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1972-05-19 第68回国会 衆議院 建設委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十九日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 金子 一平君    理事 田村 良平君 理事 葉梨 信行君    理事 服部 安司君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    大村 襄治君       梶山 静六君    草野一郎平君       浜田 幸一君    藤波 孝生君       古内 広雄君    村田敬次郎君       森下 國雄君    山本 幸雄君     早稻田柳右エ門君    井上 普方君       卜部 政巳君    佐野 憲治君       松浦 利尚君    柳田 秀一君       新井 彬之君    北側 義一君       吉田 之久君    浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省住宅局長         事務代理    沢田 光英君  委員外出席者         大蔵省主税局総         務課長     山内  宏君         自治省財政局指         導課長     植弘 親民君         建設委員会調査         室長      曾  忠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律案  起草の件  新都市基盤整備法案内閣提出第一〇〇号)      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来各党間におきまして御協議が続けられておりましたが、お手元に配付してありますとおり、その案文がまとめられております。
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、草案趣旨につきまして説明を求めたいと存じます。天野光晴君。
  4. 天野光晴

    天野(光)委員 ただいま議題となりました日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律案草案につきまして、簡単にその趣旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、日本勤労者住宅協会昭和四十二年に設立されて以来、その主たる事業である住宅金融公庫融資付住宅及び年金福祉事業団融資付住宅等の国の施策住宅事業を行なっておりますが、最近における協会財政的基盤は安定しており、事業の実績も設立以来二万人六千余戸の住宅その他宅地勤労者供給しております。  しかしながら、同協会宅地建物取引業法適用を受けており、昨年改正されました同法による前金の保全措置を必要とされておりますが、法定の取引金融機関である労働金庫と同協会保証業務を行なえない等の問題がありますので、この際、協会に対する建設大臣監督規定整備強化し、法令等の違反について適切な措置を講ずるとともに、協会には宅地建物取引業法規定適用しないこととするほか、これらの措置に伴う営業保証金処理等、所要の規定整備したものであります。  以上、趣旨説明を終わります。
  5. 亀山孝一

    亀山委員長 ただいまの天野光晴君の御説明に対し、御発言はありませんか。——別に御発言がなければ、おはかりいたします。  本件につきましては、お手元に配付の起草案委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 起立総員。よって、さよう決しました。  なお、本法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、内閣提出、新都市基盤整備法、案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺武三君。
  9. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 新都市基盤整備法案につきまして、まず第一に、この法案目的は一体何であるのか。法案の中には「大都市における人口集中宅地需給緩和に資する」のだ、こういうことでございますが、御承知のように、すでに住宅公団等埼玉県等に建てております公団住宅が、距離的な問題、通勤時間等の問題で、せっかく建てられても入居者が少ないということがございましたね。したがって、この新都市基盤整備を行なって、そうして大都市周辺に新しい都市建設を行なったといたしましても、通勤時間の関係等から、職住近接を同時にはからないと、ほんとうにこの機能が発揮できるかどうかということについて疑いがあるわけです。したがって、目的といたしております大都市における人口集中宅地需給緩和に資するということだけで、はたしてこれがうまくいくであろうかどうだろうか、こういう疑問があるわけですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  10. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生の御質問のとおり、この法案目的は第一条に書いてございますとおりに、人口集中の著しい大都市周辺地域におきまして新しい都市建設する。いままでそういう都市基盤のないところに新しい都市基盤整備しまして、先生おっしゃったように、大都市におきまするところの人口集中宅地需給緩和に資するということになっておるわけであります。先生の御質問の御趣旨は、そういうことをしても、埼玉県のように入居者がない、これはやはり通勤時間がかかってたいへんではないかというようなこと、したがって新都市の中にそういう職をもあわせて設置して、通勤しなくても済むような、そこの都市だけで完結できる完結型の独立都市をつくったら、そういう御趣旨だろうと存じます。この新都前の基盤の中にはいろいろ道路その他の根幹公共施設をやる。その中には、この前も御説明申し上げておりますように、鉄道施設も入っておるわけでございます。それから、この前の御質問にもお答え申し上げましたように、大体通勤時間が一時間から一時間半くらいというふうに私ども考えておりますので、そういうような鉄道というものをやはり一緒に新設いたしまして、鉄道を引っぱって新都市をつくっていく。そういうことによりましてこの新都市というものが既存都市との連絡もできるようにいたしたい。しかしながら、この新都市におきましては、都市内においていろいろなすべての生活上の需要というものは大体満たされるというようなかっこうのものをもちろん考え、そういう公共施設なり利便施設整備することを考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、これは半独立型の都市だろうと私ども考えております。先生の御心配は、それだけじゃなしに、もっとそういう職をも新設する必要があるということであろうかと存じます。この点につきましても、先生承知のとおりに、この法案の第四条におきまして、この事業に関する都市計画できめる際におきましては、首都圏及び近畿圏におきましては工業団地造成事業というものも予定いたしまして、できる限りそういうような工業団地造成いたしまして職住近接をはかるというふうに考えておりますので、その意味におきまして、首都圏及び近畿圏におきましては先生の御心配になるようなことはあるまいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そうしますと、この新都市基盤整備法案によって整備をされるときには、住居とともにある一定工場、これが建設をされるということなんでしょうか。
  12. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ただいま申し上げましたように、工場につきましては一緒建設されるように、工業団地造成する計画をきめることができるわけでございます。これは首都圏及び近畿圏に限ってでございます。
  13. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 工業団地建設されるといいましても、土地造成だけでは何にもならぬわけでありますから、御承知のように。企業民間企業を誘致されると思いますが、そういうことがいま可能なのかどうか。つまり、結局は住宅だけが先行をしてできて、そして都心に通うということになりますと、これはまたたいへんな問題が出てくるのではないだろうか。いまですら、首都圏周辺における通勤に可能なといいますか、通勤に良好な状態土地というものは、これはもう皆無にひとしいような状態になってきておる、相当な時間、距離を置かないと。これだけの規模の新しい都市をそっくりそのまま完全独立型のような形あるいは半独立型のような形で整備をしていこうと思うと、やはり相当遠距離にならざるを得ない、こういうふうに考えるわけです。そうしますと、先ほど申し上げましたように、すでにできておる公団住宅等々から考えても、せっかく住宅はできたけれども入居者が少ないということになってしまわないだろうか。そこに入居する、まあ人口五万程度を想定しておるようでございますが、その人々が働く場所というもの、工業団地をつくるのだと言われるけれども入居する時点でもうすでにそこに働く場所がないと、なかなかこれは入居ができにくいといいますか、集まらないおそれがあるのではないだろうか、こういう心配があるわけですが、その辺の見通しはどうなんでしょうか。
  14. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生の御質問及び御心配、ごもっともな点もございますけれども工業団地造成するその計画をいたします際においては、もちろんその工業団地にどういう企業を配置するかということをいろいろ予定をいたしまして、そしてどういう企業がそこに来て、どういう企業にその土地を譲り渡すかということも予定いたすわけでございます。そして、この法律の中におきましては、その譲り受けを受けましたところの企業なりは、そこに計画どおりの、予定どおりのものを二年以内に建築をするという義務なり、またほかの用途に使わないという担保もあるわけでございます。したがいまして、そういう企業予定いたしまして、そこに確実に工場を立地させるということになるわけでございます。もちろんその企業につきましては公害のない企業を選ぶ。こういう環境のいい都市でございますから、それにふさわしいようなものを選ふということも、第四条でちゃんと都市計画をきめる際に考えるようになっております。また、その工業団地と新都市との環境整備のためには、工業立地いたしましたその周辺には緑地というものも張りめぐらして、公害のないようにする必要があろうかと存じます。しかしながら、私どもそういうものができると思いますけれども、そういうようなところに企業が立地していくだろうかという一つの御心配もあろうかと存じます。この点につきましては、既成の大都市におきますところの工場産業というものを全国土にわたって分散方向に進めて、全国土をやはり有効に利用するという意味施策を従来から政府としてとってまいっておりますし、また今後もこれを強力に進めてまいる必要があります。現存既存大都市にありますところの既存工場等につきましても、これは極力分散するいろいろな誘導措置助成措置考えておりますし、また同時に、大都市周辺に全国から集中してまいりますところの工場等につきましては厳に規制——いま現在もそういう規制法律がございますけれども首都圏整備委員会から当委員会にその法案が提出されるやに聞いておりますが、さらに強化した案が現在立案されておるわけでございます。そういうような、現在あるものもこれを分散するいろいろな誘導及び助成措置、並びに集中してくるものにつきましての厳重なる規制というものを加えてまいりますと、企業も立地する場所というものを勢いさがさざるを得ません。そういう意味におきまして、私ども公害のない企業をこういう大都市周辺に立地させるということを考えまして、そして先生の御質問にございましたような職住近接に近いものを考えたいというふうに思っておる次第でございます。
  15. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この新都市基盤整備事業土地収用法適用されますか。
  16. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 根幹公共施設用地及び開発誘導地区につきましては、土地収用法適用がございます。
  17. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 併設されようといたしております工業団地はどうなさいますか。
  18. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、首都樹及び近畿圏におきましては、開発誘導地区におきまして工業団地を立地する際、その用地につきましては土地収用法適用がございます。
  19. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それと現在ある土地収用法との関係はそれでよろしいでしょうか。たとえばこれは五万人程度人口だとしますと、そう大きな企業ではない。そのような民間企業を誘致するために、はたして土地収用法適用することが妥当かどうかという問題があると思いますが、いかがでしょう。
  20. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほどからたびたび申し上げておりますように、首都圏及び近畿圏におきましては、現在も、工業団地造成事業というものを都市計画できめますと、これは土地収用法の対象になるわけでございまして、私どもその体系をそのままこの新都市基盤整備事業におきましても使っていくという次第でございます。
  21. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 一定規模を持ったいわば工業団地と称せられるようなたくさんの企業を集められる場合に、他との関係から従来一応そういう土地収用ということが考慮されておったと思いますが、今度の場合はむしろ工業団地を形成するということではなくて、目的にもありますように、人口集中宅地需給緩和に資するんだ。しかしそのためには適地都心から離れていくから、どうしてもやはり職住接近という意味で小さな規模工場をそれに併設をしていきたい、こういうことになってまいるわけですね。だからそういうときでも、土地収用法との関係は、前との関係のような考え方で律していくことが妥当かどうかということをお尋ねしているわけです。
  22. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 現在首都圏及び近畿圏におきまして工業団地造成事業に対して収用権が付与されています、その理由は、やはり首都圏及び近畿樹におきまして工場等制限に関する法律がございまして、そういう制限がございますので、それを制限というそういう強権的なものの反面、うらはらに、そういう必要な、工業団地というものを大都市周辺において、首都圏内及び近畿圏内においてこれを立地するという際に、これを都市計画上まあいろんな土地利用上必要と認めるときにおきまして、工業団地をつくる際におきまして、それは公益性がある、公共性があるということで収用権が認められている次第でございまして、今度の場合におきましてもそれと全く同じ理由で、私ども収用権が認められるというふうに考えておる次第でございます。
  23. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは、大体人員五万人程度都市を一挙に新設をしよう、こういうことですね、今度の場合は。そういたしますと相当ないわゆる生活環境整備が付随して行なわれていかなければならないし、なかんずく、人間が生活するために最初に必要といたします水、あるいは工場を併設すれば、工業用水、こういうものがやはり相当な量にのぼるのではないかというふうに考えるわけです。特に首都圏の場合は、昭和五十年代には現在の水資源では相当深刻な問題が出てくるであろうということが予想されておるわけです。したがって、新たに首都圏の外郭にそのような新都市基盤整備を行なっていった場合、大体何カ所ぐらいを予定されておるのか。それに要する水の量というものがはたして確保できるのかどうか。首都圏地方における将来の水資源確保についてはどのようにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  24. 川崎精一

    川崎政府委員 ただいまお話しの関東地域の水の需給の問題でございますが、水を供給する側からいきまして大体関東地域全体をマクロ的にとらえておるわけでございます。五十年までにつきましては、これは各都市ごとに積み上げた水の需要供給計画がございますが、昭和六十年ぐらいを見通しますと、かなりやはり今後の地域開発の状況あるいは経済の成長のぐあい、こういった変動の要素がございますので、そういったものを一応、推定をいたしましてマクロ的な水の需給計画を立てておるわけでございますが、それによりますと、関東地域では生活用水工業用水、こういったものを全部合わせまして、昭和四十年を基準点にいたしますと、昭和六十年までに新規の水の需要が百十億トン、これはパー年でございます。これに対しまして供給量が約九十一億トンぐらいになります。したがって二十億トン弱が不足しておるというのがわれわれの一応の見通しでございます。これに対しましては、やはり水の利用合理化とか新規の水源の開発、こういったものをさらに進めていく必要がございますが、マクロ的な関東地域人口というものは、新しく新都市開発いたしましてもそうふえるものじゃなかろう。したがって、全体の水需要の量はあまり変わらないのではないか。むしろ、適当な地域を選ばれますれば、その地域における農業用水の合理的な利用だとか、あるいは中流部にいきますと水の回収利用反復利用というのが非常に可能になるわけでございます。もちろんこれには水質等いろいろ問題はございますけれども、そういった意味では特に現在推定しております水需要に、さらにプラスされるものじゃなくて、全体の中で吸収できるものじゃないかと思います。ただ、そういった都市に対する供給の具体的な計画等につきましては、それぞれ水系間の水のアンバランス等もございますので、そういったものを調整しながら具体的な計画にブレークダウンしていきたいと考えておる次第でございます。
  25. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いまの御答弁はどうも理解に苦しむわけですが、この新都市基盤整備法案ができても、そして基盤整備がされても、別にいまの規模にプラスアルファされた水の需要があるわけではない。言わんとされることは、現在の都心の中におる人口がそちらに移住をしていくんだというようなお考えのようですが、はたしてそういうことなんですか、この法案というのは。そういうことなんでしょうか。いまですら五十年においては深刻な水不足になるであろうというふうに推定をしておるのは、こういう基盤整備をしなくてもまだまだ人口がふえていくであろうという推定のもとに、そういう方向心配されておると思うのですよ。それがさらに首都圏周辺にそういう新都市基盤整備をしたときに、いま局長がお答えになりましたように総需要としてはそんなに変わるものではないというような考え方だとすると、これはむしろ水不足深刻化に非常に大きな拍車をかけてくるのではないだろうか。現状のままでも深刻化が予想されておるときに、新しいその新都市基盤周辺開発されていくわけですから、当然それはいま予想されておるよりも急速に水の使用量というものがふえていくであろうというふうに推定をして、いろいろ水資源確保その他をやっていかないとこれはとんでもないことになってくるのではないだろうか、こう考えるのですが、いかがでしょうか。
  26. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生の御質問ごもっともなところでございますけれども国土利用計画をどうするかという問題からまず出発するわけでございます。私ども何度も申し上げておりますように、既存大都市という地域から人口なり産業分散する、そういう強力な措置考える必要があるわけでございまして、そういう方向に次第に向かいつつございますし、今後もさらに強力な施策を講ずるつもりでおります。そういうことによりまして、いわゆる人口及び産業が非常に集中いたしておりますところの三大都市圏の今後の構想がどうなるかということでございます。この点につきましては、三大都市圏をいまのままに推移さしておきますと、どんどんこれは人口産業がふえてしまうわけです。そうしますと、先ほど先生の御質問のとおり、水という問題につきましても相当深刻なものがございます。したがいまして、まず三大都市圏集中するそういうエネルギーというものを全国土分散させる、そういう方策というものを国土政策としてとることが前提でございます。ただ、そう申しましても、三大都市圏中心都心でございます大都市というところには、国際的な、また国内的な意味中枢管理機能というものを備えているわけでございまして、どうしてもそういう中枢管理機能がある限りある程度人口というのは集まってくる。これはやむを得ないものでございまして、これをただ従来のような推移にまかせずに、つまり、大都市に自然に立地するようなかっこうでなしに、大都市圏として、首都圏なり近畿圏なりを一体的に、また有機的に計面的にこれを整備してまいる。そういうことによりまして、この法案におきまして相当距離の、五十キロ以遠のところに新しい都市をつくっていこうということでございます。そういう意味からいいますと、いわゆる首都圏というものの今後の人口想定というものがどのくらいになるかということでございますけれども、これは自然の推移のままにまかしたような人口想定にはしない。相当これは地方分散をはかり、集中抑制というものをはかった意味人口想定というものが首都圏整備計画でなされるわけでございます。そういうような前提のもとにこの法案考えられ、大都市じゃなしに、首都圏を一体的に整備するということで、首都圏内適地に新都市をつくるということでございます。そういうような前提のもとに河川局長が全体の先ほどの水需要というものにつきまして、そういう人口想定の上からは大きな変化があるわけではない。人口がふえたり産業が立地する、そういう場所の問題はございます。しかしながら首都圏全体のブロックとして考えた際におきましては、そういう人口なり産業がふえる、そのふえ方を私ども計画的に整然と秩序立てて行なうということを考えておる次第でございまして、そういうような考えのもとに河川局長からああいう答弁があったと私ども考えておる次第でございます。
  27. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 せっかくの御答弁でございますが、ますます理解がしにくくなってきたわけでございます。首都圏一つブロックとして考えても、いわゆる五十キロ以遠にそういう新都市基盤整備していく。ところが水系というものはいまでもそうなんでしょう。首都圏全体を含めた中でその水資源確保されてきておるわけでしょう。五十キロ以遠のほうは全然別の水資源があるというふうに受け取られるわけですよ、いまの御答弁は。そうではなくて、全体を含めたものの中から首都圏水資源、水の使用量その他、五十年代において相当逼迫をしてくるであろうということがすでに予想されておる。だから新しくそういう五十キロ以遠程度の、首都圏範囲内に入るようなところに都市分散をさしていこうとしますと、むしろ推定をされておるよりも速度が速く水の需要度がふえてくるのではないであろうかということを言っておるわけです。そのために水資源確保のまた別のいろいろな施策考えられているのかどうかということをお尋ねしているのです。
  28. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 私の申し上げたのをもう少しつけ加えて御説明申し上げますと、昭和六十年に首都圏におきまして、大体いまのままで進みますと三十一億トンという水不足が生ずるということは、私ももちろん認識いたしておるわけでございます。しかしながら、この新都市基盤整備法案ができたからということでなしに三十一億トンという不足が生ずるということでございまして、そういう意味のことを私は申し上げたのでございまして、もちろん想定されますところの水の不足ということに対しましては、河川局その他におきまして、これに対する水資源開発、また水利用高度化というようなことは考えておるわけでございます。今後そういう施策が講ぜられるものと私ども考えておるわけでございます。
  29. 川崎精一

    川崎政府委員 同じ資料に基づいてお話ししておりますので変わりはございませんが、ただいまの計画局長からのお話は約三十一億トン不足をするということでございます。これに対しましてできるだけ首都圏地域の水の合理的な利用をはかりたいということで、水資源開発と合理的利用、こういったものを進めるわけでございますが、今回の新都市が新しく配置されたからといって特に、都心部の過密がそのまま放置されたままでさらにアクセルを水需要に対してかけるものではなかろう、こういうことでございます。しかし基本的には水全体はやはり不足をいた、しておりますので、今後とも一そう水資源開発等に私といたしましては努力をいたしたいと考えております。
  30. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 基本的に水が不足するであろうということはもう御認識のようですが、私は、こういう法案ができ、基盤整備されるに従って、従来の方向よりもさらに強化をした方向水資源確保ということを考えていかないといけませんよ、こういうことを言っているわけですよ。それがたまたま、どうもふえないのだ、総需要としては変わらないのだというような御答弁でしたものですから変なことになったわけであって、そうだとしても、全体的にすでに不足するということが予測されておる。それ以上にこういう基盤整備をしていけば、やはり若干プラスアルファ的な需要度が出てくる、私はこう思えるものですから、その辺をあわせてやっていかないと、せっかくできたけれども水がなかなか来ないとか、多摩ニュータウンの二の舞いのような——これはまたちょっと性質が違いますが、そういう状態が起こる心配があるから、その辺を十分に考慮をしていただきたい、こういうことでございます。  そこで、そもそもこの法案の出てきた根源を若干考えてみたいと思うわけですが、四十五年の八月でしたか、地価対策閣僚協議会の地価対策についての決定事項の中で、「今後早急に検討すべき施策」として「開発利益の配分方式による宅地開発制度の整備」云々と、こういうものがあるわけですが、その具体的なあらわれがこのような法案になってきたのじゃなかろうかと推定をいたすわけでございます。特にその「開発利益を開発者と土地所有者とに適正に配分する方式」こういうのは一体どういうことなのか、具体的にひとつ御説明願いたいと思います。
  31. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 宅地開発方式につきまして大きく分けますと、従来、新住方式というふうな全面買収方式、それから公団では先買い区画整理方式、こういう方式があることは御承知のとおりでございます。全面買収方式によりますと、施行者が全面的に買収する、土地の所有者はそこに残ることはできないかっこうになるわけでございます。したがって開発利益というものはすべて施行者に帰属する。その地域土地所有者は開営利益を受けないということになるわけでございます。区画整理方式によりますと、これは土地所有者が換地を受けますので、土地所有者がそのまま原則として残るわけでございます。したがって土地所有者が開発利益を受けるわけでございます。そういういう方式におきましては、御承知のように、全面買収方式というのは土地所有者は開発利益が全くない。土地所有者というものはその地域からは全面的に外に出なければいけないかっこうになります。そういう不満で、土地の取得が非常に全面買収は困難になる。また区画整理事業方式におきましては、土地所有者が、これは原則として、そういう土地を所有したまま換地されるおけでございますので、さっき申し上げましたように公団などで行なっております先買い方式というのがございまして、先買いしている三割なり四割というものにつきましては、施行者は土地所有者と同じように開発利益を享受するわけでございますけれども、この先買いの土地取得につきましては、これは最近非常にむずかしくなっているというのが現状でございます。したがいまして、今回の新都市基盤整備法案におきましては、御承知の、大体根幹公共施設を除いたものの半分を施行者が土地を取得し、残りは民有地のままで残しておくといういわゆる折半方式というふうなものでございまして、開発利益をほぼ折半するというふうなかっこう考えた方式であるわけでございます。そういう意味におきまして、先生の一番最初に御指摘のありました地価対策閣僚協議会のそういう検討事項というものを私どもも十分検討いたしまして、こういう方式を導き出したというふうに考えておる次第でございます。
  32. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 ほんとうに開発利益というものがそれで公正になるでしょうか。たとえば、これは一定の区域を限ってやるわけですね。五百ヘクタール程度と。その中に民有地をそのまま適当に残していこう。つまり、簡単にいえば半分くらいを取り上げて、半分は地主に返していこうということなんですが、主としてこういう基盤整備が行なわれる土地は一体どの程度土地なのか。山林が多くなるのではないか、あるいは農地が考えられていると思いますが、このような交通不便なところ、そこにぽっかりと一つの新しい都市基盤ができていく、それによって地価は一体どの程度高騰するであろうか、こういうことが考えられるわけです。つまり、原野のまま置いてある未開発のままの土地をそのように開発することによって地価の高騰はどの程度になるであろうか。計画局としてはどのように推計をしておられるでしょうか。
  33. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この事業を施行いたしまして、それに伴って地価が上昇するじゃないかというお話だろうと思います。そういう場合におきまして、地域を二つに分けて考える必要がございます。施行区域内及び施行区域外と両方ございます。施行区域内におきましてはもちろん根幹公共施設整備する。また関係の住民の共同の利便施設等を十分整備する。鉄道も敷かれるわけでございます。道路も整備されますので、これはある程度そういう経費をかけておりますから、従前の農地、山林というときよりも価格が高くなるだろうと思います。どのくらいになるかということは私ども推計いたして、おりませんし、これはとうていできるものではございません。場所によりまして、その他、非常に変わってくると思います。が、この場合におきまして、ある程度の上昇は予想されますけれども開発誘導地区におきましては住宅施設も整備しまして、公的な住宅も大量に供給するかっこうになるわけでございます。そういう大量に供給いたしましてその地域内の市街化の中核とするというのが趣旨でございますので、大量にそこへ供給されるということになります。また同時に、民有地におきましては、先ほど申しましたように半分は自分のところに残るわけでございますけれども、これは一応そういう区画割りをする程度のものでございまして、自分でこれを利用する場合におきましては宅地開発の許可を受けて、そういう造成の経費を自分で負担しながら住宅が建築できるようなかっこうに持っていく次第でございます。そういう経費も相当かかるということもいえます。その意味におきまして、そんなには地価の上昇は考えられないのじゃないか。またある程度の地価の上昇は、さっき申し上げたような開発利益を共同で折半するという趣旨からいいまして、政策の目的からいってもある程度やむを得ないというふうに考えておるわけでございます。  もう一つ先生のおそらく御心配なのは、この施行区域外の周辺地域におきまして地価が上昇する。この区域内の土地の所有者は開発利益をある程度分かち合って、そして共同開発して新都市をつくっていくという趣旨でございます。したがいましてそれはある程度やむを得ないとしても、周辺地域という問題がございます。そういうことについては私どもこういうふうに考えております。この施行区域というのは、何度も申し上げておりますように、新都市として、自然的、社会的条件というものから見まして一体として開発される、そういう条件を備えた地域をまず考えておりますので、その地域をとります際に、そういうような一体として区分できるような地域を選定いたすのでございます。したがいまして、周辺地域というのは条件が全く異なった地域であろうかと存じます。そういうことからいいまして、その施行区域内の開発利益が直ちに周辺に及ぶというふうには考えていないわけでございます。ただし、地域のとり方によりましては、河川だとかがけだとか、そういういろいろなもので区分できないような地形のものもあろうと思います。そういう場合におきましては、極力周辺周辺緑地というものを整備いたしまして、地価の値上がりを防止する措置考えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  34. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 区域外の周辺地区の開発利益もさることながら、一定の区画の中でも、たとえば根幹公共施設をとりまして整地作業をいたしますと、大体地価というのは三倍以上になるわけですね。道路にとる減少あるいは下水道等の完備、いろいろな費用がかかりまして、原野で購入されたときよりも実際に宅地整備をされた時点では三倍ないし四倍程度になると思うのですよ。そうしますと、この地主の人々は半分を供出するということですが、その半分の供出は原野である時代の地価で購入されるわけであって、一般の耕地整理のような減歩という問題ではない。性質が異なる。つまりそれだけの分はもう買い上げてもらって、さらに残った半分が三倍ないし四倍というような地価の高騰、こういう開発利益が現実には生じてまいりますね。確かにそれはもう区画をするだけであって、原野のまま残すのだから、あと整地をすれば費用が要るんだということはあったといたしましても、そういう間拠点をマイナスしていきましても相当程度の地価の高騰があるのではないだろうか。そこで、はたしていま考えられておるような方式が適正な開発利益の分配になるのかどうか、こういうことなんですがね。その半々ということがはたして適正な開発利益の配分につながるのかどうか、この辺はどうお考えでしょう。
  35. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、民有地の残す部分につましては、もう一度申し上げますけれども、粗造成のままであって、また、さらに自分で住宅用地その他に使用する際におきましては造成する、そういう経費をかける、開発許可も嘆けるという負担が残るわけでございます。したがいまして、これは先生のおっしゃったような、全部完全に宅地造成が終わったというような程度には地価は上昇しないだろうというふうに申し上げたわけでございます。これももう一度申し上げますけれども、やはりある程度の上昇はいたします。しかしながら、これも申し上げましたように、また申し上げて恐縮でございますけれども開発利益を折半しようということでございまして、これはやむを得ない。しかし、その開発利益の受け方が、先生の御意見では民有地について少し多過ぎるんじゃないかというような御意見かと存じます。換地を受けます民有地の残る部分につきましても、御承知のようにこれは最小必要限度でございますけれども、街路等のそういう公共施設の新設があるわけでございまして、これは減歩によって無償でまかなわれるということになるわけでございます。無償でそういう用地を提供することになります。したがいまして、そういうことを考えますと土地の所有者が不当に開発利益を余分に受けているというふうにはならないと私は考えている次第であります。
  36. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そうしますと、現実に地主が持っておった、たとえば一反なら一反でもよろしいが、かりに三百坪としまして、いま法案考えられておるのは、百五十坪取り上げて、百五十坪返そう、こういうことなんですが、そうではなくて、あらかじめ道路敷地、あるいは学校敷地はどうなるか知りませんが、そういうものはまずあらかじめ取ってしまう。それは買い上げるのではなくて減歩として処理するのだ、こういうことなのでしょうか。
  37. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 いまの道路敷地だとか根幹公共施設、それから開発誘導地区におきますところの学校用地だとか利便施設用地その他、そういうものにつきましては、これは有償で買い取るわけでございます。買い取って、いわゆる根幹公共施設を除いた部分をほぼ折半して、残りの部分が四割なら四割といたします。その四割の部分は民有地はそのまま残るのですが、それを換地されるわけでございますけれども、これは土地の整理ということばを使っておりますが、根幹公共施設なり開発誘導地区におきます学校用地なり、そういうようなものに集約をして、その残る民有地にも土地の集約整理を行なうという際に、これはそのまま換地されても土地の所有者も利用しにくいわけでございますから、これは必要最小限度の区画形質の変更なりあるいは最小限度の街路の用地確保だとか、その他そういう粗造成までは行なう。その際におきまして、最小限度の必要であれば、公共用地につきましては、これはまず従来からございます公共施設、里道とか水路とかが事業の施行前にございます。そういうものにリブレースして充てるわけでございますけれども、なおそれでも不足するものにつきましては、必要最小限度のそういう区画割りのための街路などは、これは無償で減歩でまかなうということでございまして、これはなぜかと申しますと、根幹公共施設は、学校用地なりは施行区域全体のためのものでございます。これはいわゆる新都市基盤でございますからまず先行的に収得しておく。これも有償で、全体のためですから取得する。しかしながら残りますところの民有地につきましては、これは民有地のそういう個々の人たちの利便なり宅地利用の増進をはかるものであるという意味におきまして、そういうような必要最小限度のものにつきまして無償で減歩を考えていくというように私ども法案を立案いたした次第でございます。
  38. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 はっきりしないのですがね。計画的に区域設定がされて、そうして宅地造成がされるところは、これは道路といえども根幹公共施設その他を全部買い上げるのだ。ところが民有地としてそのまま残すところの地域ですね、これについてやはりある程度区画整理をしてあげるのだ、その場合にのみ必要最小限度の範囲において無償として減歩方式でやるのだ、こういうことなんですね。そうしますと、一体それはどの程度になるのか。先ほどのお話では、何か減歩方式でやって無償で相当出させるのだというふうに聞こえたのですけれども、どうもそうではないようですね。そうすると、必要最小限度というのは一体——もちろんその中には里道あり、水路あり、いろいろ国有地もあると思いますね。そういうもので間に合わしていって、そうしてあとできる限りの必要最小限度のものをやるのだということですから、その範囲というものは相当狭められてくるのではないかと私は思うのですよ。そうしますとほとんど半分というものは原則的に残されてくるのだろう。そうすると、開発利益を折半すると言われておるけれども、はたしてそれで折半になるだろうか、こういう疑問がやはり出てくるわけですよ。ほんとうに折半だろうか。だから、開発されたことによって開発利益が多分に出てくるのではないだろうか。口では折半と言われておりますけれども、折半の中身は、たとえば一反持っている人が百五十坪出して百五十坪残るのだ、具体的にいえばこういうことだろう。しかしよくよく考えてみると、その百五十坪といえども原野なり山林のままで買い上げられる。さらにこちらのほうの地価は、その隣接地が開発され、さらにその区域そのものも区域内に入るわけですから、やはり相当な地価高騰というものが考えられる。というふうに見ていくと、はたして言っておられる開発利益の折半ということであろうかという疑問があるわけですがね。
  39. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 民地におきますところの最小限度の無償減歩については、先生のあとでおっしゃったとおりでございます。どのくらいの減歩率であるかという問題、これはさっきもちょっと申し上げましたように、その場所によって違います。なぜかといいますと、従前の里道とか水路とか、そういう公共施設がどのくらいあるかということによって違ってくると思います。最大限度一〇%——四ないし一〇%というふうに考えておるわけでございますが、そのくらいで取っても開発利益の面におきましては折半とはいえないのではないかという御質問であろうと存じます。一番最初に私申し上げましたように、開発利益はほぼそういう半分半分ということであって、従前の全面買収方式というものは施行者に一〇〇%である、それから区画整理方式というのは土地所有者に一〇〇%というものである、そういう方式に比べますと大体中ぐらいのところにあるという意味におきまして、開発利益を両方で分かち合っておるということを申し上げておる次第でございまして、五〇%であるとか何%ということを正確に数字的に申し上げておるわけではございません。そういう従来の方式に比較しますと、大体両方でこれは分かち合うというかっこうになっておるという次第でございます。
  40. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そうしますと、今度の新都市基盤整備法案に基づく事業とは関係なく、従来の開発方式でやった場合とこの基盤整備法に基づく開発をした場合との違いなんだ、こういうことなんですね、おっしゃるのは。
  41. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 そういうような、ちょうど両方の方式のまん中付近で開発利益を分かち合うということでございますけれども、さっき申し上げましたように、用地というものは大体折半しておるという意味で半分というふうに申し上げたわけでございまして、その開発利益の計算というのは非常にむずかしゅうございますから、どう計算していいか。また施行区域によりましても相当違ってくるでしょう。というのは、地価の値上がりをどのくらい見るかということによって違ってまいります。そういうことでございますけれども用地の残す部分につきましては大体折半しておるということでございます。開発誘導地区におきましては施行者が土地を全部取得するわけでございますけれども、その中の住宅施設なりができます際にも、やはり街路だとかその他の公共施設、そこの宅地利用を増進するためのそういう公共施設は必要になってくるわけです。それを施行者は、いわゆる減歩みたいな形でございますが、やはり自分で出すわけでございます。したがってそういう意味におきまして、施行者もそういう開発誘導地区、自分の持っておる土地におきましてはそういうある程度の減歩をしていく、民有地部分におきましてもやはり同じように土地所有者がそういう減歩をしていくという意味におきまして、ほぼ平等に扱われておるのではないかというふうに考えておるので、そういうふうに申し上げたわけであります。
  42. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 開発利益の折半ではなくて土地の折半なんだ、簡単にいってしまえばそういうことなんですね、おっしゃっておることは。開発利益が折半されるということでしたもので、しからば開発利益から見ていくとそうではないだろう、むしろほんとうの折半だといえるだろうかどうだろうかと私は疑問があったものですから出したわけですが、そうしますと土地は折半していくのだ、こういうことなんです。  そこで、これらの土地はいまほとんど市街化区域でもなければ調整区域でもない、こういうところなんでしょう。大体予定されておるようなところはそういう地域ではないかと思うのです。そうしますと、ここに新しい都市建設をされて、つまり市街化区域ということになってまいりますね。その周辺が市街化調整区域ですか、こういうことになってくるかと思うのですが、現在いろいろな線引きが行なわれておりますのにも非常に混乱が生じているわけです。特に税金がからんできた関係上いろいろな問題が出てきておる。そうしますと、今度のこの新しい都市がぽっかりと何でもない地区に出現をすると、それによって市街化調整区域という問題が起きてくるわけでございます。その辺の関係はいかがでしょうか。
  43. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この施行する地域は、この前のときも申し上げましたが、市街化区域においてこれを行なうということになっておるわけでございます。市街化区域内におきましてこの事業を施行する。なぜかと申しますと、これは都市計画事業、市街地開発自業で施行されることになるわけでございます。したがいまして、前提として先年のおっしゃるような何でもないところというわけではございません。市街化、区域内でございます。しかしながら実際上そういうところがあるかという御質問だろうと存じます。これはこの前も申し上げましたように、首都圏で当面大体一カ所、近畿で一カ所というふうなものを予定いたしておりますけれども、やはり市街化区域の線引きが設定されて、市街化区域を中心のこの地域でございます。しかし、この地域は相当広い規模の施行地域が想定されますので、現在の市街化区域内では地域が設定できないものもございます。そういうものにつきましては、現在の調整底域を市街化区域に編入いたしまして市街化区域にして、その中で都市計画事業として市街地開発事業として施行するというわけでございます。なぜそういうかっこうにしたかといいますと、相当規模の施行区域、新都市でございますので、国土利用という面で調整を要するいろいろな問題があります。特に農地との問題があるわけでございます。したがいまして、現在は線引きによって市街化をするところは市街化区域というかっこうになっておるわけでございますので、市街化区域内におきましてこの事業を行なう。これは土地利用上は一応調整がついた地域でございますからこれを中心にいたすわけでございますけれども、さっきちょっと申し上げたように、この調整区域を編入しなければ地域が設定できない。自然的、社会的条件も一体的に見て地域を設定する際に地域を設定できない場合におきましては、都市計画法の手続によって、農林大臣とも協議して、調整区域を市街化区域に編入して、そうして市街化区域の中で事業を行なうというかっこうになるわけでございます。
  44. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 五百ヘクタールに及ぶような大規模一つ造成地がすっぽりその市街化区域として、もう現実に設定をされておるわけですか。それは線引きはどうなっておるのですか。あらかじめ、こういう法律ができるだろうから、そこへ新しい都市をつくるのでこの辺は市街化区域に入れておけ、こういうことなんですか。
  45. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、当面考えております首都圏及び近畿圏の一カ所ずつの地域におきましては、現在線引きはすでに行なわれておるわけでございます。それで、市街化区域という既成の市街地及びその周辺がございまして、そこのところを計画いたしますが、ただそこの現在の市街化区域だけではこの地域が設定できない場合におきましては、周辺の調整、区域を市街化区域に編入する手続をとって、そしてこの事業を行なうということを申し上げた次第でございます。
  46. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうも質問に的確に答えていないようですが、市街化区域の線引きをしたときに、すでにこのような法律の出現を想定をしてそういうことをやっておられたのかどうか。そうでないとするならば、その市街化区域の設定の方法というものは相当広範囲な地域を含んで、農地その他を含んで市街化区域が設定されているのかどうか。そういうむちゃくちゃなことをしているから税金の問題が出てくるのですよ、実際には。
  47. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この法案は新しく今回提案いたしたわけでございまして、線引きのときにこの法案による方式かどうかは、その当時想定できません。しかしながら市街化が予想される場合というものはおのずからあるわけでございます、いろいろな自然的、社会的条件で。そういう意味におきまして市街化はすでに設定されている。これはもっと端的に申し上げますと、首都圏及び近畿圏におきまして私ども一カ所ずつ考えているところは、現在三分の二ぐらいは市街化区域である、あと三分の一はその周辺の調整区域を市街化区域に編入手続をとって、そしてこの施行地域を設定していくというふに考えておるわけでございます。
  48. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そうしますと、現実にそのような問題は、前回の問題でA農地、B農地、C農地とありまして、いろいろ問題になりましたね。それが今度はそういうところへぽっかりと新しい都市が出現しますと、そういう面からくる抵抗というものはないでしょうか。——わかりませんか。現実に市街化区域にするといろいろな利便があるということで線引きに入れてもらった。ところがいざ税金がかかってきていろいろ問題になって、それならばおれのところははずしてもらうのだったとか、いろいろな問題が出てきているのですよ。特に農業の方々はたいへん、反対が多かったわけですが、今度はそこへぽっかりとできますと、これはもう完全に市街化区域ということになりまして、この区域設定の中にも実は民有地を心残すわけですし、あるいは農地そのものも残っておるということが当然想定されるわけですね。農地そのものまで残ってしまうというところが想定される。そうなりますと、これは明らかにまたA農地、B農地等の問題がこの地域において再燃をしてくるのじゃないか。そういう問題がございませんか。
  49. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 御承知のように、線引きを行なう際、これは市街化区域にするか調整区域にするかということを知事が決定する際におきましては、公聴会なり縦覧なり、関係市町村長の意見を聞くとか市議会の議決を経るとか、そういういろいろな手続をとって、住民の意見を聞きながら決定したものでございます。そういう意味におきましては、これは市街化を予定されておる区域ということで一応の住民の了承を得て決定されたものと思います。例の農地課税の問題は、そういうふうに市街化がまだ直ちに行なわれないところ、農地としてそのまま残っておるところにおきましても宅地並みに課税するということで問題があったと私ども聞いておる次第でございます。この問題につきましてはまた違った意味でいろいろな解決策その他が今後検討されることと存じますけれども、新しい法案によりますところの卒業を施行する場所は、先ほどから申し上げておりますように、市街化区域という一応予定されたところでございます。ただし、これは概括的に例として申し上げただけであります。三分の二ぐらいは市街化区域、あとの三分の一ぐらいは調整区域でございます。これを編入する際に、それじゃそういう土地の所有者、特に農地の所有者の意見はどうだろうか、はたしてこれに賛成するだろうかという御質問だろうと存じましてお答え申し上げますと、これにつきましては、編入の手続というのは都市計画法に基づいて、公聴会なり、また公衆の縦覧の手続なり、市町村、長の意見を聞くとか、審議会に諮問をして十分意見を聞きながら、そういう地域住民の意見を参酌しながらそういう手続をとっていく。また役所におきましても、中火の行政機関では農林省等と協議をして、そして土地利用というものに十分コンセンサスを得て市街化区域に設定するということでございます。そういう手続をとった後に市街化区域にいたしまして、そしてその中で事業を行なうというかっこうになるものでございます。したがいまして、そういう手続をとる間に十分地元住民の意見を尊重し、また地元住民の意見を反映させることができると私ども考えておる次第でございます。
  50. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いずれにしてもこの問題はやはり相当トラブルのもとになるのではないかということが考えられますね。したがって、できる限りトラブルが起こらないような方向で解決していただきたいということでございます。  先ほども申し上げましたように、そもそもこの法案考えられてまいりましたその源泉は、やはり地価対策ということが当然あるわけですね。したがって、このような基盤整備を行なうことによって地価の抑制に一体役立つのかどうかということはきわめて疑問が多いわけですよ、現実に。むしろ高騰に拍車をかけるのではないか。と申し上げますのは、一定の区域内において半分を民有地としてそのまま残すわけですから、そうしますと民間の不動産業者が当然入り込んでまいりまして、相当売買に拍車がかけられ、勢い地価の高騰を促していく、こういうおそれがあるわけですね。考えられませんか。一定の区域内を限って都市開発をやろうとする。実際に宅地造成その他をやるのはその半分程度、まあ四割程度ですね。根幹施設を入れて半分ですから、四割程度といたしますと、あと半分は民有地としてそのまま残っていく。そうすると、全体がやはり一つ都市を形成するわけですから、あと半分の土地は民間の不動産業者の売買にまかされておるわけでしょう、現実には。したがって、そういう方向が、ほんとうに根幹となって出てきました地価対策という面から見てどうなるだろうか、矛盾はないだろうかということなんですが、いかがでしょうか。
  51. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 土地対策の問題につきましていろいろな対策が総合的な見地から施行されなければいけませんが、地価の上昇の原因というものは、繰り返し申し上げるわけじゃございませんが、やはり大都市宅地需要というものが非常に偏在して起こってくる、急激な需要が起こってくる、それに対する供給が追っつかないということがまず第一の原因でございまして、大都市におきますところの需給のアンバランス、及びそれに投機的な需要が加わって地価上昇に拍車をかけておるというような実情でございます。そういう意味におきまして、第一点の大規模な、優良な環境のいい宅地というものを大量に供給する必要があるわけでございますけれども供給する際に、従来のように大都市とか、またすぐ近くの周辺におきましてこれを供給するということでなしに、これを、さっきから申し上げておりますようにブロック圏、首都圏なら首都圏というものを一体的に考えて、そうして大都市の中心部からこれは分散させる。そういうことによって宅地需給緩和するという役割りをになっておるわけでございます。大規模宅地供給をはかる。しかもその供給のしかたというものは、大都市からは分散して土地供給する。そういうことによって宅地需給緩和をはかるというのがまず第一点でございます。  ただ、具体的に施行場所におきましては不動産業者等が入り込んで、そうしてこの地価上昇に拍車をかけやしないかという第二の御質問でございます。これにつきましては、まずこのマスタープラン、いわゆる都市計画決定を知事がいたしましたあとにおきましては、この施行区域内におきましていわゆる公有地の拡大法案——これはまだ審議中でございますが、公有地拡大の法律適用になりますので、もしもそういう売買が行なわれたときには知事に届け出があるわけでございます。必要なものにつきましては、知事がこれを公共団体なり施行者に先買いをさせることができることは御承知のとおりでございます。また、事業計画が決定になりましたあとにおきましては、いわゆる都市計画法の入り会い権がかかるわけでございます。そういうことによりまして一応、そういう不動産業者が、都市計画を決定いたしまして、マスタープランをきめたあとで入り込んでくるということはあっても、私どもそういう先買いの手段で対抗できると思っております。問題は、そういうマスタープランなり都市計画決定ができる前にすでに不動産業者がどんどん土地を買い占めたらどうかという問題だろうかと存じます。これは、先買いというものはまだかからないわけでございますけれども、この施行区域の土地の買収は、御承知のように、大体根幹公共施設で約二割程度、それから開発誘導地区で四割程度、大体六割は施行者が各筆ごとに土地を取得するわけであります。しかもその残された四割の土地だけでございますが、これも先ほどから御質問がございましたように、この土地利用する際にはやはりまたあらためて開発許可が要ります。同時に、この宅地造成を自分でやって、宅地造成を完全にしなければ住宅の敷地等にはこれは利用できないかっこうのものでございます。そういうものでございますから、はたしてそういう不動産業者というものが入って成り立つかどうかというようなことも非常に問題がございます。同時に、この土地を取得する際にも、事業計画がきまりましたその時点で、これは価格固定がございます。その固定いたしました価格で対処をするということになるわけでございます。そういうようなことからいたしまして、先生のような御心配につきましては対処できるのじゃないかというふうに考えておる次第であります。
  52. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大体民有地を残すということ、従来のような多摩ニュータウンのような建設方式、全面方式ではどうしてもいろいろな問題があって、その土地に従来から住んでいる方々との融和をはかったりいろいろするために、その半分を民有地として残していこう、こういうことだったわけです。そういう考え方だったわけですね。そういう考え方といまおっしゃっておることと相矛盾をしてきませんか。
  53. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 全面買収方式によりますと、さっきから申し上げておりますように土地所有者が開発利益を全く持たないわけでありますから、これに対する反発がございます。これは土地所有者の協力を得ながら新都市をつくっていこうという方式でございます。したがいまして、根幹公共施設以外のものは、半分は開発誘導地区として整備しますけれども、半分は先生が申されたとおり民間の土地所有所がみずからの手でこれを整備していく、そして町づくりをしていこうということでございます。あわせまして、官民共同で新しい都市をつくっていく。もちろん先生のおっしゃるように、単なる公的な住宅施設だけではなしに民間のそういうような施設があるということは、いろいろな意味のコミュニティーの形成の上からおきましても、新しい大規模都市だけに非常に必要なことでございます。もちろんそういう趣旨もありまして今回の方式をとったわけでございます。
  54. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 質問の角度を変えると答えが変わってくるようですけれども、半分民有地があるわけですよ。それはいわゆる開発をその地主にまかせるわけでしょう、基本は。したがって当然そこには不動産尾が介入をしてくるということが想定をされる。そういう場合に、不動産業者が介入をしてきたら先買い権をもって対抗していく、こういうふうにおっしゃっておるわけですが、実際にそういうことがうまくいくかどうか。さらにその場合は一体どのような地価で先買い権を行使されようとするのであるか。むしろそのときに地主そのものが値上がり待ちをして売り惜しみをしてしまうということも当然考えられてまいりますね。それならばもうやめたということでそのまましばらく持っておろうというようなことが当然起こってくるのではないか、こういうふうに考えられるわけですが、その点はどうなんでしょうか。
  55. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 ただいままで御説明申し上げておりますとおりに、デベロッパーというものがそれじゃいつ入ってくるかという問題でございます。その意味におきまして、デベロッパーが入り込んでそして不当に利益をもうけるというような御心配については、私ども、不当にデベロッパーがもうけるということはないのではないかというふうに申し上げているわけでございます。一般の土地の所有者と大体同じ程度のことになるわけでございまして、そういう意味で申し上げている次第でございます。この土地の取得の価格でございますけれども、これは、土地が決定をいたしましてから利用決定の間におきましては、その付近に地価公示がございましたらその地価公示、またそれがなければ不動産鑑定士というような、そういうものに鑑定させた適正な評価によりましてこれを取得するわけでございますけれども事業認可がされましたあとにおきましては、さっき申しましたようにその価格固定がその時期でございますから、その固定された価格でこれを取得するということになるわけでございます。ちょっと御質問の御趣旨がわからぬところがございましたので、一応この程度お答え申し上げまして、再質問がございましたらまた……。
  56. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私は一貫した流れの中で御質問をしておるわけですが、地価抑制という面に関連をしてこういう法案が出てきておるであろう。しかし、こういう開発の方法は従来の欠点を補ってやっていくのだとおっしゃるけれども、それはまた根幹にさかのぼっていって、はたしてこういう方策を取り入れることによって地価抑制ということにどれほどの貢献があるだろうか、こういうふうに考えていきますといろいろな問題点が出てまいるわけですよ。それについて、そういうことのないようにいろいろ先買い権等を行使してやっていくのだとおっしゃるけれども、しかし現実としては、民有地として半分を残して、現実的に不動産業者の売買の手にゆだねられるわけだから、そこまでもさらにそれらを抑えつけていくという強硬手段がとれるのかどうか、こういう問題が一つあると思いますね。それから、先ほどもちょっと問題になったように、事業の施行前にたとえば大企業なり法人なりが出勤して買い占めを行なう、こういうような手段に対しての対抗処置といいますか、規制措置といいますか、そういうものは一体十分にやっていけるのかどうか。全体を、地価高騰を抑制をするという考え方の中で一体どう処置していこうとされておるのかということを最後にお聞きをしておきたいと思います。
  57. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 土地対策の関連のことにつきましては、先ほど申し上げましたように大規模宅地供給、しかもこれを既成の大都市とかその市街地の周辺というのじゃなしに、首都圏というようなブロック圏を一体的に考えて、そして既存の中心都市からは分散するようなかっこうの、環境のいいところを供給するということに意義があるわけでございます。したがいまして、そういう意味におきまして開発誘導地区というところにおきましてはこれは利便施設を設置いたしますし、同時にその地域で必要な最小限度の住宅施設というものを公的につくり、宅地をつくり、そしてそれを一般国民に供給するということになるわけでございます。そういうような方式を講じまして、今後、大都市圏、特に大都市圏におきましての大規模宅地供給というのは非常にむずかしいということから、こういう新しい法案考えられて、新しい法案によりまして円滑に土地の所有者の協力を得て土地を取得し、大量な公的宅地なり住宅供給するということになっているわけでございます。そういう意味におきまして、この新都市基盤整備法案というものが土地対策の中で位置づけられるというふうに私ども考えておるわけでございます。  それからもう一点の、この施行前にデベロッパーその他が暗躍して、そしてこの計画がめちゃめちゃになりはしないかということにつきましては、先ほどもこの点について御説明申し上げたと存じますけれども、施行前におきまして土地を取得するとしたら、これは一般の土地所有者と同様に、大体六割は施行者に土地を提供しなければならないものでございます。したがってあとの残りが四割ということになるわけでございます。しかしこの四割の土地につきましても、またこれを住宅の敷地として利用するためにはみずから開発許可を受けて、そうして処理、造成を行なっていく必要があるわけでございます。したがいまして、この地域の中にデベロッパーが入って、そうしてこの新しい法案によりますところの目的、また計画というものがめちゃめちゃになるということは私は考えられないというふうに考えている次第でございまして、むしろそういう土地の所有者と十分協力しながら開発を行なっていく、そうして新しい都市をつくっていくというふうに考えておるわけでございます。
  58. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いずれにいたしましても、やはり地価高騰を何とか押えていかなければいけませんし、それに寄与するような方向で処理をされていかなければいけないと思います。一生懸命に開発することによって、完成によって地価高騰に柏市をかけるというようなことがないように、悪徳地主、不動産業者等が入り込んで事前にその買い占めを行なったり、そうしてこの事業から利益を得ようとしたり、そういうものが私は当然出てくるおそれが十分にあると思いますので、そういう面の規制をし、強力な監視もされ、強力な施策をもってそれに対抗されんことを強く望んで、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、松浦利尚君。
  60. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 本会議が二時ですから、質問ができない部分は次回にまた機会がありましたら質問させていただきたいと思います。  まず、大臣にお尋ねするのですが、御承知のように、この新都市基盤整備法案そのものについてまず考えなければならないことは、本会議でも総理にお尋ねをしたのですが、要するに一点に集中してくる人口がますますいまマンモス化していく、これが一つの重大な問題ですね。これが都市問題のひずみをつくり出しているわけですね。いままたここで新都市基盤整備法案というものを出して、そして都市近郊に秩序ある開発をしていく、こういっておられるのだけれども、その前にしなければならぬことは、これ以上人口がこっちに入ってくることを防ぐという手だてがなければ、どんな法律をつくったってあと追いの結果になってしまう。そういう点について詳細に総理から、工場分散法とかいろいろ言われたけれども、しかしそれをやってもなおかつ人口はどんどん三大圏に集中してくるわけでありますから、これについてどういうふうに将来対策を講じようとしておられるのかということが一つですね。もう一つは、やはりこの問題と関連して、人口分散ということからするなら、地方都市人口分散するような、あるいは人口が流動できるような地方都市整備ということもこの際これに関連して考えるべきでないか。その点についての具体的な大臣の御答弁をまず伺っておきたいと思います。
  61. 西村英一

    ○西村国務大臣 もう松浦さんに私が言うまでもなしに、大部分の人口は東京、名古屋、大阪、これに集中しておる。したがいまして、それではいかぬ、こういうことで政府がずいぶん前からもいろいろな方策を講じてやっていることはその一つの方法でございます。たとえば、ずいぶん古いことでは新産都市の問題あるいは農村工業導入促進法の問題、あるいはまた今回は通産省から工業の分散法案等、いろいろやってきておるわけでございます。したがいまして、その基本的な理念はあなた方と全く一緒なんです。しかしなかなかそれが現実の問題でそうはいかなかったのですが、東京都だけについていいましても、私は正確な数字をいま持っておりませんが、この前部圏におきましては社会的増の人口は私は減っておるのじゃないかと思います。しかしこれはちょっと調べてみなければわからない、若い人は東京都にずいぶん集まっておりますので。自然現象、自然の人口増がふえておるわけでございます。私は社会的人口増は減っておる、かように考えております。なお自然的に生まれる子供さんがたくさんふえるということでございまするから、やはり、前のような急激な増加はないと思いまするが、じわじわふえる、こういうことでございます。そこで、従来からいわれておりた土地が商いのも、住宅ができないのも、住宅宅地の減少、需要供給関係だ。宅地をたくさんつくらなければならぬ、こういうことでいままでやっておったのでございまして、従来は区画整理の方法でいろいろ整理しようとか、あるいは新住宅市街地の法律とかいっていろいろやっておりましたが、そういうものの一部分の法律、今回の法律はそれでございます。宅地をつくろう、宅地をつくらなければならぬことは今後も手放しにするわけにいかぬこの首都圏あるいは近畿圏。その一つの、手段として今回のこの法律を出したわけでございまして、この法律一つで十分なことができるようには期待はいたしておりません。しかし宅地を増加するという意味において若干の寄与はするのじゃないかと思っております。  あなたがさいぜんおっしゃいましたもう一つの点、こんなことをやるよりはもう少し地方の拠点都市に身を入れたらどうか。これも一つの方法です。りっぱな方法です。この法律も、いま計画局長が言いましたように、現時点における対象地はやはり首都圏とかあるいは近畿圏とか大阪の付近とかいうものを対象に考えておるようですが、これはそういうことに限定してはいかぬと思います。むしろ将来、地方拠点都市においてこういうところがあればなおさら、いままだいろいろ進まないうちに整備することも一つの方法と思っておりますから、必ずしも首都圏近畿圏と限定してこの法律適用するのだ、あとのところはかまわぬのだ、こういうふうには考えるべきじゃない。むしろ地方の拠点都市、そのためには私のほうでもやはり運輸、交通の便をよくしなければならぬから、道路もひとつつくらなければならぬだろう。通信関係もうまくしなければならぬだろうという一体の総合的な施策が要ると思うのですが、今回の法律によって従来の宅地のつくり方に対し若干の手法を変えてみたい、こういうのが今回の法律提案の趣旨でございます。私はそういうふうに理解しておりますが、あなたの説には根本的には賛成でございます。
  62. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この問題は、人口都市集中してくるあるいは家庭が核化していくという問題、こうした問題についてやはりあと追いになっていくところに第三の手法ということでこれは出されているわけですけれども、また第四の手法、第五の手法というものがあと追いで出てくると思う。ですから、幸いいま政府のほうで新全総なり経済社会発展計画を手直し中でございますね。こうした問題について的確に指標を出していただいて、その五に乗っかってこういった法案整備というものがなされていくということを、希望として私は大臣にお願いをしておきたいというふうに思うのです。  それから次に、先ほどからも御指摘ありますように、何といっても問題は地価という問題、私は非常に重大な意味を含んでおると思うのです。これは不動産研究所調べなんかを見ますと、地価が高騰した経緯というものは一つの歴史的なものがあるのですね。大体調べてみますと、昭和三十六年以降市街地の土地価格の上昇をずっとリードしていったのは実は工業用地だったのですね。これがずっと全体的な地価高騰をリードしたのです。ところが、御承知のように昭和三十七年に全国総合開発計画というものが出されて、そして新産都市あるいは工業特別地域ですか、こういった産業基盤、高度経済成長政策に適合したそういった土地対策というものが政府の手によってなされた。ところが工業団地を形成するための大きな土地そのものを開発するだけの資金量は民間デベロッパーになかったのですね。そのためにこうした工業用地の取得については公共資金、特に地方自治団体などが積極的に安い土地造成して提供したのです。その結果、地価高騰の経緯をずっと見ますと、昭和四十年をピークにしまして、地価の上昇をリードしておった工業用地の安定というものが保たれてきたために、地価上昇というものがある程度鎮静してきたのですね。工業用地のリードするというものが変わってきた。何が変わってきたかというと、今度は、そういった地方公共団体等の安い工業用地造成その他の方針によってリードするものが変わったという、その変わってきたものの中に、実は住宅宅地というものが出てきたわけです。そして昭和四十年以降はもう完全に宅地が地価の高騰をずっとリードしてきておるわけであります。これはもう絶対に間違いない、不動産研究所の統計から出てきておる数字ですね。  そうしたことを考えてきますと、実際に宅地に対する地価抑制というのはやろうと思えばできる。現実に工業開発によってぐっと上がってきたものを、地方公共団体等が安い土地を提供することによって鎮静させたわけです。ですから、宅地に対してもそういった手だてというものが行なわれれば地価抑制ということは可能なんですね。ところが御承知のように、工業にはそれだけ積極的に姿勢を示した政府が、あるいは地方公共団体が、宅地に対してはどういうわけか全くそういった手だてをやらない。逆にいうなら民間デベロッパーに依存するという形で来たところに、実は宅地が天井なく上がってくるという原因を私はつくり出したと思うのですね。だとするなら、確かに第三の手法という今度のこの法律が、一体地価抑制というものに対してどういう作用をするのか。官民一体の宅地開発によって、逆にそのことを理由にして地価がぐっとまた高騰するのじゃないか。しかも、御承知のように、これは調整区域の買い占めという問題があるだろう。調整区域は、二十ヘクタール以上は許可がありさえすれば宅地開発できますね。ところが二十ヘクタール以上の開発ということになれば、これは民間デベロッパーしかやることはないわけですね。実際にそういった調整区域の買い占めというものが、現実に民間デベロッパーによって二十ヘクタールを中心にしてどんどんなされておる。しかもその上に乗っかってこの法律をまた持ってくる。そうすると開発利益というのは一体どこにいくのか。全部民間デベロッパーが持っていきはせぬだろうか。そのことは地価の高騰を逆に進めるんじゃないか。そういったものについて、的確に、この法律では絶対に地価高騰はいたしません、歯どめになりますという、その歯どめについて具体的に、事務当局からでけっこうですが、お聞かせいただきたいと思うのです。
  63. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生の御質問の御趣旨は、第一点は民間のデベロッパーによる宅地開発が地価の高騰を来たしてはいないかというふうなことではないかと存じます。この点につきましては、民間のデベロッパーが優良な、またいろいろな基本計画、マスタープランにのっとったような、そういう宅地供給するということは、いわゆる第二期住宅建設五カ年計画の中の宅地供給計画の中でも相当の役割りを持つと私ども考えておる次第でございます。半分よりちょっと多くは民間の宅地供給によるというふうに私ども考えております。しかしながら、そういう民間デベロッパーが優良な宅地を、また計画どおり環境のいい宅地供給するといを担保、保証はどうするかということであろうかと存じます。これにつきましては、都市計画法の開発許可という制度によりまして、この制度を運用いたしまして、環境のいい関連公共施設利便施設その他を整備したところの宅地、また場所その他につきましてのいろいろな基準がございまして、そういう開発許可を運用しまして、いいものを供給されるように規制を加えたいというふうに考えておる次第でございます。二十ヘクタール以上であれば必ず開発許可をするということにはならぬわけでございまして、その他の開発の許可条件がございます。また開発審査会というものがございまして、十分そういうものも審査しながら民間のデベロッパーの宅地開発規制していくわけでございます。  それから、法案による事業適用する際に民間デベロッパーを不当にもうけさせはしないかというのがもう一点の御質問の御趣旨だろうと存じます。この法案による施行区域というのは第三条にいろいろ書いてございます。こういう第三条に書いてありますような地域を、都市計画決定という手段によりまして、マスタープランをきめて、そして第四条にございますようないろいろな内容のものを具備したものとして都市計画決定をいたすわけでございます。その際に、先ほど渡辺先生にもお答え申し上げましたように、民間の土地所有者が、これは一般の土地の農地の所有者なり、また不動産業者が土地の所有者としてある場合、両方あろうかと存じます。そういうどちらの場合におきましても、先ほどから申し上げておりますように、六割は根幹公共施設、また開発誘導地区ということで施行者が土地を取得して、そして開発誘導地区におきましては相当大量の住宅及び宅地を一般国民に供給するという立場をとっておるわけでございます。したがいまして、この大量に供給するということにおきまして、しかも供給する場所が既成の中心都市ということでなしに、それから分散した地域に、相当の距離のところにおきまして供給するということにおきまして、土地対策上の意味があろうか。これも先ほど申し上げたとおりでございます。同時に、土地の所有者はこれは大体四割しかあと残らぬわけでございます。これはデベロッパーであろうが一般の農地所有者であろうが同じでございますけれども、四割だけしか残らぬわけでございまして、しかもその残った四割についても、これは直ちに住宅の敷地に使うものじゃございません。またあらためてこの開発許可を受けて、そして開発許可基準のもとに開発行為を行なうということになるわけで、宅地造成の経費もこれからまた相当負担がかかるというかっこうのものになるわけでございます。そういう意味におきまして、そういう民間のデベロッパーが不当にこれによって利益を享受するということにはならないと考えておる次第でございます。
  64. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それは理想像であって、私は現実は実質的にそうじゃないと思うのですね。確かに理想像としては言われるとおりだと思うのです。しかし、現実的に民間デベロッパー自身が相当な開発利益を受けることになるのじゃないか。私はそのことが非常に心配なんです。なぜかというと、現実的に今度の東京国税庁の発表を見てもおわかりのように、われわれが国会で通しました土地のための特別措置、あの税制措置によって実際にたくさんの土地が放出された。放出されたけれども、そのうちの約八〇%近くは全部民間デベロッパーなりが握り締めておるわけですね。個人所有というのは実質的には二〇%以下なんです。しかもその民間デベロッパーというのは実質的に山林その他を安く買い占めておるわけです。現実にこの計画にのっとってやろうとするところも、土地の比較的安い山林地帯とか、多摩ニュータウンのように、そういったところに結果的には想定されてくるだろう。しかし現実的にそれはもうみんな民間デベロッパーが握っておる。本会議でも私が質問しましたように、現実に首都圏近畿圏、中部圏の土地面積の合計一千百九十四ヘクタールというものは民間デベロッパーが握っておるのですね。日本不動産銀行の調査によっても、現実に上場一千三百三社がそれだけのものを握っておる。日本銀行の経済統計月報に書いてありますが、全国銀行の不動産業者への貸し出し残高は、昭和四十五年度末で一兆九千六百七十七億であったのに対して四十六年度には二兆九千六百三十四億円、この一年間に不動産業者に対する貸し出しというのは実に一兆円の増加になっておるのですよ。しかもその上に、民間デベロッパーというのは確かに六割は供出しなければいかぬが、それを幾らで買うのかという基準がないでしょう。一体幾らでそれを買うのか。それはある程度話し合いできめていかなければならぬでしょう。六割分を適正価格で買い上げるというその適正価格の基準、根拠というのは一体どこにあるのか。しかも、民間デベロッパーというのは、根幹公共施設に投資した分は必ず残った四割にかけるわけですよ。必ずその四割にかける。その四割にかけないという保証はないでしょう。残った土地四割にその分も、土地売却なり何なりのときにほうり込んでしまう。損はしないわけです。  そういったことを考えてくると、私はいまここでいろんなことをきれいごかしに議論をしておる段階じゃないと思う。いま一番最初にしなければならぬのは、法人が取得する土地に対してどういう手だてをするか、そのことを明確にしなければ、私は先ほど局長が御答弁なさったような方向には進まないのじゃないかという気がしてならないのです。ですから、そういう意味でこの際、これは大臣にお尋ねをするのですが、この地価対策について、野放しになっておる法人土地取得——いま言ったように銀行の貸し出し残高が一年間に一兆円もふえておるわけですから、そういった事実を見て、この法人、会社の土地取得に対して何か条件を付する、制限を加える、こういったことがこの法案の裏づけとしてあるのかないのか。依然として法人取得は野放しなのかどうか。その点をひとつ明確にしていただきたいというふうに思います。
  65. 西村英一

    ○西村国務大臣 この法律案はやはり宅地の大規模開発についての一つの技術的な手法を考えたのでございまして、土地の価格について、これがすぐ安くなるとかあるいはすぐ高くなるとか、こういう小部分のことでは作用されないと私は思います。なるほど山林であったり原野であったところを開発すれば、それは絶対に、ほうっておくよりもその土地は部分的には高くなるかもしれませんが、宅地供給するという面では、需要供給の面では、また大きい面で、やはり地価を低下させるという方向に働くと思います。しかしそれは議論であって、やはりそれは抽象的に言うことであります。ところが、おっしゃいましたように土地は投機にすべきじゃない。これはもうほとんど常識になってまいりました。したがいまして、あの個人の譲渡所得の場合も併合的に法人の譲渡所得についての制限をすべきであったのです。しかし、これはもう端的に申しまして、われわれのほうと大蔵省のほうがなかなか意見が合わなくて、大蔵省はまた税の面から見てわれわれよりはもっといろいろむずかしい面を持っておりまするから、この法人の所得についてはなかなか踏み切れなかったのですが、いまや大蔵大臣もたびたび言っておりまするように、この問題についても手をつけなければならぬだろうということは、大蔵大臣、大蔵当局もおおむね了解しておると私は思います。したがって、土地が投機の対象になるということになれば、いまあなたがおっしゃいましたように、民間デベロッパーがそれを買ってもうけようとするのはあたりまえですから、これを防ぐ方法なくしてあらゆる手はとれない、うまいことはできないと私は思います。したがいまして、私たち建設省としても、土地に重大な責任のある官庁といたしましては、今度は何とかひとつ強力にこの法人税についての処置を講ずるということを、これは政府全体としても考えなければならぬ。なかんずく建設省としては重要に考えなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  66. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま大臣が将来の方向というのを、私はすぐしなければならないことだと思うのです。その答弁は非常に重要な問題でございますから、大蔵省との調整もあるでしょうが、いま言われたことをぜひ実行してもらいたい。法人の土地取得についての制限あるいは税制措置、こういったものについては明確にしていただきたいというふうに思います。  そこで、大蔵省から来ておられると思うのですが、大蔵省にお尋ねをします。昭和四十四年度に行なわれた土地税制の改正ですね、これは今年度で終わるわけですが、実際はこれは土地投機を過熱させただけで、地価を抑制させたということにはならなかったというふうにわれわれは思うのですが、大蔵省として、この税制措置はよかった、間違いなかった、こういうふうに考えておられるかどうか、この点が一点です。  それから、建設大臣は、このことによって土地が放出されたと思っておられるかどうか。これは末端の消費者まで放出されたのではなくて、このストックポイントとして民間デベロッパーのところに全部放出されてしまった、そういうふうに結果的には思っておられるかどうか。だから失敗であったかどうか、建設行政から見て。この点について明確にお答え願いたいというふうに思います。  それから、大蔵省にもう一ぺん質問するのですが、これはわが党がいつまでも主張することですけれども、法人所有の土地が非常に簿価、帳簿価額というのが現実的には安い。これは含み資産になっておることは事実です。ですからこれを一定の価額まで再評価する再評価税といいますか、こういったことについてもう具体的に考えていいのではないか。取得するのではなくて、持っておる土地そのものについて再評価税というものを課する必要があるのではないか。これはただ租税の技術論として、あるいは所得論として矛盾しておるからといって一笑に付してしまうのか。それとも、いま私が言っておることをそういうふうな技術論とか所得論で一笑に付するのではなくて、こういった問題について大蔵省もやはり真剣にこれから考えるという気持ちがあるかないか、その点をひとつ。大蔵省から二点建設大臣から結果についてお答え願いたい。
  67. 西村英一

    ○西村国務大臣 私から先にお答えしますが、端的にいって、土地は確かに放出されたでしょう。しかしその行き先いかんということでございます。個人が放出して法人に移った。最も悪い例です。しかしそれも、法人に移った、その法人の土地利用の方法は、工場分散であるとかあるいはいろいろな地方に分散をやっているのでありますから、そういうことに役立つならばそれはあながち悪いとはいえません。しかしいま見ておると、おおむね所期の目的、われわれが期待したようにそれが宅地になって、そしてますます土地は安くなったというふうには考えられない。所期の目的を達せられなかった、私の感じはそう思います。全部が全部とは、言いませんが、おおむね所期の目的は達せられなかった、私はそう感じております。
  68. 山内宏

    ○山内説明員 まず第一点の、かつてとりました税制措置土地の値上がりを激成したのではないかという点でございますが、われわれはそのように考えておりません。と申しますのは、基本的に、税制だけが土地問題を解決できるというふうにはわれわれもともと考えておりませんわけでございます。現在の個人に対する土地譲渡所得の特別措置と申しますのも、これはあくまでも、従来のように通常の課税で、つまり土地を売った場合には譲渡心得として他の所得と合算をして累進税率をかけるというふうな形でありますと、大きなロットが出た場合には非常に大きな負担になる。それから他の所得があるときには非常に大きな上積み税率の負担になるということからなかなか土地が売り出されない。そういう点をひとつ税制の面から除去しようではないかということから発足いたしたものでございます。そういう意味で、他の所得と分離をし、かつ累進税率からはずして一律の税率にするということによって、大規模なロットの土地を売りに出しても小規模土地を売り出したと同じような税負担で済む。それから他に所得があろうがなかろうが、その比較的軽減された税率で済むというふうなことによりまして、今回の申告にあらわれましたように非常に多くの譲渡が発生したわけでございまして、これはもともと、われわれとしてはそういうことで土地の譲渡を多くしようということの契機に考えておったものでございますから、そういう意味から考えますと、決してわれわれの当初の考え方からはずれておるというふうには考えておりません。  ただ問題は、そういうふうにして大規模に多量に供給をされました土地がいかなる形で最終需要者の手に渡っていくかということにあろうかと思いますけれども、この点につきましては実は税制に多くを期待していただくことは困難であろうかと思います。これは、先ほどから法人が取得をするのはけしからぬというような御趣旨のお話もございましたけれども、確かに、法人が投機のために取得をし、異常な利益を得て転売をするということになることは、これは非常に困ることでございますけれども、通常の場合土地が売りに出されて、それを直ちに最終需要家であるところの、たとえばサラリーマンが、自分の家を建てるというような人が、直接その地主のところにかけ合って土地の取得をするというようなことは通常なかなかむずかしいわけでございまして、いずれにいたしましてもその中間にデベロッパーが介在をして、売りに出た土地をある程度周辺の状況を整備をしてさらに売るという形になるのが通常の形態であろうと思われますので、私どもといたしましては、現在の税制によって多量に提供された土地が、デベロッパーの手を通ずるにせよ、なるべく早期に、なるべく安定した価格で最終需要家の手に渡るということの政策が別途講ぜられるということが期待をされるものであろうというふうに考えている次第でございます。  それから、法人所有の土地の簿価が非常に安いので、それについて再評価税を課したらどうかという御質問でございますが、御承知のとおり、再評価税と申しますのは、これはかつて戦後一度やったことがございます。これはあくまでも、通常の場合は土地を除きまして、それ以外の償却資産がいたずらに簿価が低くて、したがってその資産の食いつぶしになるということを防止するために行なった制度でございます。なぜ土地の再評価をやらなかったかと申しますと、土地について再評価をやらせるということになりますと、これは譲渡をいたさない段階で課税をするということでございますから、通常の譲渡をやった場合に生ずる譲渡所得に対する課税と同じ税率を課するのはたぶんなかなかむずかしいことであろうと思います。そういうことになりますと、再評価税というのは若干軽減された、一般の法人税が軽減された税率と申さざるを得ないと思いますけれども、そうなった場合にはそういった軽減された税率を負担することによって簿価を引き上げることができる。したがいまして、譲渡をしようという法人は、直ちに譲渡をしてそれによって現在の、三六・七五%という法人税率を取られることを回避しまして、まず再評価をやって、それによって低い税率で帳簿価額を上げて、そのあとこれを譲渡いたすといたしますと、通常の税率の法人税は取れない。かえって再評価税によってその譲渡をする人については負担を安くするということになりますし、逆に、工場その他に使っておる人については、これは実際に譲渡をして担税力が生ずるわけではございませんので、そういう意味ではかなりきつい税制になるおそれがある。したがいまして、たとえばかなり地価の高いところであまり生産性の高くない事業をやっておるというふうな業者については、これは場合によってはその土地を売ってでも転業、あるいは別の場所へ移らなければならぬというある種の社会的な問題も起こることが予想されますので、その辺のところをかなり検討いたしませんと再評価税という形に踏み切るのは非常に困難かと思います。ただ、御指摘の事柄は、おそらく、法人の保有をいたしております土地についてある程度税金を重くして、それによってその法人が投機的に土地を保有することをなるべく押えたらどうか、そういう土地保有に対する税制の問題かというふうにも考えますが、その点についてはまことに御指摘のような問題点があろうと思われますので、こういった点は今後さらにわれわれとしても検討してまいりたいというふうに考えております。
  69. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま大蔵省からも話がありましたけれども、当初大臣が、言われたように、土地は投機の対象にならないのだという原則、ですから、土地が投機の対象にならないということになれば、土地を投機のために保有しておるそういった法人に対してはきびしい税を課すといったことについて、いま検討を加えるということですから、地価対策上も、ぜひ早急にそういった問題について検討を加えていただきたいというふうに思います。大臣も地価対策閣僚会議の中心でありますから、ぜひ税制の面から大蔵省に対してプッシュしていただきたい、こういうふうに期待を申し上げておきたいと思います。  それから次に、時間が制約されておりますから少しはしょって結論を急ぎますけれども、実は私は東京の多摩ニュータウンの現状について、きのう東京都の南多摩新都市開発本部から来ていただいていろいろと説明をお聞きをしたわけです。この中で、実はこの、委員会で常にいろいろな方がいろいろな角度から自治省なり建設省に対して注文をつけておることが、一つも実現しないための問題点が浮き彫りになっておるのです。その一つは、こうした新都市基盤法でも、あるいは従来の区画整理事業でも、こういった宅地開発問題を拒否する。現実に多摩では宅地造成がすでに終わって、依然として家が建たないところが二百五十四ヘクタール放置してあるわけです。東京都の責任、住宅公団、供給公社のうち、二百五十四ヘクタールだけが放置してあるのです。なぜ放置してあるのかということについて聞いてみますと、多摩市あたりがもうつくってくれるなといって開発を断わる。多摩市長あたりが断わっておる。なぜこういうことが起こるのかということをさらに調べてまいりますと、この委員会でも再三問題になっておるように、事業はする。確かに、今度の法律で一歩前進になるのは六割部分だけ、根幹公共施設部分については用地を施行者が取得をする、そういったことはあるのですが、一番問題になるのは、それを今度維持管理をしていくというものについて非常に問題がある。これはこの説明に来た人のお話でしたが、住民が二万人入ってきて、租税収入が年間一千四百万ふえた。ところがそこに保育所をつくってくれというので保育所をつくったら年間一千万円の費用が要った。ですから差し引き四百万しか手元に残ってこない。しかも保育所以外にちり焼却の問題あるいは上水道の問題、こういった問題がからんできて地方財政を非常に圧迫する、こういうことが指摘されておるのです。こういった大きな宅地開発によって、確かにこれによって開発はできた。いままでよりもスムーズに公共施設その他の用地取得はできた、その分については負担が軽減された。しかしその後これを維持管理していくための費用というものについては自治省としては一体どういうことを考えておられるのか。この点についてひとつ明確にお答えをいただきたいというふうに思います。
  70. 植弘親民

    植弘説明員 おっしゃるように、大規模の宅造等を行ないますと、どうしても施設整備とそれに伴って要する経費、それに対する財源の問題につきましてはタイムラグがありますことは御承知のとおりでございます。したがいまして、特に人口急増地帯におきましては、義務教育施設等をはじめといたしまして、関連公共施設整備に、該当市町村は相当な経費を食われるわけでございます。そのためには、その施設の臨時的な経費というものには国の補助率のアップなり、地方債の優先配当なり、控除措置なり、こういったもので対処するわけでありますが、その後におきましても、その施設の整備のために起こしました起債に対する公債費の償還、こういったものもございまして、維持運営費についての財源配分というものがなかなか容易でないという御指摘はそのとおりであろうと思います。したがいまして、私ども昨年来、人口急増対策要綱といったものをつくりまして、少なくとも建設時における負担の軽減をはかるとともに、将来にわたっての財政負担を何とか軽減していただきたいというようなことで、いろいろと各省とも相談をしながら進めてまいっているところでございます。いま申されました維持管理費につきましては、基本的には交付税の計算上通常のペースで見られることになるわけでございます。しかしながら、いま申し上げましたように、施設をつくりましても、それに対して人口が張りつき、住民税等によりまして町の財源収入となりますためにはタイムラグがございますので、その間のつなぎをどのように考えるか。その意味ではすでに、五省協定等によって、公団等が住宅をつくります場合には用地の無償提供だとか減額譲渡だとか、こういったようなこともお願いいたしておりますが、こういった措置をある程度拡充していただいて建設に要する経費の節減をはかりまして、維持管理のほうに回すというようなことが必要であろうかと思うわけであります。それからまた、先ほど保育所の問題等もございましたが、その点につきましては、現行の補助制度の基準といったようなものにつきましても、今後積極的に検討しなければならない問題が多いだろうと思っております。いずれにいたしましても、通常の規模程度の宅造でございますとそれほど問題は起こりませんが、いま例としてお示しいただきました多摩等のごとき特定の町村につきましては、既存人口が約二千くらい、それが十何万、二十万といったように急激に膨脹するわけでございますから、これは交付税その他につきましても特別な対策を考えなければならないのであろう、このように考えております。
  71. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この問題は本委員会では与野党を通じて出尽くしておると思うのです。実際にこれは具体的にそれじゃどうするのかという段階だと思うのです。そこで建設大臣に、この際国務大臣という立場で御発言をいただきたいのですが、こうした大規模団地、こういったものがどんどんと進んでいく中で一番被害を受けておる地方自治体に対する財政の圧迫、こういったものについて何らかの抜本的な措置をこの際講ずるという裏づけがないと、こういった法律を通しても、お断わりだ、私のところはだめですといって返上する地方自治団体がふえてきやせぬか。確かに宅地はつくりたい、供給したいと思うけれども、一方でそういう手だてがないから問題が残ってくる、多摩ニュータウンみたいな形が出てくる、こういうふうに思うのですが、大臣が、こういった団地開発に並行したこういう地方財政の問題、こういうものについてどうするということについて、的確にここでお答えをいただきたいというふうに思います。
  72. 西村英一

    ○西村国務大臣 ずいぶん昔と違ってきまして、昔、地方公共団体の長が、工場も来てください、公団の住宅もつくってくださいと言ったのと全く事情が違ってきましたのは、急激に人口がふえれば何も得はないじゃないか、心配ばかり多いじゃないか、公共公益施設をやらなければならぬじゃないか、こういうことが著しく自分の力ではできないようになったから、全然様子が変わってきた。政府も、公共公益施設につきましては、いまもお話がございましたように、五省協定をやってどうやらこうやら今日まできましたが、もう五省協定なんかじゃなまぬるい、やはり法律をもって何らかの措置をしなければならぬ。やはり人口はどこかに置かなければならぬのですから、どこかに張りつけなければなりません。したがって、大きい目ではやはり地方分散をするということですが、それもそういったからといって一年や二年でできるものじゃございません。したがって、いままでの人口で困っておるところはやはりこういうように細々でも宅地開発をしていかなければならぬという現実でございますれば、その公共団体に対して特殊なことをやってやらなければならぬ。それには法律をもってしなければ処置ができない。したがって、五省協定はさらに法律をもって促進したい、かように考えております。法律の内容はまだ私は考えていませんけれども、いまの行政の施策ではいかない、こういうふうに考えておるものでございます。
  73. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま、五省協定をさらに進めて、まずそういった事態を避けるという大臣の御答弁でありますから、ぜひ早急にそういった方向で御努力をいただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。  最後になりますけれども、もう一つの問題は、ここでこういうふうに開発されて、そして入居する人たちですね、その選別にも私はやはり慎重であるべきだというふうに思うのです。それはどういうことかというと、東京都がとっておる処置というのは入居をする人をある程度限定をしておるのですね。結局、東京都全域から募集するグループ、それと、三多摩地区に居住する者、あるいは川崎市に通勤をする者、こういうふうに分けて、できるだけ職住近接といいますか、そういう手だてをすでに織り込んでおるわけですね、入居基準についても。だとすると、これは宅地開発だけこれによって行なわれていくわけですけれども、せっかく開発された土地に建つ家ですね、おそらく地方公共団体が建てる尿あるいは日本住宅公団、そういったところ、さらには民間デベロッパーの分譲といった問題もあるでしょうが、そういったものについて、開発する当初からこういうふうに計画を煮詰めていって開発ということが行なわれるのかどうか。ただ無鉄砲にここだけやればいいんだという形で進むものかどうか。その点をひとつお聞かせいただきたいというふうに思います。これは局長でけっこうです。
  74. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この新しい法案目的にもございますように、大都市周辺地区におきましての人口集中が非常に多い、そういうところにおきまして、たとえば首都圏全体というふうに広域的な地域におきまして新しい都市を立地する場所をきめ、一体として計画的に整備していこうということでございます。したがいまして、もちろんその新都市を立地する場合におきまして大体どのくらい人口が張りつくものである、その根拠はどういうものであるということは想定されながらマスタープランというものが策定せられるというふうに私ども考えておるわけでございまして、全くそういう予想なしに新都市をつくるマスタープランをきめるというものじゃございません。そういうことでできました新都市でございます。その施行区域内の開発誘導地区、これの住宅用地及びそれにできますところの公的住宅につきましては、すべてこの事業の施行者が、御承知のようにそれぞれの、たとえば住宅公団または地方というふうに、本来の住宅建設するもの、またその施設を管理するものにこれを譲渡するわけでございます。したがいまして、譲渡を受けた公共団体なり住宅公団がこれの上に住宅をつくって、入居者をきめていくということでございまして、その入居の基準というのは、それぞれの入居基準に基づいて入居させるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  75. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 当然そのマスタープランの中に入ってくるものと思いますが、入ってくる基準というのはもうきまっていますね。問題はその入れる人ですよ、さっきから私が質問しているのは。一般からそういう基準に当てはまる者は全部入れるというのじゃなくて、多摩ニュータウンの場合は、先ほど言ったように全体から募集する人員というのは非常に少ないのです。三多摩の人あるいは川崎に行く人というように段階を分けて募集する、入居者を入れるわけですよ。ですからそういった意味で、通勤、交通の問題もありますでしょう、そういったことが入居の基準として計画の中に入ってくるのかどうか、こういうことについて質問した。いまの入居基準の問題じゃない。それを一歩進めたそういったことが考えられるのかと聞いているのです。
  76. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この新都市がどこに立地されるかということによって、そういう先生の御質問のお答えが非常に違ってくると思います。しかしながら、先生の御趣旨のように、またさっき申し上げましたように、この事業の施行者は、それぞれの公営住宅建設するもの、または住宅公団、公団住宅建設するものに譲渡するわけでございますから、その際にその住宅建設者と、そういう点も十分打ち合わせながら配慮してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  77. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは最後に一つだけ、本会議でも大臣にお尋ねをしたのですが、日本住宅公団がこのことによって宅地造成を積極的に進めるわけでありますが、いまの日本住宅公団を二分して、住宅公団と土地公団というふうに区分をするという構想が当初建設省内部にあったやに聞いておるわけであります。これからこうした地方都市等についても計画的な開発というものを広げていくのだ、こういう御答弁が先ほどなされておるわけですが、そうした場合に、現在の日本住宅公団を、土地だけを取得していくための公団と区分をするという考え方は実質的にないのか。そういう構想が当初あったというふうに聞いておるのですけれども、初めからなかったのか。あるいは大臣として将来ともにそういうことは全然考えておられないのか。その点についてお答えいただきたいというふうに思います。
  78. 西村英一

    ○西村国務大臣 私は、建設省内にそういう考えがあったかなかったかということは、はっきり尋ねたことはないから知りませんけれども、まあ考えられることは、やはり土地が問題なんだから、せっかくああいう公団があるなら土地のほうに少し身を入れて、住宅、上ものは民間デベロッパーにまかせたってやれるじゃないかという考え方、そういう考え方をする人はあると思いますけれども、では私自身が現実に、それだからあれを二つに分けてどうこうしようというような考えはいま持っておりません。しかし、考え方としては——そういうようなことが建設省でいわれておったのかあるいは前の大臣がそういう考え方を持っておったのか知りませんが、土地が問題だから土地に身を入れたらいい、したがっていまの住宅の金を土地のほうに回したらどうだ、あとの上ものはデベロッパーにまかしたらいいじゃないか、こういうような考え方は、考え方としてはないわけではないと思いますけれども、私自身は、それだからといっていま住宅公団を二つに分けてどうこうという気持ちは持っておらない次第でございます。
  79. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは今後の機会に譲って、きょうの質問は以上で終わります。
  80. 亀山孝一

    亀山委員長 次回は、来たる二十四日水曜日午前十時委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時一分散