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国務大臣(山中
貞則君) 今
国会に御提出いたしております
沖繩県関係の開発法案というものの中に、詳細にそれの計画図を示しておるつもりでございますが、最も大きな問題は、切りかえ時すなわち、待望の祖国への復帰に際して、
生活のすべてが切りかわるために起こるであろうショック、これについての
経済的な混乱を防止するための諸法案も準備いたしておりますし、さらに、未来に向かって
沖繩県民がどのような
方向を志向すべきであり、そしてそれに対して国家はどのような
努力をささげていくかについては、私どもは、
沖繩復興開発特別措置法の中で、十カ年計画を前提とし、その前提のもとに、あらゆる補助率、あるいはまたそれを受ける開発金融公庫の
沖繩県のみに対象とされる地域金融機関を設立することにより、あらゆる地域の本土の立法よりも優先、そしてまた優遇された融資条件その他を設定することにより、新しい
沖繩県の未来、すなわち直接的には、俗に本土との格差といわれております諸基盤の整備のおくれを急速に取り戻すと同時に、そうして
沖繩県が新しく
日本列島に長い弧状の付加価値を提供することの立地条件上のプラス、並びに備えておる亜熱帯地域としての気候風土等を十分に利用したところの、新しい角度からの開発計画というものの策定をいたしたいと考えておるわけでございます。
沖繩における一次産業は、キビ、パインを中核とはいたしておりますものの、い
ずれもやはり本土政府においてもっと保護をしなければならない一次産業の中の主要なる部分でございまするし、共済法の適用等もございませんので、これらの問題も前提としながら、生産者の段階、さらに車の両輪ともいうべき、それを同時に製品とするところの企業の段階、これもあわせ振興策の一環として考えてまいりたいと思いますが、さらに一次産業の大部分の漁民の方々の現状は七〇%くり舟であるという、まさに近代化大型化を必要とする前近代的な漁法でもございますので、この漁業の宝庫の中にある
沖繩県の立地条件から考えて、これの大型化近代化を中心とする漁業振興ということも、一次産業の大きな柱にしてまいりたいと存じます。三次産業が七〇%をこえるという実態の裏には、一次産業と三次産業との間にはさまって二次産業が非常に脆弱であるということを証明しておると思います。すでに外資ではありますけれども、ガルフ、エッソ等の会社、あるいはまた
沖繩における民族資本と本土の
日本法人との共同設立による東洋石油等もそれぞれ進出してすでに行動を開始いたしておりますが、
沖繩において私たちがもっともっと、労働力がわりに豊かでありますので、これの労働力の供給を吸収できるような企業、造船とかあるいは電子産業とかそういうもの等を念頭に置きながらいま
努力をいたしておりますけれども、しかしながら問題は、復帰とともに、あるいは復帰に伴い、自然に法制の変化や、あるいはアメリカの軍事力の再転回、あるいは基地の閉鎖、
日本側でいえば返還でありますが、あるいはそれらに伴う米軍の機構の縮小等によってやはり解雇
状態に立ち至る人たちがおられます。これらの人々については、やはりわれわれとしては特別の措置をしなければなりませんので、念頭には、かつて
日本の基幹産業でありました産炭地がエネルギー革命によって非常な危殆に瀕しましたときに措置しました産炭地振興法あるいは炭鉱離職者対策臨時特別措置法等の法律を念頭に置いて、今
国会に法律の中に特別に
沖繩の労働者、すなわち失業していく運命にある労働者の人々に対して手帳を給付して、あらゆる再就職のための援助をしたい、こういうふうなことも考えておるわけでありますが、要するに結語として、
沖繩の長年の犠牲に報いるために本土のできる限りのことをやらなければならない、それを前提として法案も作成をいたしました。また、まだ明確になっていない点があると言われますが、これは今
国会の
審議の過程において、政令にゆだねられている点も、大体はほとんど全部、県民の各位が、自分は、そして家庭は、職場は、そしてわれわれの県はという疑問に全部答えられるような政令を具体的な例をあげてわかるように説明してまいるつもりでありますので、県民の
皆さま方に、今
国会のこれから予算が済んだ後始まるであろう
沖繩返還諸法案の具体的な
審議の内容を、つぶさに私のほうからも積極的にこれを語りかけてまいりたいと考えておる次第でございます。