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1972-05-31 第68回国会 衆議院 外務委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月三十一日(水曜日)     午前十時十九分開議  出席委員    委員長 櫻内 義雄君    理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君    理事 正示啓次郎君 理事 永田 亮一君    理事 山田 久就君 理事 松本 七郎君    理事 西中  清君 理事 曽祢  益君       石井  一君    小坂徳三郎君       浜田 幸一君    福田 篤泰君       福永 一臣君    本名  武君       豊  永光君    堂森 芳夫君       三宅 正一君    中川 嘉美君       土橋 一吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         科学技術庁原子         力局長     成田 壽治君         外務政務次官  大西 正男君         外務省条約局外         務参事官    穂崎  巧君         外務省国際連合         局長      影井 梅夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君  委員外出席者         外務大臣官房領         事移住部外務参         事官      平野 文夫君         外務省中近東ア         フリカ局外務参         事官      田中 秀穂君         通商産業省公益         事業局技術長  和田 文夫君         通商産業省公益         事業局原子力発         電課長     武田  康君         外務委員会調査         室長      吉岡 俊夫君     ————————————— 委員の異動 五月二十六日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     北澤 直吉君 同月三十一日  辞任         補欠選任   田村  元君     浜田 幸一君   野田 武夫君     本名  武君   松本 善明君     土橋 一吉君 同日  辞任         補欠選任   浜田 幸一君     田村  元君   本名  武君     野田 武夫君   土橋 一吉君     松本 善明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際電気通信衛星機構インテルサット)に関す  る協定締結について承認を求めるの件(条約  第二号)  原子力平和的利用における協力のための日本  国政府オーストラリア連邦政府との間の協定  の締結について承認を求めるの件(条約第七  号)  原子力平和的利用に関する協力のための日本  国政府フランス共和国政府との間の協定の締  結について承認を求めるの件(条約第八号)  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 これより会議を開きます。  国際電気通信衛星機構インテルサット)に関する協定締結について承認を求めるの件、原子力平和的利用における協力のための日本国政府オーストラリア連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件及び原子力平和的利用に関する協力のための日本国政府フランス共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、以上三件を議題として審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本七郎君。
  3. 松本七郎

    松本(七)委員 この三件順序立てて別々にやる予定でしたが、大臣出席の時間の都合がありますので、特に大臣に伺いたい点を両方にまたがって質問したいと思いますから、そのつもりで。そしてあとに残ると思いますから、そのときはまた採決の前にちょっと大臣に伺うことにして質問を保留したいと思う。  最初は順序としてインテルサットのほうから入りたいと思います。  アメリカ中国に、先般インテルサット用の恒久的な通信機械を輸出したわけですね。これは非常に大きな一つのできごとだと思いますが、これとのココムなりチンコムとの関係は一体どうなっていたか。このような状態日本が、あるいは吉田書簡問題にいつまでもひっかかっていたり、あるいは今後のココム対策とかチンコム対策がいままでどおりでは、進まないと思うのです。こういうふうにアメリカが恒久的な通信機械中国に出したということ、ココムチンコムとの関係、それらについて全般的に大臣考え方をまず伺っておきたいと思います。
  4. 福田赳夫

    福田国務大臣 アメリカは、先般のニクソン大統領中国訪問の際に、たしか二つの宇宙中継施設を持ち込んだというふうに記憶しております。その一つは、一時的持ち込み、つまり、持ち込みはいたしまするけれども、また持ち帰ってしまう、それから他の一つは、中国に置いていく、つまり中国に提供する、こういうことのようです。一時持ち込みのほうは問題ないでしょうが、中国に置いていく他の一つのものにつきましては、これはやはりココムの問題になる事項でございますので、アメリカココムに対しまして、その中国への提供に対しまして、特認を求めるという措置をとったのであります。わが国はこのアメリカ措置に対しまして同意を与える、こういうことになり、他の諸国におきましても、これを承認する、こういうことになりまして、ココムへの適用はこれが承認される、こういうことになったと記憶しております。  そこで、ココムを今後どういうふうに運用していくのかという問題でありますが、ニクソン大統領中国訪問ということで、今回の問題がそのような処理になったわけでありますが、これがココム運用全体に基本的な影響のある問題とは考えません。しかし、私がかねて申し上げておりますように、七〇年代というものは何と申しましても脱イデオロギーというか、イデオロギーを越えての世界の交流を進めるという歴史の流れとなってきておる、そういう線に沿いまして、ココム運用につきましても、これを弾力的に運用していくということになるべきであるというふうに考えわが国は、ココムに対する姿勢といたしまして、他の国々に比べますとかなり積極的なかまえをもちましてそういう方向推進しておる、かように御了承願います。
  5. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、いまのお話では、このアメリカ中国に対する輸出については、特例として関係国了解をとった、こういうことですが、今後積極的に対処すると言われるが、一般的にココムを、いまアメリカがやったようにケース・バイ・ケース関係国了解を得るということにとどまるのか、あるいはココムそのものを廃止する方向に進まれるのか、その点はどうなんでしょう。
  6. 福田赳夫

    福田国務大臣 長いことは、ちょっと私も見当つきませんけれども、当面はその中間だろうと思うのです。つまりココム適用品目を整理、制限をする、こういうことに進むだろう、現にもうそう多くは残っておらないと記憶しておりますが、これがまたさらに制限をされる、こういう状態が出てくるのじゃあるまいか、わが国はそういう方向に向かって相当強い推進をいたしておる、こういう状態でございます。
  7. 松本七郎

    松本(七)委員 この問題と、それから原子力機関の問題、それと関連した核拡散防止条約との関係もあるのですが、今度のニクソンの訪中後の訪ソ、しかもSALT、相当大きな成果をあげた、今回のニクソン大統領訪ソをどのように日本として評価されておりますか。
  8. 福田赳夫

    福田国務大臣 世界の二大大国、これがとにかくこの会談の結果、平和共存を誓い合ったということは、世界の政局に偉大なる影響のある問題である緊張緩和、こういう方向へ大きな影響力を持つ、こういうふうに見ております。特に人類が当面しておる核の問題、この問題を懸命に英知をもって人類はさばいていかなければならぬ、そういう立場にあるのでありますけれども米ソ二大核大国がこの核の問題についてSALT協定に到達をいたした、つまりABMにつきましては、その量的制限協定が成立し、調印され、また攻撃的兵器につきましてもその凍結の取りきめが行なわれる、こういうことになる、これはとにかく人類が核の惨禍から免れなければならぬ、こういう悲願を持っておる、そういう問題に対し大きな希望を与えた、こういうふうに見ておるのでありまして、私は、これはわが日本政府のみならず、世界じゅうがこの米ソ大国緊張緩和への動き平和共存への動き、これに対しましては、これはもう非常な期待歓迎感じを寄せておる、こういうふうに見ております。
  9. 松本七郎

    松本(七)委員 この核の問題が米ソ間の核軍縮だけに終わってはならないと思うのですね、特に日本は唯一の被爆国ですし、今後核軍縮から、さらに核の全廃に向かう運命にあると思うのですが、そういう世界流れにやはり一番大きな発言権を持っているのが、やはり核の被爆国であって、平和憲法を持っている日本だろうと思うのです。そういう意味で、現在のところはどちらかというと、まだ米ソ大国間の核軍縮ということにとどまっているわけですから、これをもう少し核の全廃に向かった方向、国際的な真の、核軍縮から核全廃に向かった運動にこれを今後導いていかなければならぬと思うのです。その場合に、やはり欠かすことのできないのは中国の存在である、すでに核を持っている中国がこれに参加するという道をつくらないことには、単なる米ソ間の核軍縮に終わる危険が私はあると思うのです。そういう点についての日本立場というものは私は非常に微妙であると同時に、非常に大きな発言権がここに出てくる可能性があるのじゃないかと思うのですが、この点について外務大臣はどうお考えでしょうか。
  10. 福田赳夫

    福田国務大臣 私もそう思います。中国が核問題に参加しないという形では、核問題はこれは完全な解決には到達し得ない、そういうふうに考えています。しかし、それにいたしましても何にしても、飛び抜けて核大国でありますのは米ソ大国である。そういうようなことで、二大国がそのリードを切った、こういうことは、私は中国問題は中国問題としてこれはもう非常に歓迎をいたしておる、そういう次第でございます。わが日本はその間に処してどういう立場にあるかと申しますれば、とにかく核を持ち得る力を持っておるわが日本国であります。その日本が核を持たない。これは私は世界の核問題に臨んで非常に貴重な立場である、こういうふうに考えております。そういう立場を踏んまえながら、また米ソ大国の核に対する動き、これを踏まえながら、ニューヨークあるいはジュネーブにおいて核全廃に向かっての動きをわが日本といたしましては大きく進めていく。それは大きくといってもそう簡単にはいきません。いきませんけれども、着実にその動きを進めていくというのがわが日本立場でなければならぬ、そういうふうに考えております。
  11. 松本七郎

    松本(七)委員 そこで、この前の委員会でもこれは質問に出たのですが、核拡散防止条約批准はいつごろをめどにされておりますか。あのとき総理大臣は、やはり平和利用についての差別をなくする、といいますか、おくれをとらないようにしたいからしばらく待つのだというようなお話でしたが、大体いつごろをめどにされておりますか。
  12. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが国は核不拡散条約には調印をいたしておりますから、調印をいたした以上批准をしないというわけにはまいりません。ただその時期につきましては、調印をするときにも明らかにしておるとおり、わが国にはわが国立場がある、その立場保障されるという事態になりませんとその批准はできません。さて、そのわが国立場というものが保障されるような状態になってきておるかというと、まだそこまでいかないのです。わが国はいま静かにユーラトムと国際原子力機構との間の査察協定、これの動きを見守っておる。そしてこの核不拡散条約は、これは批准についての予備交渉というのが公的にきめられておるわけです。その予備交渉を始めますと、一年半の後には本交渉に入らなければならぬ、こういうことになっておりますが、まだ私どもの国はその予備交渉にも入らない、予備交渉に入りますと、そういうふうに一年半で本交渉ということになりますから、予備交渉に入ること自体についても慎重にかまえなければならぬ、こういうふうに考えておる。その考えておる一つの大きなわれわれの立場というものは、ヨーロッパ諸国がはたして原子力国際機構との間にどういう協定をするか、その動きも見なければならぬ、こういうようなことなんです。ですから、お尋ねでございますけれども、いつ批准するかということにつきましてはまだはっきりした目途を持っておらぬというのが率直な現状でございます。
  13. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、いまのお話ですと、全然めどがつかないということですね。私どもが心配するのは、われわれ核は絶対に持たないという立場を堅持している者からすれば、いまの御答弁のように、平和利用の完全な確保とかあるいは査察条項の、日本立場を尊重した査察のあり方とか、そういうものが整備されればいいということでわかるのですけれどもやはり日本の一部には、核を持つ能力ばかりじゃなしに、これを実際に活用しようという意見があるわけですから、特に私はいまの政府がその批准を延ばしている理由に、いまのような大臣説明理由以外に、やはり核を持てという意見が一部にあるためにその批准ができないという事情があるのではないだろうか、それを私は以前から考えていたのですけれども国会なんかでも公然と、将来核を持てるように、あまりここで縛るななんという意見が出ているところを見ると、特に自民党政府の中にそういう意見があるためにこれが延びている理由一つではなかろうかという気がするのですが、この点大臣はどう受け取っておられますか。
  14. 福田赳夫

    福田国務大臣 核不拡散条約批准が延びているその背景として日本核武装への道を留保しておくという考え方があるか、こういうお尋ねかと思うのです。そういうことはございません。わが国はもうはっきりわが国の核についての姿勢を内外に明らかにしておるわけです。つまり非核原則核兵器は絶対にこれは持たぬ、また製造もせぬ、また持ち込みもいたさせぬというところまでいっておるわけです。そういう日本核共器を持つことに期待を寄せる、こういうことはあり得ざることである。ごく一部の間に核武装論というような勇ましいことを言う人があります。しかし政府においてはそういうことは毛頭考えておりません。これは国会の決議でももうすでにある非核原則である、そういうことに反したことを政府考えるということはあり得ざることである。もっぱら、私どもがこの条約批准について慎重であるというのは、核というものをわが国においても平和利用したい、その平和利用については、これは十分な保障というものがなければならぬ、そういう立場に立っておる、その一事である、こういうふうに御理解願います。
  15. 松本七郎

    松本(七)委員 もう一つ大事な点は、この平和利用を完全に保障することと不即不離の関係にあると思うのですが、やはり核を持っておる国がその核を絶対に使わないという、この点がまだ弱いと思うのです。おれのほうは持っておる、これからは拡散はまかりならぬぞという、こういう立場では、その核を持つ能力がある国が場合によっては持とうかという危険性もそこに生まれるし、それから絶対に持たないという国にしましても、平和利用を完全に保障されるという問題とからんできまして、やはり保有国が核を使わないという、こういう線というものがもう少し私は強く打ち出し得ると思うのです。ましてや先ほどから御答弁にもあるように、米中間というものが、インテルサットばかりでなしに、いろいろな点から従来の関係というものが打開されつつある。しかも米ソSALTの前進によってやはり核の問題は一歩前進している、こういう中ですから、やはり日本安全保障を確実なものにするというようなことに、とどまらないで、この際もう少し保有国の核の使用を全面的に禁止するという、これは核保有国がやろうと思えばお互いに協力してできるわけですから、そういう運動をもう少し日本政府としてはする時期に来ているんじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
  16. 福田赳夫

    福田国務大臣 全く見解は同様でございます。私は日本というものは核問題については世界の中で非常に貴重な立場にある、この貴重な立場をフルに動かしていかなければならない、こういうふうに考えております。いろいろの場面がありますが、その場面場面あらゆる機会をとらえまして、わが国平和姿勢というか、核を人類のために不幸をもたらすような方向で使用してはならぬという方向への努力を日本としては精一ぱいしなければならぬ、またいたしますということをお答え申し上げます。
  17. 松本七郎

    松本(七)委員 それはいままで核保有国に対してそういう意思表示をされたことがあるのですか。
  18. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが国はそういうような趣旨のことをニューヨークジュネーブあらゆる機会で申し入れておるわけです。また国連機構改正というようなことも提唱しておるわけです。そういうものいずれもそういうお話しのような見地に基づくものなんで、一番大きな問題はやはり私は国連にあると思う。国連常任理事国という機構である。しかも安全保障理事会世界の平和に責任を持つ機構である、その中のかなめとなるところの常任理事国核兵器保有国だけをもって編成されておる、こういう形は私は核平和への人類の進むべき道に非常に大きな障害がある、そういうふうに考えたのです。日本のような、経済力はある、核を持とうとすれば持ち得る力がある、そういう国がこういうところに参加してそして核兵器の絶滅を説く、これは私は非常に有効な働きをなすのじゃないか、そういうふうに考えておるのです。そういうことを言っておるのですが、なかなか現実国際政治動き、そういうものもきびしいものがある。そういうので、これはそう簡単に実現するかどうかわかりませんけれども、私どもはそういうことを関係のある国々に申し入れ、そういうことが実現するように、またその実現する日が一日も早く到来するようにということを念願をいたしております。
  19. 松本七郎

    松本(七)委員 やはりこの焦点米ソがまず焦点になると思うのですが、この核防条約批准促進といいますか批准をこちらに対して促してくる動きというのは米ソ両国にはないのですか。
  20. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは米ソ両方にそういう動きがあります。一番熱心なのはソビエトロシアと思いますがね。これは非常に熱心にそういうことを提唱しておるようです。アメリカもまたそういう提唱をしておる。私が得た感触では、ソビエトロシアほどではないというふうな感じでございますけれども、しかし推進立場に立っておる、こういうふうに見ております。
  21. 松本七郎

    松本(七)委員 それで核防条約批准の条件ですね、さっき平和利用保障とかいろいろ述べられましたが、現在はその中にやはりこれは入れたらどうかと思うのですね、米ソに対して特に。やはり早く保有国が使用しないという協定を結ぶなりあるいは宣言を出すなり、何かそういう動きを具体的にさせる運動というものを批准前に日本政府としてすべきだと私は思うのですが、そういう点お考えにならないですか。
  22. 福田赳夫

    福田国務大臣 運動というのは、松本さんどういう意味で言っているのか知りませんが、そういう動きはしておるのです。さらにこれを活発化したい、そして日本の立っておる立場、これを人類の福祉のためにフルに活用する、そういうことは考えております。
  23. 松本七郎

    松本(七)委員 運動と言いましたのは、やはり日本国民的な運動も伴わなければいけないという意味運動と言ったのですが、政府のやることで言えば、さしあたりそういう国際会議とかあるいは国連というような場でやるばかりではなしに、個々にソ連に対するあるいは米に対するというか、特に二国ですが、その国に対して日本政府が具体的な要求というかあるいは問題提起というか、そういう形でやはり訴える必要があるんじゃないか、そういう点を言っているわけです。
  24. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは現実にやっているし、これからもやろう、さように考えます。
  25. 松本七郎

    松本(七)委員 それから原子力協定のほうに関係するわけですが、御存じのように、これは最初原子炉をつくりますときに特に国会で問題になって三原則というものができたわけですが、どうも最近原子炉安全性について国民の間に相当不安が高まっている。私どもも実は今度の原子力協定について日米のときのように免責条項というのはないのですから、今回はむしろ賛成してもいいんじゃないかというような意見が相当強かったのですけれども、その後安全性の問題をいろいろ調べてみますると、国民の間には原子炉事故をめぐってもう少し安全性については国民が安心できるような対策を講じてもらわないことには、この原子力発電なりその他の点についてこのままでは不安でならないというような声が相当強いことを私ども知ったわけです。  そこで、これはいずれあと事故の詳しい御説明は伺いますが、基本法の自主、民主、公開というこのことがはたして守られているかどうか疑いがあると思うのですが、このままの状況でいいと大臣はお考えか、さらにこの安全性については特に今後の対策をどのように取り組もうとされておるか、大臣から御答弁を願いたいと思います。
  26. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが国は核の平和利用につきましては、他のいかなる国にも増しまして関心を持たなければならぬ立場にある。つまりわが国エネルギー資源はほとんど大部分を石油に依存をいたしておるという状態です。その石油の原料たる原油、これがこれからの経済発展ということを考えますと、これはなかなか取得が容易でないような状態になってくる。そうするとこれを補う道は何であるかというと原子力エネルギーということになってくる。そういう立場またそういう要請、そういうことを感じておる国、これはわが日本が一番そういう強い感じ方をしておる立場にあるんじゃあるまいか、そういうふうに考えるわけであります。そうしますと、電気、発電にいたしましても、これはもう原子発電、これも大いに進めなければならぬ。ところがその原子発電というものがなかなか順調に進まない。これは土地の問題もあります。が同時にそれと関連をいたしまして、ただいま御指摘になった核の安全性というような問題に対する理解の問題もある、そういうふうに私も理解をいたしておるわけです。そういうことから言いますと、核につきまして安全は確保されなければならない、また確保するための措置を講じておるというふうには考えますけれども、いやしくも一点の不安、一点の疑義を残すというようなことがありますと、原子力平和利用への道、これに対しまして非常に大きな障害になってくる、これは当然だろうと思うです。そこで原子力平和利用、これは進めなければなりませんけれども、同時にこれに対しまする国民の不安というものが一点も存在しないように、その安全性につきまして万全の対策を講ずるということ、またこれも必要である、私はこういうふうに考え、この安全性の問題についてはさらにさらに思いをめぐらさなければならぬ立場にある、こういうふうに見ております。
  27. 松本七郎

    松本(七)委員 これまでの事故については大臣はどの程度認識されておるのですか。
  28. 福田赳夫

    福田国務大臣 その辺私はあまり詳しい認識はございません。私は、率直に申し上げますと、原子力技術の方面については知識はあまりないのです。それだものですから、お答えできるほどの知識は持っておりませんでございます。
  29. 松本七郎

    松本(七)委員 しかし、これは事務当局にも責任があると思うのです。原子力協定を結ぼうという以上は、安全性ということが非常な問題の中心になるということは当然わかるはずですね。しかも従来事故がなかったのならあれだけれども事故がある。そしてその対策も十分とはいえない。そういうときに大臣が過去の事故について何も御存じないというのじゃ、これは事務当局責任であろうと思いますが、大臣としてもずいぶんうかつな話だと思うのですが、どうでしょうか。
  30. 福田赳夫

    福田国務大臣 事故があったことを全然知らないということを申し上げているのじゃないのです。事故についてどういうふうに思うか、こう言うから、その技術的なことは私はよく承知しておらぬ、こういうことなので、私が一々あのむずかしい原子力の中身の技術的な問題、これをこなすことはとうていできないし、また私が政治を行なっていく、そういう上においてそういう必要もない、かように考えております。
  31. 松本七郎

    松本(七)委員 予想以上に事故が起こっておるから、これらについては御存じですかということを聞いておる。
  32. 福田赳夫

    福田国務大臣 事故問題が起きておることは私も承知しております。さらばこそ先ほど申し上げたとおり、事故について一点の不安もないようにさらに詰めなければならぬ、こういうふうに申し上げている。
  33. 松本七郎

    松本(七)委員 それから宇宙開発関係の予算のことなんですが、四十七年度の関係予算をまず例に見ますと、科学技術庁所管の宇宙開発事業団ですか、これが技術試験衛星の製作及び打ち上げ用ロケットの開発、ロケット打ち上げ施設の整備、そういうもののために百八十二億六千八百万円。航空宇宙技術研究所、これがロケットエンジン高空性能試験設備の整備及び関連研究費として十二億一千三百万円。それから工業技術院が宇宙開発関係特別研究費として九千八百万円、それから気象研究所、これは気象衛星に関する調査研究費として二億円。それから郵政省の電波研究所、これが衛星管制施設の整備及び宇宙通信に関する実験研究費として四億三千万円、合計二百五億六千八百五万円となっているわけですが、このほかに文部省所管では東大の宇宙航空研究所で科学衛星及びロケット観測費として三十二億六千八百万円、こういうふうに出ているのですが、大事な宇宙開発関係の予算というものが何かばらばらになり過ぎているような気がするのですが、もう少し予算の面でもそれから運営の面でも一本化とまではいかないにしても、整理して効率的な予算の使い方及び研究の進め方というものはないものかという気がするのですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  34. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま御指摘のように宇宙開発、これは機構的にいろいろな担任分野に分かれておるわけです。これを統合したらいいんじゃないかというような議論もあるのです。あるのですが、やはり持ち前持ち前がある。たとえば東大でそういう調査をしている。そういう場におきましては東大では非常に基礎的な部面を担当する、そういうことになる。それから他の諸機関においていろいろの研究をしておりますが、それは実施段階というか、そういう段階の諸問題を検討するというようなことであって、まあ観念的に考えますると統合したらどうだということもいえるのですが、やはりそういう実際的な見地からいいますると、またこれはあながち統合ということもなかなか機構的にはむずかしい。しかしながらそれらの諸機関の間にコオーディネーションというか連絡、調整というものがうまくいっておらなければならぬ、こういう問題が起こるのです。そこでそれを人事の面で、あるいは東大の研究所の長を他の機関の長とこれを兼ねしめるというようなことを考えてみたり、そういうことをやったこともあるのです。それから諸機関の事務レベルの連絡を緊密にするというようなことを考えるとかいろいろなことをやっておりますが、とにかくコオーディネーションということさえうまくいきますれば、機構が分かれておるということのそのメリットを生かすということができ、さらに有効ではあるまいか、そういう段階にある、こういうのが現状か、こういうふうに考えております。
  35. 松本七郎

    松本(七)委員 もう時間が少ないようですからあとでまたあれします。
  36. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 中川嘉美君。
  37. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 大臣の時間が十一時十五分ということを伺っておりますので、ほんとうにかいつまんだところを二、三伺いたいと思います。  まず、原子力関係でウランの埋蔵量の多い国と原子力に関する協力協定、これを結ぶということは、資源の安定供給のために当然必要なことと私も思いますが、政府は今後どのような国と協定締結しようと考えておられるか、まずこの辺からお答えをいただきたいと思います。
  38. 影井梅夫

    ○影井政府委員 従来はアメリカ合衆国及びカナダに非常に依存していたのでございますけれども、今回御承認を求めております協定締結の相手国、つまりオーストラリア、それからフランス、これにも供給源を求めたいという考えでおります。それ以後につきましてはただいまのところでは考えてないというのが実情でございます。
  39. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 ベトナムの戦争において戦術核兵器を使用する動きがあるということを私たちはしばしば耳にするわけですが、こうしたことは明らかに核防条約の精神からも逸脱したものである、このように考えるわけであります。この核兵器保有国ということになりますと、その兵器を非核兵器保有国に対して先に使用することは絶対にないという、こういう保障を明示するために、声明書等の何らかの方法をもってその態度を明確にするべきだと、私は思います。先ほど来松本委員からも、いろいろと大臣に御質問があったようですが、これに対する政府の見解をもう一度はっきりとここで、私ども質問に対してしていただきたいし、またそうした確約を取りつけるための努力をすべきだということに対しての政府答弁を、はっきりとここでしていただきたいと思います。
  40. 福田赳夫

    福田国務大臣 日本といたしましては、もとよりそういう態度をとらなきゃならぬし、とることが非常にわが国としては有利な立場に立つことになるわけです。  そこでわが国としては、当然そういう立場をとりますけれども、核を持っておる国が非核武装国に対して核の使用はいたしませんという声明をするということは、核を持っている国の核を持っておるその価値を非常に減殺をする、そういうことになります関係で、なかなか持っているほうの立場からいうと、そうやすやすとこれに応諾をするということはむずかしい問題であろうか、こういうふうに思います。かりにわが国がそういう意図を表明をしたといたしましても、それは一方的な意図の表明に終わるという可能性が非常に多いんです。ですから、この問題はそうあせっても、事を成就させるということには相ならぬだろうと思う。やはりこれは、日本のような持たんとすれば核兵器が持てるという立場にある国などが中心になりまして、そういう機運を盛り上げていく、そして核を持っている大国を核を放棄するというところに追い込んでいく、こういうことが必要じゃあるまいか。  それから核を持っている国自体も、非常に私にいま悩んでおると思うのです。核競争ということをやっておる、しかしその核競争の負担、これはたいへんなものだ。その負担に耐えられない。今度米ソ二大強国が会談をいたした。ベトナム戦争が激化しておる、そのさなかにこの会談が行なわれたということ、これは何であるかというと、やはり私はSALT交渉を成功させて、そして無用な、無益とも思われるようなこの核武装競争、そういうことに何らかのスローダウンをもたらしたいという念願であった、こういうふうに理解するわけでありますが、これなどは今後の世界の核動向に対しまして非常にいい材料である、そういう傾向をさらに助長する、そしてだんだんと世界非核世界に持っていく、こういうこと、これは私は非常にこれからの地球を守る上において大事なことである、そういうふうに考えておるわけであります。わが日本はそういう考えのもとに、一つ一つケースにあたっての行動をとっていきたい、かように考えます。
  41. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 大臣の御答弁わからないわけではありません。しかしどうも一番最初におっしゃった——私の質問自体は、核を持っていない国に対して核を持っている国がそのような声明をすべきではなかろうか、こういう質問なんですけれども、それは核を持っている国同士は別としても——別といいますか、全然いまの質問とは性格が変わってきますけれども、持っている国が持っていない国に対してですからね。その辺が、何かそういうことをやってしまうと威力を失ってしまうというような御答弁に聞こえましたけれども、その点がどうも納得いかない。持っている国が持っていない国に対して、声明の手段によって一切使いませんとこういうことでなければ、私は現在のベトナム情勢等を考えても、ならないんではないか、このように思います。  時間の関係等もあります、これはまた別途この点に関して伺いたいと思います。  インテルサットのほうで二、三、大臣に伺いたいことは、中国はもともとインテルサットに加入をしていなかったし、また今回この協定にも加わっていないわけですが、ニクソン訪中の際に中国が米国から輸入をしたこのインテルサット用の恒久設備ですね、これはワシントンで開かれる通信衛星暫定委員会、ここで承認を得た上で運用される手はずである、こういうことですが、この点はどのようになっておるか、まずお答えをいただきたいと思います。
  42. 影井梅夫

    ○影井政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、インテルサットは、このインテルサット衛星を利用する地球局、これが一定の技術的な水準にございますれば、インテルサット衛星を利用することができる。言いかえますと、インテルサット協定に入っている、入っていないということは必ずしも問わない。今回、上海に設置されました地球局、この技術的な水準につきましては、これを委員会におきまして検討いたしまして、そしてこの使用を認めた、こういうことでございます。
  43. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと、上海のことについては何か二月二十三日でしたか、インテルサットはこの地上局の使用を承認したように聞いておりますが、そうしますとこの暫定協定に入っていない中国ですが、これに対してはもうそういった技術的な水準をもってその使用、あるいはまたさらにいうならば承認と同じような、承認されたというふうに考えていいかどうか、この辺はいかがでしょうか。
  44. 影井梅夫

    ○影井政府委員 ただいまの先生の承認とおっしゃいます意味、これは技術的に検討いたしまして、その地球局がインテルサット衛星と結んで差しつかえないという技術的な水準、これに対して委員会承認をいたしましたならば、そのインテルサット衛星の使用を認める、そういう仕組みになっているわけでございます。
  45. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと、インテルサットには台湾のいわゆる国府政府が署名しております。すでに暫定協定にも加盟をしておって、台北に商業通信用の地球局もつくられて、六九年の十二月から運用を開始をしておる。そうすると、中国と台湾が同時に形の上ではこのインテルサットの加盟国になってしまうというふうにも考えられますが、この点はどうですか。
  46. 影井梅夫

    ○影井政府委員 これは結論的に申し上げますと、このインテルサットにおいて決定すべき事項ではないということかと存じます。先ほど説明申し上げましたとおりに、このインテルサット衛星を利用できるかどうかということは、事の性質上もっぱら技術的な判断からいたしましてこれを認める、認めないということをやっているわけでございます。  中華人民共和国がインテルサットに参加することができるかどうか、これは暫定協定の締約国が集まりまして、この締約国が決定すべき問題か、このように考えております。
  47. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 国連において中華人民共和国が承認されたという事実からしましても、インテルサットの加盟国はITUの加盟国に限定をされているわけですが、このITUが中国招請、国府追放の昨年秋の国連の決議を承認すれば、インテルサットにおいても中国が自動的に台湾にかわって正式メンバーになることが当然考えられると思いますが、この点大臣いかがでしょうか、この点について外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  48. 影井梅夫

    ○影井政府委員 御指摘のとおりに、ITUのメンバーの問題でございますが、このITUのメンバーであればインテルサット協定の当事国になり得ると、そのとおりでございます。  なお、ITUにおきます中国代表権の問題、これは現在ITUにおいて審議中でございます。おそらく、見通しといたしましては、あるいは郵便投票その他によって代表権に関する各国の態度を求めるということになるかと思いますけれども、現在その手続進行中という段階でございます。
  49. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これは、そういったITUにおいての結論が中国招請ということになれば、当然台湾がどかなければならないというふうに私は解釈をいたしますが、前文に、国連総会の決議を考慮して、このように出ております。したがって、通信衛星組織として、ソ連とか、あるいは東欧諸国、そして先ほど来お話ししております中国、こういったものを加えた、真に世界的な国際衛星通信機構というものをつくる必要があるんではないか。また、インテルサットの署名国が六十七カ国に達しておる。西側と非同盟諸国の大部分が参加しているわけですが、ユーゴが加わったのみで、ソ連をはじめ東側諸国は未加盟のままになっておるわけです。東側諸国の参加を容易にするような、これはもう当然努力をする必要があると思いますが、この点に関して、時間も参っておりますので、最後にひとつ見解を賜わりたいと思います。
  50. 影井梅夫

    ○影井政府委員 国際的な電気通信を世界的に容易にするという意味におきましては、ただいま先生がおっしゃいましたとおりに、一つの機関で全世界をカバーするということができれば理想的かと存じます。現実の問題といたしまして、インテルサットのほうにおきましては、電気通信企業と申しますか、その商業的な色彩というほうにわりあい重点を置いてまいりました。これに対しまして、ソ連を中心といたします社会主義諸国、これらの国々は、こういった機構においては国の権限を非常に強くすべきであるということで、当初から意見が分かれまして、遺憾ながらインテルサットは、ただいま先生御指摘のとおりに六十数カ国で発足した。他方、ソ連を中心といたします社会主義諸国は、別途インテルスプートニクという制度を昨年から始めた、こういうことでございます。
  51. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 質問は中途ですけれども、以上でいまのところは終わりにいたしたいと思います。
  52. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 土橋一吉君。
  53. 土橋一吉

    土橋委員 大臣お尋ねしますが、インテルサットというのは、御承知のように、国際的な平和利用、あるいは国際的に各国が利用する内容のものであります。ところが、一九六二年以来コムサットの問題について暫定的な措置を講じて、昨年の春先に、政府間における協定と業者間の協定ができたわけです。しかしながら、その立場はかなり進歩的になっておりますけれども、御承知のように、コムサットという営利会社が中心になって衛星を打ち上げ、また、コムサットを中心とする理事会の決定などが、きわめて米国にとっては有利な立場をとっておるわけです。しかし、日本も第三位の国としてかなりの発言権を持って、大陸側のこれに対する反撃に相当仲介の労をとったといわれておるわけです。しかしながら、将来わが国が通信衛星などを打ち上げるにあたってはコムサットの理事会における三分の二以上の賛成を得なければ打ち上げることができないとか、こういうような制限があるわけですね。そうしますと、宇宙の通信に関して、平和的な利用と、各国が自由にやるところの主権行為に対してそういう制限を設ける営利法人を中心とする通信機構は、この条約批准するにあたって将来非常に大きな障害が出てくるというふうに私は考えますが、大臣はどう考えておられるか。障害がないというのか、障害はあるけれども暫定的な措置としては一応やむを得ないと考えておるのか、この点をひとつ……。
  54. 福田赳夫

    福田国務大臣 政府委員からお答え申し上げます。
  55. 影井梅夫

    ○影井政府委員 御指摘のとおりに、このインテルサット協定が発効いたしましてから暫定期間コムサットがいろいろな技術的な点において準備をするということは御指摘のとおりでございます。ただ、いつまでもこのコムサットにやらしておくということではございませんで、これには六年間という期限がついておりますので、必ずしもコムサットに独占と申しますか、されるということではないと考えております。それからもう一つ、コムサットがいろいろな準備その他をいたしますけれども、これは締約国総会におきまして、そこで準備いたしました事項、これに対しての発言権もあるという意味におきましては、必ずしもコムサットに完全に牛耳られるということではなかろうと、このように考えておる次第でございます。
  56. 土橋一吉

    土橋委員 大臣もいま事務当局説明をお聞きになってわかりますように、通信事業そのものの運営については、米側のいわゆる法人あるいは会社を中心とするものと、大陸側及び、日本なんかもその部類でございますけれども、要するに政府責任を持って安い料金でサービスを提供させる、こういうふうな二つの潮流があるわけです。この潮流が、コムサットを中心にして、いまでもフランスがこのコムサットの条約については棄権の状態を示しておるということ、メキシコもそうですが、そういう状態にありますので、私は、将来、通信の独立の体制と、各国が自由に宇宙の回線を利用しあるいは商業衛星通信を利用するという観点から見るならば、わが国の将来の方向は、このコムサットの六カ年間の暫定的な処置については十分研究するものがある。なぜかというと、アメリカの衛星通信及びCATVとかあるいは電波の利用、あるいは発達というものは相当目をみはるようなものがあるわけです。こうなってまいりますと、そのままコムサットの状態で続いて六カ年の暫定期間中、日本とか他の国が、あるいは未開発国が相当通信の分野において発展をするならば、それはかなり追いついていける点があるわけです。しかし現状においてはアメリカのコムサットを中心とするそういう開発というのは非常に進んでおるわけです。そうするとつまり六カ年間の期間をもってしても、またこの次の六カ年以後においてはやはり依然として差がついてしまう。そうするとコムサットが依然として理事会や総会などにおいて強大な権限を持ってくる。したがって日本が衛星を打ち上げたいとか何をしたいといっても、なかなかコムサットの理事会がいろいろな難くせをつけて——御承知のように向こうの説明では三分の二以上の了解を得なければ打ち上げさせないといっておるわけなんだ。こういう点について、あるいはその衛星が、もし他の衛星と事故を起こして、たとえばこれが使えなくなったというときのその損害賠償の相手は一体だれであるのか、そういうこともこの条約ではきめてないわけですね。そういう点から考えて、私は、コムサットに対する制限、あるいはわが国の通信の独立と宇宙の平和的な利用については対等、平等という観点から、これはやはり規制をする体制でなければいかぬというふうに思うんですが、大臣どうですか、先ほどの答弁を聞かれましてあなたはどう考えておられますか。
  57. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいまコムサットの六年間の暫定的な任務、これもインテルサットの業務の全部を行なうということでございませんで、これはもう、恒久協定が発足いたしますと、事務的な面、財政的な面、こういうものは固有の事務局に移しまして、現在でもインテルサットの暫定協定下で行なっております衛星の打ち上げ、すでにいま上がっております星の運用等の技術的な、あるいは運用的な面だけをこの会社にまかせるということになっております。もちろんこれは理事会の掲げます政策に従って行なうということで、直接監督下に置かれているわけでございます。  またこの理事会につきましても、これは恒久協定交渉過程におきましていろいろな問題があったわけでございますが、一国あるいは大きい利用者の国の投票権は当然制限する、つまりある国が拒否権を持つというような事態にならないような投票運用上の制約をつけておりますので、従来いろいろ問題があったのですが、この点については相当改善された運用になるということが期待されるわけでございます。
  58. 土橋一吉

    土橋委員 いま柏木監理官の御説明をお聞きになってわかりますように、日本の通信の自主性と独立性、それから宇宙の衛星をめぐるところの自主的な開発の問題をめぐって、このコムサットの存在というもの要するにアメリカの通信機構全体の営業的な面における支配者というコムサットの立場、こういうものから考えまして、基本的に非常に問題がある。特に、国際電電株式会社が出しておる資料を見ますと、こういうことを言っておるわけですね。七〇年代において、新しい営利法人が国家と癒着をしてこういうふうな通信業務をやる新しい方向を示しておるというふうなことまで、最後の結びの論文には書いておるわけです。しかし私は、国家というものが機構をつくって、そこが国民の通信であれあるいは気象観測であれ何でも責任を持って、宇宙を平和的な対等平等の立場において利用するという観点から見ると、たとえば国際電電株式会社が出資率の問題で発言権を押えられたり、わが国が衛星を打ち上げるとかいろいろな問題について非常な制限を受けるということは、この国際条約全体が対等平等でない、表向きは一票、一票で同じように書いているけれども。さっき柏木さんが言うように、幾らかは改善しておるけれども、依然としてアメリカのコムサットを中心にして通信を世界的に支配をするという体制が、私たちは非常に気に食わないわけです。これは日本国民の利益のためにもよくないわけです。私はもう時間がありませんので、この点は付言しておきまして、次に原子力の問題について伺います。  豪州と日本との協定、あるいはフランスと日本との協定について、実際日本としてはどういった利益があるのか、そのことによってどういう利益をもたらすものであるのか。  もう一つは、たとえばウランならウラン鉱を双方に開発して、そしてそのウランを日本に持ってきて濃縮するのであるのか。まだ濃縮はできていないわけです。その持ってきたものを一体どこでやらせるというのであるのか。  日米間の平和的な原子力の利用の従来の経過から見て、濃縮するのはアメリカでなかろうか。そうすると、豪州と日本との条約を結んでも、結局濃縮をしてアメリカから日本が輸入することになれば、世界的にアメリカが——原子力の原材料の掌握に努力をしているアメリカです。したがって、結局は、何のことはない、アメリカに持っていって濃縮してまたそれを持って帰ってくるということになれば、いわゆる日米間の原子力保障の問題あるいは査察の問題——御承知のように、賃機でちょっと機を織ってくれというのと違うわけですね。技術が非常に進んでおりますので、いやおうなしに向こうの言い値のものを買わなければいかぬというようなことが出てくるのですが、それでもどういう利益があるというふうに考えておられるのか。
  59. 影井梅夫

    ○影井政府委員 ウラン資源につきまして、日本がその資源の入手先をなるべく多角化したい、これが根本にあるわけでございます。  先ほど、大臣の御説明にもございましたとおりに、たとえば日本の電力需要だけをとりましても、大体昭和五十年には八百六十万キロワット程度、それからその後の十年、昭和六十年に至りますとおそらく六千万キロくらいは原子力発電にたよることになるのじゃないかというくらいに、ウランに対します日本の需要量というものは急激にふえてまいる。他方、ウラン資源の供給力と申しますかサプライのほうは、必ずしもそれに見合うほど容易であるかどうかわからない。したがいまして今回の協定締結は、日本がウラン資源につきましてアメリカに依存する度合いをなるべく少なくいたしまして、供給源の多角化をはかりたいということが根本にあるわけでございます。  なお、それ以降につきましては、原子力局長から御説明願いたいと考えております。
  60. 成田壽治

    ○成田政府委員 ウラン資源の確保につきましては、豪州、フランス等ウラン資源に非常に富んでおりますところとの協定によって、十分確保する面で非常に寄与する点があると思います。  それから、御指摘のそのあとのウラン濃縮の問題でございますが、これはウラン鉱が手に入っても濃縮ができないと現在の軽水炉では役に立ちませんので、濃縮ウランをどうするかという問題でございます。これは御承知のように、現在外国に濃縮ウランを供給する力のある国はアメリカだけでありまして、アメリカの三工場で年間一万七千トンという能力でこれを各国に供給しておるわけでありまして、日本もいまの日米原子力協定によって一九七三年、来年までに着工する発電所の需要のある限りの所要濃縮ウランは確保することになっております。そして、今後当分の間はアメリカの供給力に依存するしかないというふうに考えておりますが、ただ非常に大事なエネルギー源である濃縮ウランをアメリカ一国だけに依存するのはエネルギー政策上も問題がありますので、これを多元化する必要があるというので、現在アメリカとフランスから、自分の持っておるウラン濃縮技術を使って国際的な工場をつくることはどうかという提案がありまして、アメリカももちろん検討しておりますが、フランスの可能性についても現在検討しております。  それから、日本でもウラン濃縮の自主開発をやりまして工場をつくれないかというような検討——できましても一九八〇年代の後半になると思いますが、そういう時期に国産化ができ得るような研究開発を、原子力予算でことし二十億くらいの予算を投じて原研、動燃等において検討をやらせておりますので、将来の国産化も考えております。  そういう意味で、ウラン濃縮の多元化ということをエネルギー政策の重要なテーマとして検討しておるところでございます。
  61. 土橋一吉

    土橋委員 いまあなたの説明でよくわかりますように、なるほど多元的、多角的にウラン資源を各国からちょうだいするといっても、それを持ってきて日本で精製をするとか、日本でそれが一定の役に立つならけっこうですけれども、結局アメリカに持っていかなければならない。そうすると、アメリカとしては採算をとって金もうけをやる考えを持っているわけですから、日本は豪州のウランを持っていってアメリカで濃縮してもらってと思っても、アメリカの都合でアメリカでできたものをそのまま持ってきて、さあこれだよと渡されたってさっぱりわからない。結論は、アメリカ帝国主義の原子力の基本的な内容を全世界にばらまいておいて、それで日本が豪州と協定を結ぶ、あるいはフランスに持っていく、フランスもまだ能力がない、結局のところアメリカに持っていくということになれば、アメリカとしてはそういう範囲が広がってくればますますけっこうだということになる。結論は、自分のところで全部それを濃縮してしまう、そうすると原価の計算にしても何にしても、日本にとって豪州との協定を結んでも必ずしも利益にならぬのじゃないか。もし国際的に濃縮について基本的な制限をして、これ以上の暴利をとってはいけないとか、こういう方法でとったウランについては必ずとったものから濃縮したものを送るとかきちっとなっておればいいけれども、そういうことになっていないじゃありませんか。そうすれば、結局は、アメリカのウラン資源の全世界にわたりいわゆる手を伸ばしたものの一部分を日本が持ってくるということにならざるを得ない。もし日本とフランスの間において濃縮についての基本的な協定ができて、フランスでもよし、日本でもよし、双方対等、平等な立場において管理、監督をするという、いわゆる平和利用という三原則、先ほどの要するに原則ですね、これは公開とかあるいは民主的に自主的に解決するという、そういう原則のもとにそれが管理されて対等、平等でやるのはけっこうですけれども、そうじゃないでしょう。そうすれば、フランスから持ってこようと豪州からもってこようと、全部アメリカに持っていかなければならぬ。アメリカは、自分の都合で要するに、濃縮したものを日本に送ればよろしいということで、つまり、採算の面においても、日本の国益の面からおいても、どこに一体利益があるのですか。これを結ぶことによってどういうふうにメリット、つまり、価値を持っておるというふうに考えておるのでしょうか、その点を簡単に聞かしてください。私は非常にこれを疑問に思っておるわけです。
  62. 影井梅夫

    ○影井政府委員 ただいま原子力局長から御説明のありましたとおり、ウランの濃縮技術、その現状は、ただいま原子力局長から御説明申し上げたとおりでございます。ただ、同じく原子力局長から御説明申し上げましたとおりに、このウランの濃縮技術についても多角化をはかる可能性がある、これを探求していきたい。これによりまして、ウラン資源と申しますか、これに対する依存度、これをアメリカ一国にだけ依存しないで、全体を通じまして、多角化をはかりたいというのが、私どもの希望でございます。
  63. 土橋一吉

    土橋委員 委員長もお聞きになりましたように、濃縮の問題が一番中心的な課題にいまはなっているわけですね。その問題について、いまの説明では私は納得できないし、こういう状態では、日本原子力の平和的な利用のためにも、またわが国において自主的にこれをやる問題についても、非常に疑問が多い。特にフランスの場合との協定については、かなり技術交流その他の面において進んだものがありますが、豪州との間においては、私は見るべきものがないじゃなかろうか、カナダの場合と同じじゃないかというふうな気がしているわけです。これを付言して一まず質問を打ち切ります。
  64. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 松本七郎君。
  65. 松本七郎

    松本(七)委員 前回にもある程度これは御説明があったのですが、インテルスプートニクの加盟国、それから組織、運営状況等、内容を少しおわかりでしたら御報告を願いたいと思います。
  66. 影井梅夫

    ○影井政府委員 これは私ども、昨年の末に、在ソ連大使館から入手いたしました協定文、それに関連する資料に基づいて調査したところでございますけれども、インテルスプートニク、これはソ連の通信衛星モルニヤ、これはロシア語でいなずまという意味だそうでございますが、この通信衛星モルニヤを使用いたしまして行なおうといたしております国際通信衛星組織の名称でございます。  このインテルスプートニク協定、これは昨年の一九七一年の十一月十五日にモスクワで署名のために開放されております。同日署名いたしました国が九カ国、これはソ連、モンゴル、チェコスロバキア、ポーランド、ブルガリア、ハンガリー、キューバ、ルーマニア、東ドイツでございますが、この九カ国が署名をいたしました。また、この批准につきましては、本年に入りまして、四月三日にソ連が批准し、四月二十三日にブルガリア及びモンゴルがそれぞれ批准を行なった。なお、この協定の効力の発生のためには、六カ国の批准を要するということになっております。  協定の内容は、大体におきましてインテルサット協定のパターンに従ったものということが言えるかと思います。宇宙部分、それから組織の構成、出資率等についての規定がなされております。  なお、御参考までに、このいわゆる通信衛星組織におきます宇宙部分、これについての規定ぶりでございますが、一九七三年末までのいわば実験段階でございますが、この段階におきましてはソ連がこの宇宙部分を無償で提供する。その後の実用段階では、当分の間、ソ連がこれを賃貸する。いよいよこの組織が商業的な運用段階に入りましてからは、インテルスプートニク自体が所有する、大体こういう規定になっております。  また、インテルスプートニクの組織でございますが、加盟国の代表から成ります理事会、これは一国一票、少なくとも毎年一回開催する。また、その表決は三分の二の多数決によるという規定でございますが、この理事会、それから、理事会に対しまして責任を負う事務局、最後に、このインテルスプートニク組織の財政につきまして理事会に報告する責任を負っております会計監査委員会、この三つの組織から成っておるのが、インテルスプートニク組織でございます。
  67. 松本七郎

    松本(七)委員 インテルサットと競合するようなことはないのですか。
  68. 影井梅夫

    ○影井政府委員 理論的に考えますと、インテルサットまたはこのインテルスプートニクいずれかの加盟国が他のほうの組織の通信衛星組織を使えるかという問題かと思いますけれども、これはインテルスプートニクがどういう国に対してその通信衛星組織を使用させることになっているか、私どもつまびらかにいたしませんが、インテルサットのほうに関しては、インテルサット協定の加盟国でなくとも、その国がインテルサット技術水準に合致しております地球局を持っておりましたならば、このインテルサット通信組織を使える、そういう意味におきましては、重複と申しますか、それは生ずるものと考えております。
  69. 松本七郎

    松本(七)委員 それから次は、何といいますか、スパイとの関係ですがね、一九六〇年五月に米軍機がソ連領空を侵犯して工場など撮影したという、それでソ連のミサイルによってやられたという、いわゆるU2型機の問題ですね、こういう航空機によるスパイ活動と同じ働きをするような人工衛星というものが将来やはり考えられるんじゃないか。そういうスパイを目ざした宇宙衛星というものがすでに米ソ両国では相当打ち上げているという話も伝えられていると思うのですが、実態はどういうことなんです。
  70. 影井梅夫

    ○影井政府委員 これは事柄の性質上、非常に正確な情報が得られるということはちょっと無理かと思います。まあいろいろ雑誌その他によりまして、それぞれアメリカあるいはソ連がそういった種類の衛星を上げているということは、私ども承知しておりますけれども、その正確なところはわれわれにもわからないというのが偽らざるところでございます。  なおこの衛星を打ち上げました場合に、その衛星の種類のいかんを問わず、衛星を打ち上げました場合に、できるだけこれを国連に登録してほしいという意味では、登録されました限りの数というものはわかっておりますが、それ以外にもおそらくそういった衛星があるのではなかろうかというふうに推察しております。
  71. 松本七郎

    松本(七)委員 これは宇宙条約の四条ですか、大量破壊兵器の打ち上げ禁止の条項ですね。「条約の当事国は、」これこれで、その後段に「天体上においては、軍事基地、軍事施設及び防備施設の設置、あらゆる型の兵器の実験並びに軍事演習の実施は、禁止する。」云々、これから言うと、当然スパイ用の人工衛星も条約上は禁止していると解していいわけですか。
  72. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 お答えいたします。  いま問題になっておりますスパイ衛星でございますけれども、いま御指摘になりましたように、宇宙条約の問題としてこれを取り上げますと、宇宙条約の第四条は「核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体」を軌道に乗せない、あるいは天体に設置しないということでございまして、第四条第二項のほうは、天体の上に今度は軍事基地、軍事施設、防備施設等々を置かないということでございます。したがいまして、非軍事化という面から申しますと、天体はとにかく非軍事化されておる。しかし、宇宙空間に関する限りは、この条約が禁止しておりますのは、いまの核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を軌道に乗っける等々のことでございますので、いま問題になっておりますスパイ衛星というようなものにつきましては、特にこれを禁止する規定はございません。したがいまして、写真撮影をするということ自体も、特にここで禁止になっている問題ではない、かように考えます。
  73. 松本七郎

    松本(七)委員 それから、今度は七条の関係ですが、「月その他の天体を含む宇宙空間に物体を発射」した場合に、「その物体又はその構成部分が地球上、大気空間又は月その他の天体を含む宇宙空間において条約の他の当事国又はその自然人若しくは法人に与える損害について国際的に責任を有する。」こうなっているわけですが、これまで地上にこのような物体が落下して損害を与えたという事例があるのでしょうか。
  74. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 お答えいたします。  宇宙に打ち上げました物体が地上に落下いたします場合は、空気との摩擦によりまして地上に到達するまでに焼けて、燃えて、消えてしまうわけでございますが、いままで落下してきたケース、知られておりますのは一件でございます。これは一九七〇年の八月二十八日にアメリカ合衆国の中西部、テキサス、オクラホマ、カンザスの三州にまたがるところだそうでございますが、そこに四個の宇宙物体が落ちてきたわけでございます。この物体はソ連の人工衛星の一部であったということが確認されておりますが、人畜に対する被害はなかった模様でございます。
  75. 松本七郎

    松本(七)委員 そういうことが起こった場合の損害の賠償はどういうことになるのでしょうか。
  76. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 この宇宙条約には損害の問題につきましては第七条に規定がございますが、これはただ損害に対して国際的な責任を有するということだけで、それ以上の規定はございません。しかし、この問題は前から国連で扱われておりまして、現在宇宙物体により生ずる損害の国際的賠償責任に関する協定というのができております。したがいまして、この条約はまだ発効しておりませんので、現在の段階におきましては、少なくとも損害を受けた場合はこの宇宙条約の当事国はその当事国の間において外交交渉をやってそれを解決するか、あるいは相手の国で裁判所へ出しまして司法的に解決するかということとございます。  しかし、さらに進んで、現在さっき申し上げました損害賠償協定が発効しますれば、この当事国の間ではその手続を踏むということになるわけでございます。
  77. 松本七郎

    松本(七)委員 平和利用を目的にした宇宙衛星というものがだんだんひんぱんに打ち上げられるということになると、衝突する場合も考えられるだろうと思うのですよ。そういう場合も、やはりいま言われるように個々の当事国の間で損害の賠償についての話し合いをケース・バイ・ケースにする以外にないと、こういうことですか。
  78. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 現在、さっき申し上げました損害賠償協定が発効しておりませんので、何らよるべき基準はございません。したがいまして、宇宙に打ち上げたもの同士が衝突しました場合は、やはりその当事者の間で解決せざるを得ないということでございますが、先ほど申し上げました賠償協定によりますと、これは打ち上げて損害を与えたほうが責任を負うということでございますけれども、ただそれには条件がついておりまして、この打ち上げた国の過失またはその国が責任を有する人の過失があったという場合にのみ損害賠償の責任を負うということになっております。
  79. 松本七郎

    松本(七)委員 その次は第九条の関係ですが、「条約の他のすべての当事国の対応する利益に妥当な考慮を払って、」「宇宙空間におけるすべての活動を行なうもの」それからまた後段には、当事国は他の当事国が計画している宇宙利用の活動に「有害な干渉を及ぼすおそれがあると信ずる理由があるときは、その活動又は実験に関する協議を要請することができる。」この条項からしますと、さっき問題になったスパイ衛星の打ち上げというようなことも、やはりその疑いがある場合には協議を要請する対象になると思うのですが、この点がどうかということと、それからやはり実験用の衛星の打ち上げについても協議を要請できるわけでありまするが、米ソ間でそのような協議がいままで行なわれたかどうか。それから日本で打ち上げました「おおすみ」などのときに米ソなどに連絡ないし協議をしたものかどうか、これらについての御説明をお伺いしたい。
  80. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 宇宙条約第九条には国際協議の条項がございます。その国際協議をしなくちゃいかぬというのは、他の条約当事国の宇宙空間の平和的探査及び利用活動に潜在的な有害な干渉を及ぼすおそれがある場合ということでございまして、協議する場合を限定しておりますけれども、その具体的ケースとして考えられますのは、電波上の妨害があるとか、あるいは将来原子力推進によって人工衛星が出るというような、かりにそういうケースがございますれば、ここの平和利用ということでございますけれども、放射能等による汚染が考えられるわけでありまして、そういう場合に他の国の衛星の軌道に支障をもたらす場合が考えられるということで協議するわけでございます。  スパイ衛星等につきましても、これは理論的に協議の対象になり得るわけでございますけれども、先ほど御指摘のありました米ソ間で協議があったかどうかということにつきましては、現在までのところわれわれ何ら聞いておりません。
  81. 松本七郎

    松本(七)委員 「おおすみ」の場合は……。
  82. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 失礼いたしました。東京大学の打ち上げた実験衛星でございますけれども、これは実は周波数についてITUに登録しておりまして、その間の電波干渉という問題もありませんし、したがいまして妨害のおそれもないということで協議は要らないものと、かように考えております。
  83. 松本七郎

    松本(七)委員 それから、宇宙条約の十二条に規定している査察は実際に運用されているのかどうか。
  84. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 お答えいたします。  十二条は天体にあります基地、施設、装備、宇宙飛行機等の開放でございますけれども、現在のところ天体にそういう基地を持っているといいますか、そういう施設を持っているといいますか、これはアメリカしかないわけでございまして、実際問題といたしましてはまだこの条項が実施されたことはございません。
  85. 松本七郎

    松本(七)委員 それから、現在太平洋、大西洋、インド洋上に衛星が打ち上げられているわけでありますが、現在通信需要の一番多いのはどこになるのですか。
  86. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 お答えいたします。  世界的に一番地域的に多いのはやはりアジア地域でございます。特に韓国との通信量が最近一番多いというくらいの地位に上がってきております。これはインテルサットを利用している通信ではございません。インテルサットを通じて利用している国際通信で最も量が多いのはアメリカ合衆国との関係でございます。
  87. 松本七郎

    松本(七)委員 それから、さっき質問に出ていましたが、事務局の構成は「協定の効力発生の後六年以内に完了する。」となっているわけですが、ほかの国際機関や政府間機関で事務局の構成にこういう規定があるものはほとんどないと思いますが、こんなに長期間を置いた理由はどこにあるんでしょう。
  88. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 この問題は現在の暫定協定制度におきます管理者としてのコムサットの地位をどうするかということにつきまして、恒久協定交渉につきまして最も大きい問題になった一つでございますが、この問題は他の現在恒久協定の骨組みとなっておりますいろいろな重要事項とあわせまして一括した日本、オーストラリア両国の妥協案によって解決されたものでございますが、御承知のように現在すでに通信を行なって実際運用しておりますインテルサットの中では、この打ち上げあるいは星の運用につきましては現在コムサットがマネジャーとしてその任務に当たっているわけでございます。この恒久協定交渉の過程におきまして、このコムサットの技術的な力については非常に高く評価しておりまして、恒久協定発足と同時にこれを他のものにとってかえるというような意見は全く見られませんで、なるべく早い期間にこの暫定的な機関を終了させたいということで、三年あるいは五年あるいは七年あるいは十年というようないろいろな案が出されたのでございますが、いろいろの協議の結果妥協といたしまして六年という期間をとったわけでございます。  ただいま最も新しい通信衛星は四号系の衛星でございまして、これは昨年の暮れから打ち上げられております。これの寿命は七カ年ということになっておりまして、大体いま上がっております星の運用という責任の問題からいたしましても、六カ年間をまず恒久協定発足後コムサットにその技術的側面についてもっぱら責任を持ってもらうということは妥当な線ではないかと考えております。
  89. 松本七郎

    松本(七)委員 衛星の寿命が尽きた場合はどういうふうになるのですか。
  90. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 私も専門のほうでございませんですが、聞いているところを申し上げますと、静止軌道に乗りました衛星は軌道修正のためにジュットエンジンを吹かす燃料を積んでおるわけでございますが、寿命が尽きるというのは大体そのエンジンの燃料が尽きるということでございまして、エンジンの燃料が尽きますと、これは静止軌道で絶えず調整を必要とするのでございますが、その操作ができなくなりますので漂流状態になるということでございます。これはこういう話もございますが、地球の自転と重力の関係で静止軌道のある場所にだんだん吹きだまりのようにたまっていく、衛星の墓場ができるというような話も聞いておるわけでございます。
  91. 松本七郎

    松本(七)委員 それからこの十六条の義務違反した場合に脱退とみなす決定ができる旨の規定ですが、義務違反というのはどういう場合が考えられるんですか。
  92. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 義務違反で考えられますのは、まず第一に財政的な問題でございますけれどもインテルサットの必要とします資本必要額というものを出資率に従って分担するわけございますから、それを払わないというようなことはここに書かれております義務違反でございます。
  93. 松本七郎

    松本(七)委員 それから十六条の(n)「国際電気通信連合における当該締約国の地位」が変更になっても「インテルサットから脱退することを要求されない。」という規定ですね、これはどういう場合があるのか、ちょっと御説明願いたいのです。
  94. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 ITUにおきまする地位の変更ということでございますが、まず第一に考えられますのはITUのメンバーでなくなるということでございます。それから第二番目は投票権を持たなくなった場合、これは何らかの制裁措置によりまして投票権を持たなくなったというような場合が考えられますが、この二つが地位の変更というふうに思われます。
  95. 松本七郎

    松本(七)委員 いまたとえば国民政府がITUに加盟していますね。中国が入ってない。今度は国連の議席が逆になる。もし中国が今度はITUの加盟国になったような場合には国府の立場はどうなんでしょう。
  96. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 問題が二つございますので二つに分けて申し上げますと、まず現在あります暫定協定のもとではどうなるかということでございます。暫定協定は御承知のように電気通信事業体の委員会だけございまして、政府の集まる場というものがございません。したがいまして、もしいま御指摘のような代表権が問題になるということでございますと、これは当然政府間の問題でございますから政府間のそういう会議を開いてきめるということでございます。  それから第二番目に、いま御審議いただいておる現在のインテルサットのもとにおきましては締約国総会というのでございます。これは政府間の機関でございまして、もしそのような問題が提起されました場合は締約国総会で審議する、その結果にまつということでございます。
  97. 松本七郎

    松本(七)委員 それから今度は原子力のほうですが、時間がないのですが、さっき大臣のときに質問したいままでの事故の状況をちょっと詳しく御説明願いたいのです。
  98. 成田壽治

    ○成田政府委員 原子力施設の事故でございますが、各国の例を見ますと、大体軍事利用段階ではかなり事故もあったようでございますが、平和利用段階では一般大衆に被害を与えるような事故は起きていないというふうにに聞いております。  それから日本における事故でございますが、原子炉等規制法によって事故の報告が出されることになっておりまして、これが昭和三十八年以来現在まで約二十七年の事故報告がなされていると思います。これを見ますと、大部分は従業員の仕事のなれからくるミステークといいますか、不注意からバルブを締めるところを忘れたとか、あるいは十分防護をして入るべきところに簡単な用意しかしないで入ったとか、非常に仕事のなれからくる不注意によるケースが多いのであります。  それで、日本におきましても原子力発電所の事故が二十七件ほどありますが、隣接の一般大衆に被害を及ぼすような事故は一件もない、むしろ作業員が若干の被曝等を受けているという事故が多いのであります。もちろん一般大衆に対する被曝は厳重な安全審査によって、考えられないような仮想の事故もわれわれは想定して、その場合でも一般大衆が法律で定める基準以上の被曝を受けないように厳重に審査して励行させておりますから、そういう心配はないと思いますが、従業員の作業上のミスによる事故、これはむしろ保安教育の徹底とか事業所の施設の総点検等を常時やって、仕事のなれからくる油断のないように、これはわれわれも事業者に常時厳重な注意をしておるところでございます。   〔委員長退席、山田(久)委員長代理着席〕
  99. 松本七郎

    松本(七)委員 東海村の事故にしても敦賀の事故にしても、あとの事後対策が非常に不十分だという声が強いのですが、この点は政府はどうお考えになっていますか。
  100. 成田壽治

    ○成田政府委員 東海の事故と事後対策不十分であるということ、われわれはそうは考えておりませんので、むしろ二度とそういう事故が起きないように管理者を呼んで厳重に注意をし、また定期的な安全管理のための定例会議を通産と科学技術と一緒になって各事業者の担当部長を呼んでやっておりまして、事後措置については厳重に注意しておりまして、そういう御心配の点はないと思います。  ただ、先月原研で起きました事故のように、たとえばバルブがあいて放射性の廃液が若干こぼれたというケースがありましたが、その原因、どうしてそうなったのかというのは、いろいろな調査をやっても不明な点がありまして、これは非常に遺憾でありますが、ただ二度とそういう事故の起きないようにということは厳重に管理者に注意しております。
  101. 松本七郎

    松本(七)委員 それから協定の内容ですが、この両協定の三条で、両締約国と国際機関との間に三者間協定を結んで、これによって保障措置を行なうということになっているわけですが、このいずれか一方の締約国に核兵器拡散条約保障措置協定適用される場合には、当然三者間協定適用されない、こういうことになるわけですが、問題なのは、この三者間協定の目的と核兵器拡散条約保障措置協定の目的の間に、規定上からいうと、違いがある。というのは、三者間協定の目的はフランス、オーストラリア両協定二条に定めたように「平和的目的にのみ使用されること。」それが守られているかどうかということになるんですね。一方不拡散条約保障措置協定の目的は、同条約二条で「非核兵器国は、核兵器その他の核爆発装置」を「受領」せず、「製造せず」「取得しない」こういうことが守られているかどうかということになるんだろうと思うのです。そうすると、まず第一にその協定二条の「平和的目的」とは何かということを明確にする必要があると思うのですが……。
  102. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 協定二条にございます「平和的目的」ということでございますが、一応平和的目的のための使用ということは、核分裂等の作用を利用して熱を起こし、電力その他に利用する、あるいはアイソトープ等を利用して健康管理に使う等が平和的目的というふうに考えております。  そこで、この平和的な目的と軍事的な目的とをどのようにして区別するかということでございますけれども、いま申し上げました平和的目的に対しまして軍事的目的というのは、原子力の持っている爆発力とか放射能を殺傷あるいは破壊等に使うというふうに観念しております。  われわれ日・仏、日・豪を結ぶにあたり、まして、何が平和的利用であるか、何が軍事的利用であるかというようなことにつきましては、従来ある一般的な社会通念という、いま申し上げましたような社会通念に基づいて、これで処理していくというふうに考えておるわけでございますけれども、たとえばよく問題になります核爆発の平和利用、これは実は核爆発の平和利用自体は平和的目的でありますけれども、現在の段階ではこれは同時に軍事的にも簡単に転用できるということで非常に双方の境にありますボーダーラインのケースだと存じますので、そのようなケースが起きました場合にはそのケースごとに検討していく、そのように考えております。
  103. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、この不拡散条約でいう核爆発装置というのは平和利用ならば認めているわけですか。この規定でいうと一般的に核爆発装置そのものを否定しているように受け取れるのですが……。
  104. 影井梅夫

    ○影井政府委員 現在の技術的発達の段階におきまして、核爆発装置につきまして、その軍事的利用と申しますか核兵器としての核爆発それから平和目的のための爆発、これは区別できないというのが現状だと存じます。ただ、こういった技術の発達が非常に目ざましい将来の問題といたしまして、平和目的にのみ利用される核爆発装置というものが開発されるかもしれない。これはあくまでも現在の時点ではございませんで、将来の問題といたしまして、また技術の進歩ぶりにかんがみまして不可能ではないということが予見される。その場合には、非核兵器国も、平和目的のため、これが明確に区別できる段階に至りましたときに、平和目的のための核爆発装置の研究であるとか製造であるとか利用、こういったことの自由を確保すべきであるということが将来の問題として考えられているということかと考えます。
  105. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、ここではむしろアメリカやイギリスとの協定の覚え書きのように、いずれか一方の締約国が核兵器拡散条約の当事国になったときには協議を行なうというような規定にしておいたほうが、日本としては選択の余地が広くなるような気がするのですが、どうでしょうか。
  106. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 アメリカ、イギリス等との原子力協定ができましたときにはまだ核不拡散条約というものが固まってない段階でございまして、したがいまして、その核不拡散条約のもとでどのような保障措置が行なわれるかということについても、まだはっきりしたことがわからないときでありましたので、このような協議条項をつくったわけでありますけれども、すでに核不拡散条約が発効いたしました現在では、御承知のように、どのような保障措置を受けるのだということもはっきりしてまいりましたし、したがいまして、現在の段階におきましてはそのような条項を入れるということに何ら問題はなかったわけでございます。
  107. 松本七郎

    松本(七)委員 大体いいです。
  108. 山田久就

    ○山田(久)委員長代理 中川嘉美君。
  109. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 最初原子力のほうから伺いますが、先ほど大臣に数問伺っておりますので、ちょっと断片的な御質問になるかと思いますが、一番最初に伺いたいことは、原子力平和的利用に関する協力のための日本国政府フランス共和国政府との間の協定、それから日本国政府オーストラリア連邦政府との間の協定、これに関して両協定の第五条にそれぞれうたわれておる条文でありますが、これはどのようなことを意味するのか。どうもめんどうな表現で出ておりますが、この両協定の第五条の意味するところ、それからあわせて伺いますが、この両協定の第五条と日米協定の第五条との違いはどんなところにあるか、この辺をまず御説明をいただきたいと思います。
  110. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 最初にフランス、豪州の協定の第五条を説明いたします。  どちらも同じことなのでございますけれども、この協定に基づきまして行なわれる両国間の協力は、それが政府間のものであれあるいは政府と民間、あるいは民間同士のものであれ、すべてその当事者の責任につきましては取りきめとかあるいは契約の中できめるということでございまして、ただ念のために、この協定でそういう政府間の協力をうたってあるからといって、その実施に伴う責任政府にかかってくるのではないということを書いてあるわけでございます。したがいまして繰り返して申し上げますと、要するにすべて契約次第だというのが豪州とフランスの協定でございます。  それから日米協定五条のほうは、これはその中の政府間の取引につきまして、あるいは情報だとか資材とか、そういうものについての正確性、完全性あるいは特定の用途への適合等につきまして責任は持たないということでございまして、もちろん、これ以外の問題と申しますと、たとえば民間同士あるいは政府と民間との間の問題につきましては、この協定の条項とは関係なしに契約によってきめるということでございます。したがいまして、日米の場合は政府のことについては規定はございますが、そのほかについては全然規定がない。それからフランスと豪州につきましては政府のことについても全然規定がない、契約次第だというふうに考えられます。
  111. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 どうもこの日米協定のほうの第五条を見ますと、内容的にむしろ不平等な点があるように私には思えるわけですが、このような内容に対してむしろ改正を行なうべきではないか、こう考えますが、この点はどうでしょうか。
  112. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 お答えいたします。  この第五条は、確かにおっしゃいますように不平等といえば不平等かと存じますが、実際問題といたしまして、原子力というものはきわめて新しい分野でございますし、いろいろ問題がありながら、先に進んでいくというのが現状じゃないかと思います。したがいまして、将来ほんとうにそういうものが解決されますれば、こういう規定もなくなってしかるべきだと存じますが、この協定ができました段階におきましては、少なくともこのような条項が必要なのでなかったかと思われます。長い先の問題になるかもしれませんが、もちろんこういう条項は、たとえばフランスとか豪州のような形に改められるべきであると考えられますが、さしあたって現在の状況におきましては、そのような事情からやむを得ない点もあったのではないか、かように考えます。
  113. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうすると、むしろ政府としては改正を行なうべきである、このように考えているのかどうか、この点をもう少し明確にお答えをいただきたいと思います。
  114. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 改正を行なうべきかどうかという問題に対するお答えになるかどうかわかりませんが、現在の日米間の取引の状況を見ますと、政府間の取引というものは実際問題としてほとんどないそうであります。したがいまして、具体的にこの条項がそのまま適用になるというような契約はない、かように考えております。
  115. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 フランスとの協定第三条三項のところで「又はこれと同様の協定で他方の締約国政府が受け入れることができるもの」こういうような表現が出てきておりますが、これは一体どういうものなのか、そしてまたこの規定はフランスが核兵器国であるということとどのような関係にあるか、この点をお答えいただきたいと思います。
  116. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 フランスは御承知のように核兵器国でございますが、まだNPTには入っておりません。しかしながら、われわれといたしましては、日仏の原子力協力におきまして、日本とフランスが同じ立場に立ってやるということでございまして、日本の場合は不拡散条約に入りますと不拡散条約保障措置適用を受けるわけでございますが、フランスに入りましても核兵器国でございますからその適用は受けないわけでございます。したがいまして、同様のと申しましたのは、日本が不拡散条約のもとで受けると同じようなという意味で、日本がそれについて合意できるもの、そういうふうに解されます。
  117. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 現在、日米、それから、日英、日加等の間に原子力協定があるわけですが、それらの協定に基づく国際原子力機関との三者間協定があるわけですが、三者間協定査察によって原子力発電所等の作業能率が低下するようなことはないかどうか、作業能率の点についてお答えをいただきたいと思います。
  118. 成田壽治

    ○成田政府委員 日米、日英、日加による査察を現在日本原子力施設が受けておりますが、一昨年の秋に原電の敦賀炉におきましてトラブルがありまして、非常に査察がきつくて炉の運転に支障を来たすという問題がありまして、これは事業者も日本政府も厳重な注意をしまして、非常にその後改善されまして、去年十回ほど査察が参っておりますが、全然そういう炉の運転に支障を来たすとか、企業機密が漏れるとかいう支障がないように、非常に改善されて現在に至っております
  119. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この査察の簡素化ということについて、わが国政府としてどのような考えを持っておるか、また何かそれに対しての意向を発表したことがあるかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
  120. 成田壽治

    ○成田政府委員 日本政府としましては、IAEAの査察のモデル協定案をつくる委員会がありまして、これは一昨年から去年までやっておりますが、その場等におきまして、査察の合理化、簡素化を非常に強く主張してまいったのであります。  具体的にどういうことかといいますと 一つは、従来は査察というのはいつでも向こうが必要なときは立ち入れるようになっておりましたが、今度の査察におきましては、常時でなくて、査察量という上限がきまりまして、施設によりまして、原子力発電所なら一年間に何時間とか、再処理工場なら何時間とか、そういう査察業務量の限定上限がきまっております。  それから、従来はどこでも査察委員原子力施設へ立ち入れるようにたてまえとしてなっておりましたが、今後はあらかじめ日本了解を得た場所だけに限定されるというふうにも直りつつあるわけでございます。  それからもう一つは、非常に最近の計量管理等の技術の改善によりまして、なるたけ機械化をやって、一々査察委員がいろいろな施設の場所に立ち入る必要がないように、テレビカメラあるいはその他の技術的な手法を活用して機械化をはかる、そういう点の合理化も十分反映されるようになっております。そういうIAEAの査察委員会等の場におきまして、合理化、簡素化を最も強く主張してまいったのは、おそらく日本が一番だろうと思います。
  121. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 最近の報道によりますと、科学技術庁は政府代行の国内査察機関として核物質管理センターといったものを設置したというふうなことを開いておるわけですが、その構成であるとか、あるいは目的はどういうものか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  122. 成田壽治

    ○成田政府委員 財団法人の核物質管理センターというのをことしの四月に設立しております。これは財団法人でありますので、民間が主体になって公益法人として設立したものであります。  仕事としましては、核物質管理業務、これは査察を受ける場合に必要ないろいろな管理業務があるのでありますが、これを民間電力会社等から委託を受けて、いろいろその一部を専門家がやってやる。それから核物質の管理に関するいろんな調査研究とか、あるいはさっき言いましたような査察技術面の開発、研究等の業務をやっていく、それからいろいろな指導、広報関係をやる、あるいは国際的な機関との協力推進をはかっていくということを業務とする公益法人でございます。  それで、先ほど日本が最も簡素化を国際会議等で要求しておるといいますが、今度のNPTに関連してのIAEA等の協定案によりますと、国内のこういう核物質に対する管理能力が国内的に十分になされておる場合には、IAEAはそれを検証するというかっこうで、直接の監査でなくて、間接的な査察を行なうというたてまえもとられておりますので、日本の国内の核物質の管理体制が国際的に十分に信用できるものにすることが非常に必要だと思います。その面で、この核物質管理センターが日本の国内の核物質管理体制の整備強化に非常に役立つように今後持っていきたいというふうに政府としても考えております。  それから技術開発に関連しましては、科学技術庁の平和利用委託費として二千五百万円ほど四十七年度予算にも計上して、技術研究の面の助成も行なう方針でございます。
  123. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 次に核兵器拡散条約について伺いますが、この条約が発効してから二年になるわけですけれども批准した非核兵器国のうち、国際原子力機関との間に保障措置協定締結した国ははたしてどのくらいあるか、またそのおもな国はどういう国があるか、この点をお答えいただきたいと思います。
  124. 影井梅夫

    ○影井政府委員 この保障措置協定締結いたしました国名を以下申し上げさしていただきます。  フィンランド、カナダ、ブルガリア、ハンガリー、イラク、アイルランド、マレーシア、ニュージーランド、デンマーク、ノルウェー、ギリシア、チェコスロバキア、ドイツ民主主義共和国、以上でございます。
  125. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いままでに締結をされた保障措置協定の内容ですが、これはどんなものですか。その内容は、現在日本が米英加、国際原子力機関との間で締結している協定と比べてはたしてどんなような内容を持つものであるか、非常にきびしいかどうかですね、その辺をお聞きしたいと思います。
  126. 成田壽治

    ○成田政府委員 NPT加盟国とIAEAとの保障措置協定は、これは昨年の三月に理事会で承認されました保障措置のモデル協定案がありまして、大体これに準拠して、各国とも同じような協定案、査察協定を内容としております。この内容は、先ほど言いましたように、従来の二国間による査察に比べまして、場所の限定あるいは査察の業務量の限定、あるいは国内管理査察体制の信用度に応じてIAEAの間接的な査察量を減少させるという考え方等、非常に簡素化、合理化された内容のものになっておるのであります。
  127. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 フランスとか中国あるいはインドが核兵器拡散条約に参加していないわけですが、この理由はどういう理由ですか。
  128. 影井梅夫

    ○影井政府委員 最初にフランスでございますが、フランスは一九六八年の国連総会におきまして、この条約推進するといいますか、推進する決議、このときにフランスは棄権をいたしまして、そのときにその理由を申しております。その際のフランスの理由は、核戦争の真の危険は現に核兵器が存在していることにあり、したがって最も重要な問題は、かかる核兵器そのものの貯蔵を停止し、その貯蔵を廃棄することであり、この条約核兵器国がその貯蔵を続けあらゆる貯蔵を維持することを許容しているので、真の軍縮措置ではない。言いかえますると、非核兵器国に対しまして核兵器拡散を禁止するということでなくて、現在の——当時の核兵器国がその核兵器をつくることをやめる、あるいはその貯蔵を廃棄する、こちらのほうが大事なんである、こういう趣旨でこの核兵器拡散条約に棄権の態度をとっております。ただ、フランスはこの核兵器拡散することに対してはもちろん反対でございまして、フランスの態度といたしまして、核兵器拡散条約に加入する核兵器国、これとフランスは同様に行動する、ただし条約には入らないということを明らかにしております。  その次に中国でございますが、中国はその態度をいろいろな機会に表明しておりますが、陳毅外相が一九六五年の九月、すなわち米ソによりますこの条約草案が公表されました後、記者会見を行ないまして、そこで中国の態度を表明しておる。その後、この中国の態度は大体一貫して変わってないということでございますが、その際に陳毅外相が申しました理由は、この核兵器拡散条約核兵器を独占しようとする米ソ両国の陰謀である、アジアのできるだけ多数の国が核兵器を持つほうがいいという趣旨の発言をしております。  最後にインドでございますが、インドがこの条約に加盟しておりません理由、これは中印国境紛争以来、インドといたしましては、中国の脅威を強く感じているという事情があろうかと思います。またインドは御承知のとおり政策といたしまして非同盟政策をとっている。したがいまして、他の国との軍事同盟によりまして自国の安全保障はできないという事情にある。したがいまして、インドは国内的にあるいは核武装論というものが一部にある、こういうことが支障となりましてこの条約に加盟できないのではないかというふうに考えております。
  129. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 核兵器拡散条約の署名の際の政府声明では、わが国が同条約保障措置協定を国際原子力機関締結した場合は、米英加との現在ある三者間協定はこれによって代置されるべきである、このようにいっておりますが、米英加がこのことを了解するということがわが国核兵器拡散条約批准の前提となるのかどうか、この辺をお答えいただきたいと思います。
  130. 影井梅夫

    ○影井政府委員 核兵器拡散条約批准する厳密な条件というふうには考えておりませんけれども、そのような交渉をするということは方針として考えておる次第でございます。
  131. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 原子力関係であまり長いことやっておっても次に進めませんので、最後に一つだけ伺いますが、わが国と米英との原子力協定了解覚書では、いずれか一方の締約国が核兵器拡散条約の締約国となった場合には、両国間の協議を行なうことになっているわけですが、この協議は行なわれたのですか、この辺を伺いたいと思います。
  132. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 日英、日米協定には、御指摘のような条項がございますが、いままでこのような協議は行なわれたことはございません。
  133. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 行なわれないとするならば、その理由はどこにありますか。
  134. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 日米協定の書簡のほうでは、協定の規定が不適当になったとき、それから両当事国がNPTの不拡散条約の当事国となった場合には協議を行なうという合意がございますけれどもアメリカは不拡散条約に入っておりますが、日本は入っていないという事情、それからもう一つは、現在までのところ協定の規定が不適当になったと認められる事情もございませんので、そのような協議は行なっておりません。  それから日英のほうも事情は同様でございます。
  135. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは次にインテルサットのほうで、まず最初協定説明書によりますと、この協定が作成される過程において欧米間の意見の対立があった。この対立に対して日本とオーストラリアが妥協案を提出してこれをまとめるのに非常に大きな役割りを果たしたともいわれております。その主要点をここで説明していただきたいと思います。
  136. 影井梅夫

    ○影井政府委員 この協定の第一回の全権会議及びこれに引き続きまして準備委員会が三回開かれておりますが、会議の大勢といたしまして、アメリカ、豪州、チリ等を含みますいわば米国グループと申しますが、こちらのほうの態度は、政府の関与をできるだけ少なくしたいというのが基本的な態度でございました。これに対しまして、日本、イギリス、フランス等からなります、欧州グループと呼んでおりますが、このグループは、政府の関与をできるだけ大きくしたいという基本的態度でございまして、この両方立場の間に、非常な不一致があったわけでございます。この両方立場の収拾ということが一つの大きな問題になってまいりました。これが具体的にはインテルサット機構をどうするか、それから理事会におきます投票権をどういうふうにするか、また事務局の性格を国際化するかいなか、大体この三点に分かれるかと存じます。  この対立点、不一致点をめぐりまして、日本と豪州がそれぞれのグループの代表と申しますか、といたしまして、種々妥協をはかったわけでございますが、第一にこの機構をどうするかということにつきましては、アメリカ側グループの主張を取り入れまして、四者構成とする、他方で欧州グループの主張、これをも取り入れまして、締約国総会、四つの機関がございますが、この政府代表の集まります締約国総会がインテルサットの最高機関といたしまして、その一般政策及び長期目標に関する指針を定めるということで妥協いたしました。  第二点、理事会の投票権でございますが、これにつきまして、アメリカグループの主張、これは国際公衆通信のほかに、国境、公海を越える国内公衆通信、これも投票権の算定の基礎とする。これに対しまして、欧州グループの主張、すなわち米国の票数が大きくなり過ぎて、いわば拒否権的な機能を持つことにならないように、この欧州グループの主張これをも取り入れまして、結局米国の投票権を全体の四〇%に押えるということで妥協が成立いたしました。  事務局の国際化、これにつきましては、先ほど来御説明申し上げておりますとおりに、アメリカグループ、欧州グループ両方の主張の妥協点といたしまして、管理業務契約者、コムサットでございますが、それが暫定事務局長に直属しない、理事会に対して直接に責任を負うということにいたしました。ただしこのコムサット、これは六年間だけこの管理業務を行なう、その後は完全に国際化した事務局に全権を移す、こういうことでこの両グループの対立点の妥協がはかられた、こういう次第でございます。
  137. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この暫定協定の第九条によりますと、「締約政府は、恒久的制度が千九百七十年一月一日までに実施されるよう、できる限りすみやかに同制度を設立することを確保するよう努めなければならない。」このようになっておりますが、今日まで延び延びになっている理由、これはどういうところにあるか御説明をいただきたいと思います。
  138. 影井梅夫

    ○影井政府委員 この暫定協定の第九条、これは暫定的な制度から恒久的な制度への移行に関する手続、これを定めているものでございます。現行の通信衛星暫定委員会、これが一九六九年の一月一日までに恒久制度についての勧告を内容とする報告を提出する、その後一年たちました一九七〇年の一月一日までに恒久制度に移行するということを定めております。  これは、暫定協定を作成いたします際に、先ほど申し上げました立場の相違と申しますか、これが内在しておりまして、インテルサットの性格、組織、組織の構成等につきまして、意見の対立がその当時からあった。当時におきましては、この対立点につきまして、一応米国の主張に従った暫定協定を成立させる、しかしながらこれを漸次直しまして恒久制度に移すべしという欧州側の主張、これを取り入れて、この趣旨に基づきましてこの第九条の規定が設けられた、こういう次第でございます。
  139. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 協定の前文において、「衛星による通信が世界的かつ無差別の基礎の上にできる限りすみやかに世界の諸国民に利用され」るべきものであるという国連総会決議第千七百二十一号の原則を想起し、とありますけれども、したがってインテルサット国連関連機関として設立され、アメリカ技術供与というものを行なうのみといった、そういう形が望ましいのではないかと私は思うのですが、この点はどうでしょうか。
  140. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 御承知のように国際通信は、日本のようにあるいはアメリカのように民間事業者が行なう場合もありますし、あるいは政府の郵政省というような主管庁がこれを行なう場合もありますが、暫定協定におきまする、発足いたしました通信衛星組織と申しますのは、この衛星を実際に利用するそれらの事業体が出資いたしました共同の事業体としてこの事業を運営するという立場で発足しているわけでございます。このような国際通信に関しまする国際的な共同事業体と申しますのは、このインテルサットよりもやや以前に大洋横断の同軸ケーブルによります国際通信の運営方式も同じような方式で非常に成果をあげているのでございまして、これはそれぞれの関係事業体の共同出資によるコマーシャルベースによる事業という性格を持って発足していたわけでございます。それをこの協定におきましては、これにつきまして各参加国がその主権国としての必要な規制かつ権限を持つということの必要から政府がこれに参加するということで、この面では非常に特殊な、例のない世界的な組織になったわけでございますが、このような経緯もございまして、これを当初から国連の専門機関等の組織として発足するという発想は全くございませんで、事業者間のベースの共同事業体として発足させたといういきさつがあります。そのために御指摘のような結果になっているわけでございます。
  141. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうすると、インテルサット国連関連機関として設立されて、いまの御答弁からするとどうなんですか、アメリカ技術供与を行なうのみが一番理想的なんだという形ですね、この形については、政府としては当然、私は賛成であると思いますが、もう一度確認しておきたいのですが……。
  142. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 アメリカは、御承知のように、実用通信衛星による世界的な組織を早期に設立したいということで、一九六二年にケネディが声明を発しておりまして、それに基づきまして翌六三年にアメリカの通信衛星法という法律に基づくコムサットという特別の任務を持った会社を設立しておりまして、この会社の任務といたしまして、このインテルサットのマネージャーという立場でこの運営に当たるほか、一般の参加国の通信事業体と同じ立場でこの衛星の回線を利用するということを定めております。このワク組みの上で暫定協定交渉が行なわれておりまして、これが一九六四年に暫定協定ができ上がったという結果でございまして、そのようなコムサットという性格づけを持ったもので、アメリカインテルサット世界的な組織に技術協力を行なうという側面と、その実施の中の一メンバーになるというあわせた性格を持った暫定協定をつくっておるということでございます。したがいまして、アメリカが側面的に技術的な協力を行なうという面では、このほかにもNASAが実際の星の打ち上げを行なうというようなことはあるわけでございますが、衛星の組織の設定並びにその後の運用につきましては、コムサットがアメリカを代表しました形でこの組織の運営に参加するという形になっているわけでございます。
  143. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 もう一つ明確に私としては受け取れないのですが、いずれにしても、このアメリカ技術供与というものを行なうのみといった形、こういったものがあくまでも望ましいということ、こういう考えであるということ、これをはっきりここで申し上げておきたいと思います。  先ほど大臣のほうにいろいろお聞きしたので順序がちょっと不同になりましたけれども、関連してちょっとお伺いしておきたいのですが、このインテルサットについて、第三条の項ですが「軍事的目的以外の特殊電気通信業務」云々とこう書いておりますが、これはインテルサットは、絶対に戦争が発生したような場合——これはあくまでも仮定でございますが、このインテルサットが使用されない、されることは絶対ないということがはっきりとここで言えるかどうか、この点はいかがでしょうか。
  144. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 インテルサット協定の三条(d)によりますと、インテルサットの宇部宙分は「軍事的目的以外の特殊電気通信業務のためにも使用する」、それから(e)によりますと「要請に応じかつ適当な条件に従い、次の業務のため、」と書いてございますが、そこの中に「軍事的目的以外の特殊電気通信業務」そういうもののために「別個の衛星又は関連施設を提供することができる。」と書いてあります。そこで、協定の上では、ただいま御質問のありました軍事目的、すなわち、偵察であるとかあるいはその他の目的のために使うということは認められてないわけでございまして、かりにこれを軍事的目的に使う国があるとすれば、これは自分で打ち上げるということになるかと存じます。少なくともインテルサット協定の中では、そういうものの利用は全然排除しているということでございます。
  145. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは、最後のほうで伺いたいのですが、条文によりますと、インテルサットは現行の組織の宇宙部分を引き継ぐ、そういうことになっているようでありますが、これを引き継いだあと現行の組織はどのようになるか、この辺を伺いたいと思います。
  146. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 現在、運用いたしておりますインテルサットの衛星は、四号系衛星というもので昨年から打ち上げを行なっております。この衛星は寿命が七年ということになっておりますが、この間の国際的な通信需要は、テレビの同時中継等も含めまして十分需要をまかなっていけるかと思います。その後の運用につきましては、さらに五号あるいは四号半というような衛星の計画がインテルサットの内部で検討されておりまして、その技術的な諸問題を検討の途中でございます。したがいまして、恒久協定の発効後におきましては、あらためてこの四号半あるいは五号という新しい衛星の打ち上げにつきまして決定が行なわれるということになると考えております。
  147. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 現行の組織ですが、これはどういうふうになりますか。
  148. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 現在の暫定協定に基づく組織は、新しく発足いたします恒久組織の制度の組織に引き継がれます。そうして現在星その他の宇宙部分は、これは各国の共有の施設になっておりますが、これは恒久協定におきましては、法人格を持つインテルサットの財産ということになるわけでございます。
  149. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 事務局は、六年後にその構成を完了するとありますが、その間は暫定事務局と現行事務局と両立していくものかどうか、この辺の関係はどうなりますか。
  150. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 現在は管理者としてのコムサットがすべての管理業務を行なっておるわけでございますが、恒久協定が発足いたしますと、直ちに暫定事務局の組織にかかるわけでございます。大体数十名程度のその職員を持つ事務組織が予定されておりまして、さらにこの暫定事務組織が恒久事務組織にかわりますに協定発効後六年の時間を過ぎますと、現在コムサットが行なっております技術運用面の業務もすべて恒久事務局長責任のもとに置かれるということになりますので、さらに相当数の職員がこの事務組織の中で吸収されるということになろうかと考えております。
  151. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと、六年後に新しい事務局の構成が完了した際は、暫定事務局長がそのまま事務局長に横すべりをするのか、その辺が一つ。それから事務局のスタッフはどういうふうになるか。先ほど御答弁があったようですが、この事務局長のほうはどうですか。
  152. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 暫定事務局長理事会がこれを選任いたしまして、締約国間総会の同意を得るという形になって、恒久協定発効後原則としまして五年間の任期を持つわけでございますが、さらにその任期が終わりますと、新しく暫定事務局の局長と同じような手続で選任する。実際問題として暫定事務局長がそのまま立候補して横すべりするという可能性はあり得るかと思います。しかし、法的には全く別の存在ということでございます。
  153. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 事務局の本部ですが、これはワシントンであると思いますが、そのほかの世界の各地に支局を置く必要があるのではないか。職員としても日本人の参加が望ましいけれども、そういったところの見通しはどうでしょうか。
  154. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 現在、たとえばイタリアとかに、現在のコムサットの運営しております星の若干の地上施設の運営を契約によって行なっているものがございます。将来このような傾向は、必要はふえるかと思いますが、支局というような形ではなく、その実際の運用のために必要な施設を置いて、そこに所要の若干の人員を配置するというような形で行なわれているわけでございます。
  155. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 締約国総会の表決は一国一票方式を採用しているわけです。理事会は出資率による票数によって表決が行なわれることになっておるわけです。さっきもちょっと御答弁の中に出ておりましたが、四〇%をこえる票数は行使できないことになっておるわけですが、理事会も一国一票方式を採用できないものかどうか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
  156. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 先ほども申し上げましたように、インテルサットの運営につきまして、国の主権としての関心のある問題につきましては締約国間総会におきましてこれを処理することになるわけでございまして、この実際の国際公衆通信業務に関係しますようないわばコマーシャルベースで日常業務を処理しなければならぬ、このような性格の国際的な共同企業の管理につきましては、現在も暫定協定に行なわれて、すでにその実績を持っております理事会あるいはその前身的な役割りを果たしておりましたケーブルの共同所有運営等の国際通信関係におきまして定着した実績がございまして、このような使用とその割合に基づく出資、それを踏まえました表決方式ということで、この骨組みができておるわけでございます。もちろん締約国間総会につきましての、一国一票という、これは新しい方式が取り入れられたわけでございますが、恒久協定におきまして、理事会においてもそのような一国一票方式を導入すべきであるという主張は事実上なかったわけでございまして、先ほど御指摘のような、このようなベースに行なわれます表決方式をもっと合理的にするというところに議論の焦点が集中された結果、恒久協定のような新しい運営方式ということになって協定が成立しているわけでございます。
  157. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは本協定の第二十条、発効の条項で、署名のために開放された日から八カ月未満の場合及び十八カ月をこえた場合は発効しないという規定があるわけですが、これはどういうことを意味するのか、この点を伺いたいと思います。
  158. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 お答えいたします。  この発効条項の意味でございますが、署名のために開放されましたのは昨年の八月二十日でございます。それから八カ月たった後、十八カ月を経過する前、その間に効力を生ずるということでございまして、逆に申しますと、八カ月たつまではこれだけの条件がそろいましても発効はしないし、それから十八カ月たった後も発効はしない。要するにその十カ月の間に条件が整えば発効する、そういう規定でございます。
  159. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 読んで字のとおりの御説明をいただいたわけですが、この辺で最後の質問をあわせて伺いたいと思います。  附属書Aの(2)に「標準地球局」と「非標準地球国」というのがありますが、これは何か機能上の相違点があるのかどうか、これが第一点。  それから最後に伺いたいのは、附属書Cの第三条の(c)によりますと、「裁判長団の会合の定足数は、十一人のうち九人とする。」このように規定されておりますが、定足数を九人ときめた根拠はどういうところにあるか。二つあわせてお答えをいただきたいと思います。
  160. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 前段の部分についてお答えいたします。  通信衛星は地上の非常にたくさんの国々が地上局によりましてこれを利用するという関係があるものでございますので、地上局の性能はお互いに他の局に干渉をしない、この他の局といいますのは、地上局相互間だけではございませんで、他のいろいろの電波利用の施設がございますので、それらに干渉を与えない、しかも効率的な運用が行なわれなければならないという相当きびしい技術的な条件があるわけでございます。この条件はインテルサットのほうできめるわけでございますが、この標準に達するものが標準局、それからこの標準に達しなくても、委員会におきまして臨時的にあるいは開発実験の用途等のために暫定的にある条件に合えば、他の電波等の影響が防止できるという見込みの立つものにつきましては、前に申しました標準に達しないものにつきましても臨時暫定的にこれを承認することがあるということでございまして、このような手続を経て理事会が衛星の利用を承認したものが非標準局ということになっております。
  161. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 後段の裁判長団の定足数でございますが、本件につきましては一九七〇年の十二月に開催されました第三回の会期間会議の作業部会におきまして定義・仲裁ワーキンググループという八カ国がございまして、そこで審議されたわけでございます。その際、まず定足数につきましては裁判長団のメンバーの総数が多くないということから、十分に大きな数にしたほうがいいという希望が出まして、その前提のもとに審議されたわけでございます。そこで暫定協定にあります仲裁に関する特別の協定付属協定というのがございまして、これにおきましては裁判長団の定足数は全体が七人のうち六名ということになったわけでございまして、その例を参照いたしまして、この新しい協定では裁判長団のメンバーが七から十一になるということでありますから、定足数につきましては従来の六から九にしたほうがいいという結論に到達いたしましてそのようになった次第でございます。
  162. 山田久就

    ○山田(久)委員長代理 土橋一吉君。
  163. 土橋一吉

    土橋委員 私は外務省の諸君にお聞きしたいと思いますが、インテルサットは、アメリカを中心として御承知のようにインド洋、太平洋、大西洋の三つを中心とする通信衛星によって世界じゅうが一つにカバーされておるわけです。ところが最近御承知のようにソ連がインタースプートニクを打ち上げた。これは北国を中心とする圏内ですが、こういうふうに二つの通信衛星をめぐるところの体系があるというふうに私は考えているのですが、外務省は、一体従来のとおりコムサットを中心とする、インテルサットを中心にものを考えておるのか、それともソ連を一つの中心とするユーロサットの方面について考えておるのか、あるいは全然考えていないのか、簡単に答えていただきたい。
  164. 影井梅夫

    ○影井政府委員 わが国といたしましては、現在八十三カ国の参加を得まして、世界の大部分の国をカバーし得るインテルサット、これが将来においても有望ではあるまいか、将来においてもこちらのほうが適当ではあるまいか、また今後の見通しといたしまして、衛星通信をもう一そう拡充してまいる、また技術的開発等の見地、こういう点も関係部局と協議いたしまして、インテルサットこちらのほうが将来支配的な役割りを果たすのではないか、大体このような判断からいたしまして、このインテルサット協定への加入の方針を決定した、こういう次第でございます。
  165. 土橋一吉

    土橋委員 そうすると外務省の方針としては、寄らば大樹の陰で、現在世界的にカバーをしておるインテルサットを中心にやったほうが利益だ、何かと都合がよろしい、つまりそういう国益を中心とする打算からいまのインテルサットというものに加盟しておるのか。それとも、最も民主的なユーロサットの方向は中継機関の時間その他の関係で困難性がまだあるし、世界的にカバーしてないとでもいう考えでいまのような御発言であるのか、明確に答弁してください。
  166. 影井梅夫

    ○影井政府委員 国際的な電気通信、これに対しまして日本の国益と申しますか、こちらのほうが妥当であるという判断に基づきましてインテルサットのほうを選んだ、こういう次第でございます。   〔山田(久)委員長代理退席、青木委員長代理着席〕
  167. 土橋一吉

    土橋委員 私は、全世界の通信というものは、単に当面の打算だけではなくて、その国々が、その国民がどのように利用することにおいて便利であるか、また将来の通信の国際的な観点からも考うべきであって、当面の打算や利益だけではいけないのではないか、もっと考慮すべきものがあるのではなかろうかという観点を堅持しておるわけです。そういうことからいまのような質問をしたわけで、その点は了承していただきたいと思います。  さらにユーロサットがインテルサット以上に赤道静止通信衛星を堅持するというような時代が遠からずやってくるんじゃなかろうかということを私は思っておるわけです。そうすれば両衛星体制の中で、日本が自国の国民の通信の安全とかあるいは画像、あるいはさらに御承知のように、これが多方面に将来発展をする可能性を持っておるわけなんです。ただ映像とか電話とか電報ということだけでとどまらずして、御承知のようにコンピューターとの連結によりまして、これが第三通信革命といわれる時代をいまや七〇年代は迎えようとしておるわけです。こういうことについて、いまのようなことだけでは、やはり相当研究もしなければならないし、また将来の国民の通信確保という観点からも考えなければならぬ、こういうことでありますので、その点は了承していただきたい。  さて、電波関係の諸君にお尋ねするのですが、コムサットが六二年以来非常に努力をされまして、当初のような、どちらかというと横暴的な態度を、さらに民主的に各国間においてそれが運用されることについて一定の前進を見ておると私は思うわけです。しかしながら、今日コムサットを中心としてアメリカ政府その他の協力を得まして、ある書物には九千万ドル、あるいは一億ドルの出資をしながら静止衛星通信の研究をさらに重ねておる、こういう状況から見ますならば、先ほど御質問もございましたが、わが国の現状は、はだ寒いほど国際的な衛星通信の問題については非常に低いといわなければなりません。たかだか二百億、片方は三百数十億の金を使って、そうして非常に今日発展をした状態に、さらにそれにみがきをかけるという状態になりますと、六年後の先においては、わが国のいわゆる衛星を通ずる通信関係、あるいははテレビというようなものと、コムサットを中心とする国際的な通信関係の進歩の度合いというのは、非常に差を持ってくるのではないかということが考えられるのですが、そうなってくると、六年間のうちにさらにコムサットを中心とするアメリカの通信体系といいましょうか、通信政策といいましょうか、そういうものは格段の発展をしてくる。それに対して、日本はやはりくっついていってやるというようなことになれば大問題が出てくるのじゃないか。というのは、つまり日本で通信衛星を打ち上げたいというような場合にも非常に制限を受ける。あるいは場合によっては気象観測の衛星を上げたいというような場合にも大きな制限を受けるのですが、そういうことに対する見通しはどう考えておるのか、そういう場合に、コムサットの三分の二以上の承諾を得なければ打ち上げることはできない、こういうような制限のもとに甘んじてくっついていくという体制をとるのかどうか、簡単にお答え願いたいと思います。
  168. 影井梅夫

    ○影井政府委員 加盟国によります衛星打ち上げにつきまして、三分の二によります理事会または総会の決定を行なう、それにあたっての作業はコムサットが行なうであろう、これは主権国家の行為にコムサットが介入するということになるのではないかという御質問かと考えます。この協定が発効いたしましてから後六年間、この期間はコムサットが技術面、運用面の管理業務を行なうということになっております。加盟国による衛星打ち上げに関しまして総会などがいろいろな決定をする。その決定のためのいろいろな準備、たとえば周波数スペクトル等の技術的な面の作業はコムサットが行なうことになろうかと思います。しかしながら、インテルサットに及ぼします種々の経済的な影響に関します作業は暫定事務局長がこれに当たるということになっておるわけでございます。理事会がコムサット及び暫定事務局長の作業によって作成されました報告を採択することを決定いたしました上で、それを締約国総会に提出することになるのでございますが、最後にこの締約国総会に提出されてそこで審議されるという意味におきまして、コムサットが主権国家の行為に介入するということにはならない。締約国総会におきまして主権国家はそれぞれ主権国家としての判断を下すことができるという意味におきまして、コムサットの主権国家に対する介入ということは起こらないのではないかというように考えております。
  169. 土橋一吉

    土橋委員 それはあなたのそういうものの考え方であって、現実にコムサットの理事会でいま私が申し上げたような三分の二以上の賛成がなければ打ち上げてはならない、コムサットの通信衛星の機能を阻害するようなことは許さないという決定をしておるわけですね。そうすると、その決定に服するということは——当然わが国は、国の状態から見て、地理的な条件から見て、通信衛星を打ち上げたほうがテレビとかあるいは通信回線の利用の面にも非常に有利だ。もちろん海底ケーブル等の問題がございますよ。しかしながら、そういうときにもコムサットの理事会のそういう決定に従わざるを得ないということは、わが国の主権行為を侵害するものではありませんか。あなたはそういう説明をいかほどされたって、実際コムサットがいかぬといったときには、紛争状態の処理は一体どこでやるのですか。ヘーグの国際裁判所でやるのですか。だれがその認定をするのでしょうか。そうすれば、加盟国であるわが国はいやおうなしに、泣く泣くその決定に従わざるを得ないという結果になるのじゃありませんか。ヘーグの国際裁判所においてそういうことの裁判の訴訟を受け取って、あるいは国連機構でちゃんとしてくれるならいいですけれども、それがなければこのワクの中に入っていかざるを得ないじゃありませんか。そういう説明では不十分じゃございませんか。
  170. 影井梅夫

    ○影井政府委員 この総会等が下します認定は、その効力におきまして勧告的な効力であって、法的に拘束する効力を持っていないというふうに考えておりますので、ただいま御指摘のようなぎりぎりの法律論になりました場合には、その下される認定の効力は勧告的であって、絶対に法的な拘束力を持つものではないということがいえるかと思います。  なお、地域衛星の打ち上げに関しまして、三分の二の表決ということがいわれておりますが、この点は実は必ずしも明確に確定的であるかどうか、まだ問題が残っているのではないかというふうに私ども考えております。いわゆるアメリカグループにおきましては、これは三分の二の積極的な賛成と申しますか、承認を必要とする、これに対しまして欧州グループのほうでは、三分の二の反対がなければ打ち上げ得るという解釈が残っているようでございまして、この点につきましては、私ども、現在明確なインテルサット組織の立場が表明されてないというふうに考えておる次第でございます。
  171. 土橋一吉

    土橋委員 いまのように大陸側とそれからコムサットを中心とする側での解釈上の問題も一つの重要な問題です。問題ですが、時間がありませんので、私はこういう内容を含んでおるコムサットを中心とするインテルサットをめぐるところの協定については、かなり研究するものがあるということを示唆しておると思うのであります。  端的に聞きますが、インテルサットに加盟しないで、要するにこれに批准の議決を与えないということになってくると、日本としてはどういう損害が出てくるのか。具体的にどういうことになってくるのか。簡単でいいです。
  172. 影井梅夫

    ○影井政府委員 インテルサットに加盟する、あるいは加盟しないという状態におきましても、これを利用することができるという意味におきましては、加盟しなくても同じであるということがいえるかと思います。しかしながら、他方におきまして、インテルサットに加盟することによってのみ得られる利益というものもあるかと思います。それは、インテルサットに加盟することによりまして、これに関連いたしますいろいろな技術的、学術的な知識と申しますか、いろいろなものが得られるということ、それから、これに加盟することによりまして、出資金に応じました収入が得られるということ、またさらには、実際問題といたしまして、これに加盟することによりまして、わが国もお得意といたしておりますいろいろな通信関係の機器、これの調達と申しますか、これを販売すると申しますか、そういう機会により多く恵まれるであろうということが、実際問題として指摘されるかと考えております。
  173. 土橋一吉

    土橋委員 御承知のように、ITUは、三十一条の規定で、なるだけ安くサービスを提供して、それで各国国民の通信の料金が上がらないようにという基本原則を持っておるわけです。ところが、インテルサットは要するに株式会社で、利潤を追求することを一つの目的としておる。そうすると、わが国としては、利潤追求を目的とするこういう会社制度の制約のもとで、三十一条の規定による、なるだけ安い料金でこれが利用できるという基本的な原則とちょっと違うように思うのですが、そういう調整はどういうところでやるのか。どういう調整方法があるのか。簡単でいいです。
  174. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 インテルサットのほうの使用料でございますが、これは出資に見合う、それの減価償却でございますとか、あるいは危険負担分に伴うあるパーセンテージと、それから国際的な金利も妥当な考慮を払うということになっておるわけでございますが、それと日常の運営費、これだけはカバーすることを考えておりますが、それ以外の配当を目的とするいわゆる利潤追求的な使用料の設定はしないということになっております。したがいまして、収入状態がよくなればそれだけ順次使用料を下げていくということで、その実績も着々とあげておりまして、現にことしの一月からも使用料を約一割五分程度下げております。これは当然また各国の通信事業者の料金というものに有利に反映していくというふうに考えております。
  175. 土橋一吉

    土橋委員 料金の問題もこれは国際電電としては大きな問題ですが、私は、海底ケーブルの減価償却した使用料と、インテルサットで通信をやった場合の原価の計算と両方があるわけですが、その両方に対して国際電電はかなりいろいろ研究した結果、これをならして一般大衆から電話料金としてとっておると思うのですが、技術的な問題はございますけれども、そういう点を非常に心配しているわけです。いま一つは、コムサットが大体これから約五億ドルくらいの資金を擁してやろうということになっておるのですが、そういう資金計画その他についてはわが国政府としても重大な関心を持っておると思うのです。そういうことについて簡単に、一体どういう方向で五億ドルという資産をこれから築き上げようとしておるのか、こういう点について答えてもらいたい。
  176. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 この金額につきましては、この協定交渉過程におきまして、現在のインテルサット理事会から、いろいろの資料によりました一九七〇年代の星の打ち上げとこれに要する資金の見積もりをたびたび検討した結果を提出されております。その結果五億ドルということがまず妥当な金額ではなかろうかということで落着したわけでございます。
  177. 土橋一吉

    土橋委員 続いてその次。衛星がたくさん打ち上がっているわけです。気象観測であるとか技術研究であるとか、いろいろ軍事目的で打ち上げておる。そうすると、かなりの衛星が赤道上における大体三万六千キロくらいの地域にたくさんあるわけですね。そうすると、それが何かの拍子によってインテルサットにぶち当たったというときにその責任を一体どうするのか、そういう国際的な協定を結んでいないでしょう。その責任は一体だれが原因者として負担をするのか。たとえばアメリカの軍事用の衛星がたまたま打ち上げるときあるいは打ち上げたものがインテルサットに、たとえばインド洋でも太平洋でもけっこうですが、ぶち当たった。その原因者の負担について何も規定してないのはどういうわけですか。
  178. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 お答えいたします。下から打ち上げをいたしました衛星がかりにインテルサットに当たった場合の責任でございますけれども、この宇宙空間におきます損害賠償の問題につきましては、一九六三年以来ずっと国連で検討しておりまして、昨年の第二十六回国連の総会におきまして宇宙損害賠償協定ができたわけでございます。ちょうどこのインテルサット協定が審議されているときはもうすでにそういうものがつくられつつある段階でございまして、インテルサットの中にそういう問題について特に織り込むというようなことは避け、いま申し上げました協定ができる時期を待っておったわけでございます。そこでもしそういう場合が起きました場合、これは宇宙損害賠償協定はまだ発効しておりませんから拘束力はございませんが、協定のたてまえは打ち上げて当たった国が損害賠償を負う。ただその損害賠償を負うにあたっては、その国の過失またはその国が責任を有する人の過失という場合のみ損害を負うということになっておりまして、過失がなければ損害を負うということにはこの規定の上にはなっていないわけでございます。
  179. 土橋一吉

    土橋委員 わが国がこの協定に参加するということになれば、いま問題になっておるのは打ち上げた国が責任を負わなければならぬというようなことを言っているのですが、いま人工衛星のほとんど大部分、大多数はアメリカが打ち上げておるわけです。日本だって一つか二つ、わずかしか打ち上げていない。もう人工衛星のほとんど大部分はアメリカが打ち上げておるわけですね。そこでアメリカの、たとえば軍事的な目的、気象観測の目的の衛星とこのインテルサットがぶち当たってばく大な損害を生じたというときに、アメリカの国防総省は責任をもってちゃんと賠償しますか。そういうようなことになっておるのでしょうか、どうですか。あるいは気象観測でアメリカが打ち上げたものが多大の損害を与えたということになってくると、アメリカはちゃんと連合体であるインテルサット一つのものに対して責任を負って賠償しますか、どうでしょう。
  180. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 法律的に申しますと、現在この協定は発効しておりません。しかしながら、もしアメリカが当事国になるということになりますと、同時にこの宇宙損害賠償協定の中に、インテルサット自身がこの宇宙損害賠償協定の権利義務の受諾を宣言し、かつインテルサットの加盟国の過半数がこの協定及び宇宙条約の締約国であれば、この協定適用を受けるという条項がございますので、アメリカが当事者になり、かつインテルサットもこの協定の当事者になるという事態になりますれば、もちろんアメリカも損害賠償の責任を負うわけでございますが、現在のところは御承知のような事情でございまして、発効しておりませんので、そういうことはございませんが、将来の問題として法的にはそういう事態がくるというふうに考えられます。
  181. 土橋一吉

    土橋委員 委員長もお聞きになりますように、日本がもし加盟をしてきちっと署名をすれば、これはアメリカのものであろうとフランスのものであろうと、原因者に対して損害賠償請求をすることはあたりまえなんです。一つの法人格を持って世界的な通信をしているのですから。ところがこれに関する基本的な協定、つまり損害賠償のそういう約款もなしであるということは、結局コムサットを中心とする諸君のさじかげんその他の関係によってどうにでもなるということできわめて安心ができない。事故が起こった際にもそういうことが予感をされる、こういう協定であるわけですよ。ですから私は質問しておるわけです。たとえばアメリカに、理事に対して四〇%の比率を与えているのですから、それは一体どういう根拠で四〇%を与えたのか。アメリカが主張するのをまけさしたのか、いろいろな関係があると思うのですけれども、どういう根拠に基づいて四〇%の主張をするのか。簡単に、出資率であるのか、それともいままでの業績を見て四〇%というワクをきめたのか。
  182. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 出資率は使用量に比例するわけでございますが、出資率をそのまま票数に反映させますといろいろ不都合が生ずるということで……(土橋委員「もっと多くなる」と呼ぶ)さようでございます。特に国内衛星を使うということになりますと相当問題がございますので、投票数に反映する出資率は国際通信に使う使用量だけに比例させるという歯どめをしたわけでございます。その上でさらにその全体の理事の投票する票数の四〇%以上にならないようにというさらに二段の配慮をいたしたわけでございます。これについては当初五〇%あるいは四五%というようないろいろの意見もありました。三五%というような意見もありましたが、これは先ほど申し上げました一つの妥協のパッケージディールの中で組み込んだ四〇%という方式で一挙に解決されたという経緯があるものでございます。
  183. 土橋一吉

    土橋委員 原子力協定について御質問したいのですが、オーストラリアからウランならウランをわが国へ輸入する。それで実際問題として、アメリカへいってそれを濃縮をしてもらうという場合に、アメリカが濃縮をした場合にはこの協定保障措置は一体適用されるのか。それとも日米間におけるそういう査察の問題について、それが優先して、濃縮をした国が要するに査察をするのか、そういう点をちょっと答えていただきたい。
  184. 穂崎巧

    ○穂崎政府委員 御質問の、アメリカへ持っていって濃縮しました場合は、フランス、豪州どちらも、三条の第二項という規定がありまして、この場合は日仏ないし日豪それとJAEAを入れました三者間協定ではなくて、アメリカ日本において協定があるわけでございます。JAEAのその査察措置協定適用になるということになります。
  185. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますと、先ほど大臣への質問でもお話し申し上げたように、結局アメリカが、日本のいわゆる原子力の平和的な利用についての査察あるいは検査あるいは備蓄したもの、そういうものについて一切知るわけですね。そうしますと、いままでお話もございましたように非常にむごいやり方で査察をしておった、主権国家としてはどうかと思われるような点までやっておったというような点が幾らか緩和されたということなんですけれども、私は、このアメリカのそういうやり方は正しくないと思っているのです。そういう観点から、将来、その査察についても、独立国家としての平和的な利用の立場からやはり厳然たる態度をとって、国際的な協定どもありますけれども、善処すべきだというふうに私は考えておるわけです。そのために質問をしたわけですが、聞くところによると、イギリス製のコールダー原子炉とそれからアメリカが最近わが国に持ってきておる低水温の原子炉というのはかなり事故が多いということを聞いておりますが、この事故に対して、アメリカのものもそうだしイギリスのものもそうだといわれておりますが、その安全の措置について具体的に政府としてあるいはわが国としてどういうふうな基本方針でやっておるのか、この点をちょっと聞いてみたい。
  186. 成田壽治

    ○成田政府委員 日本最初の炉はイギリスから導入しましたコールダーホール型でございますが、これは当初、最初の建設でありますので建造に相当時間がかかりまして、現在そういう事故が多いという事態ではなくて、ただ非常にコストが高い、アメリカ型の軽水炉に比べまして五割以上コストが高いという難点がありますが、事故が多いという状態ではないと思います。   〔青木委員長代理退席、委員長着席〕 またアメリカから導入しておりますところの軽水炉につきましても、これは事故が多いという現象はないというふうにわれわれは考えておりますが、ただ、原子力発電所がだんだん多くなってまいる、あるいは大型化、集中化等の傾向がありますので、万が一の安全も考えまして安全性の追求というのは従来以上に完ぺきを期するという方針で安全審査会の個別的な審査、あるいは安全研究のための研究開発に対する予算等の重点的投入等によって、原子力委員会としても軽水炉の安全性の確保というのを最大の政策テーマとして検討しておるところでございます。
  187. 土橋一吉

    土橋委員 たしか一九七〇年、元防衛庁長官をしておられた中曽根さんが技術庁長官としてアメリカに行かれたときに、新聞その他の報道によると、日本アメリカと一緒になって濃縮の事業を開発したいというようなお話を言われて、アメリカも賛意を表したということから、日本の産業界では、日本で濃縮の産業開発が非常に進んでおるということがいわれておるわけです。したがって、先ほどどなたか、外務大臣答弁があったと思いますが、核兵器をつくる力を持っているけれども日本非核原則なりあるいは核の平和的な利用という三つの原則の上からただ持たないだけなんだ、こういうふうな状態にあるということがいわれておるわけです。そうしますと、原子力の平和的な利用という問題と核兵器をつくるという問題はほとんど紙一重もないわけです、相互関連している問題であるわけです、非常に関連性を持っておる。そうなってまいりますと、非核原則やあるいは核の平和的な利用ということによって、自主的で民主的でしかも公開をする、こういう原則が非常にじゃまになっておると一部の人からは言われておるわけですよ。そうなってまいりますと、査察制度の問題とかね合わして考えますと、これは容易ならない問題だというふうに私は理解しておるのですが、なおかつ、それでも核兵器をつくるというようなことについて、そういう日本の産業界の張り切り方あるいは濃縮開発産業として財界では非常に進めておるという問題と、この非核原則やあるいは平和利用原則との関係は一体どういうふうになっておるのか。これを厳重にやはり守られて、核を持たず、つくらず、入れないという原則をあくまでも堅持しなければならぬのですが、そういう関係はどうなっておるのか。それと関連して、安全性の問題はどうか。
  188. 成田壽治

    ○成田政府委員 日本で共同で濃縮ウランをつくる話は、アメリカとフランスから提案が来て現在検討しているところでありまして、このいずれに対しても、日本としては、非常に膨大にふえてまいりますところの濃縮ウランの確保のために、業界だけでなくて政府としても重大な関心をもって検討しております。ただ、これに対する関心というのは決して軍事利用等ではありませんで、将来の発電用の非常に膨大に増加するところの濃縮ウランを確保するという平和目的のための見地からの要請でありまして、われわれは、原子力基本法に定めるところの平和目的に徹して今後原子力開発を進めるという方針には、従来と何ら変更はないのであります。  それで、現在原子力委員会で、今後二十年間にわたる原子力開発利用長期計画の作成をしておりまして、今週末にでも発表になると思いますが、この中におきましても、第一の、原子力の開発利用の基本方針として平和目的に徹するということを掲げておりますので、濃縮ウランの問題はもちろん、あらゆる原子力の研究、開発、利用分野において平和目的に徹するということは、原子力委員会の基本的な方針でありまして、原子力基本法も、そのために原子力委員会が常時その励行を考えて厳守しておるという状態でございます。
  189. 土橋一吉

    土橋委員 時間がありませんので、もう一つだけ聞いてみたいと思う。  きょうの新聞では、自衛隊のある幹部の一人の方が、日本でも原子力艦船を保有したいというようなことを書かれておるわけですね。私は、原子力の平和的な利用という観点からは一面賛成する点もあるけれども、自衛隊の制服が、政府のそういう発表もしないのに、こんなことを一司令官が発表するということに至っては、かなりそういう問題が自衛隊の諸君でも発言ができるというようなところまで来ておるということは、私はたいへん危惧を持っておるわけです。自衛隊は、御承知のように一九四九年から五〇年ごろ、朝鮮戦争が起こったときに、いわゆる警察予備隊というので今日の自衛隊が発足した。これはたしか、二十五年の七月の五日であったと記憶していますが、そのときは、警察予備隊は決して軍隊ではない、警察の補完的なものであるということを、終始一貫ずっと言い続けてまいりました。ところがだんだん変わってきて、それがいま自衛隊であるとかいうようなことになってきておる。この保守政党の説明のしかたというものは、あまり信用できないと私は思うのですよ。ですから、いま平和的な利用ということを盛んに仰せになっておるけれども、これが行く行くはやはりそういう危険が多分にあるし、また、先ほど局長さんが、一般にはだいじょうぶだ、しかし従業員がミスをしたために、バルブを締めそこなったとか、入ってはいけないところに入ったとかいうことで事故があるというように説明されておったのですが、私はそういう説明で済むものかどうか。従業員もやはり国民です。したがって、外界の人が災害を受けることもさることながら、従業員諸君の命と暮らしを守ってやるということも国家としての大事な問題である。従業員がバルブを締めそこなったとか、入ってはいけないところに入ったとかいうことだけで、従業員の責任に帰するような態度は為政者として正しくない。従業員であろうと外部の東海村の近所の人であろうと、一切災害を生じないという基本的な訓練のやり方をしなければならぬのである。従業員だから少々失敗をしてそういうようなことがあってもいいということにはならないのです。やはり従業員は従業員として大切にしなければならないし、一般の外界の人も大切にしなければなりません。  そういう点では、ちょっと私は所見を異にするわけですが、いずれにいたしましても、そういう危険性を持って、しかも対米従属下における核の開発ということは、わが国の真の独立の体制から、またわが国の真の平和的な利用に徹するという観点から見て非常に疑義があるし、疑問もあると思うのです。ですから、今度のオーストラリアとフランスの場合も、一部の学者、文化人は非常に喜んでおる。フランスとは技術提携ができるということで非常に喜んでおる。これは積極面だと思います。しかしながら、とってきたものはやはり依然としてアメリカの濃縮のもとに制約を受ける。そうすれば日米間の制限査察のもとに置かれるということは、とりもなおさず対米従属の原子力の開発にも非常に大きな障害になってくるのではないかという点を危惧するのであります。  以上をもちまして私の質問を、時間がございませんので終わることにいたします。ありがとうございました。
  190. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 午後二時三十分再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後一時五十二分休憩      ————◇—————    午後三時三分開議
  191. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。曽祢益君。
  192. 曾禰益

    ○曽祢委員 私は、この原子力平和利用における、日仏、日本・オーストラリア各国とのそれぞれの協定に関連いたしまして、若干の質問をいたしたいと思います。  大綱において外務大臣からお答え願えればいいんじゃないかと思うのですが、必要があれば原子力局、あるいは通産のほうからも、補足があれば御答弁願ってもけっこうです。  まず第一に、この二つの協定の実際上のメリットということを考えてみますと、特にオーストラリアのほうは、はっきり言えば、結局豊富なオーストラリアのウラン鉱を探鉱し、また将来開発するというところに日本側のメリットがあるんではないかと思います。  それからフランスのほうは、フランスが持っているウラン鉱の供給とともに、それよりももっと直接メリットと思われるのは、すでに向こうからもアプローチがあったようでありまするが、日仏両国が協力して平和的な低濃縮工場といいますか、軽水原子炉に使うような程度の濃縮ウランをつくる、この共同作業の可能性ということが直接のメリットではないかと思うのですが、その両協定のメリットをわが国の現段階及び今後の見通しの上に立って、核の平和利用の方針から見てどういうメリットとして考えていいのか、お答えを願いたいと思います。
  193. 福田赳夫

    福田国務大臣 核につきましては、いろいろな用途はありますが、特にわが国としてバイタルな問題として考えておりますのは、エネルギーの角度であります。このエネルギー源としていま原油にたよっておる。これからエネルギー需要がどんどんとふえていく。それに対して順調にエネルギー源としての原油を入手し得るということははなはだこれは骨の折れる問題です。やはり私ども日本国といたしますと、エネルギー源をだんだんと原子力に置きかえていくということを非常な大きな国策として考えていかなければならぬ、そういうふうに考えておるわけであります。  そういう角度から言いますると、原子力エネルギーのいろいろな原材料を保有する国及びこの原子力平和利用につきまして高度の技術を持っておる国、これとの原子力交流を盛んにしていくということは、どうしてもわが国として考えなければならぬ問題である、さように考えておるわけです。いま問題になっておりますオーストラリア、またフランス、これとの間に協定ができようとしておるわけでありますが、これもまさにそういう角度からでありまして、その具体的なメリットにつきましては、いま曽祢さんが評価されたような問題がある、こういうふうに私どもも承知をしております。
  194. 曾禰益

    ○曽祢委員 もう一つ言うならば、日本の核燃料の補給については、従来は一方では日本からの依頼によってアメリカがウランを濃縮して日本に返してくれる供給力、これにたよってきたわけですが、わが国の濃縮ウランの需要がますます、この発電設備が七五年等になると非常に大きくなる。それに対してアメリカのほうがこのままでいけば供給が間に合わないおそれが出てきている。と同時に、核燃料政策そのものからいっても、ほんとうに高速増殖炉がいきなり非常に能率のいい新型の炉に変わることができればいいですけれども、いまいつになったらほんとうにそれが実用に供されるかわからない。したがってこれをどうしても、当面七五年から八〇年代にかけての、また日本独自の濃縮の技術、これについてもいろいろガス拡散方式とかあるいは遠心分離方式があるけれども、それもまだまだ実験中で、やはり日本だけで独自に開発するといっても、七五年までの実用化にちょっと時間が足りないんではないか。したがって、現状においては、従来アメリカにたよっていた濃縮工場をどうしてもアメリカ側がオファーしている、アメリカと数カ国が一緒になってそれで日本もこれに加わってやるパターンでいくか、あるいは日仏というハイラテラルな形でやるか、あるいは両方やったらいいか、これが現実にいま選択が迫られているのじゃないかと思う。そういう意味で特にこの日仏のほうについては私はそういう意味の今日性、緊急性があるように思うのですが、それらの点について政府としてはどういうふうにやっていくのか。当面この日仏方式、それから日米、それからアメリカを中心とする数カ国の濃縮ウラン工場をつくる方針と両方を並行してやるのか。最終的には集約して一方にするのか、そこら辺のウラン濃縮の国際的な工場をつくる問題についてのもっと具体的な腹、これをひとつ、これは原子力局ですか、あるいは通産省でもいいですけれども、簡単でいいですから結論だけお知らせいただきたいと思います。
  195. 成田壽治

    ○成田政府委員 ウラン濃縮につきましては現在日米原子力協定によりましてアメリカだけから供給を受けておりますが、将来、一九八〇年ごろになりますとアメリカの工場能力も限界に達する、そういう意味におきましてアメリカあるいはフランスの技術を利用して他国間の共同工場の建設計画の提案がありまして、これを現在原子力委員会を中心にいろいろ検討中でございます。それでアメリカ技術によるかフランスの技術によるか、あるいは二、三年で相当な量が増加しますので、時期的に調整をとって両方に乗るかという問題は、技術の問題あるいは経済性の問題等いろいろ具体的に詰めてきめるべき問題でありますので、現在委員会で懇談会を設けまして鋭意検討中であります。そして今後一年以内にこの結論を委員会として出して政府としての方向を打ち出すということになっております。  ただ先生も御指摘のとおり、最終的には日本日本の国内で日本技術によって濃縮工場をつくるということを目途にしまして、現在ガス拡散法、遠心分離法合わせまして四十七年度約二十億円の予算でございますが、将来これを大幅にふやしまして日本国内で濃縮工場をつくることを最終的な目標としておりますが、これは相当、十年以上の時間がかかる模様でありますので、さしあたっては日米、日仏の技術を利用しての国際的なマルチナショナルの計画に参加する方向でいま具体的な問題を検討中でございます。
  196. 曾禰益

    ○曽祢委員 最後にこれは外務大臣にお伺いしたいのですが、実は先般当委員会における総理に対する質問でも触れたのですけれども、時間がないのであまり詳しく申し上げることができませなんだけれども、私はやはり日本の核に対する平和的なアプローチ、これはもうどんどんやっていかなければならない、と同時に核兵器に対する接近については絶対にやらないということをこれでもかこれでもかというくらいにむしろあらゆる機会に内外に明らかにする、特に日本人はそういうことのないということをはだ身に感じて知っているけれども、外国から見ればますます日本経済力とテクノロジーの進歩からいって核兵器にいくのではないか、開発に足を踏み入れるのではないかという疑いはかなりあるわけです。そんなわけで、ちょうどこの間も言ったのでありますけれども米ソのモスクワ、トップ会談の結果、この点はまだSALT協定がはっきりでき上がる前だったのでありますけれども、私は、SALTができるということを前提にすれば、これはやはり一つの大きな果てしのない核軍備競争、それを両大国の間の話し合いでこれにある程度の制限を加えるということはたいへんに画期的な意味があるのじゃないか。特にわれわれが核防止条約ということを考えたときに一番気になるのは、核防止条約の第六条にうたっているように、核保有国は核軍備競争を停止するというまず軍備競争の停止、それから核兵器の縮小についてとにかく実際行動をとる、それから最終的には効果的な国際管理のもとに完全軍縮にいく、この三つのいろいろな段階があるけれども、三つの問題について誠実に核保有国交渉するのだということがうたわれ、これがないと核兵器を持つな持つなのほうだけやらされたんじゃかなわない、自分の国の安全上最高の目的、主権領土を守るという最高の目的からすれば、なぜ核兵器を持って悪いんだという理屈もあり得るので、核保有国特に超大国が一切軍備のほうの制限もやらないという状態で、ただ拡散防止のほうだけにウエートを置いた行き方というのはどう考えてもこれはさか立ちじゃないか、こういう無理からぬ主張があるわけです。日本はそうでなくても、核を保有して自己の安全をはかろうという国があるのですから、そういう意味でとにかくこSALTの成功ということが非常に大きな、超大国のお家の事情も経済上の事情もあったでしょうけれども、少なくとも誠意のあかしだというふうに前向きにとらえていいのじゃないか。そうなってくると、われわれはむしろ核防条約という問題をもう少し真剣に考える必要があるのじゃないか。いま申し上げたように超大国による核軍縮への具体的な、少なくとも制限への具体的な行動が発足したこれを契機として、さらに保有国以外の国は核の攻撃あるいは恐喝の場合に、単に自分の同盟国、日本の場合はアメリカ、東欧諸国ならソ連といったような自分の仲間の保有国からの安全保障だけでなくて、できれば国連安全保障理事会等を通ずる複数の保障をもっと完備してやるということによってみずから核兵器を開発しようという国に思いとどまらせる、超大国核軍縮への誠実な努力、それから核の共同保障に対する国際的な取りきめの進展、この二つがととのうならば、最後にこの平和利用についてはよけいな不必要なわずらわしい査察をしないで、しかも軍事に悪用することのないようないわゆる保障措置をどういうふうにきめたらいいのか。しかもその保障措置は平等でなければならない、ユーラトムに加わっている西ドイツだけは実際はユーラトムの自己査察にまかされている、国際原子力機関による保障、つまり監督というものは実際上は受けない。しかるに日本のほうは、ここにもすでにIAEA、国際原子力機関等の保障を通じてひな形ができている、ひな形を見るとだいぶよくなっている、あまりわずらわしいことはないようであるけれども、それは保障協定のひな形にすぎないので、ほんとうにこのユーラトムの国と日本との平等な査察で、そして繁雑なことがなくてやっていけるのかどうかということを、これを最後にどこまでも突きとめていかなければならない、私はいまその段階にきていると思う。もしそういう条件が三つととのうならば、私は個人の意見ですけれども日本はやはりただ単に国会の決議だ、国民の感情だというだけでなくして、ほんとうにわれわれは核兵器を持ないということをおごそかな国際条約によって義務をはっきり受諾するほうがいいのじゃないか。積極的に核防条約に対する批准の問題を、まじめに三つの条件に照らし合わせながら考えていく必要がある、私はそういうふうに考えるのですけれども、このSALTの成立にあたって、そして一方においてIAEA等の保障の規則が一応きまったということを聞いておりますので、今後の平和利用を進めながら核兵器は持たないという方向における国策を核拡散防止条約の観点から見てどういうふうに考えていくか、この点についての外相のお考えを明確にひとつ基本的姿勢の問題としてお示し願いたいと思います。
  197. 福田赳夫

    福田国務大臣 核兵器及び核の平和利用に関する御所見を交えてのお尋ねですが、私は曽祢さんのおっしゃることに全く賛成です。核兵器につきましては、これは現実の問題としますと、段階的にこれを廃止する、こういう方向をたどらせなきゃならぬというふうに考えておるのです。まず第一は現状の凍結であり、第二は現状からの後退であり、第二は核兵器の絶滅である、こういうことです。とにかくSALTによりまして核兵器の最大の保有二大国が現状凍結というところまできた、これは私は偉大なことである、こういうふうに思うのです。この偉大なる事実をさらに国際社会において推進させる必要がある。これは米ソ大国ばかりじゃない。その他の国においても、そういう方向をたどるような雰囲気づくりに世界じゅうが寄ってたかって努力すべきである、そういうふうに考えます。同時にわが国は、その間におきまして非常に特殊な立場にある。いまの日本経済力からいいますと、持たんとすれば強大な核軍事大国になり得るのでありますが、その日本が核軍事大国にならないという立場をとり続けておるということは、ただいまも申し上げました世界のたどるべき将来に対しまして非常に貴重な存在である、そういうふうに考えます。そういう認識のもとに、これからさらに思いをいたしまして、ニューヨークにおいてあるいはジュネーブにおいて、わが国はそういう方向への努力、貢献をすべきである、こういうふうに考えます。またそういたします。  それから、平和利用につきましては、その反面におきまして、完全なフリーハンドを持ち、わが国とすれば資源対策上どうしても平和利用ということを原子力に頼らざるを得ない国柄であるというようなことでありますので、これは日本ばかりじゃない、国際社会とも協力しなければなりませんけれども平和利用という方向は進めていかなければならぬ。わが国立場考えまするときに、当面核不拡散条約批准の問題がありますが、この批准の問題は、そういう角度からわが国の国益に立ってそう軽々にはできない。ユーラトムと国際原子力機構との関係がどうなるか、そういうようなことをじっくりと見詰め、かつ、それとの均衡を失せず、またしたがってわが国平和利用に阻害とならないような、そういう形において初めて批准ということを行なうべきである、そういう見解でございます。
  198. 曾禰益

    ○曽祢委員 けっこうです。
  199. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 これにて三件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  200. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、国際電気通信衛星機構インテルサット)に関する協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  201. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、原子力平和的利用における協力のための日本国政府オーストラリア連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  202. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、原子力平和的利用に関する協力のための日本国政府フランス共和国政府との間の協定締結について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  203. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  おはかりいたします。ただいま議決いたしました三件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  205. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 この際、国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。青木正久君。
  206. 青木正久

    ○青木委員 本日は条約の審議の日でございますけれども、イスラエルにおきまして大きな事件が起こった、このために野党の皆さんの御了承を得まして、一問だけ御質問外務大臣にいたしたいと思います。  テルアビブにおいて日本人とおぼしき乗客三人が、手りゅう弾あるいは自動小銃をもちまして無差別に乗客を殺したというニュースが入っておるわけであります。この点につきまして、いままで外務省に入りました情報、これの御報告が第一点。  第二点は、もしこれが日本人であることがはっきりした場合、一体政府はどういう処置をおとりになるのか。私はこれは歴史始まって以来の事件だと思います。もし事実ならば、それこそ外務大臣を長とする謝罪使節団でもつくって飛んでいかなければならないというくらいに思っておるのですが、この二点についてお伺いし、質疑は国際情勢の日に譲りたいと思います。
  207. 福田赳夫

    福田国務大臣 今朝来の情報によりますと、まことに不祥な重大な問題がイスラエルにおいて起こっておるようであります。そこで、イスラエル駐在の大使館に状況を聞いております。それから、在東京のイスラエルの大使館からも状況を聞いております。しかしまだどうも情報がはっきりしないのです。しかし確度の高いところの諸情報を総合いたしますると、日本人と見られる三人のゲリラがエア・フランス、この飛行機が日本時間のけさ五時ごろイスラエルの首都飛行場に到着したその直後に、また乗客また乗務員さらに出迎えの人、その他の空港におられる職員でありますとか、その他の方々、そういう者に対しまして無差別で機関銃あるいはピストルあるいは手りゅう弾をもって攻撃を加える、こういう事態があり、よって二十一、二名の死者が出、また六十数名の負傷者が出た、こういうことなんです。  私が非常にびっくりしておりますのは、そういう事態全体についてでもありまするけれども、特にその三人のゲリラ、これが三人ともわが日本人であるらしい、こういうことなんです。しかもこの観測、これは非常に確度が高そうだ、こういうことです。もしそういうことでありますれば、わが国にとって非常に不名誉なできごとでございまして、これはいろいろな措置を講じなければならぬ問題である。しかし何よりも何よりも大事なことは、事情を早く確かめなければならぬ、そういうふうに存じまして、現地あるいはイスラエルの大使館を通じて、せっかくただいま情報の収集に努力をいたしておりますが、まだはっきりした状態はわからない、ただいま申し上げたような状況でございます。  そこで政府といたしましては、中近東アフリカ局の参事官を直ちに現地に派遣する。同時に警察業務に明るい職員、これも同行してもらうという措置を講じまして、まず情報を的確に把握すると同時に、さしあたりとるべき措置について現地においていろいろ協議をさせるというようなこともいたしたい、そういう現状の確認等を待ちまして、政府においても妥当なしかるべき措置をとらなければならぬ、かように考えております。
  208. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる六月二日午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後三時三十分散会