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1972-04-19 第68回国会 衆議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十九日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 細田 吉藏君    理事 箕輪  登君 理事 内藤 良平君    理事 田中 昭二君 理事 河村  勝君       石井  一君    江藤 隆美君       唐沢俊二郎君    佐藤 守良君       塩川正十郎君    關谷 勝利君       羽田  孜君    福井  勇君       増田甲子七君    井岡 大治君       金丸 徳重君    久保 三郎君       斉藤 正男君    松本 忠助君       内海  清君    田代 文久君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 秋富 公正君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道副         総裁      山田 明吉君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正知君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出  第四二号)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別設置法の一部を改正する法律案について、本日、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君を参考人として出席をお願いし、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。江藤隆美君。
  5. 江藤隆美

    江藤委員 国鉄昭和四十五年度の純損失が千五百十七億を上回る、累積赤字が、国鉄資料によると八千百十九億になる。こういうようなことからいろいろ原因はあるにしても、これは借り入れ資金利子の返済あるいは償却費、そして人件費あるいは社会的な環境についていけなかった国鉄体質というものが今日の姿を生んで、このままいくと借金は雪だるまのようにふえていって、国鉄財政はやがて破綻をするであろう。こういうことから今回国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案国会提出されたわけでありますが、これは直接国民日常生活に影響することがきわめて大きい、こういうことからひとしく国民が関心を持っておることであります。したがいまして、管理の責任にある運輸省及び国鉄当局はこの際みずからの責任を明らかにして、そして事の真相を国民に訴え、協力と理解を得も努力をする必要があると思います。  したがって、ここでまず第一番にお尋ねを申し上げたいと思いますことは、昭和三十九年に国鉄赤字に転じて以来国鉄再建ということはしばしば論議されて、昭和四十四年の、五月に第一回の国鉄財政再建特別措置法が施行されて運賃改定も行なわれたわけであります。そのときにはこの計画を実施すれば国鉄財政再建はできるんですということで発足したわけでありますが、それがわずか二年足らずにして今回のような大幅な改定を必要とするに至った理由は何なのか。提案理由説明の中に、目的を達成し得なかった原因について深く反省しておる、こういうことが述べられておるわけでありますが、この変更原因とあるいはまた現在の提案をされるにあたっての決意のほどをあわせて運輸大臣並びに国鉄総裁から承っておきたいと思います。
  6. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま、今回の再び財政再建計画並びに運賃改定を出さざるを得なくなったその理由につきまして御質問でございますが、ただいま江藤先生から御質問がございましたように、四十四年度国会の御審議をいただきましてせっかく再建案をつくった次第でございますが、その後輸送需要に対しまするところの国鉄見込みが非常に違ってまいりました。と申しますのは、御承知のとおり乗用自動車の非常な普及、発達によりましてローカル旅客、また定期旅客というのが見込みよりも大幅に下回りをしておるということ並びに貨物輸送につきましては、一番大きくその輸送量を従来は占めておりました石炭であるとかあるいは木材であるとか、そういったような弟一次製品の輸送が大幅に減少してまいりました等によりまして収入減が非常に強くなってきた。また一方見込んでおりましたベースアップが大幅に上回ってまいりました。それら収支両方の不均衡によりまして、先生が御指摘になりましたように、四十七年度、このまま放置しておきますると償却前におきまして約千七百億、償却後の赤字は八千億をこえる、こういうようなことになってきた次第でございまして、その点まことに遺憾に思っている次第でございます。  しかしながら、先ほどお話がございましたように、この際改定理由をよく国民に明らかにしろというお話でございまして、まことにごもっともな御質問と思う次第でございますが、これらの点につきましては、私どもいままで約一年の間国鉄再建をいかにすべきかということにつきまして、再建方策においてはいろいろ異なっておりますが、各党いろいろ御協議を願いまして、当委員会におきましても小委員会を設けていただきまして、そして半年間各党のお立場におきまして再建策というものを御論議をいただいた次第でございます。したがいまして、政府もずっとその再建策をいかにするかということにつきまして慎重審議をいたしてまいった次第でございまして、今回は後ほどまた御質問ございますればお答えをいたす次第でございますが、国鉄の自主的な経営努力はもちろんでございますが、今日の輸送需要に合ったような体質に抜本的に改めるように、思い切った輸送方法の改善そのほかにつきましても十分考慮をいたしまして、それらについての予算措置をするとともに、やはり国鉄のいま国民の期待しておりまするところの輸送サービスの提供ということを、これからもますますやっていかなければならない。  御承知のとおり、新幹線はおかげさまで岡山まで開通を見た次第でございますが、あのとおりの輸送に対する需要がございます。そういうような点、また大都市交通におきましてもまた拠点間交通におきましてもサービスを要求する声も非常に強い。そういう点で思い切った投資をいたしまして、そうして良質サービスを提供することによりまして国民にお報いをするとともに、しかしながらその根本におきましては財政のほんとうの健全化をはかるということ、質の強化をはかるということが第一でございますので、今回はそれらの点を勘案いたしまして、政府といたしましてもいままでにない思い切った政府出資をいたしますとともに、国定の御協力を願いまして再建策を立てまして、そうして国民の御期待に沿いたい、こう思っておる次第でございます。まだ意の尽くさぬ点がございますので、御質問によりましていろいろ御答弁申し上げたい、こう思う次第でございます。
  7. 磯崎叡

    磯崎説明員 昭和四十四年の五月に、当委員会におきまして国鉄財政再建特別措置法の設定並びに運賃法の改正をお願いしてわずか三年でございまして、いま先生の御質問のとおり計画に非常にそごを来たし、収支におきまして約一千億近いアンバランスを生じたことはまことに私責任として申しわけなく思っております。  その理由といたしまして、いろいろございますが、二つに突き詰めて申しますと、一つはやはり当時の輸送伸び見込みが大き過ぎた。四・八%伸びると思っておったものが、どうしてもそれほど伸びないという一点、輸送伸びが思ったよりも悪い。交通革命テンポが非常に早いということが第一点。  第二点は、ベースアップにつきましても、当初説明いたしましたよりも実際に四十四、五、六一番ベースアップの高いときでございまして、それにおきましても相当多額のそごを来たしております。  大きく分けましてその二点でございまして、御質問によりしまして詳しく数字を申し上げます。
  8. 江藤隆美

    江藤委員 そこでお尋ねをしておきたいと思いますことは、しからば今回の再建案については、向こう十カ年間で達成するというものでありますが、これを完全に達成するという自信を持ってお出しになっておるのかどうか。特に今回は第二問目でありますから、今度またもや変更を余儀なくされるということになると、国鉄自体体質性格というものを大きく発想の転換をしなければならないということにもなりかれないと私は思うのであります。したがって、それほどの自信と覚悟をもってこの計画案をお出しになったのかどうか、その点を簡単に聞かしてほしいのです。
  9. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの、今回の再建計画自信をもって出したか、これはあらゆる点を検討いたしまして、今回の再建計画の御協賛をいただきますれば、必ず所期の目的を達成することができるという強い確信をもちましてお願いしている次第でございます。  また、いまお話がございましたように、それでやってみて、それでもやはりいけなかったということは、私はただいま絶対にそういうことがないと思いまして申し上げたくない次第でございますが、万一にもそういうことがございましたら、先生の御趣旨のとおりであると思う次第でございまして、体質の問題につきましても、やはり再検討を要することではないかと思っておる次第でございますが、ただいまのところそういうことは絶対にないという確信のもとに皆さまの御審議をお願いしておる次第でございます。
  10. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は運営責任者といたしまして、ただいまの御提案申し上げました案につきましては、今後十年間いろいろ経済情勢が変わると思いますけれども、われわれの想定できる経済情勢の中で、非常にきついと思います。率直にいいまして、今度の計画は非常にきついと思います。しかし、何とかしてやらなければならないというふうに思いますが、あらかじめ、もし問題点がどこにあるかとすれば、やはり輸送伸びについての問題点一つと、人件費の問題、二つの点はやはり問題が残ると思います。しかし、私どもは何とかこの計画の中におさめていかなければいけないというふうに思っておりますが、現実に、就任いたしましてから、すでにもう今月一ぱいでもって約百五十億の減収になっております。これなんかの補てんをどうするかという問題もさしあたりございますし、今度の春闘につきましてもいろいろ問題がございまして、すぐ目前からこの計画に対するいろいろな問題点があることは事実でございます。
  11. 江藤隆美

    江藤委員 いま総裁から端的にお答えのように、輸送伸びるかどうかという問題と人件費の問題は大きな問題だと思います。そのとおりでしょう。  そこで、私はただ一つ心配しておりますのは、最近公害の問題が出てきています。いままでは、鉄道においてはそういうことは言われなかったのでありますけれども、最近は騒音対策あるいは公害によるその補償と言う問題がいろいろ議論をされている。そういうものもやらなければならないし、あるいはまた施設もしなければならない。そうなると、一体この計画の中に騒音対策なり公害補償ということが組まれておるのかどうか。ということは、国の単年度主義予算の中でこういう計画を立てていこうとすると、ややともすればこの長期計画というものが非常に狂う可能性がある。私はこういうところに一つの落とし穴があるのではないかと思うのでありますが、たとえば、騒音対策というようなものが出てきて、途中でこの計画案というものな大きく足を引っぱるようなおそれはないのか、そういうものはすでに織り込み済みであるのか、総裁お尋ねをいたします。
  12. 磯崎叡

    磯崎説明員 今後の鉄道公害問題につきましては、いろいろ問題がございますが、私どもといたしましてはいま予見できる公害につきましては、一応今度の設備投資計画の中に織り込んでございます。
  13. 江藤隆美

    江藤委員 それではすでに騒音対策あるいは公害等が起こった場合の補償というものがこの計画案の中には十分織り込んであって、これが将来災いを起こすようなことはない、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  14. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまのお話のうちで、補償問題はなかなかその算定もむずかしゅうございまして、むしろ私どものほうといたしましては、設備的な面の、設備投資でもってできるだけのことを考えていきたいというふうに織り込んでおります。
  15. 江藤隆美

    江藤委員 今度の機会にひとつ明らかにしていただきたいと思いますことは、政府国鉄に対して十年間で一兆円出すのである。それから、国鉄は十年間に十一万人という人員整理をするのである。したがって、なおかつ赤字が出るのだから運賃改定を要する。こういうことだけではなかなか国民の納得は得られないのであります。何とならば、その前に、一体国なりあるいは国鉄の犠牲、努力というものはこれが最高限度であったのかどうか、これが一つです。もう一つは、旅客運賃においては一三一・四、貨物運賃においては二四・六という大幅な値上げ案でありますが、その根拠はどうなっておるのか。簡単でけっこうです、その根拠はどうなのか。特にこれは通勤通学あるいは生鮮食料品輸送日常生活物資輸送、そういう直接生活面にはね返ってくる料金の改定であるだけに、この際明らかにしておくことが必要であると思いますから、お尋ねをするのであります。
  16. 磯崎叡

    磯崎説明員 十カ年間の国鉄努力といたしまして約六兆円を見込んでおりますが、これは人員の削減と増収の努力と、その他こまかい点がいろいろございますが、大体運賃改定に見合う程度の努力をしなければならないというふうに思っております。また、ただいま御質問の今回の運賃改定の率でございますが、これは国民生活に対する影響も甚大でございますので、私のほうといたしましては収支のバランスをとりながら、しかも過去の実績その他の状況を参酌いたしましていまの率をきめたわけでございます。
  17. 江藤隆美

    江藤委員 ここでひとつ念のためにお尋ねしておきますが、この再建計画の中で身のがしておるものはないか。全部盛り込まれておるのかどうか。たとえばさっき申し上げた騒音対策がその一つでありますが、次に申し述べてみると、たとえば連絡船、五つか六つか連絡船赤字出しながら走っておるものがありはしないか、あるいは民間と競合しておるものはないのか、あるいはバス路線についてはどうなのか、遊休人員がおるのではないか、運賃収入というものが人件費を支払うと、とてもじゃないけれども採算の合わないようなものが実際あるのじゃないか。それは運行回数も少ない。それらの反省計画というものがこの案の中にどのように出ておるのか、これを総裁から承ります。
  18. 磯崎叡

    磯崎説明員 この案の全体の中にはもちろん連絡船バスも織り込んでございます。船とバスについて簡単に申しあげますと、船の収入のほうは鉄道収入から割賦いたしますので、船のほうは一つの部内の数学のやりとりで収支ができますけれども、やはり人件費のアップその他がございます。しかし、船はわりあいに合理化テンポが早く進みますので、大体それほど大きな赤字を出さないで済みますが、問題は自動車でございます。自動車は、いますでに政府過疎バス対策をやっておいでのように、私のほうの自動車バス路線の中で実際過疎地帯でないのは東名高速道路あるいは名神高速道路だけ、あとはごくわずかの、四国の一部等でございますが、ほとんどはいわゆる過疎地帯バスでございまして、このバスから出ます赤字はすでに本年度予算では八十七億の計上をいたしております。これは残念ながら減ってまいりません。私ども性格上、過疎バスだからといってやめるわけにはまいりませんので、私は過疎バスを運行するという以上、これはいずれ政府全般過疎バス対策の一環として取り上げていただく時期が必ず来るというふうに思っております。
  19. 江藤隆美

    江藤委員 ここで時間の都合で議論をしておる時間がありませんから、過去五年間の連絡船収支についての資料を後日提出していただきたいと思います。これはバス路線についても同じであります。ややともすると鉄道の部分だけが議論をされてこのような面が疎外されるおそれがありますから、後刻検討してみたいと思いますので、資料提出を願いたいと存じます。  そこで、今日までの赤字原因というのは、いろいろ考えてみると、国鉄には多分に世の中でいわれておる親方日の丸的な考え方はなかったのであろうかどうだろうか、国鉄努力は多とするものでありますけれども国民の目にはそういうふうに大きく映る面がなしとしないのであります。そこできょうまでずっと国鉄事業を遂行していく上で一つのものの考え方としてまかり通ってきたことは、たとえば昭和四十四年、四十五年のように人件費が足りなくなる。そうすると工事費を減らして人件費のほうを補っていく、こういう安易な予算の運用というのが行なわれておったのじゃないか。したがって、今後合理化近代化をして、輸送力の増強をすべきそういう肝心の原資に手をつけたために国鉄近代化がおくれてきた、こういうことを考えてみますと、この計画を立てた時点にあたって、これから実行するにあたっては少なくとも人件費が足りないからといって工事費に手をつけるというようなことがあったのでは悔いを千載に残すおそれがある、私はこういうふうに考えられてならないのであります。したがいまして、この際人件費事業費というものは明らかに区別する必要があるのじゃないか、内部の規則があるとするならば規則を改正して、そしてこの再建案を完全に実行するように私は計画を進めていただきたいと思うのでありますが、その適否についてまず大臣はどのようにお考えか、引き続いて総裁決意を承りたいと存じます。
  20. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま国鉄企業努力につきまして足りない点が多々あったんじゃないか、その点につきましては国鉄当局も非常に反省をいたしている次第でございます。また私ども監督責任といたしましても、合理的な運営がこれから確実に実行できるよう指導してまいりたい、こう思っておる次第でございます。ことに人件費増高のために工事費に手をつけるというようなことは決して好ましいことじゃございません。これらのことがしょっちゅう続いてまいりますると、国民の信頼も失ってくるということでございますので、私どもそういうことのないように指導してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  21. 磯崎叡

    磯崎説明員 過去の仲裁裁定を実施いたしますにあたりまして、いま先生のおっしゃいましたように、財源がございませんで工事費に繰り入れておりましたものを仲裁財源に使った過去の実績がございます。たとえば昭和四十五年度は四百五十億使いましたけれども、しかしこれは後ほど四百億だけ補正予算でもって埋めてもらうという措置をしておりますけれども、必ずしも全額補正予算で埋められない場合もございます。そうすると、お説のように工事費がそれだけ足りなくなります。しかし今後は何と申しましても、実は工事財源に繰り入れるべき自己資金がございませんので、工事費を食ってベースアップをするということが事実上できない予算になっております。それは四十六年度からでございますが、いままでは多少損益勘定で余ったものを工事勘定に繰り入れておりましたので、その余ったやつを食ってしまうということをいたしておりましたが、もうその金がなくなりましたので、逆にそれがもうできなくなったというのがたとえば四十六年の現状でございます。
  22. 江藤隆美

    江藤委員 できなくなったということではなくて、これからやるべきではないと思いますから、これからはやりません、やらないように今後制度があるとするならば制度を改めて国鉄もこれから姿勢を正していきます、こういうふうにお答えをいただきたいと思うのです。
  23. 磯崎叡

    磯崎説明員 確かに先生のおっしゃったとおりでございまして、原則としてそういうことをやるのは私は正しくないと思います。やむを得ず便法で補正予算までの間というふうなことでいままでやっておりましたけれども、今後はそれができませんので、それを契機として私ども工事経費を食わないということをはっきり申し上げておきたいと思います。
  24. 江藤隆美

    江藤委員 何とかなるだろうという考え方はこの際もう捨てないと再建計画の実行はできないと私は思うのです。  そこで国鉄赤字の一番大きなのは、さっき申し上げましたように、何といっても原価償却費、それから利子であります。工事費の巨額にのぼる利子の支払い、それから人件費であることは、これはもう言うをまちません。そこで原価償却利子等はそれぞれに処置されるとして、私はこの際に人件費の問題について伺っておきたいと思います。  今度の計画では、いま四十五万のうちで十年間で十一万人の人員整理をするということでありますが、これは自然退職なりあるいは補充をしないというようなことでやっていくのでありましょうけれども、はたして十一万人の整理というのは実行可能なのかどうか、まずそれを承りたい。
  25. 磯崎叡

    磯崎説明員 現在の職員の構成を年齢別に見ますと、この十年間に十一万人以上の職員が定年退職することははっきりいたしておるわけでございますが、問題はそのあと埋めないで済むかどうかという問題でございます。したがって、私どもといたしましてはいろいろあらゆる合理化近代化事案出しまして、それによって浮いた人間でもってやめた人のあとを埋めるという方法以外にないわけでございますので、今回はやめる方は必ずやめますけれども、そのあと埋めをどうするか、何によってやるか、結局合理化近代化によって人を生み出してやるという考え方に徹していかなければやれないというふうに考えております。
  26. 江藤隆美

    江藤委員 やめた人のあとを補充しないで済むかどうかという前に、私、検討していただきたいと思いますことは、片一方においては人をいなくして無人駅を進めておる。ところが片一方では人員が余って、せっかく国鉄につとめたのだから一生懸命働きたいけれども、十分な自分たちの仕事の場所がないという人たちも決してなしとしないわけです。これは総裁がよく御存じのとおりです。例をあげろとおっしゃればいつでもあげます。ですからそういう単なる縦割りじゃなくて、国鉄全体の中ですから、横で相融通し合いながら適正な人員配置をやっていくという姿勢が、私は補充する前の段階として必要であろうと考えます。こういうことをおやりになる必要がないかどうか、いままでの制度、慣習というものにとらわれずに、もっと広い立場での人員適正配置人員の活用ということを考えていく必要があるのではないか、これが第一番です。  それからもう一つは、昭和四十五年度の決算を国鉄資料をもって見ますと、運輸収入に対して人件費が何と六・一%であります。収入の六三%は人件費で食っておる。経費に占める割合は七四%です。さらに昭和四十六年度、これも国鉄資料をいただいて調べたのでありますが、運輸収人の七二%が人件費である。さらに人件費物件費を加えると、運輸収入のうちの何と九七%を食ってしまっておる。収入のあった分は経費と全人件費で全部なくなっておる。わずかに残るのが四百三十一億である。一兆一千億の収入があって、人件費物件費で食ってしまった残りはただの四百三十一億である。こういうことを考えると、国鉄の再建というものは容易ならざるものがあると考えなければならないし、この人件費の問題を避けて今日の国鉄の再建問題を論ずることはできないといわなければならないと思います。  そこで私は、この十二万人で今後整理の方向を出していくわけでありますが、少なくとも運輸収入の七二%——前年度六三%であったものが次の年には七二%になっている。また上がっていくでしょう。そうすると収入にほとんど人件費が近づいてくるという異常な状態が今日の国鉄の姿だ。そうとするならば、私は何といっても人件費の比率というものを五〇%以内に押えていく努力というものをどこかでやらない限りは、運賃改定をやってもベースアップに全部とられてしまう、こういう事態が繰り返されていくのではないかと思うのであります。ですから、ちなみに昭和四十四年度運賃改定をやりました。国鉄合理化をやります、近代化をやりますから、運賃改定についての御理解と御協力を賜わりたい、こういうことで当吟改定をやって、九百十一億という原資を生み出した。ところが昭和四十六年度ではベースアップで九百三十三億もう足りなくなっておる。こういうことを繰り返すのではどこまでいっても再建はできないと私は思うのでありますが、どこでそういう歯どめをつけていくか、どこいらを目標にしていくかということが非常に大事だと思うのであります。したがって、これについての考え方総裁から承りたい。
  27. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問の第一の人員の活用のことでございます。現在もちろん過員があるのは事実でございますが、私どもといたしましては、まずその配置転換と申しますか、同じ職場の中の配置転換はもとよりのこと、違った職場、たとえば機関助手を駅員にするとか、そういう違った職種の配置転換並びに今度は広域の配置転換、地方から東京に連れてくるという広域の配置転換、すなわち同系統、同職種の配置転換から異系統に持ってくる、あるいはさらに広域的な配置転換ということが前提でありまして、いい例は、たとえば機関助手をいま用地の職員に育て上げようとしておるというようなこともいたしておるわけでございまして、極力配置転換はやってまいらなければならないと思っております。  それから、いまの人件費の割合でございますが、これはほんとうに私ども国鉄経営の一番大問題でございまして、いま先生のおっしゃった、一体いつ歯どめがあるのか。現在の時点で計算いたしましても、五十六年度におきまして、必ずしもそう先生のおっしゃったように、全体の経費の半分以下になるということはまだ計算できません。それはなぜかと申しますと、人員構成が非常に頭でっかちの人員構成であるということでございます。すなわち、現在は四十歳から四十五歳までの間に約半分の職員がおります。この職員がやはり年齢給でございまして、給料が高いために、ベースアップをすると非常に実額がふえるということで、問題はやはり、この人員構成が根本的に直らない限り、いま先生のおっしゃった歯どめはできないということになります。したがいまして、私どもといたしましては、現在の四十歳から四十五歳までの一番層の厚いところ、これはもちろん戦争の影響がまだ国鉄には残っておるわけでございます。その戦後が完全に済むまでは、いまの人件費が正常な姿になるとは、残念ながら頭数を減らすだけでは申し上げかねるというふうに思います。したがって、五十六年度におきましては、徐々にそういう人件費が全体としての頭でっかちの形からだんだんあるべきピラミッド型に変わっていく、その過渡的な時期であるというふうに御了察願いたい。結局問題は、私ども職員年齢別人員構成にあるということでございます。
  28. 江藤隆美

    江藤委員 そうすると、計画年次の中では、この人件費の割合は、これは是正ができない、こういうことですか。
  29. 磯崎叡

    磯崎説明員 いまの七三%よりはもちろん少しよくなりますが、しかし六〇%台にしかなりません。七〇%は切ると思いますけれども、六〇%を切ることはちょっとまだ不可能だ。五十六年度時点では、平均年齢が四十八歳ぐらいになる。したがいまして、まだ六〇%を切ることはちょっと不可能かというふうに考えます。
  30. 江藤隆美

    江藤委員 私は、一生懸命働く人たちですから、国鉄当局仲裁裁定が出たら、あらゆる努力をしてその裁定をまるのみしていこう、こういう姿勢というものも十分理解ができます。しかしながら、八千億をこす赤字というと、おそらく私は世界一ではないかと思うのですね。民間会社ならば、これはとうの昔に破産をしております。国鉄であるからこそ今日までもっておるわけであります。それが何とかなるであろうという姿勢は、もうここらで改めなければいかぬのじゃないか。そして十分話を尽くして、労使とも非常事態であるから何とかこの難関を乗り切るように努力をしていこうではないか。そして、あした、あさって、しあさって、来年にはお互いが喜んで国鉄の将来を語る日が来るように、そういう一体感というものが国鉄に生まれてこなければいかぬ。私は、そういう努力を今後惜しまないことを念願してやまないわけであります。  そこで、時間の都合がありますから先へ急ぎまして、ここで新線の建設の問題にちょっと触れておきたいと思います。  いわゆるA・B線というものでありますが、どうも国鉄再建案が論議される過程において、地方閑散線と呼ばれるもの八十三線、二千六百キロ、これがあたかも国鉄赤字の最も大きな原因だというふうに宣伝をされてきたことを、私はたいへん残念に思っております。事実はそうじゃない。たとえば、幹線において、五十八線、七千三百キロ、四十四年の赤字千二百六十五億、地方交通線で八千六百キロ、一千五億、そのときの地方閑散線といわれるいわゆる廃止予定線の八十三線、これの全体の赤字はわずかに百六十七億にしかすぎない。ですから、これを全部ばっさりやったところで、国鉄の再建には焼け石に水の数字でしかない。それをあたかもこの八十三線があるために国鉄の再建はできないのである、国鉄赤字の大きな原因をつくっておるのであるという言い回し、表現が行なわれてきたことを、私はたいへん残念に思います。  そこで、この際私は大臣に承っておきますが、大臣は、この国鉄赤字の最大の原因は地方閑散線と呼ばれる八十三線にあったというふうにお考えになりますかどうか。
  31. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 国鉄赤字の最大の原因が八十三線にあったとは、率直に申しまして私は考えておりません。これはやはりいろいろの輸送事情の変化に応じまして、旅客、貨物、両方を通じまして、それに対する国鉄のいろいろの体制におきまして適合しないものが非常にあった、一般の陸海空に通ずるところの輸送バランスの非常な変化があったというようなことが大きな原因である。その八十三線につきましても、それは赤字原因であったことは間違いございませんが、これが大宗であるとは思っておりません。
  32. 江藤隆美

    江藤委員 そこで、その中に含まれるいわゆる過疎地域が非常に求めておるA・B線の建設でありますが、今年度予算性格は景気浮揚対策ということが大きな特色であることは、これは疑う余地がありません。とにかく早期発注をして、景気沈滞から一刻も早く抜け出していこう、これが今度の予算性格でありますから、国鉄とてもこの責めをのがれるものではないと私は思うのであります。  そこで、参考人としておいでをいただいた鉄建公団の総裁お尋ねしたいのでありますが、鉄建公団としてはこのA・B線の建設について、予算案が成立した暁においては直ちに工事に着手できるような準備と体制が整っておるのかどうか、これを承りたいと存じます。
  33. 篠原武司

    篠原参考人 本予算が今月中かあるいは来月早早には国会で御承認になるとわれわれは考えておりますし、暫定予算がその時期に切れますので、それからあとにつきましては本格的に仕事にかかりたいという気持ちでおります。特にA・B・C・D、あらゆる線でございますが、北のほうにつきましては雪が降ってまいりますので、早くいい時期に仕事をしたいというのが私どもの念願でございまして、運輸省にもお願いし、特にA・B線については、いろいろな問題もございますけれども、今月中ぐらいには早くこの案を御決定いただきたいということをお願いしておる次第でございます。まだその線で確定はいたしておりません。
  34. 江藤隆美

    江藤委員 そうしますと、公団としては一日も早く着工して完成をさせたい、したがって、準備はすでにある程度整っております、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  35. 篠原武司

    篠原参考人 ただいまの話でございますが、公団としては準備を整えておる次第でございます。
  36. 江藤隆美

    江藤委員 それでは、大臣お尋ねをいたします。  赤字線の廃止とA・B線の建設というものはまるで両刃の剣みたいなものでありますから、この取り扱いについていろいろと御苦労なさるお気持ちはよくわかるのであります。しかし、いま承りますと、公団においては、すでにことし二百億の建設予算を確保していただいて準備が整っておるということでありますから、政府としてはこの取り扱いをどうなさるか。予算が成立した暁においては、直ちに着工認可をなさって、そして建設のつち音高くこの工事に着工することができる、そういうふうにお取りはからいになるかどうか、大臣の取り扱いの方針をこの際承っておきたいと思います。
  37. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 赤字線の廃止でございます。先ほども二千六百キロのお話がございましたが、私ども赤字であるがゆえに廃止をする、赤字であるということが唯一の理由じゃございません。廃止をするのは、鉄道としての特性がなくなった、ほかに代替輸送もある、輸送需要も少ない、並行路線もちゃんと完備をしているということで、バス輸送その他によりまして十分輸送ができる、それによりまして、鉄道を走らすということが国民経済上非常に不適当である、不経済であるといったものを、いわゆる地方閑散線といたしまして、地元の御了解を願いまして整備をしていきたい、こういうことでございます。  また、新線につきましては、ただいま御指摘もございましたが、今回は要するに工業再配置、いろいろな問題もございますし、新全総に基づくところの地方開発もございますので、将来いわゆる国土の過疎過密の解消という点からいたしましても、地方開発のためにどうしてもこの点は必要である、輸送需要も非常に多いというような点を、重点的にこれを開発路線としてもっていかなくてはいかぬというふうに考えておる次第でございます。  また一部、いままでの既存ローカル線におきましても、いわゆる短絡と申しますか、そこの間におきまして路線をつなぐことによりまして一貫作業が行なわれる、一貫作業が行なわれることによりまして、地方住民の利便のみならず、輸送需要も非常に大幅に上がるというところにはやはり建設をいたしまして、そして鉄道が有効に、阿比の期待にこたえるというような、国民経済から見まして、輸送需要も増大し、そして地方開発にもなるというようなところを重点にいたしまして建設を認める方針でございますので、私は赤字線と申しますか閑散線の撤廃の問題、それから新線の建設とは矛盾なくやってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  また、その時期につきましては、ただいませっかく国鉄の再建を御審議をいただいておりますので、諸般の事情をすっかり勘案いたしまして、適当な時期にきめたい、こういうように思っておる次第でございます。
  38. 江藤隆美

    江藤委員 適当な時期とは、私がお尋ねをしておる予算案が成立をして、なるべく早い時期と理解してよろしゅうございますか。——よろしければ御答弁は要りません。  最後に、春闘の問題についてこの際お尋ねをしておきたいと思います。  けさ新聞を見てみますと、きょう、あすからいよいよ春闘に入って、国鉄、動労ともATS闘争を含めた順法闘争に入る、言うならばヤマネコ闘争であります。これは明らかに国鉄法並びに公労法に違反するものであると思っておりますが、そのとおり理解してよろしゅうございますか。  これに対して、大臣総裁にあわせてお尋ねしたいことは、今回このような大幅な値上げ案というものが国会審議をされようとするさなかであります。私は、国民一人一人の心の中にあるものは、国鉄赤字を埋めるために運賃の大幅な値上げをするといわれるけれども自分たち赤字はつくったのではないのだというお気持ちがみんな胸にはあると思うのであります。極端に言うと、事情を知る知らないは別として、今日までの国鉄の経営の姿勢に問題があったのではないかと国民は受けとめておると私は思うのです。そういう大事なものが議論をされる、論議をされるさなかに、月末には四十八時間のストをやる。しかもそれはゼネストをやって交通機関を一斉にとめてしまう。自分たちの困ったときの穴埋めには、再建のためには運賃は値上げする、そして国民に犠牲は払わせる、ところが自分たちの要求のためには国民に迷惑をかけてもいいという姿勢をいささかも示すべきではない。そういうことをやっておるから収人も減ってくるし、国民の信頼も失うことになる。この際、労使ともに血みどろになってこの再建案をやるのです、これが国のためにもなるし国民のためにもなることですから一生懸命にやりますという真摯な姿勢を見せる、十年再建計画の第一年度にあたっての一番大事な時期を今日から月末に向かって迎えておる、私はこういうふうに受けとめておるわけであります。これに対して運輸大臣並びに国鉄総裁は、そういうスト宣言もなされておるものでございますが、違法なこれらのものに対して一体どう対処されるおつもりであるか。しかもそういう闘争の中から国民生活をどう守っていこうという姿勢があるのか、あわせてお尋ねをいたしておきます。
  39. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 公共企業体におきましてストが違法なことは、これは申し上げるまでもないことでございます。ことに輸送機関は、たといこれが争議でありましても、エスカレートするあまり国民の足を奪うという点が非常にございますので、それがいろいろの経済行為におきましても、できるだけ円満に妥結することを心から願っておる次第でございます。ことに国鉄におきましては、いま非常な危機におちいっておりまして、いろいろ御審議いただきまして、国また利用者にいろいろの御負担をお願いしたい、こういうときでございますので、労使がほんとうに一体となりましてその再建に努力していただくことを心から願っておる次第でございまして、常々国鉄の首脳部を招致いたしまして、そうして今日の国鉄の危機を乗り切るように要望している次第でございます。  伝えられるような二十七、八日のストにつきましては、これは絶対に回避するよう私も強く指示をするつもりでございますし、また各関係大臣とも十分協議をいたしまして、この混乱を未然に防ぎたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  40. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま先生のおっしゃったこと、全く私も同感でございまして、国民にいろいろ大きな御負担を願う際に、国鉄の内部で、主義主張でなくて、一種の経済闘争のために国民に迷惑をかけるということは全く矛盾であるというふうに私は思います。先般来、新鶴見を中心とするいろいろなごたごたがございまして、一応いま小康を得ておりますけれども、それに引き続いて今日からの春闘でございまして、今日の春闘も、けさ電車がやはり十分ずつぐらいおくれております。きょう、あす、あるいは二十七、二十八日というふうなストライキになりますと、国民に対する影響も非常に大きく、実は昨晩も国労に対しましても十分事情のわかった警告書を出したつもりでございます。皆さん職員は一人一人十分その事実はわかっていると思いますが、いろいろな関係で——私はいまの春闘の問題は、国鉄はむしろ当事者能力より前の、支払い能力がないという問題なんだ、だからストライキをやったってやらなくたって同じことじゃないか、ほんとうのところ、まじめにここで働いてみんなに見てもらう以外にないじゃないかという言い方をして、ざっくばらんな話でございますが、ストライキをやったって運賃法が通るわけではないので、とにかくこれは支払い能力がないのだという時点に立ってひとつ考えよう、じゃないかというふうに申しております。そういう趣旨で私はざっくばらんに言って、経理の失態もよく組合も知っておりますので、そういうことを前提としてあらゆる力を使って、説得以外にないわけでございますから、説得してやめさせるようにいたしたいというふうに思っておりますが、非常に事態は、よその公社等がテンポが早うございますので、いささかあせっておると申しますか、ちぐはぐになって実は困っているのが現状でございます。
  41. 江藤隆美

    江藤委員 今回値上げが行なわれて、とたんにサービスが悪くなったというのでは、利用者は往復ビンタを食うというようなかっこうになるわけであります。したがいまして、今後一体、国民の一人一人はそれだけの代価を払って、自分たちは何を利益を得るのであろうかという素朴な疑問があると私は思います。それだけ値上げをしてたくさんお金を払って、どれだけ自分たちは、たとえば通勤通学のラッシュというのは解消されるんだろうか、通勤時間は短縮されるんだろうか、もう衝突の心配、なくなるんだろうか。いろいろと、そういう自分たちが受ける、それによる代償、サービスというものが、ややともするとこういう計画の中から児落とされていくというところに不満が生じてくるのであります。したがいまして、この月末の一斉ストに対して十分気を配られて、一代の生活に影響を及ぼさないよう、最善の努力を払われることを心から希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  42. 小峯柳多

    小峯委員長 石井一君。
  43. 石井一

    ○石井(一)委員 日本列島の大動脈として国鉄がこれまで国民生活に、あるいは日本経済に貢献してきた事実というのは、私はいなめない事実であるというふうに認識をいたしておりますが、それと同時に、今回国鉄がまた瀕死の財政的な状態に入っておるということも認識をいたします。ただ、先ほども議論になっておりましたように、四十四年から五十三年までの十年計画が緒についたというところで、直ちに新たな再建計画を立てなければいけないということに対して、これは厳粛なる反省を運輸当局なり国鉄に対して求めたい、こういうふうに考えるわけでありますが、今回の再建案と、四十四年から始まっておる計画との明確なる相違点というのはどこにあるのか、この点をひとつ国民にわかるように簡潔にお答えいただきたいと存じます。
  44. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど抽象的に申し上げましたが、一応数字をちょっと申し上げますが、よろしゅうございますか。——食い違いの大きな点は、先ほど申しますとおり、収入人件費でございます。収入は三年間で百九十四億の食い違いをいたしております。運輸収人は四百五十二億減りましたけれども政府財政助成金が四十六年度から計画以上にふえましたので、助成金百三十二億の増、雑収入が百二十六億の増で、四百五十二億の一般収入の減を一部消しまして、収人減が百九十四億でございます。  それから支出の増が五百七十九億でございます。これは事業費と申しますか、ほとんど人件費でございますが、人件費か九百九十四億の狂いをいたしております。あと利子償却費等が若干減りまして、差し引き、支出で五百七十九億。合計いたしますと、償却前におきまして、三カ年間で九百八十一億の支出増を来たしております。それに償却費を入れますと、全体が純損益で七百七十三億の食い違いでございます。
  45. 石井一

    ○石井(一)委員 私がお尋ねしたい点は以下の点でありますが、この点、運輸大臣から明確にお答えをいただきたいと思うのでありますが、今回の再建計画は、再建の期間をいわゆる延長した、それを延ばしたというものにとどまっておるのか、あるいは基本的に国鉄に対して大きなメスを入れようとしておるのか。そこにはそういう相違点があるのかないのかということをお答えいただきたいと思います。
  46. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 基本的には、先ほど来も私、前質問者にもお答えを申しましたとおり、今日の輸送需要に適合した国鉄に構成されるということが根本でございます。輸送方法の抜本的改革を行ないまして近代化をする。たとえてみますると、貸物におきましては拠点間の直送というものを主にするとか、あるいはヤードの整理をするとかいうことを思い切ってやりまして、たとえば陸上輸送あるいは海上輸送にも十分対抗できるような輸送体系をつくっていく。また旅客輸送につきましては、新幹線の増設をはじめといたしまして、大都市の通勤通学輸送の確保あるいはまた都市間の輸送の確保というような点につきまして、思い切った施設を投じまして、そうして国鉄が真の良質サービス国民に提供するということをまず第一番にしなければいかぬ。それがためには、やはり国鉄財政基礎も確実ならしめなくちゃいかぬ。いままでやったようなことではいかぬということで、まあすでに御承知と思いますが、政府におきましても、政府出資も大幅に今回は出すことにいたしまして、すでに予算において認められている次第でございますが、大体本年度におきましては、全体におきまして千八十四億でございますが、政府出資を今日は予定している次第でございます。十年間におきまして二兆億をこえる政府出資をいたしたいというような考えでやっている次第でございまして、そういう点が四十四年度の改正のときとは非常に大きな相違があると思っている次第でございます。御承知のとおり、政府出資が六百十六億今度出す次第でございますが、いままでの、国鉄が公社になりましてからの政府出資はわずか八十億程度のものでございましたから、これは思い切った出資を政府といたしましてもいたします。政府投資もする。また財投のほうでも思い切った財投をいたしまして、投資をいたしまして、約七兆におけるところの新しい輸送サービス国鉄自体でさせる、こういうことでやるつもりでございます。
  47. 石井一

    ○石井(一)委員 昭和四十四年九月二日に「日本国有鉄道財政の再建に関する基本方針」というのを閣議で決定されております。これは御承知のように財政再建促進特別措置法の第三条に基づいてこういう決定がなされておるわけでありますが、そういたしますと、今回の法律的措置によって新たに閣議によって基本方針を打ち出されなければいけないのか、その点を大臣にお伺いいたします。
  48. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは、ただいまそういう意味で財政再建特別措置法の改正の御審議を願っている次第でございますが、この御審議が終わりましたらば、直ちに政府の十年計画を決定いたしたい。その点では、ただいま申しましたようないろいろの政府出資の面、それからまたいままでの利子補給の面、たとえばいまでは政府管掌資金にかかる債務につきましてのみ利子補給した次第でございますが、今度政府保証債につきましても利子補給する。債務の利子補給のいわゆるたな上げの額が非常に大きくなります。そういうような点。その他いろいろの改正の要点がずっとかかっております。これらを含めまして、改正をいたすつもりでございます。
  49. 石井一

    ○石井(一)委員 それでは次に基本的な問題でありますが、運輸大臣は今度の運賃の改定というものに対して、基本的にどういう考え方をしておられるかという、これは政策の基本になる問題でありますが、この点が、やはりいろいろ調べておりましても、与野党の対立の一番鮮明になっておる面であります。一体国鉄運賃というものを、合理化なりあるいは政府の助成手段というふうなもので進めようとしておるのか、あるいは企業の独立採算制というふうな立場から考えますと、あくまでも受益者負担というふうな考え方を導入していかなければいけないということもいえますし、その辺が非常に意見の対立するところであり、公共料金の基本として一番むずかしい問題でありますけれども、基本的に大臣は運賃というふうなものに対して、どういう政策をもってこれに臨んでおられるか、この点をひとつお答えいただきたいと存じます。
  50. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いわゆる運賃その他でございますが、価格でございます。価格につきましては、その生産性の向上によりまして、このかかる費用、コストを吸収できる、そして物価にはね返らないということが一番の理想であろう、こう思う次第でございます。しかしながら、御承知のとおり公共料金というものは、財またはサービスを提供する、それによりまして受ける受益者がその費用を負担をするということが大体の原則でございます。ただいままでも原則でそれを貫いてきた次第でございまして、国鉄が公共企業体になりましてもずっとその原則を貫いてきた。私鉄企業もそれはやはりそれでございます。  しかしながら、先ほど来の御質問がございましたが、運輸事業は一般に——国鉄人件費が七割以上になる、これは合理化によりまして、できるだけ人件費を減らしてまいるという努力はしなくてはなりませんが——大体におきまして労働集約型の企業でございます。私鉄におきましては五割以上の人件費がかかっている。大手においてもかかっておる。中小企業においてはもっとかかっておる。公営企業の輸送企業におきましては、ひどいのには八割もかかっている、こういうようなところがございます。したがいまして、ずいぶんその点を合理化いたしましても、やはり労働集約型であることを脱却するわけにまいらない。企業の宿命でございます。でございますが、しかしながら国鉄のいままでの性格、そしてまたいろいろのたとえば通勤通学におけるところの公共負担その他の公益性から見まして、ただにこれを利用者にのみ負担を転嫁するということはどうかということが非常な論議の的でございまして、これはやはり当然のことでございます。今日におきまして、そういったような費用をどのくらいを限界に持たせるかということが問題であろう。すなわち具体的に申しますると、納税者にどのくらい負担をさせるか、利用者にどのくらい負担をさせるかという問題に私は帰着すると思う次第でございます。私は今回この点は、できれば、こういうような物価の問題でございますし、私どもも第三次佐藤内閣に入閣いたしまして以来、物価問題が一番大きな問題である。物価を抑制するためにあらゆることをやらなくちゃいかぬということでやってまいりましたが、やはり特殊サービスの提供に対しましては、ある程度といいますか、大部分これは利用者に負担させるのがやはりただいまの経済の原則でございます。それをどのくらいに縮小することができるかという問題でございまして、私は今回の措置といたしましては、政府も相当思い切った出資その他、財投その他におきまして、良質のサービスを提供するという態度に出た次第でございまして、この程度で、ほんとうに申しわけない次第でございますか、利用者負担はやむをえないもの、こういうふうに思っておる次第でございます。
  51. 石井一

    ○石井(一)委員 そこで大臣は、それでは消費者物価へのはね返りということあるいは家計に対する影響というふうなものをどのように見通しておられるのか、お伺いしたいと思います。
  52. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 御承知のとおり消費者物価といたしましては、交通費は一万分の三百五十くらいになりますか、そのうち国鉄が百五十五くらいになるかと思っている次第でございます。そのうちの約二四%——旅客で二三・四%、貨物で二四・六%のアップでございますので、それらをとりますと大体四厘上がる、上昇寄与率が四厘くらいじゃないか、こう思っている次第でございます。
  53. 石井一

    ○石井(一)委員 私も総計その他を調べますと大体そういう数字が出ておるようでありますが、四厘といいますとこれはまことに小さいような数字になるわけでありますけれども、公共料金としてのほかの物価に与える心理的な効果あるいは波及的な効果というふうなものを考えると、やはり重大な影響というものがある。ただ単に四厘であるというふうに言い捨てられない面があるというふうに私は考えるわけでありますけれども、その点の配慮はいかがでございますか。
  54. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 それはただいま先生おっしゃったとおりでございまして、やはり心理的の影響というものは相当大きいというふうに思う次第でございますが、やはり利用者におきましても、今日置かれている輸送価格におけるところの賃金の状況、また漸次その他の物価騰貴あるいは人件費の騰貴等におきまして、固定をさせるということが非常にむずかしい問題である。これは根本になりますと、公共料金を絶対に据え置くことが是か非かという根本の経済問題にも発展する次第でございます。でございますが、やはり非常にむずかしいということで、利用者に、恐縮でございますが、幾ぶん御協力を願わなければならない、こういうふうに思っておる次第でございます。
  55. 石井一

    ○石井(一)委員 今回の国鉄運賃の値上げに関して、いわゆる三方一両損だというふうな意見があります。政府国鉄もそれから利用者もお互いが協力をしてひとつ改善のためにやろうという意向のようでありますが、この十年計画の中身を少し検討してみますと、非常にアンバランスの面が出てくる。これは一つの推定でありますが、たとえば政府の出資というのは、先ほどお話もございましたように、一兆数億円にのぼるということでありますし、特に四十七年度予算に六十六億という、おそらく何十年ぶりかにこれだけの大きな出資をされたということは、私は政府一つの基本的な姿勢を多とし、大臣の御努力に対しても大いに敬意を表したい、こういうふうに感じておるわけでありますが、その反面、先ほどからも問題になっておりますように、国鉄合理化によって生み出そうとしておるものは一億円前後であるというふうに推定がなされております。人員整理その他によって合理化を進める十年間の推定というのが一億円前後であるというふうに推定されております。さらに使用者側の運賃の値上げによる増収といいますか負担といいますか、これはどういうものかというと、これも一つの推定でありますが、大体六兆三千億円になろう、こういうふうな一つの見通しかなされておる。中身ははなはだアンバランスであるというふうなのが、やはり消費者なりその他の一つの不満ではなかろうか、私はそういうふうに考えるわけであります。  そこで、政府は、国鉄に対する助成措置というふうなものを、今後どのような方針で臨まれるのか、今回ほんとうに抜本的に姿勢を変えられたこの姿勢を今後十年間こういう形で続けていかれるのか、この点を、ひとつ大臣から御見解をいただきたい。
  56. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま石井先生からお話しでございますが、大体十一万人の職員を縮減することにいたしますると、十年間でたしか二兆四、五千億でございましたか、ぐらいの経費節減に人件費でなっておる、こういうふうに思う次第でございます。先ほど私申し上げましたが、確かに増収分がそのくらいになりますが、三兆四、五千億、十一万人の縮減をいたしまして減ってまいりましても、大体ただいまの試算でまいりますと、十年間で経常のベースアップにいたしまして六兆四、五千億の増加になってくる。そういたしますると、大体におきましてこの運賃の値上げ率と同じぐらいになるのではないかというふうに私どもは試算をしている次第でございます。  また、ただいまの御質問でございますが、私先ほど二兆の政府出資と申しましたが、出資は一兆でございます。あと利子負担あるいはまた工事費補助、そういったようなものが一兆余りでございます。両方で政府から出す金が二兆、こういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
  57. 石井一

    ○石井(一)委員 いまの大臣の御答弁をもう少し国鉄側から確認をさしていただきたいと思いますが、四十五万人の職員の中で十一万人を減していこう、新しい採用というものをできるだけ阻止していこう。私はそこの中にも、国鉄職員の年齢構成というものがだんだんと上がっていき、合理化自体にもいろいろな問題がある。   〔委員長退席、箕輪委員長代理着席〕 しかしながら、そうしなければいかぬという客観情勢も非常によくわかるわけですけれども、十年間にどういう段階で人員を少なくしていこうとしておるのか。三年先にはどれぐらいのセーブが行なわれるのか、五年先にはどうなるのか、そして十年先にはどうなるのか、はっきりした計算を持っておられるのかどうか。そういう根拠があるならひとつお示し願いたいと思います。私が主張しておりますのは、この人員整理というふうな問題で国鉄がセーブできる金は十年間で一兆円くらいではないかという見通を持っておるのでございますけれども、先ほどの大臣の御答弁ではそうでもないというふうな御答弁でございましたが、国鉄側のほうからひとつはっきりした見通しがあればそれをお示しいただいて、この点について御回答いただきたいと存じます。
  58. 磯崎叡

    磯崎説明員 数字になりますが、御質問でございますので御答弁申し上げます。  国鉄が十一万人を合理化いたしますことによりまして、十年間で浮く金が二兆三千九百四十三億でございます。約二兆四千億でございます。そして、それをいま先生の御質問の、どういうふうにしてやっていくつもりかということでございますが、もちろん一度に十一万人を減らすわけにまいりません。首を切るわけではございませんので。一応年度的に考えておりますのは、やはり合理化テンポを考えなければいけませんので、四十七年度以降、七、八、九の大体三年間が一万三千人ないし一万四千人くらい、それから五十年度からは大体一万人から一万二千人、年度別にこまかくなりますので省略いたしますが、そういうテンポで、大体五十四年度までに一応十一万人を削減いたしたいというふうに思っております。五十五年度と五十六年度は、そのころになりますと週休二日制の問題もございますし、いろいろ労働時間の短縮等の問題もございますので、いま五十五、五十六年度という十年先の労働条件を完全に推測することは不可能でございますので、五十五、五十六年度を一応そのままにいたしまして、五十四年度までに実は十一万人減らす。それで年度割りをつくって、それと合理化計画と合わして減らしていく、こういう考え方でございます。
  59. 石井一

    ○石井(一)委員 それでは次に、国鉄の多角経営の問題について、基本的な大臣姿勢と今後の計画について国鉄当局の御意向をお伺いしたいと思います。  結局国鉄がこれまでも多少の関連事業をやってこられたわけでありますし、政令その他の改正で旅客総合ターミナルというふうな構想もぼつぼつ打ち出しておられるわけでありますけれども、やはり企業としての独立採算制というものをもっと押し出していかなければいけないというのが世論であります。それかといって、公共企業体としての一つのワクもある。また民業圧迫という問題とも対処していかなければいけない。こういうふうないろいろの問題が関連をしてくると思うのでございますけれども、具体的に今後法改正を含むいろいろの措置をとって兼業の部門というふうなものを拡大していこう、こういう方向にあられるのか、この問題について大臣の御所見をお伺いしたい。
  60. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御指摘いただきましたように、民間事業との調和の問題、これが第一でございます。しかし私は、今日の国鉄の置かれておる状況、それからまた国民福祉の点からいたしましても、もう少し拡大すべきである、こういうふうに考えている次第でございます。時期等はまだ慎重に考慮しなければなりませんが、私はそういうふうに考えている次第でございます。
  61. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうのいわゆる関連事業でございますが、いろいろむずかしい制限が法律的にございますが、いま大臣おっしゃいましたように、やはりやれることはやらしていただきたい。また私ども土地を利用してやれることはぜひやらしていただきたい、あまり民業を圧迫しないで、民業と調和をとりつつ、しかも鉄道の旅客、荷主になるべく面接リターンがあるような関連事業をやってまいりたいというふうな気持ちでございまして、おかげさまで石油パイプライン等もいま法案の御審議中でございますが、それが可決されれば、いわゆる集油と申しますか、ギャザリング会社に投資できるようになり、それにも若干の人がやれるというふうなこともございまして、なるべく直接国鉄の旅客、貨物両面にわたりまして便益になるような投資ということで考えてまいりたいと思っております。
  62. 石井一

    ○石井(一)委員 私鉄との運賃の格差などを考えますときに、やはり今後の国鉄のあり方としていろいろのむずかしい、複雑な問題がありますが、この問題に対しては前向きに考えていくべきであるというふうな気持ちがいたすわけでございますけれども、もう少し突っ込んで、たとえば開発問題だとか、住宅宅地というふうな問題をも含めて具体的な構想をいま検討しておられるのかどうか、この点についていかがですか。
  63. 磯崎叡

    磯崎説明員 たとえば新幹線と関連して、いま東北、新潟等、あの辺の土地は、いま相当不動産業者が買いあさっております。しかし、私どもそこまで手を出すことはちょっとできないというふうに思っておりますが、最小限、駅のそばの土地ぐらいを利用して駅までゼロ分の住宅ぐらいはつくらせていただきたいと思っておりますが、駅から離れたところに大規模な不動産事業をやるということは、ちょっといまのところ資金的にも無理じゃないかというふうに考えているわけでございます。
  64. 石井一

    ○石井(一)委員 そこで新幹線に関連いたしましてちょっと確認をさしていただきたいと思いますけれども、現在すでに決定をいたしております路線として、山陽、東北、上越、成田、それから審議中のものとして、九州それから東北・北海道の一部、北陸いわゆる北回り線というふうな問題がありますけれども、今後の開発としてそのほかどういう路線を新幹線の路線として考えておられるのか。
  65. 山口真弘

    ○山口政府委員 新幹線はただいま先生御指摘のように、山陽それから東北、上越、成田の新幹線につきまして現在建設中でございます。その他につきましては、東京−富山−大阪間、盛岡−札幌間、福岡−鹿児島間、この三新幹線につきましては基本計画へ組み入れることを早急に措置すべきであるという鉄道建設審議会の建議がございまして、そしてその組み入れの措置に関しまして現在調査を進めておる段階でございます。その他の新幹線につきましては、現在のところまだ日程にはのぼっておりませんで、今後の検討によって処置をしてまいりたいと思います。
  66. 石井一

    ○石井(一)委員 少し議論が飛躍するようですが、国鉄が新しい時代に即応して、いわゆる交通体系の中で路線にたよるだけでなく、たとえば海運であるとか、あるいは航空の方面であるとかというような総合運送業的な考え方を今後、先ほど私は開発の問題その他を申し上げましたけれども、こういう関係での一つの交通体系の中での中核的な、多角的な経営をやろうという、こういう構想はいかがなんですか。
  67. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は終戦直後に非常にそういう意見がございまして、航空にもあるいはその他にも手を出すべきだという議論がいろいろございましたけれども財政状態でやれませんでした。今日こういう事態になりますと、私どもは航空などに手を出すこともほとんど不可能であるというふうに考えますが、海につきましては、現在海運業者とタイアップいたしまして、北海道と東京の間のいわば東北線のバイパス輸送をコンテナを中心といたしまして船でやりたい、こういうことを考えておりまして、なるべく民間の知恵と力をかりまして、そして共同でもってそういう総合的な交通体系の中核となってやってまいりたいというふうに思っております。
  68. 石井一

    ○石井(一)委員 それではもう少し国鉄内部の問題について御説明をいただきたいと存じますが、根本的に赤字原因として、同僚の江藤議員からも人件費利子その他いろいろの話がございましたが、私たちが聞いておりますのは、角度を変えて申しますと、要するにもうかっておるのは新幹線である。あと一部の山手の環状線だとか大阪のなにであるとかというふうなことがございますけれども、地方の交通線というのはほとんどすべて赤字であるというふうにいわれておる。黒字の地方線というのはほんの九線であり、あとの二百四十というものはほとんど赤字である。こういうふうに理解いたしておるわけでありますけれども、これらを今後どういうふうに持っていくのかというのがやはり一つの大きなきめ手になるという感じがいたすわけでありますけれども、この赤字路線の中で積極的に今後いろんな施策を打ち出していくことによって再建の見通しがあるというのは、一体幾らぐらいに見込んで、どういう見通しを持っておられるのか、総裁からお答えいただきたいと思います。
  69. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄赤字原因、同じことを方々の角度から見るわけになりますけれども、いま先生のおっしゃった角度から申しまして、全体の二万キロのうちを分析してみますと、大体一万と一万に、二つに分かれると思います。初めの一万は主として幹線を中心といたしましての一万キロでございまして、これには東海道新幹線以下いろいろ入っておりますが、この一万キロはとにもかくにも輸送も相当伸びておりますし、またその中で黒字線は新幹線を含めましてわずか二千五百キロぐらいしかございませんが、その幹線系の一万キロは二千五百キロの黒字でもって大体カバーできているわけでございます。そして今後設備資投をし、複線電化をしてまいりますれば、将来十分まだお役に立つ線でございます。  それから残りの、あとのほうのいわゆる地方交通線としての二万キロ、これは過疎地域を走っておりますし、これから約千五、六百億の赤字が出ておりますが、これが実は国鉄赤字でございまして、この地方交通線は輸送量も少ない、人口も少ないので、やむを得ずやはり一つの列車の輸送の単位が小さくなります。どうしても鉄道輸送と申しますのは、一回にお客さんなら五、六百人以上、貨物なら千トン以上のものを引かなければコストがまかなえないというのが鉄道一つの基準でございますが、そういう地方交通線になりますと、それだけのお客さんもいないし、荷物もないということで、非常に小さい単位の輸送をいたしております。お客さんで申しますと百人以下、貨物で申しますと二、三百トン。ですから鉄道輸送にはどうしても性質上合わない線でございますけれども、かといってそれをやめるわけにはもちろんまいりません。そのうち先ほど江藤先生質問の二千六百キロというのはその中に入っておるわけでございまして、その二千六百キロは、私どもから見ますれば、自動車輸送にかえても輸送できる程度の輸送量しかない。残りの七千数百キロ、これは長さからいっても何からいっても絶対自動車輸送にできないということになれば、その赤字をだれが負担するかという問題になると思います。いまはその負担を全部先ほどの二千五百キロにぶっかぶせておりますので、運賃の問題等も起こりますが、私は将来いまの八千キロ、七千数百キロというものはソシアルミニマムとして国鉄が維持しなければならない。いわば、非常に端的に言わしていただきますれば、国鉄がもうからない七千五百キロなり八千キロを国有鉄道としてやって、もうかる幹線のほうは、これは会社にしたっていいと思うのです。これは個人的な意見でありますけれども、それでもやっていける程度の収支のバランスがとれるわけでございますが、どうにもならない七千キロから八千キロのものはやはり国有鉄道として国民の税金を相当いただいて維持する。ちょうど道路と同じように、府県道と同じような意味で維持していかなければならないというふうに私は考えます。したがって今後私どもといたしましてはやめられるものはやめてしまう。しかしながらやめられないものが大部分でございますので、これはやはり政府から、税金の中から国全体として過疎地域のめんどうを見るというふうな角度で七千キロなり八千キロの経常をしてまいらなければならない。もちろん私ども自身は極端に経営合理化いたしますけれども、どんなに経営合理化いたしましても千数百億の赤字は消えないと思います。よほどの産業の再転換、再配置等が行なわれ、人口のUターン等があればともかくでございますが、とてもそんなことはここ五年、十年で期待できないとすれば、それらについてその最小限度の社会的要求を満たすためには、やはり国民の税金で国全体としてめんどうを見るというふうな形に進むべきではないかというふうに私は思っております。これにはいろいろ御意見もあると思いますが、私自身の考え方はそういう考え方でございます。
  70. 石井一

    ○石井(一)委員 総裁としてのお立場なり御主張はよく理解いたしましたけれども、やはりこれだけのばく大な赤字路線に対する積極的な何らかの施策というものを打ち出していかない限り、国だけでめんどうの見れる問題ではない。これは非常に大きな問題だというふうに私は痛感いたします。  それに関連いたしまして、赤字のローカル線の廃止を決定いたしまして、五年間のうちに二千六百キロとか三千四百キロとかいわれておるわけでありますけれども、四十五年度赤字の中でこれの占めておる位置というものがほんとうにせいぜい一割未満である。いかにもこういうものがあるから国鉄は値上げをしなければいかぬという議論が通っておるのにもかかわらず、実態はそうじゃない、これが国鉄合理化につながるのかどうかという議論が、これは私は非常に重要な一つのポイントだと思います。先ほど大臣は非常に時間をかけられて、それは関係がないという御答弁のようでありましたが、国鉄総裁としてはこの赤字路線の問題に関してどういうお考えを持っておられるか。   〔箕輪委員長代理退席、加藤(六)委員長代理   着席〕
  71. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど申しました地方交通線の一万キロの中に、二千六百キロなり、三千四百キロが含まれるわけでありますが、もちろんそれは金額的に申しますとせいぜい三百億から三百億弱ということになると思います。したがって全体の赤字を左右するだけの額でないことは、先ほど両先生のおっしゃったとおりでございます。ただ、私どもは先ほど申しましたとおりその次の七千キロなり八千キロについてぜひ国からの補償を要求したいという気持ちを持っておりますので、その前提としてやはり鉄道としての使命が終わったものはやめる、それでなければ国民、納税者は納得されないだろうというふうにも思います。したがってその点やり方としてはいろいろむずかしいと思いますけれども、やはり鉄道の使命の済んだものはやめる。しかし鉄道の使命の済まないものは、赤字であろうと何であろうとやるのだ。しかしその負担はだれがするのかということは、おのずから別問題だというふうに考えます。したがって先ほど鉄建公団にも御質問ございましたが、私はいま鉄建公団のつくっております四十四線全部やめろというふうな暴論を吐いておるつもりはございません。ただ四十四線の中でつくってすぐやめてしまうというものがあれば、これはやめるべきである。しかし四十四線の中には、もちろんさっき大臣のおっしゃった将来とも非常に大事な路線がございます。むしろこれに集中して早くつくるものはつくるというふうにいたしませんと、非常にむだが多いと思うのです。全部ばらまいてしまったのでは、どの線も一億とか二億とかでは、五十年たってできる、四十年たってできる、これじゃ役に立ちませんので 四十四線を九つか十に集中して、そしてそれを早く仕上げるということが最も大事なことじゃないかというふうに思いますし、先ほど石井先生おっしゃった前回の閣議決定の再建計画の中にも、四十四線を重点的にやるということをはっきり書いております。それをぜひ私はやっていただきたいというふうにお願いする次第でございます。
  72. 石井一

    ○石井(一)委員 それでは次に貨物輸送の問題についてでありますが、これはやはり非常に大きな赤字原因のようでありますが、やはり貨物輸送に対する見通しを誤ってきたのじゃないか。この批判は率直にやはり受けられなければいかぬというふうに感じるわけでありますが、この収入伸び悩みの対策というふうなものに関して、今後どういうふうな手を打っていかれようとしておるのか。また、これまで貨物運賃に関する改定というのが行なわれなかったのは、一部には大企業に対する奉仕であるというふうな意見までいわれておる。こういう面がありますけれども、こういう面に対して、国鉄側としてはどういう見解を持っておられるのか。
  73. 磯崎叡

    磯崎説明員 貨物輸送は実は昭和三十九年からほとんど伸びておりません。約二億トンという頭打ちになって、今日まできておりますが、その内容は、さっきちょっと大臣がおっしゃいました石炭の減送が非常に大きかったということと、それからやはり日本全体の産業構造がいわゆる山間部から海岸にあらゆる産業が出てきた。海岸に出てきますとほとんど——いまの臨海地帯で申しますと、その臨海地帯に出入りする貨物の中で、鉄道に乗る貨物は大体五%でございます。あとは全部船か、それから製品はトラックでございます。そういう非常に急激な日本の産業構造の変化に私のほうの貨物輸送がついていけなかった。また、本質的に鉄道を利用しないような産業立地になってきたということも、これは弁解ではございませんが、事実の問題として考えなければならないということで、私のほうで輸送しております内容から見ましても、いままでのいわゆる原料的なものから製品的なものに変わりつつある。たとえば石炭がいままで一番多く、大体四分の一を占めておったものが、いまはもう一割ぐらいになってしまった。いまはセメントが一番多いわけでございますが、いずれにしても、第一次的な産品よりも二次製品が鉄道貨物につきましても主力になってきた。非常にトラックと似てきたということです。したがって、私どもといたしましては、流通課程に非常な厳格さを要する二次製品の輸送にふさわしいような輸送体系をとらなければいけないということで、いまコンテナ輸送、フレートライナー輸送をやっておりますけれども、これには若干設備投資も要りますし、また、いろいろな車等もつくらなければいけないということで、いませっかく貨物輸送のそういう一次製品から二次製品への転換をポイントといたしましてやっている最中でございます。たとえば、二、三日前の新鶴見のあの騒動によりますと、もう三千件ぐらいの苦情がございまして、もう二度と鉄道を使ってやらないという荷主がたくさんおります。そういうふうな対策も考えなければならないということでございます。  もう一つ、運賃の問題でございますが、いまトラック運賃、ことに自家用トラックが非常に安いと申しますか、比較にならない運賃でございまして、むしろトラック運賃と申しますのは、いわゆる定期のトラックとか営業用のトラックよりも自家用トラックの問題でございます。これにつきましては、いろいろ運輸省のほうでも考えておられるようでございますが、私どもといたしましては、やはり運賃として上げても、上げればトラックへ行ってしまうというような運賃値上げをしてもしかたがないということで、今度はサービス等の裏づけのある運賃改定をいたしたいというふうに思っております。いわゆる大資本であろうと小資本であろうと、同じ貨物から同じ運賃をいただくというのが、これは私のほうの原則でございます。大資本であろうが小資本であろうが、ロットによって運賃をきめる、等級によって運賃をきめるという原則でございまして、したがって、大資本に奉仕するために運賃を上げなかったというふうなことは毛頭ございません。
  74. 石井一

    ○石井(一)委員 それでは次に、国鉄がこういうふうに運賃の改定をしていくとしますと、私鉄との格差がさらに伸びてくる。これはいろいろな並行線の問題でこれまでも当委員会議論になっておる問題でありますけれども、現在の制度では企業負担という形になっているから、ますますもって国鉄の乗客というものが減っていく傾向になっていくのじゃないかということを、私は非常に憂慮するわけですが、この運賃の格差の是正というものに対しては、国鉄はどういうふうに考えておられるか。
  75. 山口真弘

    ○山口政府委員 国鉄、私鉄の両者の運賃でございますが、これはおのおのの企業体自体の経営の状況、収支の状況という点等を考えまして、別個に制定をされ、別個の制度となっております。そのために両者間の運賃の格差というものが生じているわけでございまして、その意味におきまして、従来の食い違いというものを直ちに解決するというのは、なかなかむずかしい問題があると思いますが、今後この問題につきましては、さらに詰めまして、できるだけ両者の格差を少なくするような方策をとってまいりたいと思います。
  76. 石井一

    ○石井(一)委員 それからその次に、乗客へのサービスという点でありますが、これは労使関係の問題その他でも先ほど議論が出ておったところでございますけれども、これまで三十二年以来五回にわたって運賃の改定が行なわれてきて、そのつどサービスの向上というふうなことが前面に打ち出されておった。ところが今回は、私が見たところでは、サービスの向上という問題があまり打ち出されておらない。このことに関して国鉄側は一体どういうふうに考えておられるのか。
  77. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は、サービスの中にも、人間のやるソフトウェア的なサービスと設備改善のサービスと両方あると思います。さしあたり設備改善のほうを申し上げますと、今度の財政再建によりまして、新幹線を含めまして約七兆の投資をさせていただきたいというふうに思っております。その中には、新幹線が約二兆ございますが、新幹線以外の在来線につきましても、通勤輸送あるいは山陽新幹線あるいは一般の幹線輸送力の増強、いま方々でやっておりますが幹線の複線電化、あるいは合理化近代化投資というもので約四兆六千億ないし五兆の投資を、これは十年間でございますが、いたす予定でございます。そのほかに、山陽新枠線を除いた一般の新幹線で約二兆ないし二兆四千億というふうに考えております。これらはいわゆるハードウェアとして国民サービスを提供するということに相なるかと存ずる次第でございますが、その他、いわゆるサービスの中に含まれております切符の売り方とかあるいは車掌の態度とか、そういうソフト的な面につきましても、これは今後とも十分意を尽くしまして、職員一人一人のお客さまに対する忠誠心と申しますか、ロイアルティーと申しますか、それを涵養するようにつとめてまいりたいというふうに思っておりますが、とりあえず今度の計画の中に入っております設備投資につきましては、いま申し上げましたとおり、在来線で四兆六千億ないし五兆、新幹線で約二兆というのが大体現在の計画であります。
  78. 石井一

    ○石井(一)委員 今後十年間、賃上げは三回にわたって大体二五%ずつだ、こういうりっぱな既定事実といいますか、ビジョンが打ち立てられておる。しかし、国民に対しては、その間にどれだけのサービスの向上が行なわれるかというふうなビジョンが少し欠けておるという感じがいたします。それと、先ほども議論が少しありましたけれども国鉄ほど労使間の対立というものの激しいところはない。これは非常に大きな問題があるというふうに私は考えるわけでございまして、値上げのスケジュールなり賃上げのスケジュールなりが打ち出されておるにかかわらず、そういう国鉄内の労使間の問題であるとかあるいはサービスの向上であるとかいうふうなものに対するビジョンというものが打ち立てられておらない。私は、やはり十年間たてば国鉄としては、究極の目的はここだ、こういうビジョンのもとに進んでおるのだ、したがって、今回の値上げに対する国民の理解を求めたい、こういう姿勢がまだ欠けておるような感じがいたすわけでありますが、総裁いかがでございますか。
  79. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点は全くお説のとおりでございまして、先ほども江藤先生に申し上げましたとおり、私どもといたしましては、できるだけ今後再建の具体的措置の内容、いわゆる計画化されないサービスの改善と申しますか、計画化されない近代化合理化をぜひやらなければいけないというふうに考えておるわけでございまして、具体的にいろいろ申し上げたいというふうに思っておる次第でございます。
  80. 石井一

    ○石井(一)委員 その点の努力を、後ほど野党の皆さんもこの点を非常に突かれると思いますから、やはり十年後の国鉄の新しいビジョン、国民を説得できるそういうふうな条件をさらにそろえられるべきであるというふうに私は痛感をいたします。  そこで、大臣ちょっと先ほどの御退席の間に地方線の廃止の問題について総裁からいろいろ意見を伺ったわけでありますけれども、五年間のうちに地方閑散線をなくしてしまうという一つの構想があるようでありまして、徐々にそういう方向に持っていく、しかしながら必要なものは地元が要求すれば残すのだという意見もありますし、いわゆる地方公共団体の支出とのからみ合いがどういうふうになっておるのか、この辺の運輸当局としての御方針はどういうふうになっておるわけですか。
  81. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 地方閑散線につきましては、閑散線と認定をいたしましたものはぜひ整理をいたしたい、こういう方針でございます。しかしながら、閑散線の認定でございますが、認定は先ほども私申し上げましたとおり、地方の鉄道としての特性をもう失ってしまっているということが一番基本でございます。また輸送需要が非常に寡少になりまして、鉄道輸送するのは国民経済からいっても非常にこれはむだであるというふうなことでございますが、しかしそれにはいろいろ条件がございまして、たとえば代替輸送機関が完備をしてないとかあるいは豪雪地帯でもってその点がだめであるとかいうようなものも十分勘案をいたしまして認定をしてまいりたい。しかしその五年間にはぜひその点で御了解を願って、輸送機関の新しいものとの切りかえをやって、そして合理的な経営をやっていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  82. 石井一

    ○石井(一)委員 地方閑散線に対しまして、五年以内に撤去するという方針が打ち出されたのでありますけれども、その後、地元の希望があればこれを存続せしめる、そして三分の一の補助を行ない、地方公共団体の支出に応じてそれの一・五倍の支出をする、こういうふうな決定が運輸当局でなされたやに聞いております。この点についてひと一つ……。
  83. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この点は、閑散線と認定したものにつきまして、地方でどうしても存続をさしてもらいたいという意思の強いものにつきましては、五年間に限りまして、それで国が二分の一、地方団体が三分の一の、赤字に対しまして補てんをいたしまして、それで存続をさせていく、こういう方針でございます。しかしながら、五年後におきてましては、これはぜひやめるように、その間におきまして地方の皆さまの御納得を願いたい。もとより地方自治体の意思は十分尊重しながらやるつもりでございますが、その点で私のほうも十分説得をしてまいりたい、こういうことでございます。
  84. 石井一

    ○石井(一)委員 それでは問題を変えまして、今回の国鉄運賃の改定について、予算案の編成の段階で事実上決定がされておりながら、その後運輸審議会にかけ、手続きを経るというのは不合理じゃないか、こういう意見もありますが、大臣、この点はいかがですか。
  85. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま石井先生御指摘になりましたような、そういう手続上の意見も確かにございます。しかしながら、料金の値上げ幅をきめる場合におきましても、国がどのくらいの財政負担をするか、どのくらいの財政投資をするかということによりまして値上げ幅もまた変わってくる次第でございまして、私どもといたしましては極力値上げ幅を狭めていきたい。それで国民の、利用者の負担も減らしていきたいということが一番の観点でございまして、それがためには国の財政支出とのにらみ合わせがやはり必要でございますので、一体国がどのくらいの金を出すかということが一番の問題になってくる。それによりまして、あるいは二三・四%とか二四・六%とかいうものをきめていかなければならぬということで、どうしても予算が先になってくる。したがいまして、今回の場合におきましては、国の大幅の財政支出ということを前提にいたしましたので、それを先にいたしまして、大体このくらいの程度でいけば、十年間におきましてりっぱに健全に立ち返るだろうというのを出しまして、それで運輸審議会に諮問をした次第でございます。その間におきましても、御承知のとおり運輸審議会はずっと常設の機関でございまして、いろいろそれらの材料は提供している次第ございますが、御審議願ったのはそういうことでございまして、どうしても予算の決定、ある程度の閣議決定を見ませんと、ほんとうの意味におきまして料金のアップ率をきめるわけにいかぬということが一番大きな原因でございます。
  86. 石井一

    ○石井(一)委員 それではこれで終わりますが、国鉄百年の歴史を顧みて、やはり国鉄が果たしてきた役割りというのは国民が正当に評価しなければいけない。どこのいなかの町に行っても、表玄関の入り口は国鉄の駅があるというふうな現状でありますから、大衆の中に生きて、大衆に密着して今日まで国鉄というものが存在してきた。しかし、その国鉄が非常に破綻に瀕しているから、こういうことでこれを直ちに見捨てるわけにもいかないというのが、私は一つの現実であろう、こういうふうに思うわけですが、きょう与党が質問をいたしておりました中でも、たとえば企業努力の中で今後さらに検討を加えてもらわなければいけない、あるいは労使の正常化の問題についても、いろいろの合理化の問題についても考えていかなければいけない問題がある。値上げの状態、賃上げの状態だけを表に出し、その計画を示し、具体的なサービスの状態であるとか、そのほかの改善の問題に対しても国民に対して十分の理解を求めるだけの、やはり説得できる材料というものが欠けておっては非常に大きな問題だ、こういうふうなことを私は痛感をいたします。  私はそういう意味で、三位一体になってこの問題に取り組んでいかなければいけないし、国民協力と理解というものも求めていかなければいけないということに対しては異論をはさむわけではございません。そういうことに対してなお一そうの運輸当局と国鉄当局の御努力というものを強く要望いたしまして質問を終わりたいと思います。
  87. 加藤六月

    ○加藤(六)委員長代理 久保三郎君。
  88. 久保三郎

    ○久保委員 まず第一に、質問に入る前に、私は手続を踏んで関係大臣出席を要求しているわけであります。ただいま御出席になっているのは運愉大臣一人であります。   〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕 審議が始まっているこの法律案に関しては、むしろ運輸大臣は要求の立場にあるはずでありまして、要求を受ける側であるたとえば大蔵大臣あるいは企画庁長官、さらには自治大臣、そして大きな問題でありますし、これは政治責任も問われる大きな問題であります。そういう重大な問題を審議するのでありますから、当然総理大臣出席して、われわれの質問に答えて国民に知らせるのはあたりまえなんです。そこで、最小限いま申し上げた総理並びに関係各僚の出席を要求したのでありますが、今日ただいま出席がありません。そこで、私の質問は十分にこの目的を達成することができませんから、委員長並びに関係の皆さんにお願いしておくのですが、私の質問はきょうはさしあたり運輸大臣だけあるいは国鉄総裁だけに限らせてもらうほかありません。これは審議がどの程度進んだときになるかわかりませんが、早急に要求大臣出席させて私の質問を許してもらうことを前提にして質問に入ります。よろしゅうございますか、委員長
  89. 小峯柳多

    小峯委員長 承りました。
  90. 久保三郎

    ○久保委員 それではまず第一に、運輸大臣お尋ねを申し上げます。  先般提案説明をお述べになった中で、今回のこの法案の提出は四十四年から始まった国鉄財政再建計画が失敗した。言うならば、四十七年度から練り直して新しく十カ年計画を立てます、十カ年計画を立てるにあたってはこれまでの、言うならば失敗ですね。おことばは目的を達成できなかった原因について反省しているとおっしゃいましたが、達成できなかった原因とは何でしょうか。もちろんその前段に、先ほども御答弁があったようでありますが、原因と見られているのでありましょうが、大きく二つあげられております。一つ運輸収入伸び悩み——輸送量伸び悩みと思ったら、輸送量じゃございませんでした。それからもう一つは、ベースアップによるところの人件費の大幅な上昇、特徴的には二つをあげられました。私どもはもちろんおあげになった二つのうち、人件費の高騰は、なるほど当初の計算より上がっているのはこれは当然であります。もう一つ、かなり増高しているものには支払い利子の問題があると思うのですね。意識的にか支払い利子、借り入れ金に対するところの利子増高については言及されていなかった。まさに国鉄財政再建のための構造改善、体質改善を、これらの問題をひっくるめて消化しなければ完全にでき得ないものとわれわれは承知しているわけです。でありますから、あらためてお尋ねの点を要約いたしますれば、失敗した原因についていかなる反省をなさっているのか、まず第一にお伺いしたいと思います。
  91. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問に端的にお答え申し上げます。  いまお話がございました輸送需要伸び悩み、いわゆる増収の伸び悩み、それから人件費のアップ、それにいま御指摘がございました利子増高という点も、確かにその点も入っていると思います。
  92. 久保三郎

    ○久保委員 これはあとでもよろしいですから運輸大臣、私はあなたを責めるわけじゃありませんけれども、やはり政治の責任というかそういうものははっきりしてほしいと思うのです。いかなる点を反省したかということでありますが、いまのお答えでは不十分だとわれわれは考えている。お答えが詳細にわたるとするならば、鉄監局長かわって答弁してもらいたい。
  93. 山口真弘

    ○山口政府委員 現行の再建計画が予定どおりまいりませんでしたおもな理由は、先ほど大臣から申し上げましたように、輸送量の停滞に基づくところの収入の減というものと、それから人件費の増が中心でございます。利子につきましては、当初計画いたしました利子と大体同程度の利子を現実に支払っておるわけでございまして、利子自体が非常に大きく国鉄の経理を圧迫している事態はお説のとおりでございますが、ただ、現在のこの計画自体とのそごという点はあまりないように考えております。
  94. 久保三郎

    ○久保委員 原因は何であったか。くずれた原因二つですか、輸送伸び悩みとベースアップだけですか。そうとってよろしいかどうか、いかがですか。
  95. 山口真弘

    ○山口政府委員 結局いまの問題は、具体的的な数字的な問題で考えてみますと、収人がどうして伸びなかったかという問題、それから支出がどうしてよけいふえたか、どの面でふえたかということに相なると思います。したがいまして、収人につきましては、当初予定いたしました収入に比べまして明らかに収入が減少いたしております。しかしながら、支出につきましては、当初予定いたしました人件費の想定というものに対しましてはこれは増加いたしておりますが、その他の経費につきましてはそれほど大きな増加はございません。なお、利子につきましても、当初想定いたしました利子の額というものと比べまして差異はございません。  そういう点からまいりますと、具体的な数字の面だけから見ますと、先ほど申し上げましたように、輸送量伸び悩みに基づくところの収入の減、それから人件費の増を中心とするところの経費の増ということが原因であろうと思うわけでございまして、結局そういうことのもとといいますのは、国鉄体質というものがまだ十分に変わっていかなかったということにあろうかと思います。
  96. 久保三郎

    ○久保委員 輸送伸び悩みというが、輸送は何%の伸びとして計算をしていたのか、四十四、四十五、四十六年、そしてどの程度の差があったのか、これを明らかにしてほしい。  それから、つけ加えておきますが、人件費の増、これは当初の計算では何%の増として組んだか。私が言いたいのは、つじつま合わせのために両方とも、片方は過大に見積もり、片方は過小に見積もって計算した。いわゆる作文的な計画が問題だろうと私は見ているのであります。そうでないとするならば、これは見通しが甘いんで、これはたいへんその衝に当たる人が不手ぎわきわまりないというふうに思うのであります。いかがでしょう。
  97. 山口真弘

    ○山口政府委員 輸送量伸び悩みに基づくところの収入の減でございますが、四十四年度は百三十八億予想よりも下回りました。四十五年度は百二十億の減、それから四十六年度は百九十億の減でございます。  それから人件費におきましては、当初は九%の想定をいたしました。しかしながら先生承知のように、毎年の人件費のアップというのはそれよりもはるかに多かったわけでございまして、その点で観通しが食い違ったわけでございます。
  98. 久保三郎

    ○久保委員 たとえば人件費を九%に見たというが、それを策定するときの人件費の増は前年度に対してどれだけだったか。
  99. 山口真弘

    ○山口政府委員 ただいまちょっと数字をはっきり精査しておりますが、たしか一三%ないし一四%程度だと思いました。それで十年間の長期計画といたしまして、財政再建推進会議におきまして九%という長期見通しを立てまして、それを計画にいたしたわけでございます。
  100. 久保三郎

    ○久保委員 推進会議責任のような話をあなたはされておりますが、いま御答弁なさったように、当時一三%ないし一四%のアップでしょう。そういう現実を無視して九%にやっていけばどうなるのか。しかも片方佐藤内閣は物価についてはもう手放しだ。そういうさなかに当然上がってくるのはあたりまえじゃないですか。そういうものを計算に入れないで計算したところがごまかしだというんですよ。去年もこれは予算委員会で私が追及したところなんです。同じ答弁されているんですね。はなはだ不謹慎だと思うんですが、当時丹羽運輸大臣大臣の席におられませんでしたが、どういうふうにお考えになります、こういうことは。
  101. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 確かに四十四年度計画につきましては、御指摘がございましたように、計画自体の見通しにつきまして非常にまだ欠けるところがあった、こういうふうに思う次第でございます。
  102. 久保三郎

    ○久保委員 次にお尋ねしたいのは、それじゃ今度の計画はこの反省に基づいていかなる点を修正されたか。これをお聞きしたい。
  103. 磯崎叡

    磯崎説明員 やはり前回の計画実績の相違が輸送量人件費にあったという点に重点を置きまして、まず輸送量につきましては、その後の伸び実績によりまして、あの当時は人キロの四・八%組んでおりましたが、これを四・二に下げてございます。  それから人件費につきましては、先生おっしゃったとおり、前回は九・〇%、その前年ないし前々年が定昇を除きまして七・二%と七・八%だったと思います、四十二、一が。それを基礎にして定昇を含めて九%にしたわけでございますが、それが実際より過小だったということで、今度は、いまは一二・一で組んでおります。そうしてその後逓減いたしまして一一・一それから一〇・一というふうに三段階に分けて組んでおるわけでございます。それがベースアップの率でございます。  それから輸送量伸びは、その後新幹線の完成等も一応目されますので、山陽新幹線の博多開業が五十年ということで、一応それだけはプラスアルファにいたしておりますが、あとの全体の在来線の伸びは前よりもずっと低くいたしております。  それから、そういう国鉄自体の問題のほかに、政府からのいろいろな御援助は先ほど大臣がおっしゃったようなこと、これを含めまして、先生の御承知のとおり、運賃の値上げ額に対する政府の援助が約一割でございまして、たしか二兆の計画に対して政府が二千億というのが前回の御説明でございましたが、今回はずっと大幅にしていただきまして、運賃値上げの三分の一くらいを政府に援助していただくというふうな、根本的に三点でございますが、一点が輸送伸びの問題、第二点が人件費伸びの問題、第三点がいま申しました政府の援助の問題、この三つに全力を傾注して予算を編成して十年計画をつくったわけでございます。
  104. 久保三郎

    ○久保委員 これは大臣お尋ねしたいのでありますが、お答えがめんどうならば鉄監局長でもけっこうでありますが、四十七年度から始まる新しい計画は十カ年にすることだけが法律案でわかりました。そういうふうに修正することは、いわゆる再建計画の中身はどんなふうになりますか。予算を見ますれば、新しく六百十六億の政府出資が出てくる。これは初年度だ。引き続いて十カ年間何がしかを出すという話をしておりますが、非公式にしか聞いていません。それから利子補給も、言うならばいままで政府管掌債務だけでありましたが、保証債まで拡大していく。工事費についてはいままでというか、昨年は五・五%まででありましたが、今回は四・五%に下げていく。さらには閑散線区の廃止までの予算として百二十五億、こういうものをつけている。  大体大まかにいいますれば、いま申し上げたような点が、新しい四十七年度から始まる十カ年計画の中で恒常的に持続される政策のはしりのように見えますが、明確にこの席で、十カ年間の中でどんなふうに政府の施策が展開されるのか、これをお述べいただくと同町に、十カ年計画の中身は、いわゆる試算はどういうふうになっているのか。今回入れて三回ないし四回の値上げを予想しているようでありますが、これは正式にそうきめているのかどうか、その二つをひとつお答えいただきたいと思います。
  105. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま今回の新財政再建計画につきましてお尋ねでございますが、大体ただいまお話がございましたとおりでございます。  今回の点について申し上げますると、政府出資が四十七年で六百十六億でございます。お尋ねのとおりでございます。これが十カ年で九千八百五十億、こういうふうになる次第でございます。それから先ほど利子負担が非常にあるじゃないか。先般の財政計画の計算では、これは金利でございますから、そう狂いはなかった次第でございますが、国鉄財政をこれから運営していく上におきまして相当の負担であることは、先生御指摘のとおりでございますので、相当今回は思い切ってふやしまして、工事費を四十六年度から四分五厘に引き上げることによりまして三百二十一億、それから国鉄再建債の利子補給につきまして、いままでは政府管掌の債券だけでございましたが、政府保証の債券につきましても利子補給を認めることにいたしまして、合計で百六億、両方合わせますと四百二十七億、これを一年で出す次第でございまして、工事費補助が十年で六千八百二十四億、それから政府管掌の利子補給が二千八百二十一億、再建債の利子補給が五百九十億、またいまお話がございました地方閑散線につきまする五年間の赤字補給が四百九十八億等合わせますると、二兆五百八十三億政府出資をする、こういうことに相なっている次第でございます。
  106. 久保三郎

    ○久保委員 そこでいまお話がありましたようなこの助成の措置を十年間でおやりになるのでありますが、四十七年このいま提案されている、ことしから実収一五%というが、実際はかなり大幅でありますが、五十年、五十三年二回にわたって今後も運賃値上げを予想しているやに聞いておりますが、それに間違いはございませんか。内容はいかがですか。さらに、五十六年においても検討をかえるというので、これまた運賃値上げを予想して計算をされているようですが、それに間違いはございませんか。
  107. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 本年実質一五%の増収を目標といたしまして、旅客におきましては名目上昇が二三・四%、貨物が二四・六%、これは現実にいま御審議をお願いしている次第でございます。あとは大体三年ごとに一五%ずつ上げてまいりますると大体のその運賃の増収分、そしていろいろの費用の分計算をいたしまして、それで大体この十年には償却後におきましても黒字になる、こういう見通しでやっておる次第でございまして、これらは一応の試算としてやっておる次第でございます。しかも最後の、なりましたときの一〇%上げるかどうかということは全然まだきめてない次第でございます。これらの問題も一応の計算としてしている次第でございまして、そのときになりまして、増収努力が加わってまいりまして、そこまで上げなくても、あげることができれば非常に好ましい事情でございますので、その努力をいたすつもりでございます。今日の状態では、大体その試算をいたしますると、十年後は黒字になるんじゃないかということでございます。このあとの三年後、来たあとの六年後の問題、これはそのときの情勢によりまして、国会の御審議を仰ぐかどうかということをあらためて決定をする問題でございます。
  108. 久保三郎

    ○久保委員 いまのお話だと、ことしを含めて三回、三年ごとに実収一五%、パーセンテージにすると、あまり条件が変わりなければ、ことしと同じような率ですね。それで五十六年度、最終年度では大体一〇%を上げようかと思うんだが、これはまだ決定はしていない。そうしますと、この五十年、五十三年度の値上げは決定したというふうにとっていいのか。しかもそれを織り込み済みじゃないと、五十六年度のまで、一〇%まで計算しなければ、いまの御説明では五十六年度償却後黒字にはならない、こういうふうにほんとうに思っていらっしゃるかどうか。たいへん長期に、十年間の運賃値上げまでこの委員会で約束されるということになりますと、話はだいぶ違うんであります。これはしかしものの計算でありますから、計算をしなくちゃならないから、当然そこにそういうものを置いていくということだったら、これは仮説だろうと思うのでありますが、しかしいままでの御答弁、それからその他の話や資料も見ますると、これは既定の事実として織り込んでいって初めて計算が成り立ちますということなんですね。私は前にも申し上げましたが、このこと自体についてこれはたいへんな問題だと思うのですね。いまの値上げは詳細わかるけれどもあとの値上げはわからぬというんならまた話は別でありますが、あとの値上げが、実収一五%だけは三年ごとにいただきます。もちろんこれは今回初めて始まった話ではありません。四十四年から始まった現にあるところの再建計画の中では、四十八年度に運賃値上げを予想したのですね。四十八年と五十三年ですか、そういうことを予想して、まあ言うならば、四十八年の値上げは、四十四年に国民に対して、この次は少なくとも四十八年には上げてもらうかもわかり出せんという前提で運賃値上げをして設備投資をしてきた。しかし計画は狂って、いま提案になっているような形だということ。何か国民の側にすれば、理屈は別にして、しょっちゅうだまされたような気持ちになるのがあたりまえだと思うのです。こういうやり方は少しく民主的ではないじゃないかということが一つ。  それから、いつでも失敗すれば、どうも伸び率を低く見たとかベースアップが思いがけなくたくさん出たとかいうことで、理由はある一定の時間で説明すれば終わりになっていきますが、国民の生活の中では、そういうふうにはなかなか理解できないところですね。そういう意味で、私はもう少しまじめに——まじめにと言ってはたいへん語弊がありますが、まじめにおやりになっているとは思いますが、少しこの問題を甘く見て考えていやしませんかということです。私はいつも提案のときに、てまえども提案でもそうでありますが、私どもは少なくとも十カ年計画などは出しません。これはなぜ出さぬかというと、予想もつきませんということですよ。それほどに国鉄体質はわからぬ。政府の手によって、いまどっちにいくのか、どういうふうに改造するかもわからぬ。それがどうして、いろんな不安定な要素がたくさんあるのに、何で十カ年計画だけそろばんがはじけるのだろうかということですよ、これに対して私が聞きたいのは。なるほどためし算はよろしい、いいだろう、しかし十カ年計画は長きに失する。これはまじめにやるのなら少なくとも五年であって、前期三カ年間を一つのものとして、いわゆる予算措置その他の財政措置も全部コンクリートするということがまず先決ですよ。そうでしょう。たとえばあなたたちは十カ年間の計画をしたというが、予算の裏づけがどこにありますか。いま運輸大臣がお述べになった、十カ年間に二兆円、あるいはその他ずっと並べましたたくさんな政府投資があるようであります。財政援助があるようでありますが、これは何にも約束がないということですよ。前回も同じです。その前も同じ。三十二年から、第二次五カ年計画からずっとやってきてて同じことをやっているのです。予算の編成にどうしてもそろばんが合わなくなるとやる  のでありまして、まあ法律ができたから多少かっこうがついているようなものでありますが、四十七年度予算は十カ年計画の第一年目、初年目という予算ではありません。いつもやる手、やってまいりますところの単年度予算のころがし予算というものであります、はっきり言って。もしそういうことを言われることかどうも気に食わぬということならば、なぜ——十カ年間の投資は幾らでありました。十カ年間に出資は九千八百五十億ですね、お述べになったのは。九千八百五十億なら、一番金が必要なのはいまなんです。設備投資が全部一回り回っちゃって、それで稼働率がたくさん上がってきたときにはもはや金は要らないのです、自力でかせぐのですから。またそうしてもらわなければ困るのです。そうでしょう。だから九千八百五十億を十年間に出すというならば、これを繰り上げて五年間に出してほしい。あとの五年間は要らない。いままで大蔵省を中心にして財政主導型だか何だか知りませんけれども国鉄が三十二年からやられてきたものは何かというと、ちびりちびり出してきたから結局ものの用に立たなくなってきてしまったのです。いまあわてて五百億なり六百億の出資をしても、なるほどこれは急場の間に合いません。はっきりいうと、ないよりはましです。しかし、額は一千億以上のものを今回は政府国鉄財政援助をします。だから運賃値上げもやむを得ませんということを言いたいのでしょうが、われわれから見るとどうもそんなものは理屈にならぬと思うのです。九千八百五十億なら、十年に割ってみれば九百八十五億一年間に出すのが普通のやり口ですよ。それが六百十六億、これは三百六十億も低い投資ですよ。それをもってみても、十カ年間に九千八百五十億の投資があるものとして信用するものはただの一人もいない。国鉄総裁も信用はしておらないと私は思うのです。はっきりいって来年どうなるかわからぬ、いままでのやり口はそうなんですから。だから私はこういう十カ年計画は子供だましだというのです、もしもそういうことが暴言であるというならば、さっき申し上げたように、三カ年間のいわゆる財政再建財政支出はどうするか、幾らやる。出資は幾ら、利子補給はどれだけ、それをきっちりコンクリートして、閣議決定でいいですからここへ出してほしい、こういうふうに思います。いかがでしょう。
  109. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 十カ年計画が非常に長期に及ぶじゃないか、最近のごとく経済情勢が非常に変化している、いろいろの社会情勢も変化しているときに、十カ年の長期にわたる計画をやってもできないじゃないか、実効があがらぬじゃないかという久保先生の前からの御説でございまして、私も十分拝聴しておる次第でございます。しかしながら、御承知のとおり国鉄が真に国民の足といたしまして、陸上交通の大動脈といたしまして国民の期待にこたえるように、体質的におきましてもあるいは国民輸送サービスを提供するにおきましても、国民の皆さまに御納得をいただくのには長期の期間がかかることは、私が申し上げるまでもなく、先生もよく御存じのことと思う次第でございます。いろいろの諸条件がございますけれども、あえて私どもはそれゆえに十カ年計画を策定をいたしまして御審議を願っておる次第でございます。  また、ただいまお話ございました、なるほど本年は千百二十四億でございますかの政府からの財政支出があるけれどもあとのことはわかるか、こういうお話でございます。しかしながら、この点につきましてはもうすでに御承知のとおり大蔵当局とも十分に了解済みでございまして、また最高機関の国会の場におきまして、責任者であるところの私がただいま言明をしている次第でございます。これがぎりぎりの出資でございまして、これ以上下がることはないという確約を持っている次第でございます。これは先生方の御鞭撻をいただきまして、いわゆる大蔵省主導型ということに国鉄再建のため、また国民との間の調和のためにいかにして国といたしましても出資をすべきか、援助をすべきかということは各党あげての御鞭撻をいただきまして、微力ではございますが、今日ここまで決定した次第でございますので、その点をひとつ御了承願いたい、こう思う次第でございます。
  110. 久保三郎

    ○久保委員 運輸大臣の御努力に対しましては敬意を表します。しかし、私がいままで申し上げたことは、いままでの政府のやり口を見ておりましても、これは政府責任者のあなたがここで言明しただけでは、残念ながらそう簡単にうまくいかない。うまくいくものならみんな法律も予算も——予算というか、何次五カ年計画とかいうものは要らないのですよ。あなたが政府責任者で、たとえばあなたの責任でおやりになるのは港湾整備五カ年計画、空港整備五カ年計画、それからこの国鉄の十カ年計画、こうありますが、どこが違うかおわかりでしょう。空港なり海湾なりの整備計画というものは数字が入ったものが閣議で決定されてくるようになっております。国鉄の十カ年計画は何にもありません。何かその辺でためし算をしてみているだけの話でありまして、十カ年間のためし算は別としても、先ほどお述べになった政府の助成なり再建対策というものはどこでおきめになりましたか。私どもが仄聞するところによると、あなたと水田大蔵大臣と与党のそれぞれの責任者お二人の間で取りかわされたものが対策要綱だと承知しておりますが、それに間違いはありませんか。
  111. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これはそれで根本方針をきめたというわけのものではございませんが、ただいま久保先生から御指摘ございましたように、将来におきまして政府がどのくらいの財政支出をするかというもとを、きちっとこの際最小限度をきめなければこれからの再建は非常にむずかしいという私の主張によりまして、ただいまお話しいただきましたように、大蔵大臣、それからそこに自民党の政調会長、国鉄基本問題懇談会会長というものが立ち会いましてきめた次第でございます。
  112. 久保三郎

    ○久保委員 その人たちの御苦労は私たちもある意味では敬意を表します。しかしながら、それと私がいまお尋ねしているのとは若干違うのです。それは政府の閣僚と与党の覚え書きというかお話のメモです。そういうものの値打ちがどこにあるかは別として、国会に法案を出してしかもいまお述べになったような対策の中身を、この中で国会を通して承認させるというならば、いまお述べになったことは、少なくとも閣議の決定事項としてくらいお持ちになってくるのが当然だと私は思うのであります。法案にはそんなものはちっとも書いてありませんで、四十七年から十カ年間に変更します、政府保証債を利子補給の対象にいたします、工事費についても同様そういうくらいが法案に書いてあるだけでありまして、九千八百五十億投資するとか出資するとかあるいは利子補給が全体で六千六百八十億になるとかひっくるめて二兆円以上になるとかいうことはどこにも保証がないのです。これは運賃値上げを伴うことでありますから、特にこのことを約束されるのが当然ではなかろうかとわれわれとしては思うのです。しかも港湾整備五カ年計画なり何なり——今度七兆円の投資を十カ年間にするのでしょう。そういう御予定ですね。七兆円の中身についても国民には正式にお約束はありません。いままでもそうでありますが、港湾整備五カ年計画はちゃんと約束している。それでも途中で二年ないし三年ごとに修正をしているのです。港湾整備五カ年計画という狭い範囲の整備計画でさえ経済成長その他諸要因に基づく変動によってこれは御案内のとおり二年ないし三年で修正、修正できているのです。これは何回目かの五カ年計画です。国鉄がここに十カ年計画を立てたにしてもその意味でもわれわれは信用しかねるということです。少なくとも三カ年間程度のコンクリートした整備計画財政再建計画というものを各項目にわたってお立てになるか、それとも対策要綱案なるものを閣議の了解事項くらいに持っていくとか、閣議決定で持ってきてこの審議中にお出しになることが国民に対する答弁ではなかろうかと思うのでありますが、いかがですか。
  113. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ごもっともなお尋ねだと思う次第でございます。十カ年計画の策定は、御承知のとおり本案はいま委員会の御審議をいただいております御解義が済みましたところで大体におきまして閣議でもって閣議決定をするのが通常の例でございまして、私どももこれが御可決をいただきましたならば、さっそくその措置をとりたいと思う次第でございます。  ただいまそれに伴いまして、私も先ほど申しましたように、政府財政支出の点と運賃その他良質サービスの提供というのが伴うことはもう当然のことでございまして、そのほうの保証がないことはどうだ、ごもっともなことでございます。その点につきましては、私だけではなく、先ほど先生から御指摘がございました、最高責任者の総理なり、また現実にその財政をあずかっております大蔵大臣委員会出席いたしまして、そうしてまた御確認をいただければ十分と思う次第でございますが、その点におきましてもこの点ははっきりしておると思う次第でございます。  また、いわゆる設備投資の七兆ということにつきましては、お尋ねのとおりでございまして、さっそく資料提出いたしまして御審議を願いたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  114. 久保三郎

    ○久保委員 総理が出てきたり関係の閣僚が出てきて答弁すればいいだろうという話ですが、それも一つ方法ではありますよ。ところが、実際はいま出てきてないでしょう。もちろんいつか出てくるでありましょうが、保証がとれるかどうか、これはわかりませんですね。そのことは別にしても、少なくとも閣議の了解事項くらいで、こういう対策でひとつやろう、これは当然じゃないですか。当然でしょう。なるほど審議が終わって法律が通れば、それに基づいて財政再建計画というか基本計画というか、そういうものは政府でお立てになることは当然でありますが、これはみんな抽象的なものです。この中には金のことは書いてないですよ。御承知でしょう。これは、金のことは一つも書いてないのです。どういうふうにしてやるかだけの話なんです。しかも、これは金の約束をこまかくしてあるわけでもなんでもないのです。港湾整備五カ年計画なんぞ、そういうものともこれはずいぶん違うのです。だから、それを私は申し上げているのですよ。ぜひこの審議中に閣議の了解なり閣議決定事項として対策要綱をお出しになることが審議を促進することだと私は思います。もちろん、対策要綱全般に対してわれわれは賛成しているわけではございませんけれども、法案の提案者としては当然なさるべき措置だと私は思います。重ねてお尋ねします。
  115. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 対策の基本につきましては、御承知のとおり、予算閣議におきまして決定を見ている次第でございます。また、その基本計画の策定につきましては、通常の例によりましてこの御可決をいただいた直後におきまして閣議決定にいたしたい、こういうふうに思っている次第でございます。  また、ただいまの政府財政支出つにきましてのいろいろの御苦言の点につきましては、先生御指摘のように私一人の言明だけでは信用できぬ、こういうお話でございますが、その他の関係大臣、またいろいろの資料その他を御提出をいたしまして、御了解を得たい、こういうふうに思っている次第でございます。
  116. 久保三郎

    ○久保委員 大臣、お立場上、たいへんいろいろ御苦労なさっているとは思うのでありますが、前段お答えになりました閣議決定もしておりますというのはほんとうですか、対策要綱。それならば閣議決定事項としてのその対策要綱をこの委員会に御提示いただきたいのであります。
  117. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま私か申しましたのは、予算閣議におきまして今度の財政計画の大綱につきましての考え方について決定を見ている、こういうことでございます。
  118. 久保三郎

    ○久保委員 その内容はどんなものですか。よくわかりませんけれども国鉄財政再建対策要綱、新しい、いまお述べになった九千八百五十億の出資を中心とする財政措置を含んだものですね、こういうものが承認されているのですか。
  119. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 御承知のとおり、そういった一々の具体の数字がそこに含まれている次第でございますが、それらを踏まえましての決定でございますので、御了解を願いたいと思います。
  120. 久保三郎

    ○久保委員 これは、残念ながらわれわれの審議には、大臣と与党の幹部の覚え書きは、はっきりいって通用しません。これは内部的な与党と政府との関係でありまして、国民政府との関係には直接的にはならないかと思うのでありまして、しつこいようでありますが、いままでこういうやり方で三十二年から三十六年、四十年ですか、その次は四十四年、こうやってきたのですね。また四十七年にこういうことをやっておるのでは、国民はいつも裏切られたかっこうでいるわけであります。われわれ自身も十カ年という長い長い計画審議するのにはその土台になるものが、コンクリートされたものが出なければ審議が進められないと思うのです。これは無理もないことだと思うのですがいかがでしょう。大臣を攻め立てるようでありますが、ぜひそういうものを閣議決定した事項としてお出しになるか、それとも十カ年計画は間違いであるか、白紙に返すか、いかがですか、どちらかですね。鉄監局長あなたちょっと答弁してください。
  121. 山口真弘

    ○山口政府委員 今回の予算並びに法案の提出に関しましては、先ほど大臣から申し上げましたように、政府の大蔵大臣運輸大臣並びに与党の幹部というものの申し合わせに基づきまして、それによって予算の基本的な考え方というものを作成してそれが閣議決定になったというわけでございます。そこでその閣議決定の際にそういう具体的な、いま申し上げましたようなこと自体が閣議決定になったかどうかということでございますが、それは、そのときの直接の議題として閣議決定になったということには考えておりませんが、ただ当然そういう助成を行なうということを踏まえた上で本年度予算が閣議決定になり、また運賃並びに再建法の改正案というものが閣議決定になったというわけでございます。
  122. 久保三郎

    ○久保委員 そんなのは聞いておらないのですよ。さっきから運輸大臣との間でやりとりをしておるわけです。対策要綱そのものを決定してきなさいと言っておるのですよ。そうするのがあたりまえじゃないかということです。その見解を聞いておるのです。閣議決定はしてないのでしょう。閣議決定してなければ、——佐藤内閣はまさに退陣の寸前なんだな、佐藤内閣のその閣議でどんな話が出たかわからぬけれども、そんな話が引き継がれるはずがない。だから来年になればまた単年度予算としての新しい予算の調理が始まるわけでしょう。だから、これまたころがし予算なんだこういうのですね。こういう話がありましたぐらいの話なんだ。鉄監局長も何回かいままで国鉄のこういうものを扱っておりましょう、二回くらい。あなたも私と同じように経験済みでしょう。どうして閣議決定に持ち込めないのですか。これが閣議決定に持ち込まれないとするなら、なおおかしいですよ。法案を出してきたのはインチキじゃないかと言うのです。信用しないわけじゃありませんが、ちゃんと今日ただいまの佐藤内閣の意思決定がきちんとできて、それが十年間引き継がれるならそれはいいですよ。ただ話に出た程度で、大体こういう程度でやりまして初年度は六百十六億の出資にいたしましょう、そういうことで予算を調理しましたとか、それは予算編成というか、原案作成の過程の説明を了承したということであって、十カ年計画を了承したということじゃないんじゃないですか。いかがですか。しかも了承したというなら——ある意味では了承しているかもしれませんね、十カ年間だけは。法律案出してきたんだから。そうですね。中身のない十カ年計画なんて意味がないですよ。中身をつけてきなさい。いかがですか。
  123. 山口真弘

    ○山口政府委員 法律自体につきましては、ただいま先生御指摘のような年限の問題あるいは助成に対するやり方の問題等につきまして必要な部面を改定いたしまして、そしてこれを御審議いただいているわけでございます。  それで十カ年計画自体につきましての閣議決定でございますが、従来、先般の改定のときにおきましても、財政再建推進会議がございまして、その答申を受けて臨時閣僚協議会で検討はいたしましたが、別に閣議決定なりあるいは閣僚協議会の決定という形で行なったわけではございません。予算の段階におきまして大体そういう方向で話を進めたわけでございますが、今回も同様でございまして、閣議決定自体にはいたしておりません。ただ法律によりまして、再建の基本方針は閣議決定を要するということになっております。したがいまして、今回御審議いただいております法律が成立いたしますれば、それに基づきまして当然閣議決定が行なわれるということに相なるわけでございます。
  124. 久保三郎

    ○久保委員 その閣議決定が行なわれることは——私が言うのは、いつでも閣議決定か行なわれないのですよ。そんなものは含まれてない。あなたが言うとおりなら、それではこの十カ年計画はコンクリートしたものですか。こういう長期のものを積算の上に立って、先ほど言ったような九千八百五十億という出資、そういうものをはじめとするいろんな助成をしましょうということに決定したとするなら、これは本物ですかね。これはこれでいいか。何でだめを押すかというと、さっき冒頭に質問したように、四十四年から始まった再建計画は失敗に終わった。その反省の上に立ってやっているというのでしょう。いろいろな問題はあるかもしれないが、反省の大きなものはここなんです。この反省がなければ、また来年も同じですよ。あなたは、前にもこういうことでやりまして、きまってから閣議決定しましたなんて、これは何べん言っても同じですよ。前のは失敗したのでしょう。だから今度はコンクリートして持っていらっしゃい。私が言うのは、十年は無理ですよ、少なくとも三年間くらいは銭を入れて、きちんと整理をして持ってきなさい、そうするなら審議しましょうということですよ。十年間といえば見ばえはいいかもしれませんが、中身は何もありません。佐藤内閣の閣僚二人と与党の代表二人か約束したくらいで問題が十年間で片づくなら、はっきり言ってこれは何も問題はありませんよ、失礼だけれども。いかがですか。時間ばかり食ってかなわぬ。蔓延されておりますが、こんなことでは審議はなかなか先へいかぬ。だから少なくとも三カ年くらいのものはちゃんと閣議の了解事項で、このときは出資はこれだけしますというコンクリートした——三カ年間というのは四十七、八、九。運賃値上げはこの次は五十年にするといっているから、運賃値上げ前までのものくらいは持っていらっしゃいということです。そうでなければ、これははっきり言って審議できませんよ。土台になる柱は一本もなくて屋根だけは十カ年間できたなんて、そんな話ではできませんよ。どうですか、大臣
  125. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま重ねてのお尋ねでございます。長期間の計画をいまからそう内容がコンクリートになるかという御質問もごもっともでございますが、政府財政支出の点につきましては、先生も御承知のとおり、最高の機関の正式の場におきまして、政府責任者財政支出の点につきましてお約束をいたしましたことは、大体一〇〇%お約束にたがえたことはいままでない、こういうふうに私も確信をしている次第でございます。これが一番もとでございますから、いままでの例としまして御審議をいま願っている過程でございます。幾ら政府がこの再建計画が正しいと思いましても、これは委員会の御審議を経なければそれでいいということになりません。それでいいということになりまして初めて政府といたしまして十年間の計画ができる、こういうことで、これはうらはらじゃないか、私はそう思っている次第でございます。したがいまして、その点につきまして、私は先ほど申しましたように、御審議、御協賛をいただきましたならば、確実に政府出資はそれよりは下回らぬというものをはっきりとさせるつもりでおりますので、御了解いただきたいと思う次第でございます。
  126. 久保三郎

    ○久保委員 大臣、あなたの答弁では、とてもじゃないが了解できませんよ。どだいこういう方向でわれわれは意思を決定しました、ついては法律事項は法案として提案いたしましたから、これを見ながら審議をしてくれというのが当然じゃないですか。十カ年計画だってまだ出してもらってないですよ。十カ年計画出してください。いかがですか。出してから審議に入りましょう。しかも大臣、もう一言よけいなこと、蛇足かもしれませんが、十カ年計画と言うものはどんな意味がありますか。これから十年間ですよ。十年間お互いにこの計画について保証が持てますか、政治家として。もちろん命は長らえているかもしれませんが、この十年間の後においてわれわれはこれを証明し、証言する立場にあるかどうか疑わざるを得ませんよ。お互いにその職にいるかいないかわからないじゃないですか。おいでになる総裁だって、今後十年間総裁の席におすわりになるとはだれも思ってはいない。丹羽運輸大臣もしかりです。大臣の席に十年間おすわりになっていらっしゃる——もちろん佐藤総理と同じように、総理大臣になれば八十五、六まで生きられるかもしれませんが……。冗談は別にして、これは無責任の証拠です。無責任です、はっきり言って。責任を持たんためには十年でなくちゃいけない、十年たてば償却前黒字になりますよ、それを確かめ得られる政治家はここに何人いるか。確かめられぬ、はっきり言って。しかも諸般の情勢は流動的であるということですよ。国鉄がいま御提案になっているような、いま国鉄にとらせているような政策だけで国鉄が再建できるとはわれわれは思っていない。そういうことを考えれば、これはまさに荒唐無稽の十カ年計画である。世の中を欺くものである。しかも運賃値上げについては、三回お上げになるといいながら、法案のどこにも書いてない。私はいまあなたに、いやな立場だけれども引き続き同じことを質問しているのは、そのためなんです。二人とも三年くらいの財政措置について項目別にお出しになることが当然だと思うのです。コンクリートされなくても……。いかがでしょう。それも出ない、三年間も出ない、対策要綱も閣議決定できないということでやっていくのでは、法案だけの審議なんというものはできませんよ。いかがですか。
  127. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 重ねて申し上げるようでございますが、国鉄の本来の使命達成のために良質サービスを提供する、またそれとともに国鉄を再建すというのにはどうしても十年間はかかるというのが現時点においての私どもの考えでございます。もとより久保先生お話しのとおり、将来のことは私どももなま身でございますからわかりません。わかりませんが、しかしいまこの時点でとれるところの措置としては私どもではこれよりほかにない。まことにいろいろの点におきまして御不満な点もあるかもわかりませんが、これよりほかはないということを確信をして御審議を願っておる次第でございます。したがいまして、これが御承認願えましたならば、必ず先ほど申しました政府出資につきましても確証を得る次第でございまして、しかも、三年間と申しますが、これは十年間の計画ではじめて達成できる、十年間のうちに政府として財政支出をどのくらいするかということをきめる。まず単年度におきましてこれだけのものは十年の一環として出すということは予算でただいま御審議を願っておる次第でございまして、よその計画におきましても三年間のものを出すというようないままでの慣例もない次第でございますので御了解を願いたいと思う次第でございます。
  128. 久保三郎

    ○久保委員 私はそういう保証のない案を前提に審議することは不見識だということを言っているのですよ。しかも運賃値上げだけはきちんと予定していらっしゃる。しかも三年か五年というなら、これは大体見届けることもできましょう。しかし十年などといってみても、これは手直しを要することはもはや火を見るより明らかなんです。これは十年間立ててみても、ほんとうのためし算なんです。そういうものを土台にして審議をさせようというのはちょっとどうかと思う。もちろん償却前黒字にならなければ再建にならないという考えがあります。それは当然かもしれぬ。しかしながら、私が言うとおり、十年間で財政援助をするならば、これをもう少し濃縮してやる手もありはしないか。それはなかなかむずかしいことでしょう。しかしながら、十年間のうちにどうなるかわからぬものを前提にやるよりはそのほうがまだ得だ、またこの際思い切るべきだと思うのです。いままで大蔵省中心で予算査定でなにをやられてきたが、四十四年度の当初の計画が御破算になったのもそれが一つ。ちびちび財政援助をしたからこうなった。思い切ってやるときにやれば国鉄は再建できる、構造的な改善ができるはずだった。その提案はわれわれは何回もやってきた。具体的な提案もしてきた。そういうことを考えるから、われわれはこういう土台のないものの審議については疑問があるということなんですよ。いかがです。
  129. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 政府財政支出を濃縮しろ、非常に力強い御発言をいただきましてありがたく思っておる次第でございますが、私どももそれは十分に考えまして財政当局とも折衝した次第でございます。しかしながらいまの国鉄の状況からいたしまして、短時間に財政再建をはかるということはなかなか容易なことじゃない、しかも国民の御協力を仰ぐ、また国の財政支出も結局は納税者の負担でございますから、それの協力を仰ぐということもやはり財政再建のめどが立たずしてこれを出してまいるわけにまいらぬ。それで私どもいまの財政状態から見まして、国鉄だけでなく諸般の財政支出も非常に多い。ここのところがいまぎりぎりの線ではないかということを考えまして、あえて御審議をお願いしている次第でございまして、その点は久保先生の五年に切れ、三年に切れという御卓見、十分私ども承知している次第でございますが、今日の国鉄財政再生にはどうしてもそれだけの期間はかかるという考えのもとに出した次第でございますので御了解願いたいと思う次第でございます。
  130. 久保三郎

    ○久保委員 押し問答を長く続けてもあなたとだけではどうにもならぬのかもしれませんね。  しかし委員長、あなたに申し上げておきますが、対策要綱なるものはできているようでありますね。これはお出しをいただかなければかいもく見当がつかない。これは正式に委員会にお出しをいただきたい。さっき運輸大臣がお述べになったことが書いてある対策要綱を出してほしい。それから十カ年計画のためし算も出してもらいたい。それを検討した上で質問を続けます。いかがですか。
  131. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 さっそく提出いたさせます。
  132. 久保三郎

    ○久保委員 次に昨年の予算委員会並びに運輸委員会の中ではもはや財政再建計画は破綻であるということを政府側でも認めておる。てまえども質問に対して、当時の運輸大臣あるいは大蔵大臣は言うなれば総合交通体系を政府はいま策定中であるから、これによって再建のめどをつけたい、こう言って答弁されて逃げた。当時磯崎総裁に私が質問して、忘れもしませんが、総合交通体系を青い鳥にたとえて話をして、現実的には銭がほしいのは焼き鳥だという話をした。青い鳥もけっこうだがいまほしいのは焼き鳥であるという話が出た。まさにいま青い鳥はあなたたちの手に入ってこないじゃないですか。焼き鳥が少しばかり入ってきてにおいだけが書いてあってくしだけが長くて中身が何もなかったということじゃないですか。  そこで、運輸大臣お尋ねをするのでありますが、それじゃすなおな質問として、昨年そういうふうに政府が答弁したのだから、今度の四十七年から始まる新しい計画の中には総合交通体系の中の何かが取り入れられるはずだと思うのだが、どういう点が取り入れられたか、いかがでしょう。
  133. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 大筋を申し上げますと、新幹線の整備あるいはまた大都市の通勤通学輸送、また都市間の直通輸送、また貨物におきましては貨物輸送方法の抜本的な改革をいたしまして、直通輸送の増強、あるいはまたコンテナ、貨車の増強、またヤードの整備、そういうふうなことを根本に取り入れまして最近の輸送需要に適応するという国鉄に変えてまいるということが大体の骨子でございます。
  134. 久保三郎

    ○久保委員 あまりお読みになっておらないのかもしれませんから、てまえどもが読んだ範囲では総合交通体系を——そういうこともあったかもしれませんが、むしろ国鉄に対しては次の二点なんです。財政再建対策の再検討をしろということなんです。それからもう一つは、国鉄の業務分野の確立ということで提唱をしているわけなんであります。財政再建対策の再検討はいまなされようとしておりますから、これは見ようによっては取り入れたということになりましょう。特にその中でも財政援助の見直しをしなさいということであります。これはそのために多少なりとも見ようによっては前進したのかもしれません。しかし、次の問題が全然考慮されていない。国鉄の業務分野の確立。たとえば、貨物と旅客を見ても、よく赤字黒字の議論が出ますが、客貨別の黒字赤字議論では、日本の国鉄は特徴的に貨物で赤字。現今においても大半の赤字は貨物がしょっているという形になっているわけですね。だから財政を好転させるためには、一つには貨物輸送の改善、輸送を旺盛にするという一語に尽きるかもしれません。それにはいまのような自由競争の立場に置かせておいたのでは、残念ながら国鉄の持っている機能は十分に発掘できないし、競争激化の前に国鉄は敗退していくわけです。しかし、いまや環境保全の問題が大きく交通の分野にもある。特に道路運送の面では交通事故、公害、労働過重、いろいろな問題がある。さらに輸出秩序の混乱というか、そういうものもある。これをやはり秩序立てて良好なサービスを有効に提供するということが総合交通体系のねらいの一つでもあるはずだ。それから言うならば、貨物輸送一つとれば、トラックと貨物、さらには内航と国鉄の貨物、そういうものも政策の段階に乗せてこれを誘導し、分野を確立するという方向に行かなければ、国鉄の貨物は、その特性とする中長距離大量貨物輸送はだんだんできなくなってくる。総合交通体系は、まさにそういうことをするものだとわれわれは考えている。だから提案されている法案だけでは、残念ながらほんのごく少々の部分を手直しするというにすぎない、完全なものじゃない。だから十カ年間のためし算をしても、これは全然当てにならないのです。たとえば、貨物は十年間年々どのくらいの伸びで見ておりますか。これは総裁にお開きしたほうがいい。いかがでしょう。話の途中でありますが……。
  135. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど旅客の輸送伸びを申しましたが、貨物は年々六%と一応見ております。
  136. 久保三郎

    ○久保委員 このままでいくと、いまお述べになった六%では、それを確保することが非常にむずかしいのじゃなかろうかと私は思っております。というのは、最近カーフェリーによるトラック輸送があるわけですね。これはトラックは重量制限なしであります。トラック、自動車の長さによってこれは制限があるだけなんです。重量制限なし。しかも先般の運輸委員会でも運輸省に注文をつけましたが、トラックの過積みの問題があるわけです。はなはだしきは三倍も積んでおる。そういうものと国鉄の貨物が競争できるはずはないのであります。なぜならば、片方は、運賃をきちんととる。片方は、帰り荷があれば半分にもダンピングできるような、自由競争を大まかにできるような仕組みになっている。これを野放しにしておいて何ぼ財政援助をやっても国鉄の経営はよくはならないばかりか、国民経済的に見て、道路運送では事故や公害が出てくる。国鉄貨物輸送はからっぽである。こういうアンバランスが出てくる。これを放置するところに問題がある。それを政策として制度としてきちんと整理する段階にきているのです。それ一つさえとっていないで、土台のない再建方策出してきても、これは残念ながら、十年たっても再建は不可能であろう、極端な言い方をすれば、こういうふうな見方があります。いかがですか。
  137. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 要するに、陸海空輸送の斉合性の問題につきましては、ただいま先生御指摘のとおりでございまして、運政審においてもその方面においていろいろ研究を進められておる次第でございます。また先般来いろいろお話がございましたが、たとえば長距離トラックを禁止する、西独の例なんかをとってはどうかというような御議論もある次第でございます。  またお話がございました、絶対量につきましてはふえましても、相対的におきましては、すでに御承知のとおり海上輸送が非常にふえてまいりまして四割二分にも達する。さらにまたふえるという傾向にあることも事実でございます。そういうところを勘案をいたしまして、私どもとしても総合交通体系をいかに実践をするかということでございまして、いわゆるイコールフッティングに立ちまして経費負担をどういうふうにするかというような問題に対しまして、たとえてみますと、今回いわゆる車検税、トン税、これは非常に論議のあるところでございますが、国鉄の新幹線、新線の輸送財源の一部にするというようなこともその一つのあらわれではないかと思っている次第でございます。   〔委員長退席、宇田委員長代理着席〕  また先生先般御質問をいただきましたトラックの過重荷物についての厳正なる取り締まり、これは私ももっともと思っている次第でございまして、先般そういったような構想について、まだ精密な機械ができないからというようなことをいっておりますが、私は御意見を伺いまして、直ちにそれらの方法を、少々誤差があっても、適当なものがあればそれを実施をするようにということをすでに検討を命じているところでございます。今回の十カ年計画におきましても、貨物輸送におきましては長距離大量輸送は陸上においてはやはり国鉄の占める分野が非常に多いんじゃないか。また旅客輸送につきましても、通勤通学、大都市輸送、それから都市間の輸送、また長距離快速というようなものはやはり国鉄に負うところが多いんじゃないかということが総合運輸体系のうちにおいて相当の重点となっておりまして、それを具体化をはかるということによってやってまいりたい。それによりまして交通の混雑、貨物輸送の乱脈化を防いでまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。もとより自由主義でございますから、荷主、利用者の選択の自由はできるだけ確保してまいりたい。その他の方法によりましてこれらの斉合性をとってまいりたい、こういう考えで進めておる次第でございまして、先生の御意見は傾聴しておりまして、それを幾ぶんでも具体的に実践をしてまいりたいということで今回も出しておるつもりでございます。
  138. 久保三郎

    ○久保委員 いまのお話でありますが、本来ならば、そういうものを並行して御提案なさるのが筋だと思うのです。非常にむずかしい問題ではありますが、これはやらなければならない段階にきていると思うのです。道路交通の面一つをとっても、これはやらなければいかぬ。ところが運輸省の行政は、大臣を目の前に置いてたいへん失礼でありますが、あと追い政策なんです。またそういうことを公言する高官もおります。あとから追っかけていけばいいのです、われわれは前もって考えたことをきめることはありません、なんということを平気で言う官僚がおります。そういうことはまずいんじゃないかと思う。そういう人はそのうちにどっかへ出世させたら一番いい。そういう政策をまじめに打ち出してこないところに私どもの不満があるし、世間でも不満があるのですよ。  それでは今度は国鉄にお伺いします。  貨物の輸送については、投資もたくさんされておるようでありますが、そのわりにはどうもうまくいっていないといったら語弊がありますが、どうもうまく軌道に乗らないようにも見受けられます。   〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕 いろいろな問題があろうかと思うのです。短い時間の中でのお尋ねでありますが、たった一つ、私は国鉄は汽車を動かすことに専念したほうがよさそうだと思うのです。荷物を集める機能は、残念ながら、明治五年以来あまり機能としては持っておられなかった。だから、いま貨物センターなどをつくって涙ぐましい集貨をしておりますが、その努力にはたいへん私は敬意を表します。しかしながら限度があるということですね。なぜならば、そういう集貨能力を持つように教育や訓練をされてきていないのであります。たとえば、警察の中で刑事警察と交通警察と警備警察、こうあります。最近やや交通警察のほうはその分野で定着はしてきましたが、交通局長が防衛局長になっていくなんていうことでありますから、言うならばいまは交通警察は定着してないのです。それと同じように、きのうまで汽車を運転はしないでしょうが、運転に関係することをやっていた人が、あした荷物をどこへ行って集めてきたらいいか、これはわからないことと同じことであります。しかし、国鉄という仕組みは、言うならばそういう宿命をいろいろやっていくところのようでありますから、これをいま直ちに訓練するといってもむずかしい。また、その機能を自分から持つというのも、貨物センターを持つぐらいが限度かと私は思うのであります。これは軽べつして言っている意味ではございません。しかし限界ということはやっぱり知らなければいけませんから。  そこで、集貨能力、貨物を集める機能というものをどうしたら持てるかというくふうをこの際真剣に考えるし、これはメンツにこだわることなく、あらゆる方法、手段をとるべきだと私は思うのですね。さっき大臣お尋ねしたように、制度として輸送秩序の確立はやっていただくという、それによってただはじかれてきた、転移してきたものを運べばいいというのではなくて、もっと良好なサービスを与えるという意味で、それに適合する貨物は集貨能力をつけてどんどん持ってくるというくふうをこの際すべきだと思う。通運との関係はいっとき競争、対立の関係にあったことも事実であります。しかし、もはや過去におけるあつれき、いきさつというか、そういうものをいまとやかくいう段階ではないのです。一切を新たな観点から考えて、新しいくふうをすべきだと思うのだが、この点はどうか。  さらにもう一つは、貨物の運賃についてもあまりにも意識してきめていやしないかということです。意識してというのは、たとえばトラックとの意識。さっき御答弁ありまして、なるほどわれわれは貨物運賃をもっと上げるべきだという考えもあります。しかし御答弁のように、上げれば逃げてしまう、逃げてしまうという現実はどうするのかという問題ですね。これはさっき言った一つ制度的なものもあるでしょう。しかし、その制度的にたよるだけでは、これは全く強圧的なものでありますから、やはり自分の能力に応じてこれを取ってくる、誘導してくるという、それにはあまり運賃について神経質になってはいけない、こういうふうにてまえどもは思っているわけです。  たとえば今度コンテナの運賃が一つできるようであります。今度できるのは、区別はどうなのかわかりません、同じだと思うのでありますが、トラックの運賃とコンテナ、いわゆるオンレールの運賃との合算額、こういうふうになろうかと思うのでありますけれども、荷主はトラックの運賃プラスオンレールの運賃で幾らというふうに聞かないのであります。甲から乙までの運賃は幾らですかということ、これが必要なんであります。その区分けをするかどうかは、これは架貨の問題と、トラック屋と鉄道屋、鉄道屋といってはおかしいが、まあ国鉄の分け前の問題になるわけですね。そういうものをいまだに官庁的なものの考え方で構成されることはいかがかと思うのです。これはむしろ甲から乙までの通貨は幾らであるというふうに取ることが必要だと思うのです。しかも集配区域が何キロまでというのは、荷物は限界はありません。荷物は二十キロとか三十キロなどということで、言うことを聞いてとまっているのは一つもないのであります。遠くの荷物もあれば近くの荷物もある、それを自由濶達に運んでもらうのがほんとうに国母に対するサービスなんです。そういう意味からいって、一つの例をコンテナ運賃の制度にとって言いましたが、もう少しくふうをこらす必要がありはしないか。もちろんその中には制度的な制約があるのかもしれませんね。しかしそれは監督官庁である運輸省ももう少し幅を広げて見ていくという態度が必要だと思うのです。もっとも、常磐線と千代田線でありますかの相互乗り入れの運賃のプールもできないのでありますから、言っても無理かもしれませんね。しかし、もはや無理だといって許しておく事態ではないのであります。だから、公共企業体といって企業性を発揮するのだというなら、もう少しその面で発揮してもらいたいと思うのです。  今度の運賃値上げでは、運賃値上げしてもおそらく所期の予定収入はあがらぬと私は思うのであります。特に定期運賃は大幅な値上がりになります。そうなった場合に、定期から今度は自家用車に入り、他の交通機関に転移することは明らかであります。あとからも申し上げますが、いずれにしても貨物の運賃について、貨物の制度、集貨能力等についてのお考えをお聞かせいただきたい。
  139. 磯崎叡

    磯崎説明員 たいへん含みの多い御卓見を承りました。実は私もいま貨物輸送には非常に頭を悩ましている最中でございますが、第一のいわゆる集貨能力につきましては、御説のとおり、全く私らは、昔から手足のないだるまみたいなものでございまして、集貨能力は全部通運業者にまかしていたというのがいままでのやり方でございます。一時それを自分でやろうかというふうな気持ちもあったわけでございますけれども、どらもやはり、荷主のドアに行って集貨する能力と、私どもの中で仕事をする能力とは若干質的に違いがあるということで、いわゆるセンターを百二、三十万所つくってみましたけれども一つ職員の意欲の向上にはなりますが、いまおっしゃったように必ずしも実績があがってないというふうにも思います。ただ荷主側から見れば、国鉄は非常に前だれがけになったというふうなことをいってくれますけれども、実際にはそれほどの大きなメリットがないということになれば、やはり末端に細胞のように張りめぐらした通運業者あるいはトラック業者と協力することが一番大事じゃないかということでございます。通運業者との関係も一時と違いまして非常によくなってまいりましたし、また御承知のとおり最近はトラック業者と完全に一体となりまして、これも若干法的には問題があるやに聞いておりますけれども、端的に申しますが、トラック業者の下請をして、長距離トラックをやめて鉄道で運ぶというふうな、末端だけトラックでやって中身を鉄道で下請するという形も実は相当やっておりまして、これはトラック業者も喜んでおるわけでございますが、やはりそういう場合にはトラック業者の集貨能力を使っている形になるわけでございます。  そういう意味で、やはり各荷主のドアまで網を張りめぐらした業者に御協力願わなければ、いまここでもって武士の商法をやってみましても、御説のとおりこれは限界があると思います。ただこれは、職員の意欲としてとっておくという限度で、一つの限界があるということは思っておりますけれども、そう言ってしまいますと部内の士気にかかわりますから、やれやれと言っておりますけれども、やはり私はほんとうにネットを持っている人にまかせるのが一番いいんじゃないかというふうに思います。  それからもう一つ、御承知のように臨海鉄道のようなものは、これはわりあいスムーズにいっておりますので、これはこれとして新しい臨海工業地帯ができたらやっていく、これは資本参加という形でもってやっていきたいというように思っておりますが、何はともあれ、私のほうは昔から手足は全部業者にまかしてしまっているという貨物輸送のやり方をしておりますので、これを今後どう生かしていくか、どういうふうにこれを組織がえしていくかということは非常に問題だと思います。戦時中にシナでもってある大きい鉄道会社が運送事業を直営いたしまして、大失敗した例もございますので、そういう例もいろいろ参考としながら、やはり業者のお力をかりるのが一番いいんじゃないかというふうに思います。  そこで、第二の御質問の業者との配分の問題になってくると思います。そこで、これもいろいろ法的にむずかしい規制がございまして、ほんとうをいえばドア・ツー・ドアで、鉄道運賃を含めて全部で荷主が幾ら払うという簡単なシステムにしなければだめだと思います。しかし、片っ方は道路運送法あるいは通運事業法、それから鉄道運賃法というふうに、まん中が鉄道運賃法、両端が道路運送法なり通運事業法できまっているということで、非常に分割についてもまた許認可の得方にしましてもむずかしい点がございますので、この点は鉄監局のお力を得まして運輸省自動車局のなかなかむずかしい解釈もございますので、それを少しでも法律に違反しない限度で自由に仕事のできるようにしていただきたい。先ほど御説の、まさに配達距離なんというのは、全くこれは私から考えれば実はナンセンスだと思っております。しかしなかなか法律的に規制がございまして、根本的に通運事業法なりなんなり相当いじっていただかないとできないという面もございますが、とりあえず鉄監局のお力によりまして、もう少し自動車局に弾力性のある解釈をしていただくようにできないものかどうかということを事のつどお願いしているわけでございますが、私はいずれそういう時期にこざるを得ない段階だというふうに思っております。
  140. 山口真弘

    ○山口政府委員 コンテナ運賃に関する制度の問題がございましたのでちょっと御説明申し上げます。  コンテナ運賃につきましては、数年前先生からこの新しい輸送方式に対応した制度というものを考えていくべきではないか、従来のような小口の扱いの中で処理するのは無理ではないかという御質問がございました。全くそのとおりでございまして、私ども何とかこれを処理したいというふうに考えまして、今回の制度改正におきましてはそういった趣旨を踏まえまして、その方向で改定をいたしておるわけでございます。  そこで、コンテナ運送ということは新しい輸送形態でございますから、その新しい輸送需要というものに対応したあるいは荷主の要望というものに対応した姿の運送形態あるいは運賃の形態というものにしなければならぬわけでございまして、したがってそのレール部分の運送というものに付着したところの両端の運送というものを含めて、これが利用しやすいような姿の形態にしていくというのが私ども考え方でございまして、両端におきまする集配等も含めた運賃制度ということに現在いたしております。  なお、フレートライナー制度につきましては、同様にそういう考え方で、両端を含めた運賃制度にいたしておりまして、あとの問題は両者間の配分の問題という形で問題を処理をいたしておるところであります。今後ともこの制度の改善につとめてまいりたいと思います。
  141. 久保三郎

    ○久保委員 さらに貨物の問題では、いまの集貨業者と国鉄の関係で、国鉄輸送力をリースする、こういう制度も考えてみるべきだと思うのですね。これはしかしそこには一つの制限を付すことが必要だと思うのでありますが、列車貸しとかあるいは列車を全部じゃなくてもその半分を貸すとか、船のほうはもっと合理的にスペースチャーターというようなものもありますし、それからウェットチャーターといって、そのまま船を貸すものもありますし、そういう制度をやはり時代に即応して考えるべきじゃないかと私は思うのです。それはなるほど運輸省から見れば制度的にいろいろ制約はあるかもしれませんが、そういうものを取っ払っていくのが新しい政策だと思うのですよ。何かいまある制度を後生大事にしながらやっていたのでは何にもこれは前進しないと思うのです。国鉄内部にもありますよ、総裁。いつかもお話ししたように、タブレットを扱うのは駅長と助役だけだという、明治五年から同じことをやっていたのでは、先ほど十一万の合理化の問題ありましたが、十一万の合理化問題必要かもしれませんが、タブレットを扱うのは駅長と助役であって、駅長と助役はいるけれども切符を売る駅員がいないから無人駅だなんて、これは山陰のほうにあった実例でありますが、こういうのはもう早急にお直しをいただくことが必要だと思うのであります。  そこで、貨物の問題でもう一つありますが、貨物の集約の問題であります。てまえしろうとでありましたから、一番最初貨物駅の集約というのは勘違いをいたしまして、集約とは甲、乙二つの駅があれは乙の駅をやめて甲に集約だというふうに文字どおりとったものでございますから、乙の駅では荷物を扱う。しかし、鉄道の貨車なり列車なりには載せなくて甲までトラックで持ってくる。そうしてここからみんなオンレールにするというふうにとっておりました。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 ところが、集約とは扱いをやめるということなんですね、全部。結局見ようによっては、これはある荷物を全部捨てていくというかっこうですね。これも山陰に行ったとき、一日に三車半くらいの発着のある貨物を廃止するという話がありました。これも一例であります。どうして扱いをやめるか。オンレールはやめてもいいでしょう。スピードアップさせるのにある程度そういうのも必要だ。だからいま閑散線区のあたりに、いなかの駅というのですか町なり村へ行くと、東京にいるせがれにふるさとの味なりにおいをやろうと思ってもこれはできない相談に相なっているのであります。小さい荷物をどこでも扱ってもらえない。そういう制度国鉄だけではできないのかもしれませんけれども、これは全体として考えていくべきだと思うのであります。国鉄もずいぶん無責任なことをおやりになったなと思うのです。これを許した運輸がなお悪い、あとの手配もしないで。こういうものをこの際は考え通していくことが前進の道だと思うのですね。片方ではここまで荷物を集めてくるというのに、片方ではどんどん切っていく、荷物は要りません、扱いません、これは話になりません。どうかそういう点を考えてもらいたいと思うのですが、総裁、リース制度についてどうですか、合理化についても一考を要すると思うのですが、どうでしょう。
  142. 磯崎叡

    磯崎説明員 貨物列車のリースはアイデアとしては新しいアイデアだと思っております。これはアメリカなんかでは少しやっているようでございますが、いままでどうも私のほうは一車一車貨車を貸すというふうな古い観念にとらわれておりましたけれども、最近は列車一本とかあるいは半分とかいうことを、旅客でも貨物でも考え方としてやっと考えついたところになっています。いまトラック業者、いわゆる路線業者の荷物を相当扱っておりますが、それは先生のおっしゃったリースとは少し違うかもしれませんが、多少その変形であろうと思っております。今後そういう新しい輸送方式、すなわち貨物輸送の改善ということは単に設備だけをよくするんでなしに、そういう古い制度あるいは古いものの考え方を直すこと自身が私は貨物輸送改善の一番大きな問題だというふうに考えております。したがって、設備的なものと同町に、その裏づけとしていろいろな新しいものの考え方制度考え方というものをこれから進めてまいりますが、いまおっしゃったリースなんか一番新しい形で、私はぜひもっと積極的に取り入れてまいりたいというふうに思っております。
  143. 久保三郎

    ○久保委員 次に、新しい十カ年計画で七兆円投資をするというのでありますが、これも資料の要求をしておきます。これは出してもらいたい。どういう投資をするのか。しかし仄聞するところ、これはかなり問題がありはしないかということであります。特に幹線輸送力の増強でありますが、聞きたいのは、幹線とはどんな線であるか、何キロぐらいございますか。それから複線電化を中心にして二兆二千億ほど投資をするようになっております。従来の幹線輸送力増強も同じだと思うのでありますが、そしていま計画しているもののどのくらいがいつになったら有効に働くのか。たいへんこまかくなるかもしれませんが、大ざっぱなお答えでいいのであります。いまかなりの投資をしているやに聞いておりますが、建設仮勘定だけを見てみても大体四千六百億ぐらいあるんですね。これを悪いということじゃないのです。建設仮勘定じゃなくて、線路にしても一区間つくったら建設勘定からはずして一般の中に入ってくるのでありますから、そういうものは十分にかせいでいないわけですね。稼働していないわけです。有効に複線として作動していないわけですね。私がお尋ねするのは、ある一定区間複線として作動する、いまやっている工事でどの程度あとたったらば有効になるんだろうかということです。  それからもう一つは、貨物の輸送改善でヤード等の工事を近代化していることも知っております。しかしこの中には残念ながら機能があまり当初の計画どおり出ていないようなものもあるそうでありますが、こういうものはもちろん手直しされるのでありましょうが、貨物の輸送が十分に円滑に行なわれるのにはあと何年たったらばいまのテンポで、たとえば七兆円のテンポでどのくらいかかるのか。これは目の子勘定ですよ、大ざっぱですよ。資料があればあとから出していただきますが、いかがでしょう。  それから都市計画のあれでありますから、通勤輸送は当初の計画は五千五百億だったと思うのですね。今度の新しい計画では五千億になっておるようでありますが、一部東京都、中心等では若干の前進がありましたが、いまダウンすべき時期であるかどうかですね。都市の通勤輸送、都市交通は国鉄を中心として私鉄、営団、そういうものをひっくるめて投資を急がねばならぬ大きな命題だと思うのですね。それが減っていくということについてわれわれは何か疑問を感じます。かたがた新幹線についてはかなりの意欲を打って投資しようとするのでありますが、七兆円の中で新枠線の投資はいかほどあるか、お知らせいただきたいのであります。これが計画どおり終わりになった際にははたして経営はうまくいくのかどうか、いまの東海道あるいは山陽の開通と同じように見ている者が世間ではたいへん多いと思うのでありますが、これに対して自信があるかどうか。  それからもう一つ、これから着工になりました新幹線についてはわれわれが反対して通過した新幹線網の法律で地元の財政負担を要求しているわけでありますが、国鉄としては財政負担はどの程度かけるつもりなのか。特にこれは東北新幹線ですね、その手続等はどういうふうに今後進めておいでになるつもりか。まとめてお答えをいただきたいと思います。
  144. 磯崎叡

    磯崎説明員 いろいろ御質問がございましたので、まず第一に全体の投資考え方から申し上げますと、先ほど申しましたように全体で十年間大体七兆ということは一つの目安と申しますか、そういうように考えております。そのうち——まだ正確に確定しておりませんが、もう少し情勢を見ないと決定できませんが、そのうち四千億ぐらいを一応の予備費といたしますか、一応新幹線は二兆、それから在来線が四兆六千億ないし五兆、その四千億ぐらいを、もう少し模様を見まして在来線に使うか新幹線に使うかきめなければなりませんが、とどのつまり在来線が四兆六千億プラス四千億かないし四兆六千億か五兆、新幹線が二兆ないし二兆四千億というめどでいまいろいろ考えているわけでございますが、その中でまず新幹線のほうでございますが、二兆とした場合と二兆四千億とした場合と若干の相違がございますが、いま計画中のものが大体できるということになりますが、ただ収支的に見ますれば、これからつくる東北あるいは上越の新幹線が、東海道や山陽のように非常に収支償うということは考えられないわけでございまして、ことに在来線に対する影響等もございますが、私どもといたしましては大体新幹線は四千キロぐらいまでは在来線の赤字をカバーして収支が償う。しかし四千キロ以上になりますと、たとえば札幌まで延ばすべきだというふうな問題になりますと、一体青函トンネルをどういう金でうちへ貸してくださるのかというような問題が根本問題になりますし、また今後の政府の出資が、今後の東北新幹線鉄道のものであればやはりペイのしかたが恐くなるということで、あげて、政府が半額見てくださるのか三分の一見てくださるのかで収支状況が変わってまいりますけれども、一応四千キロぐらいまでならばいまの政府の出資の限度で、在来線を含めて収支が償うであろう。それ以上はもっぱら投下資本を政府がどのくらいまで見てくださるか、いわゆる無利子の金がどれだけ借りられるかということで変わってまいります。  それから在来線の整備でございますが、私どもこれはとかく新幹線に目を集中してしまって、在来線を忘れがちになってしまってはいかぬということを常々言っております。それで御質問のこれから幹線を整備してまいる。いまの単線蒸気鉄道というのは、ちょうど道路でいえばせいぜい一車線から二車線の価値しかございませんから、せめてこれを複線電化する。複線電化にすれば三車線、四車線の能力ありということで、現在数百キロの区間にわたりまして複線電化工事をやっておりまして、大体これから整備すべき枠線は約一万キロと私どもは考えております。その一万キロの中には、すでに複線電化したものは除きまして、これから複線電化ないし部分複線電化並びに新枠線とそれから新幹線の通らない都市とをつなぐ肋骨線と申しますか、そういうものを整備しなければならぬ。たとえば今度岡山まで開通いたしましたので、岡山と山陰の間を結ぶ伯備線に金をかけるというようなことにいたしておりまして、幹線プラスある程度の助骨線を考えるということで、これは逐次でき上がっていくということに相なると思います。  それから貨物ヤードにつきましてはこれは逐次できてまいりますので、全体的にどうこうとは申し上げられませんが、現在で申しますと若干貨物輸送力には余力があるというふうな状況でございます。ただ郡山あるいは高崎、今度の武蔵野操車場というふうに、新しいコンピューターを使いました、人手をなるべく省いた操車場につきましてはだいぶ性能があがってまいりまして、一時郡山などは、つくった当時ずいぶん落ちましたけれども、いまはほとんど所期の数字をあげております。したがって、今後なるべく操車場につきましては数を減らしていくということと、無人化と申しますか、無人にはなりませんが、コンピューター化をして人を節減してまいりたいというふうに思っております。全体としての貨物輸送の能力はいまいささか過剰ぎみ、余っているというふうに申し上げていいと思いますが、なるべく新幹線ができることによりまして在来線がすきますので、そのすいた在来線にいい貨物列車を走らす、速い貨物列車を走らすという方向で進んでまいりたいと思っております。  最後に、新幹線建設についての地元負担、いわゆる利用債の問題でございますが、実は、私どもといたしましては、地元に何がしかを持っていただきたいというふうに考えております。これは運輸省と自治省の間でいろいろ話をされておりますので、その経過は運輸省のほうから申し上げられると思います。私どもは、地元にもできればある程度の御負担を願いたいという気持もには変わりございません。
  145. 久保三郎

    ○久保委員 運輸省からの答弁は、あとがつかえているようですから、あとにしてもらいましょう。  それで、最後というか、きょう、もう一つどうしても附いておかなければならぬのは、来年度予算の中に、閑散線区の補助金として国が七十五億、地方が五十億——地方財政計画の中にも五十億が入っているそうでありますが、この百二十五億の対象になる線は何線であるか、どういう線であるか、おわかりになっていると思うのでありますが、おわかりになっているかどうかだけお答えいただきたい。
  146. 山口真弘

    ○山口政府委員 四十七年度予算には、地方閑散線に対する補助金の額が、ただいま先生おっしゃいましたように計上されております。それで、一応この積算の基礎といたしましては、三千二百キロということにいたしておりまして、三千二百キロに対しまする補助金ということであります。其体的な線区その他につきましては、まだ決定をいたしておりません。   〔加藤(六)委員長代理退席、細田委員長代理着席〕
  147. 久保三郎

    ○久保委員 三千二百キロというのは、どういう計算から出ましたか。
  148. 山口真弘

    ○山口政府委員 一応地方閑散線として認定をいたしまする線区を定めまして、そしてその閑散線区につきまして、四十七年度はある程度これを撤去する、その残りのものが三千二百キロ、こういう基本的な考え方によりまして、そこでもとになりまする地方閑散線として認定すべきものというものにつきましては、たとえば鉄道と道路との経済上の比較だとか、国土計画だとかあるいは道路との関連、代替輸送の関連あるいは非常な積雪地帯であるとかいうような各般の事情を勘案いたしまして、そして一応三千四百キロ程度を地方閑散線の対象とし、その中の二百キロ程度のものを撤去するということにいたしまして、残りの三千二百キロを対象として助成をするという考え方でございます。
  149. 久保三郎

    ○久保委員 残すのは三千二百キロで、撤去するのは二百キロ、それはおわかりになっておりますか。これは金をもらうということですね。しかし、五年間には全部撤去するということですか。どうなんですか。
  150. 山口真弘

    ○山口政府委員 二百キロの具体的な線はきまっておりません。ただ、考え方といたしましては、地元の同意を得て、五年間に三千四百キロにつきましては撤去をするという考え方のもとに、四十七年度予算では計上されております。
  151. 久保三郎

    ○久保委員 さっきの十カ年計画もそうでありますが、この三千四百キロというか三千二百キロというか、予算には百二十五億あげておきながら、キロ数もわかっていながら、どこの線かこれからきめるというのは、国会審議を愚弄している、そういうふうにとっていいと思うのですね。何を基礎にして、百二十五億をあげたのか。これでは審議を進めるわけにはまいりません、はっきり言って。優柔不断で——先ほど与党の御質問もありましたが、きょうの午前中の物価対策委員会で木村経済企画庁長官は、新線建設については、先ほどの運輸大臣の御答弁とはまるっきり違う御答弁をしております。しかも閑散線区の問題にしても、二百キロは、中身はこれからですと言う。これからの中身がわからぬで、何で二百キロできるのですか。なぜ三千二百キロができるのですか。この線はどうするというはっきりした態度を示して審議を請うのがフェアな立場じゃないですか。機密は運輸省にもあるのか。こういうことでは審議ができない、はっきり言って。三千二百キロ並びにさしあたり撤去する二百キロについて、具体的な線出してもらいたい。それから撤去する手順について、はっきりしたものを出してもらいたい。政府の態度、手順。よろしゅうございますか。そうでなければ、われわれはこれからの審議に応ずるわけにいかない。この三千二百キロをどうするか、百二十五億をどうするかの是非の問題は別にして、何の根拠もなくて二百キロ、三千二百キロ、百二十五億を出してきて、それで審議をしろとは、まことに愚弄した立場ですよ。運輸大臣いかがですか。
  152. 山口真弘

    ○山口政府委員 百二十五億の基礎になりました三千四百キロにつきましては、一定の基準に従いましてこれを定めるということにするわけでございますが、結局、考え方といたしましては、鉄道と道路は、国民経済的に見てどちらが有利であるかというような点を輸送量の面等から見まして算定し、さらに当核地域におきまする国家的な開発計画その他があるかどうかというような点を考え、そして代替交通機関の存在というものを考え、また雪その他の条件も考えて三千四百キロというものを定めるわけでございますが、その具体的な線名につきましては、現在まだきまっておりません。さらに検討いたしたいと思います。
  153. 久保三郎

    ○久保委員 三千四百キロの計算ができて、なぜ具体的にわからぬのか。これはおかしい話じゃないですか。なぜしつこくそんなことを聞くかというと、もはや国鉄再建は、ここが正念場ですよ。いいかげんな、だまし討ちみたいなことで先へ進もうなんていったって、進めるものではありません。大臣、これじゃもう審議できませんぞ。お出しください、具体的に御明示ください。そしてその是非を国民に問うことが、いま求められているあなたたちの責任じゃないですか。われわれにも意見はありますよ。意見は別として、御提案なさっているのでありますから、公正にというかフェアに出してください。いかがですか。
  154. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 お答えしておきますが、運輸省には秘密はございません。何でも申し上げまして、それで御審議を願いたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  しかしながら、御承知のとおり、閑散線の認定というものは非常にむずかしい問題でございます。地方の開発利益、地方住民の感情、あらゆる点におきまして非常に問題のあるものでございますので、大体におきまして、試算といたしまして、ランニングコストの点から勘案をいたしまして、五千数百キロのうちの約三分の二、三千四百キロ、そして本年には二百キロをする、残りの三千二百キロを、一キロ七百万の赤字補てんということで試算をしている次第でございまして、これらの閑散線の線名またキロ数というものは、いま慎重に検討をさしているところでございますので、御了承願いたいと思う次第でございます。
  155. 久保三郎

    ○久保委員 これは大臣立場もわからぬわけではありませんが、やはりこの際ははっきりされたほうがいいと思うのですね。しかも、この二百キロなり三千二百キロができる過程において自民党内部においてもいろいろ注文がつけられていたそうでありますが、この注文についてもあいまいもことしたままで審議をいましているわけなんです。はっきりしていただきましょう。これは国民立場から要求しますよ。
  156. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほどから局長が申しておりました諸条件を勘案いたしまして、諸条件に適合し、そうしてやはり国民経済から見まして鉄道の特性を失うということで閑散線に認定しましたものにつきましては、これはやはり五年間にどうしても撤去していただきたいという線区でございます。それにやはり閑散線の決定につきましては、よほどいろいろ諸般の事情を慎重に勘案をいたしまして、具体的の線名をきめる場合におきましては、これはもちろん急がなければなりませんが、これは具体的にきめてもらわなくてはならぬと思う次第でございまして、きまりました以上はあくまでも五年のうちに撤去をいたしたい、こう思っておる次第でございます。それにいたしましても、先般自民党総務会の決定がございましたのは、地方自治体の了承を得る、これはもとより当然でございまして、民主主義の政治を行なう上に自治体の承認を得るということは当然のことでございますので、私ども国民経済の立場から諸般の事情を十分説明いたしまして、その間におきまして御了解を得て、するつもりでございます。
  157. 久保三郎

    ○久保委員 きょうはあとがつかえておりますし、いずれにしても、この問題ではこのままでは私は質問を続行するわけにはまいりません。これは後刻はっきり、資料出していただいて、納得のいくようにしていただきたいと思うのです。われわれ是非の判断はできないのですよ、大臣、三千二百キロとか二百とかいったって。そうでしょう、是非の判断はできないじゃないですか。だから、そういう立場にして、百二十五億をどうするかなんといったって、これはむずかしい話じゃないですか。  それからもう一つ、これもあとでまた重ねてお尋ねしますが、一言だけお聞きしたい。経済企画庁長官が答弁した問題でありますが、新線建設は、先ほどよく聞きませんでしたが、てまえどもの考えはこういう考えであります。それは、新線建設は日本の経済開発その他にとって大きな、なくてはならないような路線、それからあと新線を建設するについては、国鉄輸送が飛躍的に改善される線、そういうところを中心にしてそれ以外は建設は一切やめる、そういう態度がてまえども考え方であります。それと同時に、もう一つは、鉄道建設審議制度、いわゆる鉄道敷設法なるものはこの際全部、別表も含めて廃止をする。そうしてもう一つは、建設さるべきものは一つ一つあらめて政府が決定して、国会の御審議に付する、そういう態度でいくべきだとこの際は思っているのですが、あなたのほうはいかがでしょう。
  158. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま新線建設につきましての御意見でございますが、これは私どもも同様の考えで、先ほども申し述べましたとおりでございます。要するに、地方開発に将来役立つもの、それからやはり新線を建設することによりまして鉄道網の一貫性ができて、そうして鉄道輸送が非常に増大をするというものに重点を置きましてやるつもりでございます。その他は一切認めないつもりで私は重点的にやっていきたい、こう思っておる次第でございます。  また、ただいま鉄道敷設法を全面的に改正するか、私もその点は同感でございます。将来ぜひ検討してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  159. 久保三郎

    ○久保委員 敷設法は廃止していきたいという考えでありますから、大臣御在任中にぜひ手をつけてほしい。提案しておきます。  それからもう一つは、御在任中にぜひお願いしたいのは、いまの方針に従って来年度予算は調理し直してほしい、鉄建公団のやつは。これはやればできましょうね。いかがでしょう。そうでないと、ただ単にここの答弁だけでは生きてこないのだろうと思うのです。
  160. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの新線建設につきましてはその方針で、私が在任を許していただきますれば、その間にきめたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  161. 久保三郎

    ○久保委員 先ほど、冒頭申し上げたように、私がお尋ねする相手である総理並びに関係閣僚はおいでになりませんから、これに対する質問は当然留保するし、きょうはつかえておりますから、それを含めて留保して終わりにします。
  162. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 松本忠助君。
  163. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 最初に国鉄総裁お尋ねを申し上げます。  四十六年度国鉄財政の状態については現在決算中であることは当然のことと思いますけれども、その見通しにつきましてどのようになっているか、大筋総裁の口からお答えを願いたいわけでございます。
  164. 磯崎叡

    磯崎説明員 目下四十六年度の決算中でございますが、単年度でもって純損失二千四百億円前後ではないかというふうに考えています。したがって、四十五年度末の累積が五十六五億でございますので、四十六年度末八千億を少しこすのじゃないかというふうに考えられます。
  165. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この点につきましては、もうすでに運輸省から出ております国鉄予算説明書の中にも大体そのような方向で書かれておりますので、私承知はしておりますけれども、念のためお伺いしたわけでございます。単年度で純損失二千四百億、繰り越しの損失を合計いたしますと八千億をこすと、たいへんな赤字でございます。このような赤字をなぜつくったかについての問題はこれからいろいろと問いたださなければならないと思うわけでございますけれども、そこでまず伺いたいことでございますが、大臣、ひとつ伺います。  この新しい再建計画でございますが、この再建計画の点につきましては、三月三日の予算委員会の総括質問におきまして私も伺いました。そのときに私がお伺いしましたのは、大臣承知と思いますが、今回のいわゆる新しい十カ年計画というもの、この問題がほんとうに抜本的な再建計画なんだろうか、この点について運輸大臣ひとつ簡単に答えてください、こう申し上げました。それについて大臣からお答えがございました。前段のほうは省略しますが、「私は今回のあれは」、「あれは」ということは新しいいわゆる十カ年計画をさすことと思います。「抜本的なものであるという確信を持ちまして皆さまにお願いをしている次第でございます。」、このようにございました。そこで大臣、三月三日から今日までに時間の経過がございますけれども、現在でも大臣は新しい再建十カ年計画についてはこのお答えのとおり抜本的なものである、このように確信を持ち続けていらっしゃるかどうかをお伺いいたしたいわけであります。
  166. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 そのとおり変わりございません。
  167. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 鉄監局長、いかがですか。鉄監局員は大臣のいまのお答えと全く同一でしょうか、それとも違うでしょうか。
  168. 山口真弘

    ○山口政府委員 全く同一でございます。
  169. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは副総裁に伺いますが、いま大臣並びに山口鉄監局長がお述べになりましたことにつきまして同じように聞くわけでありますが、新十カ年計画については抜本的なものである、このように副総裁もお認めになりましょうか。
  170. 山田明吉

    ○山田説明員 政府の御見解と同様に私どもも考えておりますが、それには私どもの非常にきびしい努力がもちろん必要だということをつけ加えて申し上げます。
  171. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 たいへんけっこうなお答えであります。企業努力の点は再三私が責めておるものですから、副総裁先を越して言われた。私は抜本的な再建計画と聞いたんですが、その内容と大臣の考えておられる「抜本的なものであるという確信」、このところに何か内容に食い違いがあるような気がしてきております。私の思っている抜本的なものということと、大臣のお考えになっていらっしゃる、抜本的なものであるという確信を持っている、そこのところに何か食い違いができてきたような気がするので、私重ねてお伺いするわけであります。四十七年度をスタートとするところの十カ年計画累積赤字も解消して健全な体質となるか、こう私は伺っておるわけなんです。大臣は私の見解と同じでしょうか、それとも大臣のお考えになっているのは違ったでしょうか。
  172. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 十カ年におきまして累積赤字を解消いたしまして、そして健全なる財政にしたい、それがためにあらゆる方面から検討いたしまして、国鉄運営の健全なる基礎をつくっていくという目的に向かいましてつくった次第でございます。ただ、ただいま副総裁からもお話がございましたが、すでに御審議がおくれておりまして、今回の私どもの予定しております増収の計画につきましても、すでに相当な減収が見込まれる今日でございますので、ただいま国鉄当局からも申しましたように、きびしい企業努力を重ねていかなければならぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。
  173. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、いまのお答えでございますけれども、新しい再建計画でいきますと、いままでの八千億、要するに先ほど国鉄総裁が言われたところの累積赤字八千億を解消してどうにか黒字になる、このように大臣はおっしゃったわけですけれども、これは間違いだと私は思うのですよ。そんなにうまいぐあいに国鉄が黒字になるわけがないのです。それは大臣、お間違いですよ。大臣の御見解、大きな間違いがあります。私は、訂正するならいまのうちのほうがよろしいと思います。
  174. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 お答え申し上げます。  これは単年度で黒字になる、こういうことでございまして、負債その他が残ることは御承知のとおりでございます。十年後、単年度で黒字になるということでございます。単年度経費が黒字になる、累積赤字は漸次減少に向かっていく、こういうことでございます。
  175. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 鉄監局長、もう一ぺんいまのを補足して答えてみてください。
  176. 山口真弘

    ○山口政府委員 今度の再建計画によりまして国鉄体質が改善をされまして、そして収支も次第に上昇の方向に向かってまいるわけでございます。そして十年後、五十六年におきましては単年度におきまして償却後でも黒字が見込まれ、自今ずっといいペースで続く。そして累積赤字につきましてはそれまでかなりの姿で累積がされるわけでございますが、そのころから減少の方向に向かっていく。そういうことで抜本的な再建ということに相なるわけでございます。
  177. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの鉄監局長のお答えをもう一度復唱しますと、収支も次第によくなる、それから単年度には黒字になる、それから累積赤字も逐次減少していく、こういうふうにいまおっしゃったのですけれども、その答えはどうも私いただけないです。累積赤字が減少するなんということは私は考えられない。この点は、どうもお考えになっている三点については疑問でございます。いまおっしゃったような単年度で黒字になるというようなことは、全く少ないと思うのです。私がいただいた資料によると、とてもじゃないけれども、いまのお答えは訂正しなければならなくなると思うのですよ。  それでは伺いますが、新再建計画によりますと、値上げは四十七年から五十六年までの十カ年間に三回、四十七年、五十年、五十三年、こう三回値上げをする。五十六年は収支が償うようになるから、黒字になるから値上げをしないでいい、こういうふうに私はいままで大臣からも何べんか聞いております。ですからほんとうにそうなんだろうか、疑問があるのです。三月三日の総括質問の際にも私がその点をまず出しましたときに、経済企画庁長官はこう言っていますよ。「いま再建計画の中で、そういうあと二回の値上げを一応予定してのお話でございますが、その率で申しますと、まさにそのとおりになると思います。」ということは、二回、最初の四十七年の値上げは離していて、そのあとの五十年、五十三年の値上げ、これは一応予定している。そうして五十六年の値上げについては、経済企画庁長官はここでは否定しているのです、この回答からいきますと。ですから大臣の言われるのは、五十六年にはおそらく黒字になるだろう、だから値上げはしないで済むだろうと言っておりますけれども、私が入手した資料からいいますと、とてもじゃないけれども、単年度で黒字になるなんというのはほんとうに数が少ない。どうしても五十六年も値上げしなければならない、こういうふうになるのですよ。ですから、私はここで四回値上げするんですとはっきりおっしゃったほうがよろしいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  178. 山口真弘

    ○山口政府委員 収支の試算におきましては、先ほど申し上げましたように体質が改善されまして、そしてだんだんによくなり、単年度の五十六年度時点におきましては償却後黒字になる。それから累積赤字につきましては、途中は非常に悪うございますので、一時は累積赤字が増加いたしてまいるわけでございますが、次第によくなってまいるということでございます。なおその収支の試算の考え方の基礎といたしまして、五十六年度運賃改定につきましては若干、一〇%の考慮をするということで試算をいたしております。
  179. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 五十六年度で一〇%ですか、鉄監局長、いまのお話は。
  180. 山口真弘

    ○山口政府委員 五十六年度一〇%ということで試算をいたしております。
  181. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それではお伺いします。鉄監局長は一〇%と言われるのですけれども、私はそうも思ってないのです。  ひとつ国鉄総裁にお伺いします。実は私、三月三日の総括質問が終わったあとで、ああいう席でございましたから、数字をこまかく検討ができない、いずれあらためて運輸委員会の席上で数字の検討もいたしたいということを申し上げておきました、そして、やはりその数字の根拠となるべきものがなければ検討のしようもないと思いまして、さっそく国鉄当局にお願いいたしておきました。それは新財政再建計画によって十カ年間に一体収入はどうなるのか、あるいは事業費人件費あるいは物件費がどういう割合でいくのか。そして単年度でいうならば、償却はどうなるか、償却前の損益はどうなるのか。そしてまた純損益はどうなるのだということを一覧表にして出してもらいたい、こういうふうにお願いしておきましたけれども、依然としてその資料が出ません。全くこれは私は憤慨にたえないのです。実はきのう、きょうここで質問があるということになりましたので、さきにお願いしておいた資料が出ない限り質問できないのだが、どうするのだ、こういう話になりまして、ようやく国鉄から昨晩おそく資料が届きました。私は昨日夕方地方のほうへ出ましたので、その資料を実際上見ましたのは、うちへ帰って十二時過ぎです。秘書が私の自宅まで届けてまいりました。それで私は昨晩初めてその資料を見たわけです。それから私もいろいろその資料をもとに検討したわけでございますけれども、ここでひとつ確認しておきたいのは、山口鉄監局長は、国鉄でつくったところの新財政再建計画に基づく国鉄長期収支試算というのを御存じですか。見ていらっしゃいますか。
  182. 山口真弘

    ○山口政府委員 一応の試算といたしまして、新再建計画に基づくところの収支試算をいたしております。その内容につきましては了知いたしております。
  183. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 見ていらっしやるとおっしゃった。知っている、こういうことですな。  それではお伺いしますけれども、いま、端的にいっても五十六年度の値上げが一〇%といいますけれども、そろばんを私が入れてみますと、この資料に基づいてやりますと、五十六年度一八・五%ですよ。さっき鉄監局長は、五十六年度は一〇%だとおっしゃったけれども、この資料を基礎にしての御答弁ならば、これはちょっとどうも受け取れません。五十六年は値上げが一八・五%になる。まずこの問題をこれからいろいろ整理して申し上げなければならぬのですけれども、先ほども久保委員からの質問のときに、大臣は、三年目に二五%ずつ上げれば黒字になる、そして最後の年には一〇%、これはきめていない、こういうお話で久保委員に御回答になったと思うのです。最後というのは五十六年の意味だと思うのです。十年後には黒字になるというふうに繰り返されて先ほど大臣はおっしゃっているのです。ですけれども、この大臣の発言は、いまの国鉄がつくったところの長期の収支試算をもとにしてならば、この答弁は明らかに間違いなんです。この点いかがでしょうか。
  184. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほど申しましたのは単年度黒字になる、こういうことでございまして、その点はことば足らずでございましたので、はっきり申し上げておきます。
  185. 山口真弘

    ○山口政府委員 先ほど御質問ございました五十五年と五十六年の間が一〇%以上伸びておるではないか、これにつきましては輸送量の増、自然増その他の問題がございまして、そういうかっこうになっております。
  186. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは伺いますけれども、四十九年と五十年を比べると、運賃収入伸びはどういうふうになっていますか。
  187. 磯崎叡

    磯崎説明員 実額で申し上げてよろしゅうございますか。——まことに申しわけございません。ちょっと実額で申し上げますと、これは私どもの試算でございますのでお断わりしておきますが、  一応五十年に一五%上げるとすれば、四十九年度収入が一兆六千二百五十億でございます。ですから、五十年度が一兆九百五十七億と出ておりますので、約三千七百億くらいの増収になっております。ですから率で申しますと、一兆六千億の三千七百億でございますから、二〇%ちょっとということで、一五%に旅客四・二%、貨物六%、この自然増分を上のせした数字がこの数字になる、こういうことでございます。
  188. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それはわかっています。それで、この数字からいったら、運賃値上げする、しないじゃなくて、伸びがどれくらいあるかということです。要するに、値上げ分もあるでしょう、もちろん自然増もあると思うのですよ。一体どれだけ金額で伸びたかというと、二〇%だろうとおっしゃるけれども、これは正確に言うならば二三%ですよ。五十年と五十一年と比べると、一体どういうことになるか。五十年と五十一年を比べてみてください。
  189. 磯崎叡

    磯崎説明員 昭和五十年は、先ほど申しましたように博多開業を見込んでおります。したがいまして、五十年度と五十一年度は、一兆九千九百億が二兆一千億になりますから、ちょうど千二百億ぐらいしか伸びていない、こういう勘定になっております。
  190. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ですから総裁伸び率は幾らですかと聞いているのです。
  191. 磯崎叡

    磯崎説明員 おそれ入りますが、すぐ出しますので、ちょっとお待ち願います。
  192. 小林正知

    ○小林説明員 ただいま先生お尋ねの件につきましては、毎年度別の伸び率を正確に計算いたしました資料をちょっと持っておりませんので、そういった意味では、ちょっと違った御答弁になって恐縮でございますが、鉄道の場合におきまして、四十七年の運輸収入を一〇〇にいたしますと、五十年で一四四、五十一年が一五四、それから五十三年が、ここで運賃が上がる予定に計算しておりますので二〇六、それから五十六年が二八二というような収入伸び率を鉄道で計算しております。
  193. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私が質問したことについて答えていただけばよろしいのです。私が申し上げているのは、五十年と五十一年と比べたら一体運賃収入伸びがどれだけあったかということを聞いているのです。博多開業があってその年は幾らかふえると、いま総裁が言いました。伸び率は幾らか、こう聞いているのです。
  194. 小林正知

    ○小林説明員 ただいま計算いたしまして、六・一%になっております。
  195. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 計算いたしましたら六・一%。どうもそろばんが違っているようですよ。私は昨晩十二時過ぎにそろばんを入れたのですけれども、そのそろばんは私は眠っていてやったのかもしれないけれども、あなたのそろばんと私のそろばんが違う。日本のそろばんじゃない。どこかの国のそろばんだな。委員長、こんなことを言っていたのでは、とてもだめです。こちらが要求する答えは何も言わないで、しかも答えることがみんなとんちんかん。こんなことで審議はできません。私は先ほど冒頭に申し上げようと思いましたが、時間の節約の関係上やめましたけれども、私も総理大臣、大蔵大臣、経済企画庁長官、こういう方々にはどうしても聞きたいことがあります。そういう問題もひっくるめまして質問を留保しておきます。大臣は三時というお話でありますので、大臣の御都合もあろうと思います。一応これできようはやめておきます。こんな、現実に私が申し上げることに答えもできないようなやり方ではなっちょらぬですよ。それで運賃値上げしよう、国民にだけ大きな負担をかけよう、こんなことは私たちは絶対反対です。審議ももうお断わりしたい。一応きょうは、あと質問を留保して、これで終わることにいたしたいと思います。
  196. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 この際、暫時休憩いたします。    午後三時休憩      ————◇—————    午後五時十五分開議
  197. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松木忠助君。
  198. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 二時間十五分ばかり休憩をいたしましたので、問題を改めましてお伺いいたしたいと思います。  先般三月三日の総括質問の際に、国鉄の未利用地、不用地、このリストの提出を求めましたけれども、ついに出なかった。当時来来、大阪、その分のリストは一応出たわけでございます。しかしながらどうもその後依然として七百五十四カ所の問題についてははっきりいたしておりません。おそらく永久に出ないんじゃなかろうかと私思っておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、あまり国鉄さんの言うことは信用できなくなりました。はなはだ遺憾でありますけれども、そう思います。  そこで、実はきょうは国鉄から出していただきました、前にいただいております東京、大阪の分、その東京のほうでございますが、これを事業計画があるものと処分をするものと、こういうふうに分けた資料を再度提出してほしい。全国七百五十四カ所についてはもうよろしいから、少なくとも東京の二十五カ所についてはきちんとしたもの、利用分、未利用地を事業計画のあるものとそれから事業計画がない処分をするものに分けてひとつ出してほしいということをお願いいたしておきました。ところがこれまた資料提出がなかなかございませんで、実は昨晩やっとこれも出たわけであります。どうしてこういうふうに資料提出国鉄はおそれるのか私ちょっとわからぬのでありますが、まず第一番目に、その資料提出が、われわれがお願いしてもおくれるという理由からまずお伺いしたいと思う。
  199. 磯崎叡

    磯崎説明員 未利用地につきましての資料がおくれましたこと、たいへん申しわけなく存じますが、実は二十五所の分ができまして先生に御提出するというときに、今度あらためて七、八カ所ばかりつい最近公開入札いたしたものでございますから、それをつけ加えてお出ししなければいかぬということを、これは私申しまして、それを急遽つけ加えたものですからおそくなった次第でございまして、この点深くおわび申し上げます。
  200. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 総裁が七カ所ふえたために提出がおくれたと言いますけれども、七カ所というのはごく微々たるものですよ。千平米以下のものです。どうしてそういうものが最初からわからなかったのかということですね。私はこの前三日の総括の際にお伺いしたときにも、要するに国鉄の財産台帳は完全か、現物ときちっとそろっているのか、こういうことを再々念を押したわけであります。そのとき総裁は大みえを切られたわけでございますけれども、私どもは現実に握っておりますところ問題がございます。それはともかくとしまして、二十五カ所の東京、さらにそれが七カ所ふえた、こういうわけでありますが、資料を請求するたびに提出される分がこのようにふえてくるのでは、これは次に提出を要求したらまたそのたびにふえてくるのではなかろうか。お願いしたらふえる、そういうことになったらまことにどうもまずいのではなかろうかと思うのでありますけれども、とにかくその七カ所がふえて出てまいりました。  そこでお伺いいたしたいのは、総裁お手元にお持ちですか。第一ページ目の例の問題になっておりますところの七番、中央本線新宿駅構内の二千三百五十平米、これが角筈口駅本尾並びに関連事業、約七言七十五坪の用地です。私どもが調査したところによりますと坪三百万、二十三億三千万、そういう財産が八年五カ月もほっぽってあった。これをせめて自動車の駐車場でもつくったらどうだというお話も申し上げたわけであります。そのときにも総裁が、六十カ所駐車場を今度やるんだというお話でございましたけれども、それはそれとしまして、まずこの新府駅の構内の角筈口駅本屋並びに関連事業というのはどういう方向でこれをなさろうとするのか、この利用計画の一端をお述べいただきたい、このように思うわけでございます。
  201. 磯崎叡

    磯崎説明員 新宿駅の土地につきましては、先般予算委員会先生から御指摘を受けまして、私も早速現地に参りましてよく調べてまいりました。お説のとおりでございました。そして、実はさっそくあそこの利用計画をいま検討しようとしている最中でございます。  御承知のとおり今度京王帝都電鉄があそこで甲州街道の下を地下へ乗り入れてまいります。そして歩道の上には地下鉄の出口ができませんので、あのかど地の一階に連絡通路をつくろうじゃないかということで、新しい地下鉄十号線と新府駅との連絡通路に一階はするということで、階段並びにエスカレーターをつくる設計をいまいたしております。それから御承知かと存じますが、あそこのちょうど京王デパートの前に駐車場をこれからつくることになっております。公営駐車場でございます。その駐車場の出口を、京王デパートと私のほうの御指摘になった土地とで半分ずつで出口をつくるということにこれは都市計画できまっておりまして、そのランプを、私どもではあまり譲るのが好ましくないものですから、二こまのものを一こまに無理やりさせまして、結局一階は駐車場の出入口のランプとそれからいまの十号線との連絡口というように決定いたしたわけでございます。あの土地は、御承知のとおり地下二階は京王帝都の電車が入っておりますのでこれは使えません。したがいまして、地下二階それから地下一階は連絡通路になります。それから地上が、やはりいま申し上げましたとおり連絡通路になりますので、地上二階以上を使うことになります。いま地上二階以上につきましてはいろいろ考えておりますが、大体あの場所でありますので、鉄道施設を中心とした貸しビルのようなものをやってまいりたい。初めはホテルを考えたのでございますけれども、どうもあそこに京王プラザもできましたし、あまり変な宿屋をつくりますと、いかがわしいものにもなりますので、さしあたり貸しビル、貸し会議室等、場合によりましては、実はある銀行が入れてくれということを言っておりますし、それから山梨県とお話をいたしまして、何か山梨県の一つの窓口として使えないかということを知事にも内々お話を申し上げようというふうにも思っておるわけでございまして、そういうことで、大体地上十二階くらいの建物にいたしたいという計画でいま青写真がほとんどでき上がったところでございますが、実は技術的に京王帝都との連絡口が非常にむずかしい。片方は地下四階くらいになるものでございますから非常にむずかしい設計で、大体できましたが、その連絡と小田急とそれから私のほうの電車、この三者があそこでごった返しますので、なるべくごたごたとしないような設計をいまつくっておりまして、大体できまして、間もなくこれは、あの土地の一角はずっと外側から工出が進んでまいりまして、もう地下鉄の工事が徐々にあの辺に近く参ることになっております。したがいまして、さしあたりは材料置き場に京王帝都に貸す、それから間もなくその場所自身を、さっき申しましたような連絡口に地下一階と地上一階を使いたいということで、具体的な計画に着手したわけでございまして、企業体そのものについてはいろいろまたちょっと議論がございまして多少煮詰まってない部分もございますが、使い方としましてはおおむねそういう使い方に、やはり駅中心の三鉄道の合流点としての役目を果たすような、公共目的に合致したようなもの、しかも一方営業的に使えるものをつくるというような考え方でやってまいりたいと思っております。
  202. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 積極的にそうして仕事を進めていただくということはたいへんけっこうなことだと思います。いつごろ着工なさるのか、また完成の時期はいつごろなのか、そういうはっきりした目安が一応立っているものなら、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  203. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいま総裁が御説明申し上げましたが、あの付近は地下鉄あるいは京王、小田急、その辺の連絡設備あるいは地下駐車場等の関係がございまして、都市計画変更手続もしなければならぬということになろうかと思います。そうなりますと、それが終わってからということになりますが、われわれとしましては十号地下鉄がもう工事をあの近くまでやってきておりますので、なるべく早く案を策定してしまいたい、こういうふうに考えております。ただ設計上非常にお互いが入り組んでおりますので、旅客をいかにスムーズに運ぶかということで、いま細部の設計を詰めておるところですが、ここ一、二カ月くらいの間には案をまとめてしまいたい、こういうふうに考えております。具体的な設計をまとめてしまいたい、こういうふうに考えております。
  204. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 具体的な設計を進めていただくのはけっこうでございます。  そこで現在のところは、設計ができるまでは、いずれにしましてもまた材料置き場という、総裁から話がありましたけれども、そういうことにもなるまいと思いますが、現在あそこの場所ですね、五トンコンテナが置いてございますが、あの五トンコンテナは、置かせてあるのは無料ですか、それとも有料ですか。
  205. 磯崎叡

    磯崎説明員 私も実はけさ見てまいりましたけれども、あれは新宿駅に置くべきものをこちらに置いたのでございまして、けさ置いてあったのはたしかから、だったと思いますので、私のほうの新宿駅の関係で置き場が少ないとか置き場が足りないとかいうときにあそこに置くのであって、荷主のものをただで置かせることはしてないということを聞いてまいりました。
  206. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 要するに荷入りのものでない、からのコンテナである、こういうことでございますね。私どもちょくちょくあそこを、何か気にするものですから通ってみますと、からのコンテナを積んでいるのでしょうけれども、何か特定の通運事業者だけの車しか私は見ない。これは私の目の間違いかどうかと思いますけれども、行くたびに見る車が、どうもある通運事業者一社だけの車なんです。そこへ特定に貸しているのかな、こんなふうにも私考えておるのですけれども、そんなことはないと言われるわけでございますか。
  207. 磯崎叡

    磯崎説明員 私も入っている通運事業者まで存じませんでしたけれども、それは特定のものに貸しているのではなしに、新府駅の置き場として貸しておるのであって、たまたま同じ業者が使っているかと存じますけれども、駅の構内でもコンテナを置く場所は、この業者はこの辺というふうに大体きまっておりますので、あるいは同じ業者が出入りしているかとも存じますが、特定のものに貸すとすれば、それは有料でなければなりません。その点は、あそこは新府駅構内の一部として私のほうのコンテナ置き場ということで使っているはずでございます。
  208. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは問題の新宿はけっこうでございます。  その次にお伺いしたいのは、三番の亀戸駅構内の八千七百、これも関連事業、それから四番の常磐線亀有駅構内の五千六百九十六平米、これも関連事業等とこうございますけれども、この亀戸、亀有等についての計画はどのようなものが考えられているのか、お答えを願いたいと思います。
  209. 磯崎叡

    磯崎説明員 亀戸につきましては、東武鉄道との土地のやりとりが相当ございますので、その財源としてどうしても少し動かさなくちゃいけませんものでございますから、それに使うという予定にいたしているそうでございます。  それから、亀有のほうは、初め、実は住宅公団にあそこを貸しまして、住宅をという気持ちでおったわけでございます。貨物のあと地でございますが、私どものほうも少し欲が出まして、住宅公団にただ貸すだけでは損じゃないか、できればうちがじかにやりたいというふうな気持ちもございまして、そのままになっております。あそこは、大体住宅にいいところだと私は思っておりますので、もしどうしても間に合わなければ、ある程度住宅公団とお話をして、それを考えなければいけないというふうに思っておりますが、御承知の常磐線問題でいろいろ問題のあった土地でございますので、少しいま差し控えているところでございます。
  210. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は、この亀有も亀戸も現地を見ております関係上存じ上げておりますので、いま特にお伺いしたわけでございます。  そこで、ここにもございますような関連事業、この関連事業をやるということについては、私も大いにやるべきであろうと思います。この前の予算の総括の際にも大臣が言われましたが、関連事業の範囲の拡大、それに伴うところの国鉄法の改正、こういうものはぜひやりたいと思っておりますというような御答弁を大臣からいただいております。ただ、今国会に間に合うかどうかわからない、しかしながら、関連事業を法改正してぜひやりたい、こういうふうに言われておりますが、その点について、大臣、進行しているんでしょうか。どうなんでしょうか。
  211. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先般、予算の総括質問におきましても私申しましたとおり、法改正をいたしまして、関連事業の範囲の拡大をはかりたいという方針には変わりございません。ただ、御承知のとおり、今国会には私のほうで非常にたくさんの法案を出して、いま御審議を願っております。しかしながら、事務的には十分いま検討さしております。今国会に間に合うというわけにはまいりませんが、次の機会にぜひ出したい、こういうふうに思っている次第でございます。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  212. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その関連事業を推進するに際して、どうしても一番大切なことは、何といっても——俗に事業は人なり、こういうことをいいます。中心になる人間のいかんによって、その事業が繁栄するかあるいは疲弊こんぱいしてしまうか、こういうふうになると思います。いまここで注意しなければならないのは、国鉄がいままで関連事業に人を配置する場合に、どうしても、いわゆる国鉄の最終の役職といいますか、この役職を中心にして考える。それは知識、経験、こういったことは全然考慮に入れていない。単に一番最後に駅長さんだった、あるいは本省の課長さんだったとか部長さんだったとか、そういう役職に従って、現場であろうと事務系統であろうと、全くそういう点については何の配慮もされずに、しろうとが得り集まってしまうようなことを私はしばしば見受けている。こういうことは、結局、地元において活動していこうというのには、県なり市なり、あるいは商工会議所であるとか地元の商店街、こういうものとの緊密な連絡をとるのに、どうしても人に欠けているように思うのです。その人を得たところは非常によくいくし、その人を得なかった場所は全くまずいわけですね。実例も私は存じ上げておりますけれども、とにかくあくまでも適材適所といいますか、配置を考えなければ、関連事業はもう成功しないんだ、こういうふうに私どもも思っておるわけです。そういう点を考えまして、今後関連事業をやるについての人の配置、要するに国鉄人たちがそこへ行って、また再び余生を過ごす、大いに産業振興のために戦うのですから、私はけっこうなことだと思うのですけれども、その配置について、どうもいままでのやり方ではいけないと思う。こういう点は今後どういうふうに取り組んでいくのか、ひとつ総裁の御決意をお聞かせしてほしいのです。
  213. 磯崎叡

    磯崎説明員 関連事業、ことにいま申しましたような、最近の空地の利用等につきましての人選が適切でなかった点がある。私、率直に申しましてそう思います。先生がいまおっしゃったような形で人選をしたきらいがないとは、私は申しません。その意味で、今後こういったものを、せっかく諸先生方が大いにやれとおっしゃってくださるのでございますから、やはり人を得なければいけないということは、お説のとおりでございます。いままでのような形式的人選を一切やめまして、地元に経験者があれば、地元の経験者に入ってもらう、あるいは部内でも、その方面のほんとうに優秀な人があれば、その人を使う、ほんとうにことばどおりの適材適所でやっていかなければいけないという意味で、人材の発掘にもう少し積極的につとめなければいけない。単にやめた人を持っていくという形でないような人材の配置をしてまいりたいというふうに思っております。いままでのものにつきましてお説のような御批判があることは、私も実は承っております。それらにつきましても部内で十分検討してまいりたいというふうに思う次第であります。
  214. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 どうかいまの発言をお忘れにならないで、今後の関連事業に対する人材の配置については一そう考えていた、だきたいと思うのです。  そこで、元へ戻りますが、二ページ目の二十三番に、東北本線の王子−須賀間九千二百四十平米、これについては、売却について折衝中というふうに出ております。これはもう御承知と思いますけれども、日産の工場に行くところの引き込み線のあとでございます。この点についてはいままでもしばしば、道路にするということについて東京都方面から呼びかけもあったと思いますけれども、この売却についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、売却先は一体どこなのか、その辺についてお答えを願いたいと思います。
  215. 長浜正雄

    ○長浜説明員 東北本線の王子−須賀間の線路を撤去したあとの用地でございますが、これは先生御指摘のように、この用地は地元でお使いいただきたいということで、都といいますか区を含めてのいわゆる東京都の道路管理者のほうと御相談をいたしまして、なるべく早く売却事務を進めて御利用いただけるようにいま進めております。できるだけ早く処置を進めていきたい、こういうように考えております。
  216. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 常務、いまお話しのように、もうすでに日産のあと地には日本住宅公団の建物が相当数建っておりますし、将来、現在のバス近路を通行するということは非常に危険な状態になる。どうしてもいまの引き込み線を都なり区なりに譲り渡して、そして道路を拡幅して王子の方面にバス輸送をするという方向をとらなければ、これは全く事故を誘発するだけだと思います。この点については一刻も早く地元のほうと折衝を進めていただければ幸いだと思います。  最後にその問題で伺いたいのは、二十五番の赤羽兵器廠線のあと地ですね。これも引き込み線です。これは単線ですから、非常に狭くて細長い線路敷でありますが、三万四千五百四十一平米。これも周囲の方は全く扱いに困っている。ある場所はもう国鉄で全部さくを張ってしまっている。これは管理上当然の話だと思いますけれども、そのために通行が阻害されておる。こういうものをいつまでもほっておくよりも、早く御近所の方なり地主なり隣接の土地家屋をお持ちの方にお譲りをしたならば、これは有効な活用ができるのじゃないか、このように私は思うのです。しかも場所によりましては、線路がそのまま乗っかっておるわけです。ああいうものをいつまでもほっておくということは、どうも国鉄がほんとうに企業努力をしているのかというふうな疑いを持たざるを得ないわけですね。これなんかもぜひひとつ早い機会に解決をつけていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
  217. 長浜正雄

    ○長浜説明員 仰せのように、線路を撤去したあとの用地につきましては、できるだけ早く売却するのが、その土地の管理上からいいましてもいいことであります。特にこういう線路を撤去したところは細長い土地でございますので、こういう土地に関しましてはできるだけ都市計画に合わせて道路敷地に使っていただくのが一番いいのじゃなかろうか、こういうことで地元の方と御折衝申し上げておるわけでございますが、そうでなく、部分部分ちょん切ったようにして売っていきますと、逆にその残りの用地の管理が非常に困難になる。また売却するのも、売却しても個人の所有にしてしまうということになりますと、地元の人のためにもなりにくい。それよりも一括して道路敷地に使っていただきたいというふうに私たちも考えておりまして、できるだけそういう都市計画事業協力申し上げたほうがいいのじゃなかろうかということで話を進めておりまして、本件につきましてもできるだけそういう方向で処置を早く済ませていきたい。仰せのように処置を進めるようになお一そう努力をして永いりたい、こういうふうに思っております。
  218. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまのお話のようにぜひとも早くやってもらいたいと思うのです。こういう問題をいつまでもいつまでもほっておくこと自体が、どうも国鉄の財産管理がいいかげんだということを世間の人から指摘されることになると思います。早い機会にこれを処分をなさるようにひとつお願いをいたしたいと思います。  第三ページ目の処分予定になっている新しく出たところの七件でございます。これがいずれも四十七年四月の公開競争入札をするのだ。場所といたしましては非常に価値ある場所には違いないのですけれども、千平米以下というようなところでございます。どうも私が申し上げたから急に処分をするのじゃなかろうかというようなことを考えるわけで、四十七年四月に公開競争入札を全部するのだ。この七件は全部そうですね。そのほかにも四月中にやるということが出ているものが五件あるわけです。十二件も四月に一ぺんに売り出すのだ。何かこっちが言ったから急にやるのだ。ここへ四月と書いておけばそのうちに何とかなるだろう、そういう考え方でここへ書かれたのではなかろうかと思うくらい、四十七年四月の処分というのがのっかっているのですが、この点どうなんでしょうか。あまり売り急いでせっかくの財産を捨て値で売ることもないわけです。有効にそれを活用し、そうしてどうしてもどうにもならないものを売るのはけっこうだと思うのでありますけれども、そういう点を考えもしないで何でもいいから四十七年四月に公開競争入札するのだというような考え方、一律に何でも考えてしまうというそのやり方、そういうものを改めたほうがいいのじゃないか。一銭でもよけいに値売りするがめつい根性を国鉄が出さなければ、いまの赤字を解消するなんということはとうていできないと思う。どうかその点について、四十七年四月という時点についての話をひとつお答えを願いたいと思う。
  219. 磯崎叡

    磯崎説明員 これは実は私が非常に急がせたことでございますが、二ページ目の四十七年四月は昨年の三月に入札いたしまして売れなかったものでございます。再度入札したわけでございます。たとえば二ページ目の十六番の代々木、これは総裁の公邸でございます。昨年入札をいたしましたけれども、値段の点で落ちなかったもの、そのページのものはみんなそうでございます。それをことしまたあらためて公開入札いたしました。同時に三ページ目のものを七件つけ加えたわけでございますが、これはもう古い木造の符合を片づけてしまって、ちょうどさら地になったものでございますが、この上の二つは昨日か一昨日売れまして、一番上がたしか一億二千万円くらい、二番目が五千万円くらい、実は予定価格よりも非常に高く売れましたので売ることにいたしました。いまはせいぜい三百坪、一千平米以下ぐらいのところでないとなかなか売れませんで、逆にもっと大きくてマンションでもできるところなら売れますけれども、五、六百坪というのは一番売れにくい。ただ、ほんの二、三百坪ですと売れますが、離れていて全然使い道がない、用途がないというところはやはり売ってまいりたいと思っております。値段をよく見た上で確かに近傍類地の価格と比べておかしくないというところは売ってまいりたいというふうに思うわけでございますが、二ページにありますように、値段が安ければ売らないというたてまえで三月か四月に売ることにしておりますが、たまたまこういうことになったわけで、決してあわてて売り急いだわけではございませんので、御了承願いたいと思います。
  220. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは次に問題を変えますが、四十四年度を初年度としました財政再建計画が三年で破綻した、この理由につきましては先ほど久保委員といろいろとお話がありました。この前もこの問題につきましてお尋ねをいたしましたときに、交通運輸事業というものはおおむね労働集約型というか人件費の占める位置が非常に高くなっている、大臣はこう言われました。国鉄におきましても経常費の七割以上が人件費であるというふうなお答えをこの前いただきました。最近はそういう状態になっておりますが、国鉄がいわゆる黒字であった時代には人件費は確かに低かったわけです。昭和三十年当時人件費が千三百四十億で六〇%、物件費が八百八十一億で四〇%、こういう状態ですとほんとうに黒字が出てくる、非常にいい形ではないかと思う。三十五年になりますと人件費が二千六十一億で六六%、物件費か千五十八億で三四%、三十五年は純損益が五十五億の黒になっておりますし、繰り越し利益も六十六億の黒、こういう状態です。そこで三十六年になりますと、このときは値上げをしているので繰り越し利益が五百二十四億というふうに上がっているわけですが、三十七年度、この辺になりますと千二十一億、それから三十八年度になりますと千五百九十五億の繰り越し利益、これがもう最高で、その後三十九年度から赤字になってしまった。三百億の赤字を計上して経常損益も千二百九十五億、こういうふうになったわけです。四十年度になりますと人件費物件費の占める割合が六九対三一ということになりまして、損益計算も千二百三十億の赤だ、こうして年間千億円以上の赤字を計上した、ここが歴史的な四十年度であるわけでありますけれども、四十一年度になりますと値上げをしましたが、三十六年の値上げの際と違って値上げしても赤字が消えなかった。ここに経営の問題点があるように私思うのですが、要するに六百一億の赤字を計上しております。繰り越し損益金もついにこの年度からは赤字となって五百三十六億という赤字の繰り越し金となっているのですが、四十一年度、ここのところが国鉄のいわゆる赤と黒との分岐点、こう思うわけです。この辺のことをいま振り返って考えてみたときに、どこに欠点があっただろうかということはお気づきになるだろうと思うのです。私は私なりに検討を加えておりますが、まず国鉄側の御意見を承ってみたいと思うのです。
  221. 磯崎叡

    磯崎説明員 四十一年度のときのことを考えますと、実は私どもは四十年に四十年度から運賃を上げていただきたいということを申し上げておったのでございますが、ちょうど三十九年度でございましたか、池田内閣から佐藤内閣にかわったときでございまして、運賃値上げは一年待てというお話があったように記憶いたしております。そして四十一年度になりまして、そのときに相当巨額な増収を期待したのでございますが、四十一年度多少景気の関係もございまして、たしか補正予算でもって初めての減収補正をやったときだったというふうに私記憶いたしております。九百五十億くらいの増収の予定が非常にあがりませんで、やむを得ず秋に臨時国会で減収の補正をしていただいたという、いまだかつて例のないことをしたことがございます。それをいま振り返ってみますと、三十九年ごろまではほとんど八%から一〇%近い収入の増加があったわけでございますが、東名高速道路の開通その他による自動車の急激な伸び並びに港湾の整備による貨物の減送、それから石炭がやはり三十八年度がピークで当時五千万トン近い石炭の輸送をお引き受けしておりましたけれども、それが年間五、六百万トンずつ減ってきておる。そういうことと旅客、貨物とも急激に悪くなったのはいま先生のおっしゃった四十一年度の問題だと思っております。したがって、やむを得ず国家予算を補正をして減収をして、そうしてその分を財投で穴埋めしていただいたという記憶がございますが、やはり端的に考えますと、当時人件費はまだ六%から七%ぐらいの上昇率の時代でございます、定期昇給を除きまして。ですから、むしろ人件費問題よりも、やはり輸送伸びの停滞ということが一審大きな原因ではなかったか。ちょっと即座の御質問で私も明確に記憶いたしておりませんが、いまの記憶で申し上げますとそういうような時代で、やはり競争機関が急激に伸びてきたという時代ではなかったかというふうに思います。
  222. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの事情についても、私もそのように思います。  そこでちょっと、中間を飛ばしますが、四十四年度ですね、前回の値上げの時期でございますが、このときにも値上げをいたしましたけれども、千三百十六億の赤字で、結局四千百三十億繰り越し欠損金、こうなっております。  そこで、四十四年度人件費が、率を見ますと、七一・四%物件費のほうが二八・六%、さらに四十五年度を見ますと、人件費が六千九百七億で七三%、それから物件費のほうが二千五百五十七億で二七%、こういうふうに人件費の率が年々上がる一方でございます。こういう点を考えますと、四十七年度、要するにことしですね、いまベースアップというような問題も控えているわけでありますけれども、ことしは一体どれくらいの対比になるものか。この点についてどのように総裁はお考えになっていらっしゃるか伺いたいのです。
  223. 磯崎叡

    磯崎説明員 四十四年度のときは、まだはっきり覚えておりますけれども、たしか初年度は運賃を上げていただきましても、償却後はたしか千三百億くらいの赤であったというふうに記憶いたしております。したがいまして、単年度あるいは二、三年度ではとても黒にならないということで十カ年計画ということになったわけでございます。その後御承知の、先ほど来のお話の事情でございまして、ことし、四十七年度の問題でございますが、これからベースアップをいかに見るかということが一番問題でございます。御承知のとおり、いま参議院で御審議願っております予算の中には、五%の分だけはベースアップの予備費と申しますか、財源が入っております。これは公務員と同じに計上してございます。そのほか、予備費等から流用いたしましても、せいぜい三百億か四百億くらいしかないのじゃないか。したがって、もし高いベースアップが出ますれば、いまのところ、ごくラフに申しますと、私のほうのベースアップの所要額は千円でもって約九十億、それから一%で七千七億というふうな非常に膨大な金額になりますので、いま軽々にその高を申し上げられませんが、いま計上しておりますものはもちろん五百億以下のものである。しかし、去年並みと申しましても、七百億の金額がかかるということになりますと、その分だけはどうしても食い込まなければいけないということになるわけでございます。  そこで、ことしの予算はごらんのとおり、運賃を上げていただければ、ことしだけは幸いに償却前は六百億の黒になっております。その六百億を工事経費財源にしておりますが、その六百億は当然、運賃値上げがおくれることによりまして、かりに一月おくれれば百五十億ないし七十億ぐらい減ることになりますので、その分の財源を取ってしまいますと、どのくらい残るか、ごくわずかしか残らないということになりますと、一体べースアップをどうして実施するか、非常に問題でございます。これから出てまいります組合からの要求は二万円でございます。二万円と申しますと、二千億でございます。二千億はもう——今度の運賃、千八百億しかございません。運賃全部を入れても足りませんのでございます。そういう状況で、どの辺で仲裁が出ますかによりまして非常に違いますし、したがって有額回答その他の問題も今週中にいろいろ問題が起こると思いますけれども、私のほうは非常につらい立場で、よそさまのおつき合いがなかなかできないというふうな窮境にあるわけでございまして、現在ちょっとそこまで、先生の御質問までの推定を申し上げる段階じゃなくて、むしろ支払い能力の問題になっているというふうな現状でございます。
  224. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ことしは大きな問題を控えていることはわかりますが、この間三月三日に大臣にお伺いしましたときには、ことしの値上げの分で人件費のほうはカバーできるだろう、来年はちょっと無理だというようなお話があったわけでありますけれども、ただいま総裁からお話を伺いますと、非常にたいへんなことになっていくということが理解できるわけです。こういう点を考えましたときに、世間一般の人がどう言っているかといいますと、値上げをしたものが全部国鉄の方々の人件費に回ってしまうんだ、これはどうも解せない。われわれが満員電車へ乗ってやってくる、そのサービスもさっぱり向上されない。その値上げ分がサービスになんか転化されないで、全部職員人件費になってしまう、これは問題じゃないか、こう言っているわけです。要するに、人件費を上げてやるための値上げなんかごめんだ、みんなこういうふうにいまや言っているわけですね。そういう点を考えましたときに、はたして国鉄としてこれに対してどう説明したらいいか。いろいろ説明については考えていらっしゃると思いますけれども、世間一般は人件費を充足するための値上げなんだ、一体われわれのサービスはどこへ行っているのだ、何も利益は還元されないじゃないか、こういうふうに言うわけでありますけれども、これに対してどうお答えになりますか。
  225. 磯崎叡

    磯崎説明員 けさも申し上げましたが、非常にむずかしい問題でございますし、また説明も非常に困難な点がございます。四十四年でございましたかの運賃の値上げの際に、過去の実績を調べると、過去十年間の値上げの額と過去十年間のベースアップの所要額と一体どっちが多いのだという御質問がございまして、数字を出しますとほとんどとんとんであるというふうな数字をお出ししたことがございます。私どもといたしましては、人件費の問題は、職員一人一人の単価につきましては、やはりよそ並みの問題もいろいろございますし、結局、合理化をして頭数を減らすということ以外には、人件費を減らす方法はない。もう一つは、先ほど先生のおっしゃった関連事業に極力人を出していく、定年まで待たないで人を出していくというような方法がございますけれども、全般的に申しますれば、運賃を上げていただいて、そして全体的な国鉄体質改善をはかっていく。とても二年や三年ではよくならないので、やはり多少長い目で見ていただくというふうに申し上げる以外にないのでございまして、額から申しますと、ベースアップの分と値上げの分が大体とんとんになってしまうというふうな現状でございます。利子につきましては、たまたまことしは、利子二千億ございますが、政府の今回のお手当てで大体千五百億くらいは自前でなしに——借金も政府からの財政再建債も含めますと、大体千五百億くらいの手当てをしていただいたことになりますので、利子のほうは自前で払うのは二千億のうち五百億くらいに幸い減ったわけでございます。  したがって、なおさら、人件費ベースアップの関連性が強く世の中に印象づけられることになると思います。そういう意味で説明が非常にむずかしいのでございますけれども、全般的の財政体質の改善ということで御協力願って、あとは七兆の投資をして通勤輸送なり長距離輸送をよくいたしますというお約束をする以外には方法はないというふうに思うわけでございます。
  226. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 なかなかその苦しい裏面はわかりますけれども、世間ではそれをすなおに受け取ってくれないのです。そういうところに問題があるだろうと思うのですね。  そこでこの新しい再建十カ年計画によりますと、人件費物件費の比率はどうなっているのか、この点をまずひとつ先に伺っておきます。
  227. 磯崎叡

    磯崎説明員 一年一年申し上げますとあれでございますから、一番結論として最後の五十六年度の数字だけ、逆に申し上げてみますと、五十六年度事業費が二兆八千八百億、そのうち物件費は八千三百億、人件費が二兆四百八十八億でございます。したがいまして、やはり七対三、けさほど江藤先生お答えいたしましたように、七〇ぎりぎりであるということでございます。これは十一万人減らして、しかもこういうことでございます。ということは、五十六年度と申しますのは、全体の年齢構成から申しますと、先ほど申しましたように、現在四十歳から上を全部足しますと六〇%が四十歳以上でございます。四十歳代、五十歳代。五十六年になりますとこれが四八%に減るだけでございます。いまのところ六割近い者が四十歳以上であるそれが五十六年度になりますとかろうじて五〇%を切るという程度でございます。したがいまして、かりに十一万人が減らせましたといたしましても単価が非常に上がってくるわけでございます。したがいまして、いま申しましたとおり五十六年度になりましても人件費の割合がやっと七〇%前後ということになります。と申しますのは、いま申しました全体の四八%がやはり四十歳以上であるということでございまして、これが少し先になりますけれども五十九年度になりますと三六%に減ってまいります。それから六十年ごろになります三〇%に減りまして、やっとピラミッドのような形になってまいります。したがって、いまの頭でっかちの人員構成並びに人件費の単価アップということが実額的に非常に大きく響くという状況がまだしばらく——五十六年では解消できない。さらに五十六年から四年ないし五年先になりませんと解消できないというのが現在の人事構成でございます。もちろんこれらの連中の首を切るということは申しませんが、やはりできれば若いうちに関連事業に転出する人もあるでしょうし、そういうようなことによりまして実際なるべく減らしてまいりたいと思いますけれども、大勢としては大体いま申しましたように非常に老齢化の現象があと十年から十五年は解消しない。徐々によくなってまいりますが、解消するのに時間がかかるというのが現状でございます。
  228. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま五十六年度総裁が出されて、それから先の長期の見通しが出たわけでございますが、いずれにしましてもここに四十七年から五十六年までずっと出ておりますのを一つ一つ当たってみましても、五十年当時は人件費が七四、物件費二六、五十三年になりますと七一・八対二八・二、いまの五十六年が正確な計算ですと七一・一対二八・九、こういう数字になるわけですね。これらの試算の基礎となっているのは、やはりその十一万人削減ということが一つの大きなポイントじゃないかと思うのです。これははたしてそのようにうまくいくかどうか、これが一つの心配でございます。まずその点を先に伺いたい。
  229. 磯崎叡

    磯崎説明員 けさほども申し上げましたとおり、十一が人のほうは、いまの年齢構成からいたしまして一応五十五歳の定年をいじらないという前提でまいりますと、いま何歳の者が何年たてば何歳になるかわかりますので、五十六年までの定年退職名数はおのずからきちっと出ておるわけでございまして、いま定年を過ぎてからもやめないという人は非常に少のうございます。ごくまれな人だけでございまして、全体で五百人あるかないかでございます。したがって五十五歳になったらやめるといういまの原則が貫かれるということを前提といたしますれば、頭数が減ることは毎年一万ないし一が一、二千減ってまいりますので、十年たてば十二万ないし十三万減ります。そのうちから必要な分、どうしても若い人でなければできないもの、たとえば線路の保守作業あるいは操車場の中の連結作業、こういうものはやむを得ず採りますけれども、技術保存の意味で最小限度の人間を採りますけれどもあとは採らない。採らない際にあけっぱなしでいいかというと、これは先ほど申しましたように、それは配置転換でいかなければならない。配置転換をするには合理化で人を生み出さなければならない、こういう順序になってまいりますので、やはりどうしても合理化近代化が前提になってくるということでございます。ですから、やめていく数は非常にはっきりしておりますけれども、それを埋めないで済むようにどういうふうにして部内の仕事のやりくりをするかという点に問題がしぼられてくるのではないかというふうに考えます。
  230. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 お話しのように自然消耗があることはわかります。しかし現実に定年過ぎてもやめない人がかなりいるわけです。特に中間管理職の人たちの問題について私ども非常にふしぎに思うのですけれども、あれほどまでも中間管理職が要るものかどうか。必要なのか。非常にたくさんの人が残っているが、あの人たちの平均年齢は幾つぐらいになっておるものでしょうか。
  231. 磯崎叡

    磯崎説明員 管理職と申しますれば、やはり鉄道に二十年あるいは二十五年いた連中でございますので、大体三十七、八歳から四十歳くらいになると思います。ただ管理職が多いかどうか。これはいろいろ見方もあると思いますけれども、私どものほうといたしましては、たとえば本社あるいは地方の中間の組織等につきましては、ことに地方の中間組織は、昨年支社を全廃いたしました。そういうことで思い切っていま管理職を減らしておる最中でございますけれども、なお現場における管理職の数につきましてもいろいろ問題があると思います。これらにつきましては労働問題等ともあわせ考えまして、不必要なものはやめるというたてまえでいかなければならないというふうに考えております。
  232. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もとに戻しますけれども人件費の算出の基礎になったのが、裏側にもついておりますように、四十七年度から五十年までは一二・一%、五十一年から五十三年度は一一・一%、五十四年から五十六年は一〇・一%、こういうふうになった、定期昇給を二・七%込みでこうなのだ、これをひとつ基礎にして人件費をはじき出したのだ、こうございますけれども、現実にこれで済むかどうか。私は、過去の実績、たとえば四十四年、四十五年の実績、こういうものを考えましたときに、ここにあげられたような一二・一%あるいは五十四年から五十六年が一〇・一%という数字でほんとうに済むのだろうか、こういう疑問がございます。年度別の人件費、要するに四十四年、四十五年、四十六年、こういったところは一体どのくらいのいわゆるベースアップになったのか、実績をひとつ聞かせていただきたい。
  233. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点が実は今度の問題の一つの焦点でございます。いま五十年度までは一応新経社がございますので、それによりまして一二・一で一つの国家的な基準があるわけでございます。それを上回る下回るは別といたしましても基準がございますが、五十一年度以降、実はいまの政府計画の中に人件費がどうなるかという計画までは全然ございません。かろうじてGNPがどう伸びるかという試算だけでございます。したがいまして、いま十年間の人件費がどういうふうに上がる、だろうという推定は実は非常に困難でございます。しかし一応の基準として一五十年度までは新経社を使う、五十年度以降は国全体のGNPの伸びを使う、たよりにする。一応政府の正式な御見解をたよりにいたしまして一二・一、一一・一、一〇・一というふうに逓減していったわけでございます。  過去の例を申し上げますと、先ほど申しましたとおり、四十四年度までは定昇を除きまして年度によって非常にばらつきがございますが、大体七、八%、もう少し詳しく申しますと四十年度が六・二五、四十一年度が六・五、四十二年度が七・二、四十三年度が七・八、この辺からずっと上がってまいっております。四十四年度が九・八、それからぐっと上がりまして四十五年度が一二・〇、四十六年度が一一・二、ここがちょっと下がっております。こういうようないままでの実績になっておりまして、過去に一〇%という二けたの台を記録いたしましたのは、昭和三十六年のベースアップ、これは実は国鉄だけ特によその公社から非常におくれておった面がございましたので、昭和三十六年だけは特にプラスがございましたが、このときで一〇%ちょうどで、あとは全部一〇%以下で、四十五年から一二・〇、一一・二というふうに急激に上がってきたのが過去の実績でございまして、この過去のトレンドだけでこれからの、ベースアップを考えることは、特に国際的ないろいろな経済問題がございまして、なかなかむずかしいと思いますので、一応、私どもといたしましては、いまの新経社とそれからGNPの伸びということをたよりにして、先ほど申しましたような数字で計算したわけであるということになっております。
  234. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 総裁にもう一ぺん重ねて伺いますが、定期昇給を含んで四十四年は幾らになっておりますか。私の計算では一三・四くらいになるのではなかろうか、四十五年が一五・一七くらいになるというふうに記憶しておりますけれども、定期昇給を含めますとそのくらいになると思いますが、どうでしょうか。
  235. 磯崎叡

    磯崎説明員 定期昇給の額が年によって少し変わっておりますので、いま先生質問の四十四年度は、定期昇給を入れますと九・八が二三・四になります。三・六%の定期昇給でございます。それから四十五年度は一二・〇が一五・一七でございます。それから四十六年度、昨年度は一一・一七が一四・〇四で、定昇の分だけ上積みになるわけでございます。
  236. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ですから、いま私自身で調べました分も定期昇給を含んでおりますが、四十四年の一三・四あるいは四十五年の一五・一七、四十六年の一四・〇四というようなものを考えましたときに、この新財政再建計画の中で一番大きなウェートを占めるところの人件費、これがはたしてこの程度で済むかどうか、ここに大きな間違い、違算があると、これは根本的に狂ってしまうのではないか。それはGNPがどうのこうのというようなたよりのないことでなくて、私は過去の国鉄実績、そういうものをやはりある程度ここで勘案すべきではないか。しかもその実績とあまりにもこの係数が違い過ぎるように私は思うのですね。こういう違いをこのままでほうっておくと、これはもう新しいところの財政再建計画というものは根本から狂ってしまう、これも何にもならなくなってしまう、絵に書いたもちになってしまう、この点もう一度お考えになったほうがいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  237. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は、この十カ年計画をつくりますにあたりまして一番問題になったのはその点でございます。もちろん収入がどう伸びるかも問題でございますが、経費の中では何と申しましても、非常に計上がむずかしいのがベースアップでございますが、やはり私どもといたしましては、国会のこういう席で御説明する数字でございますので一応の基準がなければいかぬ、かと申しまして、過去の実績はいま申し上げたように経済情勢とからみまして非常にばらつきが多い、単に傾向値だけをとるというような過去の傾向でもございませんので、私どもといたしましては、一応たよりになると思われる新経社とGNPの伸びというものを考えたわけでございまして、いろいろ議論がございましたけれども、やはり過去の実績だけでもいけないし、また、かと申しまして、この前のとき、けさほども質問がございましたが、四十四年からの再建計画は九・〇で組んだわけでございます。その九・〇が先ほど申しましたようにすっかり狂ったわけでございますが、かと申しまして一番高かった四十四、五、六年を基準にすることもこれまたたいへんな大きな問題になりますので、まあ信頼すべきガイドの数字というものを一つの基準にしたわけでございまして、いろいろ論議した結果こういう数字に落ちついたという次第でございます。
  238. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 鉄監局長に伺いますが、いまの私の考え方はどうでしょうか。私は人件費にある程度の過去の実績というものを十分見なければいけない、単に数字ばかりを並べてみてもしようがないと思うのですけれども、この点どうでしょうか。
  239. 山口真弘

    ○山口政府委員 人件費伸びを幾らに見るか、非常にむずかしい問題でございまして、もちろん当該企業の従来の人件費伸びの傾向というものも考えなければいけませんし、あるいは社会の経済力の伸展、経済発展の状況というようなものも考えなければいかぬということで、非常にむずかしいわけでございますが、現在私ども新経済社会発展計画で一応想定いたしておりまする一二・一%というのは、それはそれなりにいろいろな要素をコンバインいたしましてそれで出した数字でございます。それに準拠するのが一番いいのではないかということで一二・一%を使っているわけでございます。
  240. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それは鉄監局長がお考えになるのも国鉄当局がお考えになるのも同じだと思うのですよ。しかし政治的な配慮からいって大臣はどう思いますか。このようなものではたして済むかどうかということです。私は絶対済まぬと思うのですね。大臣は数字にあまりとらわれないで大局から見て——過去の実績というものがこのようにあるわけです。しかも四十四年度は一三・四、四十五年度には一五・一七というようなものがあるのにかかわらず、ここで見ている人件費なるものが一二%台あるいは一一%台あるいは一〇%台、これではたして済むかどうか。責任ある大臣として、要するにこの新財政再建計画に基づくところの国鉄の長期収支の試算というものを見たときに、ここに誤りがあるぞとお気づきになりませんでしょうか。
  241. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 非常に貴重な御意見でございまして、やはり新財政十カ年計画の一番の根本問題でございまして、支出の一番おもを占めるところの人件費伸び、これの積算の根拠が間違っておりますと、これはもう狂うことは当然でございます。今回三年目ですでに改定をお願いいたしましたのもそこが大きな原因であるということは、私ども説明でも申し上げた次第でございまして、まことに遺憾でございますが、事実そういうふうになった次第でございます。  しかしながら、私どもといたしましては、やはり客観的な数字というものを一応の根拠にするということが一番妥当だろう、そうなりますと、新経済社会発展計画伸び率というものを一番とるという以外にはほかに方法がない、それにあわせまして企業努力をやっていくということがたてまえになってきておる次第でございます。  五十年以降におきましてはやはりGNPが御承知のとおり伸び率が鈍化をしてまいる、それに従いましてやはりアップ率も鈍化をしてまいるであろうという計算で立てておる次第でございますので、その点で支出と増収とが適合するように努力をする、それによりまして今度の計画が狂わないように心心努力をしてまいる、そのための適切な——あるいは線増を行ないます場合におきましても、新線をつくります場合におきましても、体質改善をいたします場合におきましても、それらに適合するように極力努力をいたしまして所期の目的を達成したい、こういうように思っておる次第でございますので、御了解願いたいと思う次第でございます。
  242. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 現在の国鉄の組合の関係からいって、この程度のベースアップでは私はなかなかがまんできないだろう、大きな問題になるだろうと思うのです。まあ四十七年度から五十六年度までに掲げられた数字というものは、これはやはり後日このようになったかどうかは歴史が証明することであって、いまどうこう言ってもお互いに平行線ですから、これではどうにもならぬと思います。しかし私は、こういう人件費の立て方ではたして間に合うのかどうか、もういたずらに数字を羅列しただけであって、つじつまを合わせただけで、ずっと先に行って困りはせぬか、そういうところから申し上げるわけです。  まあ四月二十七日、二十八日にはいわゆるゼネストといいますか、とにかくそういう気配もしておりますので、ここのところたいへんな問題になるだろうと思うわけであります。そうしたことを踏まえまして考えてみましたときに、二十七日、二十八日の対策、そこに行くまでのいろいろな労使間の折衝、そういうものを考えて、はたしてこの数字が事実であることを裏書きしてくれるかどうか、これは見ものだと思うのですよ。大臣もせっかく努力されているようでございますし、この辺で私はこの問題をやめますけれども、まずその二十七日、二十八日のストの態勢について大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか。
  243. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 申し上げるまでもなく、公共企業体においてストは禁止されている次第でございます。したがいまして、これらの行為に出てもらうことは絶対に避けなければならぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。ことによその企業と違いまして、国民の直接の足に関係するものでございますので、その点は国民の交通の混乱を避けるためにもどうしてもこのストは回避をしなければならぬということを考えておる次第でございます。いろいろ経済闘争の立場もございましょうが、法を逸脱して、そこらのほうに追い込まないように私どもも極力努力をするつもりでございまして、関係各省ともただいま十分協議しているわけでございますが、さらに一そうくふうをこらしまして、もちろん国鉄総裁以下みなやはりその考えで必死になりまして労使協調の線に沿いましてスト回避に向かってあらゆる努力をしているということを確信をしている次第でございますが、政府といたしましてもそのような方向に向かいましてこれからもますます努力をして国民の混乱を避けるようにやってまいりたい、こういうように思っておる次第でございます。
  244. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣のはいわゆる月並みなお答えなんですよ。私は、もう二十七日、二十八日はたいへんな事態になるんじゃなかろうかと思っていますから心配しているわけですね。特にゴールデンウィークを前にしまして何か一般の方々に与えるところの心配、こういうものを考えてみたときに、ぜひともこれは回避すべきではないか、そのための最善の努力をすべきではないかと私は思っております。それについていまのようなお答えではたして回避できるんだろうか、ほんとうに話し合いができて、そのスト突入という最悪の事態を回避することができるかどうか、非常に心配するわけであります。私鉄のほうの問題もあるでしょうし、大京で現在若干続いておりますところのあのATSのいわゆる順法闘争なるものによってたいへんな足の迷惑をこうむっておる、こういう事実があります。ほんとうに一般の世間の方々はこれに対してたいへんな不満を持っているわけですね。こういうことはもう大臣十分御承知だと思うわけであります。  そこで総裁に伺いますけれども、この二十七日、二十八日の問題について総裁としてどのように対処されるお考えか、一応決意を承っておきたいわけです。
  245. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうでも去る三月十二日に組合の二万円の要求が出まして以来、三回もすでに団体交渉をいたしておりますけれども、いま私のほうは、予算審議の状況その他でなかなか有額回答をお出しするには非常にむずかしい事態にございます。ほかの公社はどうなさいますか存じませんが、私のほうといたしましては目下非常にその点で苦慮いたしておるわけでございまして、昨日も組合に対しまして、とにかくこういう時勢で、こういう状況で、予算審議の最中だし、しかも、ことしは千八百億というものをいただかなければ予算執行もできないという状態である、だから何とか協力して、ひとつこの点は国民からむしろ積極的によくやっているといわれるようにしようじゃないかというふうにいろいろ申し入れをいたしておりますが、なかなか経済闘争ということで結論が出ないままにずるずる今日まで来ておりますけれども、何とか二十七、八日の最大の危機を回遊すべく、しかも、これは全列車をとめるというようなことを申しております。非常に大きな影響でございますので、何とかこれを回避するべく私どもといたしましてもあらゆる努力をいたしたいと思っておりますが、非常にむずかしい事態で苦慮している最中でございます。
  246. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 一応お話はわかります。なお運輸省当局としてもまた国鉄としても最悪の事態にならないような御配慮を、都民の迷惑を考え国民の迷惑を考えて、そういうことにならないようにひとつお骨折りを願いたいと思います。  そこで今度は物件費のほうの問題でありますけれども、この物件費のいわゆる算定の基礎となっているのが輸送量相関で物騰率各年度三%増、これを加算していった、こういうふうになっておりますけれども、三%増と見込んだその根拠はどこにあるかお示しを願います。
  247. 小林正知

    ○小林説明員 大体、物勝率を将来に向かってどう見るかということは非常に計数的に把握することはむずかしい問題でございますが、これは過去数年間にわたりました物件費伸び率というものから大体推定をいたしまして、おおむね三%と、かように考えた次第でございます。
  248. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それじゃひとつ三十六年から四十五年までの実績を示してみてください。
  249. 小林正知

    ○小林説明員 三十六年度からあと物件費伸び率でございますが、国鉄で使っております物件費そのものは、この物件費としてあがっておりますのは、工事として決済されるものあるいは車両等の問題は一応この中に入っておりませんで、いわゆる経費上の問題として毎年損費決算をされるものが入っておりますが、三十六年度が千百八十億程度、翌年度が千二百六十億ということで、伸びといたしましてはその間約八十億くらい伸びておりますが、この中にいわゆる物件費として伸びを考えます際に、いわゆる物騰として考えられますものと、その全部をそうでなしに収入対応で、たとえばコンテナでございますとか、あるいは代売手数料、そういう性格収入に対応するものも入っておりまして、そういったものは収入との相関で見まして、それ以外のもの、いわゆる輸送量伸びるに従いまして伸びてまいります証券帳表のたぐいでございますとか役務費等、そういったものは従来のただいま申し上げましたような数字をずっと分析してまいりますと年間おおむね三%程度になる、かようなことでございますので、さような今後の伸びの想定ということで考えた次第でございます。
  250. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私がお伺いしたいのは、過去の三十六年から四十五年までの伸びのパーセントを示せと、こう言っているのですよ。
  251. 小林正知

    ○小林説明員 ただいまパーセントにいたしまして全年度別のパーセントをいま計算しておりませんので、後刻計算して報告さしていただきたいと思います。
  252. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は少しおかしいと思うのですよ。これは一番大事なことだと思うのです。そういうものははっきりした根拠があっておやりになるのが当然じゃないでしょうかね。小林常務、どういうふうに思いますか。そんな、べらぼうなことですよ。三十六年から四十五年までの要するに実績を示してくれとこっちは言っているのに、ぐじゃぐじゃくだらぬことを言って、何が何だかさっぱりわからぬですよ。そんなことでなくて、こっちが要求しているのは三十六年から四十五年までの比率を示せ、それがないならないで、いま手元にございませんから後ほどちゃんと書類にしてお届けしますと最初から言えばいいじゃないですか。話が早く済むのです。何もよけいなことをつべこべ言っているから、いつになっても話が終わらないのですよ。もう少し誠意を持って答えてもらいたいと思いますよ。いつまでに出してくれますか。
  253. 小林正知

    ○小林説明員 これは実績のある数字でございますので、今晩じゅうにつくりまして明日お手元にお届けしたいと思います。
  254. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 今晩の十二時までに届けてくれますか、ゆうべみたいにまた……。どうですか。
  255. 小林正知

    ○小林説明員 できるだけ早くつくりまして、お届けするようにしたいと思います。
  256. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いずれにしましても、この再建計画の問題につきまして、私もいろいろ疑問点がございます。この前、三日の日にも経企庁長官とこの問題について少し意見を戦わしました。これ、私の解釈が間違っていたら直してもらいたいということで私申し上げたわけでございますが、四十六年度を一〇〇とした場合に、四十七年度は一二四になる、結局五十年度が一五四、五十三年度が一九一になるのだ、五十六年度は未定だけれども同率でいけば二三七になるけれどもどうなんだ、この考え方は間違っているかどうか経企庁長官に聞きましたところ、お説のとおりです、こういうことですよ。結局、現在千円のものが十年後になったら二千三百七十円、こういうことになるわけですね。そうなったときに、他の交通機関の運賃値上げ、他の交通機関の運賃にどのような影響を及ぼすかという点はたいへんだろうと思うのです。要するに私鉄の同一区間、これは御承知と思いますけれども、品川−横浜、ここは国電も通っています。同時に、京浜急行が同じような区間を同じように大体並行して走っているという区間です。この場合も、たとえば通勤一カ月定期を基準にすると、国鉄が二千六百四十円、京浜急行が二千五百九十円。現在でも私鉄のほうが五十円安いわけです。国鉄がこれを値上げをすると三千六百円になる、こういうように説明を聞いております。そういたしますと、現在の私鉄が二千五百九十円ですから、九百六十円値上がりしまして、結局千十円私鉄は安いということになってくる。それから、もう一つ同じようなことですが、新宿−八王子間、これも国鉄の現行が四千二百円、私鉄が三千四百十円ですから、私鉄が七百九十円安い。国鉄が値上げをすると五千四百六十円になります。そうなりますと、私鉄との差が二千五十円、こういうふうに差が出てくるわけですね。こんなことは、一つ二つの例でもう十分おわかりだと思うのですけれども、こうなった場合に、私鉄がそのままでいるかどうか。四十五年十月に私鉄の値上げがありました。大きな反対を押し切ってやったわけであります。しかし、こういうふうな差が出た場合に、私鉄がはたしてそのままでいるだろうか。これに対する値上げの申請というものが当然出てくるのではなかろうか、こういうふうに思いますが、この点について大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  257. 山口真弘

    ○山口政府委員 並行区間におきまして、先生御指摘のように、国鉄運賃と私鉄の運賃の違いが出てきているのは事実でございます。これに対しまして、私鉄が運賃値上げの申請をするかどうかにつきましては、まだそういう動きは全然ございませんが、ただ、従来私鉄の運賃に対しまする考え方は、各事業者の輸送の状況あるいは経営収支の状況というようなものを勘案した上で運賃の問題を検討するということでございますから、ただ単に並行区間の運賃格差があるということだけでは、そういう問題を取り上げることにはならないのではないかと考えております。
  258. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それはもう当然鉄監局長わかっている話なんですよ。しかし、やはりこれだけの差が出てくると、国鉄が高過ぎるのか私鉄が安過ぎるのか、どっちかだ。いろいろの関係ございましょうけれども、やはり、国鉄が高いということはだれもが言っているわけです。こうなってきますと、どうしても私鉄の値上げということがまた話題になってくるのではなかろうか。そうなってくると、国民の生活というものは常にもう危機にさらされているわけです。われわれの生活にしてみても、ほんとうにたいへんです。もう政府主導型の公共料金の値上げ。これに国鉄が上がれば必ずいろいろなものに波及してくることはもう全部の人が知っているわけですよ。この間のATS運動で貨車がとまっただけで野菜が値上がりする、生鮮食料品が値上がりしておるという事実があるのですから、われわれの生活に非常に敏感に響いてくるわけです。そういうことを考えてみたときに、この問題は慎重に考えなければいけないと思うのですね。私鉄の問題もですが、航空料金の四月一日の値上げというこの問題があります。これは一体どういうふうに御対処なさるおつもりか、ひとつ大臣にお伺いしておきたい。
  259. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 航空運賃につきましては、ただいま申請は出てきておる次第でございます。これは燃料税その他の関係で申請が出てきておる次第でございますが、ただいま私のほうで慎重に検討しておりまして、これは運輸審議会にいま諮問をしておるところでございまして、これらの点につきましては、物価に及ぼす影響また利用者の需要の関係その他も十分勘案をいたしまして、その上げ幅であるとかあるいはまた値上げを万一するといたしましてもその時期の問題ということは十分慎重に検討してまいるというつもりでおります。
  260. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 慎重に検討することはけっこうでございます。しかし航空燃料の税金が上がった。これは十分御承知のことです。航空会社にしてみれば、税金が上がったのだからもう値上げしてくれるだろうと思って首を長くして待っておるわけです。ところがなかなか現在、どういうことでございましょうか——いわゆる日航にしましてもあるいは全日空にしましても、これはもう運輸省の最高幹部が横すべりというか、天下りというか、そういう状態でありますよ。しかし現実に航空局のほうでもうんと言わないものだから値上げができない。慎重に審議しておる、こういうふうなことで航空会社はもう首を長くして待っておる。しかしわれわれとしてみれば一銭でも現在のものより高くないほうがけっこうなんです。高くなることはまことに困るわけです。しかしいろいろ観点を考えてみると、この航空運賃の値上げというものは早晩大臣がおやりになるだろうと私たち思っておるわけです。こればかりではなく、営団地下鉄についてもやはりお考えは一つだろうと思うのです。国鉄をまず考えて、国鉄が終わったらばその次に、こういうふうにお考えになっておるのではなかろうかと推察するわけでありますけれども大臣いかがでございましょうか。
  261. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この点につきましては、私からも、経企庁長官からも御答弁を申し上げましたとおり、いわゆる便乗値上げは一切認めぬという方針はあくまでも貫くつもりでございます。御承知のとおり企業別に適正原価主義をただいまとっておるところでございますので、その各事業に応じましてその収支率等を勘案をいたしましてやってまいりたいと思う次第でございます。  ただ、先ほどお話がございました並行路線につきましては、あまり格差がひどいものは、これはある程度やはり何とかの方法でもって是正をする必要があるのじゃないかというふうに私は考えておる次第でございまして、これらの点につきましてはいわゆる斉合性、大都市間の料金の斉合性というような問題ともからみまして早急に検討さしてもらいたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  262. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 総理もこの間、便乗値上げというようなことは直ちに起こるとは思わない、こう言っておりますけれども国鉄運賃が上がれば明らかにあらゆる交通料金に影響があるということは、だれもがこれは承知しているわけです。便乗値上げということは、これは避けなければなりませんけれども、現実にはもう必ず値上げになってくる。いつも痛い目を見るのは国民である、消費名である、こういうことなんです。その点で為政者として十分考えなければいけない問題じゃないかと思うのです。ひとつ便乗値上げだなんということが起こらないように十分監督もしていただかなければなりませんし、また実行していただかなければならぬと思うわけです。国鉄の運賃の値上げについても、われわれ決してこれを承知しているわけじゃない。こういうことで値上げになることは、われわれとしては、ほんとうに避けなければならぬ、絶対値上げは反対だという意向を再々表明しておるわけです。国鉄が上がればあらゆるものに影響することははっきりしておるわけですから、この点はわれわれとしてはもう絶対に許すことのできない問題です。  もう時間がなくなりましたので、先ほど休憩前にやりました問題を少し片づけておかなければならぬのですが、いわゆる新財政再建計画に基づきまして年度別に赤字、黒字、こういうものがずっと単年度で出てきております。これは四十七年度が千六百八十億の赤字です。四十八年度が二千百五十二億、四十九年度が二千七百三十八億、五十年度が千百六十六億、五十一年度が千四百八十七億、五十二年度が三千百九十三億、こういう赤字で、ずば抜けてここが飛び出してくるわけです。一体五十二年度がこのように飛び出してくる、額がふえてくる、この原因はどこにあると思いますか、国鉄総裁
  263. 磯崎叡

    磯崎説明員 五十二年度が特に償却後の赤字がふえておりますが、これは五十三年度に一応運賃を上げさせていただきますことによって一応消えるわけでございますけれども、五十二年度はちょうど合理化人員の人減らしのまっ最中でございまして、まだ十一万人減り切っていない、ちょうど五十二年度で計算いたしますと、まだ三万人くらい残っている勘定になります。したがいまして、もう一、二年すれば少なくとも頭数は大体——先ほど申しましたように、五十四年度までに十一万人減らす予定でございますので、ちょうど五十二年度、五十三年度がそういう意味で一番きつい年になっているということと、それからもう一つは、五十年度に博多まで新幹線が開業いたします。したがいまして、償却費をごらんくださいますと、五十年度が二千七百五十一億、五十一年度が二千八百二十五億、次に五十二年度で急にここで七百億ほどふえまして三千五百八十五億というふうに償却費がふえているわけでございます。これは、博多開業は五十年でございますが、五十二年に開業いたします着工三線の償却費が急にふえてまいるということと、利子が、それまで建設費のほうで払っておりましたのが、今度は損費で払うようになりますので、これは利子の欄をごらんくださいますと、五十一年と五十二年で約八百億ほど利子がふえております。これが五十二年度財政が非常に悪くなる原因でございます。したがって、もう一ぺん申し上げますと、合理化テンポがもうあと一歩というところになるということと、それから新幹線の開業により、いままで工事勘定で支弁していたものがみなこちらにかぶってくる、この二点が大きな原因でございます。
  264. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 五十三年、五十四年は百三十六億、百三億という黒字ですが、五十五年は二百六十八億の赤字。五十六年は値上げをするから、結局これは二千六百七十一億の黒になる。この五十六年の値上げのことでございますけれども、再々いわれている四十七年、五十年、五十三年、——五十六年は値上げをしないといっているけれども、ここで収入伸びを見ますと、明らかに値上げが盛り込まれているというふうに私は解釈する。だからこそ二千六百七十一億のここでは黒字が出てくる、こういうふうに考えますけれども、この点どうでしょうか。
  265. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点は、先ほど休憩前に先生が御指摘になりましたとおり、五十五年度と五十六年度を比較いたしますと、約六千億収入がふえております。これを実はあれから詳細に計算の基礎を検討いたしました結果、運賃は一〇%上げて計算いたしております。すなわち実収は一八・五%ふえておりますが、運賃は一〇%の上げで計算いたしております。しからばその他の分は何かと申しますと、旅客輸送量貨物輸送量の増加、これはちょっとこまかくなって恐縮でございますけれども、いずれこれはもう少し詳しく御説明を数字でいたしたいと思いますが、旅客輸送量でも一本で計算いたしませんで、定期のお客さん、新幹線のお客さん、新幹線以外の普通在来線のお客さんというふうに三つに分けまして、それから貨物のほうも一般車扱い、フレートライナー、その他というふうにこれもやはり三本立てにいたしまして、おのおのの分野におきまして、たとえばまず旅客で申しますと、新幹線のお客さんがふえる、貨物で申しますればコンテナがふえるという計算、すなわち車両計算をいたします。それからその次に賃率計算をいたします。車両と賃率から申しますと、全体の旅客、貨物のふえ方の伸びよりも、結局新幹線の伸びと貨物のフレートライナーの伸びに非常に大きな期待を持って、そこに増収努力をかけておるということでございます。非常にこまかくなりまして、これは別に機会を得ましてもう少し数字でもって御説明いたしたいと存じますけれども、内容はそういうことで、私自分で先ほど精査いたしましたが、運賃は一〇%ということで計算いたしております。あとはそういう形の企業努力ということで御了承願ったらけっこうだと存じます。
  266. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、この試算表によりますと、いま申し上げましたように、四十七年から五十六年までの間で、たとえば五十二年、五十六年というふうに非常にずば抜けて数字が変化する時代もある。しかしおしなべて通算いたしてまいりますと、九千七百七十四億の赤字になるという計算ですね。そうしますと、きょうの委員会の冒頭に私お尋ねしましたように、四十六年度の決算血においては累積赤宗八千億というふうに伺いました。それでこのように四十七年以降単年度でずっと見てまいりまして、十年間が九千七百七十四億の赤であって、前の八千億は依然としてそのまま残っているというふうに考えます。そうすると五十六年の決算血においては、国鉄赤字が一兆七千七百七十四億ですか、こういう数字になるわけですよ。大臣がきょう言われましたように、五十六年度にはもう赤手はなくなるのだ、八千億のいわゆる累積赤字も解消するのだ、先ほどのお話はこういうようなお話だったと思います。明らかな増が出てくるわけです。
  267. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほど私その点は訂正したつもりでございます。五十六年度償却後も黒字になる、こういう話になった次第でございまして、累積赤字は漸次それから減少していくけれども、なくなるということは私の言い間違いでございまして、その点は御訂正を申し上げる次第でございます。
  268. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 五十六年度において、とにかく単年度では確かに二千六百七十一億の黒字ですが、五十六年度国鉄財政として一兆七千七百七十四億という赤字が出るのですよ。十年間再建計画をして一兆七千七戸七十四億というような赤字が出るようなのが、ほんとうの再建計画か。これが再建計画とはどうも私は受け取れない。再建という字を冠するからには、少なくとも十年間にいままでの八千億の赤字を解消し、しかもこの十年間で何とかちびちびながらも八千億の赤字を消していって、そうして五十六年にはどうやらとんとんになった、こういうのならほんとうの再建計画だと思うのです。これは明らかに新再建計画と称しながら、いたずらに赤字を伸ばして、赤字を増大させて、そうして結局は国民に負担をさせる、運賃値上げさせる、そういうことをはっきり示している。五十六年になって、これまでいろいろ先ほども詰めましたけれども、結局歴史が証明するだろう。人件費がこれではたして間に合うかどうか、これも大きな問題がございます。物件費の問題につきましても当然です。そうしていって結局一兆七千億も赤字が五十六年度に出て、それが再建計画だとしたら、これはずいぶんおかしな話だと思うのですけれども、これで一体ほんとうに再建計画といえるのですか、どうなんですか。
  269. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これはやはり単年度償却後の黒字になりませんでは赤字の減少ということもできない次第でございます。また一方、先ほども私申し上げましたとおり、再建計画のほんとうの趣旨というものは国鉄を再処することは国民に良質な輸送サービスを提供するという大目的に向かってする次第でございますので、したがいまして、それがために、再三述べておりますように、あるいは新線建設をやる、新幹線をつくる、あるいはまた線増をやるというようないろいろの施設面に大きな投資をしてまいる次第でございます。先ほども申しましたように約七兆に及ぶ投資をしていく、それがためのいろいろの費用負担その他の問題もございます。それらがフルに動いてまいりまして、そうして単年度黒字になる、それを契機にいたしまして漸次それらの赤字の解消に向かっていく、それによりまして再建計画がそこで一応区切りがついてくる、こういうふうな観点で立てた次第でございます。
  270. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣がいろいろ言われますけれども、私の頭が悪いものですから理解に乏しいのですけれども、単年度でどうのこうのといいますけれども、結局五十三年と五十四年、この表がそのままそのとおり実施されたとして、五十三年百三十六億の黒、五十四年百三億の黒、五十六年二千六百七十一億の黒。黒はたったの三回しかないのですよ。あとは全部赤字なんですよ。そうしてしかもずっと四十七年から五十六年まで十カ年間再建計画をやりました、だけれどもその結論としては九千七百七十四億の赤字になるじゃないですか。どこが再建です。しかもそこへ八千億という前のものが残っているわけですよ。一兆七千億じゃないですか。国鉄は一体どういうことになるのですか。これはどうも解せたいですね。こういう再建計画だとするならば、これはほんとうに国民はなんと言ったらいいのでしょう。これはばかな話だと思うのですよ。少なくとも十カ年間で国費を費やして、そしてほんとうに国民のための国鉄に再建しようというのなら、もう少し何か方法があると思うのですよ。少なくとも国民の負担する分がことしだって千七百八十八億も負担するわけです。一日に四億九千万円も値上げする。それだけ国民は負担しなければならないわけでしょう。政府は一体幾ら出すのですか。政府が出す金のほうが国民が負担する千七百八十八億よりも少ないわけでしょう。しかも政府が出す金、助成する金といったって、国民の血税じゃございませんか。そうなったら踏んだりけったりというのは国民ですよ。切符を売ってもらうときもお願いしますで売ってもらっておる。改札だって、切ってやります、乗せてやりますという態度じゃございませんか。そうした国鉄のいわゆる全く官庁風のそういうものがいつになっても改まらない。そういうことでは、国鉄の再建なんというのは、とてもじゃないがおぼつかないと私は思うのです。しかもこのままの状態でいったら、一体この赤字はだれが引き継ぐのだろうか。われわれの子孫が全部引き継ぐのだろうか。そうしたときに、国鉄というものは、赤字製造のための交通機関だ、運送機関だ、運輸機関だということになるのだと思うのです。こういう点に対して大臣どのようにお考えになりますか。
  271. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 たびたび御指摘をいただきまして、私も御答弁を申し上げている次第でございますが、何と申しましても、国鉄が今日の陸上交通の大動脈といたしまして、その使命を達成するために、また最近の大都市交通あるいはまた人口の移動の点から考えましても、もっともっと線路を増強する、列車をふやす、編成を長くするというようなことの努力をいたしてまいりませんと、国民需要に追いつかないということでございます。それをいたしますためには、もちろん国鉄自体企業努力がもとでございますが、それに伴いまして政府財政支出、そうして国民協力、この三つでもってこの際国鉄の再建をいたしたいということでございます。先生のご指摘になりましたように、政府の出資はこれっぽっちじゃないかということでございますが、これはやはり国民の皆さまの税金の負担でございます。利用者にどのくらい負担をせるか、また国民一般がどのくらい負担をしていただくかということの割合の問題でございまして、それらの良質サービスをほんとうにやれるかどうか、しかも経費を少なくして合理的な経常がやれるかどうかというには、国鉄体質の改善の問題となってくる次第でございます。それらの点につきまして先ほど人件費伸び率のいろいろ詳細な適切な御示唆をいただきましたが、それらの点からいきましてもあまり国民の負担にならぬように合理的な程度でもってお互いがこれをがまんをする、そうしてまたその配置におきましてもやはり適正な人的配置をする、もちろんサービスでございます。私は常々言っている次第でございますが、国鉄だけでなく、運輸省自体が運輸サービスのお役所であるからわれわれが国民に接するとき、利用者に接するときは、やはりサービス精神で接しなくちゃいかぬ、商人というとおかしい次第でございますが、お客さまに対する態度でもって接しなければいかぬということで私はただいま臨んでいるつもりでございます。まして業務をやっている国鉄でございますから、ただいま先生のおっしゃいましたようなほんとうのサービス精神になりまして、そうして実際の運営におきましても合理的運営をして、一般納税者に対しましても、それからまた利用者に対しましてもそれ以上多くの負担をなるべくかけないようにしなければいかぬと思っている次第でございます。  しかしまた、国鉄の一面の使命といたしましては、ただ経済的合理性だけでは割り切れない。公共運送のために、ある場合におきましてはそういったようないろいろの計数を度外視をいたしましても運行させなければならない。また公共負担につきましても法律できめられておりまして、公共食掛を国鉄自身が負担をしなければならない。また先ほどもお話がございました、私どもその改正をいたしまして、業務範囲の拡大をはかりたいと思いますが、それにつきましても制約がございまして、私鉄その他を考えますると、非常に制約がございます。それゆえに今回の政府財政支出は、私どもといたしましてはいままでにない思い切った支出を見せた次第でございますが、それらの点を勘案いたしまして、経営努力におきましては合理性のある経営をするということをまず第一番のモットーとしてやってまいりまして、せっかくの国民の皆さまの御期待にこたえたい。ただいまいろいろ適切な御指示をいただきました。その点も十分踏まえてやってまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  272. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間も過ぎております。申しわけございません。次の方の順番がきておりますので、私はきょうはこれでやめます。しかし当初申し上げましたように、総理大臣にもお伺いしたいことがあります。大蔵大臣にもあるいはまた経企庁長官にも伺いたいことがたくさんございます。それらの問題をぜひこの次の機会に私質問をやりたいと思います。きょうの大臣並びに国鉄総裁の答弁まだまだ私として納得しかねる点がございますが、どうかその質問の時間を十分考慮していただきますように委員長にお願いして、きょうは一応これで終わりまして、次回の質問を留保させていただきます。
  273. 小峯柳多

    小峯委員長 河村勝君。
  274. 河村勝

    ○河村委員 けさほどから、今回の再建十カ年計画の長期収支が問題になっておりますが、私もさっきこれをいただいたばかりであるけれども、確かにこれを見れば非常に無理だということがおわかりのはずで、大臣は、この再建計画には絶対の自信を持って出したのだ、そうおっしゃいましたけれども、いままでの議論の経過をずっと聞いていて、いまでもなおそう思っておられるかどうか、まずそれを伺います。
  275. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この再建計画でもって御協賛をいただきましたならば、ぜひこれによりまして再建をし遂げなければならぬという覚悟で今日いたしておる次第でございまして、これによって再建をするよりほかに方法がないというふうにただいまの時点では強く考えて、私はお願いをしている次第でございます。
  276. 河村勝

    ○河村委員 ほかに方法がないとおっしゃいますけれども、しかし、そんなに大きな国の財政負担を要しないで、ことしでもできるはずのものはあるのですね。この収支を見て、累積の赤字ももちろんであるけれども、五十六年に運賃値上げをして、やっとかっこうをつけたということですね。これでも十年間に四回の運賃値上げですね。一体そういうことが社会常識的にできるとお考えですか。
  277. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは先ほども述べましたとおり、今回第一回の値上げにつきましては、ただいま運賃法の改正でもって御審議を願っておる次第でございますが、二回目からは、これは試算でございます。したがいまして、そのときの情勢、またそれまでの国鉄企業努力、社会情勢の変化等がございまして、そのときの事態にいきまして御審議を願うかどうかということを決定する次第でございまして、私どもの今日の試算といたしましては、やはりそれをやらなければできないということでございますが、具体的な問題となりますと、そのときの情勢に従いましてそういったようなことをお願いするかどうかを決定したい、こういうふうに思っている次第でございます。
  278. 河村勝

    ○河村委員 私が伺っておるのは、試算ではあるけれども、とにかく四回運賃値上げをしなければ単年度赤字すら解消できないということですね。そういう社会常識に反するような一画というものは決して抜本対策ではないということなんです。だから、やろうと思えばまだまだあるはずなんですね。今度の政府財政援助はいままでに比べればかなりの前進だ、それも私は評価をします。政保債についての利子補給、それから政府出資の六百十六億、その他いろいろありますが、しかし従来に比べればかなりのものであるということは認めますけれども、とにかく四十四年度にスタートしたものが二年でくずれて、やり直しですね。これでまた二、三年でこわれてしまったら、政府の信用というものはゼロですね。だからここでもって、こういう長期のものですから、不確定要素は残っても、どうやら納得のいけるものでなければいけないと思うのです。そのためにやるべき方法は私はあると思うのです。今度の場合、政保債についての、孫利子方式ではあるけれども利子補給をやるようになりました。これで一種のたな上げみたいな形ではあるけれども、これが償還期がくるのですね。償還期のきたものは、一体どうするのですか。
  279. 山口真弘

    ○山口政府委員 償還期のきたものにつきましては、当然償還をいたしてまいることになります。
  280. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、今度の計画で政保債について六千七百億ばかりのものを一応利子補給の対象にする。だけれども、政保債の償環期限というものは七年ですね。そうすると、大体ならして三年半ぐらいでもって、これは全部償還といっても、借りかえになるのでしょうね、どうせ国鉄が払えないから。そうすると、事実上、三年半ぐらいでもってこの利子補給の効果はまるきり消えてしまう。そういうことになるのじゃありませんか。いかがですか。
  281. 山口真弘

    ○山口政府委員 借りかえになりましたものにつきましては、利子補給がございません。それまでのものにつきまして、利子補給といいますか、たな上げに対する利子補給をするということでございます。
  282. 河村勝

    ○河村委員 大臣、いま鉄監局長の答弁のように、償環期限のきたものはみんなまた普通の借金になって残る。したがってそれには利子がつくということなんですね。そうすると、七年たてばこの利子補給の効果はゼロ。再建期間の途中でこの効果は完全にゼロになってしまうのですね。どうしてそんなこそくな対策をおやりになったのですか、それを伺いたい。
  283. 山口真弘

    ○山口政府委員 政保債につきましてのたな上げに対応するところの再建債並びにそれに対する利子補給でありますが、これは当然現在の四十六年度末の債務について行なわれるものであります。したがって、四十六年度末の債務に関しましては、償環までについて全部利子補給が行なわれるということでございますから、その効果は当然その再建債の支払いのときまで継続をするわけでございます。ただ先ほど私が申しましたのは、かりに政保債を払った場合に、借りかえをした場合におきましては、その借りかえについてはそのような再建債並びに利子補給の制度が認められてないということでございまして、四十六年度末の政保債につきましては当然再建債並びにこれに対する利子補給が今後とも続くということでございます。
  284. 河村勝

    ○河村委員 ひどく形式的なお話だけれども、なるほど名目上四十七年度までの累積債務についての利子補給は行なわれるかもしれないが、しかし償還期限が来て借りかえてしまったものは、ちょうどそれに相当する額になるわけでしょう。それだけのものが新しく発生するんだ、七年間に。そうでしょう。それについての利子というのはまるまる支払わなければならないわけでしょう。
  285. 山口真弘

    ○山口政府委員 四十六年度末債務につきまして、それが償還するまでにつきましては、それについての利子は全部再建債とし、それに対しては長期でたな上げ措置が講ぜられ、かつ孫利子が全額利子補給になるということでございます。  そこで今度は、その債務を支払いをいたしまして、そして支払ったことによりましてかりに借りかえをやったというような場合につきましては、その借りかえ相当分につきましての再建債並びに利子補給の措置というものはございません。
  286. 河村勝

    ○河村委員 だから結局見せかけ、まあ効果はゼロじゃないけれども、非常にたいへんな政府援助のようだけれども、実質的にはあまりたいしたことないのですね。これは政府管掌債務でも同じかもしれないけれども、これは期間が長いからわりあいと目立たないということであって、そういうわけですね。このくらいのことは政府はできなかったのですか。そうたいした財政負担じゃないのですね。一般会計からの出資は幾らになります。せいぜい二十億かそこらじゃないですか。どのくらいです。
  287. 山口真弘

    ○山口政府委員 いまおっしゃったことちょっとわかりませんでしたが、どの意味でございますか。
  288. 河村勝

    ○河村委員 もし借りかえをした場合もやはり利子のめんどうを見るとしたならばということだな。
  289. 山口真弘

    ○山口政府委員 借りかえをした場合の利子でございますから、もしその場合には、借りかえをした分相当分だけ引き続き再建債の措置をとるということにいたしますと、それは四十六年度末の政府管掌債務に対しまする助成、したがってそれに対する再建債並びに利子補給というものがそのままの姿で続いてまいるという形に相なると思います。
  290. 河村勝

    ○河村委員 ですから結局、財投としてはそれは数百億の金になるかもしれぬけれども、一般会計からの出資からいったら微細なものなんですね。その程度のことで国鉄としては、資産の内容は別として経常収支としてはきわめて楽になる、そういうことでしょう、それだけではもちろんないけれども。その程度のことがなぜできなかったかということを私は非常にふしぎに思うので、その点を伺いたいと思う。
  291. 山口真弘

    ○山口政府委員 先生のおっしゃることは、結局は借りかえたものにつきましても借りかえなかったと同様な姿にして、そしてそれに対して再建債なり孫利子を支給するということになれば、長期の、たとえば政府管掌債務と同じような形での助成になるという御趣旨であろうかと思いますが、その点は全くそのとおりでございます。
  292. 河村勝

    ○河村委員 それから今度の長期債務の中で、一応利子補給の対象になったものが政府管掌債と政保債合計二兆余りですね。そのほかに国鉄の長期債務が一兆円ばかりありますね。これを利子補給の対象にしなかった理由はどういうわけですか。
  293. 山口真弘

    ○山口政府委員 これは理屈の上からいきますれば国鉄の債務でございますから、政府管掌債務であろうと、あるいは政保債であろうと、あるいはその他の特別債に対する債務であろうと、その意味での性質は同じわけでございます。したがってこれに対して再建債並びに利子補給をしてはいけないということはないわけでございますが、ただ政府管掌債務並びに政保債につきましては、これはいわば財政投融資計画の中に組み込まれておりまして、いわば国が直接オーソライズしたような形での債務であるということも考慮いたしまして、これについて再建債並びに利子補給の措置をとった、こういうことでございます。
  294. 河村勝

    ○河村委員 あなたに言ってもほんとうはしようがないのかもしれないけれども、しかし考えなければならぬのは、この一兆円を一緒に利子補給をやったとしても、これもまた政府の負担としてはわずかなものですね。一体、これでもって同じ孫利子補給方式をとったら、財投で幾ら、一般会計の資金手当が幾らくらいです。
  295. 山口真弘

    ○山口政府委員 利率その他によって変わってきますが、かりに一兆といたしまして、その一兆に対しまする特別債等の利子でございまして、七%と仮定すれば、当年度としては七百億の利子支払いということになります。したがいまして七百億の再建債ということになりまして、その七百億に対しまするところの六分五厘の利率ということになりますから、四十五、六億というのが初年度、それから次年度につきましてはそれがさらに倍になっておるという計算でございます。
  296. 河村勝

    ○河村委員 運輸大臣、いずれにしても何十億という程度のオーダーであって、ことしの十一兆何がしかの大予算で公共投資を大幅に広げておるこの状態の中で、この程度のことは何でもないのです。それでもしこれを政府がやる気になれば、これでもまだ抜本対策ではないが、少なくとも十年間に四回も運賃価上げするなんていう、こういう乱暴な案にする必要はない状態になるはずと思う。ことし運賃値上げしないで済むかもしらぬ。済むだろうと私は思う。それで原案よりはもうちょっと楽な形でもってできるはずだと思う。その点総裁どうお考えになります。
  297. 磯崎叡

    磯崎説明員 実はその点は予算編成の過程において非常に問題になったところでございまして、政保債、政管債以外の約一兆の一般債務について一体めんどう見ていただけないかということをずいぶん強く主張いたしました。また利率につきましても、昨年来の当委員会の小委員会におきましては三分五厘というお話でございました。それの問題と、それからもう一つ今度は、これは実現いたしましたが、四十六年度末のもので少なくとも見てくれ、前は四十三年度末でございましたが、それを四十六年度末までは少なくとも広げてほしいという、この三つの点、すなわち利率の問題と、いま先生のおっしゃった範囲の問題と、それから何年度末で抑えるかという三つあるかと思います。その何年度末ということは一応四十六年度、一番最近の時点で了承してもらったわけでありますが、利率は四分五厘というので、五分五厘から一分は下げてもらいましたが、三分五厘には一分の間がある、それから対象範囲も、いま御指摘のように政管債、政保債だけでもって、残りの一兆につきましては従前どおりというようなことになっております、したがって政管債、政保債につきまして、ことに政保債はおっしゃったように七年でございますから、七年たてば全然なくなってしまうというふうなこともございまして、これはいずれその三つの点について、私がこういうことを申すのはただ私の希望としてお聞き取り願いたいのでございますが、いずれこの点についてはまたあらためて政府にいろいろお願いする時期が来なければいけない。ことに、三つとも非常に関連してはおりますけれども、一応違った問題でございます。ただいまのところは保留はしてございますけれども、今後検討をしていただかなければならない問題であるというふうに私自身は考えております。
  298. 河村勝

    ○河村委員 総裁はそう言うほかはないと思うのですけれども大臣、私は無理なことを言っているわけじゃないのですよ。実現不可能なことは言いません。ことしの予算規模あるいは予算性格からいって、この程度のことはほんとうに小指の先ぐらいのものですね。それで抜本対策まではいかなくても——抜本対策というのにはもうちょっと距離があるけけれども、少なくともこんな無理な長期収支をつくらぬでもいいようなことにはできるはずなんですよ。これは試算をしてみなければわかりませんけれどもね。私の見当だけでもかなり違う。そのくらいのことはいまからだって私はほんとはできると思うのですよ。予算もまだきまっておらぬし、予備費はあるし、大臣、せっかくここでもって新しくスタートするのですからね。まずこの程度のことを何とかくふうしておやりになる気はありませんかね。それをひとつ伺います。
  299. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの再三の御指摘でございます。先般もその御指摘はいただいた次第でございますが、実はやはり予算折衝のときにおきましては、総裁から話しましたように、私どもといたしましては利率も三分五厘、またいま御指摘のような点につきましてもいろいろ利子補給その他の点につきましても勘案をいたした次第でございますが、結局におきましてはやはり政府出資を大幅にふやす、積極的な姿勢で臨む。いままで政府出費というものは御承知のとおり八十億くらいのものでございますか、ございませんでしたが、将来は政府出資を漸次ふやしていく、そっちの方面でもって財政援助をしていこうということに決定をした次第でございます。それらの点につきまして、全体といたしまして約二兆六百億円にのぼる財政出資を約束した次第でございますので、諸般の点からいたしまして、やはりそのほうが効果的であるというふうに判断をいたしまして決定した次第でございます。
  300. 河村勝

    ○河村委員 いや、問題が違うので、政府出資政府出資、借金の問題は借金の問題で、こっちがやったからそれで間に合うというものではなしに、全体の計画としてせめてその程度でやらないと——長期収支を、こんな無理なものをつくらなければならないということがこの計画の失敗なんですね。ですから私は、そう簡単にもうこれでよろしいんだなんて言わないで、大臣にもうちょっとやってほしいと思うのです。  それと、ついでに伺っておきたいのですが、例の再建対策要綱、政府と自民党との極秘文書みたいなものがあるらしいけれども、そのくらいの内容は閣議決定をすべきではないかという話がさっき久保委員からありました。少なくともこれから再建計画ができた場合に、この法案が通った場合に、政府はもう一ぺんこの法律に基づいて再建の基本方針とかをおつくりになるのでしょう。それはどうなっているのでしょうか。
  301. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この法案を御通過いただきましたら直ちに基本方針を策定し、閣議決定する予定でございます。
  302. 河村勝

    ○河村委員 せめてその基本方針の中に——前回つぶれた木木方針は投資規模しか書いてありませんね。今度の基本方針には少なくともその政府出資一兆円、これは再処期間中に一兆円足らずですね。そのほかいろんな利子補給についても具体的に織り込んで基本方針をつくられる意思はありませんか。
  303. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほどからも御質問がございましたし、ただいままた重ねての御質問でございます。十分その点を検討したい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  304. 河村勝

    ○河村委員 検討したいというのはよくわからないのですけれども、佐藤内閣では検討したいというのはやらないということに大体なっておるので、ほんとうはいかがですか。
  305. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私が再三申し上げましたとおりでございますが、この案につきましては大蔵大臣も十分了承でございます。その大体の趣旨につきまして予算審議におきましてもこれを決定を見ている次第でございますが、さらにそれを確実ならしめるためになおさらそのほうがよいという先ほどからの御意見でございますから、その趣旨を十分体しまして検討したい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  306. 河村勝

    ○河村委員 ぜひ、せめてそのくらいのことはお願いしたい。  いま私は、当面政府がやる気になれば、別に予算全体に影響を及ぼすようなものではなしに、大きな効果をあげ得るものがあるということを申し上げて大臣に善処を要望したわけですが、それだけでもほんとうは間に合わないんだと思います。  どう考えましてもこれをずっと見ていて気がつくことは、先ほど総裁が七十キロか八千キロの地方交通線ということを問題にされたが、この地方交通線の赤字というものがいまの国鉄赤字のほとんど全部といってよろしいのですね。いま幾らですか、もう一ぺんちょっと伺います。
  307. 磯崎叡

    磯崎説明員 昭和四十六年度の推定でございますが、約二千億ちょっと欠ける程度じゃないかと思います。
  308. 河村勝

    ○河村委員 さっきの総裁の話を伺っておると、  これは何かよほど驚天動地の変わり方でもない限りはとうていこの赤字というものは変わらない、変わらないということは漸増するということになるわけであるけれども、そういうことになるというふうに聞きました。そういうことになると、この二千数百億の赤字というものがずっと継続するということになれば、よほど政府援助をやりましてもやはりぬかにくぎで、これが何とかなる見込みがないとほんとうの国鉄の抜本対策にはならない。どうしてもこの地方交通線というものを採算ベースに乗せるか、あるいはその赤字を非常に少ないものにする、それ以外にほんとうの抜本対策というものはないのじゃないかという気がするが、一体総裁はどうお考えですか。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕
  309. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点は、実は当委員会の去年の小委員会でも私は率直に申し述べましたけれども、いわゆる地方交通線の一万一千キロでもって全体の輸送量のわずか九%しか輸送してない。残りの一万キロで九一%を輸送している。したがって、九%のほうの、小さい輸送をしている一万キロという膨大な線路につきましては、人間もうんと減らしまして、キロ当たり六、七人という、これ以上詰められないというほど人を詰めて地方交通線をやっておるのでございますが、いろいろ地方公通線の赤字解消ということ、あるいは非常にしかられました列車の回数を減らしたり、あるいは駅の無人化等をやりましても、私は地方交通線は大体限界だというふうに思っております。多少のことはできるにいたしましても大体限界に近い合理化まで実はいっておるというふうに思います。したがいまして、どうしてもこの地方交通線を一方国の事業としてやらなければならないとすれば、これはちょうど国が道路を維持されるような感じでもって維持していただく。そのかわり、残りの一万キロのほうは石にしがみついてもとにかく国鉄が自分で企業経営をしていく。こういうふうな、うちの中を感覚的に二つに分けて経営しませんと、非常にごっちゃになってしまって、鉄道全部がだめなんだというふうな空気がみんなにしみ通ります。したがって、昨年の決算報告、いわゆる監査委員会の報告書をごらんのとおり、いわゆる幹線系の一万キロとそれから片っ方の地方交通線の一万キロを一つに分けまして損益計算書をつくりまして、来年度は貸借対照表もつくるつもりでおりますが、一応国鉄の中には非常にこういう二つの違った性格のものがあるということだけはせめて世の中の方にわかっていただきたい。その後この問題をどうするかということについて、これが国鉄問題の本旨であり中核であるということを、まあなかなか御理解がいただけないにしても、徐々に理解していただいて、いずれこの問題の根本解決をこの次の段階にはぜひやっていただかなければならないというふうな気持ちでおります。
  310. 河村勝

    ○河村委員 総裁の話を聞いておると、どうも、自力で自力でと言うが、それ自体の収支では幾らやっても結局だめだというあきらめムードみたいなふうに聞こえるのですけれども、今後日本の国内事情も急速に変わっていきますね。一つは労働力の不足が急激に激しくなる。一方では環境の破壊という問題がありますね。だから、道路輸送にはどうしても限界ができる。同時に、労働力不足ということからいけば、少なくとも長距離の貨物輸送、これは長距離トラックではもう対抗できなという本来の性格があるわけですね。ですから、総合交通体系というものを、ほんとうに政策を生かしていけば、これは十年は無理でも、六十年時点ぐらいを見れば、これを完全に黒まではいかなくても、どうやらその他の幹線系統をひっくるめればやれるぐらいのところまで持っていけるはずではないかというふうに私は考えるのですが、そういう意欲並びに考えはありませんか。
  311. 磯崎叡

    磯崎説明員 実はその点につきまして私ども非常に大きな期待を持っておりますのは、今度の工業再配置の法律でございます。あれをいろいろ拝見いたしますと、これから新しい公害のない、また新しい分野に、しかも新しい土地、新しい工業地帯をつくるのだ、これは一つの、いまおっしゃった地方交通線を非常に積極的に生かす方法になるというふうに考えます。ただ、いまの仰向から見ますと、やはり太平洋ベルト地帯への工業の蝟集、人口の蝟集はとうとうとして変わらない。この状況においてはどうにもならないけれども、いま政府がここで志を変えられまして、もう一ぺん工業の配置を考え直そうということを決心されましたことは、私どもといたしましては、地方交通線の問題に一つの光明を見出したというふうに思っております。ただ、まだ具体的なものになっておりませんけれども、今後あの問題とからんで、どういう地域に工業を再配置されるか、そのときに私どもの地方交通線をどう生かしていくかということがこれからの問題になる点でございまして、私ども非常に大きな期待を持っておるのがいまの工業の再配置の問題であるというふうに申し上げていいと思います。
  312. 河村勝

    ○河村委員 工業再配置法がそんなにうまく動くとは実は私は考えていないのです。ただ、地方交通線そのものもさることながら、地方交通線という仕分けも、いわゆる幹線とそう明確に区分されたものではないはずですよ。だから、これからそういう環境破壊とか労働力不足が進んでいけば、それと政府の誘導施策があれば、一万キロをわざわざ仕分けなくても、幹線系の一万キロの中だって赤字線区が一ぱいあるわけですね、そういう赤字線区が黒字になってくれば、地方交通線ぐらいかかえていけるという問題もある。それから地方交通線そのものもある程度の経営改善はできる。そういうことは、私は、国鉄努力政府の誘導政策があればできるはずだと思う。その点大臣どうお考えですか。
  313. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま非常に力強い、河村先生からの地方線に対するお考え方をいただいた次第でございますが、私も、国土の再開発と申しますか、工場の再配置と申しますか、それをやってまいりませんと、過疎過密の問題、国土の総合開発の実はあがらぬと強く思っている次第でございます。また今日、先ほどお話がございました公害の問題、これらの解消も、やはり訂正なるところの国土の再開発をしなければ実効はあがらぬと私は思っておる次第でございます。そういう意味におきまして、これからの国策といたしましてもそれを強力に進めていかなければならぬ内政の一番大きな問題だと私はかねがね考えておる次第でございます。そうなってまいりますと、私先ほど申しましたとおり、地方線の需要、地方線の使命というものもそこに生き返ってくる次第でございまして、私は、必ずしも悲観的に見ていない次第でございます。
  314. 河村勝

    ○河村委員 悲観的に見ていないだけでになしに、政府白井がそれに取り組まなければいけないんですね。今度の「総合交通体系ついて」という閣議決定がありましたね、あれ自身もお経の文句みたいでたいへんありがたいけれども、中身は非常に少ないけれども、その中でこういうことをいっているわけです。「総合交通体系を形成していく場合には、競争原理を活用しつつ、同時にあらかじめ各交通機関の機能に従って、その分担を想定し、これをガイドポストとして交通需要を調整し、誘導していくことが必要となる。」ということで、その分担の想定の場合にもいろいろな可能な改善改良を前提とする、それから交通施設整備の優先順位を定めて計画的にやるんだというようなことを書いてございます。それによって長距離の貨物輸送についてはフレートライナー、コンテナ船、カーフェリー、専用船、専用列車、そういうものを中心にする、そういうようなことをいっておるわけですね。これは、さっき久保さんも言ったようだったけれども、この総合交通政策の陸上の部分のみそみたいなものですよ。いま西ドイツの場合でも、長距離トラックと鉄道との調整ということを非常に努力をしてやっておりますね。例のレーバーブラン、これが十分に成功しているとまではいかないけれども、少なくとも非常に意欲的に取り組んで方向づけをやりつつある。一体そういう計画を、いま運輸省としてはお持ちでないのかどうか。
  315. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの点、私先ほども久保先生の御質問のときにもお答えをした次第でございますが、またいま河村先生の御質問にもございますが、総合交通体系におきまして、陸海空それぞれの輸送機関の特徴を生かして、しかし競争原理は十分活用しながらその特徴を生かしてその位置づけをしようということが十分うたわれている次第でございまして、もとより運輸行政を担当する私といたしましてはそれを早急に実行しなければならぬというふうに私も考えている次第でございます。  したがいまして、先ほども申しましたとおり、具体的の問題といたしましては、それに今回も、まだまだ考え方によりましては政府出資も足りないじゃないかというようなお考えがございますが、いままでになく思い切った政府出資を踏み切りさしましたのも、いわゆるイコールフッティングから申しまして、いわゆる国鉄の置かれている社会的地位、それに対して、私は、当然のことであろう。そのいろいろの財源、御承知のとおり目的税にはなりませんでしたが、車検税その他がただに道路だけでなく鉄道の敷設その他にも使われるということは、これはやはり一つ進歩であろうと思う次第でございますが、それとともに、やはりいまのトラック輸送につきましては、ただいま相当の、過重貨物に対する制限等を早急に加えていかなくてはいかぬというふうになっている次第でございます。何と申しましても長距離多量輸送というものは、ただにトラックあるいは普通の自動車では足りない次第でございまして、いまの御説のように、長距離多量輸送、また大都市の多量の通勤通学輸送のような点につきましてはどうしてもやはり汽車によらなければならないという面も非常に強うございますので、それらの特徴を十分に生かして、特性を生かす政策を推進してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  316. 河村勝

    ○河村委員 話を一般論にしないでいただきたいんです。いま私は具体的に、長距離トラックと鉄道との調整の問題を伺っておるわけで、これは単に過積みだけの問題でなしに、大体このぐらい労働力が不足して、人件費の占めるウエートが高くなれば、もともと交通機関というのは、程度の差はあるけれども、特に自動車の場合、労働集約産業ですね。ですから、いま九州から東京に荷物を運ぶのに、長距離トラックで運べばやはり三人ぐらい要るわけですれ。三人で三十トンかそこらの荷物を運ぶわけです。鉄道ならとにかく七、八人で千トンでも運べるわけでしょう。ですから、普通に競争してトラックがやれるわけがないですね。やれるとすれば、それはどこか無理をしている証拠だ。それが非常なダンピングであるか、そうでなければそれとちょうど表裏になるわけだけれども、非常に劣悪な労働賃金で雇うか、そうでなければ非常に過酷な勤務時間で運転をさせるか、何かそういうことをやらなければ、どう考えたって競争できるわけがない。だから、そういう面をとらえて、ほんとうに公正競争をやらせる誘導政策をとるべき時期が来ているのですね。だから、そういう一般論ではなしに、総合交通体系というのは、去年から何か非常に前宣伝はたいへんなものだったですね。去年、国鉄の抜本対策はできないかという質問に対しては、常に、総合交通体系についての考え方がまとまらぬからできないので、これさえできれば抜本対策ができるのですという返事だったのですね。ところができてみると、さっぱり総合交通体系が生かされたようなものはないのです。さっき大臣は新幹線がどうだとかなんとかということを言われたけれども、それも書いであるけれども、それは総合交通体系の本質的な問題じゃないですね。そういう具体的な政策は、もうこれができてからずいぶんたつし、国鉄再建の問題も具体的に取り上げられているときでしょう、それぐらいの案がいま出てこないようでは、ほんとうに総合交通政策にまじめに運輸省が取り組んでいるとは思われないのです。大臣は御承知ないとしても、事務当局でそれについての構想すらまだないのですか、どうですか。
  317. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまお尋ねがありましたとおりでございまして、私もその必要性は非常に痛感をしている次第でございます。総合交通体系の各輸送機関の特性を生かしての位置づけ、それの実際の実現、いまお話がございましたトラック輸送につきましても、あるいは不当なダンピングをするとか、あるいは劣悪なる労働条件のもとにそれらの営業をするとかいうことは、最もこれは慎むべきことでございまして、またそれらにつきましては、私どもやはり監督の責任を持っておりますから、十分それらの点は監督、指導をいたしまして、そうしていわゆる公正妥当の競争をさせるべきことは、これは当然のことでございます。そして、それらのことをいたしますとともに、実際問題といたしまして、具体的の問題としてレーバープランが日本におきまして適合しているかどうか、具体的にどの程度の範囲までがトラック輸送として適しているかというようなことにつきましても、せっかく事務当局でもいま検討している次第でございますが、私のほうでもその点を十分督促をいたしまして、早急に具体案を作成させたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  318. 河村勝

    ○河村委員 どうも機敏にいかないのは役所一般かもしらぬけれども、こういう大きな問題をかかえているときでしょう、ですから、もうちょっとスピーディーにやらなければ間に合わないのですね。さっきも、協同一貫輸送で、自動車業者が受託する場合の運送業者だけではなしに、一般の自動車運送業者が一種の理想運送ができるようにするのかしないのか、何かいま検討中であるという話があったが、そういうこと、それから協同一貫輸送をやらせようというなら、そういう法制だってもう取り組んでいていいはずでしょう。さっきの鉄監局長の話では、まださっぱり無策の段階で進んでいないような話だったが、一体どの辺まで来ているのですか。
  319. 山口真弘

    ○山口政府委員 貨物輸送の効率化、近代化というのも、これは総合交通体系の一環の内容であろうかと思います。それで、総合交通体系ということになりますと、結局は、まず一つには設備投資計画ということになるわけでございまして、その設備投資計画につきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、鉄道としての特性が発揮できる分野については鉄道設備投資を大いに促進をするということ、それから設備投資計画として、鉄道の特性が発揮できないところはむしろそれから撤退をするというような基本的な方策に従っておるわけでございます。  それから貨物輸送近代化の問題等につきましても、これはそういった交通機関の特性を生かす手段といたしまして、貨物輸送近代化合理化、能率化を促進するということでございまして、今回の措置におきましてもそういう面の投資をし、またそういう面の促進をしてまいるということでございます。  それからその運営自体の問題につきましても、鉄道自動車の間の相互の協同一貫輸送というような結びつきにおきまして、解決すべき問題につきましてはその方向を進めてまいるということでございまして、具体的には、たとえば協同一貫輸送のためにそういう輸送上の道をつけるとともに、制度上の道をつけてまいるということでございます。  それで、制度上の問題といたしましては、先ほどちょっとフレートライナーについて申し上げました。今回はコンテナ輸送というものにつきましても特別に申し上げまして、そしてこれを二つの柱とするということにし、さらにそれについての通運その他の問題も含めた運賃制度というものを実は考えておるわけでございまして、その点では先生の御趣旨のような線に沿った運営がなされ、また制度的にもそういうふうに考えておるということでございます。  それから協同一貫輸送全体の問題といたしまして、通運事業法等の法制自体が現在の運営にマッチしないのではないかというような御指摘でございます。これにつきましては、実は私どもの直接の所管でございませんので、はっきりと答弁するのは差し控えたいと思いますが、現段階におきましては、いまの制度の運用でそういう不手ぎわというようなものはないようなふうにやっておるつもりでございますが、今後ともその点は検討してまいりたいと思います。
  320. 河村勝

    ○河村委員 これは役所のほうでやるばかりでなしに、国鉄としてもそういう体制がなければいけないわけですが、今度の投資計画の中で、在来線に対する投資がさっきのお話だと四兆六千億から五兆円ぐらいだというお話でありましたが、その中で貨物輸送近代化、増強、そういうようなもののために投資する金融はどのくらいですか。
  321. 磯崎叡

    磯崎説明員 電化、複線化等の共通のものを一応除きまして、貸物プロパーでいま予定いたしておりますのは約一兆六千億ぐらいというふうに考えていますが、もうちょっと減らすかもしれませんが、大体一兆六千億前後というふうに考えております。
  322. 河村勝

    ○河村委員 その一兆六千億という規模はかなりのものだと思います。この際やはり在来線の赤字をなくすのには貨物輸送以外にはないわけです。ですから、この際、政府の政策と国鉄協力で、このいわゆる地方交通線と称せられるものを含めた在来線をこれからの日本の新しい環境の中で解決する方法は、私は必ずあると思うのですね。暫定的な補助、そういうものがあれば一番望ましいわけだが、それにしても永久にそういった幹線あるいは準幹線、亜幹線というものを国鉄が補助でおんぶするというわけにはいかないのだから、それぐらいの体制をつくるようにぜひやってほしい、それを要望しておきます。   〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕  次に、いわゆる赤字ローカル線のことについて伺います。  さっき赤字ローカル線が三千四百キロということでありましたが、いままで私どもが聞いておったのは大体八十三線区二千六百キロというふうに聞いておったのですが、そうすると大体この二千六百キロに対してあと何かいろいろなものが八百キロプラスされたというふうに考えてよろしいのですか。
  323. 山口真弘

    ○山口政府委員 従来八十三線区二千六百キロといっておりましたのは、国鉄諮問委員会の答申によりまして、これが自動車に転換すべき路線として具体的に線名を掲げたものが八十三線区二千六百キロでございます。それで先ほど話が出ました三千四百キロの地方閑散線でございますが、これにつきましては必ずしも二千六百キロの八十三線区と一致するものではございません。これは先ほど申しましたように、鉄道自動車の双方のコストの比較において国民経済的に見てどちらが有利であるかというコストの計算をし、それに立脚をする。さらに当該路線につきましての代替的な道路交通機関というようなものが存在するかどうかというものを考え、さらにその地域におけるところの国土開発的な性格計画が現在あり、さらにそれによって輸送量が増加するというような見通しがあるかどうかというようなこと、あるいはその地域の駅の状況というような問題をいろいろ勘案いたしました上で、三千四百キロ程度というものを地方閑散線と一応考えて、これを撤去の方向に向かっていくという趣旨でございまして、必ずしも二千六百とは一致しているものではございません。
  324. 河村勝

    ○河村委員 それは二千六百キロとか三千四百キロとキロ数が違うのですから、完全にマッチしないのはわかり切ったことなんで、その二千六百キロの中でも今度の場合に、いわゆる閑散線区認定の対象にならないものもある、そういうことなんですか。
  325. 山口真弘

    ○山口政府委員 さようでございます。
  326. 河村勝

    ○河村委員 ところでこの赤字線の認定ですが、これは運輸大臣がおやりになるわけですね。この場合には地方自治体との協議は要しない、そう考えてよろしいですか。
  327. 山口真弘

    ○山口政府委員 この認定自体は道路交通に転換することが適当であるということの認定であるわけでございまして、したがいましてこれについては地方公共団体との協議をもってやるということではございません。運輸大臣が一定の基準に従いまして、そしてこれによって認定をしてまいるということに相なるわけでございます。
  328. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、この認定をして、それから撤去計画をつくるためには、これは地方自治体の承認か要ると何か自民党の総務会で——何とか大臣が言っておられましたね。自民党総務会の決定の効力というのは一体どういうものですか。
  329. 山口真弘

    ○山口政府委員 先ほど大臣が申しましたのは、現在提案しておりまするこの法律案国会提出される前の段階におきまして、与党たる自民党の中でいろいろ御議論になった際に、撤去については地方公共団体の同意を得るということの御決定があったという趣旨でございます。したがいまして、これは政府の、何と申しますか、行為自体を直接には拘束するものではないわけでございますが、ただ議院内閣制のたてまえでございますから、そこいらも十分に配慮しながら検討してまいるということに相なろうかと思います。
  330. 河村勝

    ○河村委員 どうもよくわからなかったが、地元の地方公共団体の赤字補てんは赤字額の三分の一ですね、一体これはどういうことになると補助が出るのですか。
  331. 山口真弘

    ○山口政府委員 地方交通線として大臣が認定をいたしまして、その認定をいたしました線につきまして地元の公共団体がこれを存置をしてもらいたいということの意思がありました場合につきましては、これを存置をすることにいたしますが、その場合には地元の公共団体からも赤字額の三分の一を補助する。川もその一・五倍を補助するということで処理をしてまいるという趣旨でございます。
  332. 河村勝

    ○河村委員 存続を希望するということになると、そうすると存続する限りはこの補助が出る、そういうことですか。
  333. 山口真弘

    ○山口政府委員 地方閑散線の考え方は、先ほど申しましたように、道路交通へ転換することが適切と認める線区でございますから、五年間に地元の同意を得つつこれを撤去をしてまいるわけでございますが、その間におきまして地方公共団体が存続をしてもらいたいという場合におきましては、助成を受け、また国からも若干の助成をいたしまして、その間存続をするという趣旨でございます。
  334. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、話がこんがらがってよくわからないのだが、撤去をするという前提でなければ金は出さない、そういうことですか。すると、地方公共団体が存続を希望するというのとはまるきり矛盾するのだが、一体それはどういうことに相なるのか。それじゃちょっとわからないが、親切に説明してください。
  335. 山口真弘

    ○山口政府委員 地方交通線の認定は一応国鉄から申し出がございまして、それにつきまして地方交通線の認定をいたします。そして認定をいたしますと、それにつきまして地元の公共団体が存続をしてもらいたいという意志がございました場合には、地方公共団体からも補助をし、国からも若干の助成をいたしまして、そうしてこれを存続をするということでございます。ただその線区というのは一応五カ年間に同意を得て廃止をするということでございますから、その間に廃止のための協議その他相談をいたしまして、そうして了解を待てこれを廃止をしてまいる。その間におきましては助成をして維持をする、こういう趣旨でございます。
  336. 河村勝

    ○河村委員 そうするとあれですか、同意を得られなかったならば、五年間の補助をもらって、そしてあとは自前で赤字をかかえていかなければならない、そういうことですか。(「五年間で取っちゃうんだ」と呼ぶ者あり)同意を得なければ取れないんだろう。存続を希望する。それは一体どういうことなのか、もうちょっと明確に説明してください。
  337. 山口真弘

    ○山口政府委員 五年間で廃止するということをめどといたしまして地元に対しまして同意を求めるというわけでございます。
  338. 河村勝

    ○河村委員 同意をしなかったらどうするのだということを聞いているんだ。(「全力をあげて同意をとる」と呼ぶ者あり)それでもとれなかったらどうするか。やじに返答をするわけにいかないが、一体結局大臣どうするのです。
  339. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま鉄監局長からお答えしたとおりでございますが、これはやはり何といっても民主主義政治でございますから、極力その間におきまして同意を得られるように、国民経済の観点からあらゆる点におきましていろいろ交渉いたしまして、五年間におきまして、閑散線と認定いたしましたものにつきましては御同意を得るというふうに努力をする次第でございますが、どうしても御同意を得られたいというようなものでございましたならば、これはやむを得ぬかと思う次第でございます。
  340. 河村勝

    ○河村委員 だから、五年たって同意を得られなければ補助を継続するというのなら話はわかるけれども、補助はやめてしまってあとはかってにやれ、そういうばかげた計画というものが世の中に存在してよろしいと大臣はお考えですか。
  341. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 大体の私のほうの計画といたしましては、閑散線に認定をいたしまして、認定をする場合におきましても地方団体その他の地方事情を十分勘案をしてやります。しかしながら、どうしても地方におきましてしばらくでも存続をするまたいますぐやめてもらっては困るというものにつきましては、五年間の補助を継続するということでございまして、それまでにおきましてはあらゆる手段を講じまして同意を得るように納得さす、こういうつもりでございます。
  342. 河村勝

    ○河村委員 結局わけがわからないのですね。一体このままでよろしいと思って、運輸大臣はこれでやっていかれるつもりですか。運輸大臣はいつまでも運輸大臣でないかもしらぬが、あとをやる人間はたまらないですね。存続を希望すればあと補助を続けなければならないというところで初めて判断が下せるわけでしょう。五年だけめんどうを見たらあとはもうそのままだと言えば、同意をするわけがないでしょう。その点は一体それでやっていけるつもりだとお考えなんですか。
  343. 山口真弘

    ○山口政府委員 五年間地方閑散線として認定いたしましたものにつきましては、五年をめどに実施をしたいと考えておりまして、その五年間におきまして極力同意を得るということでございまして、先ほど大臣が申しましたたように、閑散線の実情等を考えれば、同意を得られるものと考えておるわけでございますが、万一同意が得られないという場合にはどうするかということにつきましては、その段階でまた考えなければならぬものだと思います。
  344. 河村勝

    ○河村委員 そんなばかげたことは世の中にありません。とにかく一応この問題はたな上げにしておいて先に行きます。  新しくつくるほうの話ですけれども、とにかく片一方でこうした赤字整理を進めながら——進めているんだか進めていないんだかよくわからないような計画ではあるが、とにかく整理をしようとしておる。片一方で大体似たような性格のものあるいはもうちょっと程度の悪いものをつくりつつあるわけですね。ことしA・B線建設のために出す国費は幾らですか。
  345. 山口真弘

    ○山口政府委員 四十七年度A・B線の建設費は二百億でございます。
  346. 河村勝

    ○河村委員 地方公共団体の同意というけれども片一方で同じようなものをこっちでつくっている、そうしておいてこっちにあるものをやめる、そんな矛盾した——同じものではないものもあるが、同じものもあるんだ。もっと程度の悪いものもある。そういう矛盾した政策を一体いつまでとられるつもりですか。
  347. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 率直に申しまして、いま河村先生がおっしゃったような矛盾の点につきまして、私、就任以来いろいろ御質問を受けた次第でございます。私どもの考えておりますのは、再三申し上げましたとおり、鉄道としての特性をすでに失って、そして代替輸送も十分にできているというようなものにつきましては、国民経済の点からいたしまして、閑散線といたしまして、そしてこれを将来においては撤去するということが妥当ではないかと思っている次第でございます。  また新線につきましては、先ほど来御論議もございましたが、いわゆる工場再配置その他によりまして、地方におきましても将来開発することが可能である、しかもその必要性が十分あり、輸送需要もついてくるというようなもの、また見直しまして、短絡することによりまして鉄道網としての形成ができ、そして鉄道による輸送需要が増加できるというようなものに重点を置きまして、皆さまの御批判を受けないような新線の建設の着手をさせたい、こういうように思っておる次第でございます。
  348. 河村勝

    ○河村委員 少なくとも現在の工事線以外に新しくA・B線をこれからつくるなんということはおやりにならないのでしょうね。
  349. 山口真弘

    ○山口政府委員 現在A・B線の建設につきましては、まず鉄道敷設法の別表に記載をいたしまして、そうしてその記載されたものにつきまして、これを予定線、工事線という形でやるわけでございますが、いずれにいたしましても鉄道建設審議会等の議を経てさらにこれをやっていくわけでございます。現在相当の線が工事中でございます。新たにつけ加えるということになりますと、ますます投資効率が悪くなるわけでございますから、できるだけ重点的にしぼって建設をしていかなければならぬものと考えております。
  350. 河村勝

    ○河村委員 事務当局がそういうあいまいな答弁をしてはいけないので、大臣、事務当局のような政治的な答弁でなしにもう少しはっきりした答弁をしてください。
  351. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほどから私再三申しておりますとおり、いまの経済的に見まして、もう鉄道としての輸送の特性を失っておるというものにつきましては、これは再検討いたします。しかし、地方開発その他につきまして、どうしても将来の開発計画とマッチいたしまして必要なものにつきましては、やはり新線としてこれを建設するつもりでございます。
  352. 河村勝

    ○河村委員 どうもそれは、そういうりっぱなものがあればいいですよ。だけれども、いま私は、新線の中でもA・B線、いわゆる赤字ローカル線はもうつくらないでしょうねという限定した質問をしているのですよ。ですから、将来たいへん有望だとかなんとかいうのはそういうものにはないのですよ。何か代替輸送のあるものはやめてもいいので、新しいものは新しいものだとおっしゃるけれども、新しいものこそ代替でなしに初めからそこにふさわしいものをつくればいいのですよ。それをわざわざつくるから問題が起きるので、もういいかげんに踏ん切りをつけなければ困るんですね。今度の総合交通体系の中でこういうことを言っておるのですね。「運輸大臣が基本計画を指示済のものについても、工事または計画の実施につき早急に再検討するものとする。」こう書いてある。「基本計画を指示済のもの」というのはどういうものですか。
  353. 山口真弘

    ○山口政府委員 鉄道建設公団の行ないます建設工事につきましては、鉄道建設公団が基本計画をつくりまして、それを運輸大臣の了承を受けるものでありまして、結局一口に申しますと、現在建設についての工事を行なっておる線ということでございまして、四十四線ございます。
  354. 河村勝

    ○河村委員 現在工事をやっておるものについても早急に再検討する、こう書いてあるのですね。これは閣議決定です。この総合交通体系ができたのは昨年十二月ですよ。「早急に再検討する」と書いてありますが、もうすでに早急の時期は過ぎているが、どのように検討されていますか。
  355. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この点につきましては、私も先般委員会におきましてそのことを申し述べた次第でございます。せっかく新線の認可をいたしましても、その後の経済事情によりまして、あるいは廃鉱その他の事情によりまして貨物輸送需要が全然なくなった、また人もいなくなったというようなものにつきましては再検討するということを、私は閣議決定前にもはっきりと御答弁をした次第でございまして、それらの点を勘案いたしまして、今回の新線計画ともにらみ合わせまして検討を進めさせている次第でございます。
  356. 河村勝

    ○河村委員 再検討するとおっしゃったのはわかるのですけれども、どのような検討をされたかということを伺っているのです。
  357. 山口真弘

    ○山口政府委員 基本計画の内容は結局は予算の実施ということによって出てくるわけでございまして、したがいまして四十七年度の工事の実施計画というものを定めるにあたりまして、その内容を織り込んで決定をしなければならぬ、こういうことで検討いたしております。
  358. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、再検討の結果は全部やるべしということになったわけですか。結局、工事をやるのをやめたのは一つもないわけでしょう。
  359. 山口真弘

    ○山口政府委員 四十七年度予算に関連いたしまして、四十七年度予算の実行計画を作成する段階で、再検討の結果というものをあらわしてまいるということに相なるわけでございます。
  360. 河村勝

    ○河村委員 それはおかしいですよ。二百億をきめたときにはもう何線やるかきまっているのでしょう。それは実施計画でも何でもよろしい。二百億は総ワクであって、まだ一線一線がきまったものじゃないというならば、一体いま検討して、これはもう工事をやめるときめつつあるもの、考えておるものはありますか。
  361. 山口真弘

    ○山口政府委員 二百億の内容の具体的な計画につきましては、現在まだ決定をいたしておりません。現在審査中でございまして、そしてその内容によりまして工事を打ち切るものは打ち切るし、継続すべきものは継続するということにいたすわけでございます。
  362. 河村勝

    ○河村委員 早急に検討すると言っておいていまや四月半ばにもなって、聞けばまだこれから検討するというのでは、これはやりっこありませんね。だからこの赤字ローカル線の問題については、全く政府のやっていることは矛盾しているんですよ。大体が片方でもってやめろといって片方ではつくれ、そんなばかげたことはないですね。  これは幾ら言っても押し問答のようですからこの問題は一応その程度にして、増収の問題についてひとつ聞きます。  今度石油パイプラインの問題で、石油パイプライン法の附則で日鉄法を改正していますが、それ以外に事業範囲を拡大するという計画が何もないようですが、少なくとも法律的にこれを拡大する計画というのは、パイプライン以外には何もないのですか。
  363. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうの関連事業でございますけれども、昨年の一月政令を止していただきまして、現行法でもってできる範囲を相当広げていただきました。その範囲内のことでまだやってない点が相当ございますので、さしあたりそれをやります。たとえば名古屋の駅のホテルとかそういったものを相当やりまして、そしてできれば私のほうの意向といたしましては、先ほども申しました、たとえば駅までゼロ分の住宅だとか、そういった駅に近い設備でもってお客さんに便利になるようなものを、いまの政令の範囲外のものを次の国会くらいではひとつ御承認願って、範囲を拡大していただきたいと思っておりますけれども、さしあたりなかなか民業圧迫で現在の政令の範囲内のことさえ十分できておりませんので、やっとそこまでこぎつけましたので、ことし一年は現行政令をできるだけ活用させていただきまして、それが見通しがつき次第その次の段階に移ってまいりたいというふうに思っております。
  364. 河村勝

    ○河村委員 この前の本会議質問のときに大臣にもお聞きしたのですけれども大臣、たいへん積極的な返事であったけれども、もう少し具体的に伺いたいと思います。たとえば大都市の近郊で具体的に例をあげれば、東京近辺でいえば川越線であるとか八高線、それから相模線、大阪付近でいえば片町線、ああいったような都市近郊であって単線区間で細々と経営をして大赤字出しておる線区があるわけです。あれは私鉄だったらすぐ飛びついて複線化して大々的にやりますね。それができないというのは、結局土地経営ができない。ですから開発利益を吸収できないということです。だから何か駅からゼロ分のところの住宅とかいう話が出ましたが、そうでなしに、何でもかんでも国鉄がやれるというのは大問題でしょうけれども、そうした大都市近郊でこれを開発すれば非常によくなるようなところは一定区域を限って土地開発事業くらい認めることを考えたら、これはおそらく赤字線転じて非常にすばらしい黒字線になる可能性もあるし、同時に住宅開発にも非常に役に立つと思うのです。相模線というのは私の選挙区だから選挙連動で言うわけではありませんが、とにかく沿線にはまだ何もないのです。しかも相当大きな規模の中都市、相模原市なんというのは三十数万、それに藤沢、八王子というところを結んで非常にロケーションもよろしい。それで営業係数は幾らか忘れましたが、たいへんな営業係数です。こういうむだなことをほっておく手はない。この際そういうことを認めるような法案を提出される意思はありませんか。
  365. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私は先般も御質問に答えて申し上げましたとおり、付帯事業の拡充ということは原則として大賛成でございます。私も実は事務当局になぜ今回やらぬかとまで申した次第でございますが、いろいろ法案もかけておりますし、法案の消化がなかなかむずかしいというときでございますので、今回は見送った次第でございますが、しかし私は近い機会にそれらの改正をいたしたいと思っている次第でございます。その際に付帯事業につきましていろいろまた御意見も承りたい、こう思っている次第でございますが、少なくとも私ただいま考えておりますのは、いまそういったような地帯、少なくともいろいろの駅地帯におきましては、住宅、アパートと申しますか、公団住宅がやっているようなものは鉄道でもできるというふうなことは、少なくとも職住直結と申しますか、そういうような意味から申しましても、あらゆる点からいたしましても、国鉄経営につきましても非常なプラスになると私は思っている次第でございまして、まずそういう方面もぜひひとつ御協賛をいただきまして、法の改正に当たっていきたい。先般も住宅公団の総裁が参りましたときもそれらの構想を申しまして、国鉄とも十分相談をするようにということも言っている次第でございます。ただいまのこの沿線地帯に限ってというような点も私は十分検討してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  366. 河村勝

    ○河村委員 あまり関連事業もこまかいことを言うとたいしたことはできなくて、収入増加といっても微細なものになってしまうと思うのです。この際、このくらいの政府の援助も必ずしも十分じゃなく、抜本対策というにはほど遠い状態なんですから、思い切ってこの際、現有の——いま私は、新しい複線化か何かやってやれるところは、自分の土地でなくとも一定の地域を限って土地開発をやらせるくらいのことをやるべきだし、そうでないところでも現有の土地を利用する限りにおいては何でもよろしいというくらいの包括的な兼業部分をつくらないことには、付帯事業といったってたいしたことにならないのですね。ですから、それについて法案を出したらどうか。何か佐藤総理の言によれば国会もだいぶ延長されるようであるから、いまからでも十分間に合うので、それをひとつやるべきだと考えますが、大臣いかがですか。
  367. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 非常に適切な御意見として承っておきたいと思います。
  368. 河村勝

    ○河村委員 だいぶ皆さんもくたびれてきたようですからいいかげんでやめますが、国鉄合理化近代化の問題で少し伺いたいと思います。  いまATS闘争というので非常にマスコミをにぎわしております。私らには、おそらく国民全般にも、およそこのくらいわけのわからない騒動というのはなかろうと思うのですね。動力車労組を中心の闘争だと聞いておりますが、通勤輸送にたいへんな影響を及ぼしただけではなしに、貨物輸送にも相当な影響を及ぼして、国民生活上の問題にもなりかけておる。しかも、おとといですか、何かトップ交渉で妥結をして、何かやめるんだという指令がおりたという話だったが、さっぱりそれが変わらない。一体いかなる目的を持って行なわれ、どのような被害が出て、しかも一体結末はどういうふうになったのか、国民の皆さまにはかいもくわからない。一体どういうふうになっているのか、それを伺いたい。
  369. 山田明吉

    ○山田説明員 いまお話がございました動労の闘争に始まります異常事態で国民の皆さまにたいへんな御迷惑をかけておりますことを、私どもまことに申しわけなく存じておりますし、いままで全力をあげて解決に努力をしてまいりましたが、残念ながらまだ動労との関係におきましても完全ないわゆる妥結ということで正常な状態に戻っておらないことを、まことに残念に思うわけでございます。  動労との異常な状態が特に目立ちましたのは、三月十五日に新幹線の岡山開業を契機として、幹線の時刻改正、それと関連する、国的な時刻改正を行ないまして、その時改正が、組合側の主張をそのまま申しますと改悪である、国民に非常に不便をかける改悪の時刻改正であるから、これを闘争するんだというような、私どもからいいますとまことに理不尽な闘争目標で闘争が開始されたというふうに見ておるわけでございますが、その問題につきまして、もちろん正式な労働条件の問題ではございませんが、しかしながら言い分はもちろん聞いてやろうという態度で話し合いの場は持っておったわけでございますが、時日が経過いたしまして、その間に三月二十八日、これもまことに申しわけのない総武線で追突事故を起こしたわけでございます。これは時刻改正とは全然関係のない、私どもといたしましてもまことに残念な、かつ申しわけのない事故でございますが、その事故が起きましたときに、動労はそれをすぐ取り上げまして、過密ダイヤのせいである、あるいはそれがたまたまATSという車両の運転の保安に関する機器の取り扱いに関しまして、それが原因と考えられる事故でございましたが、この事故が起こりましたのをまたすぐとらまえまして、いわゆるATS闘争という闘争目標を追加してまいりました。その後、従来から職場に蔓延しておりました暴力事犯に関して職場の規律の確立をはかる当局の措置に対しまして、これのまた反対闘争という闘争目標を加えるというようにいわゆるエスカレートしてまいりました。それでいまもお話が出ましたように、君たちの闘争自体は違法であるけれども、事態の集約のために、一体何を目標に闘争をやっておるのかというようなところから話し合いを始めたという非常に異例な状態でございました。  それで、その間いろいろやりとりがございましたが、一昨日、いわゆるトップ交渉ということで、要するに動労という組合と当局側との間の歴年の不信感がやはり問題の発端だと思うから、これは両方誠意を持って解決するようにこれからやろうじゃないかということは完全に合意に達したわけでございます。それと同時に、ATSの取り扱いに端を発します運転保安の問題につきましては、これは時間がございませんので、はしょりますけれども、労働条件に関することでありますならば、法規上当然団体交渉の対象になるわけでございますが、当局側のいわゆる管理権の行使に属する問題あるいはそれの解釈の問題につきましては正式な団体交渉の話題にはならないはずでありますけれども、私どもといたしましては、この場になって、これは管理権だからおまえたちの言うことを聞かぬとか、これは管理上の問題であるから聞く耳を持たないという、そういうことではなくて、管理権の問題あるいは規定の解釈の問題についても疑義があるなら説明しましょう、またそれの取り扱いその他についての希望なり意見があるならこれも団体交渉ということでなく、十分意見は聞こうということで、これも合意に達しました。  その後、そのATSをめぐる運転保安の問題につきましては、現に本日もこの時間にまだやっているはずでございますが、精力的に話し合いを持っているわけでございます。それでそのトップ会談と称するものを実は六回いたしたわけでございますが、そのつど、違法な闘争指令を撤回して、国民にかけている御迷惑を一刻も早く解消するように強く申し入れましたが、組合側はまだその指令を解いたという事実は残念ながら私どもいまに至るまで確認していないわけでございます。  そのうちに、本日からこれはベースアップを主目的とするいわゆる春闘が始まりまして、動労も当然ベースアップについての要求を出しておりますので、今度はその要求をまた掲げまして、本日からは公労協あるいは次いで交通共闘あるいは民間と一緒になったゼネストというような計画をしているように新聞では報じております。私どもには、別に正式に申し出るというようなこともございません。  もちろん、そういう一連の闘争態度につきましては、私どもは、いかなる点から考えてもこれは違法である、法律上禁ぜられている行為であるということを再三警告もいたしますし、昨日も総裁名で、当面そういう計画をしていると伝えられる動労、国労に対しまして、違法な行為をやめるように、もし違法な行為をやるようであったら、従来のように厳重に法に照らしてこちらは措置をするという警告を出して、職員の良識にまって違法状態が発生しないように期待をし、最大限の努力を傾けているのが現状でございます。
  370. 河村勝

    ○河村委員 きょうは私は国鉄の再建問題について伺っておるので、したがって、一般的な争議そのものを聞いているわけじゃありませんが、しかし特に伺いたいのは、とにかくATSの扱い方という労使問題以前の問題についてこれだけの紛争が起きる。しかも一方で職場暴力、これはおそらく連合赤軍に類似した一部の連中ではないかと思われるが、その連中がほとんど想像できないような暴力行為をやって、そのために現場管理者、公安官、他の労組の組合員、そういう者が集団暴力を加えられてけがをしているという事実を、私も知っております。一体この一カ月くらいの間にそういう暴力事件がどのくらい起きて、一体どのくらいの負傷者が発生しているのか、それはおわかりですか。
  371. 山田明吉

    ○山田説明員 昨年約八十件の事件が私どもの手元に正式に届いておりまして、暴力行為あるいはそれに類する行為、その中には暴行、脅迫、物理的に暴力を行使したというようなものもございますし、あるいは脅迫的な行動、言辞を弄していわゆる威迫感を生ぜさせたというようなものもございますし、そういう点になりますと、これは個人的な主観といいますか受け方の問題でございますので、その取り力によっては、被害を受けたという数ももっと多く見られるような場合もあろうかと思いますが、そのうち、これはほとんど刑事事件となっておりまして、したがいまして、私どもといたしましては労働問題以前のものというか、労働問題と全然別個の問題であるというふうにも考えられるわけでございます。  それで、警察で捜査中のものが約三十三件ございまして、現に警察で取り調べを終了いたしまして起訴をいたしたものが十四件、それから刑事事件として取り上げ、またその暴力行為があったことを確認いたしましたけれども、刑事事件としては起訴猶予になっているものが十五件、そういうような状況でございます。
  372. 河村勝

    ○河村委員 一連の暴力事件を私なりに調べたところでは、いまあなたが言われたように、それは労働問題以前の問題であるという以上に、もう狂暴な暴力集団がおって、それがあらゆる職場秩序、職場規律を無視して乱暴ろうぜきをきわめているという印象しかないのです。一体この現状をどういうふうに認識をされて、これからそれにどう対処されようとするのか。これができなければ——これから国鉄再建をやっていこうとするからには、国の援助を求め、国民の負担を求め、相当大きな負担を仰ぐわけですね。国鉄自体がほんとうに本気になって合理化をやらなければいかぬ時期にきているのに、そういう職場秩序が完全に乱れた状態では、そうしたことができるわけはないのです。ですから、この重大な時期に、実際個人個人もたいへん気の毒であるし、同時に、国鉄全体がこうした状況が続く限り、絶対国鉄の再建なんかできっこないのですね。これに一体どう対処されるつもりか、それを伺いたい。
  373. 山田明吉

    ○山田説明員 御指摘のように、最近特に二、三の職場におきまして暴力行為等が一段と顕著になっているのは、まぎれもない事実でございます。その原因は、これは先ほどからいろいろ申し上げておりますけれども、起きている現象の発生過程を見ますと、違法スト不参加者に対する反感とか、あるいは職場規律の厳正化に対する反発とか、そういうところからも出ているのはまぎれもない事実でございます。それで私、暴力行為は労働問題と全然別個のものであるとは申しましたけれども、職場の中で起こっておりますので、その点が非常にはっきり区別しがたい場合もございます。  それで、それが特に動労との関係で多く起こっておるような傾向でございますので、先ほどから申しました動労との話し合いの中におきまして——話し合いの中身は、これは組合との話し合いでございますので、信義の問題がございますので詳しく申し上げることは控えさせていただきますが、組合の幹部諸君も、暴力行為は組合としてもちろん指令、指示するはずがないし、組合運動ではないということを明言いたしております。それで、そういうような不祥事件が起こるということは、これは職場の正常な業務運営にもちろん支障になりますので、まず第一に管理権の行使として、現場長なりあるいはいわゆる当局の管理権の範囲内でそれを排除することを考えているわけでございます。公安官の問題等もございますが、公安官もこれは職場の管理権、国鉄の管理権の一部でございます。しかしこれは能力に限度もございますし、もちろんそれだけに期待して何でもかんでも公安で片づけるという考えもございませんし、それができるはずのものでもございません。一日も早く、こういうような事態を両者が認識し合って、誠意をもって解決するということで、いまは話し合いの状態でありますので、その誠意が両当事者の間で一日も早く実現するように期待をし、またこちらからも話し合いを進めておる状況でございます。
  374. 河村勝

    ○河村委員 私は、労働組合の幹部と話し合って片づく問題なら、そう心配しないのですよ。私の聞いている限りにおいては、動力車労組の場合には、もはや組合の幹部の話だって何もきき目がないのでしょう。ですからそういう考えでは、私は職場秩序というものの立て直しはできないと思うのです。もともと、非常に過激で乱暴な者がいるといっても、それぞれの職場においては少数なんですね。その少数の連中があばれるのを、管理者が見て見ぬふりをしたり、適当に甘やかしたりしたのが積もり積もって、全体の職制麻痺につながってきたのであって、私はそれは長い積み重ねだと思う。私はそれ自体国鉄当局責任だとも思いますけれども、事実がそこまできているならそんなことを言ってもしようがない。だから、これは組合幹部と証し合って正常化なんていっているのではなしに、ほんとうに現実の暴力事犯として対処する方法を考えなければならない。必要ならば国鉄以外の力をも導入してやらなければならぬ、そういう予想まで来ているのではないかと私は思っていますが、どうもいまのお話だと誠意を持って話し合えば何か解決ができるであろう、何か話せばわかるというような風であるけれども、話してわかるような状態であるとは私は思っておりませんが、あなたはどうお考えですか。
  375. 山田明吉

    ○山田説明員 先ほどから申しましたように、職場内で起きている事案でございますので、まず第一に職場の管理権の行使で最大の努力をいたすつもりでございます。しかし、国鉄自体で持っております管理権というのは、これはもちろん限度がございます。手に余りました場合には適当な手段でもちろん徹底的な排除をいたさなければならないという認識は持っておりますし、また事案によりましては直接警察権が出てもう捜索活動を開始しているような事案もある状態でございます。
  376. 河村勝

    ○河村委員 時間がないから私はこの辺でやめますが、運輸大臣、あなたは何か事故なんかあったりするとすぐ警告書かなんか出して、あれは事務当局かなんかにやらせるのでありましょうけれども、非常に形式的なことで済まされておるようです。しかし、このような事態はそういう作文行政ではいけないですね。おそらく運輸省だけでも解決できない問題でしょうけれども、もっと大臣自身が実態を見て、必要ならば、ほんとうに政府機関全体があらゆる手段を尽くしてやりませんと、これはとうてい私は片づくとは思わない。大臣は多少事情は御存じですか。
  377. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 一番やはり、国民の足に関する問題でございます。非常に深刻な問題でございますので、すでに連絡をとらせまして、その事情は承知しているつもりでございます。
  378. 河村勝

    ○河村委員 承知しておられるならば、いかように対処されようとしているか、それを伺います。
  379. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先般も予算委員会で御質問がございまして、総理、私も御答弁を申し上げた次第でございますが、暴力行為はこれは労使の問題じゃございません。これは民主主義国家で許されるべきことじゃございません。これは断固徹底的に排撃をするということがまず肝要でございます。しかしながら大体職場におきまする労使の問題は、やはり経営者、組合、両方の良識のある判断によりまして、そうしてこれを排除すべきものは排除する。そうして秩序を確立させることが第一である。先ほどからもいろいろお話がございますが、国鉄がこれだけの財政危機、またいろいろの問題を抱えておりますときに、何と申しましても、肝要なのは、労使一体となりましてこの危機を乗り切り、相互信頼を回復することがまず第一である。私はそう考えておる次第でございます。私もこの伝えられております事態につきましては、非常に真剣に承っておりまして、労働大臣その他関係大臣とも常に、毎日連絡をとっている次第でございまして、それらの措置につきましても、万全を期してやってまいりたい、こういうように思っている次第でございます。
  380. 河村勝

    ○河村委員 重ねて申し上げますが、労働問題じゃないのですから労働大臣と相談したってだめですよ。ですから、そういう認識ではこれはとてもだめなんですよ。それは国鉄全職場がそうだというのではありませんよ。ですけれども、現に動力車を中心とした職場の荒廃状態というのは、荒廃というか暴力横行というのは、それはたいへんなもんですよ。一回大臣も現場をごらんになったらよろしい。大臣が行かれたときに暴力は起こらぬでしょうけれども、窓ガラスがこわされちゃったりいすはこわされ、とにかく施設、建物すべてがめちゃくちゃに破壊されているような状態である。一ぺんごらんになる必要がある。早いうちなら国鉄だけで私はできたと思う。だけれども、いまではおそらく国鉄だけでは防ぎ得ないくらいのところになっているところがかなりある。そういうものをほうっておいたらいつまでたっても問題は解決しません。ただ承知しているというのではなしに、大臣、一ぺんよく話を聞いて、自分でもごらんになっていただきたいと思うのです。そうしないと国鉄再建問題、いかに金を出してみても、結局だめですね。まず主体的な問題を片づけることに、これはあすにでもできることですからお願いをしたいと思います。  きょうはだいぶおそくなりましたからやめますけれども、また本質的な問題について総理、大蔵大臣等に聞きたいこともありますから、その問題だけを残してきょうは一応これでもってやめます。
  381. 小峯柳多

    小峯委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時四十六分散会