○安里委員
沖繩の
復帰にあたりまして一番問題になり、また
県民の心配した問題は、軍事基地の問題と、もう
一つは経済問題だといわれておりますし、また指摘されたとおりであります。基地問題につきましては、B52の飛来というような問題が起こりまして、そこに
県民の大きな
復帰に伴う不安というものが現実になってあらわれてきておりますが、この問題はさておきまして、いま
物価問題がいろいろと取り上げられたのでありますが、これは直接に庶民生活に影響を及ぼしておるだけに、
復帰に対しまするたいへんな問題が現実に起こっているということは、もうすでに御承知のとおりであります。ただ私は、
物価問題というものはたいへんむずかしい問題だと考えております。単に理屈だけでも割切れない問題がありますし、本来の理屈からいいますならば、国内におきましても
物価問題というのは政策的にもたいへん処理のむずかしい問題でございますが、
沖繩の返還という、しかも通貨問題に対しますいろいろな
変動の時期、悪い条件が重なっておる時期の
復帰でございますために、二重にも三重にもしわ寄せがきているのだ、こう私は考えております。
物価を左右しますのは金融面、
生産面、
流通面、三本の大きな柱があるとよくいわれますけれ
ども、今度の場合におきましては、
流通面という点が最も大きく左右しておりますし、しかもそれには、先ほど長官も言われました心情的な問題が大きく加わっておるものだと私は考えております。
そこで、三つのいろいろな
原因をおっしゃったのでありますが、そのとおりだと思います。しかし、その裏にあるところのもう
一つの大きな基本的な問題は、
沖繩復帰に対して、
政府のとりましたいろいろな処置に対します
一つの不信感というものが底を流れておるのじゃな
いか、私はこう思います。それが心情という問題にも影響してくるんじゃな
いか。と申しますのは、
復帰前から、ことにまだ円の
切り上げという問題が表面にあらわれてないときから、
沖繩の場合におきましては、一
ドル三百六十円で
復帰前に切りかえろというところの要求がございましたし、これに対しまして逆惑を及ぼさないというようなことも総理自身言われておりましたし、そうしてまた、
復帰対策要綱の中におきましても第一に示されておりますのは、「通貨の交換は、公定の交換比率を基準とし」交換するということでありましたし、この場合の「公定の交換比率を基準とし」ということは、
沖繩県民としては三百六十円を頭に置いておったということもいなめない事実でございます。その後、
変動相場制に移行いたしまして、これに対しまする
措置も、もちろん差損補償の
措置がとられたのでありますが、これ自体のやり方に対しましても不信感があったと思います。本来ならば、ほんとうに
沖繩のことを考えておるならば、
ドルを使っておった
沖繩だけは
特別に
変動相場制に移行すると同時に方針を示されて、そうしてそのやり方も
沖繩であれするのではなくて、
本土において処理するという方法もあったんじゃな
いか。おくれて現地
沖繩において処理するというような方向だったために、その間にもいろいろな問題が起こったということもいなめません。さらにまた、
特別措置に関する
法律によりましては、いまの
対策要綱の公定の交換比率を基準とするということが変わりまして、つまり
復帰の日前における外国為替の売買相場の動向を勘案して、内閣の承認を得て大蔵
大臣が定める額、こういうふうになりましたし、この場合の
沖繩の受けり方も、法文においては、外国為替の売買相場の動向を勘案して、そうして内閣の承認を得て大蔵
大臣がきめる、こうありますけれ
ども、正直な話、この場合は三百八円という
レートが設定されておるので、一応この線じゃな
いかというようなこともまた期待をされたものだと思います。それが三百五円ということになりました。ですから今日までに至りますいろいろな状況を考えてみますと、
政府に対する期待と、それから言っておることと、
沖繩の
県民の受け取る側と、実際やったこととが非常にちぐはぐになってきて、当てにならない、こういう不信感というものが底を流れておったんじゃな
いか、こういうふうに私は思うわけであります。
大臣があげられましたところの三つのこと以外に、その裏にはやはり不信感というものが底を流れておるんだ、これが心情的にも大きく影響しているんじゃな
いか、そのように私は見ますけれ
ども、
大臣とされまして、その点についてどのようにお考えでございましょうか。