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1972-05-31 第68回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月三十一日(水曜日)     午後一時三十一分開議  出席委員    委員長 渡部 一郎君    理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君    理事 藤本 孝雄君 理事 石川 次夫君    理事 近江巳記夫君 理事 吉田 之久君       加藤 陽三君   小宮山重四郎君       菅波  茂君    松永  光君       堂森 芳夫君    三木 喜夫君       山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)         (環境庁長官事         務代理)    木内 四郎君  出席政府委員         科学技術政務次         官       粟山 ひで君         科学技術庁長官         官房長     井上  保君         科学技術庁計画         局長      楢林 愛朗君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局次長    倉本 昌昭君         科学技術庁資源         調査所所長   酒井忠二三君         厚生省環境衛生         局環境整備課長 山中  和君         水産庁長官官房         調査官     前田  優君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(環境科学技術に  関する問題等)      ————◇—————
  2. 渡部一郎

    渡部委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫
  3. 石川次夫

    石川委員 私のきょうの質問は、思いつきみたいなかっこうになってたいへん恐縮なんですけれども、けさの各新聞に、東京の木が五十年で全滅をするという科学技術庁資源調査会のほうからの報告の記事が出ておったわけです。この件について、一応資源調査会のほうから十分程度の範囲内で概略の御説明をいただき、それに対して関連する質問を申し上げる、こういうかっこうにしたいと思います。もしよければひとつ御説明をお願いいたしたいと思います。
  4. 楢林愛朗

    楢林政府委員 科学技術庁資源調査会勧告第二十六号といたしまして、昨日、調査会で審議を終わりまして当庁の長官あてに出されたわけでございます。  この表題は「高密度地域における資源利用環境保全の調和に関する勧告」ということでございますが、これをかいつまんで申し上げますと、太平洋岸の湾に臨みましたいわゆる大都会、高密度農でございますが、そこにおける資源——土地大気あるいは水その他の資源利用に関しまして、高密度社会環境保全といかに調和させていったらよいかということについてのものでございます。特にその調査あたりましては、関東南部におきます下層大気の質と、かつ表層生物と申しまして植物でございますが、それの保全関係中心としてケーススタディーを行ない、その結果をまとめて勧告したというかっこうになっております。  勧告の要点は、特に過密都市におきます環境問題、この場合は大気の問題でございますが、関東南部はその地域的あるいは気象的に特殊の状況を持っておるんではなかろうか。特に海風、陸風の関係がございまして、そこに一つ関東南部としての風系を形成しておる。風系と申しますと風の形でございますので、人間の目ではなかなか見えないわけでございますけれども、これを客観的にとらえる方法はなかろうかということで、関東南部のいわゆる植物群調査いたしまして、その植物に対して環境汚染がどのような影響を与えているかということを科学的に調査いたしまして、その結果、その風系には一つ考え方ができるのではないか。特に今後、過密都市対策あるいは環境保全の問題につきましては、やはりその地域風系というものを考えて土地利用その他の資源利用について慎重に考慮すべきである、そういうことを述べております。したがいまして、それに対して資源調査会はそういう調査の結果、次のようなことを勧告してございます。  要約いたしますと、一つ統計資料等整備でございます。先ほど申し上げましたように、こういう環境問題に対してはいろいろな角度から、あるいは多角的なアプローチでデータを集めておく必要がございますので、今後、環境に関するいろいろな統計データを実際に使えるように十分把握し確保しておく必要があるのではないかということであります。  それから第二点といたしまして、そのためには観測測定解析システムを開発すべきではないか、そういう開発システムを形成して必要なデータをとるべきであるということであります。  第三点は、調査及び研究開発といたしまして、このような大きな対象範囲をいろいろ調査するわけでございますので、それに対していろいろな科学的な手法を駆使したらどうであろうか。たとえばリモート・センシングと申しまして遠隔探査技術等も最近非常に発展してまいっております。このような最新の技術を使っていま申し上げましたような観測効率化をはかるべきではないか。  それから、特にいまの環境汚染の問題に関しましては、いろいろな汚染物質に対して、いままで申し上げましたようなデータもとにしまして放出係数などをきめるとか、そういう問題についても勉強をいろいろすべきである。  また、植物につきましては、今回の調査でいろいろ植物自体寿命といいますか限度というものがわかってきたわけでございますけれども、こういう植物耐性限度人間との関係というのはまだ明らかにされておらない、こういう関係を今後十分研究を進める必要がある。  それから、こういう問題につきましては、特に過密都市におきましては土地利用計画について緑地を設けるとかあるいは自然の浄化作用を増進するとか、こういう問題についてまた考えるべきである、そういう量的な研究も必要であるということを調査及び研究開発として指摘しております。  第四点は、汚染物質排出規制の強化ということでございまして、これは今回の調査によりまして大まかながらも関東南部のほうには一つ風系というものが推定される。この風系一つの閉鎖された大気でございますけれども、こういう特質がある以上はその中に放出する汚染物質規制を考えないといけないのではないか、そういう点を十分気をつけるべきである。  それから、今後こういう問題をいろいろな意味で土地利用計画にアプライする場合には、住民によくPRして認識と理解を求めるようにする必要がまたあるであろう。  以上申し上げましたように、五点勧告されたわけでございます。  簡単でございますけれども、要約だけ申し上げました。
  5. 石川次夫

    石川委員 実はけさこの報告を見まして、気象庁、農林省環境庁、それから東京、神奈川、千葉、こういう方々の協力によって非常に科学的な観点に立ってこういう結論を出されたということについては非常に敬意を表するのですが、私は、ただ単にこの報告だけでショックを受けたということではないのです。  ということは、農林省食糧研究所官能検査研究室長、この人の発表によりますと、紀元二〇〇〇年に大体日本人口はどうなるかという推定で三千八百万人と計算をしておるのです。いろいろな公害の関係食糧を含めた資源の枯渇の関係あるいは食品添加物というようないろいろな弊害から、日本人は半分以下になる。これは非常にショッキングな報告で、私は電話で話をしただけでありますから、その根拠になるデータについてはいずれひざを交えてゆっくり話を聞かなければならぬ、こう思っておりますけれども、これと似たような関係で、ローマクラブでもって出しているのは非常にショッキングな報告であります。一体二十一世紀人類が生き長らえることができるのかどうか、こういう問題が提示をされておるわけであります。そうなりますと、いまのGNP第一主義というふうな考え方は、抜本的に構想の大転換をはからなければとんでもないことになる、こういう時代にもう来ているのではなかろうか。これを裏づけたようなかっこうなのが、この東京樹木が五十年で全滅をする。これは人間はちょっとはかり知れないところがあるということではずされておるけれども、たとえばシイの木なんというのは、私のうちのまわりにあるけれども、非常に強い木です。このシイの木がほとんど復元不可能な状態東京都内ではなっておるということが、この報告の中ではなされております。木が生きられないというところで、人類生物が生き抜けるかということも、これまた非常に大きな問題だという感じがするわけです。そういうことを重ね合わせて考えますと、ショッキングな報告があちらこちらから出てくるわけです。  これはあと一つデータでありますが、厚生省統計協会から出ておる統計でありますけれども、昭和四十五年の新生児、生まれたばかりの子供の死ぬ原因調査であります。これは一、二、三、四、五とありまして、昔は肺炎とか気管支炎によるものが第一位であったのです。ところが、いまは第五位です。一位、二位、三位、四位というのは全部先天的な死因と見られる。こういうショッキングな報告が出ておるわけであります。  こういうものを全部重ね合わせてみますと、人口が三千八百万とかというのははたしてどうかということについては、いろいろ検討の余地もありましょうけれども、二十一世紀は少なくとも生き抜けるかどうかということについては、非常に大きな問題があるだろうということだけは、われわれしろうと目に見ても、これは納得しないわけにはいかぬという感じがするわけです。ここで政策の大転換をはからなければとんでもないことになるのではないかということを起点に置いて、科学技術庁はこの点についてやはり中核となって、この点の対策をどうするか、政策自体じゃなくて、これからの見通しの問題ですね。こういう問題について、それからそれに関連してのいろいろな勧告という問題について真剣にやらなければならぬたいへん重要な任務を背負っているのではないかという感じが、きょうのこの報告からだけでもうかがい知れるわけなんです。  それから、これは樹木だけの問題ではなくて、人間の問題にまで関連して考えますと、いろいろなことが言えるのですが、先天的な原因でもって死因の一位、二位、三位、四位まで占めてしまうというような情勢になり、あるいはまた最近いろいろな奇病戦前にはなかった、これは医学が発展をしたので戦前はそういうふうに解明されなかったのだという説明がありますけれども、どう考えても説明のつかない、終戦後新たに生まれたと思われるような奇病がたくさん出ているわけです。  先般、御承知のようにPCBというものを私も調べてみたが、PCBというのは、大気中にまいて、それが海中に落ちて、それをプランクトンが食べて、それを魚が食って、それを鳥が食べあるいは人間が食うことによって、いろいろな障害が出るというように、非常に回りくどいかっこうでありながら、あれだけの大問題になっているわけです。ところが、直接われわれの口に入る食品添加物関係なんかは、もっと直接的なんですね。食品添加物の問題はいずれあらためてやらなければならぬ大問題だ、PCBどころじゃない、たいへんな問題だろうと思っておるのですが、簡単に数字だけをあげますと、PCBというのは一年間にずっといままでの蓄積が、開放系でおよそ三万トンであろうといわれておるのですが、そのうち一万トンぐらいが非常に危険な状態に置かれておる。これがこれからどういうふうに蓄積をされていくか、こういう問題になっておるわけです。ところが、われわれの口の中に入る食品添加物関係は百四十七万トン一年間に生産をされておる。一人で一日四十一・六グラムです。こういうふうなものをそのまま放置されているのです。これは食品添加物のときにいろいろ詳しく申し上げますけれども、昭和三十二年から以降、どんどんこれは許可をされっぱなしですね。一年間に七十一あるいは三十あるいは十八あるいは三十四というふうに、続けざまに許可になっておる。何らの検討もされてないのです。それは一応検討はされておるでしょう。簡単な検討はさてれおるでしょう。しかし、それが複合的にどういう影響を与えるかという検査も何もなしに今日まで野放しで来ておるというような状態、これの影響も一体どうなるのか。ですから、木は食品添加物影響はないのですが、人間にはまた別なファクターが入ってくる。それをほうっておいて一体いいのか。私は、ローマクラブやそれから先ほどの西丸さんあたり報告なんかに徴すまでもなく、二十一世紀人間が生き抜けるようにするための政治は一体どうあるべきか、こういう観点で発想の大転換をやらなければたいへんなことになるということを常々考えておるさなかに、東京樹木の問題が資源調査会で出たものですから、このテーマというものを足がかりにして、これは科学技術庁長官木内さんがたいへんなことにはなりましょうけれども、そういうテーマ背景にして、木だけではなくて人間寿命という問題を背景にして、ひとつ大きな構想でもってこれに取り組んでみるというお気持ちがあるかどうかということをまず伺いたいと思います。
  6. 木内四郎

    木内国務大臣 ただいま石川委員から、今回の資源調査会勧告に関連して、人類の遠い将来を見渡して人類の運命、こういうことについて貴重な御意見を拝聴してまことに感謝にたえないのであります。  御案内のように、最近は環境人間あるいは自然と人間というようなことで、環境問題が非常にやかましくなってきております。人によっては、二十一世紀になればさっきのお話のように日本人口が三千八百万人ということになるようになる、世界の人類は滅びてしまうのじゃないかという極端な意見を述べておる人さえもおるようなわけでありまして、今回ストックホルムにおきまして人間環境会議が招集されて、いろいろな問題と取り組むのもねらいはやはりそこにあるのだと思うのです。そこに着目してあの環境会議が今度開催されるようになると思うのでありますが、資源調査会におきましてもそういうところに着目しまして、高密度地域における下層大気、この大気の中において人間表層生物が一体どうなっていくか、その保存の問題、保全の問題について勧告しておられたのでありまして、いま計画局長から概略説明申し上げたとおりであります。  もちろん、これはまだいろいろな点について研究を重ねていかなければならぬということも付記してあるのでありますが、とにかく今日の状況におきまして、非常に示唆に富む貴重な意見であると思いますので、私どもはこれを契機として、またこれを資料として、いまお話のありましたような大きな問題を根本的に解決する対策について、微力ではありますけれども、ひとつ最善努力をしてまいりたい、かように思っておるわけであります。
  7. 石川次夫

    石川委員 それで話をもとに戻しますけれども、東京樹木は五十年で全滅する、東京がたまたま非常な吹きだまりになる、風系が閉鎖的になるということで、たいへん貴重な資料が出されたわけでありますけれども、科学技術庁でせっかく出しても出しっぱなしで、各関係方面にこれを送り届けるということだけでは何もならぬと思うのです。この対策を一体どうするのだということでのいろいろな提言がここでなされておるわけです。これは科学技術庁資源調査会が出した資料でもあるし、いろいろな関係方面協力に基づいてせっかく出た貴重なものであって、樹木だけのことではあるけれども、もう樹木が伸びないようなところでは人類も生きられないだろう、これはしろうと考えでありながらそう思わざるを得ないし、とりあえず樹木が早急に復元するために一体どうしたらいいのだということを関係官庁の知能をしぼってこれを集大成して、そしてすぐ応急あるいは恒久の対策を立てるということがどうしても必要だろうと思うのです。まずここを手がかりとして出発するということから行ってもらわなければならぬと思う。  そこで、統計資料整備観測測定解析システムを開発するとか、いろいろな提案がなされておりますけれども、これをただ単なる提案に終わらせてはいかぬと思うのです。この提案樹木だけではなくて、人間大気汚染やその対策にも相当大きな好影響を与えるものだというふうに考えられますので、まずこの勧告をただ単なる勧告に終わらせない、これを具体化する、しかもそれを急いでやらなければならぬということで、どういう体制対応策をこの報告に基づいて立てるかということを、具体的にひとつ科学技術庁中心になってつくってもらわなければならぬと思うのですが、きょう伺うと、木内長官、きのう報告を聞いただけだということで、いま直ちに具体的にどうのこうのということは構想に浮かんでないだろうと思います。思いますけれども、これはどうしても、ぜひともやってもらわなければならぬ、こういうことで、この対応策についてどうしてもこれはやらざるを得ない、やると、こういうき然たる決意のほどをまずひとつ伺っておきたいと思います。
  8. 木内四郎

    木内国務大臣 ただいまの御意見まことにごもっともでありまして、まあ私も役人を長くやっておりましたが、従来こういう勧告とか報告とかいうのが出ましても、ややもすればこれは形式的に処理されてしまうというような風が多かったのでありますが、こういう大事な問題につきましては、私はやはりそれであってはいかぬ。いま石川委員からもお話がありましたように、これを実行に移していくようにしなければならぬ、こう私も考えておるのです。ただ、これは私は、科学技術庁長官としてこういう問題について勧告権というものを持っておることはおるのですけれども、こういう問題はただひとり科学技術庁ががんばる、あるいは科学技術庁長官ががんばるというだけではいけないのでありまして、各省庁はもちろんでして、国民一般もこれに対して深い理解を示し、かつ、これに協力するという体制でなければ、私は効果をおさめることはできないと思うのです。  そこで、いま申しましたように勧告権もありまするけれども、そういう趣旨によって各官庁において十分理解して、そしてこれに協力するという体制をまず官庁からこれを示さなければならぬ。もちろん、さっきから申し上げているように、今度の報告は非常に示唆に富む貴重な報告勧告ではありまするけれども、中にも書いてありまするように、今後においても引き続いて研究していかなければならぬという点も多々あるのでありまして、そういう点もあわせて研究しつつ、高い見地からこの問題を人類の将来のためにひとつ努力していくということが必要じゃないかと思うので、さっき申し上げましたように、微力ではありまするけれども、そういう点について最善のひとつ方途を講じ、また努力もしてまいりたい、かように思っています。
  9. 石川次夫

    石川委員 それで、この中で結論的にはガソリン重油石油関係使用量凍結をしろということになっておるのですが、いまのままではなかなか凍結はできない。それだけじゃなくて、いまのままにしておいても、いまのままの状態であって五十年で樹木が全部枯れてしまう。きのうテレビで見ましたところが、昔の森林といまの森林との比較が出ました。まことに惨たんたるものですね。こういうので人間が生きられるということがふしぎなくらい、すいぶん様相が変わっておるという姿がテレビにもはっきり映し出されておるわけでありまして、非常に私ショックを受けたわけでありますけれども、そこでガソリン重油使用量凍結するということだけでは、いまの状態が改善されたことにはならないわけです。自動車を減らせといっても、なかなか減るということにはならぬでしょう。そうすると、私はどうしても考えなければならぬのは、やはりアメリカにおけるマスキー法案みたいなものが日本でも必要だ。どうしてもやらなければいかぬ。これは自動車排気ガスの問題です。どうしても人間が生き延びるために、自然環境を破壊しないために、私のうちなんか、ちょうどシグナルのある十文字のかどにありますから、木がさっぱり育ちません。そこでとまって、ガスをふき出して全部自動車が走っていきますから。強い木と弱い木がありますけれども、へいぎわの樹木はほとんど伸びません。それからずっと奥のほうでも、古い木は葉っぱに油がこり固まっている。たいへんなものです。奥のほうですと、相当、二十メートルぐらい入っていますからたいしたことはないのじゃないかと思いましたが、葉っぱを一枚一枚見ましたら、油がこびりついているのです。排気ガス影響というものはたいへんなものだなということを私は身近なこととして痛感をいたしたわけなんですけれども、このガソリンをおもに使う自動車排気ガス規制なんかも、アメリカですらあれだけマスキー法案というものでもってきびしい規制をしろ、九〇%今度減らせということになっている。日本はまだそこまでいってません。ところが、御承知のように、エネルギー使用量は、きのう私は単位面積当たり大体八倍かと思ったところが、アメリカに比べて十二倍らしいですね。それだけのエネルギーを使っているのです。アメリカですら、その九割は将来の目標としても減らさなければいかぬというのに、日本はそういうムードだけでもって、具体的にそういう法案が行なわれようとはしておらぬわけです。これは科学技術庁だけにそれを申し上げてもちょっと無理な話かと思うのでありますけれども、こういう点についても関心を持っていただいて、閣議あたりで相当強硬に発言してもらわなければ、二十一世紀日本人は絶滅しますよ、こういう前提でひとつ強硬に主張してもらわなければいかぬと思うのです。  それとあと一つは、重油専焼発電所の問題があるわけです。これもいまのままでは、減らせといったって減りっこないわけです。御承知のようにガソリン使用量というのは、毎年毎年ふえるというよりは、現在は冬よりも夏のほうが多い。というのは、クーラーを、冷房にたくさん電力を使うという関係で、昔は、素朴な生活の時代は、冬多くて夏は少ないというのが常識だったが、最近は逆になってきている。だから生産量が上がらなくても、GNPがふえなくても、このエネルギーだけはどんどん、どんどんふえていくということが明らかです。これは半分は少なくとも景気に、好不況に関係なしにふえていくでしょう。でありますから、このガソリン重油使用量凍結しろといったってできない相談です。発電所は、ますます需要というものは多くなって、凍結をすれば、今度は逆に、クーラーを全部買うなとかなんとかという強制方法規制をとられなければ凍結ができないでしょう。  そういう問題があるのですが、ただ単にガソリン重油使用量凍結をせよと、こう言っただけでは、これはどうにも言いっぱなしという形にならざるを得ない。そうすると、行政的にマスキー法案のような形で自動車排気ガスというものを規制をするというような断固たる決意、それから重油専焼発電所については、私は前から言っております。これは商工委員会で私は事あるごとに田中通産大臣にも強く訴えておりますが、排煙脱硫は徹底してやる。これをやらなかったら、日本の産業は総くずれであるし、日本ではどこでも発電所をとめざるを得なくなる。ということは、地方ごと発電所と協定をしているのです。これはもう〇・五PPMとかなんとかというのですが、その前提になるのは、全部ミナス原油を使います、それから原油のなまだきをいたしますという前提なんです。ところが、ミナス原油なんというものは、全体の生産量の中で一〇%内外ですから、これを全部日本に持ってくるということは不可能なんです。日本で二割以上使っていますから、現在ミナス原油を全部日本に持ってきたってそういうわけにいかないというのが実態なんです。でありますから、どうしても、金がかかっても、たとえばこのエネルギー源でもって費用が高くなるといえば、製品に全部はね返るからというような配慮があるでしょう。あるでしょうけれども、人類が生き延びるためにはどうしても必要だということになれば、やらざるを得ないと思うのです。そういうことで、排煙脱硫はこれは科学技術庁の所管ではなくて、工業技術院でやっておりまして、もう一応研究は、プロジェクトとして完成をしたのだというふうなことを言っておるが、これはけしからぬ、まだまだそんなことで一体いいのかということで、私もおりに触れて通産大臣には言っております。でありますから、通産大臣もよくわかっておると思いますけれども、この点についても、排煙脱硫研究開発というものをほんとうに急がねばいかぬ、そしてこれを徹底して既存の発電所にもつけるという措置がとられなければ、ガソリン重油使用量凍結なんていったって、これはお題目ですね、ほっておいてもどんどんふえるのですから。これを一体どうなさるおつもりかと、科学技術庁長官の所管じゃありませんから言うのは酷かもしれませんが、その点についての所感だけひとつ伺っておきたい。
  10. 木内四郎

    木内国務大臣 非常に大事な問題をきょうは石川委員からるる伺ってたいへん感謝しておるのでありますが、実はこれはやはり政府の決意あるいは努力次第で相当問題を解決することができると思うのです。  私はかつて、私の人生の経験ですけれども、五十数年前にイギリスに参りました当時は、あのイギリスの家屋の上の煙突というものはことごとく石炭の煙を吐いておった。今度三十五年ぶりに行ってみましたところが、もう石炭の煙というものは一切市内では出ておらない。そして町の建物も洗ってきれいになっておる、こんなような状態でありますが、これはイギリス政府とロンドン・ミュニシパルの非常な英断だと思うのでありますが、これは努力次第によって、また決意次第によっては、私は問題は解決できると思うのです。スウェーデンにおいても百年前ごろにそういう問題を解決しておりますし、また、いまお話しのアメリカのマスキー法、こういう問題などもありまするので、そういう点をいろいろ参考にしまして、政府として最も適切な施策を講じなければならぬと思っております。  今回の勧告におきまして、まずこれを規制して、これ以上ふやさないようにしろと言っただけでは、いまお話がありましたように、問題の解決になりません。これはまず第一段階としてこれより悪くしないような状態にしておいて、さらに根本的に措置、対策を講ずるようにという示唆を含んでおるものと、私はそう理解しておりまするので、この問題は今後におきまして、科学技術庁だけでなく、通産省その他政府全般が理解をし、かつ協力する体制に持っていって、この問題の解決につとめたい、かように思っております。
  11. 石川次夫

    石川委員 私、けさ思いついた質問なものですから、話がどうもまとまらないでたいへん恐縮ですが、たとえばこれは樹木の問題じゃなくて、人間のからだに影響を与える食品添加物の問題、これは前にやはり資源調査会報告が出ておるのです。非常に楽観的な報告が出ておるのです。科学的な食品添加物によって人間の食生活が非常に簡素化されたというようなことが出ておるのです。反面、取り締まりはきびしくしなければならぬというようなことは書いてありますけれども、全体を流れる基調というものはかなり楽観的なものになっておるように私は思う。これはひとつ洗い直してもらいたいと私は思うのです。あのような考え方ではたいへんな間違いをおかすのではないか。ということは、PCBの問題で当委員会で決議をいたしております。それは、人体に影響を及ぼすおそれのあるような化学薬品によるところの製品については全部洗い直そうじゃないかということの中には、当然のこととして食品添加物を含めるという意図が入っているわけです。私が言ったように、計算の基礎によってだいぶ違うようでありますけれども、百四十七万トンも出て、一日四十一グラムも食べなければならぬ。その中で、端的に言いまして過酸化ベンゾイルなんというのは、これは小麦紛の漂白に使っておるのですけれども、ヨーロッパではこれを小麦粉の漂白に使うと懲役三年なんですよ。日本ではこれが許可になっておるのです。これはPCBなんかよりこのほうが問題だと思うのです。それから成形剤とかいろいろあります。それからニトロフラン誘導体、これは劇物というより毒物ですよ。これはとうふや何かいろいろな食品に、殺菌剤として非常に保存がきくということで日本で開発をされて、日本だけで許可になって、日本だけで使われておるというものなんです。これを使っているとうふ屋さんは、みんな皮膚がただれています。ところが、厚生省あたりから言わせると、いや、皮膚がただれるおそれがあるから、それはそういうふうに使うなと注意しておるのだ、注意をしておるのにそれを使うからいけないのだというような言い方をするのですけれども、しかし、実はこれは金魚をアフタヌーンショーでもって殺したときに、これは水に溶けないからアルコールで溶かして、アルコールで死んだのだというようなことで告発をされたという事件があるのです。私は告発された相手の方を知っておるのですけれども、この人は非常に純粋な人です。ところが、水で溶けないからアルコールで溶かすということは、ちゃんと事前に了解を得ておる。しかも、アルコールでは金魚は死なないということがその後判明したのです。アルコールで殺そうと思ったら、三分の二ぐらいアルコールにしなければ金魚は死なないのです。この非常なニトロフラン誘導体という劇物、こういったものが平気で使われておる。ところが、厚生省に言わせれば、量を制限してあるからいいのだという言い方をする。ところが、地方のとうふ屋さんで、量なんか厳密にはかって、それを厳密に守っているかといえば、そんなわけにはいかない、手づかみですよ。こういうようなものがあたりかまわずあふれ返っているのですね。ほかの国でもって許可にならないで、日本だけで許可になっているのは八十一品目ぐらいあるでしょう。  そういうふうなことで、食品添加物の問題はいずれあらためて私は徹底的にやらなければならぬと思っておりますけれども、PCBなんかと比較にならないような劇物、毒物が市内に横溢しているといいますか、横行している。こういうようなことも含めて、二十一世紀に向けての人間の命はどうなるのだということは——さっき申し上げた幼児の死亡の原因だって私はわかると思うのですよ。昔は呼吸器病とか疫痢で死ぬのが大部分ですよ、生まれたばかりの子供というのは。それが先天性異常が一、二、三、四位まで占めてしまう。やっと五位に呼吸器と胃腸病が出てくるというふうな状態なんというのは、一体何が原因か。そういうふうなことで、私は二十一世紀に向けて、ローマクラブ報告じゃありませんけれども、絶望的な気持ちを持たざるを得なくなってきておるのです。  そこで、私は、それに対する役割りとしては、環境庁もあるかもしれません、厚生省もあるかもしれません、しかし、やはりそういったものを全部総合勘案して、通産省の行政指導というものもあるわけですけれども、科学技術庁中心になって、二十一世紀人間が生き長らえることができるためにどうするかということを中心とした勧告権というものは、積極的に、もちろん科学技術庁だけで飛び出したかっこうでやったのではなかなか合意が得られないということもあるでしょうから、それは関係官庁と十分連絡をとり、合意を得た上でやるべきであろうと思いますけれども、こういった種々のデータもとにして、この東京樹木の五十年後の全滅ということに対する対策もさることながら、そういうことも含めての重要な段階で重要な発想の転換をしなければならぬときに、科学技術庁は一体何をなすべきかということをひとつここで考え直してもらいたいということを痛感するのですが、その点の御所見を一応伺っておきたいと思います。
  12. 木内四郎

    木内国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、本日の会議の劈頭からたいへん貴重な御意見を伺いまして、私どももこれから先、科学技術行政を担当する者として、ひとつ大いに考えてやらなければならぬ点が多々あると思うのであります。いろいろな御意見はひとつ十分に承って、将来の参考にさしていただきたいと思います。
  13. 石川次夫

    石川委員 個々の問題について言いますと、この一つ一つ勧告の内容について、提言があったその問題の中身を一々やりますときりがございません。聞いてもわからない点も多いだろうと思うので、私はきょうはこの程度にいたしておきます。しかし、きょう言ったことは、ほんとうに私が日ごろ痛感をいたしておるところです。たまたまこの五十年後に木が枯れるという問題が契機となって、思いつきのようなかっこう質問申し上げたのですが、食品添加物、あるいはなぜ人間が死に絶えなければならぬかという問題についてはいろいろデータもありますから、いずれあらためてそういうことについて質問をする機会を持ちたいと思いますけれども、当面強く訴えたいのは、ガソリン規制排気ガス規制、それから排煙脱硫、これだけは最低限やらないととんだことになる。それから食品添加物規制、これを徹底してやるべきだ、こういう具体的な提言だけを申し上げまして、いずれ機会をあらためていろいろと申し上げたいと思います。  きょうはこれで終わります。
  14. 渡部一郎

  15. 近江巳記夫

    ○近江委員 このショッキングな科学技術庁資源調査会の発表を、私もざっと目を通しましたが、われわれが心配しておったことが、科学的なそういう調査で、初めてこういう具体的な報告がされたわけです。  私は二十三日に中国から帰ってきたのですが、向こうに約二週間おったわけです。向こうは非常に清潔で、ほんとうに町にはごみ一つ落ちていない、緑が非常に多いという印象、そして空気も非常にきれいということです。私、こちらへ帰ってきまして、別にかぜも引いておらないのにのどの調子が悪い。私自身からだで日本の空気の汚染状態ということをあらためて感じておるわけです。確かに日本と中国と比べまして、それは一がいに論ずることはできませんけれども、特にこの公害問題については、たとえば上海の工業地帯等を見ますと、全部気流の関係ということを調べておるわけです。いままで集中してあった工場等について、そういう都市の集中地帯は、そういう大気汚染が出ないようなところへ工場を分散配置している。年々現実にやはりそういう大気汚染状態も減ってきているのですね。中国がそれをすでにやっておるということです。  そういう点をいろいろ考えまして、これだけ文明が進んでおるわが国がそういうことの配慮を怠っておって、そして、ただ生産だけ伸ばせばいいんだ、そういうことをやってきて、ほんとうに国民の健康とかいうことを第二義的に考えておったという政府の態度は私は許せないと思うのです。これは人間あっての科学と違いますか、あるいは産業じゃないですか。今回の資源調査会データはいみじくもいままでやってきたそういう政府の姿勢ということをきびしく反省もし、またそれを指摘しておるんじゃないか。今度の調査は、その根本的なことを教えておると私は思うのです。  そういうことで、私、何点かにわたっていろいろ聞きたいと思うのですけれども、根本的にいままでのそういうあり方というものが、生命の尊厳、健康ということについての配慮を欠いておった、こういう点を率直に長官、お感じになるかどうか、私はお聞きしたいと思うのです。長官はきょうから環境庁長官代理でしょう。そういう点で私は両大臣としての御意見をひとつ率直にお聞きしたいと思うのです。
  16. 木内四郎

    木内国務大臣 いま御指摘の点、ごもっともな点があるのでありますが、とにかく御案内のようにわが国は、経済の面においても科学の面においても欧米先進国に対して非常におくれておりましたね。そこで国全体として、いろいろな歴史的な過程を経てばおりまするけれども、何とかして科学の面においても経済の面においても早く追いつけ追い越せというので急いでかけ足で来たものだと私は思っておるのです。そのために環境整備あるいは社会資本の充実という点においては非常に欠けておる。日本の社会資本の充実さというものは欧米先進国に比して百年はおくれているというのが私の常々の持論だったのですが、追いつけ追い越せで非常に急いでここまで来たこの情勢のもとにおいては、これはあるいは政府の責任だといわれれば政府の責任でありまするけれども、やむを得なかった点があるんじゃないか。欧米先進諸国はわが国が開国をする前、世の中がうるさくないうちに世界各国から、まああまり悪いことばを使ってはいけないのですけれども、富を集めてきて今日の富を蓄積をし、また社会資本の充実もはかってきた。そこに長い時間かかっておりますのでその間においていろいろな面に対する配慮をしながら来ることができたが、日本は短期間に百年の間に、またことに最近の戦後の約二十六、七年の間にここまでかけ足で来た。そこにあらゆる面に対して配慮を配ることができなかった。そこでアンバランス、調整のとれない社会というものがここに実現してきている、それが今日の状態じゃないか。  私は、外国から来た人に、言いわけじゃありませんけれども、いつも、日本はかけ足で来たのだからいろいろな点において進んでいる点はあるかもしらぬけれども——向こうはいつも進んでいる点をほめるのですけれども、同時に、非常にアンバランス、調整のとれない社会全体の情勢にあるので、われわれはそれをいかにして直そうかということでいま懸命に努力をしておるんだ、また、これから努力していかなければならぬということを言っておるのですけれども、私はそのとおりであると確信しておるのです。しかし、それをほうっておいていいというのじゃありませんので、今後はそういう方面に万全の注意を払って、足らないところを補ってバランスのとれた、調和のとれた、そして社会資本などの充実した、名実ともに豊かなよい社会をつくっていくように努力していかなければならぬ。これが私の平素からの考え方であり、信念であるのでありまして、どうかそういう点について御理解を賜わって、もう私ども政府の者だけががんばったってしかたがないので、国民全体がそれに対して理解をし、かつ協力してもらわなきゃできないと思いますので、どうかひとつそういう点もよろしくお願いいたしたいと思います。
  17. 近江巳記夫

    ○近江委員 いままでは追いつき追い越せということで無我夢中でやってきた、今後は努力しなきゃならぬという御感想をいま述べられたわけです。  それで、私は何も中国へ行ったからということで決して中国かぶれしておるわけでもありません。私は別に洗脳されて帰ってきてはおりません。いろいろなことは私もきわめて冷静に考えておるわけです。確かに文明の程度とかいろんなことから考えまして、はるかに中国がおくれている面は何ぼでもあります。あるけれども、姿勢という点においてはわれわれは大いに考えなきゃいけないんじゃないかと私は思う。たとえば北京の郊外に石油プラントがある。山間部ですね。そういうところを見てきましたけれども、そこの排水処理なんてみごとなものですよ。最終出てくる水なんてものは、そこでは金魚が泳いでおる、アヒルがそこで遊んでおる。その水をまた利用しておるわけですよ。大規模なプラントを設置して、一つの排水処理についてもそこまで徹底してそれだけ力を入れているんです。日本の場合でしたら多くの石油工場を見たって、放出しているところへ行けばもうほんとうに悪臭がただよっておるし、それはもうたいへんなものです。全然違いますよ。そういう根本は何かといえば、やはり生命というものは大事だ、こういう発想からきているわけですね。そういう点で、いままで無我夢中であったという率直な感想をおっしゃったわけですが、日本の公害については、もう重傷の状態にきておる。それで、この重傷の状態にきておるわが国をどうするかということです。  そこで、いままで科学技術庁がいろんな勧告をなさっていますよ。だから私は、この資源調査会というものについては、シンクタンクというか非常に新しい——新しいことはありませんけれども、まあ科学技術庁としては一応一歩進んだそういう勧告もいままでしてきておるわけです。その点の評価はしておるわけです。たとえば大阪であの地下鉄工事によるガスの爆発事故がありまして百名からの人が死んだ。そして何百人という人が重軽傷を負いまして、いまだにガスでやられて全然頭がおかしい人がたくさんおるわけですよ。あのときも、あの時点でもうすでに五年前に科学技術庁はパイプライン整備についての勧告を出しておった。なるほど、私もそれを見せてもらいましたが、そのとおり実施しておいてくれればこういう事故は起きなかったかもわからない。そういういいものを五年前に発表しておりながら、それじゃなぜ実施させなかったのですか。科学技術庁は単に新しい発想をして、ああ私は出していましたよでは、それを実行させなきゃ何にもならぬじゃないですか。そうでしょう。そういうところがあるんですよ。今回こういう発表をしたって——これは大胆に、これはかなりいろんな抵抗もあったと思うけれども、私はその点はよく発表したと思っています。だけど今後、ここまで重傷になったわが国のこういう大気汚染なり何なりのそういう公害状態についてどこまで科学技術庁がそのことを叫び、そして各行政機関にそれを実施させていくかということが問題なんです。ですから、関係各省あらゆるところの協力をもらわなきゃならぬと大臣おっしゃっていますが、そのとおりだと思いますよ。それをほんとうにさせてもらわなきゃ困る。その決意を私は長官にひとつお聞きしたいと思うのです。
  18. 木内四郎

    木内国務大臣 まことにごもっとな御意見でありまして、その点につきましてさっき私は石川委員にも申し上げたのですが、今度の報告というものがまだいろいろ研究すべき点も残っておることは、これは中にもはっきり書いてあるのですが、一つの非常に貴重な、示唆に富んだ勧告であると思うのであります。それですから各官庁にこれをよく説明しまして、そしてその協力を求めてみんなでやっていくということでなければ、これは科学技術庁でいかにがんばりましても、いまお話がありましたように、各官庁が心からこれを理解し、協力してくれるのでなければ、私は結局効果は上がらないと思うのであります。そういう意味で私は、各官庁に対して十分にこれを説明し、了解を求め、また協力を求めるようなふうにしてこれの実効をおさめていくようにいたしたい、かように思っております。
  19. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官は、きょうから環境庁長官も兼ねておられるわけですし、いろいろ政府の最高首脳のそういう受けとめ方というものについてもわかっておると思うのですが、こういう深刻な報告を政府の首脳はどういうふうに受け取っておられますか。みんな深刻に受け取っておりますか。長官自身はほんとうに深刻に受け取っていますか。その辺のもろもろの所感をひとつお聞きしたい。
  20. 木内四郎

    木内国務大臣 私は、もちろんこの所管の資源調査会から出された報告でありますから、これを受け取りまして、真剣に研究し、かつ、どうしてこの示唆に富む勧告を生かしていくようにできるかということを考えておるのです。まだこれは各大臣のほうに説明する段階に来ておらないのです。きのう受けたばかりでありますので、そういう状態であるということをひとつ御了解願っておきたいと思います。
  21. 近江巳記夫

    ○近江委員 それと、こういう勧告の中には、燃料使用の増大を一定期間今後凍結するというようなこととか、汚染物の排出規制のそういう問題についてさらにシビアにしていくとか、いろいろなことが出ておるのですね。これはほんとうに着手されますか。関係行政機関と相談されてやっていくという長官の決意はありますか。
  22. 木内四郎

    木内国務大臣 この問題は、いま申しましたように、まだ各官庁にも十分に連絡もとれておらないのでありまして、各官庁においてこれをよく研究してもらっていかにしてこれを実行するかということは、これからの研究の課題でありまするので、いま直ちにこれを私がどうするというようなことは申し上げる段階ではないと思っておりますが、とにかく各官庁とも真剣にこの問題は取り組んでいってもらいたい、かように思っております。
  23. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、長官としては、今回のこのマスコミによる報道を見てみましても、たいへんなみなショックを受けているわけですね。そこで、関係各省を早急に集めて今後の対策検討するとか、そういうことについても具体的な計画はありますか。
  24. 木内四郎

    木内国務大臣 いま申し上げましたように、まだ具体的にどうというところまでは言えないのです。きのうこれを受け取ったばかりでありまするので、しかも私はきのうといいますか、きょうから環境庁長官の臨時代理ということになったばかりでありまして、まだ各官庁とも十分にこれを理解してもらえる段階まで来ていないのじゃないかと思います。至急これを手配して、みんなによく理解してもらうように努力したいと思います。
  25. 近江巳記夫

    ○近江委員 事務当局としましては、これだけの重大な発表をされたわけですから、国民はみなショックを受けているわけですよ。それに対して、今後やるというようなそういうゆっくりした感じなんですか。どういう計画を考えているのですか。
  26. 楢林愛朗

    楢林政府委員 ただいま大臣からもお答えがございましたけれども、事務当局といたしましては、私どもの長官あて勧告でございますので、直ちにこれを関係省庁に説明会を設けまして、趣旨を十分説明してやるという計画にしてございます。特にこの場合は勧告でございますので、われわれといたしましては、膨大な資料もございますので、こういう考え方なり調査会の考えていることの趣旨というものについて、十分誤解のないように説明したいというふうに考えて計画を立てております。
  27. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは資源調査所長も来られているのですが、直接の担当者として、この勧告をなさって、いま日本の現状について深刻な気持ちを持っておられると思うのです。ひとつ卒直な所長の感想を承りたいと思うのです。
  28. 酒井忠二三

    ○酒井説明員 お答え申し上げます。  昨日、第百八十回の資源調査会がございまして、この勧告長官あてに提出されたわけでございます。いろいろ論議を呼びましたが、計画局長の所掌を、少し逸脱するかもしれないのですが、調査の段階で、各省庁の御意見等も一応承っております。それでは、こまかいことはございますが、趣旨においては大賛同である、これから大いにやっていくというふうに聞いておりまして、われわれも意を強くしてこれからやっていきたい、こういうふうに思い、また、行政的には科学技術庁計画局等でやると思いますが、私どももそれにこたえて十分にやっていきたい、こういうように考えております。
  29. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、今回は関東一円をなさったわけですが、特にやはり一番心配されるのは、高密度な地域だと思うのです。あるいは関西にしろ、東京にまさるとも劣らないだけの人口密集地域です。あるいは北九州とか、特に工業地帯ですね。ただもちろん、これは日本の各地を見ますと、気象条件はみんな違うし、やはりそこには特徴的なものがたくさんあると思うのですよ。そういう点で、今回、こういう関東地方における調査をされたわけですが、これだけで全国的にそれを一つ考え方として当てはめていくのか、各地域におけるそういう調査、あるいはまたこれから考えられる新しい分野でのそういう調査研究等を進めていかれる所長としての勇気あるそういう考えがあるわけですか。
  30. 酒井忠二三

    ○酒井説明員 お答え申し上げます。  この調査を開始いたしましたのが、四十五年、四十六年、二年間かかっております。先ほど計画局長からも御説明がありましたとおり、気象の関係植物の被害の状況、これは非常に時間のかかるもので、いままでなかったものでございます。それで、気象庁にいたしましても林野庁にいたしましても、こういうことの重要性に目ざめて技術開発もやっております。その間にずいぶん出てきております。植物の被害状況につきましては、赤外線カラー写真によって分析すると非常に早いとか、気象においては今後ミリ波とかライダーを使えば即時できるというような技術開発も行なわれつつあります。私どもも、これからはそれをプッシュしていくつもりでおります。そうなりますと、時間が短くてできる、また情報も集めやすいということもございまして、関東南部だけというふうには私どもは考えておりません。これには資源調査所だけというわけにはまいりませんで、気象庁とか林野庁とか関係の省庁のそういうところの協力を得なければならないということはございますが、そういう技術開発の進歩とともに、非常に短期間にそういうことがわかる、情報量が多く集められる、またそれを解析して皆さんに提供できるということはやっていきたいと思っております。
  31. 近江巳記夫

    ○近江委員 たとえば私は大阪に住んでいるから大阪のことを言うわけじゃないのですが、大阪を取り巻く北攝山ろく、生駒山ろく、あそこの明治の森をどんどん林野庁が伐採しておる。自然破壊されているので、昨年の一月、調査団をつくって、そのまま予算委員会等でもそれを政府に話をして、大幅にそれを削減したわけですけれども、しかし、あの生駒とかあっちのほうに行きますと、要するに、海測に面した一帯は、御承知のように阪神工業地帯ですよ。全部樹木がやられているのですよ。木の色が変わって、違うのですよ。京阪神だって関東にまさるとも劣らないものすごい結果が調査をしてみれば出ると私は思う。実際上いまから調査してもらって、あらゆる関係機関をプッシュしたとしても、かなりの時間がかかると思う。そのかかる時間自体も私としてはほんとうにいても立ってもおれないような気持ちです。  そういうことで、ほんとうにこの勧告されたことをもう政府をあげて根本的な施策をとってもらわなければいかぬと思う。ちょうどいま新全総の見直しでしょう。しかも工業再配置の法案もこれは上がっておるわけですよ、参議院に回っていますけれども。われわれが一番心配したのは、その公害がさらに拡大されるんじゃないかという心配なんです。新全総はいま見直しされて、改定される時期です。したがって、これはほんとうに私は重大な示唆を与えたと思う。ですから、これは当然その新全総の中にも大きく方向転換すべき要素になるものだと思うのです。その点について所長はどう考えますか。
  32. 酒井忠二三

    ○酒井説明員 お答え申し上げます。  この勧告にございます高密度地域というのは、一応太平洋沿岸のベルト地域をいっておりますので、当然名古屋、大阪、それから九州というものが含まれるわけでございます。  以上でございます。
  33. 近江巳記夫

    ○近江委員 わかりました。それで、含まれるということはよくわかっておるのですが、それについて、所長さんの立場としてなかなかやりにくい点もあろうかと思いますが、私は、所長さんのそういう立場というものは、大胆に政府に対して提言をしていく、そういうすばらしい立場におられると思うのです。そういう関係で、今回の新全総の改定にあたっても、今回の勧告を大きく考えていくようにおっしゃいますか。
  34. 酒井忠二三

    ○酒井説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、関係各省に、この調査が一応勧告になりましたとき、相談をいたしましたときに、経済企画庁の事務レベルでございますが、非常にもろ手をあげて賛成をしております。
  35. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、この資源所長さんは、非常に積極的にやっておられるのですが、何といってもやはり大臣のお立場で、そういう所長さんの決意なりそういうことを受けて、それをやはり前進さしてもらわなければ困ると思うのです。私たちがかねて生態学の問題とかいろいろなことを言ってきましたけれども、ほんとうにこういうことが最も大事なことであるということがはっきりこれで裏打ちされたと思うのですね。そういう点で、これからの科学技術の実際の行政のあり方等についても、私は考えの根本にこの問題を大きく置いていかなければ、たいへんな、取り返しのつかない状態が来るんじゃないかと思うのです。そういう点、長官に大きく、いままでも感じておられたことは私も知っていますけれども、より以上こういう問題について、それを根底とした上での科学技術のあり方というものを考えてもらわなければ困ると思うのです。ただ、関係各省にも話して実際にそれができるようにする、実際いままでの長官のそうした御発言等もどれだけ各省にそれが浸透し、具体化されていくかということについては、われわれ正直言って、もっと強くやってもらえないかという気持ちは、何回もいままで持っておった、今回はそうであってはならぬと思うのです。これは人類の生存の問題ですから、非常にくどいようですけれども、もう一度ひとつ長官の御決意を聞きたいと思います。
  36. 木内四郎

    木内国務大臣 いま資源調査所長からも申し上げましたように、また、さっき計画局長からも御説明申し上げましたように、この勧告というものは、関東南部下層大気の質と表層の生物との関係について勧告、それを基本にして出したものです。それから関東の地形と、さっき計画局長から申しました風系、風の形ですね、そういうものを基礎にした勧告でありますけれども、そういう下層大気の質とそれから表層の生物保全という関係は、私は全国的だと思うのです。全国的に考えなければならぬ。たまたまここをモデルにとって研究したのだけれども、全国的に今日のわが国の経済の伸展の情勢にかんがみて、排気ガスその他の情勢から見て、全国的に考えなければならぬということを、この報告書が示唆したものであると思いますので、そういう意味において、これを契機にして、そしてわれわれとしては、今後人間自然環境、これとの関係、ことに高密度地帯の地域下層大気の質とそれから表層、表の生物保全の点について特に注意をして、科学技術庁の歩を進めてまいりたい、かように考えております。
  37. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは所長にもう一度お伺いしますが、これは樹木ということで出ておるのですが、人体というのはもっと私はデリケートだと思うのですね。そういう点で、おそらく人体についても調査されておったけれども、その調査が発表になればたいへんだというようなことはなかったのかどうか、そういうことは非常に言いにくいかと思いますが、いずれにしても、われわれは一番そこに来るわけですね。そういうような問題も含めて、全国的な大規模な調査なり、今後具体的に調査研究を進めていかれるという方向について、どういうように考えておられるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  38. 酒井忠二三

    ○酒井説明員 お答え申し上げます。  この勧告事項の第三番目になりますが、ちょっと読み上げますと、「植物は、環境の質を示す適切な指標と考えられるので汚染に対する植物耐性限度人間の正常調節能力の減少による疾病への抵抗力の変化との関連について研究をすすめ、環境の質の目標の樹立に資すること。」というのがございます。確かに近江先生の御指摘のように、それじゃ植物がそういうふうになった場合に人間はどうなるかということで、非常にむずかしい御質問を受けまして、所長としていますぐお答えできる範囲のことを申し上げますと、私どもはNASAの資料を使いまして、人間機能の研究——翻訳をいたしまして、一応研究を進めておりまして、御承知のように、NASAのそういう人間機能の研究と申しますのは、人間の極限状態においてどういうように人間のからだの機能が反応するか、たとえば四十度の気温のところに置いたときに人間の直腸の温度はどうなるか、そのときに人間の思考能力はどうなるかということ、そういう人間機能の研究をやっている、そういうデータを入手いたしまして、もう四十四年にも第一報を出しましたし、それからつい最近も、厚い資料を出しましたのでございますが、それで類推をしてみましても、植物と相当違う。  近江先生はもうご承知と思いますが、生物学で申します恒常性、きざなことばを使いますと、ホメオスタシスと申しますが、それと代償機能、これはコンペンセーションと英語で申します。その代償機能まで入れて、それが代償機能を越えたところが、どういうふうに人間に復元できないかという、代償機能を越えているというその限界が植物とは違うわけでございます。というのは、植物はこういう中にありますれば別ですが、非常に自然の状態にありますと、わりあいにそういう大気汚染と、また地下水の低下による影響というものはわかりやすいのでございますが、人間は一足飛びにそれから類推するというわけにもまいりませんので、これはこれから研究資源調査所でも進めていきたい、かように考えております。
  39. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、長官が今後関係各省といろいろ力を合わせてやっていかれる、それは非常に強力にやってもらいたいと思う。たとえば発電所などというものは大量の重油をたくわけですよ。そうでしょう。ところが、現在ローサルファのそれをたいているのは大体二〇%ですよ、そして拡散方式をとっておる、煙突だけ高くして、ぶわっと分散しておるわけですよ。したがって、これが集積していけば、一体どうなるかということです。一本一本の煙突でそんなものしたって、煙突の数がふえてくれば、これは非常に濃度の濃い大気汚染になってくるわけですよ。そうなってくると、当然世界の低硫黄のそういう生産というものは限られているわけですし、どうしても脱硫をやらなければいけない。私は予算委員会でこれをやったわけですよ。そのときも、私が調査したときに、発電所の中で脱硫装置の場所も確保していないところが半分以上ですよ。やかましく言って、それで発電所許可については脱硫装置の用地を確保するように、いたしております。ようやく緒についたところなんですよ。脱硫装置をつけるといっても、用地もないところが半分以上もあるのですよ、いまの発電所の中に。実際上行政というものはとにかく電力が足らないからやむを得ぬじゃないかという押せ押せムードの中で行なわれておるというのが実態なんです。したがって、もっとほんとうに先のことを考えた上でそして布石をしていくという、そういう真剣な取り組みをしてもらいたいと私は思うのです。これは一例を申し上げたわけですよ。  それから、そういうような大気汚染は当然としまして、ほかにもいろいろ問題があるわけです。たとえば原子力の問題ですが、これもいかに環境を破壊しておるか、この前も私はここでお聞きしたのですけれども、たとえば再処理工場の問題でありますが、これなどもクリプトンが八千キュリーも出るのですね。八千キュリーなんてたいへんな数値ですね。廃液だって一キュリーでしょう。これはいまの東海村の一年分の量ですよ。それが一再処理工場から出るのですよ。それでありながらどんどん建設を進めておる。あるいはトリチウム、これは三重水素ですけれども、これだって二百キュリー出るじゃないですか。これだっていま学問的にどういう影響になっていくか、それは完全に水の中に溶け込んで、完全に人体の中に入っていきますよ。こんなものを放置したままで再処理工場をどんどん進ませていく。必要性があるからやむを得ない、研究は進めておるけれども、はたしてそういうやり方でいいのかということですよ。いいんですか、そういう問題、その問題、ひとつ具体的な問題としてお聞きします。
  40. 倉本昌昭

    ○倉本説明員 ただいまの再処理工場のクリプトンの問題につきましては、先生のおっしゃるとおり、現在原子力委員会の中に環境安全専門部会というものを設けまして、鋭意その研究をこれから急速に進行していくということで現在考えております。
  41. 近江巳記夫

    ○近江委員 科学を担当なさる方がそういう鋭意急速に研究を進めております、そうかしらんけれども、現実にどんどん建設は進んでいるんですよ。一時ストップしてでもそういうことが心配ないという、安全設備についてはこうしていけば心配ないような時点で押えられる、こういうようなことがめどがついてそれから進めていくというなら話はわかりますけれども、こういう心配な要素が一ぱいあったままでどんどんその建設を進めていく。これは結局人間の生命や健康よりも産業の要請なり何なりそういうもののほうがやはりウエートが高いということの具体的な証明じゃないかと私は思うのですよ。口では幾ら自然環境なり人間の生命、健康はもうこれは言うに及ばず大事なことですと言っておったって、現実にはさしているじゃないですか。それを私は言うのですよ。  ですから、いま心配な問題が大気汚染、水質汚染あるいは原子力公害、いろいろなものがある。ひとつ総点検してもらって心配な点をきちんと押えてもらわなければ困るのです。それを押えていくには勇気が要る。その勇気が長官にあるか、行政当局、政府の最高責任者の皆さんにあるかどうかということを私はお聞きしているのですよ。これは単なる議論をしているのじゃない。どうですか、長官。
  42. 木内四郎

    木内国務大臣 いま近江委員いろいろ御心配願っていることもごもっともな点もあるのですが、再処理工場をつくる場合のクリプトンの問題、これは原子力委員会において、さっきも私どもの次長が申しましたように、環境安全専門部会において詳細に研究しまして、これは一般に害のないような状態においてこれを行なうようにひとつやりたい、そういう意味で努力をいたしております。これは日本だけじゃありません。世界各国ともこの問題については心を砕いておるのですけれども、わが国におきましても環境安全専門部会において詳細検討しまして御心配のないような状態でこれをひとつ実行したい、かように思っております。
  43. 近江巳記夫

    ○近江委員 そんなのはいつもいつも御心配のない状態でなんて言っていますけれども、いま申し上げたように廃液でも一キュリー出るんでしょう。これはいまの東海に集まっておる一年間の量ですよ。それが一再処理工場から出るんじゃないですか。何ぼ心配ないようにやりますなんて言われたって、国民はそんなものが何ぼ出ているかわからぬですよ。それは責任ある政府がほんとうに国民が納得できるような措置をしてもらわなければ困るわけですよ。ですから私が言うのは、単なることばのやりとりで今後注意しますとか、行政各省に当たってそして今後もうこういうことが進まないようにやりますと言ったって、ほんとうにやっていく上において大きな壁がある。その壁をぶち破っていく勇気を持たなければ困るわけです。それをいままで科学技術庁は単なる調整機関でございますと言うのだけれども、各省が聞きませんねん、そういうなまぬるいことでは困ると思うのです。ほんとうにいま人類の滅亡につながるような大事なことですよ。そういうことには勇気を持って科学技術庁は立ち上がってもらうということなんです。そういうようにいまや急速にそういう立場をとらざるを得ないような状態になってきているのじゃないですか。そのように皆さんの考えなりまた今後の行動というものをしてもらわなければ困るわけですよ。それを私は強く何回も何回も繰り返して申し上げているわけです。  たとえばいまマン・レムという考え方が出ておりますけれども、非常にいま原子力発電所が各地において集中しておりますね。敦賀においても東海においても、このマン・レムのデータを私は見てみました。「原子力発電所周辺人口分布」、これで見ますと、東海、敦賀、美浜、福島、高浜、島根、浜岡、玄海、いろいろ各地あるわけですよ。そうしますと五キロ以内の人口、これは一番影響を受ける地域ですが、各地も相当な数値が出ておりますけれども、東海の場合1.3×10の8乗という数値が出ているのですよ。たとえば敦賀は55×10の5乗ですよ。美浜が1.9×10の6乗´、福島が6×10の7乗´、高浜が2.5×10の6乗´、島根が1.5×10の7乗´、浜岡が2.7×10の7乗´、ずっとそれを見ていきますと、数値を大体十の六乗で割りますとこれは計算しやすいわけですが、そうしますと敦賀は〇・五、美浜が一・九、福島が六・〇、高浜が二・五。ところが東海は一三〇という数値が出るのですよ。しかも原電三号炉ですよ。三号炉を含んでの計算ですけれども、この原電三号炉をまた今度つくる計画があるのでしょう。そういう環境なりそういう人体に及ぼす影響なりを考えた上で皆さんやっているのですか。ただ一つ一つの原子力施設が計算に基づいてこのくらいだったらいいだろう、人間ということを、環境ということをもっと考えなければいかぬですよ。三号炉の設置は許可するのですか。それはこういうことを考えた上で許可するのですか。考えの中に入っていますか。ただ単に安全審査がパスしたからこれでもういいんだ、こういうようなことを全部配慮をした上で許可されるのですか。それをひとつお聞きします。
  44. 木内四郎

    木内国務大臣 いまいろいろケースをお述べになりましたけれども、私どものほうで原子力委員会、また安全専門審査会で安全度を検討する場合にはそういう諸般の情勢をみな考慮に入れてそして検討しているのでありまして、もちろんさっきからいろいろお話がありましたように、口先だけでものを言っておったってそれはいかぬ。これはまことにごもっともなことでありまして、私どもは言っていることと実行していることとが一致するような方向でものごとをすべて運んでいかなければならぬ、かように思っておるのでありますがいまお話しの点は安全専門審査会において詳細検討した上での結論でありますから、その点は、また機会がありましたら詳細原子力委員のほうからも説明をひとつ聞いていただいて、御了解願いたいと存じます。
  45. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは事務当局、次長さん、その辺は背景に入れたんですか。なぜこれだけ大きな数値が出るのですか。原電三号炉は百万キロワット以上ですよ。入っていますか、いま長官がおっしゃったように。
  46. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しのをちょっと手ぶらで聞いてよくわかりませんけれども、そういう各炉の影響というものはみな考慮に入れて、そうして検討しておることだけは間違いありません。
  47. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃもう一度次長にお聞きしますけれども、じゃこれはマン・レムという考え方に対して、どこまでだったら安全だというのですか。
  48. 倉本昌昭

    ○倉本説明員 現在安全審査の途中でございますけれども、一応その審査の基準といたしましては、マン・レムに対して安全であるという考え方をとっているわけでございませんで、一応仮想事故というものを想定いたしまして、それに基づいて地域を非居住区域、及び低人口地帯、人口密集地帯からの距離というこの三つに分けて、それに基づいて仮想事故の場合に、全身被曝線量の積算値が国民遺伝線量の見地から十分受け入れられる程度に小さい値になるような距離という、この距離を判断するための目安として外国の例を一応参考としてきめておるわけでございます。
  49. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、いま長官がおっしゃったこと全然おかしいですよ。いまはっきりマン・レムの考え方はないとおっしゃった。何キロというところの被曝線量だけではかっておる、こういう原子力施設が集中するところについてはマン・レムという考え方を取り入れなければいけないわけですよ。アメリカだって全部やっている、これは。被曝線量だけの考え方ではいけない問題がいま起きているのですよ。その辺のところは長官がお知りにならないならお知りにならないで、その点は事務当局に答えさすとおっしゃればそれでいいのです。私が重ねて聞いているのに、あなたは二回も同じ答弁をなさった。それはかって私が、館山沖に放同協がほうっておるじゃないか、初めはほうってない。それで半年ほどしてからもう一度私がそのことをおかしいと思って聞いたときに、初めて百本ぐらいとおっしゃった。それからさらに半年後に参議院でわが党の矢追委員が言ったときに、初めて千何百本という数値を明らかにした。そのほかにもそういうようなことがあって、その後私はこの委員会で正確なことを言ってくれということを言ったはずなんです。科学技術の委員会における発言がそういう政治的な発言をしてもらっては困るのだ。これはいま次長はそういう考え方を取り入れてないと言っていますよ。ですから、まだそれが審査がパスをしてないということをおっしゃっておりますので、いま申し上げたこういうことを十分に勘案した上でよくひとつ検討してもらいたいと思うのです。次長、どうですか。
  50. 倉本昌昭

    ○倉本説明員 ただいまの説明で若干舌足らずのところがありましたので、その点をもう少し明快にいたしたいと思いますけれども、マン・レムの考え方がないということでございますが、この距離を判断するための目安として外国の例を一応参考として、これは一つの参考としてそのマン・レムという考え方をそこに入れておるわけでございまして、マン・レムということできめるということではないわけであります。
  51. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしても慎重に、ひとつこういう問題は検討してもらいたいと思うのです。われわれとしてはそういう環境ということについては、ただ形だけで終わっておったということを一番心配するわけです。そういうことで、そういう心配点が、一つのこの原子力の問題を取り上げても、具体的にいろいろ出てくるわけです。ですから、今回のこの資源調査会の発表によって、ただ大気汚染だけではなく、あらゆる点におけるチェックを、またそういう考え方というものを科学技術庁中心になってよくやってもらいたい、それを申し上げるためにこういう具体例も出したわけです。  それからあと一、二点、ちょっとお聞きしたいと思いますが、濃縮ウランの備蓄の問題ですけれども、米国の原子力委員会が保有する濃縮ウラン五千トンの購入について打診してきておるというような話をちょっと聞くわけですが、こういうことについては科学技術庁としてはどう考えておりますか。
  52. 倉本昌昭

    ○倉本説明員 米国からこのたび提案のございました、濃縮ウランの現物を日本に売ってもよろしいという話があったのでございますが、これはその数量、一応最大五千トン分離作業量の濃縮ウランというものを現在の段階で日本側に提供してもよろしいという提案がこの春あった、こういうぐあいに聞いております。
  53. 近江巳記夫

    ○近江委員 だからその提案があったことに対して、科学技術庁としてはどう検討しておられるかということを聞いているのですよ。
  54. 倉本昌昭

    ○倉本説明員 現在この提案につきまして、通産省のほうといろいろ協議をして検討しておる段階でございます。
  55. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは検討しておるといえば検討しておるかもしれませんけれども、科学技術庁としてはそれを前向きで受けておるのか、その辺のところの中身を聞いておるわけですよ。どうなんですか、その点は。
  56. 倉本昌昭

    ○倉本説明員 この提案につきましては、現在のところまだその後こまかい条件についてはっきりいたしておりません。と申しますのは、この提案が文書であったわけではございませんで、一応口頭で話がありまして、そのこまかい具体的なもろもろの条件というものを、現在これをはっきりさせた上で、いろいろ検討していきたい、こういうぐあいに考えております。
  57. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、これで一応終わります。
  58. 渡部一郎

    渡部委員長 次に、山原健二郎君。
  59. 山原健二郎

    ○山原委員 再び海洋汚染問題について、質問をいたしたいと思います。  今度環境庁は、第一回の瀬戸内海水質汚濁調査を去る五月二十二日に行なっております。これは非常に大がかりなものであるということで、新聞などにおきましても「よみがえれ瀬戸内海」というふうに期待を持たれているのでありますが、この調査の中で紀伊水道あるいは豊後水道については調査をすることになっているのだろうか、その点について最初に環境庁のほうに伺いたいと思います。
  60. 岡安誠

    ○岡安政府委員 水道のところをどこまで調査をするかというのは多少問題がございますので、関係県といろいろ相談をしたわけでございますけれども、水道の大部分は一応調査の対象地点になっております。
  61. 山原健二郎

    ○山原委員 この紀伊水道の場合は蒲生田崎、これは徳島県ですね、これと日ノ岬、和歌山を結ぶ線、豊後水道の場合は高茂崎、鶴見崎を結ぶ線の北側、こういうことになっているようですが、その南部のほうは調査対象に全くなっていないわけですか。
  62. 岡安誠

    ○岡安政府委員 ちょっと私具体的な地名その他はっきり覚えておりませんけれども、おそらく先生のおっしゃった線以北が調査対象になっておるものと考えておりまして、以南につきましては今回調査をいたしておりません。
  63. 山原健二郎

    ○山原委員 瀬戸内海への海水の出入口がいまどのような影響を受けておるかということを調査することは、きわめて大事な問題ではないかと思うのですが、その辺は何か調査する必要はないというふうな理由でもあるのですか。
  64. 岡安誠

    ○岡安政府委員 今回の調査の目的が瀬戸内海の特に水の交換のむずかしいところ、その水質汚濁状況調査するというのが目的でございます。  そこで、いま先生おっしゃったような水道の以南の地域につきましては、もちろんこれは海洋汚染一般の対象としまして私どもは従来も一般的な監視測定をしておりますし、今後もするつもりでおりますけれども、今回は先ほど申し上げましたとおり、瀬戸内海を中心調査をいたしたいということで除外をいたしておるわけでございます。
  65. 山原健二郎

    ○山原委員 科学技術庁のほうへ伺いますけれども、瀬戸内海環境保全対策推進会議の中で科学技術庁はどういう役割りを果たしておるのですか。
  66. 千葉博

    千葉政府委員 瀬戸内海の環境保全につきましては、御案内のとおり当庁の調整権限を使いまして関係各省に対しまして、環境保全のためのいろいろな研究を推進するようにということで特別研究促進調整費を出しております。   〔委員長退席、近江委員長代理着席〕 特に先生御承知のとおり、個々のケースにつきまして、たとえば赤潮の問題でございますが、こういった問題についてはすでに数年前にこれの究明のための研究関係各省にやっていただきまして、それまで赤潮はなぜ起きるかというような点はかいもくわからなかったのでございますが、その調整費によりまして、量的にはまだ解明されておりませんけれども、これの性的な発生メカニズムなどにつきましてはこれがわかっておりまして、非常に各方面からこの解明されたことにつきまして感謝をされているわけでございます。  そういったようなことで、私どもといたしましては、特別研究促進調整費を中心にいたしまして、調整権限によりましてこれを推進しているということでございます。
  67. 山原健二郎

    ○山原委員 この推進会議の中で、第一分科会はいま言われた赤潮について、第二分科会は水質汚濁について、これは技術庁が入っているわけですね、そういう役割りを果たしているということを聞いているわけですが、ところが、昭和四十六年十月より特調費において豊後水道海域における精密海洋観測総合研究が進められているわけですね、これは科学技術庁のほうがやっているわけですが、この研究結果はどうなんですか、中間発表がなされているのですか。
  68. 千葉博

    千葉政府委員 ただいまのところ、まだそれの結果は明確になっておりません。いろいろと連絡会議でやっておりまして、ある程度は出てきております。
  69. 山原健二郎

    ○山原委員 これは豊後水道の場合ですが、紀伊水道については調査をする計画はないのですか。
  70. 千葉博

    千葉政府委員 いまちょっと私の手元に資料がございませんけれども、いまのところ、たしか私の記憶ではまだ調査するようになっておらないということでございます。
  71. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、実際自分の目で見た状態をちょっと申し上げてみたいと思うのです。  これは紀伊水道のほうでありますけれども、最近、五月に入ってから、ものすごい赤潮が発生しておるんですね。その状態を実際海岸から見ますと、何といいましょうか、濁ったグリーン色になるわけです。これが瀬戸内海から徳島県の東海岸をずっと汚染をしながら現在南下しているわけです。その長さが大体二十キロから三十キロという範囲、それから幅が漁船で一時間ないし二時間ぐらい走ってようやくそこから抜け出すという状態です。層がどれくらいかというと、漁民の話によりますと大体十メートル、深さが、たいへんなものですね。これはいままでなかったわけでございまして、これは明らかに瀬戸内海の汚染関係があるということは、南下してきた経路からいっても当然そう思われるわけです。そういう状態が突如としてあらわれてまいりまして、しかもいま濁ったグリーン色と言いましたけれども、所によりますとちょうど赤土をまぜたようなかっこうになっている。このために現在漁業が全くできないという状態です。現在アジ、サバ、カツオの最盛期でありますけれども、約七割の漁船が出漁できないというような状態におちいっているわけでございます。  このことについては、きょう水産庁、前田調査官来られておりますが、お聞きになっておりますか。こんなものすごい赤潮が太平洋岸に発生するというようなことはいままであったわけですか。
  72. 前田優

    ○前田説明員 ただいま先生から御指摘のありましたことにつきましての報告は、私どもはまだ受けておりません。
  73. 山原健二郎

    ○山原委員 まだ水産庁のほうにはそういう連絡もないのですか。これはいずれ報告があると思うのですけれども、漁民の人たちが非常に困っておる。調査をするといったって漁民の手で調査する能力はありませんし、科学的知識もないわけですから、結局各県の衛生研究所ですかそういうところへ頼む以外にないというような状態で、これは漁民にとりましては全く死活問題になっておる。科学技術庁のほうはこの話お聞きになっていますか。
  74. 千葉博

    千葉政府委員 まだ上がってきておりません。御案内のとおり、そういった点は関係各省、特に水産庁のほうからルートとしては上がってくることになっております。特に今度は環境庁ができましたから、環境庁を経由して上がってくるかと思います。
  75. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっとこれを見ていただきたいのです、これはほとんど赤潮の実態が出ておりますから。初めて見る経験ですけれども、そういう現状があるわけですね。これをまず認識していただきたいと思うのですよ。だから、赤潮問題、海洋の汚染というのは単に瀬戸内海だけでなくして、ずっと太平洋岸、和歌山県あたりまで広がってきておるということがおわかりになると思うのです。そういう異常な事態です。  そこで、厚生省にお伺いをするわけですけれども、去る四月の十七日に、岡山県におきまして、瀬戸内の県の衛生担当者会議が開かれております。その会議は、海洋汚染防止法の政令施行、これが六月の二十五日になるわけですが、これに伴う暫定措置として、瀬戸内海沿岸五十四市町村の糞尿投棄問題で討議をされているわけです。これは全くやりきれないふん尿譚をここで申し上げるわけですけれども、厚生省からそのときに提案がなされています。つまり、六月二十五日までに出る予定の海洋汚染防止法による政令によって、瀬戸内海への糞尿投棄は禁止されるわけですね。この間に陸上処理施設を整備しなければならないけれども、暫定的に太平洋岸に——太平洋岸といってもおそらく玄界灘、これは日本海のほうになりますが、玄界灘あるいは紀伊水道というところが予定されるわけでありますが、そこへ投棄をするという計画だということが発表されているわけです。これは事実ですか。
  76. 山中和

    ○山中説明員 去る四月の十七日に岡山市で、瀬戸内海の関係九府県とそれから五十四市町村を集めて連絡会議をいたしました。  その内容でございますが、一つは、これを開きましたきっかけになりましたのは、御承知のように瀬戸内海の環境保全対策会議環境庁中心になりましてやっております。それで、現在糞尿の海洋投棄が方々でなされておるわけですが、これは今回五十年までの計画を立てまして、これを完全に解消するということで、廃棄物処理施設の整備計画の一環としまして、糞尿処理施設をやっておるわけであります。瀬戸内海における汚染が非常に進行しておりますので、瀬戸内海に限っては四十七年度一ぱい、正確に申しますと四十八年の三月三十一日までに、瀬戸内海には一切投棄をしないということで、この対策本部で決定したわけでございます。それにつきまして、もちろん海洋汚染防止法の政令がきまりました段階でこういう会議を開くべきでございますけれども、瀬戸内海から全部撤収するということは、瀬戸内海は御承知のように現在投棄しておる船がほとんど平水船ではしけのようなものでございます。したがいまして、これを全部撤収させるためには相当の期間が必要であるということで、汚染防止法の政令のまだ討議のさなかでございますけれども、五十四市町村を招集いたしまして、この撤収をすることのはっきりと覚悟をきめてもらいたいというのが一つでございます。それに対しまして、一つ一つの市町村がすべて糞尿処理施設の推進をはかっておるわけでございますが、現在約三千キロリットル足らずでございますけれども、もちろん来年の三月三十一日までにこれを全部解消するわけにはいかないわけでございます。私どもとしましては、大型船をチャーターしまして、各市町村から県にわたると思いますが、共同をしてこの瀬戸内海から撤収をいたすということをサゼスチョンしたわけでございます。  それで、御承知のように現在まだ外洋に一部持っていかなければならぬわけですが、外洋の投棄場所というのは海洋汚染防止法の政令にかかっておりますので、この点は非常にあいまいでございますが、この会議では、その点はとにかく外洋へ持っていくのだということで討議がなされましたので、その辺討議の内容として、いささか、すぐ沖へ捨てるといったような風聞もあったかと思いますが、決してそういうことは考えておりませんので、とにかく撤収するということが趣旨で開いたわけでございます。
  77. 山原健二郎

    ○山原委員 この科学技術委員会は最高の科学の原子力の問題が討議される、そういう状態の中で、これは全く原始的な問題をここで出す、これが日本の今日の姿です。全く高度経済成長政策によるひずみというのが、瀬戸内海には産業廃棄物の投棄が行なわれて、この前ここで指摘しましたように、土佐湾において投棄中の産業廃棄物のために、無機シアンのために三名の者が死亡するという事件が起こる。しかもそれを政府は新全総でまたさらに進めていこうとする。そういう状態の中で、一方では糞尿のたれ流しという全く原始時代のままの姿が今日まで放置されてきた、この行政責任というのは、私は全く重大な問題だと思うんですよ。  そういう中で現在の糞尿処理施設というものを見ますと、瀬戸内海浴岸の市町村というものはほんとうに全国で一番おくれておる。これは滋賀県、京都、大阪はもう完全に処理しているわけです。それに比べて、瀬戸内海周辺におきましては九府県がたれ流しを行なっておる。しかも一日三千キロリットルというものですね。何でも、いままで流してきておる年間の量が十三万キロリットルというのだそうです。大きな県庁が三つ入るというのです。しかも今度の調査これは環境庁が出しておりますが、大体百十万キロリットルの糞尿が流れるであろうといいますと、これは国会図書館が十入るくらいの糞尿が外洋に流されるということで、環境庁ははっきり十海里ないし十五海里の地点で投棄するとこの会議で言っておるんですよ。そしてそれはおそらく紀伊水道あるいは土佐沖あるいは玄界灘であろうということが言われておるのです。だれがこんなことを言ったのですか。だから、関係各県はほんとうに全く黄金の海にするつもりか、こういうわけですね。しかもそういう魚介類の問題、最近出てきた赤潮問題を含めまして、日本のたん白質資源というものをどうするつもりかということになるのは当然でありまして、環境庁はそんな考えを持っておるのかどうか、はっきり私はさせてもらいたいのです。
  78. 岡安誠

    ○岡安政府委員 糞尿の海洋投棄の問題でございますが、現在糞尿の投棄につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律というものによりまして、海洋投棄がやむを得ない場合認められるというかっこうになっておるわけでございます。ただ、どこの海域にこの投棄を認めるかという点につきましては、海洋汚染防止法の政令によりましてこれが定まるということになっておりまして、この海洋汚染防止法は六月の二十五日から施行ということになるわけで、私ども現在この政令の内容につきまして鋭意検討いたしておる最中でございますが、原則的には、先般中央公害対策審議会の廃棄物部会から御答申がありまして、海洋に投棄する場合には拡散型の物質と急速に沈降堆積型の物質と大まかに二つに分けまして、それぞれ投棄海域を設けたいというふうに考えております。  拡散型の物質につきましては、やはりその物質の特性からまいりまして、なるべくこれは潮流に乗っけるということによりまして拡散それから分解を早めるということが必要でございますので、特に日本を取り巻いております黒潮、親潮等の海流の態様を考えまして、大体距岸五十海里以遠というような基準を設けたい、設けるべきであるというような御答申があったわけでございます。そこで糞尿もやはり拡散型の物質ということになるわけでございますので、私ども現在におきましては、原則はやはり距岸五十海里以遠にこれを海洋投棄する場合には投棄すべきであるというような趣旨の政令を現在検討いたしております。  ただ、先ほど厚生省からお話がございましたとおり、現在国といたしましては、糞尿につきましてはこのほとんど大部分を昭和五十年までに、陸上処理をするという方針で、処理施設の計画的な建設を現在急いでおるわけでございます。それらの予算といいますか財政的な裏づけ等につきましては、先般閣議で決定をいたしましてこれを公表をいたしておるわけでございますので、私どももやはり糞尿というものはできる限り陸上処理をするということが望ましいというふうに考えております。  ただ、先生御案内のとおり、糞尿処理施設を陸上に建設する場合におきましては、ただ単に財政的な問題のほかに、用地の確保その他の問題がございまして、なかなかすべての市町村におきまして直ちにこれを陸上処理に切りかえるということが不可能でございます。そういたしますと、現在海洋に投棄されておりますのを一挙に五十海里以遠に持っていけるかということになりますと、現在の船では、先ほどちょっと厚生省からもお話がございましたけれども、その相当部分が平水域を航行するような規模の小さい船によりまして現在処理をされております、これの船の手当てをしなければならない。またさらに、この船を運航する船長の資格につきましても、五十海里以遠ということになり、相当規模の大きい船ということになりますと、資格の点におきましても問題がございます。そういうこともございまして、私どもは究極的にはこれは陸上処理、それから陸上処理ができない場合にも五十海里以遠ということを考えておりますけれども、諸般の事情からある程度やはり経過期間といいますか、経過期間中は五十海里よりも近い水面におきましても投棄を認めることはやむを得ないのではないかという、そういう経過期間を考えざるを得ないということで現在検討をいたしておるというのが実情でございます。
  79. 山原健二郎

    ○山原委員 五十年までに陸上処理をするという問題ですけれども、糞尿処理場の問題になってくるとこれは簡単にはもう、用地の確保ができたとしても住民の反対がある、こういう経験を私ども何べんも、現に私どもそういう問題でずいぶん頭をかかえておる問題があるわけですけれども、簡単にできるものではないのです、いまの状態では。そして、それに対して相当強力な行政指導というものがなければ、また財政援助というものがなければできないわけですね。その間はたとえ三年間といえども、いままでそこそこ瀬戸内海で処理されておったものを外洋に持っていく。外洋といったところで、何か太平洋のはるかかなたへ持っていけるという状態ではなくして、せいぜい十海里ないし十五海里程度の船しかない。大型船をチャーターしたところで大体二十海里くらいを想定されておると思うのですけれども、これでは全く——瀬戸内海を守るということは私どもは異議ありません。その瀬戸内海を守るためにもいままでしばしば質問をしてまいりましたのに、東のほうはずいぶんよごれてしまって、残された燧灘付近にもまた原子力発電所をつくるということで問題が起こっている。もう一方では瀬戸内海というものをいじめていじめていじめ抜いて、そして今度はこの糞尿処理問題になると、今度は外洋だというけれども、外洋だといってもこれはもう沿岸に近いところになるわけです。だから産業廃棄物の問題あるいは海洋汚染の問題についても考え方が発表されておりますように、沿岸に漂着しないようなことをしなければならぬということ、また大事な漁場を守らなければならぬということは、これは考え方の基礎になっていますから、この趣旨に沿った処置というものをしなければならぬと思いますし、また、このチャーター船を使う場合におきましても、漁民の人たちは、現在、いま環境庁がおっしゃられた五十海里程度でもいかぬのだということを言っておるわけです。これは御承知のように、黒潮だって分支流が出て中へ巻き込んできていますから、それに乗って沿岸に来る可能性があるので、五十海里でもまだいかぬのだと言っておるのに、せいぜい大型船をチャーターしても十五海里から二十海里ということで納得するはずがないわけですね。だから、いま環境庁が言われておるような十五海里、二十海里という線は打ち破るのですか、やはりその線を当面はやむを得ないということでやられるのですか。
  80. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先ほど申し上げましたとおり、実際問題といたしまして、毎日出てくる廃棄物でございますし、これは毎日処理しなければならない。それから物理的にこれを運搬することが非常に不可能であるという場合には、私どもはやむを得ず、これはやはり五十海里より近いところで投棄を暫定的に認めざるを得ないというふうに考えております。これにつきましては、いま先生おっしゃったとおり、私ども具体的にはまだ検討の最中でございますけれども、現在の全国の各市町村の処理の能力その他を考えまして、やはり五十年度末までに陸上処理ができるまでの間は、やはり十五海里程度より遠くへ持っていくことを、法律をもってまた罰則をもって強制することはなかなか不可能であろうというふうに考えております。もちろん私どもは、各市町村の中には能力その他がございまして、十五海里以遠に持っていけるというところがあろうかと思います。そういう市町村につきましては、これは厚生省その他にお願いをいたしまして、できるだけ遠くのほうに持っていくということは指導としてお願いをいたしますけれども、法律上禁止をする、罰則をかけるという点につきましては、現在暫定的な経過措置といたしましては十五海里以遠程度にならざるを得ないのではなかろうかということで現在検討をいたしております。
  81. 山中和

    ○山中説明員 ただいま四十五年度末で約三千キロリットルでございますが、瀬戸内海沿岸につきましては、いまの市町村につきましては糞尿の陸上処理ということは進めてまいったわけでございます。四十一年度末には四千二百キロリットルでございましたが、これを四十五年度末で約三千キロを割りまして、実は整備計画は順次進んでおりまして、今年度の末でございますが、今年度の末にはいまの推計で二千二十二キロ、約二千キロに陸上整備が進んでまいる予定でございます。  それで、ただいま水質保全局長のほうから申し上げましたが、厚生省といたしましても優良な漁場を守る、そういう立場を基本的に堅持しておるわけでございまして、決して経過規定である数字がきまったといたしましても、実際の行政指導におきましては、これは漁業者団体と十分話し合いの上納得のいった海域を相談するということで、ただそうなったからもうその外はどこでもいいのだ、こういう態度は厚生省は絶対とらないということで進めたい、そう考えております。
  82. 山原健二郎

    ○山原委員 この九県にとってもこれはたいへんな問題だと思うのですね。一方では糞尿処理施設をつくらなければならないという時限の切られたことを処理していくという問題がありますね。一方では大型船をチャーターするという、その二つの面で各五十四の市町村に負担がかかるという問題が出てくるわけですね。しかし、これは瀬戸内海を守るという意味でも解決をしなければならぬ。そういう押し詰まった状態の中では、当然国としてそれに見合う緊急な体制というものをとる必要があると私は思うんですよ。それを放置して、いま言われて、糞尿処理施設がどんどんできつつあるということは、わかるんですよ。だから、今年度末に日量二千二百キロというふうになるということ、それはわかるのです。しかし、それは自然発生的で、現在どこの県でも、どこの市町村でも、あるときには単独で糞尿処理施設をつくる、あるいは広域市町村が合併して糞尿処理施設をつくるということでこれは進んでいくのです。けれども、それは全く平常の姿で進んでいるだけで、こういう海洋汚染防止法ができて、政令ができて、実際に行なわれるという時点では、緊急な問題としてこれは発生しておるわけですから、自然発生的に糞尿処理場を各県がつくるということにまかしておいてよいものではないと思うんですよ。こういう法律をつくって、これを実行しようとするならば、国が相当の各県に対する援助といいますか、あるいは財政的援助、あるいは行政的援助というものがなければ、法律はできたわ、あとはほったらかしだと、自然発生的に陸上処理施設ができるのを、期限は切ってない、やれやれということだけでは、これは市町村もたまったものではないと思うんです。  そういう意味で、これは環境庁長官木内大臣にお伺いしたいのですけれども、私は、そういう体制をとる必要があると思います。また、なるべく遠くへやむを得ず廃棄をする場合におきましても、これはそれぞれの自治体の了承を得なければならぬと私は思うんです。しかし、二十海里などといって、そんなことを了承する県はおそらくないと私は思うんです。福岡県の玄界灘——福岡、山口あるいは大分、愛媛、高知、宮崎あるいは和歌山、徳島、こういうようなところを考えてみましても、二十海里程度のところで捨てるんだといって、はいようございます、けっこうですと言うところは、おそらくないと思うんです。これは猛烈な反対を受けると思うです。これはどうするのかということになってくるわけですね。それを押し切って、ここへ捨てるんだというようなことは、私はすべき問題ではないと思うんです。そうすると、そこで話し合いがなされて、どこへ行くか。あるいは黒潮の流れに、しかも北限でなくて南限のほうで投棄をして、それでしばらくの間処理する。その間、もうほんとうに緊急に糞尿処理施設をつくっていくというような、そういう構想というものがなければ、これはぐあいが悪いわけです。その点について、どんなになっているのでしょうか、お伺いをしたいのです。
  83. 山中和

    ○山中説明員 先般会議でチャーター船、こういう諮詢をいたしましたのは、つまり、五十四市町村ひとりひとりが独自でやっていてはできない問題なので、チャーターというのは、やはり千トンとか二千トンとかいう大型船で、ある程度の距離まで行けるということもありまして、それでチャーター船ということを諮詢したわけでございます。  それで、ただいまお尋ねのように、いま具体的には、一つは黒潮の外縁部というお話がございましたが、この点につきましても水産庁とただいま協議いたしておりまして、私どもとしても、極力黒潮の外縁部というところを目ざしてこの指導はいたしたい、こう考えております。  チャーター船は、こちらから、私のほうから一つの諮詢をいたしたものでございまして、これを具体的に進めなければならない。そうするとこのチャーター船という一つ構想は、やはり県だけでも、県がまとまってもまだ小規模であるということから、ただいま各県単位でこの情報を集めまして、それで積極的にこの仲介をしていきたい。現にこういう業者と申しますか、そういう名乗りは出ておりますので、決して空想ではなく、具体的にこれを、非常に短期間ではございますが、年度末までにはこのチャーター方式というのを完成したい、こう考えております。
  84. 山原健二郎

    ○山原委員 結論を急ぎたいと思いますが、水産庁どうですか。こういう状態で、水産資源を守るという立場から考えまして、さらに汚染される地域が拡大をされていくというこういう可能性を持った案に対して、水産庁は何か合い議を受けたり、あるいは水産庁の見解を発表したことがありますか。
  85. 前田優

    ○前田説明員 ただいまの件でございますが、先ほど来環境庁厚生省からいろいろ御説明があったわけございますが、水産庁といたしましても、当然漁業環境保全というものには十分力を尽くしていかなければならないものでございます。なお、先般来高知県の漁業団体をはじめといたしまして、県議会等からいろいろと陳情等も参っております。したがいまして、先ほど厚生省のほうからお話がございましたように、できるだけ大型船を使いまして黒潮の外縁部まで運んで投棄していただくように、厚生省とも十分打ち合わせをしている段階でございます。
  86. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に長官の見解を伺いたいんですが、私がいま申し上げたような状態です。それでこれは各県の状態を見ました場合にも、財政的な援助とかあるいは行政的な措置というものは、私は、非常に必要だと思うんです。実は、いままでも糞尿の投棄の問題は、問題にはなってきておったんですけれども、しかし、この六月二十五日を契機にして具体的に大量のそういう糞尿というものが処理されるという事態になるわけです。だから、これに対する緊急の政府の措置が私は必要だと思うんですが、それについての見解を伺いたいと思います。  同時に、まだ六月二十数日までには日数もあるわけですから、各県の実態をよく調査されまして、各県の者とも十分話し合っていくということが必要だと思うんですが、そういう点についての御指導をなさるお考えがあるかどうか、伺っておきたいと思うんです。
  87. 木内四郎

    木内国務大臣 先ほどからいろいろこの糞尿処理の問題について御意見を承ったんですが、まことにごもっともな次第でありまして、いよいよこの海洋汚染防止法が施行されるということになりますれば、その法律と矛盾したようなことは、かりに暫定的なものはいろいろあるにしても、非常に好ましくはないことだと思います。さればといって、いま糞尿処理場を、こちらで申しておりますように、陸上で処理するということについてもなかなかいろいろな問題でありますし、土地の問題もあるし、土地は確保できても地元の人の反対などということもあり、またそれに財政問題などというものあり、財政負担の問題もありますので、いろいろな問題がありますけれども、こういう問題は、いよいよどうしてもやらなくちゃならぬということになれば、やはり従来とは少し考え方を変えて財政の種々の問題、いろいろな問題についても従来とはちょっと考えを変えていかなければならぬではないか。私は実はきょう初めてこの環境庁の長官の臨時代理を仰せつかっておるようなわけで、いままでの事情を詳細なところをまだよくわかりませんけれども、いま伺っておるところの印象からすれば、何か法律をつくってまでやらなくちゃならぬという事態になってきておるんですから、それとあまりに違ったようなことをやるわけにもいかぬ。しかし、これは政府だけのことでなくて、いまの陸上処理をやらなくちゃならぬというような場合には、やはり関係の地元の人々の理解協力を得るということが非常に必要なことになってくるんじゃないか。それなしに、おれたちは協力できぬが陸上で処理をやれと、こういうことを言っても、なかなかこれはむずかしい問題ではないか。もちろんそれには財政負担の問題なども伴いますけれども、そういういろいろな困難を乗り越えてこれをやっていくことが必要である、私もさように考えております。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員長代理 関連で、三木喜夫君。
  89. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 水産庁から見えていますので、ひとつ私も実情を言って、そして対処をしてもらいたいと思うんです。  赤潮は、私も瀬戸内海でこの五月の十四日、ものすごう発生しておるのを見たんです。その場所は、ちょうど瀬戸内海のまん中の家島群島、あの海へ出てみましたらものすごい赤潮ですね。幸いに瀬戸内海の汚染状況調査しておられるのですから、魚族保護、水産業の振興といいますか、こういう意味合いにおいて、一ぺん水産庁からも実際に見に来てもらいたいと思うのです。これは、山原さんの質問に関連して、そういうことができるかどうか。いまお話を聞いていますと、何も報告がないということのようでしたが、報告があるなしにかかわらず、こういう状況というのは私は耳に入っておると思うのです。それは率先して一とつ見てもらわないと、瀬戸内海が一方では調査しておっても一方ではそういう状況が起こっておるのですから、それを知らぬということじゃ困る。それについてのお考えを聞かしてもらいたいと思うのです。
  90. 前田優

    ○前田説明員 瀬戸内海の赤潮につきましては、先ほどの御質問に対しまして、私、聞いていないと申し上げましたのは、高知沖から徳島沖へかけましての今回の先ほど先生から新聞を見せていただきましたが、それについての事態についてまだ報告を受けておりませんと申し上げたわけでございます  瀬戸内海の赤潮の問題につきましては、数年来非常に大きな問題になっております。私どもといたしましても、なぜ赤潮が発生するのかということにつきましての解明の問題があったわけでございまして、これは先ほど科学技術庁のほうから御説明がございましたように、科学技術庁のほうの予算をいただきまして、水産庁自体研究所を使いましてその作業を続けてきたわけでございます。最近に至りましてようやく、なぜ赤潮ができるのかというところの解明の手づるがつかめましたので、今後、この問題を契機にいたしまして、一体どうしたらこの赤潮を防いでいけるのかということで種々検討しておるわけでございますけれども、何せ基本論といたしましてはやはり水質の汚濁というところが一番問題になるわけです。もうすでに瀬戸内海は御承知のように非常によごれている。これから、いわゆる公害の諸法も整備されましたので、この公害諸法の厳正なる順守によりまして、これ以上とにかく瀬戸海の水をよごさないということが大前提にならなければならないかと思うわけです。それを基礎にいたしまして、また漁業関係といたしましても、この赤潮を逆にどのようにしたら漁業自体また養殖漁業自体が避けて生産ができるかということの検討を進めていかなければならないと考えておるわけでございます。  それで、私どものほうでは神戸に瀬戸内海漁業調整事務局という出先を持っております。先生のところへその報告書が参っていないかと思いますけれども、帰りまして先生にお届けしてもと思いますけれども、そこで大体瀬戸内海の赤潮につきましては取りまとめまして私どものほうへ報告をするシステムになっておるわけでございます。昨年、山口沖につきましては私自身船で赤潮を見てまいりました。非常にひどいので驚いた次第でございますが、ことしにつきましては、まだ行っておりませんので、帰りまして上司とも相談いたしまして検討してみたいと思います。
  91. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 私もいままでずっと赤潮を見てきたのですけれども、あんなひどい赤潮は見たことがない。ある程度何メートルか何百メートルかその幅があって、そしてその幅を乗り越えればすぐにきれいな水になるのですが、今回はそうじゃない。全体的に濁ってしまっております。なお、いま山原さんの話を聞いて、これは確かにそうだなという気がしましたね。  そこで、これは異常な瀬戸内海の赤潮の汚濁状況です。だから、これはぜひ御相談していただいて現地を見てもらって、そして話をしてもらわなかったら、あるいは緊急に対策を立ててもらわなければいかぬと思う。  もう一つの問題は、これは糞尿の問題でいまお話がありましたが、いまものすごくビニールの袋だとかあるいはそういう破片が海の底にたまりまして、これは漁業ができないくらいに支障を来たしておるわけですね。この対策も立てなかったら、いまいろいろな廃棄物をビニールに包んで捨てればいいのですから、川へどんどん投棄します。これに対する規制というか考え方も水産庁に持っていただかなかったら、一方では漁業を振興するとか養殖するとか言っておきながら、一方ではできないわけです。これは腐りませんからね。これに対する対策はどういうふうに考えておられますか。
  92. 前田優

    ○前田説明員 先生のいま御指摘の件は、先般瀬戸内海の環境保全の委員会の際に、兵庫県のほうから瀬戸内海周辺の県を代表した形で、何とか考えてくれという話がございました。その話はおもにいわゆる上層の問題についてのお話だったわけでございます。これは言うならばごみ掃除のような形になりますけれども、何かどこの省がそれを担当するかというところにもいろいろあるかと思いますけれども、水産庁といたしましては、漁場を保全するという意味におきまして、この問題は四十八年度の予算の中でいろいろ検討してまいりたいと考えておりますし、いまお話がございました底のビニール等の沈でん物の問題につきましては、昨年度から、試験的ではございますけれども、しゅんせつ、作澪、覆土というような関係の予算をとりまして、地方公共団体が実施する事業につきまして国から二分の一の補助が出るようなシステムになっておるわけでございまして、四十七年度、四十八年度に順次拡大してまいりたい、そのように考えております。
  93. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 これで終わります。
  94. 山原健二郎

    ○山原委員 私の質問も終わりますが、六月二十五日の政令までまだ日はありますので、いま長官が言われましたように、十分地元との話し合い、あるいは財政、行政的な措置ということについても各省庁が連絡をとり合って十分な対策をとっていただくように強く要請いたしまして、質問を終わります。
  95. 近江巳記夫

    ○近江委員長代理 次回は明六月一日木曜日午前十時理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会