○曽祢
委員 実は秘密会であったらむしろ御質問しなくてゆっくり伺っているだけにしようと思ったのですけれ
ども、公開のあれで、
三木さんが重要な
使命を果たして帰ってこられて、われわれ外務
委員の、人としては、御質問しないほうがおかしいし、むしろそれがかえって失礼にあたるのじゃないかと思うので、ごく簡単にほとんど一点にしぼって御質問申し上げたいと思います。
前提として私は、
三木さんが言っておられる、いまや
中華人民共和国政府、が
中国におけるただ
一つの
正統政府、つまりほんとうのあと継ぎだという
意味で、
唯一の
正統政府である。それから
台湾はかつては中華民国の
領土であったけれ
ども、いまやこれは
中華人民共和国の
領土と認めるべきである。築三には、日華・
平和条約なるものはできたときからああいう経緯があったので、いまや中華民国
政府が
中国全体を代表する
資格は全然、もう二十年の歴史がこれはなくしているのですから、これで、
戦争状態は
日本と大陸
中国との間に実際上ありませんけれ
ども、しかし法律的にはまだ
戦争状態を終結する正式の手続は済んでない。だから、そういう
意味で、この
日華平和条約という歴史的産物にもかかわらず、むしろこれにかわるような
一つの
国交条約というか
平和条約というか、いろいろございましょうが、、正式の
外交文書によって
国交を樹立することは必要である。その場合に、どういうふうに、破棄とかなんとか、ことばはあるいは語感は別として、これはとってかわられる、新たな
条約に、よって。そういうものである、そういうふうに理解して、全くその
基本認識は、絶対にこれはもう常識であるし、私は、その
認識に立っていまやいろいろな団体、個人が行かれて、
中国側とのあれでいろいろ打診していたけれ
ども、そんな時代ではなくて、舞台はどうしても
日本政府あるいはそれにかわるものが正式の
国交調整の
交渉に乗り出さなければいかぬ、こういうことだと思うのです。
それからもう
一つ、私全く
同感なのは、これはあたりまえのことですけれ
ども、米中
関係と
日中関係、これは根本的に違うのだ。したがって、
アメリカのほうは、この前中米
会談によって、いきなり法律的の
承認にいかない、時間をかけて、いまのところはいわゆるデ・ファクト、事実上の
承認みたいなところに、
政治的の効果は大きいけれ
ども、いきなりデ・ユーレの
承認にいかなかったということは、これはよくわかる。わが国の場合は、もうデ・ファクトの
関係は大陸と実際上貿易その他あるわけですね。いまや正式の
関係、つまりデ・ユーレの
関係を、正式の
交渉によってどういう形でどういう
関係でするか。いずれにしても、
日本の場合は、
アメリカのようなのんきな、
台湾がいずれは海峡の
両方の住民の円満な
話し合いによって、それで
台湾問題そのものが平和的に処理される、これは
日本としては望むところだけれ
ども、しかしそれを待ってデ・ユーレの
承認というか
国交樹立を延ばすわけにはいかぬ、私はこういうことです。
そこで問題は、よく
国民の知らんとするところは、そこまでは人によって議論はあってもまあわかったというところだと思うのです。ただ、それでいった場合に、実際問題として
台湾との
関係はどうなるのだ、ほんとうの
心配はこういうことだと思うのです。これは私は、
アメリカ以上にそういう経済その他の
関係からいったらもっと深い。
アメリカは要するに外部からの武力攻撃に対してそのときは守ってやるということだけです。ある
意味では
日本みたいにかつては何十年間もいわゆる
日本の臣民として取り扱った場所であるとか、経済
関係も
アメリカよりずっと深い。ずいぶん違います。
そこで、こういう形でもし
お答えできれば願いたいのです。
ですから、
中華人民共和国と
日本との間に、
交渉によってデ・ユーレの
関係が成立する。その場合に、おそらくは、こっちが急いでやればやるほど、米中の
話し合いから見ても、まだ
台湾問題そのものが
解決してない時期があると思う。そういう場合、
日本と
台湾との
関係はどうなる。やはりデ・ファクトの
関係しか残らぬじゃないか。
日本の
国民、おるでしょう。経済もあるでしょう。そこら辺のことをやはり
国民は当然に
心配し、
政治家もそれを
考えて、こっちのことだけでなく、その結果としての
日本と
台湾との少なくともデ・ファクトの
関係はどうなるのだということが私は問題。そういうことについて、私は、どういうお
話し合いがあった、そんなやぼなことは一切申し上げません、お聞きしません、しようと思いませんが、どういうインプレッションでおられるか。
三木さんは、この三つの
基本認識さえ
日本がしっかりしており、その前提として、執政の党である
自民党のコンセンサスを得られて、
日本政府の代表が行く場合には、
国交調整の
話し合いは比較的スムーズにいくのではないかという楽観論を述べておる。私は、
信頼の問題と
姿勢の問題だから、そういう
姿勢がとられていけばいくんじゃないか。よく、
中国は
原則の国だけれ
ども適用はわりあいにゆるい、そういうことを正面から聞くと、そんなことをしたら
原則というものはどこかへすっ飛んでしまう、から回りしているようなきらいもなきにしもあらず。したがって、
基本認識と
姿勢ができれば、
国交調整の
話し合いは、そうくよくよしないで、やれ
条約の入り口論だ出口論だという手続論は必ずしも重要でないと見るほうが私は正しいと思うのですよ。ただ、その場合も、いま言ったような
台湾問題について
国民が安心し得るようなことで
考えておいていいのかどうか、これは
三木さんのお
考えだけでもよろしゅうございますし、もし
お答えを留保されてもけっこうですが、その点だけを伺って私の質問を終わります。