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山中国務大臣 一ぺんに並べられましたので、簡潔に
答弁してまいります。
円・
ドルの一
ドル三百六十円による
復帰前即時切りかえ、これが県民すべての要望であることは私も承知いたしております。アメリカも、いままで施政権即布令、そして通貨を定める権利というようなことを言っておりましたが、サンクレメンテにおける折衝で、そのことはもう言わなくなりました。あとはアメリカが、日本
本土の為替
管理法みたいなものを、布令にかわる新しいものとして出してくれるかどうか、あるいは、いやならば、
琉球政府の出した
本土の為替
管理法的なものにアメリカが従うかどうか、そしてまた
復帰前であるならば、施政権者であるための当然の権利として、米側軍人その他の非
居住者の持っておる
ドルも全部交換をしろという難題について、どのように対処できるかという問題が大きな問題としていま具体的な技術問題で議論がされておるところであります。
通貨の問題は大蔵の専管事項でありますが、大蔵としては、
復帰前に切りかえる場合であっても、それは実勢レートでなければ切りかえられないという
意見を、これは筋として述べております。しかしそれは、実勢レートだと、現在は三百八円も割り込んでおる円高相場でありますから、
ドル安相場と言ったほうが
沖繩の人にはぴんとくるはずでありますが、そういう相場でありますから、こういう
状態の実勢レートでかえられたのでは、これは何のために
復帰前交換を要望したかというメリットはほとんどなくなる。そうすると三百六十円でなければならぬのだということになりますと、昨年、一応
琉球政府と相談をして、抜き打ちに、日本人のみの持っておる
ドルについてチェックをした二百六十億、現在の実勢レートでいけば三百億近くなりましょうが、それを御破算にしなければ、現実においてはほとんど、九五%を上回る流通
ドルの差額についての二重支払いになるという問題について、政治的に、また
琉球政府の立場からも、
実態的にもきわめて困難なことである。しかし、それならば二回かえるということができるかということについては、これはやはり私自身も二回
——ほとんど同じ
対象の
ドルに対して、県民の所有者も変わっておりますから、二回でもいいという
意見もあるかもしれませんが、そこまでは踏み切りきれないという問題等をいまやっておるところでございます。
なお、賃金読みかえ等については、許認可料金等の、実際上三百六十円相当の新料金の設定等を認めることによって、
電力株式会社に至るまでの一応
措置できるものは
措置をいたすことにして了承してもらい、また金融機関等について、御承知のような貸し倒れ
準備金の繰り入れ限度額を、
本土においてはもうすでになくなりましたけれ
ども、
沖繩の場合の千分の十を千分の十五まで引き上げて、それによって出ると思われる四億円余のプラスのコストに貢献する金をもって、解決をするというようなことが逐次行なわれてまいりましたが、なおしかし、一般の大多数の人々である中小、零細な
雇用者の方々に対する賃金を読みかえるにあたっての収入増、あるいは消費者価格に転嫁するにも末端価格に転嫁できない
企業の
人たち、かりに転嫁した場合においては、
復帰後は
本土企業に圧倒的に押しまくられてしまって存立できないだろう、こういうような
人たちに対する心配は残っておりますので、一応
琉球政府の要請でありました
産業開発資金融通特別会計に対する十億の追加並びに大衆金融公庫に対する七億六千万円の追加と、第一種に対する、いわゆる生業資金に対する貸し出しも今回は認めようということで何とかやっていけるという
見通しを、一応は両政府間においては立てておるわけでありますが、なお完ぺきであるとは私も思っておりませんので、さらにこの
事態の推移を見守ってまいりたいと考えます。
キビ価格については、労賃を完全に三百六十円に相当する金額の労賃として認めろ、こういうことでありますが、糖価安定法によって、キビは糖価安定事業団のほうで買い入れることになりますから、これは円建てでありますので一番解決しやすいケースの
一つであります。これは問題なく
復帰後円で買い入れられる砂糖になりますので、そのコスト、いわゆる労賃もその中に入りますけれ
ども、これも奄美大島並みに円で計算されることになりますから、この問題は解決することであろうと思います。
その他、農漁民、零細
企業等に対してめんどうを見ろということでありますが、当然パイン等もまた重要な問題でありますが、
本土の果樹共済が、本日の閣議で決定をいたしまして、これが共済制度の中に試験共済の段階を終わって登場することになりました。したがって、果樹の樹体保険の場合においては被害の八〇%を限度、また、くだものそのものについてはこれを七〇%までということで、共済の仕組みの中に入ることになりました。おそらくパインも問題なくこの中に入ってこられると思っておりますので、さらに、キビが地域の作物として共済に
——農民の
人たちが犠牲になる段階をどこまで救えるかという問題である共済にキビを組み込むために、積極的な
努力をしてまいりたいと考えます。これは全国一円の共済の形にはなじみにくいという半面もありますので、もう一ひねりのくふうが必要であろうかと考えます。
国鉄を本島縦貫鉄道の形においてすみやかに敷設をしろという御要請は、これまでもたびたびございましたし、佐藤総理も戦前の軽便鉄道その他のことをよく承知いたしておりますせいか、
検討してみようということを言っております。しかしながら、現在のところはまず道路、それもやはり海洋博とも
関係が出てまいりますので、那覇市から石川までは有料で可能である、しかし、石川から、現在北部市町村会の要望である山岳沿いに名護の上を通って、北部の本部の海洋博会場に一直線に突っ走る高速道路は有料にはできないだろう。したがって、これは、将来の償還のないものとしての国家の投資でなければできないだろうということで、いま
調査団を送りまして、先日帰ってまいりましたので、一両日中に、昭和五十年に間に合うかどうか、これに対する最終的な態度をきめてまいりたいと思いますので、さしあたりは道路建設に全力を傾けます。
鉄道の問題については、
本土の国鉄のいろんな事情等もございますし、敷設した後の通勤者の便には供せられますけれ
ども、貨物運送その他についての貢献はほとんどないと思われますし、島内道でございますから、それらの点をよく
検討してみたいと考えております。
開発予定されております
沖繩振興
開発金融公庫を県営にしろという御
意見は、瀬長さんとしては自分の当然の主張だと言われるかもしれませんが、国策金融機関というものを県営にゆだねるということはきわめてむずかしいと私は思います。したがって、これは政党の違いでありましょうから、ひとつごきげんをそこねないように願いたいと思いますが、
開発金融公庫は県営に移管するつもりは全くございません。たいへん遺憾なことでありますが、この点は
意見が合わないわけであります。
さらに、県、市町村の赤字を完全に肩がわりしろということでございますが、これはすでに予算
措置をいたしておりますように、
沖繩県となるべき
琉球政府がいままで出してまいりましたやむを得ない赤字については、全額国のほうで十カ年にわたって償還するために、大蔵省の予算として十億、自治省の予算として国庫から十五億というものが来年度予算においては処理されたわけでございます。これは、今後十カ年にわたって、
琉球政府の赤字を完全に国の責任において肩がわりして償還に当たっていこうというものでありますから、御
意見と全く合うわけであります。
市町村の赤字については、先ほど門司
委員とも議論をいたしましたように、これは償還について、起債の肩がわりと交付税の手当てをいたしますので、実際上において支障なく行なわれるものと考えます。
そこで、全体の
沖繩県の地方財政に貢献する臨時特例交付金を総額六百億にしなさいということでありますが、その根拠の積算の議論は別にして、現在の予算は五月十五日からの十・五カ月分の予算でございますので金額は少ないように見えますが、この積算の前提となりましたものは、通年予算であれば四十七年は五百十億という金額になっておりますので、五百十億と六百億との違い、多々ますます弁ずという
意味では六百億のほうが、多いにこしたことはありませんが、五百十億の四十七年度予算のベースによって計算された金額であるということは、御承知願いたいと思います。
なお、道路その他港湾等の補助率等については、すでに明らかにいたしておりましたとおりに、予算折衝で確定をいたしましたので、これらのものは法律に、別表に書いてあります補助率の確保はもちろんのこと、その他の補助率についても、全部いままで存在したかつての
本土、
現地を通じて最も高い補助率、さらにまた性格によって、道路、港湾、空港、
漁港等については十分の十の補助をもって実施するということにいたしておるわけであります。
また学校については、お話がありましたが、五カ年間で
本土並みにするための経費を組んでございますし、その補助率は十分の九ということで手当てができるものと考えておる次第であります。