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1972-04-18 第68回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十八日(火曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 福田 繁芳君    理事 白浜 仁吉君 理事 濱野 清吾君    理事 森下 元晴君 理事 綿貫 民輔君    理事 下平 正一君 理事 鳥居 一雄君    理事 吉田 賢一君       阿部 文男君    笠岡  喬君       中山 利生君    丹羽 久章君       坂井 弘一君    瀬長亀次郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君  出席政府委員         防衛政務次官  野呂 恭一君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 黒部  穣君         郵政政務次官  松山千惠子君         郵政省貯金局長 石井多加三君         郵政省簡易保険         局長      野田誠二郎君         郵政省人事局長 北 雄一郎君  委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   大西誠一郎君         郵政大臣官房上         席監察官    板倉豊文美君         郵政省郵務局管         理課長     影浦 藜三君         郵政省経理局審         議官      西谷  馨君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     中澤 茂一君 同日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     芳賀  貢君 四月十七日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     鬼木 勝利君 同日  辞任         補欠選任   鬼木 勝利君     坂井 弘一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十四年度政府関係機関決算書  昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管防衛庁)、郵政省所管〕      ————◇—————
  2. 福田繁芳

    福田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十四年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管防衛庁郵政省所管及び日本電信電話公社について審査を行ないます。  この際、質疑の申し出がございますので、順次これを許します。鳥居一雄君。
  3. 鳥居一雄

    鳥居委員 防衛庁所管で伺いたいと思います。  防衛庁物品亡失状況につきまして著しい傾向がありますので、四十二年度から四年間、四十五年度までの物品亡失損傷件数並びに亡失損傷額についてまず伺いたいと思います。
  4. 田代一正

    田代政府委員 お答えいたします。私の手元にございますのは、昭和四十二年度以降の決算検査報告に、物品亡失とか損傷報告として掲記されているもののうち、防衛庁所管分について集計した計数でございます。  四十二年と申しますのは、したがいまして、四十二年の十一月から四十三年の十月までに会計検査院報告のあったという時点で御説明申し上げたいと思います。この間に亡失損傷件数にいたしまして千六百四十件、数量は、魚雷だけとりますと十本であります。金額合計いたしまして二億五百万円。そのうち金額の中における構成比を申しますと、亡失した魚雷、これが四九・三%を占めております。同じく四十三年十一月から四十四年十月をとって考えますと、この間における件数が千四百二十九件、この中で魚雷亡失関係が十五本、それからDASH損傷が一機ございます。この間の金額といたしましては二億五千二百万という総額になりますが、その中で魚雷亡失関係が一億四千万、DASH損傷関係が三千八百万、その他が七千四百万ということに相なっておりまして、魚雷関係金額に占める構成比が五五・六%、DASHが一五・〇%、その他が二九・四%ということに相なっております。さらに四十四年になりまして、四十四年の十一月から四十五年十月までをとってみますと、件数で千九十件、この中で魚雷亡失関係が九本、DASH損傷が一機ということで、金額で見ますと、総合計が二億九百万でございますが、魚雷亡失関係が一億二千四百万、DASH関係が四千二百万、その他が四千三百万ということで、金額構成比でとりますと、魚雷が五九・三%、DASH損傷が二〇・一%、したがいまして、その他の案件が二〇・六%ということに相なります。さらに四十五年をとりますと、四十五年の十一月から四十六年の十月までをとりますと、魚雷亡失関係が十八本、損傷が一本、DASH亡失関係が三機、損傷が一機、その他が三千八十四件で、合計いたしまして、件数は三千百七件ということに相なります。この中で魚雷関係亡失金額は二億一千五百万、損傷が六百万、DASH亡失関係が一億八千九百万、損傷が三千万、その他が全部合計いたしまして五千百万ということで、金額総計は、亡失損傷が四億九千百万になりますが、この中で魚雷関係亡失損傷、これを加えたものの金額における構成比が四五・〇%、DASH亡失損傷関係金額比で四四・六%、その他が一〇・四%、こういう構成比に相なっております。
  5. 鳥居一雄

    鳥居委員 ただいまの説明でありますが、実に注目すべきものでありまして、各年度ともDASH魚雷亡失損傷額が全体の七割以上に当たるわけであります。海上自衛隊DASH魚雷が、戦時下にあるわけではない平時における今日において自衛隊防衛庁物品亡失の大部分を占めているということであります。この検査年度が十一月から十月までであるために、ちなみに、四年間の平均値でこれを私が計算してみますと、亡失額平均二億三千九百万円に当たる。このうち魚雷亡失が一億六千二百万、DASH亡失については八千五百万、合わせて八二・三%を占めているのであります。  そこで、特に亡失損傷額の隠れた横綱格である魚雷についてお尋ねしたいと思います。  今日の自衛隊における魚雷装備について、その経緯を簡単に御説明願いたいと思います。
  6. 黒部穣

    黒部政府委員 海上自衛隊装備いたしております魚雷は、対潜水艦用、対水上艦用といたしまして最も有力な武器でございます。戦前の海軍においても使われたわけでございますが、戦後の海上自衛隊におきましては、主として米国供与品魚雷装備いたしておりました。その後、米国供与品のうちやや性能のよいものを国産ライセンス生産をすることにいたしておりまして、それはMKの44でございます。このほか、わが国の過去においての魚雷生産の知識を非常に活用いたしまして、独自に開発いたしたものも一つございます。  なお最近は、外国の技術でライセンス生産いたしておりますものをさらに改良したものを国内で開発中でございまして、まだ全面的な装備には至っておりませんが、こういうものがおいおい完成すれば、将来は装備いたすことになろうかと思います。
  7. 鳥居一雄

    鳥居委員 そこで幾つかの数字を伺いたいのですが、まず魚雷につきましては、訓練用魚雷と実戦に使います実用魚雷の違いと、それから単価について伺いたいと思うのです。
  8. 黒部穣

    黒部政府委員 実用魚雷は、頭に炸薬が入っておりまして、うしろのほうに機関がございまして、その機関に対してある種の燃料を使いまして推進して進む、こういう形になっているわけでございます。これが普通の実際に使いますところの魚雷のおおむねの形になっているわけでございますが、この炸薬の入ります頭部部分、これを訓練用魚雷の場合は取りかえまして、水を入れるような、やや長い頭をつけます。これのほうは、発射されまして魚雷が進みます。そして大体その目的を達しましてあとに、この頭部に入っておりました水を吐き出します。吐き出しますと訓練用魚雷が浮き上がってまいります。それを回収してもう一度使うということをいたしているわけでございます。実用魚雷のほうは、終わって浮き上がらせるのではなくて、目標に対して当たりましたら破裂する、炸薬の力で破壊するということになるわけでございます。もしそれが成功しなかった場合は、そのまま沈んでしまうようになっているわけでございまして、これは浮き上がって回収するわけにはいかぬわけでございます。そういう違いがございます。  単価のほうは、大体実用魚雷のほうが八百五十万、訓練用魚雷のほうが、ある一定目的が済みましたら浮き上がるというような装置をいたしておりますので、千百五十万というふうに、高くなっております。
  9. 鳥居一雄

    鳥居委員 先ほどの四年間における魚雷亡失損傷につきまして、弾種別に、つまり魚雷型式別にこれを明示していただきたいと思います。
  10. 黒部穣

    黒部政府委員 年度別に申し上げます。  昭和四十二年度、これは四十二年度でございますので、先ほど経理局長から申し上げた数字とちょっと食い違いがあるかもわかりませんが、四十二度にMK44、これは、先ほど私が申し上げましたライセンス生産をいたしておるもので、しかも現在最も多く使われているものでございます。このMK44が十本亡失いたました。そのほかMK32、MK34、MK37、五四式、G9B、こういう弾種がございますが、これについては亡失はございません。  昭和四十三年度はMK44が十一本、MK32が一本、MK34が一本、MK37が一本、五四式が一本、G9Bはゼロでございます。合計十五本でございます。  それから昭和四十四年度のほうはMK44が十本、MK32が三本、MK34はゼロ、MK37はゼロ、五四式はゼロ、GgBはゼロ。  それから昭和四十五年度はMK44が十五本、MK32が一本、MK34がゼロ、MK37がゼロ、五四式がゼロ、G9Bが二本、合計十八本になっております。
  11. 鳥居一雄

    鳥居委員 それからさらに伺いたいのでありますが、ただいまの説明主力魚雷マーク44であることがほぼわかるわけであります。この魚雷亡失損傷に対して、特に主力魚雷であるマーク44の亡失が著しい。マーク44の特に訓練用頭部、これが失われているわけでありますけれども、四十二年度から四年間、四十五年度末までの年度別訓練用頭部マーク78と呼んでいるそうでありますが、この保有重について伺いたいのです。
  12. 黒部穣

    黒部政府委員 MK44用の訓練用頭部数量は、保有量で申し上げますと、昭和四十二年度末が三十七本、四十三年度末が五十六本、四十四年度末が七十七本、四十五年度末が八十八本、こういうことになっております。
  13. 鳥居一雄

    鳥居委員 次に、四十五年度に主力魚雷でありますマーク44、これが十五本沈んでおりますけれども、この亡失損傷状況について説明していただきたいと思うのです。水上発射が何本、水中発射が何本、アスロックによるもの、それからDASHによって亡失したもの、航空機等が何本、この明細をお願いしたいと思うのです。
  14. 黒部穣

    黒部政府委員 マーク44の訓練用魚雷亡失がどういう方法で発射されて亡失したかという御質問でございますが、四十四年度で申しますと、亡失が十本でございますが、そのうち魚雷発射管から発射されたものが三本、アスロックから発射されたものが三本、DASHから投下されたものはゼロでございます。航空機から投下されたものが四本ということになっております。  それから四十五年度につきまして申し上げますと、総計十五本でございますけれども、魚雷発射管から発射された場合が四本、アスロックから発射された場合が四本、DASHから投下された場合が四本、航空機投下が三本、かように相なっております。
  15. 鳥居一雄

    鳥居委員 いまの十五本の亡失状況から言えることでありますけれども、必ずしも航空機からの投下によって亡失が起こっているということではない、これはしろうとでもわかるわけであります。  そこで、マーク44について、どことどんな契約で調達しているのか御説明願いたいのです。
  16. 黒部穣

    黒部政府委員 マーク44は国産を始めたわけでございますけれども、これは全部三菱重工を一本にプライムにして契約してございます。
  17. 鳥居一雄

    鳥居委員 いま、いつどんな契約で今日に至っているかという質問をしたのです。いつからですか。
  18. 黒部穣

    黒部政府委員 昭和三十八年度からいたしております。
  19. 鳥居一雄

    鳥居委員 これでかなりわかってきたわけです。いまの自衛隊は、平時訓練用魚雷を使っているわけでございますが、実用として購入する場合には一本八百三十万、回収するために特殊な設備をして一本約一千百五十万。ところが、欠陥魚雷のために毎年十本以上亡失して、気がついてみたら、ここ四年間に四十六本もこの主力魚雷であるマーク44の亡失があった。四十二年度末に、この訓練用弾頭はわずか三十七本しかなかったのです。その年失った数が十本、つまり二割に相当するものがこの年なくなってしまっている。これは何回か回転するそうでありますから、一年間の発射回数となるとかなりふえたものだと思うわけです。そこで、この発射回数について伺っておきたいと思うのです。この四年間に、マーク44について、それから上位三種類の魚雷につきまして、発射回数を示していただきたいのです。
  20. 大西誠一郎

    大西説明員 お答え申し上げます。マーク44の発射回数は、四十五年度におきまして百四十八回でございます。内訳を申し上げますと、水上艦艇発射管から発射した回数が七十二回、アスロックが二十三回、DASHが二十九回、航空機によるもの二十四回となっております。それからMK32でございますが、四十五年度の数字を申し上げますと、六十二回というふうになっております。これはいずれも水上艦艇発射管から発射した数字でございます。MK37の発射回数は三十九回でございます。これは潜水艦から発射をいたしているものでございます。
  21. 鳥居一雄

    鳥居委員 傾向を見たいと思いますので、残りの三年間についていかがですか。資料をお持ちではありませんか。
  22. 大西誠一郎

    大西説明員 MK44について申し上げますと、四十二年度九十七、四十三年度百四十二、四十四年度百四十四。MK32、四十二年度五十五、四十三年度七十四、四十四年度三十九。MK37、四十二年度四、四十三年度十八、四十四年度四十、というふうになっております。
  23. 鳥居一雄

    鳥居委員 まず、ただいま指摘したのですが、四十二年度末には三十七本しか残らない。訓練用弾頭であります。その年十本失いました。四十七本ですから、二割少々に当たります。その四十二年度に十本亡失したために、四十三年度では三十本補充をしまして六十七本にしましたけれども、この年十一本亡失して五十六本になってしまった。四十四年度には三十二本補充して八十八本にしたけれども、十一本亡失してしまいまして七十七本になってしまった。四十五年度におきましては、二十六本補充したけれども、十五本亡失してしまった。こういう実情であります。まるで消耗品のようです。私は、平時における魚雷訓練でありますし、当然浮上する設備を、高い投資をして設備しているわけでありますから、これはもう一〇〇%回収できてあたりまえだと思うわけです。まあたまたまの亡失ということであれば、それは納得できる数字でありますけれども、いま審議官の示された数字を見ますと、マーク44については、十回撃つと一本なくなる計算になるわけです。四十五年度を見ていただきたい。十回撃つと一本なくなってしまう。これはもう全くの消耗品として沈んで消えていってしまう。欠陥魚雷というか金づち魚雷というか、何ともかんとも言いがたいそういう魚雷であります。ですから、この四年間のこのマーク44に関しての亡失損傷額は、実に五億一千万にのぼっております。一体この亡失欠陥魚雷、この原因はどこにあるのか、お答え願いたいです。
  24. 黒部穣

    黒部政府委員 確かに先生御指摘のように、マーク44で見ますと、亡失率が多いわけでございますが、大体計算上八%ぐらいになろうかと思いますけれども、ただ、変な弁解になって申しわけないのですが、米国海軍におきましては、魚雷のこの亡失発生率が約一.五から二〇%、こういうことをいわれておりまして、非常に回収がむずかしいものであるということが言えるのじゃなかろうかと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、ある一定の仕事が終わったあとには海面まで浮上をするというような特殊の機構をつくらねばなりませんので、そのためにやや微妙な制御装置を入れなければならないわけでございます。発射いたして水中に突入した際の衝撃で、こういう特殊の制御装置の作動がうまくいかないという面があろうかと思います。そういう点で、少しずつ技術的な改善に努力していきたいと思っております。
  25. 鳥居一雄

    鳥居委員 マーク44の装作に入ったのが三十八年です。今日まで十年近く同じ機種を同じように製造をして今日に至っておるわけです。どんな対策がとらえてきたのか伺いたいです。
  26. 黒部穣

    黒部政府委員 訓練用魚雷を浮き上がらせるための機構があるわけなのですが、そのほかにどこへいま魚雷が進んでいるかということを船のほうからトレースするようにしているわけでございます。そのために特殊の装置でこの訓練弾が音を出しながら進むようにいたしまして、それをこちらの発射したほうの艦のほうからソーナーのようなもので聞く。あるいは海面へ航跡を描いていくわけですが、海面に着色ができるように、そういう機構を取り入れたりいたしているわけでございます。そのほか、何といっても整備を十分してから発射するということで、整備についても特に配慮するというようなこともいたしておるわけでございます。
  27. 鳥居一雄

    鳥居委員 亡失原因を伺ったのでありますが、米海軍では一五%から二〇%の亡失であるという。向こうは戦争をやっているんですよ。日本は平時じゃないですか。平時魚雷を使うというのは訓練用ですよ。しかも、四十五年度を見ていただけばわかりますが、百四十八発撃って十五本亡失しているのです。一割じゃないですか。十六発撃つと一本なくなってしまう。実際には弾頭の数が百四十八本あるわけじゃないのです。百本足らずの弾頭です。それを何回か使っていることになるわけですけれども……。ですから四十五年度末八十八本しかない弾頭が十五本なくなってしまった計算になるわけだ。ろくろく原因の究明もなされていない。対策といえば、三十八年製造当初、魚雷がもぐってしまった場合に、もぐり先を探り当てるための煙を出すとかあるいは発信機をつける、この程度のことしかなされていないんですよ。軍事機密という意味から言ったって、一本の魚雷もなくせないはずなんですよ。この四年間に四十六本なくなったなんということは、もっぱら専守防衛という立場でいうならば、第三者の手に渡ることがかなりおそれられていいはずじゃないですか。こんなずさんなことでいいですか。
  28. 黒部穣

    黒部政府委員 先ほど私が申し上げました米海軍亡失発生率は、これは戦時中での戦争目的での数字ではございませんで、やはり訓練用魚雷亡失率で申し上げたわけでございます。  確かに先生おっしゃるとおり、マーク44の亡失が非常に多いわけでございまして、十年もたって一体何していたのかという御指摘を受けてもまことに申しわけないと思っておりますが、さればこそ、新式の魚雷で、もう少しスピードもあり、かつまた浮上機構ももう少し精緻なものをつくろうということで現在着々進めつつあるわけでございいます。近いうちにそういうものを採用いたしまして、だんだん装備してまいりたいと思うわけでございます。
  29. 鳥居一雄

    鳥居委員 マーク44につきまして二、三伺います。  この整備はどこでどのようにして整備をなさっておりますか。
  30. 大西誠一郎

    大西説明員 現在、海上自衛隊には地方隊が五つございますが、そのうち横須賀、呉、大湊、舞鶴の各地方隊水雷調整所という組織を設けております。ここで魚雷及び機雷の整備調整等を行なっております。
  31. 鳥居一雄

    鳥居委員 三菱重工長崎造船所で現在マーク44を製造していますが、製造能力はどのくらいありますか。
  32. 黒部穣

    黒部政府委員 ちょっと不十分で、年間どのくらいつくれるか調べておりませんが、またいずれ後ほど調べて提出させていただきたいと思います。
  33. 鳥居一雄

    鳥居委員 現在、生産をしているところは一社、しかも設備投資をいたしまして、製造能力はきわめて高度に発展をしているわけでありまして、三十年代大体四十本程度のものが、今日ではもう百本、二百本、そういうオーダーの生産ができるような形になっている。そういうところに、魚雷訓練用でありながらある程度消耗品として使われなければならない、そういう形になってしまっているのじゃないか、こういう危惧さえ感ずるわけであります。これについてはどうですか。
  34. 黒部穣

    黒部政府委員 三菱重工一社にプライムとして発注いたしておるわけでございまして、三菱重工といたしましても何がしかの投資をいたしておるわけでございます。訓練用魚雷がきわめて良好な成績のために亡失が少ないということになると、防衛庁からの発注もとだえて、それでは困るから、やや不良品をつくっておいて、次々に亡失してもらって、発注がとだえないようにするということであるのかどうか、これはたいへん重要な問題でございますので、私どものほうもさっそく詳細にそういうことについて調べてみたいと思っております。
  35. 鳥居一雄

    鳥居委員 今回のこの亡失は、浮き上がらなかったものが亡失になっているわけです。ですから、所期の目的を達成できないものも含めて考えてみますと、回収できたものについては、沈んでしまってもこれは亡失の中に入っていないわけでありますから、実際機能として働いていないものまで含めますと、これは十本や十五本じゃないと思うわけです。しかもこれは、回収するために浮上する、そういう目的を備えたものでありますから、浮上してくる目的からいって十五本の亡夫であります。つまり、訓練用じゃない実用は何本あるかわかりせん。推定は私としてしておりますけれども、その推定、この四年間に二百七十本から三百五十本もし防衛庁がかりに保有したとする。保有しているものの欠陥性ということは、これはもう容易ならない問題だと思うわけです。訓連用として浮き上がらなかったものが十五本ある。確かにこれは国損として五億一千万という数字が出てきております。しかし、実際の用に供しようという段階になって、欠陥が十本に一本もあらわれるということになってしまったのでは、これはどうにもならないことだと思うのです。その点の点検はどういうふうにやっておりますか。
  36. 黒部穣

    黒部政府委員 普通、弾丸でございますと、毎年訓練として実弾を射耗しているわけでございます。魚雷の場合は、そういう訓練実弾を使用する場合がなかなかむずかしゅうございます。米国で、持っていきまして、一、二度発射するというようなことでためしているわけでございます。そういうことで、他の弾丸の場合、弾薬の場合に比べてますと、確かにしょっちゅう毎年一定の数を撃ってみる、それは結局保有数に対して何%かという率が出ておりますので、その辺からも、大体その威力というものは常にこの程度であるということが、把握できるわけなんですが確かにおっしゃるとおり、魚雷については少しその辺が、現実の訓練場所として使用するところがないものですから、むずかしい面がございます。
  37. 鳥居一雄

    鳥居委員 政務次官、ずいぶんのんびりした話だと思うのですよ。十年一日のごとくせっせとマーク44、今日の主力魚雷です。これの生産をやってまいりましたけれども、十発撃つと一本なくなってしまうという非常にロスの高い、いわば欠陥魚雷ともいえる、そういうものを主力兵器にしなければならない、ここに問題があるのじゃないかと思うのです。今回私は物品亡失として面から調べてみまして、防衛庁の調達の中におけるずさんさ、亡失原因さえも的確に究明していない。それからこうしたシェアを占めるこの亡失、その対策、これもろくろく進んでない。この問題に対して一体どう受けとめたらいいですか。
  38. 野呂恭一

    ○野呂政府委員 先ほど指摘になりました魚雷亡失率が非常に高い、これは金額の面におきましても、確かに国家的にもたいへん大きな損失でなかろうか、かように思います。また昨年の六十五国会におきまして、衆議院の議決においても御指摘になっている点でございます。先ほど装備局長を中心としてお答え申し上げたとおりでございますが、まだその改善処置について十分でないではないかというおしかりにつきましては、私ども十分反省をいたしまして、それ自体の技術改善はもちろんでありませんが、訓練に際しまして、整備点検を十分にいたして、その回収率を高め、損耗をなくしていきたい。これがための善処策につきましては、いろいろ大臣とも御相談申し上げて、何とか原因の究明をいたすとともに、三菱重工自体が武器等製造企業として認められたのが一社でございますが、これらもいろいろ究明をいたしつつ、少なくとも、アメリカとの比較の問題でなくて、わが国がこうした問題につきまして十分技術的にも改善できるという方向に鋭意努力を進めてまいりたい、かように考えるわけでございます。  過去十カ年という長い期間にありながら、その徹底的な処置ができていないということはたいへん申しわけなく存じますので、今後防衛庁として、この面につきましても十分御納得いくように徹底的な究明をして、その善後策を講じてまいりたい、かように考える次第でございます。
  39. 鳥居一雄

    鳥居委員 回収装置をつけているのでありますから、全部回収できて当然だ、こういうふうに会計法上も言えるのではないかと思うわけです。この点について検査院ではどう考えますか。
  40. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 私どものほうでも先生がお感じになりましたのと全く同じような気持ちでございまして、この魚雷亡失が非常に多いということにつきましては、かねてから非常に強い関心を持ちまして、防衛当局のほうにもいろいろと事情をお聞きしたり、検査をいたしたりしているわけでございます。  そこで、私どものほうの立場からこの問題を見ました場合に、二点ポイントがあろうかと思います。  その第一点は、物品の調達という観点においての検収の問題これが十分であるかどうかということ。それから第二点は、検収して受け入れたあとでの管理といいますか、取り扱いがどうであるか。この二点が私どものほうの観点から見た場合の問題点になろうかと思います。  その第一点でございますけれども、この検収につきましては、いろいろと私どものほうで調査いたしましたところ、一応成規の手続、しかも相当慎重な検収をおやりになっておる、こういうことでございます。したがいまして、この点は全く純粋な技術的な問題ということになろうかと思います。欠陥という問題につきましては技術的な問題になろうかと思います。この技術的な点につきましては、はなはだ遺憾でございますけれども、私どものほうでも、どの辺にその欠陥があるのか、技術上の問題があるのかというふうな点につきましては、まだ究明するまでに至っておりませんので、この点については何とも申し上げるわけにまいません。はなはだ遺憾でございます。  それから第二の、その後の取り扱いでございますけれども、これにつきましても、訓練に実際用いる場合の態様とか管理の問題とか、それらについてもいろいろ調査いたしましたけれども、その点についても、特に私どものほうで不当な点があるというぐあいには見受けられませんので、はなはだ残念でございますけれども、いまのところでは、なお防衛当局のほうで御努力を願うということでお願いしているというのが実情でございます。
  41. 鳥居一雄

    鳥居委員 政務次官、こういうふうに毎年十本から十五本という亡失が出ているわけでありまして、明確な原因の究明がなされるまでは、この訓練については一時中止をしてでも原因の究明に当たろう、そういう姿勢がやっぱり私は大事だと思うです。防衛庁、こうした兵器につきましてはマル秘マル秘で今日に至っておりまして、こうしたわずか四年間に五億一千万にのぼる国損を生じていながら、ろくろく原因さえも究明されないで今日に至っているわけでおりまして、その点どうお考えになりますか。
  42. 野呂恭一

    ○野呂政府委員 先ほど申し上げましたとおり、防衛庁といたしまして、これが改善策をどうしていくかということに対して徹底的なひとつ究明を加えたい。ただ訓練を中止してということになりますと、むしろ訓練の中にいろいろ原因の究明を行なうということも大事なことはないか、かように私は考えますので、訓練に際しまして十分にその原因の究明を行ないながら、しかも製造をお願いいたしております企業側につきましても、十分立ち会いなどをやらせまして検討いたし、御期待にこたえたい、かように考える次第でございます。
  43. 鳥居一雄

    鳥居委員 私の質問は以上で終わります。
  44. 福田繁芳

    福田委員長 次に、吉田賢一君に発言を許します。吉田君。
  45. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第一点、郵政事業特別会計につきまして尋ねたいのでおりますが、これは会計経理の方面からひとつ御答弁願います。例を四十六年度にとりますが、その後改善されたかどうかをつけ加えて御答弁願います。  郵政事業のうち、特に郵便事業を中心として考えたいのでありますが、これはきょうは一括して申しましょう。特別会計といたしまして郵便事業は相当大きなウエートを占めておると思うのですが、これは収支関係、歳入と歳出のバランス、大体赤字になっていくのであろうか、あるいはそうでないのかの辺につきまして第一点まず伺っておきたいのですが、どこか答弁できますか。
  46. 福田繁芳

    福田委員長 吉田君の御質問に対して、影浦理課長が参っておりまするから、一応答弁させます。  なお、この際、吉田君に申し上げておきます。もう間もなく郵政大臣が来られますから、それまで政務次官でお願いいたします。
  47. 影浦藜三

    影浦説明員 経理局審議官のほうから収支の関係を……。
  48. 福田繁芳

    福田委員長 西谷審議官からお答え申し上げます。
  49. 西谷馨

    ○西谷説明員 お答えいたします。郵便事業の収支につきましては、四十一年に郵便料金の値上げをいたしましてから順調にまいっておりましたのですけれども、四十六年度に至りまして収支の均衡がとれなくなりました関係上、また値上げをお願いしたわけでございます。したがいまして、その後における計画といたしましては、四十七年度は大体収支は予定どおりうまくいっております。それから四十八年度は若干の赤字が出る見通しでありますけれども、これは四十七年度、本年度の残額が若干出ますので、これを充当してどうにか四十八年度までは収支の均衡はとり得るというふうに考えております。
  50. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それに続いて関連しまして、郵便事業の収入と支出は大体どうなんですか。
  51. 西谷馨

    ○西谷説明員 四十七年度の収支の見通しにつきまして申し上げますと、大体収入が三千四百八十億、支出は三千四百六十七億円で、十三億円程度の剰余を生ずる予定になっております。
  52. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、四十四年度の決算におきまして、歳入のうち事業収入徴収決定済み額六千二百六十五億円余というのは、主たるものは郵便事業以外の多くの受託事業等々が全部含まれておる計算になるわけですね。そうなりますね。
  53. 西谷馨

    ○西谷説明員 さようでございます。
  54. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そのとおりですか。
  55. 西谷馨

    ○西谷説明員 はい。
  56. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかりました。  それから、同年度分の予算総則の十条の一項の規定による経費の増額という点におきまして六十四億一千七百余万円を支出しておるのであります。これは、職員の能率の向上による企業経営の改善によって収入が増加した、それで業績の賞与に充てたものである、こういう説明がついておる。もっともこれは主計局の説明でありますが、ついております。おそらく資料のほうはあなたのほうから出たと思うのですが、一口に申しまして、職員の能率の向上、経営の改善、これはどういうことをさしたのであろうか。その辺はいかがでしょう。
  57. 西谷馨

    ○西谷説明員 いまのお話の点につきましては、予算で一応予定しておりました収入以上に増加があった、しかもその場合、物量等がふえましても、それに対応する人間を直ちに増員せずに、いろいろな方法によって努力してこれを処理したという場合、大蔵省と協議いたしまして、収入の増加のありました一部をもって職員のそれらの手当に充てるという方法を従来からとっております。
  58. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点は、数字説明はわかるようでありますけれども、私が聞きたいところは、郵便業務というものは経済性の乏しい一番割りの悪い仕事だというのが一般認識なのであります。そこで、経営の改善をしたり能率を向上した、こういう説明がついておりますので、どういう点について改善があったのだろうか、能率がどういうふうにあがったのだろうか。結論としての収入がふえておったというのじゃなくして、その具体的な業務の実績につきましていまの二点、経営改善とか業務の能率があがったとか、こういう辺は何をさすのであろうか、その説明ができますか。聞こうとするのはそれなんです。
  59. 西谷馨

    ○西谷説明員 経営の合理化という点につきましては、必ずしも目に見えるはっきりしたものはございませんけれども、いまの能率の増進という点につきましては、先ほどお話し申し上げましたとおりに、予定以上に物がふえたという場合、それに伴う人を増員しなければならないということになるわけでありますけれども、それは増員せずにいままでの人間をもってこれを処理するというようなこと、すなわちこれが能率の増進というふうに考えておるわけであります。
  60. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これを企業に例をとってみますと、年末のように売り上げの業績がずいぶんあがった、だから成績によって何かの賞与を出しますというようなのと、そうではなくして、経営の合理化、改善努力等々が見られるものがあったというのとは違いますよ。これは自然増ですね。むしろ郵便業務というような、こういう一つの企業的には計算ができないようなものにつきましては、私は後者のほうに大きな期待と希望を持つわけなんです。そんな事実があったかということを聞くわけです。結論の数字がふえておりましたからほうびを出しますというのならば、大蔵省も、こういう職員能率の向上があった、企業経営の改善があったということを業務賞与の理由づけにするという必要はないわけです。よけいに収入があったからふやして、みな忙しかったからそれでやった、これにすぎないのであります。あとのほうではないと思うのです。そういう事実については説明できないだろうか、こう思うのです。もっとも、これはこまかい点になりますから、いまずばりと私があなたにこれを聞こうとしても無理かもわかりません。これは一括いたしまして、郵便業務の能率向上とか改善ということについての所見を大臣からはっきりと伺っておかなければいかぬのであります。それ以上は説明できませんね。——わかりました。大臣見えましたか。まだですか。
  61. 福田繁芳

    福田委員長 もう間もなく参ります。
  62. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは、いまの問題と関連いたしますが、郵便業務の運営につきしてもっと経済性を高めるという点、それからまた反面におきましては、多数の国民を相手にする業務でありますので、行き届いたサービスをするという点、この二点につきまして、業務改善、能率向上について相当配慮があるだろうと思うですが、実務当局はその辺については何か研究をし提案をし、お互いが練っていくというふうな努力をしておるのでしょうが、それは政務次官どうなんですか。その辺はやっていましょうかな。
  63. 福田繁芳

    福田委員長 ただいまの吉田委員の御質問に対して、影浦理課長が参っておりますから答弁させます。
  64. 影浦藜三

    影浦説明員 ただいまの御質問に対して御説明申し上げます。郵務局といたしましては、郵便業務の効率化、能率化等のために最近ずっといろいろな施策を実施してきております。その一つといたしましてはまず機械化の基礎となる、あるいは業務の合理化の基礎となります郵便番号制の導入実施でございます。これにつきましては、昭和四十三年七月に導入いたまして以降、国民の皆さま方の御協力を得まして、最近ではすでに九〇%をこえる番号の記載率になっておりまして、郵便物の区分け作業は、手区分、手でする場合ももちろんでございますが、機械を導入しまして、その機械による区分にも大きく貢献しておるところでございます。また、郵便業務の機械化につきましても、郵政省は最近ずっと努力を続けてまいっておりまして、四十七年三月、四十六年度末現在で自動読み取り区分機五十四台を配備しておりまして、さらに近く九台を配備する予定でございます。それからもう一つ、郵便物を自動選別しまして、えり分けしまして取りそろえ押印する機械がございます。自動選別取りそろえ押印機と申しますが、そういった機械も四十八局に六十五台を配備して、さらに七台を増備の予定でございますが、局内作業の機械化を促進してまいっておるわけでございます。
  65. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その種の機械化とか能率化とか新しい制度の導入とかいうことにつきまして、特にどこかたとえば研究所とか研究室とか、あるいは専門家によって研究する何かそういう機関を設置しておりますか。
  66. 影浦藜三

    影浦説明員 郵務局の中に郵便機械化企画室というのを設けてございます。そしてそこでいろいろ機械の配備計画、あるいはどういった郵便業務に関して機械を導入したらよいかといったような研究をしております。
  67. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 郵便番号の制度は一歩前進した業務簡素化、合理化であろう、こう考えるのです。  そこで、これは一つの提案ですが、郵政省として考えてもらいたいと思うのですが、大臣が来たらお考え方を確認をしたいわけであります。コンピューターをもっと広範に導入する手はないのかどうか。たとえば町内と申しますると、銀座一丁目とか青山三丁目とかいうような、ああいういわゆる町内もしくはある部落とか、戸数、世帯数十とか数百くらいのもの、そういうふうな範囲でも全国的にナンバーとか符号を付しまして、そしてコンピューターの導入によりましてどんどんと類別していく、こういうような導入の手はないものであろうか。すでに企画庁におきましては、各省から出向してPPBSを中心にいたしまして研究をしておるのでありますが、行政能率をあげる、改善するということは、国家の予算執行上の最大の課題なんです。そういう面におきまして、せっかく郵便番号の制度をつくった、また機械化をやりつつあるというのでありますから、そういう制度の導入につきましてはどうでしょう、考え方は。
  68. 影浦藜三

    影浦説明員 ただいまの御質問について御説明申し上げます。ただいま私どもが使用いたしております機械は、引き受けた郵便物を発送するための区分をする機械でございます。ただいま先生の御指摘になりました機械は、おそらくよその局で引き受けた郵便物が、配達するために配達郵便局へ到着して、そして配達郵便局で配達のための区分をする、そのための機械のことかと存じますが、そういう機械につきましても、私どもの、先ほど申しました機械化企画室等で導入して、作業の能率化に役立てようとの研究を行なっております。ただいま研究段階でございます。ただし、先ほど申し上げましたように、そのためには市内あるいは都会の住居表示が非常に科学的に表示される必要があるわけでございます。   〔委員長退席、丹羽(久)委員長代理着席〕 それで、東京などでは新住居表示という制度がたいへん広範囲に導入されてまいっておりますが、まだ全国的に見ますと、六割ちょっとぐらいの段階でございまして、新住居表示制度が実施され、科学的な番号が付されるようになりましたならば、その時点でまた私どもの配達に対するその区分の機械化も進むのではないかと存じます。
  69. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの点はこういうことなんですかね。大臣にひとつ案としまして考えてもらいたい一点があるのです。郵便番号ができたことは、選別等について非常に便宜で、また正確に配達されましょうから、これは便宜なんですが、全国の町内を、たとえば青山三丁目何十の何号という三段階になっていますね。ああいうような種類のものは、全国的にたとえばもっと数字で固めて、十万でも二十万でも数字にして、その数字で固めて、一つの番号化するというような、簡単化するというような手はないものであろうか。そして、これは最終的にどういうふうに集約したらいいかわかりませんけれども、そういうふうに一人一人じゃなしに、町内が一つの名を持つ、番号を持つ、符号を持つというような、町内が一本で百戸なら百戸、五十世帯なら五十世帯をそういうふうにしますと、なお数段階前進するということになるのはないだろうか。これはまた個人の機密を漏らすことにもなりませんし、青山三丁目五〇の三号というようなのを一なら一、BならBというようにごく簡素化した符号化するという手はないものであろうか。これは自治省なんかと御相談になりまして、新しい立法化の必要があるかもわかりませんけれども、そういう余地がどうもあるように模索するのでございますが、どうでございましょうか。これは一つの提案でございますから、私自身がだいじょうぶだと自信を持って申し上げておるのじゃないのですが、どうもその辺にまだ相当残された余地があるような気がしますので、御提案を申し上げるのでございますがね。
  70. 影浦藜三

    影浦説明員 ただいまの点について御説明申し上げますが、確かに先生のおっしゃいましたようなアイデアといいますか考え方というものはあるだろうと思います。ただいまの新住居表示は、自治省でやっておるわけでございますが、これは青山一丁目三街区の二号という形で実施しておるわけでございます。もし先生の言われましたような、また番号を各家につけていくと申しますか、何か広い単位でつけるというような考え方もあるかと思いますけれども、まだそういった点についての検討はなされていないかと思います。
  71. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いいです。それでは進みます。  伺いたいのでありますが、郵便業務の合理化、能率化、効率化対策いかんというのに帰着するのでありますが、例を幾つか並べまして御意見を伺ってみたいと思うのです。  例のダイレクトメールの配達、これは定形外となりましたら四十円ですか、封書も規格をこえますと四十円も取りまして、したがいまして、これは相当な収入源になっておる、こう見るのであります。その辺が財源として長所でしょうね。しかし同時にこれは企業の営業の末端を引き受ける。だから百貨店の、土地造成屋の証券会社の手先に使われるということにもなる。こういうようなことも考えられますので、ダイレクトメールにつきましては、全体といたしまして民間委託というような原則でも打ち出すということの適否いかん。これが財源上大きな貢献をしておる、寄与しておるということも考えられますけれども、その辺は、郵便事業は企業じゃございませんので、そういうふうにも考えられるのですが、これにつきましては、いろいろと一般に意見も出ております。提案もされております。ことに行政管理庁の中村長官のごときは、これはひとつ民間委託に踏み切ってはどうだろうか、こういうような意見まで率直に出しているのでございますが、どういうふうにお考えになりましょうか。
  72. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 ただいま御指摘のダイレクトメールの問題でございますが、最近、郵便料金の改定によりまして、純粋のダイレクトメールというのはかなり減ってまいった実情でございますが、現在、郵便を利用いたしましてダイレクトメールが送達されております実情は、ただいま御指摘のように、行政管理庁のほうからも御指摘をいただきましたけれども、いろいろ検討してみますと、最近のダイレクトメールというのは、その内容がほとんど信書に近い、また完全に信書だと思われますものが相当たくさんあるのでありまして、たとえばダイレクトメールの内容が、これは吉田賢一先生に特にあててこういうことを申し上げますよというような、信書に類するような内容の文書が非常に多いわけでございまして、したがって、信書との区別が非常につけにくいというような関係のものが最近非常に多くなってまいっておりますわけでございます。でございますから、これが完全に信書だということになりますれば、もちろんこの信書の送達について国の独占事業として私どもに許されております事業が侵食されるということになりますわけでございますから、これは許されないことでございまして、最近におけるダイレクトメールはそういう実態になっておりますから、私どもといたしましては、これ以上完全なダイレクトメールとそれから信書との区別はほんとうにつけにくいものが大部分である。そういうようなことによって、ダイレクトメールの利用者が郵便局を通しましてあえて利用されておるというようなことになっておるかと思いますわけでございます。  また、ただいま国の公共事業ではございますけれども、いま先生のおっしゃったように、決して営利を目的といたしております民間の事業ではございませんけれども、やはり公共企業体でございまして、特別会計を持っております私どもでございますから、ダイレクトメールといえども非常に貴重な財源でありますわけでございまして、私どもといたしましては、現状でやっていくということがいいのじゃないかというように考えておりますわけでございます。
  73. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 郵便事業は、電信電話公社の事業などと比較いたしまして、またその他鉄道等の事業にも比べまして、一番数の多い、こまかい、いうなら経済性の乏しい事業があそこに、この省に集約されておるような感じがいたすのでざいます。  そこで、これは企業ではございませんけれども、より効率の高い経済性を求めるという意味におきまして、郵便事業をどう合理化したらよいか、どう能率化したらよいか、効率を高めたらよいかということは、絶えず相当な経営努力、英知をしぼって検討を続けていくべきではないか、こう思うのでありますが、国民にとりましても、これは全国民が一日も欠くことのできない、郵便屋さんありがとうございましたという、毎日顔を接する関係にもありますし、信書の秘密もありますし、重要なこういう機関でございますので、そういう意味におきまして非常に大切な反面、割りの悪い仕事を持っておられる、反面から見ますと、そこで、どうもサービスの点につきましても近代的なにおいがしませんですね。一番古くさい。一番何となく見劣りがいたします。そう思いますというと、これは高い経済性と行き届いたサービスという、こういう観点、目標をもちまして業務の改善とか合理化をするという方向で相当進めることができぬだろうか。もちろん、さっきもだんだん御説明ありましたような郵便番号の制度とか機械化も若干見られますので、その辺は合理化しつつあるということはわかりますけれども、もう少し一段と高い角度から郵便事業というものをもう一ぺん再検討する段階に来ておるのではないだろうか、こう考えられるのですが、そういうふうなお考え方にならぬでしょうか。こういうことを聞きますのは、次に聞かんとすることの一つの前提になり背景になるのでございますが、大臣、どうでございましょうね。
  74. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 これはまさに御指摘のとおりだと思うのでございまして、郵政の事業の根幹をなしますものは、何と申しましても郵便でございます。その他、保険とか、貯金とか、電信電話、あるいはラジオ、テレビというような仕事もやっておりますけれども、最も沿革的な、事業の基幹をなすものは郵便事業でありますことは御指摘のとおりでございます。しかも、これは国民の日常生活に絶対なくてはならない非常に重要な要素をなしておりますこともお話しのとおりでございます。そこで、この郵便は、迅速に正確にしかも秘密を守って配達するということがその基本精神でございますことは当然でございまして、一時、御承知のように、郵便配達の遅配というものが昭和三十年ごろからほとんど慢性的にあったわけでございますけれども、昨年の夏ごろから全従業員が、そういうことがあってはならないということを非常に強く自覚していただきまして、たいへん御精励していただきまして、遅配というものがその後だんだんなくなってまいりました。また、御承知のように、昨年の十月二十五日には、この遅配を一そうなくしますために、郵便日数表による郵便配達、きょうここで差し出せば受け取り人のほうには何日の後につくというような、汽車のダイヤに類して郵便送達のための日数表というものを制定して、全国に公告したわけでございますが、それがまた一種の拍車になりましていよいよ遅配の傾向がなくなってまいりまして、ことしの元日の年賀郵便のごときは、御承知のように、戦後初めてだと言われますくらいに、完全に一日に年賀郵便を配達を終えることができたわけでございます。これは、年末の全逓とのいろいろ交渉関係等が、双方信頼感をもって解決を急いでくれたということがございまして、これも一つの大きな原因をなしておりますわけでございますが、そういうわけで、一応国民の期待に沿っております現在の郵便の状況であろうかと自負いたしておりますわけでございます。しかし、御指摘のような点も大いに考えなくちゃならぬと思うのでございまして、したがって、私は大臣となりますとともに、いままさに通信業務、これは郵便をはじめ電信電話、こういうような通信業務を根本的に考え直す必要がありはせぬか、変革の必要がありはせぬかということを考えまして、郵政省の中に通信問題懇談会というのをつくりまして、私どもの相談相手、完全な意味における諮問機関じゃありませんけれども、私も一緒に加わって、学識経験者、そういうようないろいろな有力な方々の御意見を承る会合を持って、いろいろ通信政策全般について、もちろん郵便も含めまして、ただいま変革の方向について検討を続けておりますわけでございますが、また幸いにして昭和四十七年度の、新年度の予算におきましても、この郵便事業改善のための調査研究をひとつ根本的にやろうじゃないかということで、その調査費も要求いたしましたところが、かなりついてまいりました。こういうようなことを通じまして、ただいま御質問のございました国民から喜ばれる、国民から親しまれる郵便事業に持っていかなくちゃならない、こういうように考えて、ただいま大いに勉強いたしておりますところでございます。
  75. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 高い経済性を持った郵便事業にだんだんと伸びていくということになりましたならば、この郵便事業の担当者、たとえば外勤等に見ましても、もっと魅力を持つようなものに改善の方向が向けられなければいくまい。私はある郵便局でちょっと調査してみたのですが、普通局で二百十八名が定員でありましたが、この定員を構成しておる者は大体どういう経歴者か見てみましたら、大学卒業者が二%強でありました。五名でありました。それから中卒が二割です。高卒が約八割なんですね。そういうことなんです。だから、およそこの種の郵便局につとめるということは魅力のある職場ではないような感じがしてならぬのであります。やはり魅力のある職場にする、それが郵便事業がほんとうに高い経済性と申しますか、社会的に相当寄与をする事業である、ほんとうに公共性に富んだ事業であるということの裏表になってくるのじゃないだろうか、こうも考えるわけであります。でありますから、どちらが先というわけじゃありませんけれども、現状としましてはあまり魅力がない。早い話が、結婚の相手に、どこへおつとめですか、郵便局におります。郵便局におりますというのと、どこかの銀行におりますというのとはちょっと社会的に受ける感じは違います。郵便局におりますということをほんとうに誇らしげに人に吹聴し得るぐらいの、そういう場にできぬものだろうかどうだろうか。もともとかすをつかんでおる、最低線に置かれておるのが郵便事業だ。そういう意味では情けない。そうであるべきではないと思うのです。そういうところで時代にずれたものが残っておるのではないか。何か知らぬけれども、こういうような文化の高い科学化をしました時代に即応しておらぬものが残っておるのではないか。これは全国民に密着した重要な仕事であるということを思いますと、残念でならぬのであります。それならば、その職場にほんとうに魅力を持たす。魅力を持ち得ないというところによい待遇ができるわけがない。待遇の問題があるのじゃないだろうか。そこでまたほんとうに能率をあげる、効率化する、賞与も十分出す、信賞必罰でいく、こういうことで規律厳正に保っていき得るのではないか。みなそこが表裏一体となりまして、郵便事業が盛んになる一つの重要なる骨子じゃないか。こうも考えるのですが、大臣、抽象的なこんなことを言っては失礼ですけれども、ほんとうに外勤の状況なんかを見てみると、特にそういう感じがします。内勤の選別をしておるところを見ましても、何か知らぬけれども家内労働者の家内工業を見ているような感じがしてならぬ。機械化、近代化しましたところの、高度能率化しましたところの産業なんかと比較したら、あまりにも見劣りがするのです。そんな感じがするのですが、大臣、そこでこういう点につきましては、大まかでもよろしゅうございます、いまの審議会ですか、御研究になっておる、そういうところへもずばっと出して、もっとほんとうにこの新しい時代に即応するような、ほんとうに輝かしい職場にしょせんならないものであろうかどうか。こういう線まで考えを一ぺん根をおろして、それから取り組んでいくというふうにする必要があるのではないか。こう思うのですが、大臣どうお考えになりましょう。
  76. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 郵便局の職場が魅力あるかないかということにつきましては、いろいろ御意見の分かれるところじゃないかと思いますけれども、地方によりましては、郵便局とか市役所につとめております者は非常にかたい仕事をやっておるので、養子には一番もってこいというようなことを言って、郵便局につとめておりますことを喜ばれる向きもかなりあるわけでございます。しかし、それが全国的な全般の現象でないということは、御指摘によりましてもわかるわけでございます。そうして郵政事業というのは、結局人が問題でございまして、仕事の八割は人によって運営されておるというような状況でございますから、人の問題、人が魅力を感じて郵政事業に携わるというようなことでなくちゃ運営ができないということになりますことは私が最も強く考えておるわけでございます。ただ私は、郵政省の職員は必ずしも高給だと誇りを持っていい職場だと思っておりませんけれども、ただ一般の公務員に比べますと、いささか給与はいいのではないかというように考えておるわけでございます。一々各省と比較したわけではございませんけれども、これは私の観測でございますけれども、特別会計でございますから、いろんなことができるわけでございまして、そういうように考えておりますけれども、そういうことのあるなしにかかわりませず、さらにさらに魅力を持たした職場にしていかなければならない。これについてはやはり従業員に——私は決して悪い意味におけるマル生運動をやろうとはあえて考えておらぬわけでありますけれども、事業精神は堅持してもらう必要がある。やはり一種の企業でございますから、企業能率をあげるということについては、全従業員御協力を願わなくちゃならぬ業態であることは当然であります。しかしこれは労働強化というようなことをあえて考えていることではないことははっきりいたしておるわけでございます。そういうことを考えながら進んでおりますが、それには何と申しましても事業精神の堅持をやってもらうことが必要だと思うのでございます。これについては、第一に、郵政従業員は庶民的な事業をやっていると思います。これは郵便にしましても、保険にしましても、貯金にしましても、まさに庶民的な仕事をやっている、庶民の福祉を増進する仕事が郵政事業であるということについて誇りを持つべきだ。今度私どもが庶民金融などということを打ち出しておりますのも、郵便貯金の金利引き下げ反対だということを主張いたしておりますことも、庶民的な立場に立ってそういうことを申しておるわけでございまして、庶民的な仕事であるということに誇りを持つべきだと私は考えておるわけでございます。  それから、さらに強調いたしておりますことは、将来郵政事業というのは、だんだん世の中は情報化社会に向かってくるのだというように考えております。私みずからかってに人類の歴史を三つに区分いたしておりますが、第一は部落孤立の時代だった。第二に交通化の時代だった。第三は今後の社会であって、それは情報化の社会である。こういうように私みずからかってに考えておるわけでございますが、そういうふうに考えますと、将来の情報化社会をになうものは通信事業であります。そこで、通信事業に携わっておりますお互いは、ひとつ国民的な、庶民的な、また国家的な大きな使命を持っておりますことに誇りを感じて、胸を張って堂々と濶歩しようじゃないか、大いに仕事に誇りを持つべきだというように主張いたしておりまして、従業員を激励いたしておるわけでございますが、そういうような精神面におきましても、仕事に使命と誇りを持ってやってもらうということを強調しなければならないと思うのでございます。  それとともに、いま御指摘ございましたけれども機械化の問題でございますが、たとえば局内の事務についてのお話がございましたけれども、局内もただいま自動区分機でありますとか、自動押印機でありますとか、いろいろやっておりますけれども、これはやはり郵便物数の限度と申しますか、あまりに少ない局では利用ができないわけでございまして、おのずから機械の利用についても活用についても限度がございます。そう考えますと、やはり内勤の仕事についても、主体は人だ、人の手だということになってくるわけでございます。それから外勤は、これまた自転車とかオートバイとか、いろいろ利用いたしておりますけれども、これまた足を使って個々の郵便物の受け取り人に配達するという人の問題にしょせんなってくるわけでありまして、どうしても機械化ということについては限度があろうかと思うわけでございます。そういうふうに限度があるわけでございますから、その辺を考えながら人の問題にしっかり取り組んでいくということがきわめて肝要ではないかと思います。一番青少年が好まなくて定着性のないのは、御承知のように郵便の外勤であるわけでございますが、ことに大都市並びにその周辺の郵便の外勤者につきましては、常にその新規採用あるいは定着に頭を痛めておるようなところでございまして、これについてはいろいろな手を打っておりますことは先刻来事務当局から御答弁いたしたかと思いますけれども、外勤につきましては、内勤の連中よりも月平均六千円程度は高給を差し上げておるわけでございます。そのほか、外勤青少年のために宿泊施設をつくるというような、厚生施設方面につきましても最大の努力をいたしておるつもりでございまして、御指摘のように、郵政事業の職場に魅力を持たせる、これはしょせんの問題になってこようかと思います。その人の問題については、心の持ち方、誇りの持ち方とともに、やはり物的給与の面につきましてもますます努力を加えていかなくちゃならない、こういうふうに考えておるわけでございまして、非常に貴重な御指摘に対しましては、そういう方向に向かって努力を続けてまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。
  77. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 時間の関係もありまするから、次に、最近郵政大臣が力こぶを入れておいでになりまする郵便貯金担保の個人貸し付けの問題ですね。これの反響は、たとえば農村の農協あたりはずいぶんと猛烈な反対、それは金融秩序を混乱におとしいれる。あるいはまた銀行筋におきましてもこれは反対である。そういうふうに金融の方面は反対でありますが、すでに簡易保険につきましては貸し付けの制度は実施しております。相当利用がされておりますね。かつて問題になったようにもあまり聞きませんが、その辺につきまして、郵政事業の一つのねらいといたしまして、これは大臣は相当いま前向きに努力しておられる。こう思うのですが、ずばりとここで賛否両論につきまして。私は必ずしも完全なものがすぐにできなくてもいいと思います。ただし、銀行に行っても敷居が高いし、格別な顔も経験もなし信用もなしというようなのは、やはり三万円や五万円の金の融通でもしてほしいという階層の需要は相当あるだろう、こう思うのですが、そういう方面の需要をかなえるということも大事な問題である。また反対論があれば反対論も謙虚に耳を傾けまして、その理非曲直、当否というものは十分に検討をするというふうにいたしまして、そしてすべて国民本意に最終的に結論づける、こういうふうな方面に持っていくべきだと思うのですが、一番大きな大筋といたしまして、いま郵政大臣が前向きに積極的に主張しておる論拠、反対論は一体どこなのか、この辺をこの委員会においても明らかにしておいてもらいたい、こう思うのであります。いかがでございましょう。
  78. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 私どもの提唱いたしておりますいわゆる庶民金融、正確に申しますと、郵便貯金の預金者貸し付けの問題でございますが、これにつきましては、ただいまもおことばをいただきましたように野党の各党におかれましても大いに賛意を表され、また、ほとんどすべての党で、やるべきだという御決議を賜わりまして、私どもを激励くださっております。こういう御理解に対しましては、まずもって心からお礼を申し上げる次第でございます。予算委員会あるいは逓信委員会、またきょうは決算委員会におきましてもそのようなおことばをちょうだいいたしまして、ほんとうに勇気が出てまいっておるような次第でございます。  この庶民金融と私ども申しております内容につきましては、先生もうすでに御指摘のところでございますから、あえて説明の必要はないかと思いますが、郵便貯金の預金者が生活上不時の入費があったというような場合に郵便貯金を引き出す、これは当然できることでございますけれども、郵便貯金は、その性質上、郵便貯金の大宗をなしますものは定額貯金というわけでございますが、こういうような貯金は、預けておきます期間が長くなれば長くなるだけ預けた人に有利な利回りになるわけで、郵便貯金の引き出しをやめなさいという郵便貯金の引き出し防止法といいますか、あるいはそのかわりに個人貸し付けをいたしますという立てかえでございますが、そういうような趣旨のものであるわけでございまして、大げさに融資だとか金融だとかいうような性質ではない、そういう産業に結びついた金融ではございませんで、ほんとうに生活を御救済する、生活の足しにしていただきたいというための貸し出し制度を創設したいというわけでございまして、ただいまお話しのように、簡易保険におきましてはもう五十年前から個人貸し付けの道を開いております。簡易保険と並んで郵便局でやっております郵便貯金で、簡易保険がそういうことをやっていて郵便貯金が許されないということはないと私は思うのでございます。こういうことももちろん考慮に入れておりますし、また諸外国の例をとりましても、郵便貯金をやっております国は大部分の国が貸し出しもやっております。それから営利を離れて公共的に貯蓄銀行というものが外国にはございます。そういう公共的な貯蓄銀行におきましても、大部分の貯蓄銀行が貯蓄とあわせて貸し出しもやっておるわけでございまして、そういう外国の例もございますし、また御承知のように国会におきましても、もうすでに四回も、郵便局においては庶民金融をなすべきだやるべきだということを、参議院において一回、衆議院においては三回も御決議をいただいておりますことにも私ども大いに激励を感じておりまして、ぜひやりたいと思っておるわけでございますが、ただいまどういう段階になっておるかと申しますと、大蔵省が反対いたしております理由は、第一に、これは公の場で、予算委員会で大蔵大臣が答弁いたしまして、それを私またさらに反駁と申しますか、そういうことでございませんよということをやんわりまたあとで答弁いたしたのでございますが、郵便貯金というものは預金制度である、貸し出しをやるということは制度の非常に大きな変革である、こういうふうにおっしゃるわけでございますけれども、もともと郵便貯金というものは預金者の福祉のためにある制度でございまして、したがって、郵便貯金法にも預金者の福祉を大いに考えなければならないというようにうたっておるわけでございます。したがって、金融だということになりますと制度の変革だということになるかもしれませんけれども、先刻申しましたように、預金者に、預金を引き出しては損になりますよ、あなたの福祉のためには別にお立てかえしますから、金をお使いなさい、という意味に解釈いたしますれば、預金者の福祉につながっておるわけでございまして、これは郵便貯金制度の本来的な使命ではないかというようなことすら考えるわけでございます。これは大蔵がかってに金融制度を創設するというように考えれば考えても差しつかえないと私どもは思うのでありまして、こういう制度は神さまのつくった制度ではございません。人間のつくった制度でございますから、必要なときには変革することが必要ではないか。たとえば、福祉政策が強調されております時代でありますから、こういうときにこそ制度の変革をやるべきではないか。もともと私どもは金融制度だとは思っておりません。預金者の福祉事業だと思っておりますけれども、制度の変革を考えましても、私はこういうときにこそ制度の変革をやるべきではないかと思っております。  それから、大蔵省のもう一つの言う分は、財投に影響がある、郵便貯金は財投の非常に重要な原資を出しておるではないか。財投に影響があると申しますけれども、先刻申し上げましたように、もともとこの立てかえをしなければ、貸し出しをしなければ、預金者は郵便貯金を引き出すわけでございますから、それで財投の金が減ってくるわけであります。減ってくるのを別に貸し出しの方法でカバーしようというわけでございますから、財投には全然関係ない。多少関係がございましても、二兆円も大体郵政省は大蔵省に納めておりますわけでございますから、その一分、二百億円、五分ということになれば一千億円。二百億円や一千億円を貸し出しましても、二百億円となれば九九%は従来のとおり財投にいきます、一千億円ならば九五%は財投に入るわけでございますから、財投にはほとんど関係がない。それと別に、それよりもさらに根本的な問題は、貯金の引き出しを防止いたしまして、立てかえをするわけでございますから、これをやらなければ貯金の引き出しがあるわけでございまして、それで財投が減るということになるわけでございますから、そういう意味から申しましても、これは第一義的な考え方でございますが、財投には関係ない、かように考えております。  もう一つ大蔵省が言いますことは、銀行業者が反対する、民間の企業に影響を与えるというように、ただいま先生おっしゃったことばのうちにもあったかと思いますが、そういうように大蔵省は言うのでございますけれども、これは銀行業者が庶民のことをいままで考えていなかったことが悪いのでございまして、五万、二十万、三十万という金は、いままでそういう庶民金融というのは銀行は全然やっておりませんわけでございます。大きな銀行ばかりでなく、信用金庫あたりもそういう庶民金融というのをやっていない。産業に関係のある資金であればやりますけれども、生活資金というのは全然考えていないのです。何か不動産を担保に持ってこいとか、有力な保証人を立てなさいとかいって、庶民金融をしない。まさに銀行業者もブランクであったと私は思いますが、郵政省がこういうことを提唱するようになりまして庶民ローンということを言い出しておりますけれども、それだけでも大きな効果があったと思います。私どもは、銀行業者がやらないそのブランクを庶民金融で埋めたいというわけでございまして、決して民間の圧迫にはなっていない、民間の銀行業者の圧迫になっていない、こういうふうに考えております。  ただ心配なのは農協関係でございますが、農協関係は御承知のようにいま猛烈に反対しておりますけれども、私はせんだって連休を利用いたしまして郷里に帰りまして、私の選挙区はことごとく農民でございます、全部が農民でございますが、その農民に一々当たってみましたところが、いや、われわれとしては郵便局が預金者に貸し出しを始めるということは非常に喜んでおる、大歓迎でございます、われわれとしましては農協からも借りられ、それから郵便局からも借りられるということになれば、非常にしあわせが増進するわけだから、われわれとしては非常に喜んでおる。私は五十人くらいに当たりましたが、五十人ことごとく、一人だって反対がございませんでした。ことは私どもの説明によったのかもしれませんけれども、農協の立場も十分説明したのでございますけれども、一人の反対者もなく、ぜひやってくれという激励のことばを農民からいただいたわけでございまして、農協の中でも信用業務をやっていらっしゃる役員の方々はかなり刺激になっているかと思いますけれども、その刺激によってまた新しい道を開拓するというような方法もないではないと私は考えておりますわけでございます。そうして、農協に集まる金は大部分が農産物を売った金を農民が預け、そうして農機具を買うとか農薬を買うとか、そういう農業生産のための融資は農協から受けるというのがたてまえではないかと思うのであります。生活上の資金につきましては郵便局を御利用くださってもまことにけっこうだと思うのでございまして、両々相まって農民の福祉を増進していくことが肝要ではないか、このように考えております。でございますから、大蔵省の反対あるいは農協の反対はあえて私どもといたしましては当たらないような感がいたすわけでございます、でございますから、どんどん推進してまいりたいと思っております。ただ政府内におきまして——理想的に申しますと、今度の国会に政府提案で出したいという熱意を持っております。まだ現在も捨てておらないわけでございますけれども、大蔵省が必ずしも私とは同じ意見でないことは先刻申したとおりでございます。したがって熱意がないように推察されます。この間、大蔵大臣が参議院の大蔵委員会で今度の国会では制定はむずかしいというような御答弁をなさったようなことが記事に載りましたので、さっそく私はそれに基づきまして大蔵大臣に抗議を申し込んだわけでございます。いや、そうはっきり言ってない、その証拠には新聞に載ったのは一つか二つではないか、全部の新聞に載っていないじゃないかというように御指摘になりましたけれども、しかしいろいろ推測いたしますと、今度の国会に提案することはかなり困難であるというように私は見ております。もう少し極端なことを言いたいのですけれども、国会の場でございますから、あまりはっきりしたことは大蔵省に対して言えないわけでございます。それから先のことは御推察をいただきたいと思っておりますけれども、ただ幸いに各党で議員提案の動きがあるようでございまして、私はそちらにも非常に大きな期待を持っておりますわけでございまして、私といたしましては、この制度ができればいいわけでございますから、郵政省がつくったとか郵政大臣であったときにできたとかいうような、私は名前も何もちっともほしくございません、実を取ればいいわけでございますから、何とか皆さん方の御協力でぜひものにしていただきたい、こういうようにこいねがっておるわけでございます。
  79. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 たとえば農協方面から、金融機関に無用の競争が生ずるという点、それからまた農協の事業に困難を来たすというようなこと、そういったことは、大臣も農村現地選挙区をお歩きになって、そのようなことはないという御判断なのでございますね。  それからもう一点、銀行方面につきまして、たとえば説明する者いわく、中小金融機関の影響は死活の問題である、年間二兆円もという、数字はそうも上がっておりませんけれども、相当膨大な増加をしていく貯金の率、その趨勢から見まして、中小金融機関の死活問題だというような、影響を受けるかのごとき談話が発表されております。銀行筋からもそういう発表をされておるようでありますが、はたして具体的にそういう影響はあるものだろうかどうだろうか。われわれ貧乏代議士はあまり銀行から金を借るという機会がございませんので、庶民的感覚と生活の実感からしますると、もっと簡単安易に、たとえわずかなものでも借る手はないものであろうか。もし無担保、無保証で金を借りようとしましたならば、それはもう年間元金の数倍の高利の金しかいま手に入れる方法なし。質屋、昔はあったけれども、これもいまは影をひそめておる現状である。こういうのでありますので、そういう庶民生活の国民の大多数からいたしますると、いまの一般の地銀にしても、相互銀行にしましてもその他にしても、また農協にしましても、特別な関係のもののみの対象でありまするので、そういうこともあれこれと考えあわせますと、ここに何かそういう簡単に、そうして低利なものが使えるというようなことは、もちろんそれは預金の範囲ということになりますから、使うならそれを出して使えばいいじゃないかといわれますけれども、それはまたちょっと次元の違った考え方でございまして、出してしまえば、それで預金はゼロになりますので、そうなれば貯金意識、思想、考え方というものを一応御破算にするということになって、次の再出発ということは、実際問題としてあまり実例は乏しいのではないかというほどまで考えます。やはり何かつないでおかなければならぬ、これが心理的な一つのあり方じゃないか、こう思うのですが、そんな辺から見まして、やはり相当需要があるのではないかというふうに思われます。  もう一点われわれが考えてみたいことは、たとえば財投との関係でございますが、郵便貯金の預金の現状を見ますると、四十三年に五兆一千億円、四十四年に六兆三千億円、四十五年に七兆七千四百億円にまでだんだんと増額していっておりますね。そういたしまして、財投とのウエートを見ますると、四十六年には三二%、四十七年には三〇%、四十六年には一兆三千五百億円、四十七年には一兆七千億円というものが財投として使われておるようでございますね。そういうようなことを思いますると、やはり庶民の金はまた庶民へ、庶民が積んで貯金いたしましたものはまた庶民へ、こういうふうに用いてもらうことも、これは一つの国民としての願いじゃないだろうか。庶民からうんと集めてくる、そうして大きな企業の投資に使われる、それでそれは何億円か低利で金を借りて、くるくる回り回って、結局土地投資にでも入っていくということになりましたならば、一体何のために金融というものはあるのだというような疑問さえ生ずる。だから、庶民の金を集めたならば、また庶民に戻るということが一つのねらいとなってしかるべきでないだろうか。こういうことは、預金者、庶民の立場からするとまたそう考え得るのでありますが、そういうようないろいろな点から見ますると、いま問題になっておりますることはどうもいかがか、こう思いますので、その辺につきまして、再度でなくてもよろしゅうございますから、いま一応ずばりとあなたのお考え方を述べておいていただきたい。
  80. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 一番に農協の問題でございますけれども、私が先刻申しましたのは、農民について一々お尋ねいたしましたところが、全部賛成であったということでございまして、農協の方は、ことに信用業務に携わっておる方は現在反対いたしておりますことは御承知のとおりでございまして、こういう方とは別に議論はいたしておりませんが、農協は農協としていろいろの行き方があるのじゃないか。たとえば、いま員外貸し付けは二割程度までしかできなことになっておりますけれども、この問題についてもいろいろ考える余地がありはせぬかと思うわけでございます。しかし農協の考えがどうありましょうと、農民自体はこの預金者貸し付けの制度を創設するということについては大歓迎であることは、私の調査した範囲におきましてはまさに事実でございます。  それから銀行業者の問題でございますが、銀行は何と申しましても営利事業でございまして、いろいろなことを言うかと思っておりますけれども、しかし銀行業者はいままでは庶民大衆をほとんど一顧もしなかった、相手にしなかったということは私は事実だと思うのでございまして、私は地元に信用組合をつくり、この信用組合は後に信用金庫に昇格したのでありますが、いわば私は創設者でございますけれども、私が二十万からの金がほしいから一週間ばかり貸してくれぬかという申し出をいたしましても、絶対に貸してくれません。不動産を持ってこいとか、もう少し確実な保証人を立てろとか、そういうことを申しまして貸し付けない。私もみずから苦い経験があるわけでございまして、庶民大衆は相手としない。私はこれは銀行業者の本来的なあり方ではないと思うのでございまして、これを忘れておったというのが彼らの非常に大きな手落ちであったと思います。しかし、彼らも郵政省の提唱に目ざめて庶民金融を始めるということになりましたら、彼らにもやってもらいますし、私どももやるということになれば、両々相まって、お互いに補完し合って庶民の福祉を増進するということになるわけでございますから、これは私は喜ぶべきことだ、こういうように考えておるわけでございます。  それから、財投はもう少し根本的に考え直して預金者に還元すべきじゃないかという御意見じゃないかと思うのでございますが、いつぞや時事放談で斉藤栄三部さんが、郵便局というものはウのようなものだ、盛んに貯金を吸収する、つまり魚をくわえるけれども、くわえるばかりで、そのあゆはだれかかに取られてしまう。だれが取るということを私はあえて申し上げませんけれども、そういうようなことを批評される方もおるわけでございますが、しかし事財投の問題、資金運用部の資金の問題はたいへん大きな問題でありまして、にわかに変革ということは私はできない、またこれは軽々に論ずべきことではないと思うのでございますが、しかし御指摘のことは私にはわからないではございません。しかし現在の制度におきましても、財投には全然影響がない。郵便貯金貸し出しの性質はこういうものである。こういう制度がなければ郵便貯金を引き出す、それのかわりをするためのお金だから、決して財投には関係ない、資金運用部の資金には関係ない、こういうように私どもは考えているわけでございます。  お答えになったかならぬかわかりませんけれども、以上御答弁申し上げます。
  81. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣、時間が来ましたから、しかるべくどうぞ。  あと一点、ほかの方でよろしゅうございますが、行政管理庁から、行政監察の対象といたしまして、各行政事務の合理化、簡素化についてしばしば指摘してきたのでございます。そのうち郵政省関係につきましても幾つか指摘されておるのでございますが、一体こういうあと始末というか、この指摘された問題についてどうされたのであろうか。一々全部述べることはいたしませんけれども、たとえば地方郵政局の統計報告の整理、簡素化をしたらどうであろうか、こういう点の指摘もありました。あるいはまた、地方郵政局が用品の工作所業務というものをやっておるところがあるようでございます。こういうものにつきましても、これは木工業務などをやる、あるいは革工業務、あるいは被服業務、そういうようなものの必要性がどうかというようなことを指摘されておるのでございますが、こういうような点であるとか、あるいは家庭用電子レンジの設置の許可の廃止の問題、こういう点も指摘されたり、幾つか指摘されまして、もっと簡素化、合理化することを積極的にやってはどうか、地方の郵政局、貯金局等々につきましてもずいぶんとたくさん指摘されてきておるようでございます。全部述べませんけれども、一括して述べていただきまして、こういうように行政管理庁が指摘いたしました行政事務の簡素化、合理化というようなことにつきましてはどういうふうに処理をしたのであろうか、これをひとつ明らかにしておいていただきたいこう思うのであります。
  82. 板倉豊文美

    ○板倉説明員 勧告がありましてから慎重に検討をいたしてまいりました。そして直ちに実行できるものは実行に移す、実行を前提として努力するように現在努力中であります。また一部を除きまして、どうしても勧告の趣旨に沿えないものはありますけれども、それ以外は大部分勧告の趣旨に沿うように現在やっております。
  83. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかりました。  ちょっといまのにつけ加えまして、たとえば地方貯金局に医務室業務処理というものが指摘されておることが、ございますがこれは需要がたいへん少ないのであるから、もっと適当に数字を減らすとか、あるいはその他の処置をしてはどうか、こういうふうにも見られるですが、この種の福祉厚生的な施設につきましては、こういう勧告がございましても、さらにやはり職員の健康を守り、もしくは病気を予防し、その他一そう強健なからだを保持するというための手段を講ずるというふうにさらに、積極的なかまえで、簡素化にあらずして合理化していく、能率化していく、こういうふうな取り組み方をいたしまして、そして郵政省の全職員の健康を完全に守り抜くという姿勢の、そういう突破口にすべきだ。私は絶好の一つの指摘をされたような感じがしてならぬのでございます。こういうようなことにつきまして、必要性が乏しいからどうという指摘がされておりますが、これは現状であります。必要性が乏しければ、しかし目的とするところは非常に高度な、高級な、とうとい大切な仕事でありますから守り抜くということで、それならどう改善するか、これが大事だと思うのですが、そういうことについて積極的な施策があってしかるべきだと思うのですが、これはどうでしょうかな、この点。
  84. 板倉豊文美

    ○板倉説明員 先生の御指摘のとおり、勧告の趣・旨を生かしまして運営するように最善の努力を払って現在検討しております。
  85. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 終わります。
  86. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員長代理 福田繁芳君。
  87. 福田繁芳

    福田(繁)委員 廣瀬郵政大臣が来られておるので、よい機会だから、至って簡単に、お互い時間がありませんので、一、二問お伺いいたしたいと思うわけです。  先ほどの郵便貯金によるところの庶民金融という点においては、大いにあなたの所信に対して意を強くいたすわけなんです。それはそれとしておいて、この郵便貯金というのは明治何年ごろから開始されたか、まずそれをちょっと伺いたい。
  88. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。明治八年に始まったわけでございます。
  89. 福田繁芳

    福田(繁)委員 そこで第二問に入りたいのですが、明治八年に郵便貯金始まって以来今日まで、私らももう五、六十年前に一銭の切手張って、学校を経由して郵便貯金に預金いたしまして、その通帳が私らの家においても少なからぬものがあるわけなんです。もちろん貨幣価値が違うから、何円とか何十円という程度でございますけれども、それを引き出しにいくのが、御承知のような通貨価値になったものだから、参らず、そのままになっておるのだが、あるいは貯金局長なり郵政大臣、首悩部の方は、そういう時代から今日まで預けっぱなしになって引き出しもしないという金額が全国的にどれくらいあると御推定されておられるか。
  90. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。ただいまお尋ねの正確な数字はちょっと掌握いたしておりませんが、これは郵便貯金法の第二十九条の規定によりまして、「十年間貯金の預入及び払もどしがなく、且つ、利子の記入若しくは貯金の現在高の確認に係る請求、印章の変更に係る届出その他省令で定める請求若しくは届出又は第二十条の規定による」要するに出し入れが一切ない場合は十年間で時効にかかるという規定がございまして、これによりまして毎年そういう時効にかかっております貯金、これは失効と申しますか、その金額が大体七、八億から十二、三億、特に四十五年度の実績で申しますと、たしか十三億だったと思いますが、その金が無効になっておるわけでございます。これは、ただいまお尋ねのありましたような貯金の通帳の残高の上でいきますと、わずか十円とか二十円しか残っておらぬわけでございますけれども、私たちのほうの利子の計算がございして、残高は十円か二十円でございましても、その前の時点でもっと金額の多かった時期の利子があと計算されるわけでございます。そのほうが千円とか二千円とかございますから、御本人から見ますと、十円や二十円の預金でありますと、交通費を払ってまで郵便局に取りに行かれると、かえって損になるということで、お取りにならないわけでございますが、実際には、われわれのほうの貯金原簿局のほうの計算によりまして、利子を正確に入れますならば千円とか二千円になりますと、それが累積いたしまして、いまのように一年間で十二、三億の数字になるわけでございます。  これは、ついででございますが、私たちのほうでは、郵政事業の雑収入の中にそういったものを収入と見込んでおるわけでございます。
  91. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私も、郵便貯金法の二十九条でしたか、それはよく存じておるのですが、それを存じて時効にかかっておることがわかりながら、郵政大臣がお見えになっておるから、くどいようだが伺ったわけなんだが、なるほど零細な郵便貯金の預金者に対する融資も非常に庶民は喜びます。それと同時に、いま申された明治八年以来今日まで、どこの御家庭でも三冊や五冊くらいの赤い、こういう郵便局の預金帳というものは持っておるのです。昔はあるいは三十円の残があるところを三円引き出しに行くとか、五円引き出しに行くとか、非常に重宝がられたものですから郵便貯金が今日のように発展いたしておるわけなんだが、先ほど申したように、今日貨幣価値が変わり、もろもろのことが変わったから、死蔵してしもうておるのです。死んでしまっておるのです。死んでしまっておりますが、これを総額全国的に集めるというと、相当な金額になると私は思うんです。できますれば、これを廣瀬大臣の時分に、失効になっておるなってないにかかわらず、一応御調査されて、今後の郵便貯金の運営に対するとうとい資料にしてもらいたい。これを私は庶民のために、郵便貯金の加入者のために当委員会でお願いいたしたい、こう思うて発言を許してもらったわけなのです。よろしくどうぞ。
  92. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 いま福田先生から切手貯金のお話をされたのでありますが、私どもも親から小づかい銭をもらって、その一部、あるいはまた何か特別言いつけを聞いて仕事をやって、親からそのごほうびに金をもらった、その金を切手にかえて大事に張って、スタンプを押してもらって貯金をしたという懐しい思い出をただいま懐古いたしておるわけでございますが、御家庭におきましては、そういうような切手貯金をはじめ、古い郵便貯金を持っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるかと思うのでありまして、これは、ただいま貯金局長が御答弁思し上げましたように、法的には失効いたしておりまして、お金にはならぬわけでございますけれども、何かの資料にはなるかち思いますので、いま貯金局長といろいろ私語いたしたわけでございますが、ひとつそれを調査するしないか、するということになれば、どういう法でやるか、しばらく検討さしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  93. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員長代理 次回は、来たる二十日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十分散会