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山口政府委員 お答えがちょっと前後するかもしれませんが、まず今回の方式におきまして
建設いたしました設備を、貸し付けでなく譲渡するというふうにいたした
理由でございますが、これは実は現在
鉄道建設公団が
建設いたしましたものを
国鉄に使わせる場合につきましては、主として貸し付け方式によっております。ただ、貸し付け方式によっておりますと、この
鉄道建設公団の側におきまして、その
施設の管理、運営と、財産管理の仕事ということをしなければいけません。また、何か災害が起こったような場合におきましても、
鉄道建設公団がその災害復旧
工事というようなことをしなければならぬわけでございまして、そういうようなことで、今回のような場合には
鉄道建設公団がつくったものを
私鉄に譲渡してしまうということのほうが、制度としても非常に簡明であるし、さらに
鉄道建設公団自体の負担も軽減されるということになるということが
一つございます。
それからいま
一つは、
鉄道の
施設が非常に多岐にわたっておりまするために、できて貸し付けいたしました
線路自体に改修をしたりするというようなことが多分に生じてくるわけでございまして、そういったような場合に、その改良
工事によるところの財産区分は一体
鉄道建設公団になるのかあるいは
私鉄事業者になるのかというような非常にむずかしい財産区分上の問題が生ずるわけでございまして、そういった面からも譲渡のほうが簡明だし、適当じゃないか。
それからさらに、割賦弁済が行なわれるに従いまして、そして
私鉄の担保力が増大するということによりまして、さらに他の債権の担保に供するというようなことも可能になるわけでございますから、
私鉄みずから行なう
整備というものがそういったようなもので促進されようというようなこと、あるいは現在
私鉄についてございますところの税法上の
措置というようなものの処理が非常に容易じゃないかというようなことで、いろいろな各般の面から私
ども事務的に検討いたしまして、やはり譲渡の
やり方がいいじゃないかというふうに実は考えたところでございます。
それから、経営自体を
鉄道建設公団が行なうことはどうかという点につきましては、これは実はそういう
考え方も当然あると思うわけでございますが、特に
複々線化のような場合には、現在の複線と統一的、総合的な運営をしなければならない。たとえば新しくできた線を快速線に使い、従来からの線は緩行線に専用するというような使い方をするということになりますと、
輸送力が倍ではなくて三倍とかあるいはもっと大きな使い方ができるわけでございまして、そのような面からいきますと、やはり運営自体は従来の
鉄道事業者が行なうということのほうが、総合的かつ能率的な運営ができるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
それから、この
建設についての助成全般でございますが、たとえば
先生お話がございましたように、
鉄道建設公団の
国鉄に対する
新線といたしましてAB線というのがございます。このAB線につきましては、これは全部国が実は出資をいたしておるわけでございまして、その意味では全く無償の
資金でもって
建設をいたしておるわけでございます。ただ、C線、D線というのがございますが、このC線、D線につきましては、主として財政投融資というものを
中心にいたしまして
建設をいたしましたそれに対する利子補給をやるという形でございまして、
やり方自体はそういう形でございます。ただ、金利は今年度から五・五%にいたしたわけでございます。
そこで、今回の
鉄道建設公団によります
私鉄の
建設は、ちょうどこのC線、D線の
やり方と同じような
やり方になるわけでございます。ただその場合に、国の助成の面につきましては、先ほど申しましたように六分五厘までの利子補給という点につきまして
国鉄のC線とはちょっと程度が違います。その点では今後考えなければならぬことであると思うわけでございます。
いずれにいたしましてもそういうことで、今後これで十分かどうかという点につきましては、私
どももっと検討しなければならぬ問題でもございますが、ただ、長期的に見ましても
鉄道の
輸送需要の多いところでございます。先ほど
先生御
指摘のように
複々線化のような場合には、これを
建設いたしましたからといってお客がふえるわけではございません。
輸送が緩和するだけでございますが、しかし、長期的に見ればだんだんにふえていくということでございまして、そういう非常に長期の視野に立って見ることがこういう懐妊期間の長い
建設には必要ではないかと思うわけでありまして、そういう長期的視野に立っていかなければならぬ。いま
一つは、
鉄道事業者というのはやはりその地域における
輸送の責務を負っておるわけでございますから、したがって長期的な視野に立って、かつ
輸送の責務を考えていただければ、当然これは申請をしていただいて、私
ども考えているような
計画的な
整備がはかられるのじゃないか、このように実は考えておるわけであります。