと思いますが、四十八条は「一般交通の利便の増進に資するため必要があると認めるときは、重要港湾の港湾管理者に対し、港湾施設の配置、建設、改良その他当該海湾の開発に関する計画の提出を求めることができる。」主語は「運輸大臣」、こういうふうに書いてありますけれども、あたりまえのことをお尋ねしておきますけれども一般交通の利便の増進に資するというのは、これは単に海上交通のみならず陸上交通をも含む。すなわちこの和歌山下津港の場合でいうならば、ここの海上交通と同時にこの陸上交通、国道四十二号線の交通渋滞がこの埋め立てによって生じないかどうかというようなことも検討の対象になるということ、これは法解釈上あたりまえのことですけれども念のためにお聞きしておきたいことが一点。それから、かりにここの埋め立てというものが現実化してきた場合に、この埋め立てが四十八条の一体何に当たるのか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  102. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 お答えいたします。  御承知のとおり、運輸大臣が提出を求めました計画につきましては港湾審議会にかけるわけでございます。そしてその提出を求めるということにつきましては、今後はすべての重要港湾につきまして求めていこうという基本的な考えを持っております。そして、これも御承知のとおりと思いますが、港湾審議会の審議にあたりまして、そのメンバーといたしまして――そういうようなことで、先生のおっしゃいましたようなことをすべて考えまして審議をしていただくという形になっておるわけであります。
  103. 中谷鉄也

    中谷委員 そうじゃない。四十八条には「港湾施設の配置、建設、改良その他当該港湾の開発に関する計画」とあるが、だからこの埋め立てというのは一体そのうちのどれに入りますか、こう聞いているのです。
  104. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 お答えが多少御質問と食い違っているかもしれませんけれども、私ども埋め立ての認可をいたします。それにあたりましては、港湾計画というものに基づいているかどうかというのがまず第一に考えられる点であります。したがいまして、ただいまの四十八条に基づきました審議というものに反映されました、そして決定されました計画というものに基づいた埋め立てにつきまして認可を行なうということになると考えます。
  105. 中谷鉄也

    中谷委員 四十八条を主としてお聞きするのじゃないんだけれども、私は、「配置、建設、改良その他出核港湾の開発」とありますから、この埋め立ては一体その「建設」になるのだろうか、それとも「改良」になるのだろうか、「その他当該港湾の開発」になるのだろうかという疑義があってお尋ねをしたわけでありまするけれども、時間が限られておりますので、この点の質問はまたあらためて、法律解釈のことですから、お尋ねをすることにいたします。  次に、海上保安庁に私はお尋ねをいたしたいと思うのであります。和歌山下津港で丸善石油が、先ほど申しましたような百五十五万平米というふうな海浜を埋め立てるというふうなことになってまいりますると、まずだれでも地元の者が心配いたしておりますのは、この埋め立て予定地、それと、法に規定されたものではないけれども、幅二十メートル、水深十四メートルの特設水路というものがこれに並行してある。   〔田村(良)委員長代理退席、委員長着席〕 そうして、関西電力火力発電所、富士興産等に対して七万ないし八万トンのタンカーが入っている。同時に、海南港フェリー、ポートがここから発進をしている。さらにこの石油精製工場には二十万トンないし三十万トンのタンカーというものがふくそうして、石油精製能力の増大とともに岸壁において作業をする、航行が行なおれる、こういうふうな状態であることは明らかであります。そこで、和歌山下津港で丸善石油が海浜を埋め立てる、海南港の特設水路と並行に接近して岸壁をつくる計画を持っているようで、われわれはその点を非常に憂慮しているわけでありまするけれども、船舶交通安全上問題はないのかどうか。この点について海上保安庁の御見解を私は承っておきたいと思います。
  106. 貞廣豊

    ○貞廣説明員 埋め立て地の造成というふうな港湾の工事計画を策定するにあたりましては、船舶交通の安全面から配慮することが必要でございまして、海上保安庁としてはその配慮をどうして反映させるか。その手だてといたしましては、現地の協議会、先ほど言われました海湾審議会等の場を通じて、安全上の問題について当庁の意見を反映させてきておるところであります。ただいま先生、御指摘の件につきましては、まだ会社のほんの素案という段階とは聞いておりまするけれども、特設水路と今度つくられるという計画の岸壁との船の行き合い関係のみならす、こういう岸壁に大型船が出入りする場合には当然船回しの水面も必要でございますし、そういった面からいろいろと検討をする必要があると考えておりますので、これがほんとうに具体化する段階においては、そういったことについて安全の面を十分この計画に反映させるようにしてまいりたい、このように考えております。
  107. 中谷鉄也

    中谷委員 時間がないようでありまするから、最後に一点だけ私は大臣御所見を承っておきたいと思うのであります。  要するに、公有水面埋め立ての免許基準について、四条にはこういう場合には免許してはいけませんよという規定が、制限規定がある。しかしそれを、こういう場合には免許してもいいんだというふうな免許基準というものはやはり改正の中において御検討いただきたいと思うのです。法改正が、自然環境及び生活環境の保全ということを目的として御努力をいただいているところでありますが、私考えてみまするに、埋め立てが、自然環境、生活環境等の保全、それともう一つは、海上保安庁から答弁をいただきましたけれども、災害の防止、その他公益の保全上支障がないという場合、そういう場合に限ってとにかく公有水面の埋め立てというものの免許はいたしてしかるべきだ。そういうようなものの要件を欠く場合には、GNP第一主義というようなかっこうの中で免許というものをすべきではないだろう、こういう観点で私はひとつ法改正の御努力をいただきたいと思うのです。と申しますのは、これは大臣にごらんいただきたいと思いまするけれども、先ほど申しましたようにここに住友金属和歌山工場、もう非常にきれいな海水浴場が全く泳げなくなっている。そうしてここが花王石鹸の工場。海南火力発電所、西日本で一番大きな火力発電所で、一昨々日、百億円の損害を出した事故が発生をしたところ。そうして富士興産、丸善石油、そうして東亜燃料。まさにこの非常にきれいな海水浴場において海水が汚濁し大気が汚染をしている。さらにこういうところで埋め立てが行なわれ、工場密集地帯にさらに工場がつくられていく、こういうふうなことは、私は経済政策、産業立地政策から見ても避けるべきだと思う。そういう点であらためて、公有水面埋立法の埋め立てというものがただ経済的な利便、企業のいわゆる効率というふうなことで、ただ補償を払えば免許を与えてもいいんだというふうなことであっては断じてならないと思います。最後の御質問というのは大臣御所信を承る質問でございまして、私自身も非常に感想的なことを申し上げましたけれども、もう少し申し上げさせていただきますならば、いわゆる和歌浦、雑賀崎という景勝の地がこの和歌山下津港内にある。そういうふうな景勝の地がいわゆる港湾の利便のために犠牲になってもいいとか、あるいは北部臨海工業地帯であるからこの景勝の地がそこなわれてもいいということは、私は断じてあり得ないと思うのであります。そういうことであらためて、先ほど冒頭に大臣の御答弁をいただきましたけれども、公有水面埋め立てについての免許基準というようなものを、自然環境、生活環境の保全、公害の防止、災害の防止、これらの面からきびしくすべきではないか、こういう点についての御所見を承りたいと思います。
  108. 西村英一

    西村国務大臣 海浜を主体建設省は考えておりまするが、いまのどっちが利益になるか、利益でもってやろうというようなこと、これは昔ならいいですが、いまはなかなかそうはいかぬと思います。しかし、公有水面それ自身の埋め立ての可否ということですが、やはり場所を選ばなくちゃいかぬと思うのです。私は埋め立てが絶対悪いのだというわけにはいかぬと思います。それはなかなか郷土の狭いところですから、ことによっては埋め立てもけっこうだ。やはり場所を選ぶこと、今日の世相にかんがみて場所を選ぶべきだというようなことで、これを改正する場合にはその点について慎重な態度で臨みたい、かように考えておる次第でございます。
  109. 中谷鉄也

    中谷委員 では終わります。
  110. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、北側義一君。
  111. 北側義一

    ○北側委員 二時から本会議がありますし、あと浦井委員も少し時間をいただきたいということでありますので、簡単に端的にお聞きしていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。  ちょうど昨年末の十二月二十八日ですか、地代家賃統制令、これの改正がなされたわけです。それで、いままで私もこの地代家賃統制令の問題につきましていろいろ関心を持っておったわけであります。なるほどある一部の地三や家主さんが非常に不当に低い地代また家賃、そういうことでお困りになっておる、そういう状況もよく知っておるわけです。しかし、私の言いたいことは、たとえば大阪とか東京、こういう大都会の中で、あの戦争中も戦災に焼けないで、ずっと戦前から建っておる、ずっと残っておる象があるわけです。この地代家賃統制令によりますと約三十坪以下は対象になっておりますが、三十坪以上の場合は、これは対象外になっておるわけです。ところが今回のこの改正によりまして、その対象外のそういう片からのものが、たな子と家主の契約によって、そうしてたとえば家賃が百円だったものを百五十円にし、また三千円にし、そうしてまた五千円にし、対象外ですからまた九千円にした。比較的古いそういう昔からの建物ですから庭も広い。そういう場所のところが、地代家賃統制令の改正によって、現在の、地代の場合ですと二・七倍、家賃が二・八倍。ところがその最高の額で計算しますと、対象外の住宅が非常に大きな値上がりになっておるのです。その一例を実はきょう私持ってきておるのです。と申しますのは、この間から私、方々を回っておりますと必ずこの問題が出てくるのです。この計算の方法等も非常にややこしいのですが、これは一例です。これは大阪の阿倍野区の旭町一丁目三十番地、そこのAさんとしておきましょう。ここは四十四・一四坪ですからこれは対象外です。以前にこの人の払っておられたいわゆる家賃というのは九千二百九十四円払っておったのです。ところが、対象外でありますが、今回のいわゆる地代家賃統制令の改正によって最高額を計算してみますと二万七千三百九十二円になっておるのです。そうしてたな子に全部家主から内容証明が来ておるわけです。それは、政府のほうでは今回そういう地代家賃統制令によって改正が行なわれて、ここまでは地代家賃をそういう家も上げてもいいんだ、こういう指示が出ておるので、私のほうもそこまで上げさせてもらいます、こういう内容なんです。そうしていま非常に紛争が起きておるわけです。たとえば一例をあげますと、これはやはり阿倍野区役所で私が行って調べてきたのですが、この三月二十二日から五月三十一日まで、阿倍野区役所の固定資産税課、ここに地代家賃統制令の問題で借家人が群七人、家七が百二十八人たずねてきたのです。これはどうなっておるのだ、また自分の場合は一体金額は幾らになるのだということでたずねてきたのです。三月二十二日以前にはこれはあまりないらしいのです。猛烈に来たらしいんです。区役所はもうてんてこ舞いしておる、こういう実態なんです。こういういわゆる対象外の住宅については、ここにいただきました「地代家賃統制令のあらまし」の「新告示について留意事項」、この中に書いてあるわけです。「改正を契機とした、統制対象外の地代、家賃について不当な便乗価上は厳につつしむべきであること。」こう書いてあるのです。なるほどこう書いてあるのだが、実際の問題として、そういう対象外の分でも、対象内のものがそこまで上がった以上はこちらもそこまで上げてもいいだろう、こういう見解が出てきておるわけです。そうして非常にたな子と家主がもんちゃくを起こしておるのです。これが実態なんです。事実、私が先ほど一例を申し上げましたとおり、九千二百九十四円の家賃が一挙に二万七千三百九十二円になったのでは、これはどうしようもないのです。これは夫婦二人の家庭です。これでは一挙に二万八千円から上がっておるわけです。こういう問題についてはどのようにお考えになっておりますか。まずそれをお聞きしたいと思います。
  112. 沢田光英

    ○沢田政府委員 先生の御指摘の点は、むしろ対象外に、私どものとりました額の改定の影響が非常に大きく響いておる、そういう問題をどうするのか、こういうことだと思います。いま先生が例にあげられました九千二百何がしかのものが二万七千何がしになった。これはもちろん対象外のお話でございますが、御存じのように大きな住宅でございます。したがって対象外だ。場所からいいましても、現在の評価からいけば当然二万何がしかでもまだまだいいのかもしれませんけれども、住宅の賃貸借とか、そういう人間の生活の基盤はそう簡単にいくものではございませんので、当然そういうトラブルが起きてくるだろうと思います。そこで私どものほうは、この統制額のきめ方を変えましたやり方、統制額が全体で二・何倍になる、こういうやり方を統制対象外の大きなもの、また新しいもの、そういうふうなものにそのまま適用するということは非常に因るわけでございます。二てこで、そういうことはむしろ便乗値上げと申しますか、そういうものに準ずるというふうな考え方に立っておりまして、こういうことが起こることも予想いたしまして、各行政庁の出先に十分私ども通牒その他でやったつもりでございます。先生がお持ちになっておりますそのパンフレットもその扱いかと思います。しかし何せ切実な問題で、ございますし、さらに数も多く最近出てきておるようでございます。そこでこういうふうな話は、一つ一つの調停といかないまでも、親切にその話の間をとって、できる限りそういう摩擦のないようにという態度を基本にして、しかしこれは便乗値上げというふうなことであればある程度の強い指導をする、こういうことでたびたび集めまして言い聞かしております。今後とも、そういうことで非常に生活の基盤でございますので、理屈でない面がございますから、私どももそういう点に心がけながら、むしろ人手の強化とかあるいはそういうもののやり力を考えて、いままでそういう問題がなかったために悩んでない点もございますでしょうが、そういうものも今後できるだけ少なくしていくということを行政の中でしっかり位置づけていきたい、かように考えておる次第でございます。
  113. 北側義一

    ○北側委員 なるほどこれは大阪のどまん中で、いま新築でこれだけのものであるならばこういう家賃ではないでしょう。それはわかります。しかしこういう戦前から建っておる象は、戦前から入居なさって、そうしてたとえば家賃の問題でも家主とたな子が契約の上で成り立って、徐々にこう上がってきたものなんです。そうして家賃が比較的低いので、たな子としてはたとえば家を修繕するにしても家主の許可を受けて全部修繕しておる、こういう形になっておるわけです。そうしてこの改正が出るまでの家賃がただいま言いましたとおり九千何がしかです。それが一挙に二万七千円になるのでは、その人の生活を乱すような内容になってくるのではないかと思うのです。昔は御存じのとおり、家を建てても、古い象の場合、庭は非常に広くなります、家自体はそれほど大きくなくても。それが全部、今度の改正で、対象外でありながら、そこまで上げてもうちは統制令でいわれた額まで上げているのですから、こういう言い方です。そう言われてはたな子としては非常に困るわけなんです。そうして紛争が起きておる。どこへ行ってもこの話が出るのです。ここらもやはり、こういう統制令でやった場合にどういう影響が出て、それに対してどういう行政指導をするのか、そこらをはっきりしてもらわないと、これはまだまだもめるのではないかと思うのです。そういう点どうでしょうか。
  114. 沢田光英

    ○沢田政府委員 大臣にはあとからお答え願いますが、まず私から……。一応統制内のものにつきましては厳粛に統制の制度でいく。統制対象外のものにつきまして統制対象のルールを使って上げるというふうなことは、むしろ便乗値上げに近い動作だというふうに私ども思って、これを指導原理といたしまして、あとは家主とたな子さんの間の話し合い、一般の契約の話であろう。その契約がいわゆる値上げ問題などで争ったときには、最後は調停とかそういうことになるでしょう。私どもはそういうことになる前に、やはり地域の行政庁の窓口でできる限り調整したい、かように思っておる次第でございます。
  115. 北側義一

    ○北側委員 調整の窓口といわれますが、これが全部押しかけて行ったら、とてもじゃないができないです。区役所の固定資産税課あたりでは絶対にこの問題については触れておりません。たとえば家賃を許諾する場合にどの辺で許諾をしたらいいんですかといっても、私のほうではそれを申し上げるわけにいきませんといって全部断わっております。どこが窓口かわからないのです。その点どうなんですか。
  116. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私ども指導する際に、その窓口は住宅関係の主管課ということにしてございます。ただいま先生がおっしゃいます、別の窓口へ行って固定資産税評価額などを聞くという話は、地主さんなりたな子さんなりが、今度の改正に従いましてうちの問題はどうなるんだろうというときに、基本になりますのは評価額とかそういうものでございますので、それは教えてやってもらいたいという指導をしております。したがって、そこで聞かれていろいろ計算をして、うまくいくところもあるが、問題が起こってくるようなものは住宅主管課のほうでこれを受ける、かような指導をしている次第でございます。
  117. 北側義一

    ○北側委員 ここにいただきました資料、「公示改正による影響」、ここにずっと書いてあるわけです。たとえば六大都市における標準的な借家、これは床面積が三十三・八平方メートル、敷地が四十八・三平方メートル、これは完全に対象内です。この場合ですと、この計算でいきますと家賃はそれほど大きな値上がりにならないんです、統制内の分は比較的小さいですから。ところが統制外の分は非常に大きいわけです。それだけに、この計算でいくと金額の上がり方が非常に大きくなるわけですね、いまのように。そこらを相談に行ってやったらいいというんですが、実際は大阪府庁に行かなければならないわけです。府庁の窓口でそれだけのものができるかというと、できないです。大阪でも阿倍野区、生野区、城東区、要するに焼けていないところですね、ここらは全部古い家なんですから、それこそ一気に窓口へ行けといったら、大阪ではできないんです。できるような状態ではないんです。だから、ここに出された一枚の「新告示について留意事項」、これはなるほど書いてあることはよくわかるんです。しかし、実際紛争が起きた場合には、統制対象として最南のこの額、ここまでは統制する、ここまで上がるんだからここまでは上げていただきたい、こういう言い方です。それは私に聞かれても、私自身も非常に困るわけです。こういう通達は出ておりますが、これはみな紛争になっておるんです。やはりそこらの線をはっきり――たとえば東京都の大田区なんかもそうです。大田区なんか非常に古い家が多いです。そこの議員がどこへ行って話しても、必ずこの問題が出てくる。私もずっとこの間三日回りましたが、どの会場でもこの問題が出ました。それで紛争しておるんです。影響としては非常に大きなものが出ておるのです。大臣、その点どうでしょうか、これからの措置をどうなさいますか。一片の通達だけでもうおしまいでしょうか。
  118. 西村英一

    西村国務大臣 統制外ですから、便乗に近いというものじゃない、まさに便乗です。それを行政でどの程度まで防げるかということです。この地代家賃統制令は廃止したいというのが私たちの気持ちだったわけです。原因がなければそういうことはないのですから。ところがあれも政治上の問題ということで、しかしあまりにアンバランスがひどいからということでこの問題をやった。そういう影響が出るということになれば、これはたいへんなことになると思います。したがいまして、これはいま後手後手になりますが、あなたが詳細に調べてそういう事実があるんですから、それはこっちももう認めざるを得ないですね。またそういうことで今後も便乗してどんどん家賃を上げるということになれば、私どものほうでは関係の市町村についてはさらに行政指導を強くせざるを得ないと思います。まさに便乗です。全く予期しなかったわけではありませんが、そんなにひどいということは絶対に思わなかったのです。はなはだ残念に思う次第でございます。
  119. 北側義一

    ○北側委員 わかりました。行政指導の中でひとつやっていただきたいと思うのです。そうしなければこれはますます紛争が大きくなると思いますので、よろしくお願いいたします。この問題はもう言ってもいたし方ない。結局、地価が非常に上がるから、これはどうしても固定資産税の評価額が上がってくる。もちろんそれを下げてやっておりますが、しかしこれでこのままずっといきますと、やはり家賃は上がる一方なんです。そういう地価問題はどうしてもやらなければならない、結論はこういうことになるのじゃないかと思うのです。  それから公営住宅の家賃限度額の問題なんですが、たとえば大都市周辺は地価が非常に商いので、安い公営の家賃限度額、これが大幅に上がってきておるわけです。たとえば、これは大阪のほうから取り寄せた資料ですが、昭和四十六年度の一種住宅、その高層の3Kです。これはいま限度額が一万九千九百二十三円になっております。そうして決定額は一万三千六百円になっております。その不足分については政策的に補助しておる、こういう形ですね。そういう東京とか大阪とか、地価の高いところがこうなっておるわけです。ところが北九州あたりに行きますとまだ地価が非常に安いので、同じ3Kでも家賃がぐんと下がって、七千円から八千円です。そうして、福岡の3Kの七千円、八千円の家賃のところでも、このように一万三千円のところでも、入居基準はずっと一律なんです。これは私、考えれば非常に不都合だと思うのです。私の考えでは、そういう場合はやはり家賃に比例した入居基準でなければ本来これは筋が通らないんじゃないかと思うのです。入居基準の収入基準は同じであるのに、片っ方は七千円くらいの家賃で片っ方は一万三千円である。それも限度額は大阪のほうと同じなんです、全部一律に線が引かれていますから。これから特に空閑地利用で高くなりますので、家賃はどうしても高くなる。これは何か考えなければいけないのじゃないかと思うのです。そうしなければ実際に入れない。建ったって、正直なところ入れないのです。それが実態じゃないかと思うのです。それについてどのようにお考えになっておられるか。
  120. 沢田光英

    ○沢田政府委員 先生のおっしゃるようなことが確かに起こっております。その筋からいきますと、地域別に収入基準、要するに入居の収入基準をきめたらどうだ、こういう話につながってくるかと思います。私どもも審議会のほうからたびたびそういうことをいわれておりまして、研究もやっております。また過去においてもやりました。ただ地域刑にやるのにはいろいろな問題がございまして、同じ収入でも一体地域でどういう評価をするのか、どういうふうに分けるのか、そういうことで、実はやる気はあるのでございますが、技術的になかなか詰まってない。したがいまして、しかたがなくいまの制度をやっておるということなんで、先生のおっしゃることは当然起きているわけでございます。ただ、私ども考えますのに、収入基準を上げますと――元来ならばその家賃と建設費というふうなものは、要するに何人の家賃限度負担率、そういうものに基づいて支払うのがいいということでございますから、先生のおっしゃるようなことなんでございますが、しかしそういうことをちょっと横へ置きました場合に、この収入基準を上げますとやはりそれだけ応募者が多くなる。したがって当せん率も多少悪くなるというようなことで、現状は決していいとは申しませんけれども、現状でも、申し込んだ人が当たる率は高くなっておるということでせめても慰めておる次第でございますが、その地域別の問題につきましては今後とも検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  121. 北側義一

    ○北側委員 これはやはり改定しなければいけない。いまは実際問題として入居できないような、資格者が何らかの形でごまかさなければ入れないような基準になっておるのです。そこらをきちんとやってもらわなければこれは非常に困るわけです。そういう点、どうかひとつよろしくお願いします。  それから、もう時間がないので……。運輸省、見えられておりますか。――実は大阪陸運局へ大阪地方陸上交通審議会から「大都市郊外における端末輸送確保の方策に関する答申」、これが出されましたね。団地建設をやる場合に、どうしても地価の安いところをねらいますと非常にへんぴなところへ行っちゃうわけです。そうしますと輸送機関がバス以外にないわけですね。ところが、実際の問題として団地バスは必ず赤字になるのです。朝のラッシュと晩のラッシュ、それも一方通行です。だからこれもそこにおる住民と非常にトラブルが起こっておる。これはいわゆるバス事業者と団地開発者、これが協議してやっていくようにいわれておるわけですが、一つの基本的な解決の方法をつくらなければこの問題は解決できないと私は思うのです。いまこれは随所に起こっております。こういう問題について運輸省はどう考えておられますか。
  122. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 団地のバス輸送につきましてはただいま先生御指摘のような問題が非常にございまして、各地でトラブルがあることは事実でございます。また特に最近開発されております団地につきましては、団地はできるけれどもバス路線が開設できないというような問題が起こっております。そこで、一つといたしましては、ただいま大阪の例にございましたように、各地の陸運局に対しましては、地元の住宅公団とか県とか、そういうところとよく開設について相談をして、バス路線が確保できるように十分協議をしてやっていくようにという指導はやっておるわけでございます。しかし、御承知のように採算が非常に悪いという点で、先生御指摘のようにそのことだけでは解決がむずかしいという状態でございます。  そこで、運輸省といたしましての基本方針はどうかというお尋ねでございますが、それにつきましては昨年来、先生の御指摘のような問題について何とか解決しなければいけないということで、建設省関係、それから住宅公団の関係等と再三検討会をいたしております。問題といたしましては採算が悪いわけでございますから、解決の方法といたしましては、何とか採算を保たせてバス事業者に運行させなければならない。欠損をしてまでやれということは、これは私どもとしてもなかなかむずかしい。そこで一つの解決方法といたしましては、先ほど先生お話ございましたように、地価の安いところにつくるために非常に遠くなるということでございますので、いわゆる開発するデベロッパーといいましょうか、そういうのが開発する際に、バスの運行に必要な所要経費というものを積算をしてもらう。たとえば車両の購入とか折り返し場所の設置とか、そういうようなものをある程度負担をしてもらえないかという解決策が一つでございます。それからもう一つの解決策といたしましては、これは一つ都市問題でございますので、国としても、ないしは地方公共団体としてもある程度のことを考えていかなければいけないのではないか。いわば補助とか助成という問題でございますが、これにつきましては、昨年来運輸省といたしましては財政当局その他に対しまして、非常に採算の悪い路線ではあるけれども、団地等ができてバスを運行しなければならない場合には必要に応じて運輸大臣が命令を発してバス運行をさせる、ただしそれによって生ずる欠損というものは補てんする、こういうことができないかということで予算要求その他で折衝いたしておりますが、まだそういう問題は実現を見ておりません。それからもう一つの問題としましては、御承知のようにそこのバスだけが非常に採算が悪いわけでございますから、若干の部分というのはいわゆる利用者負担として運賃の中に割り掛けるという、三つの考え方があろうかと思います。その三つの問題を中心といたしまして、建設省、住宅公団、運輸省の間でいろいろ検討会をやっておりまして、そう遠からず結論を出して、先生のおっしゃるような問題についての方針を、政府としてはっきりしたものを出していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  123. 北側義一

    ○北側委員 もう時間がありませんのでやめますが、この問題は非常に大事な問題でやっておりますので、早急に一つの方法を、基本的な原則というのですか、それをやはりきめなければいけないと思うのです。それでなければしょっちゅうこれはトラブルが起こります。だからその点、建設省運輸省等々、ひとつよろしくお願いします。  もう最後ですが、大臣、さっきの入居基準の問題ですが、これは大体いつごろ変えていただけますか、基準の引き上げについて。
  124. 西村英一

    西村国務大臣 検討します。
  125. 北側義一

    ○北側委員 大臣、検討するとおっしゃるが、検討は前からなさっておられるのですよ。もうそういう時期が来ておるわけですから……。
  126. 西村英一

    西村国務大臣 私はまだ検討したことはないのです。私は検討します。
  127. 北側義一

    ○北側委員 わかりました。ひとつ早急に検討してください。実情に合うようにやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  128. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、浦井君。
  129. 浦井洋

    ○浦井委員 労働省に来ていただいていると思うのです。私、一昨年の三月二十五日、建設委員会で、建設業、土木業あるいは運輸業、そういうところで使われておるところの大型の機械車、たとえばショベルカーであるとかブルドーザーであるとかフォークリフトであるとかそれからクレーンカー、こういう大型の機械車に乗っておる人たちの中で、振動が非常にきつい、それから無理な作業姿勢をやっておる、そういうことで新しい職業病が頻発しておるということについて質問をしたわけなんですが、その後特にこのいろいろな機種の中でフォークリフトに乗っておる人たちが何人か、それぞれの地方の労働基準局に、専門家の意見を添えて労災認定をしてほしいという申請が出ておるわけなんですけれども、まず労働省がその問題についてどういう取り扱い方であるとか、あるいは認定のための作業の現状がどうであるのかという点について最初にお聞きしたいと思うのです。
  130. 松尾弘一

    ○松尾説明員 当委員会において先生からかねてよりそういう問題について御指摘をいただきまして、また現実に地方からもそういう申請が昨年の十一月ごろから出てまいりました。したがいまして、わが労働省といたしましては十二月に早急に専門家による委員会を設置いたしまして、フォークリフト病として業務上の疾病として扱うかどうか――これは先生十分御承知のように、諸外国の文献にもございませんし、従来の具体的な内容の資料が手元にございません。それで新しい疾病の問題として研究を進めておるわけでございますが、すぐれて振動による問題が大きい、そういうようなことで、当該振動が労働者に与える影響その他について目下検討いたしておるわけでございますが、さはさりながら、具体的には腰痛でありますとか頸肩腕という形であらわれておりますので、フォークリフト病として当該疾病を業務上疾病として確認するまでの間その労働者を放置するということは適当でないわけでございますので、一応切り離しまして、フォークリフト病の検討は進めつつも、腰痛あるいは頸肩腕にかかっている、あるいはそのフォークリフトに起因して起こっている労働者につきましては、目下作業を進めて、できるだけ早く結論を出していきたい、そういうふうに考えております。
  131. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、一応認定できるという人については早急に認定をおろす、こういうふうに理解してよろしいですか。
  132. 松尾弘一

    ○松尾説明員 認定作業も具体的には日にちを重ねてまいりまして、おおむね今月の中旬を目途といたしまして結論を出していきたい。そして結論が出ました暁には現地に指示したい、こういうふうに考えており、ます。
  133. 浦井洋

    ○浦井委員 そういういまのお話をお伺いしておりますと、大きな問題として二つあると思うのです。一つは、何人かの方が認定の申請をされておる。そういう場合に、もちろん全部が認定されることが望ましいわけなんですけれども、中には認定が却下される、業務外になるというようなケースも万々一出てくる可能性もある。そういう場合にそういう人たちが今後どうしたらいいのだろうか。具体的にいえば救済の道ですね。これをひとつ問題点の第一としてお伺いしたいと思います。
  134. 松尾弘一

    ○松尾説明員 私どもとしては、労働環境状況、労働条件の実態、そういうものからできるだけ業務上の疾病として扱うべきであるという観点から上向きに検討いたしておりますが、当該労働者によってはこれが全くの素因によるものであるということから業務外になる場合も出てまいります。しかし、私ども行政処分として完全な体制がとれておるとも思えませんので、これに対して不服がある場合には、法律の三十五条によりまして、保険給付に関する不服について保険審査官に対して審査請求をすることができる、なお、保険審査官の決定に対する不服につきましては中央の保険審査会に対して再審査請求ができる、そういう救済の道をとりまして、その間請求権の特効の中断をする、そういうふうなことで救済の道を開いておる次第でございます。
  135. 浦井洋

    ○浦井委員 もう一つの問題は、先ほどの答えで頸肩腕それから腰痛症の中でも、これはもちろん非災害性と災害性が入ると思うのですが、それと、その人たちの認定書を私見た中では、下肢の神経痛及び膝関節症、こういうものも入っておるわけですが、これも入るわけですね。これが第一点。それから問題は、その人たちがフォークリフト病という形で胃の症状も入れておるわけなんですけれども、特に胃の症状について今後労働基準局としてどういうふうな観点でこれを追及していかれるのか。具体的なその二点をお尋ねしたいのです。
  136. 松尾弘一

    ○松尾説明員 先生から先般の委員会においても御指摘いただきましたように、無理と思われる姿勢から背骨が痛いとか、腰が痛いとか、肩がこるとか、同等の障害があるとか、聴力の障害があるということを先般の委員会でも御指摘を受けたわけであります。したがって、そういうものを複合した状態でフォークリフト病にせよ、こういう御指摘だろうと思います。ただし肢下――下肢と申しますのは、御指摘の下肢は足だと思いますが、当該足がフォークリフト病に起因して疾患の状態を生ずるということが明らかであれば、これは当然業務上の疾病として扱うわけでございますから、これは救済される対象になるであろう。それは当該フォークリフトとの因果関係をきわめてみなければわかりませんが、これは救済の対象になるであろうと思います。それから今後の問題としての私ども考え方といたしましては、こういう問題を扱う場合には必ず予防ということが非常に重要である。特に振動につきましては十分な検討を進めておりませんので、振動という問題を中心にいたしまして目下研究会でさらに掘り下げております。その振動の結果等も見まして、これがフォークリフト病として確立できるかどうか、あるいは当該振動が与える影響等によって、手跡の観点から労働暗闘その他の規制をすべきであるかどうか、こういう点も含めて総合的に検討を進めていきたいというふうに考えております。
  137. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうお話で、結局労働省の態度として、車というものに対する労災認定を一応認める。それから単にいままでの腰痛とかあるいは頸肩腕という個別症状を認めるだけでなしに、それが複合して存在しておるものについてもお認めになったということで、私は一定の前向きの姿勢がうかがわれると思うわけです。しかし問題は、これは正確な日にちを覚えておりませんけれども、一昨年の中ごろに労災認定の申請が出た。相当日にちがたっておるわけなんですが、なぜこういうふうな長い時間がかかったのか、こういう点についてひとつ労働省を責めながらお答えを願いたいと思うのです。
  138. 松尾弘一

    ○松尾説明員 先ほども申し上げましたように、フォークリフト病として職業性疾患と認めるかどうか。それぞれあらわれてきた具体的な業務に起因する疾病につきましては、御存じのように列挙いたしますのと、また列挙してないものについてはその他業務に起因する明らかな疾病ということでそれを埋めておるわけでございますから、新しく出てまいりました産業機械によるこういう病気を複合的に認めていく、胃腸障害、聴力障害を含めて職業性疾患にするかどうか、いろいろ意見のあるところでございます。それをいま掘り下げて検討を進めておるわけでございますが、先般申しましたように文献も非常に少ないわけでございまして、新しい問題として研究いたします関係で非常に時間を要しておる。ただその間労働者に実害を与えてはいけないので、それぞれ従来ある認定基準に照らして救済していく、こういう並行した扱いをしていきたい、こういうふうに考えております。
  139. 浦井洋

    ○浦井委員 いずれにしても、この例でもわかるように、今後こういう状態の中で新しい職業病がどんどん発生してくるということであるわけですから、労働基準法の精神に基づいて、業務起因性がはっきりと否定されてないようなものについては早く認定をするような努力をしていただきたい、こういうことを強く要求いたしまして私の質問を終わりたいと思います。      ――――◇―――――
  140. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  建設行政基本施策に関する件調査のため、来たる十五日参考人の御出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来たる十五日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時、五十七分散会