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1972-05-31 第68回国会 衆議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月三十一日(水曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 金子 一平君    理事 葉梨 信行君 理事 服部 安司君    理事 阿部 昭吾君 理事 小川新一郎君    理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    大村 襄治君       梶山 静六君    野中 英二君       浜田 幸一君    古内 広雄君       村田敬次郎君    森下 國雄君       山下 徳夫君    山本 幸雄君     早稻田柳右エ門君    井上 普方君       卜部 政巳君    佐野 憲治君       柳田 秀一君    新井 彬之君       北側 義一君    吉田 之久君       浦井  洋君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (首都圏整備委         員会委員長)  西村 英一君  出席政府委員         首都圏整備委員         会事務局長   川島  博君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         通商産業省企業         局参事官    田中 芳秋君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省都市局長 吉兼 三郎君  委員外出席者         科学技術庁計画         局資源課長   今村陽次郎君         文部省大学学術         局大学課長   大崎  仁君         自治省財政局財         政課長     近藤 隆之君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  首都圏整備法等の一部を改正する法律案内閣  提出第七九号)      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出首都圏整備法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。卜部政巳君。
  3. 卜部政巳

    卜部委員 大臣に先般の委員会立川基地あと地利用の問題について御質問を申し上げましたが、そのときには大臣からの御回答がなかったわけです。きょうは回答がいただけると思うのでありますが、その御回答をお願いしたいと思うのです。
  4. 西村英一

    西村国務大臣 立川基地あと地の問題でございますが、この基地は終局的にはまだわが国に解放されていないのでございます。この問題につきましては、去年の六月ごろいろいろ関係者が寄って相談しました点は、一時的に防衛庁使用させる、しかし本格的に返ってきたらあらためてその検討をし直すということになっておるのでございます。建設省といたしましては、この点につきましてはその会議のときに、あと地問題について十分申し入れ――建設省というよりも首都圏整備委員会でございます。首都圏整備委員会としては、非常に重大なところでございますから、しかも非常に広範な土地でございますから、首都圏人口過密を防ぐのには重要な土地でございますから、十分申し入れをいたしておるわけでございますが、あと地が正式に全部返ってきたら、あらためて討議をし直すということになっておるのでございます。私が言うまでもなく、国有財産管理大蔵省がやっていますから大蔵省決定することになりますけれども、それまでの討議につきましては、首都圏整備委員会としては、このあと地利用についてわれわれの考えるところを十分主張するつもりでございます。
  5. 卜部政巳

    卜部委員 どういう主張をされるのですか。――いや、大臣に聞いています。どういう主張をされるのですか。
  6. 西村英一

    西村国務大臣 とにかく面積相当広いのでございまして、結局、官庁街は大体東京都の都心に占めております。したがいまして、いまさら官庁街を向こうに持っていこうとかいうようなことはちょっと考えられないと思います。官庁街がまだ未整備状態にあるなら、若干の官庁街はああいう広いところに持っていって分散したほうがいいと思いますけれども官庁街整備はまずこの付近に集中いたしまして、あと都心という問題が起こっておりましたが、これも大体は新宿中心にして副都心計画がされておるようでございます。そこで残る問題は、やはり事務所中心にしたビジネスセンター。これは、事務所のビルがどんどんこの辺にも建っております。したがいまして、首都圏整備委員会といたしましても、事務所には人口が非常にたくさん集まるわけでございます。それから水の問題とかいろいろな問題、事務所人口が集中しますから、その点にかんがみまして、なるべく既成市街地には事務所は排除したい、こう思っておりまするが、なかなかできません。したがいまして、この立川の地はやはり事務所センターとしては最もいいところではないか。交通の便からいきましても、周囲の環境からいきましても、また水その他のあらゆる問題からいきましても、非常に都合がいいのではないか。事務所センターとして考えたい、いまのところはかように思っておるわけでございます。
  7. 卜部政巳

    卜部委員 大臣、そうした首都圏整備委員会が出したあと地構想なるもの、これは大体何月に出たのですか。
  8. 西村英一

    西村国務大臣 これは何月に出たかということですから、政府委員から説明させます。
  9. 川島博

    川島(博)政府委員 ただいま大臣から立川基地問題について御答弁申し上げましたが、私から補足的に御説明を申し上げます。  まず、立川基地返還あと地利用問題でございますが、昭和四十六年、昨年六月二十四日の国有財産関東地方審議会におきまして、米軍基地返還するまでの間、米軍管理のもとに基地の一部を防衛庁に一時使用を認めるものとし、返還の暁においては、同基地利用について審議会においてあらためて検討する旨が決定されております。この趣旨を受けまして、防衛庁の一時使用については同月二十九日に閣議決定が行なわれた次第でございます。  さて、立川基地返還あと地最適利用につきましては、首都圏整備を所管する首都圏整備委員会は重大な関心を持っておりますが、都市政策を所掌する建設省としても大いに関心のあるところであろうと思います。立川基地は、まず立地条件から申しますと、都心から約三十キロメートル。ただいま中央線複々線化工事が進行しておりますが、四十九年には立川まで複々線化が完成をいたします。さらに所要時間の短縮が行なわれるだろうと思いまして、交通条件がきわめて良好でございます。第二に、総面積六百八ヘクタールございますが、これは丸の内大手町地区の約八倍の面積でございます。広大な新都心形成が十分可能な要件を備えております。第三に、土地所有形態は、国有地が五百十五ヘクタール、民有地が九十三ヘクタール――これは立飛株式会社という会社が所有しております――であり、国の決意いかんによっては直ちに過密解消に寄与せしめることができる。第四に、地質地盤が良好で、耐震性があり、防災上の観点から見ても恵まれておる。御案内のように、立川八王子地区は西から洪積層が張り出しておりまして、この、五十キロ山内では地盤地質がたいへんに良好なところでございます。さらに有利なことは、徳川初期以来、三百数十年の地震歴史を調べてみますと、この地帯歴史上かつて震度五以上の強震に襲われたことがない。関東大震災の際にも、ここではほとんど被害が出なかったのでございます。地震学者の説によりますと、大正十二年に起きました大震災から六十九年目にはおそらく大地震が訪れるであろうということでございます。そうなりますと、昭和六十六年に関東地震級地震が南関東を襲うことはこれは必至でございます。統計的に申しますと前後十三年の確率があるそうでございますので、昭和五十三年から危険期に入る。それから昭和七十九年まで二十六年間に東京周辺に大地震が起こる確率が九五%である、こう専門の地震学者は言っております。そういった面から見ましても、この立川八王子地区はきわめてすぐれた立地条件を備えてというふうに私どもは判断をするわけでございます。  以上のように、立川基地は新都心形成のためにきわめてすぐれた諸条件を具備しておりますので、今後の育成策いかんによりましては、丸の内大手町地区並びに新宿都心等に次ぐ第三の大都心形成することが可能と考えられます。特に、圏域所管官庁でございます私どもといたしましては、都心地区において無秩序に増大する事務所建設を抑制するとともに、一方においては立地条件のすぐれた立川基地計画的にオフィスセンターとして整備して、これらの事務所分散誘導し、首都圏の均衡ある発展をはかることが喫緊の要務であると考えております。このような見地から、首都圏整備委員会といたしましては、都市政策を所管する建設省意見調整の上、立川基地を含む立川市を、既成市街地の横浜市及び川崎市並びに近郊整備地帯中間部に位置しております八王子市、大宮市、浦和市及び千葉市とともに、中心市街地における再開発計価の推進とか、周辺に対する幹線交通体系整備等によりまして、より高度な商業、業務、文化等の総合的な集積を強化し、効率的な新都心地区として育成していく方針でございます。特に、これら諸都市のうち最も立地条件のすぐれた立川基地返還あと地につきましては、高速交通機関整備によって都心と直結させ、オフィスセンターとして整備するとともに、均衡のとれた住宅を配置することによって職住の近接をはかり、都心における過密解消に寄与せしめたい方針でございます。しかしながら、立川基地返還後の処置は、国有財産所管省でございます大蔵省がこれを決定する権限を有しておりますので、返還後の利用方針につきましては、大蔵省をはじめとする関係各省庁と十分意見調整をしながら、これを決定いたしたいと行えております。終わります。
  10. 卜部政巳

    卜部委員 大臣、いま川島事務局長お答えになりましたように、昨年の六月、この構想が出ておるわけです。あなたは大臣であり、委員長ですね。その委員長が先般の委員会においては何にも御存じなかったというのは、やはり私は若干怠慢だと思うのですよ。同時に、いま事務局長からお答えになりましたように、この国有地というのが大体五百十五ヘクタールですか、こういうことですね。大半国有地だということです。そういう形になりますと、これは政府関係において意見調整がはかられれば早急にもこの土地使用ができるということですね。同時に、いま御説明があったように、いわゆる都心新宿を結ぶところの三十キロ云々、こういう中から、きょう出てきております首部圏整備法の条文の改正よりも、これが私は最も大事なことだと思うのです。だったら、国務大臣建設大臣であり、そうして首都圏整備委員長でもあるあなたが、このことには十分な配慮のもとに、そうして政府内の調整に積極的に取り組まなければならないのですよ。にもかかわらず、その点については今日に至るまでおわかりにならない。ようやくきょうの答弁がなされておりますが、そういうことでは、こういうような首都圏のいわゆる整備の問題について後手後手に回るのではないか。たとえば、きょう文部省のほうから来ておりますが、すでにこの立川あと地利用につきましては東大を移転するだとか、運輸省においては民間航空の一部使用を行ないたいなどというような、候補のようなものが出てきておるわけですね。そういうものを放置していたらあと地はたいへんなことになると思うのですね。そういう意味で私はいまあなたにそのことを鋭く質問しておるわけですが、今後の取り組みの問題として、ひとつ大臣からの抱負を聞きたいと思うのです。
  11. 西村英一

    西村国務大臣 責任のがれを言うわけじゃございませんが、この閣議決定は私が首都圏委員長になりました前の閣議決定でございます。しかしそれはそれといたしましても、首都圏委員長としては相当発言権があるわけでございます。いま大半移転問題とかあるいはまた運輸省の飛行場の問題とかいろいろありますが、しかしこれはきまった話ではございません。そのように非常に広範な、大事な土地でございまするから、各省各省によって、各機関は各機関によっておのおの希望があることと思われるわけでございます。したがって、その取りまとめは、いずれの日かこれが正式に返ってきた日には、また、正式に返るように、私も国務大臣として早くこれを進めなければならぬ義務があることは当然でございまするが、とにかく正式に返ってきた暁には、関係機関審議会が相談することになるのでございます。そのときには首都圏委員長としては相当発言権があってしかるべきだ、これはあなたと同様の考え方でございます。今後の問題につきまして、委員長としては十分注意をしなければならぬ非常に大事な土地だ。しかも各省がおのおの自分の立場から要望も多々あるであろう、かように考えて、おる次第でございますから、今後十分留意をしたい、かように考える次第でございます。
  12. 卜部政巳

    卜部委員 大臣、これが大臣に就任される前の閣議決定ではあったにしても、現実には委員長なんですから……。ぼくはこの問題があとに尾を引くと思うのは、率直にいって佐藤内閣ももう余命幾ばくもないわけです。あなたもおやめになるだろうと思う。そういうときに、次の委員長も私は知らなかったじゃ因ると思うのですよ。そういう意味で次の建設大臣並びに首都圏整備委員長にはこれを明確に引き継いでもらいたい、こう思います。それと同時にもう一つは、各省がそれぞれの思惑があるだろうということでは困るのですよ。そうじゃないですか、首都圏委員長としましては。こういう広大な地域にこそ、これからの首都圏の確立のために、そしてまた事務局長がおっしゃったように、そういう条件がそろっておるのですから、そこに副都心的なものをつくり上げていく。私はこれはモデルケースにしなければいかぬと思うのです。新都心基盤整備法も出てきておりますけれども、そのものについて各省がばらばらだから、思惑があるだろうからということで、建設大臣なり首都圏委員長が手をこまねいて見ておることにはならぬと思うのです。その点ではひとつ十分なる配慮をしてもらいたい、こう思います。  そこで、この問題につきましては一応おきまして、次に、これと関連をいたしまして建設省にお伺いいたしたいのです。いま川島事務局長のほうからの御答弁によりますと、建設省とも十分なる連絡をとって云々というお答えがあったのですが、建設省といたしましても当然この問題に取り組んでおると思うのです。具体的にどういう取り組みをしていますか。都市局長ですか、ひとつお答えを願いたいと思います。官房長でもけっこうです。
  13. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 建設省都市政策関係を担当いたしております私どものほうといたしましては、先刻来いろいろお話がございましたように、まだこのあと地利用につきましての具体的な構想が固まってまいっておりません。私どものほうの受けとめ方としましては、まずこの基地あと地利用構想と申しますか、方向が具体化されますと、これを受けまして都市計画としてどうしていくか、土地利用並びにこれに関連いたしますところのいろいろな都心公共施設配置計画、そういうものをどういうふうにはめ込んでいくかというふうな作業になってこようかと思います。こういった作業東京都並びに東京都下関係市町村に非常に重大な関係がございます。すでに策京都地域におきましては、新都市計画法によりますところの市街化区域、調整区域が設定されておりますし、所要土地利用計画並びに都市計画上のいろいろな決定が行なわれておりますので、これとの関連をどういうふうに調整していくかというふうな作業になってまいりますので、その時点におきましては十分これら関係公共団体調整をとりながら、その適切な指導をはかってまいりたい、かように考えております。基本的には私ども首都圏整備委員会でお考えになっておりますところの構想には賛成でございます。つまり、東京問題を解決するには多核分散型の都市構造というものを考えていくことが基本的に大事であるというふうな考え方を持っておりますので、立川基地拠点開発といいますか、先刻来お話が出ておりますような方向でこれが整備されていくということにつきましては、基本的には私どもも賛意を表しておるような次第でございます。
  14. 卜部政巳

    卜部委員 都市局長首都圏整備委員会ではこれに対する構想をもう発表しているわけですね。たとえば新全総が出るときには、すでに建設省では生活圏構想なるものが出ておるわけでしょう。そういうような状態の中で全然動いていないというのはおかしいじゃないですか。建設省構想を持たないというのはおかしいでしょう。私はそうじゃないと思うのです。むしろ、いま局長指摘をされたように、公共施設整備だとか、さらにこれからの人口の予測だとか、こういうような将来計画はもう私はできておると思うのです。手がけておると思うのです。そういうものが大体建設省には全然ないのですか。都市局長にお伺いしたいと思います。
  15. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 立川基地都市計画としてどういうふうにやっていくか、そういう都市計画決定をいたすまでの具体的な資料なり調査というものを私どももまだ持ち合わせておりません。これにつきましては、東京都自身もすでに発表されておりますような多摩地域開発構想というものもございますし、そういういろいろな開発構想が出てまいっておりますので、現在私どもはそういうものにつきまして十分関係資料等を取り寄せて勉強いたしておる、こういうふうな状況でございます。
  16. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、将来計画なんというものはいまないということですか。そういうことですか。
  17. 西村英一

    西村国務大臣 将来計画といいましても、その地がどういうような…途に使われるかということで多少きまってくるのでございます。しかし、大体は相当人口を受け入れても十分な用地を持っておりまするから、何はおいてもやはり交通機関なんです。交通機関は絵にかいたものはあるのです。たとえば地下鉄を延ばさなければならぬとか、あるいは中央高速道路のランプとインターをつくらなければならぬとか、あるいは十六号線、つまり外環状線のもう一つ外環状線になる道路整備しなければならぬとか、水の問題はどこから取らなければならぬとか、そういうことについては絵にかいたものはあるのです。けれども、中に何がくるかということはまだ決定をしていないから、あなたのようにとことんまで、こういうものにして、こういうところはこうするんだというようなところまでできていないということなんで、それぞれ関係者の間においていろいろな絵はかいておるのが現状でございます。あと都市局長から説明させます。
  18. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 先ほどお答え申し上げましたこと、それからいま大臣お答え申し上げましたことに尽きると思います。
  19. 卜部政巳

    卜部委員 大臣、まあそのとおりだと思うのですが、大体この立川基地が、大正の時代においてあすこに軍用基地を持つことになりましたね。その立地条件として一番に取り上げられた問題は、交通事情がいいということでしたよ。そうでしょう。だからいまのように立体交差、いわゆる交通機関をそこに集中させる、たとえば四市を結ぶモノレールの構想等もあるんですよ、これは率直にいって。そういうようなことで、それはもちろんその中の交通機関重要性ということはわかりますけれども、そういう問題を含めてのやはり建設省としての将来計画をつくってしかるべきじゃないか。首都圏整備委員会だけが、ばんばん先走りというとおかしいんですが、そういうりっぱな構想をつくり上げておるのに、建設省各省のそれをながめながらこの構想を打ち出し得ないというのはおかしいじゃないか。将来計画があってしかるべきじゃないかというのが私の指摘なんですね。まあそれはそれでよろしゅうございます。この問題ばかりに費やしておってもいけませんが、しかし、先ほども申し上げましたように、この首都圏整備という問題は、率直にいっていまのこの法案改正は、現実にうみがたまって、そのうみを手術する程度のものなんですよ。しかしながら、立川基地あと地使用という問題については、そういううみがたまらないような措置として、当然首都圏整備委員会の出したような構想に基づいて推進すべきなんです。だから私は口をすっぱく申し上げておるわけなんですね。この点は十分ひとつ大臣も、建設大臣が先頭に立ってがんばってもらわなければいかぬわけですから、首都圏整備委員会が一生懸命がんばったってどうしようもないわけなんですから、そのことをひとつ要請して、次に進みたいと思います。  では、首都圏整備委員会川島事務局長にお伺いいたしたいと思いますが、今回の法案によりまして、答申内容はどの程度実施されているのか、まずお伺いしたいと思います。
  20. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  昨年の十月に行なわれました首都圏整備審議会答申によりますと、内容を大別いたしまして六点ございます。第一点は、目的改正、これは都市環境の改善をはかるということを加えたわけでございます。それから第二が、工場制限基準面積引き下げ、これは思い切って引き下げろということでございます。第三が、現在の新築、増築の制限に加えて、改築についても制限を広げるべきである。第四点は、工業等制限区域、現在は既成市街地九百十四方キロのうち七百十方キロ、約八割しか制限をかけておりませんが、それをさらに既成市街地全域、さらには近郊整備地帯の中でも過密のおそれのある地域はこの工業制限の網をかぶせるべきである、こういう答申でございます。第五点は、工場移転分散誘導策、これは規制とうらはらの措置になるわけでございますので、誘導策を強化すべきである。第六点が、大学等に対する規制強化をはかるべきである。以上六点が大体答申で行なわれたところでございます。  これらのうちで、目的改正基準面積引き下げ及び大栄等に対する規制強化につきましては、本法案により十分実現されるものと考えております。しかしながら改築制限につきましては、遺憾ながら本法案に盛り込むことができなかった次第でございます。また、制限区域拡大につきましては政令の改正に待つ次第でございますが、いまのところ答申どおり区域拡大をはかることはきわめて困難な見通しにございます。したがって、この際はとりあえず工業等制限区域を現在の既成市街地全域拡大する、すなわち現在七百十方キロでありますが、これを既成市街地全域拡大しますれば、九百十四平方キロメートルが対象区域になるわけでございます。既成市街地全域拡大するにとどめ、その他の近郊整備地帯への拡大についてはなお慎重に検討し、関係自治体とも十分協議の上、できるだけ早い機会に答申趣旨に沿った改正を行ないたいと考えております。なお、工場移転分散誘導策につきましては、直接本法案によって実現をはかることは困難でございますので、答申趣旨が十分実現されるよう、関連する諸制度の整備あるいは資金の確保等に一そうの努力を傾ける所存でございます。
  21. 卜部政巳

    卜部委員 いま御回答がありましたように、改築に対する制限がないのはどうしたことなんでしょうか。たとえば、遺憾ながら今回は入れることができなかったというその理由、この点について御説明願いたいと思います。
  22. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  さきの首都圏整備審議会改築制限に関します答申は、現行法のたてまえでございます集中抑制のための場の新増設規制、すなわち工業集積の絶対量の増加を押えるという立場を大きく踏み越えております。既存の工業集積の縮減を通じて過密の緩和をはかるべしとするものでございまして、従来の新増設制限とは全く質的に異なる規制内容を含む画期的なものといってよろしいと思います。過密対策の前進のためにはきわめて有効な方策でございまして、私どもは十分評価するわけでございますが、反面におきましては検討すべき問題点も多かろうと思います。何となれば、既存工場改築を原則として禁止することは、政策的には、制限区域の老朽工場のスクラップダウンを強制し、制限区域外への移転を余儀なくせしめて工場の再配置を促進しようとするものでありますが、対象施設である老朽工場の経営者にとっては、改築が許されないということになりますれば、移転かあるいは転廃業、二者択一を迫られることになるわけでございます。場合によっては企業の命運にかかわる重大な問題と考えます。このような企業経営に重大な制約を加える政策は、あわせて移転分散を効果的に行なうための企業の誘導助成策、さらに転廃業を余儀なくされるものに対する移転あと地やあるいは施設の買い取り請求を認めるかどうかなどなど、憲法二十九条との関連におきましても検討を、要する問題点が多いわけでございます。したがって、制限区域内における改築の実態あるいは改築制限の効果等に関するきめのこまかい吟味も含めまして、今後の検討を待って立法化することとし、今回はひとまず見送ることといたしました。
  23. 卜部政巳

    卜部委員 事務局長、実際問題としていま改築制限するということは、私の主張しておるのは、当然その地に公害を発生する施設というようなものがあって、その公害を発生するような施設を改築するというのに黙って見ておくのですか。そうじゃないでしょう。やはりそういう問題については、いま何か憲法二十九条とか、さらには命運にもかかわるというような大げさなことが述べられたのですけれども、公害を発生するところの施設に関する限り改築規制をする、こういう取りきめをしたらどうですか。そしてこれを改善させて、公害を発生しないように改築するというのならば、それに対しては基準緩和をするというぐらいな幅のあるものをやれば、何も命運にかかわるだとか憲法二十九条にかかわる云々ということはないと思うのです。どうなんですか。そういう面についてははっきりすべきだと私は思うのですよ。それを、何かるる読み上げられておったのですが、私はこれはちょっとおかしいと思うのです。その点どうですか。
  24. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  先生の御説はごもっともな点もございますけれども現実の問題といたしまして、工場改築あるいは増築あるいは新築する場合、いずれにおきましても、このような環境破壊が深刻な進行を、示しておる現況におきましては、いずれの工場といえども真剣に取り組むだろうと私は思います。したがいまして、確かに、われわれのねらっております改築は、公害型工場であろうとそうでなかろうと、いまは既成市街地に詰まり過ぎておるわけでございますから、公害のあるなしにかかわらず、それは間引きをしたほうがいいことは間違いないのでございます。現在のように、これからふえる分だけを押えるというのでは不十分でございまして、いまあるものをいかに減らすかということが非常に政策的に重要課題であろうと思います。ただ、現段階におきまして、何らの補償措置を講ずることなく、ただ規制だけを強化するということでございますと、これは憲法問題ともからみましていろいろ問題があり、政府部内でもこの点についてはもう少し慎重に検討の上、あらためて提案をすべきであるという意見が多数を占めましたので、私どもも不満ながらやむなく引き下がったわけでございます。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 それは概念的にはわかるのですよ。だけれども、率直に私が言っておりますように、公害を発生する施設があり、それが改築をするというものを手をこまねいて見ておるということになりますと、新築はいけません、これはもちろんの話ですが、改築はいいというような、こういうしり抜けなことじゃいかぬと私は思うのです。ですから、公害の発生をする施設についてはこれを認めない、しかしながらその会社が公害の発生しないような一つ措置をとりますということでありましたならば、これはひとつ基準緩和をしていいというような幅のあるものを入れればより充実した改正案になる、私はこういうふうに思うわけなんです。  そこで、一つ委員長に申し上げますが、これは私が思いつきで言っておることじゃないのですよ。すでにこれは首都圏整備審議会の中でも論議されておる問題なんですね。ところが、今度の法案はこれがしり抜けになってきておる、骨抜きになっておるということは私は解せないのです。ですから、私のこの審議と並行しまして、ひとつ理事間におきましてこの問題の取り扱いについて審議してもらいたいと思う。この問題を訂正するのか何とかするのか、その点を賢明なる理事に取り計らってもらいたいと思いますので、並行してひとつ理事会を開いてもらって、この問題に取り組んでもらいたい、こう思います。その間、この問題については保留をして次へ進んでまいりたいと思いますが、委員長、そういう措置をとっていただけますか。
  26. 亀山孝一

    亀山委員長 了承いたしました。
  27. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。  では川島局長のほうにもう一つお伺いしたいのですが、いまの法案によって答申内容がどの程度に実施されているかという問題の中に、制限基準の引き下げの問題が出ておりますね。この引き下げの問題なんでありますが、これを一律に決定をするということでは、いまの問題とは若干違った角度からながめて、中小企業などにはかなりの影響を及ぼすと私は思うのです。そういうふうな意味から、公害発生工業であるのか、さらには都市型工業なのかという基準、こういうものはやはり私は設ける必要があると思うのですが、その点はどうでしょうか。
  28. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように、現在の制限基準面積は「千平方メートル以上で政令で定める面積」ということになっております。これは、当初本法が制度化された昭和三十四年当時は千六百平米でございました。これを三十七年に改正をいたしまして千平米まで下げたわけでございますが、さらにこの際これを五百平方メートルまで引き下げたいということでございます。実は最近の工場の立地動向を見ますと、千平方メートル以上の工場の新増設はむしろ減少ぎみでございまして、やたらにふえておるのが千平方メートル以下の中小あるいは零細工場でございます。したがい議して、その基準面積を、答申にもいっておりますように大幅に引き下げることがこの過密解消に寄与するわけでございます。したがいまして、私どもは第一次の原案におきましては三百平米まで引き下げたいということで関係方面と折衝いたしましたが、それではこの生業的な小企業あるいは零細企業、ここから追い出されたらどうにもならない零細企業が非常に困るということで、やむを得ず妥協いたしまして五百平方メートル以上ということにいたしたわけでございます。ちなみに、フランスにおきましてもあるいはイギリスにおきましても、フランスは五百平米、イギリスは約千平米以上を制限いたしている次第でございます。
  29. 卜部政巳

    卜部委員 私はそのことは了解するというのです。だけれども、それを一律にやることについてどうなのかということを舌っているわけです。ですから、たとえば先ほど申し上げたような都市型工業なのか公害発生工業なのかによって、そこに基準を設け、一律のかっこうでない基準、私はそういうものを設けたらどうかということを言っているわけですから、何も五百平米だとか千五百云々という、今度の下がった問題を言って、いるわけじゃないので、その中にも二つのものをとってみてはどうか、こういうことを言っているわけですよ。
  30. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃられますことはよくわかります。しかし、そういうふうに公害型か非公害型か、あるいは都市型か非都市型かというような分類によりまして制限基準面積に段階差を設けるといたしますれば、私は少なくとも百平米以上の工場には全部かけるということにいたしまして、そこにきめのこまかい段階差を設ける必要があると思います。しかしながら五百平米という、私どもが予想した以上の高い水準にきめられました以上は、少なくともそれを上回るものはすべて対象にするということが一番この制限の強化につながるという意味におきまして、「五百平方メートル以上で政令で定める面積」ということにいたした次第でございます。なおちなみに、出版業とかあるいは印刷業、これは本来の意味都市型産業といえると思いますが、これらの工場につきましては現在千平方メートル以上の規模のものを制限いたしておりますが、これにつきましては、大都市に立地することが不可避であるということと、印刷工場、出版工場等の最適規模は千から五百の間に落ちつく工場が多いようでございます。したがいまして、これらの例外的なものにつきましては、政令で千平米のまま据え置く方針でいま政令案の検討をいたしておる最中でございます。
  31. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。ではそれはいいでしょう。またあとから申し上げますが、埋め立て地は、これは工業制限区域内に入るのですか、入らないのですか。どうなんですか。
  32. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  従来、工業等制限区域の地先におきまして工業の用に供する目的で埋め立てを行ないます場合には、公有水面埋立法に基づく埋め立て免許の段階で工業用地を造成することが適当かどうかを検討し、工業の刑に供する目的で免許を受けたところは竣工認可後も制限区域に編入しないたてまえになっております。しかし、近年の既成市街地における都市環境の悪化の状況にかんがみますと、既成市街地に隣接する埋め立て地に新規工場を立地させることは、背後地における弊害をますます助長することとなりますので、工業用の埋め立て地にいたしましてもすべて制限区域に含めることにより新規の工業開発は抑止する。例外的にこの住工混在地域からリプレイスする地域に限って選択的に立地を認めるという必要がございますので、所要の政令改正を行なう予定でございます。
  33. 卜部政巳

    卜部委員 それと関連をいたしまして、では、この近郊整備地帯の一部に工業等の制限区域拡大をする必要があると私は思うのですが、その点はどういうように考えておられますか。
  34. 川島博

    川島(博)政府委員 先ほどの首都圏整備審議会答申では、工業等制限区域拡大につきまして次のように述べております。首都圏既成市街地及びその周辺地域過密の弊害を防止して健全な大都市圏域として発展せしめるためには、工業等制限法の適用区域をすでに過密化した地域に限定することなく、今後における過密の弊害の予防を必要とする範囲に拡大すべきである。したがって、制限区域既成市街地全域に及ぼすことはもちろん、近郊整備地区であってもすでに工業の集積の著しい地域または近い将来において人口、産業の過度の集中の予想される地域については、工業等制限法の対象区域とする必要があると述べております。この答申を受けまして私ども事務局は、昭和四十五年の国勢調査による人口集中地区、いわゆるDID地区統計及び工業統計等によりまして、人口、産業の集積度の高い地区として東京都の北多摩の各市、下葉県の市川市から千葉市に至る臨海地区――これは後背の市街地を含めます。バックグラウンドの市街地を含めますが、市川市から千葉市に至る臨海地区、埼玉県が川口市に接続する市街地、及び神奈川県では横浜市に連なる市街地等を既成市街地に指定し、工業等制限対象区域とすることが最も妥当であると考え、具体案を心して関係地方公共団体と協議をいたしてまいりました。しかしながら現在の段階におきましては、これらの地域首都圏整備法上の近郊整備地帯の指定を受けており、これに伴って、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律によりまして、都府県に対する地方債の利子補給及び市町村に対する国庫負担率のかさ上げなど、特例措置が講ぜられており、提案を受けた関係自治体はこぞって、既成市街地に入ることによりこれらの恩典を失うことに強い反対の意向を示しております。したがいまして、この際はとりあえず工業等制限区域既成市街地全域拡大するにとどめ、その他の地域制限区域に編入することにつきましてはなお慎重に検討し、関係自治体とも十分協議の上、できるだけ早い機会に答申趣旨に沿った改正を行ないたいと考えております。
  35. 卜部政巳

    卜部委員 将来において人口、産業の過度の集中が予想される地域においては、この際やはり本法の対象区域とする必要があるということの指摘がありましたね。それで、いま説明によりますと、何か各地方自治体がほとんど反対をしているということであります。だからかなりむずかしいという、こういう配慮がなされておりますけれども、それはやはり首都圏整備委員会としてはそういう問題を本法案に取り上げると同時に、その問題については各省間においてそういう措置をとってやれば地方自治団体としてはオーケーということになるのでしょうから、そういうようなものをやはり事前に打ち出して推進をしていくというのが私はあなた方の役目じゃないか思うのですよ。そういうものが反対をされるからこういうものについてはちゅうちょいたしますということでは、これは意味がないと思うのです。そういう面について、やはり本法案の骨組み、これが首都圏整備に強く反映されるということになるためには、そういう問題を率直に取り入れるべきだと思うのです。その点についての各省意見調整ということが、一歩下がって、もしかりにあるとすれば、それはいつの時点で解決するのか、この点をひとつお伺いをしたいと思います。
  36. 川島博

    川島(博)政府委員 御案内のように、工業等制限区域近郊整備地帯まで拡大するということになりますと、手続としてまず既成市街地の、区域を拡大をする、その上に工業等制限区域の網をかぶせるということになるわけでございます。したがしいまして、既成市街地に編入されることにより財政上の恩典が失なわれるという点で反対をしているわけでございますから、工業等制限法の網だけを広げることには必ずしも反対をしないという地区もございます。たとえば東京都の三多摩の各市でありますが、既成市街地に入れられて恩典を失うことはかなわぬけれども、工業等制限法の網だけをかぶせるならば賛成である、こういう言い方をしております。しかし法律のたてまえが既成市街地の中で制限をするということになっておりますので、工業等制限法の網だけをかぶせて近郊整備地帯のまま残しておくというわけにまいりません。そういう点で、非常に技術的な問題を申し上げましたが、離点を示しますし、東京都以外は、たとえば千葉県千葉市、市川市、あるいは横浜市、川崎市、これがたいへん強硬に反対をいたしております。したがいまして、残念ながら地方団体と調整がつかないものを直ちに政府が独断をもってやるわけにまいりません。しかし、いずれにしましてもこれは政令の改正で済む問題でございますので、私はいまから何月何日というお約束はできませんけれども、ねばり強く関係地方自治体の説得を続けまして、近い機会、いずれの日かにすみやかにこの拡大を実現をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  37. 卜部政巳

    卜部委員 あげ足をとるわけじゃありませんけれども、この問題は、やはり調整というのが本法案に盛り込むことができなかったというだけ私はむずかしいと思うのですね。そういうような状態の中に、近い将来とおっしゃるが、その近い将来は、私は約束してもらいたいと思うのですが、いつごろになるのか、これは。
  38. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  既成市街地拡大の問題にいたしましてもあるいは工業制限区域拡大にいたしましても、政令という手続を踏んで行なわれるわけでございますが、その前に、基本方針につきましては首部圏整備審議会におはかりする必要があろうかと思います。警部圏整備審議会の有力なメンバーは、法律上、関係都県の知事、関係指定都市の市長、関係都県の議会議長、関係指定都市の議長、これが全部構成員でございます。したがいまして、この関係自治体の円満なる協議、同意というものが成立いたしませんと、審議会でこの原案を通すこともなかなか困難でございます。そういった技術的な問題もございますけれども、私どもは一日も早く実現すべきであると考えております。御案内のように、京葉工業地帯はいまや京浜にまさるとも劣らない過密環境破壊が進行いたしておりますので、地域の指定は一日もすみやかに行なわれるべきと私は信じております。そういういきさつもございますので、私どもとしては一日も早くそれが実現するように最大限の努力を払うという御答弁で、ごかんべんをお願いしたいと思います。
  39. 卜部政巳

    卜部委員 では、苦しい答弁でございますが、ひとつ早急にこの問題を解決していただきたいし、私たちも十分ひとつ監視をしていきたいと思います。  次に、この法案に、大学の新設と増設制限、さらに理工学部の増設の適用除外措置の廃止がうたわれておるわけなんですが、学校の実態をどの程度把握されているか、お伺いをしたいと思うのであります。
  40. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  現在の制限区域七百十平方キロメートルの、区域内における昭和四十五年の大学の数、これは短大、高専を含めまして百七十校、学生数が約五十九万一千人でございます。学生数では四十年に比べて約十二万三千人の増加となっております。また、同じく制限の対象となっております各種学校につきましては、昭和四十五年において学校数六百五校、学生数約二十四万四千人で、四十年に比べて学生数で六万二千人の増加となっております。
  41. 卜部政巳

    卜部委員 それはどういう調査によるものでしょうか。
  42. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  この調査は、制限区域七百十平方キロの中の問題でございますので、首都圏整備委員会が本来の調査として調査をいたしたものでございます。
  43. 卜部政巳

    卜部委員 それは学校基本統計調査で、あるわけですか、どうでしょうか。
  44. 川島博

    川島(博)政府委員 学校基本統計には首都圏規制市街地という中途はんぱな区域を対象にした統計がございませんので、これは私どもが自前で調べざるを得ないという立場でございますので、四十年と四十五年に実態調査をした結果まとめたものでございまして、学校基本統計ではございません。
  45. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、たとえば習志野に日大の学校がありますね。ところがそういう問題はやはり日本大学というかっこうで一本で、いわゆる本部に位置するようなかっこうでもって一本で統計が出ておるのでしょう。現実に調べているわけですか、各所に行って。そうじゃないでしょう。それくらいの実態の把握がなされているのですか。
  46. 川島博

    川島(博)政府委員 御案内のように、学校基本統計では本部所在地の学校で調べておるわけでございます。したがいまして、必ずしも、東京都所在地の大学の学生数と称しましても、これはいまお述べになりました日大の習志野校舎等の人間も入るわけでございますから、これはきわめて正確を欠くわけでござい耕す。したがいまして、私どもは学校基本統計をもとにはいたしましたけれども、それを内容分析をいたしまして、実態調査もいたし、私のほうで独自に調査をいたした数字を先ほど申し上げた次第でございます。
  47. 卜部政巳

    卜部委員 そうするとそれは地域に密着して、その調査というのはもうほんとうに一校も漏れないということでいいのですか。間違いないという調査ですか、それは。確実ですか、どうです、それは。
  48. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。と信じております。
  49. 卜部政巳

    卜部委員 私は率直にいって確実じゃないと思うのです。首都圏整備委員会が、ほんとうにくまなく各学校をたずねて一校一校マークしておるとはとても考えられない。それは局長は信じておるかもしらぬですが、私はそういうふうには信じていないのです。私は、そういう面にむけろ失態の把握が若干欠けているようなきらいがする。構想そのものはりっぱだと思います。だけれども、事学校の問題に関する限りは、首都圏整備委員会は若干地域に密接していない感じがします。この点はひとつ、ここであげ足をとるわけじゃありませんが、十分なる配慮をしていただいて、実態の把握につとめていただきたい、こう思うのです。  そこで、文部省にお伺いいたしたいわけでありますが、今回の答申によりまして、「積極的に大学等の地方分散を図る見地から、」云々という答申があるわけでありますが、どういう取り組みを行なうつもりか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
  50. 大崎仁

    ○大崎説明員 お答えを申し上げます。  国立大学につきましては、従来から地方の大学の拡充整備に重点を置くという方針整備を進めておるところでございまして、昭和四十七年度の予算案におきましても、学部、学科の増設等を中心といたしまして、地方中心整備充実をはかっておるところでございますが、このような方向を今後さらに推し進めてまいりたいと存じております。それから他方、すでにございます大学、学部の移転計画等につきましても、筑波新大学と関連いたします東京教官大学の移転等、現在計画中のものもございますので、そのような計画を積極的に推進をしてまいりたいと存じております。それから公私立大学につきましても、最近郊外等に新しいキャンバスを求めて将来の発展をはかるという傾向が次第に明確になっておりますので、そのような傾向をさらに助長するようにつとめてまいりたい、かように存じております。
  51. 卜部政巳

    卜部委員 答申は「積極的に大学等の地方分散を図る見地から、学園都市の建設、地方大学の拡充および助成の強化等の諸施策を推進すべきである。」ということが指摘をされておるところを見ても、いま文部省のほうからの御答弁があったけれども、私ははなはだ欠ける点があるのじゃないか、こう思うのですね。たとえば地方大学の問題なんかにいたしましても、昔はナンバースクール、たとえば五高の福岡なんかには夏目漱石がおって、いわゆる優秀な先生が配置された。ところが今日は地方大学はどうですか。「拝啓何々大学学長様」という生徒からの不信は、私は高校を出てあこがれの〇〇国立大学に入ったけれども、教えられるものは両校と同じようなものだ、先生はただ中央にいつか機会があれば行きたい、行きたい、こういう現状じゃないかという指摘があるわけですね。だから、私は何も昔の教育がいいというわけじゃない。だけれども、よさはとっていかなければいかぬので、ナンバースクールのように、やはりそういう地域の大学にも優秀な教授を配置して、そしてそこの地域開発センターになるような、たとえば風土病が出ればそれに対応できる措置というものが即なされなければならぬと思うのですね。こういう問題について、文部省は実際いま取り上げておるだろうか。私は取り上げていないと思うのですよ。この点についての考え方をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  52. 大崎仁

    ○大崎説明員 御指摘をいただきましたように、地方の大学の現段階におきます充実状況というものが必ずしも満足すべきでない点も多々あろうかと存じますが、ただ、私どもの姿勢といたしましては、予算、あるいは機構の新設、改廃等を通じまして、地方大学の整備充実という点に意を用いつつあるところでございましてなお一そうその方向で努力をさせていただきたいと存じておる次第一でございます。
  53. 卜部政巳

    卜部委員 先ほども申し上げましたけれども、たとえば風土病にも対応するような措置をとらなければいかぬという、こういうような問題等々、からめてながめてまいりましても、今日いわゆる過疎地帯には医者がおらない、当然そこには〇〇大学に対して医学部を設置せよという声がほうはいとしてわき上がっておる。こういう問題についても文部省は全然それを顧みようとはせないという例がありますね。いまのおことばとは全然逆じゃないでしょうか。こういう問題についてはどうなんですか。
  54. 大崎仁

    ○大崎説明員 医学関係につきましても御指摘のような医師養成の問題がございまして、四十六年度におきまして秋田大学の医学部を発足をさせておる次第でございますが、さらに四十七年度予算案におきましては、三重大学の県立の医学部を国立に移管をしていただき議して、さらに充実整備をはかるというような措置を講じますとともに、地方の大学を中心といたしまして、医学部の定員を約百二十人ほど増員をいたしておる次第でございます。なお、決してそれで十分ということではございませんで、北海道等三つの医学部を、今後、主として比較的僻地の多いような地域でございますが、そのような地方の大学の学部あるいは独立の大学として創設をするための準備経費というようなものを本年度予算案に計上いたしておりまして、今後さらにその方面の充実についても努力をしてまいりたいという段階にある次第でございます。
  55. 卜部政巳

    卜部委員 これは課長もテレビを見て御存じかと思いますが、私もテレビを見失してなるほどなと思って見ておったわけですが、これは東京のある小学校が一カ月に一回ずつクラスが郊外に出ていくという、こういうテレビを見ました。これは私は、そもそも都心では教育の問題も考えなければならぬという段階に来ておることを意味しておると思うのですよ。しかしこの場合は親と子という関係から家庭に帰るからいいのですよ。しかしながら大学というかっこうになりますと、どんどん親元を離れて下宿人になってくるわけですから、都市への集中が行なわれるのはこれはけだし当然ですね。そういうような観点からいたしましても、地方大学が充実をして、そこに地域開発センター的な要素を持ち、機会均等を学生に与えられたら、何を好んでこういう東京や大阪に来るかということですよ。これは一にかかって文部行政の欠陥だと私は思うのですよ、率直にいって。ですから、医学部の問題につきましても、三重大学だとか秋田大学のことを言われましたが、率直にいって島根大学とか、いろんなところ、まだまだたくさんありますよ。私のことを言うとまずいから言わぬ程度ですが、島根なんかでも過疎地帯で困っておってもなかなかうんと言わぬ。こういうようなことをただ紋切り型に御答弁を願うのじゃなくて、抜本的な解決に向かっての答申があるようなこの問題を、やはり本来は文部省自体が考えるべきだと私は思うのです。この点をひとつ強く要請をして終わりたいと思います。  次に、通産省にお伺いをいたしたいわけでありますが、今度の首都圏整備法案の問題と関連をして、通産省のほうは工業再配置促進法が通過をしておるわけですね。これはいいと思うのです。たいへんけっこうだと思うのでありますが、これは予算は一体どうなっていますか。この点をお伺いしたいと思います。
  56. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 工業再配置促進法案でございますけれども、衆議院のほうの御可決をいただきまして、ただいま参議院のほうで御審議をいただいておるところであります。この法案につきましては、御承知のとおり、工場の地方分散を促進するという見地から、公団を設立してこの分散の促進業務を行なうほか、分散いたします企業ないしは分散先の地元地方公共団体に補助金を交付するというような形になっております。予算の総額といたしましては、四十七年十月からこうした事業を発足させることといたしまして、四十七年度下半期分といたしまして百五十億円の予算を計上をいたしておるところでございます。
  57. 卜部政巳

    卜部委員 これと関連をしますが、そうすると工場あと地の融資の需要をどの程度に見ているのですか。
  58. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 私どもといたしまして、大体過密地域から工場移転させるという方向でございますが、現在過密地域と認められますものの工場用地、これが大体一万七、八千ヘクタールくらいにのぼろうかというふうに考えておるわけでありますが、昭和六十年にはこのヘクタール数を半分程度にいたしたいというふうに実は考えておるわけでございます。その場合におきます私どもの、移転にかかわります移転資金の貸し付けあるいは融資等でございますけれども昭和四十七年度分といたしましては百三十億円のあと地融資及び賢い上げ資金、それから直接移転にかかわります企業の運転資金といたしまして約十二億円の資金を予算計上いたしておるところでございます。
  59. 卜部政巳

    卜部委員 参事官、いま審議をいたしておりますように、今回この整備法案によりまして規制を強化をされておるわけですね。そういうふうな関係から、工場移転や地方への所在地を希望する場合が私はたくさんあると思うのですよ。出てくると思うのですね。こういう場合に、誘導地区に誘導する予算がいまのような形で十分でしょうかね。この点をひとつお伺いしたい。
  60. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 現在のテンポでございますと、たとえば首都圏でございますれば、年間の移転企業は約三十五ヘクタール程度の工場面積になるわけでございます。これでまいりますと、私どものねらいとしております、現在の工場面積を半分程度にするには実に百年を要するテンポになるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては現在のテンポを八倍から十倍程度のものに上げていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。初年度といたしまして、四十七年十月から一応百三十億から百五十億程度の資金を組んだわけでございますが、将来のあれといたしまして、これが所要資金は昭和六十年までに二兆円をこえるくらいの資金が要るのではないか。こうした資金手当てに今後とも十分努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  61. 卜部政巳

    卜部委員 時間がないようですからはしょって質問いたしますが、工業再配置促進法案が出されておりましても、都市集積利益をねらいまして、現在なお過密地帯に居直る企業が当然あると思うのです。こういうような観点からいたしまして、そういう企業からは利益の一部を吸収をする制度、こういうものもこれから考えて、みたらどうかと思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  62. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 御指摘の点につきましては、衆議院商工委員会の附帯決議にも御指摘があるところでございます。私どもといたしまして当初の構想といたしましては、過密地域にあります工場都市集積のメリットを享受しておるというところから、このメリットをはぐという見地から、法人税の付加税部分をほかの地域は撤廃するけれども、これらの過密地域にある企業につきましてはこれをそのまま残すというような形を考えたわけでございますが、最近の景況その他の問題もございまして、法人税が延長になったわけでございます。したがいまして、四十七年度といたしましてはこの構想はできなかったわけでございますが、明年度以降、可及的すみやかにこうした方向で地方分散のインセンティブと申しますか、促進をはかるような方向を考えたいというふうに思っているわけでございます。
  63. 卜部政巳

    卜部委員 さすがに商工委員会のメンバー、優秀だと思って安心をいたしました。  そこでもう一つ、これをもって終わりたいと思うのですが、そういう場合に移転促進地域から工場が所在地を求めて移転をするにあたって、過密地帯に比較的近い都市周辺に集中する傾向があると思うのです。この法案によりますと促進地域だとか誘導地域だけが対象になっておりますけれども、過疎地帯の〇〇地帯――私のことを言うとまたすぐ笑われますから言いませんが、そういうところに立地を求める場合においても、この点についての調整措置もとっていいのではないか、私はこういうふうに考えるのですが、いかがなものでしょうか。
  64. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 御指摘の点でございますが、私どもも当初の構想におきましては、まず過密地域、これにつきましては、そこに現に存在する企業及び今後新増設する企業に対して税を賦課する。それから、いま御指摘のございました、今後過密になるおそれのある地域、この地域一つ設定いたしまして、そこに新増設をする企業について少し重税を課する、こういうような形を考えておったわけでございます。しかし、税の問題につきましては先ほど御説明申し上げましたような事情にございますので、今後この点も含めまして検討をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  65. 卜部政巳

    卜部委員 通産の方はそれでよろしいですが、今度は経済企画庁のほうにちょっとお尋ねいたします。  都市過密化の問題は、本法案にあるように、人口集中というような形で激化をして、どうしようもないような状態になっておるわけです。新全総が打ち出されて今日久しいわけでありますが、この新全総はそうした過密過疎に対する十分な配慮を行なうということがうたわれておって、今日このことが是正できないということは何なのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。まず姿勢の問題。
  66. 岡部保

    ○岡部政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生のおっしゃいましたとおり、新全総においては、過密過疎問題、これはたいへんなことであるということで、具体的にその内容といたしましても、たとえば国土全般に開発の可能性を拡大するというような観点で、こういういろいろな方向で進むべきだというような考え方を実質盛り込んでおる次第でございます。いま御指摘のございました、それでは現実にそれが進んでおらぬ点についてどういうふうに考えるかという点でございますが、現実の問題といたしましてなかなかむずかしい問題があることは事実でございます。ただ、私どもといたしましては、本日御審議いただいております首都圏工業制限であるとか、あるいは先ほど通産省からお話がございました工業再配置の問題であるとか、あるいはこれから問題になるかと存じますが、むしろ過密都市にちょうどうらはらと申しますか、対照的に考えております地方都市整備というようなものを考え、いわゆる過大都市の集中を逆に分散方向に持っていくということをどうしてもしていかなければならぬということで、具体的な施策を実施なさいます各省と絶えず協議をしておるところでございます。ただ現実には、残念ながらその歩みと申しますか速度が遅々としておることは事実でございまして、今後もこれに一そう努力をしていくつもりでございます。
  67. 卜部政巳

    卜部委員 いまの岡部局長お話は、ただことばだけが美しくきれいに、配慮するのだ、こういうようなことを言っておりますけれども、やはり管理中枢機能、こういうものがある限りは人口は集中してくると思うのです。私はこの点について大いなる疑義を持つものですが、この点はどうですか。
  68. 岡部保

    ○岡部政府委員 いわゆる管理中枢機能、これをほんとうに地方に分散できるかどうかという点になりますと、私ども考え方では、管理中枢機能というものは従来の流れをそれほど変えることは不可能ではなかろうかという感じがいたします。そこで、そういうことを前提にいたしまして分散ができないのではないかという御質問の趣旨だと存じますけれども、ある面ではそのとおりでございます。それで私どもとしては、この管理中枢機能のこれからの一つ考え方というもので、いわゆる通信機能と申しますか、管理中枢の機能を果たすためのハードウエア面で考えまして、たとえば一つのコンピューターをとりましても、オンラインシステムで相当現実の機能というものは分散して、それの中心一つの大きなコンピューターのシステムになるというようなことも考えられます。したがいまして、たとえば一つの二次産業の例をとって申しますれば、生産施設を直接現場として担当する工場というものはむしろ分散すべきであろう。それと本社機能というものがいわゆるオンラインシステムで結びつけられるということに持っていくべきではなかろうか。また現実にそうしなければ、とてもこの過密都市の問題というものはまず解決できないのではなかろうかというような考え方で――これは先生の御指摘のとおりいささか抽象的であって、頭の問題ではないかと御指摘を受けると非常につらいのでございますけれども、そういう方向でいかざるを得ないという感じを持っておる次第でございます。
  69. 卜部政巳

    卜部委員 時間がありませんからこの問題で論駁しておってもならぬと思うのですが、ただ、いま局長がおっしゃった中にもまだ矛盾点があるのですね。たとえば、新全総でも問題になりましたけれども工場分散の場合、たとえば、既成の大工業地帯からの工場分散をはかる、これには用地、用水、公簿の問題等の制約云々という中から、この公害問題云々という字が軽率であるということで、輸送の条件の変化というふうに変更されたいきさつがありますよ。これは御承知のとおりだと思うのですね。ところが今度通りましたところの農村地域工業原人促進法というものを見ますと――これは四十六年でありますが、この中にはずうずうしくもこういうことが書いてある。公害問題の激化によって都市から離れざるを得なくなる――新全総でいわれたことがさらに同じように、今度は蒸し返しにことばを露骨に出してきておるような現状があるわけですね。何ぼ過疎地帯だといっても、そんな公害を背負ったような企業など来てもらいたくないのです。これは私はそう思うのですよ。そういう意味からしましても、やはりこういうものについては公害を防止する措置を伴ったところの工場でないといけないというような規制もぜひやってもらいたい、こう思うのです。まあ、いろいろやりたいわけですが、四十五分に次の質問者にバトンタッチをしなければいけませんので、そういう面で経済企画庁も十分なる配慮のもとに、私たちをごまかそうとしたって現実にはもうこういうものが、馬脚をあらわしているのだから、そういうことのないように……(「異議なし」と呼ぶ者あり)ひやかすのはやめてください。――こういうことでひとつ真剣に取り組んでもらいたい。  だいぶ長くなりましたが、以上をもって私の質問を終わりたいと思います。
  70. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、小川新一郎君。
  71. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最初に、本法案を審査する前に、「高密度地域における資源利用環境保全の調和に関する勧告」が、科学技術庁資源調査会勧告第二十六号として昭和四十七年五月三十日付で発表になっておりますが、これについて御感想をまず首都圏整備事務局長からお伺いしたいのであります。この問題は、御案内のとおりきょうの新聞で、東京の樹木は五十年で全滅する。そうして首都圏の浦和、松戸、小田原、横浜、新宿等がこの地図の中に示されておりますが、これはちょうど既成市街地をちょっと拡大した程度のところで、いまのままほうっておくならば東京のこの地域の樹木は五十年たったら全滅するであろうというおそるべきことがこの資料から出されておりますが、これに対して当面の首都圏の特に東京圏内、この大事な整備を預かっている局長から御感想をまず承りたい。
  72. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました資料は実は私まだ拝見はしておりません。至急科学技術庁から取り寄せて検討いたしたいと思いますが、確かに、このまま環境破壊が進みますれば近い将来たいへんなことになることは、これは容易に想像されるところでございます。したがいまして、首都圏整備委員会といたしましては、やはり首都圏の中でも過密の著しい既成市街地及びこれに接続する近郊整備地帯につきましては、今後環境破壊を最小限度にとどめるため最大の努力をいたすべきであろうと思います。その第一は、やはり公私を問わず緑のオープンスペースを確保するということが基本になるのではなかろうかと考えます。したがいまして、私どもの所管で申しますと、近郊緑地保全法という法律がございます。この法律によりまして、近郊整備地帯、約六千二百ヘクタールございますが、そのうちに少なくとも広域的なパブリック・グリーン・オープンスペースといたしまして五万ヘクタール程度は確保したい。この五万ヘクタールは、所有権は民間に残しますが、樹木の伐採でありますとか区画形質の変更については届け出あるいは知事の許可を要するという法律のたてまえになっております。この法律によりまして、なるたけ大規模な緑地を計画的に残したい。また既成市街地におきましては、都市公園あるいは再開発緑地等のパブリック・オープンスペースを今後大いに拡大をするという基本方針で、この東京の深刻化した環境破壊を少しでも食いとめるために努力すべきではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  73. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そのような抽象的なことではもうだめだといっておるのですよ、ここでは。特に東京二十三区、埼玉県南部の樹木はもう五十年で全滅するのだから、ここで環境保全区域に指定する、それをしない限りだめだといっておるのです。木がだめになるのだったら、この中の人間はだめになることは当然わかりますね。その一例として、石神井南中学の光化学スモッグが原因の事故がここ二、三日起きております。この石神井南中学の生徒の事故の原因については、首都圏整備委員会としてはどのような報告を受けておるかということをまず聞きたいのでありますが、その前に、この環境保全地区にこの地域を指定することができますか。
  74. 川島博

    川島(博)政府委員 私どもの持っております法律は既成市街地を除く五十キロ圏、すなわち近郊整備地帯について大きな保全緑地を指定するという制度でございますので、既成市街地の中の問題になりますと、これは私どものほうでは手が及ばない。したがいまして、今後、既成市街地あるいは近郊整備地帯を問わず、そういった何か抜本的な大胆な手を打つということでございますれば、これは新規の立法にまたざるを得ないと思います。環境庁筋ではあるいは自然保護法というような、これに関連する重要な施策を立案中ということでございますが、これ等も含めまして、今後の政府の重要な政策課題として至急に検討を進めるべき問題であろうと考える次第でございます。
  75. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 地球環境保全対策のこの問題に環境庁長官が出かけていったわけでありますが、あと二十八年たちますと西暦二〇〇〇年、すなわち二十一世紀になる。人口はいまの三十六億から約七十億台になるであろう。そうして世界は地球の資源を食いつぶすであろう。そして問題になります自然環境破壊というものは猛烈な勢いで伸びていくであろう。このままのペースでいきますと、地球はおそかれ早かれ破滅の状態になるということをEECの、ちょっと名前を失念しましたけれども、ある学者が述べておりますが、こういう事態の中で、日本が環境汚染に、都市問題としていま公害問題で最も取り組まなければならない。東京の樹木が五十年で、西暦二〇〇〇年代、すなわち三十一世紀にはなくなってしまうなんということは、私たちの時代はともかくとしても、われわれの子供や孫の時代のために、いまこの問題を真剣に考えていかなければたいへんなことになるのじゃないかと思うのであります。そういう立場に立って、私はいまの事務局長の御答弁ではまことにたより甲斐ないと思う。だから、いま申し上げましたように、環境保全地区というものは既成市街地だけではないのだ、既成市街地域もそれから整備地域も含めて、いま私が指摘しております地域において環境保全の地区を指定して、そして私たちの町から緑を奪ってはならないという対策を講ずる、こういう一環の中からこの本法案も出てきているのであろうし、また通産省で出しております工業再配置に関する法律も当然出てくるのであろう。こういったもろもろの都市関係法というものは、われわれの生命、財産、いな私たちの子供や孫の時代にまで及ぶところの公害への挑戦でなければならない。そういうことを考えたときに、私はいまこの問題を提起しているのでありまして、きょうは科学技術庁の方も来ておりますから、この問題について本委員会において十分意見を述べていただきたい。そういう前提のもとに立って、私は既成市街地工場規制に関する問題について真剣に取り組む意欲をいま持っておりますので、どうかひとつお願いします。
  76. 今村陽次郎

    ○今村説明員 いま小川先生から、最初、新聞に出た記事をもとに御紹介ございましたが、昨日、五月三十日でございますか、資源調査会二年間の調査結果に基づきまして、科学技術庁長官に勧告が出されたわけでございます。いま小川先生がおっしゃいました点につきましては、いろいろの調査の結果、少なくとも植物が大体耐性限度にきている範囲という地域を基準にいたしまして、そしてできればそういうところを特別な環境保全地域ということに指定していただいて、そこではもうこれ以上汚染物質を排出しない、あるいは現在以上に増加しないという保証がない限りは、たとえばエネルギーの消費量をこれ以上ふやさない。端的にいいますと燃料消費量もふやさないというような措置を強化すべきではないか。もちろんこのためには、いろいろな主僕面とか、そういうところに影響がございますので、また単に一省庁の仕事だけでできるものではございませんから、いろいろな関係各省庁協力して、総合的なそういう規制の方法なり、それからそれに伴って生じてきますいろいろな問題についての対策、行政施策の検討、調整、そういうようなものについての体制を早急に整えてほしいという勧告でございます。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕
  77. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 あなたからいただいたこの勧告書の一三ページには、「汚染物質の排出規制の強化」ということがございまして、ただいまお伺いしましたガソリン、重油の使用量の凍結ということは、東京都二十三区の面積に対して、自動車の許容量は一体何台が妥当と思い、これに伴う規制はどのようにお考えになっておりますか。
  78. 今村陽次郎

    ○今村説明員 その点につきましては、今後さらに関係省庁と協力いたしまして調査しないとはっきりしたことは申し上げられませんか、今回の調査の特徴は、全体としていろいろな風系を考えまして、簡単に申し上げますと、目に見えない壁が空気を囲んでおりまして、その中で発生するSO2を指標にとりましたが、そういう汚染の発生源、発生量、そういうものとの関係で、たとえば一年の間二〇%は非常に高濃度の汚染が生ずる可能性があるというようなことをまず明らかにいたしました。その中で、たとえば自動車がその域内に入るのをどの程度制限したらよろしいかとか、あるいはどういう産業についてエネルギーの消費量を規制したらよろしかろうかという問題は、実はこの調査の中でそこまでいっておりません。この勧告をもとに各関係省庁で受け取っていただきまして、そこで具体的に考えていただく。もちろん科学技術庁としましてもその中に十分入りましてグループを組んで、今後具体的な対策を考えるという、その段階で打ち切られております。
  79. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 都市局長にお尋ねします。美濃部都知事は、石神井南中学の事件を契機に、東京都内の光化学スモッグを防ぐために、東京都内に流入するところのマイカー、自動車の規制を厳重に行なうということを言っておりますが、警視総監はこれに対して反対を唱えております。いま私は具体的に数字を示してくれと言ったのですが、数字が出ないのですが、東京都内を走っている昭和四十七年一月一日現在の自動車の数、これが昭和五十五年にはどれくらいふえる予想なのか。美濃部都知事の、都市対策上、光化学スモッグ警報が出たときの主要道路における自動車の規制について、都市局長としてはどのような所見を持っていらっしゃるか、これをお聞きしたい。このことは首都圏事務局長にもお尋ねしたい。
  80. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 いま小川先生からの、東京都内の自動車の保有台数、今後の伸びという具体的なデータにつきましては、私、手元にいま資料を持ち合わせておりませんので、後刻また調べましてお届けするなり、御説明を申し上げたいと思います。  お尋ねの、現在の東京都の光化学スモッグ、大気汚染関係関連いたしました自動車の規制の問題につきましては、新聞等で報ぜられておりますように東京都のほうでもいろいろ横付されておることでございますが、政府部内におきましても、昨日でございますか、閣議で関係省庁の大臣お話し合いになりまして、これに関係いたしますところの運輸、警察、建設の省庁で緊急に対策を検討しようというふうな話し合いが行なわれたことでございます。そこで、いわゆるマイカーを中心にしました交通規制の問題は、御案内のとおり、事柄としてはもうそういうふうな問題にかなり正面から取り組まなければならぬ時期に来ているのじゃないかというふうに私どもも認識を持っておりますけれども、具体的に、技術的にどういうふうな規制をするかという点に結局この問題の解決のポイントがあるように私どもも思っております。警視庁が半面の矢面の責任者として、そういうふうな規制をやる場合に非常にむずかしい問題があるという、責任者の立場からいろいろ御意見が出ておるようでございます。そこで私どもは、そういう直接規制の問題もさることながら、間接的な方法でもって乗り入れの規制効果があがるような対策もあわせ講じていくべきじゃないかというふうな考え方も持っております。もうすでに、そういう大都市交通、ことに道路交通規制対策としまして具体的な方向が打ち出されておるわけでございます。たとえば都心地域におきますところの駐車の規制の強化とか、あるいはラッシュ時におきますところの路面交通におきましてのバスの優先レーンの確保でございますとかいうようなことがすでに手を打たれております。それから、自動車の保管場所の確保等に関する法律というふうな、あまり効果のあがってない法律もございますけれども、そういうふうな面も、この際ひとつこの緊急事態を認識いたしまして、もう一ぺん抜本的に徹底した対策を打ち出す必要があるのじゃないか。そういうことをやることで、結果的には、いま話題になっておりますところの乗り入れの規制効果をそういう面から誘導していくという施策も必要かと思います。あれやこれや、いろいろこの問題は複雑で、非常にむずかしい問題をかかえておりますが、私どもの省におきましては道路局が面接の関係の部局でございますので、十分連絡をとりながらこの問題に取り組んでいきたいというふうないま状況でございます。
  81. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  光化半スモッグ対策として道路交通規制を強化すべきであるという東京都の提案に対する首都圏整備委員会意見ということでございますが、問題が道路交通問題でございますので、必ずしも首都圏整備委員会がこの際として申し上げることが適当かどうか。私は適当でないと思います。したがいまして、私個人として感想を申し述べさせていただきますと、おそらく現在東京都内を一日走り回る車は、延べでは二百万台をこえるのじゃないかというふうに考えられます。将来のふえぐあいでございますが、現在全国で約二千万台でございますが、おそらく昭和六十年には三千五百万台ないし四千五百万台程度に達するのじゃないか、これは幅がございますけれども。そうなった場合に一体都内の交通はどうなるだろうかといいますと、もちろんこれは全くの麻痺状態になることは間違いないわけでございます。したがいまして、今後は交通規制を、好むと好まざるとにかかわらず強化せざるを得ないということになるわけでございます。これは全く私見でございますけれども、そんなこそくな手段よりも、やはり全国のマイカーの生産量を何らかの形で計画的に押える。金があれば幾らでも売るということでなくて、どうしてもマイカーを持たなければ商売ができないとか、身体障害者で困るとか、そういう者に限定をして、その他はもう必要以外の者にはいかにお金があっても売らない。それくらいの大胆な政策をとらなければ東京の問題は永久に解決しないと私は信じております。これは全くの私見でございますから、よろしくどうぞ……。
  82. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私見であるということの前置きでございますが、いま二千四百万台くらいの自動車が全国に走っておる新全国総合開発計画によりますと、これが三千万から四千台になる。そうして昭和六十年には二百兆の国民総生産をあげる。そのために、現在走っている新幹線六百七十六キロを七千キロにするどういう景気のいい話ばかりぶち上げておる陰に、石神井南中学のように、原因不明で――きょうのテレビでは、その原因が猛毒を発生する自動車から出ておるという。現在において私たちの健康は刻々と破壊され、生命の尊厳が失われているような、憲法第二十五条違反に匹敵するような都市政策都市問題である。私は、いまのような、私見ではあるけれども川島事務局長が前向きな御意見を本委員会で述べたということは――いま大臣あとからおいでになったので、ほんとうは大臣にお聞かせしたがった。非常に大事なやりとりがいま行なわれているところなんですが、私は、二十三区東京都民がこのまま伸びてしまったらばどうなるかということを憂える一人として、これは重大な問題であります。そこで、いま一日に東京都に事務所の床面積はどれくらいふえているか。これに対しての規制は何にも行なわれておらない。自動車の規制人口の流入の規制をいまから行なわなければならないという大事な問題でありますので、まず工場立地とあわせた事務所立地に対する規制、マイカーに対する規制、この二つは当面の課題であると思います。大臣、途中からおいでになって、よくいまの議論のやりとりがおわかりにならないと思いますが、いま東京都に二百万台以上の自動車が走っておる。それがまき散らす排気ガス、一酸化炭素、こういった有毒ガスが石神井南中学の児童生徒に非常な影響を与えた。これは何も石神井的中学ばかりではない。あれほど環境のいいところ、都内ではまだ環境のいいとされている石神井南中学でばたばた倒れた。こういう事態についていま川島局長から、私見ではあるけれども、マイカーの規制を行なわなければいけないという発言があった。そこで、私は自動車の規制事務所の立地規制というものをやらなければならないという意見の持ち主の一人でありますが、大臣、どうでしょうか。
  83. 西村英一

    西村国務大臣 私も、事務所規制はぜひ必要曲と思っておるわけでございます。今後のこの法律の提案につきましても考えないことはなかったのでございまするが、非常に重大な問題であるので今回は見送ったわけでございまするが、事務所規制はぜひ行なわなければならぬ。それによって人口が最も集中するのでございますから。それからまた交通問題にいたしましても、ビルに多くの人口を収容することによって起こるのでございまするから、この問題は十分今後も検討したいと思っております。立川あと地利用の問題等もこれと関連する問題でございます。しかし、事務所を一体的に規制するということになるとその及ぼす影響も大きいのでございますので、これは十分な検討はいたしまするが、非常に重大な問題でございます。私もあなたと同感でございます。  交通規制の問題ですが、これは実は先般からも、どうしてもマイカーのみならず交通規制をしなければならぬのじゃないかということで、いま警察を持っておる中村国家公安委員長、それから運輸大臣、私、これがひとつ相談をしよう――実は総理府におきまして山中長官が交通問題の総合的なあれをやっております。ところが正直なところ、交通関係というと、交通事故もあるし、交通規制もあるし、交通公害もあって、ほとんど全閣僚が関係しておるわけで、ややともすれば議論が非常にまとまりがつかないのです。そこで私は、同じ交通問題といっても、交通事故と交通規制交通公害というものはまるきり別の観点から論じなければいけないのだから、交通規制だけについて関係するのは国家公安委員長である中村大胆と運輸省建設省である、この三省でやはり詰めていかなければできないよ。ことにいま、あなたも御存じのように、東京都知事の美濃部さんと警察のほうでいろいろ議論もありますが、いずれにしてもこの三省がやはり連絡会議を持ってやらないといかないよ、こういうことをいま話し合っておるところでございます。あなたもおっしゃるように、交通規制の問題とこの事務所の問題は十分今後検討したいと思っております。
  84. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その場合、職務所の規制は単独立法でいくのか、この法律に含まれていくのか、どっちですか。
  85. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  工場大学等の立地制限措置、これは現行の法律によるものでございますが、これと事務所対策等を現行の工業等制限法の改正のワク内で処理するか、または新規立法によって包括的に処刑するかは、それぞれの工場大学等及び事務所にかかる対策の趣旨目的によっておのずから定まってくるものと存じます。例をあげますと、イギリスにおきましては、工場に対する許可制は、一九六二年、都市農村計画法、及び一九六五年、事務所及び工場開発規制法があり、事務所に対する許可制はもっぱら一九六五年の事務所及び工場開発規制法によって規定されております。またフランスにおきましては、許可制は、一九六七年、パリ地方における公立及び私立の諸事業所、諸施設、諸企業等の設置規制に関する大統領命令、付課金、助成金に関する措置は、一九六〇年、パリ地方における事務所用及び工業用建築物の拡張制限に関する法律により、ともに工場及び事務所について包括的に規定されておるわけでございます。これらは、イギリス及びフランスにおける事務所及び工場対策の趣旨目的が、ともに全国における産業、工業の適正再配置、首都圏過密解消にあるわけでございまして、また立法上の沿革もあって、それぞれ根拠法令が定められておるものでございます。ひるがえって、わが国における事務所対策の内容につきましては、現在首都圏整備審議会で鋭意その検討を進めており、近々その答申を得る運びとなっております。政府といたしましては、答申があった後、事務所対策の趣旨及び目的、手法、規制区域、運用基準等につきまして十分に検討を加え、政府部内の調整を経ました上で、新規立法で対処するかあるいは現行工業等制限法の改正のワク内で処理するかを判断してまいりたいというふうに考えております。
  86. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ただいまの事務所の問題はよくわかりましたが、これはすみやかにやらなければならぬ問題であります。これは大臣、十分御勘案を願いたいと思う。  都市局長、現行既成市街地面積は、都市をつくっていく形態上このままでいいものであるのかどうか。現在のような人口の流動、産業の集中等を勘案して、既成市街地面積拡大する考えはありませんか。これはいかがですか。都市局長からお聞きしたい。
  87. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 非常にむずかしい御質問でございますのでお答えしにくい面があろうかと思いますが、これは全国の都市によりましてもいろいろ程度の差はあろうかと思います。概括的に申し上げますならば、私どものほうで例の新都市計画法によりますところの市街化区域の設定の作業を進めてまいっておりますが、これによりますと、今後十年後を予想いたしますところの市街化区域が、対象都市の総計で申し上げますならば約百二十万ヘクタール弱でございます。これのうちのいわゆる既成市街地というものが五十万ヘクタール前後というふうな姿になっておると思います。これも全国マクロ的なお話でございまして、たとえば首都圏地域、ことに東京圏ではどうなっておるかということにつきましては、ちょっといま手元に数字を持ち合わせておりませんが、おそらく東京圏におきましては既成市街地の割合はもっと高いというふうに私は記憶いたしております。そこで、都市計画法の今後の考え方は、現在の既成市街地が非常に過密である、人口の圧力、都市集中というようなことから新市街地を計画的に整備していく必要があるというような観点において、ああいういわゆる線引き作業というものが行なわれてきたわけでございまして、今後、都市におけるところの人口の適正な配置をはかっていきますために、残りましたところの新市街地を整備開発をしていくというふうなことが中心になってくるわけでございます。また一方、既成市街地が現状でいいかというふうな議論もおそらく関連して出てくるわけでございますが、既成市街地も、やはり現存の状況は都市環境、居住環境必ずしもよろしくございませんので、これは別途、再開発というようなものを、幸いそういう制度もございますので、それに基づきまして極力進めていくというふうなことであろうかと思います。
  88. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 具体的にお尋ねいたしますと、東京圏の、東京中心にした千葉、埼玉、神奈川、この三県の中で、千葉県だけが既成市街地になっていない、要するに制限法の対象になっておりませんが、これはどういうわけなんでございますか。これはどなたでもけっこうです。
  89. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  先ほどもお答え申し上げましたが、今回の答申でも、現在の既成市街地拡大し、これに工業制限の網をかぶせるべきであるという答申をいただいたわけでございます。私どもは、国勢調査人口密集地区統計あるいは通産省の工業統計等から、すでに近郊整備地帯にありまして工業集積人口集積過密と判断されている地域については、これを積極的に既成市街地に取り入れ、さらに工業制限の網をかぶせるという方針で、従来、関係の地方自治体と折衝を続けてまいっております。実は私どもでは具体的な提案をいたしたわけでございます。これは、現在京浜工業地帯中心工業制限ではもう不十分であるということから、千葉県につきましては市川町から千葉市に至る臨海地帯並びにその後背地の住宅地帯を含めまして、これを既成市街地に指定をし、さらに工業制限の網をかぶせるべきであるとかたく信じて、強く関係自治体を説得したのでありますが、先ほども説明申し上げましたように、既成市街地に編入されますと財政援助の特別措置の恩典がなくなるものでございますから、関係の県、市町村、あげて反対でございます。したがいまして、今回直ちにこれら千葉の京葉工業地帯既成市街地に偏入し、工業制限法の網をかぶせるということが、地元の地方公共団体と話がつきませんので今回は見送りますが、私は決してあきらめません。これはもう毎日のように催促をいたしまして、何とか一日も早く制限法の網がかぶせられるように、既成市街地に編入したい。精力的な説得を今後も続けてまいるつもりでございます。
  90. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ただいまお聞きいたしておりますと、地方自治体の財政問題で反対があるから制限区域は設けられない。ところが片方の既成市街地には工業等制限法よりも強く、今回既成市街地のこういった工場制限というものを打ち出しておいて、千葉県側では財政の都合によって出せない。埼玉県とか東京都、神奈川県はより強い規制を受けるということになってくる。私は、その過密であるか過疎であるかということは、もっとコンピューター的に、一平方キロにどのくらいの人口が集中している、一平方キロにどのくらいの工場、雇用人口が入っている、またそこから発生するところの公害はこうである、騒音や臭気、大気汚染、水質汚濁、こういったものが過密に伴うところの弊害で、首都圏としては当然この地域を工業制限区域にしなければならない、こういう大局に立って進めていってこそ初めてこの法律が生きるのであって、それを、こちら側には地方自治体からの財政の圧力によって制限区域は設けられないにかかわらず、現在あるところの既成市街地においてはより強烈な五百平方メートル以上の企業の新増設は認めないというようなことになりますと、都市計画の上からいってもまた公平の分担からいってもこれははなはだ不公平になる。きょう自治省おいでになっておりますが、この点いかがでございますか。自治省はどのように指導していくのですか。
  91. 近藤隆之

    ○近藤説明員 先生のおっしゃるとおりだと思います。工場規制するかどうかということは、その実態に即して指定地域を区切っていくべきだと思っております。ただ、御承知のように、現行法が近郊整備地域等につきましては国の補助率のかさ上げ等があるということで、いまお聞きしておりますと、千葉県下の市町村、千葉市、市川市等が反対しておる。したがって区域に指定できないということのようでございますが、この財政措置工場規制するかどうかということが、いまの現行法では密着しておりますけれども、必ずしも密着しなければならないものであるかどうかということ。それからもう一つ、その地域にとどまらず、この大都市近郊は最近の人口急増等で非常に財政的に困難な局面にあるわけでございます。過密地域における財源措置ということが現在の地方財政で一番大きな問題として検討を迫られておるのでございますので、そういった面も含めまして、そういった地域の財源措置というものを今後考えていきたいと思っております。
  92. 川島博

    川島(博)政府委員 補足的に御説明申し上げます。  ただいま先生は京葉工業地帯を対象にお話をされたので、私は千葉県の話しがいたしませんでしたけれども、実は東京都内あるいは神奈川県内におきましても、現在の既成市街地では狭過ぎる、現実に市街化が進行している以上は、この際既成市街地を大幅に拡大をすべきではなかろうかということで、実は先生の地元の埼玉県につきましては川口市から北に連なる連檐市街地、神奈川県におきましては横浜に連なるたとえば横須賀市とか大和市とかいう連檐市街地については、この際少なくともその程度は既成市街地に編入をし、制限の網をかぶせるべきだろうと思いまして、ただ単に千葉県当局だけ説得につとめたのみならず、埼玉県、地元の市、あるいは神奈川県、地元の市等についても、この際、区域拡大については、私が参りましてお願いしてまいった次第でございます。しかし、千葉県と全く同様の理由で、この際は見送ってほしい、将来ともに永久に近郊整備地帯のままでおられるとは思わぬけれども、この際はひとつこらえてほしいという、たっての強い希望でございますので、少し時間をかけて説得しないといかぬなといういま現状でございます。
  93. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 先ほど私が都市局長にお聞きした問題はこの点なのであります。そして千葉県の場合は海岸の、東京湾の埋め立てということでなったのですが、この埋め立て地域について一つ重要な問題が提起されておるのです。大臣ちょっとお聞きいただきたいのは、公有水面埋立法の改正ということを私は前国会の予算委員会において質問いたしましたが、このときは根本建設大臣でございましたが、これは前向きに検討するということのお約束をいただいてあるのです。この公有水面埋立法は、御案内のとおり大正十年にできた法律でございまして、これは関係省から、当局から地方自治体に機関委任されておる。許可権者と申請権者とが同一の知事ができるという、いま考えてみますと非常に不都合な法律になってしまっておる。そのために公有水面埋め立てによる問題が非常に大きくクローズアップされてきておりますが、こういったもろもろの改正をしなければならぬ大正十年にできた法律でございます。いまの時代にはとてもこういう公有水面埋立法が合っておりませんので、この問題について私は御質問をしたところが、そういった前向きの御答弁をいただいておるのです。その後建設省としてはこの問題についてどのように審議し、どういう御計画でいま進んでいらっしゃいますか。
  94. 西村英一

    西村国務大臣 御案内のとおり、公有水面理立法は非常に古い法律で、当然、時代も変わっており改正しなければならぬと私は思っておりますが、今回は特にこの点について討議をしなかったのです。実は、この法律自身の問題と、実際に将来埋め立てを進めるべきかあるいは埋め立てば制限すべきかということがより以上に重要だと思うのです。説をなす人は、今日環境の問題がはなはだやかましくなった、そこで、どうしても住宅団地をつくるということになれば、好むと好まざるとにかかわらず山を切らなければならぬというようなことが起こるから、そういう愚かなことはせぬで、四面海に囲まれておる日本だから、公有水面の埋め立てをして造地をしたほうが、土地それ自身も広くなるし公害も起こらぬじゃないかという議論がたいへんあると私は思うのでございます。したがって、いまあなたの直接のお尋ねではございませんが、そういう点も踏まえて、この埋め立て下業をどうするかということは、今後のわれわれの重要な問題だと思います。したがいまして、私も、非常に古い法律で何とか手をつけるべきだと思っておりますが、事実しの問題等いろいろありますので、この点も引き続いて十分検討を、したい、討議をしたい、かように思っておる次第でございます。
  95. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それに関連しまして東京湾のごみの埋め立てのことなんですが、いまのままでいくと東京はごみに埋まってしまうという。いま東京都が国の許可になっているごみの埋め立て期間は何年なんですか。
  96. 西村英一

    西村国務大臣 港湾区域ですから運輸省関係になるかと思いますが、あるいは建設省であれば河川局の関係になるが、担当者がいまいませんので、後ほどでもお知らせいたします。
  97. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは運輸省でありますけれども首都圏の問題ですからお尋ねをしているのですが、ちょっと範囲が大きいのですが、いま埋め立て問題を私議論しているわけなんです。そうしますと、許可が、私のほうは資料があるのですけれども、たとえば十年なら十年と仮定いたしますと、それから先は許可にならないということになるとごみ処理に困ってしまう。東京都の場合は、ごみの処理を今後埋め立てでやっていくようにしていかなければならないといまいわれておりますが、これは首都圏整備事務局長東京都の開発東京湾の環境保全と東京湾の公害問題と、そして関係東京都のごみの処理の問題で、この埋め立て問題はどういうふうにお考えになっていますか。
  98. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  ごみ問題は、車戦争に次ぐ大戦争が展開されることになるわけでございます。これはたいへんな問題でございます。現在二十三区で排出しているごみは目量約一万二千トンでございますが、今後産業の集中、人口の集中が依然としてやまないといたしますれば、消費物資の多消費時代の招来とともにますますふえるであろう。おそらく、数倍に達するのは時間の問題だろうと思います。したがいまして、これをいかに処分するかということは単に東京都だけの問題でなく、日本的な大問題であろうと思います。これは東京ばかりに限りません。大阪でもそうですし、地方都市だっていまや問題になっておるわけでございます。現在東京都はこれをどう処理しているかと申しますと、約四千トン――間違ったらまたあとで訂正いたします――程度の焼却能力しかこざいませんで、残りの八千トンは毎日埋め立てで処理をしているわけでございます。同様な事情は、外国でも同じ悩みをかかえているようでございまして、ニューヨークにおきましてもごみ排出量の七割は埋め立ての処分によって処理をしておる。しかしその埋め立てが、だんだん適地が少なくなって因っておるということは、わが日本、東京と同様の状態にあると思います。したがいまして、今後はやはりごみは海に捨てない、陸上で完全に焼却処分をするという体制を一日も早く確立することが急務であろうと思います。それから東京湾自体、いまや横須賀沖から内湾をめぐって富津に至るまで、自然の美しい外観は見られません。すべてが埋め立て地によって人工的につくられた外観しか残されておらないわけでございます。したがいまして、私どもは今後は東京地域における埋め立てによる開発は厳に抑制すべしと考えております。しかしそれをどの程度の量で押えるかという問題、これは首都圏整備委員会だけできめるわけにはまいりません。そこで関係の省庁、たとえば経済企画庁でありますとか運輸省、遊離省、建設省環境庁、それに首都圏整備委員会が加わりまして、六省庁でもって東京整備連絡会議というものを昨年の六月に結成をいたしまして、ひとつ関係省庁、力を合わせて東京湾の開発の許容限界についての結論を出そうじゃないかということで、昨四十六年度は一応既往のデータを集大成をする、そしてそれを分析するという作業をいたしました。四十七年度は、それらの資料を踏まえましてこの東京開発整備に関する全体の計画構想を本年度中にはまとめたいということで、各省庁の御協力をいまお願いしているところでございます。
  99. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そこで、なぜそのような質問をしたかと申しますと、本法案目的改正については、従来の人口、産業の集中抑制のほかに、「都市環境整備及び改善を図ること」を加えたのはわかります。ではなぜ次の二点を加えなかったのかということから発想しているわけです。昭和四十六年十月の首都圏整備審議会答申には第一に、「単に人口、産業の過度集中の防止を目的とするだけでなく、地域全体の土地利用を合理化し、それによって都市環境整備改善を図ることをもその目的に加える必要がある。」としております。二点目は、同じく昭和四十六年五月の首都圏整備委員会事務局の「工業等制限の現状と問題点」の中で、「単に人口増加抑制の見地からだけでなく、この地域における都市機能の再編成と生活環境の改善を目途として」とある。七〇年代の内外の激動する諸問題の中の都市問題の一環として、大都市集中の一点集中主義がもたらすところの弊害、先ほど言った自動車の問題、ごみの問題、それから工場事務所、こういった多角的な問題の中からこの人口集中、一点集中主議を批判して、また抑制しなければならないという立場に立っているのに、この四十六年十月と四十六年五月の首都圏整備審議会答申等が本法案に盛られなかったというのは、これは建設大臣、どういうふうに私たちは受けとめていいのですか。
  100. 川島博

    川島(博)政府委員 御案内のように、本法は工業等制限区域内における工場及び大半等の制限施設の立地を規制することにより都市環境整備及び改善をはかろうとするものでありまして、これらの立地規制が結果として既成市街地における土地利用の合理化や都市再編成の目的に寄与するということについては、目的の一部に含まれておるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、本法のねらいとするところは、元来、制限区域内における制限施設の全面的な立地規制でありまして、制限区域内部でのし地利用のく合理化や都市機能の再編成のために必要なものにつきましては、消極的に例外許可をしようとするものにすぎないわけでございます。既成市街地内における土地利用の合理化や機能の再編成、これはむしろ圏域計画官庁としての私どもではなく、都市計画分野、すなわち建設省の守備範囲に属するものではないかというふうに考えております。したがいまして、本法の目的に特にそういったものを加える必要はないというふうに考えておる次第でございます。
  101. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その問題は、そういう首都圏考え方と私ちょっと意見は違うのでありまして、これは議論をするところでございますが、意見の相違というものはお互いの自由でありますから、私はそれはそれなりに認めますが、そういった広範囲の分野ということもひとつお考えをいただきたいと思うのであります。  それから、新全国総合開発計画、新全総をもととして、日本の内地の問題として新幹線が当然浮かんでまいりますが、新幹線ができることによって、東京都のような大都市から人口地域分散し、地域開発に寄与するという、新幹線の目的に一体のっとっていくのかどうか。この工場制限等に関連して新幹線がもたらす影響はどうか。東京二十三区の雇用者人口は年々ふえておりますね。ただいま東京-岡山間約六百七十六キロの新幹線の延長がありますが、昭和七十年代には七千キロにいまの新幹線が延びる。新全総では新幹線網を張りめぐらしたところの国民の経済成長政策をもたらそうと考えておりますが、私は、この新幹線ができることによりまして、逆に東京への一点集中主義がもたらされるのではないか。新幹線でいっている交通量と地域開発をもたらすよりも、逆に東北方面、山陽、裏日本からどんどん東京都内に雇用者人口がふくれてくるのではないかという考えがあるのですが、いかがですか。
  102. 西村英一

    西村国務大臣 これは議論でなしに数字が示すところですが、私の知っている範囲では――私も近ごろ数字をよく見ておりませんけれども、大体前に開いた、また数字からいいますと、東京都内でも社会的増加は少なくなっておると私は思います。ただ自然増加が多い。つまり子供が生まれる自然増。社会増、つまり移動人口は少なくなっておるということ、私そうだろうと思っておるのですが、数字はあと政府委員から説明させてもよろしゅうございます。それから、結局新幹線が人口の問題についてどうなるかというのですが、これは全般の国土をうまく使おうとすればやはり交通問題をよくしなければならぬということで、それがすぐに端的に効果があがるかというと、それはちょっとわかりませんが、終局的には国土をあまねく使うためには交通の便が第一であるから、やはり国土の利用につきましては、また人口の一部分の集中につきましては相当に効果があるものだ、かように私は思っておる次第でございます。
  103. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  地域人口の推移でございますが、ただいま大臣から御答弁ございましたが、確かに、最近東京都における人口の増減を分析をいたしてみますると、人口増加に占める社会増の割合、これは昭和二十年から二十五年は七四・六%ございました。それが三十五年から四十年には四一・四%になりましたが、四十年から四十五年までの五年間にはこれがマイナス五二・九%に達したわけでございます。したがいまして、現在の東京都の人口の増大は、すでに一千百万の規模にふくれ上がった都内人口が再生産する人口が爆発的にふえておる、こういうことになるわけでございます。
  104. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そこで制限区域拡大ということが当然問題になってまいりますが、既成市街地の全部を同じ制限区域にする考えはございますか。
  105. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  先ほども説明いたしましたが、既成市街地の全面積は現在九百十四平方キロ、これに対しまして工業等制限区域はその約八割に当たる七百十平方キロが現状でございます。この法案が通過し、施行と同時に、既成市街地全域、すなわち九百十四平方キロに工業等制限の網をかぶせる予定でございます。
  106. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 工場等合わせたところの学校の教室の問題でございますが、制限区域である東京都区部に学生の数が増加している原因は一体何でしょうか。
  107. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  文部省の学校基本調査によりますと、東京都区部の学生数は、昭和四十年四十六が四千人から四十五年には六十二万四千人と、五年間に十六万人の増加となっておりますが、この調査は大学本部の所在地別に集計された統計でありまして、区部外の分校等の学生数が含まれております。したがって、実際の東京都区部内の学生数は、私ども調査したところでは、昭和四十年の四十三万五千人から四十五年五十三万六千人に、十万一千人の増加となっております。さらに、これらのうち、昼間部の学生数だけを見ますと――と申しますのは、もっぱら夜間の授業を行なう学校は本法の対象になっておりません。したがいまして、本法が規制の対象としております昼間部の学生数だけをとりますと、三十六万七千人から四十四万八千人に、八万一千人の増加となっております。この昼間部学生の増加数八万一千人のうち、基準面積未満の学校における学生増加が約八千人、残りの七万四千人は基準面積以上の学校における増加でございます。そのうち過半数の四万二千人は、三十七年に法律改正いたしました際、附則第三項におきまして、届け出をすれば現在地における学校の増設を認めるということにいたしておりますので、したがって残余の約三万一千人が残るわけでございますが、これが学校施設の拡張を伴わない定員外と申しますか、そういったような関係じゃないかと私は想像するのでありますが、増加だと考えております。
  108. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それは制限基準面積未満の教室がふえた、こう理解してよろしいわけですね。そうすると、当面の問題として、大学等の地方分散をはかり、従来からの学園都市の建設、地方大学の拡充及び助成の強化等の諸施策を推進すべきことを指摘しておりますけれども、これはどのような処置を現在とっておるのですか。
  109. 川島博

    川島(博)政府委員 問題を首都圏に限りますれば、御案内のように私どもは筑波地区に研究学園都市の建設を進めております。これは現在の東京教育大学が全校をあげて移転、新築をすることになっております。これは私どもが新しい町づくりの一環として学校分散政策に協力をいたしておるわけでございますが、単に首都圏内に分散をさせるだけでなく、それは全国的に、やはり学校は環境のよいところに再配置を考えなければいかぬのじゃないか。そういう全国的な問題になりますと、これは私のほうの所管でございませんで、文部省その他でお考え願わなくちゃいかぬと思いますけれども首都圏内におきましても、筑波研究学圏都市ばかりでなく、その他近郊整備地帯の適地には今後も、あれほど大きな土地は求められませんが、あれに類する研究学園都市計画的に育成するということはますます必要になってくるのじゃないかというふうに考えております。
  110. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、局長、それは新郷市基盤整備法でやるお考えですか。
  111. 川島博

    川島(博)政府委員 新しい町づくりの手法でございますが、御案内のように、現在、新住宅市街地開発法による収用方式による町づくりと、土地区画整理法による換地方式による町づくりのしかたがあるわけでございますが、今回の新都市基盤整備法案は、第三の手法として土地区画整理と――これは私から申し上げることもないと思いますが、新しい手法を考えたわけでございます。首都圏内で一体これらの手法をいかなる地域に使うのかということになるわけでございますけれども、これは私は一がいにこれが最適ということでなくて、現地の実情に照らして、新住法を使うべきものは新住法、区画整理法でいくべきところは区画整理法、あるいは新法を適用すべきものは新法でいくというふうに、これからはやはりその土地土地に合う最適な方法を検討していくべきじゃないかと考えております。
  112. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いまの御答弁では、私ども都市基盤整備法をいま審議しておる立場以上、ちょっと意欲がなくなるのですけれども、これは人口五万から三十万単位の都市を新都心基盤整備法でやる。東京都内のいまの既成市街地規制区域からその新増設をする工場移転さしていく。そういうところに工業団地として収容させていかなければならない。いろいろな都市関係法というのは非常な連関がありますね。その関連の中からそういった法律をつくられるのでございますが、首都圏立場から一体どれくらい建設省と連絡をしておりますか。
  113. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  まず、いかなるニュータウンをどこにどの程度配置するかという問題を考えます場合には、その前提として人口の見通しというものを確立する必要があるわけでございます。私どもの推計によりますと、首都圏既成市街地を含む、五十キロ近郊整備地帯人口は、昭和四十五年には二千二百七十万人でありましたが、昭和五十年にはおそらく二千五百万人程度、昭和六十年には約二千九百万人程度に達するものと見込んでおります。このような激しい人口増加を背景に、地価の急騰、生活環境施設の不足等により、住宅宅地事情はますます深刻になろうと予想されます。こうした状況に対処いたしまして、良好な環境の宅地を計画的かつ大量に供給するためには、交通施設、生活環境施設の整備を一体的に進める大規模な宅地開発事業を効果的に進める必要がございます。現地近郊整備地帯における開発面積がおおむね五百ヘクタール以上の大規模な宅地開発興業といたしまして、御案内のように、多摩ニュータウン、千葉ニュータウン、港北ニュータウン等七地区、計約一万五百ヘクタールについてこの事業を実施中でございます。これらの地区については、おおむね昭和五十五年までには順次整備され、宅地として供給される見込みでございますが、これに対し五十五年以降六十年までの宅地需要を概算すると、少なくとも四万ヘクタール程度が必要であろうと見込まれますが、この膨大な宅地需要に対しまして、地価の安定をはかりつつ整備水準の高い宅地を大量に供給するためには、今後さらに大規模な宅地開発事業を積極的に推進する必要がございます。開発可能地といたしましては、近郊整備地帯内に十一地区約二万五千ヘクタールが見込まれますが、それらの地域はいずれも交通条件、用水、排水条件等に恵まれないため開発から取り残されてきた地域であるので、首都圏整備委員会といたしましては広域的な観点から、緑地保全との調整を含めて検討し、関係各省及び地方公共団体の協力を得て適地の選定を進め、事業の具体化を促進するつもりでございます。
  114. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私が聞いている問題とだいぶはずれているのですけれども、それはそれなりによく評価しております。  ちょうどお約束の時間が来ましたからやめますが、首都圏では、首都圏内に、少なくとも東京中心とした千葉、埼玉、神奈川に宅地可能面積というものは一体どれくらいあるのか。それから工場適地と申しますか、工場を散在させていく、これは通産省の工業再配置法案とも関連してまいりますが、全部というわけにまいりませんでしょうけれども東京圏と俗にいわれておりますこの三県の中に宅地可能面積工場開発可能面積というものはどれくらいと、いま首都圏建設省ではつかんでおりますか。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長席〕
  115. 川島博

    川島(博)政府委員 御案内のように、首都圏面積は三万六千五百方キロでございます。そのうち農耕生活あるいは二、三次産業等の、生活ないし生産に使えるいわゆる可住地面積、これは約半分の一万八千方キロでございます。これを南関東、北関東に二分いたしますと、御指摘東京、神奈川、埼玉、千葉の四県におきまして約八千ヘクタール、その他の山梨県を含む北関東四県におきましては一万ヘクタールが住地面積でございます。しかし、すでに南関東の可住地面積はその利用率が一七%程度に達しておるのに対し、北関東はいまだ六%の程度にとどまっております。したがいまして、住宅あるいは工業を問わず、今後の開発適地は北関東に求めるべきである。南関東はいずれかといえば、リプレース用を除いては新たな工業の導入のための適地は求むべきではないというふうに私どもは考えております。
  116. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設省で先ほど出された調査報告によると、首都圏内で約二十万ヘクタールの宅地開発可能地域がありますが、この宅地開発可能地域の中に本法案に盛られているような規制を受ける工場が出ていった場合の可能地域というものは、ただいまの局長お話によりますと南関東よりも北関東へ持っていくべきである。北関東開発法案というものもまた用意されているようでございますが、これはまた後日議論するといたしましても、南関東の五十キロ、七十キロ圏内に、いまの川島局長お話しのような散布計画というものがこの可能地域の中には求められないのかどうか。この二十万ヘクタールというものは非常に甘いという考えをわれわれ持っておるのですけれども、この点については建設省はどういうお考えでございますか。
  117. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 ただいま首都圏整備委員会事務局長からお答えがございましたように、首都圏内の可住地並びにその今後の利用開発可能の状況についての御説明がありましたが、私どもは今後首都圏全体の均衡ある発展という見地、現実具体の施策という面から見ました場合におきましては、確かに北関東というものは相当魅力があるというふうに思いますが、やはり南関東地域におきましてもかなりまだ利用可能地が残っているわけでございますから、そういう地域につきましてはやはり適地適地に、都市計画法の通用におきまして、そういう工場の再配置とかいうふうなものも考えていくべきでないかというふうに考えております。
  118. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間が参りましたから、私の時間はまだ少し残っておりますので、保留させていただきたいと思うのでございます。  最後に、川島局長、あなたが書かれた大都市論という本がございますが、この大都市論という本はわれわれ非常に参考にさせていただいておりますけれども、これからさらに手直しをして後編をお書きになっていくお考えがあるかどうか。これは個人的な問題でありますけれども、ひとつ聞いておきたい。それはなぜかというと、あの中にちょっと私、意見の違う点も多々ありますので、こういう現状の首都圏中心にしてお書きになった大都市論の本の意見について最後にお尋ねして、あとの時間は保留させていただきたいと思います。
  119. 川島博

    川島(博)政府委員 お答え申し上げます。私事にわたることでありますので、答弁は差し控えさしていただきます。
  120. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 なかなかそっけない御答弁でございますが、これは私事というよりも、われわれ都市関係者にとって非常に重要な問題を提起している。私はけなして質問しているのではございませんので、どうかあまりばさっと一刀同断で御答弁なさらないで……。個人の問題でございますからということでございますので、この程度にとどめておきますが、われわれは非常に参考にしているわけでございます。どうかひとつ今後とも、いろいろとわれわれの参考になる点についての御意見等を求めている、こういうことで結んでおきたいわけであります。
  121. 亀山孝一

    亀山委員長 次回は、来たる六月三日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十七分散