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1972-04-26 第68回国会 衆議院 運輸委員会地方行政委員会大蔵委員会社会労働委員会農林水産委員会物価問題等に関する特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十六日(水曜日)     午前十時九分開議  出席委員   運輸委員会    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 細田 吉藏君    理事 箕輪  登君 理事 内藤 良平君    理事 田中 昭二君 理事 河村  勝君       石井  一君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    塩川正十郎君       關谷 勝利君    羽田  孜君       増田甲子七君    山村新治郎君       井岡 大治君    勝澤 芳雄君       金丸 徳重君    久保 三郎君       斉藤 正男君    松本 忠助君       宮井 泰良君    内海  清君       田代 文久君   地方行政委員会    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 豊  永光君 理事 山本弥之助君    理事 小濱 新次君 理事 門司  亮君       國場 幸昌君    細谷 治嘉君       山口 鶴男君    和田 一郎君       林  百郎君   大蔵委員会    理事 木野 晴夫君 理事 山下 元利君    理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君    理事 竹本 孫一君       上村千一郎君    奥田 敬和君       中島源太郎君    村田敬次郎君       佐藤 観樹君    平林  剛君       貝沼 次郎君   社会労働委員会    委員長 森山 欽司君    理事 小沢 辰男君 理事 谷垣 專一君    理事 橋本龍太郎君 理事 増岡 博之君    理事 山下 徳夫君 理事 田邊  誠君    理事 大橋 敏雄君       梶山 静六君    田中 正巳君       竹内 黎一君    中島源太郎君       向山 一人君    渡部 恒三君       大原  亨君    川俣健二郎君       後藤 俊男君    島本 虎三君       山本 政弘君    古川 雅司君       渡部 通子君    寺前  巖君   農林水産委員会   理事 仮谷 忠男君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 千葉 七郎君       小沢 辰男君    鹿野 彦吉君       坂村 吉正君    山崎平八郎君       角屋堅次郎君    美濃 政市君        瀬野栄次郎君   物価問題等に関する特別委員会    委員長 井岡 大治君    理事 青木 正久君 理事 竹内 黎一君    理事 武部  文君 理事 有島 重武君    理事 和田 耕作君       石井  一君    上村千一郎君       小坂徳三郎君    坂村 吉正君       向山 一人君    山下 元利君       渡部 通子君    栗山 礼行君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       木部 佳昭君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         大蔵政務次官  田中 六助君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省児童家庭         局長      松下 廉蔵君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         自治政務次官  小山 省二君         自治省財政局長 鎌田 要人君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局参事官  斎藤 誠三君         厚生省社会局更         生課長     角田 耕一君         建設省都市局技         術参事官    今野  博君         会計検査院第五         局参事官    石島 芳夫君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正知君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         日本国有鉄道常         務理事     速水 信一君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出  第四二号)      ————◇—————   〔小峯運輸委員長委員長席に着く〕
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより運輸委員会地方行政委員会大蔵委員会社会労働委員会農林水産委員会物価問題等に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 小峯柳多

    小峯委員長 本案に関する提案理由説明は、お手元に配付してあります資料により御了承願うことにし、直ちに質疑に入ります。  この際、御質疑なされる各委員に申し上げます。質疑者が多数ありますので、関係委員長と協議の上、質疑時間等申し合わせておりますので、何とぞ御協力をお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。塩川正十郎君。
  4. 塩川正十郎

    塩川委員 私の質問時間は三十分でありますので、答弁のほうもひとつ三十分の時間を意識して、簡潔に、しかも要点だけきちっとひとつお答え願いたいと思うのであります。  まず、この両法案審議に入ます前に、運輸大臣並びに国鉄総裁にひとつ所信をお伺いいたしたいと思うのでありますが、御承知のように数日前から、いわゆる毎年恒例となっておりますところのベースアップ問題をめぐりまして、近く二十七、二十八日、これに国鉄も同調いたしまして、ストに入ろうということで騒がれております。しかもこれは非常に多くの迷惑を世間に及ぼすこと必至でございます。そこで、ストの交渉の経過を見てまいりますと、国鉄当局のほうからまだ有額回答すら出ておらない、不誠意きわまるというようなことがいわれておる。ところが現在、この審議いたしております国鉄財政再建、これがきまらなければ何としても有額回答はできないんではないか、普通の企業として見ました場合も私たちはそういうことが当然であろうと思います。何としてもないそでは振れないというのが実態であろうと思うのであります。したがって、そういうことの実態国民にやはり十分知らしめる必要があるのではないか。そこで、これは大多数の国民の方々がたいへんな矛盾を感じておる、私も国民の一人といたしまして矛盾を感じておるのは、組合側の言っておりますのは、合理化反対運賃値上げ反対ということを言っておる。ないそでは振れないと言っている状態であるにかかわらず、そういう合理化並びに運賃値上げ反対、それでは一体どこからそのそでをつくってくるのかということ、この矛盾というものが国民はどうしても理解できないと思うのであります。したがって、先ほど申しました、国鉄ストを中止しなさい、そうして、ないそでは振れないんだけれども、いまそのそでをつくっておるんだから、その間しばらくの間待つべきであるということをはっきり言うことと、それからこの合理化反対運賃値上げ反対を言っておりますけれども、これらといわゆる賃上げとの関係というものを明確にやはり大臣国民に知らしめる必要があるのではないか、私はそう思うのですが、これに対する所信両者からお聞きいたしたいと思うのです。
  5. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの塩川先生のお説、そのとおりでございます。何といたしましても国鉄が自主的に企業体質改善合理化をいたしまして、そして増収をはかるとともに、国民良質サービスを提供いたしまして、そうして陸上の動脈としての目的達成に邁進しなくてはいけない次第でございますが、しかし、今回の問題は非常にゼネスト的の要素を帯びてまいりまして、非常に憂慮すべき事態でございます。その前からやはりいわゆるATS闘争あるいは順法闘争ということで国民に非常に御迷惑をかけておりまして、監督責任者といたしまして非常に恐縮に存じておる次第でございます。やはり労使一体の実をあげまして国民に御迷惑をかけないようにすることがまず先決であろうというふうに考えておる次第でございますので、何しろやはり国鉄支払い能力をつけるということがまず第一でございます。それにはやはり、いま御審議を願っておりますいろいろの財源策をすみやかに御審議を願いまして、財政力をつけるということがまず第一であろうと考えておる次第でございますが、あすに迫っておりますスト回避につきましては、微力ではございますが私も全力をあげましてスト回避できるように、ただいまのところ懸命の努力をしている次第でございまして、けさもそういう意味におきまして国労、動労の首脳者とも会見をいたしましてスト回避につきましての話をして、ただいまここへ参ったわけでございますが、そういう点につきましても、私はあくまでも、早くこれらの法案が通りまして、国鉄がやはり合理的な経営ができて、そうして経営者勤労者一体となりまして国鉄再建に邁進できるような基礎をつくりたいと、こういうふうに思っておる次第でございます。
  6. 磯崎叡

    磯崎説明員 先般来私のほうのいろいろな問題に関しまして非常に旅客、貨物とも国民に御迷惑をかけたことをたいへん申しわけなく思っております。当面は、いわゆる春闘の賃金問題につきましては、私のほうは三月十二日以来いろいろ折衝いたしておりますけれども、御承知のとおり当事者能力以前の支払い能力問題でございまして、支払い能力がないということが現状でございます。しかしすでに組合側からは公共企業体等学働委員会に調停を申請いたしまして、昨日第一回の労使事情聴取が終わったところでございます。私どもといたしましては、支払い能力問題はこれは国会問題でございますので、われわれ端倪することはできませんが、私どもといたしましてはその状況の推移をよく見まして、組合には、少なくともあした、あさっての国民に対する非常に大きい打撃を与えるような、いわゆる違法スト行為に入らないように、最善の努力をして説得し、また事情の好転につとめる所存でございますが、きょうの午後また今晩等が山場でございますから、私は全力をあげてその問題の解決に邁進いたしたいと思っております。
  7. 塩川正十郎

    塩川委員 両者からお話を聞きまして、非常な決心でもって組合を説得する、また一方においては一刻も早くこの再建促進特別措置法措置を実施したい、こういう決意を述べられたのでありますが、しかし、この財政再建について、私たち運輸委員等審議状態を見ておりましたら、たいへん熱心に誠意を尽くして各委員が一生懸命に審議をしておられるその最中にストが行なわれるということになりましたならば、これはわれわれ委員に対しても一つの挑戦のような感じがする。(「そのとおり」「そんなことはないよ」と呼び、その他発言する者あり)もう一度大臣なり国鉄総裁から労働組合当局者に対して、こういう事態であるから何とかしてこのスト回避して(発言する者多し)
  8. 小峯柳多

    小峯委員長 静粛に願います。
  9. 塩川正十郎

    塩川委員 国民に対してしばらくの時をかせということをはっきりと申すべきではないかと思うのですが、その決意をひとつお伺いいたしたい。
  10. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問のとおりでございまして、実は昨晩も与野党十一時半まで御審議を願って、まことに御熱心な御審議に対しまして政府といたしましても非常に感謝をしている次第でございます。それにこたえるためにも、スト回避につきまして、私も監督責任者といたしましてこれに万全を尽くしまして、あすのスト回避にはこれからも全力をあげて各方面連絡をいたしまして努力する決意でございますので、御了承願いたいと思います。
  11. 磯崎叡

    磯崎説明員 私も、ただいま大臣がおっしゃいましたとおり、昨夜も深夜まで本案の御審議を願いまして非常に感謝しておる次第でございまして、そういった状況を実は副総裁をいま本社のほうに置いてございますが、組合の幹部と話をいたしまして、実際実情を知らして、国会財源問題について御熱心に討議をしていただいているという実際の実情をよく説明いたしまして、極力、明日、明後日の事態の鎮静につとめたいというふうに思っておる次第でございます。
  12. 塩川正十郎

    塩川委員 時間がございませんので、それじゃ先へ進みますが、しからばこの運賃値上げ法案が可決いたしました場合、その運賃値上げした分だけがいわゆるベースアップ財源になってしまうというような感覚が国民の中に持たれてしまう、そうではなくして、やはり運賃値上げに伴って財政再建をまず行なって、それから国民一般サービスを還元するんだということ、これが趣旨でなければならないのであります。そこで私たちもやはり国民にそれをよく理解をしてもらうがためにも、この運賃値上げに伴うところの財源で、いわゆる賃上げに振り向けられる部分と、サービス改善並びに財政悪化しております財政の窮乏を解消、緩和していく方面に向けられる財源と、大体においてどのような比率になるか。大ざっぱな数字でけっこうでございますが、まさか運賃値上げされる分の全部が賃上げ財源になるとは思わないけれども、その割合について大体どの程度に振り向けていくのか、大体でけっこうでございますが、お聞きしたい。
  13. 磯崎叡

    磯崎説明員 数字のお尋ねでございますので、数字でお答え申し上げます。  これは一つの試算でございますが、ベースアップその他についていろいろ試算いたしてみますと、十年間のベースアップ、これは十一万人の頭数を合理化したといたしまして、ベースアップだけの所要額が約六兆四千億でございます。これは計算上一二・一、一・一、一〇・一というベースアップの率で計算いたしてまいりますと、ベースアップ上積み分だけで六兆四千五百億でございます。それから運賃値上げの分は、これもかりに三年おきにいたしますと六兆七千八百億でございます。政府からいただく金が二兆でございまして、政府からいただく金は、大体投資の分が約一兆、その他は利子補給でございますので、利子相当部分政府からいただくお金で払うということになりますので、結局利子政府補給の残りの分と、それからベースアップの分が運賃の大部分——物件費の騰貴が若干ございますが、それを含めまして、そういった部分に当たりますので、割合は正確にはちょっと申しかねますけれども相当部分はやはり人件費に使うということになるわけでございます。ただ、政府からいただきました、今後出資していただきます一兆という金が、これが私は国民へのお返しになると思います。政府が出資されるということは、やはり財政的な基礎が固まるということが基礎であるというふうに思いますので、七兆の投資のうちの一兆は政府からの金、それから自己資金が、約二兆くらいこの運賃値上げでたまりますので、自己資金の分と、これらを合わせまして七兆の投資を、これは国民輸送力増強あるいはサービス改善という形でお返ししてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  14. 塩川正十郎

    塩川委員 そうすると、いまお聞きいたしましたら運賃値上げ分の大部分というのはやはり人件費に振り向けられるということなんであります。それはそれで、労使一体となって国民へのサービスへ還元してもらったら、それはそれなりで国民理解もつくと思うのでありますが、そういう非常にきびしい状態にあるということをわきまえて、今後の経営を一そうきびしくやっていただきたい。  そこで、わずか残る政府助成並びに運賃値上げに伴うところのわずかな財源、これでもってサービス改善につとめていきたいということでございますが、そのサービス改善ということは具体的にはどういうことをやっていきたいと思うのか。ただ運賃を上げっぱなし、依然としてしりから押し込んできゅうきゅういう通勤列車、待てど暮らせど駅には列着しないような閑散列車、こういうことで国民国鉄に対する不満というものは相当きついだろうと思いますし、やはり運賃値上げして国民に犠牲をしいる反面、こういうサービスもいたそうとしておりますということ、これをひとつ明るい面として国民にはっきりと約束をしていただきたい。
  15. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま申し上げましたとおり、今回の運賃値上げに伴いまして約七兆円投資を十カ年間にさしていただく。いまの計画は十カ年間三兆三千億でございまして、とてもこれでは各地の国民の御要求に沿い得ないということで、今般七兆というスケールでもって投資をしてまいりたいというふうに思っています。  おもなものを簡単に申し上げますと、まず通勤輸送でございます。これに五千三百億くらい振り向けますが、過般来申し上げますとおり、東京付近通勤は、おかげさまで五方面通勤のうち大体ことしの七月十五日で四つの方面だけが完了いたしまして、あと東海道線だけが残っておりますが、これは大体一応目鼻はつきましたが、まだ少し仕事としては残っております。その他放射線でないこの付近の南武線とかあるいは横浜線とかいうものにつきましても、極力混雑緩和を行なうということにいたしたいと思っておりますが、今後はいままであまり手のかけておりませんでした関西地方通勤輸送相当重点を置いて投資をしてまいりたいというふうに思っております。片町線、福知山線あるいは関西線、あるいは片町、福知山の連絡というふうなことをやってまいりたいと思っております。通勤輸送に伴いますその他のニュータウン交通輸送につきましては、これはニュータウン・プロジェクトの一環としてやってまいりたいというふうに考えております。その次に、新幹線は、約二兆でございますが、いま予算に組んでおりますのは、山陽新幹線のほかは——山陽新幹線は一応暦年で昭和四十九年中に開業いたしたいということで、いま全力をあげて工事をいたしております。それと並行いたしまして、いまやっております東北新幹線以下の三線につきましては、一応昭和五十二年度開業ということで、東北新幹線上越新幹線をやっておるのでございます。これは五十二年度の開業見込みでございます。それから、その他いろいろございますが、地方と非常に関係の深いのはいわゆる幹線輸送強化でございまして、いままだまだ複線化電化率は全体の三割以下でございます。これを全国主要幹線を極力、部分複線でも、複線電化してまいりたい。そして日本幹線筋はおおむね複線電化できるという形に持ってまいりたい。これに約二兆五千億の投資をいたします。新幹線のできない地方につきましては、ぜひ在来線の徹底的な強化をやってまいりたいというふうに思っております。それから貨物輸送につきましてもいろいろ御質問がございましたが、私のほうの貨物輸送は非常に立ちおくれております。これも徹底的に近代化してまいりたい。さらに合理化近代化投資等につきましても、約一兆の金を投資いたしまして合理化近代化並びに公害対策あるいは安全対策をやってまいりたいというふうに思いまして、いままでの投資の約倍のスケールをお認め願ったことは、百年たちました国鉄が新しい百年を迎えるにあたっての大きな発展の原動力となるということを確信しておる次第でございます。
  16. 塩川正十郎

    塩川委員 できるだけ答弁は簡単にひとつお願いいたしたいと思います。  自治省の方にちょっとお伺いいたしたいと思うのですが、地方公営企業交通事業、これに対しまして国はどのような助成なりあるいは補助をやってきたか。簡単でけっこうです。
  17. 小山省二

    小山政府委員 御承知のとおり、地方公営企業の中で特に建設するのに多額の費用を要します地下鉄につきましては、その建設費の五〇%については国と地方とがそれぞれ半額ずつ補助をいたすことになっております。なお全体の建設費の一〇%につきましては、地方自治団体一般会計から出資をいたすことに相なっておるわけであります。
  18. 塩川正十郎

    塩川委員 この問題をもっと詳しく聞きたいと思いますが、時間がございません。  そこで運輸大臣並びに自治政務次官両者にひとつお願いいたしたいと思うのですが、こういう交通事業というものはほとんど公営企業として行なわれておる。国の国鉄に対する助成なり協力というものと、地方団体のいわゆる公営企業でやっております交通専業に対する補助、こういうものがアンバランスであってはいかぬ。片一方においては地下鉄等はもう制度としてできておるということ。ところが一方、国鉄に対しては何ら制度としてできておらないものだから、そのたびごとに行き当たりばったりの再建政策だ何だということをやっていかざるを得ない。そこで、こういう交通事業全般に対しまして、国が、あるいは地方がどういうルールでこれを応援していくのか、助成していくのかということを、こういう際に両大臣並びに大蔵大臣等内閣全体の問題として取り上げていただいて、ともども不公平のないような措置をぜひしていただきたいと思うのですが、これに対して大臣の御決意をひとつ聞いておきたいと思います。
  19. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 地方公営企業のそういったような公共輸送機関に対しまして、国並びに地方がどの程度のあれをするか、不公平のないようにすべきじゃないか。ごもっともだと思う次第でございます。いま自治省政務次官からのお話がございましたように、大都市交通輸送というものは、公営企業だけでなく、私鉄につきましても、やはり交通空閑地が非常に少ない。したがいまして、土地の獲得、また工事費が非常に上がりますので、それらに対しましても、公営並みにやはりある程度助成をしなければ、通勤通学につきましていまの過密を解消できないのじゃないか、こういう問題がございます。また一方、国鉄につきましては、ただに都市間だけでございません。全国交通網目的としている次第でございますので、非常に広範囲にわたりまして、ただ都市間だけの輸送に対してどうするというわけにまいりません。総合的に見なければなりませんので、今回十カ年計画におきましては、政府助成地方助成というものを、十カ年を一応のあれといたしまして、このくらいの程度は最小限度すべきだということをきめまして、助成をした次第でございますが、その他の都市間の問題あるいは陸上交通汽車輸送につきましては、お説のとおり、やはり早急にそれらの具体的な問題を取りきめていかなければならない、こう思っておる次第でございまして、ただいませっかく検討させている次第でございます。
  20. 塩川正十郎

    塩川委員 なぜこれは内閣として調整してもらわなければならぬかといいましたら、地方団体国鉄に対する協力というもの、これはいわばいままではっきり申しましてわりあいに薄かった。その反面、また国鉄のほうから地方団体に対して非常な無理も言ってくる。たとえば、用地代縁故債で持てとかいうようなことを押しつけてくる。そのたびごとに、地方国鉄というものが相ともに協力して地域開発しなければならないのにかかわらず、そういう事態が起こってくるということは、その間に国が中心となってその調整をしておらなかったということが大きい原因であろうと思うのであります。今回地方閑散線としていわゆる合理化の対象に入っております線の問題につきましても、そういう問題をきちっと話し合っていただくということ、そしてこれから新設されあるいはまた増設されていく問題についても、地方なり国なりが、国鉄あるいは公営企業との関係においてどのように持っていくのかということを、これはルールをはっきりしていただきたい。国鉄再建がなりましても、公営企業のほうの交通事業がまた悩んでくるようなことになれば、何ら関連性がなくなってまいります。そういうことになってはいかぬ、一貫性を通していかなければいかぬ、ということでございますので、その点十分に御配慮し、そして強力なる政治姿勢でもって当たっていただきたい、このようにお願いします。  それから次に、運輸省鉄道監督局にお聞きしたいと思うのですが、地方閑散線問題について二、三お聞きしたい。時間があと五分しかございませんので、簡単にお答え願いたいのですが、いままで論議を聞いておりましたら、何か地方閑散線というのは、国鉄がもうすでにきめておって、これだけのものを撤去するつもりでもっともらしい理屈をつけておるのだというような印象を持たれておる。そうではなくして、この中にうたわれておりますような、国民経済的に見て他の輸送に転換したほうが有利であるというもの。しからばこの国民経済的に見てそのほうが有利であるという、国民経済的に見てというその内容をはっきりと説明する必要があるのではないか。そして、しかもこの国民経済的というのはどういう立場からどういう要因でもって国民経済的というものを判断するか、そのファクターもはっきり言ってやらなければ見当がつかぬのではないかと思うのですが、どうですか。
  21. 山口真弘

    山口政府委員 地方閑散線の基準でございますが、これは、先生おっしゃいましたように、国民経済的に見て鉄道よりも道路輸送に転換することが適当であるということでございまして、したがって、当然それに対する基準といたしましては、まず鉄道と自動車輸送との特性の本質的な違いといたしまして、やはり鉄道輸送の大量輸送の性格、迅速性あるいは安全性というようなものとの関連におきまして考えておるわけでございまして、第一番に、輸送量の問題をその意味で考えておりまして、ランニングコストで比較をいたしまして、自動車輸送のほうが経済的に有利であるというような輸送密度というものを一つの基準といたします。さらに、輸送といいましても、過去の状況を見ましてもこれが停滞しておるとかあるいは減少しておるかどうかというようなことも当然考えなければならぬところだと思います。さらに鉄道の撤去に関することでございますから、したがって代替できる交通機関がそこに存在をしなければこれは簡単に撤去をするわけにいかぬわけでございますから、代替交通機関の確保ということが可能であって、そして廃止によって公共の便益が阻害されることがないということが条件であろうと思います。そのためには、道路の存在しないような場合にはもちろんいかぬわけでございますし、特に鉄道の大量性から考えまして、ラッシュ時等におきましては、鉄道の特性を発揮するわけでございますが、非常にラッシュ時の輸送が多いために、自動車輸送はなかなかそこまで輸送することが困難であるというような、輸送量以上である場合、あるいは非常に豪雪地帯でございまして、これを簡単にいま鉄道を撤去すれば冬季におきまする足の確保というものができないというようなことの条件、さらに当該地区が国家的な開発計画あるいはその地におきまする大規模な開発計画によりまして、そして将来輸送量の増が認められる、あるいは将来新線建設として整備すべき路線の中で最も重要な性格を持っておるものとの関係を考慮する、というような諸般の条件を考慮いたしまして、明確にこれは規定してまいるということになると思います。
  22. 塩川正十郎

    塩川委員 いまのお話では、大体それでは三つの要因ですか。ランニングコスト、それから代替性、それから地域の計画性、この三つですね。それは明確にその三つの要因の中で、しかも客観的に見ましても納得し得るような基準というか尺度というか、そういうものはとられておるのかどうか、しかもそういうものを明確に打ち出して、当該関係の市町村と協議する、地方と協議する、そういうものはきちっとあるわけですね。そうしたらそういうものは明確にしておるのかどうか。
  23. 山口真弘

    山口政府委員 ただいまお話がございました中で、一番根本的な問題は、第一に申し上げました輸送量の問題がございます。これは私ども、当然鉄道の撤去でございますし、現に存しておるものを撤去するわけでございますから、したがいまして新たな鉄道の建設あるいは道路の建設ということでございませんから、ランニングコストでこれを比較してまいる、資本費はこれを除外してまいるということで、まず国民経済的な観点の問題を考えていく。そこで、そういうふうにいたしまして、そのコストの比較でございますが、これも鉄道の大量性を発揮できるかどうかという点から、この費用というものを固定費と変動費に分ける。と申しますのは、鉄道の場合でも道路の場合でもそうでございますが、輸送量に対応して変動する費用と、それから輸送量が多くても少なくてもかかる費用と分けてものを考えなければいけない。たとえば列車の乗務員、運転士だとかいうような人は、大体において輸送量に比例してふえていくわけでございます。しかしながら、線路のようなものは必ずしも輸送量に比例してその費用がかかるというような性格ではございません。同じような線路の保守あるいは電気の保守というものがかかってくるという、そういう意味で固定費的性格が多いわけでございます。そういうふうに固定費と変動費にこまかく分けまして、これによりまして鉄道のコストというものを考えていく。道路の場合でも同様でございまして、道路を新たにつくるのではございませんから、したがって道路の保守の費用というのがございます。その保守の費用を考え、一方、自動車運送におきますところの自動車の費用というものを変動費と考える形にいたしまして、そうしてこれを方程式にいたしまして、そうして両方をぴちっと数学的に計算をしてまいることによりまして、国民経済的に何が有利であるかということがつかめるというふうに考えておるわけでございます。
  24. 塩川正十郎

    塩川委員 時間がございませんので終わりますが、どうぞ、地方閑散線という問題は非常に大きい政治問題も含んでおりますし、その反面、住民の理解が得られればこれまたスムーズに片づく問題でもあろう。したがって、そういう理解を得るために客観的な基準というものを明確にして十分な話し合いをしていただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。
  25. 小峯柳多

    小峯委員長 美濃政市君。
  26. 美濃政市

    ○美濃委員 最初にお伺いしたいことは国鉄問題でありますが、時代の変遷によって輸送する輸送機関の状況というものが変遷をしてくるわけですが、その中で、今回国鉄運賃の大幅値上げあるいは引き続き将来においても年次別に運賃値上げ計画を立てておるようでありますが、はたして国民経済から見て、あるいは国鉄というのは、確かに現在でも人員においても物資においても、輸送部分の大宗を占めておるわけですから、これは運賃値上げ手段だけで国鉄問題を解決するということは非常に将来問題が起きるのではないか、国民経済の上でも、あるいは他の輸送機関の今後の発達の過程においても。たとえば一例を申し上げますと、今回かなりの値上げになりますが、これを値上げをしますと、航空料金と国鉄料金とが接近してきますから、特にグリーン料金あたりであれは国鉄のほうが、長距離の場合は車内においての食事代なんかを考えると、国鉄を利用するほうがもう高くなる。そうすると、値上げによって必ずしも収益が増大するといえない面が出てくる。それから、あとから申し上げますが、また一方、そういう面が一つ出るのと、国民経済上かなり物価あるいは国民生活に影響を及ぼしてくる。そこでもう少し、国鉄そのものは国有鉄道でありますから、補助などというものの考え方でなく、この時点に立って国鉄運行を、よくいう国益なり国民経済のために、抜本的に国鉄というものに対しての基本的な方針というものを確立する必要があるのではないかと思いますが、そういう点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  27. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 国鉄の基本的の考えといたしましては、御承知のとおり、やはり国鉄陸上交通の大動脈としての役割りにつきましては国民が非常に期待をしておるという観点に立っておる次第でございます。しかしながら、最近の非常な輸送需要の変化に伴いまして、国鉄の体質がそれに必ずしも適応しておりません。そのために輸送需要が減少したり、あるいはまた収入が減少したりということが具体的にあらわれてまいりまして、それゆえに非常に国鉄財政自体にとりますと危機に瀕しているということが実情でございます。それらを立て直しますために、この際は思い切った体質改善とそれから良質のサービス国民に提供するということをまず主眼にしなければならない。それがためにはどうしても財政基礎を強固にしなければならない。それがためにはやはり、いままでも、この前お願いをいたして新しくつくりました国鉄財政再建法なるものによりまして、国も助成をしておりますし、また利子補給もしておりましたが、それだけではとても追いつかぬ。この際は思い切って発想の転換ともいうべき大幅な国の助成もする。しかしまたそれだけでも足りぬ。一番のもとは何と申しましても合理的運営を国鉄企業努力によりましてやることでありますが、それとともに、やはり利用者の御協力も願わなければならぬということを勘案をいたしまして、今回の二法案につきましていま御審議を願っておるところでございます。
  28. 美濃政市

    ○美濃委員 大ざっぱでよろしいのですが、国鉄全体の経費、国鉄で一年間にかかる経費、もちろん償却を含めて、全体経費の中で、これは保線区の人件費を含めた線路の維持補修と、それからそれ以外のいわゆる営業経費といいますか、線路以外の経費との比率ですね、これをちょっとお聞かせ願いたい。
  29. 磯崎叡

    磯崎説明員 線路だけでございますと、私のほうは物件費の中に入っております。一応分け方といたしましては人件費と物件費で、物件費の中に先生のいまおっしゃった保線費とかあるいは車両修繕費とか保電費とかいろいろございますが、やはり保線の人件費は一応保線費の中に入っております。人件費、物件費の割合は、事業費の中で、ごくラフに申しまして七、三とおぼしめしていただきたいと思います。その三の中で一番大きいのは車両修繕費でございます。保線費が全体の修繕費の中に占める割合がたしか三〇%か二五%ぐらいでございまして、全体の事業費の総額が本年度予算約一兆でございますから、一兆のうちで保線にかかります金が、全体の物件費の中の、修繕費の中の大体二〇%ぐらいというふうに、記憶が少し違っておるかもしれませんが、考えております。  この保線と同じような、保電とか——先生のおっしゃったのはいわゆる基礎施設という意味かと思いますが、基礎施設と車両に分けますと、車両と基礎施設の割合は、大体車両が六で基礎施設が四、たいへんラフな御答弁で申しわけございませんが、そういうことになっております。
  30. 美濃政市

    ○美濃委員 もう一回お尋ねしますが、償却から人件費を含めて、総体を大まかに二つに分けるとどういう比率になりますか。
  31. 小林正知

    ○小林説明員 ただいまのお尋ねでございますが、お尋ねのございました修繕費の、これは四十五年度の決算で申し上げますと、施設と電気——いまちょっと別々に内訳がございませんので、取ればわかりますが、いま一本の資料しか持ってきておりませんので、御了承いただきたいと思います。施設と電気を合わせまして約五百億でございます。そのほかに車両の修繕費が、ただいま総裁が御答弁申し上げましたように一番多うございまして、千五百六十三億ばかりになっております。そのほか船舶、自動車で約三十億、合わせまして修繕費全体といたしましては二千九十二億というかっこうになっております。このうち先生先ほどお尋ねございましたが、この修繕費の中に、いわゆる材料費的なものと、中に国鉄自体の職員で修繕を実施しておりますその人件費が入っておりまして、その人件費は施設、電気、全部含めまして約千二百億、約六割強になっております。かような数字でございます。償却費そのものは、これは先生もとより申すまでもなしに、修繕費は現在の機能を維持いたしますための経費でございまして、これと別個に償却費は計上されております。  以上であります。
  32. 美濃政市

    ○美濃委員 そうするとあれですか、どうも私の質問はそういう具体的な数字でなくて、線路の維持補修に要する、もちろん修繕費から線路班の人件費から償却、これを総括してくるめた比率です。線路に要する経費と線路以外の経費と、償却から人件費から全部含めて二分するとどういう比率になるかということを聞いたのです。
  33. 小林正知

    ○小林説明員 ただいま申し上げましたように、ちょっといま手元にそういうような仕分けをして持ってきた資料がございませんので、即刻調べましてお届けいたしたいと思います。
  34. 美濃政市

    ○美濃委員 それではきょうは時間の関係質問時間中に間に合わぬと思うのですが、多少の相違があってもいいですから大まかに分類したその資料を提出願いたいと思います。  そこで、さっき私は他の輸送機関の動向、変化ということを申し上げましたが、道路は御存じのように、車両税はかかっておりますけれども、国道は国費であり、全額公費ですね。航空機は御存じのように線路の維持、補修というのは要りませんから、こういうものが大型化してまいると、私の考えは、線路の補修を道路と同じように公費で負担するというように国鉄輸送に対する財政上の一本筋が入らぬと、どうも私ども国鉄に対する補助金というのは感覚的にぴんとこないわけです。国有鉄道ですからこれは補助金じゃないはずですね。どういう体制でこういう変化に対応できる国鉄輸送強化するなり維持して、国民経済のために国鉄国民経済に大幅に利用していくかということが大きな国策だと私は思うのです。補助というのはどうも私にはぴんとこないわけです。補助ではないと思うのです。そういうところに将来に対する一つの筋を通しませんと、私は最近行なわれております国鉄内部の合理化、あるいは運賃値上げだけの手段で、これから先のそういうところに大きな政策の筋を通さなければならぬじゃないないか。これはもう欧州諸国においてはそういう筋金を一本通している国もありますね。そうして日本は経済大国といいながらそういう筋を通して国民経済を守っていくという体制ができないのかどうか。
  35. 山口真弘

    山口政府委員 お答え申し上げます。  今回の再建計画におきます国の助成の基本的な考え方は、大きく言いまして二つないし三つあると思いますが、その一つは過去の債務が非常に国鉄経営の重圧になっておるということでございますので、その過去の債務の利子負担というものを軽減するという措置で、いわゆる財政再建債並びにこれに対する利子補給ということによりまして、過去の債務の軽減ということにつとめたわけでございます。  それから第二が今後の設備投資に関します助成でございまして、これが先住の御発言のことと同じような方向であると思いますが、これはそれについて国が大きなてこ入れをして将来の国鉄の設備投資をやりやすくし、そうしてそれによってできた投資によって国民の便益を増進するという意味におきまして、十年間約一兆円の出資をする、そうしてさらに大幅な利子補給を行なうということによりまして、そういう設備投資を促進するというのが大きな柱でございます。さらに総合交通体系上、地方の閑散線につきましては、これを撤去しますが、地方がこれを維持したいというような場合につきましては、これについて国なり地方公共団体が助成するという形で、今回の全体の国の助成というものの大きな柱になっておるわけでございます。
  36. 美濃政市

    ○美濃委員 時間の関係でこの問題はこれ以上申しませんが、いまのような考え方そのものが私どもには理解できないわけです。いまのような考え方、助成だとかそういう何か小手先で国鉄をいじくり回っておるような政府の態度というものが、私どもには理解できません。いまの答弁そのものが理解できないわけです。  次に貨物輸送問題ですが、やはり依然として国鉄は駅に対する貨車の割り当て制度をとっておりますね。あれはどうにかならぬのですか。その日というわけにはいきませんが、大体五日なり一週間なりの期間に、貨車の各駅に対する割り当て制なんというものをなくして、需要に対して迅速に応じるということはできないのですか。
  37. 磯崎叡

    磯崎説明員 実はいま割り当てどころでなくて、使っていただきたいというお願いをしているわけでございます。ただ北海道向けのものだけは割り当てていただく。これは青函航路が非常に隘路でございますので、北海道向けだけはやむを得ず割り当ていたしておりますけれども、ほかはむしろいま貨車がだぶつきぎみでございます。ただ、最近の新鶴見操車場等における輸送の混乱によりまして、いま少し制限いたしておりますが、ノルマルな状態ですと、もう割り当てどころではない、ぜひ使っていただきたいという情勢、ただ北海道向けだけがそういう状況で割り当ていたしておりますが、これは青函航路の関係上やむを得ずやっているわけでございます。
  38. 美濃政市

    ○美濃委員 私は北海道ですが、北海道は植民地だからそうなるのですか。どうなんです、それは。青函輸送の隘路というけれども強化すればいいのでしょう、船をふやせばすぐできるわけですから。
  39. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は船も、一昨年でもって七はい全部新船に取りかえたわけでございます。いま問題は、これから青函トンネルができたときに貨物輸送をどうするかといういまの先生の御質問でございますが、一体青函トンネルで貨物輸送をやるかどうかという一つの大問題がございます。いまいろいろの角度から勉強いたしておりますが、北海道の方々からは非常にそういう御要望が強い。また線路のゲージが違いますのでいろいろ問題がございますが、いませっかく勉強中のところでございます。その意味で、船だけは全部新造船にいたしましたが、問題は今後の青函トンネルの使い方にある、こういうふうに考えます。
  40. 美濃政市

    ○美濃委員 経済企画庁にちょっとお尋ねしたいのですが、今回の運賃値上けが生鮮食料品にはね返る率はどのくらいと計算されておるか。
  41. 磯崎叡

    磯崎説明員 生鮮食料品の値段は、ことに市場ものは御承知のように需給関係で非常に値幅がございます。ですから、実際上消費所に対する影響はもうその日その日の値幅で、たとえばサバ一本とりましても、一日高値と安価で五、六十円違ってまいりますので、そういう影響よりもむしろ計算上の影響にについてごく簡単に数字で申し上げます。
  42. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 今度の改定によりまして農林水産物資にいろんな影響を与える、こういうことでございますが、具体的に申し上げますと、たとえばいま総裁が申しましたサバは港から東京市場に行く、これは一匹五百グラムのものが、小売り価格二十五円といたしますと、これに与える影響が四十五銭。それから米でございますけれども、新発田から品川に行く、一キログラム百五十二円の小売り価格といたしますと、与える影響が二十二銭。それからリンゴは五所川原から秋葉原、一個百円で二十二銭。こういうような影響でございます。これを多少マクロ的に申し上げますと、消費者物価全体に与える影響をいろいろ計算いたしまして四十年度の実績をもとにして四十七年度を推定いたしますと〇・〇九四%、このように推定されます。それから先ほど食料品の一例を申し上げましたけれども、一番値上げの影響の大きいのが北海道のジャガイモでございます。これに対する影響率は一・四二%、その他につきましては〇・五四%以下ということでございます。このように推定されます。  それから卸売り物価に対する影響は〇・一四五六%。大体以上でございます。
  43. 美濃政市

    ○美濃委員 いまの計数は消費量総体から見た運賃値上げ部分の率ですか、それとも従来の実績に基づづく国鉄を利用しておるもののみのパーセントですか。
  44. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 国鉄輸送されておるものを前提といたして考えております。
  45. 美濃政市

    ○美濃委員 それはちょっと違うんじゃないですか。勘違いじゃございませんか。生鮮食料品の総体量に対する今回の国鉄運賃のはね返り分であれば、大体いま言ったくらいのものであろうということは想像できますけれども国鉄輸送しておるものの量に対するはね返りはそんな低いものではないですね。そうではないですか。国鉄輸送するもの、たとえば車もの一車で計算してみても、そんないま言われたような低いはね返りの率ではないんじゃないですか。国鉄輸送しないもの、たとえば生鮮貨物でも、東京市場であれば関東周辺から国鉄を利用しないで持ち込んでくる、そういうものの総体量に対する今回の国鉄運賃値上げ率を求めると、大体いま言ったような率だろうと思いますけれども。ちょっと違うと思うんですがね。
  46. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 国鉄値上げが当該物資に与える影響率。これを申し上げたので国鉄が送っている分野は、いろいろものによって違いますけれども、かなり低いものもあるわけであります、かなり高いものもあります。そういうものを勘案して今回の値上げがその物資の値上がりにどれだけ影響を与えるか、こういう数字でございます。
  47. 美濃政市

    ○美濃委員 それなら大体理解できます。しかしながら国鉄輸送しておるものに対する影響というものは、いま言ったような数字ではないわけです。これはどういうふうに計算されておりますか。全体の物価に与える影響はいまの数字でいいわけです。いまの計数で理解できます。ただし国鉄を利用しておる農林水産物に与える影響、これはちょっと注釈を加えますと、これは遠距離になりますね、大消費地に近いものは国鉄の貨車に積みませんから。そうするとほぼ北海道、東北の青森、仙台以北になりましょう。それから九州。こういう方面に与える影響は大きいわけです。運賃も遠距離運賃で高くなりますから。いまの数字はそういうものと近距離のものをプールした影響率を言われたわけです。それはそれでいいのですが、そういうものに与える影響はどういう率になるか。
  48. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先ほど来申し上げておるとおりでございまして、たとえばサバならサバというものの小売り価格に対する運賃割合、現在は一・五五である、これが今度改定されますと二・〇〇%になる、こういうような数字をもとにいたしまして、全国的にすべての鉄道による流動、これを前提といたしまして、その物資の全体の物価に与える影響を申し上げているわけでございます。したがって、先生のいま御指摘のとおりの内容を前提といたした数字を申し上げているわけでございます。
  49. 美濃政市

    ○美濃委員 遠距離輸送に与える影響が大きく出てくるわけですが、ここの問題は、いま特に農林物資については強い国際競争力が要求される。おそらくこの運賃値上げは、消費者負担よりも生産者負担になる可能性が強いわけです。たとえば、海外から入ってくるものは港へおりますから、国鉄利用にならないわけです。農林物資は特に御存じのようにトン数も多いわけですから、たとえばこの表にあります一級に該当する商品等から見れば、この農林水産物なんかは御承知のような状態ですから、そのはね返りは大きいわけです。それで、まずいまの市場の状態、流通の状態からいけば生産者負担にはね返る率が高い、こういえると思うのです。片やそれに該当する輸入物資は、港へおりますから国鉄運賃値上げの影響はない。きびしい条件で国際競争あるいは農業の規模拡大などというものが行なわれているときに、さらにこういう問題が起きる。それを消費者に転嫁すれば結局消費者価格の高騰になるし、いずれにしても好ましくない現象が起きるのだが、これはやはり国鉄再建のためだからそういう矛盾はあえてしかたがないというのか。これは相対的なことですから、内閣あるいは政府としては調整をはからなければならぬと思うのです。それはどうなっておりますか。そういうものはもうしかたないんだということなのか。どういう政策の観点に立ってこれを処理し、調整していくのか。
  50. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 農産物資その他のいままで特定割引をしていました貨物物資につきまして、私どものほうといたしましては、国鉄自体といたしましては、健全なる強固な経済基礎がありました時代におきましては、公共性を発揮いたしましてその御要求に応ずるということは当然と思っていた次第でございます。しかしながら、これだけの赤字をかかえておりまして、一般の利用者にも御負担をかけなきゃならない、こういう事態になってまいりますと、むしろこれらの問題は、やはり農産物をお取り扱いになっている、あるいは農林予算、あるいは私は今回は特殊のあれをいたしまして、通学につきましては負担是正、割引是正はいたさせないことにいたしましたけれども、そういったような問題はやはりそれぞれの所管のところでやってもらうのが筋じゃないか。私ども農政予算、あるいは通学につきまして、今回は上げませんけれども、将来は文教予算のほうでぜひ考えてくれということを、私は文部大臣に申し入れている次第でございます。そういうようなことで、それぞれの所管のほうでやっていただくということになれば非常に好ましいことではないか。それからまた、物価政策から見まして、それらを総合的に見ましてどのくらいはね上がってくるか。いま先生が御指摘になりましたような国際競争力の問題、これらがどうであるか。外国輸入物資が、港だけでなくどこの市場まで行くかというようなことも勘案をいたしまして、これらはやはり物価政策全体をやっております経済企画庁で、やはりその点は考えさすべき問題と思う次第でございますが、私のほうにそのしわ寄せが来るから、それで言うというわけではございませんが、やはりそれぞれの所管でやってもらいたいというふうに思っておる次第でございますが、先般来これに対する国鉄の赤字の問題で非常に悩んでおりまして、それらの関係筋ともいろいろ話し合いをいたしまして、これらのはね上がりをできるだけ生産者負担にならないように、むしろ消費者と申しますか、いま非常にいわれております中間費用が農産物については非常に多いそうでございますから、それらの合理化をはかることによりまして、その負担がその中間の費用の合理化によりまして吸収されるように努力をしてもらいたいということを、私どもも申し入れているところでございます。農林省におきましても、その方向で検討するということで話し合いがつきまして、この問題を提起した次第でございます。
  51. 美濃政市

    ○美濃委員 時間が参りましたので質問をやめたいと思いますが、私の計算では、大体、先ほど申し上げたように農林物資の輸送は遠隔地に限られておりますから、国鉄を利用しておる農林物資の額は、今回の値上げによって百六十億というように計算しております。この運賃値上げ額の部分は遠隔の特定地域の負担になるわけです。そこで、いま運輸大臣答弁では、それぞれ所管庁で学童対策なりそれぞれ分担して対策をやる、こういう政府としての方針であるということであります。それから先ほど要求しました資料に基づいて、基本的な考え方をもう少し煮詰めてみたいと考えますけれども、時間が参りましたので、その点保留いたしまして終わります。
  52. 小峯柳多

    小峯委員長 有島重武君。
  53. 有島重武

    ○有島委員 私はおもに物価の立場から今回の値上げ反対をいたすものでございますけれども、大体物価と他の交通料金に非常に影響を与えるということ。消費者物価に与えるウエートが一・五四%といわれておりますけれども、この指数の上昇は〇・五%だと言っておりますけれども、この前もそうでございましたけれども国鉄が上がると他の交通の機関、みんなそれが上がっていく、関連していく。そしてあらゆる物資が上がっていく。こういった波及効果は、私がここで言うまでもなく、これはたいへんな国民生活を圧迫するものでございます。この上に、国鉄が上がれば、以前のときもそうでございましたけれども、ますますモーターリゼーションを促進するという効果も起ころうかと思います。これは自動車をつくっていくほうの側に立てばけっこうなことかもしれないけれども、これはまたたいへん国民生活を乱していく。公害の問題もございます。交通災害の問題もございます。こうした観点から、ほんとうにこれはどうでも食いとめなければならない問題であろう、そのように思うわけでございます。  そして、きょうはおもに重点的にやりますのは、企業努力の欠如について重点的にやろうと思いますけれども、三十八年度の決算が五百七十四億円黒字であった。三十九年以降ずっと赤字になりまして、四十五年度の決算が一千五百十七億円、この累積が五千六百五十四億円、こういうように報告されておりますけれども、この借り入れ金利だけでもって千五百二十三億円ですか、こういったこと、これは国鉄とか国鉄でないということを別にいたしまして、このことを常識的に考えたときに、国鉄の資本金が二十五年以来八十九億一千七百万円でずっと据え置かれておる。民間の新日鉄なんというところは二千三百億円、二十六倍です。こういった資本金を持っておる。いま国鉄を中心にして審議しておりますけれども、立場を変えて金融機関のほうを中心にしてやれば、金融機関にとってはこれほどけっこうな話はないと思うのですね。まるで国民一つ国鉄というトンネルを通して金融機関にお金をそっくり持っていかれていると同じ結果になっておる、そういうふうに見られると思うのですね。今回の値上げは年間ちょうど一千七百八十億円だということになっておりますけれども、こんなようなことをさせられては国民はほんとうにたまらない。ある人がこんな話をしておりました。当たり屋というのがあるというのですね。混雑の中でもって自動車に触れて、痛い痛い痛いと言う。一生懸命包帯を巻いてもらう。そのときに包帯を巻くのは、けがをなおすのが目的じゃなくて、いかにそれを大きく見せて金をたくさん巻き上げるかということが目的なんですね。いま国鉄がまるで当たり屋の役をさせられているのと同じじゃないかというようなことを言っている人もおります。悪いのは国鉄ではなくて、あとからそういったことをさせている政府の姿勢であるということになろうかと思いますけれども、こうした中でもって企業努力をして合理化していくということは、もし政府がほんとうに物価を上げるために国鉄をこんなにがんじがらめにしているのだというたてまえからしますと、うっかり企業努力をすることが政府のお気に召すかどうか。皮肉な言い方でありますけれども、まず最初に政府としては本気でもってこの企業努力をして、赤字をほんとうに解消する方向に努力するのかどうかという、その基本姿勢を最初に聞いておきたい。
  54. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 もとより企業努力を十分にいたしまして赤字の解消をはかり、良質のサービス国民に提供する、そして国鉄本来の目的に邁進させたい、こういう点で懸命に指導し、努力しているところでございます。
  55. 有島重武

    ○有島委員 いつもそういったお答えがあるわけでございますけれども、本気でもってそれをやっていただきたい。企業努力の中にも、赤字路線の問題人件費問題、放漫経営と、いろいろございますけれども国鉄のほうは、いまおっしゃったように政府が本気で企業努力の方向を応援するというたてまえを、本気に受けてやっていただいたらいいと思うのです。合理化改善すべき点があれば、ほんとうにすみやかにこれを実行していただきたい。  きょうは、非常にこまかい問題になりますけれども、こういう問題があるのですね。各車両区でもって車を修理いたします。そのときに、いたんだ部品をいい部品に取りかえる、それでそのいたんだ部品は修理工場へ回っていく、そして修理されてまた再びそれが車両区に戻っていって修理のときに使われる。そういったように部品が循環をしているわけでございますけれども、車町修繕用の交換部品を工場予備品として毎年多量に調達しておる。四十五年は十九億三千二百三十二万円を計上しておるということになっております。これが全国二十六カ所の工場に備えられ、使われておる。そういうことになっておるのですけれども、その工場予備品の調達につきまして、またこの工場予備品の管理につきまして、きわめて放漫な状態であったことが指摘されたわけでございますね。一つは、予備品の調達の数量が多過ぎたのではないかということ。二つは、調達の時期が実情に合っていなかった。それからもう一つは、こういった工場部品を調達した以後の経理上の処理が適正でなかった。これを改善してもらいたい。そう思うわけでありますが、まず、各車両工場におきましては、予備品をどのくらい手元に持っていなければならないか、たとえばブレーキであるとか速度計であるとかあるいは冷房装置であるとか、そういったような種類がたくさんあるようでございますけれども、どういう部品をどのくらい持たねばならないのかというその算定基準が、いままで全くわからなかったというのですね。会計検査院に指摘されまして、初めてこの基準の立て方を考え始めたという。これは驚くべきどんぶり勘定でございまして、ほんとうにけしからぬことであろうと思います。  それで、会計検査院からちょっと御説明いただきたいと思うのですけれども、いただきました書類の(ア)の1の項目につきまして、予備品の保有数量の算定基準について、具体的な例をあげて説明していただけますか。
  56. 石島芳夫

    ○石島会計検査院説明員 お答えいたします。  国鉄におきましては、購入すべき数量はこの程度にするという上限を定めておりました程度でございまして、明確な算定基準というものは、私どもが指摘するまではなかったわけでございます。
  57. 有島重武

    ○有島委員 なかったということは報告を受けたのです。  筋道から申し上げますと、月別に毎月どのくらいやっているかということがあるわけでございますね。これに工場予備品というものはもちろん関係がなければならない。これはあるのですけれども、力によって多いときと少ないときとあるわけですね。それの一番多い月を基準にして予備品がこれだけ要るというような算定をもしするとすれば、比喩的に一般の家庭で申しますと、たとえば十二月、あるいはお子さんのあるところなら四月という家計費のたくさんかさむところを基準にして、おやじに、うちはこれだけ金がかかるのだ、こう言われると、おやじのほうは、ほんとうにそれはたいへんなことだと、毎日そばばかり食っていなければならない。そういうことにもなりかねないわけですね。同じようなことがここで行なわれていた。これは一年間にどのくらいやるのかということをはっきりさせて、そして月別にならしてみれば、必要数の算定がはるかに少なくて足りるのじゃないか、そういうことが常識的に考えられるわけでございますけれども、そういったことについて。
  58. 石島芳夫

    ○石島会計検査院説明員 それでは一例を申し上げまして、いまお話がございましたような点の回答になるかどうかわかりませんが、御説明申し上げます。  具体的な部品といたしましては、貨車に使います吐き出し絞りという、これはブレーキ関係の部品だそうでございますが、それについて御説明申し上げますと、ある郡山の工場で四十五年度に受け持つ車両が百五十両ふえたということで、この吐き出し絞りを四十個増備いたしました。ところが、先ほどお話しございましたように、月間の修理車両数と申しますのは、これは前年度から判明するものでございますが、これがわかりますのでそれに応じた修理をいたしますと、この吐き出し絞りについてだけ申し上げますと、月間で申し上げまして一番修理が多い場合は四十五両でございまして、したがいましてこの四十五両の分を用意すれば、先ほどお話がありましたように、予備品と申しますのは一たん交換いたしまして、それをまた修理して使うというような性格のものでございますので、この四十五両に相当する数量そのものを用意しておけば、ほかの各月についてはそれで十分足りるという考え方が出てくるわけでございます。これは、私のほうで申し上げたのは、そういうふうになるのじゃなかろうかということでございます。それで、いま言いましたような数字で、結末を申し上げますと、この吐き出し絞りは四十四年度末に九十四あったわけでございます。ところが、いまの最大の月間に四十五両を修繕するためには八十四あれば足りるわけです。ところが従来の買い方が、先ほどお話が出ましたように、手持ち車両がふえると受け持ち修繕車両がふえるというようなことで、国鉄としましては四十個、四十五年度に購入しております。数といたしましては百三十四個になりましたわけですが、先ほど申しましたように、これは八十四個で足りるということでございますので、四十五年度には四十個を買う必要がなかったということでございます。
  59. 有島重武

    ○有島委員 お聞きのようなことでもって、大体月別に合理化してみれば、これは現実にいまの検査院からの報告がありましたように、四十四年度には非常に極端な、ある月には十台、ある月には百二十何台、こういったようなむらがあったのを、四十五年、これをならしてみたらば、実はその備品というのは四十個は余分であったという例があったわけですね。大井工場のたわみ風導なんというのは、これは七十個も余分であった。金額にして五十九万五千円。あるいは車両用速度計ですか、これが十個余分であって、お金にすると百十二万四千六百五十円。郡山工場の無接点制御装置は十個、七十四万六千円。こういうことは、大臣なんかがごらんになると、何だ、そのくらいの小さな金額ならばどうでもいいじゃないかとおっしゃるならば、それはとんでもないことだと思うのですね。これらのいわゆる過大調達部品といいますか、多過ぎちゃったものですね、この価格は、今回の検査院の検査結果の範囲では、総額どのくらいになりますか、金額でいえば。
  60. 石島芳夫

    ○石島会計検査院説明員 お答えいたします。過大調達につきましては、先ほどお話が出ましたように二点ございますが、その第一点は、工場におきまして調達要求を本社に出しまして購入したものと、それから本社が新しい車を買い戻した際に本社で購入したものとございます。それで、まず工場で要求しましたものについて御説明申し上げますが、先ほど来から話が出ておりますように、この種類は非常に多うございますので、過大調達と申しますか、そういったものを厳密に判断することははなはだ困難かと思いますが、私のほうでは、先ほどちょっと御説明しましたように、ある算定式を考えました。その算定式と申しますのは、適正保有数量算出の算式でございますが、それによりまして私どもが計算いたしますと、たとえば先ほどの四十多かったといったような数字になりますが、それの積み重ねが約八千万円になります。  それから、第二点の本社で調達いたしましたもの、これにつきましては、その後の車両の使用しまして一年以内に使うというようなもの、定期修繕を行なわなければならぬというようなもの、それから新しい型式の車両を買った際に、最初はどうしても故障が起きるということで、そのための早期復元のために必要な数量、そういったものを私のほうで想定いたしまして、これだけは買わなければならぬだろうということでそれを購入いたしまして、昭和四十六年度早々に使用する分をそのほかに考えまして、そういう点からいって、約三億円は過大な調達をしたんじゃないかというふうに考えております。ただ、いま申し上げました数字というものは、先ほど申し上げたように、標準的な算定式を使ったわけでございますので、必ずしも正確とは申し上げられないかと思います。
  61. 有島重武

    ○有島委員 会計検査院も、いま推定の範囲でもって大体三億円はあるであろうということでございますけれども、これは推定でございまして、総裁にお願いしたいのは、まず工場にその備品をどのくらい置かなければならないのかという基準をはっきりしていただくこと、そしていまどのくらいそれがだぶついておるのか、そういったことを、これは調査の上善処していただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
  62. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうといたしましても、国民に非常な御迷惑をかけ、また利用者に多大の御負担を願うというからには、国鉄自身の合理化を進めなければならないのは当然でございますが、毎年、残念ながら、数件検査院から、いま先生のお示しのような指摘を受けるのは、非常に私残念に思って申しわけなく思っておりますが、いまのお話問題、私のほうの担当者に言わせれば、いろいろ理屈はあると思います。しかし、全体といたしまして、もっと近代化した、機械化した工場管理、いまおっしゃった予備品の管理ということをしなければ、やはりむだが生じるというふうに思うのでございます。いろいろ最近車両の型式が非常にふえましたり、また修繕のやり方も変えたりしておりますので、いろいろ私も説明を聞きまして、多少問題があるにいたしましても、全体としてむだの生じるようなことはやるべきじゃないということで、最近、実はコンピューターによるそういった工場用品の管理というのは、非常に外国でも進んでまいりまして、私のほうも、いま検査院も言われましたが、本社でもって二十七の管理局がそういうこまかい部品までやること自身に若干無理があるということで、ブロックごとに親工場をつくりまして、親工場で、その小さい自分の支配下にある工場を段階をつけまして、そうして親工場がその三つか四つの自分の子工場のそういったこまかいことまでコントロールする、それをコンピューターでやっていく、というふうな近代化の方途をたどりませんと、いつまでも鉛筆をなめなめ帳面をつけるということではだめだということで、思い切った工場管理の、ことに工場の事務管理の近代化ということをやらなければ、根本的には解決できないということで、いまそういう方面に向かって、先生の御指摘を生かしまして、私はぜひそういう方面にやってまいりたいというふうに思っている次第であります。たいへんありがとうございました。
  63. 有島重武

    ○有島委員 ただいま国鉄のほうでは、この備品についてはコンピューター管理をやる。それからもう一つは、全国の工場が多過ぎるから、これを親工場それから子工場に分けてまとめた一つのブロック体制を組んでいく。そういうふうな御構想を初めて承りましたが、なおいまの問題で、時間のある限りもう少し言いますけれども、予備品が入庫するときとそれから使用するときと、これはまたこまかい話でございますけれども、これをコンピューターにかければ、非常にまた合理化されると思いますが、新しい車両が配置されるとすぐにその備品がついて歩く。ところが、この車両を全般的に点検するということは、最近では、五年以内ぐらいになっておるそうですね。それから、部分的に見るのが一年以内というのもあるようですね。ですから、その備品を回転しながら使っていくについても、それを配備したと同時にそれを持っていくということは別に必要ないことでございまして、車両を何年目ごとにやるというのは、日本国有鉄道運転規則に定められているそうですけれども、この増備と同時に、ふやして配置するのと同時に備品を配置しなければならないということは、これは全く工場の実情とは合っておらない。それで、いわゆる検査院の指摘のとおりですけれども、部品調達にあたっては、新製車両の配置に直ちに比例した部品調達価格を基準とするようなやり方をいままでどおりやっているならば、やはりこれは金のむだが起こってくるわけですね。これは修繕の施行時期やあるいは工場の予備品保有状況がいままでどのくらいあったか、こういったことを勘案して決定すれば、調達数量のだぶつきが減少できるのではないか。この例が、名古屋工場では自動すき間調整器というのですか、私はしろうとでどんなものであるか知りませんけれども、これを調達したのが昭和四十五年の七月だというんですね。これを実際に使いますのは四十八年の七月になるわけです。まる三年間も早手回しにやった、と言えばいいけれども、それはむだになっておる。それから盛岡工場で、主電動機、電気期関車の主電動機ですけれども、これが調達数量六個、金額にして七百十七万六千円、これが四十五年六月に調達されて、実際に検査するのは満二年後の四十七年六月である、こういうようなことが指摘されているわけです。こうした放漫な調達による損害というのは、今回の調査の範囲でどのくらいになるのか。  それから予備品の管理につきまして帳面上の問題と実際上の問題が次にあるわけです。初めに会計上の処理の問題ですけれども、新しく調達した予備品は車両工場の貯蔵庫から出して使用されるときには、その部品の価格の五分の一相当額を資産勘定に回す、そういうことになっているそうですね。これを怠って、工場の経費につけてしまう。このために新品と交換して戻ってきたものを補修して、また新品同様に回転するわけですけれども、その反復使用されているものが予備品台帳に全然載せられないまま、資産外のものとして通用しているものがある。ですから、今度は上のほうから見れば、また足らないんだろうといって追加しなければならないようなことにもなる。こうした金額が浜松工場で五百七十三万九千円、それから小倉工場で五百万千円、それから名古屋工場で二百四十四万四千円、おそらく全国ではこのほうだけでも四千五百万円にのぼると聞いている。時間がありませんからこれを一々だめ押ししませんけれども、もう一つは、この部品は何回も直しては使い、直しては使ってきたんだが、これ以上修理はできない、廃棄しようというふうに落とすものもあるわけです。ところが、経理上修理不能として落とした数量と、それから実際に生じた修理不能品の数量とが食い違いておる。だから帳面から落ちているのだけれども、実際に使われておる、こういった例が大井工場で四百九万三千円、名古屋工場で三百六十九万二千円、鷹取工場では四百五十七万九千円、これは全国的な範囲だと、もっと大きい金額になるかと思いますけれども一つ一つの例でもこういったことがあったわけです。  以上、たいへんこまかいようなことでございますけれども、この点について国民は、国鉄さんだから非常にがっちりやっているんだろう、そういうふうに心から信頼しているわけなんですね。一種の裏切り行為であると思います。  それから見のがすことができないことは、こういった予備品が回転していることについても伝票がたくさんついて回る。一つ何万枚ものたくさんの伝票がついて回って、それを処理する人件費というものがばかにならないわけですね。実際の品物よりもその人件費がたいへんなわけです。コンピューターをお使いになるというお話がいまございましたので、これは早急にその方向でやっていただきたいと思います。  最後に運輸大臣に、こうした実態があった。こういった実態を隠して運賃値上げをするのはほんとうにもってのほかだと私は思うのですけれども、こうした点についての総点検をなさるお考えはないかどうか。運輸大臣どうですか。
  64. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いろいろ適切な御指摘をいただきまして、先ほども国鉄総裁から御答弁申し上げましたとおり、決して隠しているわけではございません。国鉄もその内部のいろいろの経理その他の事務につきまして旧態依然な点があった点を十分認めておりまして、これをいかに早急にいま御指摘のように改善をするかということを総裁以下、いままっしぐらにやっているところであります。さらに、いまの御趣旨を体しまして私も十分その点におきまして指導いたしまして合理的な運営ができるように、いま申しましたコンピューターを導入するとかその他の点につきまして、むだがなく合理的な事務の運営ができるように指導してまいるつもりでございます。
  65. 有島重武

    ○有島委員 大臣、総点検をやりませんかという話なんですけれども、いまのはほんの一例です。とにかくこんなこま切れな時間でもって審査をみんなしいられているわけでございますけれども、本来はもっとあと何日もとってやっていただきたいと思います。これはほんの一例なんですけれども、こうしたことがあるんじゃなかろうか、そういった向きでもって総点検をやってみませんか。運輸大臣からお願いいたします。
  66. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 あれだけの膨大な組織でございますから、総点検をほんとうにやるとなりますと、おそらく運輸省の全員がかかりましてもなかなかにそれはむずかしいことだと思います。やはり国鉄自体がいま御指摘になりました点を十分踏まえまして、そうして自体でその欠点を直していく。いろいろの点におきましてその点が具体的にできておるかどうか、それがために監査委員制度もございますし、私どもそれを指導している次第でございます。そういうような点におきまして十分不合理のないように今後さらに一そう指導を強化してまいりまして、いま御指摘のような不合理な点を早くなくするように指導してまいる次第でございます。
  67. 小峯柳多

    小峯委員長 有島君、もう時間でございますから、結論を急いでください。
  68. 有島重武

    ○有島委員 これで終わります。  資材の発注は——いろいろな資材を使っていらっしゃいますね。資材全般につきまして、資材の発注から管理に至るまで、どういう品をどこから幾らで入れてどういうふうに使っておるのか、こういった点検をしていただいて、これはそのつど関係委員会に報告していただいたらいいんじゃないかと私は思います。  それからいまの政府は特に中小企業対策ということに御熱心だということになっておりますから、私、部品なんかのことにつきましては中小メーカーを相当起用していらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、そういった実情も知らしていただきたい。  以上でもって終わります。
  69. 小峯柳多

    小峯委員長 和田耕作君。
  70. 和田耕作

    和田(耕)委員 この運賃値上げ法案の趣旨説明を拝見しておりまして最初に気がつくことは、昭和三十九年度から赤字に転じということばがあるわけですけれども、それまで数年間、ずっと収益は悪化してきた。つまり高度経済成長が始まったのが三十六年ごろとしまして、始まると同時に国鉄が急速にダウンしてきた。昭和三十九年には赤字に転落してきた。四十四年には十カ年計画を立てるというようなことで赤字対策をやらざるを得なくなった。つまり本来いえば国鉄は忙しくて黒字が当然累積していくということを予想される時期に、このように赤字に転落したということについて、大臣あるいは総裁、簡単でけっこうですけれども、基本的な原因はどこにあるのかという点についてお答えをいただきたい。
  71. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 率直に申し上げまして、要するにモータリゼーションその他新しき陸上輸送機関が非常に発達してまいりました。それに対しまして国鉄がそれらの需要の激変に対しまして対応できなかったということがやはり一番の大きな原因と私は率直に認めている次第でございます。
  72. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま大臣がおっしゃいましたように、やはり私は、ちょうど昭和三十年代の下期からほかの交通機関の基礎施設が非常に整備してきた。たとえば道路、港湾、飛行場等が相当ばく大な国の金でもって基礎的な設備が整備されて、それに輪転資材が乗って動き出したという、ちょうどその時期だったというふうに考えます。したがって、その時期がほんとうに、いわば国鉄陸上交通の主要的地位から転落した時期であると、こういうふうに考えます。   〔小峯運輸委員長退席、細田運輸委員長代理着席〕
  73. 和田耕作

    和田(耕)委員 私はこの問題をよく考えてみるんですけれども、いままで国鉄は、明治以来文字どおりの独占的な企業として、国策輸送あるいは一本の輸送の大動脈として、人も荷物も、待っておればあり余る仕事があったというような状況で仕事をなさってこられた。しかし、この高度経済成長ということで、モータリゼーションの問題もありますけれども、そういう状態では、もう競争という点から考えても、待っていたら荷物は集まらなくなってきた、あるいは人も同じような問題が、荷物ほどではないんですけれども、出てきたということに、基本的な、原因があるんではないか。つまり、国鉄経営の姿勢の問題に基本的な問題があるんじゃないか、こういうように思うのですけれども大臣あるいは総裁の御所見をお伺いしたい。
  74. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 そのとおりだと思います。
  75. 磯崎叡

    磯崎説明員 確かに国鉄は、すわって仕事をするというふうなくせがついております。いわゆる街頭に進出するとか、あるいはそういった荷主、お客さんのところへこちらから積極的にアプローチするという精神が欠けておった、お役人式にいすにすわって仕事をするというふうな風潮があったということを、私率直に認めるわけでございます。
  76. 和田耕作

    和田(耕)委員 国鉄は世界で一番時間が正しい正確な輸送をする、これはたいへん大きな世界から受けた評価だと思いますけれども、つまり、すわっておって、そして来た荷物をさばくという面については、世界のどこの国にも負けないような能力を持ってきた。それを国鉄人は生きがいにしてきた。しかし、この高度経済成長が始まってからの状態というのは一変していますね。そういう状態は。それではもう仕事がやっていけないという時期に達しておるにもかかわらず、そのような姿勢の変化が全部面にわたって見られない、このような感じがするんですよ。つまり、こういうふうな問題国鉄再建問題の中心にならなければならない、私はそう思うのです。  そこで、昭和四十四年に、この前の運賃値上げ法案審議したときに十カ年計画を立てまして、そしてサービス改善あるいは国鉄自体の経営合理化あるいは赤字線の改廃、バスによる切りかえ等の問題をお約束をなさった。その後、約三年ですけれども、そのような三点について目立った改善を、やっておられるつもりかもわかりませんけれどもほとんどやっていない、そのようだ実感を国民は持っていると思います。  私は連日選挙区の駅頭で、この運貨値上げ反対をしようじゃないか、反対をするということは、何でも反対じゃないんだ、国鉄政府にもっと約束をしたことを誠実に守るように、そのようにひとつ圧力をかけようじゃないか、こういうようなお訴えをしているのですよ。四十四年に十カ年計画を立てて、そしてまた運賃値上げのときに、この値上げを認めてもらえばサービス改善経営合理化あるいはむだな赤字線を廃止すると言ったことが行なわれてないのに、また現在、前よりも輪をかけて大幅な運賃値上げを求めて、そしてまた十カ年計画を立ててということになるわけですけれども、このような政府国鉄の姿勢に国民はほとんど全部が納得してないと思うのです。国鉄日本で一番大事な企業ですし、これが大きな赤字をかかえてにっちもさっちもいかないというような状態国民は知っておるわけですから、家庭でも職場でも何とかしてあげようという気持ちが起こるのはあたりまえのことなんです、ほんとうにやっておれば。しかしそういう、やっておるという実感を国民だれでもが感ぜられるような状態でないので、何言っているのだと、もう請願の署名は小さな机では書き切れないようなありさまなんです。この状態はもっともっと真剣に考えていただかないと、私はほんとうに国鉄はどうなるのだというふうな感じを持たざるを得ないわけなんです。特に最近ぐあい悪いのは、このような大幅な運賃値上げでたいへん憤慨をしているやさきにいまのような状態です。まあ順法闘争のような問題が輪をかけて大きな憤慨の、国民的な反感のもとになってきておるというわけですけれども一体大臣あるいは総裁国鉄の乱れた労使関係、と一言で言っていいと思うのですが、これを何とか立て直す方法がありますか。あるいは自信がありますか。あるいは目安がなしに、これは何ともしようがないという感じですか。簡単でけっこうですからそういうことについて……。
  77. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄再建基礎はやはり人間だと思います。したがって、いま先生のおっしゃったことができなければ私は再建はできないということを深く心に思っております。何とかしてやってまいりたいというふうに思います。
  78. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま総裁から御答弁申し上げましたとおり、やはり何と申しましても、国鉄国民の負託にこたえるのには、労使間の真の信頼関係に立ち戻りまして、そして協調してやる、これがやはり根本であると思う次第でございます。それをどうしてもやらせなければならぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。
  79. 和田耕作

    和田(耕)委員 職場におる人たちは働くために職場におるわけですね。ちょうどわれわれ政治家は国民の気持ちを代弁して政治に反映するのがわれわれの仕事であると同じように、職場におる人は、特に公共機関の職場におる人は、やるべき仕事をやるということが一番の生命なわけですね。私は国鉄状態を見ておりまして、一生懸命に働こうとしておる人が意気消沈をして、そして仕事もろくろくしない、あるいは規則も守れない。一生懸命仕事をしている者を監禁したり暴力ざたをしたりする人が大きな顔をしている。しかもそれに対して国鉄当局政府も何ら効果のある手を打ち得ないという状態だと拝察をするのですけれども、間違っておりますか。
  80. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま先生のおっしゃったような現象があったことは事実でございます。ただ私どもといたしましてはそれが全般的な事情だとか大多数の人間がそうであるとは決して思っておりませんので、まじめに仕事をしたいという、いま先生のおっしゃったような職員が大多数であり、ごく少数そういう暴力を用いて仕事をじゃまするような者がおることは、たいへん残念でございますが否定できないということでございまして、この点につきましては先般も組合の幹部といろいろ話をいたしました。もちろん私は、どの組合でも、暴力行為をしろという指令を出した組合はどこにもないと思います。しかし、結果的にそういう結果になっておるとすれば、やはりお互いに反省すべき点があるんじゃないかということで、私どものほうでは副総裁、向こう方では委員長が、ほんとうに責任をもってひとつ信頼回復をやろうじゃないかという話し合いをいたしております。多少の時間はかかるというふうに思いますが、私は、先ほど申しましたように、それができなければ再建ができないということを前提として取りかかってまいりたいと思っております。
  81. 和田耕作

    和田(耕)委員 いまの重要な問題について、私は、これは単に総裁だけの責任じゃないと思うんですけれども、これはもう少し、お互いの一番大事な足ですから、そしてこれが乱れれば国民はたいへんな迷惑をするものですから、そしてまた、これが赤字になって運賃値上げをすれば、われわれが使う全部の商品は直接間接に国鉄の汽車に乗るわけです、数字に出てくる以上に物価を押し上げる力は大きい。心理的にも大きい。便乗値上げもある。こういうことは何とかしなければならないという、一番眼目のところに対して今後の見通しがつかないということは、これは無責任だといわなければならない。政府もそうですよ。政府も、これは毎年言われることですけれども、赤字路線を廃止するということを三年前も大きく約束した。それに対して、少しはやっているようですけれども、せいぜい百キロ前後をやっているだけのことであって、ほとんどそういうふうなことをやっていない。そのかたわらに新しくまた、地方の開発という名のもとに、輪をかけたような赤字線をつくっておる。こんなことを国民は許せるわけないじゃないですか。つまり、政府はやるべきことをしない。国鉄当局者も、効果のあることを腹をきめてやればできると思うのに、それをやらない。それでおって、赤字だからといって国民のふところにしわ寄せをするということは、これはただ単に言うだけじゃないのです、ほんとうにこの問題をひとつ真剣に考えていただきたいと思います。そうしないと、この赤字の問題について、何ぼ上げても、国鉄経営がよくなるという保証は一つもありはしませんよ。そういうふうに私は思います。  そのことを前に申し上げまして、あとから貨物運賃問題についてお伺いしたいのですけれども国鉄の赤字が大きくなってきた一番大きな原因の一つは、貨物運賃の減収という問題ですね。これはつまり、先ほど申し上げたように、集まってきたものを運んでやるという、この態度のあらわれだと私は思う。何といっても国鉄日本輸送の大動脈であって、その気になって一生懸命に荷物を集めて、そしてサービスをあれをして、そしてあるところからあるところまでの瞬間をかちっと輸送するような体制をとっておれば、こんな状態ではないと思いますね。長距離トラックの輸送に比べて、国鉄運賃は非常に安い。それはやみ運賃等の問題もありますけれども、全体として非常に安い。安いにもかかわらず長距離トラックに取られるというのは、一にかかってサービス問題じゃないんですか。品物を運ぶ荷主は、東京の築地の市場に幾日の何時ごろ着いてほしいと願っておる。国鉄に乗せればいつ着くかわからない、こういう状態が数年間ずっと続いているんじゃないですか。これじゃ二倍高いものでも、トラックを選びますよ。あたりまえのことですよ。人は、独占企業だから、何ぼ腹が立っても国鉄に乗りますけれども貨物は、自動車というものがありますから、どんどん動きます。その動く貨物は、ほとんど長距離トラックに乗って動いていく。しかもそれは運賃は高い。こういうふうな問題をそのままにして今回——まあそのままにということは言い過ぎです。フレートライナー、非常に少ないながらそういうようなこともやっておられますけれども、これは時間がかかる。そういうふうなことをそのままにして、貨物運賃の二四・六%ということは、私はその効果があるかどうかを危ぶむのですよ。ここで二四・六%という貨物運賃値上げをして、そして実収を一五%ぐらいに見ておるようですけれども、はたしてそれが得られるかどうか、確信を持っておられますか、総裁
  82. 磯崎叡

    磯崎説明員 貨物輸送が非常に最近停滞してきておることは先生の御指摘のとおりでございます。その一つの大きな原因として、やはり私ども輸送サービスが悪い。悪いという内容は正確じゃないということであると思います。いまの世の中は正確さ、輸送の正確さを一番求める。早さよりむしろ正確さだと思います。その正確さが一番欠けておるのが私ども輸送だと思います。その点で、ここまでだいぶ努力をし、コンテナ化し、またフレートライナーもつくってまいりましたけれども、いま先生がおっしゃいましたように、今後大体目標を全体の貨物輸送量の半分をコンテナ化するということを一つの目標にいたしまして、いまはまだ一割少しでございますが、急速にコンテナ化して、そして極力拠点間をフレートライナーで結ぶ、しかも正確に結ぶということを前提といたしまして、私は、荷主が私どものお願いを聞いてくださるんじゃないかというふうに思っていますが、やはり、はたして一五%の収入があがりますかどうかは、一にかかって、いま先生のおっしゃったように、私どもがどういうサービスを提供するかということだと思いますので、その点を十分検討して、前向きな姿勢で、ことに今度だいぶ投資も認めていただきましたので、貨物輸送に対する投資も十分いたしましてそういう方向に持ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  83. 和田耕作

    和田(耕)委員 今後の、フレートライナーを中心としたコンテナ輸送計画についてあらかじめ資料をいただきました。これが実際に実行できれば相当国鉄貨物輸送力も強化される、あるいは競争力も強化されると思います。しかし問題点は、今後とも私検討したいと思うのですけれども、はたしてこのような計画が、机上でなくて実際に達成できるかどうか。現在青森のリンゴを東京市場までフレートライナーでやっている。一本だけですね。こういうふうな状態は、いろいろな技術的な問題もあると思うのですけれども、このような技術的な問題を解決できていまのようなコンテナ輸送状態相当大幅に上げる計画ですね。こういうことが実現できるかどうか、これは一つの大きな問題点だと思います。もう一つ問題点は、このコンテナ輸送になればなるほど、国鉄の人はじっと荷物を待ってやっておるわけにいきません。いままでよりはもっとからだを動かして荷主をさがし、そして荷物を集める、この努力はいままでの何倍以上に強化されなければならない。そういうふうな態勢がはたしてあるのかどうか。この二つの問題がないと、この貨物輸送というものは計画だけであって実行されない結果になりはしないか。この問題について総裁の御所見をお伺いしたい。
  84. 磯崎叡

    磯崎説明員 フレートライナーにつきましては、今日現在まで大体計画どおり本数をふやしてきております。おかげさまで荷主もだいぶついてくださいまして、一応経済計算いたしましても収支が償っていくというふうな計算になっておりますが、今後の対策といたしましては、やはり問題はターミナルの問題があると思います。やはり貨物ターミナルを整備いたしまして、そこでコストの安い荷役をしなければやはりお客さんはついてこないということで、今度の投資の中には相当ターミナルの整備を入れております。それからもう一つは、やはり線路容量と申しますか、そういういい列車を入れられるだけの容量が線路にあるかどうかという問題になってまいりますが、これは先ほども申し上げましたが、やはり幹線筋の複線電化と申しますか、地方幹線の複線電化、全部複線にできないまでも、ネックのところを複線にするということによって輸送力をふやして、そして全国的になるべく早く——イギリスの国鉄はそのフレートライナー網を非常に早く整備いたしまして、これもだいぶ勉強しておりますので、なるべく早く全国的なフレートライナー網を設置いたしたいし、また私はやれるというふうに思っております。
  85. 和田耕作

    和田(耕)委員 現在の国鉄が、結局荷物を待つ態勢で、輸送しているものはわりあいに安い運賃のものにかたまってきている。高いもの、つまりいろいろな加工品は、ほとんど大部分のものはトラックにとられておるという状況ですね。今後は、たとえば国鉄と競争になる海運にしてもあるいはトラックにしても、これら自体がどんどんと合理化されていくわけです。しかも国鉄が運んでいるのは、重い、運賃の安いものにしぼられてきておる。これは結局は国鉄が怠慢だからですよ。国鉄が足腰を動かして、お客さんを説得をして荷物を集める努力をしないものだから、国鉄でなければしようがないような重い、安いものしか運んでいないという結果になっているのです。こういう点は一にかかって経営の姿勢にかかる問題であって、この問題について国鉄は、国民が納得するような、いよいよ国鉄はやり始めたということがわかるような姿勢だけは何としてもとってもらわないと、そしてとるという確実な約束をしていただかないと、この運賃値上げに賛成するわけにはまいらない。私は劈頭にそう申し上げておるのです。民社党は、何が何でも反対だというわけじゃない。政府がいまの赤字線の改廃について、やることをしっかりやる。やりもしないで、また有力な議員の、名前を言っては失礼ですけれども、政治的なために線路を引っぱっておるという事実は、現にいまだにありますよ。赤字に輪をかけるようなことをしておきながら、国民にしわ寄せをするなんということは、これはだれがどう聞いたって納得できることじゃない。また国鉄だって、そういう待っておれば荷物が来るというような独占的な立場にあぐらをかくようなことを直さないで、赤字だからといって運賃値上げを求めても、それをわかったなんという者は一人もおりはしません。そういうようなことですから、この問題については、ぜひとも政府あるいは国鉄の善処をお願いいたしたい。善処ぐらいのものじゃない。はっきりそういう姿勢をとっていただきたい。  そこで、それと関連したもう一つ問題ですけれども磯崎総裁国鉄一家ということばがありますけれども、これはいろいろな大きな広がりになっていると思いますが、私の選挙区にも、国鉄の下請企業のようなものが二、三ございます。そこへもときどき行くことがありますけれども、たとえば私どもが行きましても、そこの社長さんとか重役さんにはお目にかかれないのです。せいぜい総務部長さんぐらいのところと話をして帰ってくるということですね、たまたまいなかったのかもしれませんけれども。その工場の状態をここで申し上げますと、どこに入り口があるのか、裏口がどこだかさっぱり書いていない。どういう営業をしているのかという荷物の宣伝もしていない。全く国鉄の注文に依存しているという状態ですね。それは国鉄のある部品をつくっている工場ですけれども、その部品だけはちゃんと納めるでしょう。しかしその部品の値段が合理化されて安くなるなんということは、あの雰囲気では絶対にないでしょうね。つまり、こういうような雰囲気の下請企業を一ぱい持っているのじゃないですか。こういう問題について、総裁、点検をなさったことがありますか。
  86. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問の第一の問題でございますが、私のほうも、貨物の街頭進出ということは必ずしも適当ではございませんが、じっとして荷物が来るのを待つという態勢でなくて、自分のほうから飛び出していくという意味で、貨物駅以外に貨物センターをつくりまして、そこでもってなるべく荷主のドアに近いところに行って荷物を集めるということをやりまして、いま百数十カ所そういうところをつくっておりますが、実際の数字はともかくといたしまして、姿勢としてそういう姿勢をとるということは非常に大事なことだと考えます。  それから第三の御質問、私ちょっとつまびらかにいたしませんが、あるいはそういう部品工場の下請で部品をつくっているところかと存じますが、そういう点を私自身見たことはございませんので、たぶん工場の下請だと思いますが、そういうルートを通しまして、はたして値段が適正であるかどうか、それからやはり安全につながる問題でございますから、仕事の管理がうまくいっているかどうか、工程管理その他について十分検討さすように、その方面の者に指示いたしたいというように思っております。ふつつかにして私自身実は見ておりませんので、申しわけございません。
  87. 和田耕作

    和田(耕)委員 私どもが訪問してサービスにこれつとめてもらおうとか、あるいは社長さんからいろいろおあいそを言ってもらおうということを言っておるわけじゃありません。一つの例でございまして、そういう企業と他の地域社会の人たちとのおつき合い——おつき合いというのは寄付するということじゃないですよ。それから他の業界との競争、自分の経営改善合理化、そういう意欲を起こさせないような経営の雰囲気ではないかということですね。一にかかって国鉄の注文に依存をしておる、こういうふうな状態の下請企業が一ぱいある。それにささえられた国鉄ということになりますと、国鉄自身が何ぼ努力をなさってもなかなか効果はあがらない、こういう問題がありはしないかと思うのです。名前はあげません。そういうふうな感じを強く持っておるので、先ほど有島君が国鉄自体の企業努力という問題を取り上げたのですけれども、こういう問題にまでひとつ心を配っていただきたい。  また、国鉄一家というのも非常にいいことなんです。いいことですけれども、あまり古い時代の感覚で一家という感覚では、近代的な商業ベースの合理化の競争の状態とは両立できないという感じがするわけで、この問題についてもひとつ改善をお願いしたい。  資料としまして、国鉄職員の方々で、そういう国鉄一家といわれる関連企業に退職されてから再就職をされた、その資料がわかりましたら、あとでけっこうですからひとつお知らせいただきたいと思います。  私はこれで関連の栗山君にかわらしていただきます。
  88. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 関連質問の申し出がありますので、これを許します。栗山礼行君。
  89. 栗山礼行

    ○栗山委員 関連で十二時三十九分まで時間が許されておりますので、私は運輸大臣国鉄総裁に二、三の問題についてのみ御質問を申し上げて御回答をいただきたい、かように考えております。その前提として、国鉄の健全な再建方策につきまして憂え、かつそれに積極的努力をささげてまいろう、こういう立場においての質問でございますことをまず申し上げて、御了解を得たいと思うのであります。  国鉄財政再建の基本として、企業内での企業努力が当然要請されますことはきわめて常識でございますけれども、いま和田委員も御質問されましたように、順法闘争に名をかりましたいわゆる国鉄の乱れというものがその極致にあるのではないかというふうに、これは激憤をいたす一人でございます。このことは、とりもなおさず国民生活に与えている影響の甚大性でございます。申すまでもなく、陸上輸送の根幹でございます国鉄のそういう乱れというものが、直ちに国民の物価問題にはね上がってまいるという結果をもたらしておりますことは、これは論を待ちません。こういう観点からいたしまして、国鉄総裁はこういう国民に甚大な影響を与えているという事実認識について、あるいは国民にどのような責務をお感じになっておるかということについて、大臣とあわせて所信をお伺いいたしたい。これが一点であります。  第二点の問題につきましては、この種の順法闘争及び多発エスカレートいたします暴力事件等の問題につきましては、私の率直な愚見を申し上げますならば、どうもやはり基本的な姿勢の欠如にあるのではないか、さらに労務管理及び人事管理の適切な運営の欠如に大きな原因が存するのではないか、こういうことについてお尋ねを申し上げたいのが第二点でございます。  第三点の問題といたしましては、私は限られた時間でございますからいろいろ多くを申し上げませんけれども、三月三十日の予算委員会におきまする総理及び運輸大臣答弁、あるいは国鉄総裁の御答弁について、私は記録を再読いたしまして、その内容を理解いたしておるのでございますが、これはこれなりにお受けとめをされまして、総理のごときにおきましては、まさにお話を伺いますと、私も国鉄の出身であって、連合赤軍の浅間山荘の事件を想起するような暴力及び乱れであるということを痛感した、こういうふうな総理の御答弁がっあたり、あるいは大臣及び国鉄総裁がえりを正して、労使関係の正常化と暴力排除についてその責めをもって行なってまいり、かつ暴力の関係者については厳重なる処断をいたしてまいる、こういうことがこの質疑の中で明らかにされておるわけでありますが、その内容につきまして、私は記録によりましてものを申し上げておるのでありますが、その後若干の処分等が発表されたのでありますけれども、数百人にのぼりますこの種の事件についてどのように処置をされつつあるのか、あるいは今後なされんとするのであるか、これが三点の質問の要旨でございます。  最後の要旨は、私は率直に申し上げまして、職場内において暴力が横行するこういうような事実、あるいは信頼及び誇りをもって安心してできない職場、こういう環境を排除しなければ、私は鉄道の再建は単に財政的な問題によってのみ解決する問題ではなくて、その人間的な関係、あるいはどのように高い誇りをもって責務を自覚して国鉄を進めてまいるかということでなければ、私は解決がつかないのでないか。あるいはまた、公正な人事、あるいは暴力の排除された職場、こういうことでなければ国鉄再建がおぼつかないという信念と結論を抱くのでありますが、この四点について、大臣及び磯崎総裁から御明確に御答弁をちょうだいしたい、かように考えております。
  90. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、まず第一の、過般来の、特に新鶴見操車場を中心といたしました貨物輸送の混乱並びにいわゆるATS闘争による旅客輸送の混乱等につきまして、いずれにせよ国民に非常に御迷惑をかけ、相当輸送の混乱を引き起こしたことについては、これは原因が何たるかにしても、私の企業内の問題でございます、すべて私の責任だというふうに私は思っております。その意味で非常に大きな責任を感じております。  二番目のいわゆる順法闘争につきましては、これはいわゆるということばがついておりますとおり、ほんとうの法律に従うということとはちょっと異質なものでございます。非常にわかりやすい例を二つ申し上げますと、たとえば駅の構内は二十五キロ以下で運転しろという規則があるといたします。それは二十五キロ以上出してはいけないという意味でございます。いわゆる作業基準でございます。しかし、二十五キロ以下なら一キロだって二キロだっていいじゃないか、こういう解釈をいたしますとそれが順法だということでやっている点がございますが、これは法律ではなしに作業基準でございますれば、二十五キロ以上出してはいけない、あとは相当熟練した経験のある乗務員でございますから、ポイントのところは何キロ、どこは何キロ、これは自分で判断するのが当然でございます。それは全部一キロで走るということでは仕事がおくれてしまうのはあたりまえで、これを順法と言うならばそれはことばのあやである。順法ではない。また、ATSの問題につきましても、これはずいぶん国会で申し上げましたからきょうは詳しくは申し上げませんが、これも明らかに規則に従ってない、ほかの規則を使ってやっておるということでございまして、この点は組合と、お互いに専門家同士でございますから、十分話は、実はわかっておるわけでございます。おとといの晩もこの点はいろいろ話をいたしまして、まあ大筋については大体専門家同士で話がわかったというところまで来ているわけでございますが、いまやっております過般来からの一種のサボタージュ的行為、これが非常に大きな影響を来たしているわけでございまして、これはいわゆる順法闘争とは私ども認めておりませんのでございます。  第三番目の暴力の問題でございます。これは過般やはり主として新鶴見操車場を中心として起こった暴力事件でございまして、非常に遺憾なことでございまして、いま日本じゅうの職場でもって暴力のために仕事ができないという職場はまず絶対ないと思います。残念ながら私のほうでは過去にそういう事態があるということを率直に先般認めたわけでございます。その後一応現在は平衡状態を保っておりますけれども、私どもといたしましては、実は先般もこの付近の現場長がたくさん見えまして、自分たちも責任をもってひとつ暴力を追放するようにからだを張ってやるからというふうなことも言っております。もちろんいろいろな意味で、夜暗いとき、非常に管理者が少ないとき等もございますが、そういう意味で非常に危険な事態もございますが、それらに惑わされることなしに、あくまでも仕事を遂行するということを中心として、善良な職員が仕事ができるということを前提として管理をやってまいりたいというふうに思っております。  それからその次に職場内の暴力、干渉……(発言する者あり)
  91. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 御静粛に願います。
  92. 磯崎叡

    磯崎説明員 いわゆる国鉄職員が国鉄職員であるということの誇りとそれから責務ということを先生おっしゃいました。まさに私はそのことだと思います。私がかねがね言っておりますことは、国鉄職員たるものは国鉄に対する愛情を持つこと、それから国民に対する誠意を持つこと、この二つのないものは、私は国鉄職員としての資格がないというふうに申しております。   〔細田運輸委員長代理退席、小峯運輸委員長着席〕 したがって私は今後ともこの二つを心棒として国鉄職員がりっぱな仕事ができるように努力をしてまいりたい。  以上四点について私の覚悟を申し上げて、お答えにかえます。
  93. 栗山礼行

    ○栗山委員 あなたは私の質問に答えてない。ここにはっきりいたしておりますように、職場における暴力につきましては全力をあげて排除をする。さらに排除をするだけではなく、もしそういうことが起きたときには必ず処分を明らかにするかどうか。必ず処罰をいたします。こういうことでありまして、その後において陸続として暴力事件が続いておるじゃないか、これに対するいかなる処置をとっていらっしゃるかということについてお答え願いたい、こういう一点のの質問でございます。
  94. 磯崎叡

    磯崎説明員 わかりました。その点につきましては、私どもといたしましても過般来の暴力行為——いわゆる暴力行為と申しましても、暴行脅迫、説得、いやがらせ、いろいろニュアンスがございます。その中でほんとうの刑法上の暴力に該当するものであるといなと、なかなか識別のむずかしいものもございますが、いやしくも暴力として、はっきり暴行、脅迫等の事態が明白なものについては、徹底的に処分いたしてまいります。
  95. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先般来の混乱につきましては、運輸行政の責任者といたしまして非常に責任を痛感をしておる次第でございます。また非常に私は憂えている次第でございます。一刻も早く正常運行ができるように、私もあらゆる点におきまして国鉄当局を指導し、鞭撻をする次第でございますが、これ一そう続けまして、早急に国民に御納得のいくような正常運行に立ち返らせるようにさらに努力を続けるつもりでございます。  それからいろいろ人事管理あるいは労務管理の点につきまして適正でなかったのじゃないか、確かにそうだからこういうふうになったと思う次第でございます。その点はいま総裁が御答弁申し上げましたとおり、鋭意国鉄内部におきまして改善努力させるように指導する次第でございます。  最後に暴力につきまして、民主主義社会におきまして暴力は絶対にこれを許すべきものじゃございません。いかなる場合におきましてもこれは労使以前の問題でございまして、これは断固として排撃しなくちゃならぬと思う次第でございます。先般も私ここで御答弁申し上げましたとおり、この方針を堅持いたしまして、その暴力の排除、そして一般の職員がその職場で安心して仕事ができるということにつきまして、万全の策を講じさせたいと思っている次第でございます。主義主張は異なりましても、いかなる場合におきましても、暴力を用いるということはあらゆる民主主義社会の秩序を破壊する一番もとであるという強い確信をもって私は臨むつもりでございます。
  96. 栗山礼行

    ○栗山委員 時間が参りまして、以上で質疑を終わることにいたしますが、大臣からあるいは総裁から御答弁をいただいたのでありますが、必ずしも私は敬意を表して将来を御期待申し上げるというような意見が出てまいらないほど、国民感情というものがすでに感情的に許せないというところまで進んでおるということを銘記されまして、国民に向かっての信頼と、そうして責務を遂行されますようなひとつ真摯な努力を私は強く求めまして、私の関連質問を終えることにいたします。
  97. 小峯柳多

    小峯委員長 細谷治嘉君。
  98. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大蔵省にお尋ねいたしますが、昨年の予算委員会で、昨年新設されました自動車重量税の問題に関連して、これは四十六年度においては一般財源として計上するけれども、四十七年度においては総合交通体系というものをつくって、そして総合交通体系特例会計というものの財源にしていくのだ、こういうことでありました。すでに十二月の中旬に総合交通体系ができ上がりました。ところが、この前の予算委員会における方針どおり、総合交通体系はできましたけれども、それに応対する特別会計というものは設定されない。したがって、約一千億に及ぶ自動車重量税というものは一般財源として扱われておるという、これが四十七年度の状況であります。ところがその子供のほうである自動車重量譲与税というものができて、地方のほうに譲与されておるわけでありますが、それが三百三十一億、これはやはり道路交通関係の特定財源目的財源ということで使われておるわけであります。したがって、親と子が性格が違うわけですよ。しかも昨年の予算委員会で、自動車重量税を設定するにあたってのいわば政府の公約、こういうものが守られておらぬ、こういうふうに考えるのでありますけれども、いかがですか。
  99. 田中六助

    田中(六)政府委員 細谷委員御指摘のようなことが昨年議論されまして、十分政府も考えたわけでございますが、新税をつくる、一つ目的税をつくるということは非常に大きな問題でございますし、私どもも昨年の十二月十七日に臨時総合交通問題閣僚協議会というものの結論をまって対処したいというふうに考えておりましたところが、その閣僚協議会で特別会計をつくることは当分見合わせたい、つまり検討事項にしたいという結論が出ましたので、私どももそのとおりに一応見送ることにしたわけでございます。
  100. 細谷治嘉

    ○細谷委員 四十七年度につくるということであったけれども、総合交通体系というのは、去年の十二月にできたのだけれども、この問題も、いわゆる自動車重量税をどういうふうに扱うかというのは、ペンディングにしておった。ということは、結論は来年なら来年に送ると、こういうことなんですか、やるということなんですか、もうそのまま一般財源でいくということなんですか、どちらなんでしょうか。
  101. 田中六助

    田中(六)政府委員 先ほど申し上げましたように、臨時閣僚協議会で、総合交通体系については、特にいままでの交通体系を見てみると、公団とかあるいは公社、そういうところで、特別会計もあって経理の上から十分な措置がとられておるので、新しい措置、つまり新しい特別会計を設けてこれをやるということは見合わせたいという結論が出ておりますので、そのとおりにいったわけで、したがって四十七年度は見送るという方向でございます。
  102. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自動車重量税を創設する際のいきさつからいきますと、いろいろといまの政務次官答弁では問題がありますけれども、きょうは時間がございませんから、いずれまた機会を得てこの問題について御質問することにいたしまして、次に移らしていただきたいと思います。  今度の新しい国鉄再建十カ年計画——四十四年に十カ年計画というのができたのでありますけれども、遺憾ながら三年にして崩壊をしてしまったわけです。そこで四十七年度から五十六年度までの新しい十カ年計画というのがつくられて、前の十カ年計画と比べますと、運輸大臣ずいぶん御努力をいただいて、新しい十カ年計画ではかなり思い切った一般財源の投入、こういうことが行なわれたわけでありますけれども、私は予算の組みかえの際にもこれではなお問題点があるのだ、こういうことを指摘したわけです。いろいろとこの再建の内容について財政的な面から御質問したいわけでありますけれども、時間が十分ございませんので、具体的にお伺いして善処を要望したいと思うのです。  第一点は、現在国鉄の長期借り入れ金及び鉄道債券残高というものを見ますと、おおよそ三兆九百億円程度でございます。三兆九百億円のうち長期借り入れ金、政府保証債、政府引き受け債、こういうものについては、後ほどこの問題についてもお聞きいたしますけれども、一応利子補給等々の措置が講ぜられたのでありますけれども、最も利子の高いその他の鉄道債券、いってみますと、特別債なり、利用債、お聞きいたしますと、特別債というのは七分三厘、鉄道利用債というのが六分七厘、かなり高利ですね。それが約一兆円あるわけですが、この一兆円について何らの措置がなされておらない。ずばり言いますと、これはやはり三兆円のうち二兆一千億ばかりというのについては、問題はありますけれども、既往債に対しては利子補給というものをいたす。ところが、利子の高い一兆円については全くほったらかしておる。こういうことではこの辺から水が漏れてくるのではないか、こういうふうに思います。これについて大臣としてどういうふうにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  103. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの先生の御指摘、十分私も御質問の筋はわかる次第であります。しかし、今回は前回と違いまして、政府保証債その他を、約七、八千億にのぼるものを加えまして大体二兆一千億になる。この約三分の二のものは、これは利子補給政府は思い初って今度はする、こういうことになった次第でございまして、いま三分の一の高い利子のほうはどうか、こういうお話でございます。私もその点は非常に考えまして、いろいろ政府とも折衝した次第でございますが、しかし、また考え方によりますと、相当利子で借りまして投資をいたしまして、その資金効果があがりまして、利子を払うに十分な輸送需要があるサービスの提供をすれば、それはまたそれでいいわけでございまして、いろいろな企業体というものはそういうことでやっておる次第でございます。しかしながら、いまの国鉄財政から申しまして、そういうことで放てきすることはできないということになりましたので、まず三分の二の政府管掌並びに政府保証の債務につきまして利子補給をして、あとはいま御指摘のとおりそのままにほってある次第でございます。でございますが、将来の問題といたしましては、やはりこれも考えていくべきじゃないか。私の率直な考え方といたしますと、いろいろの財政補助がございますが、いままで、御承知のとおり、二十数年間におきまして国鉄政府の出資というのはわずか八十七億、こういうことで積極的の良質サービスを提供するということの面において欠けているのじゃないか、その点におきまして今度は思い切った投資というか政府が出資をいたしますので、それらと見合いまして勘案して、現時点のところこれでやむを得ぬのじゃないかということで今度御審議を願う、こういうことになった次第でございます。
  104. 細谷治嘉

    ○細谷委員 先ほども申し上げましたように、特別債というのは七分三厘ですね。一兆円ということになりますと一%で百億円なんですね。私も、かつて線増計画に際して、利用債を二十億ばかり地方公共団体として引き受けさせられた、あえて引き受けさせられた。そういう経験があるわけですけれども、これは三分の二は処理したから三分の一は、大臣としてはやらなければならぬと思ったけれどもできなかったということでありますけれども、これはよくいわれますように、仏つくって魂を入れない、こういうことに通ずるのではないかと思うのであります。でありますから、言ってみますと、長期借り入れ金とかこういうものは、政府保証債等については七分三厘とか利子はありますけれども、長期債というのはほとんど六分三厘ですね。やはり利子は高い。残りの一兆円についても利子補給を講じてやらなければならぬと思うので、この面についての大臣の格段の努力を要請しておきたいと思います。  これに関連して、第二点は、今度のあれで、財政再建債の利子補給金として百六億円というものを一般会計から補給しております。ところが、これは孫利子なんですね。これは新聞の論説等でも、孫利子ではだめなんだ、債務負担というのが将来かえって大きな負担に累積していくわけですから、やはり子利子にすべきだ、子利子の補給でなければ孫利子じゃだめなんだ、全く苦肉の策なんだ、こういうふうにいろいろな新聞社の論説委員等も指摘しておるところであります。これはいかがでしょうか。これは大臣、ここまでやるのならば、今度従来の三倍以上の一般会計からの投入をするわけでありますから、これを生かしていかなければいかぬ。いろいろ問題がありましょうけれども、何といっても財政措置というものが講じられなければ、これはもう花よりだんごなんでありますから、どうにもならぬわけでありますから、孫利子というのでは、これはかえって再建を阻害する要因にならないとも限らないわけでありますから、思い切って、百六億というのがおそらくその十倍くらいになるのかもしれませんけれども、一千億をこすのじゃないかと思いますけれども、これはやはり孫利子というこそくな手段じゃなくて、子利子の補給、こういう形にすべきだと思うのでありますけれども、この点いかがですか。
  105. 山口真弘

    山口政府委員 今回の財政再建利子補給金、いわゆる孫利子でございますが、これにつきましては、前回までは、昭和四十三年度末の政府管掌債務六千三百億でございますが、それに対するいわゆる財政再建債並びにこれに対する孫利子補給でありましたが、それを大幅に拡充をいたしまして、四十六年度末の政府管掌債務並びに四十六年度末の政府保証債、合わせて約二兆円というものに大幅に拡大をいたしました。それに対しまするただいまの子利子でありまするが、これを再建債という形で資金運用部から借り入れをいたしました。それに対する利子、つまり孫利子を全額政府補助するということでございます。そこで、先生御指摘のように、この利子それ自身を直接に国が補助するということも、当然それは考えられることでございますし、また、その効果も非常に大きいことは事実でございますが、ただ、今回のこの再建債並びに利子補給金の制度は、結局支払うべき利子相当額というものをそっくり資金運用部から借りる。しかもそれを完全に無利子にするということにする。しかもその借りました再建債というものは、十年据え置きにし、その後二十年、したがって三十年間の長期の問題としてこれを処理していくということにいたしたわけでございます。しかも十年間は全然返還の必要がないわけでございますから、しかも利子がただであるということにおきまして、その意味では子利子によるところの助成というものと非常に近い性格になっておるということがいえるだろうと思います。そしてその間に国鉄の体質の改善ということを進めてまいりまして、そして孫利子並びに再建債の償還というものが今後可能になるということでございます。
  106. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あまり議論をしている時間がありませんから……。  そこで、いま実際は子利子みたいなものだ、こういうことでありますが、お尋ねしたいもう一つの点は、やはりだんだん再建していくのならば元金というのは返していかなければならぬわけですね。今度政府出資金というのが六百十六億円、これは昨年は三十五億でありますから、かなり思い切った措置が行なわれているわけでありますけれども、元金を償還していくそれの手当てはついておるのでしょうか、どういうことですか。
  107. 山口真弘

    山口政府委員 元金の償還でございますが、結局その資金の償還期限という問題に関連をいたします。そしてその資金の償還期が参ります場合には、当然これに対しまして一般の予算の中から償還をしていくということに相なるわけでございます。そういう前提に立ちまして長期の利子を計算をしておるということにおきまして、長期の再建計画を立てておるわけでございます。
  108. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それはそうですけれども、私がごく簡単にいま見たところでは、元金償還の手当てというのは具体的になされておらない、こう私は理解しております。しかし、いま時間がありませんからその辺についてはいずれまた問題を残しておきたいと思います。  もう一点お尋ねいたしたい点でありますが、これもやはり新聞等で指摘されておる点は、国鉄のいわゆる償却というものが定率でとられておる。いまやだんだん再建が進んでいくと、苦しいときはいまなんですね。そうだということになれば、一兆円の出資をするというならば、だんだんふやしていくのじゃなくして先に多くしなければいかぬ、こういうことだと思うのでありますから、同じような意味において償却というのを、たとえば電気事業あたりでも電気料金の算入にあたりましては定額法をとっておるわけですね。ところが国鉄は定率を採用いたしておる、こういうことなんであります。よく聞いてみますと、その施設の種類によって定率と定額と両方併用しておるようでありますけれども、私は国鉄の場合は、新幹線は別として、幹線に使った、それがだんだん償却をある程度進めますと支線のほうに使っていく、スピードを出さないわけですから。そういうことでありますから、この償却についてあえて定率をとる必要はないのじゃないか。定額法でよろしいのじゃないか、こういうふうに思っております。この辺いかがですか。
  109. 山口真弘

    山口政府委員 お答え申し上げます。  現在、国鉄の償却制度におきまして定率をとっておるものが車両、船舶、自動車、機器というようなもの。定額をとっておるものがその他の建物、橋梁、トンネル、線路設備等でございます。それで定率と定額でございますが、定率の場合は早期に償却が行なわれるということになり、定額は年数に平均的に償却をしていくということになるわけでございますが、継続して設備投資が行なわれていくというような投資事業におきましては、定率という場合のほうが合理的な場合が多いように思います。現に私鉄等におきましても大体において定率で償却をいたしております。それから、現在そのために償却率が非常に多いということはございません。正味資産に対する償却費の割合におきましても、国鉄は電力あるいはガス等に比べましてはるかに償却率が少ないわけでございます。
  110. 細谷治嘉

    ○細谷委員 他の企業等に比べて償却率は少ない。国鉄は四十四年度で六・五%ぐらいのようでありますけれども、その償却費の千七百五十三億のうち定率というのが半分以上ですね。九百七億円。定額は八百四十六億円です。おっしゃるように企業サイドから見ればこれは償却を早めるという意味において定率のほうが望ましいことは事実ですよ。それはそのとおりでしょう。しかし重要な受益者に対する負担、こういうような問題で電気料金等の問題においても定率か定額かということはこの国会でもかなりきびしく議論された問題です。私はやはり定額一本でよろしいのではないか、こういう気持ちがいたしております。しかし、これ以上時間がありませんから申し上げません。  最後の点でありますけれども、実は、私けさの新聞を読みまして、成田新幹線について江戸川区が満場一致で、新幹線はやめてほしい、いわゆる騒音公害、しかも区画整理事業をやっているそのどまん中を貫くのだからやめるべきである、こういうことで裁判に持ち込んでおります。この事業というのは六十数キロを二千億円ぐらいの投資が必要だ、こういわれております。しかも過密地帯を通っていくわけでありますから、私はやはりこの新幹線の騒音公害というものはたいへんなことであろうと思うのです。そこで私は、建設省等関係各省がつくりました総合交通政策に関する基本的な考え方、こういうものをまとめ上げた企画庁の総合交通体系、こういうものを見てみますと、長距離、中距離については新幹線というのは妥当であるけれども、わずか六十キロくらいの短距離のもの、しかもスタートと終点の間に駅はないというもの——これも新幹線で三十分で走るのが地下鉄等なら一時間ちょっとかかる、こういうことであってもこれは私は問題ないのであって、この総合交通体系のまとまったところでは、上越線とか奥羽線とかそれから山陽線とかいうものが入って、その上に成田新幹線というのが入っておるのですけれども、その前の各省から出された総合交通政策に対する基本的考え方からいきますと、私は、きわめて短距離な、中距離にも当たらない成田新幹線を入れるということは、この総合交通政策に必ずしもそぐっておらないと思う。一体大臣は、なるほど新幹線整備の法律三条に違反してないのだから、きちんとやったのだからいいというけれども、これにもちゃんと、大臣がやったものでも検討し直そうじゃないかというのが再建計画の中に織り込まれているわけです。そういう点からいってこれだけの住民問題にもなっているわけですから、この際成田新幹線については他の交通機関等の整備によって検討し直してやめるべきではないか、こう私は考えております。事実二千億円、千メートル当たり三十億円以上の投資をしてもペイをしないのじゃないかと私は思うのであります。そうしてこれが国鉄財政の今後大きな負担になってくると私は思うのです。そういう観点からいっても、これは再検討し直すべきじゃないか、こう思うのでありますが、大臣のお考えをお伺いしたい。
  111. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 最近はいろいろの騒音公害につきまして各所で問題が起こっております。私どもやはり新線を建設する場合におきましては騒音公害につきましては十分配慮をいたしまして、そうしてそれによってこうむるところの住民への影響というものを十分考えまして、しかも住民の皆さまに御納得を得ることが前提であるということを考えておる次第でございます。私はその方針で、今回の山陽新幹線問題につきましても、国鉄当局は非常にその点に配慮をいたしまして、御承知のとおりロングレールの設置であるとかあるいはまた防音壁の設置であるとかいろいろ研究しております。御質問の成田の問題でございますが、総合交通体系におきまして、いま決定したことでも修正する、私も当然だと思うのです、その需要関係その他にもよりまして。しかし、これは御承知のとおり鉄道建設公団あるいはまたさきの鉄道の審議会でいわゆる閑散線といわれたもの、これらにつきましてもっと需要の伸びがあるのじゃないか。あるいはまたこれはせっかくつくったけれども、廃鉱その他の事情でもって産業事情が変わって、これはもうやったところで鉄道としての特性を失ったものじゃないかというようなものを私はいま再検討さしておる次第でございます。勇敢にひとつそれらの点を国民の皆さまに御納得のいくような線路網に持ってまいりたい、こう思っておる次第でございますが、この成田新幹線につきましては、先生御承知のとおり、鉄道建設審議会の御審議を経て、そしてわれわれのほうへ御勧奨をいただいた次第でございます。これは御承知のとおり、各党からも国会の議員、それからまた各省、また国会御承認の人事の委員において構成されまして、そして慎重審議をいたしまして、上越、東化と成田とこの三線が決定を見ている次第でございます。いわゆる国会の御審議の上におきまして決定を見た線路でございまして、それらの点につきましては、普通の幹線と違う、また先生も御指摘いただきましたが、東京と大空港と結ぶ点におきまして、拠点輸送におきまして、いまの新幹線鉄道整備法の趣旨にも違法の問題ではない。ただ騒音あるいは住民の反対、これは十分考慮しなければならない問題だと思いまして、路線の点につきまして、住民の皆さまの御納得のいくよう、いろいろ騒音防止措置その他の工事問題等につきまして、住民の皆さまとお話し合いを十分続けさしていくということが一番肝要ではないか、こういうふうに思っている次第でございます。
  112. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、私はこの問題が合法だとか違法だとかいう問題で言っているわけではないですよ。けれども、いま言ったような国鉄財政再建という当面の問題、あるいは新幹線公害というような問題、それから総合交通政策の中におけるこの国鉄の位置づけ、その中における新幹線の位置づけ、こういうことから見ますと、私は問題があるのではないか、こういうことを指摘しておるわけです。しかし、もう時間が来まましたからきょうは終わっておきますけれども、いま私が申し上げたような点は、全体の中の一角でありますけれども、具体的にはやはり重要な点ではないかと私は思っております。十分ひとつ大臣の手元でも御検討いただいて、それをぜひ実現さしていただくように要請して、私の質問を終わりたいと思います。
  113. 小峯柳多

  114. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について質問を申し上げます。運輸大臣並びに国鉄総裁質問申し上げますが、時間の制約がありますので、ひとつ簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  国鉄運賃の無謀な値上げに私は反対するものでありますが、四十六年度末の国鉄財政の見通しは八千億円の累積赤字になるといわれておることは御承知のとおりであります。このため運輸省と国鉄は、新財政再建十カ年計画によりまして、昭和四十七年、五十年、五十三年の三回にわたって国鉄運賃を一五%ずつ値上げすることにより赤字を解消すると強調しておられるわけでありますが、しかし、国鉄の新再建対策に基づく国鉄長期収支試算によると、単年度で黒字になるのは十年間でわずか三回にすぎず、昭和四十七年から五十六年までの累積赤字は九千七百七十四億円となって、四十六年までの累積赤字八千億円を加えて、一兆七千七百七十四億円にのぼるということになるわけであります。政府国鉄が主張する抜本的な再建計画だというのは全くでたらめであり、運賃値上げは赤字解消にならない、かように私は思うわけでございます。運輸大臣、そこでこれは実質的な物価の値上がりの推進になる。さらに、このような再建策は、国鉄再建の案が出されておりますけれども国民の前にまっかなうそである、こういうふうに私は言いたいわけでありますが、これに対してまずひとつ大臣からの御見解を冒頭に承りたいのであります。
  115. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 きびしい御批判ではなはだ恐縮でございます。私どもはそういうふうに考えておらぬ次第でございまして、今回の再建の法につきまして、御審議はもちろん慎重にしていただかなくちゃならない次第でございますが、これらのことを御賛成をいただきますれば、必ず国鉄が本来の目的を達成することができるということを私ども考えて、今回提案をしている次第でございまして、いままでと違っておりますところは、前におきましてはやはり輸送需要の伸び、あるいはまたベースアップの増加というような点につきまして、あるいは過大あるいは過小に見積もられ過ぎたところがあるではないか、それらのところを十分反省をいたしまして適正なるところの見込みをつくったということでございますし、また国鉄自身が合理化につきまして非常に強い決心をもちまして今度は再建をするという意欲に燃えている次第でございます。また政府といたしましても、いままでにないところの財政援助をいたしている次第でございます。また国鉄の線路増強その他のサービス提供につきましても、思い切った七兆という巨額の投資を予定をしている次第でございまして、それらを勘案いたしまして、皆さまの御鞭撻をいただいて必ず所期の目的を達成することができる、こういうふうに考えている次第でございます。
  116. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は、本日の連合審査にあたりまして、農林水産委員会に所属する委員でありますが、農林委員関係質問をする前にもう一、二点お伺いをしておきたい。  実は国鉄審議会の開催が二月一日、四日、八日、十日、十二日と二月に行なわれまして、八日に公聴会が行なわれた。この二月八日の公聴会に申し込みは、たしか会社、団体が二十名、個人が十五名あった。そこで絶対反対と条件つき賛成があったわけですが、この内容について大臣から、どのような実際申し込みになったのか、こういったことについて承りたいと思います。
  117. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 便宜、官房長から御説明申し上げさせます。
  118. 高林康一

    ○高林政府委員 お答え申し上げます。  運輸審議会におきますところの公述人の募集につきましては、申し込みは、賛成は団体七、それから個人が十五名、これが賛成の数でございます。計、賛成が二十二名。それから反対は団体が十三、個人がゼロという状況でございました。こういうような状況でございましたので、それぞれ団体及び個人につきまして、その比率によりまして、賛成は団体三名それから個人五名と計八名、それから反対は団体七名というふうな形でこの公述を行なった次第でございます。
  119. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は、かねがねこの公聴会にもいろいろと疑問を持っておるわけですけれども、今回二月八日に開かれた公聴会、この公述人の割り振りを見ますと、もうこの公聴会のメンバーそのものが、いま官房長から発表ありましたように、団体のほうが二十の申し込みに対して、結果的には賛成三名、反対七名で十名、個人のほうが十五名申し込みに対して賛成だけが五名。いろいろ伺ってみますと、個人の申し込みは全部賛成の申し込み者だけで、反対者は一人もなかった。したがって、当初予定した賛成者の五人の中から選んだということで、公聴会のメンバーそのものが、結果的には団体、個人を合わせまして賛成が八名、反対が七名というような異常な中でこの公聴会が行なわれておる、こういうように思うわけです。こういったことが、公平の原則を欠くことにもなるわけで、最初から作為がある、こういうふうに言われてもしようがない。国民の批判があってもしようがない。かように思うわけです。今後もあることですから、こういったことは実に不明朗である、こういったことに対して運輸大臣はどういう見解をお持ちであるか、述べていただきたい。
  120. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 運輸審議会におきます公聴会のあり方につきましては、いろいろ御批判を承っておる次第でございます。これらの点につきましてはまだ改善し、改革する点が多々あるかと私も思っておる次第でございます。いまの御趣旨を体しまして、将来におきましては十分民意が公聴会に反映するような方策を講じさせてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  121. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 運輸大臣は公聴会については改善することが多々ある、民意が十分反映するように改善したいという趣旨の答弁がございましたが、これは当然でありまして、こういったことから、この運輸審議会または公述人の選択についてもセレクトされているやり方が国民の批判を買う、不明朗である、こういうふうに思うわけです。そこでこのことばかり論議していると時間があれですが、絶対反対、条件つき賛成の内容、経過、結果について、値上げやむなし、こういうふうにしぼられたという批判の声が国民の中にあるわけでございますし、またこの公述人の意見の結果がどういうふうに反映されたか、こういったことについて、大臣から御答弁をいただきたい。
  122. 高林康一

    ○高林政府委員 お答え申し上げます。  公聴会の公述人の方々の意見のおもなものは、政府助成強化、あるいは経営合理化の推進、あるいは運賃制度合理化サービスの向上等の措置というものが必要である、これはもちろん条件つきな賛成の方の御意見。それからまた物価に重大な影響がある。また私鉄との格差が大きくなり、他交通機関の運賃値上げを誘発するというような観点からの反対の御意見、こういうようなものがございました。審議会におきましては、これらの点にかんがみましていろいろ御検討をしていただきまして、四十七年度からの助成措置の拡大、あるいは国鉄合理化を前提といたしまして、最小限度の運賃改定はやむを得ないと認めて、諮問のとおり措置することが適当であるという御答申をいただいたわけでございますが、運輸審議会といたしましても、この公述あるいはその前に各種のいろいろな調査、そういうような過程を十分考えまして、いろいろ要望事項といたしまして、政府に、諮問に対する答申と同時に要望事項を御提出になっております。その要望事項につきましては、財政措置の一そうの強化拡充、それから貨物輸送近代化あるいは高速列車輸送体系の整備、大都市通勤通学輸送改善のための援助強化というような各種の問題について、運輸審議会から答申とあわせて要望事項として提出され、それらはこれらの公述等の過程の御意見をいろいろ参酌されたものというふうに考えております。
  123. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 審議会の答申内容について反対意見がどう尊重されたか、その点具体的にいろいろ明らかにしていただきたいわけですが、いま概略ありましたけれども、私、農林物資関係でぜひお伺いしたいことがありますので、こういう短い時間ではとても審議が十分なされません。委員長にもぜひお願いしたいのですが、連合審査をもう一日、二日開いてもらいたい、かようにお願いする次第です。  そこで、私、農林漁業物資の問題についてお伺いいたしますが、今回の値上げは、一定区間をとった場合は三割近い値上げになっております。公共政策割引、すなわち昨年の十月以来半分ずつ減らされてまいりました。本年は全廃されるということになっております。よって、公割適用物資は四十七年十月で四〇%ということになります。現在は三五%ということでありますが、そこで農業者は二重の打撃を受ける。これは農林漁業者に対してはひどい仕打ちであるということで、われわれ特に九州または北海道、遠隔地にあるものはたいへん憂慮をしております。生活必需品である物資並びに国民の必需品、こういった物資に対しましてたいへんなショックを今後与えることになります。そこで私は、このことに対して、四十六年九月の農林水産委員会で特別決議がなさるべく準備をされたのですが、それを決議寸前に取り下げたいきさつがあるので読み上げ、特に問題を提起したいと思います。「農林畜水産物資に対する国鉄貨物運賃公共政策割引制度の存続に関する件」ということで「国鉄当局は、貨物運賃公共政策割引制度に関して、その廃止の意向を表明しているが、このことは政府の公共料金抑制の基本方針に反することはもとより、農林畜水産物資の運賃の大幅な増高をもたらし、農林漁業者及び消費者家計に対し重大なる影響を及ぼすこととなり、物価政策の見地からも適当でない。よって、政府は、農林畜水産物資の貨物運賃公共政策割引制度の取扱いに関しては、所要の対応策が講ぜられるまではその存続をはかるよう措置すべきである。右決議する。」こういった案文をつくって、決議寸前になりまして、委員会の席上与党の理事から、この問題については確約するから決議をせずにということの、いろいろな経緯がございました。そこで自民党の政調会長名で、四十六年九月二十三日に農林大臣、各所管大臣あてに「これによって特別に影響を受ける貨物については、その所管省において、それを緩和する適切な措置を策定し、補正予算の編成に応じ得るよう、その処理を速やかに報告せられたし」とする通達が出されました。その後農林省としては、そのような予算措置財政技術的に不可能であるとして、緩和する適切な措置の予算化は行なわれておらず、かわって国鉄当局に対するサービス拡充対策の申し入れが行なわれたという経緯があるわけです。すなわち、この問題は結局は出しっぱなしで、何ら実施されないまま公割は減らされているわけでございまして、まさにペテンであろ、こういうふうに私は思うわけです。よって、国鉄に一括予算をつけてやるなりあるいは各省で予算をつけられるような保証を与えてやる必要があると私は思うわけです。こういったことがございましたからわれわれはほんとうに憤慨をしておるわけですが、このままでは農業者をだますことになる。つまり公割と国鉄運賃引き上げとの二重の負担になっているということになるわけで、今回の措置はたいへんな農業者に対する打撃になるわけです。この点について大蔵省当局及び運輸大臣はどのような見解をお持ちであるか、この機会にひとつ明快な御答弁をお願いしたい。
  124. 山口真弘

    山口政府委員 農林物資、水産物資をはじめといたしまする輸送割引の対象物資につきましては、先般公共割引制度の是正をいたしました。さらに御承知のように運賃改定がございます。それによりまして、他物資に比べましてその値上げ幅が大きいということは否定できないところでございますが、私どもこの農林水産物資等におきましては、特に物価安定策といたしまして重要な柱の問題でございますので、その流通コストの低減という点を中心に考えまして輸送改善をはかっていく。たとえば適合貨車とかコンテナの開発だとか、直行輸送列車を設定するとか、あるいは発着基地を整備するというような、流通拠点施策の実現ということによりまして、全体としての輸送を円滑にするという道によってこれを緩和をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、公共割引自体についての予算措置でこれに対処すべきではないかという御指摘がただいまございましたが、これにつきましての国の助成につきましては、当面といたしまして、公共割引から生ずところの直接的な国鉄の負担という点に着目をいたしまして、全体的な国鉄の公共性という点にかんがみまして、今回の助成措置、国の財政措置というものを処置した次第でございます。
  125. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 運輸大臣、いまの私の質問に対して答弁があったわけですが、時間の制限もあるので時間が気になりますが、農林物資に対して公共負担の対策をどう考えておられるか。立法化の問題等含めして、これはひとつ農業者の今後の問題を真剣に考えてもらわなければいかぬと思う。その点どういうふうに考えておられるか御見解を承りたい。
  126. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 農産物の輸送費が上がること、これが生産者に転嫁されることにならないようにやはり措置をすべきではないか、こういうふうには思っている次第でございます。また、消費者に転嫁されましても、これまた困る問題がございます。したがいまして、これはほんとうに申しますると、いましょっちゅう言われている次第でございますが流通機構、ことに農産物につきましては流通機構が非常に不備で、その間の流通費用と申しますか、それが非常に高額になっている。それを合理化することがもうずっと言われている次第でございますが、これを早急にやることが一番必要だ。それから、国鉄がゆっくりした財政で、十分にやれるときなら、もちろん国鉄が負担してもよろしい次第でございますが、いまこういったような赤字に悩んでおりまして、利用者の皆さまにも御負担をかけなくちゃいかぬというようなときに、これだけを私のほうでやれるかどうかという、こういう問題がございます。先ほどございましたように、いろいろのほうの財政措置をいたしますから、ひとつこの際はそっちのほうの流通機構の改善、それで流通費の低減をはかる、それをしばらく見守るということ。もう一つは、国鉄自体のそういったような農産物に対するサービスといたしまして、新しい冷蔵庫であるとか、いろいろの生鮮野菜につきましてはそれらの輸送サービスをするということ。それから定期のあれにつきましては、その割引制度を利用するというようなことによりまして勘案してやらせるということとともに、将来の問題といたしましては通勤通学、ことに通学は、そういう意味で私は今回は是正は一応見送った次第でございますが、これらも将来国鉄がそれだけ特殊にやるべきかどうか、これはむしろ文部行政として勘案すべきじゃないか。やっぱり農政のほうもそういったものを勘案すべきじゃないか、先生からも御指摘がございましたが、そういう点を勘案すべきじゃないか。そういう点を大蔵省と相談する、経済企画庁と相談する。そして生産者にしわ寄せのないように、農民のあれにならないように、ことにこれからの農民の生活面上、そしてまた国際競争力の強化ということが一番大切でございますから、やはりそれらを勘案して総合的に対策を考えるべきだ、こういうふうに思っている次第でございます。
  127. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後にもう一点伺いまして簡潔に答弁をいただいて質問を終わることにいたしますが、農林物資の特殊性にかんがみまして、大臣も十分御承知のように、国民生活に深い影響を持っており、食生活また住宅等にも関係が深いわけでありますが、それらにもかかわらず輸送にたいへん困難が伴う。御存じのように物資がかさばる。また多量の生産がなかなかできない。季節によるもので、計画生産ができない。こういったようないろいろな問題等がございます。従来の運賃の騰貴幅が、四等級だったのが三等級に減らされる。物資によって、一々例を申し上げる時間がありませんが、農産物は下位等級だったものが相対的に引き上げられる。したがって農産物の将来性が無視されたというような運賃体系に改悪されておる。これらがたいへん農家に対して脅威を与えるわけです。御承知のようにいま農家は大撤退作戦といわれるような減反政策によってたいへんな打撃を受けているところへ、このような運賃措置法によって、ますます農家は苦境に立されるということで、われわれはその点たいへん心配をいたしております。下位等級ほど値上げ率が大きいわけでございます。ちなみに一等級、二等級、三等級、四等級を現行法を見ますと、四等級が一〇〇、一等級が一五〇と指数がなっておりまして、これを最下位から最上位を見ますと四〇も幅があるが、今回の改定によると、四等級がなくなって一等級から三等級まで、三等級が一〇〇で二等級が一一一、一等級一二四、締局二四の幅に減らされている。しかも相対的に下が上がって上を下げたというようなかっこうになっています。先ほども申しましたように、上も全部上がっているが、運賃としては下の上がり幅が大きい、こういう結果になってたいへん今後遠隔地ほど、北海道あるいは九州ほど問題が大きくなってまいります。さらに一等級、二等級、三等級、四等級のいろいろな内容等を見ましても、結局は高級品は六・八%上がって、三等級、四等級が二九・六%で三〇%も値上げになっておる。とんでもないと言いたいわけです。農産物ほど三等級、四等級が多いわけでございまして、まことにけしからぬ、農業者をつぶす気か、こういうふうに私は言いたい。今回のこういう値上げ措置法に対してはまことに遺憾である、かように思うのですが、時間の制限があるので、この点について大臣から、全国の農業者にあなたはどのように見解を述べられるのか、ひとつ国民の前に明らかにしていただいて最後の質問といたしたい、かように思うわけです。
  128. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、いままで国鉄貨物運賃が非常に等級別に分かれまして、上位の等級のものが下位等級の運賃を負担していた、こういう部内の相互負担、相互扶助の関係で一、二級のほうが三、四級の貨物運賃を負担していた、それで今日まで参ったわけです。ところが御承知のとおりトラックは一本運賃でありまして、農産物を運ぼうが電気製品を運ぼうがこれは同じ運賃でございます。したがいまして、私どもといたしましても新しい運賃体系をつくらなければいけないのだということで、いまの等級をできれば単一等級にしたいという気持らもございましたけれども、これはあまりに急激な変化だということで、一等級減らして三つにしたわけでございます。しかし、いま先生がおっしゃったように、確かに上がる率から申しますと、四等級のものが非常に大きいということになりますので、私はそれらは輸送の面でお返しする以外にないというふうに考えます。たとえば、現在北海道のバレイショ、タマネギ等につきましては、集約と申しまして大量輸送いたしております。田端に私のほうとホクレンと北海道庁と三者で出資いたしました大きな倉庫をつくりまして、これは冷凍倉庫も入っております。そして北海道の農産物を大量に、しかも東京に着いてから横持ちしないですぐそのまま倉庫に入れられる。そして市況を見て売る、こういうふうないわゆる農業関係の皆さん方と鉄道と一体になって輸送をする、そうして価格の維持をはかりまた小売り価格の低減をはかる、こういうふうな新しい輸送体系を考えて、そうして全体の農業関係の方々と手を携えて消費生活の向上をはかってまいりたい、こういうふうに思っております。そういうふうな施策で私は今後お返しするのが一番筋である、こういうふうに考える次第でございます。
  129. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣、いまの件について、ひとつあなたの見解を承りたい。
  130. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私はいまの内政の問題で農業問題、専業農家がほんとうに生活向上が他産業と比較してできるということが一番かなめの問題だとさえ思っている次第でございます。したがいまして、農家に対するいろいろの国の施策というものは慎重に考えなくてはならぬというふうに思っている次第でございます。しかしこれが直ちに国鉄運賃とどう響くかという御質問でございますが、それはできるだけ生産者の負担にならぬように配慮しなくてはいかぬというふうに思っている次第でございますが、実際問題といたしますとこの国会におきましても非常に御指摘がございましたように、貨物運賃の赤字が一般の旅客運賃に強く響いているのじゃないかということを再三御指摘をいただいている次第でございまして、この前のときも、貨物運賃は四十四年のときは値上げはしなかった次第でございます。それで今回は、しかも赤字が非常に増大しておるということでございまして、また最近の傾向にいたしますると、いわゆる野菜や何かを含めます一次製品に比べまして、漸次二次製品、三次製品のほうへ輸送の需要がふえていきつつあります。そのほうは相当高くとっても私はしかたがない、そっちのほうによってできるだけカバーをするということも勘案をいたしまして、全回三種類にしたということでございますので、それらの点、確かに農業方面の観点からいたしますると、十分これまた慎重に考慮しなくてはいかぬ。またそれがために、いま総裁から御答弁をいたしましたような具体的のサービス提供と申しますか、新しい列車もつくる、貨車の新しき方式をつくるというようなことを極力いたさせまして、農民の皆さまの保護というか施策に万全を期したい、こういうふうに思っている次第でございます。
  131. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わりますが、わずかな時間ではとても審議ができませんけれども、残余の問題は次に質問を留保させていただきまして、ぜひひとつ連合審査会をもう一日、二日設けるようにお願いし、私の質問を終わります。
  132. 小峯柳多

    小峯委員長 午後二時から再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後一時三十三分休憩      ————◇—————    午後二時十八分開議
  133. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開きます。  質疑の続行をいたします。門司亮君。
  134. 門司亮

    ○門司委員 私はごく率直に、二、三の問題だけをお聞きして、そうして当局の意思を一応はっきり知りたいと思いますが、一つは、地方の行政に最も関係の深い問題として、いま取り上げられている、地方閑散線といっておりますけれども、むずかしいことばで、舌をかむようなことばでやりにくいのですが、これは負担金といいますか補助金といいますか、それを存続を希望するものについては、国が二分の一、地方が三分の一を出す、こういうことになっているように聞いておりますが、このとおりですか。
  135. 山口真弘

    山口政府委員 地方閑散線につきましては、これを大臣が認定いたしまして、そうしてこれを五カ年間をめどに廃止をしてまいるわけでございますが、それにつきまして、地元の公共団体等がこれを存続してもらいたいという申し出があった場合におきましては、その赤字につきまして国が二分の一、地方が三分の一補助をお願いするということでございます。
  136. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、その大臣が認定をするという地方公共団体の団体名、同時に金額をこの際一応示してもらわぬと、この法案審議に入れないのじゃないかと思いますが、それをひとつ明らかにしてもらいたい。
  137. 山口真弘

    山口政府委員 地方閑散線につきまして、これは大臣が認定し、それによって五年間をめどに撤去をしてまいるわけでございますが、四十七年度におきましては一応三千二百キロにつきまして、これを地元からの存続の希望があるものということに仮定をいたしまして、それの赤字の負担分といたしまして国が七十五億、地方が五十億円というものをお願いをするということでございます。  なお、具体的な線名等につきましてはまだ決定をいたしておりませんので、具体的線名並びにそれに関連する具体的市町村名はただいまのところまだ決定をいたしておりません。
  138. 門司亮

    ○門司委員 それは困るのですがね。地方の自治体は、御承知のようにもう年度予算を大体きめているのですね。それでこれはお金を出すことですからね。やはり議会の承認を得なければならないと私は思うのですよ。そうすると、そう簡単に、まだきめてないがこういう計画だなんて言われたんじゃ、一体審議のしようがないじゃないですか。こういうものを計画されるにはそれ相当のきちんとしたものがなければ地方の公共団体としては——国がお出しになるのは国鉄と国との間でお話し合いができるかもしれませんが、独立した地方の団体にお金を出させることがいいか悪いかはあとの議論として、どこのどの線を廃止するのかどうかわからぬというような一体不安定な再建策というものがありますか。ただキロ数だけ出して、どこのキロに当てはまるのです。こういう問題は具体的に国民にわかるように言ってもらわぬと困るのですよ。何が何だかわからぬうちに値上げになっちゃったというんじゃしようがないじゃないですか。それから廃止されるところでも、地方の議会がおのおの大臣に申請してくることだと思います。そういう手続にならざるを得ないと私は思います。これはさっき申し上げましたように、予算に関係することだから、かってに町村長がやるわけにはいかぬと思う。ことに閑散線といわれる線を持っておる地方の自治体はいわゆる過疎地帯というところであろうかと思います。過密地帯にはあまりこういうものはないのじゃないかと思われる。そうすると、財政上ほんとうに困っておるところに何か、おまえのほうで廃止するのがいやなら金を出せなんという、まるで赤子の手をねじるような形の行き方というものは、国の施策としてどうかと思うのですよ。だからそのことを心配しますと、やはりあなた方が予定している路線はこれとこれなんだという住民に納得のいく線でないと、線路がほしかったらお金を出せというような行き方は、これはどうも地方自治体の親としての国のやり方ではないと私は思うのですがね。むしろこういうところにこそ残してあげるという国の親心があってしかるべきだと思うのですよ。まるっきり考え方が逆だと思うのですよ。ほんとにこれは弱い者いじめです。私は、地方の自治体はみんなこう考えていると思いますよ。この点について、財政的な処置について、ただお金を出すといったところで、さっさ言いましたような貧弱な市町村は金を出すわけにいきません。私はこういう余裕は実際はないと思うのですよ。それについて自治省のほうはどう考えるか。一体こういうお金を出すことを、政府一体だから承認されていることだ思いますけれども、交渉の過程でこういうものをどう引き受けられているかということです。
  139. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 ただいまの地方閑散線の具体的な廃止手続、これにつきましては運輸、大蔵、私ども関係各省で話を詰めることにいたしておるわけでございます。具体的な廃止路線の認定ふるいは廃止手続は、これからの段取りになるわけでございますが、基本的には五年間に廃止をする。それを前提といたしまして、地元の市町村あるいは府県というものが総額で一応五十億ということになっておるわけでございますが、それを具体的にどういう負担をさせるか。ただいま御指摘になりましたように過疎団体が多いわけでございますので、まあ私どもといたしましては、交付税でそれに沿うような措置というものを具体的な配分で考えてまいらなければならないだろうと思います。
  140. 門司亮

    ○門司委員 交付税だ、こうおっしゃっていますけれども、交付税は、法律を読んでごらんなさい。こんなものが中に入るようにあの法律に書いてありますか。何でもかんでも地方の自治体が財政上少し困難が出てくれば交付税でまかなうと言いますけれども、交付税はあなたのほうでつくった法律ですから、よく読んでごらんなさい。こんなものが当てはまるかどうかということです。私はいまの答弁ははなはだけしからぬ答弁だと思っている。交付税というのは御承知のように、私が言うまでもなくそっちのほうがよく承知しているはずであって、こういうものが財政需要の中に入るのか入らないのか、正しい財政需要であるかどうか。これは国鉄の存続ですよ。地方の自流体が持っておる交通機関を存続させるとかなんとかいうのは、これはまた考えなければなりませんけれども、全然主体が違う。国鉄がこれを存続させるためには地方から要求があったからそれだけお金を出せ、それは交付税で見るというような行き方が、はたして地方の自治体の法律で定めた財政需要であるかどうかということについては大きな疑問があると思う。私はこういう答弁で満足しているわけにはまいりませんからね。  それから、立ったついでだからあわせて、いま策定はしていないというお話ですけれども、策定されていなければ、ただそろばんの上だけでこういう数字が出てきたところで、地方の自治体が要求しなければこれは赤字になるのですね。また国鉄財政上これが赤字になることはわかっているのですね。地方の自治体が認定を求めてこなければですよ。私はここに出されている以上は大体の目安はあると思うのです。なければこういうものはできないはずなんですよ。国鉄予算というものはそんなずさんな予算じゃないと思うのですよ。もし当てどもない予算がここに組まれておるとすれば、それは国鉄の予算を組みかえてもらわなければならない。だから当てどのないようなことをただここで言い抜けをすればよろしいというようなことではなく、ほんとうに親切な、われわれが閑散線として指定するものはこういう線路なんだ、こういうものに対してどう考えるかという親切な答弁をここで聞けない限りは、私は運輸委員会におりませんからここで私が幾ら力んでみたところで採決のときにいなければどうにもならぬかと思いますけれども、事実上の問題としてこれは私は認めるわけにはいかぬと思うのです。こういうずさんなものが中にある以上は、その点をもう少しはっきりしておいてもらいたい。
  141. 山口真弘

    山口政府委員 地方閑散線でございますが、これは鉄道と道路輸送という比較をいたしまして、そして国民経済的に見て鉄道よりも道路のほうが有利であるというものにつきましては、これは国の利益という点からいきましても漸次道路に転換をしていくべき線であろう、そういう観点に立っておりまして、そういうものを選び出す基準といたしまして、鉄道と自動車輸送というものをコスト比較をいたします。そしてそのコスト比較で一応の基準をつくる。さらにそのコスト比較だけではなくして、かりに鉄道から自動車に転換するとすれば、代替的な交通機関というものが十分なければ地元の便益をそこなうわけでございますから、代替的な交通機関の確保が可能であるかどうかということも考える。あるいは雪の地帯等におきまして、いま鉄道を撤去すれば道路輸送は冬季には非常に困るということがあればそれはまた考えなければならぬ。それからさらにその地区におきまする国家的な開発計画あるいは地方的な開発計画でも、将来輸送の需要が非常に伸びてくるであろうというようなこと等を考えまして、そういうような見地から基準をつくりまして、その基準の中から撤去すべき路線というものを一応定めて、それを計画的に撤去するという趣旨でございまして、決していいかげんに計算をしておるというわけじゃございません。
  142. 門司亮

    ○門司委員 くどいようですが、いいかげんに計算しているのでなかったら、それを出しなさいよ。あなたのほうじゃ、何か三千二百キロぐらいのものを撤去する予定だ、そして地方負担は大体五十億ぐらいの予定だ、こうおっしゃるのですから、基礎数字がなければならないのですね。だからそれをおっしゃい。ここで言ってもらわぬと、これはどうにもならぬですよ。あなたのほうにあるわけでしょう。なくて、ただ、いまのような答弁なら、何も三分の一とか二分の一とかいうような数字は出てこないはずなんです。これは数字ですよ。数字である以上はその数字に合ったものがなければ、数字で解決しなければこれは解決のしょうがないのですよ。ほんとうにこれは目安ですか、どうなんですか。
  143. 山口真弘

    山口政府委員 ただいま申し上げましたような基準によりまして、一応五年間に撤去すべき路線三千四百キロ程度想定をする、そして四十七年度はその中の二百キロ程度は撤去できるだろうということにいたしまして、そして残りの二千二百キロにつきまして、これの赤字分につきまして国と地方が分担をいたしましてこれを補助するということになりましたものが国七十五億、地方五十億ということでございます。
  144. 門司亮

    ○門司委員 これは何度聞いてもあなたのほうは言わないつもりらしいが、審議する立場からいいますと、それがわからなければこれはどうにもならないのです。さっき言っておりますように、数字である以上は、数字で解決する以外に方法はないのですよ。数字を何かほかのことばでごまかすというわけにはいかないですよ。これは国鉄総裁としてはどうなんです。それから運輸大臣としてはどうなんです。こういう問題は私の言うほうが無理なのか。私はこの予算というものに関係あるこういうものを審議する場合は、その算定の基礎になるべき数字というものがなければ議論ができないはずだと思っているのですが、これはどうしても出せませんか。
  145. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 再三のお尋ねで恐縮でございますが、先ごろも鉄監局長がお答えしておりますように、鉄道としての特性をなくなしまして、しかも代替輸送のきくというところは、やはり国民経済から見まして、そういったものは思い切ってひとつ撤去して、合理化方針をやれというのが一般の世論になっている次第でございます。これは世論であるかどうかということもまた議論がございますが、それにつきまして、私どももほんとうにそういうものにつきましては、この際思い切ってひとつ合理化をしようじゃないか。そのためにやはり閑散線というものを認定をする。認定をしましても、地方団体地方住民の御意思によりまして、どうしてもしばらく存続してもらいたいというようなものにつきましては、その閑散線を継続しますところによって生ずる赤字に対しまして、国が二分の一、地方に恐縮でございますが三分の一を持ってもらって、そして五年間はひとつ続けさせる、こういう制度でございます。したがいまして、これらにつきましては、いま先生御指摘になりますように、きっちりした標準、そうしてその路線名を御審議を願うのはこれは当然かと思う次第でございますが、御承知のとおり、これらの閑散線の認定という問題、新線の建設ともあわせまして、また、すでに新線を建設したものにつきましても、もう合理性がなくなったというものにつきましては、先般の暮れにおきます総合交通体系におきまして再検討しろ、こういうこともございまして、一般の意見もそういう点でございますので、それらを勘案をいたしまして、閑散線を認定しなければいかぬ。基準は早急につくらせますが、具体的の路線につきましては、それらと勘案をしてきめなければいけない。御審議につきましてはなはだ恐縮でございますが、それらの点を勘案いたしまして、御審議が済み次第、私どもも早急にこれをつくってまいりまして、世論にこたえたい、こういうふうに思っている次第でございますので、御了解を願いたいと思います。
  146. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうは、御承知のとおり、昭和四十四年のときに八十三線区、二千六百キロというものを発表いたしました。その後、それに基づきまして約百キロだけ廃止いたしました。その後、まだ話の続いておるものも数カ所ございますが、いままでは私のほうだけで地元の説得をやっておったわけです。今度政府としていわゆる総合交通体系の一環として政府で取り上げて認定基準をつくってくださるということになりましたので、私のほうはその認定基準に従いまして、いろいろな作業をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  147. 門司亮

    ○門司委員 国鉄が、しかも国の一つの大きな公営企業でしょうが、これに対して閑散線について先ほどから申し上げておりますように、いやなら金を出せ、それなら五カ年置いてあげるというような思い上がったものの考え方、私はこれはもういまの時代には最もよくない官僚の権力主義のあらわれだと考えております。赤字のあるのは国鉄なんです。何も地方の住民が赤字をこしらえたわけじゃないのですから、これは何といっても長い間経済第一主義だけをとってきた国の諸般の関係がここまできて、過疎地帯過密地帯をこしらえたのであって、これは言うならば自民党公害というとおこられるかもしれませんが、あるいは社会公害といったほうがいいのです。公害の一環なんですよ。広義の公害だと思っている。その公害の責任を地方の自治体に押しつけるという行き方は、私はあまり感心しない。  同時に、こんなことばかりやっておってはもう時間がございませんので、もう一つ問題として考えてもらわなければなりませんことは、国鉄の赤字と、それからいま地方の公共団体でも赤字なんですね。交通機関というのはすべて赤字なんです。何も国鉄だけではないのです。その赤字の度合いが一体どうなっておるかというと、地方の公共団体の運輸関係の赤字よりも国鉄の赤字のほうが率は低いのですね。料金収入との関係を見てみますると、昭和四十五年度国鉄の赤字というのは五一%にとどまっておる。地方公営企業でやっております交通関係というのは、六大市は百分の二百ですね。平均いたしまして大体百分の百五十です。料金収入との割合からいくと国鉄地方公営企業の三分の一の赤字しか持っていない。地方自治体はそういう赤字をかかえている。と同時にもう二つの問題として、これに対する地方の自治体はその赤字をどう埋めているかということは、この赤字の総額はかなり大きな、地方の自治体だけで約千八百億くらいになります。国鉄は全部で八千億でありますが、そのウエートから行ってごらんなさい、地方の自治体の交通赤字のほうが非常に大きい。しかもそれに対して地方の自治体が一体どれだけ一般会計から繰り込んでおるか、一般会計からこれを出して赤字の解消につとめておるかというと、これを四十五年度末で大体調べてみますと、軌道の撤去について大体十五億円くらい出しておる。それから建設費補助として七十六億円くらい出しておりまするし、出資金として二十七億、利子補給として十四億であって、再建整備について四十九億、みなで百八十一億というものを一般会計から繰り込んでおる。地方の自治体は決して一般会計も豊かな財政ではございません。しかし少なくとも料金の値上げを押えることのために地方の自治体はやはり一般会計から繰り入れざるを得ないのである。国鉄の考えているように受益者負担というようなことを考えて、ただ値上げだけすればいいというような考え方ではなくて、やはり地方の公共機関の一つとして地方の自治体はこういう形で出しております。それからさっき申し上げましたように料金収入と比較をいたしますと国鉄地方自治体の三分の一なんですね。こういう実態の上に立って、きょうは大蔵省おいでになっておりませんから運輸大臣から聞いておきたいと思いますが、政府国鉄に対してどういう処置をされようというのですか。これを全部受益者負担だからといって料金を上げるというのか。私は地方自治体の交通関係の赤字と現状から見て、何度も申し上げますように料金収入との比が三分の一ぐらいだとするならば、値上げの必要はないのではないかと考えるのです。値上げするのはおかしいと考えておるのですが、その辺の内容はひとつ大臣から御答弁願っておきたいと思います。
  148. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 公営企業につきまして地方団体相当財政負担をしている。これも事実でございます。しかしながらやはり財政負担だけではもうとても収支償わぬ。やはりある程度の料金と申しますか、運賃の上昇によりましてこれをまかなおうという機運にただいまあるような事態、これは御専門の門司先生十分おわかりだと思う次第であります。私どもといたしましても、いろいろ人件費の増高あるいは物価の上昇、それらのものを合理化によりまして、やはりそれらの費用ができるだけコストにはね返らないように吸収されるということが一番望ましいことでございます。それゆえに生産性の向上その他によりまして、それらの増収努力を払って、そしてやはり運賃値上げをできるだけ避けたいということは、これは何よりも原則でございますが、しかしそれができない場合に、国の負担、それから利用者の負担、どのくらいの割合にするかということが一番問題。換言しますると、特定の受益者の対価としての運賃、そして納税者の負担と、どのくらいの割合にするかという問題になる。いままで御指摘のように国としてはあまりそういう方面で——四十四年に一応再建法をつくりまして国の負担を相当出した次第でございますが、しかしいまの現状から見まして、先生御指摘のように公営企業体や何かの負担からも考えまして、非常に少ないということでございます。もとよりそのもとにおきましては、合理的運営ということが前提でございます。合理的運営のもとに立ってもどうしてもあの程度それじゃ収支償わないという場合に、利用者ばかりに負担させるのはいかがかというので、いわゆる財政負担が起こってくる次第でございまして、その点では今回は、国としては従来の行きがかりと申しますか、前の点から比べますと非常に思い切った発想の転換ともいうべきこの財政支出を見た次第でございまして、これでもまだいろいろ問題がございます。問題はございますが、それを契機といたしましてそういったような負担の是正をはかってまいりたい。そうして良質サービスをやりまして国民の足としての国鉄の使命を達成するように邁進をさせたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  149. 門司亮

    ○門司委員 もうあと時間がございませんから、くどくは聞きませんが、私はいま申し上げましたように、国と国鉄地方の公共団体と当該交通関係の赤字の解消のバランスからいうと、国鉄は甘え過ぎていやしないか。それから政府はこれをなぜもう少しめんどうを見ないかということであって、私はこの値上げを認めるということは非常に困難だと思うのです。地方自治体をごらんなさい。それでも地方自治は何とか値上げを押えることのためにみんなが努力をしている。しかも午前中にどなたかの質問でもいろいろ合理化について問題を指摘されておった。地方の自治体の合理化なんというのは、国鉄の考えているようなものじゃないのですね。これはほんとうの一例だけだから聞いておいてもらいたいと思いますけれども、横浜の市電などは赤字でどうにもならないですね。市の交通というのはここではどうにもならぬ。これは空中権まで売ったといっていますけれども、五階建ての建物を建てさせて、そしてそこの空中権をはっきりいえば売って、そして権利金をもらって何とかやはり埋め合わせをするというような、できるだけの経営努力というものをやってきて、もう売るものも貸すものもございませんというときに初めて一般から繰り入れをされる。その繰り入れ高もいま申し上げましたように国鉄に繰り入れられたことしの四千億ですか、これと比較をいたしますと、地方のほうがいま申し上げましたようにはるかに多いのであって、ここでも同じ交通機関でありながら地方の公共団体が努力をしているときに、一体国鉄はほんとうに私は甘え過ぎていると思うのですよ。料金収入からいけば、わずかに地方のほうがアンバランス、三分の一なんですからね。それはここでこれ以上議論するともう時間がありませんから、次に移っていきたいと思います。  物価に面接関係のある農産物の特別割引の問題がことしの十月でなくなるはずでありますが、これはずっとそういうことでなくなれば、それでよろしいというお考えでしょうか。物価との関連はどうお考えになりますか、これは。
  150. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは先ほどの御質問にもお答え申しましたとおり、なくなればいいというものじゃない。これが生産者に非常に負担になる、あるいはまた消費者の負担になってはやはり私は困ると思う。ですからこの問題は、ただいま言われております流通機構の改革、その流通費がやはり非常にかかるんじゃないかということは、農産物価の消費者価格におきましては常に言われておる次第でございまして、これらの点を十分早急に改革をいたしまして、企画庁ともこの問題を十分に話し合いをし、また農林省とも話し合いをした次第でございますが、それによりましてこれが生産者の御負担にならないように、また消費者の負担増加にならぬように、そしてこれが流通費の合理化によりましてこれを解決することが一番望ましいことである、こういうように思っておる次第でございます。そしてまた国鉄といたしましては、それがために農産物資につきましては特別のくふうをこらしまして、いまよりも良質のサービスを提供するということは基本としてある次第でございまして、またそういう点につきまして、私どもはもしどうしてもそれが流通コストの引き下げがなかなかむずかしい、やはりそれに及ぼす影響が大きいということは、農政の問題として考えていただきたい。実は私は通学の点につきましても、文部大臣とも相談をしている次第でありますが、これは将来の問題でございますが、やはり文教の一環として考えてもらいたい。国鉄が普通黒字経営をしている場合におきましては、公共企業体でございますから、それらの点の負担はしかたないといたしましても、今日赤字でございまして、利用者の方にも負担の増加を願うというときに、これまでもこっちが負担をすべきかどうかということは問題であろう、こう思っている次第であります。
  151. 門司亮

    ○門司委員 いまの農産物の問題は十月でなくなる、その後の影響はどうなるかということ。それから、これはいま大臣の言うように何とか処置をしていきたい、私はいろいろ改善の余地もあろうかと思います。思いますが、問題になるのは、農産物というものを見てもらいたいということなんです。これは運賃が高くなったからといってこれをコストに織り込むわけにいかぬのですね。これは農村を出てくるときには値段がないのですからね。運賃を払って市場へ着いて初めて値段がつくのですからね。だから、ほかの品物とは違うのです。ほかの品物なら、これだけ運賃がかかるからこれだけはコストを上げておけばいい、こういう理屈も立つのですが、農産物だけは運び出すときにはこれが幾らで売れそうだという見当がつかない。市場に行って初めて値段が出てくるのです。したがって、運賃というのは非常に大事なんです。運賃が高ければそれだけ農民の手取りは減るわけですね。これをコストに織り込むわけにいかぬのです。こういうような性質を持っているものをことしの十月で打ち切ってしまう、そうしてこれが赤字の足しになるなんというのは、全く国民生活を考えない考え方なんですね。  ちょうど私に与えられた時間は終わるわけですが、どこからどう考えてもこの法案というものはむちゃくちゃな案だと私は言わざるを得ない。さっき申し上げましたように地方の自治体、ことに過疎地帯のようなところに、鉄道がほしければお金を出せというような、全く悪代官のやるようなことがいまの時代に許されるかということ、私は国鉄は悪代官といってもたいして差しつかえはないのじゃないかと思いますね。そうして地方の自治体をいじめる、というと語弊がありますけれども。しかも算定の基礎を、どこをどうはずすのかまだ見当がついてないというようなこと、私はこういうずさんなものの考え方があったら、さっきから申し上げておりますように、地方の自治体の持っております交通機関と、料金のバランスなどは、これはまるで国鉄は楽でなければならぬということですね。料金収入の場合、いわゆる百分の二百を持っておるところと国鉄の百分の五十一というのは、これは考えてくださいよ、ほんとうに。そうしてそれのしわ寄せ負担を全部の勤労者にかけてくる、あるいは物価にかけてくるというようなあり方は、私は政府のとるべき手段ではないと思う。政府はやはりこのことを考えれば、地方自治体のことを考えれば、一般会計からある程度資金を持ってきてもう少し与える。いま地方自治体の資金の割合は申し上げましたけれども、こういう形の資金において地方の自治体は何とか赤字を出さぬように、赤字を縮小していく、そうして最小限度にとどめている。ところが国鉄はそういうことを一切おかまいなしに、まるで悪代官みたいなことでこの料金改定を行なわれることについては、私は承服するわけにまいりません。だから私は、これ以上時間を与えられておりませんのでこまかいことを聞きませんが、一応そのことを申し上げて、きょうの質問を終わります。
  152. 小峯柳多

    小峯委員長 林百郎君。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 最初に国鉄総裁運輸大臣にお聞きしたいのですが、いま国労と国鉄側とで労働条件、賃金をも含めて、交渉しているわけなんですけれども、ゼロ回答なんですね、国鉄当局としては。このゼロ回答というのは一文も出さないという意味なんですか、それとも今後ずっとゼロ回答でいるということなんですか。ゼロ回答で一文も出さないということになれば、労働者の賃金は実質的には切り下げられたことになるわけでしょう。よその公共企業体が定額回答を出しているのに国鉄が出さないというのはどういうわけでしょうか。この法案審議されているとかなんとかいうようなことを言いますけれども、それはそれで国会のほうの関係でどうなるかわからないことで、だからといって労働者の当然の生きる権利の上に立っての要求をゼロにするという理由にはならぬと思いますが、これはどういうわけなんでしょうか。国鉄当局とその行政的な監督の任にある運輸大臣にお聞きしたいと思います。
  154. 磯崎叡

    磯崎説明員 先生、ゼロ回答とおっしゃいますけれども、私どもはゼロ回答でなしに、現時点で回答できない。ゼロという数字を言っておりませんです。ですからいま先生のおっしゃったように上げないということを言っているわけじゃございません。すなわちゼロ回答というのは、三、四年前まではゼロ回答ということばを使いましたが、これはもうゼロだと言ったわけでございます。今度は、現段階では回答はできない。そういう回答をしているわけでございまして、ゼロ回答とは本質的に性格が違うと私は思っております。私どもといたしましても、十分その点については考慮しているつもりでございます。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、上げないとは言わない。上げるつもりはあるということなんですね。いまの段階では回答できないというのはどういうことなんでしょう。いつの、どういう段階になったら言えるのですか。
  156. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうはいろいろこれは昨年の仲裁裁定書の中にも明白になっておりますけれども国鉄のこのきびしい財政状態の中で、当局はベースアップをのみなさい、組合側合理化協力しなさい、こういう裁定が昨年も出たわけでございまして、その精神はいまなお生きているわけでございます。したがって私どもといたしましても、いろいろな具体的な合理化の事案につきまして提示をいたしております。ずっと昨晩も徹夜して詰めておりますが、その合理化事案が詰まりました時点、大体の目安がつきました時点においては、ゼロ回答でなくて無回答、いわゆるどういうふうなことを表現するかはまだ先のことでございますから、はっきり申し上げられません、いろいろな関係がございまして申し上げられませんけれども、私のほうといたしましても、現在先生御承知のとおり、国労と動労はすでに昨日公労委に調停申請をいたしております。それから鉄労はまだいたしておりません。したがって昨日国労、動労につきましては、すでにいわゆる事情聴取の段階に入っております。しかし鉄労につきましては、まだ事情聴取の段階に入っておりません。したがって三組合がまだ調停段階の足並みがそろっておりません。それらの時点を考慮し、また全般の趨勢も考え、国会問題はいま先生がおっしゃったとおり私どもの端倪すべからざる、何ら予見を差しはさむことのできない御審議を賜わっているわけでございますが、私どもといたしましては、現時点におきましては、たとえ予算が成立いたしましても支払い能力がないわけでございます。千八百億の歳入欠陥になるわけでございます。したがいましてそれらの問題も十分考え、頭に置いた上でどういう回答をするか、それはこれからの問題でございます。
  157. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま国鉄総裁がお答えしたとおり、国鉄だけが有額回答できぬ、まことに残念でございます。できるだけ一生懸命、各組合立場は違いましても、賢明な努力をしていると思っている組合でございますので、今日の段階で回答ができぬ、監督責任者としてもまことに遺憾に思っている次第でございますが、いたしかたない、こういうふうに思っている次第でございます。
  158. 林百郎

    ○林(百)委員 いたしかたがないという回答はどうも回答にならぬと思います。  それで国鉄総裁に申しますが、いろいろあなた言われておりますけれども国鉄が赤字をかかえておる。それで合理化計画も持っている。だからいま国鉄の言うとおりの合理化案をのまなければベースアップの定額も出せないということは、それは理由にならないと思うのですよ。国鉄が赤字であるかどうかということは、それは国鉄経営者の責任ではあっても、労働者はちゃんと労働しているわけなんですから、その労働に対する正当の対価を要求するのは労働者としては当然だと思うのですよ。しかもその労働者の労働条件たるや他の産業に比して非常に労働強化されているわけですね。たとえば賃金を比較しましても、国鉄と全産業を比較しますと、四十年には国鉄を一〇〇とすれば、全産業は一〇九・八、四十五年は国鉄を一〇〇とすれば全産業は一一九・九であって、これは賃金を比較しましても格差は拡大する一方。全産業のほうはずっと上がっていく。国鉄のほうは少しも上がらないということで、上がり方が非常に鈍化しているということで、このはさみ状の状態は広がっていく一方なんですよ。しかも労働時間を調べてみますと、これも四十五年の月間の所定内労働時間を調べてみますと、国鉄は百八十七時間三十分、五百人以上の製造業者の労働時間は、月に百六十二時間五十四分で、ずっと国鉄の労働者のほうは労働が強化されているわけですね。私のほうのきょうの機関紙にも出ておるわけでありますが、たとえば新幹線の運転士三十三歳、五人家族で手取り六万という賃金なんですね。しかも新幹線の運転士ですから、大阪へ行ってトンボ返りするというような状態もありまして、目の疲労や神経性の胃腸病の障害まで発生している。さらにまたもう一つの例を申しますと、四人家族で二十年在職して三十七歳、子供二人で手取り六万、一日の食費は四人家族で千円をこしてはならない、こういう状態ですね。そして労働時間は他の全産業の労働者の労働時間より長い。賃金は他の全産業の平均賃金よりも低い。そしてまた、その労働の強化状態を、たとえば過密ダイヤの例を申しますと、山手線が二分三十秒間隔、中央線が二分間隔、それから総武が二分三十秒間隔というような、こういう過密ダイヤですね。しかもこれは一人で運転している。こういう状態ですね。  それから再建促進法の内容によれば、十一万人首を切る。さらに作業量が増加して要員増を必要とするのも含めれば、実質的には二十一万五千人の人減らしになる。これで安全の責任をとれと、こう言ってもとれないじゃないですか。だから国労や勤労の労働者諸君が、国民に対して安全の責任をとるという立場で、自分の生活権を、憲法の二十五条に規定されている人間らしい生活をするためには、今度の要求二万一千円ですか、この要求は当然の要求だといっているときに、国鉄が赤字だから回答が出せないということは理由にならないじゃないですか。国鉄の赤字よりは、国鉄輸送している国民の生命の安全をはかる。生命の安全をはかるためには、それに値するだけの労働者の労働条件を満たしてやらなければいけないじゃないですか。それを無視することは、真の意味の国鉄再建にならないんじゃないですか。いつ定額回答を出して、そしてもっとまじめな態度で労使の交渉に入るつもりなんですか。その見通しをお話し願いたいと思うのです。
  159. 磯崎叡

    磯崎説明員 いまいろいろな御質問がございましたが、まず第一の合理化問題でございます。これは先生御承知のとおり、仲裁委員会という一応中立な厳正な立場を持った委員会が、しかもわれわれの労使双方に対して拘束力のある委員会がきめたことでございまして、国鉄側も財政状態のいかんにかかわらず、去年も、仲裁を実行しろ、組合側合理化協力しろ、こういう仲裁裁定が出ているわけでございまして、その線に沿って話をしておりますが、先生もおっしゃいましたが、何も百のうち百というふうなことではないわけでございます。これは一種の剛体交渉でございますので、当然その間においていろいろな樽俎折衝が行なわれるわけでございます。この団体交渉は私どもにおまかせ願いたいと思います。その合理化についての団体交渉は、これは労使間のいろいろなこまかい話のやりとりでございます。ただ、私どもといたしましては、あくまでも合理化はやっていくという前提のもとに、賃金問題もそれと並行して解決していこう、こういう問題でございます。  それから第二の国鉄職員の給与でございます。これはたいへん御同情あるおことばを賜わりまして、非常に私ども喜んでおりますけれども、一応国鉄法によりまして、二十八条でございますが、国鉄職員の給与のきめ方はきまっております。これは民間賃金あるいは公務員の給与あるいはその他の公共企業体等の職員の給与を参考としてきめるというふうになっております。これは法律できまっていることでございます。そのきまっているきまり方で仲裁委員会でもってきまるわけでございます。昨年も、ずっと毎年必ず仲裁委員会の裁定が出ております。仲裁委員会は、さっき申しましたような厳正公平な機関でございまして、その道の、賃金問題の専門家がたくさんおられるわけでございます。その方々がいま先生のおっしゃったいろいろな労働時間とかあるいは年齢構成とかあるいは男女の構成比とか、いま先生のおっしゃったこと以外にいろいろな賃金決定の要素を考えた上で仲裁を出すわけでございますので、私ども昭和三十年以降、その仲裁裁定を完全に実施しなかった年は一年もございません。必ず完全実施いたしております。したがって、よそよりもいいとは私は申しません。しかしながら、よそとのバランスはとれている。これがとれていなければ仲裁委員会の裁定そのものがおかしいということになります。私どもはあくまでも仲裁委員会の裁定に服する。これは法律上服せということになっておりますので服しておりますが、それは仲裁委員会が、さっき申しましたようないろいろな条件をあくまでも考えて、仲裁を出すわけでございまして、それを発令に実施している以上、私どもはよそよりはいいとは申しませんが、よそよりは悪い、非常に悪いという先生のお説には、私は賛成いたしかねます。  最後にもう一点ございます。一体いつ有額回答するかというお話でございますが、これは御承知のようにいませっぱ詰まったいろいろな差し迫った状況もございます。と同時に、私どもといたしましても、必ずしも各組合の足並みがそろっておらないということも一つの重大な要素でございます。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 それらを勘案いたしまして、私が全責任をもってある時期にあるアクションをとりたいというふうに思っておりますが、これはいま申し上げるわけにはまいりません。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 仲裁裁定へ持ち込んだということがゼロ回答を合理化する理由にはならないと思うのですよ。仲裁裁定で裁定する以上は、使用者側はある一定の金額を出す、労働者側はそれに対してプラスアルファをするという何かの根拠がなければ、使用者側は何の回答もしておらないで、それに対して裁定に依拠することは、全く責任回避じゃありませんか。そして、足並みがそろわないということを理由にしていますが、目に見えて生活ができないという労働者の要求に対して、その足並みがそろわないということを理由にして回答しないことは、それはいま要求を出して仲裁裁定へ持ち込んでいる国労や動労をあえてストライキへ追い込む陰謀じゃないですか。追い込まれざるを得ないじゃないですか。そういう当局の態度に対して抵抗して、動労やあるいは国労がストライキをやったとしても、これは憲法二十八条の勤労者の団結権、団体交渉権からいって、私は正当性があると思うのですよ。あなたはこれは否定するわけにいかないと思うのですよ。これは現にイギリスやフランスでは国鉄の労働者にもストライキ権を認めている。あなたのほうが陰謀で誠意ある回答を出さないで、いつまでもゼロ回等だゼロ回答だ、しかもあなたのほうの手が伸びたかと考えられるような一味の諸君が要求を出さないからといって、いつまでも回答を出さないでじらしているということは、これはあなたのほうがストライキに追い込むことになるんだから、これはもうかりにストライキを動労や国労の諸君がやったとしても違法性は消去される。これはもう当然ですよ。そうでなければ、あなたのほうがよその公労協並みに具体的な定額回答をして、そしてそれに対して樽俎折衝をすればいいじゃないですか。そんなゼロ回答をしているなんということはじらす以外の何ものでもない。
  161. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点は、先生去年の仲裁のいきさつをごらんくださいますとよくおわかりくださると思います。仲裁委員会というものは必ずしも数字数字を足して二で割るという委員会ではございません。   〔林(百)委員「そんなことはわかってますよ。何も回答がない」と呼び、その他発言する者あり〕
  162. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 御静粛に願います。
  163. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点はどうぞひとつ去年の仲裁のいきさつをごらんくださいますればよくおわかりくださると思います。そういういきさつでございます。
  164. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がないからいいです。  一方では要求を出している、一方では何にも回答を出さない。それでどういう樽爼折衝をやるのですか。仲裁とか裁定というのは、あるいは団体交渉にしても、両方が額を出して、それが多いとか少ないとか、それが常識じゃないですか。一方は回答が出せないといったら、何を参考にして使用者側の意図をそんたくしたらいいのですか。そんなことは常識でもわかりますよ。しかもこの再建計画によれば、労働者の首を切って合理化し、労働を強化して……   〔「当然だ」と呼び、その他発言する者あり〕
  165. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 御静粛に願います。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 そして一方国鉄は赤字、赤字といいますけれども、たとえば千八百億の赤字、これは貨物輸送部門からの赤字ですね。これは旅客、貨物合わせて輸送部門の赤字は千三百億の赤字といっていますけれども、これは五百億の旅客輸送部門の黒字を千八百億の赤字から差し引いて千三百億の赤字というのが出ておるので、旅客輸送部門からいえば、これは黒字になっているのじゃないですか。しかもこの貨物部門の千八百億の赤字というのは、電気製品だとか鉄鋼だとか金属だとか自動車、こういうような大企業貨物に対して出血サービスしているのじゃないですか。しかもこういう大企業貨物に対しては今度は七%値上げしか出さない。旅客部門では二三%の値上げをしている。しかもこういう出血サービスしている大企業のセメント、鉄鋼、石油、こういう部門が国鉄貨物輸送の六〇%を占めている。国鉄輸送部門の赤字の根源は、こういう大企業の製品あるいは大企業のための出血サービス、これが国鉄輸送部門の赤字の根本的な原因じゃないですか。それを、赤字があるからといって労働者の賃金の問題にまで援用するということは、これは全く不当であるし、また国鉄の運営からいっても公正でないと思うのですよ。今度の再建計画でいえば、十年の間に四回も運賃値上げするという内容が含まれている。そうすると、旅客部門は現在の運賃の二倍の運賃になる。しかもその旅客部門は黒字である。その旅客部門の黒字でもって、出血サービスしている、大企業の赤字出血部門を埋めていくというのは、これは全く大企業に奉仕している国鉄の態度じゃないですか。しかもそれが労働者の十一万首切りにまで結びついてくるということは、これは公正な国鉄の運営じゃないじゃないですか。どう思いますか。これは運輸大臣と両方にお聞きします。
  167. 磯崎叡

    磯崎説明員 首切りというおことばがございましたけれども、私ども計画は、現在の年齢構成でまいりますと、四十四年からの分を含めまして、十年間に約十五万人くらい退職いたします。それに対して約四万人くらい補充いたします。そうすると十一万人くらい減るわけであります。
  168. 林百郎

    ○林(百)委員 実質的な首切りじゃないですか。
  169. 磯崎叡

    磯崎説明員 それは減耗不補充という形でございます。ただ無理やりに減耗不補充をしては労働強化になりますので、そこで機械化、近代化をいたしまして人を浮かせまして、そしてその分に充てる、こういうことでございまして、決して首切りではない。首切りをいたしましたのは、昭和二十四年、私が課長時分に一ぺん十万人いたしました。これはほんとうの首切りでございました。それは法律に基づいてやりました。その後、首切りということは一切いたしておりませんので、その点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  また貨物運賃云々のお話は、取っている運賃をごらんくださいますと、先ほどの先生の御質問にもございましたが、一級から四級までございまして、四級に行くほど、下に行くほどその率が大きいのでございます。それは数字にはっきりしている。私どもは、荷主が大荷主であろうが小荷主であろうが、だれが送ろうと、同じ品目ならば同じ運賃である、これが国鉄の原則でございます。したがって、いま一級から四級までの貨物の中で三、四級、下に行くほど赤字が大きいということは数字の示すところでございまして、特殊な人に出血サービスしているというようなことはとんでもない話でございます。ただ貨物全体としては赤でございます。しかしながら、赤はやはり三級、四級の品物から出ているということを申し上げておきます。
  170. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 貨物運賃問題、それからまた合理化問題につきましては、国鉄総裁から御答弁を申し上げたとおりでございまして、私も同様の趣旨でこの点を是認している次第でございます。ことに貨物運賃につきましては、三十四年ころに比べましていまの状態は非常に悪化しておりますので、旅客から比べまして約一・二%、今回御審議をいただきましたならば運賃の上昇をいたしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  171. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 林君に申し上げますが、時間が経過しておりますので、もう一問でお願いします。
  172. 林百郎

    ○林(百)委員 国鉄総裁に申しますが、自然に減耗していく人員を補充しないということは首切りですよ。あなたどうかしていますよ。実際はそれだけの人がいなければ仕事ができないのを、自然にやめていくからそれは埋めないという。機械を入れて合理化するというのは労働が強化されるということなんですよ。機械というものは、労働を強化するために、労働の密度を濃くするために入れるのですよ。労働強化をしておきながらそういうことがわからなければどうかしております。機械を入れて労働強化すれば、人員はむしろふやさなければ労働はそれだけ強化されるのです。だから国労にしても動労にしても、十一万ではなくて実質的には二十一万五千の首切りになるのだといっているのは、全く労働者のいうとおりだと思うのです。いまだって機械に振り回されて国鉄の諸君の健康さえ害している状態なんです。あなたの考え方は全く資本家の考え方に徹した考え方で、公共性なんかあなたの考え方の中には全然ない。  最後に運輸大臣にお尋ねしますが、国鉄総裁のいうような資本家的な経営主義に徹した国鉄のやり方というものは国民の望むところではないと思うのです。だからそういう資本主義的な、しかも独占資本主義的な国鉄の運営のやり方をやめて、真に国民に奉仕するため、そういうことになれば一般財政からも財源を支出して国鉄の赤字も埋める。しかし、そのためにはもっと民主的な方法をとって国鉄再建し、労働組合の意見も十分聞き、国民の意見も聞き、国鉄当局の意見もいれて民主的な方針を立てる。そして国民に奉仕する国鉄にする。そして国鉄の根幹である、国鉄で働いておる労働者諸君の労働の強化合理化、あるいは人減らしを減らして、国民の大事な生命を預かる労働者に値するだけの生活を保障してやる。こういう民主的な国鉄再建、われわれの側からいう国鉄再建を条件として、われわれもまた一般財政から十分な財政の援助をして、真に国民の期待に沿うような国鉄にしたいと思いますが、いま国鉄総裁の言ったようなあんなまるで資本家的な考え方で、それ以外のことをいえば、苦笑いだかにこ笑いだか知りませんが、くすぐり笑いをしているような国鉄総裁のもとでは、民主的な国鉄の運営は絶対できませんよ。それは火を見るよりも明らかだと思うのです。だから私の最後に申しました意見に対しまして運輸大臣答弁を求めまして、私の質問をこれで終わります。
  173. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 きびしい御批判をいただきましてあれでございますが、ただいま国鉄総裁が申しましたのも、国鉄が真に国民の公共の輸送機関としての使命を達成するために、ほんとうに民衆に対するサービスに徹する、また部内におきましてもほんとうに労使一体となり、勤労者の生活も保障する、そしてまたお互いの信頼感を取り戻す国鉄再建をするということで、いま懸命になっておる次第でございまして、ことにいまの総裁は四十年間それのうちに身を固めてやっておる次第でございまして、経常能力、人格によりまして必ずその道を達成するということを私は確信しておる次第でございます。私らが今回の再建計画に申し述べましたように、国鉄は必ず国民の足としてのりっぱな役目を果たすということに向かいまして進行させたい、私はこういうふうに思っておる次第でございます。
  174. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 武部文君。
  175. 武部文

    ○武部委員 国鉄運賃値上げと物価問題、私はこれを中心にお伺いをいたしたいのであります。大臣は佐藤内閣の一閣僚として、いま物価問題が非常にやかましくなっておりますし、佐藤総理も口を開けば物価の安定ということをおっしゃっておるわけですが、今回の国鉄運賃値上げはいまの消費者物価にどういう影響を与えるというふうに理解をされておるのか、そういう点についてあなたの見解をひとつ承りたい。
  176. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 物価の抑制というのは佐藤内閣が常に提唱しておる次第でございまして、それなりに今日の状況におきましても、政策といたしましても政治努力としても、現段階でやっておると私は思っておる次第でございます。御承知のように昨年の七月私どもが第三次で閣僚に就任いたしましたときも、総理から第一番の話はやはり物価の抑制、これを現実の問題として考えなくちゃいかぬということでございました。私どももそれを体してやっているつもりでございますが、今回の運賃値上げは、国鉄国民陸上の大動脈としての使命を達成するために、そしてまた新しい近代化をするためには、どうしても財政基礎強化しなければならぬ。国もその点において今回は抜本的に助成策をとるけれども、利用者の皆さまにもある程度の御負担を願いたい。これは確かに数字から見ますといわゆる消費者物価指数寄与率が〇・四——四厘ちょっとの寄与率であります。数字からいたしますと、そうでございますが、心理的影響も大きいということは事実でございましょう。そういうのを勘案いたしましても、その他の助成策と相まちまして物価の抑制につとめたい、また国鉄の置かれておる物価体系における適正主義を貫いていきたい、今回こういう考えで提出した次第でございます。
  177. 武部文

    ○武部委員 物価抑制を口にしながら公共料金を大幅に上げるということはつじつまが合わぬのであります。特に公共料金は三十四種類、これが与える影響は二割に近い。直接的な効果でもそうでありますから、便乗値上げを誘発する場合には物価値上げの非常に大きな原因となっておるのであります。いま〇・四ということをおっしゃったが、私どもの計算によれば、直接的に消費者物価指数に与える影響は〇・五〇七という数字になるのであります。これは旅客、貨物運賃であります。同時に国鉄運賃というのは、公共料金の中で波及効果をあげるにはこれが一番大きな影響を持っております。先ほどもお話がありましたが、かりに貨物運賃をとってみても自動車その他大企業の製品の輸送の値上がりというものは六・八です。ところが米とか麦とかいうことになってくると、皆さんから提出された資料によっても三〇%です。そうなってくると国民生活に影響のある品物のほうの率が上がっておる。これは波及的効果が非常に大きいことになるのです。端的にいえば私の県は過疎県であります。そこの山奥で品物を買っておる方は行商人を経由して買うのです。それは全部一カ月のパスを買ってやっている行商人の方から品物を買っておる。運賃が上がれば当然それは直ちに品物にはね返っておるのです。そういう点を考えると、国鉄運賃というものは特に公共料金の中でもこの値上げは厳重に抑制をしなければならぬ。また、国民の大多数の理解のもとに行なわれなければならぬ。このように私は考えているわけです。特に四十七年度の公共料金の値上げを予定されておるもの、ガスあるいは電気を除いて、もしかりにこれが実行されると、公共料金は九%上がるのです。いままで一番上がった四十一年の公共料金の値上げは六・三でありますから、そうなってくると四十七年度の公共料金の値上げは、おそらくここ数年来最大の値上げになってくる。そうなってくると、経済企画庁や政府が言っておるような四十七年度の五・三%の消費者物価の値上がりというようなことは、これは言うだけのことであって、おそらく全く実現不可能な数字だ、私どもはこのように思っているのです。いま大臣はやむを得ないということをおっしゃっておるけれども、佐藤内閣が直ちに着手できるもの、ほんとうにやろうと思えばできるものは公共料金の抑制なんです。それをやらずして、一番影響の大きい国鉄運賃をこういう膨大な値上げをするということについては、私どもは納得できない、こういう見解を持っております。  きょうは時間の関係で先を急ぎますが、そういうような過程を経て私が特に疑問に思うのは、この運賃値上げが決定をされる、その値上げ決定の方法であります。私ども承知するところでは、少なくともこの値上げのやり方というのは、これこれの理由でこれこれの金額を上げたいという、そういう申請を国鉄当局運輸大臣に出す、運輸大臣はそれを運輸審議会に諮問をする、諮問を受けた運輸審議会は公聴会を開いて賛否両論をとって、そしてあなたにそれを答申する、そうして、大臣は答申を受けて運賃の額を決定をして国会に提出をする。少なくともこれが運賃決定の手続のはずであります。今回の運賃改定の手続は、こういう手順を民主的に踏んで今回このように提案されたというふうにあなたはお考えになっておるか、それとも国鉄総裁はこれについてどう考えておられるか、これをお伺いしたい。
  178. 山口真弘

    山口政府委員 今回の運賃改定は民主的な手続をとりましてやったわけでございます。そこで、もちろん運賃の改定は運賃法の改正を経て、国会の場で十分な御審議を尽くして行なわれるものでございます。そうして、その国会の場に出しまする運賃の改定案につきましては、民主的な手続によりまして運輸審議会に諮問をいたしまして、そうしてそれの公聴会その他を経まして、そうして運輸審議会の答申を経て行なわれているということでございます。したがいまして、その手続におきましても民主的なやり方をとってやっているわけでございます。
  179. 武部文

    ○武部委員 そういうごまかしは通じぬのであります。少なくとも今度のこの運賃値上げ基礎となった実収一五%の増収ということは、すでに一月五日の大蔵省の第一次査定の中にはっきりと出ておる。そうして、それを受けて運輸省がつじつまを合わせるために数字をこね回して、結果的にこういうことになっておるのですよ。あなた方のほうがこの運輸審議会に諮問をして、公聴会を開く。なるほど一応の手続はとっておるやに見えるけれども、現実にはすでにその前に、これは与党の皆さんもいらっしゃるが、昨年の暮れにもうすでに与党自民党の中では三つの項目によって運賃改定の基本原則がきまっておった。そのものが大蔵省でちゃんと第一次の否定の中に出て、少なくとも今回出てきたあなた方の案とぴったりのものが出ておる。こういう点を考えると、ただ単にそういう手続をとったというていさいだけのことなんです。それならば、なぜ公聴会を非公開にするのですか。なぜ公聴会を非公開にしたか、その理由を言ってください。
  180. 山口真弘

    山口政府委員 公聴会は公開によっていたしました。申し込み者を選びまして、それを公聴会の場に列席をさせまして、いたしたわけでございます。
  181. 武部文

    ○武部委員 なるほど賛成、反対、それは当然のことですよ。その公聴会を非公開にしたのはなぜかと言っているのですよ。
  182. 山口真弘

    山口政府委員 公聴会は公開にいたしております。
  183. 武部文

    ○武部委員 あなた方は傍聴に対しても制限を加え、明らかに非公開と同じようなやり方でやったじゃありませんか。そういうことは通用しませんよ。  それから、非常に民主的にやったようなことをおっしゃっておるが、諮問されてから、あなた方の申請どおり運輸審議会が答申をされたのは、たったの二十日ですよ。そうして、公聴会から答申に至るまではたったの二回しか審議していないじゃありませんか。そういうことをやりながら、非常に民主的な手続を経たとして、国民大多数が、国鉄運賃値上げの理由はかくかくである、この金額が上がるのはそういう理由かということで納得したでしょうか、しておらないのです。  そこで私は、時間がありませんから申し上げますが、運輸審議会についてお伺いをいたしたい。この運輸審議会というのは俗称トンネル審議会といわれておる。なぜそういうことをいうのでしょうか。過去二十年間この審議会の答申したことはただの一回も否定されたことがない。ということは裏を返せば、運輸大臣が答申を受けて、それをのむかっこうのいいものが出ておるのですよ。運輸大臣がこれを拒否するような案が出ていないという証拠です。二十年間一ぺんも拒否されたことがない。そうしてこの七名の委員のうち六名が官僚出身者ですよ。そうして六名の官僚出身者のうちで四名が運輸省関係の人ですよ。事務局は大臣官房の審議官室の中にある。こういう中で一体どういう運輸審議会の審議を行なうかということを国民はたいへん疑問に思っておる。私はいつか物価の委員会のときにもこのことを総理に申し上げました。今回も同じことであります。そうなってくると、仲間うちで資料がつくられて、そうした原案を運輸省のOBである官僚の皆さんがそれをうのみにして、それを閣議に出せば、運輸省の大先輩の佐藤総理が決裁をする、そういう手順になっておるじゃありませんか。だから、運輸審議会がトンネル審議会といわれる理由はそこにあるのですよ。少なくとも運輸審議会がそういう諮問をあなたから受けて、あなたに答申をする過程においては、公聴会でたくさんの意見を聞いて、その中から十分な論議をし尽くして、国民が納得いくような根拠を示して、そうした中であなたに答申をして、大臣がそれを受けて国鉄さんの値上げ案というものをつくるという、そういう民主的なルールをなぜ今日までとられなかったのか、今後これを改定する意図があるのかどうか、それをお伺いしたい。
  184. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほどからの御質問でございますが、自民党案がそのままじゃないかということでございますが、われわれ自由民主党内閣のことでございまして、党と常に連絡いたしまして政策立案に当たることは当然のことと思う次第でございます。  また予算的に先にきまったじゃないかということでございますが、今回のは政府助成をどのくらいにするか、相当大幅にして、先ほどからいろいろお話がございましたが、できるだけ値上げ率を下げたいということが、私ども自由民主党を含めましての念願でございました。それがためには政府相当大幅な助成出資を行なわなくちゃいかぬということでございまして、政府のほうの、大蔵当局のほうのその出資のあれと相まちまして率をきめたいということで、かねがね相談をしていた次第でございます。それはやはり国鉄当局とも相談をしてやった次第でございまして、それらの点につきまして、いわゆる大綱といたしまして、このぐらいの程度は出るという確信を得ましたところで、具体的に国鉄から運賃値上げ案が出てきた、こういう事情でございますので、その点はひとつ御了解を願いたいと思う次第でございます。  また審議会は、御承知のとおり運輸省設置法できまっておりまして、国会の御審議によってきまった次第でございまして、しかもその委員につきましてはことごとく国会承認人事でございます。いわゆる法曹界あるいは運輸行政の練達の人それからまた労働界というところからいたしまして、各党で御承認を願いましてつくった人事でございまして、この点は組織といたしましては、私はいまのところこれで差しつかえないのじゃないか、こういうように思っている次第でございます。ただ、先ほども私がお答えした次第でございますが、公聴会の運営につきまして、あまりにも人員を整理したじゃないか、それから公聴会の度数が少なかったじゃないかというような御批判を受けている次第でございまして、この点につきましては、やはり場所が非常に狭隘であるということで人数を制限するとか、いろいろなことがございまして、いろいろ御批判を受けた次第でございますので、公聴会のやり方その他につきましては、もっと一般の民意が反映するような方法を将来考えていかなければならないじゃないかというふうに思っている次第でございまして、それらの点は十分これから勘案をしてやっていかなくちゃならない、こういうふうに思っている次第でございますので御了解を願いたい、こう思う次第でございます。
  185. 武部文

    ○武部委員 おっしゃるように、この運輸審議会は運輸省設置法第二章の第五条で設置がきまっております。その目的は、公共の利益を確保し、公平かつ合理的な決定をさせるために、そういうことになっておる。私は少なくとも今日までの運輸審議会のいろんな経過を見ますと、この第二章第五条の精神に沿って運営されたとは実は思えないのであります。そういう点で先ほどのことを言った。具体的に事実がこれを示しておるのであります。そういう点を指摘いたしたかったのであります。  そこで、これに加えて私はあと一つ、二つ運輸省の、あるいは国鉄審議会のあり方について見解を述べてみたいし、お伺いをいたしたいのであります。日本国有鉄道法の二十条によりますと、「役員の欠格条項」というのがありまして、これには政党の役員なりあるいは競合関係のある者とか、さらには工事の請負者とか同業の事業者とか、そういう者はなってはならぬ。これは運輸審議会でありますから、それはけっこうだと思うのであります。しかし少なくともこの日本国有鉄道法二十条の精神、役員の欠格条項の精神というのはただ単に運輸審議会だけにとどまらず、あなた方のところにあるたとえば国鉄総裁の諮問機関である国鉄諮問委員会あるいはもう一つ鉄道建設審議会、こういうようなものにある程度この精神が準用されていかなければならぬのじゃないかという気持ちを持つのであります。なぜかならば、この鉄道建設審議会というのは赤字ローカル線の増加の問題、これをどうするか、そういう問題がありますね。国鉄諮問委員会は赤字線の廃止やあるいは建設計画についての問題大臣の諮問を受けて審議をする、こういうことですね。ところがこの国鉄諮問委員会は二十八名の委員である。そのうち過半数の十六名が財界の代表です。その財界の代表も新日鉄、松下電器、経団連、三井銀行、大阪瓦斯、こういういわゆる大企業、銀行、そういうところの人が半数以上を占めておるのであります。こういうところで現実に行なわれておる貨物運賃の内容、こういうものを見ますと、これは明らかに小口扱い、特に国民生活に密接不可分のものの値上げが非常に高い。そうなってくると、一体国鉄の諮問委員会というこの諮問委員会はどういうことを審議するのだろうか。悪く思えば、そういうような大企業中心の委員会、審議会をつくっておるから、結果的にこういうものが出てくるのじゃないかと思わざるを得ないのです。さらにこの鉄道建設審議会にしても二十七名であります。そのうち野党の議員が四名おりますが、慣行によって会長は自民党の総務会長ですね。委員長は政調会長、財界から五名、政府側から次官七名、学者はたったの一人、こういう構成になっておりますね。こういうことで一体ほんとうの鉄道建設審議会としての任務が果たせるだろうか、国民がほんとうに望むところの国鉄のあり方を論議できるだろうかという疑問を持つのは私一人じゃないと思うのです。ですから俗にこの三つの委員会、審議会を称して、国鉄の運輸審議会は官僚中心の運輸審議会だ、さらに鉄道建設審議会というのは自民党の主流の建設審議会だ、国鉄総裁の諮問委員会というのは財界主流の委員会ではないか、こういうふうにいわれるのも私はゆえなしとしないと思うのです。内容を見て、そうなっておるのですから。こういうところで論議されたものが今日国鉄の赤字を解消するために運賃値上げという、その運賃値上げもたいへん大衆に影響するものをぐっと上げて、そうしてそうでないものをぐっと下げておるという、こういう結果が起きたのではないかと思うのは私一人じゃないと思う。したがってこういう運輸審議会なりあるいは諮問委員会なり鉄道建設審議会の今後の運営について国民の代表、特に国民のほんとうの足を守る国鉄、そういうためにはやはり、消費者というのはことばが当たりませんが、国民の代表をもっとたくさん入れて真の国民のための国有鉄道、そういうことが国民理解されるような審議会なり諮問委員会でなければ、これはいつまでたっても国民から遊離した国鉄になっていかざるを得ないと私は思うのです。今後こういうことについて国民の代表をその中に入れる、財界中心だとか官僚中心だとか政党中心というようなことのないような、そういう審議会なり諮問委員会にするお考えがあるかどうか、それをお伺いしたい。
  186. 山口真弘

    山口政府委員 鉄道建設審議会についてお答えいたします。  鉄道建設審議会は鉄道敷設法によって定められておりまして、その委員は衆議院議員の中から衆議院の指名した方が六人、参議院議員の中から参議院の指名した方が四人、その他学識経験者あるいは運輸業、鉱工業、商業、農林水産業等に関する知識経験を有する者が六人、その他各省関係の次官それから運輸審議会の会長、国鉄総裁、鉄建公団の総裁、こういう方が委員になっております。それでその選任につきまして特に議員の方並びに学識経験者、それから各事業に関し知識経験を有する方につきましては、両議院の同意ということになりまして民主的な選任方法をとられておりまして、それによりまして新幹線をはじめとする新線建設に関する事項を調査審議をするということになっておるわけでございます。
  187. 武部文

    ○武部委員 そういうことを聞いておるのではないのであります。私の申し上げたいのは、少なくとも鉄道建設審議会の中に新日鉄の代表とかそういうような人がおるということ、山陽新幹線やこれからできるであろう新幹線のレールを納めるような、そういう企業の代表がそこにおるということは、国民の目から見てそれは不可解だというのです。そういう意味で、もっと幅の広い国民の声を反映できるような鉄道建設審議会等にしなければ、いつまでたっても民主的な国鉄運営というものはできないのじゃないか、国民理解されるような国鉄経営ではないじゃないかということを言っておるのです。いままでのことはあなたの説明でわかりましたよ。われわれの承認人事ですから、国会は承認したのですからしかたがない。ただしかしいまの段階でこの運賃がこれだけ問題になっていく過程でこういう問題が出てきておるのですから、あなた方としては将来の審議会あるいは諮問委員会の運営についてもっと国民の声を聞く、そういう謙虚な態度をとるように、そのあり方を反省してもらいたいし、検討してもらいたい、そのことを私は申し上げておるのです。鉄監局長のような経過は必要ないです。   〔細田運輸委員長代理退席、小峯運輸委員長着席〕  時間の関係がありますから、もう一つ私は申し上げたい。貨物運賃が大幅な赤字をやっておることは先ほどの質疑でわかりました。それならば米軍の貨物輸送一体どういう根拠に基づいて運賃を決定しておりますか。
  188. 磯崎叡

    磯崎説明員 念のため申し上げますが、米軍の貨物輸送量は国鉄全体の輸送量の約〇・四%でございます。その大部分八割くらいが石油類でございます。その他家具、食品等の雑貨類がございます。油類は全部原則として現在の国鉄貨物の賃率表をそのまま適用いたしております。それから雑貨類につきましては非常に品目が多く、日本貨物等級にない品目がございますので、これは便宜上標記トン数という、普通の運賃は実際の重量に賃率をかけて運賃を収受いたしておりますが、品目がわかりませんので、標記トン数すなわち十五トン積みの貨車なら十五トン分、たった一トンしかなくても十五トン分、それに特定賃率をかけて収受いたしております。これは今回の改正がもし通りましたならば、大体現在の等級の一級、二級に該当するものが実は大部分でございますので、今度等級が三等級になりましたならば、一般の等級をそのまま使う。いま非常に雑多な品物を一級、二級と分けるのが、英語で書いてあったりして、非常に不便なものでございますので、標記トン数かける特定賃率ということで実際の実収率は同じにいたしております。今後は、今度の改正が通りましたならば、その新しい一級そのままを適用いたしたい、かように考えております。
  189. 武部文

    ○武部委員 いま総裁答弁によりますと、たとえば米軍が輸送しておるところのジェット燃料あるいは、石油、そういうものについては国内の運賃と同様だというお話でありますが、間違いありませんか。
  190. 磯崎叡

    磯崎説明員 全く間違いございません。昨年か一昨年改めましたので、あるいは前は特定貨率を使っておりましたが、全部改めておりますので……。
  191. 武部文

    ○武部委員 その改定はいつおやりになりましたか。私の承知しておるところでは、少なくとも一九六五年の四月一日締結の国鉄と米軍との輸送協定の中にある。協定によりますとそうなっておりませんね。たいへんな差があった。それはいつどの時期に同一にされたわけですか。
  192. 磯崎叡

    磯崎説明員 この点は、四十一年でございましたか、の運賃改正のときにやはり国会で御質問を受けまして、非常に何か割引をしているような誤解を受けましたので、四十四年七月に改正いたしまして、一般の国内と全く同じ賃率をそのまま適用いたしております。
  193. 武部文

    ○武部委員 そうするといま、地位協定に基づいて特別な割引制度を受けておった、あなた方単独でアメリカと協定を結んでおった、そういうものは全然ない。したがって、国内の一般の運賃とほんとうに全く間違いないということでございますか。
  194. 磯崎叡

    磯崎説明員 以前のものも実は割引ではなくて、計算のしかたがちょっとプロセスが違ったということだけでありまして、いま申し上げましたように、現在でもまだ雑貨類、主として家具、食料品でございますが、これは特定賃率を使っております。そのかわり、そのかけるもとの数のほうを標記トン数と申しまして、たとえば十五トンの貨車に五トンしか積まなくても十五トン分という計算をいたしまして、全体の実収率が同じになるようにいたしておるわけでありますが、これも間もなく変えるつもりでおります。
  195. 武部文

    ○武部委員 このたび物価安定政策会議が「公共料金政策のあり方について」という提言を発表いたしました。これは私ども物価特別委員会でかねがね論議をしておったところであります。この提言の中で特に国鉄運賃に触れておるのであります。私は、先般の物価の連合審査で佐藤総理に言ったわけでありますが、今度の国鉄運賃値上げによって、民間私鉄との間にたいへんな格差ができる競合路線がある。こういう問題は、国鉄が上げることによって私鉄を引き上げるというそういう効果をあげるのじゃないか。特に、俗に例に引き出されます東京−小田原間の問題は三倍違うのであります。キロ数は八十八とたしか八十三キロでありますから、国鉄のほうが五キロ確かに距離は長い。長いけれども、片や一万九百円、片や三千六十円という一カ月間の通勤定期。こういうようなことは、日ならずして民間私鉄の値上げを呼ぶことは当然である。一体こういう問題についてどうしたらいいかということは、私どもかねがね論議の的でありました。この提言はそれに触れておるのであります。この提言によると、この国鉄、民間の運賃格差が大きい場合、その場合にはむしろ低いほうから高いほうへさや寄せされるという形がとられやすい、この矛盾を解決するためには交通政策全般についての考慮が必要だという提言をいたしておるのであります。私どもはきのうも、この提言をつくった人に来ていただいて、いろいろお話をいたしました。少なくともいまの段階でこういうことを解消するためには、一定定率の運賃制度が続く限りはこれはだめだということを、この提言をつくった人は言っておる。しかし、現実にこの東京を中心にして改定されれば、現実にそれが起きるわけであります。こういう問題について、この民間との運賃格差について、運輸大臣はどういう考え方を持っておられるか、それが一つ。  もう一つあります。時間の関係で……。この提言は、一番最後に、公共料金のあり方を示唆しております。私は最初に、この今回の運賃値上げのやり方について苦言を呈しました。というのは、この提言もやはり同じことをいっておるわけでありますが、少なくとも「公共料金政策の運営をその手続面からみると、公共料金の改定に際し、その必要性、根拠などを極力国民に公表し、その納得をうるよう」にしなければならぬ。さらに、「料金の改定に当たってはその改定の根拠と考え方、その基礎となった主要な計数、選択的な他の手段に対する評価など、その内容を主務官庁においてレポートなどにとりまとめ国民に公表するようつとめること」こういうことがいわれておるのであります。全くそのとおりであります。今日までの国鉄運賃値上げの内容は、全くこれとかけ離れておる。国民は理由がわからない。発表されてみて初めてそれがわかる。また、その発表された数字も平均数字でありますから、現実に自分が乗るようになって初めてわかる。そういう内容であっては、国民の同意を得るわけにはまいらない。したがって私は、こういう提言について、運輸省なり国鉄は今後どのような態度で臨まれるか、それをお伺いしたい。
  196. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この並行路線におきますところの運賃の格差の問題、これは御提言がありましたとおりでございまして、私どもも、この並行路線、ことに大都市路線におきますところの運賃の斉合性という問題は、いかに解決するか、これからの一番大きな問題であると私は思います。すでに諸外国におきましては、それらにつきまして着手をしているところがございます。わが国は御承知のとおり業者別適正原価主義をとっておりますので、その点がなかなかむずかしい点でございます。ことに今回の国鉄の場合は、御承知のとおりに総合原価主義でございます。たとえば青森であるとかまたは山形であるとか、遠いところの路線、それからまあ近いところの路線というのを総合いたしまして、それらの収支をもとにいたしましてやっている次第でございますので、一路線だけをとりまして、その並行路線の運賃をきめる個別線別運賃主義というものはなかなかとりにくい状況にあります。そういう点で、先生御指摘のような、非常に矛盾をしておりまして、私ども運賃政策といたしましても、これは何とか将来におきまして是正をしなくちゃならぬ。いま御指摘のございましたように、また、その点におきましては総理も私も再三答弁を申しましたとおり、今度の国鉄運賃値上げによりまして、これを私鉄にはね返る、いわゆる便乗値上げ、これは絶対に避けるという方針をとっておる次第でございまして、また現実の点におきましても、私鉄からは運賃値上げ申請が来ておりません。そういうことでございますので、やはり当分の問はこれらの矛盾が続くのじゃないか、こういうふうに思っている次第でございますが、しかしこれはできるだけ早く是正する。少なくとも大都市並行路線につきましては何らかの方法を構じなくちゃいかぬというので、ただいま私のほうは企画室、また鉄監局といたしまして検討を進めている次第でございまして、必ず将来何らかのこの調整を行ないたい、こういうふうに思っている次第でございます。  それからもう一つは、公共料金改定の根拠を国民に、われわれの意図するところをわかっていただきたい。これはもう御指摘のとおりでございまして、これをどうしてもやはり、こういう理由で、ある、そういったようなものの積算基礎、いままでの国鉄の収支の問題を詳細にわかっていただかなくちゃならないということを考えている次第でございまして、今回いろいろ慎重御審議をいただいておる次第でございますが、何と申しましても、国会の場におきましていろいろ御指摘を受け、御質問を受け、それに対して答えるということが一番のあれだと思っている次第でございます。今回は、議員の皆さまの御良識によりまして、相当慎重に具体的に御審議をしていただている次第でございまして、その効果は漸次出てくるものと確信をしている次第でございます。
  197. 小峯柳多

  198. 和田一郎

    和田(一)委員 質問いたします。  今回国鉄運賃の改正それからまた財政再建促進法等の問題の中で地方公共団体に対していろいろな点の注文をつけていらっしゃるわけでございますけれども、そういうことについて一体どれとどれを地方団体にお願いしているかということを、ちょっとかいつまんでまずおっしゃっていただきたい。
  199. 山口真弘

    山口政府委員 今回の再建の基本的な方針といたしましては、地方公共団体に対しまして、特に地方閑散線の取り扱いに関してでございますが、地方閑散線は、先ほども申し上げましたように、本来鉄道としての使命を喪失し、むしろ道路輸送に転換することが国民経済的に有利であるというものでございますから、したがってそういうものは将来撤去するのでございますが、地元がこれの存続を希望する場合には、地方公共団体からの御負担あるいは国の助成というものによりまして、これをしばらく維持していくということを考えている次等でございます。  その他国鉄の運営につきましては地元に非常に大きな利害関係を持ち、また裨益するところも多いわけでございますので、あるいは債券の引き受け等についてもいろいろお願いをしているところでございますし、あるいは線路の建設その他につきましても、地元の方々の御協力等を仰いでいるところでございます。
  200. 和田一郎

    和田(一)委員 いま御答弁もありましたけれども地方閑散線問題、これは四十七年度は五十億の負担を見込んでいらっしゃる。それにまた新幹線網——成田と上越と東北新幹線がやっておりますけれども、それに対しての利用債の引き受けということもあるわけなんですね。それはいまの鉄監局長答弁の中に入っていると思うのですが、それだけじゃないんですね。地方公共団体が国鉄に対して直接に負担をしているという意味じゃございませんけれども、いろいろな点でそういう形になっているのがあるのですよ。それはだんだんと聞いていきますけれども、まず地方閑散線の五十億というのは、一体どういうふうなところが赤字で、そしてその三分の一を地方団体に向けられるのか。それをひとつ具体的におっしゃっていただきたいのです。
  201. 山口真弘

    山口政府委員 地方閑散線につきましては、鉄道の特性から考えまして、これを鉄道から道路に転換することが国民経済的に有利であると考えられる線を選びます。したがいまして当然そのためには、鉄道は大量性というような特性を持っておるわけでございますから、鉄道と自動車というものの輸送密度等から考えまして、いずれが有利であるかということを考え、そうしてさらに当該鉄道の撤去に関しましては、これは代替的な交通機関がなければ軽々に撤去すべきものではございませんから、代替交通機関の存在という点を考え、さらにその地域におけるところの国家的な開発計画あるいは地方的な開発計画ということによりまして輸送が非常にふえてまいるような場合におきましては、大量交通機関たる鉄道によることが非常に有利でございますから、そういったようなものも考える。さらに雪の状況等をも十分に考え合わせまして、そういったような問題を考えて、地方閑散線をきめまして、そうしてそのきめました地方閑散線おおむね三千四百キロを五年間に一応撤去してまいるということにいたしまして、そのうちで二百キロ程度を四十七年度に撤去をする。そういたしまして三千二百キロ程度を四十七年度は維持すべきものといたしまして、これにつきましての赤字額の三分の一程度地方に御負担をしていただくというものが五十億でございます。
  202. 和田一郎

    和田(一)委員 時間がありませんので、ひとつ御答弁も少し簡潔にしてもらいたいのです。  それで確かに五十億、これは地方団体がいろいろな事情をやっているわけですよ。これはもうたいへんな四十七年度の地方財政をかかえていながら、鉄道の責任は運輸大臣、さらにまた国鉄総裁でございますね、国鉄が持たなければならない、それをどうして地方が持たなければならないかという問題です。その点についてひとつ簡単に大臣から答えていただきたい。
  203. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私も国会に出まして以来、地方自治の確立と地方財政の充実のためには、はなはだ微力ではございますが、ずっと相ともに、同士とともに努力した一人でございまして、地方財政の窮乏、今日の状況を十分よく存じているつもりでございます。それゆえにわれわれは国と地方との財源配分の問題、交付税の率をアップするとか、あるいは私どものときに、たばこ消費税を私が提唱いたしまして創設をした次第でございまして、いろいろ地方財源問題、その配分の問題が一番問題になってくる次第でございます。ただ国鉄の場合、今度の場合は、閑散線の性質と申しますのは鉄道としては、国民経済から申しましてもうすでに特性を失っている。特性を失ったものは私のほうはこれを廃止したい。いまの国鉄事情でございますから廃止したい。しかし、廃止したいけれども地方でいましばらく置いてくれといっているところのものにつきましては、やはりこれは赤字が相当多く出る次第でございますから、その赤字につきまして国が半分持つ、その事情によりまして地方も三分の一持ってくれという仕組みでございます。  また、先ほど御指摘がございましたが、地方に対しましては、そういったところは過疎地帯が多い。そういう財源がないところをどうするか。そういう点は自治省のほうで非常に御良識をいただきまして、交付税でもって何とか配分をしようということでございますので、具体的の問題としては地方にそれほど御迷惑をかけないのじゃないか。しかも地方の御希望もかなえられる。こういうことの制度でございますので、御了解を願いたい、こう思います。
  204. 和田一郎

    和田(一)委員 交付税の配分とおっしゃいますけれども、交付税は額がきまっているのですから、そのワクの中だけの配分ですからね。これはほんとうにそちらでおっしゃる気休めにすぎないです。ですからこれは地方団体としては大きな圧迫になるわけです。  もう一つ国鉄の利用債、特に新幹線に対しての利用債、これは東北新幹線の場合は、四十六年度は二億円の利用債を計画していらっしゃった。それから四十七年度が約百億ですよ。四十六年度はまだ話ができていないからということで、一応何かでカバーしているというお話しですけれども、四十七年度は百億。さらにまた上越それから成田等合わせますと九十億だそうですよ。両方で百九十億。これは地方団体が引き受けたといたしましても、利率が、六・七八四%というのは国鉄利子、しかしそのまま持っているわけにいかないから結局銀行に持っていく。銀行ではどのくらいの率でしょうか、おそらく七・一%かそこらかもわからない。それだけでも、この利用債だけでも六、七億くらいのしわよせというのが地方団体はくるわけです。しかもこれは全体的じゃなくて、その通るところの府県ですから一部分の府県、こういうことでございますよ。この点につきまして御答弁いただいておりますと、非常に長くなるので、もう一つだけ言わしていただきたいのです。  もう一つ、こういう数字に出てこないのがあるのですよ。というのは、いま国鉄で考えていらっしゃる貨物のターミナルというんでしょうか。いまのところは各駅に貨物の扱い所がありますけれども、最近はターミナルというんですか大きな貨物駅をつくっている。そこへ一ぺんに集約させるというんですね。私は選挙区は栃木ですけれども、栃木県には石橋というところに大きな駅をつくっております。そうしますと、そのでき上がったターミナルの周辺四十キロというのは、一切貨物の取り扱いをやめて、全部トラックで石橋へ運ばせるということですね。そうしますと、国鉄のターミナルに行くまでの道路、これは地方都市ですから、もう貧弱なものですよ。それに一ぺんに集まってくるということで、これは地方団体としてもたいへんな問題で、道路をつくらなければいけない。しかし、そういう大きな仕事をやるについて、地方団体と相談しましたか。国鉄総裁、御相談されて、こういうことをやっておられるのですか。ちょっと答えていただきたいと思うのです。
  205. 磯崎叡

    磯崎説明員 ことに石橋のような大きな土地になりますと、とても国鉄だけの力では確保できませんので、地元の市町村にお願いして、むしろ御協力願って土地を買収している、こういう形でございます。
  206. 和田一郎

    和田(一)委員 確かにそのとおりなんです。しかし、四十キロ一円の荷扱いをやめるというのは、まだおっしゃってないんですよ。全然知らないんです。県も知らなければ、そのあたりの市町村も知らなければ、現在国鉄に荷をたのんでいる、そちらから考えればお得意さんだ、それも知らない。そして、ただこれは減らしていく、こうなるわけですよ。ですから、そのためには、当然道路もつくらなければならない。これはもう地方自治団体にしわ寄せですよ。どうお考えですか。
  207. 磯崎叡

    磯崎説明員 旅客駅の場合にも同じ問題があるわけであります。やはり道路をつくらなければいけない。もちろん、道路をつくることまでうちではとても金は出せませんが、やはり何かの形でそれは地元にリターンする。もちろん、石橋へはそれの納付金を納めるからという、妙なけちくさいことは申しませんが、全体として地元の発展、貨物の集散地になるというふうなメリットをお考えくだすった上で、道路をつくるということに御協力を願う。これは旅客駅の場合でも同じだというふうに思うわけでございます。
  208. 和田一郎

    和田(一)委員 国鉄総裁答弁としては、どうも私はふしぎに思うのですけれども、旅客駅でも道路は要る。それはあたりまえですよ。現在、道路がある、町ができている、そこに駅があるわけですよ。現在、駅のあるところに全部貨物の荷扱いをやっていますね。それを全部取りやめて一本に持っていくんだから、これは新たに道路をつくらなければいけないでしょう。いまおっしゃった旅客とは全然意味が違いますよ。そういうお考えでやっていらっしゃったら、こっちはたまったものではありません。  もう一つ、どうも国鉄さんのやり方が、全部自分一人でやってしまって、それは自分でやるのだからやむを得ませんけれども地方自治体との相談はないのですね。何かひとりよがりでやっているような感じがあるんですよ。石橋の駅なら駅を中心にした貨物、そういったことはいまだに全然相談がない。そして、それを漏れ承った業者は、コストが二倍になるといって騒いでいる。やはり計画なら計画を先に出されて、みんなの意見を一応集約をされた上での着手なら、私はいいと思うんですけれども、そういう点でも地方自治団体を圧迫しているということを申し上げておきたい。運輸大臣、どうですか。
  209. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 やはりそういったような貨物のターミナルをつくるということは、一つの集約地点として、地方としてもこれは絶対反対では、そういうものに対して協力はしないと思うのであります。しかし、具体的の問題といたしまして、道路計画都市計画というものが伴うことが、やはり一番必要になってまいります。これらは道路予算、都市計画路線の予算、そういったようなもの、それから御承知のとおり、基準財政需要額の中に算定をするというようなことも必要であろう。それらのものを勘案して、総合的にやってまいりませんと、地方財政、ことに自治体財政が非常に窮屈になることは事実でございます。それらも勘案して、自治体の長はやっていると私は思う次第でございますが、そういうような点でいろいろなことがございましたならば、私どもも側面からまたいろいろ努力をいたしまして、地方自治体のそういった財政的な負担が過重にならないように努力したい、こう思っておる次第でございます。
  210. 和田一郎

    和田(一)委員 一つお聞きしたいんですけれども、駅前広場というのがありますね。大きな駅の前にはどこでも広場がありまして、そこにバスのターミナルなり、タクシーのターミナル、そういうものがあります。その駅前広場は、市町村と国鉄両方で持っている場合が多いと思うのですけれども、大体両方で持っている個所はどれくらいあるかわかりませんか。
  211. 磯崎叡

    磯崎説明員 駅前広場は各駅全部ございますので、いますぐには出ないと思いますが、原則はやはりいま先生がおっしゃったとおり、大体地元市町村と私のほうの折半ということになっております。しかし、一番典型的な東京駅でごらんください。あそこは全部国鉄の土地でございまして、東京都の土地は全然ございません。
  212. 和田一郎

    和田(一)委員 おっしゃるとおり全部が全部じゃございませんが、こういう例があるのですね。市の名前をあげますとどうかと思いますので黙っておきますけれども、その市と国鉄がちょうど半分半分持っている。そこにバスのターミナルとタクシーのターミナルがあるわけです。そしてそのほうから使用料があがっておるわけです。使用料があがっているけれども、それは全部国鉄さんが持っていっちゃうのですね。地方自治体には一銭も渡さない。さらにまた、もしその舗装がこわれた場合どうなるか。これは市と国鉄が話し合って舗装をする。現在、戦後二十七年たっているけれども、その管理の方法を検討しようと呼びかけても、そちらのほうでお逃げになるというのですよ。地方自治体の長としては、国鉄さんは大きいですから、威圧感があっておそろしいのですよ。それであんまり言いに行かない。これは広場の使用料ですよ。バス会社の使用料、それまで地方自治体に半分やらないで国鉄が持っていくというのはおかしいじゃないですか。そういうのがあるんですよ。ですから、あらゆる面で地方自治体に対して圧力がかかるように私は思うのです。これは部分的かもわかりませんけれども。  もう一つ、これは五、六年前に私がタッチしたところでございますけれども、ちょうど国道と国鉄がくっつくところがあるのです。そこで子供がひかれた。ですから、国道と国鉄両方一緒にまたげるような跨線橋、横断歩道橋をつくってもらいたいという要望をしたが、この父兄の願いがなかなか聞き届けてもらえなかった。やっとことしの四月何日かに、それからちょっと離れたところで、線路の下にトンネルを掘って学童が歩けるようにしていただいた。その間七年くらいたっている。そういう面は実にスローモーですね。ところが、値上げだというときには自治体のほうからばっちりお取りになっていらっしゃる。利用債だって百九十億かけていらっしゃる。この点もう少し考えてもらいたいと思うのですけれどもね。  自治省政務次官がおいでになっていらっしゃいますから、利用債の問題と五十億の閑散線の問題、さらにまた貨物のターミナルの問題、これは表面には出てきませんけれども、やはり自治体としては道路をつくらなければならない、そういう点についてひとつお考えを述べていただきたいと思う。
  213. 小山省二

    小山政府委員 御指摘のように、閑散線につきましては、私どもとしては、まだ具体的に閑散線が指定されておりませんので、したがって必ずしも地元がその存続を希望するかどうかわかりませんので、財源的な処置についてはまだ具体的な方法はできませんが、そのような事実が出ましたならば関係市町村と十分相談をいたしたい。  利用債につきましては、私どもとしてはその性格上好ましくないという考え方を常に表明をいたしておるわけであります。  駅前広場その他いろいろ地方財政に対する負担等については、今後国鉄側と十分相談をいたしまして、できるだけそういう弊害を排除するように努力いたしたいと思っております。
  214. 和田一郎

    和田(一)委員 総裁にお尋ねしますけれども、先ほど一つの例をあげました駅前広場の共管の問題ですね。その場合、あがったものはどうするか、現在どうしているか、それを答えていただきたい。
  215. 磯崎叡

    磯崎説明員 たいへん申しわけありませんが、ちょっと私つまびらかにいたしません。うちで全部持っているところと、ほとんどうちが持っていないところと、いろいろありますので、もう少し実情を調べたいと思っております。たいへん申しわけございませんが、いまちょっと即答いたしかねます。
  216. 和田一郎

    和田(一)委員 では、これは名前を言っちゃいますけれども、宇都宮駅前です。宇都宮駅前の広場はどうなっておるか。いまわからなければあとでもけっこうですがね。
  217. 磯崎叡

    磯崎説明員 宇都宮の件はすぐ調べさせます。いま聞きますと、バスは、このごろはもう軒下まで入れませんので、市の外側の用地でとまっているというところが相当あるようでございます。軒下に入れる場合はうちで取りますけれども、結局、境界線がございますから、境界線のどっちでとまっているかということで取っているそうでございますけれども、もう少し調べてみます。
  218. 和田一郎

    和田(一)委員 それでは、宇都宮の例はあとでけっこうですから、そういう場合、両方で持っていて両方にバスがとまっている場合は一体どうなるのですか、あなたでもいいからちょっと答えてくださいよ。現在どうしているのか。
  219. 速水信一

    ○速水説明員 両方でとまっている場合は、場所によって比例で配分いたしておる、そういうことでございます。
  220. 和田一郎

    和田(一)委員 比例で配分しているというおことばなんですけれども、実際問題、そういう話し合いに応じない例が多いらしい。その点は、時間がありませんからこれで終わりますけれども、もう少し地方自治体からも愛される国鉄になっていただきたい、そのことをお願いいたしまして質問を終わります。
  221. 小峯柳多

    小峯委員長 広瀬秀吉君。
  222. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 短い時間でございますので、国鉄財政問題一本にしぼって質問をいたしたいと思います。  私ども調べたところによりますと、国鉄の累積赤字が四十六年度見込みで大体八千億になるだろう。さらに四十七年度を経過した場合には九千七百六十六億と見通されている。約一兆円の累積赤字になるという事態になっておるわけであります。一体この赤字はどういう原因で発生したのか。これはいろいろ理由はあるだろうと思うわけでありますが、まずこの赤字の原因について、ちょっと運輸大臣に伺いたいわけなんです。われわれが考えますと、戦前には国鉄職員というのは非常に給料がよかった。各省間でも、商工省の次は鉄道省だということで、昭和十一、二年のころでありますが、各省職員からむしろ羨望されておったというような状況であります。ところが、私もいまこの数字を見て驚いておるのでありますが、これは労働省の四十五年の調査で、一年ばかり古いものですけれども日本国有鉄道の賃金は六万七百円、全産業が七万二千八百円、製造業七万五千六百円、電気、ガス、水道が七万四千四百円、鉄鋼業が八万二千六百円、電信電話で六万六千円。これは同じ公共企業体であります。たばこ製造業は、これも独占事業でありますが、六万三千四百円、郵便業六万三千五百円。いま、国鉄を除いたすべて読み上げたものの中で一番低いのですね。そういう状態になっている。そしてこの三十二年に第一次合理化計画が始まって以来、合理化要員として削減した人員は、第一次五カ年計画で一万八千三百人、第二次五カ年計画で二万二千三百人、第三次長期計画で四万三百人、国鉄財政再建計画ということで二万二千人というように、合わせますと十万三千三百人も職員が減っておる。こういう中で赤字が累積していくということは、原因は、もちろん交通事情というものが非常に大きく変わって、モータリゼーションのすばらしい伸び、あるいは航空輸送が急速に、年率三〇%、四〇%というようなことで伸びている、こういうようなことで、国鉄の交通機関としての独占性が失われてきた、有力な競争者があらわれたということにも原因があるだろうし、あるいはまた非常に大きな設備投資というようなものに金をつぎ込んできた。大体今日までに、三十二年以降で四兆円をこす投資をやっている。こういうようなものを自己資金で公共企業体以来調達をするというようなことから、これに対する元利の支払いというような問題などが累積してきたのだ、このように考えるわけなんですね。この赤字の原因というものについて、運輸大臣として一体どういうお考えを持っておられるのか、まずこの点を、いろいろ私も数字を申し上げて、こういうことでどうして赤字が出るのだということで申し上げたわけだけれども運輸大臣の的確な赤字の原因についての御答弁をいただきたい。
  223. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御指摘をいただきましたそういった大幅な公共投資に対する利子負担その他の点も、確かに負担になっていると思います。しかし、四十四年つくりました国鉄再建計画の破綻、この一番の直接の原因は、数字から見ますと、やはり増収の伸びが見込み違いであった。それからもう一つは、支出のほうから申しますと、人件費のアップが見込み違いであったという点。収人が見込みより著しく減った、それから支出が見込みよりも相当ふえている、こういう二つの原因が、申しわけない次第でございますが、その見通しが非常に甘かったという点にあるか、こう思う次第でございます。
  224. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いま大臣答弁では、人件費といわれるのですが、国鉄の事務当局でけっこうですけれども、なるほど賃金率は毎年毎年上がります。しかし、総経費の中で人件費、いわゆる賃金コスト人件費ストが占める比率というのは、非常に大きく賃金率のアップのように——国鉄全体の総支出の中で占める人件費スト率というのは、どの程度の変遷をしているか、これを明らかにしていただきたいと思います。十年前なり五年前なりと比較してみてください。
  225. 小林正知

    ○小林説明員 ただいまお尋ねの数字につきまして、計数的に申し上げますと、四十五年度の決算まで出ておりますが、運輸収入を基礎といたしまして計算をいたしますと、人件費——と申しますのは、これはいわゆる修繕費等の中に、工場等で車両修繕をいたします際に工場で働く人たち人件費が入っております。そういったものも全部人件費として取り出しまして計算をいたしてみますと、四十五年度で、運輸収入に対しまして約六三%程度になっております。それが三十六、七年当時は大体四七%ないし四九%、年度によって若干の径庭はございますが、五〇%を上下するというような状況になっております。それからもう一つは、人件費物件費、これは資本費をただいま除いた数字になっておりますが、人件費と物件費というものの占める割合についてお答えをいたしますと、同じく四十五年度におきましては、市町村納付金等を除きまして、いわゆる人件費と物件費というもののトータルに対しまして、人件費は七四%、それが同じく十年前程度の三十六、七年当時の数字を申し上げますと、パーセントにいたしまして六七、八%、かようなかっこうになっております。
  226. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 こういう数字というのは世界の鉄道に共通のことであって、ヨーロッパの鉄道のごときは大体軒並み人件費が八〇%です。なるほど若干上がってはおるけれども、この分に非常にウエートをかけて説明をされるということについては私は納得できないわけで、先ほど申し上げたような数字が労働省の調べでちゃんと出ておるわけです。こういう状態。しかも国鉄の従業員というのは年齢も比較的高年齢である。さらに国全体の平均でいきますと、一・六〜一・七人という家族の平均になるわけですけれども、夫婦子供二人というのが標準世帯と今日ではいわれておりますが、三十七歳で四・一人という家族の構成状況になっている。全体的な数字から申しまして、この家族構成の比率も非常に高い、こういうことになっておる。そしてしかも賃金が、これは先ほど具体的に労働省の数字を読み上げたわけです。そういう状態になっておって、なおかついま言われた状態になるということは、もっと根本的に考えなければならない問題があるということ。特に赤字の数字の大きさというものが今日一番大きい問題になっているけれども一体この赤字は何によって生み出されたのかということを原点に返って考えていただきたいということなんです。国鉄の赤字分というのは、今日までの国鉄の体制、国鉄の存在意義、こういうものからいって、すべてこれはそのまま国民に還元されている赤字である。国鉄の赤字が出た分は、その分だけ国民が安い運賃で利便の提供を国鉄から受ける。そういう形においてより一そう高度化した高速の列車に乗れるというような意味において、みな国民に与えられている利益である。それがちょうど見合う関係にあるのではないか。国鉄職員がほかよりもべらぼうに高い無法な貸金を獲得しておる、遊んでいる人間がたくさんおるんだ、こういうような状態の中から生み出された放漫経営の赤字だというような形ではないと私は思うのです。こういう点については運輸大臣としてはどのようにお考えになりますか。その赤字というものは国民がその分利便を受け利益を受けた、そういうものとの対照関係にある、こういうようには思いませんか。
  227. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 非常に御理解のある御質問でございまして、感激をしておる次第でございます。私も国鉄はいま非常にいろいろなことをいわれておりますが、国鉄が過去におきまして国民のために尽くしました貢献度というものは、これはよその企業に比較いたしまして決して劣るものじゃない。また最近におきましても、新幹線のごときは世界のどこにも類のない世界最高水準の技術を持ちまして、しかも七年間四億数千万のお客を乗せまして無事故の記録をつくっている。こういうものは世界に誇るべきものである。こういうふうに思っている次第であります。非常に御理解のある御質問、その趣旨どおりだと思っている次第でございます。
  228. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 運輸大臣から非常に理解のある所説であるという評価をいただいたのですけれども、私はまさに大臣も私の所論に対して賛意を評された、このように思うわけであります。  ところで、いま国鉄がこのような赤字を背負うて、膨大な三兆八百八十一億ですか、こういう負債をかかえて苦しんでいる。そしてその中から新しい時代に対応した国鉄の使命というものを見つけながら、それにふさわしい再建計画というものを練ろうという段階にいまあるわけです。そういう場合に国の援助が私は非常に必要であろうと思うわけです。これは国民全体、大体利用者を見てみましても、なるほど輸送におけるより有力な競争者があらわれておるけれども、今日なお旅客輸送人員等においては圧倒的に国鉄の占めるシェアが高いわけです。約七十億人、六十八億人は少なくとも国鉄を利用しておるという数字が出ておるわけです。一億の人口とすれば、一人六十八回は利用しているということになるわけであります。まさに国民の足を確保する、こういう使命を国鉄はやはり依然として持っておると思うわけであります。そういうような立場に立てば、この昭和四十七年度の予算の中には大蔵当局としてもかなりの思い切った財政援助の方向というものが出されてはきた。しかしこれではまだきわめて不十分である。こういう国鉄の使命というものがこれからも重要さを持ち続けるということについて、しかも今日まで国の援助がほとんどなしにと言ってもいいと思うのです。二、三年前から何ぼかずつ援助があったけれども、これはほとんど取るに足らない援助でしかなかったという状態であったわけです。けれども、そういう状況で今日の事態を招いている、こういうことでありますから、いまこそ、発想の転換ということが今日あらゆる面でいわれておるわけであります。高度成長論、生産第一主義だ、輸出第一主義だというようなものから人間を優先させていこう、人間生活最優先の政治に向かっていこうというような問題あるいは福祉優先に持っていこう、こういうようなことから言うならば、国民の足を守る、新しい時代にふさわしい福祉と生活優先の中で守られなければならない国民の足を守っていくんだ、こういう立場に立つならば、今回大蔵省がやられたのは、また将来に向かって再建期間中に一兆円くらいの出資も出そうというようなお考えのようでありまするけれども、これは言うならばいままでの国鉄経営に対して若干の軌道修正くらいはやった。しかし発想の転換、この国民の貴重な足を守る、新しい福祉社会にふさわしい、生活優先、人間優先の社会にふさわしい足を守っていくんだというために国鉄をりっぱな形で再建をするという意味の転換というものは、やや不足だろうと私は思うのです。こういう点について運輸大臣、大蔵大臣代理の政務次官が来ておりますが、その点についての御所見を伺いたいと思うのです。
  229. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私も今回は相当の、軌道修正でなくて発想の転換の第一歩だ、こういうように私は思っている次第でございます。ただ汽車企業というものが御承知のとおり列国におきましても非常に行き詰まってまいりました。それがためにいろいろの赤字補てん策がやられている次第でございまして、国鉄企業努力にもかかわりませずやはり同様な運命。あるいは航空機あるいは船舶輸送あるいはトラック輸送という競争裏におきまして、そういう点におきまして公経営が非常にむずかしくなってきている。いまいわれておりますイコールフッティングの問題がございます。これは財政援助だけでなく、どの程度に特性をお互いに生かしていくかという政策の転換とも相まつ次第でございますが、幸いにいたしまして昨年の暮れ総合交通体系が閣議できまりまして国鉄の位置づけもはっきりきまった次第でございまして、各輸送機関の位置づけも抽象的ではございますが大体きまっておりますので、その線に乗りまして、そうしてやはり国の助成とそれから一般の国民の御協力を得てまいりますれば国鉄の前途必ずしも悲観したものではない、むしろ使命達成に向かいまして、そして国民の期待にこたえることができる、私はそう思っている次第でございます。
  230. 田中六助

    田中(六)政府委員 広瀬委員御指摘のように四十七年度予算では十分ではないとは思いますが、政府としては精一ぱいのことをやっておりまして、第一に財政計画の策定のために十年間に一兆円の出資をするとか、あるいは工事費補助のために一兆円出す、あるいは再建債発行のために七千億円を考えておる、そのほか三千四百キロの赤字路線の五カ年間の整備中に五百億を出すというような計画を考えると同時に、四十七年度予算では千百三十四億というものを計上いたしておりまして、これは四十六年度予算の約三・三倍でございます。そういうふうに財政の許す限り一生懸命やっております。といってこれは十分ではないことは御指摘のとおりでございますが、現在のところ精一ぱいやっておると思います。  第二点の今後の見通しでございますが、今後のことは私ども公共性ということを考えまして、より以上前向きに積極的に考えてまいりたいというふうに考えております。
  231. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 積極的に前向きに一そう財政援助をふやすという御答弁と私は理解をするわけでありますが、なるほど昭和四十七年度の予算におきましては、これは運賃値上げを前提にしてということだろうと思いますけれども補助金として孫利子に対する補給あるいは工市費補助金、地方閑散線区の補助、さらに合理化促進補助金など五百五十二億、あるいはまた資本勘定では六百十六億の出資というような、これは従来からの姿勢で見れば、千二百三十六億というまさに三・三倍になるというような数字であるけれども、いままでが少な過ぎたのだ、いままでが少な過ぎたためにこのような事態に追い込んできたということで、政府としては怠慢を責められてしかるべきだと思うのです。いままでやらなかったことを今度やれるということは、これはいままで怠慢であったということの証明なんです。そのためにことし三・三倍にふくらんだ。しかしながら、根本的には、この再建にあたって新しい時代にふさわしい国鉄にして、国民の足を守り、国民に対する輸送サービス強化していく、新時代にふさわしく対応していく、こういうような政策をやっていくためには、私はやはり三兆八百億にのぼる長期負債というものを、その三兆全部でなくてもせめて政府管掌債務、政保債、これだけで大体二兆円ですから、この二兆円ぐらいたな上げする。過去の重圧というものがのしかかって、いま身動きがとれない、こういうことになっているのがいまの国鉄実態だろうと思うのです。そういうものを少なくとも再建期間中くらいは国が凍結をして、たな上げをして、そして元利の償還から免れしめて、十年後に、ほんとうにこれからの問題として、新しい体制の再建を成就するという段階において黒字が出る、そうすれば黒字もうんと早く来るだろう。聞くところによると総裁も、運賃値上げを三回やって、五十六年にも運賃値上げをまたやって、四回やって、それでやっとこ黒字がコンスタントに出るようになるでしょうという、たいへんたよりない再建計画の内容になっているわけです。そういうことを前提にしなければならぬということです。それでもほんとうになるかどうか、これはきわめて疑わしい面が多々ある。きょうはそれを論争している時間はないけれども、そういう時代にあるということですね。せめてこの過去の債務、これだけ大きな債務の重圧というものによって国鉄経営のすべてにわたって今日非常な摩擦を起こしながらはい回っている、突き進んでいるというのでなくてはいずり回っているような状況にある国鉄を、再建の軌道に乗せてやる。国鉄はレールの上を走るのがあたりまえなんだから、ほんとうの再建のレールの上に乗っけてやる、これが政府のなすべき今日的問題意識のとらえ方ではないかと私は思うんです。そういう点では運輸大臣いかがでしょう、大蔵大臣答弁をしていただきたいんだが、過去のそういう債務の重圧から免れしめなければ、脱却させなければ、再建はほんとうに軌道に乗ったとはいえないだろう、私はこのように思うのですが、そういうところまでいけば、これはまさに発想の転換にふさわしい一つの対国鉄政策であるということが、国民輸送に対する新しい時代にふさわしい体制に持っていくための発想転換をやったということが、示されるのではないかと思うのですが、いかがでございますか。
  232. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま先生御指摘のように三兆のうち政府管掌債務、政保債合わせて二兆ですか、これはたな上げと同じ孫利子方式でございますが、十年間これは完全にするという約束をしている次第でございます。その点は私は、十年間は問題ないというふうに思う次第でございます。ただ三兆負債があるからといって、三兆の負債というものをそう気にする必要はない。これから国鉄がどんどんと伸びていく、あと七兆の設備投資をすれば、また鉄建審でも、ことしも一千億以上の国鉄のためのいろいろレール敷設をするということでございますから、そうなってまいりまして、その路線がいかに国民の需要に合ってそして需要増加をもたらして、それだけの収入を得るかということになってまいりますれば、もっともっと四兆、五兆になりましても、これは心配ないんじゃないか。要はその点でわれわれといたしましても気をつけなくちゃならないのは、国民の需要に合ったような路線がどのくらい引けるかということがこれから大きな問題である。これはもとよりただの営利計算だけではございません。開発のため、また地方の住民の利便、鉄道でなければどうしてもやれないというようなところで、いかに赤字でございましてもやらなければならぬところがございますが、大体といたしましては、そういった問題を一番念頭に置いておきますればやっていける。当面の問題といたしましては、御承知のとおりの赤字でございますので、これは十年間たな上げをする、たな上げと同じ方式をとる、こういうことでやっているつもりでございます。
  233. 田中六助

    田中(六)政府委員 お答えいたします。  広瀬委員御指摘のように累積赤字が三兆以上、それから四十七年度を見ましても償却前赤字が千七百億あるわけでございますので、こういうものを一度にたな上げしていろいろ処置すればどうかという御趣旨のようでございますが、やはりこれは多少年月をかけなければならないと私思います。したがって十年間で一兆円の出資とか、あるいは工事費補助とか、そういうものを精一ぱいやっているわけでございまして、これももとをただせば国民の税金でございますので、やはりそこら辺も考えまして私ども考えておるわけで、四十七年度は出資その他十分できるだけのことは考えておりますし、今後ともそういうふうな方向でまいりたいと思います。
  234. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 運輸大臣、この再建期間中に新しく七兆円また投資をしようというんですね、そして再建債もまたこれどんどん累積をしていくわけであります。それについての利子補給はあるけれども、その利子補給ですら政管値あるいは政保債だけの利子補給であって、あと一兆数百億の一般縁故債あるいは利用債、特別債というようなものについての利子補給はない、依然としてそういう部分についてはかなりの財政重圧がかかってくる、しかも新しく再建の段階で七兆の投資をする、こういうようなことでいくという場合に、いま大臣がおっしゃったような、三兆くらいどうということはないというのは、私は責任大臣として非常に甘い考えではないかと思う。これではたして再建がなるかどうか。もちろん運賃値上げというものを三回予定しているというようなことについて、私どもとしては、はたしてそういう運賃値上げなんというのは可能であるかどうか。これはそのときそのときの経済情勢を見なければ、なかなか判断もむずかしいけれども、今日昭和四十七年度において運賃値上げという構想も、これだけ大きな国民的抵抗を受けておるわけですよ。運賃値上げに賛成している者は、これは公聴会をやってきめたというけれども、つくられた公聴会ということで、あれは民意を反映していないと思う。私ども町へ出て、街頭へ出てほんとうに正直な気持ちを国民に聞いてみると、みんな反対ですよ。そういう状況の中でこれだけの運賃値上げをやって、しかも五十六年度までやってどうにか黒字が出るという状況、そういう中においては今度は国鉄内部におけるきわめて苦難なイバラの道を職員にもしいるということから、他公社あるいは他の五現業、公労協の諸君に例を見ないような摩擦現象が起きざるを得ないんではないかというようなことも、真剣におそれられるんですね。今度の賃上げ等についても、国鉄だけはのけものにするというようなことが現に行なわれている。こういうことが新しい賃金紛争においても大きな一つ問題点をつくっている、こういうようなことも考えれば、運輸大臣としてはもう一歩の努力が私は必要だろうと思うし、また大蔵省も本気になってこの国鉄再建の道を今日までのような方針じゃなくて、私はやらなければならない、このように思うわけです。もう一ぺんひとつその点答えてください。
  235. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ちょっと私の答弁におきまして足らない点がございまして、誤解を招くといけませんから申し上げます。  長期債務が三兆、しかし赤字は八千億、これも大きなものでございます。これをいかにして消化するか、これはたいへんな問題であります。私が申し上げました三兆というのがそう心配しなくてもいいというのは、合理的に運営されまして、これが資産に振りかえられて設備投資になっております、これの運営が適正に行っておりまして、それだけの収入を持ってまいりますれば、そう私は心配はないんではないか。一千万の負債でございましても、ただ毎日毎日タコの足を食うようなことになってまいりますれば、一千万の負債でも心配だと、こういう意味で申し上げたわけでございまして、しかしこれだけの大きな人数をかかえ、これだけの大きな仕事をしているわけでございますから、そういった大まかなことだけでなく、具体的に緻密な計画を立て、緻密に業務を施行していかなければならないことはもとよりのことでございます。  それから先生の御趣旨といたしましては、やはりこれでは国の助成と申しますかが、足りないんではないかというようなお話でございますが、ごもっともだと思う次第でございます。  それから先ほど申しましたうちでたな上げをしましたのは、過去債務に対してのたな上げでございまして、これからの七兆円につきましては、御承知のとおり大体四分五厘までにあるいは利子補給をする、これはさまっておる次第でございますから、一応四分五厘がいいかどうか、さらにこれを軽減させる方途は、また努力をしなければいかぬと思う次第でございます。  それから最後に申し上げますが、今回佐藤内閣は、この通常国会におきましても、発想の転換を言っているわけでございます。財政主導型——いままでおくれているところの社会資本の充実ということを大きな問題にかかえております。私は今日の財政規模では、先ほども大蔵政務次官から答弁をいたしましたが、これがやはりぎりぎり一ぱいだと思う次第でございますが、私どもの力が足りなかったかもわかりませんが、私はよく出してくれた、こう思っておる次第でございます。将来必ず財政規模は伸びる。伸びるに従って、われわれも努力し、御鞭撻もいただきまして、それらの点につきましても十分ひとつ国鉄がやっていけるように、運賃の上昇というものだけにたよることはなく、むしろ運賃のほうは幾ぶんでも低くいたしましても、そっちのほうへ努力してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  236. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 ほかにもたくさん聞かなければならないことがあるのでありますが、きょうはきめられた時間をすでに上回っておりますので、これでやめておきますが、いずれまた日をあらためて十分政府の所見を伺いたいと思います。その部分は留保をいたしまして、きょうはこれで終わらしていただきます。
  237. 小峯柳多

    小峯委員長 大橋敏雄君。
  238. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 私は社会労働委員会に所属している立場から、本日のこの連合審査に臨んでいるわけでございますが、社会労働委員会というのは申し上げるまでもなく、社会保障あるいは社会福祉を力強く推進していこうという委員会でございます。そういう立場から実は去年でございましたか、佐藤総理のことばを思い出すわけでございますが、福祉なくして成長なし、有名なことばになっておりますけれども、その中身は必ずしもそのことばと一致をしておりませんが、わが国の内政の中で特に福祉政策の拡充、充実強化というものは最大の課題になっていることは、御承知のとおりでございます。私はそういう立場から、きょう運輸大臣等に若干の質問を申し上げるわけでございますが、社会保障あるいは社会福祉というのは、ある資金を投資をして、そこから利益が生まれてくるというものではございません。ただいま審議されております国鉄の赤字問題法案について、いわゆる値上げ法案について、むしろ矛盾していくような、逆行するような質問になるかもわかりませんが、その点はよく理解された上で答えていただきたい。  いま町を歩いてまいりますと、またも上がるか国鉄運賃という、政治を担当しているわれわれにしてみれば、ほんとうにつらいことばが突き刺さるような思いで入ってまいります。毎回毎回運賃値上げが行なわれてくる、この姿に国民はあきれ果ててものも言えないという状態にあるんではないでしょうか。そして、ただいま審議されております国鉄運賃値上げ法案、この法案について異常な関心の眼をもって見守っていると私は思うのでございます。私は、これまでも国鉄運賃値上げが行なわれるたびに、ある一まつの期待を寄せておりました。それは国鉄運賃が上がれば、さぞかしサービス方面が向上されるであろう、いろいろとよくなってくるであろう、このような期待でございましたけれども、事実はその期待が裏切られてまいりました。そして、さっぱり改善されていないというのが実情であります。  ここで申し上げたいことは、やはり行政を担当なさっている皆さまは、やるべきことはやる、その上でなおかつやむを得ないという立場で、あるいは国民にお願いなさるのならば、まだまだ納得いくわけでございますけれども、やるべきことをやらずに、しかも赤字だから値上げをしたい、これは通らないと私は思うのであります。いま社会労働委員会でも、健康保険の問題がきわめて重大な立場で論議されておるわけでございますが、これなどはもう御承知と思いますけれども昭和四十二年以来二年ごとに問題にされてきております。たとえていうならば、水をくもうと思うならば穴のあいたバケツではだめでございます。国鉄も同じだと思うのです。いま健康保険のほうでは穴のあいたバケツではだめだというよりも、むしろ、ざるみたいなもので、何とかしたいというようなことであったわけです。それじゃだめだ、医療保険の抜本的改正を行ないなさい。その抜本改正が今国会に出される予定であったわけですね。しかしながらその抜本改正は、前のざる以上にひどい穴があいた、内容はきわめて不十分なものであったということで、両審議会からきびしく指摘を受けて、いまだにその抜本改正案なるものはこの国会に出ておりません。そして、政管健保の財政問題だけを急ごうとしているわけですね。だから国民が納得いくわけがないわけでございます。それと同じように国鉄もやるべきことをやって、その上で、しかじかこうこうだからひとつよろしく頼むと国民にお願いなさるべきなんでございます。  私は、いろいろ申し上げておりますけれども、言いたいことは、福祉政策の拡充強化、その中でいま非常に重大になっていることは、いわゆる政治の谷間に忘れ去られてきております心身障害者の対策のことでございます。最近厚生省のほうでは、かなり手は入れてきているようでございます。意欲的にやってはおりますけれども、その厚生省の積極的な姿に反しまして、国鉄の姿は逆でございます。無関心といってもいいくらいでございます。私は何をもってそういうことを言うかと言いますと、国鉄運賃の割引問題がこの身体障害者になされているわけでございますけれども、この内容について、当然内部障害者を含めなければならないという実情にありながら、国鉄はいまだにそれを受け入れていない。私は、国鉄総裁にお尋ねする前に、運輸大臣にお尋ねしたいのでございます。なぜならば、日本最大のマンモス企業、あるいは国民経済の動脈といわれている国鉄、その国鉄監督指導の主管者であるのは運輸大臣、あなたではないでしょうか。ですから私は、この問題はあなたにお尋ねすればもう何なく解決するという気がありますので、まずあなたにお尋ねするわけでございます。どうでしょうか。身体障害者の割引問題で、いまだに内部障害者をその対象としていないという現実があるわけでございます。
  239. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま身体障害者の問題につきまして、切々たる御質問でございます。これにつきましては、国鉄がただいま年間三億二千万円にわたる負担をしている次第でございます。これにつきまして、いろいろまだ御論議もありましょうが、現実の国鉄の赤字をかかえております点といたしましては、相当の思い切ったあれであろうと思う次第でございますが、具体的にはひとつ国鉄当局にお伺いしていただきたい、こう思います。
  240. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 先ほども言いましたように、総理は福祉なくして成長なしと言っております。国鉄は確かに赤字でしょう。だけれども国民一人一人は、国鉄が赤字だからどうのこうのという問題ではないのであります。これはまた別問題でありまして、だから私は最初に、私の質問は赤字問題とは矛盾する、逆行するような立場で聞くようになるかもしれない、福祉行政、社会保障、そういう立場に臨んでいるいまの政治姿勢ですね、そういう立場から理解された上で答えていただきたい、こう念を押しておったはずです。きょう社会労働委員会は衆議院でも参議院でも開かれておりまして、大臣政務次官もここに呼ぶわけにはまいりませんでした。厚生省の局長さんないしは課長さんたちが来ていると思いますので、ちょっと確認いたしますけれども、四十五年に心身障害者対策基本法というのが成立いたしました。その第二条において、心臓機能障害あるいは呼吸器機能障害等の固定的臓器機能障害者も心身障害者として定義づけしたわけでございますが、まず確認いたします。間違いありませんね。
  241. 角田耕一

    ○角田説明員 間違いございません。
  242. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 さらに今回心身障害者福祉法の中で、その基本法を受けまして、今国会ではじん臓疾患を具体的に適用しようとしていると思うのですけれども、これはどうでしょうか。
  243. 角田耕一

    ○角田説明員 心身障害者福祉法の一部改正法案を今国会に出しまして、十月からじん臓機能障害者を身体障害者の中に取り入れるということにいたしております。
  244. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 これはよく聞いておっていただきたいのですが、また内部障害者はこれまで特別児童扶養手当の支給対象外にあったわけでございますが、ことしから支給対象とされたと思うのでございますが、これはいかがでざいましょうか。
  245. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 先生御指摘のとおり、現行法では特別児童扶養手当の支給対象には内部障害は含まれておりませんが、現在郷審議をいただいております法律改正によりまして、本年十月からその対象とするようお願いいたしております。
  246. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまお聞きになったとおりでございます。厚生省としてはこの障害者に対しては積極的に取り組んでまいっておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、内部障害者が身体障害者福祉法の中に、具体的に心臓病だとかあるいはじん臓病だとかいうのが組み込まれてまいったわけでございます。ですから国鉄も、当然こうした内部障害者に対して、手帳を受給した者に対しては、これを適用するのはあたりまえでしょう。私は決して無理なことを言っておるわけではないと思うのですけれども、どうでしょうかね。
  247. 磯崎叡

    磯崎説明員 身体障害者の運賃割引につきましては、実は現行法にございます割引を、運賃法の関係でなく別個の法律でつくった、これはずっと前の話でございますが、そういう立法のいきさつがございまして、これは過去に厚生省でもって傷痍軍人の無賃乗車について、厚生省が予算を組んで国鉄に約三億近い金を補給いたしておりますが、それと同じように身障者につきましても、いずれそういう財政措置をとって一方的に国鉄に押しつけないというふうな話し合いがあったやに聞いております。いま先生がおっしゃった四十五年にその範囲が拡張されたことも私はよく知っておりますが、その際にもやはり相当問題が起きまして、そしてこれは何とか厚生省でもって考えたい。いま厚生省が非常に積極的にそういうことを考えておる、内臓疾患の者であっても割引をしなければならぬ、ひとつ考えるからというふうな、確約ではございませんが、そういうような話もあったやに私聞いております。私どもも今度いろいろ苦しい状態で、先ほども問題になりましたが、貨物の割引をやめるとかいろいろやっておりますけれども、この点は身障者には触れないという、非常に消極的な言い方で申しわけこざいませんが、拡張は無理だけれども、いまのものを縮小はしないというたてまえでまいりたい、こういうふうに思っております。
  248. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 縮小はしないというのじゃだめですね。いま言ったように、内部障害者が法律の上で身心障害者と定義づけられ、しかも具体的にそれが具体法の中に取り上げられてきたのですから、少なくとも取り上げられたものについては当然国鉄もその線に沿うべきである、それが人間尊重の政治だと私は思うのですけれども、もう一言。いまのような答弁では納得いかぬですよ。
  249. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうもいろいろな割引をいままで財政豊かなときはいたしておった、これは当然のことだと思っております。大は通勤、通学の割引から、いまの身障者まで、あるいは貨物につきましてもずいぶんさまざまな割引をして、割引の総額が累計一兆をこしておるというような実情でございます。しかし、これほど貧乏になってまいりますと、もうそこまでやっていられないということで、割引はもう最小限度にしたいというふうなことでございますけれども、今度も通学定期は割引率をいじらない、あるいは身障者のものもいじらないというふうなたてまえでもって、いま貨物などは縮小しているのでございますけれども、いまのような話は一応現状のまま残しておくということでございまして、身障者の範囲が広がったことは私、存じておりますけれども、ひとつ国家予算としてこの問題を取り上げていただきたいということを切にお願いする次第でございます。
  250. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 大臣は聞いていらっしゃらなかったので、また説明すると時間がもったいないですが、大体わかってくれたと思います。要するに、内部障害者は運賃割引の対象に現在なっていない、国鉄総裁は、気持ちとしてはそういうものも実は入れたいけれども、いまの赤字じゃどうしようもない、であるから、これは国鉄そのものでなくて、政府のほうでやってほしい、こう言っている、かいつまんで言えばこういうことですよ。当然ですよね。これはやられますね。
  251. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 実は、先ほども農産物資あるいは通学定期の問題でもお話ししたのですけれども、身体障害者に対するいろいろの保護は必要でございましょう。これは厚生省において十分やはり考えるべき問題でございまして、厚生省におきましてそれらの手当てが必要であるという場合には、厚生省の予算にこれを計上し、そして国鉄に対しましてやはり何らかのものを持ってくるというのが筋ではないか。というのは、国鉄は御承知のとおりあれでございまして、現在はそれらのものを勘案をいたしまして政府助成もいたしておりますが、これがやはり限界でございますので、私は、将来そういったような問題をそれぞれ研究する、総合的にはその点を経済企画庁でまとめてまいるというふうに、私もいまの御説を聞きまして、十分前向きでその点の御協力を申し上げたい、こう思う次第でございます。
  252. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 きょうは厚生大臣が来てなかったので残念ですけれども、何も厚生省が予算を組まない限りはだめだなんというような言い方でなくて、厚生省は当然そういう意欲的な気持ちは持っているわけですから、よくそれは今後大臣同士で話し合ってもらって、はっきりとした態度でひとつ臨んでいただきたいと思います。  そこでもう一つ、これは明確な答弁はなかろうと思いますけれども、要望として言っておきますが、距離制限の緩和のことでございます。いま身体障害者の割引については百キロ以上の制限がつけられておるわけですね、百キロ以上に限ると。これを大幅に緩和していただきたいということです。百キロ未満の距離の利用者はきわめて多くなっておりますし、少なくとも二十キロ以上ぐらいに緩和してもらいたいということですね、これを頭にとめておってくださいよ。  それからもう一つ、航空機や特急、これはまだ全く対象外でありますけれども、この適用拡大をしていただきたいということです。時代は高速度化されてきたわけでございまして、航空機あるいは特急というのは、皆のように特殊な人が乗るというのじゃなくて、もう一般化されてきたわけですね。ですから、これも今後、そういうことを検討なさるときに十分加味していただきたい。どうでしょうか。これは一言でいいです。
  253. 磯崎叡

    磯崎説明員 百キロ制限の短縮につきましても、私は話を聞いております。いずれ厚生省とも十分相談いたしますが、私のほうの事情もございますので、事務当局同士でよく相談いたさせたいというふうに思っております。
  254. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 もう一つ国鉄の時代おくれということを取り上げてみたいと思っておったのですが、時間がなくなりましたのでたいへん残念ですけれども、列車便所におけるふん尿処理のことでございます。これは車両自体はもちろんのこと、路線の周辺まで汚物を浴びせかけ、まき散らしていくような仕組みになっているわけですね。いわゆるたれ流し飛散環境汚染処理方式といいますか、こういう方式は早急に改めるべきだと私は思うのであります。いま新幹線のほうは確かに抱きかかえていく仕組みですね。内蔵貯留方式とかいっていまして、抱きかかえて、そして最後にきちっと処理されるという正常路線でありますけれども、それ以外の路線はいま言ったようにきわめて開放性たれ流しでございます。これは目には見えなくても、あるいは直接そういうことがなくても、公衆衛生的な見地から大問題だと思うわけでございます。これについて国鉄はどう思っているか、あるいは運輸大臣はどう思っているか、もう時間があまりございませんから、要点だけすぱっと答えてください。
  255. 磯崎叡

    磯崎説明員 汚物処理につきましては、私のほうは車両の改造あるいは新製車両は全部新幹線式につくっております。いま車両の改造をせっかくやっておりますが、すでに五百両以上の車両を済ませ、四分の一の車両はすでに改造を済ませております。  問題は、地上の車両から出した屎尿の処理でございます。地方事治体にいろいろお願いしなければなりませんが、その問題で、われわれのほうはベース、基地と申しておりますが、その基地の整備に非常に金がかかる。いま六カ所工事をやっております。これは毎年十億以上の金をかけてやっておりますが、私どもはなるべく早く非衛生的なことはやめたいというふうに思っております。
  256. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 要するに新幹線は確かに世界でも有数な姿でいま走っているわけでございますが、もう月に人間が歩く時代になっております。ところが、新幹線以外の国鉄の列車便所というものは、きわめて非衛生的であります。特にたれ流しの問題ですよね。いまお話がありましたように、ある程度は改造されている、改善されているといいますけれども、これではまだ話になりません。運輸大臣、これはもう大至急、何が何でも——国鉄にまかしておったのでは話になりませんよ。いまの赤字の国鉄にまかしておいたのではどうしようもありませんから、運輸省、国の立場から大幅な援助で早急に大改善をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  257. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私も黄害の問題はよく承知している次第でございます。私がしょっちゅう使わしてもらっております常磐線でも、松戸まではそういったことを禁止されております。その他も市街化地域は禁止になっておりまして、私も非常に憂慮している次第でございます。国鉄にも申しまして、早く対策を進めることを言っている次第でございますが、それらを集めてまいりまして、それをまたよそへ移すという屎尿処理の場所、それらの点につきまして地方団体の御協力を得ないところが非常に多いということでございます。それらの問題を早急に解決しなければいかぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。
  258. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 最後に一言聞いておきますが、たった二十分では何も言うひまもなくて時間がたってしまったわけでございますが、とにかく国鉄はいろんな問題が山積しているはずでございます。そして乗客の立場に立ってあらゆるものを整備なさった上で運賃値上げを頼むというならば、国民もまだ納得いくでしょう。いまのような状態では、とてもいまの法案は認められるわけはありません。これは廃案ということでぜひお願いしたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  259. 小峯柳多

    小峯委員長 後藤俊男君。
  260. 後藤俊男

    ○後藤委員 最初に、大臣にひとつお尋ねしたいのですが、いま昭和四十七年度から十年間かかって国鉄再建しようということで、関係各位においては非常に熱心にやっておられることは私も十分承知しておるわけでございますけれども、ただその中で、八十三線の三千四百キロの地方の閑散線区を十年の間にバス路線等の関係において廃線にしよう。これは、赤字整理という面から考えていくと、そういう計算も成り立つかもわからないと私は思うのです、賛成じゃございませんけれども。ところが一方におきまして、鉄道建設審議会でございますか、ちょっと数字は違っておるかもわかりませんけれども、五十七線の五千キロ前後の新線建設、これがこれから審議されようとされておるわけなんです。この間も私新聞を見まして、八十三線の三千四百キロの、十カ年計画で廃線になるという路線のその先が、今度延長で新線が敷かれる。これは北海道だったと思うのですけれども、そういうようなことまで鉄道建設審議会では審議されまして——これは着工されておるかおらぬか、私は詳細に知りませんけれども。ところが、いま申し上げました五十七線の中で、武蔵野線とか少々の線におきましては、赤字にならずに採算のとれる線路もあると思いますけれども、それ以外の線におきましては、いま、めくらなければいけないという、問題になっておる線と同じような線路まで、新線を建設しようということで、一方では審議が行なわれておる。これは鉄道建設審議会で審議が行なわれておると思うのです。運輸大臣の諮問機関か何か、私はその辺を知りませんけれども……。片方におきましては、運輸審議会で運賃問題が論議される。国鉄再建の中身の一つとして、八十三線区をめくらなければいかぬ、片方では同じ性質の新しい線路を五十七線区建設しなければいかぬ、こういうような矛盾した内容を考えるときに、国民の皆さんから聞かれたとき、一体これをどう答えるべきか、いま申し上げました問題に対して、答えが非常にむずかしいわけなんです。この辺の問題につきましては、運輸大臣として全部掌握しておると思うのですね。このことに対しまして、大臣としてどういうふうにお考えになっておるのだろうか。なるほど、国鉄は赤字でございますから、再建しなければいけないということは私はわかるわけなんです。その中の一部として、賛成じゃございませんけれどもそういう計画が入っておるのに、逆にいくような計画が、新線建設について鉄道建設審議会で論議が行なわれておる。これをやるにつきましても、やはり経費としてはこれはばく大な経費が要ると思うのです。このことにつきまして、運輸大臣としてどういうふうなお考えでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  261. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問でございますが、廃止のほうは、大体いま表に出ておりますのが八十三線二千六百キロという国鉄審議会の勧奨がある、こう思う次第でございます。片一方のほうは、建設を予定しておりますものが、いまお話しになりました武蔵野線とかああいうのを全部入れまして三千キロということを、これはいま専門家の鉄監局長から聞いた次第でございますが、そのうちで、いま先生が御指摘になりましたように、一番問題になるのは、A・B線といわれる種類のものではないかと思う次第でございます。実はすでに路線も決定いたしまして、これは国鉄でなくて全部鉄建公団で敷設をすることになります。敷設をいたしておりますもののうちにおきましても、すでに経済事情が変わりまして、いままでは炭鉱地帯でもって非常に輸送量もあったが、廃鉱になって人口も非常に減少した、こういうようなことで経済効果もない、国民経済から見てこれはおかしいじゃないかというものについては再検討しよう。これは、昨年の交通総合体系を私どもきめましたときも、そういうものは再検討する、そして国民の御納得のいくような路線にしようということでございます。  もう一つのAB線につきましても、いま御指摘がございましたように、なるほどいままでの既成の鉄道網を短絡と申しますか、間を新しくつくることによりまして一貫した鉄道網ができる、そして鉄道網の形からいいましても輸送増強の見込みがあるような、それからまた将来、ことに北海道地区あたりにおきましては再開発、工場の再配置ということが言われております。そういうようなものは、新全総の計画とか、ことに再開発計画にのっとって、その地方におきまして将来どうしても鉄道輸送が必要であるというようなところを重点的に決定をいたします。そしてやらしていくという方針でせっかくまいりたい。こう思っておる次第でございまして、それらの点を総合して決定をいたしまして、国民の御了解を得る、御納得を得るような路線にいたしてまいりたい。こういうように思っておる次第でございます。
  262. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま大臣言われました中で、はっきりしないのですが、私の記憶においては、十カ年計画で八十三線の三千四百キロをめくる、四十七年度初年度は二百キロでございますか。これは赤字で採算がとれないから、バス路線等のことも考えて廃線にするのだということが書いてあるわけなんです。それならこれからの問題として、いま申し上げましたような線路を新設するということ自体に、私は矛盾があるような気がするのです。ただし国鉄の公共性、企業性の話は抜きにしての話です。ところがそうではなしに、めくらなければいけないのだとあなた方が言われておるような線路と同じような内容の線路を新しく敷こうと、鉄道建設審議会では審議が行なわれておるわけじゃないですか。これが五十七線の五千キロ前後になるのじゃないかと私は思うのです。このことを新聞も取り上げまして、廃線計画に入っておるその先端のほうがさらに新線建設で延長しておる、こういうような新聞記事を一カ月くらい前に私は読んだことがあるわけなんです。そうなってまいりますと、この考え方というのは非常に矛盾しておると私は思うのです。それとも、そういう赤字建設については全部国が負担するんだ、赤字線については国鉄が負担するんだということなら、私は話がわかるわけなんです。そうではなしに、赤字だからということで運賃値上げ、赤字だからということで国鉄労働者の賃金を民間並みに扱わない——これは最後はそうなるかもわかりませんけれども、そういうやり方自体について、大臣として一体どうお考えになっておるのだろうか。たとえば右のほうでは要らぬ、要らぬと言っている品物を、左のほうで買おうとしておるのと一緒だと私は思うのです。そのことは一体どう考えたらいいのですかということを私は大臣にお尋ねしておるわけなんです。いかがですか。
  263. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私もそのことでお答えをしているつもりでございますが、私どもの考えておりますのは、鉄道としてすでにもう大量輸送の特性を失った、そして代替輸送機関もある。ですから、これは鉄道として残しておくのは、経費も非常に高いし、国民経済からいってこれはもう残しておかなくてもいい。地方住民のためにもこれは鉄道でなくていい。こういうものを閑散線として撤去しよう、こういう意味でございます。それからもう一つの新線は、その点が先ほど具体的な問題ではいろいろ御非難があった点でございますが、ただいまはそういった問題を鉄道建設審議会で審議しておりません。これは鉄道建設審議会にかける必要もない。新線計画、それらのA・B線につきましては、そういったような御指弾を受けないように、十分将来の問題を配慮いたしまして、これはやはりその地方としては鉄道があったほうがいい、いま赤字でありましても、将来はこれは必ずよくなるという問題もございます。それもよほど勘案しなければいけませんが、しかしそれらの点で、要するに国土再開発の見地からいたしましても、またその他の鉄道網の形成の問題からいたしましても、やはり新線でつないだほうがいいというようなところを重点的にやってまいりまして、そしていま御指摘がございましたような、何だ同じようなものをやっておるじゃないかというような非難を受けないようなことを重点的にやってまいりたい、こういうふうに思います。
  264. 後藤俊男

    ○後藤委員 これ以上話しておりますと時間が食いますが、ただ、先ほどから言いましたことの意味というのは、大臣としてもよくわかってもらえたと私は思うわけなんです。いま大臣が言われましたように、その地域の開発なりあるいはその地域において鉄道があったほうがいいというところについては今後も、という話がありますけれども、いまめくろうといたしております八十三線区も、新線建設のときはそれと同じ考え方で敷設されたわけなんです。これは十年前のところもあれば二十年前のところもあれば三十年前のところもありましょうがね。ですから、その辺のところは十分考えていただかなければいけないと私は思うし、片方でめくろうといって、片方で新線建設する。一体鉄道は何やっておるのか、国は一体何を考えておるのだろうか、こういうふうな世論の批判というのも、これはかなり高いわけなんです。この点は十分ひとつ考えていただく必要があると思うのです。  それから二つ目の問題としまして、駐留軍関係輸送は、何か米軍との間で、法律できめられておるのか、あるいは何か協定があるのか。これらの輸送につきましては、運賃値上げの際には一体どういうふうな扱いが過去行なわれてきたのか。この点につきましてひとつ御説明いただきたいと思います。
  265. 磯崎叡

    磯崎説明員 駐留軍の輸送につきましては、例の地位協定から出てきている協定でございますけれども、全部一般の国鉄貨物運賃と同じ運賃を収受いたしております。大体数量が百万トン切っておりまして、年間約九十万トン台だと思います。国鉄輸送量全体の〇・五%くらい、大部分が石油でございますが、これは国鉄の現在一般に使っております賃率表をそのまま使っておるわけでございます。それから、雑貨、家具、食料品等がございます。これは品名がたくさんございまして、日本貨物等級表にない品目も相当ございますので、これは運賃の計算のしかたを変えております。どういうふうに変えておりますかと申しますと、普通の貨物は実際の重量に一般の賃率をかけて算出いたします。駐留軍の家具、雑貨類は、標記トン数と申しまして、貨車の十五トンなら十五トンは、たとえ五トンしか載ってなくても、十五トンに特定賃率をかけて、結果が同じになるようにいたしております。なぜそういうことをいたすかと申しますと、品目が等級表にないような品目がたくさんございます。また英語で書いてあるというようなことでもって、したがって実績によって全体の運賃収入が減らないように、運賃の計算のしかたを変えておりますが、今回の貨物等級の改正で四等級が三等級になりますと、駐留軍のものはほとんど第一等級に入りますので、今後この法律が通りました暁にはこれを廃止いたしまして、石油類と同じように一般賃率のまま適用する、そういうふうにいたしたいと思っております。
  266. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま総裁が言われましたが、大体駐留軍の輸送につきましては普通運賃より安くなっておるわけです。さらに昭和四十三年の七月には運賃につきまして値下げをしておるわけなんです。私の調べたところではそういうふうになっておるわけでございますが、私の言うこと、間違いでございますか。
  267. 磯崎叡

    磯崎説明員 それは何かちょっと間違いじゃないかと思います。実は四十一年の運賃改定のときにその点が問題になりまして、石油類について、さっき申しましたように家具と同じような計算のしかたをいたしておりましたけれども、かえっていまのような疑惑、誤解が生じやすいので、四十四年の七月に、全部協定を変えまして、石油類は私のほうが一般に対して使っている賃率表をそのまま使っております。しかし、さっき申しましたように、家具、雑貨類については、品目が日本の等級表にない品目が非常にございますので、それを標記トン数にかける特別賃率というかっこうにいたしておりますが、それを年間集計いたしますと一般の賃率表によるのと同じであるという計算にいたしております。しかし今度は等級が一つ減りますので、大体新しい等級の一級に全部入ります。また最近日本もアメリカもだいぶん共通の食べ物とか家具類ができまして大体わかってきましたので、今度はもうそれも一切やめまして一本にしたい、こういうふうに考えております。
  268. 後藤俊男

    ○後藤委員 それでいま総裁が言われました最終的には普通運賃と一緒になる、そのことは特別協定か何かにおいてやっておられると思うのです。しかもこれは大東亜戦争以後でございまして、二十年くらい前のものではないかと私は思うわけなんです。そうしますると今日こういうふうに情勢が変わってきておる現状でございますから、これらの問題につきましても再検討すべきだ、こう私は考えておるわけなんです。いま申し上げました問題をこれ以上話をしておりますと時間を食いますので、駐留軍関係輸送についてはどういう約束のもとに、今日どういうふうに行なわれておるか、この資料をあとからでけっこうでございますが、ぜひ提出していただきますようにお願いをいたしたいと思うわけです。  それからその次は、けさの新聞でちょっと拝見したのですけれども勝澤委員質問に対して管理者二万八千人を減員をしていく、一万五千人にする、こういうように総裁が答えておられる新聞記事をちらっと私、読んだわけですがね。これは十カ年計画の中の十一万人職員減員という中へ入っておるのかどうかということが一つと、それからもう一つ問題としましては、現在四十六万くらいでございますか、四十七年度になれば四十六万がちょっと切れるのではないかと思いますがね。これから十カ年間で合理化をしまして十万人減らしてしまう。さらに管理者がそれ以外であるとすると十二万人ほど減らしてしまう、そうなれば三十二、三万の国鉄職員になるわけなんですね。ところがアメリカなりイギリスなりフランス等と比較をしてみますと、国鉄における生産性というのは現在におきましても決して劣っておらぬと思うのです。そういう現状から考えますときに、合理化をやって十数万の人を減らしてしまう。これではたして国鉄の安全なる輸送計画が成り立っていくのかどうか、国民の希望に沿える国鉄の運営ができるかどうか、この点は非常に重大な問題じゃないかと私は思うのですが、この二つの点についてどういうふうにお考えになっておるか、お答えいただきたいと思います。
  269. 磯崎叡

    磯崎説明員 今度の計画におきましては十一万人の頭数を減らしたいというふうに申し上げております。この十一万人は四十四、五、六年で二万人減りましたが、これを含めております。したがって今後九万人ということになります。先生御承知のとおり国鉄は非常に頭の大きいトップヘビーの人員構成になっておりますので、十年閥で約十四万人の自然減耗をいたします。そのうち約三分の一、これは技術の温存、保存と申しますか、あるいは現場の労務職等で、どうしても補充しなければならないものが約三分の一ございます。四万というふうにいま計算しております。したがって、その四万は補充いたしますと結局十万八千人ほど減ってくるわけでございますが、ただこれは減耗したものをそのまま埋めないというわけにはまいりませんので、この分を全体の仕事のやり方の合理化近代化によって生み出していく。こまかいことは省略いたしますが、項目がたくさんございますが、一応四つに分けて申し上げますと、いわゆる営業体制の近代化、これは自動化、無人化等も含みますけれども、この近代化問題。それから新しい車両の性能が非常に変わってきております。昔のように修繕して使うということでなしに、部品ごとごそっと取りかえてしまうというようなやり方に変わってきております。そういう車両の検修方法の簡素化。それから保線、線路等につきましても、今度山陽新幹線で実際に使ってみましたけれども、まくら木のない、路盤のない、いわゆるスラブ軌道というもの、ちょうどコンクリートの骨の上に線路を敷いたようなかっこうになりますけれども、非常に成績がよろしいので保守に非常に人手が要らないというようなスラブ軌道を全面的に採用してまいりたい。多少金はかかりますけれども、これを入れてまいりたい。それから先ほど先生がおっしゃったいわゆる管理部門、これはたとえばコンピューターを入れるとか、あるいはその他の仕事のやり方自体を簡素化するということで、管理部門で現在に対しまして約一万八千人くらい減らせるという見込みでありまして、これらを入れまして十万人の実員が減るということでございます。ことしの予算人員は四十五万五千人でございます。
  270. 後藤俊男

    ○後藤委員 それから三十五万でやれるかやれないかのもう一つ問題がある。
  271. 磯崎叡

    磯崎説明員 昭和五十六年度の業務量を想定いたしまして、一人あたりの負担量——これは近代化投資をしなければ非常に無理でございます。先ほどの七兆の中で大体一兆二千億くらい近代化合理化投資をしてまいりたいと思います。その裏づけによりましてやってまいりますので、全体の輸送量は十分こなせるというふうに思っておるわけでございます。
  272. 後藤俊男

    ○後藤委員 これは総裁、いま国鉄の最高の責任者であるあなたがそう言われますから……。十年計画が終わりますのは昭和五十六年ですか、昭和五十六年における日本国内の経済成長に伴う輸送量の変化というのは、減ることはなしに、私はかなり増加すると思うのです。増加はするけれども、一兆数千億の金を入れてやる、いままで人間がやっておったのを機械化しまして無事やっていけるようにしますというのがあなたのお答えだと私は聞いたわけですが、昭和五十六年になれば輸送量というのは、私はこれはたいへんなことだと思うのです。そのたいへんな輸送量を円満に、しかも正確に、しかも迅速に目的地へ着ける、そのためには現在四十五万おるのが三十二、三万になってしまうが、これではたして机上の空論に終わらずして済むだろうか。国鉄実態を考えてみるときには、私はこういう気持ちがするわけなんです。ですから、私はこの合理化問題につきましてはよほど慎重に扱っていただかないと、まかり間違うといま申し上げたような目的に沿わない面がたくさん出てくると思いますので、ぜひひとつ、この合理化問題については、相手、労働組合もあると思いますから、そこで慎重に話をしながら特に慎重に合理化問題は扱っていただくようにお願いをしたいと思うわけなんです。  その次は、マル生問題です。これはこの間社会労働委員会総裁が純正マル生ですか、純なまですね、これはこれから時期になってまいりましたけれども、純なまについてはこれからやるんだというようなことを、あとからの質問者に総裁としてお答えになった、こういうふうに私は聞いたわけでございますけれども、昨年から国鉄のマル生についてはあなたもたいへん悩まされたと私は感じておるわけです。  そこで、一番最終的にわれわれが強く総裁に強調いたしましたのは、マル生問題も絶対やるなといったところで管理者としてはやるだろう、そのかわり管理者で一方的にやるということはやめてくださいよ、少なくとも国鉄の生産性向上のためには労使の間でうまく話がきまらぬことには生産性は向上しない、ですから生産性向上運動云々というときには相手の労働組合とも十分協議をして、そこで話がきまったことについては労使ともに力を合わせてやっていく、それが国鉄再建の方向だろうということで、昨年もあのマル生で騒いだ最終場面で十分私も総裁お話をしたつもりですけれども、これだけはひとつ総裁も十分腹に入れていただきますようにお願いしたいと思うわけです。  それから最後に春闘の問題でございますけれども、先ほど広瀬議員もこの春闘問題についてはお触わりになりました。ここ二、三日前ですか、公労協関係については有額回答が出されておる。非常に心配をしておった林野につきましても、農林大臣がどういうあれですか、黙って有額回答に賛成をなさった。ところが仄聞の仄聞するところによりますと、運輸大臣だけが何か閣議かどこかで国鉄については有額回答はできませんのでと、こういうことをおっしゃったということを、これは仄聞の仄聞ですけれども、私は聞いたわけでございます。  そこで運輸大臣に言いたいのは、国鉄の赤字というのは何も職員の責任ではないと私は思うのです。いままで長い国鉄経営、その他を考え、これだけどんどん新線建設、新幹線建設のばく大な投資、ばく大な借金、これらの結果とあわせて、先ほどの広瀬議員の話ではございませんが、国としての国鉄に対する施策の欠陥も私はあったと思うのですね。それらの結果から今日のように非常に重大な時期に直面しておるのが国鉄だと思うのです。ところが、職場で労働者が一生懸命に働いておりますのは、賃金が悪いからやはり働くわけなのです。その大事な賃金をきめる場合に、国鉄は赤字であるからというので三公社五現業と同一的に扱わずに、何かその赤字を国鉄で働いておる職員に十分認識させるために、あるいは世間の皆さんに国鉄は赤字であるからということを十分認識させるために同じような扱いをせずに、何かあとへあとへ延ばしていくような方向を運輸大臣としては考えておられるのではないか、こういう気持ちがするわけです。それが私は間違いだと思うのです、そんなことを運輸大臣がお考えになっておるとするならば。たとえば運輸大臣国鉄が赤字だ、赤字だけれども国鉄の職員にこれから再建でがんばってもらいたい、そういう気持ちがあるならあるようなものの言い方が私はあると思うのです。いかがですか。
  273. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 きのう勝澤議員、またきょうも御質問がございました方にもお答えした次第でございますが、私が積極的に言ってそれで拒否をした、そういうことではございません。いま国鉄支払い能力もなくなってどうしても有額回答ができぬということでございますので、やむを得ず、残念ではございますが承認をした次第でございます。きのうの時点でございます。きのうの時点ではどうしても有額回答ができぬ、こういうことでございますので、やむを得ず私は承認した次第でございます。おっしゃっておるように職員の責任だから赤字になったということは私も考えていない次第でございます。しかしいまのところ非常な財政困窮でもって、そして一緒にあれができぬということでございますので、私は承認をした。できればやはり三公社五現業、過去同じように働いておるわけですから、同じようなことにすべきである、また、してあげたいという心情については変わりはないと思う次第でございます。
  274. 後藤俊男

    ○後藤委員 大臣の気持ちというか心境というのはわかりますけれども、たとえば今晩の二十四時から大行動、大実力行使が始まるわけなんですね。その直前に来ておるわけなんです。直前に来ておる現段階におきましても、まだ国鉄に対しては労使の間で有額回答がされておらぬのでしょう。おるのですか。たとえば私、極端なことを言いますけれども労働組合のほうが、それじゃ入らずにこの辺でやめよう、そういう気持ちがあったにしたって、金額が全然出なかったらやめるわけにはいかぬじゃないですか。これはほかのほうの公労協関係は出ておると思うのです。いま大臣がおっしゃるように職員の責任じゃなかったら、同じような扱いをされるのが私は妥当だと思うのです。それ以上に、これから十カ年間の大計画のもとに再建しようという国鉄で働いておる人々のためをお考えになるのなら、逆に、私は極端なことを言いますけれども、ほかの三公社五現業の企業よりか一歩進んで職員を大事に扱う、というと語弊があるかもわかりませんけれども、それぐらいなことを考えていただくのが私は大臣の親心、というと変なことになりますけれども、気持ちじゃないかと思うのです。今晩の十二時から汽車がとまる、いまだに国鉄からは金額が出ておらぬ、これは一体どうなるんだ、一体おらの運輸大臣どうしてくれるのだろうか、国鉄総裁どうしておってくれるだろうか、こういう気持ちで全部の者がいま職場で働いておるわけなんです。私は時間が来たからもうやめますけれども、こういうような重要な最終段階に入っておるわけなんですから、これは国鉄総裁にしても運輸大臣にしても内閣総理大臣にしても、二十七、二十八日の交通関係ストについては何とかひとつ解決しようという気持ちは十分持っておられると私はにらんでおるわけなんです。これはあながち管理者だけでなしに、働く労働組合のほうとしてもそういう気持ちは持っておると思うわけです。それに国鉄だけが全然有額回答が出ずにゼロ回答、相変わらず公労委なり仲裁委員会を回らないことには金額が出てこない。こういうふうなことでは、ますます紛争を激しくする方向へ持っていかれるのだと言いましても私は過言じゃないと思うのです。ですから私がいま申し上げました問題につきましても、一刻も早く考えていただいて、二十七、八日のはいまだかつてない大きな紛争であろうと思いますから、解決する方向へ運輸大臣なり国鉄総裁といたしましても全力を尽くしていただくようにお願いをいたしまして、終わります。
  275. 小峯柳多

    小峯委員長 山口鶴男君。
  276. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私、まず委員長は郷土の先輩でもありますからお尋ねしたいと思うのです。私も議運の委員をやっておりますが、本会議の定足数は三分の一、委員会の定足数は二分の一ですね。本日は運輸、地行、大蔵、社労、農水、物価、この六つの委員会の連合審査、しかも今国会最重要法案として国民が注目しているのは、一に国鉄、二に健保といわれていますね。それほど国民の注目しているこの委員会、これが与党の数を見ると四人でしょう。定足数も割っているじゃありませんか。私はこういうことでは委員会の会議規則からいったって違反だと思うのです。即刻委員会をおやめになったほうがいいと思うのですけれども、どうですか委員長
  277. 小峯柳多

    小峯委員長 ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  278. 小峯柳多

    小峯委員長 速記を始めてください。
  279. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まず運輸大臣にお尋ねしたいと思うのですが、国鉄財政再建対策要綱——昭和四十七年一月十一日、大蔵大臣水田三喜男、運輸大臣丹羽喬四郎、自民党政調会長小坂善太郎、自民党国鉄財政再建懇談会座長二階堂進、この方々で署名いたしましたこの文書、この性格はどういうものでございますか。
  280. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは政府部内、それと与党である自由民主党とが、十年の計画の試算をいたしましたときに、政府はどのくらい一体将来に向かって出せるか、どういう助成ができるかというようなことを中心といたしまして、大体それらの意見を調整をいたしましたものでございます。
  281. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、国鉄財政再建対策要綱に従って昭和四十七年度の国鉄財政再建に対する財源措置がなされた、かように理解してよろしいわけですね。
  282. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 そのとおりでございます。
  283. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 次いでお尋ねいたしますが、昭和四十七年二月十八日、自由民主党総務会決議、ありますね。これは与党である自民党の決議ですね。そうしますと、与党、内閣一体の原則からいって、この決議によって昭和四十七年度の国鉄財政再建に対する措置というものは拘束される、特に先ほど指摘いたしました国鉄財政再建対策要綱の一の(3)の地方閑散線に対する項目は、この自民党総務会決議によって拘束される、かように了解してよろしいでしょうか。
  284. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは自民党の総務会の決議でございます。でございますから、行政権と申しますか、行政行為は法律的には拘束されるものでございません。ただ私はやはり自民党員であり、自民党内閣の閣僚でございますから、そういう意味で、精神的の拘束を受ける、こういうことでございます。
  285. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 運輸大臣がさようにお答えになりましたからには、国鉄総裁も同様であると思いますが、いかがですか。
  286. 磯崎叡

    磯崎説明員 同様でございます。
  287. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで具体的にお尋ねをいたしたいと思うのですが、この対策要綱を拝見いたしますと、「地方閑散線は、五年以内に撤去する。ただし、地元が存続を希望する路線については、地元公共団体がその赤字額の三分の一を補助するものとし、国は地方公共団体の支出に応じ、その金額の一・五倍を支出する。なお、この補助は、撤去計画に基づき、当該路線を撤去する年度までとする」、こうあるわけであります。そして財源措置としては地方閑散線補助に七十五億、それから合理化促進特別交付金として十六億円、これを計上していますね。しかし、この七十五億は、この再建対策要綱からいたしますならば、地方公共団体が三分の一を補助した場合に、その一・五倍を補助するということでありますから、結局七十五億計上しても、地方公共団体の支出が五十億円ならばこれでちょうどとんとんですけれども、五十億円よりも少なくなる、あるいは多くなる、こうなった場合は地方閑散線の国の補助といったものは一体どのようなことになるのですか。
  288. 山口真弘

    山口政府委員 地方閑散線につきましては、ただいま先生御指摘のように、国が赤字額の二分の一、地方公共団体が三分の一を補助するということに相なります。そういたしまして、それは両者がともに補助をするというたてまえでございまして、当然地方公共団体からも補助をいただけるもの、同時に国がこれに対応いたしまして補助をするという趣旨でございます。
  289. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまのは答弁になりませんよ。少なくなった場合は国の補助はどうなり、五十億円よりふえた場合は予算額をオーバーすることになるでしょう。その場合は一体どうなるのですかと聞いておるのですよ。
  290. 山口真弘

    山口政府委員 当然閑散線の、撤去すべき性格のもののキロ程とも関連するわけでございまして、それによりまして補助すべきものが少なくなるとすれば、当然国も少なくなるということでございます。
  291. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、さらにお尋ねをいたしたいと思うのですが、結局問題地方公共団体の補助がこの基本であって、それに従って国の補助のほうは動くということになりますね。丹羽運輸大臣は内務省御出身の方であって、この地方公共団体の行財政、特に地方財政についてはお詳しい方と私は尊敬しているわけであります。ところが、いわばその自治省のOBともいうべき丹羽運輸大臣になって、突如としてこういうおかしな対策を出すということは全くどうかと思うのですよ。丹羽運輸大臣は、当然地方財政についてはお詳しい方でありますから、地方財政法第二条第二項はどういうことが書いてあり、それから地方財政再建促進特別措置法の二十四条二項には一体どんなことが書いてあるか御存じでしょうか、いかがですか。
  292. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 だいぶ離れておりますので、いまつまびらかに記憶しておりません。
  293. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治政務次官がおられるから、ひとつ教えてやってください。——時間の関係があるから、私から読んでもいいと思うのですが、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない」と、こう書いてあるのです。国は五十億というものを転嫁しているじゃないですか。地方財政法二条二項違反ですよ、どうですか。
  294. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この点は地方自治を守り、そうして地方財政の充実を任務としております自治省、自治大臣、また事務当局といたしましては財政当局と十分この点は詰めまして、そういう違反でないようなことでもって今回そういう措置をしたと思う次第でございます。
  295. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも地方財政に非常な御理解のあった丹羽先生が運輸大臣に御就任になってこういうことをやるとは私は夢にも想像しませんでした。たいへん遺憾である。  さらにお尋ねしますが、地方財政画建促進特別措置法二十三条二項「地方公共団体又は公共的団体その他政令で定める者に対し、寄附金、負担金その他これらに類するものを支出しようとする場合においては、政令で定めるところにより、あらかじめ自治大臣の承認を得なければならない」こうなっていますね。地方自治体がこの赤字再建団体になった場合は、この寄付金、負担金その他これらに類するものを支出しようとする場合は、政令で定めるところにより、自治大臣の承認を得なければならぬ。私は地方閑散線というのは一体どういう自治体にあるかということを強調したいのですよ。財政力の豊かなところはないでしょう。いずれも財政力指数が極度に低い、そうして赤字団体に転落しているというようなところも当然ある。自治省、どうなんですか、この閑散線に対する自治体の補助に対して、この法律があるのにわざわざ政令で閑散線の補助については認めるというお考えなんですか、一体どうなんですか。
  296. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 お答え申し上げます。  この措置につきましては、地方閑散線を国家的な見地から地元地方団体の同意を得て廃止をする、こういう仕組みになっておるわけでございます。その廃止をしやすいように、経過的に五年間を限度として地元の地方公共団体がこの廃止に至るまでの間国鉄に対して赤字額の三分の一を補助する、こういうことでございますので、これにつきましては、ただいま地方財政法あるいは地方財政再建特別措置法、こういった法律の関係についてお尋ねがございましたが、いわばこの特例の措置といたしまして、財政再建法の二十四条の規定によりまする政令の中に特別の規定を設けるということで処理いたしたいというふうに考えております。
  297. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そのようにわざわざ地方財政再建特別措置法の二十三条による政令まで改正をして国鉄に対して補助をするということは、私は地方に対してはきわめて重大なことだと思うのです。  そこで私はお尋ねしたいと思うのですが、それほど重大な今回の地方公共団体の補助となれば、私は当然この補助対象になるところの対象の線区ですね、いろいろ事情を聞きますと、閑散線とは一体どういう線路かということでいろいろな場合を想定しているようでありますが、運輸省に聞きますが、運輸密度、代替の可能性、国土開発計画新幹線建設との関係、こういうもので閑散線百八線区、三千四百キロというものをきめるのですか、どうなんですか。
  298. 山口真弘

    山口政府委員 これにつきましては鉄道のほうが自動車と比較いたしまして不利である、自動車輸送のほうが国民経済的に有利であるという線区を定めまするわけでございまするから、したがいまして、それのまずいろいろな計算等をいたします。そのためにまず輸送密度等を考えまして、そうしてある一定の基準に従って一定の輸送量というものを想定をいたしまして、それによる。それからその次にその地域の輸送量が停滞しているかどうかというようなことも考える。さらに代替的な交通機関がなければこれを転嫁するわけにいかぬわけでございますから、代替輸送の可能性というものを十分に考える。その際に鉄道の輸送力というのは一時的にも、非常に大きな輸送力を持っておりますが、バス輸送力は小さいわけでございまするから、そういうラッシュ時間帯的輸送力が確保できるかどうか。さらに雪の状態等も十分に考え、あるいは国家的な計画等によりまして将来輸送が増加するかどうか、あるいは今後建設すべき新線建設との関係、そういったようなものを考慮いたしまして、具体的に路線を定めてまいるということでございます。
  299. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、いまのお話を聞いていると、自民党内にある自民党国鉄財政再建懇談会、そこできめた基準と全く同じじゃないですか、どうなんですか。自民党国鉄財政再建懇談会できめた基準でこの三千四百キロの地方閑散線、百八路線だそうですが、これをきめるということなんですか。はっきり言ってください。いまのお話は全く懇談会の基準と同じじゃないですか。
  300. 山口真弘

    山口政府委員 自民党の懇談会というのは私は存じておりませんです。
  301. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 存じていない。存じていないけれども、あなたの言ったことは全く同じじゃないですか。あうんの呼吸でぴったり合ったということですか。ひとつ文書でこの地方閑散線一体どのような基準できめるか、地方公共団体にとって重大な問題です。当委員会にひとつ資料を提出してください。いかがですか。
  302. 山口真弘

    山口政府委員 資料を提出いたします。
  303. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その資料と自民党の国鉄財政再建懇談会の基準とを比較いたしまして、またあらためてひとつお尋ねをいたしたいと思います。その点を保留いたしておきます。  次にお尋ねいたしたいのですが、それではこの閑散線候補百八路線、三千四百キロ、この線区をひとつ教えていただきたいと思います。
  304. 山口真弘

    山口政府委員 四十七年度の予算の積算の基礎といたしましておおむね三千四百キロを将来撤廃するということにしまして、その中で二百キロを廃止するということにいたしまして、そうして三千二百キロにつきまして、これに対する補助をするという予算の積算にいたしております。  なお百八路線というのはきめてございません。具体的な路線につきましては、今後、先ほど申しましたような基準でこれをきめてまいるということでございます。
  305. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 子供の話をしているわけじゃないんですからね。それではお尋ねしますが、三千四百キロというのはきまっておるわけですね。線区がわからぬと言うのですが、どの線を足したら三千四百キロになったということになるのでしょう。場所がわからぬで、数字だけきまっているということはおかしいじゃないですか。どこの線を足していったら三千四百キロになったのか、これをひとつ資料として出してください。
  306. 山口真弘

    山口政府委員 これは先ほど申しましたような基準によりましてこれを想定いたしたものが三千四百キロでございまして、具体的な線名から積み上げたものではございません。
  307. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、その三千四百キロというのは大きく動く場合があるということですか。それでは五千キロになったりあるいは三千キロになったりする場合があるということでしょう。どうなんですか。とすれば、今度の財源措置国鉄財政再建の七十五億という数字は初めからもう根拠がないということになるじゃないですか。その点はどうなんですか。
  308. 山口真弘

    山口政府委員 先ほど申しましたような基準に従いまし三千四百キロというものを一応想定をしたということでございます。今後それが若干動くということは、今後の作業の段階におきましてそういうこともあり得ることかと思います。
  309. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく財政の危機に立った国鉄再建していこうというわけですね。そうして国会にも予算を提案されて、とにかく七十五億、合理化促進十六億。まだ参議院で審議中でありますが、今月の二十八日には予算が通過する見通しにはなっていますね。そういう予算を出していながら、その予算の根拠を聞けば、全く雲をつかむような話ですね。大臣、そんなことで国会に対する行政府の責任が一体果たせるのですか。とにかく三千四百キロと出している以上は、どこの線区を足したら三千四百キロになるという積算の根拠を示してもらわなければなりませんよ。ああいう局長のような答弁じゃ納得できませんね。どうなんですか。ひとつ明確にお答えを願いたいと思います。
  310. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま鉄監局長からも申し述べましたように、ランニングコストから比較をいたしまして、大体におきまして三千四百キロというものが代替輸送が可能ではないか。しかし具体的のことをきめているわけじゃございません。それで三千四百キロのうち二百キロは四十七年度にやる。それで、あと残りの三千二百キロを五カ年間で、国も補助する、自治体も補助するということで赤字の解消をはかる。存続希望のものは五年間は、閑散線と認定をいたしましてもこれを続けてまいる、こういうことにした次第でございまして、先ほども具体的にきまっているかということでございますが、具体的にはこれから予算の御審議をいただきました後に、早急に慎重にまたきめてまいりたい、こういうふうに思っております。
  311. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは角度を変えて聞きましょう。昭和四十三年に日本国有鉄道諮問委員会が出しましたこの八十三線区、二千五百九十一キロメートルは、今度の地方閑散線にずばり入っているのですか、どうなんですか。
  312. 山口真弘

    山口政府委員 国鉄諮問委員会が国鉄総裁に対しまして答申をいたしました八十三線区二千六百キロでございますが、これは国鉄総裁の諮問機関でございまして、これは政府関係するところではございません。私ども今回この地方閑散線をきめようというのは、政府の段階で、将来自動車に転換するほうが有利であるということをきめようとするわけでございまして、政府の態度としてきめるわけでございますから、八十三線区とは必ずしも一致するものではございません。
  313. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 全く雲をつかむような話ですね。しかし基準はあるんですね、基準は示すというのですから。その基準があるのですから、その基準に合うところはどこかということは、私は事務当局でわかっているはずだと思うんですね。そうでなくて、運輸大臣がお答えになったように、これから地方自治体と相談してきめるのだというようなお話なら、それは別の問題ですよ。どうなんですか。これは基準でもってずばりきめるものなんですか。それとも、その地方公共団体、特に当該の都道府県、市町村と相談した上でその三千四百キロというものがきまってくるものなんですか。一体どっちなんですか。
  314. 山口真弘

    山口政府委員 道路輸送に転換することが有利であるということを国の意思として決定をするわけでございますから、したがいまして、国としてそれを決定いたします。ただ、これに基づいて現実に廃止をしていく場合には、地方公共団体と十分御相談の上やってまいる、こういう趣旨でございます。
  315. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、国がきめるというわけですね。運輸省がきめるということでしょう。基準がある、運輸省がきめる、予算も七十五億ついているとしたら、具体的な線区が国会に提示できないというのは国会軽視じゃありませんか。大臣、どうですか。
  316. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 閑散線の問題地方の住民の関心も非常に強い問題でございます。したがいまして、これをきめます場合には、やはり地方相当の御了解をいただいてこれをきめなくちゃならない問題であります。私どもとしましては、大体の積算の基礎といたしましての路線をぜひやりたいということでございますが、しかしながら、先生もすでに御承知のとおり、これは地方から援助を得るとすれば、地方の自治体の議会の議決も経なくちゃならない、いろいろの問題もございましょう。そうなりますると、自治体の長の御了解も得なくちゃならないというようなこともございますので、具体的の設定につきましては、それらのほうとも十分な連絡をとりましてきめてまいりたい、こういうふうに思います。
  317. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣、どうも答弁がおかしいと思うのです。撤去するかどうかというときに、与党である自民党の総務会が決議をしたように、自治体の同意を得た場合に限るということなら、私は話がわかりますよ。ところが、地方閑散線というのは国がきめると言っているじゃありませんか、基準もあると言っているじゃないですか。だから、廃止をするかどうかは地方公共団体と相談して、同意を得て廃止をしていくということならわかりますよ。閑散線というのは、基準もある、国がきめるというのですから、これは国でずばっときめるものなんでしょう。その場合、一体地方と相談するのですか。これは地方閑散線にしますという場合に、地方公共団体に相談して、その同意を得てから地方閑散線とするのですか、はっきりしてくださいよ。
  318. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは、たてまえは国が独自できめるものでございます。しかしながら、実際問題といたしまして、やはり地方事情を十分勘案いたしましてきめなくちゃならない問題、それはもちろん基準にのっとってやることでございます。しかしながら、そこの基準にもございますとおり、代替輸送問題、並行道路の問題、いろいろの問題がございまして、それらをずっと勘案してきめてまいる、こういうことでございます。
  319. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それじゃ、はっきり聞きましょう。国がこの基準に従って地方閑散線候補としてあげた、しかし自治体の反対があれば閑散線でなくなる場合もあるのです、こう明確に受け取っていいわけですね。いまのお答えならそうだ。
  320. 山口真弘

    山口政府委員 地方閑散線につきましては、先ほど申しましたような基準に従いまして国がきめます。その場合に、それをきめるについて地方実情というものを十分に検討し、勘案をした上できめるということでございます。
  321. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 地方事情を勘案してきめるが、きめるのは国がきめるわけですね。そうすると、これは地方公共団体があくまでも反対してもだめだということになりますな。そうすれば、国できめるのですから、基準もきまっている。国がきめるものだということになれば、国会に示したらどうなんですか。そうでなければ国会軽視ですよ。だから私はさっきからそれを聞いているわけだ。
  322. 山口真弘

    山口政府委員 閑散線をきめます基準につきましては、先ほど申しましたように国会に提出させていただきますが、どの線がそれに該当するかということにつきましては、今後十分に検討いたしました上で決定をいたしてまいるというわけでございまして、現段階では具体的な線名を提出する用意がございません。
  323. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この点は基準をお出しになった場合にまたさらに論議をすることにして、一応おいておきましょう、いつまでたっても繰り返しですから。これは保留です。  そこで、次に移りますが、それでは、国がいつきめるかという時期です。そうしますと、七十五億というのは、全体計画が百五十億、そのうも地方が五十億もつ。その場合の一・五倍ですから、国が七十五億、こういう計算ですね。そして百五十億はどうやって出たかといえば、三千四百キロの路線の赤字がキロメートル当たり七百万円ということで二百二十四億円だが、しかし、年度初めからではむずかしい。したがって、三分の二をかけて百五十億を出した、こう聞いております。そうすると、三分の一を経過したときにはもう明確にしなければならないわけですから、そうすると七月中にはこの閑散線をきめる、予算の上からいってそう受け取るべきだと思いますが、その点は大臣、どうですか。
  324. 山口真弘

    山口政府委員 予算の積算上、四カ月の準備期間を置いております。
  325. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、七月中にはその三千四百キロの地方閑散線というものは明らかになる、こう受け取っていいわけですね。
  326. 山口真弘

    山口政府委員 予算の積算上、当然四カ月後としておりますから、それをめどに作業は進めたいと存じます。
  327. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、きめる場合の手続です。手続については「国鉄は、地方閑散線の基準に基づき路線を選定して廃止申請を運輸大臣に行なう。」「運輸大臣は、申請に係る事案について、関係都道府県知事に対し、期限を付して意見を求める。この間国鉄は、関係都道府県知事に対して、廃止のための条件その他につき、緊密な連絡を行なう。」「運輸大臣は、都道府県知事の意見を付して、申請事案を運輸審議会に諮問し、その答申をまって線区の廃止を決定する。」この閑散線の廃止については、特に二百キロについて、こういう手続で行なう、そういうふうに伝えられていますが、そのとおりでありますか。
  328. 山口真弘

    山口政府委員 手続につきましては、大まかに申し上げれば、まず国が地方閑散線の基準をきめまして、これに対しまして、その閑散線につきまして地元がこれを存続をしてもらいたいということを申し出てくるという場合にはそれを存続をするが、そのかわり地元と国が助成をする。ただし地元がこれに対して存続を希望しないという場合になれば、当然運輸審議会に諮問をいたしまして、そして廃止の決定をする、こういうことになります。
  329. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その廃止決定の手続というのは部内の案としては固まっているわけですね。
  330. 山口真弘

    山口政府委員 当然運輸審議会に諮問いたしまして、そこで必要な手続を全部済ました上で廃止をすることにいたしております。
  331. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いや、手続事項はきまっているかというのですよ。
  332. 山口真弘

    山口政府委員 先ほど私が申し上げました限りにおいて、きまっております。
  333. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 きまっている——きまっているとすると私は問題だと思いますね。昭和四十七年一月十日、自治大臣渡海元三郎から大蔵大臣水田三喜男殿、運輸大臣丹羽喬四郎殿という形で、「交通対策について」という文書を出している。了解しているわけですね。そこには、「地方閑散線の廃止手続については、大蔵省・運輸省・自治省の三省間において引き続き検封し、早急に結論を得ること。」こうなっていますね。一体自治省はどうなんですか。三省間で相談をやって引き続き検討して、ただいまお答えになったような手続についてオーケーを与えているのですか、どうですか。
  334. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 お答え申し上げます。まだ意見の調整中であります。
  335. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 問題じゃありませんか、そうすれば。大臣、どういうのですか。昭和四十七年一月十日のこの三大臣の文書協定に、運輸省は違反したということになりますよ。どうなんですか。
  336. 山口真弘

    山口政府委員 私が先ほど申し上げました限りにおいてと申し上げました。それは結局国が認定をいたしまして、そしてその認定をした場合に、地元が存続を希望するという場合には、国と地方公共団体が助成をする、存続を希望しない場合には、運輸審議会の手続を経てこれを廃止するということを言って、その限りにおいてということを私は申し上げたわけでございまして、さらにその具体的なこまかいやり方につきましては、今後自治省等々と詰めなければならぬことは当然でございます。
  337. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 あとのことは言わなかったでしょう。きまったかと言ったらきまったと言うから、私は言ったのですよ。そうじゃないですか。  どうなんですか運輸大臣運輸大臣は、この文書協定は忠実に守るおつもりなんですか。しかるに事務当局のほうは先ばしっているじゃないですか。こういうことは私はやはり運輸大臣として断固たる対処をしてもらわなければ困ると思うのですね。
  338. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 もとより、三大臣の申し合わせでございますから、守るつもりでございます。いま鉄監局長申し上げましたようでございますが、言い落としをしたと思う次第でございまして、答弁漏れをした次第でございまして、御了解願いたいと思います。
  339. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これで見ると、やはり国鉄が案を立てるようになっていますね。国鉄総裁に聞きますが、三千四百キロがどこにあるか、国鉄としてはすでに腹案はあるわけでしょう。どうなんですか。
  340. 磯崎叡

    磯崎説明員 それは先ほどの認定の基準を政府できめられました上できめてまいります。ただ、これは御承知のとおり、数字だけで簡単にはじけるものじゃございません。私のほうの先ほど御質問の八十三線区二千六百キロ、これは線名も全部公表してございます。これは御承知のとおりでございます。先ほどの御質問を伺っておりますと、それとダブるのかどうかというふうなお話もございましたが、私どもは二千六百キロの資料は持っておりますけれども、いまの三千四百キロについては、まだ白紙でございます。
  341. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく二十八日になれば予算もきまる。国鉄運賃法の審議は二十八日をもって終わらないでしょう。当然連休後へ行くわけでありますから、立法府たる国会を尊重するならば、この国鉄運賃法を審議している間に、三千四百キロはこれでございますということを出すのが至当だと思います。その点は保留しておりますから、あとでお尋ねすることにして、一応おいておきましょう。  そこでお尋ねいたしたいと思いますが、経企庁が中心になりまして、総合交通体系についてというのをまとめましたですね。運輸省もその間に入ってこれをまとめるのに参画いたしたわけです。その中で過疎地域のバスですね、というものは国民の足を守る基本である、国民のいわばシビルミニマムを守る問題だ、したがってこの問題地方閑散線問題と表裏一体問題として、この過疎地域における赤字バス、これに対して国が若干の援助はやっていますが、それをもっと大幅にふやしてそうして国民の足を守る、シビルミニマムを確立していくということについては当然配慮があってしかるべきだと思うのですよ。こちらのほうは一体どうなっていますか。
  342. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま山口先生の御指摘のとおりでございまして、私も過疎地域における国民の足を守るいわゆるナショナルミニマムとしてこれは絶対に必要だと思っております。はなはだまだ足りない次第でございますが、四十六年は一億五千万円の過疎地域に対する赤字の助成でございましたが、今回は大幅にいたしまして、大幅といいましてもまだ足りませんが四億六千万、たしか平年度にいたしまして十億円、大体七倍の予算を計上した次第でございます。これでもまだ足りるとは私は思っておりません。しかし漸次それを順を追って伸ばしてまいりまして、過疎地域における住民の足の確保につとめてまいりたい。ちなみに申し上げますが、国鉄バスは大体におきまして過疎地域を、東名あるいは名神というような高速道路は別でございますが、通っております。これも非常に赤字でございますが、あくまでもこれは存続さしていきたい、こういうように思っている次第でございます。
  343. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 次は私は新幹線問題について触れたいと思うのです。  昭和四十七年度予算、成田、上越両新幹線国鉄利用債を九十億持て、東北新幹線で百億持てという方針を運輸、大蔵で決定をいたしておりますね。そして東北については国鉄がやるわけでしょう。成田、上越については鉄道建設公団がやる、こういうことになっています。ところがこれについて自治省にお尋ねしますと全く相談にあずかっていない、こういうことなんですね。それで大蔵政務次官もおられるからお尋ねしたいと思うのですが、とにかく東海道新幹線それから山陽新幹線財政力指数の高いこの地域を走っている路線については、全く鉄道利用債を持たせませんでしたですね。ところが今度の東北新幹線あるいは上越新幹線財政力指数が非常に低いところです。ここに本年度百九十億円鉄道利用債を持たせる。そして全体計画では一兆五千億といわれているでしょう。そうすれば三千億円をこえる鉄道利用債を財政力指数の弱いところに持たせるということが私は非常に問題だと思うのです。自治省もまだ全然相談にあずかっていない。私はなぜこういう不当な問題、特にこれは先ほど申し上げたように地方財政法第二条違反ですよ。それから地方財政再建促進特別措置法の二十三条違反ですよ。こういうことを地方に押しつける問題だと私は思うのです。わが地方行政委員会はそのような国と地方との財政秩序を乱す鉄道利用債の押しつけについては反対であるという趣旨の附帯決議をいたしました。現に関係九都県いずれも反対という態度をとっていることは御存じでしょう。これが最後まで自治体が反対だ、自治省も相談にあずかっていないという状態で、この利用債あくまでも持たせるつもりですか。持たなかった場合この新幹線一体どうなるのか、これを私運輸、大蔵両省にお尋ねしたいと思うのです。
  344. 田中六助

    田中(六)政府委員 鉄道公債つまり鉄道の利用債には二通りございまして、一つ在来線の複線あるいは電化工事そういうものに対する利用債、それからもう一つはいま問題になっております新幹線の利用債という二通りに分かれておりますので、市来の電化工事あるいはそういうものにつきましては、当然いままでの東海道あるいはそういうのはそれに充当しますし、今回の上越、東北並びに成田は新しい法律つまり全国新幹線鉄道整備法に基づく新幹線でございますので、おのずから違った分野になろうかと思います。  特に新幹線による今回の利用債の負担を国が地方に押しつけるのは財政法第二条並びに財政再建整備特別法の二十三条に違反するんじゃないかということでございますが、まさしくその法律から見れば違反になるでしょう。しかし新幹線の整備法の十三条第二項によりますと地方公共団体は当該地方の開発並びに当該地方の住民の福祉向上については、その資金の援助並びに土地の収用などについて協力するようにつとめるという条項がございますので、それにのっとってやったわけでございます。
  345. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの政務次官のお答えは問題だと思いますよ。地方財政法第二条違反でございますとお認めになった。ただ全国新幹線整備法、これは議員立法ですね、これがあるからいいんだ、こういうお答えでしょう。この全国新幹線整備法は地方財政上その他の援助をするとありますが、何も二割利用債を持たなければならぬなどということは一言も書いてないじゃありませんか。そうでしょう。ですから財政上の援助、自治体と話し合いをして納得した範囲においてこの援助をしてもらうあるいは自治省と大蔵省、自治省と運輸省というところで相談をした上でどの程度財政上の援助をやってもらうかということをきめるのならいいのですけれども、しかしそういうことはせぬで、地方財政法二条違反だということを認めながら二割の利用債を押しつける、これは全く私は違っていると思うのですね。これは違法ですよ。そうじゃないですか。
  346. 田中六助

    田中(六)政府委員 違反ということは私としても言い過ぎでございまして、つまりそういう見解から見ればそういうものは正しいと言えますが、ただし新幹線の整備法の十三条二項という項目があることでございます。これはあとから出た法案で、私どもはそれにのっとってやることは少しも法律違反を犯しているわけじゃない。むしろその条文にうたっておりますように、当該地方の開発と地方住民の生活の向上に資するという観点からやっているわけでございます。  それから二〇%の件でございますが、これは二〇%というふうに確かに確定的にきまっているわけじゃございませんで、いろいろ御相談申し上げたり地方の情勢あるいは金融情勢、そういうものに応じてそのパーセンテージはきめていこうというふうに考えております。
  347. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それじゃこれで終わりますけれども自治省に私は聞いておきますが、大蔵省、運輸省から相談を受けていますか。また二〇%負担をするということに対して地方財政を扱っている自治省一体御相談を受けているのか、このことについて自治省としては一体どういう見解を持っておるのか、それをひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  348. 小山省二

    小山政府委員 新幹線の利用債につきましては今日まで自治省としてはまだ御相談を受けておりません。しかしながらこのような利用債を地方公共団体に引き受けさせるということにつきましては私どもは適当でない、かように考えております。
  349. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 こうなれば政府部内意見不統一ですよ。しかもこれは国鉄財政再建にかかわる重要な問題でしょう。私はこの問題に対して政府部内の統一見解が示されるまでは質問を留保いたします。
  350. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私ちょっと答弁します。——いやちょっと私の答弁が……。
  351. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いや留保いたしました。
  352. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この問題は、御承知のとおり議員立法で大体超党派で成立したと思う次第でございます。(山口(鶴)委員「二割とは書いてない」と呼ぶ)二割とは書いてありません。実はこの問題は、私がこれから御答弁申し上げようと思う前に非常に御立腹になりましてあれでございますが、実は私は渡海自治大臣からこの話を相談を受けたのです。相談ということは、そういうような話があるが、これは過重にならないように十分ひとつ気をつけてやってもらいたいということの申し入れを受けております。私もこれは当然だ、こう思っておる次第であります。それで私は鉄監局長にも、この点は地方自治体、ことにそういうような起債であるから、十分地方実情を勘案してやるように指示をしております。また具体的にはさらに事務当局同士お互いに協議させ、大蔵省とも協議をさせまして、無理にならないようにする次第でございますので、御了解願いたい、こう思う次第でございます。
  353. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 じゃ留保しておきます。
  354. 小峯柳多

    小峯委員長 松尾正吉君。
  355. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 本日のしんがりでありますので、私は簡潔に進めてまいりたいと思います。  まず、この膨大な累積赤字をかかえた国鉄、一方国民の足を守るという非常に重大な使命があるわけであります。したがっていろいろ問題はある。私は時間がありませんから、この中で特に首都圏並びに大都市圏の鉄道、いわゆる都市鉄道のあり方について運輸大臣の考え方をただしたいのですが、私は今日まで見る限り首都圏に対する鉄道のあり方、特に国鉄のあり方は、住民に対して意見を聞いているものでない、こういうふうに判断せざるを得ない。といいますのは、まず国鉄の第一次、第二次計画、三十二年から三十九年の八年間に東京、大阪付近の国電区内の利益とこれに対する投資の比率、これを見てみますと、国鉄輸送原価計算によると、この八年間の収益は八百十二億円、これに対して国鉄監査報告によるとこの八年間の投資総額は七百二十五億円、いわゆる収益に対して九四・一%しか投資してない。すなわち五・九%の利益を押えて投資をしておる。この関係を見る限りでは、とうてい首都圏住民に対しての十分な手当てをやっているとは言えないと思う。先般運輸省では、都市圏住民の国鉄に対する意見等を聴取して改善につとめるという、こういう姿勢は見えます。これによってもなお非常に混雑で困るとかあるいは運賃が高いとか蒸し暑くてたまらないという意見が出ているわけです。これらに対しては善処していきたいという考え方でこういうものを進めているのですが、いまの第一次、第二次計画で見る限りでは、私は主都圏の住民にこたえていないと判断せざるを得ないのですけれども、これに対して運輸大臣はどういうふうに考えておられるのか、それをまず最初に伺いたいと思います。
  356. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 首都圏に対する国鉄の役割り、過去におきましては相当首都圏の住民に対しまして貢献したと思う次第でございますが、最近の主都圏の人口の増、これに伴いましてその輸送手段が追っつかぬ、おくれているということは事実でございます。国鉄といたしましても、それらにつきまして通勤通学混雑緩和、首都圏住民の足の確保ということは考えている次第でございまして、今年度からもやはり大都市交通の一つといたしましてそれらのことをやっておりますが、何ぶんにも、御承知のとおり首都圏は交通空聞が非常に狭隘でございます。要するに具体的に言いますと線路敷をとるのが非常にむずかしい。非常に住民の反対もございます。いまいろいろ新線建設、新幹線建設に出ているように、むずかしい次第でございます。どうしても首都圏につきましては、それらの点につきまして、先ほど申しました、具体的には鉄監局長から申し上げますが、計画がございますが、それだけで足りません。それゆえにどうしてもやはり首都圏の高速鉄道によらざるを得ない。それで高速鉄道の建設をどんどんふやしてまいりまして、国鉄だけでなく地下鉄網を整備する、それに先般十三路線の答申を得た次第でございまして、それらを早急に具体化をさせまして、そうしてその緩和に当たりたい。国鉄の増強と相まちましてそれらの足の確保をやってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  357. 山口真弘

    山口政府委員 首都圏の輸送力の増強の必要性は先生おっしゃるとおりでございます。何といいましても非常に人口の集中が激しゅうございます。そこで先般運輸省の都市交通審議会におきまして、首都圏の輸送力増強を抜本的に整備する必要があるということで答申をいたしまして、総延長五百七十キロの高速鉄道を整備するということにいたしました。既答申分二百八十キロを倍加いたすものでございます。その基本的な方針に従いまして、国鉄、私鉄、地下鉄、その各方面の分野につきましてこれを積極的に整備をするということでございます。この具体的内容は——よろしゅうございますか。
  358. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これは非常に重要な問題ですから、もう少し時間がほしいのですけれども、限られた二十分ですし、しんがりでありますので、計数は避けて具体的な問題を私はあげてみたいと思うのです。  まずその一つが、住民に対して努力はしたいというけれども、この計数が示すような実態の姿勢の一つが成田新幹線にあらわれている、これを指摘せざるを得ない。といいますことは、もう御承知のように東京都知事も千葉県知事も、それから新幹線計画関係の全部の都市の市長並びに議会が反対をしております。この理由については申し上げるまでもありませんけれども、公害がひどい、それから利用する者が大体限られているではないか、さらに二千億円をかけてあれだけのものを住民の全部の反対を押し切ってつくるけれども、現実に既成の鉄道よりも二十分しか時間が短縮できない、こういったことではこれだけのお金を投入する必要はない、というのがこの反対の理由であろうと思うのです。さらに反対ばかりでなしに、二十四日には江戸川区でもって成田新幹線に対する運輸大臣の認可、取り消しの訴訟まで起きている。こういう実態で、はたして大都市圏の住民本位の国鉄の運営といえるかどうかということに対しては、非常に大きな疑問があると思うのです。この点について詳細承りたいのですが、一点だけ運輸大臣から、この訴訟に対してどういう態度をとっていくのか、この点を伺いたいと思います。
  359. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私、まだ訴訟の内容につきまして詳細熟知しておりません。ここずっとほとんど国会で御審議を願っている次第でございますので、ございませんが、大体新聞で伝わるところによりますると、こういう短いものはやはり新幹線法違反ではないかというようなことかと思います。御承知のとおり大都市間を結ぶということでございます。成田はやはり日本の一番の航空の表玄関、国際空港都市になる次第でございます。それで首都東京とを結ぶということでございます。そういう意味におきまして、また国会の御決議でできました鉄道建設審議会、それの全員の御賛成でわれわれのほうへ、これをつくるべしというので上越あるいは東北と一緒になりまして運輸省のほうへまいっておりまして、それに基づきましてこちらも整備計画をつくりまして早急にやるべしというようにした次第でございます。もとより住民の御不満を解消することが先決でございます。あくまでも住民の御不満を解消する。公害防止をやる工事につきましても、こういうふうにやるんだということで御了解を得ることが先決でありますので、その方面におきまして極力いろいろの方策を講じまして住民の御了解を得つつ進めさせていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。
  360. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 大臣の訴訟に対する態度については、まだその段階に至っておりませんからはっきりしたことはもちろん聞けないと思いますけれども、しかし国鉄並びに運輸省が成田新幹線をつくりたいというこの意図はわかる。けれども、なぜ地元でこういうふうにあげて住民が反対をするかということを考えてみますと、いわゆる既設の都市鉄道の踏切の問題その他公害の問題あるいは事故の問題等々が、都市が過密になればなるほど、交通がひんぱんになればなるほど、一たび起きた場合には危険が多い、こういう点が実は非常にむずかしいのですけれども解決されない、そこに私は起因していると思うのです。したがって、これに対しては大臣は十分住民の納得を得てと、こういうことを言われましたけれども、この場だけでなしに、住民がそれならばよろしいという方向で進めていただきたいことを要望しておきたいのです。  それからこれとは実は逆な問題、いまの反対の理由になっているような一つ問題があげられるのですが、川崎を縦貫している南武線があります。これは昨年の二月に運輸大臣にただしたのですけれども大臣はかわってしまいました。総裁はおいででよく御承知と思う。大臣はまだ内容を御承知でありませんから詳しく申し上げますと、南武線が川崎市を縦貫している地域は二十キロとちょっとです。大臣、よく聞いていてくださいよ。この二十キロとちょっとのところに平面交差の踏切が五十八ある。三百五十メートルおきに一カ所の踏切があるわけです。しかも四十四年度の交通ひんぱん度の調査によりますと、朝七時から八時三十分の九十分の間に閉鎖される回数、上がったり下がったりしますね、この閉鎖される回数が二十三ないし五回です。そうして閉鎖される時間のトータルは九十分中七十四分間、こう言えばあいている時間はすぐ出ますね。あいている時間はわずか十六分です。九十分の間に十六分しかあかない。しかもその十六分というのは二十数回こま切れされるのですから、一回のあく時間というのは一分ないし一分弱なんです。したがって、いま交通が非常にひんぱんになりましたので、一カ所の踏切の例ですけれども、遮断されるために自動車の渋滞というのは一キロから二キロに及んでおります。しかも渋滞率というのは千台並んでおって十台しか通らないというと九九%の渋滞率ということになりますね。これがためにアイドリングのガスによる周囲の公害、それから自動車がずっと道路を占領してしまっておりますから付近の商店等はもう商売ができない。歩行者は危険だ。なお消防車等はせっかくいち早く火災を知って飛び出していっても遮断されているためにもう消火はできない、あるいは救急車で負傷者を運んでもこういうことで傷の手当てがおくれる。さらに八百屋さんあるいは魚屋さん等のあれを聞き出すと非常に鮮度が鈍って困る。こういうことで、これが一カ所の例ですけれども、御承知のように三百五十メートルおきにあるんですから、上り下り、上り下りとあると、二十くらいの踏切が一挙に緊められるわけです。こういったことが数年間放置されておる。それでこの前も大臣並びに国鉄総裁に伺いました。この危険防止並びに排気ガス、公害、商店の危険を取り除くためにはこの改善措置はどうかとただしましたところが、もう立体交差以外にない、こういう答弁をいただいたんですが、これに対して一年経過しましたからどういうふうにその後手を打たれたか、それを最初に運輸大臣から伺って、国鉄総裁から伺いたい。総裁からでもけっこうです。
  361. 磯崎叡

    磯崎説明員 南武線の問題は私も実情を非常によく存じております。川崎市並びに東京都といろいろ協議いたしまして、かりに高架にするにいたしましても、また日照権の問題あるいは今度は騒音の問題等、いわゆる新しい公害がまた出てくる可能性もございます。したがって、国鉄の力だけでこれを高架にすることはできないということで、全体の都市計画の中でやってもらうという以外には方法はないだろうということで、川崎市と話をいたしまして、聞くところによりますと、川崎市が四十七年度に一応都市計画事業としてやるべく調査をするようになるということを言っております。とても国鉄の力じゃあの高架化はできませんで、あれから高架にしたあとの公害のほうがむしろおそろしいくらいの問題になりますので、十分慎重に川崎市に調査してもらいたい、こういうふうに思っております。
  362. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 一番の市街化密集地域でそういったような立体化ができませんで住民に御迷惑をかけておる。これはやはり都市政策の貧困と申しますか、何ともこれは政策としても申しわけないことと思っている次第でございます。これは早急に国鉄に具体的の問題を技術的にも研究させまして、また道路も関係がございますから建設省とも連絡をさせまして具体化を早急にさせたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  363. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 いや、今後どうやっていくかでなく、一年前の二月二十五日の委員会で各省とよく連携をとって手を打って、そういう人命にかかわるような問題ですから前向きに処理をしていきます、こういう答弁大臣がしている。あなたじゃないんですけれども、前の運輸大臣がしている。これに対して一年間どういう手を打たれましたかと、こう聞いているんです。
  364. 山口真弘

    山口政府委員 先生御指摘のように非常に踏切が多く、これが立体交差化の必要性は非常に強いわけでございます。しかも個所が非常に多いわけでございますから、連続高架化にしなければならないわけでございます。ただこの問題につきましては都市計画事業者と十分相談をしなければならないわけでございまして、私どもから市、県等と話し合いを進めておりますが、まだ決定をいたしておらないという段階でございます。
  365. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 時間がありませんから……。建国協定で負担が一番多いというために建設省が非常に大きな責任があるわけですけれども、一年前にはそういう実情は聞いておりませんでした、公の訴えは聞いていない、こういうことでありましたけれども、あの席で、これはすみやかに各省と連携をとった上で手を打っていく、こういう答弁だったんですが、建設省、どなたかおいでですか、お答えいただきたいと思います。
  366. 今野博

    ○今野説明員 お答えいたします。  川崎市の南武線の鉄道高架化につきましては、先生から御質問がありましたあとでいろいろ川崎市のほうを呼びまして実情等も聴取いたしました。それが結果としまして今年度川崎市において五百万円の調査費を組んだという形になったと思います。その調査結果を持ちまして建設省としましては善処してまいりたい、かように考えております。
  367. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これはもう私が申し上げるまでもなく、成田新幹線については住民があげて反対し、知事まで反対している。ところがこの南武線についてはいま建設省の意見を聞いてみますと、あのあとよく相談を何回かしてきたというのですけれども、これは神奈川県の元の内山知事の時代から何回となく、もう高架以外にないということで陳情請願等が行なわれておるのです。したがって、もう時間が参りましたからここで申し上げたいことは、こういう席で発言をしますと、しっかり取り組んでいきたいと言うけれども、そのあとがどうも進まない。こういうところに問題があろうと思うのです。特に成田の場合には全部反対だ。けれども必要に応じて手を打つわけですね。南武線のほうは、実は先般署名をとりましたら一週間で三十万名の高架にしてくれという署名が集まった。ということは、百万世帯に対して三分の一です。これほど住民の強い要望のあるものに対してなかなか手が打てないということに対して、私はきょうは建設大臣にぜひおいで願って、建設大臣という立場でも首都圏整備委員会の委員長という立場でも、こういうアンバランスがあっていいのか、こういうことを実はただしたかったのですけれども委員会で申し合わせがあったということですから建設大臣にかわってひとつしっかりした答弁をお願いしたい、こういうことでお願いしたのです。この成田新幹線と川崎の南武線を比較した場合にはあまりにも大きな相違があり過ぎる。これは一例です。こういった事実を大都市圏を中心にして東京周辺とそれから大阪周辺等をあげたならば、これはもういままでの計画どおりに放置できないということが知っていただけると思うのです。したがって、建設省でも川崎市の調査を待って早急にということでありますけれども、川崎市の調査が出た場合には、建設省では当然調査費等を組んで積極的に取り組むという姿勢があるかどうか、この点をもう一点確認しておきたいと思う。
  368. 今野博

    ○今野説明員 お答えいたします。  この問題につきましては前向きの姿勢で取り組んでいきたいと思っておりますが、何せ御承知のように非常にたくさんの幹線街路が東西の方向に通っておりますが、これも大体立体交差になっておりますので、いろいろそういう点も含めまして連続立体交差事業として取り上げるかどうかという点も考慮してまいりたいと思います。住民の御意向が非常に強いようでございますし、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  369. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 積極的に取り組んでいくということは、市の案がまとまったならば、建設省では調査費等を組んで手を打っていきたい、こういう考え方ですか。この前も積極的に取り組んでいきますという答弁で、何も進んでないのですよ。しかもこれと成田と比較した場合に、あなたはそれでいいかどうか、こういうことを聞いているわけです。
  370. 今野博

    ○今野説明員 調査の結果を見ませんとはっきりしたことは申し上げかねるのでございますが、少なくとも前向きの姿勢で取り組んでいきたいということだけは申し上げられると思います。
  371. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これはぜひそういう姿勢でこの計画は大都市圏の交通の矛盾点として私はあげられると思うのです。そういう点に対して、片方の住民は喜ぶ、片方では非常に不平等な扱いを受けることのないような交通体系をひとつつくっていただきたい、これを大臣に要望しておきます。  なお、大都市圏の交通問題一つ取り上げてみても、これ以外にまず保安の問題、それから公害除去の問題、その他もろもろあります。したがって、委員長に配慮していただきたいことは、非常に重要なこの国鉄再建計画審議に連合審査の機会をつくっていただいたことは感謝しますけれども、これでは何もいわゆる詰めということはできないので、どうかひとつこの委員会をもう少し時間をつくっていただく配慮をしていただきたいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  372. 小峯柳多

    小峯委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。   これにて散会いたします。     午後七時六分散会