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田中国務大臣 沖繩返還を機に、
沖繩振興開発計画というのをつくって一応スタートするわけでございますが、私は、必ずしも万全なものではないと思うのです。これから
復帰後
住民の意向も十分聞きながら、これから新
全総という
日本の
産業の
未来図というものも成案を得てまいりますから、その中で、やはり最終的にもう一ぺん新
全総の中における
沖繩というものも
考えて、理想的な姿に手直しをしていくべきだと思うので、大ざっぱに申し上げると、第三次
産業はいま御
指摘がございましたように、
本土は
人口比で四七%くらいが三次
産業であります。
沖繩は四六・五でありますから、
人口比率からいうと
本土並みになっております。
ところが、
本土よりも
収入のほうは、
所得比率は同じ人数でもって五三というのが
本土の
数字でございますが、
沖繩は七三・四であります。ですから、そうなると結局どういうことでもってこういう
数字が出るのかといえば、
基地労務者の賃金が幾らか高いという
ところでございますし、また
サービス産業とかいろいろなものでも多少
本土よりも高い。
収入のレベルが一部の
人たちは高いのだ、こういうことが言えるわけでございます。これはもう
数字上非常にはっきり出ております。ですから、
基地経済から脱却をしてまいりますと、七三・四という
収入面の
数字は多少下がってくる、これは
本土並みになってくる、こう思います。そうすると、残るのはどういうことかといいますと、
本土の一次
産業比率は一七・四%であります。
ところが
沖繩は三八・九%。ですから
沖繩の三八・九%という一次
産業比率の中から二〇%、六割くらいを一次
産業から離脱をさして、やっと
本土並みであります。
ところが、
本土はこの一七・四%というのを、
総合農政を続けてまいりますと、十年以内に一〇%以上減って七・四%くらいになると思います。七%くらいになると思います。もっと割るかもしれません。
アメリカはこの
数字に対応する
数字は四・四%であります。
拡大ECの十カ国平均は六%でありますから、どう
考えてみてもまだ一〇%減る。そうすると
沖繩の三八・九%というのは三〇%減らなければいかぬ。八割以上減らなければいかぬ。まあ減るだろう。これは避けがたい、
数字で明らかであります。しかも、
人口比率で四〇%もある
農業人口や
漁業人口でもって、
所得はわずかに八%か九%しか、八・八%でありますから、これではもう生きていけないわけでございます。ですから、やはり二次
産業に
——まあ三次
産業が
限度一ぱいであるというなら、二次
産業に一次
産業から約六割くらいの人が移らなければならない。移ると、その
人たちに与えなければならない
職場、それがいまの一四・六%という二次
産業比率を
本土並みの三五・二%、倍以上であります。だから
沖繩の二次
産業比率というのは二倍半から三倍くらいに、やはり十年、十二、三年、
昭和六十年展望になるとそういうことにならざるを得ません。そうなれば、
沖繩の
若年労働力は
本土に流出をしないで
沖繩の
県民所得の
拡大につながっていくわけでございます。
そうすると、それにはどういうような
職場を与えるかということになるので、それは
公害のないもの、先ほ
どもアルミ工場と言いましたが、これは
アルミナの製造をやるわけじゃありませんから、これは
公害は出ない
アルミ工場というものになるというふうに、
公害というようなものは防除され、除去されるのだということを前提にした
沖繩の二次
産業比率の
向上ということをはかっていくということでなければならない。だから大ざっぱに申し上げると、一次
産業の六〇%くらいが二次
産業に移る。二次
産業というものを発達せしめるためには、先ほど言った
電力とか水とか、
港湾の
整備とか
交通網の
整備とかということが
考えられなければなりません。私は、
沖繩の
本土並み以上の
経済というものは十分可能である、こういう
考え方に立っておるわけであります。