○吉田(賢)
委員 日本の社会体質、
政治、経済の実態に即応いたしました福祉国策が重要だと思われますのです。わが国におきましては、西洋諸国に比較いたしまして、さっきもおっしゃいましたように、社会資本の充実を必要とするような
実情、それから非常に経済的にも断層の多いこと等々からいたしまして、たとえば老人福祉施設あるいは児童の保障ないしは児童の手当、婦人の福祉、母子家庭の福祉、心身障害者、こういう保護を要するような財源の問題、あるいは貧困者の福祉、リハビリテーション、多数の、五万も数えるような交通遺児の問題、公害の
被害者というようなものは、これは年金制度ではらちがあきませんですから、こういうような、
日本において特殊な
条件、社会現象ともいうべき特質を持っておりまするので、こういったことを総合いたしまして、長期計画、年次計画をお立てになるときには、相当綿密な、全国的な数字、正確な客観的な数字をおつかみになって、これを
一つの前提にいたしまして私は計画を立ててもらいたい。従来社会保障制度審議会にいたしましても、その他民間の学者のいろいろな意見にしましても、等々出ておりまするけれども、やかましくなってきてから問題の
解決に何か対案が立てられるというきらいなしとしませんので、今後は長期計画を立てまして、
日本も本気になって福祉国家実現へ向かって進んでいくかぎりは、これはやはり精密な調査研究を前提としまして、その
資料に立って計画を立ててもらいたい。これは強く御要請申し上げておきます。これはどの内閣であろうと、福祉国家というのは今後の
日本の大きな看板になっていかないといけませんので、どうしてもその客観性が必要であろう、こう考えます。実態調査にしましても、たとえば寝たきり老人三十一万があるといいましても、ほんとう申しましたら、それが正確かどうか、まだはっきりしないのです。これが
実情なんです。ですから、そういうこともありまするので、わが国におきましてはとかく行政に
資料が欠缺しております。こういうことも考えてみたいのです。
委員長、だんだんこれは時間がなくなってきましたな。わかりました。そこで、やむを得ません。
大臣、また別な機会に——別な機会といっても、あなたも、失礼だけれども、また引き続いて
大臣をなさるとしましても——水田さんも人間的に御信頼申す人でありますので、私はやはり
日本の国土に合うた物心豊かな——西洋諸国を見まして、あの福祉国家を、社会保障の国を見まして、たとえばイギリスにおきましても、イギリスは全部悪いとは言いませんよ。けれども、
仕事を見つけるよりも失業したほうがいい。なぜならば、ちゃんと失業手当がくるじゃありませんか。合法なストならば、どんなストをやりましても生活費だけはきちんともらえます。払った税金も返してもらえます。監獄へ行ってもテレビは見られます。こういうことになっては
日本の体質に合いませんわ。でありまするので、スウェーデンあたりにおきましても、やはり
日本のほんとうに美しい、正しい、伝統の家族制度とかいうものに
一つのあこがれを持っているという点さえございます。
日本の国土に合ったような福祉政策を立てるということにひとつほんとうに勇気をふるってもらいたい。
そこで私は、これはやむを得ません。結論にします。いま高福祉高負担、この問題が出てきておりますね。これはもっともです。けれども、いまの
日本の現状は、高福祉は望ましいけれども、高負担ということになりましたら……、こういうふうになっておりますので、そこへ高負担ということになりましたら、まさに経済的な秩序は混乱してしまうおそれがございます。でございまするので、この高福祉が、たとえば最近税制調査会その他学者等々の意見もございまして、例の付加価値税の問題も出ております。付加価値税の問題も出ておりますけれども、ECにおきましては、もうイタリアもこの七月ですか、付加価値税を実施するようでありまするが、こういう問題につきましての論議はすでに十分したものと
思いまするけれども、ほんとうに実施するという段階になりましたら、その客観性、それからその
物価への影響、消費の
実情等々、諸般の
実情を
検討いたしまして、やはりこの実施に踏み切っていくということもせねばいけませんので、単純に高負担ということで割り切っていこうとしましたら、つまり高税ということになって、憲法によって義務があるのだから当然じゃないかという理屈は理屈ですよ。けれどもそうではない。社会の現状に即した負担を考えて、でき得べくんば高福祉を目ざして、そうして
国民にできるだけの負担もしてもらうけれども、その幾多の断層、暗い谷間があるということも考えまして、これに応じるようにしていかねばいくまい。したがって、反面からいうならば、この
委員会でしばしば論議いたしましたごとくに、行財政につきましても、ほんとうに効率的にこれを使って、浪費を防いで、そして
国民の血税を大切にしましょう、この方面からくるだけでもかなり大きな節約になります。たとえば公共
事業費が大きい。一体土地の買収価格は何割食っておるのだろうか。ゴネ得になったら、それで富は減るじゃないかということになったら、これはいかぬ。でありまするので、これはほんとうの意味における、あなたがおっしゃいました、あなたの演説も聞いて私も覚えておるのだが、ほんとうに
国民の協力の態勢がきちんとできておりませんと、福祉国家なんて実現しませんわ。おれはこれがほしい、おれはこの洋服があるんだからしょうがないということでめいめいいきましたら、福祉国家は実現しないと
思いますので、この辺のことも考えてみまして、端的にひとつずばりきょうの
質問といたしましての最後の御答弁を伺って、
委員長、やむを得ません、しり切れとんぼになりましたけれども、きょうはこれで終わります。
大臣、いかがでございましょうか。