○辻
一彦君 私、きょう
科学技術庁の
設置法一部改正案を審議するにあたりまして、これに直接
関係ではないのでありますが、非常に
関係の深い原子力行政の今後におけるあり方、こういう点につきまして若干の御
質問をいたしたいと思います。と申しますのは、まあ前回科学技術の特別
委員会でも申し上げましたが、若狭湾に非常に原子力発電所が特に集中をいたしております。そのためにいろんな問題が起こっておりまして、私は一カ所に、特定の場所にあまりにも集中し過ぎる、こういうあり方に大きな疑問を持っております。そういう点で御
質問をいたしたい、こういうように思うわけであります。
で、いまお手もとに、時間の点がかなり制約されていると思いますので、グラフやあるいは図を差し上げまして、それをひとつ見てもらいながら、ごく簡単に若狭湾の実態について冒頭に申し上げたいというように思うわけであります。この福井県若狭湾の原電
配置図というのがございますが、それを見ていただき、さらにもう一枚、これは
科学技術庁提供でありますが、世界で一番原子力発電所が集中しているというイギリスのバークレーからヒンクレー・ポイントに至る地点でありますが、そこの地図が大体五キロ、十キロ、十五キロ、そういう円を描いて書いてありますので、御参照いただきたいと思います。この表の第一というのが、もう
一つこういうのがありますが、その表をちょっとごらんをいただきますと、世界で一番集中していると言われる福井県を除く地帯は、イギリスのバークレーからヒンクレー・ポイントに至る地帯でありますが、これは集中度、表三の集中度にありますように、七十五キロの距離に電気出力二百六十三万キロワットというのが集中しております。これに対して私
どもの福井県若狭湾におきましては、敦賀市から高浜五十一キロで
建設中、三百万キロワット、申請中三百十六万キロワット、合わせて六百十六万キロワットでございます。世界で一番集中しているといわれるイギリスの二・三倍、距離を計算に入れますと三・五倍という集中度になっておるということが
一つであります。
それからもう
一つは、非常に大型化が行なわれておりますが、いま申請されております大飯の百十七万キロワット原電二基は、これをこえる原子力発電所はアメリカに六年後に
建設される予定の百十九万キロワットというのが一基あるということで、まあ世界の、アメリカを
中心とする原電はこれより容量が小さい。そういう点で非常に大型化が行なわれているということ。
もう
一つは、その第一表の一番右のほうに、この福井県の若狭湾にことしの七月一日から八月二十五日の夏場にどれだけ観光客、海水浴のお客さんが来たかという一覧表があります。数字を読むのは省略いたしますが、敦賀市から高浜町にかけまして、三百五十二万八千二百人の人が夏に海水浴に来ているということが言えます。そういう点で、私は非常な集中化、大型化、そして夏期
——夏場の
人口としましては非常な過密地帯になっている。しかもこの一帯は、御承知のように国定公園で、将来国立公園にしたいという、そういう運動が行なわれておる国定公園であります。
そういうまあ四条件を私は見まして、こういう状況の中になぜこれほど若狭湾に原子力発電所が集中をしているのかと、こういうことについて非常に危惧を持っております。
以下、詳細にわたって質疑はいたしますが、
大臣は、前回にも一時間半にわたりましてこの問題について御
質問をいたしましたので、大体様子はおわかりでありますし、また、九月の下旬に、参院の科学技術特別
委員会の
委員視察を行ないまして、この
委員視察の
内容も前回の記録に載っておりますので、これをまあ一応お読みをいただいたと思いますが、そこにははっきりと、最後だけ読み上げますが、六百二十万キロワットに及ぶ大原子力基地が非常に集中して行なわれようとしている。「これに対して、若狭湾にあまりにも集中しすぎることの不安が意外に大きいと感じました。大飯町では原子力発電所誘致の町長に対してリコール運動が起り、誘致反対をかかげた新しい町長を出現させております。以上のような
住民の不安を取り除くためには、民主・自主・公開の原則に立って、国は、積極的かつ具体的な諸施策を講ずることの必要性ならびに若狭湾における過度集中について再検討の必要性を痛感した次第であります。」これが参議院の正規の
委員会視察の報告書であります。これをひとつ念頭におかれまして、まず大まかにこういう集中の問題につきまして
大臣の御見解、原子力行政今後の問題としましての御見解をまず承りたい、このように思うわけであります。