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草野委員 ただいまの
京都府知事の問題は、これは現在
疎水がいっておることでありますし、しかもこれというのは明治天皇さんのお
声がかりでできたくらいで、
綸言汗のごとしで、たいへんなおそろしさをもってやったくらいです。ところが
京都から
水代というものをもらっておるわけではない。
感謝金というのが出ておるわけであります。それも、こういう物価の変動しているときに四十万や五十万の金をもらってみたところでどうなるものでもないし、また
滋賀県側としては、水を流す
責任はありますけれども、どんな水を流したらいいという
責任はありませんから、あそこへどろどろの水を流したところで、PCBが入っておったところで知ったことじゃないということになってきますから、そうなったときはたいへんでありますから、やはりこれは適当な時期に
建設大臣あたりなりが御仲介になっていただいて
話し合いをつけてもらう必要があるのではないか、そう思っております。これはちょっとつけ加えて申し上げておきますけれども……。
ところで、ただいま
琵琶湖のことについていろいろ非常に詳しい
お話がありましたが、
琵琶湖という湖はあれは
陥没湖でありまして、ちょうどこの間御視察をいただいたのでありますが、
滋賀県を
上流として見てもらうとたいへんな間違いが起こるのであります。なぜかと申しますと、私は詳しいことはわかりませんが、この間もある学者に、
琵琶湖はいつごろできたのだと聞いたら、大体二百三十万年から二百五十万年くらい昔にできたというような気の遠くなるような話をしますし、それで百万年前は伊賀の
盆地まで
琵琶湖だったのが、鈴鹿山脈が突起したときに縮小されて
湖盆形、いわゆる水の
盆地形式をとってきたので非常に深い湖になってしまった。そうして、ちょうど
琵琶湖はそういう
形式の湖でありますから、
滋賀県が
琵琶湖というものに対してどういう考え方を持っておるかといいますと、
琵琶湖の水というのは
滋賀県の使い古しの水でもなければ
使い残りの水でもないのであります。まだ手をつけておらないところの
処女水が流れております。そういうあらたかな水でありますから、
琵琶湖の水は
滋賀県が使った水ではないのです。どういうことになるかと申しますと、
滋賀県じゅうに一年に降る雨は大体七十三億トンといわれておりますが、そのうちの三分の一が
琵琶湖へ入ってきておりまして、そうして三分の一は
地面の中に
——陸地が
琵琶湖の大体六倍ありますから、その六倍の
陸地の中へしみ込んでしまうのであります。そうして、しみ込んだ水というものは
地下水を通って
琵琶湖へ流れ込むのであります。これは
建設省でお調べになっておりますが、
建設省の
琵琶湖工事事務所というのがありまして、あそこでいまから三年ほど前、近江八幡のところで
琵琶湖から
東海道線まで八キロの間を約百メートルにわたってボーリングをやりました。百メートルのところを掘り込みますと
洪積層まで到達するそうでありますが、それを見てみますと、
地下水の形態がちょうど牛肉の断面を切ったように筋がすっと流れておりまして、
滋賀県の全部の水は
琵琶湖にたまってしまうのです。
琵琶湖は水がたまっておるが、
滋賀県それ
自体は水不足を感じておる。
滋賀県には御
承知のとおり
天井川というふしぎな川があるのです。
天井川というのは、一
克水が出たときに、すなわち洪水のときに全部砂を流し込んでしまう。そうしてだんだん河床が高くなってしまって、
東海道の鉄道よりも上のほうに川があって、その川の下を
汽車が通っておるのであります。そういう川というのは、たとえば草津川であるとか
——川の数が
滋賀県には大体七百
河川ほどありますが、
琵琶湖に流れ込んでおるのは百十何
河川であります。それが全部
天井川になってしまっている。そして全部
地面の下にしみ込んでしまって
地下水を流れておりますから、したがって
琵琶湖の
周辺では
逆水をやるのであります。水道をやるといたしますと全部
琵琶湖の水を取ってくるのでありまして、上から取ってくる
方法がないのであります。たとえば
農業用水にしましても、安土とか長浜というものは
逆水工事をしまして、
琵琶湖のまん中に鉄管を持っていって、そこヘポンプをしかけて、そうしてあげてきてそれを
逆水にしている、こういう
状態でありますから、
琵琶湖は
滋賀県の
上流になっておって、
滋賀県
自体が
下流なんです。そういうことを考えていただかぬというと、この
琵琶湖総合開発の解決はしていけません。ただ、
滋賀県は、
上流だから
上流としての
対策をとらなければならぬ、山の
対策もとらなければなりませんし、あるいは
農業用水の
対策もとらなければなりませんが、むしろ逆に
琵琶湖の水に依存しておるところの
県民が多いということをひとつ考えていただかなければならぬということであります。
そこで、ただいまの
お話を聞きますと、
水位は一メートル五十まで下げよう、毎秒四十トンずつにしようということでありますが、もし一メートル五十まで下げるということになりますと、いまの
平水位から、いわゆるゼロメートルから一メートル五十でありますが、三十センチまでは
無害水位であります。
〔
委員長退席、
天野(光)
委員長代理着席〕
琵琶湖は、上がっても下がっても何のこともありません。したがって三十センチまでは常識的な
水位として、常
水位として見ておりますが、それが一メートルまで下がったということになりますとその
周辺が変わってきます。私は実は心配しておるのですが、
琵琶湖総合開発の
法案のかかるのはきょうが初めてでございますけれども、
滋賀県ではもう十年も前から
琵琶湖総合開発をいっておるわけです。
琵琶湖総合開発の内容は知りませんが、タイトルだけ知っておる。
文句だけ知っておる。そして今度は何千億かの金をかけてたいへんなことになるらしい。そうすると、手放しでユートピアができるようなことをいっておりますけれども、もしこれを一メートル五十まで下げると
——昭和十四年に大
干ばつがあって、一メートル三センチまで下がっております。そのときの
干ばつはたいへんなものでありますが、しかし
琵琶湖総合開発はまだやっておりませんから、
天然現象だと思ってあきらめております。ことしは大ひでりでひどい目にあったという程度でしか考えておりません。また
琵琶湖の水が増水して、水が湛水してきたが、これも
天然現象だ、えらいことになったとあきらめムードであります。これが、
琵琶湖総合開発に下をつけるということになりますと人工的なものでありますから、そうすると減ってもふえても
文句が必ず出てくると思うのです。そうしたときに一メートル五十ということまでになりますと、一メートル五十をこえたときからごうごうとして問題が起こってくると私は思うのですが、そのときの
対策をよほど考えておいていただかぬと、これは県とかあるいは国に大挙してやってくるという
状態になります。大体
滋賀県で見てみますのに、
滋賀県全部のうち
琵琶湖の
水位が低くて影響するところが、水田などでも六万八千ヘクタールある中でその半分はある。ちょうど
汽車で通りますと、
東海道沿線でなしに、
名神高速道路が通っておりますが、
名神高速道路の
あたりまでが、
琵琶湖の
水位が
地下水に影響するそうであります。そこまで影響してくるのでありますから、問題は、水のあるときに四十トン流すことは何でもないのであります。そんなことは流すよりしようがないのであります。また流れて出るのが当然でありますからよろしいのでありますが、
異常干ばつのときに水をどんどん持っていくということになりますと、どうして持っていくか、そのときの
被害に対してごうごうたる問題が起こってきたときにどうするかということは、私はたいへんだと思うのです。
きょうは水産庁の方だれか来ていますか。
——実は自民党で
琵琶湖総合開発の部会を開いたときなんかでも、他府県から一斉に
文句の出てきたことは、
琵琶湖から稚アユを配給しています。昨年でも大体三百トンくらい配給しております。これは全国の
河川放流の七割までを
琵琶湖に依存しております。
琵琶湖の稚アユはいつまでたっても大きくならぬのでありますが、秋になって産卵期になりますと、遡行しておったやつが
下流へ下がってきまして、そして河口の砂地のところで産卵するのであります。それがこの前一メートル三センチの減水のときも、百メートルぐらいまで水が沖へ引いてしまった。そうすると砂地がなくなってしまう。瓦れき地帯になってしまう。アユの産卵ができなくなってしまうのでありますが、そういう
対策は養殖の
方法をとるとか、どうしてやりますか。何か考え方がありましょうか。これは
滋賀県の問題だけでなしに全国的な問題になってくるのでありますが、私は水産庁から聞いてみたいと思います。