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1972-04-25 第68回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十五日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 福田 繁芳君    理事 白浜 仁吉君 理事 綿貫 民輔君    理事 西宮  弘君 理事 鳥居 一雄君    理事 吉田 賢一君       阿部 文男君    笠岡  喬君       菅野和太郎君    國場 幸昌君       中川 俊思君    丹羽 久章君       羽田  孜君    山崎平八郎君       北山 愛郎君    下平 正一君       芳賀  貢君    坂井 弘一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         外務政務次官  大西 正男君         大蔵大臣官房         会計課長    山崎 一男君         大蔵大臣官房         審  議  官 中橋敬次郎君         大蔵省主計局次         長       大倉 眞隆君         食糧庁次長   中村健次郎君  委員外出席者         環境庁大気保全         局企画課長   竹内 嘉巳君         外務省アジア局         外務参事官   前田 利一君         会計検査院事務         総局第一局長  服部 圭三君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 委員異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     中村庸一郎君   中山 利生君     山手 滿男君   西宮  弘君     石橋 政嗣君 同日  辞任         補欠選任   中村庸一郎君     阿部 文男君   山手 滿男君     中山 利生君   石橋 政嗣君     西宮  弘君 同月二十五日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     羽田  孜君   石田 博英君     國場 幸昌君   中山 利生君     山崎平八郎君   村上信二郎君     中川 俊思君   高田 富之君     下平 正一君 同日  辞任         補欠選任   國場 幸昌君     石田 博英君   中川 俊思君     村上信二郎君   羽田  孜君     荒舩清十郎君   山崎平八郎君     中山 利生君   下平 正一君     高田 富之君 同日  理事下平正一君同月二十日委員辞任につき、そ  の補欠として西宮弘君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  昭和四十五年度一般会計予備費使  用総調書及各省庁所管使用調  書(その2)  昭和四十五年度特別会計予備費使  用総調書及各省庁所管使用調  書(その2)  昭和四十五年度特別会計予算総則  第十条に基づく経費増額調書及  び経費増額調書  昭和四十五年度特別会計予算総則  第十一条に基づく経費増額調書  及び各省庁所管経費増額調書  (承諾を求  (その2)           めるの件)  昭和四十六年度一般会計予備費使  用総調書及各省庁所管使用調  書(その1)  昭和四十六年度特別会計予備費使  用総調書及各省庁所管使用調  書(その1)  昭和四十六年度特別会計予算総則  第十一条に基づく経費増額調書  及び各省庁所管経費増額調書  (承諾を求  (その1)           めるの件)  昭和四十五年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(その2)  昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十四年度政府関係機関決算書  昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (大蔵省所管)      ————◇—————
  2. 福田繁芳

    福田委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。理事下平正一君の委員異動に伴い、理事が一名欠員になっております。  これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福田繁芳

    福田委員長 御異議なしと認めます。よって、西宮弘君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 福田繁芳

    福田委員長 昭和四十五年度一般会計予備費使用調書及各省庁所管使用調書(その2)外三件の承諾を求めるの件、及び昭和四十六年度一般会計予備費使用調書及各省庁所管使用調書(その一)外二件の承諾を求めるの件、並びに昭和四十五年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)を一括して議題といたします。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。まず、笠岡喬君。
  5. 笠岡喬

    笠岡委員 せっかく大蔵大臣外務政務次官がお越しになっておるのでございますが、大臣政務次官にお聞きする前に、事務的なことで恐縮でございますが、予備費外務省所管の、インドにおける東パキスタン難民救済のための特別拠出金についてお伺いを申し上げますが、四十六年の六月、同じく九月にそれぞれ国連からの要請によって救援をやっておるわけであります。これは出ておりますが、大体いままでにインドあるいはパキスタン日本の国はどの程度経済援助をしておるのか、承りたいと思います。
  6. 前田利一

    前田説明員 ただいまの笠岡先生の御質問は、インド及びパキスタンに対するこれまでやってまいりました経済援助の総額をお尋ねになられたものと考えてよろしゅうございますか。
  7. 笠岡喬

    笠岡委員 はい、そうです。
  8. 前田利一

    前田説明員 ただいままでにわが国は、インドに対しましては七億一千万ドルの経済援助をいたしており、パキスタンに対しましても二億五千万ドルの多額の援助をやっておるように承知しております。
  9. 笠岡喬

    笠岡委員 私もたまたま過日東パキスタン、現在のバングラデシュへ行くことができまして、現地へ参りまして、いろいろそういうような現地状況を見たり、またいろいろな話を聞いた一人でございますが、行ったときに、国連のあれは何とかいう所長でございますが、アメリカは未承認だが二千四百万ドルも救援をやってくれた、あるいはスウェーデンのような小さい国も四百数十万ドルというものをやってくれておる、日本はまだそういうことは全然しておらない、というような相当きつい批判めいた抗議があったわけであります。今回は、いち早く承認をし、またその後それぞれお手当てができて、われわれも非常に感謝しておるのでございますが、こういうふうな手だてがいち早くやれなかったというのには、何か組織上、そういう批判が起こる前にそういうことが早く手を打てないという理由がありますか。
  10. 前田利一

    前田説明員 お答え申し上げます。現地事情を十分に踏まえましてから、どういう援助を行なうことが最も効果があるかということを検討しなければなりませんので、現地からの桧垣総領事等報告も参りますし、また現地で活動しておりますただいま先生指摘国連救済機関でありますUNRODという機関がございますが、このUNRODを通じましてのいろいろな報告に接しておるわけでございますが、そういったものを踏まえ、さらに先生指摘のとおり、早川先生以下の親善使節団ということで現地に行っていただき、その把握していただきました現地事情に基づきまして、バングラデシュに最も効果のある援助をやろう、こういうことでまいったわけでございまして、特に緊急に援助をやる上において支障というものがあったとは考えておらない次第でございます。
  11. 笠岡喬

    笠岡委員 話のついででございますから、もう一言苦情を申し上げさしていただきたいと思います。  四十六年に二回救援物資を送っておるわけでありますが、これは一回は船賃、保険料というようなものを向こう持ち、一回はこちらが持ったというようなことがあったのだと私たち承知しておりますが、こういうこともやはり救援物資というようなものに対して、私たちが考えてそういうみみっちい方法をとらずに、そういうものも全面的にこちらが手当てをするという方向のほうがいいのじゃないか。わが党の総務会でもそういう話が出まして、それではそういうものはこちらで持つべきだというような声が圧倒的であったと思いますが、これは最初の分に対してですか、あとですか、そこを……。
  12. 前田利一

    前田説明員 お答えします。ただいま御指摘運賃保険料の問題につきましては、先ほどお話のございました昨年の六月と九月と二度にわたりましての援助が行なわれておりますが、二度目の援助のうちに、予備費から支出願った分以外に、KR食糧援助費がございまして、KR食糧援助費をもちまして一億八千万円相当日本米約三千六百五十トンを国連を通じて援助したわけでございますが、残念ながらこのKR食糧援助費には、ただいま御指摘のように保険料、それから運賃を出す費目がございませんので、結局これを日本側としては負担し得ないということになりまして、ただいま御指摘の問題が起こったわけでございますが、先般笠岡先生を含めましての御一行が現地に行かれまして、そういう苦情、そういうみみっちさという問題も御指摘いただきました結果、私どもといたしましても、その問題の所在という点につきましては十分考えておりまして、このたび国連を通じてのアンタイドの拠出八百万ドル分につきましては、幸いに国連側のほうからも諸般の援助救済物資援助してほしいということに加えまして、その主要の用途といたしまして、これらの物資を買いつけて、バングラ現地まで送る、これに要する運賃といったものもその八百万ドルの現金拠出の中から使う用意がある、こういうように連絡してまいっておりますので、幸いにその問題は、このたびの八百万ドルについては解決されるものと考えております。
  13. 笠岡喬

    笠岡委員 いろいろありがとうございました。  政務次官にひとつ聞いていただきつつ大臣にお答えを願いたいと思うわけでありますが、私たちは今度ついでにたまたまインド、ネパールを歴訪さしてもらったのですが、御承知のように、あの地方は非常に生活程度が低い。失礼な話でございますが、私たちに言わしむるならば、一般大衆は家畜同様の生活程度だ。しかしながら、日本に対して非常に感情がよろしい、親日ムードであります。特にインドあたりは、もう連続して三年間、世論調査では日本人が一番好きだという統計が出ておるそうであります。また私たちが歴訪いたしましたバングラデシュにいたしましても非常に親日的である。日本経済復興日本人に何とか学びたい、日本人に何とかあやかりたい、そして自分たちの国をよくしたいという気持ちが非常に強い。現地の話を総合すると、日本人がきらいだという国民は一人もいないのじゃないか、これだけの親日ムードであります。しかし、先ほど申し上げましたように非常に低開発である。いま日本の国は、軍国大国から脱却して、人道主義に立って、ほんとうにアジアの友人として、アジア苦悩はすなわち自分たち苦悩だというふうな考え方に基づいて、何の意図も持たないで協力することが日本を一回りも二回りも大きくする唯一の道である、将来のためにそういうことをやっていかなければいけないということを私は痛切に感じたのでございます。  さて、いろいろ現地状況等を見て、どういうふうにすればそういうことの実をあげ得られるかという問題について、私は私なりにいろいろ考えてみたわけであります。技術協力というか技術援助というか、そういうもの、あるいは日本の若い青年たち現地に行っていろいろやっておる、そういうようなことすべて効果をあげております。私は、こういうことも非常にけっこうなことだと考えたわけでありますが、いま、たとえばの話でありますが、バングラデシュ国民の所得が年間六十ドル、外貨ゼロ、たいへん困っておるわけであります。食糧もほしいが、外貨がほしい、金がないのだということを、痛切にそれぞれの指導者たちは言っておりました。たまたま日本の国は、国内はかなり不景気でありますけれども、外貨というものは相当の蓄積を持っておるわけであります。そしてそのことが諸外国からいろいろ羨望の的になり、あるいはそのことがいろいろ批判の対象にすらなって、エコノミックアニマルというような悪評も得ておるというような今日の時世に、よその国で全然できない方法日本でできる方法は一体何だろうかということを私なりに考えて、現地でもそういう話があったのでございますが、日本のようにたくさん外貨を持っておる国が、もしバングラデシュならバングラデシュ国立銀行外貨を預託するというようなことができたならば、日本に対する信頼、親日感情というものはいやが上にも上がっていくのじゃないか。とりわけ、お金の価値というものが非常に大きく差がありますから、日本が一億ドル向こうへ預託すれば三億ドルもの効果があるというふうなことを仲間と話をし、将来そういうことをやることが、世界のどこにもできない、日本ができることであって、そして非常に大きな効果をあげるのじゃなかろうかというような話し合いをいたしておりましたところが、国へ帰って、けさの新聞でも第二外為の記事をここで拝見をしたわけですが、大蔵省通産省でそのことについてのいろいろな論議がかわされており、それぞれ言われることには、私たちももっともなことだ、それぞれの理由があると考えて新聞を見たわけであります。たまたま大蔵大臣見えになっておりますので、そう軽々にそういうことを言えないかもしれませんが、そういうことについての大臣の御感想が承れれば幸いだと思いますので、お願いをしたいと思います。
  14. 水田三喜男

    水田国務大臣 対外援助につきましては、最近は外務省大蔵省通産省事務連絡は非常に緊密でございまして、各国の要望する線に沿って、いま非常に円満に一つ一つ片づいているのが現状でございます。ですから、今後さらにこの経済援助の体制を整えるために、輸銀のあり方、基金のあり方というような問題にまでいま検討を進めておるときでございますが、それと関連しまして、外貨活用方法についてもいまいろいろ検討しております。バンクローンの問題にしましても、一連の問題としていま検討をしておるところでございますが、今後対外援助につきましては、積極的に、これは日本として責任を感じておるところでございますので、こういう問題についても、できる範囲のことは十分実現したい、そのうち結論を出すつもりでおります。
  15. 笠岡喬

    笠岡委員 はっきりしたことを大臣もまだ言われない立場でございましょうが、前進みの姿勢でひとつ御検討をいただきたいと思います。  もう時間が来ましたのでやめますが、政務次官にひとつ最後にお願いしたいと思います。  昔から日本は、唐、天竺ということばがございまして、最近、唐、中国に対しては非常にすべて目が向いておりますが、天竺のほうについても決してなおざりにしてはならぬということを私は痛切に感じ、しかも天竺人たちは、前段に私がるるお話を申し上げましたように、日本に非常に近親感を持ち、日本に大きな期待を寄せておる。さらに、非常な低開発国で困っておる。天竺外交を、経済援助を通じ、またあらゆる点を通じて強力に、宙同様に進める必要があるのじゃなかろうかというようなことも考えるわけですが、最後にひとつ政務次官から御答弁いただきたいと思います。
  16. 大西正男

    大西政府委員 先生のお考え、全く私も同感でございます。特にバングラに関して申しますと、おっしゃる経済援助、これも非常に必要でありますし、特に人道的な問題が現在あるわけでございますので、そういう点についても一段と協力姿勢を進めなければならないと思います。と同時に、バングラは御承知のように最近建国をした国でございまして、みずからの政府でみずからの国を治めたという経験がきわめて乏しいのであります。したがいまして、国家行政機構というものが、これはそう申しては失礼かも存じませんが、実際問題として整備をされておらないことは当然のことだと思います。これからバングラが国としてりっぱに発展をしていくことを私たちは望んでおるわけでございますが、そのためには、国家行政機構というものをまずもって整備をし、そこにりっぱな行政を行なっていける実力を養っていくべきであろうと思います。そういうことに対してわが国は大いに協力をしたいと考えております。そういう意味で調査団も先般出ましだし、そういった行政を行なう向こうの公務員の方々、そういう人たちを迎えて、日本でいろいろと研修をしていただく、そういうことについても心をいたしていくべきではないか、かように考えておる次第でございます。
  17. 笠岡喬

    笠岡委員 終わります。
  18. 福田繁芳

    福田委員長 この際、通告に基づき坂井弘一君の質疑を許します。坂井君。
  19. 坂井弘一

    坂井委員 農林省所管事項予備費使用についてまずお伺いしたいと思います。  食糧庁昭和四十六年産自主流通米良質米奨励金及び米品質改良奨励金交付に要するため、四十六年の十月八日の閣議決定に基づきまして八十三億六千二百万円の予備費使用をいたしております。この予備費使用に至る経過あるいは交付に要する理由はさておきまして、これらの奨励金等交付に要する費用というものは、前年四十五年度におきましても予備費で二百二十三億九千二百万円、非常に多額なものが予備費から使用されているわけでございますけれども、これらの予備費使用につきましては、いわゆる政治米価ではないか、政治加算金である、こういわれておるわけでありますが、つまるところ、予備費性格上、こうしたたぐいの支出予備費によってまかなうということは、予見しがたい支出という性格には合わない、そう思うわけでございます。この点につきまして、きょう大蔵大臣見えでございますので、大臣は一体いかなる見解をお持ちか、またあわせて農林省見解も伺っておきたいと思います。
  20. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの坂井弘一君の御質問に対して、まず水田大蔵大臣から答弁いたさせます。水田大蔵大臣
  21. 水田三喜男

    水田国務大臣 昭和四十五年の当初予算では、いま御指摘良質米奨励金というようなものは計上してございませんでした。それが、四十五年産米米価決定の際に、この良質米奨励金交付するということにきまりましたために、この予備費から支出したということでございますが、当時としては、当初予算にも計上してなかったことでございますし、全くこれは予測しない歳入の不足に対処するものということで、予備費支出はこれはやむを得ないことであったと考えます。これが政治加算であるかどうかという性格の問題は別としましても、四十五年度産米の米価決定の際になってこれが初めてきまった問題でございますから、そういう措置をとりました。そのときには、これは四十五年きりで、四十六年はこういう性質の奨励金は出さないという一つの了解がございましたために、四十六年度になりましても、当初予算ではこの問題は見てございませんでした。ところが四十六年になって、生産米価決定の際にこの問題がまた再燃いたしまして、前年度に交付した良質米奨励金を今度は米価に織り込めということになって、米価がそのときに決定されました。その関係で今度は自主流通米にもこれをつけるということに、やはりあとからそういうふうにきまりましたために、これも結局予備費支出せざるを得なかった、こういう事情でございます。
  22. 坂井弘一

    坂井委員 あとで理屈をつければ、いま大臣おっしゃったようなことになると思うのです。しかし、いまおっしゃるように、昨年におきましては米審が中断をされ、米価が五月一日の閣議決定をされた。政府はかねがね、たとえば総理なんかは三年間据え置くということを明言しておるわけですね。それを一夜にしてくつがえして、そうして米価の引き上げを一方的にやってしまった。それに伴って自主米のほうも当然これは上積みせねばいかぬというわけで、そこにまた再び予備費をもって、自主米に対する奨励金という名目でかさ上げせざるを得ないようなことになった、こういう経緯ですね。そういたしますと、このような予備費からの支出というものは、これが政治加算金である、政治米価であると世に悪評を受けておるわけでございますけれども、一体いつまで続くのでしょうね。また来年もむし返すのでしょうか。
  23. 水田三喜男

    水田国務大臣 そのために、四十七年度の予算にはあらかじめこの奨励金はもう計上することにいたしてございます。
  24. 坂井弘一

    坂井委員 そういたしますと、これはもう今後奨励金として予算に計上して、そうして固定化したような形をとっていこうというようなことになっていこうかと思うのですけれども、もっとも、この予備費からの支出ということに対しては非常に疑義がある。一方では、やはりこの米価決定にあたりまして、米審等の意向もこれあり、かつまた、なかなか決定しがたいような非常に微妙な問題がこの米価決定にあたって起こってくる。そういう中で非常に苦慮したところだろうとは思います。思いますけれども、少なくともこういう四十五、四十六年度における予備費からの支出というものは、これは私は納得するわけにはまいらない。かといって、これを四十七年度から予算において正式に奨励金として計上するということについても、これもまたいろいろ異論のあるところであろうと思うのです。したがって、こういう問題がどういうことから起こってきたかといいますと、これはまあ農林省に伺いたいと思いますけれども、価格政策を先行させて、そうしていわゆる構造政策がこれに伴わない、むしろ言うならば、構造政策が先にあって、その後において価格決定される、こういう農政の全体的な、つまり総合農政の中で決定される米価ではないというところに問題がある。言いかえるならば、場当たり的な農政、そのしりぬぐいの結果としてこういう非常に好ましからざる形の支出というようなものが生まれてきた、こういわざるを得ぬと思うのです。したがって、これはやはり農家そのものにとっても、生産者にとっても、いまのような米価のきめ方では、きわめて先々不安である。したがって、この際は、こういう米生産農家にとって、将来とも、この経済の安定、他産業との格差の是正もあるでしょう、もっともっと農家経済の安定をはからなければならぬ。そういう見地に立って、そうして総合農政の中で妥当な米価決定をする。他作物への転換にいたしましても、そこに価格保障等を加えて、そうして総合農政の中でその方向を明確にしていかなければ、いつまでもいつまでもこのような状態を繰り返す。毎年毎年もうこれが大きな一つの問題になってくる。こういうことでは、いつの決算審査においてもこういう問題がまた爼上に上げられて、そこでけんけんがくがく論議をしなければならぬというようなことが繰り返されるのではないか。したがって、この米生産農家の将来を考えて、一体この総合農政というもの、これが明確に打ち出されなければならぬという時期が到来しておると思うのですけれども、農林当局はどうですか。こういう米価のきめ方、いま私が申しました一連のそういうことから考えまして、再びこのようなことを繰り返さないような農政のビジョンをお持ちでございますか。
  25. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの坂井弘一君の御質問に対して、きょうは食糧庁亀長長官にかわって次長中村君が参っておりまするから、中村次長から答弁させます。中村君。
  26. 中村健次郎

    中村(健)政府委員 お答え申し上げます。先生の御指摘のとおり、農政といたしましても、農林省といたしましては総合農政立場構造改善を進め、その中において妥当な米価の水準を見つけていくという方向で考えておるわけでございます。生産調整等、現在やっておりまして、そうした計画によりまして需給均衡のとれた米の生産に持っていく、また現在生じております過剰米は計画的に処理をいたしまして、正しい姿の米の需給状況の中で正しい米価に持っていく、こういった考え方に基づいて米価を考えていくべきものであろうと思います。しかしながら、米価は、食糧管理法の定めによりまして決定いたすことになっておりますので、農家の所得の補償という問題もございますし、そういった点につきまして、米価審議会においていろいろ議論をお願いいたしまして、決定いたしていくべきものである、このように考えております。
  27. 坂井弘一

    坂井委員 いろいろ議論のあるところでございますけれども、時間がございません。  次の問題に移りますが、環境庁の光化学スモッグ対策費、これの予備費について伺いたいのでありますけれども、昭和四十六年の十二月三日に、光化学スモッグ発生原因究明のために一億二千二十八万六千円、この予備費閣議決定いたしておりますけれども、この理由をひとつ簡単にお伺いいたしておきたいと思います。
  28. 福田繁芳

    福田委員長 竹内大気保全局企画課長見えておりますから、坂井君、あなたの御質問に対して答弁させます。竹内君。
  29. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 お答えいたします。光化学スモッグの問題につきましては、昭和四十五年の七月に東京の私立立正高校で発生いたしました光化学スモッグ事件といわれておりますものをきっかけに、光化学スモッグによるといわれている被害が東京湾の周辺あるいは大阪湾周辺地域などを中心にいたしまして、多数発生をしてきたわけであります。で、各都道府県からの報告を見てきますと、昭和四十五年度には全国で約一万二千人ばかり、昭和四十六年度には約四万八千人というふうに、主として目の刺激などの被害の届け出があったわけであります。被害の届け出者の約六割は東京都におけるものでございまして、また届け出者の大部分は学童であるとかあるいは戸外勤務をしておられる職業集団の方々という人たちでございます。症状は、いずれも目とか、のどの刺激などの軽い症状を訴えている者がほとんどでございます。  光化学スモッグ対策そのものにつきましては、昭和四十五年度の夏以来、国の試験研究機関を中心に、特別研究促進調整費などによりまして、測定機器の開発などの基礎的な研究を行なってきたところでございますし、また四十六年度にも、前年度から引き続き研究をするほかに、光化学スモッグ対策の緊急性にかんがみまして、予備費を一億二千万円をお願いいたしまして、東京湾地域についての航空機による広域的な汚染物質調査を行ないますと同時に、自動車に各種の測定機器、実験装置などを載せました移動用のスモッグチャンバーを製作することにいたしたわけでございます。四十七年度におきましても、引き続きこれらの試験研究の推進をはかるとともに、この一億二千万円の予備費を用いまして、光化学スモッグ発生の機序あるいは人の健康に及ぼす影響などにつきまして、総合調査を実施するということにいたしておりまして、そういうことから私どもとしては、広域的な被害があったということ、それから環境庁の発足に伴いまして、ひとつ光化学スモッグに対して、より積極的と申しますか、前向きにこれに対処していきたいということ、それから四十七年度、本年度において予定をいたしておりますものに対しまして、ことしの冬と夏との大気汚染のパターンを比較をしていきたいということ、さらに、いま申し上げましたように、夏の対策に、発生の時点に移動用のスモッグチャンバーを出動させまして、現地で分析、解明するというためには、どうしても四十六年度中にスモッグチャンバーの製作をする必要があった、こういったようなことから予備費をお願いいたしたということでございます。
  30. 坂井弘一

    坂井委員 一億二千万、これをその対策に充てた、このことに対しては私は異論ございません。ただ、まとめて申し上げますけれども、四十五年の七月十八日、立正高校で問題が発生してそれ以来ということでございますけれども、その前の月、四十五年の六月二十八日に千葉県下で起こっておりますね。いま数字をあげられました。確かに四十五年は一万一千六百十二件の被害届け出、それが四十六年になりますと四万八千二十五件、つまり四倍になっておる。にもかかわらず、私、申し上げたいことは、四十五年度の予算におきましては、光化学スモッグ対策費として五千五百七十七万六千円、これを計上した。しかるに、四倍も被害が出ておりながら、四十六年度の当初予算においては四千八十一万七千円、つまり千五百万円減額した。これは理由は何でしょうか。
  31. 竹内嘉巳

    ○竹内説明員 減額したというお話でございますけれども、私どもとしては、四十五年の夏に発生をいたしまして、それ以後科学技術庁の協力を得まして、技術研究の特別調整費を用いまして、先ほど申しました研究を四十五年度、四十六年度と引き続き実施をしてまいったわけであります。かつ、光化学スモッグそのものの発生基準につきまして、なかなか現在の科学技術のもとで必ずしも十分な解明ができるとは言い切れないむずかしい問題がございまして、まずこれらについての検討をあわせて開始をするということから、有効適切な対策を確立するための基礎研究、基本的な考え方、あるいは測定機器の開発、こういったものに中心を置いて四十六年度は準備をし、四十七年度にひとつ全面的に解析対策を進めていこう、こういうシステムで考えたわけであります。
  32. 坂井弘一

    坂井委員 それではお答えになっていないのですよ。私は端的に数字をあげて申し上げておる。四十五年度においては五千五百万、四十六年度が四千万ですね。つまり千五百万の減額。これは一がいに額だけで公害対策が前向きであるかうしろ向きであるかというような論議は私はしたくないのです。ただしかし、いまあなたがおっしゃるとおり、光化学スモッグが四十五年に発生して、世間がたいへん戦々恐々といいますか騒いだ。大げさな表現かもしれません。つまり、えたいの知れないそういう公害原因が究明されていない。したがって、この原因の究明は早急にやらなければならぬ。これは大きな課題であったはずなんです。それが翌年の予算において減額されたということは、私ははなはだうしろ向きではないかということを一点指摘したわけです。そして、同じく四十六年度の予備費でもって一億二千万余円手当をした。そのおもなものは何かといいますと、いわゆるスモッグチェンバー、これは測定機器を積んだ移動車でございますか、これを早急に手当てしなければいかぬということですね。これは最初からわかっておることじゃございませんか。こういうことはあなた方の目的の中に書いてありますよ。目的の中に、緊急かつ重要だ、したがって、この一億二千万余円は必要なんだ、当然でしょう。そのこと自体はすでに四十五年の際にわかっておったはずなんです。それを予算面でそのようなうしろ向きの予算をつけて、つまり減額をして、そして大あわてで予備費でもって手当てをせざるを得ないというような、こういう公害対策のあり方を私は指摘しているのです。これがはたして前向きかどうかということですね。私をして言わしめれば、これは全く——環境庁、言い分はあるでしょう。それは前回は厚生省であり科学技術庁です。各省ばらばらの公害対策であった。それが環境庁が発足をして、このようなまとまった予算を、必要であるということでもって急速一億二千万余円の予備費決定を見たのである、こういうわけでありましょうけれども、しかしながら、環境庁そのものも厚生省の公害部あたりが引き継いでおるわけでございますから、そうは言えないと私は思うのです。  これはきょうは一点指摘にとどめておきたいと思いますが、いずれにしましても、こういうような予備費使用あり方、事前に十分当初予算において計上しなければならないはずのものが予備費から使用されておる。これは決してほめられた使用あり方ではないということを強く指摘いたしまして、本日はこれでとどめておきたいと思います。
  33. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの坂井弘一君の御所見に対して、幸いに水田大蔵大臣がまみえておられますから、水田大蔵大臣の所見を申し述べてもらいとう存じます。水田大蔵大臣
  34. 水田三喜男

    水田国務大臣 いまのお話、私は具体的な問題よく存じませんからわかりませんが、研究費では、よく同一テーマの研究を二年、三年続ける場合には、一番最初の初度費というわけではございませんが、機器の整備をしたりなんかするので、一番最初にそういう非常に大きい金がかかる、それができると、二年、三年目の研究費というものは今度はほんとうのそういうものに基づいた研究費でございますので、かえって金額は落ちることがあるというような関係がいまの問題にあるのじゃないかというような気がいたしますが、これは実情をよく知りませんからわかりませんが、わざわざ研究費を減らしたということはないのじゃないかというような気が私はいたします。いずれにしましても、当初これがわかっておったというものが当初予算に計上されないで、中途で予備費にこれをたよるということは、できるだけ避けたいものと思っております。
  35. 福田繁芳

    福田委員長 この際、吉田賢一君の発言を許します。吉田賢一君。
  36. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 水田さんにいろいろと伺いたいことがあるのですけれども、きょうはほかの委員会並びに当委員会の時間制約で、時間がございませんので、予備費に関しまして一点だけ伺っておきたいのであります。  四十五年度の一般会計の予備費が千百億円計上されていたようでありますが、同年の八月八日現在におきましては、この予備費の残が千億円ございました。ところが当時予備費使用につきましはいろんな需要が山積しておったらしいのでありますが、まだそこまで使うに至らず、そこで、千億円残っておりました。一方、人事院勧告による公務員の給与改定の必要に迫られました。当時この財源が千八百八十五億円要るらしゅうございましたね。そこで、この千億円の残額の予備費とプラスいたしましたもので追加予算を組みまして、それでいまの給与ベースの引き上げに引き当てたらしいのであります。この点は、追加予算は正式に予算として国会で議決しておりまするので、別に違法でもなければどうもありませんが、ただ、積み上げておいた予備費を、山積する予備費需要の事情相当あるにかかわりませず、給与ベースの引き上げ——当然これも人事院勧告でありますから、実施しなければいけません。この経費に引き当てるために、予備費をくずして、そして追加予算の財源にして追加予算で給与引き上げに引き当てた、こういう事実があるらしいのでございますが、この点は種々の点から論議されるべきだと思いますが、私は、予備費を設定いたしました財政法の趣旨にかんがみまして、このような一種の別の趣旨に利用するということは本筋を逸脱した扱い方にならぬであろうか、こう思います。これはちょっと突然の質問でありますので、ことにこれは福田さん当時のことでありまするから、あるいは御記憶がいかがかと思うのでありますけれども、本来それは筋ではない、そういうことをすべきでないのが予備費のたてまえだ、こういうふうに考えますので、予備費をつくって、予備費を国会が承認いたしましたときに、それを利用すべき目的、範囲からして、補正予算を組んで、その財源に引き当てるというやり方、こういうことは予算の編成権の乱用につながっていくのではないであろうかというふうにさえ考えるのですが、この点はどういうふうに大臣お考えになりましょうか。ひとつお聞かせ願っておきたいと思うのです。
  37. 水田三喜男

    水田国務大臣 その問題は主計局の次長からちょっと御説明いたします。
  38. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 お答え申し上げます。御指摘のとおり、四十五年度の予算におきましては、当初予算で一千百億円の予備費を計上いたしておりまして、これを補正1号に際しまして百億減額をいたしております。したがいまして、補正後予算におきましては、予備費の額は千億ということになっております。ただいまの御質問の御趣旨は、当初予算で計上した予備費を補正の際に減少をして、その財源を他の経費にいわば振り当てるということは必ずしも妥当ではないのではないかという御質問だと思うのでございますが、私どもの考え方を申し上げさしていただきますと、予備費と申しますのは、先生よく御存じのとおり、つまり予算編成の時点で予見しがたい経費の不足に充てるために、内容の責任において支出できる金額の限度を国会において御審議願い、議決を願うという性質の金である、したがいまして、補正をいつ組むかにもよりますけれども、補正予算を提出してあらためて御審議願います時点では、その時点以後年度末までに内閣の責任支出ができる金額の限度はどれくらい授権しておいていただければよろしかろうかということを再度検討するということが、むしろ財政当局としてはやるべきことではなかろうか、その意味で、四十五年度補正予算の段階で検討をいたしまして、補正予算の時点から年度末までに予備費としては千億の権限をいただいておけば、その時点で予見できない歳出の不足を補うのには十分であろうかという考え方で百億の減額をいたし、これを追加財政需要の財源として用いたというふうに了解いたしております。なお、御承知のとおり、補正の際に予備費を減額して財源として用いるという例はかなりひんぱんにございまして、三十三年以降でもこれをやっておらない年のほうがむしろ珍しいという経緯をたどっておるかと思っております。
  39. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 給与ベースの引き上げにつきまして人事院勧告によるもの、これは民間との比較がもとになることと思いますが、こういうものはおよそ予備費が想定される、もしくは予備費を組んだ精神からは全く別な次元の財政ではないだろうか。それから、予備費を追加予算で他の経費に引き当てるようなことはしばしば常例になっておるということでありますが、そういうことは、あらかじめいろいろなことを想定いたしまして予備費というものをそれに使うということで、将来悪例になるおそれはないであろうか。やはり予備費はあくまでも財政法の趣旨に沿いまして、不測の経費、予見しがたい諸経費に引き当てる、もしくは閣議決定しておる当然の軽微なものに引き当てるとかというような範囲を厳格に守らなければならぬ。予備費というのは、何かつまんで隠した財源に置いておいて、そうして何か必要が生じたらそれに追加予算で組むという、そういうやり方は、当初は国民は考えておりません。税金を出すほうは、予備費はあくまでもそのような不時な不測の経費に引き当てる、こういうために出したものである、こういうことで予算が通過したはずであります。これは大蔵省で隠し財産のごとく、そういうような扱い方が常例などというのは、これはとんでもないことであります。そんな常例でありましたならば、これは予算審議の際に厳格に予備費につきまして、千百億円、三千億円、一体何をどう想定・したのか、前提は何か、それなら災害は何を資料にしておるのか、何を多くの資料として、どんな方法で集めたのか、そこまで追及してみなければ予備費の妥当性というものは結論づけられません、そういうふうにも考えられます。それは次長、あなたはとんでもない御発言だと私は思うのです。こんなことは国民が聞いたらびっくりいたしますよ。何かつまみの、隠しの財源を持っておいて、そして必要なら追加予算に組む、それを引き当てたらいいじゃないか、こういうことになったらたいへんです。そんなつもりは国民はありません。理解の大きな食い違いであります。大臣、そういうふうにお思いになりませんか。具体的な当事案につきましては答弁はよろしゅうございます。しかし、そういうようなものの考え方、財政の仕組み、構想、思想というものは、これは財政の一つの紊乱につながっていく。財政権がある、予算の編成権があるというところに、そんな考え方がありましたら、これはとんでもないことでございます。あくまでもガラス張りのうちにおきまして財源なるものは、その趣旨、目的等については明らかに国民に理解をせしめなければいかぬ、こう思うのです。それは大臣、どうお考えになりましょうか。
  40. 水田三喜男

    水田国務大臣 予見しがたいものという中には、項目も予見しがたいし、むろん金額も予見しがたいというものがございますが、人事院勧告のごときは、項目としては予見し得る、しかし金額として全然予見できないというようなものでございますので、したがって、この人事院勧告を尊重するという立場政府がとるためには、一定金額を給与費の中に準備しておくことと、全くわからないことでございますので、一部はこれを予備費で準備しておくということはやはり必要であり、またそうすることは予備費使用として不当なものではないというふうな気が私はいたします。
  41. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題につきましては、なおいろいろな角度から検討してみたいと思いますので、別の機会に譲ることにいたします。  それから大臣、時間はまだいいのですか、あと何分ですか。
  42. 福田繁芳

    福田委員長 吉田君に申し上げますが、大蔵大臣に対するあなたの御質問あと三分か五分で一応打ち切ってもらいたいのであります。
  43. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは大臣、別な機会にしましょう。お互い三分か五分ではとてもやれませんので、そういたします。もういいです、三分か五分でしたら。  ちょっと待ってください。一言だけ言うておきましょう。  水田大蔵大臣、御承知のとおりに、予備費使用調書をずっと毎年見てみますと、これは多くの災害復旧の経費に引き当てられております。これにつきましては、私は前回もそのことは言うたし、そのつど言うておるのでありますが、日本は災害の国でありますので、予備費を使うというような不健全な行き方じゃなしに、災害を未然に防ぐということにつきまして、高度な科学的な手法を用いまして防御を講じていくということに予算をひとつ投じてはいかがか。そういうことをしないで、災害復旧が原状回復にあらずして、実はその機会に便乗いたしまして、より堅牢な何か特殊な工事をやっていくというようなことがしばしばあるのです。この委員会におきましても現地調査をして、何回もそんな実例を見ておるのであります。そのほうが予算の効率的な使用になる、こういうふうな理由もあるのです。そういうことがありますので、この災害復旧費に予備費を使うということについては異存はないけれども、その以前の災害発生についての予防的な措置、対策を国策として樹立するということにもっと目を開いていかなければいかぬというのがわれわれの議論なんです。そういうこともありますので、その点につきまして高い政治姿勢の観点から、財政当局は予算編成の観点から、さらに一段とくふうをこらしていかなければいかぬ、こう思うのですが、大臣はどうお考えになりましょう。それを伺っておきます。
  44. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはり災害予防に金を使うことはどうしても必要だと思いますので、できるだけ今後努力したいと思います。
  45. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 また残しておきましょう。
  46. 福田繁芳

    福田委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  47. 福田繁芳

    福田委員長 これより昭和四十五年度一般会計予備費使用調書及各省庁所管使用調書(その2)外三件の承諾を求める件、及び昭和四十六年度一般会計予備費使用調書及各省庁所管使用調書(その一)外二件の承諾を求める件について討論に入ります。  討論の申し出がございますので、これを許します。綿貫民輔君。
  48. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 昭和四十五年度一般会計予備費使用調書及各省庁所管使用調書(その2)外三件、昭和四十六年度一般会計予備費使用調書及各省庁所管使用調書(その1)外二件の事後承諾を求める件について、私は、自由民主党を代表いたしまして、賛成の意を表したいと存じます。  申し上げるまでもなく、四十五年度一般会計予備費使用は、主として河川等災害復旧事業等に必要な経費及び国民年金事業に対する国庫負担金の昭和四十四年度精算不足を補うために必要な経費等であり、また四十五年度各特別会計予備費については、厚生保険特別会計健康勘定における保険給付費の不足を補うために必要な経費及び失業保険特別会計における福祉施設給付金の不足を補うために必要な経費等であります。  さらに、四十六年度の予備費使用は、一般会計においては前年同様、河川等災害復旧事業に必要な経費及び昭和四十六年産自主流通米等にかかる良質米奨励金及び米品質改良奨励金交付に必要な経費等であり、また各特別会計においては、石炭対策特別会計における炭鉱整理促進費補助金の不足を補うために必要な経費及び空港整備特別会計における航空事故防止緊急対策に必要な経費等でありますが、これらはいずれも予見しがたい予算の不足に充てるための支出であり、憲法、財政法の規定に照らし適当であると認められます。  ただ近年、予備費の額は次第に増大する傾向にあり、特に、現在参議院において審議中の昭和四十七年度予算では、千八百億円の予備費か計上されており、前年度の二倍近い増額となっております。したがって、その使用にあたっては、従来以上に厳格かつ慎重な配慮が必要であります。政府においては、この点に留意し、一そう予備費管理の適正を期せられたいと存ずるのであります。  以上、一言希望を申し添え、私の賛成討論を終わります。
  49. 福田繁芳

  50. 下平正一

    下平委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました予備費使用等の承諾を求める件に対しまして、不承諾の意を表明いたしたいと思います。  その理由は、まず昭和四十五、四十六年度予算並びにその財政運用につきまして、社会党は基本的に反対の立場をとっておりますので、この観点から予備費支出についても基本的に反対、承諾をいたしかねるのであります。  その二つは、具体的な予備費支出について改善をされている点を認めるにやぶさかではございませんが、なおその手続、その支出の内容等についてしさいに検討してみますると、承諾しがたい点があります。  以下、若干の問題点を指摘いたしたいと思います。  そもそも国の財政を処理するための基本方針は、憲法、財政法に明示をされておりまするが、国の財政を処理する権限は国会の議決に基づいてこれを行使するときめました憲法八十三条、国費を支出し、または国が債務を負担するには国会の議決に基づくことを必要とすると定めてありまする憲法八十五条、予算は国会に提出してその審議を経なければならないときめている憲法八十六条の規定がその基本だと思います。これらの諸規定は、要するに国費の支出は事前に国会における審議とその議決を必要としているものだと思います。  こうした基本に対しまして、やむを得ない予算執行上の運用措置として認められているのが予備費の制度であります。したがいまして、予備費支出にあたりましては、厳格に憲法に定められた予見しがたい予算の不足に限定をされるべきだと思います。予備費支出は事後において国会の承諾を求めるのだからよいではないかという解釈のもとに運用の幅を拡大をしていくごとは、行政権の行き過ぎでありまして、場合によっては国会審議権を侵すことになると思います。こういう考え方から、提案をされておりまする問題を見ますると、たいへん問題があると思います。したがいまして、国会におきましても、この予備費と決算につきましては明らかに異なった扱いをいたしております。国会において政策論議が十分に行なわれて、その結論としての予算の執行経過を審議する決算と、国会において全く審議を経ない単なる行政府の判断のみによって支出をされた予備費とは、おのずから審議のやり方も憲法上においても国会法上においても明らかに異なる区別がされております。すなわち予備費の審議は、両院それぞれに提出される決算と異なりまして、予算と同様国会の議決が必要とされている案件であり、かつ予算と同様に衆議院の先議案件として取り扱いをされているわけであります。国会における審議の場所がたまたま決算委員会という場所でありまして、そのときの決算と同時に取り扱われていることから、とかく予備費使用についても安易に扱われていることは、単に政府に自戒を求めるだけで労しに、議決機関の院としても今後再考を要する問題点ではなかろうかと思います。  私ども社会党は、こうした理解のもとに立ちまして、ただいま上程をされました予備費使用等を検討いたしますと、その内容、手続において承諾しがたい点があります。先ほど公明党さんの質問にも出ておりましたとおり、たとえば昭和四十六年度自主流通米等にかかわる良質米奨励金及び米品質改良奨励金交付に必要な経費として予備費から八十三億六千二百五十万七千円が支出されておりまするが、これは予備費として支出すべき性格のものではありません。これは御承知のとおり、昨年の五月の四十六年度生産者米価決定の際に、政府と与党によって上積みされたいわゆる政治加算金二百二十七億円の一部をなすものであります。この加算金は、御承知のとおり、一昨年の米価決定におきまして、政府与党のなれ合いによりまして二百三十八億円が上積みされましたが、それをまた本年度も同様に行なっているのであります。生産者米価を値上げすることに対して決して反対をするものではございませんけれども、米価は御承知のとおり国民生活に重大な影響がありますし、また農民所得、農業に対して重大な影響を持つ政治上の大きな問題点でもあります。このような政策あるいは問題点を残す米価というものが、単なる政府与党の折衝のみにおいてなれ合いで、国会審議を無視して、あたかも予備費は隠し財源だというような考え方に立って予備費支出することは、許されてはならないと思います。  また、原爆被爆者医療費に対しまして予備費支出がなされておりまするが、これは医療費の不足約二億六千万円を補うために、被爆者手当交付金その他の経費から流用をいたし、なお流用をしても不足するということで、二千九百十万八千円を予備費から支出を行なっているものでありまするが、ところがこの経過をしさいに見ますると、被爆者手当交付金は約十億円であります。この中でこの医療費に流用をいたしましたのが一億五百万円、なお流用後において一億二百万円が不用額として予算返上をされております。実質的には二億円の不用であります。なぜこの関係を言うかといいますと、この予算予備費使用は、年度末、三月においてすべて行なわれているわけであります。本来厳格に予備費を考えていくならば、運用というものに責任を持って考えるとするならば、被爆者手当の流用のみでこの医療費の赤字は補てんができるはずであります。まさに予備費使用の安易な運用を激化させている一面だと思います。  なお、佐藤総理の米国訪問に対する支出、あるいは対米繊維の自主輸出規制に対する支出などなども、私たちの認めるところではありませんけれども、詳細は省略をいたしたいと思います。  以上の理由と具体的な事実に基づきまして、私ども日本社会党は、提案をされました本案件に対しましては、承諾しがたいという意思を最後に重ねて表明をいたしたいと思います。  以上です。
  51. 福田繁芳

  52. 坂井弘一

    坂井委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました予備費等の承諾を求める件につきまして、次の諸事項をおもな理由に、承諾し得ないことを申し述べます。  第一は、農林省の所管事項中、食糧庁の予備使用についてであります。  食糧管理特別会計の赤字は、年々膨大になっており、昭和四十五年度は三千五百億円、四十六年度は四千六百億円に達しようとしております。政府は、その抜本策を講じようとしないばかりか、米価対策に終始し、その財政負担を増加させているのであります。昭和四十六年度予備費使用を見ますと、自主流通米に対する米品質向上奨励金支出は、まさに政府の政策の見通しの甘さであり、場当たり農政から起きているものであります。この米品質向上奨励金八十三億六千余万円は、米価審議会の無答申のままに、四十六年五月一日に政治加算金というべき米価引き上げを閣議決定したことによりまして発生したものでありまして、予備費本来の趣旨、予見しがたいものに類さないものであります。また、自主流通米制度は、政府が食管の赤字負担軽減をねらいとしたものであります。これに大幅な財政援助をしなければ維持できないということは、農政の確たるビジョンがないことを明らかに物語っております。さらに、四十七年度以後におきましても、この種の件で予備費から毎年支出されるのであれば、予備費の本旨を曲げるものであります。政府は確たる農政のビジョンを示し、当初予算に計上すべき筋のものとして、国会で審議すべき性格のものと思います。  第二には、環境庁所管の光化学スモッグによる大気汚染対策の予備費使用についてであります。  昭和四十六年十二月三日、光化学スモッグ発生原因究明のために一億二千二十八万六千円の予備費使用閣議決定をいたしました。その前年度の四十五年七月十八日光化学スモッグが初めて発生しておりますが、その後半年間に一万一千六百十二名も被害者が出ている実情であります。そのために四十五年度の光化学スモッグ関連調査研究費は五千五百七十七万六千円を計上しているのであります。さらに、四十六年度の被害者は、四万八千二十五名で、前年度の四倍も被害発生が増加しているのであります。しかるに、四十六年度の当初予算においては四千八十一万七千円で、前年度予算よりも約一千五百万円も減額しているものであります。経済成長に応じて光化学スモッグの発生が増大することは必然でありまして、予測しがたいことではないのであります。にもかかわらず、一億二千万円余の予備費使用は、当然のこととはいえ、公害対策に対する政府の積極的かつ一貫した取り組みの姿勢が全くない何よりの証左であります。光化学による大気汚染は、国民の健康上から見ても重要な問題であるので、環境濃度立体調査並びにその対策のため、予備費から使用するのではなく、当初予算に計上すべき性質のものであります。  以上、あげましたことを主たる理由といたしまして、不承諾の意を表明するものでございます。
  53. 福田繁芳

    福田委員長 吉田賢一君。
  54. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま御提案の昭和四十五年度一般会計予備費使用調書及各省庁所管使用調書(その2)外三件、並びに昭和四十六年度一般会計予備費使用調書及各省庁所管使用調書(その一)外二件に対しまして、一、二の点を要望いたしまして、これに賛成の意を表するものであります。  一つは、予備費がたくさんに用意されるということは、予算財政の見地から見まして、決して好ましい現象ではございません。いま使っております予備費につきましては、それぞれ論議すべき材料がございます。ただ、しかし、客観的にやむを得ざりし不測の、予測しがたい不足を生じたというような原因は認め得られますが、けれども、もとを固めて、そして財政を健全にするという観点について配慮が足りないということは、根本的な日本の財政のあり方に対するわれわれの批判であります。この点につきましては、単にこのいまの案件のみならず、一般論として、政府は謙虚にこれを受け入れねばならぬ。これはもちろん政治の姿勢にもつながりますし、行政姿勢にもつながりますし、かつまた別の角度から見ますると、何%ほどの予備費を予定しておきまして、そうして、これをさきに指摘をいたしましたごとくに、全然考えなかった給与ベースの引き上げ、しかもそれは人事院勧告に基づくものであるというものに引き当てておるということに至りましては、これは全く筋を没却いたしました予備費の使い方と申さねばなりません。表向き予備費を使っておりません。けれども、実は予備費を組みかえて補正予算にしたのでございますから、こういうような考え方は、今後は厳として改めてもらわねばならぬ。やはり予備費予備費といたしまして、予測しがたい原因は何にあるかということをもっと厳格に究明するという姿勢が望ましい。とともに、補正予算を組む場合におきましても、総合予算主義になったのではございましょうけれども、いろいろな点からこれは趣旨を混淆した予算の編成になるのではないであろうかということを憂える次第でございます。  要するに、これらのことを考えてみますると、各省庁ともに使っておる予備費につきましては、私は、やはり幾多それぞれ反省すべきものが相当にあることを指摘いたしたいのであります。全部これを一々指摘することはきょうはいたしません。いたしませんが、前回の予備費を上げますときの私の討論の趣旨は何ら反省もされておりませんし、またその趣旨は今日も堅持しておる次第であります。あくまでも予備費は、財政法の法意、趣旨に従いまして、予見しがたい、予測しがたい経費に引き当てるということを、国民の血税という観点に立ちまして厳格に今後は編成していかねばならぬ、かつまた使っていかねばならぬ。こういうふうに考えますので、これらにつきまして一般的に政府姿勢の大いなる反省を求めまして、私はこの案件に賛成の意を表するものであります。
  55. 福田繁芳

    福田委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、昭和四十五年度一般会計予備費使用調書及各省庁所管使用調書(その2)、昭和四十五年度特別会計予備費使用総調書及各省庁所管使用調書(その2)、昭和四十五年度特別会計予算総則第十条に基づく経費増額調書及び経費増額調書昭和四十五年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及各省庁所管経費増額調書(その2)、以上四件について採決いたします。  各件をそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  56. 福田繁芳

    福田委員長 起立多数。よって、各件は承諾を与えるべきものと決しました。  次に、昭和四十六年度一般会計予備費使用調書及各省庁所管使用調書(その1)、昭和四十六年度特別会計予備費使用総調書及各省庁所管使用調書(その1)、昭和四十六年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及各省庁所管経費増額調書(その1)、以上三件について採決いたします。各件をそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  57. 福田繁芳

    福田委員長 起立多数。よって、各件は承諾を与えるべきものと決しました。  次に、昭和四十五年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)について討論に入るのでございますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  本件は、異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  58. 福田繁芳

    福田委員長 起立多数。よって、異議がないと決しました。  なお、ただいま議決いたしました各件についての委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 福田繁芳

    福田委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  60. 福田繁芳

    福田委員長 次に、昭和四十四年度決算外二件を一括して議題といたします。  大蔵省所管について審査を行ないます。  質疑の申し出がございますので、これを許します。丹羽久章君。
  61. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 大蔵省所管についての問題でありますが、内容は食糧庁関係にあるわけであります。  一般会計の予算のうちで大きな数字を占めるのは食糧庁関係にあると思いますが、きょうは大蔵省の主計局次長がいらっしゃいますが、次長にまず数字的にお尋ねすることを抜きにいたしまして、食糧庁中村次長に直接お願い、さらに兵藤経理部長にお尋ねいたしたいと思いますが、昨年というのか一昨年というのか、米が余る米が余るということで、増産してもらってはいけない、減反しろ、離作しろという政策が発表せられてまいりました。党もそれを真に受けて一生懸命やったはずであります。また農林水産委員会でも熱心にそれを討議せられたようであります。そして離作する人あるいは一時休農するというような人にはそれぞれの手当も出すという形であります。そうして、さらに昨年の米のとれ高が少し天候のかげんで悪いという発表がせられた。すると、もう新聞発表並びに食糧庁あり方が、いままでずいぶん米が余って困っておったという、それと逆な現象をだんだん示すようになってきたのであります。   〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕 特に最近デパートで米を売る、スーパーで米を売るようになってまいりましたが、その価格は特米であるということで、一時、特米だから価格の基準というものはないというような形であるが、それは政府がよく監督しておるからたいした影響はありません、そういうようなことは心配ありませんということでありますが、もういまではだんだんおそろしい買いだめ傾向というのか、もしものことがあったらという考え方なのか、それは別として、米が上がりつつある現状を考えてまいりますときに、いままでの一応離農していく、休耕させるというような形、同時に、倉庫にたくさんの米が入っておった現実から考えてみて、下のほうはほとんどカビがはえているというような実態も、前の決算委員会なり、私ども調査に行ったときに、その倉庫調査の結果現実を見たのでありますが、あとで話を聞いてみると、食糧庁はそういう形をつくっておるだけであって、現実はそうでもないというようなことを私の耳に入れた人もありますけれども、私は政府を信用しておりましたので、一年や半年一割や二割の減産をしたからといって米がこんなにやかましくきびしく言われるようなことはあり得ないと思っておったのにかかわらず、昨年一年だけで相当大きな変わり方をしてきたということは、一体真剣に取り組んだ数字を発表したのかどうかということに私は疑念を抱かざるを得ないということであります。そこで食糧庁次長にその点をひとつ尋ねたい。  もう一点は、前の食糧庁長官に、米が余るとするらば貯蔵方法を考えてみよ、新聞にも報道せられておったけれども、琵琶湖にビニール袋に入れそれを埋めておけば、あそこの水温等の関係からいって相当長期に持つというようなこと、あるいはほら穴でも中に入れると、これまた温度的にかなり持てるという話であるが、それはどうしておるかということを聞いたら、その点についてはいまちゃんとやっておりますから、来年一年間たてば結果が出ます、だから一年の間ごしんぼういただきたいと言われたけれども、何らの発表も私は聞いておりません。質問をしたからといって、私のところにこういう結果になったという発表を聞こうとは思わぬが、そのときにある程度予算が計上せられて、ある程度の金がちゃんと出されておるはずだけれども、その後の結果はどうなったかということを次長並びに経理部長から御答弁をいただきたいと思います。
  62. 中村健次郎

    中村(健)政府委員 お答え申し上げます。米の生産事情が変わった、したがって需給上いままでと変わったのではないかという御趣旨の御質問がございましたが、米の生産基調といたしましては、生産が需要を上回っておるという基調には変化は起こっておりません。ただ、四十六年産米につきましては、かつてない非常な天候の不良によりまして、非常な大きな不作ということが起こりましたので、予定よりも約八十万トン程度の不作になったわけでございますが、こういった状況でございましても、もともと古米を食べられます。前年度の古米を四十五年産米につきましても百五十万トン程度持ち越しておりまして、そのうち百万トン程度は何ら支障なく配給に回す、こういうことができますので、年度末におきましては、四十六年産米の八十万トンの不足がございましても、約二十五万トン程度の持ち越しを持つことができる、こういう状況で今米穀年度を推移いたす予定でございますが、ただ、続きましてまた不作があるというような状況になりますと、二十五万トンの持ち越しでは不安がございますので、四十七年産生産調整につきましては、本来であれば二百四十万トン生産調整して、需要、供給が均衡するわけでございますが、それを二十五万トン程度生産調整計画を減らしまして、持ち越し数量を五十万トンに増強するというふうな手段をとっておりますので、需給上心配はない状態で進んでまいっております。  なお過剰米につきましても、処理は非常に順調に進んでおりますけれども、なおかなりの過剰米を持っておりまして、これを今後二年ないし二年半で処理をしていくというような状態でございます。  次に水中貯蔵の試験につきましては、琵琶湖におきまして水中に貯蔵をして米の品質がどう変わるか、水が入らないか、そういったことを検討いたしたわけでございますが、その結果は、容器が途中でこわれるものもございましたが、大体において水が入らないで気密な状態で保存ができる、なお品質につきましても、一年たってあけてみて変化がない、非常にいい状態であるということがわかりましたが、これは容器あるいは沈めます手間、その他の経費が非常にかかりますので、なお過剰状態が続くようであれば、引き続き実用化についての検討を必要とするわけでございますが、生産調整ということが計画的に行なわれるというふうに政策も確定いたしましたので、いずれ過剰米は計画的に処理できる、年々の生産は需要に見合って生産される、そういうことで今後新しい過剰米は生じない、こういう需給事情になってまいりましたので、今日ではその段階で検討を終わっており、引き続き実用化の検討をするというふうなことはいたしておらない状態でございます。
  63. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 いま聞くと、四十六年度は近年にない不作だといわれるが、それはなるほど近年にない不作ですよ。毎年毎年豊作だから近年にない不作だ、それはわかりますが、八十万トンの減作をしたからといって、百五十万トンは予備に米を持っていた。だからその百五十万トンのうちで百万トンは使えるのだ。だから八十万トンの不足分を補っても、二十万ないし二十五万トンは残ります。しかしもし、考えたくないことでありますが、不作であって、また八十万トンなり七十万トンなりがとれないという事態が起きてきたとしたら、局長はどうしてこれに対する不足分を供給しますか。その点ひとつ答えてもらいたい。
  64. 中村健次郎

    中村(健)政府委員 先ほど申し上げましたように、四十七年産米生産調整につきまして、需要量よりも生産を二十五万トン多くできるようにいたしておりますので、持ち越しが百万トンには達しませんけれども、五十万トンに回復する、こういうことで、普通の天候の悪さによる減収等の場合にはこれで十分対処できるというふうに考えておりますが、かりに二年続きまして八十万トンのようなまた不作があったという場合には、三十万トンの不足ということにその時点ではなりますけれども、最近は米の作が非常に早くなっておりまして、御承知のように九月、十月というときには多量の新米の生産買い入れがございますので、かりにそういったことがございましても、四十八年産米の買い入れによりまして需給上の操作は十分にできる、このように考えておりますし、なお四十五年度以前の過剰米につきましても、四十七年三月末でなお減ったとは申しましても、約三百七十万トンの米を持っておりますので、緊急の事態の場合にはごれも十分食糧になる米でございますので、そういった不測の事態に対しては十分対処できる、このように考えております。
  65. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 次長、三百数十万トン手持ちを持っておるから、ここ二、三年もしものときがあっても心配ないと言っていらっしゃるが、私は農林省の数字自体に非常に信用のおけない面がたくさんあるんですよ。農林水産委員の諸先生も熱心に入っておっていただきますので、農林水産委員会でおそらく議論があったことだろうと思うが、たとえば食糧庁の長官を呼んで、どれだけの米が過剰米として残されておるかという数字と、ほかのほうで聞いてみる数字と、百万トンも百五十万トンも数字が食い違ってくるときがたまたまあって、私はそれを委員会で指摘しているのです。同時にいま言われた休耕だとか離作だとかいうふうにきめられましたといいますが、だれがきめたのですか。米は余るからといって農林省原案として出てきたわけでしょう。それを与党である自民党が真剣にこれを検討して、そんなに米が余るなら一応休ませておかないと、倉庫代がたいへんだから、米がいたむから、できた米をおいしく食べてもらうということは国民に対して必要であろうということで、古米の例が古古米のもう一つ上の古古古米などもあるというような事態に追い込んでおるようなことは、もって不届き千万であるというふうに思う。農林省は、一日もなくてならない、欠くことのでき得ないたいへんな米の問題に取り組むには、もっと真剣さが必要だと私は思うが、どうですか。そして倉庫なんかいまどういうように運用しておられるか知りませんけれども、きょう配給へ持っていってすぐ食べさせられる米でも、一ぺん倉庫におさめておいて、倉庫屋の金もうけをさせておいてから、出してまたそれを持っていくというようなやり方がいままでにないとは言えませんよ。それは私どもの調査の上において現地でちゃんとそういうことを聞いて、これはきのう入った米だが、十五日くらいたちますと一ぺんくらい出します。なぜ十五日ぐらいそんなところへ入れておかなければならぬかといってみると、それはどうもわかりません、こういうのだ。私は野党のような質問をしますけれども、与党として、決算ですから、ここでは超党派的ですから、やはり言うべきことを言って姿勢を改めなければならないと思う。そしてむだな金を使ってはならないということが原則になるわけです。これはどこの委員会でもそうであろうが、特に決算は、結論を出しても、決定的なこういうことをやっていけないというきめ手がない。だからみんなその場限りの答弁さえすれば何とでもなるだろうというような形式的なものがこの決算委員会にあるように私は思うのです。なぜならというと、使ってしまったあとの金の計算をここへ持ってきてしかられるだけだ、間違っておれば頭を下げればいいというような考え方。私どもはもっと建設的な考え方からいうならば、食糧庁考え方は、まずそういう倉庫代を少なくする、そして米をどういう事態が来ても国民には一定価格で安定させて食べてもらえるのだという基本姿勢に立たなければならない。見ていてごらんなさい。私の言うことにおそらくなってくるのですよ。このような状態だと、いまの米の配給制度できめられておる米は上がらないかもしらぬけれども、ほかのほうの米は買いだめをするようになってくる。米は足らないようになってくる。必ずびっくりするほど上がってくる時代が遠からず来ると思うのです。そういうときに一体だれが責任を持つのですか。事実もうすでにそういう傾向が示されておるのです。食糧庁はもっと真剣な考え方でやってもらわなければいかぬ。きょう長官がいたら、もっと言い分はたくさんあるのです。長官が来ていないし、資料も持っておらないから、きょうは思いつきの質問をしたのだけれども、私が質問した経過について、これからしっかりと、食糧庁に対して、米だけでない、ほかの問題も一ぺんやってみたいと思うのです。帰ったら長官によく話しておいてください。  きょうは時間がありませんのど、この程度でおきますけれども、実際納得できないのです。そして一年やそこらの不作が近年にない不作だと新聞に書かれて、八十万トン減作したといったら、もう国内ではわあわあ騒ぎかける。そのような体制に対して農林省は御心配要りませんとも何とも一言も言わない。いま米の価格は上がりつつある。そしてみんなある程度自由になってくれば買い占めもしてくるだろう。そういうようなことを実際考慮に入れられておるのですか。その場限りの政策は全く困る。だからわれわれ自民党の各代議士、そういう者の言うことに十分耳を傾けて、それを織り込んだ政策をやりなさい。あなたたちの机上のプランだけではだめだ。私はそれを最後に申し上げておいて、質問を打ち切りたいと思う。  どうもありがとうございました。
  66. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 福田繁芳君。
  67. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ちょうどよい機会だから食糧庁次長さんにお伺いいたしたい、あるいはお教え願いたいと思う。  食用米に対して非常に御苦心されておる点は私はいたく敬意を表します。いままた同僚委員の御質問で、食用米のことに対しては大体わかったわけなのだが、モチ米の需給の状態はどうなっておりますか。それをちょっと伺いたい。
  68. 中村健次郎

    中村(健)政府委員 モチ米につきましては、現在自主流通でおおむね需要、供給が行なわれておりまして、生産と需要がおおむね見合っておるという状況にあると思います。ただ、モチ米は作が非常に不安定でございまして、作柄の動きが大きい、あるいは作付面積が非常に変わるというような問題がございまして、需要も供給も非常に動いてまいります。しかし、政府といたしましては、若干の政府買い入れの手持ちも持っておりまして、もし市場に不足した場合にはそれを売却するというふうなことで、市場の需給を操作いたしまして価格の安定を期するように努力をいたしておるような状態でございます。
  69. 福田繁芳

    福田(繁)委員 あなたのお話はよくわかるのですが、実は御承知かも存じませんが、私は農村から出ております。それで農村は長年の習慣で旧正月と新正月二回やる。新正月にはいまの農民の手持ち米でどうにかこうにかおもちをついてきたわけです。しかし旧正月になると、全然モチ米がございませんので、もちがつけぬ。のみならず、ここ数日たてば、御承知の男の子の五月の節句になるわけです。明治時代から、男の子ができると節句には赤飯をつくるというのだが、今日は赤飯をつくるモチ米すらないというので、食用米は先ほどのお話で十二分にあり余っておるようですけれども、モチ米は農民自身が非常に困っておる。それがために旧正月、五月の節句にもおもちも赤飯もつけぬというところに農民の非常な声があるわけですが、こういうことを食糧庁は御承知でしょうか。
  70. 中村健次郎

    中村(健)政府委員 農家で赤飯なりもちをつくのにもモチ米が不足しておるというふうなことは、私残念ながらいままで聞いておりませんので、そういうことであるとすれば、最近農家でモチ米を使う量が減っておるということだと思いますが、全体の市場に流通しておる状況を見ますと、自主流通によりまして、おおむね二十万トン程度のモチ米が年間に、せんべいの業者でございますとか、あるいは正月の需要でございますとか、あるいは赤飯用に売るモチ米でございますとか、そういうものに供給をされておりまして、われわれの見方では、もちろん最近は需要傾向が非常に変わりまして、どうしても正月にもちをたくさん食うというような習慣がだんだんなくなっておりますので、需要量は減ってきておりますけれども、その減った需要量に対応するだけの生産はおおむね行なわれておる、このように考えております。
  71. 福田繁芳

    福田(繁)委員 そういう御説明のように行なわれておるものならば、なるほど食生活の改善でモチ米の消費量、もちをつくるのが減ったということは一応うなずけるのだけれども、それ以外に、モチ米が御承知の工業用の接着剤あるいは日本古来のなま菓子といいますか、日本人自身が古来から愛着してきた和菓子、これに対する量も非常にふえてきた。和菓子というのは日本にどんどん来られる外客すら大いにこれを賞味されるというので、足らなくなってきておる。私たちがいろいろ農民から聞きますと、モチ米をつくっても農民が引き合わない。作付の収穫の悪いのもさりながら、価格の点で非常に採算がとれぬので、耕作者自身の生産量も減っておるということを耳にいたしておるのだが、さようなことはございませんか。もう一度次長さんお教え願いたい。
  72. 中村健次郎

    中村(健)政府委員 モチ米がウルチに比べまして収量が少ないその他のことで価格的に不利であるということでモチ米の生産がだんだん減っておることは事実でございます。ただ、それにつれまして需要も減っておりますので、均衡はとれておると思いますが、なおそういうことでモチ米につきましては、ほとんど政府買い入れを原則としない自主流通で、生産が少なければ、そして需要が多ければ値段が上がる、高くなれば生産がふえる、そういう形で流通するように現在いたしておるわけでございますが、それにいたしましても、非常に不利なところでつくられたもの、あるいは一時的に需要がないもの等で政府にもモチ米がかなり入っておりますので、そういったモチ米を、最近では市場流通量が若干減って需要者が困っておるという声もありますので、政府としては四月以降、そういった需要者に売却を始めております。したがって、私のほうは十分なワクを出しておるのですが、それの買い受け状況は、必ずしも出しただけのワクを買っていないという状況でございますから、需要には十分こたえておる状況だろうというふうにわれわれは考えております。
  73. 福田繁芳

    福田(繁)委員 その点、ひとつ真剣に御検討にかかっていただきたいと思うのです。私たちが案ずるところは、この秋のモチ米ができるまでの端境期、おそらくすでに接着用にしても入手が困難であろう。幸いにして五月の節句が済めば、秋までは子供たちのもちだとか赤飯に消費する量は減って、その機会もないからようございますけれども、食糧庁でお持ちになっていらっしゃるのは五十万トンですか、これを放出してでも、全国的にモチ米が相当足らぬ、食糧米はあり余っておる、同じ土地で同じ農民がつくっておるというところに対して、ひとつ鋭意御検討を加えてもらって、そういう民草の声がないように、何といっても、モチ米に対しては日本民族は非常に愛着を持っているのでありますので、少なくともその点だけでも阻害しないように、鋭意御検討を加えてもらいたい。これだけ食糧庁の皆さんにお願い申しておいて私の補足質問は終わります。御所見申しくだされば、なお幸甚です。
  74. 中村健次郎

    中村(健)政府委員 先生仰せのとおり、需要に対してモチ米が足りないという状況では困りますので、もちろん生産面におきましても、これが十分に生産されるように検討してまいりたいと思います。  なお当面の問題といたしましては、政府はことしの初め、一月に水陸モチ米合わせまして約六万トン持っております。それを、最近、民間流通が若干不足してきておるということで、四月から要求するものはほとんど要求量に応ずるだけ売却を始めておりますので、そういった状態も近く解消するであろう、このように思っておりますし、なお今後もそういう点については十分留意をしてまいりたいと思います。
  75. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ありがとうございます。あわせてお願いいたしておきまするが、御承知の、繊維業者がアメリカとのああいった問題でいま非常に苦難の道をたどっておるが、ドル問題、貿易問題はさておいて、繊維業者が接着用にモチ米が手に入らぬ。やみということばは失礼でございますけれども、それを入手しようと思うと非常に高価なものになる、勢い製品がコスト高になるというので困っておるようです。これはひとり繊維業者に限らなく、関西地区においては、中小企業の工業方面の接着用として業者が非常に困っておるようですから、来年度の作付反別あるいは農民指導においてもその点を御留意くださって、適宜によろしく願いたい。これだけ希望申し上げておいて私の質問は終わります。たびたびありがとうございました。
  76. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 吉田賢一君。
  77. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣おりませんので、どなたからでもお答えください。それでよろしゅうございます。  現内閣も、また国民の世論の帰趨も、福祉国家の建設、高福祉の国策樹立ということがいまの国民的要望らしいのでございますから、これにこたえまして、福祉国家の建設につきまして一体財源をどこにどう求めるべきか、この福祉財政の問題は非常に重要であると思うのであります。大臣も参議院では、高福祉の十年計画くらい立てたいけれども、それよりも財源問題が、というようなことも述べたらしいのでありますが、まさにそのとおりであります。それならば大蔵省の事務当局といたしましても、これからさらに福祉の各般の施策について予算の需要があるわけでありまするが、財源の重点をどういうふうにつかんでいこうとするのか、その点をひとつ事務当局から明らかにしておいてもらいたいと思います。
  78. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 お答え申し上げます。先生指摘のとおり、今後の方向といたしまして、経済を長期的に安定的な成長をさせる、そういう基盤の上で社会資本の整備と社会福祉の向上に積極的に力を入れて、いわゆる福祉国家の実現をはかるというのが政府としての基本的な考え方であろうと私ども考えております。御質問の、その場合の財源をどこに求めるのかという点でございますが、私、全般を所掌しておりませんので、多少個人的な意見にわたるかもしれません。その点あらかじめお許し願いたいと思いますが、やはり社会福祉系統の財政需要をまかなう財源といたしましては一般租税、また社会保険系統では被保険者の負担金に求めるほかになかろう、社会福祉関係のそのような費用の財源を借り入れ金に依存するということは、少なくとも長期的な展望においては決して妥当な方法ではなかろう、さように考えております。その意味では、国民の皆さまに十分な御理解を願いつつ、いわゆる高福祉高負担の方向に徐々に向かわざるを得ないのではないかというのがいまの私どもの感じ方でございます。ただ、具体的に一般租税のどの分野において負担が漸増する方向をとるのか、これにつきましては、御承知のとおり、現在政府の税制調査会において鋭意検討を続けておられるというふうに伺っておりまして、まだ具体的な結論を得るまでに至っておらないというふうに承知いたしております。
  79. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 財源を一般租税並びに保険料に求めるということはわかるのでございますが、現状もまさにそうであろうかと思います。ところで、財政需要がもうすでに迫っておるということも考えておきたいのであります。迫っておるときにどうすればいいのか。高福祉高負担であるということが、どうも財政審議会あたりのいまの段階における意向らしい。しばしば政府から出るところの文書、発言等によってみましても、高福祉高負担である。一体高負担とは何か。それは税金だということを簡単に考えるらしいのでありますが、具体的に高負担をもっと具体化して説明するにはどこに求めようとするのであろうか。少々の財源ではとてもまかないきれない。どうすればいいのだろうということについて、もう少し説明があってしかるべきだと思うのです。どこからでもいいです。主計局でもよし、審議官でもよし、あるいは主税局当局でもよろしい。どこからでもいいが、ひとつもう少し説明してもらいたい。常識のスローガンみたいな答弁では、この点は答弁にならぬのです。
  80. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 先ほど主計局の大倉次長のほうから、一般的な財政問題として今後のあり方をお答えしましたが、その中でも一体今後税制をどういうふうに持っていったらいいのかということでございます。これは一にかかりまして今後の財政需要がどのように推移していくかということにもよるわけでございますけれども、その場合にも、従来からいわれておりますように、社会保障というものを非常に重視してくるという場合になってくると、ただいま吉田委員指摘のとおり、ちょっとやそっとの財源ではなかなか処理できないだろうということは想像にかたくないわけでございます。現在の日本の租税負担率が、大体国税、地方税も一緒にいたしまして、国民所得に対して約一九%くらいだろうといわれておりますけれども、それに対応いたしまして欧米の諸国の負担というものはかなり高いわけでございます。大体国民所得に対しまして三〇%前後、あるいはそれをこえておる国もかなり先進国の中にはあるわけでございます。一体それだけの多くの租税負担をかかえておる国とわが国のこの一九%といいます負担率とがなぜこう違っておるのかということを分析いたしますれば、端的に出てまいりますのは、まず二つの違いが財政支出としてあるだろうと思います。一つは軍事費の問題でございまして、それから一つは社会保障費の問題でございます。かりに一般的な歳出から両者のただいま申しました軍事費なり社会保障費というものを一度控除いたしまして、そういうもので租税負担率というのはどのくらいになっておるかというのを、アメリカとかイギリスとか西ドイツと日本とを比べてまいりますと、かなり接近した率になってまいります。まだまだそれでも欧米諸国のほうが高いわけでございますが、そういう比較からも、やはり歳出におきまして社会保障をかなりやるならば、一般財源としましての税収というのに多くを期待しなければならないだろうということがいわれるわけでございます。それにはもちろん国民全体が高い福祉を望むならば、それに応ずる欧米諸国並みの税負担を甘受するということがまず大前提になるだろうと思います。その場合、一体それではどういうような税制によってその負担をまかなうのが一番いいのかというわけでございます。現在、日本の税制におきましては、所得税、法人税などの直接税の中心になっておりまして、大体税収の三分の二はそれをもってまかなっております。あとの三分の一をいわゆる間接税でまかなっておるわけでございまするが、先ほどいろいろ負担が高いと言いました欧米先進国の中には、いろいろまた税制構造を異なっております。極端には、直接税のウエートの非常に高いアメリカから、間接税のウエートの非常に高いフランス、イタリア等がございまして、それも国民のこれまでの租税体系に対しますところのなじみ方が左右いたしておることは容易に推察されるわけでございますけれども、そういう諸国の歴史を考えてみました場合には、やはり多額の税収を得るためには、わが国としてよりアメリカ型の直接税に移行するのがいいのか、あるいはヨーロッパ大陸型の間接税型に移行するのがいいのか、これまた一つの大問題でございます。もちろんわれわれとして結論をいま持っておるわけではございませんし、税制調査会でもしばしばその問題について議論をやっておるわけでございます。ただ問題は、今後直接税にウエートを非常にかけていくといたしました場合には、何といいましても法人税の今後の推移ということがございます。法人利益が従来のように例年非常に伸びてまいりました事態というのを予測できるのかどうかという問題がございます。それから次には、所得税に依存するならば、これはまたいろいろ納税者の間でも非常になお所得税が重い重いという感じを言われておりますけれども、その端的な理由といたしましては、所得が非常に急速に伸びておる、それに対しまして累進的な所得税の負担を重く感ずるということがございますから、今後所得税に非常に依存するといった場合には、そういう累進税制というものを前提としました所得税にどの程度依存できるかという問題がございます。片や間接税に非常に重点を置くという型になりますれば、現在三分の一を占めております間接税は個別的な消費税によっておりますが、これを飛躍的に税収をふやすためには、何と申しましても、ヨーロッパ大陸で多くとられておりますような一般的な消費税というものを採用せざるを得ないわけでございます。もちろん一般的な消費税を採用するといたしましても、それの形態といたしまして、過去に各国がとっておりましたような売り上げ税、それもいかなる段階でかけるのがいいのかという問題もございますし、あるいはまたそれが非常に純化されてまいりました最近のヨーロッパ諸国におきますところの付加価値税という形をとるのがいいかどうか、またそれにまつわりますところのいろいろな解決すべき問題点というのが多々あることも承知いたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういった観点で私どもは従来も検討いたしてまいりましたけれども、今後はなお一そう御指摘のような財政事情というものを将来予見せざるを得ない段階でございますので、新経済社会発展計画の見直しの作業とも並行いたしまして、先ほど来申し上げましたような税制構造についても考えてまいりたいと思っておる次第でございます。
  81. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 時間がなくなってきましたので、ひとつ端的に御答弁をいただきたいと思います。  税制度の専門的角度から福祉財政の財源問題を研究していくこと、これは大事な問題でございます。ただしかし、この際考えておかなければならぬことは、いまの日本の将来にわたっての課題である福祉問題は、社会保障の問題、福祉財政の問題は、もっと広範な角度から総合的見地で結論づけていくということをそれぞれせねばならぬ課題であろうと思うのであります。そういう点はひとつ頭に置いておいてもらいたい。  そこで、順序としまして、これはまたどこが答弁するのかわかりませんけれども、いまは財源に触れてきましたが、どうも財源に触れていくだけでは、税制の専門的なことになってしまって、国際比較であるとか、あるいはアメリカまた欧州型というようなことが出てまいりますので、福祉財源の見地から見ますると、もっと別の角度から検討していかなければなるまいと思います。順序からしますると、これは時間を食うからやめておこうかと思ったのですけれども、しようがないので聞きますが、一体いま大蔵省全体としましては、たとえば各局の関係は横に連絡がとれて総合した討議もあるのだろうが、大蔵省全体としましては、この福祉財政は、ヨーロッパ先進諸国と比較しましたならば、どこの線をまねしていこうとするのか、どこ型になろうとするのか。たとえばスウェーデンあるいはイギリスのような型があろうし、あるいは西独やその他フランス等々の型がありましょうが、将来はどうしようとするのだろうか。この点はどうなんです。端的でよろしい、いろいろなことを聞かなければいかぬので。およそ目標としていることはどこの型を大体追うていこうとするのか、いまの日本あり方そのままいこうとするのかどうか、そこなんです。いまの日本あり方ですと、これは生として福祉社会保障の財源は、広い意味における社会保障の財源は、統計も示しておりまするように、大体において保険制度の型でありますが、どこの型を日本としては行こうとするのか、その点をひとつはっきりしておきましょう。簡単でよろしゅうございますよ。
  82. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 まことに申しわけございませんが、私社会保障系統を直接担当いたしておりませんので、お答えにならないかもしれませんが、将来の展望といたしましては、社会保険的なタイプによる社会福祉というものにかなりのウエートを置かざるを得ないのではないかというふうに感じておりますけれども、申しわけございませんが、全省を通じて、その点にはっきりと、どの国の型を将来の目標にするのかという結論がまだ出ているようには存じておりません。
  83. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いま当面しておる幾多の問題があります。たとえば、ようやく昨年きまって本年から実施した児童手当の問題、ようやく実現しました。しかし、これとてもほんのまだ二階から目薬です。老人福祉の問題があります。老人福祉は一体社会保険で保険制度でいくのであろうか。保険制度は、申すまでもなく、保険料が財源でありますから、みな出しなさい、出すものをもとにして、それで給付しましょう、こういうことでありますから、一体老人がそれでいいのだろうか。さらにまた母子家庭というような問題があります。母子家庭という問題に対する社会福祉は、一体これは保険でいけるのかどうか。また、最近が然問題になってきました全国的な公害の被害者、この被害者に対する福祉救済対策があります。これは保険でいけるのかどうか。また、交通遺児全国に五万、親が殺されて、死んで、遺児五万あります。一体、この交通遺児福祉対策というのは、これは保険でいけるのかどうか。保険の分野については適切ならざる分野がなお多数残されておる。心身障害者、精薄児等も同様であります。  こういうような面を一々考えてみますると、いま日本に残されておりまするところの広大な社会福祉の分野というものが、保険にのみたよれない、もう間にも何にも合わないということになっておりますのです。こういう点についてはどういうふうに理解し、どう割り切っておるのですか。これはひとつ述べてもらえませんか。もっとも、これも皆さんでは、御担当ではないかと思いまするけれども、大臣おられぬからしようがないのですが、どうですか大蔵省
  84. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 たいへん広範囲にわたるむずかしい問題でございますが、まさしく先生が御指摘のように、保険ではカバ一できない分野というのが、これはかなりたくさん残されておると思いますし、また、率直に申し上げまして、その分野がほかの国に比べて立ちおくれが見えるのではないかという気もいたします。逆に申しますと、いままでの日本の社会福祉系統の経費というのは、どうも医療中心的な感じを少なくとも私は受けておりまして、まさしくおっしゃいますように、老人対策とか児童対策、母子対策、心障者対策というところにこれからの新しい光が当てられなくてはいけないのであろう。その場合に、どこまで保険でいけるかと申しましても、それはおっしゃいますように限度があろうと思います。したがって、それを私どもの大臣も参議院で御答弁申し上げたようでございますが、五年なり十年というレンジでとにかくある計画なり目標なりというものを考えてみて、それで、その財源をどう手当てをするかをやってみなければいけない時期にきているというふうに大臣答えておられると思いますので、私どもとしましても、大臣の御指示を得まして、鋭意勉強を続けてまいりたいというのが現在の状況でございます。
  85. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの政府の大体の考え方は、さっきも一言ありましたように、高福祉、同時に高負担と、この高負担は、どうやら保険からさらに脱却いたしまして、租税で払え、多くの福祉、豊かな生活をしたければよけい税金をかけろ、それしか手はない。現に国税庁で「租税教室」というものを出しておりますね。四十六年度版をちょっと読んでみました。このパンフレットですが、これなんかも、高度の福祉国家を望む以上は、これは多くの財政資金を国が必要とする、国民から資金を求める以外手はない、憲法三十条によると納税の義務がみなある、福祉国家の国民たらんとするなら、基本的なこの義務を履行するというような、そういうことが書かれてある。税金を払いなさい、よけい税金を払ったなら高福祉の国民になれますよ、高福祉を求める以上は税金を払う以外に手はないんだ、こういうことをいっていますね。  それからまたずばりと、その次にまた別の本を読んでみますと、これは国税庁から出しております「私たちの税金」という本を読んでみましたら、付加価値税ということが書いてある。付加価値税といったら、一体これは何だろうか。付加価値税の制度をここでちょっと端的に明らかにしておいてもらいたい。  要するにこれは、結論的には、弱い者が、消費者としての弱い者がかぶっていかなければならぬところの税金じゃないか。法人税も限度がきて、だからうんとかけられない。そこで付加価値税、ヨーロッパ型の間接税というようなものでいくのじゃないか。その付加価値税というのでぱっとやって、そして弱いところへみんなしわ寄せがいくということになるのじゃないか。付加価値税の制度、いま考えておるところの、この「私たちの税金」に書いてあるような付加価値税、一体大蔵省は何を考えておるのだろうかという、これですがね。これが重大な将来の福祉国家の財源としてにらんでおるような感じがしてならぬ。この点どうでしょうね。
  86. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 先ほど申しましたように、社会福祉に多大の歳出を要するということになってまいりますれば、やはり一般財源としての税収というのはかなり重要なことになってくることは予想にかたくないわけでございます。そのときに、その財源を、先ほど来申し上げましたように、直接税でまかなえることもできましょうが、一つの道として、しかも有力な道としましては、やはり消費税という道があるわけでございます。そのときにも、個別的な消費税ではなかなかむずかしいので、一般的な財貨なりサービスに対しての消費税というものを研究せざるを得ないわけでございます。これは吉田委員指摘のように、弱い者にしわ寄せをする税金であるというふうにおっしゃいましたけれども、かりにそういう社会福祉というものを保険でなしに、そういった、先ほど来御指摘のありましたような、むしろ歳出で弱い人たちにまかなう財源というもので、むしろそういう消費にたえ得る人たちから財源を出してもらうという意味におきましては、やはり一般的な消費税というのもかなり検討に値するのじゃないかというふうに考えております。
  87. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国税庁で出しておるこの「私たちの税金」の中には、付加価値税というやつがあたかも現行の租税体系の中に入っておるような書き方をしていますね、これは。付加価値税を将来検討に値するところの一つの税制度だ、こういうような意味には書いておりません。ごらんなさい。私も読んでみたのですが、おかしなことだなと私も見ておったのです。はたして、付加価値税、それほど煮詰めたのか、一体これは何かいな、一種の流通税というんですかな。だからこれは、付加価値税ということなら、日本じゅうの一体どれほどの人が付加価値税の対象に上がってくるのだろうかとも考えてみたりするのですが、結局、いよいよ日本におきましては、社会的な断層が多くなっていくところの税制度になるのじゃないかとさえ思うのですが、端的に、付加価値税とは何ぞやということを、ちょっと簡単に言うてみてください。
  88. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いま御指摘のようなパンフレットに、付加価値税というのが現在あるような税目として御印象を持たれたのでございますれば、それは書き方が悪いのでございます。付加価値税というのはわが税制の中にはまだないわけでございます。ヨーロッパの各国で非常に採用されておる税でございまして、一般的な消費税と考えられております。各企業ごとに財貨なりサービスを売り上げましたときに納める税金でございますが、それは、前段階で納めた税額を控除するという形におきまして、その企業企業が高めました付加価値に対応しての税負担がその段階ごとに納付されるという意味におきまして、付加価値税という名前がつけられておるようでございまするが、一般的な売り上げ税と本質的には同じでございます。
  89. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 結局、福祉国家は現在におきましても、これは予算書を読んでみますと、四十六年度で社会保障費が一兆三千六百十億円、四十七年度は一兆六千四百十億円ですか、いずれも一四・三%になるようですね。前者、四十六年度は九兆六千五百八十億円、四十七年度は十一兆四千七百億円ということになりますと、かなり大きなウェートを占めるのであります。  そこで、ぜひ明らかにしておきたいことは、あなたのほうの事務当局におきましても、社会保障の看板を、福祉国家の看板を大きくあげることが政府姿勢であるならば、総理以下みんな施政演説で言ったのです、そうであるならば、その福祉財源を何に求めるのかということは、ひとつ確固とした信念を持って対処してもらわなければいけませんです。高福祉ならば高負担だと抽象的では許しません。所得税にあるいは間接税にといったって、そう簡単にはできませんです、違いますから。なるほどスウェーデンあたりにおきまして三〇%以上ということもわかりますよ。わかりますし、イギリスやらスウェーデン型の国費をもってまかなうという面の大きい、高負担の面の大きなことはわかります。わかりますが、わが国におきまして、客観的な事情をもっと精密に分析していきましたら、税を課するということは容易じゃございませんですよ。容易じゃありませんので、さてどうしたものだろうかということにほんとうは私ども迷うのですよ。こうは言うものの福祉財源を何に求めるか、福祉国家ということは財政構造をどうするか、ほんとうに迷います。保険だけにたよっておりましたら急の間に合いません。あれこれ思いますと、この点につきましては、あらゆる角度から福祉財源を何に求めるやということを明確にして、そうして大きな柱にしまして、その上で福祉国家を論ぜなければいかぬと思うのです。健全な財政、口だけではいけませんわ。そう思うのですが、これらについてまだ全然模索の状態なのか。もうじきに八月が来れば、各省においても来年の予算要求しなければならぬ。福祉国家の要請に応じて予算要求せなければならぬということになってまいりますから、この際何に福祉財源を求めるかということは相当重大な課題でなければならぬです。一局の問題では絶対にない。一省の問題ではありませんわ。その点について全然模索の状態なのかどうかというわけですね。およそこういうふうに固まりよるとか、付加価値税というのは本気で検討しようとしておるのかどうか、保険である程度いけると思っておるのかどうか。その点について、事務当局に対して失礼ですけれども、もう少し具体的なものが出そうなものだと思うのですが、もう全然ないのかどうか。それをひとつ吉田に教えてやってください。どうです。
  90. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いま御指摘になった点は非常に重要な問題でございます。社会福祉をほんとうに拡充するという国民の総意があれば、口頭禅だけの高負担ということではなかなかできないわけでございまして、やはり国民が負担しなければならないわけでございます。それで、国民が負担するということになれば、税金をおいてはないわけでございまするが、どういう税金がいいのかということは、まだ私どもとしては結論が出ておりません。多額の社会福祉のための財源をみんなが渇望するということでございますれば、おっしゃいましたように税金でもってまかなわざるを得ないという点だけは、私どももそういうふうに思っておるわけでございます。まだないのかとおっしゃられれば、具体的なものはまだございませんけれども、これは今後の検討課題だと思っております。
  91. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと答弁は要りませんけれども、主計局に頼んでおきます。財源を何に求めるやという問題は、一つは積極的に財源を求めるというのと、消極的にむだをなくするという両面私はあると思うのですね。  そこで、これは十数年前のことでございまして、主計局のほうでいろいろやってもらったのでございます。昭和三十年ころだったかと思うのですが、全国から地方公共団体その他の団体が東京に向かって陳情に殺到する。予算編成期になると、廊下でも陳情する。自民党の本部に至りますれば、コメツキバッタで長々とやりおる。一体こんなような陳情及び年じゅうの陳情費を何ぼずつ使っておるだろうか。これは言うならば、そんなことせぬでも電話一本でも済むのじゃないだろうか、来ぬでもいいというふうにでも行政が行き届かぬものだろうかというふうなことも考えまして、いわゆる陳情費、予算の分取り合戦の陳情費は、一体何ぼほど使っていると推定をしておるか。そんなものをなくしたならば、私どもしろうと推算で千億円ずっとこえてしまったと思っておるのでありますが、そういうようなむだ、人間も浪費なら金も浪費しておるのです。そういうのは一例にすぎません。そういうものが一つ。それはできましたら、主計局あたり何かありましたら、ひとつ資料にしてでもよろしいから出してください。  それからもう一つは、少し掘り下げていこうとしたのでありますが、あなたの主計局が中心でずいぶんやっておられるところのPPBSの調査研究のいまの進行段階につきまして、もっと具体的な報告があってしかるべきときにもう来ておるのじゃないであろうか、こういうふうに思います。自民党あたりにおきましても、総理の補佐官みたいなものを置きたいというようなことも言い出してきたのであります。これはすでに数年前に川島副総裁の提案の中にもまっ先に入っておったものでありますが、それをいま言い出してきたことは言わざるよりもましである、こういうことも考えます。いずれにしても、そういうことにもつながっていきまするので、行政だけじゃなしに財政の改革のためにはPPBSの導入は積極的な段階にもう来ておるのじゃないかと思いますので、これは何かの方法でひとつ発表してください。文書でもよろしい。委員長あてに出してもらってよろしゅうございます。そういうふうに願いたいと思います。  なお各般の大蔵省関係の諸問題を持っておりますけれども、きょうは時間がなくなってきましたし、大臣もおりませんので、この程度質問を保留させてもらいたいと思いますが、よろしくお願いします。よろしゅうございますか。主計局のほういいですか。
  92. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 ただいまの吉田委員の御要望の中で、第一段の陳情関係経費というのは、うまく出ますかどうか、やってはみますけれども、必ずしもお約束できないかもしれませんが、第二段のPPBSの系統の、いままでの経費をどう使っておるか、現状はどうかというのは、できましたら資料の形ででも提出さしていただきたいと思います。
  93. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 もしできましたら、四十八年度予算にはある程度頭を出したというところまで行っているかどうか。ことに私は地方を歩きましたときに、たとえば水質の汚濁の問題、河川がよごれているというような問題、何かこういうものをもっとうまい手で測定する方法はないだろうか、いかにも科学性が乏しいなということを随所で見るわけなんであります。そんなことにも関連しますのです。だからシステム分脈なんてああしてやっておられますけれども、いろいろな角度から研究しておるのはわかりますけれども、行政、財政にやはり直接寄与してもらう段階にもう来てよかりそうなものだ。研究されてことしでもう四年になりますね。そういうふうに思いますが、そういうような必要を痛感しておりますし、少しは決算審査の発言も予算に取り上げてよかろうじゃないかと思いますので、そういう意味も含めまして、ひとつ何か文書を委員長あてに出してください。  終わります。
  94. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会