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吉野政府委員 一九六九年十一月の佐藤・
ニクソン共同声明の第四項の末尾にあります
ベトナムにかかわる再
協議条項でございますが、これに関するわれわれの
解釈は、あくまでも
米側と
沖繩協定を交渉している最中に、たとえばある
条項がきまってしまっておりましても、その間に何らかの
ベトナムにおける
事態が発展いたしまして、一たんきめた
条項も、
米側としてはちょっと変えてほしいというような場合には再
協議する。あるいは、たとえば
復帰の日が当時四月一日あるいは七月一日というふうにきまっていたとしましても、ちょっと
復帰の日を延ばしてくれ、こういうような場合に再
協議する。こういうようなことを予定していたのが大部分でございます。したがって、すでに
協定自身には昨年の六月十七日にサインされ、しかも
返還日もことしの五月十五日にきまり、しかもその間に
アメリカ政府は上院の
承認があり、わが国においては国会の
承認があった、こういうような
事態においては、もはや再
協議条項による
条項の改変はあり得ないというのがわれわれの
解釈でございます。したがって、この再
協議条項による
沖繩協定の
条項の
変更ということは、もはやわれわれとしては予定していないというのが
現実でございます。そしてまた、この再
協議条項は、もっぱらそのような目的に行使するためにつくられたのじゃないかとわれわれ考えております。
しかしながら、万一
米側がこの再
協議条項によって、すでに発効しておる
沖繩返還協定について何らかの考慮を求めてくるということも、まあ理論的にはあり得る。しかし、その場合に
政府としていかなることができるかと申しますと、これはすでに
沖繩協定が書いてあるとおりに決定しておりまして、それによりますと、第二条、第三条によりまして、
安保条約及び
関連取りきめが全部そのまま適用されるわけでございますから、したがって、
ベトナムの新
事態のために
沖繩協定を
解釈によって曲げることは何らでき得ないわけでございます。すなわち、この際、唯一考えられるのは、おそらく
事前協議条項において、まあかりにそういうことが考えられるとしたら、
日本側と相談する際に、
日本側がこの
条項を考慮して、考慮するかどうか、こういうことでございますが、いずれにせよ、
事前協議自体は
日本が自主的に
イエス、
ノーを言うというたてまえになっておりますから、いずれにせよ
沖繩は、いまの段階におきましては、この
ベトナム再
協議条項によりまして何ら変化が予想されないというのがわれわれの
見解でございます。