運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-03-15 第68回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月十五日(水曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 徳安 實藏君    理事 箕輪  登君 理事 内藤 良平君    理事 田中 昭二君 理事 河村  勝君       石井  一君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    佐藤 文生君       菅波  茂君    關谷 勝利君       福井  勇君    細田 吉藏君       山村新治郎君    井岡 大治君       井野 正揮君    金丸 徳重君       久保 三郎君    斉藤 正男君       松本 忠助君    宮井 泰良君       和田 春生君    田代 文久君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    山田 嘉治君         北海道開発庁主         幹       首藤 泰雄君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         運輸大臣官房参         事官      原田昇左右君         運輸省港湾局参         事官      田中 光次君         運輸省港湾局計         画課長     大久保喜一君         自治省財政局交         付税課長    潮田 康夫君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ————————————— 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   内海  清君     和田 春生君 同日  辞任         補欠選任   和田 春生君     内海  清君     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道開発のためにする港湾工事に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第三二号)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので順次これを許します。内藤良平君。
  3. 内藤良平

    内藤委員 きょうは北海道開発のための港湾工事の法案ですけれども、私は、港湾整備緊急措置法の一部改正を四十五年度の国会で審議いたしました。この緊急措置法の一部改正は、四十三年度から四十七年度までの最初の計画を、四十六年度から五十年度までにこれを切りかえまして、港湾整備五カ年計画を策定したわけですね。まあしつつあるわけだと思います。その際の提案の趣旨は、要約しますと、港湾取り扱い貨物量予想外に伸びていること、それから海上コンテナ輸送がどんどん発達してきたこと、またフェリー輸送がこれも非常に伸びてきた、次に地域開発新規港湾整備、また海難の防止船舶大型化とふくそうのため、さらにはまた廃油処理施設整備ですね、海洋汚濁防止、こういうような内容を持ったものにしなければならぬ、また新しい経済社会発展計画に即した措置である、さらには海上輸送合理化、こういうような提案といいますか、そういう状況の中で、あるいはこういう条件を整える、こういう意味緊急措置法の一部改正が行なわれました。あれから一年有余たっておりますけれども、その後の進捗状態ですね、これをひとつ概括的でもよろしゅうございますから、まずお尋ねしたいと思っております。
  4. 栗栖義明

    栗栖政府委員 先生指摘のように、昨年の国会緊急措置法の一部改正をお願いしまして、その後鋭意事務的に作業を進めてまいりまして、二兆一千億の港湾投資の中で、国が関与いたします一兆五千五百億円に対します内容整備の詰めを進めてまいりまして、三月七日に、これは緊急措置法でも規定されておりますけれども港湾審議会で御審議いただきまして、大臣の御諮問に応じまして港湾審議会のほうも内容につきまして御了承いただきまして、現在閣議決定をお願いしたいということで手続を進めておる次第でございます。
  5. 内藤良平

    内藤委員 その閣議決定内容ですね、これもかいつまんででいいですから、お知らせ願えるならばお知らせ願いたい、こう思っております。
  6. 栗栖義明

    栗栖政府委員 まだ閣議決定いただいておりませんので正確なお答えにはならないかと思いますけれども、私ども事務当局考えておりますのは、先ほど先生から御指摘いただきましたように、第四次と申しますか、五カ年計画の進め方につきましては、大筋は先生指摘のとおりでございまして、一応内容といたしましては、まず外国貿易港湾整備ということで、コンテナその他の施設整備をやらなければいかぬということでございます。  次に、内国貿易港湾というと語弊がございますので、国内流通港湾ということばを使っておりますけれども、これは国内海上輸送に対します港湾施設整備ということを考えております。  それから次に、地域開発の基盤になる港湾整備。これは新産、工特という地域の指定がございまして進めておるものでございますが、それをとりあえずやります。  それからさらに、産業関連港湾と申しまして、企業が相当な受益者負担金を持っておる港湾もございますので、それを進めるということを考えております。  次に、海上輸送の安全という意味から、港湾の区域にない航路の整備を大いに進めたいというふうに考えております。  さらに公害防止事業関係でございますが、昨年御審議いただいた時点では油濁防止施設中心になってございましたけれども、その後公害防止関係でいろいろ議論が進められまして、港湾内に堆積いたしましたいわゆる堆積汚泥と申しますか、その除却につきましても手当てをいたしたいということで、そういうことも含めまして進めたいと考えております。  最後に、港湾調査なりあるいは作業船整備ということも進めてまいりたいというふうに考えておりますし、なおこれは従来の五カ年計画にもございましたのですけれども、いろいろと事業を進めてまいりますと、当時予測しなかったような新しい種々の要請が出てまいりますので、調整項目というものも用意してまいりたい、こういうふうに考えております。
  7. 内藤良平

    内藤委員 この整備五カ年計画、これは閣議はいつになるのですか。それと、閣議決定になりましたら、資料としてわれわれにもこれはいただきたいものだ、こう思っております。私たち聞いているところでは、十七日ころに閣議決定がある、こういうぐあいに聞いておりますが……。  そこで、まあこれは当面する港湾に対するいろいろな問題をこの五カ年計画で実施してまいるわけでありましょう。その中で、これはちょっと私の質問からもはずれますけれども、例の大規模工業港ですかの調査ですね、国内六カ所くらいと思っておりましたが、あれの進捗状況はどうなっていますか、これもひとつかいつまんででよろしゅうございますから、お答え願いたい。
  8. 栗栖義明

    栗栖政府委員 いま一応私ども、問題はあろうかと思いますけれども、新全総計画にいわれております大規模、いわゆる大プロと言っておりますが、大規模工業地帯調査ということで苫小牧東港、それからむつ小川原秋田志布志周防灘という地点につきまして、まだ構想を固める事前の段階といたしまして、これは私ども港湾調査費にあわせまして、経済企画庁調査調整費をいただきまして、早いところで四十四年、四十五年、四十六年というふうにスケジュールを立てましていろいろと調査をやっておりますが、この調査のおもなポイントといたしましては、その地域全体の海の深さあるいは土質、特に問題になりますのは風、波の関係でございますので、そういうところに重点を置いて進めてまいっておりまして、各地域によってかなりのでこぼこがございますけれども、一カ所当たり、たとえば秋田船川で申しますと、四十六年度、本年度でございますが、約六千七百万円ばかりの調査費を使いまして、これはかなり大がかりな波の観測をやっておるという状況でございます。
  9. 内藤良平

    内藤委員 もう少し調査の模様を——むつ小川原湖につきましてのことは、いろいろテレビなんかにもときどき出ますけれども反対連動中心になりまして出てまいりますけれども、これは港湾見地から、運輸省の場合はいろいろ策定し調査をしておると思いますけれども、大体いまおあげになった苫小牧ですか、それからむつ小川原秋田ですね。それから周防灘ですか、四つぐらいですね。
  10. 栗栖義明

    栗栖政府委員 それに志布志が入っております、鹿児島県の。
  11. 内藤良平

    内藤委員 この地帯調査段階ですけれども、大ざっぱに言いまして、港湾としてどの程度港湾をつくる目的のもとに調査をしておるのか。これはしろうとにわかりやすいように、どの程度の船を入れるか。水深とかいうことになりますとわかりにくくなりますけれども、何万トンくらいの船を入れる予定か、そういうわかりやすい話でお話を聞きたいと思います。
  12. 栗栖義明

    栗栖政府委員 これは私どもの領域ではないと思いますけれども企画庁あるいは通産省あたりかもしれませんけれども、そういう大規模新規開発をやる場合に、どういう企業をどの程度考えるかということによって違うかと思いますけれども、やはり大規模という以上は、簡単に例を申しますと、タンカーでございますと三十万トンから五十万トン程度、それから一般の船の輸送につきましても、製品輸送原鉱石輸送がございますけれども、普通の貨物船ですと、将来考えますと、やはり十万トン程度のものは考えなければいかぬということに一つの目安を置いてやっております。
  13. 内藤良平

    内藤委員 調査段階ですから、その程度のあれでいいです。これは調査をして一応の結論が出て、それから港にかかる、こういうぐあいになるわけです。そこらのめどはどこら辺、大体五十年でしたか、あるいは調査は三カ年でしたか、そこら辺ももう少し聞きたいと思います。
  14. 栗栖義明

    栗栖政府委員 これは私ども運輸省だけじゃなくて、関係各省にもまたがろうと思いますが、その地域によっては、これは新聞でも御承知のように、いろいろと反対とか自然環境調和の問題というふうないろいろな問題が出ておるようでございます。で企画庁中心にいたしまして、 マスタープランといいますか、大まかなその地域開発目標がきまりまして、それを受けて、じゃあどの程度港湾が要るかということになるわけでございます。したがいまして、まず大前提がきまって、受けて考えた場合に、きまったときにすぐ港湾計画にかかれるようにするということで調査をやっておるわけでございまして、いつごろとおっしゃいますと、ちょっと私のほうではお答えしかねる点もございますけれども、できれば調査のほうはここ二、三年の間で、ある程度の大まかな見当はつけたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 内藤良平

    内藤委員 これもほんとうは大ざっぱでもいいのですけれども、少しわれわれも予備知識を得たいということで、資料として現在のわかった範囲でも——まだ大規模工業地帯あるいは港湾、将来これが可能か不可能かいろいろあるでしょうけれども、そこら辺を結論はまだ出ていないと思いますけれども、現段階でもいいですから、われわれのわかりやすいような資料をこれもいただければありがたいと思っておりますけれども、それをひとつお取り計らいを願いたいと思っております。これは答弁はいいです。そういうぐあいにお願いします。  次に、 この整備緊急措置法によりましてだんだん公共埠頭的なものからコンテナ専門埠頭であるとかあるいは鉱石石炭、鉄鋼あるいは穀物、自動車、こういう専門埠頭あるいは長距離フェリー埠頭、こういうぐあいに今日の経済社会発展状況に合わせて港湾整備していこう、こういうことでありますが、そこで、コンテナ専門坤頭バースですか、これは今度の計画の中にもあると思いますけれども、われわれの調査では、東京横浜名古屋大阪神戸、こういう方面に三十八バースぐらいつくる、こういうぐあいにわれわれ聞いています。あるいはまた鉱石石炭、鉄鉱、穀類、自動車、こういう専門埠頭、あるいは長距離フェリー埠頭、こういうものが整備されていくものと思います。ただここで、こういう専門埠頭が着々と整備されてまいりまするけれども、公共的ないわゆる一般にオープンされるところの埠頭関係が圧迫されるといいますか、縮小されるといいますか、こういう心配もなきにしもあらず、こういう考えであります。そこら辺のバランスといいますか、これはまた経済社会発展計画、いろいろな経済情勢もあるわけですけれども、これも大づかみでよろしゅうございますから、今度閣議決定を見ようとしておるこの五カ年計画の中で、どういうぐあいにこれがバランスをとっていくものか、そこら辺も少しかいつまんで説明願いたい。私たちは公共埠頭というものが非常に縮小されてしまうのではないか、こういう考えを持っている中での質問でございますから御答弁願いたいと思っております。
  16. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ただいまの先生の御質問ごもっともだと思いますが、ただちょっと私ども考えてございます公共埠頭と、いわゆる専用埠頭との分類のしかたを御説明させていただきたいと思います。  先生指摘のような、公団でやっておりますコンテナ埠頭であるとかあるいは国が無利子で融資しますフェリー埠頭、そういうようなもの、これはいずれも港湾管理者が非常に関与しまして包括的な港湾管理者管理権のもとで動くものでございまして、たとえば、木材専用埠頭というようなものも私ども公共埠頭の一部というふうに考えておるわけでございます。だんだん貨物輸送が大量化してまいりますと、専要船も出てまいりますので、そういう専用船の荷役に合うような埠頭もやはりつくらなくちゃならぬ、これは輸送合理化という面からも必要でございます。ただ、特に顕著なのは、先生指摘のように東京横浜であるとか名古屋大阪神戸というふうな大港湾機能が分化してまいりますとそういうことが起こってまいります。ただ、地方にございます重要港湾でございますと、それほどまとまった機能分担がございませんで、一つ埠頭でいろいろな貨物を扱わなければならぬというものが出てまいりますし、それから大港湾でもきまった貨物ではなくて、各地から入ってくるいろんなものを扱わなければならぬ。そういうものを港ごとに一応現在の状況あるいは将来の推移を見まして、圧迫という先生の御指摘ございましたが、むしろそういうものは極力必要に応じて伸ばしていくということを考えまして、ただ明らかに専用船が動いて、それが数十万トンのオーダーでどうしても専用埠頭をつくらないとさばき切れないというものについて専門化を進めてまいりたいというふうに考えております。
  17. 内藤良平

    内藤委員 次に港湾の緊急の整備の中で、公害問題も必要なことになっております。先ほど局長お話で、大型タンカーどもこれからどんどん港湾に入る、こういうお話もございましたが、前国会でしたか、やはり公害問題、海水汚濁防止、それからいわゆる船から出るビルジといいますか、ああいう油類の各港における装置ですね、あれは何といいましたか油を処理する装置、あれもこの五カ年計画の中で整備される眼目になっていると思いますけれども、その点もひとつお聞かせ願いたいと思っております。
  18. 栗栖義明

    栗栖政府委員 先生指摘の油濁防止施設につきましては、これは海洋汚染防止法を受けまして、沿岸のタンカーなどにつきましてはもう四十七年度一ぱい、四十八年の二月末でこれの投棄ができなくなりますので、早くこれを受けとめなければいけないということで、新しい五カ年計画の中も四十六、四十七年度というところで重点的に整備してまいるという考えでございます。ただこれは、海洋汚染防止法でも、たてまえからいきますと既存の業者のほうで極力やっていただきまして、できないところを補う意味で、港湾管理者のほうに足りないところはやっていただくというたてまえで進めております。いまのところかなり順調にまいりまして四十七年度で、一応私どもが必要だというふうに考えているところは整備ができるというふうな見通しを立ててございますけれども、ただものによりましては計画当初と情勢が変わりますし、油濁防止需要そのものの予測も非常に変動がございますので、必要があればどんどん追加してまいりたいという姿勢で臨んでまいりたいと存じます。
  19. 内藤良平

    内藤委員 この問題は計画の中におきましてもやはり重視して進めてもらわなければならぬ、こう思っておりますが、あわせてこの際申し上げたいのは、過般の国会の中におきましても例のジュリアナ号の問題がありまして、たいへんな問題でございました。私も緊急質問いたしましたけれども、あの際大型化——これは港湾関係直接じゃありませんけれどもタンカー大型化によりまして、万一の場合にはたいへんな災害になるんじゃないかと予想されるわけであります。しかしこの点輸送港湾貨物の扱いから見ますと、専用されて大型になること、これは経済的には必然的なものでしょう。局長も三十万、五十万のこれからの港湾ができる、こういうことですが、ここら辺はまた先般の災害等から見ますと、これまた矛盾する。大型になる、災害の際にはたいへんなことになる、こういう点があるわけですけれども、各港湾海水のあるいは港内の油濁防止のためにいろいろ対策装置を設けますけれども、どうも大型船舶の場合とこれから関連して考えますと、小さいところでいろいろ心配してやっているけれども、大きい場合にはたいへんな状態になる。港湾の立場から専用化し大型化することは、これもただ経済性だけを考えて、幾らでも大きければいい、できたら百万トンでもいい、こういう形になっていくものかどうか。油の海上に流出する災害等考えましても、船舶構造等もありますけれども、きょうは港湾の問題ですから、港湾の面からもあまりにも巨大なああいう専用船を許していいものかどうか。油の関係海洋の油濁防止、こういう見地もやはり港湾施設あるいは船の大型化、ここら辺から見て、これは海湾局長受け持ち範囲じゃないかもしれませんけれども、やはり大臣になりますか、そうなりますと、そこら辺はどうお考えになりますか。
  20. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの先生の御指摘、私も非常に心配している次第であります。先般、私、国会でも御答弁を申し上げた次第でございますが、四十九万トンのあの巨大タンカーの建造を許可をしました。そのときの条件といたしましても鹿児島県の喜入、あそこのバースにつけるということを条件として許した次第でございます。これは鹿児島県の外海のほうになると思います。それから、廃油処理施設その他も非常に、日本としては一番完備をしておるということで許可をした次第でございまして、また先般の御質問をいただきましたジュリアナ号、わずか二万トンの船、六千トン余りの油の流出につきましてもあれだけの騒ぎを起こした次第でございまして、これはこれからの汚濁防止公害防止港湾としては一番大きな問題だと思っている次第でございます。  私どもこれについてどういう対策をこれからとっていくべきかということですが、まず、いまお話がございましたような船舶構造の面から考えますと。御承知のとおり、日本といたしましては、動力源としてはもう石炭から石油にかわってきている。全部これは外資に仰がなければならないということでございますので、どうしても油の海上輸送ということはますますふえてまいりますので、多量なタンカーによる輸入ということになってまいりますので、これに調和をどうするかという問題でございまして、実は大きなタンカーになりましても、その中のタンクサイズが問題でございます。先般もIMCOの会議のときにおきまして、私どものほうの船舶局長の田坂君が提案をいたしまして、いわゆる田坂案なるものが採用になった。これが一つめどになっている次第でございますが、そのタンクサイズにいたしましても私どもといたしますと、しろうと考えますと相当大きいんじゃないかというふうにも考えられるような実情でございます。  またしかし、大型タンカーが安全であるかどうかというと、先般も私お答えいたしましたが、一般の飛行機、セスナ機等と比較してジャンボ機のほうがむしろ安全ではないか。安全チェックのほうが四重にも五重にもなっている、こういうこともございますので、一がいに申せない次第でございますが、国民感情からいたしましても、われわれの一般感情からいたしましても、またできればやはり外洋に、できるだけそういったようなタンカーバースをつくっていくということが一番望ましいのではないかということで、実は私すぐに港湾局長に指示をいたしまして研究をさしておる次第でございますが、御承知のとおりバースをつくりますには、外洋は内湾の自乗の重圧を受ける、それに対するバースの構築というものはなかなか容易じゃない、こういうような問題もございますが、日本の進んだ技術におきましては、必ずやそれをなし遂げなければいけないのじゃないかというふうに考えます。  それからもう一つは、大型タンカーができれば、そういったような危険度の少ない港湾に入れまして、あとは小型タンカーで運ぶとか、パイプラインの輸送によるというふうにやっていくことが一番望ましいのではないかということを考えておる次第でございまして、港湾整備にいたしましても漸次そういった方向でやっていかなくてはならぬ、現に、御承知のとおり瀬戸内におきましてはすでに一番大きいのは二十七万トンくらいのタンカーが入っておる次第でございます。それらどの程度でもって規制をするかということが一番問題になっております。少なくとも現在以上には大きなものは入れさしてはいけないというふうに考えておる次第でございますが、それらの点もよく御意見を承りまして、私どものほうも早急に検討いたしまして、これらにつきまして万一のことがありましても、その被害が最小限度にとどめられるようなあらゆる予防措置、またその後のそういったような不幸な事態が起こらないような万全の措置をとっていきたい、こういうように思っておる次第であります。
  21. 内藤良平

    内藤委員 これは希望でありますけれども港湾施設は、船の大型化によりまして、それに対応して国でも金を出して、船会社なりあるいは地方自治体も設備にいろいろ力を入れるわけであります。経済性から見ました大型化が地球上にいろいろ障害を及ぼす。たとえば、海峡ではマラッカとかロンボクとかいろいろ論議されつつあります。そういう点もございますので、無制限に大きいものはできないと思いますけれども、一たん災害の際にはたいへんなことになる。しかも、これは話が大きくなりますけれども世界の中で最も危険視されるのは日本における油の輸送ですね。世界国民からも、これはある意味では非常に危険視されておる。港湾のほうに金をどんどんつぎ込んで専用埠頭をつくり大型化するのも、資源のない日本としては、経済性から見ると、これは大切なことでありますけれども、一歩進んで、世界における油の輸送の最大の国ですから、災害の際を考え、あるいは受け入れ港湾の膨大な投資考え日本国政府として油送船がこの程度、何万トンといいますか何十万トンといいますか、はっきりすべき段階ではないか。国際的な諸国民のあれから見ても考えなければならぬ。規制ですね、そういうことをなさるべき時期じゃないかと思います。大臣お話を聞きますと寄り寄り御研究ということでありますけれども、これはやはりすみやかに決定をされまして、それに従って港湾整備状況等も対応していくべきではないか、かように思いますので、この点はひとつ希望しておきたいと思う次第であります。  次に、港湾運送事業の問題、これは港湾の緊急な整備をいま進めつつある、埠頭整備する、近代化する、機械化する、そういうことであります。ただ、そこで港湾は何といいましてもそれだけで機能を十二分に発揮するものじゃありません。港湾運送事業を営む方々があまたおるわけであります。最近の専門埠頭によりまして人手がかからぬようなぐあいにもなってきております。ということがまた、既存の業者にとりましてはたいへんな痛手であるわけであります。また、この業界は歴史的なものがありまして、非常に零細な方々がおる。こういうことで、港湾運送事業合理化という面はいろいろ問題があると聞いておりますが、最近、港湾事業者の集約といいますか、合理化、これはどんなぐあいに進行しておるか、これをひとつお尋ねしたいと思います。
  22. 田中光次

    田中説明員 いま先生指摘のとおりに、港湾運送事業者は非常に零細なものが多うございます。そのためにいろいろと前近代的あるいは封建的な面が多くて、その結果が労働者の待遇等に非常に影響を来たすというようなことから、昭和四十一年以来港湾審議会等から数次にわたり港湾運送事業の近代化につきまして答申を受けております。その結果に基づきまして、われわれとしましては行政指導でいわゆる集約を進めてまいったのでございますけれども、昭和四十一年から現在までの間に免許の数で大体三割減っております。ということは、それだけ集約したわけでございます。それから一つの業者が免許の数をたくさん持っておりますから、事業の数でいきますと、大体一七%減らしております。
  23. 内藤良平

    内藤委員 この集約、合理化の中で、いまのようなお答えですけれども、特に問題点点としてあなたのほうでとらえておる状況はどんなところでございますか、かいつまんででよろしいから。
  24. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ただいま田中参事が御説明申し上げましたように、四十一年以来いろいろと学識経験者あるいは専門家の御意見を伺って進めてまいったわけでございますけれども、御承知のように最近になりますと、フルコン船の就航という事態を迎えまして、当時考えておった合理化ということが、さらに今度は船のほうの輸送形態がどんどん進んでまいりますと、違ったような様相が出てまいります。特に中長距離フェリーの今後の伸び方もわかりませんけれども、これは第三の道路といわれておりますような使命が出てくるのではなかろうかというふうなことを見ますと、従来は港湾運送事業者の体質を強化するということで進んでまいりましたが、これは当然必要なことでございますけれども、それ以外に輸送する船の性格の違いによります荷役のあり方の変化という点が加わってまいりまして、そういう点を踏まえまして、現在どうあるべきかということが一点。  それから、いわゆる五大港といっておりますが、やはり港の生い立ち、それから扱う貨物の性質はいろいろ違っておりますので、その各港に合わした合理的な姿はいかにあるべきかというような点も問題になっておりまして、現在運輸政策審議会の中に物流部会というのがございますが、その中で港湾運送特別委員会というものを設けていただきまして、いろいろな点をとらまえまして港湾運送事業のあり方、将来の迎え方という点、これは非常にむずかしい問題でございますけれども関係業界あるいは労働者の代表の方も入っていただきまして、十分御検討していただいておる次第でございます。
  25. 内藤良平

    内藤委員 これはいろいろ困難な問題が確かにあると思いますし、また急速に既成のものを一ぺんにひっくり返すということもなかなかむずかしいことだと思います。これにつきましての港湾局なり運輸省の方針なり現状、これもかいつまんででいいですから、資料としていただきたいと思っております。問題はまだまだあとに残る問題だと思いますけれども、これも要望しておきます。  それから、一通り、緊急整備のことで港湾問題を聞きたいと思いますが、海湾で働く方の問題を若干聞きたいと思います。  私たちの調べでは、全国で約十二、三万の港湾労働者の方がおられる。この中で、船内あるいは沿岸、はしけの労働者は約十万人、それから検数、検量の関係の方が約一万六千人、それから港湾労働法によるところの登録の日雇いの労働者が約八千人、この程度の私たちの調べがあるわけであります。  その中で組織されておる労働者が約五万人といわれております。ここに一つの問題点があると思っているわけであります。これは港湾に直接の関係はありませんけれども、あるいは労働省、厚生省、総理府、そういう方面の関係かもしれませんが、港湾機能というもの全体を考えた場合には、この働く皆さんのことは無視できないわけですね。そういう見地から聞いているわけです。しかも港湾運送事業の中に働く方が包含されているわけです。港湾運送事業というものはやはり港湾局のほうで押えているわけですから、そういう関係、しかも組織されている方々、労働組合をつくっている方々が非常に少ない。三分の一ぐらいだと思います。残る三分の二は、ほとんど労働者として近代化されていない。そういう問題もあるものですから、この海湾の運送事業そのものの山でも問題が外に出ないで内部に非常にあるのじゃないかと思っているわけです。  そこで、労働組合なりあるいは労働省の関係だけではなくて、港湾の全体の機能を任務として持っておる港湾局、しかも港湾運送事業というものを一応管轄の仕事にしておる港湾局として、港湾労働者の組織が非常に少ないという点について、率直に申し上げますと、これは労使の関係だからタッチしなくてもいいということになると思いますけれども港湾運送事業合理化あるいは港湾機能を十二分に発揮する、近代化する。こういうことにからんで、港湾局としても、このほとんど組織のない港湾労働者に対する何らかの一つ考え方あるいは措置というものがあってしかるべきだと思いますけれども、この点につきましてはいかがでございますか。全然関心がないといえばそれでもいいのですけれども、全然関心がないということになると、これはやはり海湾運送兼業のことにも無関心というぐあいになると思いますが、決して追及する段階ではないのですから、あなたの腹藏のないところをお話しいただきたいと思います。
  26. 栗栖義明

    栗栖政府委員 先生指摘のとおりでございまして、組織された労働組合も二つございます。そういうふうな状態でございまして、一方から言ますと、御承知のように港湾労働法がございまして、これは労働省が所管をしておりまして、せっかく労働省のほうも、先生の御指摘のような方向で指導していただいておりますし、私のほうも直接は確かに関係ございませんけれども、むしろ雇用関係の立場からいいますと、雇用者である港湾運送業者のほうは私どもの所管でございまして、労働省のほうと相談いたしまして、いろいろな施策に対しましては協調してまいっておる次第でございまして、決して、運輸省であるから所管外のことであるということで、たれ流しというふうに考えてございませんで、労働省と一緒に勉強してまいりたいというのが基本的な姿勢でございます。
  27. 内藤良平

    内藤委員 施設その他はどんどん整備されまして、専用埠頭がどんどんできる。ただしかし、この港湾労働にはいろいろまだ問題がある。日本の労働連動の中でもこれは少しくおくれた方面ではないかと思っております。私は地方自治体でも経験がございますけれども、これは例になるかわかりませんが、労働組合のない業者は相手にしないというぐらいの議論をしたことがございます、その地方自治体のいろいろな問題の中で。港湾もだんだん近代化されてりっぱになってまいりますると、やはり働く皆さんも、おまえのところの労働者はどうなっているんだ、港湾運送事業法の関係から労働組合もないような港湾運送事業は、港湾局としても運輸省としても相手にしない、このくらいのことはあってしかるべきだと思うのですけれども、ここら辺は大臣、いかがお考えでございますか。そうでなければ、整備だけしても、肝心の働く皆さんの点が旧態依然たるもの、あるいはそれに乗っかっておる運送事業が、極端なことを言いますと、まあ人を出す作業といいますか、人間だけ集まって企業になっているようなものもあるようであります。ですから、そこら辺は運送事業の面から、労働組合もつくれぬような事業に対して、——労働組合をつくっていることは一つの近代化のあれにもなるわけですから、そこら辺、運輸省としても労働省にまかせないで、こっちのほうからもやっていこうということが私は必要なような感じ、がしております。ひとつ大臣から、これも腹蔵ない御意見でいいですから、承りたいと思います。
  28. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この港湾労働者の実態、ただいまいろいろお話がございましたが、各港湾によりまして実情が違っております。種々でございます。また実態が非常に複雑でございます。そういう点で、組織の面につきましても、まだ非常に薄弱な点が相当あるだろう、こう思う次第でございます。  実は、私も昔、港湾労働法制定の当時におきまして、労働委員会の小委員長をいたしておりまして、それらにタッチしたことがございます。なかなか普通の労働の状態と違いまして、非常に複雑化しておりまして、それゆえに、やはり組織化もなかなか容易じゃないというふうに私も承知しておる次第でございます。港湾労働法は労働省の主管でございまして、これらの労働条件が改善され、そうして労働者としての地位、待遇が確立されることは、もとより望ましいところでございまして、また運輸省といたしましても、港湾運送法のたてまえからいきますと、労使が完全に協力体制ができて、組織を通じていろいろの交渉も行なわれるということが、一番やはり早ましい、近代的の経営におきましても望ましい、こういうふうに考えておる次第でございまして、それらの点につきましては、労働省ともよく協力をいたしまして、港湾労働者の地位の向上、待遇の改善、その他の点につきましても、これからひとつ特段の連絡をとりまして、その趣旨に沿ってやってまいりたい、こういうふうに思います。
  29. 内藤良平

    内藤委員 ですから、労働省にまかせないで、運輸省の立場で、運輸省でいろいろ行政指導しておる運送事業者がおるわけですから、そういう方方の傘下におる労働者、これは働く方で港湾の荷役、いろいろな面をやっておられる、そういう方方がやはり近代化され、十二分に能力を発揮して、初めて港湾としての仏に魂が入るような感じであります。ですから、これは一つの便法とも思われますけれども、やはり港湾整備のための一つの方策として、私は大臣からも——せっかく大臣もいろいろな御経験がある中で、一つの行政指導的なものを出していただければ、また施設の強化整備とともに、港湾としての機能が非常に発揚されるといいますか、こういうぐあいになるのじゃないかと思っております。  そこであまり時間もなくなってまいりましたが、これらに関連しまして、いわゆる港湾の料金ですね、地方自治体の管理者のほうのあれではなく、港湾運送専業者のほうで扱っておる料金ですね、これにつきましては、港湾審議会というものがあって、いろいろ答申も出ておるようであります。ただこの際に、これはちょっと古いかもしれませんが、四十四年の十一月ごろにやはり港湾料金の改定につきまして港湾審議会から答申が出ております。その趣旨をちょっといま読んでみますと、第一には、港湾業の資本滞積を考慮して原価をいかに計算していくか、まあこういうことがいわれております。ところがこれはほとんど労働力によっておるような実態の料金というものだと思います。その際にどうも船主なり荷主なり、こっちのほうの力が強くて、そっちのほうから料金というものが押されまして、ほとんど労働力でできておると思われるこの料金の原価の実態が、実態から極端に離れているとは言いませんが、弱い。いわゆる労働者側といいますか、あるいは運送事業主のほうが弱いような料金になっておるような傾向が強い、こういわれております。したがって、原価を割っておるような料金が現存するといいますか、こういうことに思われます。それはまた結局低賃金になっていくわけですね。これは公共料金になっておるのであります。公共料金関係運輸省傘下ではこれだけでありません。いろいろな面が——サービス事業の中で交通機関の労働者、運輸関係の労働者も大体そんなようなことであります。ただこの際に私は、一言大臣、これはお考え願いたいと思うのは、船主なり荷主なり、こちらのほうで負担をしても、物価に対してはそんなに大幅に響かないあれじゃないか。しかも船主なり荷主のほうは、それだけ負担力があるのじゃないか、これは旅客と違って、私は同じ公共料金の場合におきましても角度を変えた考え方を持ってもいいのじゃないかと思っております。ここら辺、なかなか公共料金の一環でありますから、慎重審議をしなければ、大臣だけのお考えではできないでしょうけれども、公共料金であるということが一つあります。あるいは経済企画庁との協議もしなくちゃならぬ、これもあります。そういうこともありますけれども港湾の料金というものの実態は、ほとんどサービス労働力が主であろう。そうすると、労働条件の改善によって積算する場合は、自然に上がらざるを得ない状態になってくるわけですね。ここら辺はどういうぐあいに失態に即して、働く皆さん方が十二分に力を出し得るような状態を見ながら港湾行政の中で料金問題を進めておるのか。これは大臣の前にやはり港湾局長のほうがタッチなさるわけでしょう。実態を含めて考え方などを一応お聞きしまして、それからまた大臣に再度お答えいただきたい、こう思っております。
  30. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ただいま先生指摘のとおりでございまして、特に港湾荷役の場合は非常に労働集約型の事業でございまして、ものによりましては六割あるいは八割近いものが人件費にかかってくるというのが実態でございます。ただ、公共料金でございますので、いろいろなほかの事業とのかね合いというふうなことから議論はあるわけでございますけれども先生に御心配いただきましたように、料金が押えられておるから働く人たちの賃金を押えざるを得ないということは非常に困りますので、そういうことのないようにということでいろいろと従来もやってまいったわけでございますけれども、やはり業界の希望するような姿には必ずしもいきませんで、下目に押えられるというのが失態でございます。私どもといたしましては、むしろ企業の体質、体力が強くなければ、労働条件の改善あるいは労働者の福祉の問題ということも十分いきませんので、極力そういうことにポイントを置いて進めたいというふうにやってきたのでございますけれども運輸省の立場からいきますと、ある程度まで不満足だけれどもやむを得ないという点も出てまいろうかというふうに考えておりますので、今後ともいろいろとそういう労働条件あるいは労働賃金というものの問題のはね返りを受けまして、いろいろ問題起ころうと思いますが、そういう場合には先生指摘、御心配の点を体しまして、運輸省といたしましてはそういうことで積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  31. 内藤良平

    内藤委員 これは港湾局長に、時間もなくなってまいりましたが、やはり船主なり荷主なりの力が大き過ぎるのじゃないか、比較してですよ、これは、いわゆる運送事業関係の中では。それらはある程度やはり行政指導で、運輸省としての、政府としての一つ考え方も出してもいいんじゃないか、港湾整備には国の金を大幅につぎ込んで船主なり荷主の要望にこたえてやっているわけでありますから、そっちのほうでは国じゃ十二分にサービスをやってるわけでしょう。ただ、比較検討して国のサービスが一番足りないのは、やはりこの働く連中のほうじゃないか。ですから、その点はやはりバランス考えて、もう少し強目に強目に船主なり荷主なりに対しても話をしてもいいんじゃないか、私はこう思います。大臣、その点もひとつ、あなたも空なり海なり陸なり、運輸はまことに広範なものですから、対応にいとまがないでしょうけれども、せっかくこの五カ年計画閣議決定して、これから大いにひとつ充実しようという時期でありますので、やはり私いま申し上げましたこの港湾労働者の問題等もあわせて、目ざましく近代化なりあるいは内容を充実される、こういうことがあって初めて五カ年計画の効果もあがり、関係する皆さんも非常にまた恵まれるわけであります。一方に偏することないように、ここら辺を十二分にひとつ御配慮願いたいものだ、こう思っております。このことにつきまして、一言お答えいただきまして、私の質問を終わりたいと思っております。
  32. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま内藤先生指摘のとおりと私ども思っている次第でございます。公共料金につきましてもただいま港湾局長からお答えいたしましたとおり、人件費がほとんど大部分、六割から八割を占めるというような労働集約型の事業につきましては、適正な料金をきめることがかえって資源の適正な配分を一もたらすわけでありますし、ことにただいま御指摘がございましたように、この港湾労働者の賃金につきましてはその点で非常に低く押えられているということと、調べさせましたところ、やはり地域別に非常に格差が多過ぎるという点も相当あるようでございます。  実は、先般いろいろありましたけれども、個人タクシーも含めましてタクシーの値上げをいたしましたときも、私の一番の主眼といたしますところは、ほかのほうの所得が上がってそれらの労働者の所得が上がらぬ、ほかに援助の方法がない、合理化が第一ではございましょうけれども、というような場合にはやむを得ないじゃないかということで踏み切った次第でございまして、ことにそういった港湾運送につきまして、やはり公共料金の値上げに及ぼす影響というものも、これは十分私ども考慮しなくてはいけませんけれども、それの影響その他についても十分考慮するとともに、そういった方々の所得の向上のために私は踏み切らざるを得ないというものも相当あるのじゃないか、こういうふうに考えている次第でございますので、十分御趣旨を体しましてこれから検討してまいりたい、こういうつもりでおります。
  33. 内藤良平

    内藤委員 これで終わります。
  34. 小峯柳多

    小峯委員長 宮井泰良君。
  35. 宮井泰良

    ○宮井委員 私は、まずこの法案の審議の質問に入ります前に、大臣に緊急と申しますか、非常に国際問題になっておりましてけさほどのニュース、新聞等でも報道されましたマラッカ海峡の件につきまして、お尋ねをいたしたいと思うものでございます。  御承知のとおり、インドネシア政府は閣議決定をいたしまして、公海か内海かということで国際問題になっておりますマラッカ海峡におきましては、二十万トン以上のタンカーはそこを通さないということを決定いたしたようでございまして、この点につきまして、運輸省といたしましては的確にどういうふうな情報を得ておられるか、その点をまずお伺いをいたします。
  36. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまマラッカ海峡の具体的のいろいろのそういったような決定の経過につきましては、専門の参事官を呼んでおりますので、それにつきまして詳細な御説明を申し上げるつもりでございますから、それまでとひつ御猶予を願う次第でございますが、実はあの三国の問題につきましては前から問題がございまして、私が承知しておりますところ、インドネシアを含めましてシンガポール、マレーシア、あの三国の海峡につきましては、前からタンカーによりましていろいろの汚濁のおそれがあるのじゃないか、また危険があるのじゃないか。一時その点につきまして、たしかIMCOの決定によりまして、私のほうとして灯台の建設あるいは海図の作成、そういったことを前にさしたことがございます。これらの点につきましても、あるいはそこでもって海底のしゅんせつをするのじゃないかというような疑いも持たれまして、これらについても自分の内海というか、うちみたいなものであるからよけいなことするなという誤解もございました。先般向こうからの代表が参りましたときもいろいろお話し合いをいたしまして、たしか向こうの大統領でございましたか、半年前に参りましたときにもいろいろお話し合いをいたしました。それでだいぶ誤解も解けてまいった次第でございますが、何と申しましてもあの三国では自分のほうの使用するところじゃございませんので、向こうの国民感情といたしましては、要するに手っとり早い話が、いま問題になっております高速道路を通すあるいは新幹線を通すけれども、自分のところに駅がないじゃないか、メリットがないじゃないか、通るばかりで騒音ばかり残すじゃないかというようなことで、まあ率直にいいましていろいろの感情があったように私承知しておる次第でございます。  また一方わが国といたしますると、あの海峡を通らないで外回りをいたしますと、航路につきまして相当に遠い距離を通らなければならないというような問題がございまして、いろいろ折衝をしたようでございますが、しかしインドネシアでそういう決定——これはもちろん運輸省といたしましては、いま申しましたIMCOの決定に基づきまして技術協力をしていくというところのあれでございます。また外交の円滑化というような点からタッチしている次第でございますが、そういうような外交の問題になりますとまた外務省との折衝の問題になってくるということでございまして、いま私もその点をまだ新聞を見たばかりでございまして詳細は知悉しておりません。ただいま原田参事官が参りまして、それの知っている詳細を御答弁をさせたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  37. 宮井泰良

    ○宮井委員 それではまだ大臣も詳細に掌握をされていないようでございますので、法案の質問を続けることにいたしまして、この質問は留保いたしたいと思います。事は海運界における大問題でありまして、また石油業界に与える影響、そして今度は国民にこれがはね返ってまいりまして非常に重大な問題でありますので、この点は十分なお答えをいただきたい、かように思います。  そこで、それを一応留保いたしまして、この法案の問題でございますが、私はまず最初に、大臣から昨日提案理由の説明をいただいたわけでございますが、この提案理由の説明の中にも、「北海道における公共事業全般に係る国庫負担の特例に関する調整措置の一環として、」行なう、こういうことでございますが、私はこれだけではどうしても提案説明としては非常に不十分である、かように考えるわけであります。なぜこれは調整措置をするのか、もう少し詳しくその辺のところを述べていただきたいと思います。
  38. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 北海道開発庁の総務監理官でございますが、私からお答えをいたします。  御承知のように北海道の公共事業につきましては、従来から他の府県に比べまして非常に高率の国庫負担率をもちまして実施をされてきておったところでございます。これは北海道の後進性ということも大いに理由であったということのきのう港湾局長答弁もございましたけれども、北海道の開発は明治の初め以来約百年間国の施策としてやってきておりますけれども、戦後は北海道開発法という法律を制定いたしまして、特別の国策として実施してきております。北海道開発も昭和四十五年でもって第二期の総合開発というものが終わりまして、四十六年から第三期の総合開発の実施ということに相なっておるわけでございます。この段階におきましては北海道の後進性の除去ということよりも、日本の国土の利用の抜本的再編成という観点から、北海道の開発を国策として推し進めるというように重点が変わってしまったと私ども考えております。そういう点からいたしますと、北海道の開発の進展あるいは北海道の道や市町村の財政状況等もにらみ合わせました上で、他の府県に対する国庫負担率との均衡をとるということも一面必要と考えられますけれども、同時に第三期計画を進めてまいります上で、国費だけじゃなしに地方の負担の額を導入いたしまして、開発をさらに一歩進めるという積極的な姿勢も大事じゃないかというように考えておるわけでございます。  この北海道の国庫補助率の調整の問題につきましてはかなり前から、昭和三十六年ごろから問題になっておったのでございますけれども、昭和四十六年から始まります第三期の総合開発計画の実施、これは閣議決定しているわけでございますけれども、それに先立ちまして、昭和四十五年に北海道開発法の第三条に基づきまして、北海道が内閣総理大臣に対して意見というものを提出しておりますが、その意見の中にも、北海道といたしましてはこういう意見を出しておるわけでございます。「近時、種々論議されている国庫負担率改訂の問題については、北海道の開発がすすみつつある現状その他客観情勢等にかんがみ、開発をより積極的に推進するという観点から、開発の進度も負担能力に応じて、負担すべきものを負担することも必要である」そういうように述べておるのでございまして、私どもといたしましては今回の調整は総じてこの意見に沿って実施しておるというように考えております。そういたしまして、昭和四十五年から補助率の調整ということを徐々に実施しております。  簡単に申し上げますと、四十五年度におきましては、河川と道路につきまして約二十四億円程度の地方負担の増加となるような調整を実施しております。それから四十六年度、昨年度におきましては、やはり河川関係、道路関係それから漁港、これにつきまして、合わせて六百六十九億円程度の地方負担の増加となる調整をやっております。それで本年度、四十七年度といたしましては、主としてまだ十分の十という補助率が残っておりますところを調整するということに主眼を置きまして、金額にいたしまして約二十九億円というこれは近路、河川及び港湾でございますが、二十九億円程度の調整を実施するという考え方でございます。その一環として、今回の港湾の補助率十分の十を十分の九にするということで実施をされておるわけでございます。
  39. 宮井泰良

    ○宮井委員 もう一度お尋ねしますが、その積極的に推進し負担するということは、それはどこでうたっているわけですか。
  40. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 これは北海道が内閣総理大臣に対して、北海道開発法第三条に基づきまして北海道の意見書というものを出しているわけです。その意見書の中に先ほど申し上げましたようなことがうたわれております。
  41. 宮井泰良

    ○宮井委員 この北海道の意見書というもの、これが出されておると思いますが、それが今回のこの一部改正の中にどこに織り込まれておるわけでありますか。その点を……。
  42. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 私どもといたしましては、先ほど申しましたように、港湾の改良、建設につきまして、従来水域・外郭施設につきましては北海道は十分の十という非常に高い特別の国庫負担率でやってまいりましたが、ここに十分の〇・五程度の地方負担率を算入することによりまして北海道の港湾の改良、建設をさらに一そう促進したいということで織り込まれているものと思います。
  43. 宮井泰良

    ○宮井委員 たとえば百億の工事をする場合には、いままでは国でやらなくちゃいけないから、たとえば地方財政が五億余分にお金があって五億の負担ができるというふうな場合に、やはり直轄の仕事でございますから、国がすべてやってしまう。ですから、地方が上乗せして百五億の仕事をしたいと思ってもこれはできない。しかし、これが改正になれば地方負担分が五億、そして国から百億、いままでは一億の仕事しかできなかった分が、合わせて百五億の仕事ができるようになる、こういうように理解しておるわけですが、その点はそれでいいわけですか。
  44. 栗栖義明

    栗栖政府委員 先生の御指摘のとおりでございます。
  45. 宮井泰良

    ○宮井委員 その辺のところ、事業の一そうの効果的促進をはかるためという、今回の法律の力点といいますか、その点をここにもつと積極的に織り込んでいくべきであった。ただ「調整措置の一環として」というだけでは私たちは十分理解できない。そういう点を含めなかったというのは何か意図があるわけですか。その点をお伺いします。
  46. 栗栖義明

    栗栖政府委員 いや、別に他意はございませんで、確かに先生指摘のとおり、その点の説明が不十分だったというふうに反省をしている次第でございます。
  47. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで次の問題でございますが、この法案は昭和二十六年三月、第十四国会において議員立法によって提案されておる。その際におきましては「北海道が内地に比較して人口が稀薄であり、かつ経済的負担力が小さい実情にかんがみ、その開発を促進するため、港湾法の特例法として、港湾工事について、港湾法制定前に行なわれていたと同様に、」云々というふうにこれがうたわれておるわけでありまして、非常に人口希薄であって経済的負担力が小さい、このようなことが本法の趣旨であったわけであります。  先ほど監理管のお話の中にもありましたが、他の府県の負担率との調整というふうな話も出ておったわけでありますが、そうすれば、この法律が施行された当時と現在とは状況が変わってきておる、北海道というものも開発が進んできた。そうしましたならば、この法律というものを現在どのように把握されておるか、いわゆる所期の目的を達したというふうにごらんになっているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  48. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 その点につきましては、確かに北海道の財政力そのものは三十年前と比べますと相当大きく伸びておることは事実でございますけれども、こういうかさ上げ措置と申しますか、特別の措置をする必要がすでになくなった、この法律の使命は全く速成されたというふうには毛頭考えておりませんで、まだまだこういった調整の措置は必要であるというように考えておる次第であります。
  49. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、ただいまの御答弁では所期の目的は達していないということでありますから、これは今後改正していくというふうにとってよろしゅうございますか。
  50. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 法律改正というとなんでございますが、この法律によって北海道の港湾整備が特段と進んだという効果が十分にあったというふうに私ども考えておりますので、引き続きこの法律改正と申しますよりも生かして北海道の港湾整備を進めていくべきではないか、こう考えます。
  51. 宮井泰良

    ○宮井委員 くどいようですけれども、逆のほうから言いますと、だんだん本土に沿いついてきたからこの負担率を下げる、こういうことですね。そうするとこれからまた開発をどんどん推めていく。そうすると今度また本土に近づいてくる、また負担率を下げる、単純に考えますと私はこういうふうになると思うのですが、その点いかがですか。
  52. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 その点につきましては北海道の開発の進度、あるいは北海道の財政力のつき方とにらみ合わせて慎重に考慮すべきであるというふうに考えておりまして、先ほど申しましたように地方に負担をしていただくことによりまして積極的に事業をふやしていくということは非常に望ましいことでございまして、今回の御提案はその趣旨に沿っておるわけでございますけれども、それによって北海道のその他一般の行政力に非常に悪影響があるということではうまくいかないというように考えておる次第でございます。
  53. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、この下げ幅というもの、これはどのような根拠から出ておるわけですか。
  54. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 根拠はいかんという御質問でございますが、港湾の国庫負担率、水域・外郭施設につきましては、先ほど申しましたように北海道につきましては特に十分の十ということになっておったわけでございます。これに対しまして府県の一般重要港湾につきましては十分の五という補助率になっておるわけであります。ですから両者の間には十分の五という相当大きな差があるわけでございますが、北海道の港湾の管理者というのは、他の府県とちょっと異なりまして、これは歴史的な伝統によるものでございますけれども、大部分が市町村の管理になっておるという実情がございます。   〔委員長退席、箕輪委員長代理着席〕 府県の場合は府県が管理者になっておるという形のほうが多いわけでございます。そういう点を考慮しまして、この補助率の調整を一ぺんに大幅にやりますと、港湾管理者である市町村の財政に対して非常に影響が大きいということも特に考慮いたしまして、この調整は最小限影響のないもので考えるほうがよろしいのではないか。昨年漁港法の改正をいたしまして、漁港がやはり十分の十から十分の九というようになっておるわけでございます。漁港は、北海道の場合、北海道が管理しておるということでございます。それに対しまして港湾のほうは、先ほど申しましたように市町村管理であるというような実情も考慮いたしまして、一割でなく、五%ということにしたような次第でございます。   〔箕輪委員長代理退席、宇田委員長代理着席〕
  55. 宮井泰良

    ○宮井委員 あと先になるのですが、これは何回も改正するなら法律意味がないわけですね。その点で大臣にちょっとお伺いしたいのですが、今後この法律というものがこのままの下げ幅といいますか、当分北海道の港湾の開発にこれで支障はない、進めていく、あるいはまた二、三年すればそういったものは考えていかねばならない、このように考えておられるのか、その点をお伺いします。
  56. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほどからの御質問でございますが、率に申しまして、海湾管理の責任者といたしまして事業量は大いに伸ばしたい、それから国庫負担はできるだけやっていきたいというのが実は私どもの立場でございます。しかし内地の港湾あるいは道路あるいは河川その他との比較でございまして、開発計画の第一期が終わって、それで道路あるいはまた河川、また漁港その他につきましてもある程度の調整か行なわれて、港湾だけが残った次第でございます。しかしいま開発庁からのお話もございましたとおり、漁港と違いまして港湾のほうは、北海道におきましては市町村が非常に多い。財政事情も勘案をいたしまして、調整率も一番おくれて、しかも最小限度で済ましたということでございます。先ほど先生から御指摘がございましたが、今回は、北海道の港湾整備につきましては、たしか三十億くらい伸びておる、一八・三%か五%伸びておる、こういうことでございまして、たしかこれは負担によりまして、負担をする前から比べますと〇・四%以上伸びておる、こういうことで先生の御趣旨にも沿うということで、私どもも了承した次第でございます。将来、北海道の地力がついてまいりまして、そして地方税等も豊かになってきて、もっと負担してもいいということになれば別でございますが、それら国と地方との財源の配分の問題いろいろございますが、私は昨日も申し述べましたとおり、いまの交付税の算定に対する率であるとか、また地方財源の付与、新税が認められないという限度におきまして、当分の間はこの九・五でやってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  57. 宮井泰良

    ○宮井委員 次の問題にいきますが、北海道の特定重要港湾の中におきまして、四十七年度に事業を行なう中に、具体的に室蘭港——大まかな数字やそういうものはわかっております。また閣議決定や何かがあると思いますが、一応計画はできておると思います。大きな数字の点についてはきのうの同僚委員質疑の中にもあったと思うのですが、私たちはそれではちょっと把握がむずかしゅうございますので、室蘭港に限りまして工事内容、金額あるいは地方公共団体の負担分、そうしてその負担分は過去の財政からいきましてどのくらいの割合であるのか、それは当然負担をできるものかどうか、その辺のところをこまかくお伺いしたいわけであります。
  58. 栗栖義明

    栗栖政府委員 室蘭港につきましてはいろいろと港湾整備の要請がございまして、今後も開発を進めなければいかぬというふうに考えておる次第でございますけれども、現在四十七年度予算を御審議いただいておる段階でございます。この四十七年度予算が通りました場合に、いま作業をしておる段階でございますけれども、一応私ども考えてございますのは、室蘭港の一番外にございます防波堤の一部延長、それから崎守地区といっております地区の岸壁の整備という点を重点にして進めたいというふうに考えておる次第でございます。
  59. 宮井泰良

    ○宮井委員 その金額はどのくらいのあれですか。いまいわれましたか。
  60. 大久保喜一

    ○大久保説明員 現在御審議いただいております予算案の中におきまして、先ほど港湾局長が申し上げましたような事業をいたすために必要な国費でございますが、四十七年度約十一億四千四百万必要というふうに見込まれております。これは防波堤、岸壁、臨港道路等全部ひっくるめてのものでございます。
  61. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは地方公共団体の負担分は幾らでありますか。
  62. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 室蘭市の負担となりますものは、四十七年度のただいま御提案申し上げております予算で申し上げますと、全部で二億二千二百万ということになっております。そのうちで今回五%負担することになるために、新しく負担いたします分は約三千万円でございます。従来から係留施設等につきましては負担があるわけでございますが、その負担の分が一億九千二百万でございます。今回の法律改正によって負担することになる分が三千万円ということになっております。
  63. 宮井泰良

    ○宮井委員 合計してその負担分というものは、過去の財政からどのくらいの割合か、その点はどうですか。
  64. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 四十七年度の予算ベースということで計算いたしますと、室蘭市の普通会計の予算額の総額に対しまして、今回の負担は約三千万でございますから、その比率は〇・三八%というふうになっております。
  65. 宮井泰良

    ○宮井委員 その点はこの財政上からいきまして当然負担できるあるいはまた非常に重荷である、それはどちらになりますか。
  66. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 ただいま申し上げましたような非常に低い比率でございますので、先ほど自治省の方から御答弁もございましたように、交付税の措置あるいは適切な財政措置によりましてこれは十分に負担できるものであるというふうに考えております。
  67. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは同じように今度は地方港湾ですか、地方港湾のうち網走港について同様に御説明を願いたいと思います。
  68. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 ただいま室蘭で申し上げましたのと同様な計算をいたしまして、四十七年度の予算ベースで見まして普通会計全般に対して網走の場合は〇・八三%、こういうような数字になっております。
  69. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは先ほどの重要港湾の室蘭港と大体同じくらいの比率でありますから、地方財政についてはこうした先ほど御説明あったとおり、これは十分負担できる、こうとってよろしゅうございますか。
  70. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 さように考えております。
  71. 宮井泰良

    ○宮井委員 同じような質問になりまして昨日も出ておりましたが、ただいまも地方財政には負担がない、こういうお話でございますけれども、たしか四十七年度北海道港湾整備事業は百八十八億ということを承知いたしておるわけですが、そのうち六億二千六百万円が地方公共団体の負担になる。まあ現在まではそれがゼロであったのが、合計しますとそれだけの増加になる、これは財政の圧迫にならないかというところを私たちは心配をいたしておるわけでありまして、その点昨日も話が出ましたけれども、あえてこれは重ねて尋ねておきます。
  72. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 新しく六億二千六百万円の負担が生ずるわけでございますから、これは負担であることにはもう間違いございません。しかし先ほど他の省庁から御答弁がございましたように、交付税その他適切な財源措置もございまして、他の海湾事業以外の行政一般に圧迫材料になるというようなことのないように措置いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  73. 宮井泰良

    ○宮井委員 次の問題に移りますが、この法案の趣旨は北海道の港湾工事において、国の負担割合を調整する必要があるということでございまして、これはいまの御説明やいろいろなことから私も承知いたしましたが、そのことはそのことといたしまして、先ほどの内藤委員の議論の中にもございましたが、全国の港湾管理者というもの、この財政というものが非常に逼迫しておるという、そういったところをやはりこの委員会で検討していくべきではないか、かように考えておるわけであります。  そこで具体的にお伺いしたいのですが、港湾管理者はその提供する施設及び役務等につきまして料金を徴収しておるわけでありますけれども港湾の公共性というものから見まして非常に割安になっておる。したがって使用料等の収入というものは支出に対しましてきわめて小さいということは御承知のとおりでありまして、港湾管理者一般財源繰り入れということから、先ほどもいいましたような地方財政が非常に苦しいというように理解しておるわけですが、その点はどのようにお考えになっておるか、その点をお伺いします。
  74. 栗栖義明

    栗栖政府委員 先生指摘のとおり、全国的に港湾管理者財という点からながめますと、確かに港湾の使用料収入だけでは不十分な港が非常に多うございまして、一般会計から相当額の継ぎ足しといいますか、援助をいただいておるわけでございます。ただいろいろと議論の存するところでございますけれども、確かに諸外国では完全に独立採算をやっている大きな港は多々ございますけれども、小さい港は、国によって違いますが、相当大きな国の財政援助をしておるという例もございます。港湾をつくる場合に、確かに物の流れを、海陸の輸送の接点でございますので、物資の流通をよくするという機能もございますが、反面港があることによりましてその背後地の都市あるいは背後県が開発されるという効果もあるわけでございまして、それをどうとるかということでいろいろと議論があろうと思います。ただ、日本の場合に、外国の場合と違いまして特異性がございますのは、御承知のとおり、太平洋岸では台風の危険にさらされておる、それから日本海岸では季節風が非常に強いという点がございまして、外郭施設あるいは水域施設に対する経費が非常にかかりまして、その負担がかなり大きなものになっておるというのは御指摘のとおりだと思います。これにつきまして港湾財政のあり方そのものにつきましていろいろと私どもも勉強してきた次第でございますが、何とかそれをどういう方法で解決するかという点、御指摘のように今後の大事な課題であろうと思います。いままでも問題点を整理してまいって勉強している次第でございます。
  75. 宮井泰良

    ○宮井委員 その点はモータリゼーションの急速な進歩ということに追いついていかなければなりませんから、一日も早く検討を急いでひとつ結論を出してもらいたい。特に主要外国貿易港、このような管理者にありましては、急テンポで行なわれております港湾工事の負担分を支出すべき財政力が次第に不足してきておるということで、先ほども話が出ました港湾整備五カ年計画、これらのものが港湾整備事業の遂行に非常に支障を来たしかねないというような現状であるといわれておるわけでありますが、この点はその計画どおり進むものかどうか、この点をお伺いします。
  76. 栗栖義明

    栗栖政府委員 これは関係各省ともいろいろと地方財源につきまして御相談してまいった次第でございますが、いまの段階では何とかやっていけるという自信を持ちまして検討を進めておる次第でございますが、先生指摘のように、やはり港湾の財政のバランスと申しますか、地方負担力という点いろいろございますので、その点は早急に検討して、地方の負担が過大にならないようにという点で検討を進めてまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
  77. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、財政が非常に苦しくなってまいりますと、施設の維持管理のための十分な資金が確保できないということから施設が非常に老朽化してくる、あるいはまた施設維持の不備によりまして港湾機能というものが非常に低下してくる、これを円滑に行なうためには、港湾管理者の財政基盤を強化するということが大事なわけでありまして、局長は今後そういうことの見通しが十分立っておる、そういうことのないようにしますという御答弁でありますから、私たちはそのとおりに期待を持っておるわけでありますけれども、この財政基盤の強化ということについて、さらにどう対処されるか、施設の老朽化あるいは港湾機能が低下するというようなことがないか、その点をお伺いします。
  78. 栗栖義明

    栗栖政府委員 先生指摘の点は私ども一番心配しておる点でございまして、そういうことのないように港湾管理者ともいろいろと御相談申し上げて進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  ただ、今後一つ起こってまいろうと思います問題は、非常に古くつくられた施設のいわゆるスクラップ・アンド・ビルドと申しますか、再開発の問題が起ころうかと思います。この点につきましては、単に管理者だけにまかせるのではなくて、やはり国も協力してまいりまして、再開発して能率のいい施設に改造してまいるという問題が今後起こってくるであろうというふうに考える次第でございます。
  79. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、費用負担の問題、これは港湾の通路費を受益者負担にしていけば解決ができるのではないか、このために港湾全体の固定資産の把握というようなことは、運輸省と管理者とが一体となりまして財政赤字の対策考えればよいというような意見も私は聞いておるわけであります。そういった点はどのように考えておられるか。
  80. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御指摘がございました受益者負担を増加したらどうか、確かに貴重な御提言と私は思う次第でございます。いまいろいろの公共施設につきまして、それらの点につきまして、ことに私ども運輸行政の面からいたしましても、総合性のある、斉合性のある運輸行政ということが一番強くいわれておりまして、ただいまイコールフッティングと申しますか、そういうような点から、陸上、海上、また航空その他の点につきまして、公共負担の割合、また利用者負担の割合というものを、斉合性の観点からいたしまして再検討すべき時期に来ているのではないかというふうにも私は考えている次第でございます。いまの使用料その他の点につきましても、それらの点を勘案いたしまして、十分早急に再検討してまいりたい、こういうふうに思います。
  81. 宮井泰良

    ○宮井委員 続きまして、物資流通の近代化、先ほどもお話が出ておりましたが、昨年八月に米国のラッシュ船の入港ということによりまして問題が起きてまいりました。これなどは港湾行政が輸送革新の対策をはっきり立てていなかったというふうなところにも大きな問題があって、そこから起きてきたと思うのでありますが、今後ラッシュ船に対しましてはどのように対処されるのか、また、ラッシュ船の将来性についてどのように考えておられるか、この点をお伺いします。
  82. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ラッシュ船の入港につきまして、昨年はいろいろ港湾荷役その他との間に問題を起こしましたことはそのとおりでございます。やはり輸送革新というものはどんどん進んでいかなくてはなりません。それに対応するところの、具体的には港湾荷役、先ほどもいろいろ内藤先生からの御指摘がございましたが、実際の問題は労働省の所管でございますけれども港湾全体をやってまいります点につきましては私どもも常に意を用いまして相談をしてやっていかなくちゃならない、こういう問題でございますが、やはり専門的、技能的港湾労働者が非常にこれからは必要になってくる。大体の将来の展望から申しまして、港湾方面の輸送の需要というものはふえてまいりますので、全体といたしましてはやはり労務者の確保ということが一番の問題になってくる。労働者の確保ということが経済の成長に伴いまして非常に困難化されてくると一般的にはいわれておる次第でございますので、やはり輸送の革新によりまして省力をするということはとってまいらなくてはならぬと思っておる次第でございます。その間におきまして、労働技術の転換をいかにしてはかるかというような問題、需給のバランスをどういう、ふうに立てるかということが一審問題になってくると思う次第でございます。これはさらに、ラッシュ船だけではございません、コンテナ船あるいはフェリー等の船舶が非常に増大するにつれましても、港湾労働の態様も非常に達ってくる、こういうふうに思っておる次第でございますので、十分ただいまの御指摘を体しまして、早急に労働省とも相談をいたしましてひとつ対策を立ててまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  83. 宮井泰良

    ○宮井委員 あまり時間がございませんので、この法案についてはあと一問。  港湾公害防止対策事業といたしまして、港湾の中のヘドロとか、そういう堆積したものを取り除いていくということで、特定重要港湾として、北九州、東京名古屋神戸、新潟、田子の浦、水島、伏木、塩釜など九港でしたかがたしか対象となっておるわけでありますが、この内容を聞きましたら、地方にまかせてあるような感じで、その申請があったものだけ国で取り上げておる。環境庁との関連もあると思いますが、積極性というものに欠けているのじゃないか。どういうお考えがあるのか、全国にもっと指定すべき地域があるのではないか。私も前回の海洋汚染防止法の審議の際に、山口県の岩国沖合い、これは私、潜水をいたしまして、このヘドロの状態をつぶさに実態を調べてまいったのですが、重金属も含まれておる、死の海に化しておる。こういうようなところから、そういったものが対象になっておらないというようなことが全国にももっとあるのじゃないか、そういう点を考えておるのですが、この点はいかがですか。
  84. 栗栖義明

    栗栖政府委員 先生指摘のように、これは来年度予算案がお認めいただければ実施いたしたいという予定の個所でございますが、ただ手をこまねいて地方から言ってくるのを待ってそれを取り上げるということではございませんで、こういうものがあればどしどし言ってくださいということは、私のほうから各管理者にお願いいたしまして取りまとめてございますが、ただこれは二つ性格があろうと思います。  一つは、その地域の全体の公害防止対策事業決定いたしまして、その事業の中で取り上げていくというものは私のほうで手当てできると思いますが、それがまだ至らないで、あるいは公害防止対策業全体はできないのだけれども港湾のこの部分は非常に困るというものがあろうかと思います。そういうものは管理者のほうから御発議いただきまして私のほうで手当てするというふうに考えておる次第でございます。ただ、ただいま先生指摘のような岩国のような場合には、私どもが関知している限りでは、現在県当局で公害防止対策事業計画を進めておられるというふうに聞いておりますので、それができ上がればすぐにでも取っ組んでいきたいというふうに考えてございます。  それからなお、港湾にありますいわゆる堆積汚泥と申しますか、そういうものにつきましては、先生指摘のように重金属の分もあるいはあるかもしれないというふうに考えまして、単に取っただけでは片づきませんで、取ったものをどこにどう処理するかというあと始末まで考えませんと取っ組めないということもございまして、それまで含めて私ども港湾管理者と相談いたしまして、この分はたとえばどこの場所に埋め立てる、そうした場合に港湾全体の機能に支障があるかないかという点まで十分煮詰めてから進めたいというふうに考えている次第でございます。
  85. 宮井泰良

    ○宮井委員 それではこれは以上、といたしまして、冒頭に大臣質問をいたしましたように——もう一度申し上げますと、インドネシア政府が閣議決定をいたしまして、公海か内海かという国際問題になっておりましたマラッカ海峡の通過は二十万トン以上の船はできないということにつきましての運輸省の掌握をいたしました情報をお聞きいたしたいと思います。
  86. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま、先ほどの御要求がございましたので、専門にそちらのほうをやっております原田参事官が参りましたので、そちらから御報告をさせたいと思います。
  87. 原田昇左右

    ○原田説明員 本日の新聞報道にございますインドネシアの、大型タンカーをマラッカ海峡を通さないということにつきましては、目下その真相を外務省を通じて調査中でございます。したがいまして、本日の新聞報道の真相につきましてはまだ私ども手元に情報が参っておりません。しかしながら、先週、これもやはり新聞に、インドネシアのマリク外相が、談話として伝えられました私見として、大型タンカーのマラッカ海峡通過について制限したいという報道がございましたが、これにつきまして外務省を通じて調査いたしました結果が手元にございますので、御報告したいと思います。  それによりますと二つございまして、一つはマラッカ海峡の航行安全確保をインドネシアとしてはやる責任があるんだが、これについてはトン数ということではなくて、一定の喫水以上の船舶につきまして、それが座礁する危険性があるということから制限を検討しておるところであるということが一点でございます。それから、これについてはもちろん日本に重大な影響があると考えておるので、十分事前に連絡したいということでございます。  第二の点は軍艦の通行に関しまして、インドネシアはあくまでもこれは国際水路でない、マラッカ海峡は国際水路でないという見解であるのですが、これについては二十四時間前に事前通告を要求したい。   〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕 これはまあソ連の軍艦がだいぶ最近通るということで神経をとがらしておるようでございますが、そういう意図であるということが、非公式ながら私どものほうに入手した情報でございます。  以上でございます。
  88. 宮井泰良

    ○宮井委員 以上で終わります。
  89. 小峯柳多

    小峯委員長 井野正揮君。
  90. 井野正揮

    ○井野委員 まず最初に大臣にお尋ねいたします。  この北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案というのはきわめて簡単なものでございまして、従来北海道の特殊的な事情、特に北海道開発を進めるために都府県とは違った高額の補助、十割負担、全額国費負担という制度が、特に北海道の第三期開発計画を進めるにあたって、後進性も克服されたとは言っておりませんけれども、応分の負担をすることはやむを得ないと北海道が言ったということに名をかりて、昨年から土地改良、河川、漁港、ことしからは港湾がこの適用を受けて〇・五%負担する、こういう性格のものでございますから、ここまでは既成事実になっておりますので、いまさら回れ右するわけにいかぬというふうに私は認識をしております。ただし反対なんですよ。反対なんですが、そういうことだということを承知の上でお尋ねしますので、この答弁は重複しないようにやめてもらいたいと思うのですが、、実は昨年の農林水産で、同僚の美濃君が質問しました内容を詳細に読みましたので、このことを前提としてこれからお尋ねをしてまいりたい、こう思うわけであります。  まず第一に、その発端になりました北海道の第三期の開発計画でありますが、第二期開発計画——私は当時地方議員であり、開発特別委員でもありましたので、重要なる意見を述べて少数で破れてこの計画が進められた経緯を私は知っておるわけであります。そこで、第三期開発計画について、大臣はお読みいただいたかどうか。二〇ページが大臣の所管される港湾関係になっておるわけであります。まず、これを読んでいただいておらないのでは話になりませんので、読んでいただいたかどうか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  91. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 一九ページじゃないですか。
  92. 井野正揮

    ○井野委員 一九ページですね。
  93. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 一九ページの7でございますね。一応私は承知している次第でございます。
  94. 井野正揮

    ○井野委員 いまごらんになったので、読んでないことはよくわかりました。  そこで、この計画の一番初めのところに、第五の「目標年次の経済社会」、こういうことで具体的に数字があげられておるわけでありますが、この中で、第一次産業は立案の現時点を一〇〇として一七〇ですから、七〇%ふやそう、それから鉱工業生産については四四〇にしたい、また生産所得については三〇二にしたい、こういうことになっておるわけです。大臣、読んでないのはわかりましたから聞いてください。こういうことになっておるわけであります。したがって、この計画の当初に掲げられておる抽象的な表現の中ですが、北海道は非常に資源が豊かだというふうにいっておりますが、詰めてみますと、何が豊かなのかというと、もう地下資源——金属のほうは全部だめです。非金属のほうも、石炭もだめなんです。石油は出ないんです。何もないんです。豊かな資源なんてありはしない。農業のほうはどうか。農業、水産では、これだけの計画を立てても七〇%しかふえない。しかし就労人口は減らして経営規模を拡大して、そうしてみてもたった七〇%しかふえないということになっている。これをまぜ合わせて——鉱工業のほうはうんと伸びるが、農水産のほうは伸びない。まぜ合わせて三〇二になる。鉱工業は四四〇にも指教をふやすんだと、こうなっている。私は何でこんなことを説明するかというと、何にもないところに工業をやるというのですから、持ってくるにきまっているんですね。それは石油であり、鉄鋼であり、軽金属である。北海道の資源とは何か。それは広い土地なんです。水なんです。そうしていま高度に成長した日本の工業が過密人口のために公害を引き起こしてどうにもならない。求めれば北海道だということになる。釧路であり、苫小牧であり、あるいはもっと広くいえば十勝あたり、この太平洋岸の広大な火山灰地、土地としてはほとんど価値はないが、工業地帯としては公害に反対をする人がいないのですから、これはまあ心配はない、こういうことだと思うのです。その場合、港湾が花形になることはもうこれは言うまでもないのです。大臣そういうふうに御理解になっておられるかどうかひとつ……。
  95. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 そのとおりだと存じます。
  96. 井野正揮

    ○井野委員 そうですね。そこで、今度は運輸大臣のほうしばらく聞いておっていただけばよろしいのですが、開発庁にお尋ねをしたいと思うのです。  実は、第二期開発計画の、実績表を委員部を通じて資料でいただきました。きのう二時間ほど見たけれども、どう考えてもわからないのです。これは山田さんお持ちですね。——いただきました半分はよくわかるのです。右側のほうの半分は。これは先生方にお配りしなくて恐縮ですが、半分のほうはよくわかるのです。これを見ますと、一番初めのA、Cの関係というのはやはり実績表で予算総額をしかも当初年度の貨幣価値に換算し直して、そして全体を一〇〇と見て、計画より三%よけい予算をつけた。あるいは産業基盤については九九だ、そして社会生活基盤については七八だ。大臣、ここが非常に大事なんですから、きちんと覚えておいていただきたいと思うのですが、先ほども同僚議員の宮井議員の質問に対して、港湾局長が交付税その他やると言うのですが、これはあてになりませんけれども、大蔵省にあとから聞こうと思います。たとえば、一緒になって負担をふやせふやせと言ったほうなんですから、これはあまりあてになりませんが。こういうふうに達成率において、道路や港湾とか河川等はやったけれども、一番大事な住民の生活環境を整備する社会基盤についてはこういうふうに悪いわけなんです。第二期計画は悪い。  そこで、今度は左のほうの表を見ますと、非常に達成率のいいものと悪いものとが出るので、このB、Cという数字はどう見てもわからない。ということは、無理な計算をはじき出したからわからぬわけでありまして、三十五年度に五百四万の人口であったものが十カ年で五百八十六万にしようとした。ところが、結果は五百十八万にとどまったのです。このことについて、自治省や開発庁は、社会増と自然増との関係で、北海道の人が子供を生まなかったのか、生んだのか、それとも流出した結果、生んだけれども減ったのか。そしてこれはこんなむずかしいことをしなくても、五百四万おったものが五百四万だったら、これは差し引きゼロということになる。ふやそうとしたのは八十二万なんです。実際ふえたのは十四万。八八という数字は出てこないのです。ところが、五百四万を含めて計算すると、こんなばかげた数字が出るので、皆さん帰ったあとでもう一回考えて……。ここへ全部マイナスをつけると合うのです。これは計画に対してマイナス八八であったということになる。実際は一二%しか達成できなかった、こういうことになる。ところが、右のほうは実際の実績を出しておいて、左のほうにはマイナスの数字を出しておくという法はないと思うのです。これは全くの行政公害だと私は思うのですね。これは、だれが見たってわからないのですよ。ひいき目に見て、さかさまに読んでいけばそういうことになる。一番わかりやすいのは石炭です。千九百万トン生産しておった。二千四百万トンまで生産を上げようと思った。ところが閉山、廃坑でもって千九百万トン、皆さん、だれが見てもこれは零じゃないですか。七九だという。だから二十四を一〇〇にしていまの数字に戻っていけば七九だという、これはマイナスだということになります。ゼロより悪いわけなんですね。しかしそれでも七九という数字にはならない。これは全くおかしい話なんで、こういうことを楽しんでおやりになって、まるでクイズのような表を国会審議にお出しになるということは、これは山田さん、かなり責任を感じてもらわなければいかぬと思うのです。防衛庁じゃないから責任とれなんて言いませんけれども、これは不見識きわまる数字だと思うのです。こういうことを基礎にして大蔵省がものを考えたり運輸省がものを考えたとしたら、私はたいへんだと思うのです。試みに、私は数字を打っておりますが、言いません。一体この十四万しかふえなかった、自然増ではどれだけふえたのか、社会的流出はどういうふうにあったのか、この関係、もしわかっておられたら答えてください。わからなかったらいいです。
  97. 小峯柳多

    小峯委員長 その前に、あの資料は開発庁のほうから出したのですか。
  98. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 井野先生資料要求で、井野先生に差し上げております。
  99. 小峯柳多

    小峯委員長 一般のところには出てない……。
  100. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 配付してありません。  ただいま御指摘のございました、北海道の人口、二期計画で五百八十六万人目標にしておりましたが、五百十八万にしかならなかったということで、実際に数字の上でふえましたのは十四万ということでございます。この十四万を分析いたしまして、これは、私ども、自然増があったにかかわらず相当程度社会的に都府県のほうへ流出した人口があったためにかような数字になっておるというように考えております。その内訳の数字、いま言えという御質問でございますが、ちょっと手元に持っておりませんので、恐縮でございますが……。  それからなお、先生指摘のように、他の委員先生方にお配りしてないので非常に恐縮でございますが、井野先生の御要求によりまして提出しましたこの資料で、B分のCと申しますのは、これは達成率という意味では達成率になっておらない。これは全く御指摘のとおりでございまして、非常に誤解を起こしやすい数字でございますので、B分のCという欄につきましては、この欄を取り消していただきたいと思います。
  101. 井野正揮

    ○井野委員 数字は合っているけれども、ファクターのとり方が間違っているということです。だから、やらないより悪くて、誤解を与えて、あたかもできたような錯覚を起こさせるし、こんなことをもって大蔵省に説明でもされたら、大蔵省は間違って、北海道豊かになったじゃないか、どんどん切れということになる。それで切ったのは、間違って盲腸を切ったより悪いのです。  そこで、先ほど宮井さんからも御質問がありましたが、私は実は今度、この関係の市町村の財政を調べてみました。確かに開発計画で目標とされておる苫小牧であるとか釧路、室蘭などは工業地帯でもありますし、すでに北海道の特殊的事情から、北海道の中では、どちらかというと発展途上にあるところであります。反面、岩内であるとか羽幌あるいは紋別、網走、こういうような市町村は過疎地帯であります。しかし、この費用負担の原則は発展途上にあるところと過疎化するところがいささかも配慮されていない。配慮されていなくて、しかもまた法律では北海道が持つということで、市町村と北海道との関係については触れていませんが、具体的にはいままでの事業推進の過程だと、北海道の政策として、自治省等の指導によって幾らか北海道が負担をし、市町村の仕事を助成していくという形が相関関係でとられている。私の求めました資料はまだまとまったものではございませんでしたけれども、北海道は一%ないし二%持ちたいという意向を持っていたように聞いております。この結果はおそらくもう確定していまの議会にかかっているのじゃないかと思いますが、それはどういうふうになっていますか。
  102. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 私が北海道庁のほうから、これは電話でございますが、ごく最近確かめましたところによりますと、今度法案で五%の北海道の地方負担が生じたわけでございますけれども、それの一割を道庁が負担するということで一応予算を組んで、ただいま開かれております道の議会に提出したよしでございます。
  103. 井野正揮

    ○井野委員 そういたしますと、たとえば、御承知のように地方交付税とかあるいは譲与税とかございますけれども、これらは一定の基準に応じて交付されるものでありますから、道路、港湾、漁港、草地改良等の地元負担がふえた場合に、この地方交付税まで含めて財源と考えることは間違いだと思うのです。これはやはり地方税の中から自主財源として判断をして、これがこの費用に充てられるということになろうかと思います。もちろん市町村は港湾だけではございませんから、各般の事業負担をするということになりますと、市町村によっては港湾の負担分が実は負担額の五〇%になったりあるいは二〇%になったり、率が低いほど負担額はふえるということになるわけでありますが、一例を襟裳町にとってみますと、四千七百二十五億に対して五百四十万の負担であります。まさにこれは一一%になります。このほかにあそこは草地改良もあります。河川もあります。こういうものを負担していきますと、この襟裳町は今度は自分でこの財源をはき出すためには、他の町がやるところの市民が最も望んでおる単独の政策というものは切らざるを得ない、こういう結果になる。  私がきょう大蔵省の藤井主計官に御出席願ったのはこの点なんです。これは幾ら開発庁を責めてみても、運輸大臣に食いついてみても、閣議で運輸大臣がちょっと言ったくらいでこんなことは直らぬわけですから、もちろん前任の大臣閣議できめたことなんですからこれはどうにもならぬ。一番大切なのは、大蔵省が北海道の財政に対してどういうふうに考えているのか。いま日本じゅうが困っている。しかも、日本国民の生活水準を高めてより豊かにするためにはどうしてもやらなければならない、公害産業を北海道へ持っていって港湾整備をしなければならぬ、そうせざるを得ないのです。苫小牧第二港なんかまさにそのとおりなんです。その場合に、その公害を持ってこられる上にまた一部負担で苦しんで住民のための政策が切り捨てられるということは、これは忍べないことです。それのみならず、公害防止対策のためには都市計画についても工場地帯と住宅地帯と離さなければならない。水道等についても延長距離が長くなってもそっちに持っていかなければならぬという各般の付随する先行投資が出てくるわけでありますが、一つには北海道の財政の推移の中で応分の負担をするということをいわなければ、大蔵省から事業費をふやしてもらえなかったという背景を考えてみるときにそういうような形になりつつあるのかどうなのか。  先ほど山田総務監理官の御答弁の中では、自然増と社会減の関係についてつまびらかでないということでしたが、これこそ最もつまびらかでなければならぬことなんです。生まれた人よりもはるかに多くの社会減になっているのです。自然増だけでも実はこれくらいの数字になるのです。なるのですが、北海道は三月になりますと、知事さんが何を勘違いしたのか集団就職お祝いだといって札幌駅に喜んで見送りに行くのです。私は、ほんとうは悲しくて知事室で頭をかかえていなければならぬと思うのです。それを見送りに行くのです。だから、あなた方もそのことに対して重大関心を払っていないけれども、行政効果測定ということはこういうことをいうのです。そこで、今回この負担をこうむる北海道の市町村の財政状況について大蔵省はどのような御見解を持っておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  104. 藤井直樹

    ○藤井説明員 北海道の総合開発全般にかかる地方財政問題につきましては、かねてから内地の各府県に比して著しく高い国庫補助負担率を設定してまいっておるわけでございます。ことに全額国庫負担という制度は、現在のところ内地の非常な僻地であるとか離島を除いてはございません。そこで、一方第一期、第二期総合開発計画を進めてまいりまして、いまや第三期に入る。しかも第三期の計画ということになりますと、全国的に見てもかなり規模の大きな意欲的な計画が含まれております。たとえば、港湾でありますと苫小牧開発、農業関係でありますと新酪農村建設とかそういうようなものがかなり含まれておる。そういうときに現在の全額国庫負担というようなことを続けていくことになりますと、事業の進捗等にも非常に障害が起きるということから、地方財政の状況考えてみますと、現在の北海道全体の財政規模というものは全国の第三位になっております。財政力指数ではまん中くらいだと思いますけれども、そういうような状態の中でやはり新しい開発計画を進めていく場合には、国庫補助負担というものを少しでも下げて事業の進捗をはかっていきたいという考え方が非常に強かったわけでございます。そういうことでございまして、昨年から十割国庫負担は漸減をしてまいったわけでございますけれども港湾につきましては現在の管理の体制が市町村であるということから見まして、他の事業のように一〇%の負担をしていただくことはなかなか困難であるということで、それを半分にいたしましてせめて五%の負担でやっていただきたい。そういうことで今回の法律改正をお願いしておるわけであります。
  105. 井野正揮

    ○井野委員 藤井さん、右はどっちかといったらそれは見る人の位置からいうのですというような答弁をしてはいかぬです。あなたは全く答弁をはぐらかしておる。そんなことを私は聞いておりはせぬ。規模は、土地が大きいし、人口がいるのだから第三位になるかもしらぬけれども、中身を聞いておるのです。  では、もう少しわかりやすく言ってください。北海道の全体予算額の中で道税によって占められる地位は何%か、そして全国的には同じ比率でいったらどういうことになるのか、これを教えてください。
  106. 藤井直樹

    ○藤井説明員 ただいま手元にありますのは、四十四年度の数字でございますけれども、歳入決算額に占める地方税の割合は二一・三%になっております。
  107. 井野正揮

    ○井野委員 全国は幾らですか。
  108. 藤井直樹

    ○藤井説明員 全国平均は東京都を除きますと三〇・八%。
  109. 井野正揮

    ○井野委員 藤井主計官、北海道は二一%、全国は三〇%これくらい劣悪な財政ありますか。先ほどのあなたのお答えを知らないでそのまま聞けば全国第三位だ。今度は具体的に財政力を評価されるものは都道府県の単独の財源です。そうですね。単独の財源ではたった二一%だ、全国平均が一八%だからこれはいいんですということなら話はわかる。全国は三〇%、北海道は二一、第三位、どう話がつながりますか。
  110. 藤井直樹

    ○藤井説明員 ちょっとこの財政規模のほうだけ数字を申し上げますと、財政力指数のほうにつきましては、全国中ほどだと申し上げましたが、財政力指数は全国二十六番でございます。それから地方税の割合も全国平均ということになりますと確かに非常に離れますけれども、他方、他のたとえば東北地方等を見ましても、北海道より低い自主財源の割合のところがかなりあるわけでございます。
  111. 井野正揮

    ○井野委員 そこで、全体を考えてもらいたいと思うのです。きのうも水田大蔵大臣は、私がした二つの質問のうち一つしか答えませんでしたけれども、よけいなことを一つ言いました、内地と北海道と。あなたも内地と北海道と言われた。内地と北海道という関係は台湾、朝鮮、北海道、こういう植民地の感覚ですよ。北海道は従来から日本が持っておる唯一の島ということになっておる。これは日本本来の領土なんですから、植民地扱いだけはやめてくださいよ。しかも、私が運輸大臣にわざわざ第三期計画をお読みくださいましたかと言ったのは、北海道開発は北海道のためだけではなくなっているのです。ところが、この開発のしわ寄せを北海道民だけが受けなければならないとしたら、少し不公平じゃないか。きょう藤井主計官にぜひといって来てもらったのはここなんですよ。しかも、先ほど私が説明しましたように、二時間考えても何を表示しようとしたのかわからぬような統計表を出す開発庁の皆さんで、きょう四人も来たけれども、最後まで強弁しようとしておる。私と大蔵省の電話を聞いておって気づいたらしい。間違っておりました、こういうことなんです。これは間違わないで、皆さんこのとおり認識したら、どういうことになるのですか。私はこういう認識がこういう結果になるんだと思うのです。  まだ時間が十分ありますから、少し言いたいことを言わせてもらいます。  栗栖港湾局長が、各省にお願いして交付税で見てもらって、港湾の維持管理も十分できるように、また他の面で圧迫にならぬようにするとおっしゃったのですが、御相談なさる各省とはどこなんですか。
  112. 栗栖義明

    栗栖政府委員 これは本米地方財政は自治省がごらんになっておりますので、自治省あるいは大蔵省、こういうところを中心に御相談していきたいと考えております。
  113. 井野正揮

    ○井野委員 開発庁は入りませんか。
  114. 栗栖義明

    栗栖政府委員 開発庁は当然入っております。失礼いたしました。
  115. 井野正揮

    ○井野委員 こういうふうに開発庁は忘れられる庁になっておる。これは頼むに足りない庁だからだと思うのです。しかも、こういう北海道にとって致命的なことをやった大臣は、北海道出身大臣のときにやったのです。名前は言いませんけれども。北海道でなった大臣というのは一人だけですから……。しかし、これはきわめて重大なことなんです。  そこで、藤井主計官にお尋ねをしたいと思うのです。四十七年度の、この関連する二十幾つの市町村について、財政的にきわめて怜悧な大蔵省官僚の目でもって、ひとつ大蔵省を離れて、ぜひ検討していただきたいと思う。私はこのことしの法律は、私ども反対しても、もう去年もやったのですから通ると思います。少数なんですから。九十人は反対してくれますが、通ると思う。しかし、通ることの是非よりも、この予算が実施された結果この市町村における人々の行政水準からくる生活苦というものは、琵琶湖に小便たれたほどのものだという議論になるかもしれませんが、それは積み重ねられていくわけですから、おくれていくわけですね。この点は非常に黙過しがたいと思う。  それのみならず、日軽金が苫小牧へ行きました。私ども委員が当時の福井委員長理事の宇田先生と一緒に行ってみて公害防止はよくやっておる、りっぱなものだ、みんなで感心してきたのです。そのとき赤泥を海へ投げますという話なんか一つもなかった。だんだん聞いておったら、このごろは十年もやったら富士山の山ほどになるような赤沈を投げるということで、まことに困ってしまっているのです。そこで、われわれは工業を誘致する場合、第二苫小牧工業港をつくられる場合、これらの問題は当然配慮しておかなければならぬと思います。  いま伊達町で火力発電所をつくられることが問題になって、電源開発審議会ですか、あそこで大石さんががんばってくれて、まだ諮問にかかっておりません。しかし、私は絶対反対という立場には立たないということを言ってきたのです、電気は必要なんですから。佐藤総理のまねをするわけじゃありませんけれども、電気は必要なんです。私は中国へ行って、撫順で電発を見てきました。そうしたら、使用の重油については硫黄濃度をきちっと規制しております。冷却水については暖房に使っております。施設は国がやるわけですから、住民は石炭が要らぬだけ楽なわけです。政府にはこの配慮がないわけです。この第三期開発計画を見まして、宅環境をよくするという条項の中に集中暖房制の問題が取り上げられております。しかも、北海道の農業は積算温度が非常に低くて、伊達のように北海道の湘南といわれるところでも、年によると濃努のために野菜が思うようにできないわけです。しかし、北海道の野菜供給団地に農林省は伊達を推定しているわけです。冬は雪を解かし、暖房に使い、夏は温床に使ったら、冷却水の問題はなくなっていくわけですね。そういう施設をする場合でも伊達町が相当額の費用負担をしないと、北海道電力株式会社はやらないと思います。国がめんどうを見なければやらないと思います。しかし、これからの高度の重化学工業の発展というものは、そういうようなマイナスになる血に対して十分の国の施策がないと、企業だけではやっていけなくなるのじゃないですか。絶対何が何でも火力発電所はだめなんだ、地球上からなくするのだという人があったならば、それは私はランプの世界に返らなければならぬだろうと思うのです。だから、住民の合意を得るという問題にしても、そういう努力が必要なんじゃないでしょうか。それにはやはりそういうことに対して国がめんどうを見ていく、社会全体がこれを負担していくという姿勢がなければならぬと思うのです。これからの北海道にはそういう問題が次々起こってきて、再び九州の洞海湾のようなことをしてもいかぬし、東京湾のようなことをしてもいかぬし、北海道の大自然を保全しながら、しかも近代科学工業を進めるということになるならば、この時期において五%持たせるというやり方は実は北海道の何たるかを知らないものであり、日本の産業がどういう局面に、ぶつかっているか知らぬ議論ではないか、こういう気がするのです。私はことし直せとは言いませんけれども、全体的にこれは反省してみる必要があるのじゃないかと思いますが、大臣、もうだいぶおわかりになったと思いますが、ひとつこの辺で御所見をお伺いしたい。
  116. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いろいろ貴重な実地に即したお話を承りまして、私どもこれからの運輸行政を施行していく上におきまして非常に参考になることが多い、かように思っておる次第でございます。北海道にお住みになりまして、そうして北海道の重要性——これはただ北海道のためだけではなくて、国全体からいたしましても非常に重要であるという意味では、十分私もわかっておるつもりでございますが、具体的に申しまして、実は私、いま言ったように、人口の問題あるいはまた産業の構造の問題、その他につきましては承知しておりません。これは具体的にお示しをしていただきまして、今後の運輸行政、ことに北海道に対する問題につきましては非常な貴重な参考資料としてありがたく拝聴いたした次第でございます。
  117. 井野正揮

    ○井野委員 潮田交付税課長にお尋ねをしたいと思うんですが、地方財政計画はつい四、五日前に御説明になったばかりでございますが、明年度四十七年度の交付税の配付の決定はいつごろになりますか。
  118. 潮田康夫

    ○潮田説明員 お答えいたします。  決定法律によってきまっておりますが、八月末でございます。作業は大体六月ごろから関係の地方公共団体に作業の要領を示しまして、作業をいたします。
  119. 井野正揮

    ○井野委員 決定は八月末ですが、地方公共団体はいま予算審議をやっておるわけですね。そうすると、大体例年の例からいって、交付基準からはじき出して当初予算に組み込まれるのはどれくらいのパーセントになりますか。
  120. 潮田康夫

    ○潮田説明員 交付税は、御承知だと思いますが、基準財政需要額を計算いたしまして、そうして当該団体の基準財政収入額を計算いたしまして、その差し引きが、交付基準額と申しますが、交付税の額になるわけです。  そこで、私どものほうといたしましては、一応交付税の算定の基礎になります基準財政需要額につきましては、国の一般会計の予算及び地方財政計画の歳出というものに見合って大体の見込みが立てられるわけでありますが、基準財政収入額になってまいりますと、各地方公共団体の税収の上がりぐあいという、これがかなり各団体ごとに変動がございますので、正確な見通しを各団体について申し上げることはいまの段階ではやっておりません。ただ、しかしながら地方公共団体としては当初予算に組まなければなりませんから、一応私どものほうといたしましては、来年度の市町村の一般的な基準財政需要額の伸びは大体どの程度であるということの指示を一応申しております。来年度の一応の平均的な市町村の基準財政需要額の伸びは、各団体がいままでの経緯に照らして、自分の特殊な行政需要というものを勘案して見込みを立てていただいて、そうして収入のほうは各団体が直接やっておられるわけでありますから、見込みを立てて、そうして一応の交付税の見込みを立てる、こういうような作業になっておりまして、いま先生が言われましたように、各団体におまえのほうは大体幾ら要るだろうとか、そういう指示はまたできもいたしませんが、やっておりません。
  121. 井野正揮

    ○井野委員 こういう席で聞けばそうお答えになると思いますが、特別交付税についてはいつごろになりますか。
  122. 潮田康夫

    ○潮田説明員 特別交付税は毎年年度末でございまして、二月の末日——ですから、四十七年は四十八年二月末日に決定をいたします。
  123. 井野正揮

    ○井野委員 今回この法律の適用を受けて負担額が非常にふえてきます市町村については、軒並み財政の悪い過疎地帯が大半であります。したがって、先ほども申し上げましたように、釧路、苫小牧、室蘭を除く以外は例外なくマイナスのところであります。それから特に、苫小牧の場合は、これは在来の勢力と新しく増加するものとの比が格段に違っておりますので、先行投資に財政規模が大きい上に悩んでおる、こういう経過がございますので、これは大蔵省、自治省、そして開発庁、運輸省の格段のお骨折りによってきめられること、だろうとは思いますけれども、先ほど港湾局長のお答えになりました交付税で配慮するというのは、基準は基準ですから、基準以外の要素として特別交付税で見込む以外にはない、この点は自治省の見解はいかがですか。
  124. 潮田康夫

    ○潮田説明員 私どもは今回の十割負担の引き下げに伴います関係地方団体の負担増につきましては、一応従来のルールと申しますか、基準で計算をいたすということにいたしますと、大体その八割程度の負担額を指標にとりまして、そして、それに対してもちろん基準財政収入額の差し引きがございますけれども、一応それをめどといたしまして、普通交付税でやっていただくというふうにずっといままでやっております。  なお、残りました部分につきましては、これはもう御承知だと思いますけれども、基準財政収入額はその団体で上がります収入額を全額取り上げて計算するというのではなくて、市町村でありますと七五%を取り上げておりますから、あとの二五%は市町村の自由にほかに使えるということになっておりますが、そういうものもございますし、それからまた地方債の充当もありますから、そういうもので、大体従来——ことしもそうですが、事業の実施あるいは地方負担につきまして支障のないようにやっていけるのではないか、こういうことでやっております。  明年度は、先生も御承知だと思いますが、地方財政全体として非常に苦しい状態になっております。そういうような関係から従来の三二%の地方交付税総額ではなお不足いたしますので、国から特別の臨時特例交付金千五十億円、さらに交付税の特別会計で千六百億円をお借りして地方団体にお配りするというような特別な配慮を加えていただくというお願いをいたしておりますが、そういう措置をしていきたい。さらに、それでもなお一般的な財政需要の増あるいは公共団体の地方負担の増というものが多額にのぼりますから、そのほか三千五億円にのぼります地方債を特別に来年度は交付するということで、きのうも地方財政計画でお願いしておるわけでありますけれども、そういう状態であります。明年度におきましてはそういう負担増に対しましては、来年度特別に措置をされます地方債を含めまして地方財源の措置をやっていきたい、こういうように考えております。  また、特別交付税でどうするかということでありますけれども、これもよく御承知だと思いますが、一応特別交付税は、災害とかあるいはその他特殊な、年度当初につかむことができたい特殊な財政需要が八月以降発生するとか、あるいは収入が特別な事情でまた落ちてくるとか、そういう特殊な事情を総体としてとらえて、そして年度末で当該団体の財政需要を聞かしていただきまして、総括的に財源不足に対して措置するというようなかっこうになっておりますから、いまこの問題だけを取り上げて特別交付税をどうするかということは、全体としていま申し上げましたような判断の中に入ってくる問題でございますので、そういうことで御理解を願いたいと思います。
  125. 井野正揮

    ○井野委員 一般的運用方針については知っておるわけですから、そうまでおっしゃっていただかなくともけっこうなんですが、しかしもともと負担額を持たせるという基本的な方針が誤っておるわけです。そういう事情にはないのです、北海道の市町村の財政は。しかも追い詰められた日本の産業は、北海道というところに避難しようとしておる。それは幸いどころではない、初めから悪い条件がある。そんなことは交付税の交付基準に入っておるぬわけです。政治的な配慮しかないのです。だから交付税に関係のない港湾局長は、交付税について頭を下げて歩くと言っております。だから、そういう一般的な答弁なら聞かなくともわかっておる。これは私は、では何をもってそれをはかるかということだと思う。港湾のある当該市町村の財政を全国的な基準でものさしを当ててみて、そして道路はどうなっているか。市町村道ですが、道路はどうなっているのか、住宅はどうなっているか、社会福祉施設はどうなっているかというのをこういうふうな表に出してみれば——こういうでたらめな表じゃ困りますけれども、こういう表に出してみると、港湾について、全国都道府県の市町村の近路は四%舗装してあるが、ここは一つもしてない、住宅は、公営的なものはこれだけあるがここは何%で二〇%に満ちてない。総じて産業、社会、その他の建設工事と合わせてみてまことに政策というものがないという数字が出たときには、これを一つめどとして、公共負債がふえたためにできなくなってきたこと、これに対するカバーをしてくれるのでなかったら、私は初めからこの法律提案することが間違っておると思う、確かに北海道は特殊の事情によって、高額負担という特別な法律が適用されてきた。藤井主計官、この特別高額の補助をする思恵的な政策は何によってつくられたと思いますか。どんな理由でつくられたか。
  126. 藤井直樹

    ○藤井説明員 やはり戦前から北海道の開発状況が非常に立ちおくれておるというところに着目してとられたものだと思います。
  127. 井野正揮

    ○井野委員 明治政府になってから蝦夷地の資源というものに目をつけられて、国家経済に寄与するところ大であるというので多くの人を送り込んだけれども、積雪、寒冷その他の事情によって犠牲を払ったけれども、必ずしも意のごとくならなかった。それは北海道民にだけ犠牲を負わせてはいかぬから国が特例法をもってやる。特に戦後残されたところであるということで昭和二十五年に立法されたんでしょう。違いますか。
  128. 藤井直樹

    ○藤井説明員 立法の基礎になる考え方は、やはり北海道全体の開発をこれから進めていく、そのための財政負担が非常に膨大なものになるということで特別の高額負担制度を設けたということだと思います。
  129. 井野正揮

    ○井野委員 そこで論争の焦点になるのは、北海道はすでに後進性を克服した、しかも開発は北海道民の利益になるものだから応分の負担をすべきだという一つのものの見方があったけれども、今日、高度経済成長の中で急速に発展をした重化学工業等の公害が非常に大きい。いまは生産よりも公害防止のほうに重点を置かなければならぬということになってきて、世論もやかましくなってきている。そのときに、あらためて北海道の位置というものが重要視される、これは言えると思うのですよ。そういう観点に立つならば、こういう応分の負担をすべきだという発想は時期尚早だったということになるのです。私は、これは早急に改められるべき時期がくると思う。そのうち、すでに道路、草地改良、海岸保全、漁港等が行なわれたわけですね。ことしの港湾が残された最後になるのですね。私はこの機会に、こういうやり方が正しかったのかどうか問い直さなければならぬときにきていると思う。きのう、水田大蔵大臣はこういうこと言いましたでしょう。営林署の赤字の問題について、赤字問題をいま論議するから非常に苦しいのだ、赤字が出たそのときにすぐやらなければならぬものなんだ、こう本会議で言われましたね。私はこういう答弁はその場限りのものではないと思うのです、あの水田さんの正直さから言って。しまいには、今度は何の問題でしたか、弱体な政府といたしましては、野党の皆さんも国民の皆さんも応援してくれなければやれないと言った。これは私よけいなことですけれども、ほんとうのことなんです。  そこで、これは大蔵省に特に知っておいてもらいたいし、自治省にはもっと力をかしてもらわなければ困ると思いますのは、この誤った方針で、救うことのできないまでに港湾とかそういう開発事業があるところの市町村がおちいったとしたら、これはきわめて重大だと思うのです。だからぜひ大臣にお約束を願いたいのは、今年度はそういうことで、これらの市町村がこの法律改正によって負担を受けたために、実質的な政策がひどく落ち込むということのないように、まあ同額だけの費用を見るという心がまえで、ぜひお骨折りを願いたいし、藤井さんもせっかくここに出てきていただいたんだから、先ほど言ったようにそれが感情的なものであってはなりませんから、あくまでも厳格な数字でもって調査をしていただいて、その結果に基づいて自治省、大蔵省、開発庁、運輸省、御相談の上、この交付ワクについて数字の基準じゃなくて、政治的な配慮を加えてもらいたい、こう思うのです。これなしには必ずこの市町村は大きな落ち込みを来たすことは間違いないので、このことについてひとつ各省の御決意を聞かしていただきたいと思います。
  130. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 地方の自治体の財政需要が非常にふえてまいりました。それに伴う地方の財源不足の点は十分私も承知しているつもりでございます。また一般論から申しまして、大体におきまして、ことに市町村の財源不足ということがいま非常にいわれていることも、私は十分承知をしておる次第でございます。ただ御承知のとおり、この法律が出されましたのは、国と地方の財源配分の問題でございまして、確かにただいま御指摘がございました北海道の開発のためのいろいろな特殊な事情がございまして、いままで国が全額負担をしておりましたものを五分地方負担にするということは、北海道出身として非常に御不満であろうと思う次第でございますが、全体の計画から見ましてすでに河川、道路その他の点につきまして調整が行なわれました今日、港湾としても私はやむを得ざる措置と思って了承して、この提案をした次第でございます。それらの事情を御賢察いただきまして御了承願いたい、こう思う次第でございます。
  131. 山田嘉治

    ○山田(嘉)政府委員 開発庁といたしましては、北海道の開発につきまして先ほど井野先生がおっしゃいましたように、日本の国土の抜本的な再編成と申しますか、そういう観点から北海道の開発を現在法律に基づいて政府がやっておるのだという考え方でございます。一九六〇年代にいわゆる太平洋ベルト地帯に過密、集積の弊害が出まして公害問題その他非常にゆゆしい問題になっておるという時代に、北海道が残された土地と水、海岸等を利用して大きな産業を日本全体のためになっていかなければならない、またそうすべきであるという考え方でこの三計画ができておるという点、全く私ども同じ考え方でございます。それに伴いまして、そのためのいろいろな公共施設またもろもろの社会施設等について、費用がますますこれからかかっていくということも、私ども全く同感に存じます。そういう状況のもとにおきまして、今回、五%の港湾の負担ということになりまして、先ほど申し上げましたように応分の負担をして、むしろ地方財政が積極的にこれに寄与して、全体として事業量も伸ばしていくことが必要だという考え方を申し上げましたけれども、その応分の負担と申しますのは、もちろん先生指摘のように地方財政の圧迫になってはならない。特にいま申しましたように、これから公共投資が社会関連施設をはじめとしましてふえてまいりますから、そういうもの、がとてもまかなえないというような状態で負担がふえるということは、これは非常にゆゆしいことでございますから、開発庁といたしましては、そういう点に最も気を配りまして、関係の市町村等においてさようなことのないように適切な財源措置が講ぜられるように、大蔵省、自治省等関係方面と今後とも密接に連絡をいたしまして努力してまいりたいと思います。
  132. 藤井直樹

    ○藤井説明員 本年度の港湾の負担率の改正に伴いまして、負担の問題につきましては関係省庁とよく御相談をしていきたいと思います。
  133. 潮田康夫

    ○潮田説明員 私どもといたしましては、今回の措置によって関係団体がその行政なり財政の運営に支障が生じませんように適切な財源措置を講じていくということで努力をいたしたいと考えます。
  134. 井野正揮

    ○井野委員 くつの上をかくような御答弁で、確たる御答弁ではございませんけれども、いまお話しのあった応分の負担ということ、応分というのはないのです。藤井主計官がお答えになったように、全国は三〇%、北海道は二〇%。非常に北海道の財政は悪いのです。応分というならもう少しもらわなければならぬということです。しかし、その当時そう感じなくて、北海道みずからが言ったことなんですから、これは皆さんの責任だとは思いません。思いませんが、しかしいま山田監理官が言われたように、確かに国家的要請に基づいて進められる開発について貧乏人がさらにさいふを投げ出して、食うものも食わぬでやらなければならぬという理由は認識されておらなかったということだと思う。それは貧乏人のくせに金持ちのような顔をしたからなんです。しかしその結果はいまはね返ってくる。利益の前にみずからが死んでしまうということなんです。こんなことを認識をして、十分な措置をしてほしいということを言ったのですから、それに答えられた意味だと自問自答して私は質問を終わろうと思うのですが、しかし藤井主計官にお願いをしておきたいのは、そのものさしの数字はお出しになっていただくという約束をしていただけますね。大蔵省から見た経済、財政情勢の分析、この表にある市町村だけでけっこうです。これは大蔵省がとった数字で出したものだというものをひとつ出していただく。まだそのころまでには解散になりませんから、私はいずれかの機会に呼んで聞きますから、これをきちっと約束をしておいてください。
  135. 藤井直樹

    ○藤井説明員 どうも地方財政のあの数字につきましては、私ども直接それをいただくわけにいきませんので、関係の担当の省と御相談をしてやりたいと思います。
  136. 井野正揮

    ○井野委員 終わります。
  137. 小峯柳多

    小峯委員長 次回は、来たる十七日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十四分散会