○植松
説明員
最初言われました自由化の問題は、もう
先生方は御承知のように、ここ二年くらいの間に急ピッチで進んでおるわけでございます。たしか、一昨年の初めには百十八輸入制限があったわけでございますけれども、現在ではそれが三十三に減っておるということでございます。関税も、先ほどのように
ケネディラウンドで相当下がっておりますし、特恵関税につきましては
日本はEECに次いで二番目に、昨年の八月から実施をするということでございますし、さらに国内法的にもいわばユニラテラルに
各国とのネゴシエーションを待たずに国内法措置で相当の関税の引き下げを行なっておる。ことしも七十三品目の生活関連物資から関税引き下げを四月一日から実施しているという
状況でございますが、そういうように、全体として、この関税の面でも輸入制度の面でも開放体制に向かっている、それが急ピッチに進んでいるということは事実でございますし、それだけ従来の
貿易政策に対するイメージアップにもなっているというふうにわれわれは考えております。
そこであとの、いまの関税の関所のお話でございますが、これにつきましては、確かに従来の関税法規は検査を、すべて悉皆検査をやるというような仕組みになっておったわけでございます。それで四十一年に、先ほど申告納税制度ということを申し上げましたけれども、これは実は輸入貨物についての従来の悉皆検査体制を改めまして、できるだけインポーターを信頼するという形で検査を個々のランダム的な検査に変えていこうというような試みで制度
改正をいたしたわけでございます。そこで通関日数もはるかに短縮されておりますが、現在実際に現物をあけて調べているのは、
先生ひとつ
税関を御視察願えればいいと思うのですけれども、前のような
状況ではございません。必要な検査に限って幾つかのランダムサンプリングで検査をするという仕組みが中心になっております。
それから旅客の検査でございますが、これにつきましては、確かにヨーロッパ等へ参りますと、これもやはり国によってだいぶ差があるようでございます。私自身の経験でも、たとえばイギリスとかスウェーデンとか比較的
税関が独占的な地位を持っておる国は、そのことによって別に旅客が減るということもないということでございましょうか、わりに厳重にやっておるわけでございます。ところがヨーロッパの国は、お互いの間で道路が四通八達をしておりますし、どこへ上陸しようがどこの空港におりようが自由に、またそれぞれ必要なところへ行けるわけでございますから、お互いに
税関が一つの、その港、空港のサービスというような感じになっているようでございます。そこで確かにその点は相当リベラルな検査体制になっているように私も思うわけでございます。
しかしこの場合に、そこの大きな違いは、その国の居住者である場合とそれから単なるトラベラーである場合と差があるのではないか。居住者でございますと、いろいろみやげ品その他の手荷物の問題もございますし、やっぱりわれわれはトラベラーとしてその国の
税関の検査の
状況を見ておるわけでございますけれども、その国の国民の
立場に立ちますと、やはりそれなりに検査をされておるというようなことでございます。
日本の場合も、その点につきましては、やはりそれぞれの旅行の行程といいますか、どこからの旅客であるとか、あるいはその場合に全体のお客が居住者であるとかあるいは単なる一時の観光客であるかということを考慮に入れまして、その検査についてはある
程度チェックをするものとできるだけすみやかに通関をできるものというように区別をしておるといったような
状況でございまして、その辺もひとつ御注意をいただきたい。しかし、おっしゃるようにその点につきましては、できるだけひとつ前向きにわれわれの検査体制も前進していかなければならないというように思っております。