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石川委員 実は
けさこの
報告を見まして、気象庁、
農林省、
環境庁、それから
東京、神奈川、
千葉、こういう方々の
協力によって非常に科学的な
観点に立ってこういう結論を出されたということについては非常に敬意を表するのですが、私は、ただ単にこの
報告だけで
ショックを受けたということではないのです。
ということは、
農林省の
食糧研究所官能検査研究室長、この人の発表によりますと、紀元二〇〇〇年に大体
日本の
人口はどうなるかという推定で三千八百万人と計算をしておるのです。いろいろな公害の
関係、
食糧を含めた
資源の枯渇の
関係あるいは
食品添加物というようないろいろな弊害から、
日本人は半分以下になる。これは非常にショッキングな
報告で、私は電話で話をしただけでありますから、その根拠になる
データについてはいずれひざを交えてゆっくり話を聞かなければならぬ、こう思っておりますけれども、これと似たような
関係で、
ローマ・
クラブでもって出しているのは非常にショッキングな
報告であります。一体二十一
世紀は
人類が生き長らえることができるのかどうか、こういう問題が提示をされておるわけであります。そうなりますと、いまの
GNP第一主義というふうな
考え方は、抜本的に
構想の大
転換をはからなければとんでもないことになる、こういう
時代にもう来ているのではなかろうか。これを裏づけたような
かっこうなのが、この
東京の
樹木が五十年で
全滅をする。これは
人間はちょっとはかり知れないところがあるということではずされておるけれども、たとえば
シイの木なんというのは、私のうちのまわりにあるけれども、非常に強い木です。この
シイの木がほとんど復元不可能な
状態に
東京都内ではなっておるということが、この
報告の中ではなされております。木が生きられないというところで、
人類、
生物が生き抜けるかということも、これまた非常に大きな問題だという
感じがするわけです。そういうことを重ね合わせて考えますと、ショッキングな
報告があちらこちらから出てくるわけです。
これは
あとの
一つの
データでありますが、
厚生省の
統計協会から出ておる
統計でありますけれども、
昭和四十五年の新生児、生まれたばかりの子供の死ぬ
原因の
調査であります。これは一、二、三、四、五とありまして、昔は肺炎とか気管支炎によるものが第一位であったのです。ところが、いまは第五位です。一位、二位、三位、四位というのは全部先天的な
死因と見られる。こういうショッキングな
報告が出ておるわけであります。
こういうものを全部重ね合わせてみますと、
人口が三千八百万とかというのははたしてどうかということについては、いろいろ
検討の余地もありましょうけれども、二十一
世紀は少なくとも生き抜けるかどうかということについては、非常に大きな問題があるだろうということだけは、われわれ
しろうと目に見ても、これは納得しないわけにはいかぬという
感じがするわけです。ここで
政策の大
転換をはからなければとんでもないことになるのではないかということを起点に置いて、
科学技術庁はこの点についてやはり中核となって、この点の
対策をどうするか、
政策自体じゃなくて、これからの見通しの問題ですね。こういう問題について、それからそれに関連してのいろいろな
勧告という問題について真剣にやらなければならぬたいへん重要な任務を背負っているのではないかという
感じが、きょうのこの
報告からだけでもうかがい知れるわけなんです。
それから、これは
樹木だけの問題ではなくて、
人間の問題にまで関連して考えますと、いろいろなことが言えるのですが、先天的な
原因でもって
死因の一位、二位、三位、四位まで占めてしまうというような情勢になり、あるいはまた最近いろいろな
奇病、
戦前にはなかった、これは医学が発展をしたので
戦前はそういうふうに解明されなかったのだという
説明がありますけれども、どう考えても
説明のつかない、終戦後新たに生まれたと思われるような
奇病がたくさん出ているわけです。
先般、御
承知のように
PCBというものを私も調べてみたが、
PCBというのは、
大気中にまいて、それが海中に落ちて、それをプランクトンが食べて、それを魚が食って、それを鳥が食べあるいは
人間が食うことによって、いろいろな障害が出るというように、非常に回りくどい
かっこうでありながら、あれだけの大問題になっているわけです。ところが、直接われわれの口に入る
食品添加物の
関係なんかは、もっと直接的なんですね。
食品添加物の問題はいずれあらためてやらなければならぬ大問題だ、
PCBどころじゃない、たいへんな問題だろうと思っておるのですが、簡単に数字だけをあげますと、
PCBというのは一年間にずっといままでの
蓄積が、
開放系でおよそ三万トンであろうといわれておるのですが、そのうち一万トンぐらいが非常に危険な
状態に置かれておる。これがこれからどういうふうに
蓄積をされていくか、こういう問題になっておるわけです。ところが、われわれの口の中に入る
食品添加物の
関係は百四十七万トン一年間に
生産をされておる。一人で一日四十一・六グラムです。こういうふうなものをそのまま放置されているのです。これは
食品添加物のときにいろいろ詳しく申し上げますけれども、
昭和三十二年から以降、どんどんこれは
許可をされ
っぱなしですね。一年間に七十一あるいは三十あるいは十八あるいは三十四というふうに、続けざまに
許可になっておる。何らの
検討もされてないのです。それは一応
検討はされておるでしょう。簡単な
検討はさてれおるでしょう。しかし、それが複合的にどういう
影響を与えるかという
検査も何もなしに今日まで野放しで来ておるというような
状態、これの
影響も一体どうなるのか。ですから、木は
食品添加物の
影響はないのですが、
人間にはまた別なファクターが入ってくる。それをほうっておいて一体いいのか。私は、
ローマ・
クラブやそれから先ほどの西丸さん
あたりの
報告なんかに徴すまでもなく、二十一
世紀で
人間が生き抜けるようにするための政治は一体どうあるべきか、こういう
観点で発想の大
転換をやらなければたいへんなことになるということを常々考えておるさなかに、
東京の
樹木の問題が
資源調査会で出たものですから、この
テーマというものを足がかりにして、これは
科学技術庁長官の
木内さんがたいへんなことにはなりましょうけれども、そういう
テーマを
背景にして、木だけではなくて
人間の
寿命という問題を
背景にして、ひとつ大きな
構想でもってこれに取り組んでみるというお気持ちがあるかどうかということをまず伺いたいと思います。