○
政府委員(平原毅君) それでは次に、小坂外務
大臣とラスクとの交換公文を読みます。
書簡をもつて啓上いたします。本長官は、アメリカ合衆国大統領と
日本国
総理大臣との間において、日米両国
政府が相互に関心をもつ経済問題に関し両国
政府間の協議を行なうための取極を具体化することが望ましいことについて最近討議されたことに言及する光栄を有します。これに関連して、千九百六十年一月十九日にワシントンで署名されたアメリカ合衆国と
日本国との間の相互協力及び安全保障条約の第二条において、「締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」と両締約国が合意したことが留意されました。この討議において、経済政策に関する主要な
責任を有する両国の閣僚間に定期的な協議を行なうための
委員会を設置することを両国
政府が希望していることが明らかになりました。
よって、本長官は、両国
政府が次のとおり合意することを提案する光栄を有します
(a) 貿易及び経済問題に関する日米合同
委員会を設けること。
(b)
委員会は、
アメリカ合衆国については、国務長官、財務長官、内務長官、農務長官、商務長官及び労働長官
日本国については、外務
大臣、大蔵
大臣、農林
大臣、
通商産業大臣、労働
大臣及び経済企画
庁長官
並びにいずれか一方の
政府が必要に応じて随時任命する閣僚級の他の
政府職員から構成されること。
(c)
委員会の任務は、次のとおりとする。
(1) 両国間の経済協力を促進する手段を
検討すること。
(2) 特に、相互に利益のある貿易の継続的な拡大に悪影響を及ぼすような問題及び共同の
検討を必要とする両国の経済援助
計画に関する問題について情報及び意見を交換すること。
(3) 両国の国際経済政策におけるくい違いを除き、経済的協力を一層十分に行ない、及び貿易を振興するため、適当かつ必要と思われる措置に考慮が払われるようにそれらの討議についてそれぞれの
政府に報告すること。
(d)
委員会は、年一回又は両国
政府が必要と認めるときはより多く会合すること。
(c)
委員会は、合衆国及び
日本国で交互に会合し、合衆国で開かれるときは、合衆国国務長官又は合衆国
政府が指名する他の
委員が議長となり、
日本国で開かれるときは、
日本国外務
大臣又は
日本国
政府が指名する他の
委員が議長となること。
本長官は、
日本国
政府が以上の提案に同意されるときは、この書簡及びその旨の閣下の返簡が両国
政府間の合意を構成すること並びにこの合意は本日効力を生じ、いずれか一方の
政府がこの合意を終了させる希望を書面により通告する時まで引き続き効力を有することを提案いたします。
本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
千九百六十一年六月二十二日
アメリカ合衆国国務長官 ディーン・ラ スク
日本国外務
大臣 小坂善太郎閣下
以上が書簡でございまして、返簡は、
書簡をもつて啓上いたします。本
大臣は、貿易及び経済問題に関する日米合同
委員会の設置を提案された本日付けの閣下の書簡に言及する光栄を有します。
本
大臣は、
日本国
政府がこれらの提案に同意し、かつ、閣下の書簡及びこの返簡が両国
政府間の合意を構成すること並びにこの合意は本日効力を生じ、いずれか一方の
政府がこの合意を終了させる希望を書面により通告する時まで引き続き効力を有することに同意することを閣下に通報する光栄を有します。
本
大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
千九百六十一年六月二十二日
小 坂 善 太 郎
アメリカ合衆国国務長官 ディーン・ラスク
閣下
以上でございます。