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1972-06-02 第68回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月二日(金曜日)     午後二時五十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 本名  武君    理事 池田 清志君 理事 毛利 松平君    理事 中川 嘉美君 理事 小平  忠君       石井  一君    小渕 恵三君       大石 八治君    大野  明君       大村 襄治君    加藤 陽三君       佐藤 文生君    正示啓次郎君       田中 榮一君    田中 龍夫君       谷川 和穗君    藤波 孝生君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       武藤 嘉文君    山下 徳夫君       豊  永光君    中谷 鉄也君       安井 吉典君    門司  亮君       東中 光雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 福田 赳夫君         国 務 大 臣         (防衛庁官長) 江崎 真澄君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁装備局長 黒部  穰君         防衛施設庁総務         部長      長坂  強君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         防衛施設庁労務         部長      安斉 正邦君         外務政務次官  大西 正男君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省欧亜局長 有田 圭輔君         外務省条約局長 高島 益郎君  委員外出席者         議     員 安井 吉典君         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩住民等が受けた損害補償に関する特別  措置法案安井吉典君外八名提出衆法第三二  号)  沖繩及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 本名武

    本名委員長代理 これより会議を開きます。  委員長は所用のため欠席されますので、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。  安井吉典君外八名提出にかかる沖繩住民等が受けた損害補償に関する特別措置法案議題といたします。
  3. 本名武

  4. 安井吉典

    安井委員 ただいま議題となりました沖繩住民等が受けた損害補償に関する特別措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  戦後二十七年間、日本本土から隔離され、アメリカ合衆国支配下にあった沖繩において、沖繩住民が、アメリカ合衆国軍隊等存在によって、または米軍による不法な土地接収や、米軍人軍属犯罪等によって受けた損害は、はかり知れないものがあります。  そして、米軍人軍属等行為によって与えられた損害は、陸戦の法規慣例に関する条約等国際法アメリカ合衆国自身の憲法に照らすまでもなく、アメリカ合衆国が負うべき責任でありますが、アメリカ合衆国が、いわゆる講和損失補償や、外国人損害賠償法等によって、これまでに行なった補償は、ごく一部に対する恩恵的な見舞い金であって、損害補償としては、きわめて不十分かつ不完全であったのであります。  このため、沖繩本土復帰にあたって、沖繩県民基本的人権の完全な回復をはかるため、これまでに受けたあらゆる損害を、十分に補償すべきであるとの要求は非常に強く、補償対象は、人身損害土地に関する損害漁業、入り会い、水利等、さまざまな種類に及び、その額は数千万ドルをこえる膨大なものと推定されております。  ところが、日本政府は、沖繩返還協定の締結にあたり、日本国民たる沖繩県民の対米請求権を、一部を除いて放棄し、琉球政府の強い不満表明にあって、ようやく返還協定に基づき米国政府が処理すべきこととなるもの以外の、いわゆる講和人身傷害補償者に係る請求等については、実情調査の上、国において適切な措置を講ずることとなったのでありますが、具体的には、沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置に関する法律の第三条で、講和人身傷害補償漏れだけに見舞い金を支給するというにとどまり、全く不十分といわなければなりません。多年にわたり、異民族支配のもとで多くの苦難に耐え、不法不当な損害を受けてきた沖繩県民を、あたたかく本土に迎えるためには、何よりも、これまでの損害を十分に調査し、正当な補償を行なうべきであります。また、これまでの補償漏れについては、当面、直ちに給付金を支給すべきであります。  以上の理由により、国として特別措置を講ずるため、本案提出した次第であります。  以下、本案概要について申し上げます。  第一に、この法律は、長期にわたり日本本土から隔離され、アメリカ合衆国支配下にあった沖繩において、アメリカ合衆国軍隊等存在または行為によって、沖繩住民が受けた損害に対する、アメリカ合衆国が行なった補償等実情、及び沖繩返還協定第四条一項の規定によって、日本国民の対米請求権が放棄されたことにかんがみ、国として損害補てんのため、特別措置を講ずることを目的としております。  第二は、国は講和条約発効後、復帰までの間に合衆国軍隊等行為により、人身損害を受けた沖繩住民またはその遺族のうち、外国人損害賠償法に基づく支払いを受けなかった者に対し、同法の支払いの例に準じ、給付金を支給することとしております。  第三に、国は、沖繩内土地合衆国軍隊または当局による使用中、昭和二十五年七月一日前に損害を受け、昭和三十六年七月一日前に使用を解除されたものの所有者のうち、高等弁務官布令第六十号に基づく土地原状回復のための支払いを受けなかった者、及び復帰までに使用を解除されたものの所有者のうち、米国民政府布令または高等弁務官布令に基づく土地原状回復のための支払いを受けなかった者に対し、前者は布令六十号、後者は布令二十号の支払いの例に準じ、土地原状回復のための給付金を支給することとしております。  第四に、以上の人身損害並びに土地原状回復のための給付金の支給は、当面の措置であって、国は、これらの再検討を含め、昭和二十年八月十六日から復帰までの間の、沖繩住民が受けた人身損害土地に係る損害漁業に係る損害、その他の損害のすべてにわたって、損害が十分に補てんされるよう抜本的措置を講ずることとしております。  第五に、以上の抜本的措置について調査審議するため、総理府の付属機関として沖繩関係補償問題調査会を設置し、委員沖繩県代表者が過半数となるようにし、また事務局を設け、一年以内に調査結果を内閣総理大臣に建議することとしております。  第六に、政府は、調査会の建議に基づき、すみやかに法律案を作成して国会提出する等、必要な措置を講じなければならないこととしております。  以上が本法案概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 本名武

    本名委員長代理 これにて提案理由説明は終了いたしました。      ————◇—————
  6. 本名武

    本名委員長代理 次に沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。安井吉典君。
  7. 安井吉典

    安井委員 時間が十分ありませんので、一点だけにしぼってお尋ねをいたしたいと思います。  B52が嘉手納基地に五月の二十日に着陸したという事件は、復帰ショックといいますか、物価高その他復帰の混乱のさ中の沖繩県民にとって非常に大きな心理的な打撃であったと思います。まるで一ぺんにベトナム戦争の中に沖繩を引き戻してしまったという感じであります。しかも、このときに日本政府のあいまいな、疑念を全く解明するということのできないような説明、そのことが、かえって一体復帰とは何であったのかという疑問を一そう深めた、そんな気がいたします。  そこで、私がまず伺いたいのは、あのときのB52はベトナムへ行く段階での着陸なのか、あるいは帰りの着陸であったのか。地元のある目撃者は、七百五十ポンド程度の爆弾をかかえていたというふうな報告をしている人もあります。政府はその点明確な確認をしていたのかどうか、そのことからまず伺います。
  8. 福田赳夫

    福田国務大臣 その点につきましては、西のほうから飛来してグアムに向かう途中のものであった、こういうふうに説明されており、私どもはそのとおり理解をいたしております。また、確かめたところによりますと、これは武器は搭載しておらぬ、つまり爆弾は搭載しておらぬということであり、そのように了解しております。
  9. 安井吉典

    安井委員 その点確認する措置はどのようにして講じましたか。
  10. 福田赳夫

    福田国務大臣 どこから来たかというのは、確認を待つまでもなく、私どもはおそらくベトナム方面からだろうと思います。行き先は、向こうがグアムと言っておるのですから、そのとおりであろう、どこへ行ったか、これを追跡する私どもには能力がありませんし、そのとおりであろう、こういうふうに思うのです。それから、いち早く、武器は搭載しておりません、つまり爆弾は搭載しておらぬということをはっきり申しておりますので、これもそのとおり理解をいたしておる。これを一々調査する、こういうようなすべもありませんでしたから、その言明によって心証を得るというほかはなかったと思います。
  11. 安井吉典

    安井委員 確認する方法がないが、アメリカがそう言うのだからそうだと思うよりはかなかった、こういうことですね。そういう政府態度国民はきわめて不安を感ずるわけです。これは同時に不満にもつながっていくわけであります。沖繩が返ってくれば全く本土並みなんだし、またB52が前に沖繩に来ていた経過もあるわけですから、もう本土復帰後にB52なんかは沖繩に来る道理はないのだ、そういう理解をしていたところに来たという点に問題があるわけでありますが、六九年十一月の佐藤ニクソン共同声明の第七項にこうあります。「沖繩施政権返還は、日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務効果的遂行の妨げとなるようなものではない」と佐藤総理が見解を表明しているわけであります。だから、今度のB52その他一連のアメリカベトナム作戦行動への協力というのは、やはりその共同声明第七項から出ているものだというふうにもとれるわけですが、どうですか。
  12. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは共同声明とは別に関係ないのです。あの日、私が午前八時ごろ外務省事務当局から連絡を受けたわけです。その要旨は、七時ごろ、米政府並びに米軍筋から情報があって、気象上の理由で、西から来て東へ飛ぼうとしている飛行機B52三機が、緊急着陸をせざるを得ないような状態になった、こういうことなんです。これを拒否するというようなことによると、これは私としてもまあ人道上の問題にもかかわる、こういうふうに判断したわけであります。よく承りますと、気象条件が悪くて、そして空中給油ができなくなったんだそうです。そういうような状態でありますのでやむを得ないことである、こういうふうに判断をいたした。安保条約適用上からは別に支障はないというふうに思っておるのでありますが、ただ、沖繩県民のこのB52に対するアレルギー感情、こういうものを考えますと、不時着といえどもこれがしばしば行なわれるというようなこと、そういうようなことは好ましくない、そういうふうに考えまして、そういう通報を受けたその時点におきまして、米政府当局にそういう申し入れをいたしております。アメリカも、もうこういう事態が反復しないように努力をいたします、こういうふうに言明をいたしております。  また、この緊急着陸不時着ではありませんけれども、その移駐の問題です。これにつきましては、わがほうは絶対にそういうことがあっては相ならぬ、そういうふうに考えておる旨を前から言っておるのでありますけれども、あらためてその際、いい機会でありますので申し入れてありますが、これをアメリカ側も了としておる、こういう状態でございます。
  13. 安井吉典

    安井委員 いまのお話しになりました問題について、ちょっと気になる報道があるものですから、これはあとで伺いたいと思います。  もう一つ確かめておきたいのは、七〇年の九月に米軍B52の沖繩撤去を発表いたしました際に、アメリカ側は、将来作戦上の必要が生じた場合に、臨時に再配置することを排除するものではないと留保条件をつけたというふうに伝えられています。これは日本政府が認めたり、あるいはいま生きているのですか、これは。
  14. 福田赳夫

    福田国務大臣 私はその辺のことは存じませんけれども、私、外務大臣になってからは、B52は沖繩なり本土なりに再び移駐をするということにつきましては、日本政府は反対である、こういうことを申し上げ、アメリカ側もこれを了としておる、こういうような状態でありますので、B52が移駐をする、そういうようなことは私どもは考えておりませんでございます。
  15. 安井吉典

    安井委員 これは外務大臣、当時おられなかったから……。アメリカ局長、当時のことを御存じだと思いますが、留保条件というものを外務省はどういうふうに理解していたわけですか。
  16. 吉野文六

    吉野政府委員 お答えいたします。  確かに七〇年九月ですか、B52が去ったときにはそのようないわゆる留保というのか、一つ言明をしていったことはわれわれも知っております。しかしながら、これは当時まだ沖繩返還前でございまして、彼らとしては、当時においてもすでに非常に悪い沖繩住民B52に対する感情を顧慮して去ったわけでございますが、それにもかかわらず、万一の場合にはまた来ることもあり得るということを彼らとしては留保して去ったものと思います。  しかしながら、沖繩返還後は、これは御存じのとおり、われわれとしてはあくまでも安保条約及び地位協定がそのまま適用されるということを先方にも言明してございますし、この点は先方もよく知っておるわけでございます。ことに日本政府立場が、沖繩基地として直接ベトナム戦闘作戦行動のために出撃できない、その場合に事前協議先方から申し入れてきた場合には、わがほうはノーという態度をはっきり先方にも示してございますから、わがほうの態度を十分知っておりますから、よもや先方はそのようなわがほうの態度を誤解して入ってくるようなことはないとわれわれは信じております。  また、この点につきましては、先ほど大臣が申しましたように、移駐については困るということを言っておりますし、先方もこれを了としているわけでございますから、したがって、この言明が生きておるかどうかということは、もはや過去の問題だとわれわれは了解しております。
  17. 安井吉典

    安井委員 これは外務大臣の御就任後の問題ですけれども、一月のサンクレメンテの会談、この会談沖繩返還時期五月十五日がきまったわけでありますけれども、その際に、事実上の沖繩自由使用を大体両国政府が了承し合った、そういうこともあるもんだから、ベトナム戦争を終結するためのいま戦争なんだ、こういう名目を掲げているアメリカとしては、米軍機を受け入れてほしい、つまり沖繩のもっと自由な使用を認めてほしいということを日本政府に強要をしてきているという、そういう話も聞くわけでありますが、その点はどうですか。
  18. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは根も葉もない話であります。
  19. 安井吉典

    安井委員 もう一つ別報道で、アメリカB52の沖繩への再配備を強く要求をしてきているのであるということを政府筋が明らかにしたという、アメリカ側がですね、B52を沖繩に再配備をすることを要求をしてきていたという、そういう報道があるのを私は見たわけです。つまり、先ほど事実問題として、一時使用で天候のぐあいだからおろしてくれというのではなしに、それより前に、B52をベトナム戦争のいま重要な段階だから、沖繩にもう一度配備させてくれという、つまり基本問題としての要請アメリカがしてきていたという事実があったということ。それを、いわゆる一時着陸というふうな形で両国政府が話し合いをつけて、そういうふうな形でおさめたのが今度の事件だったという、そういうふうな報道もあるわけです。その点どうですか。
  20. 福田赳夫

    福田国務大臣 さような事実は、これは全然ございませんです。もしそういう報道がありとすれば、これは誤った報道でございます。
  21. 安井吉典

    安井委員 誤っておればいいわけですね。ただ、グアムからベトナムに飛ぶのでは金がかかり過ぎる、あるいはタイ、フィリピンにも基地がありますけれども、これは治安上いろいろ問題もある、またKC師で、沖繩から飛び上がったその飛行機給油をしているけれどもB52の燃料の消費量というのはこれは非常に大きいわけですから、とても間に合わない。やはりあそこにおろして給油をさせてくれないとほんとうの戦争にならぬのだ、戦闘行為が成功しないのだというふうな理屈がどうも立ちやすいわけですよ。立ちやすいような気がするわけですよ、アメリカにしてはですね。だから、それだけに、いまの報道も、B52を嘉手納におろして給油ができるようにしてくれぬかという基本的な要求アメリカはどうもしたいような——私がアメリカならそうしたいような気がするわけですね。ですから、そういうようなものはそれともなかったのですか。
  22. 福田赳夫

    福田国務大臣 アメリカは、わが国沖繩基地からベトナムへ発進するということを認めないということはよく承知しております、ですからおそらく、私もよくわかりませんけれども、戦術上の見地からいえば、沖繩基地にしてそうしてベトナムに出かけていくということは、あるいはベトナム戦争という見地からすると、アメリカは希望しておるかもしれません。しかしですね、ここが大事なんです。しかし、わが国立場をよく承知しておるアメリカといたしまして、そういうことができるはずがない、こういうことはよく承知しておりまするから……したがって、アメリカB52の沖繩移駐ということを考えるというような立場にはない。私どもいろいろ接触はいたしますけれどもB52を沖繩移駐をさせましょうというような意図のあることは、これはその徴候すらも感じられませんから、その辺はひとつ御安心を願いたい、かように存じます。
  23. 安井吉典

    安井委員 たとえそういうような話があっても日本政府がきちっと断る、それはよくわかりますけれどもアメリカからそういうふうな移駐についての意図表明というものはまるっきりなかったと、それでいいわけですね。
  24. 福田赳夫

    福田国務大臣 まるっきりなかった、そういうことでけっこうでございます。
  25. 安井吉典

    安井委員 それはそういうことでおきたいと思います。  いずれにいたしましても、今後ともB52がこの間のようなことを繰り返していくというふうなことが絶対ないように、それだけのことはきょうの段階ではっきりお約束できるわけですね。
  26. 福田赳夫

    福田国務大臣 気象上の関係緊急着陸をする、こういう場合にその要請を受けてこれを断わる、これは私はむずかしいと思います。しかしアメリカに言っておりますのは、そういう緊急着陸といえどもないようにしてもらいたいということを要請しておるのです。ですから、アメリカもずいぶん気をつけると思う。ですから、めったにはないことかとは思いますけれども沖繩着陸しなければ海の中へ落っこっちゃう、それをも許さぬ、こういうのも人道上の見地から見てどんなものでしょうか、そういうことが絶対にあり得ないということは申しませんけれどもアメリカも気をつけまするから、万々そうあり得ることではあるまい、こういうふうに思っております。
  27. 安井吉典

    安井委員 SR71は、条約交渉の際には、安保条約の範囲の中で行動を制限するのです、こういうふうに政府はおっしゃっていたわけであります。そのSR71は一日に何回も出撃をして、最近はたいへん大活躍をしているようですね。それはつかんでおられますか。そしてまたSR71はどういうふうな行動をとっているか、そこも政府のほうは承知しておられますか。
  28. 福田赳夫

    福田国務大臣 SR71は高性能偵察機です。ですから、これはまあ常時偵察活動をやっておる、こういうことでございます。  私は記憶しておりますが、沖繩国会において、SR71は、返還後におきましては安保条約統制下に入る、こういうことであります。つまり、いずれの形におきましても戦闘作戦行動の任務を行なう、そういうようなことは事前協議対象となる問題である、こういうことでございます。
  29. 安井吉典

    安井委員 SR71はベトナム作戦偵察に行っておりませんか。
  30. 福田赳夫

    福田国務大臣 いろいろな偵察行動はやっていると思うのですよ。思いますけれども爆弾を積んでそうしてこれが戦闘行動参加をする、そういうようなことは私どもは考えておりませんです。つまり、そういうことでありますれば、これは事前協議対象となり、わが国といたしましてはこれはノーと言う、こういう方針でありますので、さようなことはいたしておらぬ、かように考えております。
  31. 安井吉典

    安井委員 偵察機爆弾を落としに行くわけじゃないのですがね。敵国のといいますか、自分の国からよその国の中に入っていって写真をとったり何かする活動ですよ。ですから、偵察戦闘行為じゃないのですか。交戦国同士の間で行なうのだから……。
  32. 福田赳夫

    福田国務大臣 偵察行動というのは安保条約では事前協議対象としておらないのです。つまり軍事作戦行動爆弾を搭載してそれを投下する。まあSR71といえども、これは高性能のものである、重量の物資を搭載する能力を持っておるのですから、これはやらんとすれば、爆弾を積載いたしまして投下をすることもできる。本来は偵察機でございますけれども、そういう行動もできるのですから、それは事前協議対象となる。その際にはわが国はこれを拒否する、こういう方針です。
  33. 安井吉典

    安井委員 すると、そのSR71がどういう状態になったらアメリカ事前協議になるのですか。
  34. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま申し上げておりまするとおり、爆弾等を搭載してそして戦闘作戦行動参加する、そういう際には事前協議対象とする、これは双方でそういうふうに理解しております。
  35. 安井吉典

    安井委員 時間だという紙が回ってきましたから、どうも二十分ですからどうしようもありませんけれども、そういう言い抜けで国会でこうやりとりをしておる、ここを通り抜けてしまえばなるほど国会はそれで済んだのだとこうなるかもしれませんけれども国民はそんなことでは了解しませんよ。特に沖繩人たちは、ベトナム戦争の中にもう一度巻き込まれてしまったのだという印象が非常に強い段階です。B52やSR71のことだけを申し上げましたけれどもKC135がベトナム戦争に明確に給油作戦参加をしているということはだれでもがよく知っていることです。沖繩基地はもうフル運転ベトナム戦線への参加をいまやっているわけです。それを、この国会答弁の中でぬけぬけと何かおっしゃったらそれで終わりだというふうなことでは私は断じてならないと思います。事前協議制の骨抜きあるいは空洞化、そういう問題をやはりこの際はっきりしない限り、国民の不安や不満は絶対に消えないと思います。いまのままなら、そんな事前協議制というものはあってもなくても同じようなものでしょう。ただ国会答弁のために、のがれ道だけのために事前協議ということばがあるだけではないですか。その点最後に一つ伺っておきます。
  36. 福田赳夫

    福田国務大臣 事前協議というのは、わが国米軍基地軍事作戦行動基地として使われない、そういうことなんです。そういうことによって、わが国戦争に巻き込まれないということを保障しよう、こういうことなんです。ところが一方において、まあ安井さんと私ども立場が多少違うので——多少じゃない、大いに違うのですが、安保条約はこれを堅持する、こういうことです。安保条約上の義務はこれは履行をしなければならぬ、そういう立場にあるわけです。安保条約上は、わが国といたしましては兵器の補修、補給、そういうことにつきましては、米軍の自由にまかせておるわけでありますから、そういう条約上の義務はこれは果たさなければならぬ、さもなくば、安全保障条約、こんなものは必要ないじゃないかというような考え方を先方は持つかもしらぬ。その辺のことにつきましてまた御理解も賜わりたい、こういうふうに思うわけであります。
  37. 安井吉典

    安井委員 いわゆる洗い直しという作業はどうなっておりますか。
  38. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは国会が済みましたらその準備にかかりたい、こういうふうに思っております。何せ、いまはもう国会、朝から晩まで、かごの中の鳥みたいな形で閉じ込められておりまして、なかなかそういう作業のいとまもない。これは国会が済みましてからそういう作業に移りまして、作業が終わりましたならば日米間において協議を行ないたい、こういう予定でございます。
  39. 安井吉典

    安井委員 またあとにします。まだ問題がたくさんありますので、次の機会にあとは譲ります。
  40. 本名武

    本名委員長代理 中谷鉄也君。
  41. 中谷鉄也

    ○中谷委員 いま安井委員の質問についてのSR71の御答弁、若干私のほうからも補足をしてお尋ねをしておきたいと思いますが、「世界週報」の一九七一年四月二十七日号によりますと、アメリカの中国の領海、領空侵犯に対する中国の厳重警告の回数は六九年七回、五八年から計算いたしますと四百六十六回から四百七十二回、七〇年に六回、すなわち四百七十三回から四百七十八回の警告ということに相なっております。したがって、ここで外務省にお尋ねをいたしたいのは、七一年そして七二年、特に五月十五日以降アメリカの中国の領空侵犯、SR71であることは自明の理でありますが、中国の厳重警告というふうなものがあったかどうか。そしてそのような警告があったということであるならば、これは日本政府としてのとるべき措置は、アメリカとの関係において一体どのような措置をおとりになるのか。  先ほど外務大臣のかごの鳥というお話がございましたが、SR71は、まさに安保条約のかごの中に入れるんだということを政府は繰り返し繰り返し御答弁があったわけです。要するに領空、領海の侵犯などというものは安保条約下においてはあってはいけないことなんだ、こういう答弁があった。したがって私がお尋ねいたしたいのは、七一年と七二年、特に五月十五日を境として厳重警告の事実があるかどうか、その点について把握しておられるかどうか。  なお、そういうふうな事実があった場合に、それは日本アメリカの間においてどのような話し合い、随時協議あるいはまた申し出の対象になり得ることなのか、こういう点について御答弁をいただきたいと思います。
  42. 福田赳夫

    福田国務大臣 事実関係については政府委員のほうからお答え申し上げますが、もし中国側から警告があったというようなことでありますれば、私どもは警告を受けるようなことがないように、アメリカに対しまして注意をする。そうしてこれが、もし中国が言うがごとく、ほんとうに領空侵犯であるということが確認されるということになれば、これはもう安保体制下において許されざることでありますから、アメリカ側SR71の退去を迫る、こういうことであります。  事実関係事務当局から……。
  43. 吉野文六

    吉野政府委員 事実関係から申し上げますと、SR71が領空侵犯をしたというような抗議を五月十五日以降われわれとしては一つも受けておりません。  なお、SR71につきましては、先ほど先生が御指摘のとおり、あくまでも安保条約のワク内である、すなわち国際法を守る、したがって他国の領空の侵犯をしない、こういうことになっておりますから、SR71を飛ばすアメリカ側としてもこのようなことは行なわないものとわれわれは信じております。
  44. 中谷鉄也

    ○中谷委員 七一年における抗議、厳重警告の回数、七二年の五月十五日までの警告の回数等については、事実関係確認しておられるんでしょうか。六八年などは十八回、六七年は二十八回ということに相なっておりますから、七一年についてはどういうふうに事実関係確認しておられるかをお尋ねをいたしたいと思います。  いま一つ、私の質問も、中国からの厳重警告ということでありまして、日本政府SR71の領空、領海侵犯を査察する方法というものはあり得ないと思うのです、非常に困難だと思うのです。因難というより不可能だと思う。この点について、要するに中国側の領空侵犯あるいは領海侵犯の警告ということが、われわれにとっては事実関係を認識する前提でしかあり得ない。このあたりについて、SR71というのは本来領空、領海侵犯をするような機能を持っているのだというふうなことを私かつて発言をしたことがございますけれども、これらを含めて、時間がないようですから、あと二問残っておりますので、簡単に御答弁をいただきたい。
  45. 吉野文六

    吉野政府委員 われわれの見解も、SR71は本来領空侵犯をしなければその目的が達せられないんじゃないか、こういうように従来考えていたわけでございます。したがって沖繩交渉の際に、SR71については特にこの点を先方に強く指摘したわけでございます。ところが、これは多少微妙な点でございますが、先方言明は、もはやSR71は領空侵犯をしなくても十分目的を達するようなことになったのだ、こういうことでございます。したがって、最近においては領空侵犯の事実をわれわれは聞いておりません。もちろん七一年におきましては、何らこのような事態はないとわれわれは承知しております。
  46. 中谷鉄也

    ○中谷委員 SR71の性能、特に斜めにどれだけ偵察できる能力を持っているか、いわゆる中国大陸の内部にわたっての偵察の戦術的な価値、これらの問題については若干異論等がありますが、時間がないようですから別の質問に移ります。  領空の問題が出たからではありませんが、ある一定の条件の場合に、B52に対する往路の地上給油事前協議対象になる、そして復路はならない、空中給油の場合は、往路も復路も事前協議対象になりません、これが従来外務委員会、内閣委員会における外務大臣の御答弁であったと思います。  そこで、実務的あるいは事実上このようなことが意味があるのかどうかということを念頭に置きながらではありますけれども、お尋ねをいたしたいと思います。  いわゆるB52に対する空中給油が領空内において行なわれる場合においても、往路においてです、それは事前協議対象にならないというふうに理解をしておられるのでしょうか。
  47. 高島益郎

    ○高島政府委員 ただいまの先生の御質問は、往路において沖繩の上空でB52に空中給油をした場合にどうなるか。この点につきましては、私どもB52自体が沖繩の上空を通過するということは重大問題だと思います。したがいまして、空中給油そのことではなくて、B52が日本の領空を通過して敵地と申しますか、戦場におもむいて爆撃をする、そういう実態をとらえまして、これはいわゆる事前協議をむしろ省くためにそういう行為をする結果になるというので、これは、やはりわれわれとしては条約上、事前協議対象になるという事態ではないと思いますけれども、同様の事態としてこれは別途取り上げざるを得ない問題だと思います。むしろそういうことは許すべきものではないんじゃないかと思います。したがって、空中給油はあくまでも沖繩上空、つまり日本の上空ではなくて、全く公海の上空で行なわれるというふうに了解しております。  いずれにいたしましても、B52が日本の領空を通過して戦闘作戦行動におもむくということは別個の問題で、重大な問題だろうと思います。
  48. 中谷鉄也

    ○中谷委員 従前、空中給油の問題では外務大臣にもいやというほど各委員会で質問がありましたが、私のこういう質問が実務上、実際上の軍事技術上の意味があるのかどうか、その点は念頭に置きながらと申し上げたのですが、法律論としては私そういう疑問は提起しておいていいと思ったのです。  そこで若干お尋ねいたしますけれども、領空上で行なわれていない、要するに領空外で空中給油が行なわれているのだということを、日本確認査察する方法はあるのでしょうか、ということをひとつお尋ねをしておきたいと思うのです。事前協議対象になるかならないかは問題だけれども、そういうことは許されないとおっしゃっている。だとすると、それを査察する方法はあるのですかということですね。
  49. 吉野文六

    吉野政府委員 われわれは、B52のベトナム戦争との関連において、どこからどこに飛来するとか、どこら辺で給油を受けるかということにつきましては、非常に好奇心を持って先方にいろいろ聞いております。しかしながら、先方の答えは必ずしも明らかでない。ただし、これは公海上で給油が行なわれていることは確かでございますし、また少なくとも沖繩に近いあたりでは——近さというのは、これは相対的なものでございますが、行なわれていないというのがわれわれの従来受けた印象でございます。
  50. 中谷鉄也

    ○中谷委員 従来受けた印象、ということは、問題はレーダーその他によってそれを確認をするということの方法が確立されておらない限り、印象というふうなことでは非常に問題点が残るのではないか、これは疑問を提起しておきたいと思います。  そこで次に、空中給油の問題等を通じまして、内閣、外務等の委員会で盛んに論議をされているわけですけれども事前協議の実施に関する交換公文に基づく口頭了解、この口頭了解がありまして、これは設問の説明ですが、そしてわが国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設、区域の使用、すなわちそれは、日本政府事前協議が行なわれるものと了解している、こういうことに相なっている。これは言わなくてもあたりまえのことですが、そうすると六〇年安保当時の議事録等もかなり検討してみましたけれども戦闘作戦行動とは何かということについては、必ずしも明確な統一見解というものはないように私、思われるわけであります。たとえば昭和四十三年の四月十一日、参議院予算委員会第二分科会において増田防衛庁長官は「戦闘作戦行動というものは明瞭にしておく必要があると思います。」翻訳のしかたとして、「戦闘行動行動と二つ分けていれば一番わかりよかったのです。それを作戦行動戦闘作戦行動というから、さっぱりこれはわからなくなってしまって、作戦行動戦闘作戦行動じゃないかなんという人がちょいちょい出てくるわけですよ。一方は行動」である云々とお答えになって、一そう明瞭にすべきものが明瞭でなくなってしまっている。これは何を増田さんが言いたくて御答弁になったのか、さっぱりわからない。ただ、一応これについての党としての統一見解とまではいかなくても、何というのか、戦闘作戦行動とはということについて答えていると思われる答弁は、六〇年安保のときの五月四日、飛鳥田委員の質問に対する加藤防衛局長答弁「ミリタリー・コンバット・オペレーションというのは、ミリタリー・オペレーションという面が一つあるわけです。ミリタリー・オペレーションの中でコンハット・オペレーションとロジスティック・オペレーションとある。ロジスティックのオペレーションを除いたもの」であるという答弁があるわけなんですが、これとても、私は法律家らしく検討してみましたけれども、必ずしも明確ではない。  要するにお尋ねをしたいのは次の点であります。戦闘作戦行動というのはもう自明の理とされていることなのかどうか、自明の理であるというなら、ひとつ政府のほうで戦闘作戦行動とはということについての統一見解を示していただきたい。そのことはやはり事前協議対象になる、ならないで、かなり論議があると思うのです。かりに戦闘作戦行動というものがそれほど自明の理でないとすれば、逆に言うと、私考えるところによりますと、日米間における戦闘作戦行動についての口頭了解以外のいろいろな了解事項があるのではないかというふうにも思いたくなるわけであります。いずれにいたしましても、きわめて原則的な質問をいたしますが、何は戦闘作戦行動には当たらないとかいう答弁は何百ぺんとあるのですけれども戦闘作戦行動とは何かという点についての有権的な政府の統一見解というものは、私は必ずしも出されていないと思うのです。七日の日にも沖特があるようでありますし、またこの問題については外務、内閣等にも私参りまして、私から安保条約そのもの、事前協議そのものを掘り下げてみたいと思いますので、ひとつこの機会に統一見解なるものをこれは条約局長さんでしょうか、大臣でしょうか、御答弁をいただきたいと思います。
  51. 高島益郎

    ○高島政府委員 確かに先生のおっしゃるとおり、いままでの国会を通じましての討論で、戦闘作戦行動とは何ぞやということにつきまして、政府が有権的なこれだと答弁をした例は私はないと思います。確かに先ほどおっしゃった加藤防衛局長ですかの答弁が、ぼとんど唯一のものではないかと思います。ただ、私調べまして、いろいろ考えておるわけでございますけれども、これは安保国会当時、四月十三日でございますが、防衛庁長官が質問に答えまして、戦闘作戦行動基地としての使用の典型だということで、おのずから戦闘作戦行動とは何ぞやということがわかるような意味でおっしゃったんだろうと思いますが、戦闘作戦行動基地としての使用の典型的なものは、戦闘任務を与えられた航空部隊、空挺部隊、あるいは上陸作戦部隊等が、発進基地として日本の施設、区域を使う場合である、こういう趣旨のことをおっしゃって、その後もこういうことはときどき政府側から答弁として出ておると思います。したがって、ここで言われていることは、やはり戦闘任務を与えられた航空部隊あるいは空挺部隊、上陸作戦部隊、つまり爆撃に行く飛行機あるいは落下傘を降下させる飛行機、あるいは上陸作戦のための舟艇等の発進基地として日本の施設、区域が使われる場合が、非常に典型的な意味での戦闘作戦行動基地として日本の施設、区域の使用であるという趣旨ではないかと思います。それ以外に戦闘作戦行動そのものがどういうことかという点についての説明は、私もずいぶん調べておりますけれども、ないように記憶しております。
  52. 中谷鉄也

    ○中谷委員 大貫委員の質問ですね。大貫委員の「一体戦闘作戦行動というのは、具体的にどの程度のことをいうのか伺いたい。」という質問に対して、当時の赤城防衛庁長官が、いま条約局長が御答弁になった点をお答えになっている。そこで、これとても「具体的にどの程度のことをいうのか伺いたい。」というのか、事前協議との関連においてむしろ問題にされて、だから私がきょうお聞きしているのは、わが国から行なわれる、そうしていま一つ基地としての日本国内の施設、区域の使用という点を除いて、戦闘作戦行動とは何ぞや、この点についての答弁を求めているわけであります。この点について戦闘作戦行動ということばは、必ずしも軍事の専門家に聞いてみましても、それほど自明なことばではないと思われます。ですからひとつ外務大臣に、七日の日にもう一度沖特があるようでありますのでお願いをしたいと思いますが、この戦闘作戦行動とは何かという点についての統一見解を私は求めたいと思うのであります。戦闘作戦行動ということについての口頭了解だけであるならば、その理由は口頭了解にとどまるとするならば、日本アメリカとの間における食い違いが私はあり得ると思うのです。そういう点を含めて、戦闘作戦行動とはということ。しかし政府の統一見解というのは、同時にアメリカのそれに対する理解と合致しなければならないことだろうと思います。その点をお答えをいただいて、そうして政府の統一見解というものはアメリカとの合致の上に立ったものである、政府のこの点についての統一見解を私はお願いをしたいと思う。要するに口頭了解というのは、戦闘作戦行動というものについての何ら有権的な解釈を含んでいないということは明らかであると私は思うのであります。その点についてひとつ御答弁を、統一見解を、七日までにいただきたいということをお願いをいたしたいと思います。  いま一つ、これはちょっと別のことですが、時間が参りましたので、P3の問題ですが、これはひとつどういうふうに理解すればいいのですか。普天間の飛行場へ移転をするということを、政府方針としてはお持ちになっておられるようですね。そこで、宣野湾市の了解を得なければならない、工事についての時間がかかるということですが、市の了解ということが移転の条件ということになるわけでしょうかという質問です。だといたしますと、P3の移転ということについてのめどは一体立つのかどうか、そうしてまた、普天間へ移転をするというようなことが、そういうふうな市の了解が得られないというようなことであろうかと私は思いますが、そういうようなことになってまいりますと、めどは全く立たないということになるのかどうか。これらを二つ含めて質問します。大事な点は、統一見解をお願いいたしたいという点であります。
  53. 福田赳夫

    福田国務大臣 統一見解の方法は御要請のとおりにいたします。  それから普天間へのP3の移駐問題は、政府委員からお答え申し上げます。
  54. 吉野文六

    吉野政府委員 P3の普天間飛行場への移駐の問題につきまして、市の了解が移駐の条件であるかどうか、こういうことでございますが、これは有権的にはむしろ防衛施設庁の答弁にまかせるほかないと思いますが、われわれの聞いている範囲では、移転のための工事自体は、法律的には何ら市の了解を要しない。ただし実際問題として、工事する以上、あらゆる問題で市ないしは周辺の住民の納得を得ないと、工事自身が非常に事実上困難である、こういうことのようだとわれわれは聞いております。
  55. 本名武

    本名委員長代理 中川嘉美君。
  56. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 時間の関係もありまするので、北方問題について二、三大臣に伺いたいと思います。  ニクソン大経領の訪ソに伴って、将来の米ソ関係がどのように進展していくかということは、これはもうたいへん重要な国際的な課題である、このように思いますが、この点に関する大臣の展望をまず述べていただきたいと思います。
  57. 福田赳夫

    福田国務大臣 今回の米ソ会談の成果、私はこれを非常に高く評価しております。つまり、多極化時代という世界情勢ではございまするけれども、その多極の中で、やはり何といっても米ソ二大国の関係、これは非常に重大だ、こういうふうに考えます。その二大国の首脳がともかく基本原則に合意した。その要旨は、何といっても平和共存ということである。この両首脳が平和共存を誓い合ったということですね。これは世界情勢に大きな緊張緩和の空気をつくり出したものである、こういう意味においてたいへんなできごとであったというふうに思いますると同時に、その平和共存の考え方にのっとりまして、それを象徴するかのごとく、SALTの交渉が妥結をした、そういうことですね。これは世界の動向に対しまして緊張緩和という意味においてはなはだ好ましい影響を持った非常に重大なことである、かような理解をいたしております。
  58. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと大臣は、将来の展望として、これは確認の意味で伺ってみたいんですが、米ソ間のいわゆる武力による紛争であるとか、そういったことが絶対ないと判断されるか、あるいは場合によればあり得るという考え方を、多少なりともそういう可能性というか、そういうようなものを感じられるか、その辺を念のために……。
  59. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は絶対というようなことばは使いませんが、私は、よもや二大国が武力による衝突をする、当然核兵器が使用されるということになり、両国の滅亡に通ずることでもあり、それのみならず、世界、地球に災いを及ぼすということにもなる、さようなおろかなことを二大国ともども、よもや考えるところはあるまい、こういうふうに理解しております。
  60. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 私もこれは当然だと考えておるわけです。米ソ戦争というものはない。このように確認しておるわけですが、聞くところによると、サイミントン委員会の議事録によりますと、アメリカにとって仮想敵国はソ連であるというふうにされております。従来の日米間の経緯から見まして、将来北方領土への米軍基地ないしは自衛隊の肩がわりといったことが、政府として全然考えられないということは決して言えないのではないか、このように思いますし、またソ連側も、領土返還に際しては、おそらくこういったことを懸念しているのじゃないかと私は考えるわけですが、この点に対して大臣はどのように考えられますか。
  61. 福田赳夫

    福田国務大臣 北方領土の回復ができるということになりますれば、わが国適用されておるところの日米安保条約は自然これらの島々にも適用される、こういうことになるわけです。ただ現実の問題としますと、それらの島々に自衛隊を駐とんさせるというような必要もなし、またそういうことを考えるということもあり得ないというふうに思いますと同時に、アメリカがあそこに新しく基地を設けるというようなことをわが国に対して要請するということもありそうもありませんし、ありましても、その時点の日本政府はこれを断わるであろう、こういうふうに思います。
  62. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうすると、これはあくまでも一般論という立場でお聞きするわけですが、領土問題にとっては、国後、択捉の返還は、あくまでも無条件ということが日本として絶対に譲れない、これを基本条件としているのかどうかです。もしソ連のほうから、返還はするけれども、ある一定の条件を付してきたような場合、こういう場合に、日本は事と次第によってその条件をのむという考えを持っておられるかどうかですね。これは一般論ですよ。
  63. 福田赳夫

    福田国務大臣 日ソ平和条約交渉がいよいよ年末までには始まるわけなんです。そういうようなことで、日本側がどういう条件を持ち出すか、これはソビエト側の関心事でありましょうし、またソビエト側がどういう条件を持ち出すか、これはわが国の関心事であります。そういう段階でありますので、わがほうがどういう条件を持ち出すか、また先方の持ち出す条件に対して、わが国がどういう対応をするか、それをいまこの段階で申し上げることは、はなはだぐあいの悪いことであるということは御了知願いたいと思いますが、わがほうがあくまでも主張することは何であるかというと、国後、択捉以南の島々の返還である、そういうことでございます。
  64. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 確かによけいな推測云々ということは必要ないことかと思いますが、やはり日本側として、たとえばですが、国後、択捉を非武装化するという約束を向こうが要求してくる場合は、国後、択捉を日米安保条約適用外の地域にするというような条件、こういったこと等を、政府の腹は、いろいろな条件をやはり前もって勘案していかなければならないんじゃないか。私がいま言ったことは、全く一つの側面であるわけですけれども政府として当然こういったことを十分に検討しておく必要があるのではないか、このように考えるわけですが、この点についてもう一度お答えいただきたいと思います。
  65. 福田赳夫

    福田国務大臣 いろいろなケースを想定して、そのいろいろなケースに対する対応を検討するわけです。しかし、ソビエトがこういう条件を持ち出したら、わがほうはこういうふうに応対するのだということを明らかにして交渉に臨むわけにはまいりません。したがいまして、具体的なお答えはできませんけれども、われわれは、要求することはとにかく島々の返還である、こういうことです。平和条約交渉ですから、経済の問題もあります、あるいは文化の問題もありましょう、科学技術の問題もありましょう、いろいろな問題が包含される。そういう際ですから、わがほうが、それらの諸問題につきましてわがほうの提起した条件、これを一歩も退けるわけにはいかぬ、こういうふうには考えません。ソビエト側においてもそうだろう、こういうふうに考えます。しかし、この島々の領有権に関する点だけは、わがほうとしては譲れない一線であるということだけははっきり申し上げることができる、かように御理解願います。
  66. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 大臣も時間が限られておられるようなので、最後に聞きたいのですが、去る一月末に五年ぶりに日ソ定期協議会が開かれた。共同声明によって、日ソ平和条約締結の交渉が年内に開かれる、こういうことになったわけですが、ソ連はいままで日本のたび重なる要請にもかかわらずこの定期協議会は開かれない、あるいは領土問題も解決済みであるというふうに言い続けてきた。今回の定期協議会といい、あるいは領土問題に対する柔軟な態度といいますか、ソ連側のそういった態度から見て、ただ単に平和条約を締結するだけじゃないのではないか。多極化したこの外交の中で、何かソ連の真のねらいというものがあるのではないか。もしあるとすれば、一体どこにあるのかというような問題が考えられると思いますが、これに対して大臣はどのように考えられるか。
  67. 福田赳夫

    福田国務大臣 世界はいまや多極化時代でありまするから、わが国は多極外交、これを展開しておるわけでありますが、同時にソビエトも、世界情勢が多極化してきた、こういう認識を持っておるであろう、こういうふうに思います。その上に立ちまして多極外交を展開する。わが国は軍事大国ではありませんけれども、経済的には世界においても屈指の強大な力を持ち得るようになってきた。この日本というものを度外視するわけにはいくまい、こういうふうなソビエトなりの多極外交の対象として日本をとらえておる、こういうふうな理解でございます。
  68. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 確かに、多極化時代というおことばですが、これからの日本の外交というものは、当然日本と米、中、ソの関係はもちろんですけれども、米中、米ソあるいは中ソといったそれぞれの関係を注視していかなければならない、こういうふうに考える。日本は北方領土の返還ということが目的であるわけですが、ソ連の真のねらいがどこにあるのかということも、やはり外務省立場においては真剣に考えていかれるべきじゃないか、このように思います。  時間もありませんので質問を終わりたいと思いますが、先ほど申し上げたとおり、きょうはあくまでも一般論ということで、今後の審議の参考とするために私は質問を行なったわけですが、いずれ返還具体化に伴って、この返還問題を、わが党としてはあくまでも国益に反しないという立場からあらためて質疑を展開したい、このように思います。  以上で質疑を終わります。
  69. 本名武

  70. 安井吉典

    安井委員 防衛庁長官に伺いたい。  第一点は、今度アメリカとソ連との話し合いが大きく進展をし、特に核兵器制限交渉の妥結等の問題もあるわけです。そういうふうな点が日本防衛政策の上にも大きな影響がありはしないかという点であります。日米安保条約について……。それから、当面は四次防の策定が急がれておるそうでありますが、それについてこの際検討が必要な点は何々なのか、そういう点からひとつお伺いいたします。
  71. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 お尋ねの点は、日本にとってもたいへん好ましい話し合いがなされたというふうに私ども受け取っております。ただ問題なのは、戦略核の不行使ということについての話し合いがなされた、もともと私どもは、核兵器は持たない、いわゆる非核三原則にのっとって、日米安全保障条約の上からまいりますならば、アメリカの核の傘の中に含まれる、これを抑止力としてわれわれは非核三原則を推進しておるわけであります。最もおそれられたのは、もし核の戦争といいますか問題が起こるとするならば、やはり米ソ間の核軍拡競争、こういったものがどういう形で将来発展するか、このことはわれわれ日本にとっても深い関心事であったわけでありますが、幸い、こうして戦略核は使わないという話し合いが円満についたということ自体は、これは世界の平和という点からいって、高く評価されてしかるべきものだというふうに私どもはとっております。    〔本名委員長代理退席、池田(清)委員長代理着席〕  ただ、いま御指摘の、しからば四次防にこれがどう影響するかという点になりますと、米ソの平和環境がだんだん固定すれば、これは極東の平和はもとより、日本の平和維持のためにも非常に望ましいことであることはもちろんであります。しかし、もともと日本の自衛隊というものはまだ充実段階にありますので、三次防の延長として、武器の足りないところを補充したり、古くなったものは、いわゆる補備更新していくということばを使っておりますが、そういうものの考え方で充実をしてまいるわけであります。したがって、いまこのことによって、日本の自衛隊の装備をどうするかということ自体については、直接的にあれこれを縮小いたしますとか、やめますとかいう具体的なものを取り上げるまでには至らないというふうに思っております。しかし、四次防そのものは、本年を初年度とするわけでありますが、向こう四年間という長期の視点に立つわけであります。米中の会談、それから今回の米ソの話し合い、特に戦略核の不行使の問題等々がこうして表に出てまいります以上、日本の長期視点に立った防衛構想というものには、おのずとこれは影響もあるわけでありまして、いろんな場面を想定しながら、今後防衛局あるいは防衛研修所等において、情勢分析をしていくことにはなるというふうに考えておるわけであります。  それから四次防自体の策定を急いでおるというお話がありましたが、現在のところ、まだ経済の見通し等々、衆議院で予算審議をお願いしておった時期とたいした変化があるわけではありません。見通し等が確たるものが立ったというわけでもありません。したがいまして、この見通しを的確に把握しながら、情勢判断をしながら、事務的にはこれは防衛庁において絶えず検討をいたしておるわけでありまするが、いま具体的にいっどの時点で成案を得るかということについては結論を得ておりません。
  72. 安井吉典

    安井委員 私は、今度の米ソ会談で決定的に世界の方向が変わったとは思いませんけれども、大きな戦略的な見方において検討すべき問題はたくさんあるのではないかと思います。そういうような点から、もう一度防衛庁が担当しておられるいろんな問題について見直しをするということが必要ではないか、そういうふうなことで、お尋ねをしているわけでありますが、まあ問題がたくさんありますから、それについて深く入るゆとりはございませんが、四次防はいつごろまでにでき上がる予定ですか。これはもう新内閣ですか。
  73. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 現内閣がいつまで続くかということについて、まだ首相の言明もありませんし、はたしてそれがいつであるかというあたりは、ちょっと判断としてむずかしいと思います。従来は八月末、これを目標と、こういうことを言ってまいったわけでありまするが、さて、この内閣で大綱をきめました、したがって、あとの主要項目をきめたり数字計上をするのは、この内閣でやるべきではないかという意見が一方にあることは確かであります。しからばその内閣はいつまで続くのか。佐藤総裁、これは党の話で恐縮ですが総裁の任期は御承知のとおり十月一ぱいあるわけですから、それがいつになるかということによって、この内閣でやるのかあるいは新しい内閣になるのか、このあたりが判断されることになろうかと思います。
  74. 安井吉典

    安井委員 そうなりますと、自民党の党大会の問題も少し議論しなければならなくなりますから、まあこの辺で終えておきます。  自衛隊の沖繩移駐の問題についてでありますが、前には先取り移駐というので少しみそをつけて、近ごろはさみだれ移駐というのでやっているというふうに新聞は報道しております。現在どれぐらいの移駐措置が行なわれたか、さらに今後の配備計画はどうなっているか、それをひとつ伺います。
  75. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは、さみだれ移駐というわけではございませんので、沖繩県民というものに旧軍隊とは関係のない新しい自衛隊というものを十分理解してもらおう、こういうことが先にあるわけです。それには、いまにわかに大部隊をあそこに配備することよりも、自衛隊というのはなるほどこういうふうかという形でもっていくことが、かえって県民感情にも理解を早めることでもあるし、また協力体制に立ってもらわなければ自衛隊の任務というものは十分発揮できないものでありまするので、慎重の上にも慎重な配慮を重ねて現在のようなやり方になったというわけであります。  当初は御承知のとおり、施設の管理要員ということで、陸海空約百名の要員を出したわけでありまするが、その後数次にわたりまして現在また要員をふやしております。それは何百棟という、建物だけでも人数以上の施設、そういったものを管理させまするのに、どうもやはり手が足りない。しかも当然向こうに行けば炊事もしなければならぬ。そういった要員等についてもあとから派遣をいたしたわけであります。  ここに資料がありますが、時間を節約する意味で政府委員のほうから詳しく申し上げさせます。
  76. 久保卓也

    ○久保政府委員 現在のところ、いま御答弁がありましたように約百六十名ばかりが現地におります。復帰以前約百名がおりましたけれども、これは復帰準備のために入れておりましたもので、それを当初そのまま管理要員として使いました。ところが復帰前の場合には食事、休養その他の管理面は米軍に依存することができたわけでありますけれども復帰後は自分の手でやらなければいけないということで、管理部門の要員を早急にふやしたわけでありますが、五月末までに約六十人をつけ足しております。そして七月中旬ぐらいに約二百五十人から二百七十人程度にふやす予定にしております。  その後の問題としましては、累次御説明申し上げておりまするけれども、本年の末までに普通科の中隊二、施設中隊一、飛行隊一、これで約一千名、それから海上自衛隊は、掃海艇の二隻とP2Jの六機で、人員といたしましては約五百人程から航空自衛隊は、飛行機を年内は十八機にしておりますが、十八機にしまして、人員では約千四百人ぐらいの配備、合計いたしまして年末で約二千九百人ということであります。  それから来年の六月末を目標にいたしまして、陸上自衛隊のホーク群が一つ、航空自衛隊のナイキ群が一つ、それからレーダー関係、つまり航空警戒管制隊が一応その時点で完成いたします。そういたしますと、約五千三百人から四百人ぐらいの人員がそこで配置される。その後、司令部要員その他いろいろの部隊をその状況に応じてふやすことになろうかと思いますけれども、その場合に、四次防末、昭和五十一年度末で大体六千五百程度というのが、これは防衛庁限りの計画で、まだ各省との協議はととのっておりませんけれども、大体そういう計画でおります。
  77. 安井吉典

    安井委員 いまおっしゃったのをあとでちょっと資料でいただけませんか。それをお願いしておきます。  伝えられるところによると、受け入れ体制が十分でなくて、先に行っている人たちも機能を十分に発揮してないというふうに伝えられておりますが、どうですか。
  78. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは何せ、準備要員が直ちに施設等々の管理要員になった。建物は二百八十棟です。さっき数百棟と申し上げましたが、広い範囲に約百名では、これは全く少な過ぎるということは率直にお認め願えると思います。すでにもう遺骨収集という議が現地においては持ち上がっておるわけであります。先般参りました者の中には、そういった作業要員も含まれるわけでありまするが、これは徐々に充実をしていくことが望ましいので、いまにわかにまとまって行くこと、仕事があるからといって、それに何となくかぶせるような形で配備することは慎重にしたい、こう思っておるわけであります。  まあ先ほどのようなテンポで話を進めてまいりまするので、日とともに充実をし、自衛隊員も現地になずんで任務を遂行することができるというふうに確信をいたしております。
  79. 安井吉典

    安井委員 沖繩に参りますと、ポスターが張ってあって、死に神日本軍、と大きく書いてあります。死に神日本軍という、そういう受けとめ方が沖繩人たちの心情ではないかと思います。それだけに、そういうことを考慮してのさみだれ移駐なのかもしれませんが、一説によると、あとは最後は六千五百にも上がるわけだが、いま選挙をやっているので、選挙に影響があるといかぬのでぼつぼつしかやってないのだ、こういう県民の感情配慮か、あるいは選挙配慮かと、こういう言い方もされておりますが、どうですか。
  80. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 選挙のことは、自衛隊にはもとより関係がございませんので、そういうことは私どもの念頭にはもとよりございません。それよりも、やはり夏に——夏といいますか、いまでもすでに夏に沖繩では入っておる感じでありますが、ああいう御承知のとおり、台風常襲地帯という地理的環境にありまするから、災害等の問題もこれから好まずとも起こってくるということも想像されます。そういうときの要請があれば、これは選挙であろうとなかろうか、直ちに救援活動に向かうということはありましょうが、自衛隊というものを十分理解してもらう、このことが先決だというふうに思っております。  沖繩では、なるほど自衛隊というのは秩序正しいし、なかなかいいじゃないか、前の軍隊とはことばつきまで違うというわけで非常に歓迎されておる向きもあるということを、この間こちらへ戻ってまいりました連絡の一佐が報告しておりましたが、まあ受け取り方はさまざまである。なるほど、いまおっしゃるような受けとめ方の県民もあることは私どもも承知いたしておりますが、そうかといって、日本に戻って沖繩県となって県知事選挙をやっておる、この沖繩県に米軍はいるが日本の自衛隊はいないということのほうが大きな矛盾だ、やはりアメリカ軍は早く帰ってもらいたいが、自衛隊は必要とあらば来てもらって民生協力もしてもらいたい、こういう率直な声もあるやに聞いております。
  81. 安井吉典

    安井委員 その辺は意見が対立しますから、まあ時間の節約でこれ以上触れませんけれども、もう一つアメリカのナイキハーキュリーズの買い取り交渉が妥結をしたというふうに伺っておりますが、その内容についてちょっと伺います。
  82. 黒部穰

    ○黒部政府委員 御承知のように、米国からは、ナイキシステム、ホークシステムそれから航空警戒管制システム、ACアンドW、こういうふうにいっておりますが、その三つのものをまとめて買うようにただいま交渉中でございまして、これに関する引き継ぎが来年の六月までに行なわれることになっておりますので、まだ時間的余裕もございますので、現在価格について交渉中という段階でございます。
  83. 安井吉典

    安井委員 新聞によっては相当詳しい報道もあるようでございますが、ナイキ八十発、ランチャーから目標追跡レーダー等の一式を全部七億五千万円とかいうふうな報道もちょっと見たわけでありますが、それはどうなんですか。
  84. 黒部穰

    ○黒部政府委員 その新聞報道は私よく存じておりませんが、ナイキが約八十発という数字は正しゅうございます。指揮管制装置が何か金額も仰せられておりますが、その分は何を意味しているのか、どうもちょっと判断がつきかねるわけでございます。
  85. 安井吉典

    安井委員 核弾頭それから非核弾頭ですけれども、非核であるということは確認しているわけですね。それからまた改造等が必要だと思いますが、その点はどうですか。
  86. 黒部穰

    ○黒部政府委員 ナイキハーキュリーズというのは核、非核両用の形のものでございます。五月十五日現在では、これは全部通常弾頭がついているものと思います。昨年調査団が行きまして、全量ではございませんが、ある程度のものはミサイル、つまりたまについて実地に調査をいたしております。もちろん、その場合は見たものの全量は通常弾頭であったわけでございます。五月十五日ではおそらく、確認はいたしておりませんけれども、通常弾頭になっていると思います。  それからお尋ねの非核化改修工事でございますが、これは核の弾頭がつけられないように改修いたすわけでございます。本土にありまするのはナイキのJタイプというふうに申しておりますが、このJタイプと同じ形に改修いたします。改修の工事は、引き継ぎの際に、本土から自衛隊手持ちの国産のJのものを持ってまいりまして、買い取りましたハーキュリーズタイプのものを日本へ持ち帰りましてJタイプに改修するわけでございます。
  87. 安井吉典

    安井委員 いまはずっとまだアメリカがやっているわけですね。それで、いつごろこの買い取りが行なわれることによって、アメリカ日本との受け継ぎが行なわれるお見込みか。
  88. 久保卓也

    ○久保政府委員 おっしゃるように現在は米側でやっております。そしてこの夏ごろから逐次要員が派遣されまして、訓練を米側と一緒にやってまいります。そして来年の六月末に完全に引き継ぎをするということになります。
  89. 安井吉典

    安井委員 現在のアメリカ側が使っている位置そのままですか。
  90. 久保卓也

    ○久保政府委員 いまのところは米側が使っているところそのものを使用したいと考えております。
  91. 安井吉典

    安井委員 もう二十五分過ぎてしまって、これはもうどうしようもありませんけれども、まだ話し合いが続いている最中だと言いますから、さらにもう少し進んだ段階で問題について伺うことにして、きょうはこれで終わります。
  92. 池田清志

    ○池田(清)委員長代理 中谷鉄也君。
  93. 中谷鉄也

    ○中谷委員 内閣委員会その他ですでに質疑が出たようでありますけれども、いわゆる久保論文、防衛局長御出席になっておられますけれども、非常に注意深くお書きになっておられる論文であって、私もスタンドポイントは違いますが、できればこれに対する反論等も書いてみたいとは思っております。  すでに防衛局長が参議院において見解を述べておられますが、内閣委員会等で防衛庁長官も御見解をお述べになっておられるかもしれませんけれども、私あらためてこの機会にお尋ねいたしたい点がたくさんありますが、一点だけきょうはお尋ねをしておきたいと思います。  それは、いわゆる論文を引用いたしますが、次の点であります。「核装備については、国民感情を考慮してアプリオリに「論ずべきではない」との環境が」日本にはある。「また、政治面でも非核三原則が政策」、傍点をお打ちになって、「として天の声のように受け容れられている。米国を始めとする諸外国では、少なからず日本の核装備が理論的必然性として受け取られているのに、日本では、非核政策についての理論的説明がなされていない。」というふうにこの論文が問題を提起をされて、あと中略をいたしますが、「したがって日本としては、核装備することが」、これは私の挿入でありますが、安保条約がなくなりあるいは安保条約が存続するにかかわらずという意味だと思いますが、「したがって日本としては、核装備することがわりに合わない政策であることを論理的に説明するとともに、適当な時期に核兵器不拡散条約についても批准を行ない、国内外の懸念をはらしておくことが必要であろう。」云々、こういうふうに言っておられます。そこで、要するに核装備することがわりに合わない政策であることを論理的に説明したいという、また説明すべきであるという、ここに私は新しい提案というか、久保防衛局長一つの持論があるというふうに、私、読み間違いがあるかもしれませんが、読ましていただきました。  そこで、なるほどそれはそれとして、国民感情の面からあるいは「政治面でも非核三原則が政策として天の声のように受け容れられている。」ということ、このことも意味があり非常に重要なことでありまするけれども、「核装備することがわりに合わない政策である」、この点についての説明をしてくれと言えば、これも私、声を出して長官に説明を求めることになりまするけれども、ひとつこの項に関連をいたしまして長官の核問題についての、いわゆる核装備についての考え方、従来なるほど総理やあるいは防衛庁長官、外務大臣が述べておられる非核三原則云々ということではなしの、この久保論文が提起している観点からの長官の御見解をひとつ承っておきたいと思います。
  94. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 久保論文につきましては、本人がそこにおりますから、あと本人の率直な主張についても時間が許せばひとつ聞いてやってもらいたいと思いますが、要するに個人的といいますか、防衛局長と個人久保卓也とどう区別するかということになりますと、これまた非常にむずかしい問題になりますが、防衛担当の責任者の一人として私案といいますか、一つの方向を主張したもの、こういうふうに私、受け取っておるわけでありまするが、あくまでこれは個人的なものである、防衛庁自体の見解ではない。もし防衛庁の見解にしていくためには、これが一つのたたき台としてものを言う場合はあろうかというふうに思っておりまするが、同君の主張は、一口に言いまするならば、日米安保保障条約というものは、アメリカ側からいって基地の提供は受けるが、アメリカが危険にさらされたときに日本は何ら貢献したいのではないか。アメリカの危険な場面においては何らメリットがないではないか。ただ日本の平和、安全、極東の平和維持、こういった面で日本基地を提供しておるだけだ。これは双務条約とは言いがたいので、こういう条約は破棄したらどうだ。むしろ、アメリカの議員の間においてもいろいろな議論があることは御承知のとおりであります。したがって、そういうアメリカ側のいろいろな意向というものを踏まえながら、日米安全保障条約の必要性は十分認めつつ、しかし先方がもしこれにいろいろ反応してきた場合に、日本としてはどうあるべきかというあたりを探索しながら、あの論説がなされたものというふうに私どもは受け取っておるわけであります。  そして、久保君のこの核政策についての主張は、私全く同感でありまするが、日本というものは領土が狭隘である、そこに一億の人口が蝟集しておる。核というものは、ある日突然先制攻撃がなされる。それがABM網という形になって対決姿勢になるわけですが、この攻撃を受けたときに、いわゆる第二撃、第三撃によって相手の死命を制していく。そういう場合に、日本の場合は、それこそ第一撃で、もう日本全体というものが相当致命的な被害を受けるのではないか。二撃、三撃によって報復攻撃をしても、領土の広いソ連であるとか、あるいはアメリカであるとか中国であるとかいうような、広大な領土に人口が適度に散らばっておるという地理的位置と違って、核兵器というものが、日本そのものにとって、決して対決姿勢に入るとするならば好ましいものではない。これは久保君の一貫した主張のようであります。時間が許せば本人の主張を聞いてやってもらいたいと思いまするが、私は、全くその点については、数年前から同君の主張を聞いて同感の意を表しておるわけです。  しからば日本はどうするのか。非核三原則だといいながら、日米安全保障条約のもとでアメリカの核のかさに入っておる。この核のかさは一体だいじょうぶなのか、だいじょうぶであります、アメリカの為政者はそう答えます。軍当局もそう申します。われわれもだいじょうぶだと確信を持っておりまするが、非常に理論的になってくるというと、これはやはり見解が分かれるところであろうかと思います。それが先ほど安井先生の御質問になった、今度の戦略核兵器を不行使する、制限をするというようなことによって、日本の安全度というものが、少なくとも強大国同士の衝突というものが回避され、平和安定の方向に向かったということは、私はやはり広義な意味からいって非常によかったというふうに評価するものでありますが、核兵器というものが日本にもたらす効用というものは、久保君の判断というものが正しかろうと思います。  それでは、日本は手をこまねいて非核三原則だけを推し進めておれば、それでいいのか。これも私個人の見解でありまするが、平和利用については幸い合意があります。これは、自民党から共産党まで各党の合意があります。したがって、この平和利用の面において、兵器製造というものとは完全にオーバーラップするといわれますが、非核三原則というものは正しい政策として推し進めておりますし、国会の決議もあるわけですから、これをもっと世界に徹底させながら、日本の平和利用面における核の研究開発、こういったものをもっと旺盛に行なうことはできないか、これは私は、この次の内閣にもひとつ強く反映させるように、政治家として働いていきたいということを思っておりますが、核兵器の犠牲者だったから、核兵器は持たないんだなんということは、これは理論でも何でもない、感情論です。ですから、この核兵器の犠牲の日本人であるならば、この核エネルギーを人類生活にどう貢献させるか、すなわち、人類がこれを征服するということにおいて、核エネルギーというものを日本人は犠牲者であるが征服をした、こういうことになるのではなかろうか。何か核に対する努力というものが、日本においてまじめになされていなければ、やはり私は核時代というものに発言権を失うのではないかというふうに思っておりまするが、これはまだこれからそういったことを推し進めていく段階でありまして、いまそれを申し上げてみたからといって、にわかに科学技術庁が活発な活動をしていくわけでもありませんから、一つの将来に対する展望として、私はそんな理想を持っておるということを申し上げたいと思います。核政策の評価については、久保君から申し上げる時間があればお許しを願いたいと思います。
  95. 中谷鉄也

    ○中谷委員 書くことと、そして語ることとにはだいぶ差異もありますし、こういう一間一答必ずしも正確でないわけでありますし、こちらはやはり書いて反論気がまえでおるわけですので、そのレポートの一部だけを引用させていただいて、局長の見解を求めるということは必ずしも適当でないかもしれませんけれども、すでに参議院等においても御答弁があったように私伺っております。論文を引用させていただきますが、「米国を始めとする諸外国では、少なからず日本の核装備が理論的必然性として受け取られているのに、日本では、非核政策についての理論的説明がなされていない。」中略をいたしまして、先ほど引用いたしました「核装備することがわりに合わない政策」要するに核装備マイナス論というようなことを言っている人もいるようでありますが、これを論理的に説明することの必要、こういうふうに述べておられると思うのです。そこで、この「非核政策についての理論的説明がなされていない。」ということは、非核政策についての理論的説明をなさろうとする意欲をお持ちになっておられると思う。同時にそのことが、イコール「わりに合わない政策」であることを論証されようとしておられると思うのです。長官の御答弁理解できたわけですし、研い時間の質疑応答としてはこの程度とは思いますけれども、ひとつ局長のほうからこの点について逐条的と申しますか、列挙的に御答弁をいただきたい。
  96. 久保卓也

    ○久保政府委員 大ワクはいま長官が申されましたようなことでありますが、核兵器を議論する場合には、戦略核と戦術核を分けて考えるべきであろうと思うのです。戦略核は憲法上持てないことになっております。かりに憲法の問題をはずして考えてみますと、その場合に、いまちょうど長官が言われましたような小国と非常な大国との間では、核交換、核を相互に有し合うということがペイしないということであります。  一例を申し上げれば、アメリカの人口の多い都市から五十をとってみますと、アメリカの場合はそのうちに四割入ります。中国の場合は同じ五十をとりますと七%しかありません。おそらく日本の場合には五十をとればアメリカよりもっと高くなるであろうと思います。こういった点を数字をあげて、あるいは工業生産力なんかも含めまして、いかにペイしないかということが言えようかと思うのです。  それから戦略核の場合に陸上基地、これについては土地の取得もほとんどでき得ないでありましょうし、抑止力としてやれるだけのものを地上に設置することはほとんど不可能でありましょう。そうしますると事実上考えられるのはポラリス型の潜水艦である。ポラリス型の潜水艦を広大な大国に対して抑止力として有用であらしめるためには、おそらく数十隻要るであろうということになりまして、これを維持することのみならず、ポラリスを持てばそれでよいというわけでもなくて、戦術核までも持たなければなりませんから、これはあとで申し上げるその不利さというものが倍加されるということになろうと思います。  それからまた、いわゆる潜在核所有国と申しますか、あるいは少なくとも核保有について議論の行なわれている国が幾つかあります。たとえばスウェーデン、アラブ、イスラエル、インド、スイスといったような国でありますけれども、これらはいずれも戦術核のことであって、戦略核は持とうとしてはおりません。そこで戦術核のほうになりますと、かりに戦術核を使うといたしましてもその場所があるであろうか。人口、産業その他が集中をしておる狭隘な日本ではそういう場所がたい。ところがいま申し上げましたような核保有についての議論が行なわれている国については、戦闘場面を想定いたしまするとそれぞれ戦術核を使う場所があります。一番簡単な例で申し上げますると、たとえばインドですと中印国境、つまりヒマラヤ山中の高原数千メートルのところ、しかがって人口その他がほとんどいないというようなところでありますから、これは使えるということであります。そういうような戦術核を使う場所が日本ではない。ですから、かりにある戦闘でわがほうが戦術核を使ったために勝つことがあっても、全体の戦争を失うであろうということは、そこには書いてありませんが、別の場所で申したことがありますけれども、したがって戦争目的を達成することにならない。のみならず、わがほうがかりに核装備をするとしましても、核については後発国でありますから、相手の有利な兵器をわがほうがとるということはあり得ないということでございます。  それからまた、かりに核戦争を考えるといたしますると、核兵器を持つだけではいきませんで、通常装備について対核の準備、対核装備をしなければいけません。それでは従来の、核装備をすることによる通常兵器の整備が非常におくらされるのみならず、対核による経費上の圧迫というのがあります。また、かりに装備について対核装備をいたしまして、自衛隊のみ生き残って国民が生き残れないのではいけないということでありますから、いわゆる民防、国民が核戦争から生き残れる施策を講じなければ全体の政策としては一貫いたしません。いつかアメリカでシェルター論争が行なわれたとおりでございますが、そういったことをやるためには膨大なものがかかる。したがいまして、たとえば核装備をするために経費が一兆円要る、二兆円要るということだけでは済まないのでありまして、全体をやるためには相当ばく大な経費が要るものである。そういうことをするならば、むしろ外交その他のいろいろな手段を講じてやったほうがよろしい。核戦争というものはわれわれは予想できませんけれども、かりにそうなった場合には、核には核で戦うということではなくて、むしろどのようにして戦争を終結するかということを考えたほうがよろしいということであります。また、このような日本の脆弱な体質では核が使えないということであれば、かりに核を持っておってもそれは抑止力にならないというようなことであります。  おおよそではありますが、大体そういう方向であります。
  97. 中谷鉄也

    ○中谷委員 さらにレポートについては精読をさせていただきます。私、思いますのに、防衛庁の従来の態度は、立場が違いますけれども答弁等においても非常に専守防衛でありまして、防衛庁の幹部の人がこういうふうに国防その他に関してどんどんレポートをお書きになることについては、私は非常にいいことだと思います。まあそれだけに、私も最後の士官候補生ですから、これについては若干の時間をいただいて、反論を書かしていただくことをひとつお約束をしておきます。  そこであとは、今度はたいへん実務的な問題に移りますが、本国会で、私は民法六百四条の問題について政府の統一見解を求めました。山梨県の田邊知事が北富士演習場の再契約を拒否する方針を明らかにして、そのことを防衛庁に通告をしたことは明らかな事実であります。  そこでまずこの点について、山梨県があくまで再契約を拒否するという場合、はたして——まあ納得を重ねるあるいはまた了解を得る努力をするということは、政府の従来の御答弁でありまするけれども、地方公共団体、特に県というふうな団体に対して、安保条約に基づく土地特別措置法などというふうなものを適用することができるのだろうかどうか。私はこういうふうな疑問をまず政治的に持ちます。政策的に持ちます。同時に法律的にも、土地特別措置法などという法律は地方公共団体が契約を拒否したというふうな場合を想定していないもの、その特別措置法自体から、そういうふうなことは法律的に導き出されるものではなかろうかと思うのです。  そこで、いずれにいたしましても山梨県知事の決意がかたい、しかも世論の支持があるという状況において説得をされるということは、それはそれぞれの立場がありますからけっこうだと思いまするけれども、少なくとも、いわゆる土地特別措置法などというものを適用するなどということはあり得ないことだ。こういうことが政策的にしろ法律的にしろ——私は法律的に適用しがたいものだと思っておりますけれども、この点について、政策的という点からは長官の御答弁法律的という点からは施設庁の御答弁をひとつ承っておきたいと思います。
  98. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 六百四条の問題は、中谷委員の御質問から端を発して、まあ法務省の見解が出たわけであります。したがいまして、私どもとしてはやはりあくまで話し合い、了解を求める、こういう態度で今後話し合いをしていきたいと思います。先ごろ、私を田邊知事、訪問されまして、いま御質問のあったような話でした。私は、静岡県の東富士演習場の例もあるから、どうぞひとつ契約に応じていただくということで、今後ともよろしくお願いしたいということを再三にわたってその時も懇請したわけですが、いや、きょうはそういうことで来たのではないから、自分たちの拒否ということでの申し入れをしてまいりますと、はっきりそういう答弁がありました。しかし、私どもも、もともと田邊知事も代議士であった人でありまするから、私が誠意を込めて懇請をし、条理を尽くしてお願いをすれば、だんだんお話しに乗っていただけるのではないか、こう思っておりますが、いやそうならなかったらどうするか、これが質問の要点なわけですが、私どもはそうならないというようなことを想定しないで、あきらめないで、条理を尽くして懇請を続ける、こういう姿勢でおるわけであります。おそらく国会でも終わりましたら、私一ぺん甲府に参りまして、しみじみ田邊知事に懇請でもしてみたい、こう思っておるくらいでございます。法的な面については政府委員からお答えをいたさせます。
  99. 薄田浩

    ○薄田政府委員 お答えいたします。  ただいまの御質問は、山梨県の県有地の問題というふうに限定して伺わしていただきたいと思いますが、実は県有地につきましては、長年施設庁側と県側との意見の相違がございます。実は県側は、あれは行政財産であるので使用許可である、われわれは当時、民法による契約である、こういうことで、数年来意見が一致しておりませんで、われわれとしてはいわゆる借料を供託しておる、こういうことでございます。それで、むしろ山梨県の御主張は、毎年更改のときに使用許可ということでいろいろ御議論があるのがしかるべきではないかと、実はわれわれ事務的には思っております。今回先生の御指摘によりまして、民法の終期が来た、こういう賃貸借のほうの議論で、県知事さんのほうから、七月二十六日に終期になる——この辺の議論われわれ理解いたしかねるので、むしろ毎年四月の使用許可、従来おっしゃっていることの筋をお通しになるなら、使用許可ということで御議論いただいてしかるべきじゃないか、これが実態でございます。  先ほど大臣答弁になりましたように、事務的にも、大臣おんみずからも御交渉なさる、それから絶対に誠意を尽くして交渉しろということで、われわれ施設庁は力を尽くしておりますが、まあ先生の御質問のような事態を実は想定いたしたくないのでございますが、現在努力をしておるものですから、そういうことでございます。  それから、一方、法律的な問題でございますが、これはまだ関係の法制当局と詳細は詰めておりませんけれども特別措置法というものはいわゆる土地使用の権限を取得する一つの方法論を書いてあるわけでございまして、対象が個人であるとか行政機関、地方公共団体であるとかいうような区分けを法律上はしていない、こういうふうにわれわれは解釈しております。ただ、いままでに地方公共団体を相手にこういうものを措置した例はございません。ということは、むしろ地方公共団体は、国家機構の一端として国の施策に御協力いただいておったというのが実情ではないかと思います。それで法律的には、いま申し上げたように、私は必ずしも地方公共団体を対象とすることにそぐわないものとは思っておりません。
  100. 中谷鉄也

    ○中谷委員 長い経過と、むしろ歴史を持った紛争でありますから、私もこの問題についてこれ以上お尋ねをいたしませんが、少なくとも必要かつ合理的な問題として、地方公共団体の首長がかたい決意を持って再契約を拒否したというような場合は、法律適用が不可能となるのではないか。まずそういうような場合を予想していない、同時にまた、私はそもそも、政府委員答弁になったように、地方公共団体というふうなものは、法律の趣旨からいって除外されているべきものだ、かように思います。しかし、この点についてはかなり理論構成をして論議をいたしますと何時間もかかりますので、この程度にいたします。  それでは、きょうはもう一点お尋ねをいたしたいと思うのであります。これは考えようによりますと、それほど大きな問題ではないのではないかとも見られますけれども沖繩現地においては非常に施設庁に対する不信感を招来いたしておる問題として、問題を提起をしておきたいと思います。  統一契約書、土地建物等賃貸借契約書の第二十三条を、土地建物等賃貸借契約書に関する運用解釈についての了解覚書ということで、昭和四十七年五月九日、社団法人沖繩市町村軍用地地主会連合会会長比嘉氏と防衛施設庁次長の間で了解覚書が取りかわされております。それで問題の二十三条は、「甲は、本契約の存続中、乙の承諾なしに本賃貸物件及び本契約から生ずる権利義務を第三者に譲渡し、又はその他の物権を設定することはできない。乙の承諾を得て第三者に賃貸物件が譲渡された場合においては、甲は、本契約を譲受人に承継させなければならない。」甲が地主、乙が国であることは契約から明らかであると思います。  そこで覚書によりますと、「甲は、本契約の存続中、本賃貸物件及び本契約から生ずる権利義務を第三者に譲渡し、又はその他の物権を設定する場合においては、乙にその旨を通知すれば足りるものとし、第三者に賃貸物件が譲渡された場合においては、甲は本契約を譲受人に承継させるものとする。」まず指摘いたしたい第一点は、第二十三条からこういう了解覚書というものを引き出すということは非常に困難であろうかと思うのであります。そこでお尋ねいたしたい点は、まず二十三条というふうな条文がどんな理由で、一般賃貸借契約の中に、私人間の一般賃貸借契約の中にはありそうもない、二十三条というような規定が、統一契約書の中にまぎれ込んできたのか。こういうふうな契約書を、こういうふうな条文を書かなければならなかったというメリットは一体どこにあったのかという点、これが第一点。  なおこの了解覚書は、社団法人沖繩市町村軍用地地主会連合会と防衛施設庁次長との間の覚書であるけれども本土の契約についてもこの了解覚書は適用されることになるのかどうか。だとするならば、むしろ二十三条そのものを抜本的に改正するか、あるいは了解覚書を二十三条として入れるのでなければ、いわゆる文理解釈、論理的な法理解釈としては無理があり過ぎるというのが私の考え方であります。この点についてひとつ政府委員の御答弁をいただきたい。
  101. 薄田浩

    ○薄田政府委員 お答えいたします。  二十三条は、実は内地におきまして米軍に提供しております土地等の賃借料の契約書のフォームを今回沖繩で使ったわけでありまして、その当時つくりましたときには、はやり米軍に円満なといいますか、完全な形でいわゆる土地等の使用を供したい。その上に抵当権とかいろいろな物権等がやはり混在するということは好ましくないという、こういうポリシー的な考えからこの条文が入った、こういうふうに了解しております。  それから今回、私のほうの次長と現地の軍用地地主会連合会会長さんとの間でございますが、これをかわしました運用解釈でございますが、これは確かに御指摘のように、本来、この中に入れるか入れないかという議論もいたしました。ただ、諸般の事情で、次長と会長さんとの覚書という形になっておりますが、この精神は少なくとも、私のほうの庁の代表者と現地の方々の代表者格の方とのお約束でございますので、この精神は契約書のほうになるべく繰り込みたい、こう思っております。  それから、内地のほうにつきましては、まだこういうお話はございませんけれども、要望なりあるいは私のほうのいろいろの法律上の検討が終わりましたら、こういう了解覚書の趣旨のものを盛り込むということも現在検討いたしております。
  102. 中谷鉄也

    ○中谷委員 時間がまいりましたけれども、私、おかしいと思うのですよ、施設庁の考え方は。二十三条というのは、非常にとにかく国の都合、国のかって、国の気ままに基づくところの条文だと思うのです。そうして私がまず法律的に指摘したいのは、二十三条の運用面、二十三条をどれだけひねくり回したって、運用覚書の内容はとにかく出てきませんよ。だから、二十三条は、私はこれは法律的にはこれを抹消して、そして運用覚書をあらためて契約の内容とするということで、運用覚書というものを理解するわけなんです。そういうことが法律的に見て、あるいは地主の権利保護の面から見て、正しいんだという考え方で私はあろうかと思うのです。人が言うたから、要望があったからそういうようにする、要望がなかったらほおかぶりにしておくというのは私はおかしいと思う。いまの本土のほうにはそういう要望があればそのとき検討するというふうな、それは私非常にとにかくお上的な、役人的な考え方だと思うのです。二十三条を削除しなさいよ。——しなさいよという言い方は非常におかしいですけれども、運用覚書そのものを沖繩関係においてお書きになった以上は、本土においても当然そうされるのが私は正しいと思うのです。要するに、二十三条というのは、あまりにも地主の権利を制限したところの条文であることは言うまでもないと思う。ですから、了解覚書というふうなことで、法律的には間違いがないことになるんでしょう。地主の権利が、要するに了解覚書のほうでいくんだというんですけれども、これはたまたま問題に——いかに施設庁に対する不信感を持ったかというと、こんな条文を一々読んでなかった、たまたま二十三条に気がついた、それで大騒ぎになったという経緯があるわけでしょう。そういうことを考えてみましたら、あやまちは改むるにはばかるなかれですから、全体としての統一契約書の二十三条というのは削除して、運用覚書を入れるという方向でやるべきじゃないかと思うのですが、それが本土の地主のほうからの要望があったら検討するポリシーの問題だというんじゃなしに、私は、まさにそういうことこそ統一的に契約されなければならない問題だと思うのです。二十三条について早急に運用覚書のかっこうに改める、それを沖繩本土を通じて改めるということを私は御答弁をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  103. 薄田浩

    ○薄田政府委員 お答えいたします。  私の答弁の中で、本土には要望があればというようなことを申し上げましたが、一応それは取り消しさせていただきたいと思います。これは、実は法律上も検討いたしまして、こういう形の覚書にすべきであるか、むしろ二十三条に組み込むかということで相当議論いたしたわけでございます。確かに導き出せる結論としては、こういう覚書は実は法律論から出てこないわけでありまして、それからもう一つ、ただ、長年こういうふうな形でやってきましたので、このチャンスに直すか直さないかという議論をいたしました。ただ、今回の場合は、覚書でやりましたが、先生御指摘の点もございますし、われわれも内部でもいろいろ意見がございますので、早急にこの件をどういう形で取り込むか検討いたしたい、こういうふうに思っており。
  104. 中谷鉄也

    ○中谷委員 それじゃ、終わります。
  105. 池田清志

    ○池田(清)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これで散会いたします。     午後五時六分散会