○阿部(昭)
委員 時間がないようでありますから、私の
質疑は関連でお願いしたいと思います。
そこで、いまも井上
委員から具体的に指摘がありましたが、今度の、林野庁が四十八年度に行なおうとする根本的な諸改革、これは長官も何度も答弁されておりますように、林野庁自体の立場から見ますと銭にならないことを大いにやらざるを得ないようになってくるわけであります。もちろんわがほうの
建設サイドの
治山治水計画を遂行するという観点からも、やはり今度の改革の段階では、山を荒廃に追い込むようなことにならぬように、皆伐はせぬとか切るのはうんと減らしていくとか、いろいろなことをやらざるを得ない。それから、うんと長期的になってこなければ採算ベースに乗ってこないところの植えつけの部面とか、いろいろなことをやらなければいけない。したがって、
建設サイドでわれわれが求めておる
治山治水、国土の保全、あるいは最近問題の公害、自然破壊というものをやらせない、こういう観点でこの林野行政というものを進めるということになれば、銭のあがらぬ山の経営をやらなければならぬのであります。したがって、私
どもは今度の治山
計画、治水
計画に基づく林野庁の行政は、いままでのような
考え方で、あがってきた銭でいろいろなものを全部やっていこうといってもこれはできない。したがって私
どもは、いま林野庁が求められておる、わがほうサイドからも強く、要望いたしますこの
治山治水計画を遂行するためには、財政、
一般会計の側から、いわゆる林野庁行政の収支のワク外の資金というものを大量に導入しなければ、これからのわれわれが目ざしておる
治山治水計画とマッチした国有林経営というものは出てこない。林野庁の行政は出ていかない。成り立っていかない。こういう観点にわれわれは立っておるわけであります。これがまず第一点。この観点を
林野庁長官はしっかり踏まえてもらいたい。われわれは、少しさか立ちじゃないかと思う。こっち側の
治山治水五カ年
計画がいま出てきておるというのならば、
治山治水というのは長官のほうの
仕事と不即不離であります。したがって当然に、こちらのほうのこの
治山治水計画と長官のほうのこれからの山をどうするかという具体的な
計画とがきちっと結合していなければならない。その結合が、いままでの井上
委員の指摘の中でも明らかにされましたように、長官のほうはずっと数段まだおくれておるのであります。これは大問題でありますが、そこで私はこの問題を進める場合に、長官のほうも急速度に、できるだけ早い機会に、われわれの流山治水
計画に基づく山のあり方、林業のあり方というものをはっきりさしてもらわなければいけない。その前提はいま言ったとおり、営業収支だけでやれといっても全く不可能な問題であることは明らかだ。したがって、いまも答弁がありましたが、その面でひとつ確たる方針を具体的に示してもらわなければいけない、これが
一つであります。
もう
一つの問題は、私
どもは国会
審議を通じて
政府との間に具体的に
質疑をかわし、討論をし、その中で明らかにされたことは、少なくとも
建設省に関する限りはまあまあ誠意を持って、相当、九九%と言いたいのでありますが、まじめに実行してきたと思う。従来、林野庁の行政というのは、国会でいろいろな決議があったり
質疑があったり、その中で明らかにされたことが、そのとおりどうも守られていない。非常にあいまいに扱われている。これは国会軽視だと思う。したがって、いま長官が答弁したようなことは確実にやはり守るという態度でやってもらわなければいけない。これが
一つ。
それからいま
一つの問題は、実は私も長年山間地の農山村のあり方に対して、私自体も深い没入をしながらいろいろな問題と取り組んでまいりました。特にその中で、いま長官はどういう
認識をされておるかわかりませんが、農山村はまさに荒廃のどん底にあるのであります。この間、
亀山委員長の郷里のある村に行った。
亀山委員長の選挙区とは違いますよ。そういたしましたら、六つの部落、千七百ヘクタールという農地を、
日本のある
大手の大商社が、一坪当たり、三・三平米当たり百円平均で全部買い取ってしまったんです。村全部を買い取ったんですよ。そうして、そのかわりそこにはこれからいろいろ就業の機会をその買い取った商社が保障するという約束で買い取ったんだが、行ってみたら、その連中は全部マイクロバスに乗っけられて、一時間半くらいかかる水島コンビナート工場地帯に季節
労務者みたいなかっこうで
建設工事や何かで出かせぎに運ばれておる、こういう状態が起こっておるのであります。
土地は全部ただ同然で取られた。話が違うといってもめて、私は新聞を見て、あまりにもいまの農山村の姿を象徴しておるものと思って現地の調査に行ってきたのでありますけれ
ども、いま農山村はまさに荒廃の非常にけわしい状態にある。
そこで、実は私は、長官の傘下にある国有林の
仕事とある
意味では不可分な
関係にある
一般の山で働いている、伐採の
事業とか植えつけの
事業とか地ごしらえの
事業とか、あるいはいろいろな育成
事業に従事をしておる人々と、もう十数年にわたって一定の
関係を持って、私もいろいろな問題を解決をしてきた経験を持っております。そこで、最近の山元の状況は一体どうか、山間地の状況はどうかということになると、山はもう個人ではやっていけないという状態が起こっておる。私のところのような国有林の非常に多い地帯、山の非常に多い
地方でさえ、ある
地域の製材
業者なりそういうところで製品にしておる原材料、原木というものは、もう六割近くが全部輸入外材であります。山元の山間地の地場で生産する木材の
価格は、七、八年前までは物価にスライドして少しずつ上昇をたどってきた。七、八年前から横ばいに入って、この三、四年は現地における木材の
価格は、立木の値段にしても値下がりの傾向です。しかし製品のほうは下がっておるかというと、下がらない。したがって、最近では山林というもの、林業というものはなかなか個人でやれないという状態が起こっておる。そういう状態等から見ますると、私
どもは、
治山治水というこの目標を達成するためには国有林の果たす役割りは非常に大きくなっておる、こういう
認識をして、そこで国有林をどうするかということになると、私も実はずいぶん現場を回って見ておるのでありますが、長官の傘下における現場の皆さん、
日本ではあのくらいよく働く人々はおらぬのじゃないでしょうか。このぐらいほんとうに劣悪なる条件のもとで働いておる。いまこの上に、わがほうの
治山治水計画というものを長官のほうの行政とのからみ合いで貫徹をしていこうということになりますれば、これはさっき冒頭申し上げましたように収支が償わぬことをもっともっとたくさんやらなければならぬのですから、そのしわはさらにまた長官の傘下で
日本一よく働いておるこの山元の皆さんの上にかかっていく、こういう方向を私は心配しておるのであります。そういう
意味では、今度の組織の問題の、たとえば伐採
事業やなんかは相当減らして、減らすというのは何も切る量を二五%あるいは二〇%減らすというだけにとどまるのではなくて、私はどうもこいつは全部――さっき長官の答弁でちょっとお聞きしたいと思っておったのでありますが、今度の組織、機構というものをどうするのかということ、この
やり方一つ間違うと――私は、いま林野行政というものが、
治山治水という問題や、新しく今度自然環境の保護、こういう新しい命題等をもになっていかなければならぬというこのむずかしい時期を
考えると、今度の機構改革の
やり方一つを間違えると、なかなかこれはたいへんな大混乱が起こるんじゃないかということを心配するのであります。したがって、この
治山治水計画の貴徹という観点からいまの機構の問題は一体どうするつもりなのか、このことを実は先ほどから井上
委員も指摘されておるわけでありますが、長官のほうからは、目下検討中でその確たるあれはまだ発表できないということなんです。そうすると、わがほうの
治山治水計画というものは、長官のほうの
やり方一つ間違うと全部くずれるおそれがあるという心配を持っておるわけでありまして、いまの機構改革というのは一体どうするつもりなのか、こういう点もこの機会にお聞かせを願いたい。前段のほうは相当
一般論がありましたが、私と長官との間に相当意見の違いがあるとすれば、この点についてもこの機会に発表してほしいというふうに思います。