○清井参考人 御
説明申し上げます。
トレーニングセンターという英語で申し上げて恐縮でございますが、まあ訓練場でございます。これは御承知のとおり、最近公害問題が盛んに議論されましたし、競馬場の中の実情からいたしましても、競馬場のレース場の隣に厩舎がありまして、そこに馬と人が一緒に住んでいるというような現状でございます。そういうことでございますし、もともとはあき地であったものが、どんどん
工場なり人家がそばまで来る、そばにうまやがあってレースをするというようなことで、まわりからもいろいろ問題が出てくる、また、競馬場自体からいたしましても、馬がどんどんふえてまいりますと、厩舎も狭くなる、用地もなかなかない、空気も悪くなるというようなこと、内的、外的な両方の
条件からして、競馬場のすぐ隣に厩舎があって、そこにしょちゅう住んでいるというのはおかしいじゃないか、だから、馬がしょちゅう住んで訓練をする場所と競馬をする場所とは切り離したほうがいい、
外国ではそういう例が多いのでありますが、そういう意味でトレーニングセンターというものを東と西と一つずつつくりまして、そこへ全部馬を集める、そこで毎日毎日訓練をする、そして競馬のあるときだけ競馬場へ行って競馬をするということにしようじゃないかということで、西のほうは滋賀県の栗東町にトレーニングセンターをつくりまして、これはすでに完成をいたしております。そこへ中京の馬と京都の馬と阪神の馬とが集まっております。そして、レースがあるときだけそこへ行くということでありますが、それと同じものを関東にもう一つつくります。東西一カ所ずつでございます。できました暁には、現在の東京競馬場の馬と中山競馬場の馬が、約二千頭でございますが、そこへ集まるということで、用地をさがしまして、ちょうど栗東トレーニングセンターの用地が当時の栗東町を相手にして買収をいたしましたので、それと同じ形をとろうということで関東付近に用地を求めまたし結果、やっと適地といたしまして茨城県の美浦村に決定をいたしました。
決定の経緯を申し上げれば長いことでございますけれども、結局、私どもの基本方針といたしましては、まず県庁で認めてもらうということ、それから業者は相手にしないということ、必ず村全体が一致して誘致をしていただくということでありませんと、いろいろ問題が起こる可能性がありますので、そういう基本線で用地をさがした結果、美浦村が村をあげてぜひトレーニングセンターをこちらに誘致したいというたびたびの陳情がございました。村においても村会一致で決議がございますし、村
会議員全体で誘致
委員会をつくっておられるということで、村長以下村会をあげて誘致を熱心に運動されておったような次第でございます。私どもも茨城県知事とお会いいたしまして、知事さん立ち会いの上で美浦村の
買い入れを決定いたした、こういう実情でございます。
しかしながら、事志と違いまして、決定いたしまして
買い入れを進めましたものの、実はその当時約束いたしました金額ではなかなか土地が手に入らないというような事情になってまいりました。当時、私どもといたしましては、大体それぞれの種類ごとに用地の単価をきめまして、たとえば田は反当五十五万、畑は反当五十万、山林は反当四十七万、原野は反当四十万、平均いたしますと反当四十八万になりますが、そういうことで約百八十町歩ばかりの土地を獲得しようということでございます。相手の地主さんは約百七十人余、そういう大仕事でございまして、私どもは直接買うわけにはいきませんので、むしろ買うよりも地元におまかせしたほうがいいということで、村が全部お引き受けいただくということで話が始まったのでございます。ところが、
買い入れを始めましたところ、なかなか思うように
買い入れをすることができないということで、当初計画いたしました
予算よりも大幅にこれが上回ったということになったのであります。それがただいま先生御指摘の点でございます。
たとえて申しますと、当初私どもは十億七千万円くらいあればやれるのではないかということで計画いたしたのでございますが、実際問題として約五割増になりました。そういうようなことで、非常に苦心をいたしておるような次第でございます。この原因と申しますのは、当時私は少し考え方が甘かったかもしれませんけれども、村
当局としては大いに賛成をしてくれましたけれども、御承知のとおり山を一つ越しますと隣の千葉県に例の空港の問題がございます。鹿島臨港の問題がございます。それから筑波学園都市の問題がございます。そういったことで、土地の値上がりする要素が一ぱいあったわけでございます。そのほかに工業団地その他がどんどん入ってまいりまして、見る見るうちに値上がりしたということでございますので、
買い入れしているうちにどんどん値上がりいたしました。したがって、農家の方は現金で売るよりも代替の土地をくれということでございます。そこで、代替地を買ってその人に交換するという形をとったわけでありますが、その代替地を取得するのに当初
予定した金額では買えないということで、単価が上がったということでございます。そういうことで、どうやらやっとめどがつくばかりになりましたが、まだ二人ばかり残っております。まだ完全に
買い入れが済んでいないという
状況で、私どもほんとうに苦心いたしたのでございますが、これは私自身したことでございますし、村の御
当局にごやっかいになりながらいまだに完全に
買い入れすることができないのははなはだ残念なことでございますが、お二方に納得をいただいて
買い入れを完了いたしたい、こういう
状況でございます。
そういう
状況でおりますときに、昨年の暮れでございます、新聞に記事が出まして、本会の土地の
買い入れと関連して何か不正事件があったということが報道されました。その新聞によりますと、あたかも私どものトレーニングセンターと関係があるようなことでございましたので、これはどういうことであろうかということでさっそく村に照会いたしましたところ、これは本会とは全然関係のない話である、ある不動産業者が宅地造成法違反ということで調べられた結果、村の
農業委員会の書記か何かをごちそうしたというようなことで問題が起こったということのようでございます。そこで、その土地が本会の
買い入れ予定の土地であるのか、本会と関係があるのかということを調べましたけれども、村側の回答によりますと、全然競馬関係とは無関係のことだからということでございましたので、私その点については安心したわけでございますが、思うに、その業者というのは、将来トレーニングセンターが来れば関係の人たちが大ぜい来るから土地が必要になるだろうというような、先を見越して何かやったのじゃないかというような気もするわけでございます。そういうことがありといたしますれば、私どもといたしましては、間接的ではございますけれども、あそこへトレーニングセンターをつくるということが一つの動機になったかもしれません。しかし、関係があるかということになりますと、本会とは関係がないと申し上げざるを得ないわけでございますが、いままで土地の
買い入れに非常にごやっかいになっておる村側に少しでも御迷惑がかかるということがあってははなはだ申しわけないという感じはいたしておりますが、事実はそのとおりでございます。
そういうことで、私どもといたしましては、いまだにこの
買い入れに苦心をいたしておるわけでございますけれども、西のほうができてもう活動しておるわけでございますので、早く東のほうのトレーニングセンターをつくって、東京と中山の馬を一緒に持っていって、いわゆる公害というような
状況を早くなくさなければならないという考え方でやっておりますので、その点どうぞ御了承願いたいと思います。