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1972-04-12 第68回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十二日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 細田 吉藏君    理事 箕輪  登君 理事 内藤 良平君    理事 田中 昭二君 理事 河村  勝君       石井  一君    江藤 隆美君      小此木彦三郎君    唐沢俊二郎君       佐藤 守良君    塩川正十郎君       菅波  茂君    關谷 勝利君       福井  勇君    山村新治郎君       井岡 大治君    金丸 徳重君       久保 三郎君    斉藤 正男君       宮井 泰良君    田代 文久君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      角田礼次郎君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 中村 大造君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君  委員外出席者         建設省道路局有         料道路課長   高橋  力君         日本国有鉄道運         転局長     鈴木  宏君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ————————————— 委員の異動 四月十一日  辞任         補欠選任   井野 正揮君     高田 富之君 同日  辞任         補欠選任   高田 富之君     井野 正揮君 同月十二日  辞任         補欠選任   羽田  孜君     唐沢俊二郎君 同日  理事古屋亨君同日理事辞任につき、その補欠と  して細田吉藏君が理事に当選した。     ————————————— 四月七日  国鉄運賃値上げ反対に関する請願山本政弘君  紹介)(第二二二七号)  同(田代文久紹介)(第二二五〇号)  同(米原昶紹介)(第二二五一号)  同(川端文夫紹介)(第二三九二号)  過疎地域におけるバス運行確保に関する請願  (鈴木善幸紹介)(第二三〇六号)  東北新幹線盛岡以北路線決定等に関する請願  (鈴木善幸紹介)(第二三〇七号)  国鉄貨物取扱駅の廃止計画撤回に関する請願(  鈴木善幸紹介)(第二三〇八号)  関西新国際空港建設反対に関する請願土井  たか子紹介)(第二三四三号)  同(土井たか子紹介)(第二四〇七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四三号)  道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣  提出第六〇号)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案について、本日、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君を参考人として出席をお願いし、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  5. 久保三郎

    久保委員 日本鉄道建設公団法の一部改正案に対して、もうすでに同僚の皆さんからかなり御質問があったので、幾つも私から申し上げることはないのでありますが、二、三念のためを含めてお尋ねしたいと思います。  まず第一に、鉄道建設公団によっていま提案されているように、民鉄が経営すべき新線あるいは大改良、こういうものを建設をする必要性は何だろうかというたいへん初歩的な話であります。従来は、言うまでもありませんが、事業者であり、企業者であるところの民鉄経営者が自分で直接これは建設してまいりました。建設に対して一番大きなネックというか、それは何だろうかということであります。まあこまかい点は幾つかあるかもしれませんが、大きくはやはり資金の問題だと思うのですね。資金の問題だけに限定して考えれば、今回提案され、あるいはいま審議中の予算案を含めて、別段に特色のあるはずはない。公団なるがゆえに、たとえば預金部資金というものあるいは特別債、こういう手当て、それからかてて加えて利子補給、こういうものが公団であるからできるのか、それとも必要であるからそういう措置をとるのかでありますが、私は公団であるから利子補給資金手当てをするんじゃなくて、必要であるからするんだろうと思うのですね。そうだとするならば、これは別段に公団でなくてもよさそうに思うのです。従来というか、この建設公団ができたときにも議論一つになりました。国鉄の新線建設について公団でやる必要があるのかどうかということでたいへん議論がありました。何か問題をすりかえていやしないかということですね。何か公団でやればうまくいくようなことで問題をすりかえてしまって、大都市及びその周辺におけるところの都市交通網整備拡充というか、そういうものの焦点を少しぼやかしやしませんかということを私は心配している。てまえどもはこの時期において、建設公団がおやりになることについて徹底的に反対だとは言いません。しかし新しく建設公団事業をやるからには、それなりのメリットが従来の私企業にまかせるよりはあるんだということを、これはひとつ証明してもらう必要があると思うんですね。この点はいかがでしょう。
  6. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの久保先生の御指摘でございますが、ごもっともでございまして、もとより今回、この公団法改正いたしまして、そして民鉄鉄道また線増につきまして公団をしてやらしめるという一番の目的は、いま過密化しております都市交通をいかにして混雑緩和をし、住民の足を確保するかという大目的に出ておる次第でございます。その目的からしている次第でございまして、それがいま先生指摘のとおり一番の原因でございます。これをやらせるのにどっちのほうがよいかという議論になってくると思う次第でございます。  前にも国鉄自体鉄道建設をやらないで、鉄建公団というのを新たにつくってそれにやらせるということの可否につきましては、非常に御論争があったようでございます。これはあるのが当然だと思う次第でございますが、すでにこの御論争を経まして鉄建公団が出まして、新線建設にすでに当たっている次第でございまして、この際は、私どもといたしましては、この当たっているいままでの経験を生かしまして、そうして民鉄事業都市交通におけるところの混雑緩和の一端に資してみよう、こういうことでございます。  その趣旨といたしましては、いまお話しにございました資金、相当膨大な資金がかかる次第でございまして、資金確保につきまして政府が援助をする。財投あるいは特別債ということによりましてやっていくということと、それから利子補給もいたしまして、そしてできるだけ低利な利子をやりまして、そして長期の還元によりましてこれを民鉄をして買い取らしめるということによりまして両方とも利便であるという趣旨から出ておると思う次第でございまして、そのほかにない次第でございます。これを直接私鉄にやったらどうかという話もございますが、利子補給その他の点につきましてやれないことはないと思う次第でございますが、それがためにまた一々いろいろの法律、手続その他も要る次第でございます。すでに鉄建公団におきましては技術面におきまして経験済みでございます。それを都市方面にも生かして、民鉄意見も十分入れて、そしてこれらの仕事をさせまして都市交通混雑緩和に資したい、こういうふうな趣旨でございます。
  7. 久保三郎

    久保委員 御答弁でありますが、どうもすかっとしないのであります。巨額資金を要することでありますから、これは国の手当てが必要であることは言うまでもございません。しかし、それとこれとは別であろうというふうに一応考えていいと思うのです。私はこの構想に対して、さっき言ったように、まっこうから反対の立場で申し上げているのではなくて、建設公団で担当するからには、いままでの直営で建設したことと違った面が出てこなければ意味のないことではないかというふうに考えているのであります。いままでの御答弁では、残念ながらどうもそういう理由があまりはっきりしない。たとえば、国鉄建設公団との関係では一つ特色がございます。これはいま提案になっておる私鉄の問題とは違った点がたった一つあるのです。たった一つというのは何かというと、A・B線というのですか、いわゆる最近世論の対象になっている赤字線ですね。この赤字線については無償で貸しましょう、公団がつくって貸しましょう。A・B線の新線建設についての是非は別として、これは特色のあることであります。むしろ大都市における交通網整備のために、しかも巨額建設資金を要する交通網整備に対してこの方式がとられるならば、これはたいへんな意義のあることで歓迎すべきことだと思っているのです。いま一番問題なのは、国鉄を含めてイコールフッティングという問題がございます。あとからも若干お尋ねしますが、これは言うべくしてなかなか簡単にいくものじゃないと思うのです。理屈理屈でわかりますが、しかしその問題を単純に、たとえば道路鉄道、そういうものを対比して考えた場合に、建設部門運輸部門と一緒にやっているところに大きな矛盾があると思うのです。運輸をやらなければならぬ、しかし建設もする。キロ六十億も八十億もするような鉄道建設すれば、資金コストというか、原価がはね上がってくるのは当然であります、運輸を担当するのでありますから。そこで、言うならこれを負担していかなければならぬ。当然運賃値上げの問題が起こってくるのですね。運賃値上げだけで解決するかというと、そういうもので解決する以上の大きな金が必要だということです。だから、ここで問題の解説を少しするならば、いま申し上げたように、運輸部門建設部門とを切り離して、少なくとも鉄道道路との関係では、特に都市交通の面では、建設部門というのを別に考えていく必要がありはしないか。運輸部門は、これは別途なんです。道路と同じように別途に考えていく。道路の上を走るバス会社道路会社でありません。それと同じ仕組みを都市交通の中にだけは少し導入する必要がありはしないか。そういう点で建設部門を担当するものが鉄道建設公団であるというならば、これはたいへん新しい、ユニークな方策だと思うのです。どうも回り回って運輸省の中のある部局では、国鉄建設公団ができたんだから、今度は民鉄建設公団をつくろうかなんという話でいままでやってきた面がある。私はあまり人の悪口を言うのはいやでありますけれども、あまりにもこれは役人的な考え方でありまして、とどのつまりは大蔵省から押し返されて、建設公団に入れてやらせたらどうかというふうに落ちついたと思うのですね。さかのぼればもっとあるんですね。都市における高架化公団を考えたことがある。あとからも質問しますが、今日では高架化公団構想はどこへ行ったのかちっともわからない。もっとも大改良というから、そのことを言うのかもしれません。当面の仕事は何もない。だから、これは運輸大臣にお尋ねするよりは事務当局責任者である鉄監局長にお尋ねしたほうがいいと思うんだが、ぼくがいま申し上げたことについて何か反論はございますか。いかがでございますか。
  8. 山口真弘

    山口政府委員 反論ということでなく御説明を申し上げたいと思います。  今回の鉄道建設公団法改正によりまするところの建設方式でございますが、実は従来の方式私鉄建設を進めてまいったわけでございます。ただ、従来の建設車両だとかホームだとか、比較的手近な設備増強ということによりまして輸送能力増強をはかってまいったわけでございますが、最近ではそういった面ではなかなか困難になってまいりまして、たとえば複々線化をするとか地下鉄の都心乗り入れの直通をするための工事であるとか、あるいは非常に大規模なニュータウンができた場合のそのニュータウンに対する新線建設であるとか、そういった基礎的な巨額資金を要する工事というものが非常に出てまいったわけでございます。こういったような設備投資に関しましては、従来の私鉄に対する開銀その他の助成という形によるところの資金調達が非常に困難だということでございまして、その困難を除去するというために今回の鉄建公団によるところの方式ということにしたわけでございます。  そこで、どういう利点があるかという点でございますが、まず第一に考えられますことは、従来の私鉄やり方では非常に巨額工事費調達しなければならないわけでございますが、その資金調達能力という点から見て非常に困難な面がある。たとえば、担保能力の面からいいましてもあるいは収入の面からいいましても、その他の面からも非常に困難な面がある。それを今回の鉄道建設公団方式公団調達をするということになりますと、私鉄自体自己資金調達能力と一応別に調達ができるという意味で、工事の促進が非賞にはかれるということでございます。  それからいま一つは、私鉄設備増強に関する投資でございますが、従来は開発銀行の融資と市中金融あるいは社債を発行したりその他の方法でやっておるわけでございますが、開発銀行投資によりましても一番いい条件のものでも七%の利率、それから悪い条件のものでは八・三%の利率という程度投資でございました。そしてその他市中金融につきましては九分くらいの利子を払っておったわけでございます。最近金融緩慢で若干利率が下がって、八分五厘くらいまで下がってきているのが実勢だろうと思いますが、それにしてもかなり高い利率を払ってまいったわけでございます。そこで開銀も少し下がっております。先ほど八分二、三厘と申し上げましたのは八分程度に下がっておりますが、それにいたしましても高い利率でございまして、その意味でこの長期懐妊期間を要しまするところの私鉄工事というものは非常に採算的にも合わないということでございまして、そういう収支面上の問題から、なかなか私鉄投資を期待するということが困難になった状態がございます。そこで今回この鉄道建設公団方式によりまして、資金運用部資金、これは六分五厘でございますから、その資金運用部資金から相当部分を調達し、さらに特別債を発行いたしまして、その特別債に対しましては、国なり公共団体から利子補給を行なうということによりまして、そして非常に資金コストというものを下げていくということにする。  それから第三番目に、従来の場合でございますが、結局借金した金はどんどん償還していかなければならぬわけでございますが、開銀の場合におきましても大体三年据え置きの二十年償還、それから市中金融の場合には大体におきまして七年ないし十年償還ということでございまして、そういう意味償還がかなり早いわけでございます。ところが先ほど申しましたように懐妊期間が相当長いわけでございますから、長期償還ということがどうしても必要とされるわけでございますので、今回の場合には鉄道建設公団建設いたしまして、そしてそれを二十五年の元利均等償還ということで、非常に長期譲渡方式ということをとった。そういうようなやり方によりまして、とにかく設備投資がやりやすいような姿というものにいたしたわけでございまして、その意味では今回の公団方式というものが、従来の開銀を中心としたところの投資上りもはるかに私鉄にとって、あるいは国にとっても新規の投資を促進するという意味では効果があるものだ、このように考えておるわけでございます。  なお、鉄道建設公団国鉄に対する設備投資でございますが、それは先生指摘のように、A・B線につきましては国と国鉄からの出資によったわけでございますが——国鉄出資は今年はございません、ございませんが、出資によったわけでございます。ただ、C・D線につきましては、これはやはり借り入れでございまして、資金運用部並びにその他から借り入れをいたしまして、それに対しまする利子補給をするということでございまして、形としては今度の鉄道建設公団に若干似ておるということでございます。とにかくこの方式によりまして、従来私鉄が非常に困難をきわめておりましたこの基礎的な施設の設備投資というものを促進させたい、こういう趣旨でございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 いまのお話ですと大体三点がメリットだ、こう言っていい。みんなお金の問題ですね。まず窮一に建設公団調達能力がある。私企業では多額の資金調達能力がないということなんですね。建設公団なるがゆえに調達能力があるんじゃなくて、政府がこれをカバーする制度をとっているから建設公団能力があるのですよ。そうでしょう。あなたのほうで財政措置をつけなければ、建設公団自体では何もできないんじゃないですか。これは私企業とも同じですよ。だから、もし私企業調達能力が必要だとするならば、建設公団でやることも一つかもしれませんが、私企業に対して調達能力をつけてやる制度をつくることも、これも必要なんですね。だからこれは理由にならない。  それから利子補給でありますが、建設公団なら利子補給ができて、私企業なら利子補給ができないという理屈はありませんよ。あなたのおられる運輸省全体見ても、陸、海、空全体見ていただきたいと思う。あとから申し上げますが、たくさんあるわけです。  それから、ここでひとつ、利子補給は、関係の地方自治体からも利子補給をしてもらうんだ、こういう話でありますが、それはどこでどういうふうな御説明がありましたか。法律には何かに書いてあるのでしたか。簡単に御答弁いただきたいですが、それはこれからの話し合いでやるのか、制度的に確立しているのか。たしか公団債は、七分二厘くらいでしたね、七分三厘ですか、それに対して六分五厘までの補給をする、その中身は国と地方公共団体である、こういうふうな御説明ありましたが、地方公共団体でもこれは負担することになりますか。それはもう確立されておりますか。  それからもう一つ借り入れ建設資金償還が非常にたいへんだということです。たいへんだから長期にしたということですね。三年据え置きの十七年、二十年を二十五年にしたというお話でありますが、これはけっこうですよ。しかしこれは公団なるがゆえに二十五年になったのじゃなくて、開銀制度を変えてきたからなったんでしょう。そうでしょう。ですからそれは理由にならない。少ししつこいようですが、そういう理由じゃなくて、もう少し前進した方向があるのだということを私は聞きたい。このくらいのことならば公団におまかせする必要はないのじゃないか。工事能力その他についても、これはどうなんですか。おそらく公団が面接全部おやりになるわけじゃないでしょう。当該の事業者と協議の上、事業者の持っている力も十分お使いになってこれは建設していくのだろうと思うんですね。それはそうでなければうまくいきませんから、当然そうだろうと思う。そうなると何か公団私鉄建設のためには、さっきお述べになった三点の金に関係した部門だけが公団役割りのようにとれるわけですね。そうなるとこれは極端な言い方をするとトンネル会社じゃないか、この面では、そういうふうなことも言えるわけなのであります。ですからこれはもう少し簡単に、いやそうじゃないということを、ぴたっとおわかりならばひとつお示しいただきたいと思います。いかがでしょう。
  10. 山口真弘

    山口政府委員 公団なるがゆえにこういう助成ができ、公団でないやり方、たとえば直接助成方式でできないかどうかという点につきましてはいろいろな問題があろうかと思います。ただ、今回の制度は、公団方式をとってそうしてこういう助成をしたわけでございますが、まず第一点の私企業に対する調達能力の問題でございますが、これは現在の法律を直していけば私企業に対する調達能力をつけるということも、おそらく法制上できないことではないと思います。ただ、たとえば資金運用部資金法によりますれば、国の資金運用部資金の使い方の問題といたしまして、私企業に対しては使わせないという一応の原則がございます。これはもちろん立法政策の問題でございますが、とにかく一応そういうような従来の立法政策上の原則がひとつあるわけでございまして、そういうことを前提といたしますと、やはり公団によって建設をするということによりまして調達能力を付与する。さらにその他の資金につきましても、私鉄の場合には当然私鉄自体担保能力という問題があるわけでございますが、公団のような場合には国の機関でございますから、その国の機関に対する担保能力の問題ということも、私鉄のようにぴしっと直接の担保をやって借りるということにはならないで済むということがやはりいえるのじゃないかと思います。  それから利子補給の問題につきましても、これもおっしゃるとおり、私企業だから利子補給はできないということではございません。私企業でも相当の利子補給をしておるわけでございますが、今回はそういうような公団にやるということでこの利子補給をするわけでございます。  それから最後の償還期限の問題でございますけれども、これもそういう制度をつくりまして、非常に長期償還期限というものを制度的につくるということはもちろん可能かと思います。しかしながら従来の例その他からいきまして、国の機関によってこういう長期譲渡方式を定めるということのほうが妥当だということで、新たな鉄建公団にこれをやらせるということになったわけでございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 いまのお話聞いておりますと、何かその面だけでぐるぐる回っておるようなんでありまして、私の本意とするところにあらずですよ。その論争をしていても、これはちっとも前進がないのです、大体金の問題だけ話していても。たとえば資金運用部資金を入れるというのは公団でなくちゃたいへん無理なんだという話ですが、そんなことはないのですよ。それと同時に、私鉄にしてもどこにしても、資金運用部資金というと金の卵みたいなものであって、あと資金は鉛だなんということはないのです。金はどこでもいいのです、利息の安いものが使えればいいのですから。そうなると、たとえば造船のほうは開銀資金で六分五厘でやっているわけですよ。そうでしょう。そのほかに利子補給をしているのです。だから、そういうことでのやりとりをやったのではつまらぬことであります。  私が言いたいのは、公団にやらせるならば、いま一番大事なのは何かということなんです。それは公団でなくちゃできないことをやらせるのが一番いいと思うのですよ。これから二、三お尋ねしますが、さっき言ったように巨額資金を投下しなければならぬし、一時に回収はできない。そうなれば、やっぱり建設部門運営部門を切り離した形で、公団がすべての都市交通建設をやってやるような方向も示すべきだというのが私の主張なんですよ。そういう方向があるのかないのか。実は一番最初にお聞きするのがよかったのですが、ものの言い方のはずみで変な方向へ回っていきましたが、そうすることが私は一番大事だと思うのです。公団でなくちゃならないこと、それから言うならば輸送部門建設部門を切り離してやっていくこと。たとえば運賃一つ見ても、東京都に所属しているそういう輸送機関は大体十四か十五ぐらい企業があるでしょう。これは賃率一つとってもみんなまちまちですよ。キロ六円あり、七円あり、八円あり、区間三十円、四十円、五十円、六十円あるでしょう。それはそれなりでけっこうだということにいえるかどうかの問題ですよ。結局それは自前で今日まで継ぎ足し、継ぎ足しでやってきたから、そういうふうに賃率の面でも不均衡が出てきたのですね。だから運賃の安いところへアミーバ方式でずっと延びていくわけですよ。高いところは延びないでしょう。もちろん交通の分野だけで都市を均衡ある発展をさせることはなかなかむずかしいけれども、いびつに発展させている大きな原因はやはり交通にあるわけですよ。これをならしていくというくふうをするのには、いま申し上げたような方法をとることが一番正しいじゃないかというのです。そういうもののはしりが、今度の建設公団に首都圏というか、大都市及びその周辺の交通網整備の一環をになわせるということなんですね。  ところが、そういう意味じゃないから、さっき申し上げたような経緯をたどってきているから、言うならば早産ですね。まだ十月十日たたないうちに生まれちゃって、名前はあとからつけようなんということで、最初予定した高架化公団から今度は私鉄建設公団から建設公団の、何というか、早産で、籍には当分入れないでおこうなんていうかっこうになっているわけなんです。そういうところに何か私はどうも不満があるのです。運政審などをつくっていろいろおやりになっておるようだが、ちっともそういうものが施策の上に具体化してこないところに、われわれ国会議員の一人として非常にもの足りなさを持っている。  この問題をいつまでもやっていると時間がなくなってしまいますから、その程度にしておきますが、私が整理して申し上げますれば、今後公団のやる仕事は、都市交通においては建設部門運営部門から切り離して担当していく。だから、この公団法はこのまま通るだろうが、言うならば譲渡の一項を設けるべきだ。いま譲渡はある、譲渡じゃなくて貸し渡しの方式をひとつ考えていくべきだということですよ。  それからもう一つは、建設公団でなくちゃできない仕事がありはしないかということなんです。たとえば多摩ニュータウン私鉄じゃやりたがらないから、無理にやらせよう、そのかわり建設してやるからおまえあとを引き継げということで今度おやりになるようでありますが、これも一つの方法かもしれません。しかし、私鉄がやろうとすればできることなんです。しかし、やろうとしてもできないものが何かありはしませんかということです。これはいわゆる結節点における施設の整備、いわゆるターミナルですよ。たとえばバスターミナル一つとっても、これは、一つの会社は自分のターミナルだけつくる、それではターミナルにならないのだな、そうでしょう。これはだれかがやらなければならぬ。本来なら地方自治体がやるのが一番好もしいかもしれませんが、それが完全にできるともまた思えない。そうだとするならば、せっかくある公団方式を利用して、これが建設して運営までやっていくという方向一つ考えられないのか。トラックターミナルは御承知のとおり特別立法でこれはこしらえておりますね。必ずしも株式会社、特殊会社のターミナル会社をつくる必要もない。東京都にあるような、それほど大きなトラックターミナルのような機能までは必要ないですね。しかし、だれかがつくらなければならないということ。そういうバスターミナルあるいは駅前広場の整備をひっくるめて、駐車場の問題もあります。  それからもう一つは、たとえば地下鉄一つを見ても、それぞれ都営と営団の地下鉄がある。どういう理由がわかりませんけれども、私が経験した範囲では、企業が別だからというので、たとえば銀座とか大手町なんというところ——銀座は別かもしれませんが、大手町なんというところの連絡施設は、連絡施設だろうかと思うほど、ずいぶん遠距離を歩かなければ乗りかえができない。二キロと言ったらオーバーかもしれませんが、一キロ以上あるのじゃないですか。そればかりではなくて、たとえば、国鉄私鉄の間の連絡施設、こういうものは、私鉄はやりたがっている、ところが国鉄はいまちょっとそろばんが合わないからやめたなんていって、ひどい連絡施設があるのじゃないですか。こういうものを解決することが、いま都民というか、住民に対する一つの要求にこたえる道だと思うのですが、これはどうなんです。こういうものはこの法案の中ではやることにはなっておらないようだが、これはどういうふうになりますか。
  12. 山口真弘

    山口政府委員 お答え申し上げますが、その前に先ほどちょっと答弁漏れがございましたのでつけ加えさしていただきます。  七分三厘と六分五厘との差でございますが、これは国の助成でございまして、それ以外に地方から同額の助成をお願いしたい、こういうことでございます。  それから、今回の鉄建公団法によりまして、鉄道建設につきまして鉄建公団が行ない、そうして運営は私鉄がやるという意味におきましては、まさに建設と運営というものは分かれたかっこうになっておりますが、ただし、これはさしあたって、私ども先ほど申しましたような、非常に大規模なニュータウンへの建設あるいは先生指摘のございましたような地下鉄へ直接に接続するような地下の工作物あるいは輸送力増強のための複々線化というような工事を行ないまして、私鉄ではなかなか従来やっていけないということで、この方式でこれを建設しようということでございまして、今後これをどうするかという問題につきましては、さらに国鉄のあり方の問題それから私鉄のあり方の問題、地下鉄のあり方の問題というようなものをも考えあわせて検討をしなければならぬことではないかというふうに考えております。  それから、第二点に先生指摘がございました貸し渡しか譲渡かという問題でございますが、これにつきましては実は私ども内部で非常に検討いたしまして、それで、現在国鉄に対しまして鉄道建設公団がつくりました施設につきましては、原則として貸し渡しということにいたしております。それでこの法律では譲渡ということにいたしておるわけでございますが、これは私どもいろいろ検討いたしてみました場合に、どうも長期譲渡ということになりますと、譲渡のほうが法律的な面からいっても、それから事務の運営上からいっても、非常に適切ではないか。簡明でもあるし適切ではないかということで譲渡、こういうことにいたしたわけでございます。それは第一番に、この譲渡にいたします場合には施設の所有が移るわけでございます。ところが鉄道施設の場合には、当然これに対しまする修繕あるいは改良というようなものがひんぱんに行なわれるわけでございますが、かりに鉄道建設公団にこの所有を置いた場合には、その改良の分界というようなものがどちらにあるのか、その施設の所有関係がどちらにあるのか、非常に複雑な問題が生じます。  それからさらに、たとえば災害が起こったような場合、鉄道建設公団に置きますれば、災害の復旧というものにつきましては当然鉄道建設公団が行なうということになるわけでございまして、その災害復旧によったところの財産というものはどちらによったらよいのかというようなことが非常にむずかしい問題、財産管理上の問題がございます。  それからまた、譲渡にいたしました場合に、鉄道事業者が当然この資金長期に割賦をしてまいるわけでございまして、そういう割賦をするというようなことになってまいりますと、それに従って当該私鉄にかかわる担保力も増大をいたしまして、そうしてその鉄道事業者というほうが他の設備、輸送力増強等をやっていく場合にも非常に好都合の面もあるというような面、その他事務的な面もいろいろ考えまして、やはり譲渡のほうが鉄道建設公団にとってもいいし、それから私鉄事業者にとってもいい。また管理費用なんかも要らなくなるわけでございます。そういう両者の面から考えまして、やはり譲渡のほうがいいのではないかということで譲渡ということにいたしたわけでございます。  それから、先ほどお話がございました一元化の問題でございますが、これは地下鉄につきましては実は長い間、帝都高速度交通営団が一元的に建設、運営をやってまいりました。これは昭和の十三年ごろから三十年ごろまで一元的に建設、運営をやってまいりましたが、その時点におきまして、東京都が自分のほうも建設運営をしたい、非常に強い要望がございまして、そうしてその時点におきまして、地下鉄の建設が急がれておりましたものですから、営団の資金ソースというものとあるいは公共団体資金ソースという、両方から資金ソースを仰いで建設をすることが適当ではないかということで東京都に建設をやらしたというために、現在は地下鉄につきまして両者が建設をしておるという段階になっております。将来どうするかという問題は、またこれは検討の問題であろうかと思います。  それから連結点の問題は——バスターミナルの問題は後ほど申し上げることといたしまして、鉄道同士の連絡施設でございます。これはもう先生おっしゃるとおりでございまして、この連絡施設を便利にする、乗りかえその他を非常にたやすくするということは、私どもも、地下鉄対地下鉄、あるいは国鉄対地下鉄、あるいは国鉄私鉄関係すべてにつきまして、全く先生と同感でございます。具体的な例で大手町のことを先生がおっしゃいましたが、大手町の場合にはおそらくは帝都高速度交通営団の丸ノ内線と東西線との関係であろうと思うわけでございますが、これは確かに先生のおっしゃるとおり相当の距離がございます。しかし、これは実はあのところに他の都市施設——共同溝等がございまして、そういう共同溝等の関係で、連絡の距離が延びておる。そういう技術的な理由に基づきましてあの間が少し不便になっておるわけでございます。それから、そういうことがなければ、当然これは乗りかえを便利にすることにいたしまして、これは地下鉄等の工事施行の認可という手続がございまして、この段階におきまして運輸省も関与いたしまして、これを決定することになっておりまして、先生おっしゃるような方向でやってまいらなければならないと思います。国鉄私鉄の問題につきましても同様でございまして、連絡施設は十分に整備をしてまいりたい、このように考えております。  バス駅前広場につきましては、この法律ではとりあえず鉄道建設公団ということでありますので、バスターミナル等につきましては一応範囲としておりません。しかしこれは将来の検討の問題ではないかと私ども考えております。
  13. 久保三郎

    久保委員 局長、時間がないものですから、私のことばが不明確なので、御答弁もお尋ねしないことまでやられる。それはたいへん迷惑なんでありまして、私は、一元化のことはこれから話そうと思っておりまして、まだ聞いていないのです。それから、なぜ都営ができたかなんというのも聞いていないのです。私は大手町の例を引いて、非常に離れたところに両方ともつくっている。共同溝のためばかりじゃなさそうでして、そういうところをぜひ考えたらどうかということであります。いずれにしても、あなたの答弁からは別に何にも新しいことを引き出すわけにはいかなかったようであります。この法律にはまだバスターミナルのことを書いてありませんから、書いてないから聞いているんですよ。こういうものをやるのが当然じゃなかろうかということを聞いているのです。これは、もちろん鉄監局長はそのほうの御所管じゃないから答弁がむずかしいのかもしれませんが、ここには自動車局長もおられますけれども鉄道建設公団だからバスターミナルは建設できないなんという理屈はないんですな。港湾局が空港をやっているのです。総裁おられるが、バスターミナルは建設できませんか、いかがです。やればできますか。
  14. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いろいろ御指摘をいただきまして、一々ごもっともと思う次第でございます。  まあ工事と運営と分けろということも確かに大きな理由があると思う次第でございまして、鉄建公団をして大都市交通をやらしてまいります以上、いま非常にその工事費巨額にかかる。またいまお話がございましたように、私鉄だけではまかないきれぬ、またやりたがらぬというような都市交通につきましては、将来ぜひとも御協力をいただきまして、規模も拡大してまいりまして、それから金利その他の方面につきましてもひとつできるだけ政府援助を強化してまいりまして、いま先生がおっしゃったような方向で将来発展をさせてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。  またバスターミナルとかそういったようないろいろな問題につきましては、これは法律改正すれば私はできると思う次第でございまして、十分検討さしていただきたい、こう思っている次第でございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから先にいきますが、さっき鉄監局長から、譲渡か貸し渡しかという問題について、譲渡のほうが簡明だし、めんどうくさくない、簡単にいえばめんどうくさくないということなんです。しかし鉄監局長が事務をやるんじゃないんですよ。公団企業者がやるのでありまして、お役人が、あとの補修をどうしたらいいとか、銭はどういうふうにきめたらいいかなんというのは、それは少し思い過ごしだし、干渉ですよ。あなたらは制度をつくればいいのです。運営は当事者が能力に応じてやるということを、どうかはき違えないでほしいと思う。将来譲渡の場合のほうが計算も便利だろうとかなんとか、それは親心というものでたいへんけっこなことでありますけれども、それによって、法律をつくられたんではかなわぬということを一言憎まれ口のようでありますが、申し上げておきたい。私が主張しているのは、多額なものをつくること、そしてその多額な資金を一時に出さなければならぬことが経営者としては困るのじゃないですか。利用者としても、それをかぶされるのがちょっと困るのですよ。だから、建設部門というよりは、これを建設して保有する部門と、これを利用する部門とを分けていったらどうかというのがまず一つなんです。もちろん、その経営主体がこの譲渡を受けるような体力があれば、これは受けるのが当然です。そうですよ。私はそういうことを言っているのです。どうか間違えないでほしいと思います。  それではなんですから念のために聞いておきますが、法律には譲渡以外のことは書いてありませんし、引き渡しと譲渡はどう違いますか。譲渡というのは銭をもらって譲ってやるということですね。引き渡しは銭をもらわないで、できたからこれをおまえに渡す。どっちなんですか。
  16. 山口真弘

    山口政府委員 この法律で引き渡しと書いてございますのは、所有権の移転を伴わないような工事が実はあるわけでございます。たとえば、地下鉄建設をいたすわけでございますが、その地下鉄建設をいたす場合に、土地の形状変更を行なうというような場合だとかあるいは階段のつけかえをするとかいうような場合がございます。この場合には、所有権の移転というものはないわけでございますが、しかしながら、それ自体の引き渡しはあるということで、そういう意味で引き渡しが書いてあるわけでございます。  なお、引き渡しにつきましては金はもらわないということではございませんで、引き渡しにつきましても当然譲渡と同様に長期条件で、支払いを受けるわけでございます。
  17. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま貸与したらどうかということでございます。私もそう考えまして、国鉄については両方の方法がある、両方の道を残したらどうかということを、この法案をつくるときに私も申した次第でございます。ところが、受けるほうの私鉄のほうで、いやもらっちゃったほうがいいんです。自分で買っちゃったほうが間違いない、こういうことでございますので、私も譲歩をいたしまして、それではそれだけでいいだろう、こういうことできまった次第でございますので、経過を申し上げておきます。
  18. 久保三郎

    久保委員 わかりました。やってもらうほうがそういうことならそれでもいいかもしれませんが、それだけに、言うならば、メリットがないということなんですよ。そのお金の問題だけなんで、早く引き渡してもらってもいい、だから、いまよりは安くなるだろうと期待しておるわけですね、安くなるかどうか、やってみなければわからぬだろうと思いますが、資金の金利の問題だけから言えば、六分五厘だから安い。だから安いものならいまよりはやさしいのだから、ひとつ引き渡してもらったほうがいい、譲渡してもらったほうがいい、簡単にこういうことだと思うのです。しかし、都市交通整備の観点からいくなら、はたしてそれがいいかどうか、たいへん問題があろうかと私は思っております。いずれにしても、問題を残して先へ参りますが、さっき言ったように結節点なんですね。結節点、連絡施設というか、そういうものを工事の対象に入れて、それこそ積極的に建設をして、これを利用させていくということが正しい方向じゃないかと私は思っておるわけです。  それからもう一つは金利ですが、建設資金の融資状態であります。なるほど新線建設や大改良工事で多額なものを要するから今回の制度公団でやらせるという一つ条件で、いいか悪いか別にして、そういう条件で六分五厘まで利息を下げていくということは多少前進だろうと思うのですが、これは大都市におけるだけの話であって、それ以外のところはあまりない。お世話になる機会はないのです。ところが実際に経営が困っておるものは、大都市以上に中小都市でも困っておるわけです。しかも金利一つ見ても、特定工事については私鉄は七分ですね。しかもこの融資比率は五〇%ですよ。一般市中金利のものを借りるとすれば九分から一割でしょう。それから一般工事といわれるものは先ほどもお話がございましたが、これは五制の融資であって八分二厘ですね。こういうものを考えると、時間もありませんから御披露はできませんが、運輸大臣の所管の中で陸海空にわたっての金利を調べてみました。一番高いのは何かといったらこれなんです。八分二厘、開銀融資。利子補給も何もなしに五割の融資というのは私鉄です。最近はやりの道路公団のほうは大体平均して六分ちょっとの金利です。それから新国際空港公団のほうの資金は五分にならないのです。国鉄は御存じのとおりです。今度利子補給が少しよけいになりますから七分を切るか切らないか、おそらく七分くらいのところでしょう。八分二厘というのは私鉄そのほかにたくさんありますが、こういうものを改善しないでいては片手落ちではないかと思うのですが、どうでしょう。いろいろ理屈は別として、こういうものはどういうふうに考えておるか、それだけお答えいただければいいです。
  19. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほど来イコールフッティングのお話もございましたが、確かにそういったような陸上軌道輸送につきましては、非常にそういう点で劣っておるところが私もあると思っておる次第でございます。将来そういった方面の是正につきましては極力つとめてまいりたい。金利の引き下げにつきましても努力してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  20. 久保三郎

    久保委員 次には、時間もたくさんありませんからあれですが、この法案の中で大改良工事ですね。この中にはさっき申し上げたように高架化の問題も入っているのかどうか。御指摘になったのは複々線化が大体入っておるようでありますが、何と何を予想しておるのか。新線建設は、新線ですからわかります。それで新線建設についてもお答えいただきたいのでありますが、新線というのは、この法案で見る限りは、起業者がここに敷きたいと運輸大臣に申請して、運輸大臣がああそうか、よろしいだろう、適合するようだ、ついては公団にやらせてもらいたい、そうか、じゃ公団に命令しようということの手順でやるようでありますか、大体こういう発想でいいのですか。これは都市交通審議会というのがあるわけだが、大体予定した路線というか輸送力増強の方針というか、そういうものにのっとってこれはやることなのか、それとも法律的にはあまり関係ないのか。実際には関係するにしても法律的には関係ないのかどうか。私が言いたいことは、少なくとも都市交通審議会令なんていってあなたらがかってに動かせるようなものでつくるのじゃなくて、都市交通審議会法なら法をつくって、あるいは都市交通整備法をつくって、その中でしかるべきものを策定して、その中から選定してもらうということも一つの方法ですが、いまの脈絡のない法案を見ますと、これだけ見ていると何か思いつきでやっておる。だから、ニュータウンのごときは建設公団では無理して敷いて、おまえらに貸してやるからどうだ、六分五厘にしてやるからどうだ、それならけっこうですという無理なことになってしまうのじゃないか。そのような考え方についてひとつ……。質問するほうは長くして、答弁短くなんというのは非民主的だけれどもやむを得ませんな、あなたは専門家だから。
  21. 山口真弘

    山口政府委員 まず、この公団が扱いまする工事の種類でございますが、先ほどお話がございましたように、ニュータウン等に対しまする新線建設がございます。それから、地下鉄等と面通運転をいたしまする場合の地下乗り入れについての、これも新線建設になるわけでございますが、そういったようなものがございます。それから先ほど申し上げました複々線化工事がございます。それで、高架化でございますが、複々線化をいたしまする場合に当然高架にするわけでございまして、そういう意味では、高架になったところの複々線化というものも当然この中に入ってくるわけでございます。ただ、単独の高架事業でございますが、これにつきましては、この法律ではとりあえずやってまいらない。一応現在考えております政令に関する工事につきましては、単独の高架事業は入らないというふうに考えております。単独の高架事業につきましては先般建設省と運輸省との間で費用負担等の取りきめというのがございますものでございますから、そういったようなやり方でやってまいるというふうに考えております。  それからニュータウン等の新線建設につきましての都市交通審議会の決定の線との関係でございますが、当然これは都市鉄道でございますから、都市交通審議会の答申された路線というものに準拠してこれが建設をされるということに相なるわけでございます。
  22. 久保三郎

    久保委員 それじゃ時間もないので、あと少し残っているのでありますが、的確にメモだけしておいてください。自動車局長にもお聞きしますが、大都市、たとえば東京都、これにおける交通網の再編成、これは鉄道ばかりでなくて、御承知のようにバスもあるわけでありますが、もはや再編成の時期だろうと思うのですね。これに対しては運輸省はどういうふうに考えておられるか。いま作業を進めておるのかどうか。再編成というのは考えているか。再編成して、たとえばバス路線でもかなり競合したものもある、効率の悪いものもある、そういうものを再編することによって、一つは輸送力の効率的な使用になると思うのですね。これをほったらかしておいて、ただ路面交通の渋滞などだけを問題にしても話にならぬと思うのですね。これはどうなんですか。  それから、もう一つは、予算案にも出ているが、地方交通の符編成、集約の前提で、これは八十七ブロックとかいう御説明がありましたが、これはどういう手順によってやるのか。特に最近は、あなたのほうにも要請があったと思うのですが、それぞれの交通企業に働く労働者の身分の問題にも直接関係してくるわけですね。これらの意見はどういうふうにして聞いていくのか。いま各陸運局単位にある地方陸士交通審議会、こういうものを通して八十七ブロックをやるのかどうか。この構想はどうなのか、簡単に説明していただきたい。  それから、さっき一元化の話が鉄監局長から出ましたが、一元化の問題も、これから首都圏から五十キロ、百キロ、そういうことにどんどん伸びてまいります。そうなった場合に、たとえば東京都営の交通の限界というのがやはりあると思うのですね。しかし足は限界がないということです。通勤の足には限界がない。そうなった場合には、経営主体はどこへ持っていくか。  それからもう一つは、さっき大都市における交通の再編成の問題をお尋ねしましたが、私は経営体を一元化する前に、少なくともこの再編成による一元的運営を考えるべきだと思うのです。もっとも山口鉄監局長は昨年来、この委員会の決議を実行することができないでいるようでありますが、私鉄国鉄との乗り入れの運賃の問題についても、これはあなただけのお力ではもはや限界でだめなんでしょうかね。あなたが事務次官にでもなるならできるのですか。それならこの辺で決議してもらう。だめですか。冗談は別にして、これ一つ解決すれば、あの辺の問題の八〇%が解決するわけなんですよ。こういうものを考えているのかどうか。ただ考えていたって、一年以上考えているのだから、考えただけじゃ困る。これはしかるべき第三者にまかせて裁断を下す必要があると私は思うのです。役人的というと語弊があるが、小さい、こまかい、重箱のすみをつつくような賃率の問題など議論していたのでは、これはとどまるところを知らぬであります。やはり大なたをふるってぱっとやって、そのあと手直しをしていくということが私は必要だと思うのです。どうですか、そういうこと。そういう意味での運営の一元化を必要とするのではなかろうか。  それから続いて、陸上交通事業調整法という法律がほこりをかぶったままあるわけなんだが、これはいまの時代でやはり必要な法律になってきた。しかし、これは制定当時を考えれば、この法律はもはやこれはお払い箱のほうの口なんだな。さっき言った交通の再編成、調整、こういうものを考えれば、この陸上交通事業調整法を改めて、事業調整法じゃなくて、交通調整法と改めて再編の方向をとるべきだと思うのですが、その考えはあるかどうか。  いろいろお尋ねしたいことがあるが、時間がありませんから、いま申し上げたことを一わたり御答弁いただいて終わりにします。
  23. 山口真弘

    山口政府委員 まず、一元化問題に関連いたしまして、初めに陸上交通事業調整法のことを申し上げてみますと、これは先生御承知のとおり、戦前の大都市における非常な交通混乱に対応いたしまして、これをどうするかということで陸上交通事業調整法が制定されまして、それによりまして調整が行なわれたわけでございます。東京、大阪、福岡、香川等におきまして調整が行なわれたわけでございますが、そのときに調整区域の決定、調整方法の決定等の行為をやりまして、そしてそれによりまして、たとえば地下鉄の路線というものは一元化すべきであるとか、路面交通は東京都に一元化すべきであるとかというような調整が行なわれたわけでございます。ただ、現在におきましては、当時の実態に基づいてつくられた法律でございますし、さらに交通事業調整審議会自体も設置がないわけでございますから、その機能が停止されたような状態になっております。で、こういったような調整の必要というのは先生おっしゃるようにあるわけでございまして、これを将来どうするかということは、もう少し実態を見ながらさらに考えていく必要があるのではないかと思います。  それからその次に、先ほどお話がございました今度の都市交通審議会の答申によりますと、特に東京でございますが、東京都とその周辺におけるところの路線網というものがかなり先のほうまで実は伸びております。したがいまして、その意味では、当然いまの地方公共団体の区域を離れるということになるわけでございまして、その場合には、現在の地方公共団体というものだけにこだわった建設、運営というものは困難ではないかということは考えられるわけでございまして、これにつきましては、実は具体的な路線の建設をどうするかという問題とからめてやはり検討しなければならないところではないか、具体的にはそう考えております。基本的には、先ほど申し上げましたような都市交通全般の問題のあり方とのからみで考えなければならぬだろうと思います。  それから最後の運賃の問題等運営の一元化の問題はこれはおっしゃるとおりでございまして、私どもも先般の当委員会の御審議もございましたので、何とかできるだけ調整をしてまいるということで、いま鋭意勉強をいたしておるところでございますが、非常にむずかしい問題が多々ありますので、いましばらく検討の時間をいただきたいと思います。
  24. 野村一彦

    ○野村政府委員 お答えいたします。  大都市におきまするバス路線網の再編成のことにつきましては、現在、昨年の大都市におけるバス・タクシー答申のバス部門の答申の線に沿いまして、東京におきましても東京バス協会、これは公営を含む事業者団体でございますが、これに指示をいたしまして、まず路線の系統の整理統合ということを具体的に検討さしております。それからその次には、たとえば共通乗車券の発行とか、あるいは系統の表示の方法とか、そういうようなものについて検討さしておりまして、ある程度これは進行いたしておりますが、私ども、あの答申の趣旨に沿ってバス路線網の整理統合というようなことを相当思い切ってやりたいということでやっております。  それから地方のバス路線につきましては、今度の四十七年度予算が成立いたしますと、それに基づきまして地方バス路線の補助対策要綱というものを運輸省と自治省とそれから大蔵省と三省で協議をいたしまして、これは大筋の話はすでについておりますが、それによってやるわけでございますが、全国をおおむね八十七ブロックに分けて、その各ブロックにおきまして企業の合併あるいは系列化というようなことを促進いたしまして、そしてそれと並行いたしまして、運輸大臣がいま申し上げました地方バス路線の対策要綱をきめまして、それに基づいて各県知事が自分のブロック内における国民の必要生活路線というものを具体的に選定をするわけでございます。その選定をする責任者は県知事でございまして、私どもはその県知事と連絡をとりながら、地方バス路線対策協議会、これは法律に基づく協議会ではございませんが、そういうもの、それから先ほど先生がおっしゃいました地方陸上交通審議会、そういうところで関係者の意見を聞いて路線の指定をし、そして県が赤字の場合に補助をする、その県に対して国が補助をするという間接補助方式でもっていきたいということで、いまやっておるわけでございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 一言言っておきますが、いまの方法で大体はよろしいかとは思いますが、企業の合併、系列化でありますから、かなり企業の内部にも大きな問題ができると思います。そういうことでありますから、やはりここに働く者の意見を十分聴取する機会をやはり正式に確保しておく必要があると思います。それから要綱ができましたらばお示しをいただきたい。あらためてまたそのときにお尋ねしたいと思います。  最後に公団の総裁に。今度この法案が無事に通るだろう、佐藤内閣がどうにかならない限りは、と思うのでありますが、これが通った暁において、工事能力というか、そういうものにあまり関係がないかと思うのでありますが、公団も——この間、大体あなたのところの本社から支社、そういうところ全部の要員の構成をちょっと調べさせてもらったのでありますが、どうも管理部門がかなり多くなって、頭でっかちになりはしないかということを心配をしております。そういう点について私どもは心配しているので、この点はどうなんですか。今度また理事が一人ふえるそうでありますが、この法案では。別に理事がふえなくたってよさそうなものだけれども、やはり民鉄は一人はとっておかなければならぬ——それは思い過ごしかもしれませんが、いずれにしても、そういうやり方について、われわれは黙っているようだけれども、あまり賛成はしてないのですよ、実際は。やはり管理機構の膨張に対しては厳重に見ていかないと、建設仕事なんでありますから、監督機構ではないのでありますから、この点は十分考えてもらいたいと思いますし、工事能力については問題はございませんか。いかがでしょうか。
  26. 篠原武司

    篠原参考人 公団でただいま仕事をやっておりますが、全体的に申し上げますと、公団の一人当たりの工事費といいますか建設費が、四十六年度で大体四千五百万円くらいの工事を一人が担当しております。  それから、今度民鉄関係仕事を御用命いただいてやる場合の要求としては、全体として三十人見当くらいを要求しておりますが、こうなりますと、約四億くらいの工事になりますので、管理費の負担というのは非常に軽いというふうに考えております。これがもう少し削られると、もっと四億とか五億とかあるいは六億とかということになると思いますが、一応そういうような要求をしておりまして、極力人件費をかけないように、工事費に大きな負担をかけないようにわれわれは考えてやっていきたいと思っております。
  27. 久保三郎

    久保委員 蛇足ですが、私が心配しているのは、国鉄の新線建設に対しては御案内のとおりです。そうでしょう。そういうことを前提に置けば、この際はもう少し考えてほしいと私は思っているのです。これは人員を減らすということはたいへんなむずかしいことです。ふやすことは簡単にふやせますが、その辺のことも考えられて、ぜひ思いをめぐらしてもらっておいたらば心配なかろうというので、これはほんとうの老婆心でございまして、間違いがあれば取り消してもけっこうです。  以上です。
  28. 小峯柳多

    小峯委員長 田中昭二君。
  29. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ただいま議題となっております公団法の一部改正の内容に入ります前に、私は素朴な質問をまずしてみたい。といいますのは、国民の皆さんは、鉄建公団が行ないます国鉄のいままでの新線建設、それから国鉄の現状というようなものを報道機関を通していろいろ知るわけでありますが、そこで起こってきます素朴な感情は、当初から鉄建公団の設立の趣旨、状況というものはいろいろありましょうが、現在鉄建公団が行なっております建設工事、それから国鉄の状態、さらに鉄道の混雑、輸送の困難といいますか、そういう問題を率直に、敏感に庶民が感じて抱きますことは、たとえばいなかのほうにできます新線が、当初から赤字経営を続けなければならないという見込みが立つものに対して新線建設する、そして、片や赤字経営に悩む国鉄がそれを引き受けて、そしてさらに、どうしようもないような不安と、国民の負担というものの協力をお願いしなければならない。そういうことは全国民の貴重なる税金のむだ使いではないか、このような声さえ聞くわけでございますが、まず鉄建公団総裁並びに大臣、国鉄は総裁が来ておりませんから鉄監局長から、幼稚な質問でございますけれども、ひとつ現状を踏まえての国民に説得力のある御意見をそれぞれ聞かしていただきたいと思います。
  30. 山口真弘

    山口政府委員 鉄道建設公団が現在やっております仕事は、A・B線と申しまして、これは地方幹線並びに地方交通線の建設、それからC線、これは地方幹線、それからD線、これは大都市交通線、さらに青函トンネルの建設並びに新幹線の建設、こういったようなものを鉄道建設公団がやっておるわけでございます。その中で、先生指摘の点は、いわゆるA・B線の点であろうかと思うわけでございますが、これにつきましてはA・B線問題は国鉄の地方閑散線問題との関連でいろいろ論議を呼んでおるところでございますが、私どもといたしましては、A・B線はとにかく、鉄道としての建設ということは、やはり国民経済的に見て有利であるというようなことを十分踏まえて考えていかなければならない。そしてそれが将来の国土開発計画なり、そういったようなものとの関係も十分考え、さらに鉄道網として系絡のあるというか、いい系絡を持ったところの路線網というものにしなければならないというような観点で、これを鉄道としての特性を発揮できるようなものを選んで建設をしていくということにやはり重点を置いていかなければいかぬ、このように考えておるところでございます。
  31. 篠原武司

    篠原参考人 公団の立場から申し上げますと、ただいまわれわれのほうの仕事は五十七線の線を受け持っております。ところがこの中でいわゆる突っ込み線と申しますか、ひげ線と申しますか、そういうような線は樽見線ぐらいでございまして、それにたとえば越美線とか阪本線という問題もこれに入りますけれども、三線を除きまして、あとは全部突っ込み線をつなぐというような形になっておりまして、私どもとしましては、そういうことによりましてその線区の経営がだいぶよくなってくるんじゃないかというふうに思います。  それからもう一つの問題は、私どもは幹線の近代化、合理化したものが新幹線である、それから地方の線区についてもやはり合理化、近代化していかなければならないのじゃないかということを強く感じております。多額の税金を使ってこれが喜ばれないということでは申しわけないというふうにわれわれは考えておりまして、これはぜひ合理化、近代化していかなければならぬというふうに思っております。国鉄もそういうような面でだいぶ考えていただいておりまして、ごく最近に開業いたしました久慈線の一部では、宮古−田老間でございますけれども、かえってその線区で人間が合理化しまして、たとえば保守なんかは部外へ出してしまうというようなことをやったり、あるいは人間を節約して駅なんか無人化するとかいろいろな手を講じまして、宮古の駅をやはり多少金を入れまして、その構内の設備に人が要らないようにしたというようなことで四人減りましたために、結局全体としては一人減ったというような形になっております。そのような形によりまして、地元の地方の方々の利用者に非常に喜んでいただいているというような状態でございまして、今後はそういう方向に強く進んでいかなければならないのじゃないかというふうに思っております。  赤字線赤字線といわれますけれども、このA・B線についてはかえって少なくて、いままで開業したものは三億とか四億程度でございます。ところがC線とかD線D線になりますと非常に大きな金額を国鉄に使用料として出していただかなくてはならないということで、相当の赤字の影響を与えるんじゃないか。たとえば新幹線でも、東海道新幹線ができたときは、最初の二年間は赤字であったわけでございます。それが非常に好転してまいりまして、いまでは非常にドル箱になっておりますけれども、そういうように建設費と見合ってその運営がどれくらい金がかかるかということをもっと慎重に検討しなければならないというように、われわれは考えているわけでございます。
  32. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま鉄建総裁、鉄監局長からお答えしたとおりでございますが、御指摘いただきましたように、新線建設につきましては、とかく赤字に悩む国鉄におきまして、無用な路線をつくるのではないかというような非難がございましたことは事実でございます。ことに前のときにおきましては、貨物輸送を主といたしましたところのものが、炭鉱の廃山によりまして急にその需要が減ってきたというような事情の変更のようなところがございました次第でございます。国鉄本来の使命からいたしますると、国鉄はやはり国民の陸上の大動脈といたしまして、全国くまなく鉄道網を充実することによりまして、国民にサービスをするということが一番そのおもな任務でございまして、ただいま赤字でございましても、将来その新線建設することによりまして地方の開発に非常に役立つ。そしてまた具体的に申しまして、バス輸送ではできない、ほかの代替輸送ではできない大量輸送が必要であるというような方面につきましては、当面赤字でございましてもやはり新線建設をせざるを得ないんじゃないかという面もあるかと思う次第でございます。   〔委員長退席、箕輪委員長代理着席〕 ことに、それがゆえにA・B線の場合は、貸与するときには無償で貸与するというような方法もとっている次第でございます。しかしながらこれは全国の鉄道網から見まして、それからまた国土の再開発、また最近いわれております過疎過密の解済という点から、工場の再配置その他から見まして、重点的に御納得のいく新線建設をいたしていかなければならないというふうに考えておりまして、その方面につきましていま再検討を命じておる次第でございます。
  33. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それぞれいま御答弁いただいたわけですが、庶民的感覚から見れば、そういう事務的ないろいろなお話だけでは通じないような、そういうことになっておることは言わなくてもわかると思いますが、たとえば鉄監局長はその地方の経済的云々というようなことをおっしゃいましたけれども、現実に経済的効果をどのように起こしてくるものなのか、その見通しはどうなっているのだというようなことは、一般にはなかなか理解できないし、またかりにそれができたとしても、それはその地方の問題で、その鉄道を引き受けた国鉄がそれを喜んで引き受けるかというような問題も残るわけでございまして、また鉄建公団はとにかく建設してそうしてやられるということでございますから、それはわかるわけでございますが、この論議はこのぐらいでやめまして、次に本法でやろうとしております、いわゆる大都市の交通輸送手段の確保等という問題でございます。  いよいよ鉄建公団がこういう新線建設をやった場合に、いままでのいろいろな情報を聞いてみますと、必ずしも私鉄がその線を経常した場合に、もちろん輸送力の増強にはなるでしょうけれども、そこで一、二年でも経営困難だというふうなことになりますと、さらにまた国鉄と同じような赤字に悩むという原因をつくるということになるのじゃないか。そういうものに対してもう少し配慮が欠けておるのじゃなかろうか、こういうような感じもするわけです。そのほか新線建設する場合には、いままで新幹線等につきましても、いろいろな住民の反対運動というようなことも聞いておりますし、公害の問題もございますが、まずそのような私鉄がその線を運営することによって赤字なり経常が悪化するということが予想されるならば、その点についての配慮はどのように指導、監督していくものか、その点についてお聞きしておきたいと思います。
  34. 山口真弘

    山口政府委員 鉄道建設は、先生指摘のように非常に巨額の金を必要といたしまして、しかもそれによって得るところの収入というものはすぐにふえてこないという性格を持っておりまして、その意味では懐妊期間が非常に長いわけでございます。したがって、線路が完成いたしましても当分の間赤字が続くということは否定できないところであろうと思います。しかしながら、そういう意味で赤字が続くということであるからといって建設をしないということでは、これはもう大都市交通の対策、大都市への通勤ができないわけでありますから、どうしても建設をしていただきたいということでございまして、そのために今回の公団法におきましては、それにつきまして赤字が出ないようなふうに、できるだけ赤字を少なくするようにということで、資金運用部資金の導入あるいは利子補給ということによりまして資本費の負担を軽減して収支の改善につとめるということにし、さらにこの建設公団による方式によりまして、資金調達というものを建設公団に行なわせて、そして国の財投も含めたもので建設公団をして行なわせてやっていくということで建設をさせる。さらにそれに対しまして二十五年の元利均等償還というような長期の分割の支払いによるところの譲渡ということによりまして、懐妊期間の長い鉄道建設にマッチした姿の償還方法を定める、こういうようなことで処理をしてまいりたいということでございます。
  35. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういうことはいままでずっとお聞きしたわけですけれども、この法案にもそういうものがあることが載っております。それに対する質疑応答を聞いておりましてもわかったわけですが、具体的にこの法案が提案される前から、こういう政府助成ではほんとうに何にもならぬというような愚見もあるわけです。完全な助成でもないし、またこの膨大な建設費をカバーするためには十年も二十年もかかる。これは私鉄の代表的な方の考え方であるわけです。そこで、当然そういうこともお聞きになってそういうような建設資金については配慮してあるわけでございますけれども、私はもう少しきめのこまかい配慮があるんではなかろうか。そのほかに何かないですか。鉄建公団としてでも、また監督する鉄監局としてもほかに考えられませんか、どうですか。
  36. 山口真弘

    山口政府委員 やはり必要な設備投資というものは大いにやっていかなければならぬということがまず大前提でございます。しかしこれをやっていく上におきまして、先生指摘のように、その工事によるところの負担というものを少なくしていかなければならぬというととも御指摘のとおりでございまして、そのためにはたとえば建設費自体につきましても、これはできるだけ安く建設していかなければならぬ。しかも安全かつ能率のいい工率をしていかなければならぬということになるわけでございますから、私鉄のたとえば工事施行の認可を受けたその工事施行の認可に従って工事実施計画を定めるというようなこともありますし、さらに建設費を安くするための負担というものもできるだけ減少していかなければいかぬということで、先ほどお話がございましたような譲渡、貸し付けの問題等につきましても、管理費負担を軽減するという趣旨も少しございます。そういったようなやり方、ざらに鉄建公団の組織等もできるだけ簡素にいたしまして、そして管理費負担を軽減をするということもございます。さらにこういう建設につきましては、ニュータウン等につきましては、ニュータウン工事の施行者というものからも助成を受ける。その他地方公共団体からの助成というものも受けて、そしてできるだけ建設費を安くし、さらに建設工事ができるようにつとめていきたい。こういうことであります。
  37. 山口真弘

    山口政府委員 失礼な言い方ですけれども、あなたはそういうことをここで言っておけばいいんですよ。実際やるのは、公団建設してそれを引き受けてやるのは私鉄なんです。そこの論点をはずしてもらっちゃ困るんです。それは私たちしろうとであなたよりも頭はよくないと思っております。だけれども、私がしいてほかに何かございませんかとこう申し上げたわけでございますから、それを言わなければわからないということになるわけでございましょうから、その一つの例として申し上げてみますが、その前に、どんなに頭が悪い私でも、新線ができて一、二年は赤字になるだろうということはわかります。そんなことは当然考えますが、目に見えないものが何かありはしないか。たとえて言えば、その新線を敷けばその周辺は開発されるための利益もあるでしょう。その反面、いま言ったような公害闘争みたいなことも起こるでしょう。そういうものとのかみ合わせも当然考えなければ、実際起こってくる問題が予想できぬではございませんか。先日から問題になりました農地の宅地並み課税でもそうです。国会では密約問題とかいろいろ人をだますようなことが多くありますが、そういう意味で論議をするのじゃなくて、あの宅地並み課税にしましても、これは直接関係ないことですが、私は開発利益というものに対してどういうふうな考え方を持つべきかということで話をしておるわけですが、あれなんかでも土地の評価に対する税金の完全な先取りですよ。いまわが国の税制というのは、土地を売ったときにたくさん税金をもらうようになっておるんです。それを売る前に何らかの方法で自治省が考え出して農地を宅地並みの評価にし直して税金を取ろう。ですからこれだけの鉄道建設をするならば、それと直接関係ありませんが、それによって起こるところの一切のものは運輸省で責任をもって調整をしていくというような考えがあるのではなかろうか、こう思うのですが、その問題をどうするかは皆さんの専門家のほうが勉強してもらわなければならないものだと思います。大臣、こういう問題はいかがでしょうか。私の考え方は間違っておるのでしょうか。それとも間違ってないとするならば大臣のひとつ積極的にそういう問題に対する前向きの御答弁をいただいておきまして、あとで研究してもらうということで進めていきたいと思います。いかがでしょう。
  38. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの先生の開発利益の還元の問題、そうしてまた公害等に対する手当ての問題、ごもっともなことでございます。当然予想されることでございます。またそれを予想に入れましてこれらの計画を続けていかなければならない、両方とも重大な問題だと私は思っておる次第であります。しかしながら開発利益の還元の問題は、私どもも常に——ことに私鉄の場合でございますと、私鉄は自己計算によりまして運賃によって収支を償わせるといった場合に、どのくらいの開発利益を私鉄に還元させるかという問題がこれから一番大きな問題、いまも非常に論議をされておる次第であります。運輸政策審議会におきましても常に学者間にその論議がかわされておる次第でございまして、また土地の値上がりその他につきましてそれらをいかに捕捉するかということが論議をされておりますが、大蔵省におきましても、またこの政策審議会におきましても、具体的にそれではどの方面の開発利益を吸収できるか、どういう方法でやれるかということにつきまして、ほんとうに申しわけない次第でございますが、まだその具体的の案がない次第でございます。実は私ども、昔新しい都市計画法をつくりましたときに市街化区域と調整区域とを分けましたときも、それらの問題につきまして、市街化区域につきましては何らか空閑地税とかその他の方法によりまして土地の値上がりに対する開発利益を国に還元する方法、地方公共団体に還元する方法をいかにすべきかということで論議をした次第でございますが、相当長い期間これを私どもも研究している次第でございますが、まだ残念ながらそれの具体策がないので非常に因っておる次第でございまして、ただいまではやはり一般の国税によりまして何らかの、先ほど先生が御指摘になりましたように土地の売買のときにおけるところの増加所得につきましての課税をする、それが一般財源になりまして、その一般財源のうちから幾ぶんでもそういった企業に援助をし補助をし利子補給をするというようなことより、いまのところ方法がないと思っておる次第でございます。これはさらに先生方のいろいろのお知恵も拝借をして何とかしてこれを解決してまいりまして、合理的の結論を得なければならない問題と思っております。  今日の国鉄の運賃適正化の問題につきましてはこれがいえると思いますが、私鉄の場合になりますと、また一面におきまして私鉄は兼業といたしまして不動産業その他をやれるものですから、その資産におきまして新線建設する、その付近の土地を買うとかいろいろの問題におきまして、それらのことで、ある程度開発利益を回収するという道も開けているわけでございますが、国鉄におきましてはそういうような道が全然開けておりません。それゆえに国の補助というものも多額に要請をしておるのでございますが、それらの問題を合わせましてこれからどうしても研究していかなくちゃいけない問題、解決をしていかなくちゃならない問題だと思っておる次第でございます。  それからもう一つ、新線建設にかかる公害防止。これからは新しい、ことに公共輸送機関建設につきましては、この公害防止というものを伴わなくては建設は不可能でございます。それらの点も十分勘案をいたしまして、先ほどもお話がございましたが、いまのお話で不十分じゃないかということですが、確かに今日の処置だけでは不十分でございます。地方におきましても百二十五億でございます。金利の点また出資の点等につきましても、まだ出資あたりにつきましては何ら具体的の決定を見ていないわけでございますが、一歩前進の法案といたしまして出した次第でございます。将来先生方の御協力を得まして、これらの点につきまして国の助成それから財投の拡大、利子補給の拡大等のことを通じまして都市交通の難を防いでまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  39. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、おことばを返すようでたいへんあれでございますが、一歩前進の法律であるからどんな粗雑であってもいいということじゃないのです。かえって混乱するのです。しかし、いまの輸送力を考えた場合に、こういう手を打つ以外にないでしょう。だから、ないとするならばその出発にあたって私は、当然そういうものも考えておかなければ結局は皆さんが批判されることになりますよということを申し上げておるわけです。先に大臣に聞かずに鉄監局長に聞けばよかった、大臣が答えられたら鉄監局長答えにくいと思いますが、いずれにしろそういうことを部内で考えられたとするならば、そういう考えられたことがどういうことがあったか、ございましたら少し意見を聞きたいと思います。
  40. 山口真弘

    山口政府委員 まずあとの騒音の問題でございますが、これにつきましては実は最近特に新幹線騒音が非常に問題になっておりますけれども、新幹線騒音以外にその他の騒音につきましても当然考えなければならぬ問題でございます。  それで従来、私鉄に関する騒音におきまして問題が二つございまして、一つ工事中の騒音の問題、それからできてしまってからの騒音の問題と二つあるわけでございますが、まず一番問題になっておりますのは工事中の騒音でございまして、これはやはり解決をしてまいらなければいかぬと思います。  そこで私ども、今回こういったような工事をやる場合におきましては、たとえば工法におきましても騒音の少ない工法を使わなければいかぬ。従来くい打ち機などを使っておった場合に騒音が著しいわけでございますが、そういうくい打ち機を使わないで、たとえばアースドリルの使用といったようなことによりまして騒音、振動を少なくするというような工法上の措置、それから工事時間等についても地元との話し合いによるわけでございますが、夜間作業中止の問題というふうなことでやってまいることになりまして、工事によるところの騒音というものも地元に御迷惑をかけないような配慮をしてまいる。それから、できまする施設につきましては、当然その設計等につきまして、これは私ども工事施行の認可の段階で関与をいたしておりますが、その段階におきまして、たとえばロングレールの採用をするとかあるいはレールとまくら木との間にパットを入れるというようなことによりまして騒音を減少するとか、あるいは砕石道床の厚さの問題を解決をしていく、あるいは鉄けた橋が非常に騒音が大きいわけでございますので、なるべく鉄けた橋を使わないで有道床のコンクリート橋を使う、あるいは線路わきの防音壁を設置するというようなことで、今後騒音の問題あるいは振動の問題等に対処してまいるということにしてまいりたいと思います。  それから前者の問題でございますが、これはもう大臣から詳しく申し上げましたが、先生おっしゃるとおりこの開発利益を何とか吸収をしなければいけない、鉄道建設によりまして非常に地元に御利益を与えるわけでございますから、その御利益の幾ぶんかは鉄道の施設者に還元をするということは当然のことでございますが、ただいま大臣から申し上げましたように非常に技術的な問題が多々あるわけでございますので、今後先ほど大臣が申しましたような措置に従いまして検討してまいりたいと思います。
  41. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 まあとにかく何をやるのでも金が要るわけですから、金の裏づけもちゃんとして、開発利益についてはこうだというような議論をしてもらいたかったのですよ。部内でも何かそういうことの論議をされたでしょうから……。けれども、ただ一つのワクにはまって法案がこうできて、これはもう完全無欠だというような行き方では一つも審議するあれはないじゃないですか。ですから、運輸省所管でいえば、空港整備に関しましても運賃値上げ、着陸料の値上げ、援助料の値上げというふうなもの、そういうものの財源を航空騒音とかいろいろな空港整備対策に充てるということ、それがいいかどうかわかりませんけれども、私はそれが運賃値上げにはね返ることは全面的に賛成できませんけれども、いまの開発利益ということももう少し深刻に考えて、大蔵省にでもどんどん言うべきことは言わなければいけないというのですよ。そういうことを言うことについては私たちは協力してあげましょう、こう言っているわけですから、まあむずかしい問題があるから言うべきところにもものも言わないということでは、鉄監局長がまたどこにかわられるか知りませんけれども、これは先ほどお話があった事務次官になられてもつきまとう問題です。ひとつ鉄監局長のときにこういうことはきちっと、こういう法案を出すならば考えていかなければいけないと思うんです。  どうですか鉄建公団のほうで何かそういうことに対する考えはございませんか。
  42. 篠原武司

    篠原参考人 この開発利益の還元の問題につきまして大臣からお話のありましたように、また鉄監局長からもお話がありましたようにいろいろ技術的に非常にむずかしい問題がございます。たとえばその地域で駅付近を買っておくということにしましても、その回りとの格差でもって非常に不公平が出てくるとか、いろいろな問題がございまして、これは事実実施する場合に非常に問題が出てくると思います。それで、そういうようなことで私どもまだ確信はございません。
  43. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 まあ公団のほうはそういうふうに言っておけばいいわけですが、私はどうしてもいまの御答弁ではたいへんに情けないです。かりにこの開発利益を、先ほどの大臣の話を中心にしていきますと、国鉄は関連事業をどんどんやれないから困るのだ、私鉄はどんどんやれる、不動産業でも何でもどんどんやれる、そしてそういう企業体で新線をつくってやるわけですね。そうなりますと、その新線ができる前から私鉄企業はそういうものにちゃんと周到な計算をするでしょう。そうしますと、その企業はあなたたちがお考えになっているような方向に金を使うかというと、私はこれは疑問なんです。ほんとうはその金はその新線の保安設備、安全確保というような面に使うということを義務づけて出発しなければいけないじゃないか、私はこういう考えを持っておるわけですが、もう一ぺん大臣からその点を含めてお答えをいただきたいと思います。
  44. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いまお話がございました保安その他の施設の充実、これは絶対に必要でございます。開発利益を使う使わないでなく、まず第一番にしなければならないことは、交通安全の立場からいたしましてもその点でございます。また、今日鉄道を敷設いたします場合に、騒音の防止その他のことをいたしませんでは、そこにおきますところの付近住民の御了解は得られないことになりますので、やはりどうしてもそれをしていかなければならない。もちろん、十分にそれをできるように私どもも指導いたすつもりでございますが、鉄建公団といたしましても、これをしなければ建設ができぬという立場でございますので、十分その点は勘案をしてまいるつもりでございます。  また、いまお話がございましたが、いまの状態では、開発利益につきまして具体的に事業主体に還元することがむずかしい。一般の税として取りまして、税から企業体に戻る、補助をするという方法でございますので、そういう方面につきましては、私ども極力財政当局にも要請をする次第でございます。ただいま御協力をお願いできるというありがたいおことばでございますので、われわれの今日の目的が十分達成されるように一そう御協力をお願いしたい、こう思う次第でございます。
  45. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 こればかりかかっておれませんが、とにかく私としては心配が残るのですよ。この法案が出た以上は、これに関連する、いま言いましたような目に見えない動きというものが、住民の、また利用者の、また企業のためになるような裏打ちをしてやらなければならぬ。それをやらなかったためにいろいろな問題が起こってきて、たいへんなことになった場合の責任はだれがとるかというような、そういうことまで考えてやってもらわなければいけないと思いますが、一応そういうことを意見の開陳にとどめたいと思います。  そこで、もう少し具体的な問題に移っておきますが、先ほどからお話が出ておりました、新線建設する場合に、その大体の予想といいますか、建設されるだろうという線が出ておるわけでございますが、この建設路線がその地域のいわゆる都市計画並びに都市交通政策——鉄道建設審議会もございますが、こういうものとの総合的検討が当然なされていくことが前提でなければいけないと思うのですが、その点は、先月の初めでございましたか、答申が出ておりましたね。そういうことと何かちぐはぐな、ばらばらな行き方ではないかというように私感ずるのでございますが、その点いかがでございますか。
  46. 山口真弘

    山口政府委員 この法律では、建設なりあるいは複々線化すべき路線につきまして具体的に指定をしておりません。それは申し出に基づきまして、運輸大臣事業計画を指示するという形で処理をしてまいるわけでございますが、先般、先生お話がございましたような都市交通審議会の答申がございました。これは東京、大阪、名古屋につきまして都市交通審議会の答申がございまして、将来にわたりますところの都市高速鉄道整備の基本的な方針、計画ということで答申をいたしたわけでございますので、こういったようなものに当然のっとりまして新線建設なり複々線化等が進められることに相なるわけでございます。法律上のつながりはございませんが、実際上の運用といたしましてはそういうことでやってまいりたいと思います。
  47. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 路面に軌道を敷く場合にいろいろな問題がございますが、人命の安全という面から考えれば、悲惨な踏切の事故というのがございますが、新線建設については、先ほどから話が出ておりました高架化の問題、こういうことが一番いいんじゃなかろうかと思うのです。この人命の安全と事故の撲滅ということは、新幹線の高架の状態を見ましても当然裏づけされるものでございますし、そういうことを考えますと、この高架事業と新線建設との関係をどのように考えておられるのかお答え願いたい。
  48. 山口真弘

    山口政府委員 先生指摘のように、いま鉄道建設する場合に、踏切事故をどうして防止していくかということが事故防止の一番のポイントであろうかと思います。それで私ども新しい鉄道建設なり複々線化をするという場合には、当然道路との立体交差ということを前提として工事を実施してまいらなければならぬわけでございまして、ここに書いてございます新線建設あるいは地下鉄との直通あるいは複々線化、いずれも原則として道路との立体交差、高架化あるいは地下化という形で建設をするという形になるわけでございます。
  49. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 その高架化をする場合の費用負担は、現在の法律、規定等でどういうふうにきまっておりますか。
  50. 山口真弘

    山口政府委員 新たに建設をする場合は、その費用はもちろん鉄道事業者が全部負担するわけでございます。それから複々線化をいたします線増の部分、線路増設に関する部分につきましても、当然これは鉄道事業者の側が全部負担するということに相なります。ただ、従来からある鉄道を高架にするという場合につきましては、これは運輸省建設省との間で費用負担の覚え書きを結んでおりまして、原則として鉄道側が受益の部分を負担する、その他は道路側が負担するという形の負担区分になっております。
  51. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この法律によります私鉄の新路線の高架化というような場合には、実際はそれをつくります公団が全部負担してやるというわけですね。  そうしますと、高架にいたしますと、高架に開通するいろんないわゆる開発利益の問題も出てきますが、端的にいえば高架下の利用ということが起こってくると思いますが、そういう点まではどういうふうになっておりますか。
  52. 山口真弘

    山口政府委員 新しくこの法律によりまして新線建設をいたしたりあるいは複々線化をいたしまして、それが高架で行なわれるというような場合につきましては、ただいま先生指摘のように、その高架にしたところの新線建設というものは当然鉄道事業者が負担をしているわけでございます。その高架下その他の使用でございますが、これは鉄道建設公団が負担をしてつくったものでございますから、そのままの姿でこれは私鉄事業者譲渡するというかっこうになりまして、私鉄事業者が高架下の利用等をするということに相なるわけであります。   〔箕輪委員長代理退席、委員長着席〕
  53. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、そこには、つくったほうの鉄建公団は、いままでの例で見ますと、いわゆる建設した原価で譲渡するということになりますね。そうしますと、引き受けた私鉄のほうは、たとえばその高架下の利用についても、全部利用なり運用についてはその利益を受ける、こういうことになりますか。
  54. 山口真弘

    山口政府委員 高架にされた姿の新線建設なり複々線化を行なうということになりますと、その施設は当然、土台の部分からあるいは軌道の部分まで、全部を鉄道建設公団から私鉄事業者譲渡するということになるわけでございますから、したがって、譲渡を受けたその鉄道事業者がその高架下その他を運営をするということに相なります。
  55. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういうものに対するもう少し、こまかい配慮もなされてないというように思います。この問題は、また別途話を進めるということにしまして終わっておきたいと思います。  大臣、時間もあまりございませんが、私は、先日うちの松本委員がいろいろお尋ねした中で、この法案、こういう姿で建設をやるとすれば、その建設がなされて私鉄が営業を始めるという時点を当然想定しなければいけない、こう思うのです。まあ、一年で数百億の投下をするし、また完成までには何倍かの税金の投下を行なうわけですから、その完成の時点が一年でも二年でも狂うということは、私はこの法案を可決する七においては重大な影響がある、こう思いますから、どうか、いろんな論議はいままでずっとされてきましたから、それを思い出していただきまして、今度のこの改正の自的であります、輸送手段を早急に確保しなければならないとか、交通の混雑の緩和ということはもう一日でも早く、間違ってはならない。予定しておったものが早くなれば、それだけ輸送の緩和ができるし、混雑の緩和ができるというふうに思いますから、大体の見通しを、いつまでというふうにひとつお聞きしておきたいと思います。
  56. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問、ごもっともでございまして、私どもも一日も早くこの新線建設いたしまして、ことに、どんどんでき上がっております団地間の問題、また線増の問題、都市交通緩和のためにやりたい。それがためには、何と申しましても資金調達が一番でございますから、これを、もうほんとうに、極力、私どもも積極的に努力をいたしましてやりまして、予定の期日以内にやらすというつもりでおります。  予定の期日につきましては、ただいま鉄監局長から御答弁いたさせます。
  57. 山口真弘

    山口政府委員 具体的な路線につきましては、この法律にきめられてございますように、事業者からの申し出がございまして、そして、その申し出に基づきまして、運輸大臣が、工事実施計画を定めて、公団に指示をするわけでございますから、したがって、どの線につきまして何年ということを、現在まだ具体的に申し上げる段階ではございません。  ただ、しかしながら、当然、たとえば多摩ニュータウン線をとるということにいたしますと、その多摩ニュータウン線につきましては、工事の一応の計画がございます。その計画に従ってやってまいりたい。実は、多摩ニュータウン線がまだきまっておりませんから、かりに多摩ニュータウン線をとるとすれば、四十九年三月までには何とか完成したいというふうに考えておりますので、かりにそれをやるとすれば、当然それまでに完成をさせたいと思います。
  58. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、早いというてもあまり早くないのですね。その当時になれば、どれだけその過密が、混雑が予想されるかわかりません。  そこで、時間もございませんから、同僚委員にまた関連の質問の時間を与えてもらっておりますから、私最後に、いま新聞報道等で問題になっておりますこの国鉄の、動労組と当局とのいろんな労使問題が問題となっております。この報道を見てみますと、たいへんこれ残念なことであります。こういうことによって混雑が続くことによって、何の関係もない利用者、国民がたいへんな不便と不安と影響を受けておるということに対する大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  59. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御指摘をいただきました、最近におきまする国鉄のいろいろの闘争過程におきましてダイヤの乱れを生じまして、国民の皆さまに非常に御迷惑をかけておりまして、監督の責任者といたしましてもまことに遺憾に存じておる次第でございまして、実は昨日の閣議でもその問題が出た次第でございますが、私どもいろいろの理由はあると思う次第でございますが、何と申しましても、この際労使双方がほんとうに協力し、一体になりまして、そうしていかにして国民の足を確保するか。同じ労働争議におきましても、一番に国民に及ぼす影響の強い公共事業でございますので、いろいろの点におきまして、たとえば新聞に出ておりますような、伝えられているような、故意に職場を離れるとか、あるいはまたそういうような食事のために発車を延ばすとかいうようなことはやはり好ましいことじゃございませんので、そういうことがないように十分指導してまいりまして、一日も早く正常な労使関係の秩序の確立につとめまして、そうして国民の足としての自覚に立っての国鉄の経営ができるよう、十分に私のほうでもって指導監督をしてまいりたい、こう思っている次第でございます。
  60. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 これにつきましては、次の宮井委員がまたいろいろお尋ねすると思いますが、私はいままでのこういう問題に対する政府のやってきたことを振り返ってみましても、どんなことを指導しても、その指導がほんとうに組合員の一人一人まで徹底しない。受け入れられない。だから、どんなに指導する、どんなに監督をするといっても、一つも問題が解決しないというのがいままでの状態なんです。そういう状態に対してさらにまた指導監督をしますというようなことでは、私は問題がさらに悪化する、このように申し上げておきたいのです。かりに大臣が現場に行くということもできないとするならば、しかるべく鉄監局長なり国鉄責任者なりが、ほんとうに現場の働く人たちのことを聞いてあげようという態度を示すだけでも、私はこの状況は解決の糸口が見つけられるのじゃなかろうか、こういうことを強く要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  61. 小峯柳多

    小峯委員長 関連質問を許します。宮井泰良君。
  62. 宮井泰良

    ○宮井委員 せんだっての大臣に対する質問に保留しておりました分を質問いたします。  時間がございませんから、私のほうから五点だけ先に質問要項を言いますから、大臣から簡単にこの五つの問題を答弁していただきたい。ほかの局長その他の答弁は一切要りません。大臣だけにお伺いします。  利用者の国民の立場に立って、私は、いま問題になりましたこのATS闘争、まあ労働組合のほうも、一般乗客としてももうこれは、何といいますか、理解に苦しむということで、また、当局も当局だ。どろ沼の様相になっておりますが、先日の運輸委員会で私は大臣に、このATS闘争によって通勤のダイヤが乱れて大衆が非常に苦しんでいるという質問に対して、大臣は、労使双方が円満に解決していくよう努力すると、このように答弁されました。それにもかかわらず、十一日の閣議では、ATS闘争は違法であるという大臣の見解を述べたために、組合はさらに反発してどろ沼に入ってしまっておる。このことにつきまして大臣は、事態を解決していくと言いながら、逆に紛争の火に油を注いでいるんじゃないか。私はその責任を明らかにしてもらいたい。これが第一点であります。  第二点は、十一日は首都圏の国電区間で約十六万人の足が乱れ、それによって上野駅のホームで左足首を骨折した会社員、京浜東北線神田駅においては女性の会社員が電車の窓に手をつき、ガラスで十日間のけがをした、こういう負傷者が出ております。もしこのままでいくとしたならば、死者が出た場合には大臣は責任をとりますか、この点が第二点です。  第三点は、閣議の席上で佐藤総理は、事態を収給するために国鉄機関士の代替要員を用意してはどうか、このように提案をしておると聞いておりますが、具体的にどう進めておられるか、これが第三点。  第四点は、動労が告発した国鉄当局のミスとして、中野電車区でパンタグラフの故障が判明していたのに、その列車を検査掛を乗せずに発車さした。あるいは新鶴見機関区でも、当直助役が運転時刻の変更を乗務員に指示するのを忘れたというような事故があったが、これらのことについて大臣はどういう見解を持っておるか。これが第四点です。  最後に第五点は、順法闘争で貨物の運休が続出しております。東京などの大消費地では生鮮食料品、キュウリ、ナス、大根、タマネギ、ニンジン、アジ、サバが次々に値上がりをしておる。経企庁は国鉄当届に、生鮮食料品の貨車輸送に万全を期してほしいと申し入れておりますが、さらに長期化しますと一般物価に非常に影響が予想されております。佐藤総理は本会議でも、五・三%に物価上昇率は押えますと、私が質問したときも答えられましたが、庶民は物価上昇へのATS装置がほしい、このようにいっておるわけであります。担当大臣として、この事態をどう解決されるのか。  以上の五つについて的確に答弁を要点だけお願いしたいと思います。
  63. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの、私がATS闘争は違法と言ったために争議に油をかけたんじゃないか、こういう御質問と思います。私はATS闘争を必ずしも違法とはっきり断定したわけではございません。私が申しましたのは、やはりいろいろの事業規則に違反をしておればこれは違法になるということを私は申している次第でございます。でありますから、それをあれしまして、ほとんどほかの新聞にはそういうふうに報道はしていないと思っている次第でございますが、何と申しましても、この際、やはり正常なるダイヤを、争議といいましても、乱すというようなことはやはり好ましくないものと思っている次第でございますが、やはり根本は、私は何べんも言っております、労使間が協調をとりまして、そうして国民の足の、運送事業をしているという自覚に立ちまして、一刻も早く解決をしていただくことが一番の念願でございます。しかしながら、実際問題といたしましては、公共企業体がやっている仕事でございます。公共企業体の経営者、またその労働組合が一体となりまして、早くこれを解決することを心から望んでいる次第でございます。  それから第二に、死者が出たらどうするかということでございますが、これはもちろん私ども、交通輸送につきましては、絶対人命尊重、安全第一ということを念願している次第でございますので、そういうことが絶対にないことを心から願っている次第でございますので、十分注意をしていくつもりでございます。  また第三の、代替要員を総理がお話しになったというお話でございますが、私は、はっきりそういう御発言があったかどうかということはそれほどいま記憶に残っておりません。どういう意図でお言いになったか、私は残っておりませんので、記者会見でもそのことは私から申し上げてない次第でございます。  それから、パンタグラフの問題が新聞で伝えられておった次第でございますが、これはいま国鉄当局をして調査をさしている次第でございます。  生鮮食料品の問題、これにつきましてはぜひ輸送を確保しましてやっていかなければならぬということで心配をしている次第でございます。国鉄当局におきましても輸送貨物列車につきましても、そっちのほうを優先的にやるというような方法をとっているようでございまして、ただいまのところ、きょうあたりの、先ほどのラジオにおきましても生鮮魚介のほうはやはりちゃんと時間どおり間に合ったというようなことをいっている次第でございますが、さらに気をつけまして、私ども、いやしくもこれらの問題によりまして物価上昇にならないように十分に配慮をして注意をしてまいるつもりでございます。
  64. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、時間がありませんから終わりますが、まあ答弁を聞いておりましても納得できません、抽象的なことですから。心から願っておるとか、望んでおるとか、こういうことでは解決しないと私は思いますから、さらにこの問題が解決するまで見守っていきたいと思っております。以上。
  65. 小峯柳多

    小峯委員長 午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ————◇—————    午後二時九分開議
  66. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、理事辞任の件についておはかりいたします。  理事古屋亨君から理事辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 小峯柳多

    小峯委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  ただいまの理事辞任に伴う、その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。それでは、理事細田吉藏君を指名いたします。      ————◇—————
  69. 小峯柳多

    小峯委員長 日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。田代文久君。
  70. 田代文久

    田代委員 まず、大臣にお伺いいたしますが、経団連が、私鉄関係の予算が編成される前に、私どもはこういうことを伺っておるわけです。それは経団連から次のような要求があったということであります。  その第一は、私鉄工事に地下鉄並みの援助をすべきである。第二は、公共企業体による新線建設をやめて、そうしてまず私鉄の在来線を改良さすべきだということ。第三は、私鉄のいわゆる近代化投資の三分の一を政府補助とすべきである、踏切改良工事の援助のワクを拡大してほしい、それから地方の民鉄の経営の援助をふやせ、こういうような要望があったということを私どもは聞いておるわけです。  それで、私どもは、この法案を見ました場合、大体そういう方向が基礎となっておるんじゃないかというふうに思うわけです。ところが、それにこういう露骨な私鉄本位の要求に対しては、ぐあいが悪いというふうにお考えになったかどうかそれは知りませんが、とにかくそういう通達があったと思うのですけれども、そういうところから事業構想というものがまず考えられて、その中で予算ということも考えられる。それから、多摩のニュータウンの問題については、無利子資金の投入というような方向が出るというようなことがあったですね。これも、いろいろの批判とか問題があって、これが後退してくるということになったということを承っておりますが、大体、政府としては、運輸省としては、そういう経団連などの私鉄民鉄本位の方向でこの法案がやられているのかどうか。私どもはやはりそういうふうに思わざるを得ないのです。  そうしますと、これは、国鉄はもちろんですけれども私鉄にしましても、公共的な使命ということが中心的な眼目になっていることは明らかだし、また、その原則を後退させてはいけないと思うのですね。ところが、実際においてどうなっているかと申しますと、一例を申し上げますと、いわゆる公共的な使命というようなうたい文句で、そういう軌道の敷設の認可をとるという場合にはそういうことを盛んに言って、実際においては、認可をとった後においては、がらりと態度が変わって、そうしてひたすら採算ベースのみになってしまって、そして一応計画しておる計画線までもとにかくサボタージュしてやらないとか、あるいはまた実際において、そういうことをやらないために、これはこの前も私が質問いたしたのですけれども、たとえば去年小田急で大きな事故が起こったことがあったと思うのですが、ああいう問題に十分対処されて、そうして許可をとるときには一応とっておるけれども、実際においては、計画を変えるとかサボタージュするとか、あるいは踏切安全のためにいろいろ施策を講じますというようなことを言っておりながら、実際において講じないために事故が発生しておるというような問題について、どのように指導され、また先ほど申しました経団連が出したような方向でこの法案を考えられたかどうか、その点について、それはいけないというふうな方向をとられたのかどうか、その点をまずお尋ねしたい、このように思います。
  71. 山口真弘

    山口政府委員 私鉄に関する設備の増強でございますが、これは輸送力増強と運転保安工事ということが大切でございまして、先生指摘のような踏切事故に関連いたします踏切道の改良あるいは踏切保安設備の整備というのは、運転保安設備のほうに入っております。そういう設備でもってこれを私鉄は鋭意輸送力増強三カ年計画あるいは五カ年計画ということでやってまいっているわけでございまして、その成果も着々と上がっておると私ども考えております。  ただいまお話ございました小田急の去年の十月の事故と申しますのは、これは踏切設備の問題では、ちょっと設備が悪いからという性格のものではないように私ども承知しております。これは列車選別装置というものがついておりまして、列車のスピードによりまして踏切の遮断が異なってくるというような性格の設備がついておりまして、その設備の問題ではなくして、この取り扱い上の教育の不徹底ということであったように私どもは考えておりますが、いずれにいたしましても、とにかく輸送力の増強、運転保安工事というものは、これは大いにやらなければいけないということは、先生指摘のとおりでございまして、その方向に進めておるところでございます。ただ、今回の鉄建公団法の改正によってやりますところは、一応、基礎的な輸送施設、特に多摩ニュータウン等の新線建設してその輸送の足を確保するとか、複々線化工事をいたしまして輸送力の増強をして輸送を緩和するとか、あるいは地下鉄への直通乗り入れというような工事をいたしまして、そして利用者の便益をはかるとともに輸送力の増強をはかるというような性格のものでございます。  なお、経団連等からの要求によってやったものではないかということでございますが、これは、そういうことではございません。私どもといたしまして、どうしてもこういう方策をとらなければやっていけないということで法律を提案した次第でございます。
  72. 田代文久

    田代委員 いまの御答弁で納得することはできません。これは明らかにやはり経団連のそういう方向のとにかく圧力が非常に入ってきて、そうして運輸省が全然そういうことに影響を受けておらぬというふうには見えない。この法案自身が証明しておると思うのです。  そこで、とにかくこういう法案の内容でやられた場合、実際都市交通のこの非常な混雑から安全というものが十分確保されるかどうかという点について、これは疑問を持たざるを得ないと思うのです。そのために、これはきょうの午前中の久保同僚委員の質問の中でも非常にはっきりしたと思うのですけれども、やはり資金をとにかく私鉄民鉄のためにどのようにやりくりしてやるか。この民鉄は、われわれの税金のたくさんかかっておるこういう国家の予算、国家の資金というやつを十分自分のほうに活用して、そうして営利を中心にやるというふうな方向が出ていることは、もう非常に明らかだと思うのですよ。結局資金の問題だ。しかもその一部は地方自治体にまでこれをかからせるというようなことに法案の内容がなっていることは明らかだと思うのですよ。ですから、そういう観点からやられていることは正しいかどうかですね。  そこで、私がはっきり伺いたいのですが、現在、そういう民鉄私鉄が大体どういう経営方針をとっておるかということについて、運輸大臣はどのように御理解なさっておるか。結論から言いますと、こういう私鉄民鉄は輸送の軌道網を非常に軽視して、これはもう一種の副業でやるというような方向にこれはとられているのじゃないか。実際においてその他のレジャーとかあるいは住宅の問題とかそういう方面で非常に利益をあげていけばいいということで、またいままでの資金も、黒字があがったのはそっちのほうへどんどんつぎ込んでいって、そして軌道路線における赤字というものが出れば、国家資金とかあるいは地方自治体の資金というものに依存してそれでやっていくというような、非常にえてかってな経営がなされているのじゃないか。事実、実際問題において、民鉄自身が、鉄道の軌道というものは副業としていくのだということを公言しておるじゃないですか。こういうことになれば、公共性とかなんとか言っても、実際において公共性が中心的な原則として続けられるのではなくて、結局は国家資金を食うために言っているにすぎないのであって、資金をうんと出させて、そしてやって、そこだけで計算すればこれは赤字だというようなことを言って、そしてすぐそれに基づいて賃上げを要求してくるという方向へいくことは明らかなんですね。ですから、私どもはいろいろ調べ、運輸省自身も調べられておると思いますけれども、実際に私鉄はそういう点で赤字でも何でもなくて、非常に大きな利益をあげているということは明らかだと思うのですが、そういう点について、利益をあげつつそういう方向でもっていって、そして副業化と腹のうちではいって、それを非常に軽視していく、こういう姿勢ではたして都市交通が円滑に、また住民が、われわれが要求しているような交通の緩和というものが軌道に乗るかどうかという点について、はっきりと御答弁を願いたいと思うのです。
  73. 山口真弘

    山口政府委員 大手私鉄の経営状態でございますが、この点につきましては、全体として見ますれば明らかに相当の利益を出しまして、九%ないし一〇%の配当をいたしております。その意味では全体として営業成績は決して悪いと言うわけではございません。しかしながら、鉄道業をとってみますと、これは非常な赤字でございまして、先般運賃改定をいたしましたにもかかわらず、依然として赤字でございまして、その鉄道業の赤字を兼業部門で埋めて、そして利益をあげ、配当をしているというのが実態でございます。  しかしながら、そういう経理の状態でございますが、鉄道業は本業でございます。しかも、その本業たる鉄道業は公共の利益のために運営をされているわけでございますから、したがって、これは大いに力を入れていただかなければならぬわけでございます。ただそうはいっても、鉄道業は、設備投資の金も非常によけいかかりますし、それから投資の採算性というものも非常に悪いものでございますから、これをほうっておくならば、輸送力の増強なり複線化工事というものもなかなか進まないというのが実情でございますので、これに対しまして国として助成をいたしまして、そういう工事を進める、それによって住民の便益を促進し、また輸送の安全を確保するということが必要なわけでございまして、今回の公団法改正もそういう趣旨に基づくものでございます。
  74. 田代文久

    田代委員 いまああいう説明でございますけれども、これは私は、時間がないからやめてくれというお話ですから具体的な数字をあけることはできませんが、数字ははっきりしております。非常に大きな利益をあげておるわけですよ。そしてあげた利益を、いま言ったように、軌道のほうに十分回してとにかく輸送を円滑にするといういわゆる基本的な原則方向に持っていくのではなくて、ほかのほうに回して利益をあげる、またあがった利益の収支決算のやり方も、そういうやり方によって、赤字がふえて、軌道の方面においては非常にもうけが少ないのだというようにやられていることは、実際において私たちが調べた数字の上でもはっきり出ているわけです。ですから、そういういまの御説明のとおりということは、私は最初に申し上げたように、経団連が主張したような、私鉄なり民鉄を、いかに営利主義の、いわゆる公共性というものを全然無視した、もうけるということに最大限の援助をするという政府運輸省の姿勢そのものにあらわれているというふうに私は言わざるを得ないと思うのですよ。そういうことが基礎になっている法案が、どうしてこれが都市における交通を非常に緩和したり、あるいはニュータウンに新しく居住される方々の足を保障してやるかということは、私はできないと思うのです。それで、この間も私は質問したのですけれども、そしてまた、きょう久保委員も言われておりましたけれども、こういうものは、こういう形でやるのではなくて、これの経営の主体、事業主体というものは、東京都というようなものに当然やらすべきである。そこで国家資金をうんと援助すべきであるし、また、いわゆるターミナルの問題とか、あるいはいろいろ線が混線している、これを統一する問題とかいうような問題は、そういう形でやらないと、これはいつまでも解決できないと思うのです。ですから、そういう意味からいって、こういう事業の主体というものは、やっぱり東京都というようなものにやらすべきじゃないか。こういうのは非常に困難だとおっしゃっておりましたけれども、それは困難だということは考えられる。しかし、これは抜本的にやらないと、幾らニュータウンをつくっても、こういう法案を出してみても、都民の、あるいは居住者の足の問題は片づかない。ただ国家の金をいたずらによけいにつぎ込んで、そして私鉄なり民鉄のそういう利益を保障してやるということが重点にならざるを得ないと思うのですが、そういう点、いかがですか。
  75. 山口真弘

    山口政府委員 現在東京におきましても、鉄道建設、運用している主体は、国鉄がありますし、あるいは帝都高速度交通営団という一種の公共企業体的な性格のものもございますし、それから東京都もございますし、私鉄もございます。そういった各企業体によりまして、おのおのその分野に応じて建設をいたしておるわけでございまして、そして郊外部分におきましては、従来主として私鉄がこれを建設いたしておるわけでございます。そこで、そういう従来建設いたしております私鉄が、その近傍あるいはそれの直接の複線、複々線化というような工事をいたします場合に、当然これは私鉄建設、運用するということになるわけでございますが、それに関しまして、従来のやり方ではとてもこれは建設ができない。これを私企業だけの自由な建設にまかせておいたのでは、いつまでたっても話が進まないということで、今回こういう助成をやりまして、そうして建設を促進しようという趣旨でございます。将来の問題といたしまして、それを全部公共企業体的な性格のものにするのがいいかどうかという問題につきましては、これは将来国鉄私鉄、地下鉄あるいは営団全体を含めた問題として検討すべき問題だと思いますか、現段階では、これをやらなければとにかく差し迫ったニュータウンの足の建設あるいは複線化、地下鉄の乗り入れというものができないというので、この法案の御審議をいただいておるわけでございます。
  76. 田代文久

    田代委員 そういう御答弁では満短できませんが、時間がありませんから終わります。
  77. 小峯柳多

    小峯委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  78. 小峯柳多

    小峯委員長 次に、道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。斉藤正男君。
  79. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 道路運送車両法の審議にあたりまして、わが党同僚議員それぞれお尋ねをいたしますが、トップを承って、基本的な問題について二、三伺いたいと思います。  この法案は、さきの運輸大臣橋本登美三郎氏が本委員会で軽自動車の車検についても実施をしたいという言明をされたことに端を発し、まことに手ぎわよく、スピーディーに今国会にあらわれてまいりました。私は大臣の施政方針なりあるいは質疑応答の中から数多くのお約束を橋本さん当時からいただいておると思うのですが、事この問題に関してはまことに的確に出てきたわけでございますが、運輸行政すべてがこのようにスムーズにいけば私は今日の総合交通体系などといって交通問題全体を国政の一本の柱として重要視していかなければならぬような事態は免れたであろう。ばかに軽自動車の車検に関してのみスムーズに、スピーディーに出てきたと思って、実は一方では驚き一方では感心もいたしておるわけであります。  過日、關谷委員の要請によって私どもの手元へ配付されております資料等を拝見いたしましても、非常に貴重な——「自動車の交通事故発生状況」というようなことから、特に四十三年、四十四年、四十五年の三カ年にわたって自動車の交通事故の発生状況が一目に出ております。この一番右の欄を見ますと、「一万台当りの車両故障事故件数」というのが出ておりますが、一般自動車について四十三、四十四、四十五を比較してみますと、二・五三、一・八九、一・三〇と漸減をいたしております。軽三、四輪車につきましても一・二六、〇・九五、〇・七三、同じカーブであります。軽二輪車につきましても〇・三五、〇・二〇、〇・一六。まさに一万台当たりの車両故障事故件数というのがこういうカーブになっておりますことは——私は統計なんというものは統計のとり方でどうにもなるし、軍内故障とは一体何ぞやという点、どういう規制をするかということで違ってはくると思いますけれども、しかしいずれにしても警察庁の統計でこういう結果が出ている、こういう情勢からも判断いたしまして、私が知っている限りでは約束したことを直ちに実行したというのはこれだけですよ。ほかのこともずいぶんいろいろお約束いただいたし、所信表明をしていただいているのですが、全部といっていいほどやってくれない、やらない。たとえば、関係はありませんけれども、先ほども問題になりましたけれども国鉄と営団地下鉄の乗り入れの問題、料金改定の問題等、口をすっぱくして各委員から申し上げ、このくらいのことができないのかということで委員会決議までして要請をしたけれども、これはなかなかやってはくれない。ところが軽自動車の車検については前大臣が言明したら直ちにぽっこり出てきて来年から実施ということでたいへん手ぎわがよろしいのですな。丹羽大臣も軽自動車の車検について前大臣と同じように、いまの交通行政の中で何が何でも法律改正し、実施をしなければならない緊急の課題だとお考えになって当然出したと思います。提案理由説明にもそれにふさわしいことばが述べられております。しかしこれにはねらいが二つも三つもあって、一つは交通安全をこれによって期していきたい。もう一つは、御承知のように自動車にはいろいろな税金がかけられておりますけれども、そのうち車検の段階で取ることが一番取りやすいし、漏れなく取れるというようなことから、税金徴収の便法として車検という制度を軽自動車にも及ぼそうとしたのではないか。そのことも若干触れられているようにも思いましたけれども、もう一つ触れてはいない、書いてはいない、しかし暗黙の中に流れている政府の意図として何かあるのじゃないか。何かといえば、何だと反問をされましょうけれども、今度の車検は余部民間車検であります。全部が民間車検であります。そういう点からいって私は、やはりここに一つの法の規制のもとにおける法人をつくり、悪く言うならは運輸官僚天下りの場を各都道府県に一つずつつくって、運輸官僚の古手が続々天下っていく職場をこのことによってつくろうというような意図がないかどうか、まことに意地の悪いお尋ねでございまして、そんなことはありませんと言うに違いないと思うのですけれども、しかしいままでの例からいくと、この協会ができておそらく理事長、理事、監事、運輸官僚が大部分を占めるでありましょうし、申しわけ的に一、二を民間から起用するかもしれませんけれども、まず絶無であろう。そして監事のごときは大蔵官僚から一人というようなことになりはしないかというように思うときに、各県にできるそうしたものも運輸官僚天下りの場所を法律でつくっていくというまことに運輸官僚にとってはありがたい法律ではあるけれども、はたは迷惑しごくだというようなねらいがあるのじゃないか。まあ冒頭から意地の悪いお尋ねでありますけれども、この法案提出にあたって私がいま申し上げましたような三点について、大臣どのようにお考えだか伺います。
  80. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 今回の法律提出いたしましたのは、再三国会におきましてもお話がございましたし、私どももこれを体しましても、また交通安全を第一とする観点からいたしましても、完全自動車と申しますか、自動車の装備が十分行き届いているというものを検査する必要がございました。どんどんと増加してまいります軽自動車にもこれを早急に及ぼさなくちゃいかぬということの発想をもちまして今回の車両法の一部改正法律案を出した次第でございます。その点は斉藤先生も冒頭に御指摘をいただきましたが、そのとおりすなおにひとつ御了解をいただきたい、こう思う次第でございます。  それから二の車検税と申しますか、その問題でございますが、これは実は車検税が設けられておりますと、ただ道路だけでなく、あるいは鉄道敷設その他にも財源として及ぼすということにつきましては、ただいま御議論がございますいわゆるイコールフッティングというような点からいたしましても、私どもぜひともそれらのものも税収をふやしてまいりまして、これがただに道路整備だけでなく、鉄道、軌道の敷設のほうの財源にも十分及んでくるということにいたしたいということが私どもの念願でございまして、これは二次的の目的でございますが、そのつもりで私ども一つ目的としておる次第でございます。  第三の点でございますが、これは私どもは決してそういうことは考えておる次第じゃございません。いわゆる行政簡素化と申しますか、公務員をふやさないという従前からの政府のたてまえといたしまして、民間でできることはなるべく民間の人にお願いをいたしまして、権力機構の範囲はできるだけふやしてまいらぬ、こういう姿勢でやっておる次第でございまして、その点をひとつ御了解願いたいと思う次第でございます。
  81. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこで一つ伺うわけでありますけれども、一億五千万円の資本金につきましては全額政府出資をする。しかし参考資料にちょうだいいたしました軽自動車検査協会(仮称)の資金計画を見ますと、自賠責保険から二千五百万円、船舶振興会から一億五千万円の補助金をいただく、こういう資料が、古い資料でありますけれども、出ている。この船舶振興会から四十七年度も一億五千万円いただいて、四十八年度にも一億五千万円いただき、都合三億いただくことになっているわけであります。  私はモーターボート競走法に基づく日本船舶振興会の条文を多少調べたわけでありますけれども、モーターボート競争法二十二条の二によって「日本船舶振興会(以下本章中「振興会」という。)は、モーターボートその他の船舶、船舶用機関及び船舶用品の製造に関する事業並びに海難防止に関する事業の振興に寄与し、あわせて海事思想の普及及び観光に関する事業並びに体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に資することを目的とし、国内に一個を限り設立するものとする。」ということで、日本船舶振興会の目的が書いてあります。この二十二条の二の中に陸上交通というようなことばはどこをどう見ても見つからないのでありまして、しいて言うならば、後半の「その他の公益の増進を目的とする事業の振興」ここへへ理屈をつけてくっつければ、民間車検協会をつくることもあるいはと思うのですけれども、日本船舶振興会の目的は海とか船とかいうことに限定はしていませんけれども、モーターボート競走法第四章の二、日本船舶振興会の目的と違うのじゃないか。こうなってくると、船舶振興会はずいぶんお金持ちのようでございますから、どこへでも金を出すようになってくると思うのですけれども、この目的の中で一体どの条項を適用してここから補助金をいただくようにしたのか、お答え願いたい。
  82. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま斉藤先生が御指摘になりました資料は、実は私どもこの計画を立てますときに、昨年の夏から秋にかけてでございますか、いろいろの試案をつくりまして計画を立てました段階におきまして、たとえば船舶振興会からなるべく金利のかからない、安い資金コストの金を集めるということで考えた段階でございますが、成案としていま御審議をお願いしております予算の中には、一億五千万というものを全部車検特会から政府出資をする、あと借り入れ金でまかなうということでございまして、船舶振興会のお金をもらうということは、現在の成案にはございませんので、その点を御理解をいただきたいと思いますのが第一点でございます。  第二点の船舶振興会の法律にきめられている業務と、そういうことを計画したこととの関係いかんということでございますが、私、船舶振興会を監督しております主務局長でございませんので、その辺的確なお答えができるかどうかわかりませんが、いままで、確かに先生のおっしゃるように、造船業とかあるいは造船業関連工業とかその他海事思想の普及とかいうことに船舶振興会の金を役立てる、それが主な目的であることは御指摘のとおりでございます。ただ従来もそういう造船業あるいは造船関連工業あるいは海事思想の普及ということに直接関係なくても、やや広く一般的に、社会、公共の目的に有効な事業というようなものに船舶振興会から金を出しておった例があるわけでございまして、そういう意味で、私どもがもしそういうこともできるならばということでいろいろな試案を検討いたしております途中で考えたわけでございます。現在は船舶振興会からは全然出資を期待しておりませんで、もっぱら車検特会の出資、それからあとの金は借り入れ金でまかなうということによっておる次第でございます。
  83. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そんならそうで親切に指導してくださいよ。こんな資料を私どものところに渡して、これが修正になりましたとかやめましたとかいうことを一つも言ってない。説明を聞かなかったのは悪いかどうかわかりませんけれども、私どもは自動車局から出した資料をもとにして検討したわけですよ。話にならぬ。私どもの不勉強もありますから、途中ではそういうことを検討したということで、やめたということですからわかりましたけれども、私はそんなにめちゃくちゃ聞いているわけではないんで、やや古いけれども、自動車局からいただいたこんなりっぱな書類でやっているんでしてね、まことに不親切だな。  そこで、軽自動車の車検に入る前に、今度の軽自動車の車検のやり方と現行自動車車検のやり方との間に共通した部面はどこか、いまの自動車車検と全く違うところはどこか。共通した部面が全然ないならない、この部面だけは共通しています、あるいはこの部門は全く違います。特にいま行なわれております車検の中にも、民間車検の部分がございます。それから官営車検もあるわけです。今度は車検協会なる民間団体が一本でやるというように伺っておりますけれども、もし共通する部分があったらそれはどこなのか、そうでないものはどこなのかお答え願いたい。
  84. 野村一彦

    ○野村政府委員 現在やっておりますいわゆる検査対象車と今後検査をやろうとする軽自動車の検査の体制の問題でございますが、現在検査のやり方について、大きな方法としては大体同じでございます。と申しますのは、一般の検査対象車につきましては国がみずから検査をするという方法と、それからいわゆる民間の車検工場といわれております指定整備事業が検査をして、そして継続検査につきましては国の検査にかえるという方法をとっておりますが、今度の軽自動車におきましても、いま国が直接やっておりますことを、いわば今度認可法人軽自動車検査協会が検査をするということで、俗なことばで言いますと、それがいわば国の代行の機関としてやるわけでございますが、なおそのほかに、現在普通自動車についてとっておりますと同じような民間車検、いわゆる軽の指定整備事業というものを指定をいたしまして、国の代行機関としての検査協会と、それから民間の指定整備と両々相まってやるというその体制は同じといいますか共通といいますか、そういう体制でございます。  それから適用いたしますところの一般的な基準といたしましては、道路運送車両法の保安基準を適用をして検査をするということは同じでございます。ただその具体的な内容になりますと技術的に違う面が出てまいりますが、大筋はいま申し上げましたようなことでございます。
  85. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうすると簡単に言って、いま車検を受けている普通自動車と共通の部分は官営というべき車検の制度がある。それにかわるのが今度できる団体の車検協会が行なう車検であって、それから指定された民間車検が、いまの現行制度にもあるわけでありますけれども、その部分は軽自動車についても同様に認めていく、こういうようにすぱっと割り切ってよろしいか。
  86. 野村一彦

    ○野村政府委員 たてまえとしてはそのとおりでございます。
  87. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこで、私はどうしてもいまの車検制度のあり方、これをもう少し明らかにしなければ、新たに生まれる車検協会による軽自動車の車検については非常に問題が多く含まれているというように考えまして、いずれ同僚議員から各般にわたって、法文等についてもお尋ねがありますけれども、私はこの際、現行民間車検について若干の指摘をしながら、この軽自動車の車検法を審議する前段としてのお尋ねをいたしたいというように思うわけであります。  そこで、昭和三十七年ですか、民間車検がシステムとして採用されて今日まで来ているというように聞いておるわけでありますけれども、この民間車検が今日非常に大きな社会的な問題になっているわけであります。私は若干の新聞記事を用意をいたしておるわけですけれども、これはいますぐお答えいただけるかどうかちょっと疑問でございますから、もしお答えいただけなければ、ひとつ次回に正確な数字を出していただきたいと思うのですが、東京陸運事務所品川車検場というのがございまして、東京都の城南地区の八区の登録車を全部扱っております。昭和四十四年当時は、この品川車検場管内で四十五万六千五百台の車両があった。当時その一五%を民間車検でまかない、残り八五%は陸運事務所がやっていたというように四十四年当時の記録ではなっておるわけであります。しかし検査員はわずかに十人しかいなくて、大体一日九百台検査をする。十人で九百台ですから一人で九十台、八時間勤務といたしますと、大体どの程度の時間で一台を検査しなければならないかということはすぐ出るわけであります。これが四十六年度の集計は出ていないかと思いますけれども、四十五年十二月末で城南八区の登録車は一体何台になったのか。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 そして民間車検と陸運車検のパーセントはどういう割合だろうか。陸運事務所の検査員は何人になって、一日何台検査をしたであろうか。これはいますぐお答えいただけなければ、次回でけっこうですから、ぜひひとつ資料として出していただきたいというように思うわけであります。  なぜ私がそういうことを伺うかというと、実は当時の記事でありますけれども、たいへんなことが書かれているわけであります。というのは、「“民間車検”は、陸運局長指定の整備工場で整備検査を受けた場合だ。指定工場では陸運局の講習を受けた自動車検査員が検査、検査員個人の証明書がそのまま有効になる。現在、指定工場で行なう車検は全体の一五パーセントだが、将来は指定工場をふやし、大部分を“民間車検”にする方針。車両数はふえているが、検査官は国の予算でしばられ、増員できないためという。この指定工場は陸運事務所と同規模の設備とスタッフが必要なため費用がかかり、八割が大手ディーラーの資本系列にはいっているという。車の修理はディーラーのサービス工場、検査は系列の指定工場となると、たとえ欠陥車であっても、サービス工場や指定工場が教えてくれなければ、ユーザーは最後までツンボ桟敷で、高い修理代を払わされることになる。」こういうことが言われているわけであります。私は、昭和四十四年当時の一新聞記事でありますけれども、民間車検の裏を言い得てずばりだと思うのです。たとえばこういうことが書いてあるのです。スピードメーターを調べる。しかし誤差は八キロまではよろしい。八キロの誤差まで認めていて、一体スピードメーターの正確さが絶対的に評価されるのかどうか。ボンネットはあける。あけるけれども、それは車体番号を調べるだけであって、ボンネットをあけて器具機械の点検などはしない。下まわりの検査はテストハンマーでたたいて回る程度であって、音と、しいていうならば色で勘によって識別するだけだ。下まわりの検査はテストハンマーでたたくだけだ。そうしてこげているのではないか、あるいはちょっと鈍い音がするんじゃないかというようなことで熟練工が診断するにすぎない。ブレーキは、ブレーキパイプを引っぱってみる程度であって、かけて動かしてみたり、あるいは走っている過程でブレーキをかけて検査なんていうことはまずしないというのであります。これが驚くなかれ、民間車検ではないのですよ。陸運事務所でやっている車検でもこの程度でございます。とてもじゃないが、十人で九百台の検査はできぬ、こういうことを言っているわけであります。局長は一体、車検というのはどういうことを言うのか。臨検のそのときにシビルミニマムに達していればそれでいいのか。あるいは御承知のように、自家用車は二年です。営業車は一年です。あと少なくとも三百六十四日あるいは自家用車については二年分どうであっても、車検のその日に最低限の保安基準が整備されていればいいというのが車検なのか。それとも、この状態ならあと二年はだいじょうぶです、この状態ならばあと一年はだいじょうぶですというようなことで車検というものに目安を置いているのか。そう足して二で割るような基準というのは出ないかと思いますけれども、事実はそうだというのですね。一体、車検というのはどういうことなんですか。車検とは何ぞや。
  88. 野村一彦

    ○野村政府委員 車検は、先生指摘のように、車を一定期間ごとに検査をすることが中心でございますか、その車検の趣旨と申しますかねらいと申しますのは、車両の構造、装置その他物理的と申しますか、そういうような設計、仕様、構造、装置というような点から車が安全に耐え得るかということを検査するわけでございますが、もちろんそこに有効期間として一年とか二年とかいう期限を付すわけでございます。これは私ども、いろいろの先例等を調べてみますと、その二年間はこれはだいじょうぶだというようなことを必ずしも保証するものではない。ただ、もちろんこれには物理的に車が安全にかなうものであるという検査をするわけでございますが、その後のユーザーの整備が正常に行なわれ、そうして正常な運転を行なうならば二年なら二年あるいは一年なら一年は安全な単としてこれが有効に使えるであろうということでございまして、国家としての責任を二年間担保する、あるいは一年間担保するものではない、かように理解をいたしておる次第でございます。
  89. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 車の安全はユーザーにとっても非常に大事なことでございますし、他の一般公衆に対しましても保安基準の保全ということは必要でございますから、ユーザー自身がまず保安基準を常時上回った整備をしておるということは当然必要でありますが、逆にいま局長答弁を伺えば、車検の日には最低基準で通ってもあと一年間なり二年間はユーザーの責任だ、こういうようにもとれないことはないのですね。もちろんユーザーには、車を持っている者として、車を運転する者として当然の責任が一〇〇%ありますけれども、車検のときに、やはりさっき言ったように検査を十人で一日に九百台やるということになりますれば、これは容易なことではない、たいへんな量になるわけです。その辺の確固たる車検の意義というようなものを明らかにしておらなければ、私は車検の意味というものは半減するだろうというように思うわけですけれども、その辺はどうなんですか。
  90. 野村一彦

    ○野村政府委員 先ほど私がお答えしましたのに、検査が終わればあとはユーザーの責任だというふうにとれるではないかという御指摘でございますが、私どもの申し上げたいことは、これを全面的にもちろんユーザーの責任にするべきものだとは考えておりません。ただ、ユーザーは、道路運送車両法におきましても、その自分の使用する車を定期的に点検整備をする義務というものがございます。そういう意味で、先ほど申し上げましたような正常な整備点検をし、それから正常な運転をするならば、一年あるいは二年間それが安全に使えるであろうということでございまして、もちろん検査をしたときの瞬時の責任ではございませんで、あとこれは国としても持続するものとしての検査をするべきもの、かように考えております。
  91. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 もう一つここに例がございますから申し上げますが、「青森市で自動車販売店を経営している地野博さんが十八日に中古車を販売するため陸運局の指定工場に車検を頼んだところ、一−二時間で検査が終わり、青森陸連事務所で発行する車検証をもらってきたのにびっくり。整備業者が持って来た車を調べてみたら全く整備された跡がなく、ボルトの点検跡はもちろん洗車さえされていなかった。」中古車を、お客さんがついたので売らなければならぬ。そこで民間車検へ持っていった。ところが、一時間か二時間で検査が終わって、青森陸運事務所発行の車検証がついてきたのでびっくりした。よくよく見たら全く整備されたあとなどはなくて、ボルトの点検あと——御承知のように、車検が終わったボルトには全部エナメルによって線が引いてございまして、締め直したというしるしがついておりますが、そんなものは全然ない。持っていったままであって、洗車もされていない。どろのついたそのままで返ってきた、こういうことが出ているわけであります。これをさらにもう少し追及した記事を見てみますと、「話を聞いてびっくりした。その指定工場の検査員を呼んで聞いたところによると中古車といっても、そんなに手のかかる車ではなく、部品の取り替えなどは一カ所もなかった。お客に渡す時間が迫っていたので洗車をしなかったが、車の検査は確実に行なった」青森陸運事務所もびっくりしたものですから、整備屋を呼んで聞いてみた。そうしたら、いま言ったように答えたのである。「検査員の提出した指定整備記録簿、分解整備記録簿には、十三日から十七日の間に整備、点検をしたことになっているが、地野さんは十八日の午前九時半に車を持って行き、同午後一時半ごろには車検を通って来たというので両者の言い分に違いがある。」十三日に入った車を十七日までの間に整備点検をした、こういっているのですが、車を持っていった人は十八日の午前九時半ごろに持っていって、持ってきたのは午後一時半ごろだ、こういう食い違いがある。これには後日談がございまして、詳細な調査の結果は、まさに業者の言ったことが間違いであって、車を整備に持っていった人の言うことが正しかったわけであります。これは一体どういうことなのか。もちろん、先ほどの品川車検場の例といい、この青森の民間業者の例といい、私は氷山の一角であって、全国的にこういう趨勢があるんじゃないかというように思うわけですけれども、これが民間車検の実態であるとするならば、私はゆゆしいことだ、こういうように思うのです。したがって、帳簿、証票書類等完備している民間車検工場等はきわめて少ないのであって、どうもおざなりな検査で民間車検が過ごされているんではないかというように思うのですが、局長は、今日行なわれている現行制度の中での民間車検が完ぺきだとお考えですか。いかがです。
  92. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生が実例をあげて御指摘になりましたが、私ども、そのお話を伺いまして、まことにその話のような事態は、何と申しますか、遺憾と申しますか、きわめて残念なことだと思います。  現在の民間車検について完ぺきかというお尋ねでございますが、私ども、まあいろいろと実情を調査し、監査をし、また各方面からの御指摘、あるいは苦情処理というようなケースによって知り得たところから申しまして、これは、はなはだ残念なことでございますけれども、率直に申し上げまして、改善すべき点が相当あるということを率直に認めておるわけでございまして、これは今後できるだけ早く改善をして、もっと適正な、厳正な検査をし得るような体制をとらなければならないと考えておるような次第でございます。
  93. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 さきの橋本大臣も茨城県で、丹羽さんも茨城県でありますけれども、民間車検については、茨城県はたいへん不名誉な県になっておるわけであります。私は、何も大臣の地元のあらを掘ろうと思って言うわけではないのですけれども、たまたま行政管理庁が茨城行監を使って、昨年茨城県内における車検行政を監察したわけであります。これはまたどういうことで茨城をねらったのか私にはよくわからぬですが、橋本大臣が出ているからやっちまえというようなこと、それにしては行管勇気があると思うし、続いてまたどういうわけだか、丹羽さんが茨城県出で大臣になっているのだけれども、これは、まあたまたま茨城県がやられたのでこういうことになったので、うちの久保先輩もそこですけれども、よその県をやれば同じような結果にもなったと思うのですよ。  これは、大臣すでに御承知だと思いますので、後ほど数点にわたって伺いますけれども、「茨城行政監察局は茨城県下に整備不良が原因とみられる交通事故が続発したため四月中旬から水戸市内の“民間車検場”二十三カ所の立入り調査をした結果、故障車をパスさせるなど全部の事業所が違反していた。また監督、指導を怠った茨城県陸運事務所に十五日『六月十五日までに改善を回答するよう』きびしく勧告した。」これは昨年の五月十三日の新聞でございますか、「行政監察局は四月十五日から一カ月間、とりあえず水戸市内の業者二十三カ所を陸運事務所員の立会いで調査した。この結果」——聞いてくださいよ。「1無資格の整備工場に大量に車両整備を下請けに出し、自社で分解整備したように書類を整えて車検に合格させていた2国家試験をパスした整備士がやめてから一年半にもなるのに無資格者だけでそのまま営業を続けていた3勤務していない整備士の名前を借りて無資格者だけで営業していた4法律で備えねばならない非常用信号灯がない車には、検査のときだけ貸していたなどの不正がわかった。このほかスピードメーターが故障している整備不良車をそのままパスさせたり、他の事業所のアルバイト従業員に車体整備のカルテといわれる分解整備記録簿を譲渡したうえ名義貸しまでして車検をパスさせていた。分解整備記録簿は千五百円から二千円の相場で売買され、車検のチェックポイントだけをコーチする“車検屋”までいて分解整備検査を省略してパスさせているなど、調査した全事業所から違反が発見された」。  まあ、水戸っぽというのは骨っぽいことで有名だということを私は聞いておったのですけれども、どうもこれは骨っぽさとちょっと違うようでございますね。水戸市内の業者二十三カ所のうち、一カ所も完全なものはなかった。いま申し上げましたような形で、みんな何かしら不適格であったというのであります。  これは民間側の不正でありますけれども、「一方、検査機関の陸運事務所は、分解整備記録簿の記載内容をほとんどチェックしてないため、整備不良軍に合格証を発行していた。しかも同事務所は県自動車整備振興協会が提出する認証事業所名簿をそのまま関東陸運局に送り、四十三年以来一度も県下の車検場の現地調査をせず全事業所を認証事業所として認めていた。」要するに、書類が出てくればそのままストレートに局へ送って認証事業所に承認していた。陸運事務所もでたらめだということで行管はしかっているわけであります。  たまたま昨年の四月、こういう行管の調査があって事が明るみに出たわけでありますけれども局長、一体、こういう事実をただ残念に思っております、遺憾に思っております、指導を十分やりましたでは済まぬと思うのですね。当然このことは局長のところへも行っていると思うのですけれども、あなた衝撃を受けましたか。やりやがったなと思ったんですか。どうなんですか、一体。これはあとでその勧告の文章も若干読み上げますけれども、お役所同士のやりとりとしてはずいぶん激しいことを言われているのですよ。率直にどういう感じを受けましたか。
  94. 野村一彦

    ○野村政府委員 先生指摘のような、茨城行政監察局長から茨城県陸運事務所長に対して昨年の五月ですか勧告書と申しますか、そういう監察結果についての報告があったということは、当時私もすぐ東陸局を通じて聞きました。正直に申し上げますと、全く信じられないといいますか、そういうような私どもが考えていなかったような実情ということで全くびっくりしたわけでございます。しかしそういう報告でございますので、その後いろいろと資料を取り寄せて調査をいたしましたところ、大筋の話におきまして、いま先生指摘になったようなことが事実の真相だということがわかりまして、これはもうたいへんなことだということで、東陸局に対してすぐ特別監査をするようにということ、これは陸運事務所に対してと、それから当該民間事業者を含む事業者に対し特別監査をするように指示をいたしました。そして私のほうから、これと同じようなことが全国であってはならないということから、全国の陸運局長に通達を発し、東京の場合には東京から整備部長が現地に乗り込んでいって現地の調査をしたということでございまして、正直に申しますと、その報告を受けたときには私は全く信ずべからざるほどびっくりしたわけでございます。
  95. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 試みにその一部を読んでみますと、「自動車車検について」「自動車の整備不良部分等の発見が必ずしも的確でなく、不良車を合格させている例が見られる。」「定期点検整備記録簿(分解整備記録簿)等の記載内容をほとんどチェックしていない一「不適切(ずさん)な車検が行なわれているので、今後は再検を厳正に実施するとともに、定期点検整備記録簿等車検申請書類についても十分審査を行なう必要がある。」こういうことばが使われておりまして、行監から「不適切(ずさん)」というような、「ずさん」というようなことは、鬼よりこわい行監か何か知らぬが、これは役所同士はめったに使わないことばだと私は思うのです。「不適切」と書いてカッコして「ずさん」と書いてある。役所というのはずいぶん能率のあがらないところだといわれておりますけれども、しかし事書類に関しましてはぴしっとしているというのが役所の特徴ですよ。そのかわりにわれわれがお願いに行っても書類で出してください、いついつ付で出していますかということを盛んに言って、書類だけはわりあいしっかりしているのが役所だと私は思うのですが、そういうことを総括してずさんだなんて行監からいわれるような役所というのは、これはよっぽどずさんだね。  先ほど衝撃だったという局長答弁がございましたからなんでございますが、私は行監がすべての法律なり制度も知悉してこういう勧告を出したのかどうか、ちょっと疑問に思うのですよ。たとえば定期点検整備記録簿などというものは、これは陸運事務所が何と思ったってあるいは車検屋が何と思ったって、定期点検なんというのはユーザーがそのつもりにならなければどうにもならぬですよ。ユーザーが定期点検を受ける気持ちがないのを、拘束力をもって持ってこいとか、持ってこなければ持ちに行っても定期点検をやるという制度になっていないはずですよ。しかし、定期点検記録簿というものがあるものだから、新軍を買ったならば何キロで点検というようなことを定期的にやれということがあるにしても、ユーザーがそのつもりになってくれなければやりようがないと思うのだ。それをこういう勧告を受けて御無理ごもっともです、恐縮しましただけでは、これもちょっとおかしいとも思うし、ここらは行政指導で一体どうやっていくのかということで、ユーザーなりディーラーのほうで理解と協力がなければできないことだと私は思うのですよ。一体こんなことを言われて反駁する余地はないのですか。やっぱり御無理ごもっともですか。どうです。
  96. 野村一彦

    ○野村政府委員 先生指摘のように、定期点検記録簿といいますのは、ユーザーが自分で一定の期間ごとに点検をするものでございますし、これに対していわゆる整備事業者は分解整備記録簿というものを持って、いわばそれを突合してその整備の状態を把握するということでございます。  したがいまして、この表現は別といたしまして、定期点検記録簿の趣旨先生がおっしゃるとおりでございますので、これは私どもことばのやりとりではございませんが、その後の監査あるいは業務連絡の機会に、行監の当局については定期点検記録簿の趣旨、それからその励行のあり方、ユーザーのこれに対する義務といいますか、そういうものについては十分説明をして、現在では茨城の行監もその点を理解いただいておると思っております。
  97. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 まさにそうであろうと思うのですよ。したがって、この点はやはり運輸省として、相手が行監であろうが何であろうが言うことは言わなければいかぬと思うのです。しかられっぱなしで御無理ごもっともではいかぬと思うけれども、しかしそれはそれなりに、やはり整備行政についての周知徹底と指導は当然自動車切としてもやらなければならぬことだと思う。事実、続いて「認証事務について」「自動車分解整備事業の認証に際し、陸運事務所は現地調査等を全く行なっておらず、不十分」こういうことをいわれている。今後認証事務処理にあたって一体どうしようとしているのか。これも自動車の分解整備事業の認証は、何も現地調査をやって現認しなければ認可をしないということになっていないですね。届け出制だ。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕 しかしこういうことをいわれているのですよ。そしてまた「事業者が虚偽の申請を行なって認証を受けた例」があるなんていわれているし、「陸運事務所の処理は不適切」というようにもいわれているわけです。もちろん虚偽の申請などに対しましては処分をしたと思うのですけれども、これも一体どういうように解釈したらいいのか。そしてまた虚偽の申請を行なったようなものはどういうことをしたのか、お答えを願いたい。
  98. 野村一彦

    ○野村政府委員 先生おっしゃるように、いわゆる一般の分解整備事業の開始は認証でございまして、これはもちろん免許とか認可とかいうことではございません。そして現在の法のたてまえも、認証の審査というものは現地調査をしないで書類で審査をする。そして書類が整っておれば認証を受け付けるということになっているわけでございますが、現在の方針といたしましては、新規開業のその分解整備事業者に対しては、認証後一年以内に現地調査をして、そしてその時点において認証条件にかなっておるかどうかということをチェックをするということで、極力今後の実情の把握につとめております。  それから先生の御指摘のように、確かにこの行監の勧告全体を読んでみますと、いわゆる一般の認証工場と指定整備事業とがやや混淆されておって、認証工場はいわゆる俗なことばで言いますと、普通の修理屋さんでございまして、そこで検査をやっておるわけではございませんが、そういう点についてやや誤解といいますか、理解の足らざるところが、当時行監側にあったのではないかと思います。この点もその後の業務連絡等により、私は現在では正当にその点を認識しておられると思います。  もちろん私どもは、行監の指摘指摘として、当初私が申し上げましたような非常なショックでございましたので、謙虚に受けとめて、私どもの反省の材料としなければなりませんが、間違っているところについては、やはりこれは認識を改めてもらうということもやらなければならないということでやっております。  それから、行監の指摘された認証工場につきましては、事業の停止を三業者、保安命令を七業者、陸運局長警官を十一業者、それから陸運事務所長警告を十九業者に出しておりまして、それぞれそういう処分及び警告をやっておるわけでございます。
  99. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 時間がありませんので、まとめて伺いますけれども局長のお答えのとおり、この行監の勧告なり指導のあり方というのは、私もやや合点がいかない点があったわけでありますが、そういう点については、行監自体ももう少し勉強してもらわなければならぬ。残念ながら、きょうは行監を呼ぶのを忘れてしまいましたけれども、機会を得て、行監にも立ち会っていただいて、ひとつやりとりもしてみたいというように私、思っているわけです。  「自動車分解整備事業者の営業実態の把握について」ということで、「陸運事務所管内の業者の営業の実態を全く把握しておらず、このため重大な違反行為を犯している事業場があるにもかかわらず、結果としてこれを看過している実情にある。」これも最大限ですよね。「全く把握しておらず」「全く」なんというのは、全部把握していないということなのです。何にも把握していないということです。これらも陸運側にしてみれば、冗談じゃない、それは一から十までというわけにはいきませんけれども、大部分は把握しておりますと言いたいところだと思う。しかし「全く把握しておらず」こういうようにいっております。「したがって、陸運事務所は、できる限り所内職員の機動配置を行ない、すみやかな業者の実態調査、違反事実に対する法定罰則の適用を措置せよ。」こういっているのです。ここでは「できる限り」ということばを使っておりますが、「所内職員の機動配置」こういうのですね。「機動配置」そんなに、いまの機動隊みたいに何万人といるわけじゃないのですよ、陸運事務所の職員なんというのは。「機動配置」ということばを使われるなら、片一方の行監は、もっと人間をふやしてくれればいい。いたずらに車はふえ、車検台数もふえているのに、片一方では人間を切れ切れといっておいて、そうして「機動配置」せよなんというのは、私はちょっと文句があるところでありますけれども、こういうことばも使われている。  それからさらに、「一斉検査を行なったあとでも、計画的立ち入り調査を通年的に実施し、実態把握と指導監督を要求している。」「計画的立ち入り調査を通年的に実施」せよ、こういうのですよ。年がら年じゅう計画的に立ち入り調査をやれ、こういうわけです。それだけ人間があるのかどうか。人間を十分よこしてくれれば、私はいいと思うのですよ。ここらは局長としても、ありがたく拝聴していますというだけではなくて、食ってかかるべきところは食ってかかるべきだと思うのです。どのようにお考えですか。
  100. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私ども行政当局として、関係行政監察局から指摘されました場合に、定員が足りません、あるいはないからなかなかできませんということは、実は言うべきことでないかもわからないと思います。しかし、この実態は、特にここで指摘されておりますことの中で、全国に六万あります認証工場に対して、現在の検査関係の陸運事務所の職員で十分な指導監督ができるということは、これはきわめて困難というより、先生指摘のように、なかなかできないというのが偽らざる実情であろうと私は思います。  そこで、私どもの方針としましてはや先ほども申し上げましたように、その一般の認証工場もさることながら、民間の車検をやっております指定整備事業についての監督をまず強化していく。これは民間で検査をしているわけでございますから、そこを中心に監督の体制を強めていこう。そのためには、それなりの監督要員が要るわけであります。  それから、やはり一般認証工場に対しましても、少しでも現在の監督体制を強めていくということも必要でございますので、これは毎年かなりの増員の要求をやっておるわけでございますが、非常に微力にして、私どもの満足するような定員の獲得がなかなかできておりません。しかし、私どもとしては、自動車の激増、それから先生が先ほど御設例になりました品川の例で見られるように、検査業務は非常に単純なルーチンワークの繰り返しである、そういう作業環境という点から考えましても、これは今後さらに監督体制を強化していかなければならぬというように率直に考えておりますので、指摘されました私どもの行政の非は非として率直に認めますが、なお今後の仕事について、そういう非の点を改善していくためにもさらに体制を強化しなければならないということで、この点は私ども十分に配意して、要員の獲得、予算の増額等につきましても、私としてもできるだけの努力をしたい、かように考えておる次第でございます。
  101. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 まだいろいろいわれておるのですけれども、たとえば指導監督については、「陸運事務所は『検査主任者に対する定期研修』以外の指導はほとんどやっていない。積極的な指導監督の必要がある。」指定自動車整備事業場における車検状況の監督については、「従来陸運事務所は、指定業者が行なった車検については書類審査のみで、現物については全く検査していない。」それから検査主任者の定期研修についても言及をされ、「年一回の定期研修に例年出席しない事業所の放置」ということで、年一回の定期研修に毎年出てこないやつがあるというのですね。しかもそれを放置しておって、何にも督促もしていなければ慫慂もしていない。あるいは業界の育成強化について、違法行為の背景としていろいろ書かれておるし、勧告めいたこともいわれておる。「企業合同等による企業の合理化を進めよ。」「協業化、共同検査施設の実態はどうか。」企業合同等をやって企業の合理化を進めよなんというのは、行監に勧告を受ける筋合いのものじゃないと思う。運輸省の方針は、企業合同なんということをいってないのですよ。協業化はたいへん指導もいただいたし、協業化による便法もつくっていただいておりますけれども、そう簡単にこの業種は企業合同なんてできるものじゃないと思うのですね。だから、率直に受けるものは受けて、ずいぶんのおしかりですから、改善をする必要はあると思いますけれども、この辺は一体どうお考えですか。
  102. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生の御指摘になりましたことの中で、再三の研修に応じないような企業に対して——そういうものが事実あったようでございますが、こういうのはもう説得等によりまして、研修すべきときには研修を受けるという指導をいたしてまいっておるわけでございます。  それから、その次に御指摘になりました「陸運事務所では、指定自動車整備事業者が行なっている車検については書類審査のみで、現物(自動車)については全く検査を行なっていないので、」というのは、これは明らかに間違いでございます。向こうの認識不足でございまして、私どもはこの点をはっきり指摘しております。これは指定整備事業者が検査をして保安幕準適合証を持ってきたならば、現物検査を要しないで陸運事務所が検査合格証を渡すということに法律上のたてまえはなっております。この点については向こうの誤りを指摘しております。  それから企業の育成指導につきましては、これも私ども先生の御指摘のとおり、中小企業の多うございます自動車分解整備事業について協業化、共同化を進める。さらに、現在、構造改善事業にのっとって、これの企業基盤の強化をはかろうとしておることは御指摘のとおりでございますが、これも茨城の行政監察局が陸運事務所長——実は、そういうことは陸運局が整備して、本局のほうでいろいろ協業化、共同化というのをおもに指導しておるわけでございます。現場の陸運事務所というのはあくまでも現場機関でございまして、そういう監督行政的な要素をあまり持ったところではございませんので、私ども、これは向こうの意見として聞いてはおりますが、先生のおっしゃるように、私どもは私どもなりに協業化、協同組合化あるいは構造改善という方針をもって進んでおりますので、その既定の方針でやっていきたい、さように考えます。
  103. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 最後に、茨城の例を出してまことに恐縮でありましたけれども、その後、行監は宮城、山形、東京、埼玉、大阪、福岡、鹿児島、この各府県にわたりまして茨城で行なったとほぼ同様の監察をやっておるわけであります。この結果は四月末日までにはまとまるというのであります。おそらく茨城陸運事務所に出したような要請が出されるものと私は思っております。二、三、行政監察局の指摘の間違った点もありまして、私は行監一体何をやっているのだと言いたい点もありますけれども、しかし、大筋としては民間の車検がいかにずさんなものであるか、それこそずさんなものであるということを指摘して余りあると思うわけであります。こういう現行車検制度が不十分な中で軽自動車のこれこそ一〇〇%民間車検に入ろうとする本法の審議にあたりまして、よほど腹を据えて、予算の面も人間の面も確保していかなければ、この誤りを再び繰り返すというように私は思わざるを得ない。大臣の決意のほどを伺いたい。
  104. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま斉藤先生から御理解のある御直言をいただいた次第であります。まことに私もその点で非常に深く反省しなければならぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。  実は昨年の暮れでございましたが、たしか交通安全会議で民間のいろいろな人の御意見を承った次第でございますが、そのときに最近の事故は中古車の欠陥も相当に多いということでございまして、そういったような整備の点についても特に力を入れてもらいたいという要望がございました。私もそれを受けまして、もっともであるので、整備工場あるいは整備士の資格並びにそれの励行、また陸運事務所のそれらの業務に対する徹底した監督ということにつきましては、直ちに自動車局長にそのことを申しまして、十分に指導するように、しかもそういった整備工場の全国における配置場所が適切であるかどうかということも十分調べるようにということを申した次第でございます。  その当時、実は私申しわけなかった次第でございますが、私の地元の県のそういった事情を知っておりませんで、最近先生の御質問があると承って驚いた次第でございます。自動車局長のほうでもそれぞれ処分をするものは処分し十分な注意をしておるところでございます。また行監の方面におきましても、やはりしろうとの監察の点もあったようでございますが、しかし根本は何と申しましても交通の安全、ことに自動車事故の激減をはかることが、いまの最も緊急の必要事でございまして、それがためには安全車を常に整備しておくことが自動車運行安全の第一でございまして、その点につきましては、いまの御指摘を十分に体しまして、十分部下を督励いたしましてそれらの点で指導を強化してまいりたい、こういうつもりでございますので御了解を願います。
  105. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 終わります。
  106. 小峯柳多

    小峯委員長 河村勝君。
  107. 河村勝

    ○河村委員 この法律の一番最初制定されたのが昭和二十六年の六月になっております。その際には軽自動車もこの検査対象に含まれておったはずであるが、その翌年の昭和二十七年の四月の第一次改正で、今回対象範囲に入れた軽自動車を対象からはずしているわけですね。そのはずしたときの理由はどういうわけですか。
  108. 野村一彦

    ○野村政府委員 当時の軽自動車というのは、ほとんどが二輪車だけであったというのが主なる理由と了解いたしております。
  109. 河村勝

    ○河村委員 いや、それだけの理由なら、なぜ最初の昭和二十六年の法律のときに軽自動車を入れたのですか。最初入ったんでしょう。最初入っておったのが二十七年に抜けたのでしょう。農初になぜ入れて一年たってそれを抜いたのですか。
  110. 野村一彦

    ○野村政府委員 沿革的に、道路運送車両法がまだ分離独立して単行法になります前からそういうことになっておって、当初は軽自動車が入った。その後、いま申し上げましたように、実態は軽の二輪車が大部分であったということから、一年たってはずしたという沿革だと理解いたしております。
  111. 河村勝

    ○河村委員 二輪車というのはただ形式ですね。二輪車ならばなぜ除いたのですか。
  112. 野村一彦

    ○野村政府委員 二輪車と申し上げましたが、現在ももちろん二輪車の中でもいろいろな形態があるわけでございまして、現在二輪車の中に軽よりも大きいいわゆる大型のオートバイというものがございます。これは現在も普通自動車でございまして、大きさ、排気量、そういうことによって基準を分けておるわけでございます。ただいま私、的確に当時の数字は存じておりませんが、おそらく、今日のことばでいえばいわゆる小型の二輪車、つまり軽の二輪車よりも大きな、俗にいいます白バイとかああいう大型のオートバイ、そういうものがその当時の二輪車の中から残って、そうして現在の軽の二輪車になるような、いわゆるスクーター、そういうようなものがはずされた、こういうふうに考えております。
  113. 河村勝

    ○河村委員 ほんとうに当時は軽四輪というのはなかったのですか、それは間違いないですか。
  114. 隅田豊

    ○隅田説明員 当時は試作のような形でおもちゃのような四輪車はございましたけれども、普通の意味で大量生産されている四輪車はございませんでした。
  115. 河村勝

    ○河村委員 法律改正の経緯から見ると、一年くらいで入ったものを除いておるから、非常に疑問を持ったわけですけれども、それじゃ今度検査対象に入れた理由はどういう理由ですか。
  116. 野村一彦

    ○野村政府委員 今度軽自動車を検査に入れましたのは、提案理由説明のときに大臣が申し上げましたように……(河村委員「ポイントだけでけっこう、要点だけでけっこう」と呼ぶ)いままでの検査の対象外の自動車の中から排気量の大きいもの、これは三六〇ccと二五〇ccという二つの基準があるわけでございますが、二五〇ccから一二五ccまでの二輪車というものは、これは排気量の関係で検査の対象から——いままでの過去の事故の実情、それからこれの整備点検の難易、それから走行の実態、そういう面から見てこれを義務検査の対象にする必要はないという判断から排気量によって分けた、こういうことでございます。
  117. 河村勝

    ○河村委員 排気量云々というのは、それは構造上のことで、要するに事故を起こす危険性が多いから対象にする、そういうことなんでしょう。そうじゃないですか。
  118. 野村一彦

    ○野村政府委員 考え方としては先生のおっしゃるような考え方で、その線を引いたのは排気量で引いたわけでございます。考え方としては先生のおっしゃるような考え方でございます。
  119. 河村勝

    ○河村委員 それならば、国会で云々ということは別にして、最近の事故の傾向値、關谷委員のこの前の要求で運輸省からいただいた資料がありますけれども、これで見ますと、これは四十三年からしか書いてありませんが、三年間に事故が半減しておりますね。そういう傾向の中で、何でもやればいいかというと、そうではなくて、ずいぶん繁雑で、こういうものはマイナスもあるのですよ。さっき斉藤委員も、いやに早くやるというようなことを言っていましたが、なぜやらなければならぬような必然性があるのか、それを伺いたい。
  120. 野村一彦

    ○野村政府委員 確かに御指摘のように、事故件数そのものは下がってきておるわけでございます。しかし、今回検査の対象にするのは、もちろん安全上の問題が一つの大きな柱でございますが、それと同じように、やはり公害防止という見地からの検査対象にするという理由があるわけでございます。したがいまして、現在ももちろん軽自動車について一部排気ガス等の規制をやっておるわけでございますが、安全の見地とそれから公害防止の見地、両方あわせてこれをやりたいということから考えたわけでございます。
  121. 河村勝

    ○河村委員 公害といううまいことばを使いましたが、しかし公害というのはあくまでも従で、その証拠にこの法案にも公害ということばは使っていない。例の公害国会のときに、道路交通法なんかはわざわざ、公害ということがなくても済むのに、公害ということばを入れている。そのとき改正をして入れた。これには入れてないのですよ。ちょっと困ったから公害ということばを言ったのであろうと思うのです。それは公害ということもあるでしょう。だけれども、公害というのはむしろ基本的な構造上の問題であって、車検でもってどうだというウエートはきわめて少ないのだ。やはり本質的には安全でしょう。だから、どう考えても、これだけ繁雑なものをあわててやらなければならぬ理由がどこにあるのか、ぼくにはわからない。そうじゃないですか。大臣、いかがですか。
  122. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほども私お答えいたしましたように、やはり交通安全の確保ということがいま一番の大きな運輸行政における至上命令でございます。しかし、それがためには自動車の装備の安全を確保する、整備を完全にするということをできるだけ徹底いたしたいということが大事である。そのゆえに急いだということが主要な目的でございます。
  123. 河村勝

    ○河村委員 ですから、四十二年からの車両そのものによる一般的な事故は別として、検査から来た事故は、三年間に半分減って半分になっているわけですよ。その減った理由は、それではどういう理由で減ったと思いますか。車両故障がなぜ減ったか。
  124. 野村一彦

    ○野村政府委員 いま申し上げました一万台当たりの件数は車両故障でございますので、車両故障の事故件数が減ったということは、車両の構造、装置、そういう物理的な面の改善が相当行なわれてきた。いわばそういう自動車の製造技術が安全面においても進歩した、こういうことだろうと思います。
  125. 河村勝

    ○河村委員 この一万台当たりのものを見ますと、その間に一般の、従来検査の対象になっていた車もやはり同じように減っていますね。減り方はちょうど同じくらいだ。そうしてみると、別段車両検査してもやらなくても、事故の減り方は同じだ、趨勢は。であるならば、そう無理にこんな繁雑なことをやらぬで、メーカーをもうちょっと監督し、定期点検整備でもきちんとやらせるということを励行していけば、こんなめんどうくさいことをやらぬでもいいのじゃないか、そのほうがむしろ常識じゃないかと思いますが、いかがですか。
  126. 野村一彦

    ○野村政府委員 件数でございますが、先ほど先生も御指摘になりましたように、確かに普通車も減っておりますし、検査対象車も減っておりますし、軽も減っておりますが、すなわち今回検査の対象に考えておりません二輪の軽自動車のほうは、一万台について車両故障事故が〇・一六件、特殊自動車は〇・一二件、それから原付自転車は〇・〇九件ということでございまして、やはりこれと競争関係にあるというと語弊があるかもしれませんが、比較的軽の三輪に次ぐようなものと比べてみますと、やはり事故件数は高いということから、これはいまのうちに検査をして車両事故を防止するということのほうが、現在の社会問題である安全問題から見てより有効であるということで、ございます。
  127. 河村勝

    ○河村委員 それはあまり理由にならない。さっきは、検査対象からはずした法改正は、大多数が二輪単だったからやめたというので、二輪単というものは本来それほど危険性はない、だからやらない、こういうことでしょう。何もそれと比較することはないのだ。軽自動車そのもので三年間で事故が半分に減るというのは相当なものでしょう。一万台当たり一・二六から〇・七三だ。こんなに減ってくるなら、何もこんなめんどくさいことをやって——やはり庶民は一応迷惑だ。いいほうの面もあるかもしれないが、たいへん迷惑でもある。国の行政行為なんというものは、なるべく少なくて済めば少ないほうがいいのですよ。だったら、やめたらいかがですか、大臣。
  128. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 確かに一面の御議論でございますけれども、軽自動車は車体数もどんどんふえてきております。したがいまして、総体の事故率は減ってまいりましたけれども、今日の自動車事故によるところの一般民衆の損傷率というものは必ずしも減っていない。こういうような実情でございますので、できますれば、万全を期するためにやはりこれらの制度は必要であると考えます。
  129. 河村勝

    ○河村委員 あまり答弁にならない答弁ですね。こうやって減っていく傾向が今後も続くのなら、やる必要もない。これがどこかでおかしくなっていく、またふえていくという趨勢でもあれば、これまたそれだけの値打ちがあるけれども、これは国会でやれやれといったという経緯があるかもしれないが、私が言うのはほんとうはおかしいかもしれないけれども、やはり、やれということはやるだけの傾向があればやらなければならぬということであって、逆の現象があれば、それでも無理して国費を使ってやることはないのですね。だから、私はおかしいと思うのですよ。しかし押し問答してもしようがないから一応先に行きますが、それならば、やるときめてなぜ軽自動車検査協会というものをつくってそこでやらせなければならないか。その理由、いかん。
  130. 野村一彦

    ○野村政府委員 軽自動車の車検をやります場合に、先生指摘のように、もちろん国がみずから検査場を持ち検査官を養成してそして検査をするということが一つのオーソドックスな方法であろうと思います。しかしながら、軽自動車の分布の状態、それから軽自動車の構造、装置、そういうようなことを考えてみますと、国の厳重な監督のもとに国以外の機関が国の方針に基づいて検査を実施するということにすれば、結果的に国がみずから検査をするのと同じ目的を達することができるであろう。かたがた国全体といたしましては、現在御承知のように行政機構の簡素化というようなこともありまして、国の厳重な監督のもとにやれば、軽自動車の構造、装置、設計、仕様というようなものが比較的簡易と申しますか、画一的なものであり、普通の自動車に比べてやや簡易である、そういうことから所期の目的を達することができるであろうというようなことを考えまして、こういう制度をつくったわけでございます。
  131. 河村勝

    ○河村委員 運輸大臣、行政機構の簡素化というのは何のためにやらなければならないのですか。行政簡素化の目的ですね。目的は何ですか。
  132. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 公権力による機構をあまり拡大するということは、やはり民主主義社会では避けられるだけは避けたほうがいい。民間の事業に委託をいたしまして、そしてそれである程度の貧的を達する、そういうことができればそのほうがいいんじゃないか。それからまた一面におきまして、無制限ということじゃございませんが、社会的欲求が非常に多い次第でございますので、それがために、もちろんこれは福祉行政と申しますかサービス行政の一環でございますから、相当ふえることはやむを得ませんが、しかしできるだけこれを、大所高所から見ますと、縮小ということをやっておきましても、やはり漸次ふえるというような結果になる次第でございますので、行政の簡素化ということはいつでも叫ばれておる、こう思っておる次第でございます。
  133. 河村勝

    ○河村委員 公権力の行使はなるべく少ないほうがいい。そのとおりだけれども、検査協会なるものをつくってやっても、その限りにおいては、やはり公権力の行使でしょう。それは変わりありませんね。そうすると、残る理由は、要するに税金のむだづかいはなるべく少なくしようということぐらいしかないだろうと思いますね。そうしますと、今度の場合、自動車検査登録特別会計から出資をする。あとは手数料で、自前で独算でやるわけでしょう。そうすると、国でやる場合と——やらなければならぬと仮定して国でやる場合と、自動車検査協会でやる場合と、国民負担というのは同じじゃないのですか、いかがですか。
  134. 野村一彦

    ○野村政府委員 国民の負担をどう見るかということでございますが、たてまえとしては、たとえば収入の源泉に考えております先生指摘の検査手数料、これは現在の普通自動車とのバランスを考えながらやるわけでございますから、国がやる場合と、それからこの協会でやる場合と同額のものを想定しておるわけでございます。そういう意味で収入は同じ。それからこれに伴います支出の面におきましては、もちろん車検特会からの政府全額出資ということでございまして、これを今後どうしていくかということによって、国の支出の度合いは変わってくるわけでございますが、国が直接やる場合と、それから協会をつくってやる場合と、大筋においては、国民の負担という面から見れば変わりない、こういうふうに思います。
  135. 河村勝

    ○河村委員 そういうことになりますと、本来行政行為というのは国の行政機関がやるべきものです。それをわざわざこういうものをつくってやる。それには実質的な利益は何にもないのですね。要するに、いまの政府が行政簡素化の旗じるしを掲げておる、だからそれに違反しないように、形式的にていさいをつくろうために検査協会をつくるんだ、これしか意味はない。そう理解してよろしいですか。
  136. 野村一彦

    ○野村政府委員 大臣から申し上げましたように、私ども検査業務はやらなければならない。その場合に、もちろん最善の策と申しますか、これはやるとすれば、本来は国がみずからやるということが一番オーソドックスな方法であろうかと思います。しかし一方では、やはり検査業務というものは、現在の国がやっております車検特会で見られますように、相当特別会計制度になじんできておるものでございますので、制度は違いますが、今度のように独立の認可法人をつくってやるということにいたしますと、行政の合理化、能率化という点については、相当くふうをすれば私は軽の自動車検査には向いたような組織ではないかと思います。そういう意味で、次善の策というと語弊があるかもしれませんが、なるべく簡素化して合理的な組織でやるという場合の一つの方法としてこういうものを考えたわけでございます。
  137. 河村勝

    ○河村委員 それはたいへんおかしな返事で、あなた方は、自分でやった場合には、簡素化して能率的な仕事ができなくて、検査協会をつくってやれば非常に簡素化して能率的にやれる、そういうことですね。
  138. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いまいろいろお話を承ったのですが、私は、またもう一つ別の観点からやはりいろいろのこういったような自動車の整備をするとかというものを民間の協力のもとに一体となって、いわゆる公民と申しますか、一体となって、自分たちの安全を守るという組織をつくることがやはり一つ意味があるのじゃないか。実は日本ではまだ問題でございましょうが、航空管制官、あれはイギリスにおいては、すでに民間の公社団体みたいなところで管制官をやる。そういうふうに航空ルール、これを規制するのは公権力でございますけれども、これは御承知のとおり、あのコントロールはサービスの一種である、管制というものはサービスの一種であるというようなことがICAOでも規定されておるようであります。それからこれはむしろ公社の職員をしてやらしめるというような制度をとっているところもあります。私は、そういうような問題は、これからいろいろの方面にもやはり展開していってもいいのじゃないかというふうに考える次第でございまして、いままでのように支配をするほうと支配をされるほうというふうに厳然たる分け方をしないでも、お互いがやはりそういったような協力関係を持って、お互いの自主的というとはなはだ——公権力を分けるというとあれでございますが、協力関係で民間にも一部分旭をさせていく、そして大所高所から見てやるという組織があっていいのじゃないか。私は、整理されておりませんが、そういうふうに考えておる次第でございます。
  139. 河村勝

    ○河村委員 大臣、それはだめなんです。日本でも陸上交通では最近道路交通法で交通指導員というものをつくりまして、そうして道路交通の規制をやらせます。これは民間です。これはわが国にもあります。航空管制業務というのは、これは権利関係とは関係ないのです。新たに権利を設定するか、あるいは確認するかというような、そういう法技術的な問題はあっても、やはり権利関係に影響するのですね。ですから、航空管制官と一緒にされちゃ困るのですよ。ですから、本来この種のものは公権力の行使の、軽度ではあっても、そのものずばりなんですね。こういうものを民間に肩がわりしてやらせるというのは望ましいことではない。だから、結局は、どうもさっき斉藤委員は、天くだり機関をつくりたいという意図があるのだろう……。それもあるかもしれませんけれども、それと同時に政府の方針があるから何とかごまかしてやろう、そういうことしかないと思うのですね。まあ大体そうでしょう。
  140. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いや、いまの御議論でございますが、もうすでに検査制度につきましては、指定整備工場というものを民間にある程度委託をするというのを認めております。それから、詳しくは知りませんが、整備士というものを民間の人を委嘱をしておる、こういうことでございまして、また実態といたしましては、技術の問題が一番中心になっております。技術がわからなければ幾ら整備をしようと思っても、われわれにはできない次第でございます。そういう点におきましても、やはり今回いわゆる委任法人と申しますか、といったような民間の法人でやらしても、私は、そう弊害もあるわけでもないし、それからまたそれが一つのこれからの行き方じゃないか、こう思っておる次第でございます。
  141. 河村勝

    ○河村委員 それならば、民間の指定整備工場を使うのであればそれはいいでしょう。それは技術的な検査の業務ですから、権利の設定行為とは直接関係がないのです、少なくとも形式的には。だから、それならいままでの検査と同じようにやったらよろしいのですよ。国民の負担が全然同じなら、何も検査協会なんというものをつくって——少なくとも理事とか理事長というよけい給料を取るのがいますから、よけい金がかかることは間違いないのです。だから国民負担はややふえるのです。そんなものをつくる必要はないのですね。だから、極秘文書じゃありませんけれども、むしろ正直におっしゃったほうが事柄が順調に進むと私は思うのですね。それ以上言ってもおっしゃらないだろうと思いますから、その程度にしますが、そこで法制局に伺いたいのですけれども、こういう民間団体に公権力の行使を全く肩がわりする、これはこの間關谷委員も質問されておりましたが、全く代行させる、こういうことは法制局としては法律的——法律というのはつくろうと思えばどんなことでもやれるとあるいはおっしゃるかもしれないが、ほんとうに筋の通った法制であるかどうか、その見解を承りたい。
  142. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 国の行政事務を国以外のものに行なわせております法律の例というのは、実はこれまでにもたくさんあるわけでございます。ただ、いろいろ程度の差はございます。最近の新しい行政需要に対応しまして、そういう要求が実は非常にふえていることも事実であります。しかし、私どもとしてはあくまで行政事務を国以外のものに行なわせるということは、これは例外的で、ごく一定の条件のもとにおいてのみ認められるべきである、そういう考え方で処理をいたしております。
  143. 河村勝

    ○河村委員 行政行為を代行する例は私もあると思うのです。調べてないからどれだかわかりませんが、少なくとも国民の権利に影響するような行政行為を代行させている例はどんなものがありますか。
  144. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 法律的に申し上げますと非常にむずかしくなりますけれども、検査とか検定等を行なわせておる例はたくさんあるわけでございます。ただ、その検査、検定について一定の法律しの効果を与えて、たとえば検査を受けた者でなければ使用してはいけないとか、検定を受けた者でなければ使用してはいけない、そういう法律上の効果を与えておる。これは御指摘のような権利義務にかかわる問題だろうと思います。そういう例というのは実はたくさんございまして、たとえばガス事業法におきまして、ガス用品の検定は指定検査機関に処理させております。以下簡単に申し上げます。法律の名前だけ申し上げますが、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律、輸出検査法、高圧ガス取締法、それから消防法、さらに、今国会におきましては計量法の改正、食品衛生法の改正、さらに現在問題になっております車両法の改正というようなことがございまして、例自体はたくさんございます。ただ、それらは一つ一つやはり慎重に考えるべき問題だろうと思います。
  145. 河村勝

    ○河村委員 じゃ、二つばかり例があがりましたから伺いますけれども、液化ガスの検査、これはどういう団体にやらしておりますか。
  146. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 これは、実は今回のいわゆる軽自動車の検査協会のような認可法人以下の民法法人にやらしております。同じように民法法人にやらせておる例のほうがむしろ多いのでございますが、いま申し上げたもののうちガス事業法だとか液化石油ガス、輸出検査等は民法法人、それから、ついでに申し上げますが、高圧ガスであるとか消防法というのは特殊法人でございます。
  147. 河村勝

    ○河村委員 その民法上の法人にやらしている場合は、その法人はその業務をやる場合の資格、それは一体どういうふうになっているのですか。
  148. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 ちょっといま条文を持ってきておりませんので、詳しくは申しあげられませんが、民法上の公益法人であり、その指定の基準というのがございまして、一定の検査設備を持っておるとか、それから検査に必要な人員を持っておるとか、そのほか経済的な基礎が確立しているとかいろいろ要件がございまして、そういう要件に合致いたしますと大臣が指定をする、そしてそれに対していろいろまた監督規定等も整備されております。
  149. 河村勝

    ○河村委員 その行為をやる場合に関する限り、やはりそれは行政機関としてやるのですか。
  150. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 行政機関としてやるという御質問、ちょっとお答えしにくいのですが、まさに行政機関ではございません。しかし、その検査なり検定というものに国が一定の国民の権利義務にかかわる法律的効果を認めているわけです。したがいまして、国のたとえば検査機関で検査をした場合と全く同じであります。一例を申し上げますと、輸出検査などは国の検査機関も現実にございますけれども、民間の検査機関が並んでおる。やることが全く同じである。それから食品衛生法でもそういうようなたてまえがとられておりますから、そういう意味では、実質的には民間の検査機関ではありますけれども、やる仕事は国の機関としてやる場合と変わらない、こういうことになると思います。
  151. 河村勝

    ○河村委員 今度の場合はこの軽自動車の検査に関する限り、全く完全肩がわり、全部やらせるわけです。したがって、この法案の中にも、これこれの条文について運輸大臣とあるのは検査協会と読みかえるという規定がありますね。その場合は検査協会は行政機関そのものと考えてよろしいか。
  152. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 実質的にはもう国の検査機関と全く同じであるというふうに考えて差しつかえないと思います。
  153. 河村勝

    ○河村委員 それじゃ、もし検査事務に関係して何か被害を受けた人間があったとする。その場合に、訴訟をしようという場合の対象はどこですか。
  154. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 たとえば御指摘の問題は、国家賠償法の適用の問題として考えていいと思いますが、検査協会が国家賠償法にいういわゆる公共団体に当たるものとして検査協会を相手どって国家賠償法による訴訟をやるということになろうかと思います。
  155. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、運輸大臣というものは、法律の本来のたてまえからいうと検査行政をやることになっておるのだけれども、軽自動車の検査に関する限りは、協会に対する監督責任みたいなものはあるけれども、検査行為自体については全く免責になる、そういうことになりますか。
  156. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 免責と言われるとちょっと困るのですが、それは監督責任があるということがまず第一義的だと思います。それから、その点につきましては過去の立法例をあげつらうわけではございませんけれども法律でこういう国以外の適当な団体を指定なりあるいは設立することによって国の義務を行なわせるときには、第一義的にはその団体が当該業務について責任を負うということは、これは当然だろうと思います。その限りにおいては国の責任は第一義的には監督責任しかないということになろうと思います。しかしこの点は公団、公社、公庫、そうした国以外の法人に事務を処理させる場合は当然そういう行為が働くのだろうと思います。
  157. 河村勝

    ○河村委員 そこでこの法律の中身になりますけれども、これはいわゆる認可法人ですね。それでこの条文によりますと、設立の場合ですね、七十六条の十一「運輸大臣は、前条第一項の規定による認可の申請があった場合において、申請の内容が次の各号の一に該当せず、かつ、その業務が健全に行なわれ、軽自動車の安全性の確保に寄与することが確実であると認められるときは、設立の認可をしなければならない。」こういうことになっていますね。ですからこれは新しく権利を設定するんじゃなしに禁止の解除ということになるわけですね。片一方で七十六条の四で「協会は、一を限り、設立されるものとする」。こういうように、資格要件があったら許可をしなければならないという法文を片っ方でつくっておいて、片一方でそれは一つでなければならないという法律をつくる。一体この矛盾というものはどう考えられるか。
  158. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 「協会は、一を限り、設立されるものとする」というふうにいたしましたこの実体的な理由は、私からお答えすべきじゃないと思いますが、法律的な側面だけ申し上げますと、協会は一を限り設立されるということ自体がもし正しいとすれば、それを前提とした上で、個別的に認可申請が出てきた場合に、御指摘のような七十六条の十一によって判断をするということでございます。確かに七十六条の四のほうが大前提であって、それを受けてということが、この四と十一の間に文言の上でつながりがございませんので、ちょっとそういう御指摘を受けたかもしれませんけれども、当然そういうつもりで私どもは矛盾とは感じておらないわけでございます。
  159. 河村勝

    ○河村委員 だんだん逃避的な答弁になってきたのですけれども、しかし常識的に読む場合、それは一つ以上あってはならないという前提でこれらの資格要件が書かれているというふうにはどう読んでも読めないんですよ。ここに書いてあるのは、認可申請があった場合に「申請の内容が次の各号の一に該当せず」そういう条項に該当しないで、しかもあとは「業務が健全に行なわれ、軽自動車の安全性の確保に寄与することが確実であると認められるとき」ということになれば、これは九州に一つ、北海道に一つ、本州に一つあって一向差しつかえないのだ。それ以上には読みようがないのだ。ただ片一方にこの一を限るというのがあるから、一応条文面ではここで押えられることはわかる。だけれども、前提は七十六条の十一であって、それを無理やりに七十六条の四でねじ伏せている。そうとしか読めないのだけれども、そういう感じで見るほうが普通の人間の常識じゃありませんか。
  160. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 七十六条の十一の規定は、運輸大臣が認可の申請をするにあたって、恣意的な判断をしてはいけないということを強くうたっている規定だと思います。こういう意味の規定は、確かに御指摘のように、幾つかの団体から申請が出てきた場合の普通の法律の規定にあるわけでございます。したがってその限りにおいては確かに七十六条の十一だけごらんいただくとそういう御疑問が出ると思いますけれども、これはしかし、繰り返して申し上げますが、七十六条の四というほうが基本的な規定である。そういう協会の設立と申しますか協会のあり方についての基本的な規定だというふうに御理解願えれば、その前提に立った上で運輸大臣は、申請が出てきたときに恣意的な認可をしてはいけないのだということを十一で書いている、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  161. 河村勝

    ○河村委員 しかしこれは「設立の認可をしなければならない」、単に恣意的な判断をしてはならぬという規定の書き方とは違いますね。「認可をしなければならない」というんだから、どう考えたって理屈に合わないので、要するにこれもやっぱり一種の脱法みたいなもので、一つしかつくらぬで、それに行政行為をやらそうというなら特殊法人にするのがほんとうなんですね。そうじゃないのですか。
  162. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 ほんとうであるかという御質問にはちょっとお答えにくいのですけれども、むろんこういう公権力の行使と申しますか、そういうたぐいの性質を持っているものとしては、国の機関に最も近いもののほうが望ましいということは言えるのだろうと思います。そういう意味で、特殊法人が俗にここでいう認可法人よりももっとオーソドックスな形態ではないかということは、一応言えるだろうと思います。  ただ、御質問がございませんのにお答えするので恐縮ですが、先ほど来申し上げたように、公権力の行使にかかわる問題ではありますが、やること自体は検査とか検定というような裁量的な判断を要するようなものではなくて、定型的な判断、定型的な処理に帰するものでございますから、実は前例としては、こういう種類のものは特殊法人とそれ以外のものとがあるということが言えるだろうと思います。
  163. 河村勝

    ○河村委員 少なくとも戦前にはこんな妙ちくりんな書き方をした法律というのは見たことないですな。近ごろ、戦後は法制局もだんだんだらしなくなって、権力に迎合して、政府の方針でつくろうと思っても正式につくれないものを、妙にこじつけてオーソライズするというような傾向が非常に強いんじゃないかというふうに懸念をしているのです。もともと行政機関でやるべきものなんです。それを行政機関でやらずに、こうした検査協会なるものをつくってやったって、国民の負担は何も関係がない。むしろ多くなるかもしらぬくらいです。この場合だって特殊法人にしないとほんとうはつじつまが合わないものを認可法人にする。これもやはり政府の何か特殊法人をつくっちゃいかぬとかなんとかの方針があるからなんじゃないですか。
  164. 野村一彦

    ○野村政府委員 法律的な問題につきまして、法制局の第四部長から答えられたのでありますが、私ども実体的な面から申しますと、認可法人と特殊法人の相違というものは実体的にはきわめて少ない。といいますのは、たとえば設立を国が命じて、そしてその国の命じた設立発起人が設立をするというものがいわゆる特殊法人である。もちろんそのあとにおきましては、国の出資とかそういうものがあるわけでございますが、この場合の認可法人というものは、あくまでも運輸大臣が認可をするものであって、設立の発意は、これはいわゆる学識経験者と申しますか、そういう人がとるのであって、国がこれを命令しないというものが相違であろうと思いますので、機能とかその他実際の働きと申しますか、そういうものについては認可法人でも特殊法人でも変わりはないという理解のもとに、私どもこれを認可法人にしようとしているわけでございます。
  165. 河村勝

    ○河村委員 それは変わりないのがあたりまえです。これはいわゆる特殊法人なんですが、特殊法人でないかのごとく装ってつくっているのだから、それは中身は変わらないのだ。だけれどもそれを嫡出子にしないで何か庶子を認知したみたいなことにしたのは、政府の方針がそうだからであろうということを伺っておるわけです。大臣どうですか。
  166. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 認可法人の前例は前にありました。やはりこれと同じようなことがありまして、私どももこれに同意いたした次第であります。
  167. 河村勝

    ○河村委員 それでは伺いますが、認可法人の形式をとっているからこれは任意設立ですね。だれも会社をつくらなかったら政府はどうしますか、この軽自動車の検査を。
  168. 野村一彦

    ○野村政府委員 私どもこれをどういう形でつくるかということについていろいろ検討いたしまして、現に民間の軽自動車のユーザー、メーカーあるいはその他の団体におきましても、二、三年前に軽自動車の安全性がやかましくなっているときに、いろんな議論はございましたけれども、近い将来軽自動車というものは検査の対象になるべきであるという意見がかなりまとまってきておるわけでございます。現状におきましてもこの軽自動車の検査をやるという方針で、私どもが昨年以来いろいろと検討しました段階において、民間のほうもこれは大所高所から考えて民間のユーザー、メーカーともに反対すべきではない。したがって、これはひとつ学識経験者等を語らって、こういうものをつくるようにやっていただきたいという実は民間の声もあるわけでございまして、私どももこれが法律がかりに通っても、そういう民間からの発起の申し出がないということは御心配ないと思います。
  169. 河村勝

    ○河村委員 要するに初めから一つつくるつもりで、事実上アンデューインフルエンスを用いてつくらしてしまう、そういうことですね。
  170. 野村一彦

    ○野村政府委員 去年来のこの軽自動車論議の過程におきまして、民間のほうからもそういう積極的な声があるということでございます。私どもはそれを受けて、検査の体制を整えようということと、それから先ほどの法制局第四部長法律的な答えに対しまして、私ども実態面といたしましてはそういうものが乱立といっては悪いのですが、全国に何カ所も同じような団体をつくる必要はないので、全国統一して簡素にして能率的な機構をつくって、そして必要によって支所をつくることがいいということでこういう制度にしたわけでございます。
  171. 河村勝

    ○河村委員 それじゃ全く同じような性格で、力からいっても同じようなものが二つ出てきたらどうします。
  172. 野村一彦

    ○野村政府委員 実際問題といたしましては、もちろんかりに二つそういうものがあればその内容を審査して、そしてすぐれているほうを認可するということになろうと思いますが、そういう御懸念のようなことはないと思います。
  173. 河村勝

    ○河村委員 それはおかしい。そういうものがあればとにかく設立の許可をしなければならない。だけれども、どっちかにしなければならないということも間違いない。それはどうしますか。くじ引きでもやりますか。
  174. 野村一彦

    ○野村政府委員 法律論は先ほどの第四部長の答えたとおりでありますが、実際問題としては、かりに二つになりました場合にはすぐれているほうを私どもは大臣に認可していただくということにして、一つは、認可すれば結局七十六条の四が働いて一つを限りということで、あとのほうは認可にならないというふうに私どもは考えております。
  175. 河村勝

    ○河村委員 ですから結局もぐり特殊法人なんですよね。こういう脱法的な法律をここで法制局が加担してやるのははなはだよろしくない。政府の方針というのは行政簡素化もある。特殊法人をつくらないのも行政簡素化でしょう。それはその簡素化という文句が大事なんじゃないですよ。最終的に国民の負担を軽からしめる、迷惑をかけないというのがねらいなんだから。ところがもぐりでやっておけば、全然国民の負担も軽くならないし、迷惑する程度も同じなんですよ。それじゃ何の意味もない。そういうのを法制局が法律的良心を麻卑させて、協力をしてしりぬぐいをやっているようなものだ。私はこれははなはだよろしくないと思うので、つくるなら堂々と行政機関で、どうしてもそれが特別の理由があるなら特殊法人でもよろしいのですが、大臣どうお考えになりますか、何かごまかし、ごまかしで無理やりにもぐりでやるというようなやり方は。
  176. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 法の構成の問題、法の性格の問題でございますから、法制局にひとつ答えさせます。
  177. 河村勝

    ○河村委員 自動車局長はえらい内面指導をしちゃって、一つつくっているらしいから自信があるようだが、少なくとも任意設立なんだからこれは申請しない場合もあり得るんだ、そういうたてまえでできている。その場合どうしますか。
  178. 野村一彦

    ○野村政府委員 理論的に申しますれば、かりに申請がないということでありますれば、これはさっき申し上げましたように、特殊法人をつくって国が設立を命ずるのではなくて、国は申請を待って、その審査をして認可をするかどうかということをきめるわけでありますから、理論的に申しますれば、そういう申請がなければこれは設立できないということになるわけでございますが、私どもむしろそれを民間からやるべきではないか、われわれも積極的に協力するということでございますので、御懸念のようなことは万々ないと思います。
  179. 河村勝

    ○河村委員 大体民間が、こういうものをやるべきではないか、積極的にやりましょうということを言うはずはないのだ。そういう気持ちになるとは考えられないが、その話は別にして、そういう申請がないという場合には検査はやめるのですか、それとも国が検査をやるのですか、どっちですか。
  180. 野村一彦

    ○野村政府委員 法律上は、これが設立されない場合には運輸大臣といいますか、国がみずからこの検査をやるという規定になっておるわけでございます。
  181. 河村勝

    ○河村委員 それならばちゃんとやらざるを得ない。そうするとやるわけでしょう。それだったら初めからやったらいいでしょう。国がやらなければならない。そうしたら金の出どころは車検特別会計から何か出るので、手数料は取れるのだから国としてはいつでもやれるわけでしょう。
  182. 野村一彦

    ○野村政府委員 そういう場合にはもちろん、国がみずからやる場合には、それに必要な予算定員その他の措置を講じてやらなければなりませんから、そういう手続といいますか、方針を転換してやらなければならないということでございます。
  183. 河村勝

    ○河村委員 幾ら議論しても切りがありませんからやめましょう。ですけれども、こういう国の方針、政府の方針をきめたら、形式的にそれを順奉して、いまやっている——ちょっと差しさわりがあるかな、動労の順法闘争と同じようなもので、ほんとうに守ることになるわけじゃない。ただそれはもぐりだけですよ。だからこういうやり方ははなはだよろしくないのです。だから政府でやるべきなんですね。  ところで時間もないので、最後に実質的なことを一つ聞きますが、これから来年の十月に始めるとして、国でもってやる検査はどのくらいであって、民間でやる分はどのくらいであるというふうに考えておりますか。
  184. 野村一彦

    ○野村政府委員 これは国といいますか、協会が来年の十月から検査を開始するわけでございますが、制度としては先ほど斉藤先生の御質問にお答えいたしましたように、いわゆる民間の指定整備について、軽自についても考えようと思っております。それがどのくらいのパーセンテージになるかということにつきましては、大体平年度になりましたらフィフティー・フィフティー、国が半分、あとの半分が民間というような姿になるであろうというふうに考えております。
  185. 河村勝

    ○河村委員 従来やっておる検査の場合、国とそれから民間との割合が七、三、こういうような話であったが、かつ、将来それの比重はもっと民間を重くしていこうというようなふうに聞いていましたが、そういうことなんですか。
  186. 野村一彦

    ○野村政府委員 そういうことでございまして、普通自動車につきましては、現在の時点におきましては大体国が七割、民間が三割ということでございますが、これを将来は国を三割、民間を七割に持っていくようにしたいということでございます。
  187. 河村勝

    ○河村委員 軽自動車の場合はどうですか。
  188. 野村一彦

    ○野村政府委員 軽自動車の問題は、指定整備工場の育成といいますか、それがどの程度可能になるかという実態を見きわめなければなりませんので、もちろん先ほど大臣も申されましたように、民間技術整備能力、検査能力というものを活用するということは、軽自動車の普及とともにますます必要になると思いますので、軽自動車につきましても民間の車検率を高めるということを考えておりますけれども、私ども現在考えておりますのはやはり五〇、五〇の割合で、民間が半分、この協会が半分ということでいきたいと思っております。
  189. 河村勝

    ○河村委員 そうすると将来はだんだんそれも民間のウエートを重くして、この協会でやるのは減らしていこう、そういう方針でこれからやっていこうということなんですか、やはり五〇、五〇でずっとやっていこうというのか。
  190. 野村一彦

    ○野村政府委員 いまの協会がやるのを減らしてとおっしゃいましたが、私は絶対数はふえると思います。ただそのパーセンテージが変わってくるということでございまして、作為的に特に民間をふやすというか、これも軽の指定整備業者の育成の状況とにらみ合わせて考えなければなりませんので、現時点においてはいま言いました五〇%、五〇%をどのように変えるかということについてはまだそのままの状態といいますか、五〇、五〇の状態でしばらく推移を見たいということでございます。
  191. 河村勝

    ○河村委員 これは手数料で独立採算でやるわけですが、そうするとこの軽自動車協会の経営が採算とれるのに必要な手数料を取る、こういうことになりますね。この場合、大体従来の普通車の手数料との比較はどのくらいになりそうですか。
  192. 野村一彦

    ○野村政府委員 普通車の手数料と同じ程度の手数料を考えております。
  193. 河村勝

    ○河村委員 それはおかしいじゃないですか。普通車と軽自動車と比べれば、保安基準も違うでしょう。構造的にはずっと画一的で簡単なはずでしょう。それが同じようなものを取ってやるのですか。それほど軽自動車協会というのは経費がよけいかかるのですか。
  194. 野村一彦

    ○野村政府委員 普通単と申しましたが、普通車の中の小型車とほぼ同じ程度のものという手数料でございます。
  195. 河村勝

    ○河村委員 小型車と軽自動車でもずいぶん違うでしょう。小型車だってかなり高速も出すし、構造も、いろいろスタイルも違うし、軽自動車とは全然違うんじゃないですか。それと同じような料金を取る。そうなるとこの検査協会というのは、いかに固定費がよけいかかるかという証拠みたいなことになるが、そういうことなんですか。
  196. 野村一彦

    ○野村政府委員 比較的性能等の近い小型車との見合いできめるということでございまして、これは法定の限度額の中で政令で具体的な額をきめるということで、具体的にはそういう小型車を念頭に置いてきめるということで、これからそれを検討することになるわけでございますが、大体の目安は小型車並みということでございます。
  197. 河村勝

    ○河村委員 手数料をきめて公示か何かするでしょう。それでやってみて、もし採算がとれない場合にはその赤字はどうするのですか。
  198. 野村一彦

    ○野村政府委員 採算につきましては、私ども長期的にこれを見るわけでございますが、問題は今後の軽自動車の伸びというものがどうなるかという想定でございます。現在四十八年の十月から検査を実施すると考えまして、大体三年程度の収支を考えてみますと、三年目くらいからは大体単年度黒になるであろうという想定、その場合の想定は政府出資ももちろん一億五千万円のほかに今後ある程度の増額を見込まれるということ、それから収入の面におきましては、手数料につきましてはいま申し上げましたような小型車並みの手数料を取るという前提でございまして、そういう前提ですと、三年度目くらいから単年度黒になる、こういう想定でございます。
  199. 河村勝

    ○河村委員 時間が来たから一応終わりますが、とにかく大臣の答弁には、私はきょうははなはだ不満です。やはり国務大臣ですから行政簡素化というのは単にお題目じゃなしに実質的にどうあるべきか考えるもので、行政簡素化に反するから検査協会をつくって、それがまた特殊法人じゃ困るから、形式的に違反するから、もぐって実質的に特殊法人をつくるとか、そういうやり方というのは、私は、いろんな仕事の面でそういうごまかしを促進するような悪い効果を生む危険性があると思うのです。何かごまかしてやれば、表向きさえつくろえばいいんだということになるので、だから法制局に対しては、そういうものに加担をして、そしてごまかしのつくろいをやるようであってはならない、やはり法制局は正しい法律の番人でなければならないので、もう少しがんばってもらいたい。それを注文をつけて、一応質問を終わります。
  200. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いまお話しでございますけれども、私は公権力の一部を民間に委託をするということは、そう——まあそれはものによりますけれども、ことに技術的な面につきましてはそう厳格に解釈しなくてもいいのじゃないか、私はそういうように考えておる次第であります。それゆえに今回の問題につきましても私は一応賛成した次第でございますが、やはりこれからの問題、これは非常に根本論がございましょうが、これからいろいろ行政が複雑になってまいりますと、どうしてもやはりそういう分野が出てくるのではないか、こういうふうに思っておる次第でございます。これは河村先生と、いまのところちょっと見解が違うようでございますから、また後日お教えを受けたいと思っております。
  201. 河村勝

    ○河村委員 そこまでお考えならば、これだけ事故が漸減している状態なんだから、何もあわててこんな手間のかかることをやらないで、当分軽自動車の検査を見合わしたらよろしいのです。それのほうがほんとうなんです。  私はいま一応終わると言いましたから、これで終わります。
  202. 小峯柳多

    小峯委員長 次回は明十三日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会