○吉田(賢)
委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま上程されました四十四年度決算等に対しまして、結論的には賛成をいたします。ただ、賛成はしますけれども、以下の数点を述べておきまするので、これは少数党の弱い発言と思わずに、内閣の責任を持っておる与党は、少数
意見尊重という憲法、議会政治の本旨にかんがみまして、十分にひとつお聞きおきいただきたいと思うのであります。
第一は、
予算の審議は非常に慎重綿密でございます。ただし
予算といえども、今日の
日本の
国会の実情を見ますと、
予算審議は政策論議が少ないのであります。これは
国会の一員といたしまして、さびしく思っております。でき得べくんば、各省、各項目につきまして、どんどんと政策論議が展開されることを心から望みたい。しかしそれにも増しまして、決算の審議を非常に軽視しておるのが特に
政府の態度に見えるのであります。
予算のときは目をとがらかして注目しておりますけれども、決算の審議は、いつ終わるやら、いつ審議があるやら、
委員会がありましても、大臣は多用でなかなか
出席せられない、出ても出なくても損にならぬというようなことであるのではないか。要するに決算に対する認識が不足であるならば、決算を無視したら、その代表者は首です。取締役会といえども、総会でこれは否決します。それほど決算は重視します。しかし、さきに鳥居さんもお述べになりましたように、親方日の丸という思想が
日本じゅう浸透しておりますためか、使いっぱなし、使ったものは、そのあとは知りませんと言わんばかりでありますので、この点につきましては今後十分に戒心をしてもらいたい。決算重視の傾向を助長するように
努力されんことを、特に要望しておきたいと思います。
それから検査院につきましては、これは財政法、検査院法等によりまして、検査院の権限も明確にしてありますし、憲法に始まりますけれどもただ今日の検査院法の規定が、たとえば二十九条の
報告書のくだり、三十四条の
意見表示などがありますけれども、その範囲が法律の違反、当、不当ということに限定されておるような感じがいたします。この点はしばしば
指摘いたしました。しかし現実に決算
委員会が問題にしておりますのは、法律に違反しておるか、あるいは当、不当という
意味も、これは文理解釈的にはあいまいであります。あいまいでありますが、当、不当に限定するというところに、本来の決算、
予算の財政の性格から申しましたら、非常に不確実な表現でありますので、こういう観念によりまして検査院が検査を行なって、その
報告書を書くということはいかがなものか。しばしば私ども
指摘しておりますのは、
国民の期待するところは血税を大切に使ってくださいということなんです。大切に使ってくださいということは、百万円でできるものが、もしくふうするならば九十万円で済む、そのときはやはり
予算が百万円あるのだから、百万円使おうじゃないかというのでなしに、十万円も大切にしましょう、そして血税でありますから、かくして使い残り、不用金ができたらけっこうじゃないか。いまの不用金、たとえば四十四年度の不用金を見ましても百二十六億円あります。こんなに膨大な不用金ができておりますが、これはくふうの結果不用ができたというものではないのであります。予定しておったけれども、そのとおり使わなかった、こういうことだけであります。消極的であります。したがいまして、今後できますれば、法改正でも意図されまして、検査院もおられますが、
日本の財政運営につきまして、会計検査院の検査のあり方、権限、そして
報告書の内容、ないしは
政府が今後の
予算作成の上におきまして
相当参考になり得るようなものも含むというくらいな規模内容のものに、検査院の制度を法的に改正されてはいかん。その方面に向かって進んでいかれることを希望したいのであります。これは世界の検査院の
会議等におきましても、おそらくは重要な点として論議しておると私は思うのであります。このことも強く要請しておきたいのであります。なぜならば、憲法によりまして、国の決算は検査院の検査を受けて、そして
国会に報告せられる、これが当
委員会に回ってくる次第でありますから、検査院の検査というものはきわめて重要な
機関でありますので、そのような
意味におきましてぜひともそのような改正の
方向を進めてもらいたいと思います。
もう一つは予備費の問題でございます。憲法八十七条によりましてこれは規定されており、予見しがたい経費の不足を補うということになっておりますけれども、どうも最近の予備費の使い方を見ましたならば、たとえば給与
ベースの引き上げ等に引き当てておるかのような、そのようなあらかじめ予定しておったようなものが、今度はそうではなくして別の項目に使われるということにされていくということも見受けられますので、こういったきらいがありますから、このきらいにつきましては、やはりそういうことのないようにしていただきたい。なぜならば、一たん
予算を組む以上は、その
予算は
予算の趣旨に従いまして使っていくということにしなければいけませんので、反対、賛成のいかんにかかわらず、一たん
国会で成立して
国民の意思として最終的に
決定した以上は、それをごちゃごちゃにしないで、その趣旨を尊重してこれを使用するというふうにしてもらいたい。
要は、この決算
委員会で私どもが強く
指摘したいことは、
予算の執行につきましてはできるだけ効率化してもらいたい。使用のことにつきましては、できるだけ能率をあげてもらいたい。管理につきましては、できるだけ科学的な手法をもって管理をしてもらいたい。そのためには、たとえばPPBSの導入にいたしましても、事業別
予算制度の導入にいたしましても、もっとも後者につきましてはすでに現制度がしかりという御
意見もございますけれども、しかし綿密に検討いたしましたならば、いまの
予算制度というものはどこが使うかという規定が主で、何のために使うかということは従であります。何のために使うかということが、これがこの決算
委員会の追及の対象でありますので、その辺につきましても、できるだけその趣旨を尊重してもらいまして、そして効率化する。一たん組んだ
予算はその管理は最も適切に行なう。政策目的に沿いましてこれをほんとうに
効果があがるように執行していく。それを大きな目を見開いていくというのが検査院であり、われわれであり、
国会であり、ないしは行管でありますから、その辺のことを十分に今後は取り入れて、そして
予算の制度なりあるいはその他法改正等について重要な参考にしてもらいたい。
私は繰り返しますけれども、当
委員会におきまして一たん議決いたしまして、発言がございましたならば、次の
予算の編成に際し、
予算の執行につき十分にこれをしんしゃくし、尊重するということがなければ、
予算の議決は
国会の意思として尊重するけれども、決算の議決は
国会の意思としないというような、そんなことになりましたら
国会軽視であります。
国会無視であります。したがいまして、一たんここで議決され発言がございましたならば、発言につきましては十分綿密にこれを玩味していくというのが、これが行
政府の責任であります。憲法によりまして、行
政府の行政のあり方につきましては、
国会は十分に監視、監督をしていく権限があるのでありますから、
国会の意思表示といたしましてこれは受け取っていただきたいと思うのであります。このように幾多の問題点があり、われわれは
意見を持っておるのでございますので、どうかこの辺につきましては、今後とも十二分にお
考えおきを願いたいということを強く行政当局には要請したいのであります。
かくいたしまして、この議決案件につきましても、これは文章表現につきましては、どうかできましたら
委員長、次期
国会におきましては文章の表現を再検討していだたきたいのであります。やっぱり最後に問題になります「
異議なし」ということばはどうも表現適切にあらず。だから「ほぼ」という形容詞か何かつきましたらというふうに思いますので、来年はひとつこの辺につきましても再検討いたしまして、実に沿うような表現を、適切にこれを書き出すようにしていただきたい。そして権威のある議決にして、来年からは
予算の執行についてできるだけ問題の少ないように、幾多
指摘されましたところの綱紀紊乱につながるような金の使い方につきましては、これはもう論外であります。それほどに私どもは、こういう問題がありましたら、ほんとうに皆さんは弁解のことばがないぐらいにまでなっていただきたい、こう思いますので、どうかえりを正しまして、当
委員会の議決の趣旨をひとつ尊重するようにしていただきたいということをつけ加えまして、私は冒頭に述べました
意見を結ぶことにいたします。
以上であります。