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1972-05-25 第68回国会 衆議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月二十五日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 福田 繁芳君    理事 菅波  茂君 理事 森下 元晴君    理事 綿貫 民輔君 理事 西宮  弘君    理事 鳥居 一雄君 理事 吉田 賢一君       阿部 文男君    江藤 隆美君       中尾 栄一君    中川 俊思君       中山 利生君    別川悠紀夫君       安田 貴六君    芳賀  貢君       坂井 弘一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         林野庁長官   福田 省一君         水産庁次長   藤村 弘毅君  委員外出席者         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 委員の異動 五月二十四日  辞任         補欠選任   笠岡  喬君     中村庸一郎君   中山 利生君     山手 滿男君 同日  辞任         補欠選任   中村庸一郎君     笠岡  喬君   山手 滿男君     中山 利生君 同月二十五日  辞任         補欠選任   石田 博英君     安田 貴六君   笠岡  喬君     江藤 隆美君   菅野和太郎君     別川悠紀夫君   丹羽 久章君     中川 俊思君   村上信二郎君     中尾 栄一君 同日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     笠岡  喬君   中尾 栄一君     村上信二郎君   中川 俊思君     丹羽 久章君   別川悠紀夫君     菅野和太郎君   安田 貴六君     石田 博英君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十五年度政府関係機関決算書  昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (農林省所管)      ————◇—————
  2. 福田繁芳

    福田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、農林省所管について審査を行ないます。  質疑の申し出がございますので、この際これを許します。西宮弘君。
  3. 西宮弘

    西宮委員 農林大臣は限られた時間の御出席だそうでありますから、まず基本的な問題について農林大臣お尋ねをいたしたいと思います。  先般、本会議でも林業政策について、総理大臣農林大臣の御回答がわが党の千葉議員の質問に対して行なわれたわけであります。それらを見ましても、実は問題が全く具体的に把握できない。問題の指摘は、あるいは森林のになっております任務、そういったものは非常に明快に取り上げられておりまして、したがって、その認識については少しも問題はないのでありますが、さて、それに対する具体的な施策ということになりますと、ほとんど抽象的に終わっているわけでありますが、一体日本林業振興にどういう施策をお持ちなのか。あるいは具体的にいうならば、昨年衆参両院林業振興決議がなされておりますので、あれを逐一片っ端から実行するのだ、こういうことであるならば、これまた一つ方向だと思うのでありますが、もしそうでないとすればどういうことなのか、ぜひひとつ具体的な施策を伺いたいと思います。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに御指摘のとおり、基本的考え方でございますので、具体性を欠くおそれの答弁を申し上げましたが、そこは基本的な考え方でございますから御了承願います。  それからまた昨年の決議等につきましては、どこかの委員会で申し上げましたが、森林等林業生産基盤拡充、これはもうどんどんやっております。しかし、森林公益的機能に配した適正な森林施策実施、私は、この点も森林政策というものは公益優先だと思っております。でございますので、公益的機能に配して適正な森林政策実施もしております。  外材輸入適正化、これにつきましても、外材が五五%にもなっていますから、秩序ある輸入というようなことに意を用いております。  それから林業労働力対策充実、これら林業労働力は非常に不足しておりますし、待遇の改善等もございますので、この方面にもさらに一そう力を入れる。  それから国有林野事業特別会計改善、これもこの林業会計特別会計であるというような性格から、とかく赤字を出さないということに意を用い過ぎて、そのためにいろいろ無理をするというようなことでございますから、こういうようなことは改めていきたいということで、公益優先公益的機能十分重きを置くということならば、一般会計からも相当金を入れてやっていくことが当然ではないかということで、ことしも一般会計から特別会計相当金を繰り入れるというようなこともして、そうしてそういう方向をなお強化していきたい、こういうことでございます。でございますので、決議に対しましては十分尊重して、決議方向に沿うて逐次手を打っているということは事実でございます。  なお、基本的考え方でございますので、少しくどくなりますが、申し上げておきたいと思います。  最近のわが国林業をめぐる諸情勢木林価格の低迷のほか、森林公益的機能に対する国民的要請の高まりはまことにきびしいものがありまして、このような情勢に対処して、造林事業治山事業等に対する公共投資拡充をはじめ、保安林あり方等、いろいろ問題の出たのを、私も新聞等で見て調べております。しかしながら、基本的には、保安林あり方等森林公益的機能維持増進のための諸施策国内林業生産振興のための諸施策充実外材の適正かつ秩序ある輸入を確保するための諸施策等、これは昨年の決議等にも出ておるところでございますが、そういう諸施策と具体的な方策を樹立すべく現在検討を進めており、すでに実行しておる点もありますし、さらに検討を続けていくことも多くあるのであります。  それから林野会計のことになりますが、またこのようなわが国森林林業をめぐる諸情勢は、国有林野事業に集中的にあらわれておりますので、その経営収支を急速に悪化させてきておりますが、国有林野事業につきましては、単に経営収支改善にとどまらず、国有林公益性に十分配慮して、一つ森林多角的機能維持増進に配意した施業の拡充治山事業等公益的諸施策の推進、二つ事業実行形態合理化販売方法改善等各種事業改善合理化、三番目には業務執行体制の整備、労務管理改善組織機構合理化等経営機関体制の刷新。労務は三公社五現業の五現業の中に林野庁がありますので、そういう労務関係につきましても、業務執行体制とか労務管理改善、こういうようなものも、団交もありまするし、その他についても十分配意していく。それから良好な自然環境提供事業等国有林の新たな展開、こういうことを中心としまして、抜本的な改善策を樹立実行する必要があると考えておりますので、やっておることもございまするし、またそれを実行に移したいということも検討——検討中というよりも、もっと前に進めていく、こういうような態度で臨んでおります。
  5. 西宮弘

    西宮委員 ただいまいろいろ基本的な方針についてお話がございましたけれども、大臣の言われたような基本的な方針がそのまま実行されているということであれば、問題は何も一つもないと思うのであります。ところが現実はそうではない。これはたまたまきょうの新聞でありますけれども、朝日新聞でありますが、投書欄に「林野庁は山に帰れ、つたない商売心捨てて」、次は「林野荒廃招く安上り経営」、次は「国土の緑化に資金惜しむな」、次は「環境保全大石長官支援を」、こういうことで、短い投書欄でありますが、その中に四つも林野問題についての投書が出ております。読んでみますると、いずれも、どうもいまのままではまことに心配だ、こういう点が指摘をされておるわけでありまして、私は、大臣がその中で最初にあげられた外材の圧迫という問題について、具体的にはどういうことをやっておられるのか。私も若干林野庁でやっておりますことを承知をいたしておりますけれども、もう少しこれを思い切ってやれないのかどうかという意見があるわけであります。たとえば、輸入材に対して課徴金を課するというようなことはどうだろう、こういうような説なども、説としてあるわけであります。何ぶんにも日本世界有数の、フィンランドに次ぐ森林国だといわれながら、しかもその木材輸入に至っては、丸太は世界一の輸入国だ、こういう状況でありまして、全く矛盾もはなはだしいわけであります。  さらに、昨年来のドル・ショックで、民有あるいは国有とも林野関係は非常な混乱におちいっているというのは争われない事実でありまして、これに対して外材を規制をする、今までは、業者と話し合って、ある程度業者に自粛をしてもらう、こういうことをやっておるという話も聞いておりますけれども、もう少し思い切った手を打つということはどうだろうか、こういう民間の提案もありますので、これに対しての大臣の御意見を伺いたいと思います。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 外材問題につきましては、私からも御答弁を申し上げ、林野庁長官からも御答弁を申し上げますが、その前に新聞投書、これはこの間うちからだいぶ林野庁に対する悪い投書があるのです。これは確かに、最近不正事件やらあるいは乱伐というようなこともあり、それから環境庁長官は、林野関係所管環境庁に移して、保安林までの権限を持っていこうというようなことで、それに対して林野庁は反対だという新聞があるものですから、そういうことからいろいろな投書が出てくると思います。私は、森林は全体国のものである、こういう考え方でございますから、森林行政森林政策というのは、農林省で、林野庁でやるのが当然である。そうして環境庁長官が、乱伐ばかりしているのじゃないかということを言っていますが、少し誇大に言っていると思います。ことしは、その伐採なども全部皆伐ということでなくて、一部分にして、また保安林というものは伐採しないことが原則なんですから、その保安林について事件なんか起きたものですから、そういう投書も出ると思います。ですから、私は、環境庁長官にも、俗なことばで言えば、木切らぬばか——木を切らないでいるのはばかだ、切らないで荒らしっぱなしで自然林にしておく、それから木を植えないのもばかだ。木を切らぬばか、木を植えぬばかという森林政策があるのだから、それで木を切って、木を植えて、そしてよりいい自然環境をつくるということが林野公益的機能だ。それを切らせずに残しておけばいい、それはばかな話で、ばかだからやるのだ、こういうことを私も言っておる。そういうことで自然環境保全法案も話し合いができまして、そして近く提案するようになった。環境庁長官もそれに理解を示したわけであります。そういうことが新聞にいろいろ出たものですから、何か林野庁は悪いことばかりして、乱伐ばかりしている、そういうことがよく出ておる。まことに遺憾であると思います。  それから事件が出たというようなことも、綱紀が紊乱しておるというか、たるんでおるというようなことで、私は、これは姿勢を正さなくちゃいかぬということを言っておるわけであります。  外材輸入が五五%になっておる。これはアメリカとの経済折衝をしたときにも、自由化の問題で折衝したときに、日本は、アメリカからの輸入が一番多いのです、外材とか大豆とか。それだからこの間も言っていますが、経済の輸出入が不均衝だ。それは全体としては不均衡でしょう、日本のほうが黒字になっておるのに、しかし農林関係では、不均衡の責任はアメリカにあるのだ、おれのほうは買っているのが多くて、売っているのは少ない、逆な不均衡だ。こういうことで、この前エバリー代表が来たときにもその点をよく話しておいたのでございます。そういう輸入の中で外材が非常に多くて五五%、それに対してどういう対策があるか。一つ示唆として、西宮さんから課徴金はどうなのだというような御提案がいまありましたが、木材だけで課徴金をかけるのはどうかということ、これは経済全体の問題でございます。やはり経済全体からかけるべきだという結論に達すれば、私もそれは一つ方法であると思いますが、農林省だけで、林野庁だけでそれを考えるというわけにはまだいきませんから、全体的の考え方から、それはまた一つ示唆として検討を進めてみたいと思っています。それらを除いて、ほかの外材に対する秩序ある輸入ということにつきましては、林野庁長官から御答弁申し上げます。
  7. 西宮弘

    西宮委員 大臣の時間が限られておりますから、林野庁長官にはまたあとでゆっくりお尋ねをいたします。大臣は、木を切らぬのもばか、植えないのもばかというお話でありまして、だから、したがって山はすべからく切って植える、こういうことだと思うのです。ですから、その適正に切って適正に植えるということが山を維持するための、山を管理するための当然な原則であるわけですが、ただ、これも大臣お帰りになったあとでゆっくりお尋ねいたしますが、私は、いま国有林で行なわれていることは、その切る量と、それから植える量、植える量というのは、これが成林になるのは相当の年数がかかるわけですから、それを見越して十分にこれをカバーして、切った分だけをカバーしていく、こういう植林がりっぱに行なわれているかという点に非常な疑問があるわけであります。そこに大きな問題があるわけでありまして、私はそういった点を、十分林野庁長官の納得のいく答弁あとからいただきたいと思います。  さらに大臣は、保安林の問題について述べられまして、保安林は切らないのが原則なんだ、ところが最近はいろいろ問題が起こっておってはなはだ遺憾である、あるいは綱紀の粛正についてわれわれも反省をしなければならぬというお話があったわけでありますが、一例として、これは先般われわれ社会党で調査をしてまいりました現地でありますが、木曽谷の、これは長野営林局の管内の坂下営林署の中の川上という国有林でありますが、これを見ると、この図面を一目見てわかりますように、この赤く塗ったのが山が荒廃しているところです。たとえばがけがくずれたり、そういう点で非常な危険な状態になっておるわけであります。したがって、この下流にある坂下町、川上村あるいは中津川市、こういうところがまさに戦々恐々としている。これは川が大雨が降るたびに完全に埋まってしまう。そして極端な言い方をすると、川底のほうが町よりも高くなっている。ちょうどオランダみたいなああいう形になってしまう。雨が降るたびにそういう危険な状況にあるわけであります。これなど、現地を見てまいりますと非常に問題が多い。大面積の徹底した皆伐が行なわれるというようなことであるとか、あるいは強引に林道を、しかも大きな機械を入れて林道を通す。そのためにいろいろなさねばならぬ防除施設を一切無視して強引な林道の建設ということが行なわれておるというようなこととか、あるいはまたたいへんに大規模な切り方をしておるので、これは実は森林法に違反をする面積まで切っておるわけであります。そういう切り方をして、そのあとに植える植え方が、これはきわめてずさんなやり方が行なわれておる。こういうことで、見に行った者はみんないずれもあ然として帰ってきているわけです。そういう状況がある。まず、大臣、こまかいことは申し上げませんけれども、そういう状態日本じゅう至るところというと語弊があるかもしれません、程度の差はありますけれども、そういう傾向が多分にある、これが今日の国有林の実態だということについて、大臣の御所見はいかがですか。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまのお話のようでありますれば、非常に国有林管理が不十分だ、こういうふうに私も痛感します。国有林を預かっているのですから、善良なる管理者注意というのが必要でございます。それを欠いておる。しかし、全国的にそういうふうな傾向は幾ぶんあるということは私も認めますが、そういうことだとは私は考えません。私が見ている限り、どうせ林野庁でいいところしか私に見せないから、いいところへ行くと、実によく育って、よくも管理した、しかも戦中戦後を通じてほとんど伐採されて、国有林の木がほんとどなくなったというところをよくここまで回復さしているという感じを持っておる。いま申し上げましたように、私の見たところは、いいところばかりしか案内しませんから、いいところばかり見た。でございますから、いま御注意のような点もこれから私も直接調べて、そういうことは改めて、善良なる管理者注意をもって国有林管理をやるようになお指導いたします。
  9. 西宮弘

    西宮委員 ぜひ大臣もこういう悪いところを見ていただきたいと思うのですが、実は大臣おろか林野庁長官もこの現場を見ておらない、こういうことで私ども非常に不満なんであります。ぜひ実地に見てほしい。そういう傾向が最近非常に激しくなってきています。林野特別会計赤字になった、こういうことから、そういう無理が至るところに起こっているわけであります。  もう一つ、その保安林の例で私はこの前若干お尋ねをいたしましたが、これはぜひ大臣の耳に通しておきたいと思います。このことを簡単に問題点だけを繰り返して申し上げたいと思います。  これは静岡函南町にあります保安林解除に関する問題でありますが、保安林解除する際にはたくさんの条件がありますが、たとえばそのうちで、解除する場合には必要最小限度でなければならぬという条件、あるいはまたそれ以外には用地の取得ができない場合、こういうのが条件になっている。幾つも条件がありますけれども、その数多い条件のすべてを満たさなければならぬ、こういうふうに規定されているわけです。これは農林省の通達ですね。そのうちのたった二つですね、必要最小限度でなければならぬという条件、これを考えてみただけでも、ここで九十七ヘクタールの保安林の中で七十一ヘクタール、七割三分解除してしまっておるわけです。とうていその必要最小限度とは言えないと私は思う。これは大誠総業という業者宅地造成をやっているわけでありますが、この業者の側からいえば、七十万坪の宅地造成別荘地をつくるのだそうでありますが、その中で、七十万坪のうち三十万坪が保安林であります。したがって、その大きな面積の中で若干保安林がひっかかった、一部ひっかかったというならやむを得ないと思うのだけれども、半分近くも保安林を当てにしてこういう計画を立てた。おそらくこの業者最初それを知らずに始めたように私ども想像しております。そう想像される節があるわけであります。ところが保安林だということがわかったので、これを強引に解除をさせた、こういう政治的な動きをしてきたというふうに私どもは想像しておるわけであります。いずれにしても、とうてい必要最小限度という条件には該当しないと思う。  それからもう一つの、それ以外に取得さるべき適地がなかったのかということになりますと、この周辺はみんな同じような条件土地なんであります。ですから、決してここ以外に用地がないからというような問題ではないわけであります。ただ、さっき申し上げたように、おそらく保安林であることを承知しないで仕事にかかったのではないかというふうに思われますので、そのあとで強引にこれを解除に持っていった、こういうことが問題なのでありますが、大臣、もう一つ私は指摘をしたいと思うのです。それは、昭和四十五年八月二十八日に解除になっておりますけれども、その解除になる前であることはもちろん、地元の町村から静岡県庁に対して解除申請さえも行なわれなかった時点解除申請がなされましたのが昭和四十五年の三月二十八日でありますから、解除申請さえも行なわれなかった時点、その時点において金融機関がこれに金を貸している、あるいは根抵当をつけているわけであります。平和相互という銀行がありますが、この銀行は前の年の暮れに五億五千万の根抵当をつけているわけであります。さらに、あくる年の一月に日本不動産銀行は一億三千万の金を現実貸し出しをしているわけであります。金の貸し出しというようなことについてはきわめてシビアであるべきはずの金融機関がそういう金を貸しておる。しかもその土地業者は二億四千万で買い取っておるわけです。それに、はるかにそれをオーバーするそういう大金を貸す、あるいは貸す契約ができた、こういうこと。契約というか、根抵当が設定されているのですから、こういうことが行なわれたということは、明らかに解除以前あるいは解除申請さえも行なわれないその時点において、これは将来解除になるのだ、こういうことが何らかの形でその意向が伝わったもの、こういうふうに想像する以外に手がないわけであります。私は、先般は大蔵省銀行局からも担当官に来てもらいまして説明を聞いたし、あるいはまた警察庁の刑事局長も参りまして、目下調査中であるというような答弁刑事局長はしておりました。それから大蔵省銀行局では、常識では考えられない、したがってその財産相当財産価値があるというふうに判断したであろうということを言っておるわけであります。もしそうでないとすれば、保安林解除にならないということであれば全く無価値財産になってしまうわけですから、そこにそういう多額な融資をするなどということはあり得ないことなので、私はそういう点が想像される。私は決してだれがどうしたというようなことは申しませんけれども、大臣の所感を伺いたいと思います。少なくともこれを担当する業者、あるいはまたそれに融資をする金融機関ですね、これらはやがて解除になるだろう、彼らはそう判断したと思うのですね。彼らはそう判断したことは明らかだ。そういう判断の材料を提供したのはだれか、こういうことはいま大臣お尋ねいたしません。ただ、彼らは何らかの理由によってそういう判断をしたということだけは間違いないと思うのですが、その一点についてだけ大臣感じたお考えをお聞きしたいと思います。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 問題になるだけ問題だと思います。しかし林野庁当局の言いわけをするわけじゃございませんが、まだ十分調べておりませんが、ちょっと聞いたところによりますと、保安林解除以前には、林野庁には本問題につきましてどこからも相談等がされていなかった。それをうかつにしておったということはまずいですけれども、そういう知事の内申なり上申書がありまして、その知事上申書を信頼して、この地区の函南町は県の総合開発計画の中に入っておりましたので、その知事意見というか上申というか、そういうものを信頼してやったということで、これは言いわけになるかもしれませんが、それにしても、実地林野庁が調べてから手を打つべきでございますが、そういう点が少し怠ったのじゃないかという感じがいたします。私も十分調べたわけじゃありませんから即答はできませんが、御指摘の点につきましては、なおよく私もやった係の者などに、どういうことであるかということをよく調査してみようと思います。
  11. 西宮弘

    西宮委員 農林省としては、申請書が出てきて初めてわかったのだ、それまでは何の接触もなかった、そういうふうにおそらく事務当局としてはお答えになるだろうし、もしその間にだれか、業者あるいは金融機関の人に、これは将来解除になるであろうというようなことを言った人があるとすれば、それは林野庁長官だとか何とか部長だとか、おそらくそういう人ではなかったろうと思います。これを報道いたしました新聞は、元大臣が活躍をした、そういうことを書いておりますけれども、おそらくその辺が想像されることではないかと思います。したがって、少なくとも書類が来ない前にそういうことを公に回答したというようなことがないであろうということは私も十分わかっております。またこの前も書類をもらっておりますから、その辺の事務的な経緯は十分承知をいたしております。さつき大臣に伺ったのは、とにかくまだ保安林なんでありますから、もし解除にならなければこれは全く価値のないものです。宅地造成のためには全く価値のないものです。ゼロになるものですね。にもかかわらず、解除申請も行なわない以前に金融機関がそういう大金を融資するというようなことは、実施する業者あるいは金融機関の人は、やがて解除になるであろうということを想像したことは間違いないと思う。その点について大臣はどういうお感じですかということをお尋ねしたのですが、大臣の時間が参ったそうでありますから、その点だけ簡単にお答えいただいて、大臣に対する質問はこれで終わります。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 常識的に考えましても、解除になるという見通しがあれば土地の価格は非常に上がるわけですから、担保価額も上がるわけだと思います。しかし、それをだれかが示唆したとかしないとか、そういうことはちょっと私のほうで答える範囲ではございません。ただ常識的に考えて、解除になれば土地価格も上がるだろうし担保価額も上がるだろう、そういう見通しを金融機関がしたということは事実だろうと思いますし、そういうふうにお答えする以外にないわけでございます。
  13. 西宮弘

    西宮委員 国有林の問題はたくさん問題がございますので、あとでまた大臣に十分伺いたいと思います。  それでは林野庁長官に伺いますが、さっきお尋ねをした現在の国有林についてまず伺いましょう。伐採の量とそれからその後の植栽計画あるいは植栽の実施、この点はどういうふうにバランスがとれていますか。
  14. 福田省一

    福田(省)政府委員 国有林の伐採と造林の計画につきましては、森林資源に関する基本計画、それを受けまして全国的に施業計画をつくっております。これは五年ごとに十年ずつの計画をつくっておるわけでございます。そういう長期計画に基づきまして、毎年の伐採する量と毎年の造林する量をきめて計画的に実施しておるわけでございます。伐採は、国有林だけについて申し上げますと、昭和四十年度から昭和四十五年度まで、昭和四十年度は二千四百六十八万一千立方、四十二年は二千百八十三万四千立方、四十四年は二千百十一万二千立方、四十五年二千百四十四万立方、だんだんと減少してくる傾向にございます。この理由は、先ほど大臣答弁しましたように、自然保護に関する計画考え方を入れまして、大面積皆伐を減少いたしまして、そのかわりに択伐林であるとか禁伐林をふやしたわけでございます。計画量で申しますと、全国的に大体百万ヘクタール大面積皆伐を減らしております。その分がちょうど択伐であるとか禁伐にふえているわけでございます。  こういう計画に基づきまして造林をするわけでございますが、造林の量は、昭和四十年度は八万八千ヘクタール、四十二年八万九千ヘクタール、四十四年は九万ヘクタール、四十五年八万六千ヘクタールと、若干のアップダウンはございますけれども、大体伐採量に見合った造林量は全部やっております。ただ、切ったあとは全部苗木を植えない場合もございます。天然播種によって、天然に種が落ちてきたものによって生育する、そういうやり方もございますし、伐採したあとが農業用に転換されるとかいうことで若干減る場合もございますけれども、原則としては伐採した場所は全部造林しているわけでございます。ただ、戦中戦後伐採しましたあと造林がおくれておったこともございますけれども、大体昭和三十年ころまでに全部植えております。  ただ、資源の構成が非常に無理な形になっておりまして、たとえば戦争後に植えたのが非常に多いわけでございます。四十年以上が大体利用できる木でございます。四十年以上というのは全森林面積の一割程度しかございませんで、逆に二十年に満たないものが八割も占めておる、こういう資源的に非常に無理な構成になっておるという実態がございます。
  15. 西宮弘

    西宮委員 いま長官の言われたように、昭和三十年ころまでは非常によかったと思うのです。特に昭和三十三年に国有林の新しい計画が出されて、それ以来、国有林生産力増強計画、こういう計画実施をされて伐採が非常に強引に進められた。これは一つには、パルプ産業というのが日本で勃興してきた結果、その影響だと思いますけれども、そういうことで非常に伐採が強行されたということがあるわけでありまして、たとえば私どもは幾つかの事例を知っているわけであります。木曽谷にあります南木曽町でありますが、ここなどは昭和四十年の七月、四十一年の六月、四十四年の八月、こういうことで相次いで災害に見舞われた。これは要するに、奥の山からいわゆる鉄砲水というような水があふれ出てきて、そのために町がたいへんな災害をこうむったわけです。そこで、しばしば林野庁あるいは農林大臣に対してその山の復旧について陳情、請願をしたけれども、一向に聞いてもらえない。これは天災なんだということで相手にされなかったので、地元の町は国土問題研究所に調査の委託をして調査してもらいました。調査した結果、国土問題研究所の調査は、まさに国有林乱伐の結果である、こういう報告がなされたわけであります。したがって、ここなどは木曽谷の非常に条件の悪いところでございますけれども、そういう大きな被害を受けておる。あるいはさっき私が地図で大臣にお見せしたあの町でありますが、これなども、大臣は、あるいは林野庁長官も、大規模な皆伐はやらない、大面積の皆伐はやらない、こういうお話でしたが、あそこなどは、現地を見てきて、大規模の皆伐、大面積の皆伐が行なわれて、しかもこれは法律できめた面積、あの施行規則等できめた面積以上のものを大面積皆伐をやっておる場所もあるわけです。これはりっぱに記録を持ってきたので、それを越えておる大面積の皆伐等が行なわれておる。こういうことで、これは明らかに法律違反だと思うのです。そういう点についてどうですか。
  16. 福田省一

    福田(省)政府委員 実は私、二十年くらい前に木曽福島に営林局がございましたときに、そこに勤務いたしまして、いま御指摘坂下営林署、南木曽地区に参ったこともございますが、最近は不勉強で参ったことがございませんが、この地帯は石英斑岩の非常にもろい地質でありまして、台風等が来ますと非常に崩壊するという危険な場所でございます。当時からいろいろ治山工事を実施はしておりますけれども、まだまだ不十分な点もございますので、今後十分努力していきたいとは思っております。御指摘の伐採面積につきましては、実は坂下の営林署管内の山は水源涵養保安林になっておりまして、制限面積は一応伐採種等いろいろ規制がございますが、従来十ヘクタールを基準として伐採しておったのであります。ところが、いま御指摘ございましたように二年にわたりまして台風が襲来しまして風倒木が出まして、この風倒木を処理しますのに数年かかったのでございますが、せっかく十ヘクタールの区分皆伐をしておりましても、その周辺が風倒木のためにこれを片づけまして造林をしたために、形としましては連続したような伐採のかっこうになったわけでございます。今後はこの面積の基準なりあるいは伐採の方法について保安林については強化しなければならない、かように思っておりますが、理由は、実はそういうことで連続の皆伐面積のような姿になったものでございます。この地区は、坂下営林署あるいは続いて木曽谷には約十の営林署がございます。いま御指摘の南のほうは災害を受けやすい地区でございますので、予算は苦しいとはいいながら、今後の治山治水五カ年計画、これは従来の倍の予算にもなりましたし、一般会計からも応援をいただきましたので、重点的にこの災害対策については実施してまいりたい、かように思っております。
  17. 西宮弘

    西宮委員 先ほど南木曽のことを申しましたけれども、私は単に書物で見ただけであります。書物で記録を見ただけでございまして、現実は知らない。しかし坂下のほうは社会党が調査をしたところでございますので、いろいろ問題が具体的にあるわけです。そのように大面積皆伐が行なわれて、しかもそのあと地に行なわれる造林がいろいろな形で手抜きをされておるという点が問題でありまして、たとえばこれは契約ではヘクタール当たり四千本植える、こういうことになっておるのでありますが、調査した林班では、わずかに七百三十五本しかなかった、こういう実例もあるわけであります。これは全くお話にならぬわけですね。むろんわずかなところならば、あとから補植するということも行なわれるかもしれぬが、これは補植なんて問題ではもちろんない。こういうような現実の実態がある。これはそこに投入される人間の数が少ない、あるいはまたそれに対する一人頭のいわゆるノルマがきつい、こういうことでとうてい消化できない。一日三百五十本植えるというノルマだそうでありますが、非常に山がけわしいために実際はせいぜい二百本だ、こういうのが実態です。したがって、その結果は、保安林の指定要件からいっても三千本は植えなければならぬ、契約でいうと四千本だ、それに対していまの程度にしか植わってない。こういうような現実は、これは全く何ともかんともお話にならないと思うのです。そういうことになれば、あるいは苗木は官給したのでございましょうから、官給された苗木はどこかに捨てちゃったということにもなるでありましょう。一体、伐採あと地の造林という点については、林野庁ではどういふうに調べておりますか。
  18. 福田省一

    福田(省)政府委員 植栽します場合には、ただいま先生お話ございましたように、ヘクタール当たり何千本ということで、基準は場所によって違いますけれども、おおむね三千本くらいあるいは四千本くらいというふうになっておるわけでございます。  そこで、いま御指摘の、三千本植えが足りないじゃないかという点につきまして、現地調査の結果を御報告申し上げますけれども、昭和四十三年度にヒノキをヘクタール当たり四千本植えておるわけでございます。これの実行の内容は、定員内の職員が現地に参りまして実地したものが一・五〇ヘクタールございます。それから直営直用で植えましたものが九・一五ヘクタール、それから森林組合に作業を請け負わしたものが十二・四六ヘクタール、合わせまして二十三・一一ヘクタールでございます。保安林の施業要件では、植栽の指定はしてございません。という意味は、天然更新先ほどお話ししましたように、現にその場所に天然に木がはえておる場合もございますので、それまで切って植えるというのはむだでございますから、天然にはえた木はそのまま残しておくということもございます。ここでは植栽の指定はございませんけれども、ヘクタール当たり四千本の基準で植栽させたものでございます。  この結果を見ましたところ、いろいろ被害も受けております。たとえばウサギが木をかじったとか、あるいはカモシカがこれをかじったとか、あるいは寒いところでございますから、寒害によって若干枯損木も出ております。これは大量に枯れたというのではなくて、大体成林しますとだんだん間引いていきますから、そういう成林させる状態としては大体適当なものである、こういうふうな調査の結果になっております。  それから同じ営林署の場所で、ただいま七百三十五本の話が出ましたが、この結果を調べましたところ、昭和四十四年度にヒノキをヘクタール当たり四千本、みな直営直用で植栽しております。面積は十二・三四ヘクタールでございまして、この場所につきましても、やはりウサギがかじったとか、カモシカがかじったとか、寒害の被害を受けておるものもございますけれども、おおむね成林には差しつかえないというふうに報告が来ておるわけでございます。手抜きをしたとか苗木を放棄したということはないと思っております。ただ、調査をいたします場合に、一体どれくらい植わっているかという標準値をとってやりますが、何町歩も全部一本一本数えるのはたいへんでございますから、いいところと悪いところ、中間くらいのところの標準値をとります。その数値をとって、それで全体を推定するわけでございますが、標準値のとり方によって非常に少なく出たり多く出たりしておりますので、その点は標準値をとるときに十分留意しなければならぬところでございます。御指摘のような、なお手抜かりがあるかどうかという点については、さらに調査させておりますけれども、ただいまの報告の段階では以上のような状態でございます。
  19. 西宮弘

    西宮委員 そのあと地に植えた樹種が契約と違反しておる。契約はヒノキを植えることになっておる。ところが実際には、ヒノキはたくさんありますけれども、それ以外の木もいろいろ植わっておるということで、樹種が違っておる。こういう点もわれわれとしては重大な問題だと思うのですが、いかがですか。
  20. 福田省一

    福田(省)政府委員 先ほどお答えしましたように、基準としては三千本とか四千本ときめますけれども、天然生の木がそこにはえている場合には、それを切って捨てて新しい苗木を植えるのはむだでございますので、そういう天然に育った若い木も育てるようにいたします。御承知のように、あの地区は主としてヒノキでございますけれども、沢通りのほうはサワラでございます。いろいろな樹種がまざっておる。場所によってはヒバもまざっております。それでヒノキを植えようといたしましても、現にそこにある程度成林したサワラであるとかヒバがございますと、それも一緒にまぜて育てる、こういうのが実態でございます。したがいまして、御指摘のようにヒノキ一本やりでなくて、場所によってはサワラその他の樹種も、天然にはえているものはこれを育成してやるというような造林方針をとっておるものでございます。
  21. 西宮弘

    西宮委員 その点はかりに問題がないとしても、さっきの本数ですね。それが途中でウサギに食われたとかカモシカに食われたとか、いろいろ原因はあるかもしれないけれども、そういう実態で大面積皆伐をやって、しかもそのあとにさっき言ったような程度にしか木は成育しておらぬ、こういうことになれば、これは山が荒廃してくるのはあたりまえだと思うのです。さらにそれに輪をかけて山の荒廃を促しているのは、林道の開設です。林道の建設です。これはブルドーザーが入って、大規模な機械力で林道をつくっている。当然に林道をつくる場合には、あるいは側溝であるとか、その他のり面、のり肩等についてもいろいろ細心の注意を払わなければならぬ。あるいは落石などがないようにしなければならぬ。いろいろそういう点は当然要求されているはずです。ところが、いまの機械力で強引に押しまくって林道の開設が実施をされておる。そういうために土があふれ出て川をふさいでしまう、こういう結果になっているわけですよ。そういう状況が至るところにあらわれている。だから結局崩壊して、雨でも降るとその土がみんな流れていくということは、もちろん当然でしょう。さっきお話しをしたように、下流の町村では、雨のたびに川が全く埋まってしまって、地面より川底が高くなってしまうという現象を呈する。こういうことになるのは、さっきのように大面積の皆伐が行なわれて、そのあとの植栽がきわめて不徹底であるという問題それに加えて、いまのように林道の開設が非常に強引なやり方で行なわれる結果であるということは十分指摘できる。どうですか。
  22. 福田省一

    福田(省)政府委員 伐採面積の問題につきましては、先ほどお答えしたとおり、今後は新しい経営方針でいきまして、切るのは小面積にし、周囲には天然林を残す、こういうことに切りかえてまいっておるところでございます。  林道の問題でございますけれども、先ほどお答えしましたように、この地帯は石英斑岩の非常に風化した悪い地帯でございまして、しかも沢通りは非常に急傾斜地なところもございます。  従来、林道のつくり方の基本的な考えとしましては、林道そのものが、木を伐採して丸太を搬出するということを主目的としたもののが林道でございまして、最近は、林道につきましては、木材を搬出するばかりでなく、いろいろとほかの産業の用途に使うという公益的な問題が入ってきておるわけです。特にまた最近はレクリエーションのために一般の市民が山へ入ってきます。そういうふうなことを考えまして、やはり林道はただ単に収支計算だけで安く仕上げるということではいけないというふうに最近は反省しているわけでございます。過去におきましては、とにかく大量の木材を安く早く出すということに非常に重点を置かれておった。戦争中、戦後は特にそうでございます。今後は、そういう意味で、先ほど大臣申しましたように、森林の公益的な機能を重視してまいらなければなりません。したがって林道の設計につきましては、先生御指摘のように、崩壊しないように捨て土はきまったところに捨てる、それからのりを切ったところにはそこに緑化工とかあるいは石がきを組むとか、きちんとした設計をしなければならぬと思います。それには相当の経費がかかるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、公益的な面が林道にもだいぶ出てまいりましたので、それについての財政負担の問題につきましては、木を切った代金だけでやるのではなくて、財政の負担のほうについても、これは十分に検討していかなければならぬ、かように考えるわけでございます。  御指摘のように、この地区は確かにこういう崩壊しやすい土壌でございますので、調べましたところ、相当の土砂が前沢に入っておりますし、また二十センチから五十センチくらい天然の木が土に埋まっているという現実もあります。今後は、こういうふうな安上がりの工法ということを改めて、しっかりした治山工事を兼ねてそういったような林道の設計をしてまいりたい、そしてそういう林道をつくってまいりたい、かように存じておるわけでございます。
  23. 西宮弘

    西宮委員 その大面積皆伐というのは今後はやらない、それから林道は従来は安く早く、こういう点に力点を置いた、そういうことで、そのためにいま私が指摘したような、そういう問題が少なくとも過去においては起こった、今後はそういうことは一切やらない、こういう点もう一ぺん確認しておきたいと思います。
  24. 福田省一

    福田(省)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  25. 西宮弘

    西宮委員 それを厳重にやってもらうと、いままでの問題の中でもかなり今後はよくなるという期待が持てると思うので、私どもはその厳重な励行を見守っていきたいと思います。  そこで、もう一つここでやはり問題になっておったのは枯損材の問題ですね。この点がだいぶ大きな被害を与えておるという実態であります。それから、その枯損の実態の中に、たとえばこれまたヘクタール当たり四千本植えなければならぬところに千九百四十八本しか植わっておらない。さらにその中で四六%ばかりが枯損されている。一部枯損があるし、完全に枯損しているものがある。枯損の状況がこういう状況だということが問題でありますが、その生育可能なものを合計してみても千九百四十八本しか植わっていない、こういうことで四千本の契約に対してはまさに契約違反だという問題があり、契約の半分しか植わってないわけですね。そうしてさらにそのうち四六%は枯損の状況にある、こういう状態はとうてい見のがせないと思うのですが、その点、何か調べてありますか。
  26. 福田省一

    福田(省)政府委員 御指摘の場所は八林班でございまして、この場所については、先ほど定員内職員で実行したものとか、あるいは直営直用、請負で実行したものの面積を申し上げました。この場所につきましてウサギとかカモシカの害、それから寒害等のことは申し上げましたのですけれども、現地に行きまして、念のため現在の本数につきまして調査しました。先ほど標準値と申し上げましたが、標準値の悪いところをとりますというと非常に少なく出るわけであります。で、いいところと悪いところと中間くらいのところ、それを約七地区を選びまして、そこで平均値を出しましたところ、ヘクタール当たり三千六百八十六本、こういう調査の結果になっております。  なお、いま申し上げましたように七つの標準値でございますので、全面積を調べれば一番確実でございますが、ただ調べ方としましては、いいところも調べましたし、中間のところも調べたし、悪いところも調べました。ならすと平均値が三千六百八十六本でございますので、なお御不足な点があれば、もっと詳細に場所を選びまして調査したいと思いますけれども、こういう疑いが出ないように今後は厳重に監督してまいりたい、かように思います。
  27. 西宮弘

    西宮委員 枯損の状態答弁がなかったけれども、除草剤を使うという結果が、まあ労働力を節約するということから行なわれるだろうけれども、これがいろいろな意味で木を枯らしてしまう、あるいは木の芽を枯らしてしまうというような問題があったり、あるいはまたさらにそれがそこにすんでいる小さな動物たちにいろいろな被害を与えているというようなことは、しばしば新聞等指摘をされているとおりですから、私は薬剤の散布という点については深刻な反省をしなければならぬという考えを持っておって、去年の予算委員会でも、二・四・五Tの問題を質問をしたわけですけれども、とにかく薬剤散布という問題については思い切った反省をしなければならぬという現状にあると思うのだが、その点はどうですか。
  28. 福田省一

    福田(省)政府委員 御指摘のように、薬剤につきましては、一応登録されたものを使いまして、その指示に従って、なおさらに林野庁では、御承知かと思いますけれども、きびしい使用基準をつくって、それに従ってやっております。しかし昨年問題になりました二・四・五TとそれからDDT、これは催奇形性の問題があるとか、それから残留性の問題があるということで、昨年から使用を中止しております。ただいまやっておりますのは塩素酸ソーダでございますが、これはそういったような問題はないわけでございます。しかしながら、これは主として造林をします前の地ごしらえの作業にじゃまになる主としてササの類、竹の類、これを枯らすのが一つの目的でございまして、もう一つは、植栽したあとにはえてきておりますカヤの類とか、そういうものをなくするのが目的でございます。御承知のように、竹はかまなんかでもなかなか刈れないわけであります。そしてそこへ行って地ごしらえをしたり植えつけをしますというと、よく作業員が足にその竹がささつてけがをしたり、それから穴を掘るにも非常に手間がかかるというので、私も実は先般薬剤を散布したところを平塚の営林署に行って見たのでございますが、働いております作業員は、やはり薬を使って根を枯らしてくさらしてしまったほうが非常に仕事がやりやすいし、安全だし、このほうがいいということを言っているわけであります。しかしながら、山の中でたとえば農地であるとか、あるいは飲料水に使っている沢であるとか、あるいは鳥獣保護林のようなそういう大事なところであるとか、レクリエーションに人が出入りする場所であるとかいうところに入った場合には、あるいは衣服につきますと火がつきやすいというような欠点もございますので、それを避けております。またそればかりでなくて、これを使います場合には、坂下の営林署に対しては去年反対もございまして、ぜひこれはやめてもらいたいということがありましたので、いろいろ説明しまして、皆さんの納得を得た上で実施する、こういう方針にしておるわけでございますが、しかし、そういう意味で、こういった薬につきましては、今後新しい、絶対間違いないというかわりの薬剤の開発をただいま研究機関にもやらせております。できるだけそういう心配のないようなものにかえていきたいと思っておりますが、使っております事情はそういうことでございます。  もう一点、先ほど坂下におきまして、天然性のサワラと申し上げましたが、それが一部に枯損しているのがございます。これは除草剤によるものであるかどうかということは、まだ原因ははっきりいたしておりませんけれども、造林しました苗木に対しては、さほどの支障はないというふうに調査の結果はなっておるわけでございます。  なお、今後この薬剤使用につきましては、十分注意していきたいと思っております。   〔委員長退席、森下(元)委員長代理着席〕
  29. 西宮弘

    西宮委員 ぜひとも厳重に注意してもらって、私、昨年の予算委員会で取り上げた二・四・五Tが今日使われておらないということはけっこうなんだけれども、あれはずいぶんみんなが林野庁に迫って、あれは使わないようにということをずいぶん各方面から訴えたわけですよ。当時はなかなか林野庁もそれには耳をかさなかった。しかしいまになってみると、やはりその薬が悪かったのだ、こういうことがいま反省されておるわけであります。私は、一ぺんそういうことをやってしまうと、あと取り返しのつかないことなんだから、ほんとうに新しい薬を使うというような場合には、慎重にも慎重を期すということが絶対に必要だと思う。あそこで、坂下で使われておるのは塩素剤なんですね。やはりあとであれはぐあいが悪かったのだというようなことになって、あとから反省されるということになっては、これはたいへんなことなんです。とにかく、いずれにしてもなるべく薬剤で除草したりその他こういうことを極力避けることが私は一番いい方法だと思うのです。人間の力でやるということが原則でなければならぬというふうに考えるわけです。  だんだん時間がなくなりますから、もう少し伺って終わることにいたしたいと思いますが、こういうふうに見てまいりますると、私は、今日、日本の山野を荒らしておるもの、あるいは国土を荒廃さしておるもの、これは一見すると、たとえば山にすばらしい観光道路ができるとか、あるいはまた住宅地ができるとか、そういうことで緑の山野が荒らされておるというふうに外見的には見えますけれども、それ以上に、さらに国土を荒廃さしておるものは、こういう林野行政の不手ぎわだ。つまり、もうこれからはやらぬのだという話だけれども、その大面積の皆伐をやるとか、あと地の植栽が不徹底であるとか、そういうことでその国土が荒らされておるということのほうが、実をいうと、国土の荒廃という問題では、そのほうがはるかに広範囲な、また根本的な問題だと思うのですよ。そういう点を徹底的に反省をしなければならぬと考えるわけです。しかもこの森林のになっておる使命は、国土の保全、水資源の確保あるいは大気の浄化というような問題があるわけですね。さらに森林資源を確保するということが当然の本来の仕事でしょうけれども、それ以外に、国土の保全とか水資源の確保とかあるいは大気の浄化とか、これは総理大臣の演説の中からとったことばですけれども、そういう任務を持っておるというのであれば、こういう任務を国有林がになっておる——もちろん国有林だけではありません。民有林も公有林もひとしくになっているわけだけれども、国有林もになっておるというのであれば、その国有林の木を切って、その金でまかなうということ自体が、全く矛盾というかナンセンスというか、私は、国有林の木を切ってまかなう、それで黒字だ赤字だといって議論をする、そういう筋合いのものでは断じてないと思うのですよ。これは林野庁長官に言うよりは、むしろ農林大臣なり、ないしは大蔵大臣総理大臣に聞いてもらいたいことなんだけれども、私がいまあげたような、きわめてわれわれ国民の生活にとって必要不可欠な、あるいは生存にとって必要不可欠な国土の保全なり水資源の確保なりあるいは大気の浄化というような問題等は、これは国全体の責任において負担すべき問題です。それを無理やり特別会計というワクの中でこれをやろうとするところに問題が起こる。私は、質問を終わりにいたしますけれども、いまの点は、これは林野庁長官として予算要求等の際にぜひ強調してもらいたい。答弁を求めません。なぜならば、これは答弁を要求するとすれば大蔵大臣その他に求める問題だと思うので、長官にはお尋ねをいたしませんから、そのかわり、そういう点を踏んまえて、ぜひがんばってもらいたいと思います。  長官にお尋ねをしたいのは、そういう無理やりに独算ということを強化するあまり、たとえば請負にしてなるべく手を省いていく、こういうために、請負機関が次から次へと下請に回す。部落の人たちに最後はまかせてしまう。こういうことで責任がなくなってしまう。さらにまた途中で何段階にも分かれて、ピンはねがされる、こういう点が問題であります。  さらに、もう一つは、そういう林野庁の末端で請負しておる機関は、ほとんど例外なしに林野庁の職員の退職した人たちがつくっておる機関です。もちろん林野行政の管理職の立場にあった人の機関でありますけれども、これが大半であります。そういうことになると、いわばそういう退職者のための救済機関としてこういうものがあるというふうに見られてもやむを得ないのではないかというふうに考えるわけです。私は、そういうやり方はきわめて不健全であり、かつ不経済でもあるというふうに考えるわけであります。その点についてどうですか。
  30. 福田省一

    福田(省)政府委員 最近新聞紙上等にも出ました問題、これは総合しますと、営林署が請負に出しておった仕事のやり方についての批判でございます。実情をただいま調査したものもございますし、また目下調査中のものもございますけれども、ただ考えますに、やはり御指摘のように、林業に長く従事しておった者がそれぞれの会社に入って、それらが請負っておるものもございます。ただ、この仕事のやり方につきましては、一つの基準というものをつくりまして、それで契約どおりに実行するならばそれで間違いが出ないはずでございますが、その契約どおりに実行しないことがあったり、また監督が不十分であったりというところに一つの問題があると思うわけであります。特に退職した者が入っておりますところの会社は、長い間知り合いの関係にあるので、まあ間違いがないだろうというふうな気持ちからゆるみが出てきて、ある程度問題を起こしたということがあろうかと思います。そういう意味でのなれ合いというものは厳につつしんでいかなければならぬ。もっと私たちもそれを厳重に監督してまいりたいと思うわけであります。  なお、直営直用の事業におきましても、種々私たちは監査をいたしまして、——監査課がいろいろの問題が出ますと、これを指摘しておるわけでありまして、やはり同様の勤務からそういう手抜かりが出る場合もございます。あわせまして、両方とも会計検査院からもしばしば指摘されるところでございますが、そういう点を十分考えまして、今後は厳重に指導監督をしてまいりたい、こう思うわけであります。  なお、先生、請負の御指摘がございましたけれども、仕事の全部が、退職した者が行っておる会社だけに請負わしてやっておるのじゃなくて、ものによっては、森林組合の労務班であるとか、あるいは昔からいわゆる入り会い関係にあった地元の人たち、これが愛林組合というものをつくりまして、こういう人たちに請負わしておる場合もあるわけでございます。こういう人たちは、どうか私たちにも国有林の仕事をやらしてもらいたいということも常々言われているところでございます。私は、こういう人たちを全然無視して国家公務員だけで仕事をやるということも反省し、検討しなければならぬじゃないかと思うわけでございますが、御指摘の点につきましては、厳重に指導監督しますと同時に、林業の労働力というものは、特に民有林において最近減少傾向にございます。国有林と民有林を通じまして、林業の振興のためには、この労働力の確保とその雇用の安定とをはかっていかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。御指摘の点につきましては、今後十分に反省してまいりたい、かように考えます。
  31. 西宮弘

    西宮委員 最後に、資料を要求して私の質問を終わりますが、その前に、いま言われた直営直用の場合にも、あるいは請負の場合にも手抜き等の問題がある、こういう話ですけれども、私は、両者にありましょう、ありましょうけれども、そのどっちに多いかということになれば、これは当然直営直用のほうが監督も直接できるわけで、それは公務員としての責任をもってその仕事をするはずですから、そのほうがよりシビアな監督下にあるということだけは、これはもう絶対に間違いがないので、したがって、あくまでもそれを原則にすべきである。これは、まあ原則としてこれを強行しなければならぬということは疑う余地がないと思うのです。その点は何もいまに始まった問題ではないので、昭和四十一年の国会において、これは当時の農林大臣から明確に答弁をされている点です。したがって、その点はぜひとも確実に実行してもらいたいということを要請をいたします。いま申し上げる資料の要求とあわせて、これについての長官の考え方を述べていただきたいと思います。  そこで私はお願いしたいのは、たとえばそういう植栽等について、あるいはまた伐採その他、要するに国有林の事業の委託をしている、そういう請負をさせている団体、企業体ですね、あるいはまた除草剤のメーカー、あるいはまたコンサルタントみたいな仕事もありますけれども、そういう林野庁を取り巻く外郭企業体、こういうところに行っている林野庁の職員、これは管理職だけでけっこうです。それが何名あるか。これをそれぞれの団体について調べてもらいたいと思います。あるいは林野弘済会という会がありますけれども、これにもどの程度の役職員が入っているのか、これも聞かせてもらいたいと思います。森林組合等に仕事をさせているというお話があって、場合によってはそれが合理的であるという場合もありましょう。あるいは愛林組合ですか、そういうものがいい場合もありましょう。しかし、実態を見ると、こういうのも、まあ代表者は別な人でも、その幹部職員には必ずもとの林野庁の人が入っている。入っていること自体が必ずしも悪い面ばかりはないと思いますけれども、そういう管理職というような人は、まあ机の上で仕事をしたのが大半なんですから、実際にその人が苗を植えたり木を切ったりという技術は持っていないはずなんです。だから、そういう人にやらせてみたって満足なことができるはずがない。必ずまたその部落の人にもう一ぺん請け負わせる、こういう結果になってしまうので私は困ると思うのだけれども、その森林組合に請け負わせておる素材の生産とかあるいは造林事業の量、金額、それから間伐材の売り払った数量、金額、こういうものを出してもらいたいと思います。  その他いろいろありますけれども、時間もなくなりますから、とりあえずその程度のことをお願いしたいと思います。
  32. 福田省一

    福田(省)政府委員 先生御指摘の点につきましては、御趣旨を十分私も尊重して検討さしていただきたいと思います。  経営形態の問題につきましては、御承知かと思いますけれども、ただいま林政審議会におきまして検討さしていただいておるわけでございますが、その答申を得まして、またこちらのほうで事務局案をつくってまいりたい。  なお、資料については、さっそく準備して、後刻提出するようにいたします。
  33. 森下元晴

    ○森下(元)委員長代理 福田繁芳君。
  34. 福田繁芳

    福田(繁)委員 この際、林野庁の長官お出ましでございまするから、関連質問としてごく簡単に一言伺いたいと思うわけなんです。  林野庁の諸君もごらんのように、当委員会で前回並びに今回とも、保安林の育成強化ということ、これに関してもろもろの、諸先生からの御質問があられるわけなんですが、いま要約して西宮君から御質問があったわけであります。  そこで、私考えますのに、まず二点ほどあなたから直接御答弁願って、それを本委員会会議録に残しておきたいと思うわけなんです。それと申しますのは、第一点は、保安林というものの申請の要素並びに申請の手続の順序、これが一点。二点は、保安林解除申請する時分の要素並びに手続の方法。  この二点を御明確にしてもらっておかぬと、先ほどの西宮君の御質問に関連するこれからの質疑に、われわれ委員として正しく判断しなければいけませんので、よい機会ですから、記録を残す意味合いにおいて、保安林申請の場合の要素と順序、保安林解除の場合の、解除の理由と申しますか要素と申しますか、それと手続の経緯、これを御説明願いたいと思います。
  35. 福田省一

    福田(省)政府委員 保安林の指定それから保安林解除につきましては、利害関係者から申請いたしまして、それを、県知事意見書を添えて農林大臣にこれを提出する。農林大臣はそれに基づいてこれを許可する。簡単に申し上げればそういうことでございますけれども、保安林にはいろいろな種類がございまして、十七種類ございます。そのうちの非常に大事な保安林三つについては直接大臣が認可いたしますけれども、それ以外の保安林については、その権限を県知事に委任しております。解除の場合につきましても同じような手続でございます。  なお、この申請しあるいは認可する場合に、途中で異議の申し立てをする者があれば、聴聞会を開くという規定もございまして、つまり、その関係者の意見もいれる余地を残しておるものでございます。  かいつまんで申し上げますとそういうことでございます。
  36. 福田繁芳

    福田(繁)委員 よくわかりました。非常に参考になりますから、ありがとうございました。  終わります。
  37. 森下元晴

    ○森下(元)委員長代理 吉田賢一君。
  38. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、沿岸漁業の現在のあり方もしくは将来の振興、これを妨害する各般の要素、こういったものを中心といたしまして、最近のもろもろの諸問題を伺ってみたい、こう思うたのでございますけれども、きょうは他の委員会の関係上、水産庁次長しか見えておりませんので、完全にこれらの諸問題に対する御答弁をいただけないと思いますので、きょうは概要を数点だけ伺って、今後の機会に残したいと思いますから、御了承願っておきます。  一つは、今月の二十二日に、環境庁が主唱いたしまして、瀬戸内海関係の十一府県、それから政令都市の六市、これらの協力のもとに、地点といたしましては七百十六地点並びに一級、二級の河川が百二十二、船を動員すること四十七隻、五百人を動員いたしまして、大がかりの第一回の海水汚濁の実態調査を行なったのでございます。もちろんこれは、来たる八月、十月、来年の一月と、さらに三回にわたって調査を続行して、最終結論に持っていくという予定にはなっております。しかしこの問題は、単に公害対策としての観点からするだけではなしに、水産担当の水産庁の立場としても非常に重大な利害関係があることは申すまでもございません。そこで、まず水産庁といたまして、この公害調査につきましてはどのような受けとめ方をしたであろうか。もちろん詳細は追って資料に基づきまして、伺うことにしますけれども、まず概要だけちょっと伺っておきたい、こう思います。
  39. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 昨年十月に閣議決定でできました瀬戸内海環境保全対策会議というのがございまして、水産庁といたしましては、これに積極的に参加いたしまして、瀬戸内海をきれいにしたいというふうに考えております。今回の調査につきましても、結論が出ましたところで、環境庁はもちろん、厚生省、保安庁等と協力いたしまして、総合的に水質汚濁防止法、海洋汚染防止法あるいは廃棄物の処理及び清掃に関する法律の厳正な運用で瀬戸内海の水質を維持してまいりたいと考えております。   〔森下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、さらに水産庁自体といたしましても、きめこまかく、廃棄物の堆積しているようなところのしゅんせつあるいは客土、それから油による被害多発地域につきましてのオイルフェンスの助成、あるいは公害の多発しますところの漁場の漁協に対する初動調査に対する指導助成等を行なってまいりたいというふうに考えております。
  40. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 水の生物、動物並びに植物を栽培することをもって生業といたしまするこの漁業者、これはただに漁業者の立場のみならず、国民の栄養給源を担当するものとしての考え方も非常に重要でございます。したがいまして、水産庁といたしましては、みずから独立した機関は持たずとも、やはりこの公害問題があらみる機会に、あらゆる場合に水産に非常に大きな影響を与えてきたということはもうまぎれもない事実でございますので、したがいまして、これは水産庁みずから相当な職員を設置するとか技術者を持つとか、そしてその他の科学技術的な研究をしておるものとの連絡をとるとか等々いたしまして、いろいろな結論を待つ前に、随時横の連絡をとるというぐらいな姿勢でいかなければ、なかなかこの水産行政の完ぺきを期することはむずかしいのじゃないか。ヘドロが発生した、工場排水がいろいろな問題を起こした、あるいは去年でありましたか、新潟の沖のあの油船の遭難によりまして、もう大がかりな被害を漁民は受けたような事実等々から考えてみますると、やはり相当陣容を整備いたしまして対処していくというふうにしておかなければ、騒動が起って、あとからというのでは間に合わぬ。そういうことをいたしましたら、沿岸漁業というものはもう死滅します。いまでも瀬戸内海は死の海というような、詩にもならぬような表現をする人さえあるのでございます。誇張ではあろうけれども、それほど憂慮を一面持っておるのですから、水産庁は、私は、その点については行政的に、あるいは財政的に、人材、技術その他等々におきまして万全のかまえをもってこれに臨まねばいかぬ、こう思うのですが、これはひとつ長官にはっきりと聞いてみたいと思ったのですが、そういうものについて、あれもせにゃならぬ、これもせにゃならぬ、しかしよそへ尋ねていかなければわからぬということになっておるのが実態じゃないかと私は思うのですが、ちょっと概要でよろしいですから、これらの点についてのあなたのお考え方を伺っておきましょう。
  41. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 水産庁といたしましては、特別な公害研究機関は持っておりませんけれども、瀬戸内海につきましては、広島にございます南西海区水産研究所を中心といたしまして研究をいたしておりまして、これに、必要な場合には東海区水研あるいは水産大学校を加えております。それから特に必要な場合には、大学等の研究者の応援を得て、赤潮対策その他の問題等、特別な問題に取り組んでいるのが現状でございます。それから特に公害に関しましては、水産庁に公害対策室、これは正規の設置法に基づくものではございませんが、水産庁調査官を一人置きまして、公害対策室として公害に取り組んでいる現状でございます。
  42. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まあ一人半分の人でやっておられることも実は知っておるのです。知っておりますが、あまりにも貧弱でございますので私は申し上げておるのですが、赤潮対策につきましても、プランクトンの養成とかあるいは増殖とかいう問題が、半面においては魚のえさになり、半面においては公害につながっていく、こういうことを考えましたら、赤潮対策一つとって考えてみましても、相当な陣容でこれに対処していかねばいかぬのじゃないだろうか。一たん廃液が、あるいは油がまき散らされましたならば、これに向かって対応する、急速にこれに対処するという手は、いまのところ絶無じゃないだろうかというふうに悲観をいたします。だから私は、行政庁の重要な一環でありまするから、水産庁なりその他がやはり国策の大きな基本線として、もっと大がかりな調査研究、それから実務者、研究機関等々が進められなければいかぬのじゃないだろうか。若干私も水産研究所を存じておりますが、水産研究所にいたしましても、なかなかこれは手が回っておりませんわ。これが実情でございまするので、ときには専門家、大学の教授なんかを呼ぶかもしれませんけれども、そのようなことではだめです。たとえばロンドンあたりの、水質のみではありませんけれども、研究所なんかには職員数が四、五百おりますよ。それで民間の委託も受けまして、そして調査研究をやっております。私が参りましたときにも、スライドでずっといろいろな説明をしておりました。これでもまだ模索の面がたくさんあります。それほどどうもむずかしいらしい。それなら、日本においてはなおさらだ。ともかく日本は、この重要な栄養給源産業、また漁業者の生活問題、四面環海、すべて海というようなときに、公害に取り巻かれて、ごやごややられるというようなことは、座視はしておりませんけれども、もっと陣容を強化いたしまして、総合行政の推進役をもって任ずるぐらいな、ひとつそのぐらいな気がまえで水産庁は臨まぬと、日本の水産業というものは、これは全く困ってしまいますよ。そういうことを考えます。これは、ひとつ長官なり大臣との問答をしたかったのですけれども、その辺のところもひとつしっかりと頭に置いておいてもらいたいと思います。次長、もちろんそのお考えであろと思いますけれども、それは頼みますよ。いかがでしょうね。
  43. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 ただいまの御指摘の点は私ども常々考えているところでございますが、直ちに増員をするとか予算を何十倍にするというわけにまいりませんので、現在私ども考えておりますのは、研究機関の整備の段階で再編成ということを考えまして、環境対策ということを大きな柱にいたしまして、研究機関の再編、整備ということを検討いたしておるところであります。
  44. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それに関しまして、何らか準備途上でもよろしいから、かまわない範囲におきまして資料があったらお出し願って、われわれも調査研究してみたいと思いますから、委員長よろしくお計らいを願います。
  45. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 現在検討いたしておりますのは庁内だけで検討いたしておりまして、外部にまだ出しておりませんので、その検討資料を提出するということはいましばらくお待ちいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  46. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次に、水産業の構造改善の問題でありますが、これも農業の構造改善と同じことで、ずいぶんと努力はしてこられたのでありますけれども、やはり日本の水産業というものは、数個の大企業をのけましたならば、大部分は中小企業もしくは零細企業であります。非常に素朴な前時代的な姿をまだ随所に散見するのであります。したがいまして、これは生活の実情から見ても、教育の面から見ても、福祉の面から見ても、産業の面から見ても、どこから見ましても、非常に大きな問題を持ったまま今日推移しておるのが実情でございます。それならば、構造改善につきまして、やはり資本装備であるとか、あるいは技術を身につけるとか、あるいは施設であるとか、ないしは労働であるとか、これに伴いまするところの行政指導、こういったようなものにもっと積極的なかまえをもって取り組んでいかねばいかぬのじゃないだろうか。一例をあげますと、瀬戸内なんかはノリ栽培がございますけれども、これはいま非常に素朴な実情でございまするが、これは栄養の面から見ましても、また企業的に観察いたしましても、まだ相当伸びる余地はあるようでありますが、しかしそれとても、相当伸びていく見込みがありまするならば、たとえば陸の養鶏などと同じように大きな資本に押えられてしまうおそれがあります。それならば、中小零細企業なりにほんとうに協業するとか、あるいはもしくはみずから独立資本でいくとか、何かそこに一本将来の企業的採算が合うような、そして科学的にさらに進められるような体制をつくっていかなければいかぬのではないだろうか。あるいはまた生魚にいたしましても、魚類にいたしましても、冷凍の設備なんかもずいぶんとあっちこっちとちょこちょこ散見いたしますけれども、なかなかまだこの状態ではいけませんわ。あるいはまた瀬戸内の魚類なども、ものによりましては東京に参りますと四倍いたしております。小売りで四倍します。一体どうしてこういうような流通関係が生じたのであろうかということを考えます。そうすると、これもやはり輸送の問題になるだろうということでございます。流通機構の問題につながっていくだろう。そうすると中小企業、零細企業の問題につながっていきます。こういうふうでありますから、浅海漁業、沿岸漁業の立場から考えまして、構造改善というものは、これまでやってまいりましたけれども、さらに一ぺん総洗い直しをしてみる必要があるのではないだろうか。そうしないと問題を残したままいきます。幾多の次から次へと問題の生ずるおそれがあります。特に植物性の栽培のごときものは、いうなれば今後の余地は相当あると思うのです。それからまたたとえば魚礁ですな。魚礁のごときも、もっと積極的に、相当資本が要ることは要るのですけれども、例のコンクリートのブロックを何千個か海底に埋めていくということ、あれも二、三私存じておりますが、これもやはり検討いたしまして、そして有効な方法を考えていくべきじゃないだろうか。もっと適切にどんどんと積極的な姿勢でいくべきじゃないだろうか。いまは養殖業の時代じゃございません。まだとるだけの時代じゃもちろんございません。ですからそういうふうにほんとうの意味で栽培するという姿勢で、もっと科学性をもって行政指導でされていってしかるべきじゃないだろうかというふうに考えるのです。これは構造改善の問題になりますので、少し振り返って数年間検討した資料も私持っておりますが、これはやめますけれども、構造改善の問題の根本的な取り組み方の姿勢について、いまは再検討の時代に入りましたね。特に私は、沿岸漁業という観点から考えまするときに痛感するのです。だから次長、あなたもこんなことはくろうとですし、あなた自身ベテランで知り抜いたことですけれども、どんなふうに考えておられるのでしょうかね。
  47. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 構造改善につきましては、御承知のように、第一次構造改善事業というのを昭和三十七年から四十五年にかけていたしておりまして、これに要しました経費が国庫補助金で約百五十八億円でございますが、御指摘のように、これにつきましても、いろいろ成功したものと必ずしも成功しなかったものとございます。その点を反省いたしまして、四十六年度から第二次構造改善事業をいたしておりまして、これにつきましては、増養殖の推進あるいは生産性の向上、あるいは生産地におきます流通、先ほど御指摘のありましたような冷蔵庫の建造等の助成をいたしまして、沿岸漁業の構造改善をはかってまいりたいと考えております。ただ、おことばを返すようでございますけれども、ノリの生産につきましては、現在平年作として五十億枚をこえる生産をいたしておりますので、これにつきまして、特に採算の合わないようなところについて漁場造成をするようなことがないように、ノリの生産につきましては若干ブレーキをかけるような感じの指導をいたしておりますが、これは現在の生産量から見ましてやむを得ない措置ではないかというふうに考えております。  それから魚礁につきましても、魚礁は三千個あるいは五千個も投下したところが、全部が全部いい魚礁になっていないところもございますので、県の試験場等を動員いたしまして、十分効果の予想されるところに投下するように指導をいたしておるところでございます。
  48. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから例の陸地の開発の事業それから埋め立ての事業、埋め立て地に工場誘致等、それと漁業との関係、漁場との関係等はかなりきびしいものがあると思いますので、これも問題が起こってからではなしに、問題の生ずるおそれがあれば、事前にいかにして漁業を守るか、もしくは漁場を拡大するかということも手を打っていかなければいかぬのじゃないだろうか。もうわかり切っておるのに、埋め立てが終了いたしまして、これはぐあいが悪いなということでがやがや騒ぎ出すのではおそいのではないだろうかということを考えます。この点も少し例をあげて言うべきですけれども、きょうは時間がないのでやめておきますけれども、要するに海面の埋め立て、したがってこれは陸地の造成の問題ですが、これと漁場との調整の問題、漁業との調整の問題をよほどうまくやりませんと、次に公害につながっていきます。公害のみならず、いろんな争いが起こりますし、紛争が起こります。これは目に見えております。でありまするので、これらにつきましてもやはり総合行政の点でまたちょっと気になるのです。たとえば、港を拡大しようというのは、所管庁は運輸省でしょう。それから少し他へいきまして防波堤になりますと、これは建設省でしょう。その沖へずっと埋め立てていくということになりますと、地方知事に一任しているのじゃなかったですか。というふうにばらばらになっております。でありますので、その辺につきましても、総合行政の見地から、横の連絡、出先の連絡等々が絶えず手落ちなく行なわれるということが、行政のあやまちとむだがなくなっていくゆえんでないだろうか。特に沿岸漁業を振興するという観点から見ましただけでも、いまのように総合行政としてもっと考えてみなければならぬ幾多の点が残されておるように感じます。総合行政的見地から今後一そう横の連絡等を緊密にとっていくということが望ましいのではないか、私はこう思いますが、この点はどうでございましょう。
  49. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 ただいま御指摘のありました埋め立てにつきましては、一般の公有水面につきましては県知事の免許になっておりますが、漁場につきまして、昨年成立いたしました海洋水産資源開発促進法に基づきまして、県知事が増養殖に特に適すると思う海域を開発海域として指定いたしまして、そこでいろいろな建設工事あるいは埋め立て工事をするようなときには、それが漁業に不適当な場合には県知事が勧告をすることができるというようになっております。しかし、ただいま御指摘のように、大きな工事になりますと、建設省あるいは運輸省、通産省とも関係がございますので、御指摘のように、私どもも横の連絡を十分とってまいりたいと考えております。
  50. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから、なお審議中でありますけれども、海上交通安全の問題です。これとの関連で、例の狭水域などにおいて二百メートル以上の船の場合は漁船が待避する義務がある、こういうことになっているようでございます。こういう点は他の委員会におきまして論議したはずでありますけれども、これなども非常に微妙な問題があるのじゃなかろうか。漁船が二百メートル、百五十メートル、二百五メートルというようなことの測定は一体できるのだろうか、どうだろうか。退避義務がある以上は避けなければいかぬ。百五十メートルと思ったところが二百メートル以上であったというようなことも生、ずるのではないか。その辺の測定が誤りなく判断し得る方法、退避とかなんとかいうけれども、現実の問題としてはどうなるであろうか。何か二百メートル以上の船だという旗でも立てておるわけでもなかろうし、その辺はどうなるであろうか。そこらにつきまして、私自身詳しくはわかりませんが、相当論議したと思うのでありますけれども、これは詳しい資料に基づかない私のお尋ねでありますから、一応どちらでもよろしいのでありますが、私はかなり問題があるような感じがしてならないのでありますが、ありましたら次長一、二指摘をしておいてください。またあとで詳しく聞きますから。
  51. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 ただいま審議されております海上交通安全法案の点でございますが、全国に十一航路を設けまして、浦賀水道、浦賀東水道をはじめ瀬戸内海に八つございますが、その十一の航路につきましては、二百メートル以上の巨大船が来たときには漁労をしておる船でもよけなければならない。原則として漁労船は自由を失っておる船でございますので、船舶は漁労しておる船をよけるということになっておりますが、この十一の航路については、逆に漁労をしておる船でも、ただいま御指摘のありました二百メートル以上の巨大船が来たときにはよけなければならないということなっております。  これをどういうふうにして見分けるかという御指摘でございますが、こまかい点は海上保安庁からまたお答えがあると思いますが、現在のところ、巨大船につきましては、巨大船が通るときにあらかじめ通報するということになっておりますので、その通報によりまして、漁業者のほうも何時ごろこの航路を巨大船が通るということをわかるわけでございますので、それによりましてこれが巨大船であるというふうな手順になるものと考えております。
  52. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 非常に素朴な組み合わせでございまして、陸上の交通信号等と比べますと、耳で、あるいは勘で判断しなければならぬというものが相当あるのではないだろうか。といいますのは、ずっと企業化し高度化しておる漁業ならば別でございますけれども、いまの沿岸漁業というものは、劈頭述べましたように、素朴な前時代的な姿がなお多いのでございます。年寄りに若い者がついていって、おやじと一緒に仕事をしておる、そんなものが一本釣りなんかについてはなお相当ございますので、そんなことを考えますと、この辺に相当問題があるのではないだろうか。被害が生じまして、これはいかぬ、もっと何かすべきだった、こういうことが起こるのではないだろうかということをちょっと懸念するのであります。これはあとへ残しておきます。  そこで、一応対象を瀬戸内に限定して考えるのでありますが、瀬戸内というものは、四国の大きさのある海面が、ほんとうに公害もないきれいな海になって、交通も安全であるが、同時に漁業もできます、近代的な科学的な栽培漁業がすばらしくできるというような海にならぬものだろうか。こういうことが近海漁業、浅海漁業を背負っておる日本の立場といたしまして、四面環海の日本といたしましては、おもしろい一つの夢であり、テーマになるのではないだろうか。これがもし成功いたしましたならば、東京湾にも相当用いられます。伊勢湾にも同様であります。日本を取り巻く近海も同様な類推は可能であります。こういうことも考えますので、やはり水産資源というものが食糧といたしまして日本人の体質にぴったりと合っておるものでございますから、太古の時代から水はあるのでありますから、昔から海のさちはわれわれの食糧にしてきたのでありますから、これをもっと近代的なものとして今後発達せしめるということの一つのおもしろいテーマになるのではないかとさえ私しろうとながら感じておるわけであります。これをあわせまして最近の海洋開発と結んでいき、また沿岸漁業振興の問題ともあわせ、公害の問題ともあわせまして、それらの各方面からくる行政的要請等に結論を持ちまして、瀬戸内を一つの踏み台といたしまして、ここにすばらしい建設的な計画案でも水産庁持ったらどうであろうか。世界的なあらゆるすぐれた長所を取り入れまして、日本の水産庁ここにありというふうなことで何か設計、計画でもできぬものだろうか青写真でもできぬものだろうか、そんなことを考えます。これは夢かどうかわかりませんが、現実の政治行政の課題としていま当面しておる重要な解決答案になるのではないかとさえ考えております。部分的に公害の大げさな調査状態を見ましても、写真も見ました、実情も聞きました。あんな状態を見てみましても、おくれておるなという感じさえ実は持ったのであります。でありますので、ひとつ瀬戸内と限ってよろしいから、いま申し上げましたような要素をことごとく兼ね備えておるような、そういう青写真でも水産庁つくったらどうか。計画をやったらどうか。五年計画でもよろしい、六年計画でもよろしうございます。そういうふうに思うのですが、これだけで一応きょうは結んでおきます。お答えを願います。  それからあと、私は最後に委員長環境庁に、まだ資料は全部でき上がっておりませんけれども、そのつどとるべきが妥当と思いますので、第一回の、この十一府県、六政令都市の協力のもとに調査いたしましたあの調査資料があるはずでございますので、もしくはできつつあるはずでございますから、でき次第当委員会に何らかの形でひとつ資料として提出するようにお計らいを願いたい、こう思います。これはお願いしておきます。  次長どうぞ。
  53. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 先ほどもお答え申し上げましたけれども、瀬戸内海環境保全対策推進会議というのが環境庁を中心に設けられておりまして、これで公害防止をまず考えております。水産庁といたしましても、先ほどお答えしたような、きめこまかい公害防止を考えておると同時に、もう一つは、瀬戸内海にテストケースといたしまして、瀬戸内海栽培漁業協会というのを十一府県及び漁連でつくりまして、瀬戸内海栽培漁業センターというものをつくっております。これは岡山県の玉野、香川県の高松、それから愛媛県の伯方島と、それから大分県の上浦、それから鹿児島県の志布志にセンターの事業場がございまして、そこで現在は主としてエビでございますけれども、クルマエビの稚魚をつくりまして、瀬戸内海に放流をいたしております。それである程度成功をいたしましたので、エビをますます増大させるのと同時に魚の稚魚をたくさんつくりまして、瀬戸内海に放流するという計画を立てておりまして、本年度、親魚の前進基地といたしまして、親魚は瀬戸内海だけではできませんので、高知県に親魚の前進基地をつくって親魚をつくって、そこで稚魚をつくりまして瀬戸内海に放流するという計画を立てております。これもある程度成功しつつありますので、全国化ということも考えておりますが、まず瀬戸内海をテストプランとして実施しておるところでございます。
  54. 福田繁芳

    福田委員長 吉田委員に申し上げますが、先ほど委員長に対するあなたの御要望事項は、しかと承知いたしておりまするから、即刻手続をとりまして、次回までには間に合うようにいたします。  なお、水産庁の藤村次長に委員長からも重ねて要望しておきまするが、ただいま吉田委員から実に適切な御要望事項がありましたので、よく御存じでございましょうし、なお、私のほうの事務局から吉田先生の御質問の速記録をあらためて次長のところまでお届けしますから、長官はもちろんのこと、優秀な幹部諸君が水産庁には多数鋭意くふうされておるように聞いておりますので、十二分に生かしていただきたいということを、当委員会をお預かりしておる委員長として御要望申し上げておきます。  次回は公報をもってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十三分散会