○滝沢
政府委員 ABCCの問題につきましては、厚生省が、長崎、広島の
ABCCに予防衛生研究所の支所を設置して共同
調査研究をいたしておるわけでございます。数年来、ただいま所長をやっておりますダーリング氏がいろいろの提案をなされておりまして、特にドル防衛の
立場等から、
ABCCを
日本の運営にかなりまかせたいというような、大ざっぱな申し方で恐縮ですが、そういう趣旨の御提案をなさったこともございますけれ
ども、その後
ABCCは、予研の三十四名の
職員が
協力して研究を続けておりまして、今
国会あるいは過ぐる
国会等で大原
先生はじめ各
関係者の皆さま方から、この
ABCCの存在意義につきましては、今後二十五年、当時被爆を受けた者が成人ないしは成人以上の老齢に達するまで
原子爆弾の影響というものを
調査する必要があるということは、学問的に日米ともにあるいは国際的にも高く評価された問題でございますので、そういう基本的な考え方は一致しておるわけでございますけれ
ども、今後のあり方につきまして、従来、予研の三十四名、予算にして七千万、
ABCCのほうは円に直しまして十四億のような大きな、
協力といってもその間に非常に
協力のしかたが貧弱じゃないかというような御批判、特にまた、
ABCCの
職員、
アメリカに雇用されております
職員の身分の安定の問題等も踏まえまして、いろいろ御意見がございます。
われわれといたしましては、予研の支所として現在
協力している程度の
性格ではなかなか思い切った
協力体制をしくことは困難でありまして、これはきわめて重要な
外交上の問題として基本的にお考え願うと同時に、また、先ほど申しました今後長期にわたってこの影響を
調査研究し、また、その将来の原子力の人体への影響の基礎資料、その一例といたしましては、すでに国際放射線防護
委員会で、この広島における線量測定の問題で、一般国民が許容される線量というものは年間五レムであるというような基準を設けたのも、やはりこの研究の成果を踏まえて国際的にそれが認められておるわけでございます。これは一例でございますが、そういう
意味で、今後の
ABCCのあり方につきましては、各
関係の省庁とも十分御相談いたしまして、もちろん現在直接
関係いたします厚生省としても、これの中心になって、今後のあり方につきまして、現地の広島あるいは長崎等にも現地のいろいろ御意見があるようでございまして、そういう面も踏まえ、また、この研究の重要性、それから研究のしかたについても、従来、
日本人がやっております研究というものは、非常に長期にわたる研究というものはふえてでございまして、どちらかというと非常に短期的な研究をするというような
性格が
日本人の研究にはございますけれ
ども、この
ABCCは非常に長期にわたる研究体制でございますから、こういう問題を
日本としてどういうふうに
協力し受け入れていくかという問題については、学者の皆さん方にもかなりの突っ込んだ御意見があるようでございます。そういうものを踏まえまして、事の重要性にかんがみ、十分
関係者と御協議の上、
ABCCのあり方にからむ
日本の
協力体制について
検討いたしたいというのがただいまの私の
立場で、
大臣にも御報告し、その線で
関係者の協議あるいは研究所の打ち合わせ等を積極的に進めておる次第でございます。