○堀
委員 建設
委員会、これで二回目だと思うのであります。きょうは、たいへん地元に関係する問題ばかりで恐縮でございますけれ
ども、お許しをいただいて、ひとつ建設
大臣の御見解を承りたいと思います。
最初の第一点は、私が居住いたしております尼崎市とその東側の大阪府の豊中市との間に猪名川という河川がございます。この河川は非常に紆余曲折をしておりまして、しばしば水害をもたらすということで、この部分については
昭和四十年から四十五年の間に、工費十四億五百万円をかけて、
建設省所管によりまして、川がまっすぐに改修されまして、そこで旧河川敷がその西側に残ることになりました。この旧河川敷の公有地を尼崎市は北のほうに集めまして、
昭和四十三年の一月から約七万平米の都市公園、現在猪名川公園と申しておりますけれ
ども、これに着工をいたしまして、現在
工事を進めておるわけでございます。
実は、それに先立って、この地域に住んでおられます大阪大学の医学部の病理学の教授であります岡野
先生が、この猪名川の旧河川敷にあります堤防上に、ケヤキでありますとかあるいはムクでありますとかというような、非常に古い、三百年以上も経た大木をはじめとして、ツバキその他の自然林がずっと連なっておりまして、現在摂津平野の中でこのような自然林がこの形で残っておりますのはここだけになっておる、こういう実情に実は気づかれまして、尼崎市の市長その他に、あるいは兵庫県会等にも、これらの河川敷の自然林を学術
調査をして、その結果が出るまでは、現在豊中市と尼崎市の行なっております
都市計画、西利倉地区の区画整
理事業を一時中止してほしい、こういうような陳情をされております。
尼崎市というのは、御
承知のように全国的にも、
あとでこの問題にも触れますけれ
ども、公害の多い都市
——これは御
承知のようにたいへんたくさん工場がありますし、関西電力の発電所が集中的に南部にあるというような関係で、つとに、大気汚染その他の公害問題というのは尼崎市は日本では全国に先がけて
調査もし、対策もとってきておる町でありますから、特にやはり公害の町でありますから、住民のそういう自然にあこがれるという気持ちはひときわ強いものがございます。
そこで私
どもも、この岡野
先生のいろいろの
お話を聞き、また同じ地域の医師の町塚
先生という方もたいへん熱心にこの自然の環境の保護を訴えておられましたので、私たちもその線に沿って努力をしたいと考えておりましたが、実はいま申し上げたように公有地だけを北のほうに集めて一応公園をつくるというかっこうになりまして、残りを
都市計画に基づく区画整理を行なう、こうなっておりますものですから、その残りの部分は実は民有地としてほとんど残されておるという現状になっておるわけです。そこで、その後、県その他に呼びかけをいたしまして、かろうじて一万三千平米だけの堤防の緑地を残すというところまで実はまいっておるわけでありますが、関係の大阪あるいは神戸の各大学の植物学、生物学、それらの関係の学者の皆さんの
調査によりますと、現在残されておる緑地だけでは、周辺が全部区画整理をされて住宅が建ってしまうと長期の保存にたえない、自然林は消滅をしてしまうであろう、実はこういう御
意見が出されておるわけであります。
そこで私
どもは、せっかく善意の皆さんが自然保護について努力をしておられることでもありますので、この際ひとつ、現在残されております一万三千平米の緑地が長く自然林として残せるだけの最小の
範囲の土地をその周辺に確保をいたしまして、そうしてそれを新しく自然公園として保存をしたい、実は私
どももこういうことで努力を続けておるわけでございます。先般建設
大臣にもお目にかかりましてこの問題についてお願いいたしましたし、その後私
どものほうの尼崎市側の兵庫県第二区選出の各議員、それから、これは大阪府にわたりますが、豊中市側の大阪三区選出の各党の議員の皆さんにもお願いをいたしまして、この問題はひとつ超党派的に、豊中市、尼崎市、いずれもこういう自然林がないところでありますので、こういう摂津平野唯一の自然林であり、この自然林の北側には田能遺跡というのが弥生文化の遺跡としてすでに発掘されて、観覧の用に供されております。その自然林の南側には富田遺跡という遺跡がある。やはり由緒ある地域でありますから、ただいま尼崎市、豊中市、兵庫県、大阪府に働きかけて、これらの保存について協力を要請しておるわけでありますが、事の性質上、ひとつ
建設省としてもこの方向について御配慮がいただきたいというのが実は第一点の私の
意見でございます。何さま、すでに北側に都市公園もできておるところでありますので、
関係者はいま寄り寄り話を進めておりますが、おおむね
関係者の
意見がまとまると私
どもは考えておりますので、そういう地方自治体の
意見がまとまる際には、ひとつ建設
大臣としてもこの自然環境の保護のために
建設省としての御配慮をわずらわしたい、こう考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。