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鈴木(珊)
政府委員 現在の内航二法は内容的に申しまして、むしろほかの漁業にはあまり見られないような内航発展のための基本的ないろいろな措置ができるようになっております。これはもちろん
行政指導のみならず内航業者自身、あるいは
組合自身が自主的に行なうこともできる。したがいまして、いまの内航工法というものはきわめて高度なレベルの高い内容を持った法律であると私
どもは思っております。ただ、問題は、そういう法律があるにもかかわらず、実施の面が問題でございまして、御指摘のように、こういういい法律があるにもかかわらず、実施政策が内航の
実情に沿ってないというふうに御批判されてもやむを得ないのではないかと、私
ども率直にここで認めざるを得ないと思います。特に零細
船主が多いために過当競争におちいるということで、たとえば
企業の許可制でございますが、これな
どもわざわざ許可制に直したというような手を打ったのでございますけれ
ども、その結果、以前に比べまして業態もだいぶはっきりしますし、それから過当競争といいますか、オペレーターの数もだいぶ整理をされましてすっきりはしてきたのでございますけれ
ども、なおそれでも
現状はこういったふうなことでございまして、一たび不況が来ればたちまち倒産しかねないというような非常にひよわな
企業でございますので、そういった面におきまして
企業体質の
改善という問題がやはり一番ではないかと思います。これには現在あります法律に基づましてひとつこの方法論を改めて、もっと実行力のある政策をやっていくべきではないかというふうに思いまして、実は昨年でございましたか、もう市況がいよいよ苦しくなってきた。さらにドル・
ショック等で国内の
荷主が減少した。特に鉄鋼の減産が非常に響いたということで
船腹過剰におちいってきた。これはいよいよいかぬと思いまして、実は昨年の補正予算でとりあえずの当面の策といたしまして、
船腹の過剰を何とかしてやる必要がある。係船と解撤ということを実は
考えましてやってみたのでございますが、ちょっと瞬間が間に合いませんでした。また
業界の中のまとまりも悪うございまして、四十五年の補正予算では実現できなかったのでありまして、四十七年度の予算に早急に実現できるように、まず
船腹調整の面では
一般貨物船が現在大体二百三、四十万トンございますけれ
ども、その一割くらいオーバーしていると思いますので、大体二十万トンを目標にいたしまして、二十万トンのうち十五万トンくらいをまず係船、
あと五万トンを完全に解撤してしまうという、係船及び解撤のための国のつなぎ融資という予算を四十七年度に
要求いたしまして、幸いにいたしまして国会の御審議も得まして、実施をされることになっております。四月早々からもう実施に入っております。現在係船の希望者が十二万デットウエート
——まだ三万トンを割っておりますけれ
ども、すでに十二万デッドウエート出ておりますし、解撤のほうも、これは五万トンに対しましてその倍くらいも実は出てきておるというようなことで、現在実施に着手しております。そういった面で、
船腹の過剰対策につきましては、当面、係船、解撤でやっていくということで現にやっております。
それから、その面ではうしろ向きの対策でございますので、前向きにはただいま
先生が御指摘されましたように、やはり
体質改善といいますか、構造
改善といいますか、そういう面をひとつ、これは
行政指導ももちろんでございますし、それから
業界自身もいろんな自主統制機関を通じましてやっていただく、そういった指導方針をきめまして、現在私
どもは一案を持っておりまして、これを各
関係の内航の
組合にお見せいたしまして、ひとつこういう方針でどうだろうかと、いまよりより相談しております。非常に真剣な討議をいまやっていただいております。その内容につきましては、これは私
ども内
航海運の構造
改善対策というふうに呼んでおりますけれ
ども、中身は、まず
海運組合の活動自身が法律できめられておるような
効果を実はあげていない。これはむしろ
海運組合というものの
組織の実態が
実情に合わないのではないだろうか。たとえて申しますると、
オーナーとオペレーターが一緒になって
組合をつくっておるところもある。これは元来、利害が相反する。特に不況の場合、利害が相反します。そういうものが一緒になった
団体ですと、
オーナーが必要とする
用船料を
要求するとか、両者がそれぞれ取引し合う場というものは、やはり別個のものであってしかるべきじゃないか。そういうふうに
オーナーとオペレーターの
組合を分けて、利害相反するものについてはお互いに
組合同士でやり合う。その結果、妥当な線が出てくる。そういったように
組織の面でも今後変えていく必要があるのではないだろうか。現在、
組合は五つございますけれ
ども、タンカーの
組合は別といたしまして、貨物船
関係の
組合につきましては、そういった整理を行なう必要があるのではないか。これにつきましては、各
組合にこういう案を示しまして、いま各
組合で持ち帰って前向きに検討しております。そして各
組合自身も、そういう点は従来あまり
効果をあげていなかった、ひとつ直そうじゃないかという機運にあるのが
現状でございまして、いずれ近く結論が出ると思います。そういった
組織の面でも再編成を行なう必要があると思っております。
それからもう
一つは、ある一定の地域だけに限られた特定の船がございます。たとえば伊勢湾なら伊勢湾だけしか動かない船とかあるいは特定の貨物だけを積んでいくという
一つの集団があると思います。それから一般コモンキャリアも一緒くたにした
組合というものもまた、対
荷主関係におきましても、あるいはオペレーターならオペレーターの
関係におきましても、だいぶ違うじゃないか。そういった点をいままでごっちゃにしておりますので、これを分類してそれぞれの
特殊性に応じた
組合に
組織がえをする。特に一地区だけを動いているような船と、全国とか瀬戸内全般を動いている船を一緒にするのはおかしいんじゃないだろうか。そういった船の性能とか職能とかを別にした
組合をつくる必要があるのではないだろうか、そういった二点につきまして、いま検討してもらっております。
それから次は、
海運組合はいろいろ調整行為をなし得る。たとえば運賃調整とか配船調整、建造調整等となっておりますが、現益一番効力を発揮しておりますのは建造調整であります。これは内航総連合でいま船が余っているから、鉄鋼を運ぶ船はここ一年間建造をお互いに自粛しようじゃないかという申し合わせをしまして、それに縛られまして、皆さんつくりたいけれ
どもがまんしておるというので、かなり
効果をあげております。そういったような建造調整をやっておりますけれ
ども、単に建造調整だけにとどまらず、これからは、たとえば配船調整、つまり交錯輸送だとか二重の配船とか、そういったようなものによってお互いにつまらぬ競争をすることをなくすような配船調整を、再編された
組合がやるというようなことも必要ではないだろうかというふうに思っております。そういう点につきましても、いま各
組合で検討してもらっております。
それからさらに、地区の
海運組合は、いままでややともしますと中央集権主義で全部中央に持ち帰って方針をきめてしまう。したがって、地区、地区の
特殊性を没却されるおそれがあるということで、地区、地区の
実情に応じた政策が足らないといううらみがございます。したがって、先ほど申し上げましたことと同じような思想でございますけれ
ども、地区の
海運組合にひとつ調整機能を持たせようじゃないか。地区、地区で調整し得るものは全部中央に持っていく必要はないのではないか。地区、地区の
特殊性に応じた調整行為ができるように、そういう地区の
海運組合の調整機能を強化しようじゃないか、そういった問題につきましても検討項目の中に入っておりまして、現在検討してもらっております。
以上が
組合の編成並びに
組合の調整行為についての
改善策ということでございまして、これがどの
程度いままでの内
航海運業の基盤強化に役立つか。
一つの進歩した案だと思いますけれ
ども、一応自主的に
考えてもらいまして、これでいいということであれば、こういうことで踏み切って再編成してもらいたいというふうに私は
考えておるわけでございます。
その次に、今度は
企業体そのものの
改善はどうかという問題が実はございます。私
ども企業体質改善という問題につきましては、たとえばいままでの
海運業法によりますと、オペレーターを許可したときの基準は、自分の持ち船が非常に少なくてもいいということ、たとえば二割自分の船を持っておれば、一応
あとの運航委託だろうが用船だろうがかまわない、オペレーターの資格を与えようという基準になっております。これをむしろもっと船を持たして、自分で
責任をもって支配できるようにしませんと、先ほど
先生御指摘のように、二重、三重の下請、下請ということをして、
オーナーが一番最後に下積みになってしまう。それを幾らかでもやわらげようということで、そういったオペレーターの許可の基準を引き上げたらどうだろうか。要するに自社船の保有についての緩和制度を廃止するという方向へ持っていきたいということで検討しております。
それからもう
一つは、やはり
オーナーの集約化というものが必要ではないだろうか。もちろん現在一ぱい
船主もおりますけれ
ども、これからは一ぱいで船をがたがたやるということは、不況が来た場合には非常に弱い。やはり数はい持ってないとだめじゃないだろうか。そのためには集約ということで、たとえば新船をつくる場合に、集約したら優先的に新船をつくらす、そういった方法を講じまして、できるだけ複数の船を持つというふうにしていきたい。既存の一ぱい
船主はやめろというわけにはいきませんから、これはやむを得ないと思いますけれ
ども、これからは一ぱいだけで商売をやることはなるたけやめさせて、複数持つというふうにやっていきたい。またそういった集約化のために、たとえば公団の共有船という制度を利用しまして、できるだけ集約するものを優先的にやっていくという方法で
オーナー業の集約化というか、
企業規模の適正化をはかっていきたい。これも
一つの案と思ってやっております。
以上のようなことをいま
考えておりまして、また現に
関係の
組合に提示いたしまして、
業界の中で真剣に討議してもらっております。私
ども担当の者はしょっちゅう議論をやっておりまして、なるべく早く案を出して、一日でも早くこういった体制に持っていきたいというのが私
ども現在
考えておる政策でございます。
何かこれ以上にございましたらお教えを願いたいと存ずる次第でございます。