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國場委員 総理府長官にお尋ねいたします。
御
案内のとおり、二十七カ年余にわたる異民族
支配からあと二カ月有余において
復帰するわけでございますが、私が率直に申し上げますと、
復帰の喜びというのは吹っ飛んでしまいまして、このドル・ショックというものに対しての悲哀、先行き不安によるところの
沖繩百万県民の混乱は、まことに言語に絶するものがございます。
御
案内のとおり、山中長官におきましては、率直にいいまして、
沖繩の救いの神さま、こういうようなことで、尊敬の念を持って百万県民が期待しておるのも事実でございます。ところが、御
案内のとおり、物価は毎日のようにウナギ登りにのぼるし、今日まで二十七カ年間においてのわずかながらのたくわえのドルが、きのうの両がえにおいての
交換は二百九十九円でございます。
沖繩の消費生活というのは、八〇%までもその物資そのものは高度成長によるところのいわゆる本土の生産品が消化されておるのも事実でございます。でありますので、いま現にドルの変動相場制から、今日までにおいての物価の値上がりによっての本土におけるドルの吸収、行き先不安によるところのドルの流出、変動相場制から固定相場制に変わったわけではございますが、円の切り上げと同時に、切り上げ幅が小さかったのじゃないか、これがまさしく御
案内のとおり、二・五%の幅を持たしたといえ
ども、それを割りまして二百九十九円
——最高は三百十四円になるでありましょう、最低は三百一円になるでありましょう。ところが、いまの三百八円というものもいつまで持ちこたえるかというのがいま
日本の円の現状でございます。聞くところによりますと、あの登録以後においての
沖繩からのドルの流出は、約七千万ドルといわれておるわけでございます。そこで、こういうような不安の中で、あと二カ月後に
復帰を控えておるわけでございますが、このドル問題に対しての波及というのは、あらゆる面において悪影響をもたらしておるというのが現状でございます。賃金問題にしましてもしかり。私は、こういうさなかにおいて
復帰をするというような深刻なる
沖繩県民の姿、これを
考えました場合に、どうしてこういうようなことになるか。本土におきましては、輸出貿易においての不振がきました場合には、それに対する諸施策、あるいはまた大企業にしましても、税制問題に対してとかあるいは融資問題に対してとか、臨時措置法によってこれがカバーされておるのも事実でございます。ただ
施政権が違うから、
復帰後でなくてはいけない。事実その間持ちこたえることができないというのが
沖繩の現状でございます。
私は、このたび、つい十日くらい前でございますが、環境社交業の主人公が、まだ年も四十七でございました。首つりをしておるのをなまの目で見たわけてございます。といいますのは、銀行に対してのいわゆる融資金が底をついておる。銀行にいわせましても、これは本土において多量に持ち過ぎるところのドルにおいて何か預託してくれぬか、こういうことで、いろいろと
考えたようでございますが、しかし、それは目的を達することができなかった、こういうようなことでございますが、銀行はやはり営利事業でございますから、短期運営資金に対しては事欠いておらない、こういうようなことを言うておるでありましょう。ところが、事実においては、いまさっきも申し上げましたとおり、そういうような変動、行き先不安によって、中小企業に対しての資金融資は、いま
復帰のどさくさにおいて貸した場合において、これが回収できるであろうかというようなことにおいて、事実において貸し出しを拒んでおるのが現実でございます。
大臣はよく御承知のとおり、
沖繩の砂糖の年間における収入は約四千万ドルといわれておるわけでございますが、しかし、去る干ばつにあい、その五五%しかことしは砂糖代も入っておりません。いまさっきも申し上げましたとおりの、いわゆる行き先不安によるところのドルの流出、長期資金においての貸し出しあるいはまたその他において、
沖繩においては弱小資本であるし、社会資本の乏しいような
沖繩でございますから、いざ困った場合に貸してくれ、こういうときにおいてでも、いままでは御
案内のとおり琉銀は長期の貸し出しにおいてもやはりやっておりました。ところが、預託を受けるということに対する貸し出し条件というのが、
復帰のときには返せというようなことになると、いまさっきも申し上げましたとおり、営利事業としての銀行でございますから、やはりそれには不安で貸すことはできない、こういうようなことでいま混乱を来たしておるのが実情でございます。
また、
復帰に対するところの円の格差補てん、その補償問題にしましても、ここに
記録がありまするので御紹介しますと
——ちょっと資料が見当りませんが、今日までにおいて総理府長官の努力によりまして、約二十一億という予備予算を琉球
政府に与えておるわけでございますが、その中のたったの一三%、要求に対しての一四%でございまして、まあいまの価格からしますと、約一五%の物価値上がりとしました場合には、一カ月で約十五億の物価の値上がりで、これを補てんしなくては
沖繩においての消費物資そのものはいままでの正常の値段ではないわけでございます。でありますから、八月から九月、十月、十一月、十二月、一月、二月、まあ三月、今月としますと、半分が一〇%、半分が一五%にしましても約七、八十億です。いわゆる物価高によるところのドルの吸収で、資金源がそれだけ枯渇したというようなことになるわけでございまして、
沖繩の住民生活というのはいかに苦しいかということを
考えるわけでございます。
問題は、この
復帰までにおいてのてこ入れ、賃金問題にしましてもいろいろ複雑な問題がある、また困難な問題もあるわけでございますが、私が申し上げたいことは、何とかしていまのような不安、混乱、これを救済する
方法はありはしないか。大蔵省は、
日本全国の粋を集めた最高の頭のいい方たちのお集まりであるということでございます。私は、そこで大蔵省にことに申し上げたいことは、こういうような苦境の中で、佐藤総理の二十七カ年余にわたる
沖繩の百万県民に対して涙を流すあの気持ちをまともに受けるのであれば、この窮状を何とか
理解して救っていただきたいということをお願いするわけでございますが、いかがでございましょう。長官、それに対してのお
考え。たびたびお会いしましてのお願い、まことに誠意を持ってやられる長官に対して感謝、感激一ぱいではございますが、しかし長官だけでは、金庫を守っておるほうがそれを
理解してやってもらわねばどうにもならない。
差損補てん問題にしましても、琉球
政府にこれでやれということで与えておるということは知っておりますが、しかし、いかなるような面に引っかかりがあるかしれませんが、まあ話に聞きますと、九つの条件があまりにもきついような条件だからこれではだめだ、絵にかいたもちであるというようなこともいわれております。いわゆる本土の寄せられるところの御補助に対して、実行できないというのは那辺に問題があるかということ。それから、いまさっき申し上げましたとおり、枯渇したところのいまの中小企業に対して、あるいはまた破産するところの製糖業とか繊維業者その他、数を数えればたくさんあるわけでございまするが、それに対する運営資金
——なるほど
復帰しますと、振興開発金融公庫によって、そういうものが融資できるというようなことでありまするが、ところが、中小企業に対しての貸し付け条件そのものから見た場合には、
沖繩の現状の業者としては、金は積んでおってもその条件によって金を借りるものは幾人もおらぬ、こういうようなこともいわれておるわけでございます。
でありますので、私は、そういうような
沖繩の現状をよく御
理解いただきまして、何とかそれに対するところの手段を講じていただきたいということを希望するわけでございますが、
大臣、その点に対しましていかなるお
考えをお持ちでございますか、お尋ねいたします。