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1972-05-09 第68回国会 衆議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月九日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 細田 吉藏君    理事 箕輪  登君 理事 内藤 良平君    理事 田中 昭二君 理事 河村  勝君       江藤 隆美君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    塩川正十郎君       菅波  茂君    關谷 勝利君       羽田  孜君    福井  勇君       古屋  亨君    増田甲子七君       山村新治郎君    井岡 大治君       勝澤 芳雄君    金丸 徳重君       久保 三郎君    斉藤 正男君       松本 忠助君    宮井 泰良君       内海  清君    田代 文久君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  出席政府委員         運輸政務次官  佐藤 孝行君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 秋富 公正君  委員外出席者         日本国有鉄連総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道副         総裁      山田 明吉君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ————————————— 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   西銘 順治君     塩川正十郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出  第四二号)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。内海清君。
  3. 内海清

    内海(清)委員 国有鉄道運賃法財政再建特別措置法の二法案がいまかかって、いままで相当の論議が行なわれておるわけでございます。しかし私ども、いままでの質疑応答を拝聴いたしまして、理解のいく点、なおなかなか納得のいきにくい点というふうないろいろの問題がございます。しかし、ほとんどすべての問題に論及されておるようでございます。したがって、これから御質問申し上げますことにつきましても、いろいろ重複する面もあるかとも思いますが、その点は、十分納得のいく理解を得る、こういう意味合いで御質問申し上げますので、その点もお考えいただきましてお答えいただきたい、かように思うわけでございます。  ここ最近、数年来と申しますか、わが国におきまする各交通輸送機関の全般的な問題におきまして、いろいろな面で混乱が起きておる、こういうふうなことがあるわけでございます。同時にそれに加えまして、交通事故の問題も含めまして、いわゆる交通危機というふうなことばでこれが問題にされておるのであります。これはすでに御承知のとおりだと思うのです。しかしその交通危機ということばの中の中心的なものとしては、もちろんいまわが国交通運輸大動脈でありまするこの国鉄経営危機ということ、これがもちろん中心であると思うのであります。そういう意味合いから、従来、総合交通体系の早急な確立が要求されてきた、こういうふうに私は思うのであります。ところが、昨年の十二月に一応「総合交通体系について」というものが発表されました。これはまことにけっこうなことであると思いまするが、この発表されました総合交通体系というものにおきまして、各交通運輸分野におきまして、これが現在とういうふうに有機的にあるいは具体的に進められておるか、こういう問題でございます。これをまずひとつ大臣に御所見をお伺いいたしたい。
  4. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの総合交通体系における有機的の輸送機関関連でございます。それについて御質問でございますが、御承知のように、昨年の六月御答申をいただきました運輸政策審議会におきまして、またただいま御指摘をいただきました、昨年の暮れにおきます閣僚協におきまする総合交通体系決定におきまして、各輸送機関特性勘案をいたしまして、そうしてその分野を一応定めた次第でございます。あるいは航空あるいは海上輸送あるいは陸上輸送陸上輸送のうちにおきましても、道路輸送によるトラック、乗用車、タクシーその他のもの、あるいはまた鉄道大動脈でございます国鉄中心として、私鉄その他の関係というようなあり方をきめた次第でございますが、ただいま御審議を願っている国鉄再建の問題でございますので、中心といたしまして国鉄の問題から御答弁を申し上げますと、国鉄といたしましては、それらの答申の趣旨を勘案をいたしまして、今回の再建計画におきましても、いわゆる国土総合開発計画にのっとりました国土総合的開発の見地からいたしまして、新幹線網を樹立する、これがやはり総合交通体系に明記されておりまして、ただいままでやっております山陽新幹線をはじめといたしまして、先般すでに工事認可をいたしました上越あるいは東北あるいはまた成田新幹線、それらの新幹線網の充実、整備ということをやっております。また国鉄特性を生かしまして、中長距離旅客輸送、また貨物輸送というような点に重点を置きまして、それがため整備をする。大都市におきましては御承知のとおり国鉄線増をはかるあるいは編成長をはかる、その他によりまして混雑緩和の一端といたしますが、大都市通勤通学輸送につきましては、さらにいまの都市交通機関の非常に狭小なる点にかんがみまして、どうしても地下鉄と申しますか、高速地下鉄道によらざるを得ないというような点も勘案いたしまして、それらの点につきまして具体的に首都圏近畿圏等におきまして路線決定をいたしまして、これらを早期に実現するということをはかっておる次第でございます。また貨物につきましては、御承知のとおり貨物の今日の需要に対する適正化をはかるというため輸送方法を抜本的に改革をいたしまして、そうして拠点間の大量輸送、そうしてまたトラックとの連結によりまして荷物の定時性、また確実性をはかるというようなこと、また貨物ターミナルその他の整備をいたしまして、そうして現実の今日の陸上輸送大動脈としての特性を生かしていくというような点、総合交通体系に盛られておるものを全部今回の再建計画には取り入れまして、そうして御審議を願いたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  5. 内海清

    内海(清)委員 いま大臣いろいろお述べになりましたが、これが実際に具体的に進んでまいりますならば、今後の国鉄に対しまする財政の問題その他もだんだんと回復してくる、かように思うのでありますが、しかしこれにはなお相当の時間がかかるであろうということを思うわけです。そういうことを考えるわけでありますが、この総合交通体系から考えましても、これは国鉄問題を論じまする場合にも、ただ単に国鉄企業をどうするかという問題だけでは根本的な解決にはならないのじゃなかろうか。なおこれには多くの問題がひそんでおるというふうに考えるわけであります。このことは先般行なわれました、私ども福岡に参りましたが、地方公聴会におきまして、あるいは中央の公聴会におきまして、公述人意見を聴取いたしましても十分うなずけるところであります。すなわち国鉄の置かれておる環境というもの、これは十分問題にしなければならぬのじゃないか、かように私は考えるのであります。ここ十数年来わが国の経済というものがあるいは社会全体というものが大きな変革を遂げてきておる。これはまぎれもない事実でございます。これはすでに御承知のとおりでありますが、産業立地条件中心にいたしましたいわゆる過密過疎というふうな特異な現象が出てきたということ、これは大ざっぱにいいますならば、表日本の過密であり、裏日本の過疎であるというこの現象であります。それに加えまして、さらに自動車産業が異常な発達をしたということ。それでこの自動車というものが交通運輸機関といたしましての競争政策というものをここに編み出してくる。そのことが鉄道自動車あるいは航空機あるいはさらに海運の面におきましても、きわめて激しい競争状態を呼び起こす要因となった、こういうことであると思うのであります。これまで国鉄の置かれておる環境というものに対しまして、政府はどういうふうな交通政策をもってこれを指導し助成してこられたか。また国鉄自身はそういう変化に適応するために、どういうふうな企業努力をして施策をしてこられたか、この点大臣総裁の御所見をひとつお伺いしたいと思う次第でございます。
  6. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま内海先生から御指摘がございましたとおりだと私も思う次第でございます。国鉄自体いかに努力をいたしましても、やはり急激なる社会構造変革、ことに具体的に申しますると過疎過密、この根本の問題の解決が見ませんうちには国鉄自体努力もなかなか容易なことではない。私も強くこれを痛感する次第でございます。ただいまお話しがございましたとおり、東海、山陽に、このまま放資すれば人口の約七割以上が集まる、いわゆる東海道メガロポリスという方面に集まってまいりまして、あるいは東北あるいは北陸、裏日本北海道という方面人口過疎化が見える、減少の進行が中止できぬという状態であります。これはなかなか容易ならぬことでありまして、何よりもやはり総合開発計画の樹立とその実践がまず第一の問題、こう私は思う次第でございます。それがためにただいま政府といたしましてもそういった問題につきましてあるいは工場の再配置の問題、また新全総の再配分の問題というような点につきまして鋭意努力をしておる次第でございまして、それに適合いたしまして、国鉄陸上大動脈としての使命を達成するというふうに持っていかなければならぬというふうに思っておる次第でございます。先般来の需要から見ましても、国民国鉄に対する需要とはどういう点にあるかという点、確かに地方鉄道ローカル線につきましても需要がございますが、やはり最近の状況を見ますると、新幹線その他長距離、そうして快速化というふうなものに対する国民需要は急激に高まりつつある、こういうふうな実情でございまして、それと再開発をいかに調和をして持っていくかということがこれからの一番の問題ではないか。旅客については大筋に言って私はそういうふうに思う次第でございます。  また貨物につきましては、先ほども申しましたとおり陸上トラック輸送その他が道路の改良とともに非常にふえてまいりました。それに対しまして競争力といたしまして、国鉄競争力が非常に劣ってきたということが、今日国鉄貨物輸送大動脈としての地位が低下をした原因ではないか。先ほどの新全総にも、総合交通体系にも指摘してございますように、やはりトラックとの一貫輸送の問題、あるいはまたターミナルの問題、また貨物駅の集約の問題、それらによりまして貨物定時性をいかにして持っていくか。フレートライナーその他の新しい貨物輸送によりまして、国民需要に適合するということを思い切ってやらなくてはいかぬ、この点を今回の財政再建計画では強く打ち出しておりまして、そうして時代の要求に合った、国民需要に合ったような国鉄使命達成に邁進しなくてはいかぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。
  7. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、私のほうは昭和三十年代の末期から四十年代にかけまして、いまおっしゃったような非常に大きな変化を受けたわけでございます。これをごく簡単に旅客貨物別に申しますと、いわゆる過密過疎が人の面でもあるいは産業の面でも顕著な姿をあらわしたのは、やはり四十年前後でございました。それはそのまま私のほうに響いてまいりまして、旅客輸送におきましては私どもは三つに重点を置きまして、まず第一は、何と申しましても新幹線の建設、いわゆる長距離輸送国鉄が担当するということ。それから、第二点は、従来とかく閑却、見落とされがちでございました在来線輸送力増強、いわゆる幹線複線電化ということに相当力を入れ、東北本線をはじめといたしまして、全国主要幹線複線電化相当力を入れてまいったわけでございます。それから第三番目には、先ほど御指摘のいわゆる過密の問題の最も焦点でございます通勤輸送でございまして、たとえば東京で申しますと、非常に金がかかる仕事ではございましたが、東京中心とする五つ方面からの輸送力増強のうち、ことしでもって大体四つが終わりまして、一つだけは、東海道だけはまだ残りますが、通勤輸送につきましても、主として東京中心として五方面からの輸送力増強につとめてまいりました。おかげさまで七月には、総武線ができますれば、五つのうち四つだけは完成するということになるわけでございます。  そういうことで、旅客輸送のほうはわりあいに順調と申しますか、伸びてはまいりましたけれども貨物のほうは先ほど御指摘過密過疎の問題、裏を返せば産業立地が非常に急激に変わってきたことであるというふうに存じます。すなわち、ほとんどおもな工場太平洋ベルト地帯に出てしまう、いわゆる港湾地帯に出てしまうということで、港湾地帯に出ますと鉄道のシェアが非常に減ってまいります。したがって、たとえば日本海方面輸送力はむしろ貨物としては余りぎみである、しかし東海道方面は非常に足りないというふうに、全国的に見まして非常にへんぱな、表日本輸送需要が固まる、そうして、輸送力はそれほど充実されないというふうな現象を来たしてまいりまして、したがいまして、貨物輸送のほうは、産業立地変化に伴って十分それに必要な東海道増強、あるいは山陽増強がおくれていたというふうに思うわけでございます。と同時に、貨物輸送制度自身が非常に古い、いわゆる宿場送り的な、百キロたてば操車場に入れてやり直すというふうな非常におくれた貨物輸送体系から、これを直送輸送体系に改めるということにつきまして、貨物駅の廃止その他いろいろな問題が起きまして、必ずしも意に満たない点があるわけでございます。今後日本産業立地があるいは再び工業再編成によりまして変わってまいるかもしれませんが、しかしやはり、太平洋ベルト地帯産業界における重要性は変わらないと思います。したがって、私どもといたしましてはやはり表日本輸送力増強する。それには在来線から旅客輸送新幹線に移して、在来線をできるだけ貨物輸送に使っていくというふうな形と、それから貨物ターミナルにつきまして、先ほど大臣がおっしゃいました自動車との一貫輸送に非常に便利なターミナルをつくる。いままでは鉄道鉄道自動車自動車、あるいは荷馬車を使うというふうな、結節点でつながってない輸送であったものを、何とか鉄道トラックによって一貫輸送するという方向に持ってまいらなければいけないというふうに思っているわけでございます。と同時に、私ども経営の内部の合理化につきましても、全力を注いでやったわけでございまして、これは人員の縮小ではございませんが、いわゆる近代化合理化によりまして昭和四十四年から昨年までで約五万人ほどの合理化をいたしまして、これは主として配置転換でございます。要らなくなった仕事をやめて、新しい仕事に持っていくという配置転換をやって、部内の合理化につとめますとともに、いわゆる管理機構簡素化という問題につきましても重点を注いでやってまいったというふうに思うわけでございます。  しかし、いずれも意に満たないこと多く、財政状態が非常に悪くなったことは申しわけなく思っておりますが、私どもといたしましては百年を迎えての転換期に際しまして、全力を注いでやってまいるつもりではございます。
  8. 内海清

    内海(清)委員 いろいろお聞かせいただきまして、かなり進んだ点もあると思うのでありますが、なおこれが今日計画どおりに進みますまでには、これまた相当の時間を要するだろうと思うのであります。いまいろいろお話がございましたけれども、急速に上昇いたしましたいわゆる高度成長によりまする生産体制、これに適応した輸送体系整備という問題が一番重要である、こういうふうに思うのであります。今日の国鉄使命としては、これはいま総裁お話しになりましたけれども都市間の旅客輸送あるいは大都市における通勤通学輸送、さらには中長距離間におきまする大量の貨物輸送、こういう各分野にわたりまして、これに対応した輸送力増強、これが強く要請されておることはいまお話しのとおりであります。これに対しまして国鉄は、いままで数次の長中期計画をやってまいられました。ことに最近の計画におきましては、かなりの規模の設備投資という形でその要請にこたえよう、こういうふうに努力してこられたわけであります。ところが一面、このことによりまして、これは運輸白書を見ましても、あるいはまた国鉄当局からのいろいろな資料を見ましても指摘しておりますように、国鉄企業というものをそのことによって非常に圧迫する原因となっておることは、これまた御承知のとおりであると思うのであります。と同時に、さらにこのしわ寄せが経費の節減ということに来て、このため経営合理化が強く要請されてきた。それからまた他面、資金調達というような考え方から、利用者の負担としての運賃値上げという形がいままでも出てきた。こういうことでありまして、今日までそういういろいろな処置がとられてきたけれども、これに対して、なかなか財政にしても抜本的な再建もできない、さらに国民輸送に対する要請に対しても十分こたえ得ない、こういう状態が今日あるわけであります。もちろんこの国鉄企業自体の問題と運賃値上げでなしに、政府もこれに対してはいままで相当助成をやってきたということがいわれるでありましょうけれども、この点は特に今日までの状態から見れば、政府助成ということが一番欠けておったのではなかろうかというふうに私は痛感いたすわけであります。いままでの計画を通じて見まして、国鉄企業並びに国鉄の大多数の従業員努力というものを私は否定するものでございません。けれども、それによりまして基本的な問題が解決してまいったというふうにはなかなか考えられぬのでありまして、むしろ根本的にはまだ解決していないというのが現実ではなかろうか、かように思うのであります。  ことに運賃面を見てまいりますと、普通旅客運賃は、特に中距離のものにつきましては、他の交通機関との関係におきまして独占度が強いというわけで、これはいわば企業主義を前提といたしました原価主義というものを中心運賃の改正が続けられてきた、こういうふうに私は思うのであります。ところが先ほど来いろいろ産業立地条件その他からいたしまして、貨物の問題もございましたが、貨物運賃につきましてはトラックとの関係、それからグリーン料金航空機との関係、こういうことのいわゆる競争運賃と申しますか、そういう色彩がいままでは強かったのであります。このことはいわば輸送体制によりまして、輸送体制ごとにあるいは原価主義をとる、あるいは競争運賃を適用するというふうな矛盾が生じてきたと私は考えるのであります。こういう矛盾国鉄企業に対しまするいろいろな国民要請というふうなもの、あるいは国鉄再建という問題を超越いたしましたいわば政府産業政策あるいは都市政策あるいは総合的な交通運輸政策等との関連の中で考えられなければ、なかなか十分な解決はできぬだろう、したがって、この点が基本的な問題点ではなかろうかというふうに私は考えるのであります。今回の政府の提出されておりまするこの法案につきましても、これらの点が十分解明されなければ、これは国民もなかなか納得しない点じゃないか、こういうふうに考えるのであります。  これにつきましてひとつ大臣なりあるいは総裁から率直な御所見をお伺いいたしたい。
  9. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問、率直に申しまして私もそのとおりだ、こういうふうに思う次第でございます。いままで、過去にとってまいりました運輸政策といたしましても、いわゆるそういった各方面斉合性調和性関連性につきましては、やはりやや欠けたところがあったのじゃないかということを、率直に申しまして、反省をする次第でございます。ただ、ただいま運輸政策としてとっております、ことに料金政策といたしましては、事業別適正原価主義ということを大体において一貫してとってきている次第でございますが、最近の過疎過密現象につきましては、大都市におきましては、要するに非常に高騰いたしました土地獲得の問題、また陸上輸送が非常に困難になってまいりまして、地下高速によらなくちゃならない問題というような点からいたしまして、工事費が非常に増大する、また過疎地帯におきましては、需要減少によりまして経営が困難になってきた、一企業にまかせることができない、適正原価主義だけにまかせることができない、どの程度国が負担し、地方団体が負担しなければならぬかというような問題も非常に出てきた次第でございます。また他の陸上トラック輸送その他から考えまして、あるいはただいま御指摘がございました航空輸送等から考えまして、それらの点につきまして斉合性がとれているかどうかということにつきましても、将来やはり検討すべき点が多々あると思う次第でございます。ことに大都市旅客輸送につきましては、私鉄との関係におきまして、それらの点も早急にやはり調整しなければならない点も多々ある。国鉄は御承知のとおり総合原価主義をとっておりますが、場合によりましては、路線別原価主義もある程度は導入しなければならぬのじゃないか、これは非常にむずかしい問題でございますが、それらの問題でも考えなくちゃならない問題がございます。またトラック輸送その他につきましても、先般来当委員会におきましていろいろ貴重な御指摘の御意見を伺った次第でございますが、たとえばトラック輸送につきまして具体的な問題といたしますると、過積み、そういったものを放置していて、そうしてその斉合性がとれるかどうかというような問題、また長距離貨物輸送トラックのみに依存していていいかどうか、むしろその点におきましては、将来の問題といたしましては国の大動脈でございます長中距離貨物輸送は、国鉄こそほんとう輸送方法を思い切って改善をすればそっちに国民需要ほんとうに集まるのじゃないかというような問題がございます。それらの点を総合的に調和のとれた政策を樹立することが、これからの運輸行政の一番大きな課題だと私は思っている次第でございまして、今回はそれらの面も含めまして、その第一歩といたしまして、国鉄再建計画を皆さまの御審議を願っておるつもりでございますが、これを契機にいたしまして、総合的運輸行政確立につきまして私どもひとつ力強く御鞭撻を受けまして検討してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  10. 磯崎叡

    磯崎説明員 先般の公聴会並びに昨日の参考人の方々からのいろいろなお話を承っておりまして、ずいぶん運賃問題についての御議論があったようでございますが、中には非常にこまかい個別原価主義をとるべきだという御議論もありました。これは先生のおっしゃった輸送体系だけの原価主義でなしに、路線別あるいは地域別原価主義にまで発展する可能性もある議論だというふうに存じます。しかし現時点におきましては国鉄はとにもかくにも全国画運賃である。この問題のよしあしはともかくといたしまして、北海道の方も東京の方も同じ運賃で運ぶというところに国鉄としての一つの特色があるわけでございます。それがある意味でまた矛盾を生じていることも事実でございます。すなわち原価的に見ますればもうかっているところの方々は相当多分の運賃負担をする、そうでない方々はむしろその運賃を自分のほうへ回してもらっているというふうな、内部補助というふうなかっこうになっているわけでございまして、その点でいわゆる全国画運賃という現在の制度がほんとうに正しいものかどうかということは、これから相当勉強していかなければなりませんし、いままでのやり方がいいかどうか、これも反省しなければならない時期だと思います。しかし少なくとも現行運賃法上は画一であるというたてまえでございます。したがいましていろいろな矛盾が出てまいります。ただ私どもといたしまして、実は先生承知かと存じますが、昭和三十五年でございましたか、四カ所ほど特別運賃を取ったことがございます。これは新線の建設ができまして、その部分の赤字が非常に多いということで、たしか五カ所だったと思いますが、旅客では約七、八割増し、貨物では二倍くらいの運賃をいただいたこともございましたけれども、やはりその地域からの反対が非常に強くて、結局一年くらいでやめてしまった例がございまして、なかなか全国画運賃を簡単にやめるというようなことは言うべくして行なえませんし、また、はたしてそれがいいかどうかということについても根本的な社会的ないろいろな問題があると存じます。したがってこの画一運賃ために、原価的に見ますと非常に不合理なところもあれば、また国鉄全体としての収支をカバーするという総合原価主義から申しまして、やはり若干の矛盾が出てくることもやむを得ないというふうに考えております。  したがいまして、私どもといたしましては、その意味の旅客貨物運賃の今後の持っていき方については、いろいろな外部の方々の御意見を承りまして、本格的に、十年先のことをいまから考えなければいけないというふうに思っています。ことに貨物運賃トラック運賃はほとんど自由運賃にひとしいと申しますか、実質的には過積みその他の問題もございまして、実際は非常に国鉄運賃との値幅が広いというようなこともございます。また、旅客運賃につきましても、飛行機あるいはマイカー等につきましての政府の実質的な援助というものは相当見のがすわけにいかない。こういう状況で、今後国鉄がいままでどおり自分だけの採算で運賃をきめるということは、ただいたずらに運賃の高騰を来たすのみであるというふうにも考えます。したがって、今後は交通機関として、冒頭に先生の御質問がございました、一体国鉄がどういう輸送分野をやるのが適切であるかということがやはり問題の根本であるというふうに思います。  と同時に、私どものほうから申しますと、いわゆる運賃上の公共負担がたくさんございます。これは国鉄が独占時代であった時分ならば、もう当然受けるのはあたりまえだと思います。しかし、ほかの公共事業、たとえば電灯にいたしましても、あるいは電電にいたしましても、いわゆる社会政策的な料金の公共負担というのはあまりないというふうに承っているところであります。たとえば電力で申しますれば、私ども相当この付近の電力を電力会社が買っておりますが、ピークの電力が一番高いという現象でございます。ところが国鉄では、輸送のピークであるラッシュアワーが安いということで、もう料金制度の立て方そのものが、同じ公共事業でございましても根本的に違っているというところにも一つ大きな問題がございます。これはもう政治問題として諸先生方にお考え願わなければならない問題だと思いますが、そういう意味で、私どものほうは独占性を失いながら、かつ独占性のあった時代の運賃上の公共負担をそのまま持ち越しているというところに、やはり非常に大きな運賃上の問題があるということを国鉄サイドから申させていただきます。
  11. 内海清

    内海(清)委員 一応、総合交通体系もできましたので、これで各輸送機関分野がはっきりして、これが徹底してくれば、その辺もまたかなり考え方が変わってくる。同時に、やはり国の産業政策あるいは都市政策というもの、これも運賃問題以前の問題としてこれがはっきり確立しなければ、それに対応したものができてこないのではないか。この点は政府においていままで確かに足らなかった。運輸大臣ももちろん国務大臣でありますから、歴代の方がそういう点も考え合わしてこの問題には取り組んでこられたと思いますけれども、従来の経過から見れば、これはまことに不十分であったということ。これらがはっきり確立されて、しかも総合交通体系が具体的に徹底して実施されてまいりますと、これはかなりまたその辺の様子も変わってくるのだろうと思います。運賃問題につきましても、それらが十分行なわれたときに初めて理論的に最も正しいものが出てくる、公正なものが出てくるというふうに思うのでありますが、この問題はなかなかいま議論して解明するわけにまいりません。また機会を得まして、いろいろこの問題には取り組んでいく必要があるだろう、こういうふうに考えるのであります。  次は、国鉄運賃の改正というものと、いわゆる国鉄財政再建、この問題につきましては全く密接な関係がございます。したがって、この二つは切り離すことができぬ、こういうことは申し上げるまでもございません。そこで、一つお尋ねいたしたいと思いますのは、今回提案されましたこの法案の目的と申しますか、提案されました理由を見てまいりまして、私は、運輸当局が、わが国におきまする全般的な交通運輸政策について、ほんとうに総合的な一つの指導理念を持って、これをはっきりして指導しておる、また国鉄当局としての長期計画に対しまする意欲というふうなものが、ほんとうにこの法案で十分国民にうかがえるかどうかという点に、いささか疑問を持つのであります。総合交通体系の趣旨がほんとうにこれに十分盛り込まれておるかというふうなことも考えるのでありますが、むしろ、政府の指導目標と申しますか、指導理念といいますか、そういうもの、あるいは国鉄の意欲というふうなものよりも、財政再建推進会議意見書の趣旨というものが主要な背景をなしておるのじゃなかろうかというふうに見られるのでありまして、運輸当局なり国鉄当局はそれに追随していっているのじゃないかというふうな感じさえ持つのであります。この意見書というものはもちろん尊重さるべきでありましょうし、これが基本をなすものでありましょうけれども、もっと運輸省の指導理念と申しますか、指導目標というもの、さらに国鉄自身再建の意欲というものがこの法案に十分あらわれるようなものでなければいけないのではなかろうか、こういうふうに思うのであります。これにつきましては率直な御意見をお伺いいたしたいのであります。  さらに、それに一つ加えまして、国鉄再建に対する負担の分担比率と申しますか、こういうふうなものにつきましてもこの際はっきりしておく必要があろうかと思いまするが、この法案にあらわれておるものでほんとうにいいのか、それともまだ、たとえば国鉄としてはこうしてもらいたいという再建ための意欲からいたしますならば、いろいろあるだろうと思う。そういうものも、忌憚のない御意見をあわせてひとつお伺いいたしたいと思うのであります。
  12. 磯崎叡

    磯崎説明員 今回政府から提案されました法律改正の内容そのものにつきましては、政府側の御答弁かと思いますが、私どもの率直な意見を申し上げさせていただきますと、法律の文面そのものはきわめてかたい文面でございますが、その中に、私どもといたしましては、やはり何とか五十六年度までには収支の償う企業にしなければならない、たとえその時点で膨大な借金が残っていようと、あるいは累積赤字が残っていようと、それはそれから徐々によくなっていくのだということを前提といたしまして、何とか五十六年度までにはこの企業を、ちょうど百年を迎えてよくしなければいけないのだという意欲だけは十分盛り込んであるつもりでございます。しかし一方、現実の姿を見ますと、これはもう過般来諸先生方からいろいろ御議論がございまして、この前の四十四年からの再建計画の失敗等から見まして、今度は大臣中心に一年間かかり、また当委員会も、小委員会までお設けくだすって国鉄問題を御検討いただいたわけでございますが、それらの御意見が非常に強いバックになりまして、政府としてはいままでにないような大きな考え方を持ってくだすったわけでございます。しかし、私どもといたしますれば、たとえば、かりに先般の仲裁裁定の問題一つとりましても、またつい一昨日終わりましたゴールデンウイークの輸送実績等を見ましても、これからは非常にきびしい経営をやはり続けていかなければならないということがはっきりしているわけでございまして、その点いまの政府の御援助だけでということを確約しろということにはなかなかならないかと思いますけれども、私どもといたしましてもできるだけの努力をいたしまして、この線に沿ってやってまいります。しかし、たとえば先般の四十四年から始まりました再建計画が狂いましたのは、収入面で一・五%の狂いでございます。三兆三千億の収入見込みに対しまして一・五%、すなわち一%強の食い違いがすべての食い違いになっている。収入面で一・五%、それから経費の面では、物件費その他は全部予定どおりでございますけれども、人件費が四・八%予定よりふえている。この収入面の三兆三千億に対する一%の見通しの食い違い、並びに経費の面における、これはまあ非常に大きゅうございますが、約千億の四・八%の食い違い、これがわずか三年にして再建計画を改めざるを得なかった現状でございまして、この点につきましては、私、経営者として非常に責任を感じておりますけれども、やはり問題は、今後に来たる人件費の問題等も非常に大きな問題、頭数の問題と同時に人件費の問題、単価の問題も非常に大きな問題であるし、その他いわゆる閑散線の整理の問題にしましても、いろいろまた問題も残っているわけでございまして、いずれにいたしましても、非常にきびしい十年間の再建計画でございまして、決してなまやさしくこれが達成できると私は思っておりませんが、全力をあげてこの線に沿って努力してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  13. 内海清

    内海(清)委員 いろいろお話を承りましたけれども、私が最後につけ加えて質問いたしました国鉄再建に対しまする負担の分担というもの、その点が、これはまあ国鉄自身の問題、それから利用者の問題、国の問題、政府の問題と、こうあると思いますが、それらについて、いまの国鉄状態から考え、これを再建するということからいえば、当然かくあってほしいという国鉄のお考えはございませんか。
  14. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄再建につきましての利用者の負担の問題、あるいは政府からの援助の問題並びに国鉄自体合理化の問題、この三つの問題をどういうふうなバランスで考えるべきか、これは前回のときも非常に御議論のあった点でございまして、もちろんこれには通説その他はないと思います。やはり現状に即しまして考えなければならない点だと思いますけれども、今回の政府の援助、これは諸外国等から——まあ外国の例が必ずしも私は妥当だとは思いませんが、ことにヨーロッパの例で申しますれば、経費負担については、今度は政府は約一〇%程度の援助をしていただいたわけでございます。ところが、ヨーロッパその他では二〇%から多い国で二五%、ところが逆に今度は建設費と申しますか、これからの仕事をどの金でやっていくかということになりますと、もうヨーロッパのほうではほとんど今後新しい工事がない。新幹線的なものもいろいろ議論があるようでございますが、実際には具体化しないということで、ほとんど新しい面に対して政府は金を出していない。ところが今度は日本におきましては、七兆の投資に対しまして政府は一兆の金を出資するというふうなことで、多少その国の事情によって違いますけれども、私どもといたしましては、どれだけ政府から出すのが適切かということは非常にきめにくい問題だと思います。しかしながら、いまきめられましたこの数字によりまして、一応これが妥当なものとして私は全力を注いでこの方針でもってまいりたい。どういうふうな率であるべきかということは非常に数字の出しにくい率であるし、また国鉄合理化自体も、はたしてこれでいいのかということについても、いろいろ問題があると思います。それらを総合的に進め、今後の推移を見まして、実際避けがたいような事情等がないとは申しません、それらに対しましては適切にまた考えを改めていく、しかし、現時点におきましては、この計画全力をあげて遂行する、ということ以外にはないのではないかと考えるわけでございます。
  15. 内海清

    内海(清)委員 まあ国鉄総裁としてはごもっともな御答弁だと思います。しかし、国鉄経営の責任者としてはいろいろ考えておられると思うのであります。まあこれは、監督官庁の政府、運輸省に対してこういう席で率直な意見は申し述べにくいことだと思いますけれども、これは私は大臣に要望しておきますのは、そういう点をほんとう国鉄当局と忌憚のない意見の交換をされて、そして一日も早く国鉄再建できるようにやることが、これは一つ国民要請であり、同時に国の要請であると私は考えるのであります。いままでの政府の態度——今度はかなり前進したことは私とも認めるわけであります——これか今日の国鉄状態をここまで追いやった、こう言うよりほかに私は道がないと思うのであります。そういう点につきましては、ひとつ十分今後におきまして運輸当局と国鉄において、再建ために最善の努力をしていただきたいと、要望しておきたいと思います。  次にお伺いしたいと思いますことは、前回、四十四年五月のこの運賃値上げでありますが、この際には政府は、この国鉄財政再建推進会議、これから出されました意見書——国鉄みずからの徹底的な経営の能率化、合理化、国及び地方公共団体の財政援助並びに運賃改定を行なう必要がある、こういう意見書というものが出ておるわけでありますが、この意見書の趣旨にのっとって法案を出された、こういうふうに思うのであります。政府決定いたしまする国鉄財政再建の基本方針、及び国鉄が定めます再建計画の実行、これを通して国鉄近代化、能率化、これの批准を確保すると同時に、国の財政措置をきめて、そうして運賃値上げとあわせて、この抜本的な財政再建をはかろう、これを進めていこう、こういうことであったと思うのであります。このことをいわばこの国会の審議を通じまして国民に公約されたわけであります。ところが、それから今日までこの公約がはたして実行されたか、果たされたか。これは、この十年計画は三年にして改定せざるを得ない。先ほど来、いろいろまたこれについてのお話もございましたけれども、いわば公約を忠実に実行していないということであります。ただ、ここで言い得るのは、公約を実行したのは、国と国鉄利用者との三者のうちで、いわゆる利用者のみである。運賃値上げに好んで応じたわけではないけれども、とにかくこれに応じた国民のみが公約を果たした、こういう形であるといわざるを得ないのであります。ここが非常に問題でありまして、この点が今回のこの値上げ法案にも十分検討されなければ、国民はなかなか納得しないであろう、こう思のでありますが、これにつきまして、これは大臣並びに総裁からひとつ御所見を伺いたいと思います。
  16. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 四十四年度の財政再建計画を三年にして改定しなくちゃならぬということの理由につきましては、ただいま国鉄総裁から御答弁を申し上げたとおりでございまして、いわゆるモータリゼーションによる旅客輸送、また定期旅客減少、また石炭あるいは木材等、第一次製品の貨物の大幅な減少によります収入の見込み違いというようなこと、また先ほどお話しのございましたとおり人件費の見込み違い、こういうような点におきまして三年で改定をやむなくした次第でございますが、今回の再建計画はそれらの点を、現在の財政能力におきましては精一ぱい今回は出したつもりでございます。と申しますのは、もうすでに御承知のとおり、十カ年にいたしまして七兆億の投資に対しまして約七分の一、一兆円の国の財政出資、それからまた利子補給その他につきましてまた一兆円にのぼるところの財政援助、それからいままでの債務に対しまする三分の三の十年間たな上げによりまするところの財政再建債の、約七千億円を上回るところの国の施策というようなことと、またそれだけでございませんで、今回の国鉄再建策の根本は、先ほど総裁から御答弁を申し上げましたが、欧米の汽車輸送というものは大体現状維持をするのにいかにするのか、現状を維持するのにいろいろやはり公共方面の助力が必要であるというような検討からされておる次第でございますが、今回の国鉄再建につきましては、やはり国鉄使命というものはまだまだ多いということは当衆議院の国鉄の小委員会におきましても各党そろってお認めをいただいた次第でございます。それによりまして私どもは良質サービスを提供する、近代的の輸送方法に思い切って切りかえるというようなことを主眼にいたしまして、これはよほど出さなくちゃいかぬということで七兆にのぼるところの設備投資とともに、御承知鉄道建設公団によりまして上越新幹線と青函トンネル、これだけでもうすでに六千億からの予定がされておる次第でございます。また大都市交通におきましても、またそういう方面におきまして鉄建公団によりまするところの新しき施設というものを考えておる次第でございまして、大体におきまして少なくとも本年度はやはり千三百億ぐらいになりますか、しかし十年に及びますれば必ずもう一兆を大きく上回るというだけの良質サービスの提供ということを計画をしておる次第でございまして、そういう点では現時点の財政規模から申しますると、相当思い切ったものだろうというふうに思っておる次第でございます。しかしながら先生の御指摘のとおり、私ども先般の予算で御審議をいただきました案におきましても、本年度の千百八十四億の財政支出でございますが、しかし十年間におきましては、大体におきましてただいま申し上げました財政援助がぎりぎりの線である、こういうふうに思っておる次第でございまして、将来財政規模が伸びるに従いまして、御鞭撻をいただきまして、私ども努力をしてまいりまして、できるだけそれらの点につきましても、国鉄輸送改善のためには政府も力を入れるとともに、国鉄自体におきましても、国鉄職員が一丸となりまして、今日の陸上交通大動脈であるという使命にかんがみまして、生産性の向上その他をはかっていただきまして、そうしてできるだけ合理的の経営によりまして、政府の援助とまちまして利用者負担の程度というものを低めていきたい、こういう努力をしていくべきでございます。私どももそういう方面におきまして強く指導してまいりまして、国民の皆さまの御納得をいただいてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  17. 磯崎叡

    磯崎説明員 昭和四十四年度からの再建計画におきましては、まず国民にお約束いたしましたのは十年間で三兆三千七百億の設備投資をいたしまして、そして輸送力増強につとめるということを申し上げたわけでございます。幸いその点だけは三年間で一兆一千億の投資をいたしまして、自己資金の不足分は政府から金を借りまして、とにもかくにも設備投資だけは予定どおりやったわけでございまして、あるいはこれは企業からいえばさか立ちの企業だというふうに識者は言うかもしれませんが、財政状態そのもの、国鉄自体財政状態は先ほど申しましたとおり収入において一%減、人件費において五%増ということで相当な食い違いを来たしましたけれども国民に一番直接関係のある設備投資だけはおかげさまで予定どおりやれた。結局自己資金の足りなかった分は政府から金を借りてやったということになるわけでございます。しかし長期的に見ますれば、借金をしてそして仕事は一応している。しかし財政状態自体が悪化しているということは、決してこれは感心したことではないというふうに考えます。やはり設備投資をする以上、それにふさわしい財政状態でなければ、本来ならば設備投資をするべきでないという議論も当然出てくると思いますが、しかしこの三年間、背に腹はかえられず、とにもかくにも設備投資だけはやってまいった。それが利子の負担その他でもってはね返ってきているということで、企業としての体質は決してよくはなってなかった、ならなかった、しかし輸送力増強だけはとにもかくにもやってきた、というところに相当無理が出てきたというふうに私は思います。したがってどうしてもここでもって企業自体の体質を改善いたしませんと、今後長期にわたって見た場合には非常に悪い、収拾のつかないような財政状態になる。それで最後には設備投資さえできなくなるということになってはいけないというのが今度の推進計画の内容であるというふうに存じております。
  18. 内海清

    内海(清)委員 前回の計画はいわば失敗したということでありまして、もちろんその反省の上に立って今回の法案は提出されたと思いますが、先ほどの総裁お話からいたしますと、いわゆる前回の計画と大きく見込み違いがあったのは、収入の減と一つは人件費の増大、こういうことに要約されておるようであります。私はこの見込み違いというこの問題、ただそれだけでいつも済ましていいのかということであります。それでは国民はなかなか納得しないのではなかろうか。やってみたが見込みが違ったからやむを得ぬのだという。そのことは、とりもなおさず今回の法案提出にあたっても国民が第一に感じることであると思うのであります。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 やはり国民納得して、そうして国鉄財政再建に参加するという、これが出てこなければならぬと思うのであります。見込み違いということは、いわばこの間におきまする社会情勢の変化であるとかあるいは経済情勢の急激な変動でもあって、なるほどこれはやむを得なかったというのならけっこうだと思うのであります。納得すると思うのであります。それがない以上はなかなか納得しない。だから極端なことを申しますと、初めからこれはむずかしいが、まあこのくらいでやっておこう、いけなきゃまた変えるのだというふうなことで、いわゆるつじつまを合わせた計算によっての計画ではなかったのだろうか、計画が甘過ぎたのではなかろうか、こういうふうな気持ちがいたすわけであります。これにつきましてもひとつ——その辺のところは答えはわかっておる。おそらくそういうことではないのだということでありましょうが、社会情勢、経済情勢に大きな変動があったらこれはやむを得ぬのでありますが、その辺についての前回失敗したことにつきまして御反省があると思いますが、御所見があれば伺いたい。
  19. 磯崎叡

    磯崎説明員 前回の計画の中で、先ほど申しましたとおり、問題は私のほうの財政体質の改善が計画どおりじゃなかったということでございます。したがって、その中の内容をなすものは、いま先生の御指摘のとおり、やはり収入問題と経費の問題でございます。収入は一%の違い、これは非常にむずかしいことでございまして、ほかの国内のシンクタンクその他にいわゆる輸送需要というものをいまいろいろ検討してもらっておりますけれども、三年先、五年先一%以内で収入の見通しを立てるということは非常にむずかしいことで、その程度の誤差というものは民間企業でもある。結局それを吸収できるかできないかということであろうというふうに思うのであります。私どもはもう伸び切ってしまってそれ以上の吸収はできない。しかし、民間企業であれば一、二%の違い、あるいは販売の落ちたものは、何かほかのことで吸収する、そういうふうな方法がある。ただ、私どもは非常に金額が大きいものでございますから、一%と申しましても百億でございます。したがって、その意味の誤差というものは非常に大きい。誤差を出さないこともむずかしいけれども、何とか少しでも正確度を高め、そしてもし足りないときには物を売ってでも土地を売ってでもその穴を埋めるというふうな方向で収入を確保するという以外には方法はないというふうに考えております。したがって、今回は十年門で六百億の土地を売るということを一応計画いたしておりますが、これもその年その年の状況によりまして、収入状況の悪いときはよけい売る、いいときは売り方を減らすというふうな弾力的な、そこにバッファーを持たなければいけないというふうに思うわけでございます。  それから人件費につきましては四・八%の違い、これは非常に大きい。三年間で約一千億の食い違いをいたしております。これは非常にむずかしい問題でございますし、ことに私どもは仲裁委員会の裁定には絶対に服さなければいけないということになっております。したがって、私どもといたしまして人件費を将来一体どう見るかということがやはり計画の基礎になると思います。前回は御承知のとおり一応九%で見たわけでございますが、今回は先般も申し上げましたとおり一二・一、一一・一、一〇・一というふうな見方をしております。これも政府計画の中でも昭和五十年までの計画は御承知のとおり新全総で一応の収入の伸びは検討されておりますけれども、五十年以降の収入の伸びにつきましては結局国民総生産にたよる以外にないということでございまして、人件費の今後の伸びの見通しは非常に困難だと思います。しかし、私どもは一応政府のいろいろな計画、これは公定された計画の中から選びまして、いま申しましたような数字を使っておるわけでありますが、そういう反省に立ちまして今後新しい計画を遂行してまいりたいというふうに思います。収入にいたしましてもいま申しましたとおり一%違うと百億違うというふうな非常に巨大な額でございます。普通の民間産業ならば、その程度の食い違いはさっき申しましたとおり土地を売れば大体つじつまが合う。しかし私どもでも百億の土地を売るということは非常にむずかしいことで、今後はそういうバッファーをいろいろ考えまして、収入が減ったらどうにもしようがないということでなしに、単年度単年度で収入の減をカバーするという方法も考え、かつまた人件費につきましてもいま日本の長期計画の中で信頼に足る長期計画を参考とさせていただいて人件費を組んだわけでございまして、この線で全力をあげてやってまいりたいというふうに、思うわけであります。
  20. 内海清

    内海(清)委員 これは収入の面では一%強の違いであって、民間企業でもあることである、あるいは経費の問題で大きく食い違った、これが前回の反省のようでありますが、そういたしますと三年間でもってこれだけの食い違いができたということは、今回の十カ年計画というものに対して一つの不安を感じるのであります。これは再建期問の問題ともからんでまいりまして、できればあとでまた論議したいと思いますけれども、こういう点はひとつ十分見通しを立ててやる。ことに経費のうちの人件費の問題につきましては、国鉄あるいは公共企業体のみできまるものではございません。多くは仲裁裁定できめられる。仲裁裁定の問題はやはり民間の企業におけるこれが基礎になると思うのです。そういう点はわが国社会情勢の変化によって労働問題、労働情勢の分析というものなら、およそ見当がつかなければ大きな食い違いが出るというところに私は問題があると思うのであります。こういう点から考えまして、特にいまの状況から申しますれば非常に物価高である。物価高であって、働く人の生活は困難である。これはおそらく政府の統計でも所得のうちの生活に使い得るものはパーセンテージからいえばむしろ減っておる、こういうときでありますから、これはよほど十分に分析してまいらぬといかぬのではなかろうか、こういうふうに思うのであります。そういう点から考えますと、いまのような御答弁からいたしますと再建十カ年新計画に対しても一つの疑問を持つのであります。せっかく現在のもので三年間やってきたのであるから、これはあともう七年あるわけであります。これを可能な限り修正なら修正しながらやっていくということ——前のがいけないからまた新しいものをつくる、新しいのもまた二、三年で変わるのかということに相なると思うのでありまして、こういう点につきまして議論しておるとなかなか時間がございませんが、いまの点につきまして御所見があればお伺いしておきたいと思います。
  21. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点いろいろ理由がございますが、一つの大きな理由は先ほど申しましたとおり、前回の計画におきましては十年間で三兆三千億投資をするということでやってまいったわけでございます。ところが、その時分は御承知道路が非常に延び、自動車全盛時代がいずれ来るであろうというふうにいわれたときでございました。その後公害問題その他いろいろな問題と関連いたしまして、先ほど先生指摘総合交通体系をいろいろな方が論議されておる間に、もう一ぺんここで通勤輸送だけでなしに鉄道使命というものを見直す必要があるのではないかというふうな御議論になりまして、その点が今度の一つの大きな問題といたしまして十年間で七兆の投資をする。前の十年間と比較いたしまして約倍以上の設備投資をしなければ、今後の日本の経済発展あるいは工業再編成等に応ぜられないというふうな結論になりまして、まず設備投資の面から新幹線を除いて年間約五千億、これが昨年の五月発足されました当委員会の小委員会におきましても、これは各党の諸先生方を通じまして、全部年間五千億以上というふうなお話があったわけでございます。それをそのままちょうだいいたしまして、その分が約五兆、それにさらに新幹線の約二兆を加えまして約七兆というふうに、投資そのものが非常に大きく変わってきたわけでございます。したがって、先ほど申しましたように、設備投資が非常に飛躍的に大きくなれば財政状態自身も変えなければいけないということで、これを十年間に直したということでございまして、根本はやはり先生の冒頭の御質問の、結局総合交通体系の中で鉄道の地位をどう見るかという問題であるというふうに思います。あの当時の見方といまの見方とは少し見方が違ってきている。昨年の暮れの総合交通体系委員会でもあるいはその前の運輸政策審議会におきましても、鉄道がもう一ぺんここで見直される時代が来て、そしてここで新幹線あるいは通勤輸送のみならず、在来線についても相当根本的な改善をすべきだというところに着目された諸先生方の御意見一つのバックボーンになって、新しい計画を考え直すということでございまして、やはり基本はそれだけの大きな設備投資をするには体質を改善しなければいけないということでもって、どうしてもそれは五十三年までにはできないということが根本である。したがって、先生の冒頭の御質問の、やはり総合交通体系の中で今後鉄道がどういう地位を占めるのかということが前の計画を御破算にして新しい計画をつくりました一つの大きな原因であるというふうに私は思っているわけでございます。
  22. 内海清

    内海(清)委員 いろいろ御答弁ございましたけれども、新計画は、確かに現在の計画の失敗というものを反省して、その上に立って新しい総合交通体系もできたし、そういうものによってやっていこうということであると思います。しかし、今回の新計画は、これはいままでのよりも、特に国の面におきまして非常に前進したことはわれわれは認めるのであります。ところが、長期の計画になりますと、これは実際において不確定要素がきわめて多いのであります。ことに、国の予算は単年度予算である。そのときの国の財政状態によって大きく左右されるというおそれがあるのであります。こういうことで、不確定要素というものがきわめて多いのでありまして、考え方としてはこれは非常にむずかしいということはわかるわけであります。しかし、新計画も十カ年計画でありますから、これがまたまた二年や三年で見通しが違ったということであると、これは重大な問題であると思うのであります。政府はもちろんでありますけれども国鉄自身が全く国民の信頼を失うことになるのではなかろうか。そうすれば、再建はいよいよ困難になってくる。ひいては国鉄経営の破綻にまでもいきかねぬのではなかろうかというふうに考えるのであります。  さらに、私どものおそれますことは、この委員会に属しまして、いま運賃の問題、国鉄財政再建の問題を論議しておるのでありますけれども、これがうまくいきませんと、一そう国民の政治不信につながるのではないか。これは議長といたしまして当然考えることでありまして、これはきわめて重大な問題だと私は考えておるのであります。そういう点で、今回のはこれは必ず完遂できるのだという見通しが当然国民の前に明らかにされなければならぬのではないか、私はかように考えるのであります。その点につきましての御所見があれば大臣総裁からひとつお伺いいたしたいと思います。
  23. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの内海先生の御指摘のとおりでございまして、今回の再建計画がまた前回のようなことで、あるいはそういったような経済事情の変化社会構造変化に対して見通しが間違って、それでまた再び挫折をするというようなことがありましたら、これは容易ならぬことと思う次第でございます。それゆえに、今回は長期計画ではございますが、政府といたしましても十カ年の財政支出をするにつきましても最小限度の点はこれだけの助力をするということも天下に公表をしている次第でございまして、私どもといたしましては国民の皆さまの御信頼を得るためにも、どうしてもやはり国民の一番の足でございますこの国鉄が、何といってもよくなった、大都市の混雑率も大体二四〇から二〇〇に下げるという努力をしておるようでございますが、それらの点につきましても非常によくなってきた、また、快速車も冷房車もできつつあるというような点につきまして格段の努力をいたしてまいりまして、しかも、財政基礎も国民需要にかなってまいりますれば、必ずこれは合理的に運営ができる。国民の御要望にかなわないような設備投資をするということになってまいりますると、これはやはり破綻がくるということでございまして、やはり基礎は何と申しましても、国鉄が全体として一丸となりましてこの大使命に自覚をしていただきまして、そして邁進することがまず第一でございますが、それらの点につきましてもあらゆる限り合理的の運営をする、近代輸送に切りかえるということによりまして、せっかく御審議を願いました今回の十カ年計画を有終の美をおさめる、そうして国民の御負託にこたえるという強い決心で進む覚悟でございますので、一そうの御鞭撻をお願いしたい、こう思う次第でございます。
  24. 磯崎叡

    磯崎説明員 御答弁申し上げます前に、先ほど申しました数字がちょっと誤っておりましたから訂正いたします。  第一次の再建会議設備投資総額は三兆七千億でございまして、先ほど三兆三千億と申しましたが三兆七千億の誤りでございますので訂正さしていただきます。  さて今回の十カ年計画、はたしてほんとうにやれるのかどうかという端的な御質問でございますが、私は、先ほどるる申し上げましたように、前提条件が非常にむずかしいことがたくさんありますし、また内部の問題一つとりましても四月上旬からずっと国民に御迷惑をかけっぱなしであるというふうな情勢等も踏まえた上でいろいろ考えてみますと、私としては非常に困難なきびしい事態が前途に横たわっておるということをしみじみと痛感しておるわけでございまして、その点は私どもといたしましてはそういう事態を十分認識した上でこの計画に沿って何とか五十六年度までに国鉄再建を、きびしい中にも新しい光明を前提に見出してやってまいりたいという強い覚悟を持っておる次第でございます。どうぞ国民の御協力をお願いいたしたいと思っておりますが、しかし何と申しましてもむずかしい事態がたくさんございます。しかし四十数万のマンパワーを結集いたしまして全力をあげて進んでまいりたいと思う次第でございます。
  25. 内海清

    内海(清)委員 非常に長期計画でありまして、今後の問題といたしましていろいろ困難があるということでございますが、何とかこれを切り抜けようということでありましょう。  特に大臣に私はこの際お伺いしておきたいのは、一応いままでの審議の過程におきましても、十カ年間に政府国鉄に対する助成援助というものは大体の数字が明らかになっております。しかしまだこれでは足らぬ面もあると私は思います。これが最低のものでなければならぬのでありますが、この点は大臣として今後十カ年間に、この委員会で述べられました政府助成援助の金額というものは、どういう情勢がありましても国鉄再建ためには国が実行するのだ、こういうはっきりした考えがなければ、決意がなければ、これはどうもならぬと思うのであります。また総裁のいまの御答弁からいいますと、やはり非常に不安を感じる、いろいろ困難な問題がある、これを何とか排除して目的を達成したというその心意気のほどはわかるのでありますが、この問題はよほどはっきりされませんと、国民はやはりいままでの計画と同様な見方をするであろう、こういうふうに思うのであります。その点につきましては、くどいようでございますけれども、もう一度大臣なり総裁からお伺いいたしたい。
  26. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御指摘のとおりでございます。私も今回の財政再建運賃改定を行ないます場合には、どうしても最小限度これだけの国の助成が必要であるということを確信をいたしまして、大蔵大臣とも十分その点は煮詰めた次第でございます。一内閣のあれでございますからまだ御不安もあると思いますが、しかしこれらはいままでの予算編成におきましては異例なことでございまして、内部の問題でございますが、文書まで取りかわしましてこれを定めた次第でございまして、この点は私ども国民の御支持をいただきまして、議員をいたしております限り私はあくまでも推進をする、必ず約束を守るという強い決心で進んでおる次第でございますので御了承願いたい、こう思う次第でございます。
  27. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま大臣もおっしゃいましたとおり、私どもといたしましては、政府としても従来と違って相当画期的な考え方でもって国鉄使命の完遂に協力してやろうという御意思がはっきり数字であらわれておりますので、これを一つのいしずえとしまして今後部内の意思を統一いたしまして全力を尽くして邁進してまいりたいということをはっきり申し上げておきます。
  28. 内海清

    内海(清)委員 いまの御答弁に関連いたしましてここで一つ私確かめておきたいと思いますのは、今回の新計画にあたりまして、国鉄財政再建対策要綱というものが出ております。これは大蔵大臣と運輸大臣と自民党の政調会長と自民党の国鉄再建懇談会の座長の四名の間で取りかわされたものであると思います。国鉄財政再建に関しましては、この再建法によりまして、これが閣議決定になり、その閣議決定に基づいて国鉄再建計画を立てて運輸大臣の承認を得て実施されるものであると思います。そういたしますと、この要綱なるものは閣議決定までいっておるのかどうか、こういう問題であります。もしこれが閣議決定されておらなければ、この四者における一つの覚え書き的なものである、私はそう思うのであります。この要綱なるものが閣議決定されれば、今後十カ年間にこれに載っておるものは確実に実施されなければならぬというのがたてまえでありましょう。その点についてひとつ大臣から御所見をお伺いいたしたい。
  29. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 御承知のとおりこれの性質はあくまでも政府内部のものでございます。しかしながら予算編成におきましては、それらのものを含めまして、国鉄再建につきまして最終的に閣議で決定されたもの、こういうふうに私は理解しておる次第でございます。これらの点につきましてはいずれ最高責任者である総理も出席をいたしまして、いろいろ御質問にお答えをすると思う次第でございますが、その点はそれも含めましてきまっておる、こういうふうに私は考えておる次第でございます。
  30. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、この要綱は閣議決定されたものであると理解してよろしゅうございますか。
  31. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 それらの趣旨を含めまして、その全体としての再建計画は閣議決定をした、こういうふうに思っておる次第でございます。
  32. 内海清

    内海(清)委員 趣旨を含めてということでありますが、趣旨だけ決定されたのではいかぬので、これの内容がきちっと閣議決定されたということでなければならないと思うのです。その点はさように解釈してよろしゅうございますか。   〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕
  33. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 四十七年度の予算決定に際しまして、これらの将来の計画も含めて財政再建計画決定した、こういうふうに私は了解している次第でございます。
  34. 内海清

    内海(清)委員 それではどうもはっきりしませんけれども、これも閣議決定された、かように理解いたしたいと思います。それでよろしゅうございますね。  それでは次に、大臣に特にお伺いいたしたいと思いますのは、今回の運賃値上げ案を見ますと、これはもちろん国鉄運賃法によっておることは当然でございます。ところが運賃法の中でこういう項がございます。旅客運賃及び貨物運賃並びにこれに関連する運賃及び料金は、左の原則によってこの法律で定める。一つは「公正妥当なものであること」、次が「原価を償うものであること」、それから三番目が「産業の発達に資すること」、四番目が「賃金及び物価の安定に寄与すること」、この四つ運賃法におきまする運賃値上げの原則でなければならぬわけであります。だからこの四つに照らして今回の運賃値上げというものは運賃法の趣旨にさらにもとっていない、こういうふうにお考えになるかどうかということであります。一番の「公正妥当なものであること」これはいろいろ主観的に見方がございましょう。あるいは「原価を償うものであること」ことに「産業の発達に資すること」あるいは「賃金及び物価の安定に寄与すること」、これらの問題についてはいささか危惧を持たざるを得ないと思うのでありますが、これにつきましての御所見をひとつお伺いいたしたい。
  35. 山口真弘

    ○山口政府委員 ただいま先生指摘のように、運賃法第一条第二項には運賃決定原則が法定されております。それでこの原則はもちろん各原則ごとの独立したものではございませんで、総合的に参酌すべきものではございまするが、一応考えてみますと、第一号の「公正妥当なものであること」これは当然基幹的な交通機関としての国鉄使命にかんがみまして、その運賃の中身その他が負担の不均衡を生じない合理的な運賃の制度を持っておるというようなことを意味するわけでございます。さらに第三の「原価を償うものであること」ということにつきましては、これはもちろん単年度の原価ということだけで考えるべき性格のものではございませんで、今回の運賃の改定の内容といたしましても、長期収支の均衡ということを考えまして、そういう点を基礎に置いてあるわけでございます。第三の「産業の発達に資すること」ということでございますが、これも全体としての国鉄運賃制度というものが産業の発達ということを考えておるわけでございまして、たとえば等級制の存置の問題だとか、あるいは全国画一賃率の問題だとか、あるいは遠距離逓減制の問題だとか、そういったような問題をどの程度まで認めるかというような問題がございますが、とにかくそういうようなことによりまして産業の発達ということも十分に考慮した上でございます。さらに賃金、物価の安定に寄与するということもございます。これは今回の運賃改定におきましても消費者物価あるいは家計等の状況というものを十分に考慮いたしまして、必要最小限度の運賃改定にいたした次第でございますが、いずれにいたしましても、こういったような各原則を総合的に判断いたしまして、そして今回の運賃改定の案を提出したわけでございます。この法律案の趣旨にのっとったものと考えております。
  36. 内海清

    内海(清)委員 いま局長の御答弁がございましたけれども、四原則を総合的に判断してやったと言う。しかし、これは一つ一つが妥当なものが出てこなければ、総合してみてもやはりそれは正しいものではない、私はかように思うのであります。これは公正妥当なものであるという、いま局長いろいろお話しになりましたが、最初私が申しましたように、現在の運賃水準と申しますか、運賃決定にあたりましてもいろいろ矛盾点があるということを申し上げたわけであります。これから考えまして、私自身ははたしてこれが公正妥当なものであるかどうかという点につきましてはいささか疑問を持つものであります。それから、そういう点から考えても「原価を償うものであること」ということについても、競争運賃の面から見れば、これまた多少疑問を持たざるを得ない。それから「産業の発達に資すること」というものを考えますと、これはいま立地条件の問題もございますし、あるいは自動車の発進、いわゆるモータリゼーションの発達によってのいろいろ貨物の動きの問題もある。これではたして十分産業の発達に資することができるのかどうかということ。それから賃金及び物価の問題であります。賃金は先ほどもいろいろお話がございました。ところが、このことが賃金を安定せしめるかどうかという問題。もちろん値上げによって国鉄財政がよくなってくれば、ひいてはこれまた賃金の安定にもつながることは十分わかるわけであります。ことに物価の安定ということにつきましては、いま御承知のような非常な物価高で、国民が生活の圧迫を受けておるとき、しかも最近生鮮食料品がかなり落ちついたというけれども、物価は年々相当な上昇を来たしておる。この運賃値上げが物価に影響することは、これは当然であります。まあいままでの、発表になりました物価に影響するもの、あるいは家計に影響するパーセンテージそのものはあるいは小さいと言われるかもしれません。しかし、これによって他の交通機関、特に私鉄など、こういうものの運賃値上げにつながる。あるいは消費者物価に至りましては、これは必ず影響してくる。便乗値上げもございましょうし、さらに大きいのは心理的な影響である。私はかように考えるのであります。そういう点から考えまして、いま御答弁にありましたものをすなおに受け取るのにはいささかちゅうちょするのであります。いかがでございますか。
  37. 山口真弘

    ○山口政府委員 この四原則というものを総合的に参酌して考えるべきものであるということでございますけれども、もちろんそれは個別的にこの四原則自体について検討することを否定するわけではございませんので、私は先ほど、公正妥当並びに原価を償うあるいは産業の発達あるいは賃金物価の安定への寄与ということにつきましての具体的な内容を一応申し上げたわけでございます。それで、その最後の物価の安定への寄与でございますが、先ほど今回運賃改定が物価に対する影響が非常に大きいのではないかという点を詳しく御質疑がございましたので、やや詳しく申し上げさせていただきますと、今回の私ども運賃改定の内容といたしまして、その影響というものを一応考えてみますと、消費者物価に与える影響が〇・四%程度、旅客運賃が家計支出に与える影響が〇・二%程度ということを推定をいたしております。この推定の方法といたしましてはいろいろございますが、要するに消費者物価指数に占めるところの運賃のウエートというようなものをとりまして、それが運賃が上昇したならばこの程度上がるであろうというようなことを推定をいたしたものでございます。貨物運賃につきましても、やや方法は違いますが、たとえば産業連関表というものからマクロ的に見まして、そうしてさらに、先生おっしゃいましたような波及効果というようなものも含めた上で、消費者物価の値上がり、それから卸売り物価の値上がりというようなものを考えて計算をいたしました。それによって〇・四%程度という推計をいたしたものでございます。それから家計消費支出につきましても、全国の家計消費支出に占める割合というものを、統計によりまして算出をいたしました。そうしてそれらにおきまして鉄道運賃が占める割合というものをとり、それの値上がりというもののパーセントをとった上で推定をいたしたものでございます。こういう推定のしかたの問題自体にはいろいろ御議論があると思いますが、とにかくそういう推計によりまして、私どもといたしましては、運賃の値上がりによるところの影響というものを最小限度にとどめるというふうにいたしまして今回の提案をいたした次第でございます。
  38. 内海清

    内海(清)委員 特に物価の問題でございますが、これは国民の一般社会生活上欠くことのできないものというので、六十一品目ですか、あることは御承知のとおりであります。これは直接国民の生活に関連したものであります。いままでいわゆる政策等級割引というものが適用されておる。それが昨年の十月ですか、その割引率が半分になった、引き下げられた。それに対して今度運賃値上げであります。さらにこの半分の割引をことしの十月一日からは全廃しようというような空気にあるところであります。これは御承知のとおりだと思います。なるほどいまお話がございましたように、運賃値上げが、旅客は二三・四%と貨物が二四・六%でしょう。これが消費者物価に影響を与えるのは〇・四%だ、家計に及ぼす影響は〇・二%だ、こういうふうに言っておるわけでありますけれども、この運賃値上げが他の交通機関に対する影響、いま申しましたように心理的な影響もございましょうし、便乗値上げもございましょうし、そういうものを考えて、そうしてこれはやったんだから特別にどうこうということはないだろう、こういう御答弁でありますが、私はこれはきわめて重要な問題である、こう考えるのであります。先般来の地方公聴会におきましても、あるいは中央公聴会におきましても、特に生鮮食料品その他に対しては農林委員あたりから強く指摘されたところであります。これがはたして物価の安定に寄与するのであるかどうか、この点につきましてはいささか納得しかねる問題があるわけであります。従来の国鉄運賃値上げを見ましても、必ず消費者物価その他の物価に影響が出ておることば明らかであります。そういう過去の経緯も考えられまして、そのことを、はっきりここで物価の安定に寄与するのだということが言い得るのかどうか、重ねてお伺いいたしたい。
  39. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 物価対策上から申しますると、公共料金は据え置くことがやはり一番望ましい。これはまあ一番間違いのないことでございます。しかしながら、具体的の問題になってまいりますると、やはり適当なる財源提供というものは、適正な価格ということによりまして保ち得るのではないか。価格体系におけるところの料金というものは、やはりしょっちゅう勘案をしていかなくちゃならぬ。これは私が申し上げるまでもなく、先生十分御承知のことと思う次第でございます。またそういう点につきまして、できることならば生産性の向上によりまして、そういったような人件費あるいは物件費の増高というものが吸収されまして、コストにはね返らないということが一番望ましいことでございますが、これは省力化によりまするところの資本集約型と申しますか、そういったような企業につきましては望み得ることでございますが、御承知のように、どうしても人力にたよらなくてはいかぬ、人にたよらなくてはいかぬというような鉄道企業、経常費の七割以上も占めるというような場合におきましては、ある程度の人件費の上昇に伴うものをどうしてもコストにはね返らさざるを得ないというのが現状でございます。また、物件費の点につきまして、生鮮食料、野菜等につきましてのことでございますが、確かにそういう点がございますが、独占企業でございました時代の国鉄、黒字経営のときでございますれば、これはいつでも公共性のために一部負担になっても、これは可能でございましたが、今日御承知のとおり、皆さまに、利用者にも御負担を願う、国の一般の納税者にも御負担を願う、こういう状況でございまして、これは要するに物価政策、農林政策の問題から論議をすべき問題でございまして、国鉄自体がそういったような負担を負うべきかどうかということが、やはり再三再四におきまして議論になった次第でございまして、この際は、どうしてもその点では、国鉄自体は赤字を少しでも解消する立場からいたしまして、御負担はよその部分でしていただきたい、こういうことでございます。しかし政府全体といたしましては、何と申しましても農産物の保護、そうしてまた農産物の価格の低廉化というような点から具体的に考えなくちゃならない点が多々ございます。したがいまして、国鉄としてはそういったような、この前の四十四年のときは、貨物は御承知のとおり据え置きでございました。それのため貨物運賃において赤字が非常に大きかったという点も勘案いたしまして、どうしても今度はある程度の利用者負担の増高をお願いしなくちゃいかぬという点と、国鉄貨物輸送に対する輸送サービスを改善をすることによって、増強することによりまして、生鮮度と申しますか、新鮮度と申しますか、そういったものを絶対に確保してまいる。具体的に申しますると、需給関係によりまして、生鮮野菜貨物につきましては非常に価格の高騰がございます。御承知のとおり、すでに北海道からジャガイモ、タマネギ等につきましては、一貫輸送の列車も発足しておることでございます。また具体的に、今回のそういったような負担是正をいたしましても、むつ小川原から、大体一個百円というようなスターキングというリンゴを持ってまいりますと、増加額は一円程度のことでございまして、その点は通風車をつくるとか、そういった面でもって、十分良質サービスを提供することによりまして、消費者の皆さまに、それから生産者の皆さまにも十分御奉仕をするという確信のもとに、しかも国鉄としては赤字解消の一助に役立てたい、こういう考え方でやっておる次第でございますので、御了解を願いたい、こう思う次第でございます。
  40. 内海清

    内海(清)委員 国鉄財政再建ということのみから考えていけば、確かに運賃を大幅に値上げをして収入をふやすということはけっこうでございましょう。しかし、政治というものは、それのみではいかぬわけであります。結局国民生活の安定向上ということが基本でなければならぬ、こういうふうに考えるものであります。そういうところから考えますと、なるほど国鉄なり運輸当局がこういうことをやられることについては、財政再建という立場からいえば、私は、それも考え方としては当然であろうということを考えるわけでありますけれども、御承知のように、いまいわゆる円平価の調整以来の非常に不況下において物価高という現象が出ておる。しかもいろいろな公共料金が値上げしようといたしておる。これはもうバスをはじめとしてタクシーその他あらゆるもの、あるいは米も上がるかもしれない、いろんなものが出てきておるときであります。こういうときに、公共料金の中心的なものである国鉄運賃を改定するということがはたして妥当であるかどうか。この点は大いに論議のあるところだと思います。どうしてもやらなければならぬとしても、国民の生活を圧迫するものについては、できるだけ配慮するのが政治じゃないかと思うのでありますが、その点につきましての大臣の御所見をお伺いいたします。
  41. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御指摘をいただきましたとおりでございます。国民生活を圧迫をするということは、一番政治としてはとるべき道じゃございません。できるだけ国民の皆さまが、政治的にも経済的にも御満足をいただいて、日々の生活を過ごしていただくことがやはり一番の政治の妙諦だと私は思う次第でございます。そういう点につきましては、私どもも微力ではございますが、十分勘案しておる次第でございますが、何と申しましても、具体的な問題といたしまして、国鉄がこれだけの仕事をしておる。しかも新しい良質サービスが要求されておる。大都市交通網の問題にいたしましても、都市間の交通の問題にいたしましても、貨物の問題にいたしましても、すでに御指摘もございましたとおり、道路輸送だけでは非常に狭隘になってきた、公害も多い、交通禍も多い、やはり国鉄使命はあるのだ、こういうような御指摘でございます。それらをいたしますためには、国ももちろんこれは当然援助しなくちゃいかぬ。しかし、やはり利用者の方にもある程度負担していただかなくちゃならぬ。もとよりそのもとといたしましては、合理化をはかって、むだを排除する。国鉄自体経営におきまして合理的な運営をするというのが一番の根本の問題でございますが、さて、その問題になりますると、その汽車にお乗りいただく方と、それから乗らない方とどのくらい負担をするかということが一番の問題であろう、こういうふうに思う次第でございます。そういう点で、まことにやむを得ぬ処置ではございますが、やはり納税者の方にも御負担をいただくけれども、直接御利用下さる方にもある程度の増高はやむを得ぬということで今回お願いした次第でございまして、その点はひとつ御了解を願いたい、こう思う次第でございます。
  42. 内海清

    内海(清)委員 私は、この問題につきましては、なおいささかひっかかるものがあるわけでございますけれども、もう少し時間をいただきましてやりたいと思いますから、この辺でこの問題は打ち切って、またの機会にいたします。  次にお伺いいたしたいと思いますことは、今回の財政再建の趣旨及び目的からいたしまして、今後十年間で、経常経費の中では最終的には償却後の黒字、こういうことであると思うのであります。これははたして国会を通じて国民にはっきり約束できるのかどうか。よくいわれますように、もし予定どおり再建が進んだ場合ということは、もうこの委員会の論議ではやりたくないと思うのです。予定どおりに進めばという一つの前提を置くことは、ここではもう論議は必要ないだろうと思うのです。いままでの数次の長中期の再建計画を見ますると、いつもそういうことばが使われて、これが完遂されたことがないのでございます。したがって、今回の場合は、予定どおりいかなければということでなしに、もしそこにそごがあるならば、政府なり国鉄が全責任をもってこれを完遂する。特に政府としましては、この際国鉄をよみがえらせるためには思い切った大幅の財政援助をやる、こういうことでなければならぬと思うのであります。もちろん、その前提は国鉄の、企業自身の合理化近代化、職場秩序の確立という、こういう面が強く要請されるわけでありますけれども、先ほど来いろいろお聞きいたしましたけれども、無理な質問かもしれませんが、重ねてひとつ御所見をお伺いいたしたいと思います。
  43. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほども申し上げましたが、やはり私どもといたしましては、いま日本の大きな問題の、過密過疎の問題が一番根本になると思います。これは昨年の委員会でも申し上げましたが、私のほうの線路を一応幹線糸の一万キロとそれから地方交通線、いわゆるローカル線ではございません、地方交通をやっている一万キロと、この二つに分けまして、おのおの十カ年間の収支見通しを実はつくってみたわけでございます。そうすると、幹線系につきましては、今後の日本の経済活動が伸びていけばこれは十分収支が償っていく。しかし問題はやはり地方交通線、ことに距離から申しましても輸送量から申しましても、自動車輸送で十分であるというふうな地方交通線、それから相当ばく大な赤字が出ておりまして、その意味で、この過密過疎の問題が何とかもう少し、いわゆる過疎地帯人口の逆流あるいは産業の逆流ということが起こらないかどうか、そういうことが起こりますれば、私どもの一番問題の地方交通線の経営状態がよくなってくるということでございまして、別に責任を転嫁するわけではございませんが、やはりお客さんあっての仕事でございますので、何とか地方交通線、地方幹線の次の、ローカル線でない地方交通線、これの将来性が一番問題になると思います。これにはやはり私どものほうの企業努力はもちろん前提でございますが、何と申しましても過密過疎問題がもう少しもとへ戻るというふうなことを期待しつつ、また先ほど申しましたように、いろいろ大きな条件がございますが、それらを踏まえた上で、何とかこの線でやっていきたいというふうに思うわけでございます。
  44. 内海清

    内海(清)委員 まあ御決意というものは十分承っておきますが、総裁過密過疎問題を非常に重視しておられると思います。これは一つの国のいわゆる産業政策と申しますか、こういうものによってきめられなければならぬのでありまして、ただ単に、何とか過疎地帯国民がUターンしてくれるようにということだけでは済まないのであります。これは一に政府の行政責任であると私は考えるのでありまして、この点はひとつ運輸当局におきましても、国鉄のそういう要望に対しては十分こたえるような政策を立てていただかなければならぬ、こういうふうに思うのであります。これは強く要望いたしておきたいと思います。  それから、次にお尋ねいたしたいと思いますのは、現行のこの再建計画は、先ほど申しましたように、五十三年度において償却後の黒というものを予想した。ところがこれはいま挫折いたさんとしておるわけであります。新再建計画は、やはりこれは十カ年計画でありまして、五十六年度の末において、これまた償却後の黒を予想しておるということでありますが、これはまあいままでの経過から見て、いろいろ先ほど論議いたしましたけれども、なかなかたやすいことではないだろうと私は想像しておるのであります。いずれにいたしましても、国鉄というのは公共企業体であります。したがって、国鉄が黒字を出す、こういうことにつきましては、ここで一つ具体的に考えなければならぬのは、公共企業体だからあくまでも企業性だけ発揮して、もうけさえすればいいというものではない。したがって、公共企業体としては、黒字が出る場合にその利潤率というもの、これは私は一応の基準があってしかるべきだと思う。利潤率はどこに置くかということ。こういうことを考えるので、これはきわめて重要だと思うのであります。まあしかし、当分黒になることはないから、そんなことはいま考える必要がないということかもしれませんけれども、しかし、こういう目標をもってやる以上は、その点も一応考えておく必要があるのではなかろうか。もしこれをきめなければ、ますます企業主義に走りやすいということであります。それでは共比企業体としての役目から大きくはずれるのじゃないか。脱線するおそれがあると思うのであります。ひとつこの利潤率の問題についてお考えがあれば、運輸省なり国鉄当局からも、どういうものが妥当であるかということをお聞かせいただきたいと思います。
  45. 山口真弘

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  国鉄は、国のやっておりました鉄道事業等を独立の企業体として運営して、そしてこれを能率的に運営し、公共の福祉を増進するということを目的としておる法人でございます。したがいまして、この法人の目的というのは、能率的な経営ということによりまして、公共の便益を促進するというところを目標としているわけでございますから、したがいまして、利潤を目的とするものではございません。その意味では、国鉄は利潤を生むということを面接の目的としてやっている事業ではございませんから、したがって、その意味での適正な利潤というものは考える必要はないということであろうかと思います。  ただ、国鉄がそういう本来の目的を遂行するためには、それによりまして、国鉄の運営によりまして、国民に対しまして良質なサービスを提供しなければならぬ。良質な輸送を提供するということのために、その良質な輸送を提供するに必要なだけの資金というものも得まして、そしてそれによって運営をしなければならぬということであろうかと思います。今回の運賃法案におきましても、基本的にはそういう考え方に立っております。その場合に、国鉄が自分だけの力によりまして、いま申しましたようなことができないような状態になっておりますから、これについては、国鉄のその公共的な使命なり公共的な仕事のやり方にかんがみまして、国もできるだけの応援をするということによりまして、ただいま申し上げましたような公共的な使命の遂行をなさせるという趣旨でございます。
  46. 内海清

    内海(清)委員 国鉄でございますから、いまお話しのように、別に利潤を出す必要はない。国民に良質なサービスを提供できる範囲内において企業性というものを進めていこう、こういうことだと思います。しかしこれはよほど気をつけませんと、実際において公共企業体である、ことに地方公共団体などのやっていますものでは、とかく企業性に走り過ぎて公共性を失うという現象があるわけでありまして、これはお尋ねしたわけでありますが、ただいまの御答弁のとおりにやっていただければいいと思うのであります。  時間がだんだん過ぎますので、少し省略して、次に国鉄財政の問題について簡単に、いままでずいぶん論議されておりますので、私の特にお尋ねいたしたいという点が一、二ございますので、お尋ねいたしたいと思います。四十六年度末におきまして国鉄の累積債務というものは三兆一千億程度ではないかというふうに考えるのであります。そのうちで政府管掌債務が一兆四千億、それからその他、つまり一般鉄道債券というふうなものが一兆七千億、こういうことだと思うのであります。  ここでちょっとお尋ねしてみますが、この一般鉄道債券の中で政府保証債というものはどのくらいな額にのぼっておりますか。それをひとつちょっとここでお尋ねいたしたいと思います。
  47. 山口真弘

    ○山口政府委員 政府保証債が六千七百億程度でございます。
  48. 内海清

    内海(清)委員 そういたしますと、一般鉄道債券は残りは約一兆円強でございましょう。それでこの一般鉄道債券のうち政府保証債、これは今回いわゆる孫利子ですか、利子補給が出ることになりましたから、残りは一兆円ばかりでありますが、これが今後の国鉄再建に対しては大きな問題ではないか、こういうふうに私は考えるのであります。こういうものに対しまして、これをどうするか、こういうことが一番問題になってくると私は考えるのであります。私の考えでは、この一般鉄道債券のうち、政府保証債を除きました一兆円強というものは国鉄財政再建ためにはこの際たな上げする。いわゆる凍結するということ。これが国鉄財政再建の今後のかぎになるのではないかと私は見ておるのであります。そのくらいな決断はこの際政府で当然やるべきであると私は考えております。こういう例は、私は外国の鉄道企業につきましては十分承知しませんけれども、西独あるいはイギリス等でも鉄道再建ためにはそういう処置をとられていることがある。そういう点から考えまして政府はこの際思い切ってこれをやるべきである。これは今後におきまして、いま予算が通りましたが、どうせ秋には補正予算もございましょうから、そういう際でも十分考え得る問題である。私はかように考えるのであります。これにつきましての大臣なり、さらにこれに対しては国鉄としては十分考えておられると思う、どうすべきかという問題、率直な御意見をひとつお伺いしたいと思う。
  49. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 大体三兆のうち二兆というものを、一応十年間たな上げをしたことは、先生承知のとおりでございます。残りの政管債、政府保証債以外の債券についてどうするか、これは非常に議論のあったところでございます。先般もこの委員会で御指摘がございましたが、これの問題につきましては、その財政規模から申しまして、それより積極的に出資のほうに大幅に踏み切ってもらうということのほうが、いまの現時点では非常に意味があるんじゃないかというふうに私ども判断をいたしまして、この際見送った次第でございますが、先般も御議論のあった問題でございます。将来十分私は検討すべき問題と考えておる次第でございます。
  50. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま大臣がおっしゃいましたとおり、約三兆の長期債務のうち、三兆につきましては一応手当てをしていただいたわけでございますか、残りの一兆の問題——あと二つ実は問題がございまして、すなわちいま申しました一兆の問題と申しますのは、先生の御指摘のいわゆる私どものほうが民間から普通のコマーシャルベースで借りている金、これが約一兆ございます。これの利子をどうするかという問題が一つの問題と、それからもう一つは、先ほど御指摘の二兆、すなわち政府保証債、政府管掌債務、この三つで約二兆ございます。この二兆を一応手当てしていただきましたが、これは四十六年度末の債務についてでございます。もちろんこれは毎年、今後工事をしてまいりますのに借金がふえてまいりますので、この二兆何がしは四十六年度からまたふえるわけでございます。したがって、この前は四十三年度末の政府管掌債務のめんどうを見ていただいて、四十六年度末になりましたので、その押える時点がいずれ今度は変わってこなければいけない。これは私どもなりの考え方でございますが、すなわち政保債、政管債につきましても、今後何年度末で押えるかという問題が一つ残ります。すなわち時期的な範囲の問題が一つ残ります。それからもう一つは、これも今度御審議願っている問題でございますが、工事費の利子補給の率でございます。今後投資してまいります工事費の利子補給の率を、現在以上に下げていただけるかどうかという問題。この三つの、すなわち先生のただいま御指摘の過去債務の範囲の拡大の問題と、それから過去債務の起算点と申しますか基準点の取り方の問題と、それからもう一つは、これから工事をするであろう債務についての利子補給の率をとこまで見ていただくか、この問題がやはり今後の利子補給の問題として三つ残る形になるわけでございます。これは今後いろいろ関係方面も御折働いたしまして、できるだけ利子負担の少なくなるようにお願いいたしたいというふうに思っている次第でございます。
  51. 内海清

    内海(清)委員 いま大臣総裁から御答弁ありましたが、私は今回の時点において特に一兆円を取り上げて申し上げたわけであります。これはもちろん国鉄総裁からも大臣にその三点については十分いままでお話しになって、大臣も十分御承知のことと思います。だから私は、本年度、四十七年度時点においては、特に一兆をどうするかという問題であり、将来の問題につきましては、あとの残りの二点の問題が出てくると思うのであります。それに対する大臣の御所見があればひとつこの際お伺いしておきたい。
  52. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほど私の御答弁申し上げたことで尽きていると思う次第でございますが、現在の財政規模におきましては、出資あるいはまた工事費の利子の援助の幅の引き上げ、それと政府保証債を今度は繰り上げるということの勘案をいたしまして、今日の財政規模ではこれで一ぱいではないか、こういうふうに思って決定をした次第でございますが、将来の問題といたしましては、ただいまの御指摘のございました点、私も十分国鉄当局からも聞きまして了知しているところでございます。また先生の御指摘もございました。十分検討してまいりたい。こういうふうに思う次第でございます。
  53. 内海清

    内海(清)委員 大臣の御答弁でありますが、先ほどもありましたのは、この一兆円強の問題をどうするかというよりも出資したほうがいいだろうということ。まあ出資につきましては、昨年三十五億ですか、四十七年度は六百十六億ですか、これをやる。これは国鉄が発足いたしましてから出資というのは昨年度初めて。本年度六百何億やられて、これで大きく国鉄財政再建に寄与しておるんだということをお考えになることはいかがか。当然政府国鉄財政がこう悪くなるまでに考えておかなければならぬこの出資の問題が昨年までなかったということは、いままで政府国鉄再建を唱えながら、はたして国鉄再建ために積極的に努力してきたかどうかという一つのバロメーターになると私は思います。この点は私はいささか十分納得のいきにくいところであります。これは将来の問題でありますからなかなか言いにくいということだが、今度のは十カ年計画でありますから、将来のことも確たる約束ができなければこれはもう二年なり三年なりでまた計画変更をしなければならぬということにつながるのじゃないかと私は危惧いたすのであります。  それでは次にまいりますが、昨日もちょっと御意見ございましたけれども、五月二日に鉄道建設審議会で、新幹線の三線がきまりました。これは新幹線網決定ということで答申があったわけであると思います。すなわち東北から北海道、青森から札幌までという問題、それから北陸で、東京から長野を通って富山、そして大阪に抜けるというもの、もう一つは九州で、福岡から鹿川島までということであります。これは私はまことにすばらしいことだと思うのでありますけれども、しかし、やはりこれにも幾つかの問題があるであろう。確かに東海道新幹線あるいは山陽新幹線とはかなりこの新幹線は性格が違うであろうということを私は考えるのであります。でありますから、これが東海道新幹線山陽新幹線と同じ役割りを持つと考えることは間違いじゃないか。ことに国鉄財政再建ということから考えればこれは大きな問題がある。私の聞き及んだところによりますと、一日平均の旅客数、それあたりから考えまして、この三線は、東海道あるいは山陽のような、はたして大きく黒字を出す線であるかどうかということは問題があると思う。おそらく東北北海道、北陸あるいは九州の福岡−鹿児島というのは、これは赤字になるのではなかろうか、こういうふうに思うのであります。これは一日当たりの乗客人員は省略いたしますけれども、そういう危惧を持つ。したがって、いま国鉄総裁の言われました工事費に対する利子補給であります。これが四十七年度から五・五%が四・五%になりましたが、はたしてこの三つの新幹線をやった場合に、これは将来償うことができるかどうか。私は、これはおそらく三・五%程度に引き下げなければ、この新幹線というものは、将来また、国鉄財政からいえば、足を引っぱる形になるのではないか、こう心配するのであります。その点、いかがでございますか。
  54. 山口真弘

    ○山口政府委員 五月二日に鉄道建設審議会がございました。この鉄道建設審議会におきましては、札幌−青森、それから青森−盛岡、それから東京から富山を経由いたしまして大阪、それから福岡から鹿児島、この三新幹線に対する基本計画の諮問がございました。これに対しまして、この三新幹線につきましては基本計画に組み入れをするということが適当である旨の答申がございました。それで、この基本計画決定をいたしますに際しましては、当然審議会におきまして各般の審議をいたしておるわけでございまして、その内容といたしましては、まず同新幹線が全国新幹線鉄道整備法に定めるような新幹線であるかどうかということ、さらにただいま先生の御指摘ございましたような輸送力輸送量の需要想定の問題というような問題、さらに国民経済に果たしまする経済効果の問題でございまして、その一つの問題としては付加価値額——付加価値額か国民経済に与える影響というものは非常に大きいものでございますから付加価値額、さらに投資効果——投資効果が大きいほどいいわけでございます。さらに時間的な価値、時間距離の短縮の問題というような問題と、さらに当該線区の収支に関する問題というような問題を総合的に討議いたしまして、そしてこれを基本計画に組み入れをするということが適当であるという答申があったわけでございます。  収支について見ますと、この三新幹線のうちで、現在の助成制度の中におきましては東京−富山−大阪の線が最も有望であるということでございますが、その他の線区につきましても、たとえば盛岡−青森、青森−札幌につきましては、これは東京から札幌までというような幹線的な役割りにおきまして総合的な考え方をするということも可能でございます。それから福岡−鹿児島につきましても、同様日本幹線を形成するということになりまして、収支の点につきましてはこれらの二線は若干落ちる点がございますが、そういったような判断に立ちまして、この三新幹線は基本計画に組み入れを適当とするという答申があったわけでございます。
  55. 内海清

    内海(清)委員 いろいろお話ございましたけれども、これはほんとうに建設されてみればおそらく私が先ほど申しましたようなぐあいに相なるのではないかということを私は実は心配しておる。したがってこれを実施する以上は、政府は考えまして、やはり建設面において、工事費の面において国鉄助成する、援助するという形が十分とられなければ、将来に大きな禍根を残すであろうということを思うのであります。これは言いかえますならば、この三線を建設することによって国鉄財政に圧迫を与えないようにするということであります。ひとつ万全な事前処理を講じていただきたい。同時に新しい三線の新幹線の役割りにつきましても、十分ひとつ地元の意向が取り入れられるように最善の配属をしていただきたいと思います。  次に、もう時間がずいぶん過ぎましたので、お尋ねしたいのは、地方閑散線の問題について簡単にお伺いしたいと思います。実はこれはずいぶん各委員から論議されましたが、どうも聞いてみてよくわからないのでありまして、したがって、この点につきまして私も簡単にひとつお尋ねしたいと思うのであります。  この地方閑散線の問題につきましては、運輸当局のほうははたして確固たる信念をもって出されておるのだろうか、いままでの質疑の内容から見ますと、どうもわからないのであります。ことに地方閑散線を考えなければならぬということは、われわれはいままでの資料でよくわかるわけであります。幹線系線区が一万四千キロそれから地方交通線というものが一万三千四百キロくらいある。しかも収入の面からいいますと、幹線系の線区で九三%であり、それから地方交通線で七%であるのであります。少なくとも収入面から見ますと、これは確かに問題があるわけであります。しかも総合交通体系の中にもこの問題が出ておりまして、それらによって今度これに手をつけようとされておるのだと思います。すなわち、これは五年以内に三千四百キロを撤去するというのであります。とりあえず四十七年度に二百キロを撤去しよう、そのために百二十五億という予算が措置されておるわけであります。ところが、いままでの国鉄の諮問委員会答申によって自動輸送に転換すべきだという路線として決定されておりますものが御承知のような八十三線区二千六百キロであります。この二千六百キロというものと三千四百キロというものはどういう関係にあるのか、それをまずひとつお伺いしたい。
  56. 山口真弘

    ○山口政府委員 八十三線区二千六百キロと従来称せられておりますものは、国鉄総裁の諮問機関でございまする国鉄諮問委員会答申をした内客でございます。それからただいま先生から御指摘ございました三千四百キロと申しますのは、今回の措置によりまして国としてこれは国民経済的に自動車輸送に転換するのが適当であると考えられるものが三千四百キロ、こういう趣旨でございまして、必ずしも一致をしているものではございません。
  57. 内海清

    内海(清)委員 そういたしますと、この二千六百キロのうち閑散線区としての認定にならないものもあるわけですね。それはどうですか。
  58. 山口真弘

    ○山口政府委員 二千六百キロにこだわっているわけではございませんので、新たな面によりましてやりますから、したがってそれに該当しないものもあるわけでございます。
  59. 内海清

    内海(清)委員 そうしますと、今後撤去しようとするものは三千四百キロと、二千六百キロのうち大臣地方閑散線としての認定のないもの、これが加わるわけですね。
  60. 山口真弘

    ○山口政府委員 三千四百キロと申し上げましたのはいろいろな基準によりまして、そして当該線路が道路輸送のほうが鉄道輸送よりも国民経済的に有利である。したがって、これを撤去して道路に転換することが国民経済的に有利であるということを運輸大臣が認定をいたして将来撤去するというのが三千四百キロでございまして、したがって、二千六百キロは国鉄諮問委員会が出しておるものでございますから、これには拘束はされておりません。したがいまして、今後三千四百キロにつきまして撤去の計画を進めてまいる、こういう趣旨でございます。
  61. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、二千六百キロというものでこのうち九線か何かが変わっておるわけでありますが、あとの残りはこの際このままにしておく。今後撤去するものは三千四百キロである、こう理解していいのですか。
  62. 山口真弘

    ○山口政府委員 鉄道輸送から道路輸送へ転換すべきものとして今後考えておるものが三千四百キロというふうに一応考えておるという趣旨でございます。
  63. 内海清

    内海(清)委員 それでは進みますが、この三千四百キロの撤去につきましては、けさ地方閑散線の認定基準案というものをいただきましたので触れませんが、ここで一つお伺いしたいと思うのは、閑散線に関連して問題になりますのは、国鉄財政再建要綱に盛られておるものでありますが四十七年度は百二十五億ですか、これでやられるわけでありますけれども、これは百二十五億において二百キロ撤去しようというのでありましょうが、今後は年々相当な予算が裏づけされる、かように解釈してよろしゅうございますか。
  64. 山口真弘

    ○山口政府委員 百二十五億の予算と申しますのは、むしろ残すべきものに対する助成の予算でございます。したがいまして、将来三千四百キロ撤去すると予想しておりますものの中で二百キロを除いたもの、残りの三千二百キロにつきまして、これを残すべきものとしての予算が百二十五億でございます。したがいまして、こういう性格のものにつきましては今後も撤去を進めてまいるわけでございますが、撤去が進まない部分につきましては国なり地方公共団体からも来年度以降も助成をする、こういう趣旨でございます。
  65. 内海清

    内海(清)委員 大臣が認定しても地元がこれを認めなければ、五年間地元が赤字の三分の一ですか、国がそれの一・五倍、結局六分の五というものを国と地方公共団体で維持しよう。これは五年間そうしておいて撤去しようというのでありますが、もし地元が五年たって撤去に同意しない場合、これは自民党の総務会で地元の同意を得ることという決議があるのでありますが、もし同意しない場合にはどうするかという問題です。
  66. 山口真弘

    ○山口政府委員 地方閑散線につきましては、お手元に差し上げてございます基準によりまして認定をするわけでございます。したがいまして、その内容は国民経済的に見て道路のほうが有利である。しかも地元の便益をそこなわないように代替交通機関の確保なんかも十分考えてやる。さらに将来大きな建設計画、国家的な開発計画なんかあればこういったものも十分考えてやるということでございますから、したがって、地方閑散線に認定されたものにつきましては当然地元の同意が得られるものというふうに私どもは考えておりまして、そのため全力を注いでやってまいる覚悟でございます。
  67. 内海清

    内海(清)委員 全力を注いでやるというのでありますが、いままでの論議の中で聞いておって、なるほど大臣が認定したものでも地元が同意しなければ、五年間は国と地方公共団体でこれを援助しょう。それでは五年たってなおこれが同意しない場合にはどうするということがわからぬのが、おそらくいままでの委員の皆さんの疑問点だろうと思う。その点をもう少しはっきりしていただきたい。
  68. 山口真弘

    ○山口政府委員 これにつきましては、いま申しましたように、本来道路のほうが有利であると考えられ、しかもその道路によって代替する交通機関が十分ありますから、したがって、地元も少しも不便にならない、しかも、将来鉄道が必要な大きな輸送量もそこには見込まれないというようなところでございますから、当然これはもう地元が同意をなさるものというように私ども考えるわけでございます。したがって、これに対しまして、できるだけの説得もつとめ、そして閑散線を撤去してまいることが国家的にも有利でございますし、また地元もそれによりまして自分のほうの負担というものも将来なくなるわけでございますから、廃止をすれば当然地元の負担というものもなくなるわけでございますから、私どもはそれによって撤去ができる、同意が得られるというふうに考えておるわけでございます。
  69. 内海清

    内海(清)委員 そのことはよくわかっておるのですよ。基準も出ましたし、これによって大臣が認定される、そうして地元を説律する。ところが、私が聞いておりますのは、これはいままでの八十三線区二千六百キロにおいても十分御承知のことと思うのです。日本人の国鉄に対する一つの郷愁と申しますか、鉄道に対する郷愁というか、これはたいへんなものである。なるほどいままでの二千六百キロでも、自動車に転換して、あとからいえばこれはなかなかよかったというところもあると思うのです。ところが、実際においてこの問題、いままでわが国では非常な問題になって、これは難関ですよ。だから、五年たってその補助は打ち切る、こうなるわけでしょう。それでも地元が同意しない場合は、それはどうするのですか。そのまま、それじゃ地元が納得しないから国鉄がまたそれをやるのでは、また赤字をしょい込むということになる。財政再処にはならない。だから、地元が五年たっても納得しない時分にはどうするかということを聞いておるのですから、それを端的にお答えいただきたい。
  70. 山口真弘

    ○山口政府委員 従来八十三線区におきまして地元がなかなか撤去に同意をしなかったというのは、考えてみますれば地元としては何らの負担がないわけでございます。地元は反対さえしていれば鉄道は撤去されないということで、何らの負担がないわけでございます。したがいまして、そういう意味でやはり説得が得られなかったということが実情であろうかと思います。今回につきましては、認定をいたしましたその認定をいたすにつきましての十分ないろいろな条件が整って、しかも地元には御不便がかからないようなことを十分にやっておった上で撤去をするということでございます。一方、存続をする場合につきましては、地元はこれに対しまする地方からの負担をするわけでございます。したがいまして、負担ということになりますと、当然地元の出捐があるわけでございますから、そういう意味におきまして、地元の説得が十分得られるというふうに私ども考えておる、こういう意味でございます。
  71. 内海清

    内海(清)委員 これは地元が五年たっても同意しない場合には地元が負担するということは、いままで一度も話があったことはないでしょう。そういうふうな決定になっておるのですか。
  72. 山口真弘

    ○山口政府委員 私さっき申し上げましたのは、認定をいたしまして地元が撤去に同意をしなければ地元は負担をするということでございます。したがいまして、地元が負担をする限りにおいては撤去についての話し合いというものも従来とはだいぶ違ってくるということを私ども考えておるわけでございまして、それによって説得は可能であろうというふうに考えるわけでございます。
  73. 内海清

    内海(清)委員 どうもこっちの質問にぴったりきません。大臣が認定しても地元が同意しなければ五年間は続くのでしょう。それは国と地方公共団体の援助によって続く。だからそれはそれでいいのですよ。ただ、五年たって援助も打ち切った、そういうことになっておるのでしょう。同時に、地元はなお撤去に同意しない場合どうするかということを聞いておるのです。
  74. 山口真弘

    ○山口政府委員 地元が援助をするということは、同時に地元の負担を伴うわけでございます。したがいまして、その意味で撤去をするについての同意を得られる条件というものは、前の八十三線区のときとは非常に違ってくるということはいえるだろうと思います。そして、その際に、五年たってもなお残る場合にどうするかということになれば、これはもうそのときにさらに考えるというよりしようがないことであると思います。
  75. 内海清

    内海(清)委員 そのときになってさらに考えるということは、今度の再建についての閑散線の撤去ということはきまっておるのでしょう。それがその段階になって考えるということは、これがはたして再建にどう役立つのですか。
  76. 山口真弘

    ○山口政府委員 どうも同じような答弁を繰り返すようで申しわけございませんが、先ほど申しましたように、従来の八十三線区の撤去との根本的な違いは、地元の負担が相当にあるというところにあるわけでございます。したがいまして、私どもは一方閑散線の認定にあたりましては十分地元の利益というものを考えて、代替交通機関が存在するとかいうことを十分考えてやるわけでございますから、したがいまして、当然これは撤去をするということは地元の同意が十分得られる。しかも地元は同意することによりまして、いままでの負担というものが今度はなくて済むということになるわけでございますから、その点では私ども、これはもう再建計画の大きな柱といたしまして撤去というものをなし得るものと考えておるわけでございます。
  77. 内海清

    内海(清)委員 これはどうもくどいようですが、さっぱりわからぬわけです。鉄監局長のは役人としては満点の答弁だと思いますけれども、私どもはなかなかちょっと納得いかない。それは撤去できればいいですよ。もしそれが五年たって地元が同意しない、撤去できない、こうなった場合にはどうするか、ひとつ大臣にお答えいただきたい。
  78. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま鉄監局長が再三お答えをしたとおりでございまして、御承知のとおりこの閑散線の認定、もうすでに国鉄としての特性を失った線路は国民経済から見て撤去すべしということは、運政審におきましても今回の総合交通体系におきましても、また運輸審議会におきましても、また一般の新聞の論説その他におきましても、十分これを指摘されておるところでございまして、これらを放置しておきまして赤字の原因をつくるということは、国民に今回のいろいろな財政再建措置におきまして御納得を得るゆえんでございませんので、今回は地方財政とも相談をいたしまして、閑散線を合理的に撤去すべきじゃないかということで今回の制度を編み出した次第でございまして、もとより民主主義政治でございますから地元自治体の御了解を得ないで強行するということは、精神からいたしましてこれは避くべきでございます。そういう点で先般の自民党総務会の御決定、私は党員でございます、法律的には制限を受けませんが、精神的の制限を受けて、これまた私の精神といたしましても十分に御了解を得てやる次第でございますが、そういった点、それから道路整備、代替機関の整備というものをその期間におきまして十分させまして、国民の世論とともにこれらのことを推進してまいりますれば、必ず所期の目的を達成することができるというふうに私は思っておる次第でございますので、そういう点につきましては先生方のまた一そうの御指導、御鞭撻をお願いする次第でございます。
  79. 内海清

    内海(清)委員 この問題は幾らやりましてもどうもなかなかいかぬようですが、時間が相当過ぎましたので、あとの質問者にこれはひとつお譲りしたいと思う。  どうもいまの御答弁ではわれわれは納得いきません。それは五年で大臣が認定したものが全部撤去できればいい。できない場合にどうするかということです。いま大臣が言われたように、民主政治でありますから十分国民の声を聞いて行政は行なわれなければなりません。だから五年たってなお地元が同意しない場合にどうするかということが問題なんであります。これがおそらく皆さんの疑問点だ。私も先般来聞いてどうしてもわからぬのがそこであります。わからぬのがいいのかもしれぬ。政府なり国鉄当局からいえば、わからぬほうがいいのかもしれない。はっきりわかられると困られるかもしれませんけれども、しかしこれはやはり明らかにしていただかなければ、おそらく皆さんなかなか納得がいかぬと思うのであります。これは私もこの辺で打ち切りますが、問題はいままでいろいろ申し上げ、まだあるわけでございますけれども、時間がずいぶん経過しましたので終わりますが、結局国鉄財政再建というものの基本は、政府国鉄財政再建ためにいかに手を伸ばすかということと、いま一つ重要な問題は、国鉄企業自身の中の合理化であり近代化であり、さらに職場秩序の確立ということであると私は思います。これができなければ、いかに財政再建に手を尽くしてみても結局はまたもとのもくあみにならざるを得ない、こう思うのであります。そういう点におきまして、これらにつきまして強く要望しておきたいと思います。  最後に、一般物価なりその他の経費がいろいろ上昇を続けておる中で、さらにはまた公共料金がみな上がってきておるという中で、国鉄のみを押えるということは非常に困難な問題があるということは承知いたします。しかし公共料金の中心的な役割りをしておるのはやはり国鉄料金であります。これが物価なりその他にいろいろ影響するということは当然のことでありますから、この点を十分お考えいただき、そうして国なりの援助、国鉄合理化近代化、それでどうしてもいけないものはあるいは料金の、運賃値上げをせざるを得ないかもしれません。そこに至って初めて国民運賃値上げに対して納得するわけであります。ですからいままでの数次の計画におきましても、実際国民に公約を果たしたのは利用者のみであると申し上げて過言でないと思う。こういう点から考えまして、十分お考えいただきたい。  なおかつ私どもがいまの国鉄運賃値上げに強く反対をいたしておりますゆえんは、さっきも申しましたけれども、円平価の調整後のわが国の非常な不況であります。その中で消費者物価が上昇しておるというこの時期に国鉄運賃値上げをするということは、私どもからいわせますればまさに政治の貧困といわざるを得ないと思うのです。そういうことでありますので、これらにつきましてもひとつ十分御勘案いただいて、この法案に対する処置をしていただきたい。  たいへんおそくなりまして委員諸君にも御迷惑をかけましたが、以上でとりあえず私の質問を終わります。
  80. 小峯柳多

    小峯委員長 本会議終了後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十四分休憩      ————◇—————    午後四時四十七分開議
  81. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田代文久君。
  82. 田代文久

    ○田代委員 まず大臣にお尋ねしますが、この提出されている法案は、いわゆる国鉄法それから国鉄運賃法の基本原則、これをいささかもゆがめないという立場でつくられておるのかどうか。私自身が理解するところでは、どうもその点が非常に怪しいという疑問を持つので、いわゆる国鉄法あるいは運賃法、これの原則をいささかもゆがめないという立場でこれがつくられておるのか、またそういうあれでこれが実行されるのかどうかという点を御答弁願いたいと思います。
  83. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 御承知のとおり、国有鉄道法の目的にございます公共の福祉を増進するための公共企業体としての使命、また運賃法にございます四つの原則と申しますか、これを総合いたしまして、今回それらの点につきまして国民の皆さまの御納得のいける、はなはだ恐縮でございますが、いまの時点におきましては最大のぎりぎりの線だ、こう思って御審議を願っておる次第でございます。
  84. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、この国鉄法でいっているいわゆる公共の福祉優先という問題の公共性とは一体どういうことか。これはいろいろ公述人や何かの御意見、また政府の答弁を聞きますと、どうもこの公共性という概念が非常にあやふやになっておるし、また政府政府の都合のいいように言っておるし、実際に国民理解しているような形でこの公共性というものが明確になっていない点がありますので、大体この公共の福祉優先、公共性というのは一体どういうふうに政府理解されておるのか御答弁願いたいと思います。
  85. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 公共性と申しますのは、もちろん国鉄輸送機関でございますので、国民の足を確保する、その公共的使命を造成するためにやっている、こういうふうに理解をしておる次第でごいます。具体的に申し上げますると、私企業ではできないようなところにも路線を敷く。またそれらにつきましてのいろいろの経費負担もいたしておる。それらの点につきまして、普通の私企業でございますると、やはり需要の非常に多いところだけの路線を選んでやるのが通例でございます。またいろいろのその他の事業にも関連をしていろいろの営利を営んでいるというようなことがございますが、国鉄といたしましては主としてそういった国民の足を確保する輸送機関としての専業をもっぱらやっているというところに公共性が強く出ていると思っている次第でございます。また国鉄といたしましてはいままでに利潤というものを追求したことがないということでやっておる次第でございます。
  86. 田代文久

    ○田代委員 実際問題として、これはいま大臣が答弁されたような公共の優先、公共性ということが非常に踏みにじられておるというふうに私は理解せざるを得ないのですけれども、そういう点はあとから具体的な例でなぜそうなっているかという点をはっきりさせたいと思うのです。  次に、公聴会あるいは参考人というものですね。公聴会地方あるいは中央で開くし、また参考人も来ていただいて、そして意見を聞きました。これは私どもとしましては、非常に一面から言うと有益で参考にし、当然これは法案に盛り込まるべき内容の面と、そうでもない面とがありました。ですから、この公聴会あるいは参考人意見の特に重要な、たとえばこの法案に当然その意見を聞いた結果取り入れるべきであるというような点について、御意見伺いたいと思うのです。
  87. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この点につきましては、先生ほんとうに御熱心に公聴会をお開きいただきまして、一般の利用者の方、またいろいろの経験者から貴重な御意見を聞いていただきまして、非常に私ども運輸行政の責任者といたしまして感謝している次第でございますが、これは委員会の御開催でございますので、それらの御意見先生の御質問、御意見を通じまして、私どもも貴重な材料として参考にいたし検討してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございますので、よろしくお願いを申し上げます。
  88. 田代文久

    ○田代委員 大体そういうたてまえとは思いますが、重要法案が、これは単に今度の運賃法あるいは再建法に限りませんけれども、国会で公聴会あるいは参考人を呼ぶというような手続はとりますけれども、それが法案にどのように響いてきたかということを私は寡聞にして知りません。いわゆる公聴会なり参考人意見を聞くというのは単なるお祭りかトンネルであって、極論すれば全く国民を欺瞞する、そういうためにやっているというような傾向がしばしばあるわけですね。ですから、そういう意味から申しまして、当然これは真剣に国民の声として、そうして私たちがそれを聞いた、あるいはそれを反映したものは取り入れて、そしてその法案が非常に内容的に不十分であるということがその関係から出てきた場合には、当然これは修正するなりあるいは撤回するというようなことが明確に出てこなければならないと思うのです。ところがいままでほとんどそれが反映されていないような経過がありますので、特に私はそれを伺ったわけなんです。  では次にお伺いしますが、この法案が私は現在の経済情勢、景気との関係において——これは法案には盛っておられませんけれども政府の意図としては、あるいはまた政府のバックになっておる産業人が、この法案を景気との関係において非常に重要視しているのではないかというふうに考えますが、これをどのように考えておられるか御答弁願いたいと思うのです。
  89. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほど御指摘がございました運賃法の四目的の一つ産業の問題もございますが、私ども政府として考えておりますのは、何と申しましても今日の非常に変化してまいりましたるところの人口の大きな移動に伴い、あるいはまた産業構造の変革社会構造変革に伴いまして、国鉄として特性を生かし、国鉄としての使命を果たすためにはどうしたらいいか、国民の皆さまの需要に適合するにはどうしたらいいか、御納得をいただくためにはどうしたらいいかということをもっぱら主眼として、今回法案をつくり御審議をお願いをしておる次第でございまして、一産業界その他の意向をそんたくをして私どもつくった次第ではございませんので、その点ははっきり申し上げておく次第でございますので御了解をいただきたい、こう申し上げておるわけでございます。
  90. 田代文久

    ○田代委員 御了解十分できないのですよ。というのは、それは表向きそうなっておりますけれども、この法案ができるについて、いわゆる産業人、特に大企業関係、これが非常にとにかく作用したということは新聞にも書いてありますし、また私もそのように理解しておる。つまり現在非常に嫌気が、いわゆる私の見方と相当基本的には違うのですけれども、嫌気がとにかくドル・ショックや何かの関係で落ち目にあるというような関係から、この際とにかく浮揚型の予算を組むというような関係において、したがって産業人の中にはこの法案の通過をひたすら願って、その中における産業人の立場からの投資というような関係から、したがってその関係においてはほんとうの全面的ないわゆる公共性という立場よりは、産業人自体が持つそういう景気の回復、これにはばく大な投資と資金が投入されるわけなんですから、それをとにかくねらってされるというようなことが作用しているということは考えざるを得ないわけなんで、その点を質問したわけなんですが、大臣の御答弁は、それは表向きの答弁で、そういう単純な形で国民は受け取っておらないのです。またそういう形で単純に受け取るなら、これは実際にあまりにもおめでたいと言わざるを得ないと私は思うのです。そういう点は時間がございませんから一応指摘だけしておいて、一言だけこういうことを申しておきたいと思う。  これはこの間の公述人から出た御意見で、つまりこの法案関係、それから最近では、いわゆる公共性そのものを体現した国鉄という輸送運輸機関が、産業人の支配下に置かれるという姿が非常に明確になってきておる。この点が赤字の問題の発表その他において、あるいは減価償却の額が異常にふえてくるという中であらわれてきておるのだというような発言が公述人からありました。私はその御意見をごもっともだと受け取った点があるので申したわけなんですが、そういう点もいまからはっきり質問の中で明確に御答弁願いたいと思うのですが、今度のこの国鉄運賃値上げの理由、そしてまたこれは非常に赤字だ、国鉄財政が非常に困難になっておる、だからこういう法律をつくらざるを得ないのだということになっておるのですが、この運賃値上げの理由、あるいは赤字の原因を一応伺ったような気もしますけれども、再度明確に御答弁願いたいと思うのです。
  91. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 四十四年の再建計画が三年にして行き詰まりまして、赤字がふえてまいりまして、そして再び御審議を願うということになりました原因につきましては、私も再三申し上げた次第でございます。また、国鉄総裁からも御答弁申し上げた次第でございますが、端的に申しまして二つに要約をされるのじゃないか。  まず第一番は、非常な社会構造変革によりまして、過疎過密が非常に強くなった。片一方、モータリゼーションが進みまして、自家用乗用車によるところの通勤あるいは通学が非常にふえてまいりまして、そしてローカル線あるいはまた大都市通勤定期の予想外の収入の落ち込み、それからまた一面におきましては、貨物輸送におきまして、競争力の低下によりまして需要の減退、また最近の経済構造の変革によります石炭、木材等第一次製品の輸送減少ということがまず収人面でございます。  それから、第二の点につきましては、人件費が計画よりも非常に大幅に上回ったということで、支出、収入両方面におきましてそごを来たしまして、これがやはり赤字の大きな原因になっておる、こういうふうに見ておる次第でございます。
  92. 田代文久

    ○田代委員 第一の点につきましても、これは政策の貧困、いままでいわゆる国鉄経営自身が非常に立ちおくれたような、とにかく正しい政策が打たれてないというところに根本の原因があるし、したがって、それはあげて政府の責任であると言わざるを得ないのですけれども、その点はそれとしまして、この人件費の食い違い、値上がりということが赤字の原因であり、それだからとにかく国鉄運賃値上げしなければならないという理由は、われわれとしてはこれは絶対理解できない。大体人件費というのはどういうふうに御理解されておりますか。なおはっきり申しますと、国鉄輸送業務に従事し、そして輸送の安全の全責任を持っておる数十万、現在四十五万、磯崎総裁から全部の、特に現場で働いておるそういう従業員の人件費というものをどのように御理解になっておるのか。人件費とは何かという点を、ひとつはっきり御答弁願いたいと思うのです。
  93. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 人件費は何か、こういう御質問でございますが、これはちょっとお答えをしにくいわけでございますが、私なりに御質問の趣旨をとりますると、国鉄におきましては、何と申しましても労働集約型の企業でございますので、国鉄の職員の御活動によりまして、これが国鉄陸上交通大動脈としての足を果たしている大切な費用の一つだ、こういうふうに見ておる次第でございます。
  94. 田代文久

    ○田代委員 これははなはだおこがましい話でありますけれども、人件費に対する御理解がいまのような御理解では、こういう間違った、とにかく人件費がかさむから、ベースアップによって人件費が上がるから赤字ができたのだ、だから運賃値上げしなければならない、こういうことに非常に単純な形で発展せざるを得ないと私は思うのです。しかし、私どもが正確に経済学の基本的な考え方から申しまして、人件費というものはいま大臣がおっしゃったようなそういう単純なものではない。非常に単純明快であるけれども大臣がおっしゃったようなそういう簡単なものではない。つまり、これは国鉄に働いておる労働者諸君、磯崎総裁もその一人ですね、その諸君が自分の労働を提供して、当然生きる権利として報酬として受け取っておる反対給付であって、したがって、これが上がったから赤字だ、だから値上げしなければならない、こういうふうな簡単な形で発展させることは、これは私は実際に全く正しくないと言わざるを得ないと思うわけなんです。もしそういう理論が通るならば、たとえば、赤字になったから労働者は食うや食わずでやっていけという理論も通ることになる。しかし、私は、経営のいかんに関せずといえば極論になりますけれども経営なりあるいはそういう点も考慮に入れる必要はありますけれども、基本的に、人件費というものはそういうことと離れて、労働者の生きる権利として労働に対する正当な反対給付として受け取るべきものであって、したがって、これをとにかく値上げの根拠にするというような考え方自体が正しくない。大臣がおっしゃったようなそういう理解だからこそ、単純に、とにかく赤字の出た原因というものは第一のおっしゃったような条件と、第二は人件費というようなものがばあっと出てくる、こういうことになっておると思うのです。その点私は訂正していただかないと困るし、したがって、こういうことには非常に全国民が反対し、国鉄に働いておる全労働者が反対するような、そういう法案が単純にできてくるのじゃないか、このように思います。  ですから、人件費が赤字の原因であるかどうかということを、ひとつ私は実際上において質問してみたいと思うのです。  これは国鉄の監査報告ですから、国鉄自身が出されておられるのですけれども、人件費の問題、これは国鉄の経費指数、三十五年を一〇〇としまして——いわゆる人件費の値上がりでという第二の赤字の原因にされておりますけれども、三十五年度の人件費を一〇〇としまして、人件費が四十年、四十一年、四十二年、四十三年、四十四年度まで、これは報告の数字なんですけれども、これがとにかく四十四年度においては二六七ですね。ところが修繕費の値上がりはどんなようになりますかというと、三十五年度を一〇〇として三六五ですね。それから異常に多いのは利子及び債務の取り扱い費、これが五七六、約六倍というような数字になっておるし、それから減価償却費がやはり三十五年度の一〇〇に対して三一七というような形で、むしろ利子、債務の取り扱い費あるいは減価償却費あるいは修繕費、こういう関係から見ると、人件費の値上がりは一番安いということになりますね。そうすると、赤字の根源というのは人件費ではないということを、この数字が明確にしておるのじゃないですか。私は、もし赤字の根源がいま大臣がおっしゃったようなあるいはまた法案の趣旨説明で言われたような形になるならば、この赤字の一番の根源というのは、利子及び債務の取り扱い費が一番その元凶である。その次が修繕費の三六五、それから減価償却費、この順番から見ましても人件費の値上がり率というのは第四番目です。ところが、これがあたかも第一位であるかのように一般の国民に対して、今度なぜ国鉄運賃が値上がりになるかということに対して、それはいつも国鉄の労働者が春闘をやってベースアップをやるのだから残念ながらとにかく値上げせざるを得ません、こういう宣伝で日本は全部おおわれています。ところが、実際には非常に間違っておるということ。これはほかの面から申しますと、こういう点もあります。これもやはりこの表なんですけれども、四十年から四十四年までの人件費についての予算と決算との関係を見ますと——全部は言いません、四十年と四十四年を出しますと、人件費の予算が四十年度は三千百八十一億、それに対して決算が三千八十九億、予算より決算のほうが少ないのです。それから四十四年度において予算が五千四十三億円、実際の決算は四千九百六十九億、こういうことになっておるのです。実際の人件費が予算にも到達しておらない、初めからこの予算に組まれた形は。ということは、この面から見ましても、実際において人件費が赤字の根源であるという理由はいささかもいえないと私は思うのです。その点どうですか。
  95. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いまの私の答弁を田代先生は少し誤解をしているように思う次第でございます。賃金が、人件費が労働の正当なる対価である、これはもう当然のことであります。それだけお働きをいただきましてそれだけの賃金を得るということは、私は当然のことと思っておる次第でございます。その点は先生意見はすっかり一致でございます。ただ問題は、今回私がお断わり申しましたように、四十四年度のあれがどうして狂ったかという点で、人件費のアップ率の計算が、私どもがいたしましたのと実際の上がり方とが試算におきまして非常に違った。それが非常に支出の面におきまして出た、これだけの話でございます。アップ率の見方が違った。大体九%に見ていた。ところが一三%、一四%の事実上のアップ率。これはやはりそのときの経済情勢でございますから、妥当だったこ思う次第でございますが、それら、妥当だったと思う次第でございますが、それらの点におきまして違っていた、こういうことを私は申し上げておる次第でございます。  それから、ほかの、たとえば金利負担であるとか減価償却費であるとか、こういったものは四十四年度の試算につきましては、大体におきましてその試算のとおりのものが出てきた。それからいま言った運賃収入の点につきましてやはり誤算がありました、こういうことを申し上げている次第でございまして、人件費があれになったから赤字になった、こういうことではございませんで、その見積もりにおきましてそれらの点が違っていた、こういうことを私は申し上げておる次第でございます。もとより労働集約型の企業でございますから、人件費がかかることは当然だと私は思っておる次第でございます。しかしながら、人件費が上がる、物価が上がるというときになりますると、国の費用だけでなく、利用者の方にもある程度の御負担をお願いしなければいかぬ、こういうことで今回はお願いをしている次第でございます。
  96. 田代文久

    ○田代委員 そういたしますと、今度の法案の提案理由の第二の原因としていわゆる人件費の高騰、いま見積もりが狂って見積もりが上がったということで御説明なさったのですけれども、そうすると人件費そのもののアップ、また人件費そのものがこの赤字の根源でないという結論なんですか。それをひとつはっきりさせてください。
  97. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど先生がごらんになっておりました監査報告書の中にも書いてございますが、修繕費の中の六割が人件費でございます。これは私どもの決算科目上、たとえば車両を修繕いたしますと、車両修繕に関係する人員の人件費は車両修繕費に計上いたします。したがいまして、物件費だけについて人件費を除いて計算いたしますと、いわゆる修繕費の伸びは三十年度に比較いたしまして千億だったものが約三千億、三倍でございます。ところがそういった修繕費にある人件費を一般人件費に加えて計算いたしますと、昭和三十年の千三百億が昭和四十六年には七千七百億でございます。ただ、利子につきましては先生のおっしゃったとおり利子の伸び率が一番大きゅうございます。これは御承知のように借金で設備投資をするという関係上こうなったわけでございますが、もちろん私どもといたしましても利子負担は非常に大きいというふうに思っておりまして、約三千億の利子のうち今度実際の資金手当てを千四百億くらい政府にお願いしたわけでございまして、自前で払う利子は六百億くらいにことしから実際軽減されたわけでございます。まあ伸び率が利子は非常に大きゅうございますけれども、絶対額が人件費に比べて少ないという意味と政府の手当てが利子については相当部分できておる、こういう一つの意味で先ほどのようなお話があったというふうに了解いたします。
  98. 田代文久

    ○田代委員 であるならば、いわゆる利子関係の負担というのはこういう大幅な——とにかく四十年度から四十四年京での間に六倍近くも上がる。ここに国鉄財政の非常に大きな苦境があるのだということを、法案を御説明なさるときにまず第一番になぜお書きにならないのですか。ここで賛同する中で、これはおっしゃるとおりに非常に大きいといわれるのですけれども、ここをはっきりさせないところに、国民にとってはなぜ国鉄が赤字であるか原因がわからない。いろいろ説明なさったけれども、結局人件費がベースアップでばんばん上がるのだからということで国鉄の労働者あたりを責め立てるという結果にならざるを得ないし、また税実にそうなっておるわけです。そうすると、大臣が御説明なさった第二の説明理由のところが非常に不十分である。あの第二の理由はあそこに置くべきでないというふうに私は考えますが、その点どうですか。
  99. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは、御承知のとおり自由主義経済におきましては人件費はやはり生活向上に伴いまして年々上がってくるというのがたてまえでございます。それが普通のコストにはね返らないようにするためには、省力化によりまして、具体的に申しますと、いままで一人が百個つくったものを百三十個つくる、三割の人件費のアップはそれでもって吸収するという、要するに生産性の向上によりまして得られるのが普通コストにはね返らないということでございますが、労働集約型の企業におきましてはそれがなかなかいかぬ。私企業では運賃その他のコストに必ずはね返る。自由主義経済におきましては——お立場は違いますからあれでございますが、当然のことでございます。しかし公共性のある企業でございますからそれをどのくらい押えるか。そのために国の税金をどのくらいそこに入れるかということの問題になってくるということでなかろうか、はなはだ簡単な例でございますが、私はそういうふうに考えておる次第でございます。
  100. 田代文久

    ○田代委員 これは私の耳が態いのかもしれませんけれども、説明としては全くいただけない御説明だと思うのです。またほかの面から、こういう赤字だ、困難だということについてごまかしじゃないかと思う点がもう一つあります。減価償却の問題です。  減価償却の問題は、この間公述人からも話がありましたが、実際上その点についてかれこれ言うあれではありませんけれども、三十九年度から異常に減価償却費が上がったということの御意見公述人からありました。それはそれとして、先ほど申しました人件費の予算と決算との関係のところに減価償却費についての予算、決算というものを数字として出しておられるわけです。これが四十一年度における減価償却の予算というのは一千六百二億円ですね。ところが、その前年の減価償却費の予算というのは八百三十億円。それから四十一年の、異常に上がった翌年ですね、翌年の四十二年における減価償却費は七百七十八億円というふうに、またこれは半分以下に下がっておるのですね。それからもう一つ、それとの関係で申し上げますが、四十四年度における減価償却の予算、見込みというのは一千三百七十五億円。ところが、その前年度における減価償却費の予算というのは六百五十五億。それからまた四十四年度の翌年、四十五年度においては八百五十億というふうにまた非常に下がっておる。そして、大体この関係において見ますと、四十一年度と四十四年度という、つまり減価償却が異常に高騰した年は運賃値上げのあった年なんですね。運賃値上げのあった年には減価償却費が、四十一年度にしましても四十四年度にしましても異常に高騰している。二倍にもなっている。また、その翌年には半分に減っておるという、こういうことはどうしてこういうことになるのか。減価償却はかりに定額にしろ定率にしろ、こんなに一年違いで倍になったり半分に下がったりするというようなことがなぜ起こるのか、これをひとつ説明してください。
  101. 山口真弘

    ○山口政府委員 ただいまの数字、私どもはわからないのでございますが、減価償却は定められたやり方、定率あるいは定額によりましてやっておりまして、ことしと来年の間ですぐ倍になる、それがまた半分になったということはございません。減価償却費は、ただいまおっしゃいました数字は、ちょっと何かのほかの数字じゃないかと思います。私どもの数字では、たとえば四十年度が千五百二十九億円の減価償却費、それから四十一年度が千六百六十三億円の減価償却費、四十二年度が千七百五十三億の減価償却費等でございまして、一定の基準に従いました減価償却をやっておるわけでございます。
  102. 田代文久

    ○田代委員 いまの御説明は、それは予算ですか決算ですか。決算でしょう。いまおっしゃったのは、そうでしょう。はっきり言ってください。
  103. 山口真弘

    ○山口政府委員 決算の数字でございます。
  104. 田代文久

    ○田代委員 そうでしょう。そうなんですよ。だから、おかしいというのですよ。あなたは、決算の数字は私が持っている数字と——いま年々とにかくそういう比率で大体、四十年度が千三百六十一億、それから千四百五十七億、千五百二十九億、そうして四十四年度は千七百二億円、こういう順序に上がっていっておるのですよ。ところが、これは決算ですよ。私がさっき質問したのは予算なんです。予算のこういう組み方をされたというところに問題がある。それを明確にしてもらいたいというのですよ。予算にしろ決算にしろ減価償却はこんなに大きな、とにかく運賃値上げする前年度は非常に安くて、翌年は、上がった年ば倍になる。そうしてまた上がった翌年には、それが半分になる、こういうことは四十一年度の前後においても四十四年度の前後においても出ておる。これはなぜかということなんです。決算のことを言っておるのじゃないです。
  105. 山口真弘

    ○山口政府委員 収入支出予算におきましては、これは当然でございますが、減価償却費は計上いたしておりません。  なお、予算の参考書としておりますところの予定の損益計算書におきましては減価償却費を計上しておりますが、これは予算ではございません。収入支出予算では減価償却費は計上しておらないわけでございます。
  106. 田代文久

    ○田代委員 時間がありませんから端的に申し上げますけれども、つまりこの決算の前におけるそういう見込みにおいては減価償却が非常に上がったり下がったりしている。そうしてそれが運賃値上げをする年において異常に高くなるということが、とにかく四十一年から四十四年の間において出ているということは、減価償却というこの数字の立て方というのは明らかに値上げをするための、こんなに国鉄財政は困難ですよという、それを示すために仕組まれた、作為のあるそういう細み方であると私たちは考えざるを得ないのです。実際に減価償却をそういう組み方をしているのじゃないですか。値上げをするときには、いわゆる赤字がどんなに大きいかということを国民にごまかすためにそういうことをやっているのじゃないかということなんです。
  107. 山口真弘

    ○山口政府委員 先ほど申し上げましたように、減価償却の制度というのは、たとえば無形固定資産については定額法、それから有形固定資産のうち、あるものについては定率法、あるものについては定額法ということによりまして、一律にそういう制度のもとに減価償却をいたしておるわけでありまして、値上げのある年であるから減価償却の額を違えるとか、あるいはそうでないからまた違えるというようなことは全然ございません。
  108. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、いま申しましたような主要経費の予算、決算における私が出した数字、こういうものは全然ないということをはっきり申されますか。
  109. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま先生のおっしゃった数字は、予算参照書をごらんくださいますとよくわかりますけれども昭和四十一年度から減価償却費等資本勘定へ繰り入れというふうな項目になっております。すなわち、私のほうでは減価償却費として、いわゆる償却前に出た利益は御承知のとおり株式会社と違いまして、税金も払わなければ配当もしないわけでございます。したがいまして、償却前利益はそれをそのまま工事経費のほうに繰り入れるわけでございます。したがって、予算上は減価償却費等資本勘定へ繰り入れというふうにはっきり書いてございます。昭和四十年度までは減価償却費が幾ら、資本勘定へ繰り入れ幾らといったような予算形式のものを四十一年以降便宜上一本にしておりますので、減価償却費等資本勘定へ繰り入れというところを先生ごらんになっておっしゃっていると思います。それはもちろん、運賃値上げをすればその年は収入状態はよくなりますから、たとえばことしでも、ことしの予算をごらんのとおり、五百八十五億の償却前利益、これは資本勘定へ繰り入れとして計上せられているわけでございます。  その点、一般の民間のほうの財務諸表と違いますのは、私のほうの減価償却費は御承知のとおり社内留保にはならないわけでございます。一般の会社は社内留保になりますけれども、私のほうは社内留保にならず、それがそのまま工事経費になりますので、工事経費への繰り入れと減価償却費と一本として資本勘定へ繰り入れている、こういう形でございます。
  110. 田代文久

    ○田代委員 この問題はまた他日に譲りまして、次にこの赤字問題との関係でお尋ねしたいのですが、私は最初に国鉄法あるいは国鉄運賃法を厳格に守られるかという、このわかり切ったようなことを聞いたというのは、実はこういうことを聞きたかったからなんです。つまり、いわゆる赤字だ赤字だといわれる場合に、貨物運賃旅客運賃に非常に差別がある。差別がもしあるということになれば、やはり国鉄法なりあるいは運賃法に違反していると私は思うのです。実際においては差別があるのじゃないかというふうに思うのですが、大体この差別が結果的にはどういうことになっているかといいますと、これは予算委員会でも私のほうの谷口議員が追及したことの中で、たとえば四十五年度における収支状況というやつが、旅客では四百三十七億円の黒字、貨物では一千八百三十二億円の赤字、差し引きとにかく赤字、こういうことで赤字赤字というやつが出てくるわけですね。これは、別にこれをいまするわけじゃないのですが、実際において貨物旅客の赤字、黒字の問題がここに出ている。ところが、大企業といいましたらあれなんですが、そういう現在の支配的な産業の王座にすわっている企業貨物輸送については、一律に一五%の割引がされているということを聞いておりますが、その点はどうですか。
  111. 磯崎叡

    磯崎説明員 特殊な荷主に対して理由なしに割引をするという事実は全くございません。
  112. 田代文久

    ○田代委員 ではその理由を、どういうあれに対していわゆる二五%の割引をやっておられるか、御説明いただきます。
  113. 磯崎叡

    磯崎説明員 二五%とおっしゃるのは、どれをとっていらっしゃるかちょっと私わかりかねますので、たとえば営業割引のことをおっしゃっているのかあるいは私有車の割引のことをおっしゃっているのか、いろいろ率が違いますが、たいへん恐縮でございますが、先生のおっしゃった一五%はどの一五%をおっしゃっていらっしゃいますか、ちょっとお聞き申し上げたいと思います。
  114. 田代文久

    ○田代委員 私もその点はいまおっしゃったように、各荷主別のというようなことは、これは調べればすぐわかりますけれども、たとえば今度の法案によりますと、四級まであったのを三級制に変えましたね。そういう中でのあれがありますが、少なくとも一級に該当する部分、ここが非常に割引されているのではないかというふうに思うわけですね。そうすると、そういう一級貨物なりその他については私がどうかといいましたけれども、実際にそういう割引がなされているかなされておらないのか。なされてないなら、なされてない、なされておるとすれば具体的に一つの例でもいいですから、こういう貨物についてはこれぐらいの割引をやっている、その理由はどうだということを御説明いただきたいと思うのです。
  115. 磯崎叡

    磯崎説明員 先生のおっしゃったことはよくわかりました。三つの問題御一緒におっしゃったので、私ちょっと理解に苦しんだのですが、一つはいまおっしゃったいわゆる等級の問題でございます。これは一級、すなわち数の少なくなるほど運賃が高いわけでございます。すなわち、一級が高級品で四級が普通の生活必需品ということでありますので、一級から四級をずらっと見ますと、四級の運賃に対して一級は五割増しになっております。それが、すなわち四級を一〇〇といたしますれば一級は一五〇の運賃をもらっている。同じものを送りますのでも、一級のほうは五割高いわけでございます。  この問題と、それからもう一つ。さっき私がちょっと申し上げましたのは、いわゆる営業割引と申しまして、営業上、たとえば空車がたくさんからで返ってくる、あるいは時期的に見てミカンとかリンゴとかという非常に大量に出るものもある、あるいは定形的に甲地から乙地へいくものもあるというものにつきましては、ちょうど旅客の場合、お客さんに団体の割引をいたしますあるいは定期のお客さんの割引をいたします。これと同じように、荷主がだれであろうとも同じルートを同じ数量をしょっちゅう使ってくれるお客さんは割引をする。これは旅客でも貨物でも同じことでございます。ただ、さっきの一級、二級の問題と分業割引の問題が私の頭にこんがらかって御答弁しにくかったのでございますが、その二つの問題はちょっと異質の問題でございます。
  116. 田代文久

    ○田代委員 ただいまの御説明では、とにかくそういう形における割引というのは実際上にはこれはあるということなんですね。それは、とにかく量の多寡あるいは等級という問題のいかんに関せず、そこには割引という問題が現実にはあるということ、これは間違いないわけですね。
  117. 磯崎叡

    磯崎説明員 先生のおっしゃったいわゆる差別の問題が二つございまして、等級のほうでは生活必需品すなわち四級に近いものほど割引をしているわけでございます。それは等級の数の多いほど割引しているわけでございます。たとえば米で申しますと、米は本来の私のほうの価格でまいりますと二級でございます。しかし、それを政策的に四級に落として運賃をいただいている。これは生活必需品なるがゆえの割引でございます。すなわも、四級物資の中に大多数約五十品目くらいは本来の一級、二級に該当すべきものを四級に下げて等級を適用している、これが割引でございます。これは生活必需品の割引でございます。  もう一つはさっき申しました営業割引でございまして、これは全体で約四十何億割引しておりますが、その四十何億引くことによりまして約三百億の収入を得ておる。すなわち、団体割引あるいは定期の割引と同じような意味で、お客さんが多数利用してくれればそれを引くという一種のコマーシャルベース、ちょうど団体割引あるいは定期の相当大幅な割引——定期は御承知のとおり通勤では五割、通学では八割の割引をいたしております。それと同じような趣旨で、それほど大きくは割引しておりませんが、平均して一割前後前営業割引をいたしております。営業割引と申しましても、貨物旅客も同じでございます。
  118. 田代文久

    ○田代委員 その点で私の考えと基本的には非常に違う点があるわけです。たとえば、通勤割引とそういう企業の製品の輸送というものは、同じ性質のものとして見るべきではないという私の考え方なんです。  では、この点はどうですか。とにかく、私どもから申しますと、一律に全部平等に公平にということではないと思うのですね。いずれにせよそこには何らかの形において差別が存在するということは明らかになったわけなんですが、国鉄の内部規程の「貨物営業規則別表の貨物割引賃率表第六号」この第六号の「注記、記事二号」によりますと、そういう割引の上に貨物の量それから種類によって別の割引をする規定も明記されておるわけなんです。たとえて申しますと、東京の武蔵小金井駅から東北本線を経由して宮城県の宮城野原駅まで三百六十六キロを、自動車を大量に輸送しておる日産自動車の場合は、本来一車両の運賃が四万九千八百円であるのが、実際においては三万七千八百円の特別運賃になっておる。これを計算しますと、これは一万二千円、二四%の割引ということになるわけなのであります。今回のこの国鉄運賃値上げ貨物運賃は平均二四・六%の値上げということになっておりますけれども自動車、ブリキとかあるいは——これは一級品ですね。一級品でしょう。あるいは工作機械、こういう産業の製品というのは実際においては六・九%しか値上げにならない。それからさっき特別に割引しておるとおっしゃいました米麦あるいは下級の鮮魚というのは実際上においては二九・八%の値上げ、こういうことになっておるということですね。しかも前回四十一年度の貨物運賃値上げでは一二%の値上げといわれながら基準になる賃率の等級が引き下げられたというなどの結果、自動車などの一級の製品の貨物運賃というのは実際上据え置かれて十一年ぶりの今度の改定、こういうことになっているわけですが、これは間違っておりますか。
  119. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま先生のおっしゃった御質問、二つございます。初めのほうの割引賃率でございますが、これは同じ品目が同じような輸送形態をとって全国にありますときには、一々個別に割引をいたしますと、かえってその間に不公平になりますので、いわゆる一般の営業割引を賃率に引き直したものを割引賃率表といって、これを同じ品目に適用しておるわけでございます。これは営業割引の一種でございます。  それからいまおっしゃった、今度の値上げの率が一級の場合と四級の場合非常に違うじゃないかとおっしゃいました。これは確かにそうでございます。なぜかと申しますと、本来、鉄道貨物等級と申しますものは、鉄道が独占時代に社会政策的な意味で、値段の高いものからよけい取る、値段の低いものは運賃が安い、すなわち値段の高いものは運賃の面でも値段の低いものの運賃を払え、こういうシステムができておりました。しかしながら、トラックその他が出てまいりますと、トラックはその物の値段には何ら関係なしに、米を運ぼうが、ブリキを運ぼうが、一トン幾らで運んでおります。したがいまして、高い等級の運賃のものは当然トラックに逃げてしまいます。そして鉄道には三級、四級というものが残るわけでございます。したがって、もうすでにどこの国におきましても、貨物の等級というものはほとんどございません。トラックと同じように一本運賃でございます。そういう新しい輸送形態、運賃形態に直さなければトラックとの競争はできないということで、四十一年の等級改正のときに四級に等級を減らした。昔は十何等級ございました。それを徐々に減らしてまいりまして、四等級にまで減らしました。今度はそれを三等級に減らす。本来ならば無等級、一等級にすべきでございますが、あまりに急激な変化がございますので、四等級を三等級にするということでございます。したがって、その点は一等級のほうの上がり方は低く、四等級の上がり方が高い、こういうことになるわけでございます。ただ、いま申しましたとおり、貨物全体はかりに赤であったといたしましても、現在の一級から四級までの運賃でまいりますと、貨物を一キロ運ぶ場合の赤字の絶対額は四級のほうが一級よりずっと多い。これの数字を申し上げてもよろしゅうございますけれども、一トンを一キロ運ぶ場合にどのくらいの赤字が出るかという計算をいたしますと、もちろん四級が一番大きい、一級が一番少ない、こういうことでございまして、一級のものはある程度四級のものの貨物運賃を負担している、こういう形になるわけでございます。
  120. 田代文久

    ○田代委員 その点につきましてもまだ十分質問しなければなりませんが、そういうこととの関連でもう一つ国鉄のほうで出された昭和四十五年度の線区別貨物別営業係数の問題ですけれども、これは百円の運賃について旅客貨物の営業費用は実際幾らかかるかという問題なんですね。その説明によりますと、これは東北本線の場合などでは、百円の運賃に対して実際の旅客の営業費用というのは八十一円で済むのだ、ところが貨物は百四十八円ということになって、貨物のほうが赤字を出すということが数字ではっきりしておるわけですね。この点はどうですか。間違いありませんか。
  121. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうから御提出した四月五日付の資料でございますれば、間違いございません。
  122. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、明らかにこの点で貨物が非常に有利で、旅客のほうが非常に低いケースで、八十一円の費用で百円の運賃を払うわけなんです。貨物は実際に経費は百四十八円かかるけれども、実際の運賃としては百円しか払ってないという形で、貨物に非常に有利になっているということははっきり出ているわけですね。
  123. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点そういうふうな誤解を招くと思いまして「注」に詳しく実情を書いておきましたが、元来、客貨別原価の配分は非常にむずかしいものでございまして、いわゆる計量化されない分が相当ございます。実はこれは私のほうで部内の経理統制上使っていたやり方で、一応いままでまだ踏襲いたしておりますが、これがほんとうの客貨別原価であるかどうかについては若干問題がございますとともに、この表をごらんくださいますと、たとえば北海道になりますとほとんど客貨別には変わりございません。たとえば函館本線で申しますれば、旅客が百七十七、貨物が百八十六、こういうふうになっております。したがって、もし先生のおっしゃったことをずっと突き詰めてまいりますと、客貨別だけではなしに線区別運賃あるいは地域別運賃というところまで到達しないと、その御理論が徹底しないというふうに思いますが、私のほうは、けさほども内海先生に御答弁いたしましたように、一応全国一律の客貨の運賃であるというたてまえでございます。したがって、原価的に見ますと、しかも一つのフィクションを使った原価別に見ますとこういうアンバランスが起きますけれども、あくまでも国鉄全体としての旅客貨物一本にした総括原価をまかなうというたてまえでやっております。したがって、もし客貨別のことを強く主張する場合には、それよりもむしろ私どもとしては地域別の問題がございます。たとえば、北海道で実に六百億の赤字を出しておる。九州で五百億の赤字を出しておる。四国で百億の赤字を出しておる。この赤字を東京、大阪あるいは東海道の人が負担しておる、この問題も当然出てくるわけでございまして、むしろ私どもといたしましては、客貨別の運賃の問題よりも地域別運賃の問題、ひいては線区別運賃の問題が非常に大きな問題であるというふうに思っている次第でございまして、一応現在では貨物旅客を統合いたしました全国画運賃、統一運賃ということで総括原価をまかなうというたてまえでやっているわけでございます。
  124. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、何か非常にぼやけてきたようなことになったのですが、おたくのほうでお出しになりました先ほど申しましたこの数字というものは、役に立たない数字なんですか、これは部内で使っているとおっしゃいましたけれども、それからまた貨物というものはなかなか複雑で分けにくいというようなお話もございましたが、これは全く無意義な数字なんですか。どういう目的のためにこういうのをお出しになっておるわけですか。国民はこういう数字によって判断しておるわけですよ。
  125. 磯崎叡

    磯崎説明員 したがいまして、この「注」に書いてございますとおり、計量化できない面が非常に多いということをお断わりしてあるわけでございます。すなわち、たとえば事故が起こりますと、貨物列車を全部とめてしまって旅客列車だけ走らせる、これが私のほうの仕事のやり方で、お客さん第一。貨物は、魚とか急送品以外は少し待ってもらうというたてまえにいたしております。また一つの線路の上を旅客列車、貨物列車が走りますので、それを何で配分するかということもいろいろ問題がございます。したがって、本来ならば、こういうなまの数字で出しますと非常に誤解が多いものでございますので、私どものほうは単に部内で一つの目安としてこれを使って、これでもって運賃原価をはじいてない。全体としてあくまでも総括原価でいくのだというたてまえが私ども運賃のたてまえでございます。しかしある地域、たとえば東北本線と函館本線と比較して、全体の営業係数ではどうだというような場合には、やはり線路全体の営業係数としては使いますけれども、客貨別には必ずしも正確なものではないということをお断わりして、この注に詳しく書いて先生に御提出したという次第でございます。
  126. 田代文久

    ○田代委員 部内であろうと部外であろうと、それからまた客貨の区別ができにくいとおっしゃいましたけれども、現在のようにコンピューターが盛んに活用されている時代において、少なくとも赤字とか黒字とかを値上げの材料にされるような問題については、国民にはっきりわかるような形で、部外であろうとなかろうと、とにかくこうこうこういう数字になってこうなっているんだということをはっきりさせていただかないと、これは国民には実際にわからない。あなたは、私がいま質問したことに対して何か誤解のように言われますけれども、われわれは誤解のしようがないのです、あなたのほうから提出された資料に基づいて判断しているんだから。ですから、運賃値上げをやるとか、あるいは再建計画を立てるという場合には、その理由を明確に、科学的に、数字的にはっきりさした上で出していただきたい。ただ大ざっぱに人件費がどうだとか、それからこんなにとにかくローカル線が赤字なんだからということでされたのではたまったものではない。ですから、将来この点では私は非常にたくさん問題を残していると思います。われわれとしても理解できないのです。そういう点をより明確にした形で私ははっきりさしていただきたい。これは運輸省としても——大臣にお願いしておきたいのですが、この点ははっきりした国民納得のいくような形で数字も出す、資料も出すということで指導していただきたいということを申し上げまして、時間がありませんから次に進みます。  そこで、これは大臣にお聞きしますが、きょうも質問の中でこの運賃値上げと諸物価の値上がりの関係質問が出ておりました。これは当然なんです。国鉄は〇・二%とか〇・四%とかで、値が上がったって物価の値上がりには全く何らの影響はないのだと言わぬばかりの御答弁でございましたが、国民は一人としてそういうふうな受け取り方をしておりません。公共料金の元祖である、中心であるこの国鉄がこのような形で二〇数%、ものによっては三〇%もどんどん上がるというようなことですね。それがとにかく物価にはね返る実際というのは想像以上です。あなたたちは金に苦労なさらぬから、〇・二%とか〇・四%はへでもないというふうにお思いになるかもしれませんが、この法案が通って、たとえば東京から名古屋に行く、あるいは大阪に行く、九州に行くという場合に、実際に窓口で旅客運賃を払う、あるいは学生なり通勤の皆さんがこれを聞いたらびっくりしますよ。とてもたまったものじゃない。ですから、とにかく平均で〇・二%が家計に反映するとかどうとかということを先ほど御説明なさっておったようだけれども、とにかく平均してそうでしょう。しかし実際において四人家族で子供が学校に行っている、おとうさんも通勤しているという場合においては、その一家だけ見ましてもとても〇・二%くらいの値上がりじゃないのですよ。おそらくその倍あるいは倍以上になるということは間違いないですね。そういうことによって、とにかく運賃の値上がりが物価に対してはね返るというやつはこのぐらいのものだというふうな説明は、私は国民に対しては全く誠実を欠いておる、また物価政策に全く反する政策現実において出ておると言わざるを得ないのです。この運賃値上げ私鉄のバスとかあるいは航空料金とか私鉄の軌道あるいはトラック、こういう料金の中に当然はね返って、むしろこれが上がったとたんにばっと、私鉄にしましてもあるいは航空料金にしましても準備をしておる、手ぐすね引いて待っておるわけですね。こういうことになることが目の前に見えておるのですが、これを私は非常におそれているわけですけれども、そういう料金の値上げについて、大臣、したがって運輸省としてはこれを押えるのか、また上げるのか、どういう政策で対処されるのか、その点、お答えを願いたい。それからまた先ほど同僚議員に説明されていたように、ああいう物価値上げのはね返りということはとにかく計数上における国民に対するごまかしである、実際上においてはそういうふうに国民は受け取ることはできないと考えるのですが、その点についての御見解を大臣に伺いたいと思います。
  127. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私、先ほども申し上げましたとおり、できるだけ公共料金の値上げは抑えなくちゃいかぬ。ほんとうにできますならば、人件費の増加あるいはまた諸経費の増加というものは、設備投資その他によりまして、省力化による生産性の向上でそのうちに含まれまして、コストにはね返らないことが自由主義経済の一番の理想でございます。そうやっていくべきが一番妥当でございます。そういう点につきまして、国鉄でも十分省力化については努力をしておる次第でございますが、何と申しましても、先ほどから先生も御指摘のとおり国鉄はやはり労働集約型でございまして、支出におきますところの人件費の占める分量が多い。これは当然のことでございます。したがいまして、それらの問題をどういうように処理していくか。利用者の負担、それから一般の納税者から出す負担、この割合をどういうふうにするかということが一番の問題でございます。できるだけ公共料金は押えていきたいという政策には変わりございません。しかし、国鉄を御利用なさる方とそれから乗らない人にどのくらいの割合でもって負担をさせるかということが問題でございまして、これは合理的経営を十分させますが、申しわけない次第でございますが、実質一五%のアップ、名目におきまして旅客二三・四、貨物二四・六のアップはぜひひとつ御負担を願いたい、こういうことでございまして、私ども決して運賃値上げしてもだいじょうぶだ、平気だということを思っておる次第ではございません。できるだけひとつそれはやってまいりたい。しかし自由主義経済におきましては、やはり物価の高騰その他に対しまして省力化できない企業がずいぶんございます。個人企業はもちろんでございますが、そういう場合におきましては、それらの料金の上がるのが非常に多い。これは避けがたいことでございます。国鉄もやはりその例に漏れないと思う次第でございまして、諸外国の鉄道企業におきましてもそれぞれ適当に料金におきまして御負担を願っておる次第でございます。ことに欧米の諸国は、もうすでに鉄道企業といたしましては現状推持である。現状を維持するためにどのくらい国でもって負担するか、地方で負担するかということできゅうきゅうで、それでもしかも料金のアップを見ておる次第でございます。幸いにいたしましてまだ国民需要の非常に強いわが国におきましては、国鉄がむしろ良質サービスを提供することによりまして国民の皆さまに御理解を願いたい。その間におきまして、たとえば混雑化を防ぐあるいはまた速度を増すとかあるいは冷房車をつくるとかいろいろの問題におきまして幾ぶん国民の御負担の苦痛を免れさせていただきたい、こういう趣旨でやっておる次第でございまして、決して物価上昇、運賃値上げを平気であるというふうに思っておる次第ではございません。第三次佐藤内閣成立以来、この物価問題には特に気をつけておる次第でございますが、しかしいろいろの物価の高騰その他を勘案いたしまして、ほんとうにやむを得ざる程度の利用者の御負担をお願いしておる次第でございます。したがいまして、これは企画庁長官もそれから私も再三申し上げましたが、いわゆる便乗値上げということは絶対許さないという方針を貫いておる次第でございます。国鉄運賃が上がったからといって、その斉合性ため航空運賃を上げるとか、あるいは私鉄運賃を上げるということは現在において絶対に考えておりません。事業者別に考えまして、今日の状態におきまして適正原価主義であるという点は当分の間は貫いてまいりたい。それがため値上げを考えておる次第じゃございません。ことに私鉄運賃につきましてはいまのところ一つも申請は大都市におきましてございません。そういうことでございますので、いま直ちに植上げをするということは絶対に考えておらぬということをはっきりと申し上げておく次第でございます。
  128. 田代文久

    ○田代委員 いまおっしゃっったような、とにかく公共料金の値上げ、したがってこれがはね返ることについては反対だということは抽象的には——実際に率直に申し上げまして、俗な言い方で耳にたこができるほど佐藤総理はじめ聞いておりますけれども現実においては具体的にどんどん上がっていっているわけですね。ですから、いま大臣がそう抽象的に一般的におっしゃっても、やはり国民はこれがとにかく通った暁には、私鉄のバスにしましても、あるいは航空料金にしましても、そういうやつがぞろぞろ上がってくるんじゃないか。また私は現実にいま政府がとっている政策からすれば、これは上がると思うんです。私が上がると断言することはこれは決して独断ではない。あなたがそうじゃないとおっしゃっても、これは上がると思うんですよ。ということは、政府はこういう値上げについては全く無策であるだけではなくして、むしろ上がるような政策をとっている。ということは、国鉄運賃値上げそのものがそれを誘発しているものである。しかしそれは私が断言するというのはまあひとつやめましょう。が、しかし、その点は、いま大臣がそういう料金値上げのことについては考えておらぬし、また実際においてそれらのはね返りについては極力これは押えて、上がらぬようにするということをはっきりおっしゃったので、これは大臣がおやめになろうがなるまいが、政府政策として厳格にやってもらいたい。間違ったら、どなたが運輸大臣になっておられようと、そのときには押しかけていきますから、その点はひとつ承知しておいていただきたい、このように思います。  それからもう一つ大臣にお尋ねしますが、今度のこの値上げ関係で非常に地域住民が困っておる。また、これは上がったらたいへんだというのは手荷物と小荷物運賃値上げの問題ですね。ある国立大学の教授と称するような人ですが、公共性というものは何かというような、最初に私が質問したようなことについて聞いたときに、たとえばローカル線を廃止するとか、あるいは貨物駅を集約して少なくするというようなことに対して反対しているというようなことは、それは地域住民の利己主義から来ているんだというようなことを平気で言うような先生がおるのですね。地域の住民は、手荷物や小荷物が今度の政策によって値上げになると、それらについて非常に負担にもなるし、不便にもなるというようなことで、地域の住民が、それに対して、困る、そんなことしないでくれと言うことは、それが何で利己主義であるか——これはあなたに言うわけじゃございませんが、大学の教授ともあろうものがそういうことを平気で言うのです。ですから、そういう点から申しまして、この問題は非常に大きな問題であるし、したがって、どんな過疎地域の住民の方も、この法案に対して絶対に反対ですよ、これは。その点はひとつ承知しておいていただきたいと思うのです。国民があげて反対しているのをなぜやるかという問題にもなるわけですね。  そこで、この手荷物、小荷物の運賃値上げで、非常に零細な問題についてはこれは法律のあれでなくても、大臣のOKで、許可があれば上がるとか下がるとか、こういうことがあり得るわけですね。そういうことで、今度のこれがあれすると、たとえば第一地帯の十キログラムの小荷物、現在百八十円ぐらいのものが、国鉄の案によると四百五十円。実に一五〇%くらい上がる。それで軒並みにとにかく五〇%から八〇%の値上がりになるというようなことになってくるわけですね。それをとにかく地域の、特にローカル線を廃止しようとか、あるいは貨物駅がのけられようかというところの住民の皆さんは非常にこの点を問題にしているわけですね。ですから、こういう状態の中で大臣が、この軽微な事項に対して、これを大臣の許可事項として簡単にそういう値上げを許可すべきではないと私は思うのですが、大臣はこれはどういうようにお考えになりますか。ひとつ答弁してください。
  129. 山口真弘

    ○山口政府委員 この問題は、実は荷物制度の改善、改定の問題とのからみであろうかと思います。今回、荷物制度を改善いたしまして、従来小口扱い貨物とそれから手小荷物と称しておりました荷物制度というものを一本といたしまして、そうして少量物品の新しい運送制度というものを樹立いたしまして、そうして運送の能率と便益の向上に資する、こういうかっこうにしておるわけでございます。したがいまして、そういう面で具体的な問題といたしましては、両者のたとえば扱い範囲の問題をどうするとか、フロントの統合をどうするとか、あるいは輸送方法をどうするとか集配をどうするとかというような形できめておるわけでございまして、そういう点におきまして具体的な事情につきまして十分審査の上これを決定する、こういうことにいたしておるわけでございます。
  130. 田代文久

    ○田代委員 これは鉄監局長がきめるわけじゃないでしょう。これはあなた、そういう権限はないでしょう。大体大臣がきめられることじゃないですか。ですから私は、こういう問題は大臣がはっきり責任を持って御答弁願いたい。あなたじゃそんなことを言ったって問題にならぬですよ。
  131. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの点は、十分その趣旨に沿いまして慎重に考慮をいたしまして、慎重に検討をいたしまして具体的の問題を処理してまいりたい、こういうように思っている次第でございます。
  132. 田代文久

    ○田代委員 その点ひとつ公共性を厳守してやっていただきたいと思います。  次にいよいよ再建問題について質問いたしますが、とにかく今度の法案の提案の趣旨説明、これは先ほど赤字の原因などからわからない点をお尋ねいたしましたが、このいただいた資料の中で、十カ年の再建計画ということになっておりますので、したがって私どもは十カ年目には、この計画が完了した後においては赤字などというものはなくなってしまって、たとえば利子なんか四十七年度に二千九十九億も利子払いをされておるわけですね、これが年度が進むとともに利子が減ってきて、十年目には実は利子がゼロになるのじゃないかというのが、これはしろうと考えの考えですね。これはしろうとくろうとの考えがありましょうが、しかし実際において結果的には五十六年の利子の払いというのは、四十七年度が二千億ばかりのやつが十年後には利子のあれが倍の四千百八十八億ということになっておる。そうしてそれの全体の累計というものは三兆三千五百二十三億というような膨大なことになるのですね。そうすると、大体再建をやって、そうしてこの累積赤字あるいは利子がだんだんふえていくというのが再建と言えるのかどうなのか、私は非常に疑問に思わざるを得ないのです。結論から申しますと、私はこの再建計画なるものは、これはインチキだ。結論から言っていくとあれですけれどもね。なぜかと申しますと、いま申し上げましたこの十カ年計画の四十六年までの累積赤字が、いつも説明がありますように八千百十九億見込まれておりますね。そうすると、この新しい計画の赤字額というものはそれを上回って、これを総合した五十六年までの赤字額の総計というものが一兆七千八百五十三億円、こういうことになるわけですね。そうすると、これは運輸大臣委員会で御説明なさった、累積赤字を解消してそうして健全な財政にして国鉄運営の健全な基礎をつくるという目的でこの計画をつくった、累積赤字を解消して健全な財政にするということでこの計画をおつくりになった、これが目的になっておるわけですね。ところがその赤字の解消どころか、それが逆にふえている。そうして赤字の額が、これがさっき申しましたように四十七年度からとにかく約一兆円近くの赤字になるし、それから利子の支払い額というのはさっき申しました三兆三千五百二十三億円というようなことになって残っていくわけですね。そうすると、大体これで再建になるのかどうかという問題ですね、この点どのようにお考えになりますか。——ちょっと待ってください。私は局長に質問しておるのじゃないのですよ。これは基本的な問題ですから、数字の問題などではこれは大臣では何ですけれども、こういう基本的な、原則的な問題については当然私は大臣から答弁していただかなければ満足できないです。
  133. 山口真弘

    ○山口政府委員 数字だけ申し上げます。  数字について申し上げますと、まず第一に、先生おっしゃいました利子が四十七年度二千九十九億が、五十六年度四千百八十八億というようにふえてまいっております。これはそのとおりでございますが、これは設備投資を非常によけいやります。従来と異なりまして七兆もの設備投資をやりますから、出資がございましても利子がふえるということでございます。しかしこれに対しましては、一つには工事補助金ということによりまして国が助成をいたす。さらに、ここには書いてございませんが、出資によるところの国の助成がある。さらにこの利子の中には財政再建相当額がございますから、これに対しては利子補給金でもってまかなうということになっておるわけでございます。  それから第二に、全体の累積赤字でございますが、これが八千百億程度のものが一兆七千億強というものになるということは先生指摘のとおりでございます。ただこれにつきましては、この表の数字を五十三年ごろからずっとごらんになっていただきますと、逐次償却損益におきまして利益が生じてございまして、非常に上向きの姿になっておるわけでございます。それで償却後の累積赤字につきましては、五十六年時点におきましては、相当の累積赤字がございますが、これでごらんになるように上向きになっておりまして、これによって今後国鉄の体質改善によって事態が改善してまいるという意味で再建ができるという趣旨でございます。  数字の点を申し上げました。
  134. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 数字的にはただいま鉄監局長から御答弁したとおりでございますが、私が申し上げましたのは、五十六年では償却後の黒字ができる。償却後の黒字ができますると赤字のほうの解消に漸次向かっていき、健全財政になるということでございまして、まあ自由主義経済におきましては、企業をする場合に、資金につきまして利子のあるのはまたある程度やむを得ないかと思います。表で見ますると、大体今日におきまして七分二厘くらいの利子は——これはだいぶ下がってまいりましたけれども、あたりまえだといわれております。しかもその次に、これは慣行としては早く直さなければならぬ次第でございますが、普通の私企業では歩積みあたりもしておるというようなことになると非常に高くなる。これでは非常に困るわけでございまして、利子を漸次逓減をしていくということが一番望ましい次第でございますが、ことに公共企業でございますので、それゆえに、利子につきましては、工事費につきましても、それからまたいままでの債務につきましてもできるだけ利子を引き下げよう、工事費につきましては四分五厘までに引き下げていこう、こういうように政府財政支出をもちましてやってまいりまして、利子の減少をはかっている次第でございますが、しかしそういったような負債と見返りに施設ができてまいります、資産ができてくる。いわゆるバランスシートにおきまして貸力、借方が健全になってまいりますれば、その額が大きくなりましたことは必ずしも不健全にはならない。それに対しまするところの利子のついた金を借りましても、それに見合うだけの収入を得る、増収を得るということになればこれは健全財政だと思う次第でございまして、私は五十六年度からはそういう意味におきまして健全財政に向かうことができる、こういうふうに思っておる次第でございます。その点は先生とちょっとお立場が違う次第でございまして、いまの自由主義経済におきましてはそういったような負債に対する利子の増加ということはこれはやむを得ない。経営の規模が増大する、施設が増大する、これは当然のことで、それがそれらの利子を伴うところの資金を使いましてどのくらいの増収を得られるか、国民需要に適応するかどうかということがこれからの企業の一番のかなめである、こういうふうに思っておる次第でございます。
  135. 田代文久

    ○田代委員 それだけ使っても、使いようによってそこには俗に言えば物が残る、いわゆる設備投資がちゃんと残るから御心配要りません、こういうことなんですね。そこだけをいま見るとなるほど心配ありませんけれども、この設備投資が大体どのように使われるかということを、私たちはやはりきめこまかく国民に明らかにする必要がある。この膨大な設備投資というのは、政府が御説明なさっておるように、新幹線とかあるいは大貨物輸送近代化というような形で、とにかく圧倒的にそこへ使われるのですね。そうすると、いわゆる受益者負担の原則からいえば、その面からは、利益をもっと受ける人からたくさん取っていくというのなら、これは話がわかるのですよ。しかし一方においてこういうことをやりながら、ローカル線の廃止とかあるいはその地域の、過疎地帯の人なんかにまでもこれの負担がかぶさってくる、こういう問題があるのとは違いますか。全然そういうことから解放されておりますか。そうじゃないと思うのですよ。そこに問題があるのじゃないですか。ですから一般論として、この十年後には利子は相当残るのだが黒字が始まるとおっしゃったけれども、その内容は、資金をどういう方向にどういう目的で使うかという点を国民ははっきり知りたいわけですね。実際においてその点に国民は非常に大きな不満を持っておると私は思う。  それからまた、私はこの計画は破綻するのじゃないかということを申しましたが、これは実際において、十年後にいまおっしゃったように黒字の方向にいくという確信がありますか。私は国民はこれを見て確信が持てないと思うのです。それをはっきりおっしゃってください。
  136. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御指摘をいただきましたように、この資金計画の内容が問題でございます。新幹線、これも国民の非常な強い要望でございますが、大体大ざっぱに申しまして、七兆の投資のうちに一兆五千ないし多くいたしましても現在のところは二兆、これが大体の新幹線に対する投資として予定をしておる次第でございます。あと四兆五千ないしは五兆というものを、これは山陽新幹線も含めましてでございますが、在来線の投資、これは大都市通勤輸送もございます。拠点間の輸送もございます。またこれは貨物輸送方法近代化もございますが、そういったほうの面に充てる。その点につきましては十分に勘案をする次第でございます。  また、そういう点だけでなく、国鉄財政だけでなく鉄建公団をして、あるいは新幹線、また在来線都市の通勤対策というような問題につきまして相当の出資をいたさせます。先ほども申しましたが、少なくとも最小限度にいたしましても、この十年間におきまして一兆五千億は下らぬだろうというような予測でございまして、たとえて見ますると、上越線新幹線につきましてすでに四千億、それから青函におきまして二千億以上というものの投資も予定をしております。また大都市通勤輸送につきましても相当の出資をしまして、そうして国民にできるだけのサービスを提供するということもやっております。地方線におきましても、それぞれの分野におきましてこれをする。ただし鉄道としての特性を失ってしまっても、せっかく残しておきましてもほとんど鉄道に乗る人がない、バス輸送のほうがむしろ経済的でそうして当然じゃないか、だれが見てもそのほうがあたりまえじゃないかというようなものにつきましては、国民経済の見地からいたしまして、これはやはり廃止をするというふうに持っていきたい、こういうように思っている次第でございます。
  137. 田代文久

    ○田代委員 重ねてお尋ねいたしますが、つまり五十六年度、いわゆる計画の最終年度においての予定されている利子払い、これは約四千二百億見当あるわけですれ。そうすると、そのときには借り入れ金というのは大体幾ら残っていることになりますか。
  138. 磯崎叡

    磯崎説明員 五十六年度末の長期債務が現在あるものと合わせまして七兆六千億でございます。いまの四千百八十八億の利子は、この表をごらんくださるとわかりますように、二番目の財政助成金が千四百十三億、そのほかに、こういう表には出てまいりませんが、財政再建債が約五百億くらいございます。したがって四千百八十八億の利払いとは申しながら、実際には約二千億だけは資金手当てを政府にお願いしている、こういう勘定になるわけでございまして、これの多い少ないは別といたしまして、七兆の長期債務に対しまして実際の手元から出る金は約二千億である、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  139. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、その段階において借り入れ金の残高は七兆ですか、いまおっしゃたのは。そうしますと、大体返済する計画、何年かかってどういう形によって返済されるのか、それをちょっとお尋ねしたいと思うのです。
  140. 磯崎叡

    磯崎説明員 この中にはいろいろの種類の債券がございますが、一番短いのでは、御承知のとおり一般の民間資金を借ります七年償還のものもございます。また一番長いのは財政再建債で十年据え置き、二十年償還という三十年ものというのがございまして、七兆六千億のこまかい数字をいま手元に持ち合わせませんが、一番短いのは七年、据え置きがございますから十年、一番長いのは三十年、こういうことでございます。
  141. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、この計画がいわゆる十年たった後においても非常に大きな借金がそこに残るし、また利払いもずっと依然として残る、こういうことになるわけですね。そうしますと、そういう関係においてまたもや運賃の大幅値上げという線が出てきませんですか。それを非常におそれるわけです。ですから、もしそういう黒字計画ということが実際においてはっきり出るならば、これは少なくとも実際においてはこんなにならないと思うのですけれども、私は運賃値上げというものは起こらない方向がとにかく出てくるという見通しを立てるべきだと思うのです。私は逆になるのじゃないかと思いますが、この見通しは間違っておりますか。
  142. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点は先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、七兆の投資をいたしまして、それが相当な形で収入に戻ってくる計算、これは入れてございます。しかしその後最近きまりましたいわゆる三つの新幹線は計算に入れてございません。それらを合わせますと、結局——もちろん姿としては五十六年度時点で長期債務もいまより減るほうがいいし、また累積赤字もいまより減るのがいい、これは先生のおっしゃるとおりでございますが、実際にやはりごらんのとおり、また人件費のことを申し上げまして非常にあれでございますけれども、五十六年度時点の人件費がやはりまだ七〇%前後であるという計算でございます。すなわち収入の六〇%台になるかならないかという数字でございまして、やはり全体の経費から見ますと、人件費のウエートが非常に高いということは、この表にはっきり出ているわけでございます。したがいまして私どもは今後いろいろ収入——やはり人件費のアップを吸収できるだけの収入があれば問題はないわけでございます。それがない以上ある程度の累積赤字はふえざるを得ない。しかし五十七年度以降は、姿としては徐々に上向きになってくる。こういうことでございまして、こういう大きなずうたいでございますから、なかなか一朝一夕に黒字に転換したり、ことに長期債務がなくなるということばないわけでございます。ただ利払いにつきましては、先生指摘のとおり四千億という非常に大きな負担でございますので、現在の制度でまいりましてもその半分は政府で手当てをしていただいて、実際お支払いするのは、国鉄から出ますのは二千億であるということでございます。
  143. 田代文久

    ○田代委員 またもや人件費が出ましたが、やはりこれはひっかかるですね。日本国鉄労働者、従業員の方々の人件費が非常に高い、高いとおっしゃいますけれども、これは日本は現在七五%くらいでしょう。外国ではフランスなんか八〇%くらいじゃなかったかと思うのです。したがって、日本の経費の中に占める人件費の比重というものは、国際的に見て決して高いものじゃないというふうに実際の数字は出ておりますが、結局結論的にはいつも人件費になっていって、その関係からやはり値上げはせざるを得ないのだというふうな結論になることは、私は納得できないと思います。その点はともかくとして、私が先ほど申しましたように、いままでいろいろ御質問を聞きましても、十年計画というものは実際にこれは現在こういう形でもっともらしく十年になっておるのだけれども、この前の計画は三年目に全く御破算になった、あんなふうになるとは申しませんけれども、結局あれの反省として幾らかこれは長続きするかもしれませんけれども、十年後にいまおっしゃったような目標が出るとは私には考えられない。それを私ははっきり申し上げたいし、したがってこの計画は御破算にされるべきである、もう少し出直して、とにかくほんとうの意味で抜本的に国鉄再建あるいは赤字解消というような問題を考えなければ、これまた同じ轍を踏むことは火を見るよりも明らかであるという結論が、私としては出るわけですよ。あなたたちもこれは確信を持っておられるわけじゃないと思うのですが、その点はどうですか。いま国鉄総裁も結局非常に大きな困難と、運賃値上げというものがやはり出てくるのだとはおっしゃいませんけれども、これはやはり実際においてそうなっておるのですね。ですから私はこういう大問題、大計画、これは今度の法案が通ってからこの計画というものが具体的に出るようになっていますね。私はそういうことはやめるべきであると思う。したがって、これは大臣質問いたしますが、こういう計画は単に予算面をこの国会で審議させるというようなことでなくて、計画自体を国会に出して、そうしてこれがほんとうに妥当であるかそうでないか、三年目に御破算になるというようなそういうずさんないいかげんなものでなくて、ほんとう国民納得する形でさせなければ、国民に対して相すまぬと思うのです。ただ、とにかくつまづいたら値上げだというようなことで国民をごまかそうといったって、もう国民はごまかされないと思うのです。またごまかすべきものではないと私は思うのです。ですから、そういう意味で今後はこういう計画というものは当然国会の審議にかけるという方向を打ち出すべきであると思うのですが、そういう方向をとられるのかとられないのか。とるべきでなくて、いままでどおりにこういうふうにやるべきであるというふうにお考えになるのか、その点ひとつ大臣の御説明をいただきたいと思うのです。
  144. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この点もしばしば御答弁を申し上げているとおりでございますが、まず私どもといたしましてはこの法案につきましてすでにもう御審議をいただいた次第でございますが、四十七年度で国の支出千百八十四億、これはいままでにない異例の支出を見た次第でございます。そうして今日運賃法また財政再建促進法の御審議を願っておる次第でございます。政府といたしましては、それゆえに国民の皆さまに向かいまして、確信をもちまして必ず良質サービスを提供する。そうしてまた五十六年度におきましては、財政再建の方向に向かうことができるということで御審議を願っておる次第でございます。またそれらの点につきまして十カ年計画を先に策定をして審議を願うべきじゃないかというような御趣旨と思いますが、これらの法案につきましては、国会におきまして先生方の御審議を願いまして、それで確定をいたしましたところで私どもはこれを決定をいたす。その内容も確定をするかどうかということはやはりこれからの御審議による次第でございます。それでその点におきまして、いまセットになっております運賃法再建法、この一つの御審議をいただきまして、それが確定をいたしましたところで具体案をつくりまして、そうして閣議決定に持ち込む。これはあらゆる長期計画におきましては当然そういう方法をやっている次第でございまして、道路の五カ年計画におきましても、海湾の計画にいたしましても、空港整備計画にいたしましても、やはり国会の御審議を願いまして、その後におきまして閣議決定を見るという措置をとっている次第でございまして、これらの方法によりまして、私ども国民の皆さまに対して決して責めを果たさぬということではないと思う次第でございます。ことにこれらの料金、再建につきまして、こういったような法律によりまして国会の御審議を十分通じまして国民の御了解を得るという方法はわが国がただ一つの例でございまして、それだけに強く国民の皆さまの御期待にこたえなければいかぬ。先生方の慎重な御審議をいただいている次第でございまして、私ども先生方の御審議をいただくその過程における御意見も十分に尊重いたしまして、過誤なきを期してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  145. 田代文久

    ○田代委員 これは十分納得できません。こういう大計画に対して、とにかく十兆円に余るような計画を立てるという場合には、これは計画そのものを国会の審議にかけて、そうして国民の批判を仰いで、がっちりしたものにするという手続を私はとるべきだと思うのです。その点で相当大臣の考えと開きがありますが、ここでひとつ国鉄総裁質問いたします。  これは赤字の問題と関係がありますが、この間この委員会でだったと思うのですが、七五三ということをおっしゃいましたね。つまり七五三というのは、私の理解では、運輸関係の港湾とか航空とか道路、こういう面については七、五、三の割りで政府の援助があるのだ、国鉄については、それに対して一ぐらいだ、だから七五三の晴れ着は国鉄はあまり着せられておらぬのだ、こういうふうに受け取ったのですが、その点はどうですか。
  146. 磯崎叡

    磯崎説明員 ちょっとたとえが俗っぽくてあれだと思いますけれども、私が申し上げたのは、七と申しますのはちょっと数字が古くなりましたけれども、船全体の運営費、たとえば国鉄で申しますれば、ことし約千百億いただきましたけれども、全体の船の運営費の中で、国がめんどうを見ている割合を年ごとに分けて計算いたしますと、船全体のコストの七割近いものを国が見ている、こういう意味の七でございます。同じような計算で、飛行機が五割、それから自動車が三割、それに対して国鉄は全体の経費の約一割という意味でございまして、七五三の着物を着せてもらえないという気持ちで申したのではございませんが、ほかの交通機関の割合と比較いたしますと、国鉄に対するいままでの政府のめんどうの見方は足りなかったのじゃないかということを申し上げたわけでございます。
  147. 田代文久

    ○田代委員 ここで私は、国鉄当局に対して、磯崎総裁に猛省を促したいと思うのです。なぜならば、現在政府国鉄利用者国民、こういう関係になっているのですね。そこに出てくるのは赤字であるし、値上げ、こういう形で全部国民のところにくるわけですね。私はあとから基本的な私どもの考えている政策につきましては述べたいのですけれども、この赤字を根本的に解消するのは、こういう計画やこういうことでは実際解決できない。ですから、十年後に判断すると私が申しましたのも、そこにあるのですよ。これはどこの公聴会でも抽象的に言われておりましたけれども、なぜ政府国鉄に金を出さないのか、国鉄じゃないか、公共の利益、福祉ということを看板にしている国鉄に対して政府は全くまま子扱いじゃないか、赤字の根源として、そこにとにかく大問題があるということを、学名らしく分析をなさらない一般の方々が、地方公聴会でもここでも言っていたのです。私が犯行を促したいというのは、国鉄の当局が政府に対して、いま七去三の話も出ましたけれども、なぜもっと政府の資金を投入してくれないか、ここに大問題があるのだと、なぜおっしゃらないかということなんですよ。ことしも一千億余りのあれで、全く清水寺の高い欄干から飛びおりたような形の、画期的なそういう政府資金が出たようなことで、磯崎総裁は、どうもありがとうございます、こんなことをしていただいて、ということで、頭を地につけんばかり、と言ったら言い過ぎかもしれませんが、そういう形でありがたがっていらっしゃる。私はありがたがる性質のものじゃないと思うのですよ。国民の立場に立てば、国鉄法にいう公共性などからいっても、政府はなぜもっと出してくれぬか、それをおっしゃらないかですよ。いつかもこういうことを言われました。終戦後からだけでも政府国鉄に対してほとんどめんどうを見ていない。ほとんどと言ったら誤弊がありますけれども、鼻くそくらいなんですね。そして今度の計画が前年度において初めて三百数十億ぐらいをして、そして今度千億円、こういうことになったというわけですね。それが破格の画期的なあれのように政府も言うし、また磯崎総裁も、ありがとうございますとかなんとかいうことをおっしゃっていますけれども国民の立場からいえば、国民の安全な輸送、足を確保するという全責任を持っている国鉄が、赤字の問題を計数的にも明らかにして、そしてこれは、こういう運賃を何回上げたって片づくものではない。利払いだけだってたいへんだ。利払いの根源は何か。これは借金ですよ。しかも非常に高い利子で民間から借りている。そして十年後において四千億円に余るような利払いをする。こういうことじゃやっていけません、こういうことじゃ再建できません。こういうことをほんとうに解消することなくしては再建はできないのだから、政府はどうしてくれるのですと、なぜしりをまくらぬですか。私はしりをまくるべきだと思う、国民の立場から。そういう意味で私は国鉄の要求するところを決定的に支持しますよ。国鉄が要求せぬこと自身が、私は非常に間違っていると思う。国民の立場に立っておらない。それが赤字が累積するばかりであるということになると思う。その点、どうですか、国鉄としては千億円とか千五百億ということではなくて、三兆とかなんとか、たまっておるそういう負債とか十年間に一兆でしょう。十年間に一兆では一年間に千億ばかりじゃないですか。そんなことで赤字は解決できない。ほんとう解決して十年ですぱっとやるということであれば、少なくとも三兆円問題を利子とともに政府はめんどうを見てくれ、その線をはっきり出されることによって、私はこの赤字問題、再建問題はほんとうに軌道に乗ると思う。しかしそういう線が出ない限りはこれは軌道に乗らないと思うのですが、その点どうですか。
  148. 磯崎叡

    磯崎説明員 いつぞやも委員会でいまと同じ御激励をいただきまして、私非常に感銘いたしておる次第でございます。今度大臣のおかげで、先生いま一兆とおっしゃいましたけれども、実際には一兆のほかに利子補給が約一兆出ます。二兆でございます。そのほかに財政再建債が約七千億くらいございますので、いわば十年間の全体の援助が二兆七千億ということになるわけでございます。そういう意味では、相当と申してはたいへん大臣に申しわけないのでございますけれども、非常に大臣の御苦労のおかげだと私は思っておりますが、しかしやはり将来の問題としては非常に問題が残るということをけさ申し上げたわけでございまして、今後ともできるだけからだを張って新しい道に進みたいと思いますので、よろしく御激励をお願いいたします。
  149. 田代文久

    ○田代委員 まず国鉄総裁、これはやはり大臣に御苦労さまとお言いになる前に、国民に対して、私ははなはだ誤っておりました、消極的で、とおっしゃるべきですよ。大臣は、これはあなた国民の、われわれの機関でしょう。あたりまえのことですよ、これは。御苦労さまもくそもないのです。やるのが責任なんだから、実際に。その点を私ははっきりさせていただきたい。そうしなければこれは解決できないと思うのです。  そこで、これは実際に今度の計画の具体的な例について非常に大きな陳情が来ておりますので、この点について、国鉄はとにかくこの方針を変えるべきだと私は思うのですがね、御見解を伺いたいと思うのです。つまりこういうことなんです。いわゆる今度の再建計画のこれは一環ですけれども東北やら上越あるいは成田新幹線の問題、これで騒音とか振動とかあるいはテレビの障害というようなことが問題になっておって、非常に大きな反対運動が起こっておるわけなんですね。これについて、これは大臣もそうなんですけれども、実際にそういう国民、地元のそういう苦しみに対する声を率直にお聞きになるべきだと思うのですけれども、私は実際においてはそうなっておらないのじゃないかと思うので、お尋ねするわけなんです。  東北とかあるいは上越線の問題で、埼玉県内では国鉄はこういうことをやっているということを言ってきているのですが、鴻巣の地域では県立の農事試験場を避けて、ずっと弓なりになって路線を曲げようとしておる。あるいは熊谷の航空自衛隊とか深谷の工場団地を避けるために、住宅地域に割り込んでこれを通っていく。それからまた北足立郡の伊奈町では国際電電の中継基地を避けるようなことを考えて、そうしてとにかくそういうことを避けていく。これはしろうとからいえばすっと行くべきところを行かないというようなことがやられておる。また大宮駅の現在の構造に手をつけないで、桜木団地を突っ切るというような計画になっているというようなことで、地元の人がこれは何ということだということで、大運動が起こっておるわけですね。しかもこれは、運輸大臣が認可を与えた直後に、国鉄当局からこういうふうな形の説明なり報告が出てきているということになっておるというのですね。また国鉄新幹線工事局の向井という次長が大宮市の説明会で答弁して、そうして地元でこれは大問題になっているというのですが、それでは、国鉄は八十ホン前後の騒音しか出さない、だからだいじょうぶじゃないかということで、騒音の問題を八十ホンで線を引いているんですね。ところが地方自治体なんかではもう八十ホンどころか、これは六十ホン、五十ホン以下でなければその騒音には耐えられないということになっている場合、国鉄当局はこういうことを言うということは、全く地域の住民を無視したやり方だと思うのですけれども、こういう新幹線路線の引き方についてこれで正しいとお思いになるかどうか、あるいはこういうことに対しては訂正なさる御意見があるかどうかお尋ねしたいと思うのです。
  150. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま非常に具体的な地名あるいは場所の名前等が出ましたので、担当の常務からお答えさせます。
  151. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま先生お話し東北新幹線あるいは上越新幹線、上越新幹線につきましては鉄建公団が施行主体ではございますけれども、両方合わせまして御答弁申し上げる次第でございます。  新幹線のルート選定につきましては、東海道新幹線あるいは山陽新幹線等の経験によりましても、最近の民情の上昇によりまして、騒音、振動等いろいろ問題があること、私たちももう身にしみて十分承知をしておるところであります。したがいまして新幹線によります地元の方々へのメリットがあると同時に、通過地点の方々に対するデメリットのあることも十分承知をしておりますので、できるだけそういうデメリットのないような方法をとらなければいかぬということで、山陽新幹線あるいは前の東海道新幹線の経験にもかんがみまして、十分慎重なるルート選定のための勉強をいたしましてルートを選定しておるわけでございます。したがいましてその個々の、どの学校にどうするとかあるいはどの工場にどうするということももちろんのこと、全部のその地域の支障あるあるいは関係する住宅あるいは学校等、すべての問題を十分検討しながらルートを選定しておるつもりでございます。ただ先生承知のように、新幹線につきましては在来の鉄道と違いまして、使います半径、いわゆるカーブの半径でございます、そういうものとか、あるいは勾配の関係とか、いろいろ技術的に制約されておる面がございます。したがいましてルート選定が非常にむずかしゅうございまして、われわれとしてもできるだけ支障のないようにということで選定をしておるつもりではございますが部分的にはどうしても通過地点の方々には御迷惑がかかることになっておるわけでございまして、できるだけ全体的に迷惑の少ないように、しかも新幹線としての効果が発揮できますようにということでルートを選定しておるつもりでございます。したがいましていま先生のおっしゃいました各地点につきまして、私たちも十分その点皆さん方のお話はよく承知をしておりますが、この点につきましてルート選定いたします前にもよく私たちも検討した結果でございます。したがいましていま私たちは、この案よりほかに方法はない、こういうように考えて、それではどうすれば一番地元の皆さん方に影響がないようにできるかということをくふうしておるわけでございます。そういたしまして、先生ただいまおっしゃいました騒音の程度の問題、何ホン程度にまで下げられるかという問題につきましては私たち国鉄の技術陣が全力をあげまして、すべての技術はやはり公害に対する配慮をした技術でなければならぬということで、研究所を中心にしまして、あるいは現地機関も動員いたしまして、騒音の発生をいかに防ぐかということを検討しておるわけでございまして、現に御承知のように東海道新幹線に比べまして山陽新幹線の騒音の程度を下げることが若干でもできた。しかしそれでも私たちは満足しておりませんで、なお一そうの勉強をしていかなければならぬ。そうして勉強のできたものからそれを応用していくというようなくふうをとりたい。こう考えておる次第でございまして、これを現時点で何ホンということは、私たちもできるだけ努力をしてこれを下げていきたいというふうに真剣に勉強していきたい、こういうように考えている次第でございます。
  152. 田代文久

    ○田代委員 時間があまりないそうですから、あと二問だけお尋ねしたいと思います。  ただいまの説明では、地元に迷惑をかけているということを御承知の上でその計画をお立てになっているわけですね。大体路線を引くとかなんとかという場合に、地元の方々の同意なりあるいは了解を十分取りつけることなくしてやられるということは、新幹線を引いてもその付近の皆さん方は何らこれは利益を得ないですよ。さあっと走って、そういう騒音と交通公害だけをおっかぶっちゃって、たまさか東京まで乗ったらばかに運賃が高かった、こういうことになるでしょう。ですから、そういう点では、ほんとうに真剣な気持ちで地元の方々の了解を取りつける、これが私は民主主義の原則だと思うのですよ。これを飛び越えておやりになるなら、私は新幹線は必要ないと思うのですよ。ですから、もっと前向きの積極的な態勢をもって地元の意見を聞いて、そうして路線を変更するとかいろいろくふうをやっていただきたいということを強く要望しておいて、次の質問に入りたいと思います。  次には、今度の再建計画と切っても切れぬ関係にある交通安全の問題なんですが、ことしの三月、総武線で大事故が起こりましたね。全くあのときは幸いにして死人はなかったようですが、七百人というようなたくさんな人が事故にあわれておる。これは全く、私すぐ行きましたけれども、はだにアワができるようにぞっとしましたよ。というのは、十年前の例の三河島事故で、百六十一人の死者あるいはまた数百人の重軽傷者を出しましたね。そうかと思ったら、翌年にまた鶴見の事故が起こって、百何十人というほど死人が出たという問題ですね。これはたいへんな問題ですよ、実際のところ。そうすると、こういう計画は進めるけれども国民の安全が保障されるということなくしては、これは全く無意味であるだけではなくて、国民はとてもこれは納得できるものではないと思うのです。そこで、どのようにこの計画との関係で安全の問題を考え、あるいは計画されておるか。そういう点から、この間のあの船橋の事故について、すぐ総点検をやって、それから手を打つという答弁を聞いておりますが、その点検の結果どうなって、どういう手をお打ちになって、そうして安全輸送についてどういう方針、そういう犠牲者は絶対出さないんだという方針を持っておりますという、それをひとつお示し願いたいと思うのです。
  153. 磯崎叡

    磯崎説明員 先般の船橋の事故は非常に申しわけない事故で残念に思っております。さて、今回の再建計画の中の、いわゆる七兆のうち五兆は在来線でございますが、そのうち安全関係に約一兆、五分の一は安全関係に投資するつもりでございます。これはこまかいことはいろいろございますので省略いたしますけれども、私どもも安全問題は経営以前のものであるという感覚でやっております。けさも新聞にずっと各紙全部出ておりましたが、もうどうしてもATSでだめならば、ATOという安全な自動運転、安全な機械運転をひとつ考えようじゃないか、どうしても人間の過失をいろいろなことでカバーできないならば、もう純粋自動運転をひとつ技術的に考えようじゃないかということも実は考えております。これは採用する、しないは別でございます。しかし考え方としまして、あくまでも人間の注意力に頼るということでないように、最小限ではございますけれども、いままでの投資によって相当、私は三河島あるいは鶴見事故の時代と比べまして、人間の注意力にたよるのは減っていると思います。その点は私は自信を持っておりますけれども、それでもなおああいった事故が起こって防げないとなれば、ある程度自動運転というものを考えるということ。けさも新聞に出ておったようでございます。採用する、しないは別でございます。しかし、技術的な方向としてばすでにそういうことを外国でもやっております。私どもも場合によってはそういうことを考えて、そうしてどのくらい金がかかるかということも十分検討をした上で考えてまいりたいというふうに思っております。
  154. 田代文久

    ○田代委員 ただいまの説明では、やはり私たち非常に危険に思っている機械万能主義、機械がとにかく完全に安全を保証するかのような印象を受けるのですが、そういう考え方に問題があるのじゃないか。やはり私は人間というのが最後的な問題じゃないかと思うのですよ。たとえば三河島、それからその次の鶴見、それから今度の船橋の事故、これは全部大都市の近郊で起こっておるのですよ。現在のままではまたそういう事故が起こる危険性がある。なぜか。それは、私は実際に見てわかったのでけれども、二分間そこそこのダイヤが次々来たんじゃ、これはとてもたまったものじゃない。あなたがおっしゃるように、機械に絶対事故がないということはないですね。今度のATSの問題でも、機械万能であったわけじゃないと思うのです。だから、そういう都市近郊で、二分間隔の過密ダイヤでどんどん来て、とにかく輸送効果ということだけで、そこでそろばんをはじかれるというところに問題があるのじゃないか。だから、私は全国全部二人乗務にせいというようなことは申しませんけれども、少なくとも私は、この前船橋に行ったときに、もう一人そこに乗務員が補助的におったらあれは救えたのじゃないかということを、ほんとうに感覚的に自分のはだで感じました。二分間隔の過密ダイヤがどんどん来るというときに、少なくとも人員を減らして、人件費をとにかくはじかせばいいというような考え方が、私は非常に危険だと思うわけなんですよ。ですから、そういう点でいま総裁は、いろいろ安全については責任をおとりになる、これは経営以前の問題だとおっしゃいましたが、全くそのとおりで、人命に関する問題なんですから、こういう状態が続く限りまたどこかで起こる。そういう場合に、国鉄総裁にいたしましても、それを指導する運輸大臣にしても、実際に腹を切るかという問題ですよ。私は、腹を切らなければ国民はがまんできないと思うのですよ。次々にやられたんじゃ、私どもだって安心して乗るわけにいきません。そういうことをとくと考えて、この安全輸送の問題についてば全責任をとっていただきたい。いたずらに人員の削減というようなところで解決する、機械万能主義ということはやめていただきたい。その一つに、たとえばすでに欠陥車を、これはもう長々申しませんけれども、部分品を取り違えて七年間も走らせておったというようなことがありましたが、これは御承知でしょう。こういうことではとても私どもは安心できないと思うのです。  時間がありませんから、とにかくそれを強く要望しておきまして、最後の一問に入りたいと思うのです。  それは、これも今度の法案計画とやはり切っても切れぬ関係なんですけれども、結局企業努力ということが盛んに言われる。それが結局内部におけるけちけち運動とか、あるいは人員の削減とかいうようなことに結びつきがちであるし、それに反対する労働者、勤務員に対して、とにかく圧力あるいは弾圧を加えるというようなことになるならば、私はこれはたいへんなことになると思うのです。私はその点で国鉄の姿勢が、実はきょう副総裁見えておりますから率直に申しますけれども、この間委員会で副総裁が説明なさっているときに、ちょうどあれはATSの闘争で国労か動労かの幹部の方と団体交渉をやられた結果なんでしょう。その結果を同僚議員の質問に対して御答弁なさった。これは速記録に載っておると思いますから長々申しませんけれども、おまえたちが何とかかんとかと、こういうことをおっしゃいましたね。私はびっくりしたのですよ。国会で、国鉄の労働者に対しておまえたちがどうとかこうとか、そういうことば自体に、私はとにかく一体となって国民の安全輸送をしなければならない国鉄が、国鉄の労働者を敵視しているのじゃないか。そういうことでは、安全輸送なんかとても考えられない。その後、国鉄総裁のここでの御答弁やら姿勢を聞きますと、結局、人だ、国鉄の労働者を信頼しなければ実際には国鉄というのはやっていけないというような答弁がありましたので、これは当然だと思っているのですが、しかし、ああいうことを言われること自体が非常に私は問題があると思う。これでは再建計画なんかできっこない。国鉄の労働者がほんとう企業の方針を納得していくという体制をつくるかつくらないかということは、これは運輸省の指導責任でもありますけれども、直接的には国鉄当局の責任だと私は思うのですね。それはとにかく、ちょっと例ですから、そんなことを言ってけしからぬといって労働者におこられるかもしれないけれども、かりに労働者のほうで幾らか行き過ぎやら言い過ぎがあったと仮定いたしましても、当局としては大きな立場から抱きかかえて、そうして納得していくという態勢を堅持しなければ、実際においてだめだと私は思うのです。おまえたちがどうだこうだというような形では、これはとても国鉄労働者ががまんして、十分話しずくで安全輸送の問題やその他をするということはないと私は思うのです。そこで、この問題の法案と、それからこの法案の中で、一応例のマル生運動については労働組合と一応の方向が出て、あのときに問題になりましたマル生運動については、これはやらないというような方向が出たように記憶しています。あのときのいわゆる行き過ぎがあったというようなことは、国会でも説明なさったと思うのです。しかし、私はなおこの問題について非常に危惧を感じますので、総裁にお尋ねしたいのですけれども国鉄の生産性の向上運動について、総裁が新再建十カ年計画とあわせて新しく生産性向上運動を出発させたい、名前はどうでもよいが、計量ができない合理化を進めるという観点から取り組みたい、こういうことをおっしゃっておるわけなんですね。ただいま私は労働者、労働組合と国鉄当局との関係について、基本的な姿勢なり考えについて意見を述べましたけれども、今後この百姓十カ年計画とあわわせてこの問題をどのようにお考えになっておるのか。ほんとうに労働者との納得ずくで安全の問題やその他の問題についての話し合いとかなんとかを十分やるという方向でなさるのかどうか。この前されたような、いかにも権力本位で弾圧する、すぐ処分するというようなこととか、これは時間がありませんから申しませんけれども、いわゆる労務管理の中で、私たちとしては非常に問題にしなければならない問題がたくさんあるのですね。つまり、管理職にする登用試験の場合に、とにかく思想調査までやる。時間がありませんから具体的に申し上げませんけれども、そういう点が非常にきびしく出されて、これにマルをつけろ、バツをつけろということをやって、これに合わなければ管理職になれないというような思想調査、思想統制にひとしいような、とにかくそういう点検方法がやられているというようなことが見受けられるわけですね。そういうことをおやりになるかどうか。いわゆる再建十カ年計画との関係において、労使間における基本的な考え方、それからマル生運動についてのこの前の反省の上に立ってどういう方向でお進みになるか、その点の御説明をお願いして、質問を終わりたいと思うのです。
  155. 磯崎叡

    磯崎説明員 私もやはりいま先生のおっしゃいましたとおり、この再建計画がうまくいくかいかないかは、やはり四十数万の全体の力が発揮できるかできないかにあると思います。したがいまして、私どもといたしましては、その四十数万の代表である労働組合とは十分話をし、また意思の疎通をはかってまいりたいと思っております。私は、私の所属する職員四十数万の大多数はまじめに、一生懸命やっているという信念を持っています。決してそんな悪い分子はたくさんおりません。必ず私はみんなの大多数の職員がまじめに働いてくれるということを確信いたしておりますが、それらとともに手をとって新しい、むずかしい事態にぶつかってまいりたいというふうに思っております。いろいろな点で意見の相違あるいは時間のかかるところもあると思いますが、これらを十分納得ずくの上で、しかも国鉄を愛する、そして国鉄利用者に対してあくまでも忠誠心を誓うという、私のいわゆる生産性運動の起点、原点に立ち返って、全職員とともに前進してまいりたいという覚悟でおります。
  156. 田代文久

    ○田代委員 終わります。
  157. 小峯柳多

    小峯委員長 次回は明十日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時六分散会