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1971-12-07 第67回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月七日(火曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員の異動  十二月三日     辞任         補欠選任      菅野 儀作君     黒住 忠行君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柳田桃太郎君     理 事                 町村 金五君                 安田 隆明君                 上田  哲君                 水口 宏三君     委 員                 黒住 忠行君                 源田  実君                 世耕 政隆君                 土屋 義彦君                 長屋  茂君                 細川 護熙君                 山本茂一郎君                 矢山 有作君                 山崎  昇君                 沢田  実君                 峯山 昭範君                 中村 利次君                 岩間 正男君    国務大臣        法 務 大 臣  前尾繁三郎君        国 務 大 臣  中村 寅太君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        総理府総務副長        官        砂田 重民君        総理府人事局長  宮崎 清文君        警察庁長官官房        長        土金 賢三君        警察庁警備局長  富田 朝彦君        防衛施設庁施設        部長       薄田  浩君        法務政務次官   村山 達雄君        法務大臣官房長  安原 美穂君        法務省民事局長  川島 一郎君        法務省矯正局長  羽山 忠弘君        法務省入国管理        局長       吉田 健三君        公安調査庁長官  川口光太郎君        運輸政務次官   佐藤 孝行君        運輸省航空局長  内村 信行君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        防衛庁長官官房        防衛審議官    大西誠一郎君        大蔵省主税局税        制第三課長    福田 幸弘君        運輸省航空局監        理部長      住田 正二君        運輸省航空局技        術部長      金井  洋君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○法務省設置法の一部を改正する法律案(第六十  五回国会内閣提出、第六十七回国会衆議院送付) ○国家公務員法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  国家公安委員長から発言を求められておりますので、これを許します。中村国家公安委員長
  3. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 前の委員会上田議員から、沖繩におけるカメラマンの宅の捜索についての調査を要請されておったということであったようでございますが、その結果につきまして官房長から御報告いたさせます。
  4. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) この前の調査結果につきまして御報告申し上げます。  沖繩カメラマンに対する捜索差し押えの問題でございますが、この問題につきまして、沖繩北方対策庁を通じまして調査いたしました結果、本件は現在捜査中の事件でありますために、詳細については明らかにされなかった点があるわけでございますが、判明いたしております事項について御報告を申し上げます。  まず、捜索差し押え許可状についてでございますが、発効の日は十一月十八日となっておるそうでございます。なお、発布した裁判官は、那覇地方裁判所裁判官で、知念義光という裁判官だそうでございます。  捜索差し押え許可状内容といたしましては、被疑者松永優外十数名となっております。差し押えるべき物件といたしまして、写真、ネガが含まれておるそうでございます。  それから捜索差し押え場所令状に記載されておるわけですけれども、それは那覇市泉崎町一の十三の七、泉荘三の二の吉岡攻自室、こういうふうになっておるそうでございます。  なお、被疑事実でございますが、十一月十日の山川巡査部長殺人被疑事件に関するものだそうでございます。  それから捜索差し押え実施状況でございますが、十一月十八日の午後三時四十分から午後五時までの間、吉岡攻氏の自室に対し、琉球警察捜査員四名が吉岡氏本人に令状を示し、さらに同居者の方の立ち会いのもとに、平穏に実施をいたしたそうでございます。なお、押収いたしました物件の中にはフィルムが含まれておるそうであります。  なお、最後に準抗告がなされております。十二月一日、吉岡氏から弁護士金城睦氏ら三名を代理人といたしまして、那覇地方裁判所に対し、本差し押えを不服として準抗告の手続がなされまして、現在審理中であるとのことでございます。  以上御報告申し上げます。
  5. 上田哲

    上田哲君 報告内容はまことに不満でありまして、質疑をしたいと思いますけれども、国家公安委員長の時間が制限されておるそうでありますから、国家公安委員長の御出席の時間の部分だけ、他の件について質疑をするため、私は後刻に質疑を譲ることといたします。
  6. 水口宏三

    水口宏三君 本来なら、きょうは法務省設置法の問題でありますので、それから入るべきでございますけれども、国家公安委員長の時間の都合があるということで、基本的人権警備との関係についてお伺いしたいと思います。特に具体的な問題は、ここのところ沖繩問題をめぐりまして、御承知のように、非常に大衆運動が起こっておるわけであります。この大衆集会集団示威運動集団行動、こういうものは憲法の二十一条で認められた基本的人権であり、当然これは擁護されるべきものでございますが、その点について、初めに法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  7. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) もとより人権は尊重されなければなりません。また、表現の自由についてもこれは認めなければなりません。ただ、暴力ということについては、われわれはあくまでこれは容認できない、そういう線を常に守り続けなければならない、かように考えております。
  8. 水口宏三

    水口宏三君 もしその大衆の、いま申し上げた集会あるいは集団示威運動集団行進等憲法二十一条に保障された基本的人権であるとするならば、当然警察法の第一条で保護されるべき個人権利の重要な問題と思いますが、この点について公安委員長の御所見を伺いたいと思います。
  9. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 集団行進あるいは集団によって行なわれております表現の自由につきましては、ただいま法務大臣からのお答えにもありましたように、どこまでもこれは憲法保障するものでございます。われわれとしてもこれを最大限に認めていかなければならないものであると了解しております。
  10. 水口宏三

    水口宏三君 いま公安委員長から、それらの権利は当然保障されるべきものであるというふうなお答えがございましたけれども、そういたしますと、警察法の第二条第二項によりまして、実際警察官がさまざまな行動をとる場合に、当然これらの個人基本的人権は尊重されなければならないということが規定されておるわけでありますけれども、これらの点について、きょう警察庁長官おいでにならないそうでありますが、どなたかかわるべき方がおいでになれば、実際警察官行動を指揮するにあたって、これらの点について警察法第二条第二項のこの規定を十分守らせるべく指導しておいでになるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  11. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) ただいま御指摘がございました警察法第二条第二項の趣旨は、警察の組織並びに運営の基本法でございますので、当然全警察官に、その精神に基づいて行動をとるように指導をしておるところでございます。
  12. 水口宏三

    水口宏三君 まあいままでのお答えの中で、その大衆集会あるいは集団行進集団示威運動というものが基本的人権であり、これは当然守られなければならない、また警察としてもこれを守る義務が当然あるし、また警察官行動の中でもそういうものが十分尊重されなければならないことが明らかになったのでありますが、御承知のようにこれらの行動につきましては、各県で公安条例というものをつくって、これは各県必ずしも一律ではございませんけれども、いろいろな規制を行なっております。たとえば東京の場合、御承知のように東京公安条例によって、これらの行動をとる場合には許可制になっております。これらのことについて、もちろん私たち不満でありますし、何回か裁判を通じて違憲論争をやっておりますが、私、この場で違憲性について論議をいたそうとは思っておりませんが、この点、ひとつ御記憶を新たにしていただきたいのは、この東京公安条例についてのさまざまな東京地方裁判所等における違憲判決に対して、三十五年の七月に最高裁判決を下しております。これはまあ結論的には合憲判決でございますが、しかし、その判決の中で、理由として、「憲法二一条の規定する集会、結社および言論、出版その他一切の表現の自由が、侵すことのできない永久の権利すなわち基本的人権に属し、その完全なる保障民主政治基本原則一つであること、とくにこれが民主主義を全体主義から区別する最も重要な一特徴をなすことは、多言を要しない。」ということを大前提にして、最高裁判決をしておる。これらの集団行動においては、当然憲法によって保障されるべき要素が存在することはもちろんである。ただし「現存する多数人の集合体自体の力、つまり潜在する一種の物理的力によって支持されていることを特徴とする。かような潜在的な力は、あるいは予定された計画に従い、あるいは突発的に内外からの刺激、せん動等によってきわめて容易に動員され得る性質のものである。」と、そこで公共安寧秩序を保持する上に直接危険を及ぼすことが明らかに認められる場合とか、あるいはそういう点があるので、許可制度をとってもやむを得ないだろう。ところが、本条例では原則として許可するということを前提にしているから、許可制度にしてもこれは憲法に違反するものではないんだ。しかも、そういう一つ前提を置いていることと、さらに「本条例といえども、その運用の如何によって憲法二十一条の保障する表現の自由の保障を侵す危険を絶対に包蔵しないとはいえない。条例運用にあたる公安委員会が権限を濫用し、」公共安寧秩庁を口実にして、平穏で秩序ある集団行動まで抑制することのないよう極力戒心すべきであると、こういう、要点を申し上げますと、まず前提として、これらの権利がいわば民主主義基本であるということを前提としていることと、ただし、集団行動の場合には潜在的ないわば物理力が内包されておる、したがって許可制度にすることもやむを得ないだろう。ただし、この条例によると、許可することをむしろ義務づけている、したがって届け出制度とあまり変わらない。ただし、運用のいかんによっては権利を侵害するおそれがあるからということを指摘されておるわけでございますが、これに類似したことが、御承知憲法調査会の中で憲法が論議されましたときに、当時の公安委員長が、大体まあ年間でもってこういう集会デモ申請は一万数百件ある、ただしその中で不許可にしたのはたった五、六件にすぎないので、事実上これは届け出制度と同じなんだというようなことを述べておるわけでございますが、しかし、実際に集会ないしはデモ許可をとる場合にどのような操作が行なわれるか。  まず警察のほうへわれわれが届け出を出す場合に、当然許可申請をした場合に、許可申請を出すと同時に警察側がいろいろな注文をつける。これでは許可できませんよ、集会場所はこうしてくれ、時間はこうしろ、デモコースはこうしろということで、結局最終的には警察側条件をのまない限り許可をしないということで、逆に言えば、われわれが許可申請をするときには、許可されるような条件申請を出さざるを得ないような状況になっているわけです。これらに対してわれわれは、むしろわれわれのいわゆる集団行進を行なう場合に、警察のそういうことを聞かずに出した場合不許可になる。そこで、これを裁判所を通じて抗告裁判を行なう。勝利をする。そうしたら総理大臣が直ちに異議申し立てを行なってつぶしてしまう。そういたしますと、最高裁判所判決の中で言われている、許可することをむしろ前提としているとか、あるいは乱用すると基本的人権を侵すおそれがあるという場合に、現実にその公安委員会許可申請に対する許可を通じて、むしろ人権が侵されているんじゃないか、こういうようにわれわれ考えるのですけれども、これらの点について公安委員長の御所見を伺います。
  13. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 公安委員会申請がありました場合には、先ほど申しましたような基本的な表現の自由の原則とあわせて、やはり公共安寧秩序を保持するという二つの問題との、何といいますか、調和と申しますか調整と申しますか、そういう配慮がやはり心要でございますので、そういう点から警察としては、公共安寧秩序保持の線に支障のないようにいろいろ考慮いたしまして、まあ指導者といいますか、申請者等ともよく相談をしながら、できるだけ申請者の中のいわゆる自主性に期待をしながら、平穏に行なわれるようなことを相談をしながらいろいろ打ち合わせをして、そうしてできるだけ調和を保って許可するという方針で臨んでおるはずでございますが、さっき水口議員も仰せられましたように、集団的なデモ等の場合には、やはりいろいろ公共安寧秩序を不安におとしいれるようなことがありがちなこと等を勘案いたしまして、最後は結論を出しておるものと、かように考えております。
  14. 水口宏三

    水口宏三君 まあ、ことばの上ではいまおっしゃったような形になりますけれども、実際に各団体許可申請を出す場合に、大体もう東京の場合ならば、許可をする集会場所、あるいはデモをするコースというものは警察のほうがきめてあって、それ以外のところは通さないのが実情でございます。したがって、そのときの状況、あるいはそれが昼間であるか夜であるか、そういうことによって当然申請者側の要請というものを事態に応じて判断すべきであるにもかかわらず、非常に機械的に処理をされているということが一点。  それとあわせて、この許可をする場合の条件、これは公安条例にもございますけれども、第一、集団示威運動について、第二、集団行進についてということで、ガリ版刷りにしたものが警視庁に全都できている。これをあらゆる許可申請に、許可をする場合には、そのガリ版刷りのものをつけて出している。これはまさにそのときの状況場所、時間、あるいは集団行進内容等を全く無視して、機械的に行なわれているじゃないか。これでは、いま公安委員長のおっしゃったような、なるべく調和をはかってというような配慮は全然ない。全く一方的に、警察のきめたことに全部追い込んでいく。その追い込まれたものだけを許可している、これが実情じゃないか。その点についてどうですか。
  15. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 具体的な問題に入ると思いますので、警備局長からお答えさせます。
  16. 富田朝彦

    政府委員富田朝彦君) ただいま御指摘の点についてでございますが、昭和四十五年だけとりまりと、全国で集会あるいは集団示威運動等申請か二万五千七百件余ございました。東京だけとりましても四千七百件ばかりございました。したがいまして、都の公安委員会といたしましても、そうした集会あるいは集団示威運動等取り扱いにつきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、当然、平穏に秩序正しく行なわれますような行動につきましては憲法保障されておるところでございまして、最大限にこれを尊重しつつこの取り扱いに当たっておるものと考えます。またしかし一面、大臣が申し上げましたように、たとえば去る十一月十九日だけとってみましても、都内で五十数件のいわば申請がございました。この中には、いわゆる過激派申請したものもございますし、あるいはまた右翼系申請したものもございますけれども、こうしたものが相前後して同じようなコースに乗る、あるいはクロスをする、あるいは同じ集会場の近くで行なわれるというようなことになりますと、そこにどうしても不測の事態というものを考えざるを得ない場合が、情報面その他の判断からいいましても、出てくる場合が多いわけでございまして、したがいまして、そういうような点等を都の公安委員会は考慮いたしまして、時間を少しずらしていただく、あるいは通られる道で相接近するというような場合には、そこを距離を離す、こういうような考慮を加えながら、全体の集団示威運動等がその目的を達するようにいろいろ苦慮し、その結果、その趣旨に沿うた取り扱いを都の公安委員会はいたしているものと確信をいたしております。
  17. 水口宏三

    水口宏三君 時間もございませんので、実は具体的な問題に少し触れながら——いままでの御答弁を伺いますと、そういう集会デモ基本的人権であることは認める。ただし実際行なわれる場合には、社会の平穏との関係で、ある程度バランスをとりながら調整してまいりたいということでありますけれども、当然そういう場合に、基本的人権であるこの集会デモというものを有効に行なわれるようにすることも、これは公安委員会任務だと思う。警察官の当然またある程度の任務だと思う。ところが現実には、御承知のようにこれらの集団行動に対して何が行なわれているか。御承知警察機動隊が大量に動員され、武装した警察機動隊がこれらの規制をする。規制というのは、これはむしろ当然認められるべき人権に対する抑圧作用をする場合が非常に多いと思う。これが典型的な事例は、こういうデモ行進が行なわれます場合に、交通警察官だけの場合、これは主として交通との関連上の問題だと思うのですけれども、多くの場合トラブルなしにわりあいスムーズにいく。ところが警察機動隊が出てきて規制を始めると、必ず混乱をする。本来警察機動隊というものが、デモ行進なりあるいは集会なりを守るのでなしに、これを規制するというむしろ逆作用を持っているからだと思うのですけれども、そういう意味で、一連のこの沖繩問題を通じての大衆行動に対する警察側警備というものが、むしろこれらの大衆行動——基本的権利抑圧するという作用を非常に強く持っていたのではないか。その事例として、実はこの十一月二十四日に行なわれました集会デモの中で、たまたまこれは労働組合の人であったから、その労働組合がきちんとこれを調べあげて事実が明らかになったわけでありますけれども、具体的には全電通組合片岡明中田宝三という二人が国会議面のところで逮捕された。この前後の事件内容についてはすでに御承知だと思いますけれども、たまたま第三者が発煙筒を投げた、あるいは火炎びんを投げた。そういう事件が起きると、機動隊デモ隊に無差別にいわば襲いかかってくる形でもって混乱さしてしまう。言いかえれば、ほんとうの犯人はこれらの混乱の中で逃げてしまい、逮捕された二人というのは、全く無関係人たちが逮捕されるというような状況すら生まれてくる。言いかえますと、私はやはり警察側に、警備という名において、こういう大衆集会、あるいはデモという基本的な権利を、むしろ当然保護すべき、保護というとおかしいのですけれども、それが十分に行使されるべき条件をつくるのではなしに、それらを抑圧しようという、そういうむしろ機能だけが働く傾向が非常に強いのじゃないかと思う。特にこの全電通の問題につきましては具体的事例もございますので、これらの点について本来時間があればもっとお伺いしたいんですけれども、すでにもう警察庁のほうでもこれは御承知のことと思います。こういう事例を含めて、現在のこれらの大衆行動に対する警察警備の名によるむしろ規制抑圧、いわば基本的人権の侵害というものについて当然再考されるべきじゃないかと思いますが、それらの点について、警察公安委員長、最終的には法務大臣の御見解を伺いたいと思う。
  18. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 正常な集団的な国民の意思表示運動につきましては、先ほど申しましたように最大限にこれを尊重し、さらに正常な姿でそれが行使されるように警察としても配慮しておるということは、現在それはやっておるのでありますが、先ほども申しますように、突発的ないろいろの事件が起こりますと、一般の公衆に安寧秩序の上からも不安を起こさせるとか、あるいは正常な形でデモをやっておる人たちの身に危険を感じさせるというようなことがあってはなりませんので、そういうすべての問題に配意しながら警察としては処置をしておると思いますが、いま水口委員から御指摘なさるような、そういう抑圧とかあるいはそういう意図を持って警察がこれに対処しておるということはないと確信を持っておる次第でございます。
  19. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま中村君から御答弁申し上げたとおりでありまして、あくまで表現の自由は認めなければなりませんし、また暴力を押えるにしましても、その限度は守っていかなければならぬわけでございますが、ただ、最近の事例を見ますと、他の示威運動と衝突を起こすというような心配がありまして、その団体行動そのものは何ら心配がなくても、他の要素のために、行程といいますか行く道を規制した例も多々あるように思っております。しかし、それは何も悪意でやっておるわけではないと思います。またその点は十分御了承願いたいと思います。
  20. 山崎昇

    山崎昇君 公安委員長の時間がないそうですから、一、二点だけちょっとお聞きしておきたいと思いますが、最近警察官事件がたいへん多くなってきております。そしてけさの新聞によれば、警視総監は何か異例の、無線を使って訓示をしたそうであります。そこで、時間がありませんから、またこれは地方行政委員会でも十分議論されることだと思うのですが、一、二点まとめてひとつ聞いておきたいと思います。  まず、最近の事件の概要について公安委員長から報告願いたいことと、それに対してどういうふうにしていくのか。単に通達を出す、あるいは警視総監訓示をする、それだけで私は終わるものではないんではないだろうかという気がします。また、二、三日前の新聞を見れば、何か警察をやめたOBの方々を嘱託として採用して相談相手にさせるというようなことも報道されているようでありますが、そんなことでこれらの問題の絶滅を期すことは私は無理じゃないかと思うわけです。特に私は、これは雑誌でありますから中身は簡単でありますけれども、十二月十一日号の週刊新潮を見るというと、前の警視総監の秦野さんが出て二、三点ものを述べているわけですが、その中でも指摘されているのは、一つは、給与の問題が指摘をされている。二つ目には、どうも大学出が尊重される、学歴偏重ではないか。これはいますぐ直らぬにしても考えなければならぬという点が述べられている。最後には、もっと市民的な生活が必要ではないか。そのことばとして、たとえば警察官仲間同士だけで酒飲むこともどうもぐあいが悪いんじゃないか。言うならば一般的な教養をもっとつけるべきでないかというようなことも述べられておる。したがって私は、一片の通達だとか訓示だけでこの問題が終わる性格のものではないのではないか。もう少し公務員制度といいますか、そういう問題からも問題点をえぐる必要があるんじゃないだろうか、そう考えて、実は内閣委員会としても関連があると思って、いまあなたにお聞きをしているのですが、公安委員長の見解を聞いておきたいと思います。
  21. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 最近警察官が不祥事件を引き起こしまして、まことに国民の皆さま方に対しましても申しわけないと心からおわびを申し上げる次第でございます。なお、この事件をなくするためには、いろいろ諸点に配慮を必要とすることは山崎議員の御指摘のとおりであります。最近の事件の起こりました事例はあとで局長から答えさせるといたしまして、私から今後の対策についてひとつ申し上げさしていただきたいと思います。  この事件がこうして警察官の間で起こっておりますことにつきましては非常に申しわけのないことはもちろんでございますが、これをどうして防ぐかということにつきましては、いろいろの角度からやらなければならぬことであろうと思っております。いま雑誌か何かに秦野さんが書いておられるということの引例もございましたが、やはり私はそういうことももちろん必要でございますが、一番大事なことは、やはり警察官が自己の職務の責任というものをはっきり自覚して、そうして厳粛に警察官任務に従事するということが原則であると思うのであります。そういうふうに全警察官をどうしてなすかというところに問題があると思いますが、これは上司は下の者に対していろいろそういう指導をやっていくということも非常に必要でありますが、そういう意味で、今日まで私は警察の内部といたしましてはできるだけのことはやっておるとは思っておるのでございますが、しかし、結果としてこういうことが出ますので、これは十分であるとは言い切るわけにはまいりませんが、さらに警察官任務に対する自覚を高め、あるいは人間的な教養を高めさせながら、みずからの規律によって正しい行為をするようにしていくことがこれは第一義でございますが、さらに私は、やはりこれにはいろいろの関連した問題等を配慮していかなければならぬと思います。  先ほど、秦野さんの例も出ましたように、やはり生活の安定をはからせて、そうして心の落ち着きを持たせるということも必要であろうと思いますし、そういうことをさらに、知り合い、お友だち同士といいますか、同僚同士はお互いに心を引き締め合っていくとか、あるいは生活の問題等を話し合っていくというような形で、やはり警察官としての職務を全うすると同時に、やはり人間生活というものを都合よくやっていくような一つ配慮というものも、やはり変な事件を起こさない用心になると、こういうようなことを考えるものでございまして、きょうの新聞にも、警視総監が何か阻止の委員会をつくってやろうというようなことを言っているようでありますが、やはりそんなことを考えているのも、そういう総合的なことをやる何か部署をつくってみたいというようなことではないかと思います。  私も、やはりこういう事件を起こしている人たちをあとから見てみますと、何時間か前までは勤務について一生懸命仕事をしておった帰りしなに突然事件を起こしたというような問題等もございますし、いろいろなことを考えますし、事件を起こした人の周辺の人からいろいろ調査してみますと、そういうようなことを起こすような人柄ではなかった。平素もまじめな警察官であったというようなこともございますので、私はやはり生活相談と申しますか、何か自分の心の中に持っておる悩み、あるいは困っておる問題等もすなおに相談をして、相談に乗ってくれるような何かそういう仕組みというものもあっていいのではなかろうかと思います。  そういうことから考えまして、ただいま山崎議員から御指摘のありましたその退職した人を嘱託でというようなことは、これは私が記者会見の際に、何か方法は考えておるのかということがございました際に、警察官のそのための増員ということが非常にむずかしゅうございますので、とにかく警察署長とかあるいは警視とか警部をやった人で、警察官の若い人たちからおやじおやじと慕われておるような者もおるから、そういう人たちの力を借りて、生活相談といいますか、人間的な悩みとか、困った問題等の相談相手になって、励ましながらりっぱな警察官として成長していくような何かくふうはないだろうか、こういうことを考えまして、その際話しておった問題でございます。いま警察庁といたしましても、この問題につきましては、先ほどあげましたいろいろの問題を総合的に何かひとつ対策を立てなければならぬということで検討しておる段階でございます。
  22. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 最近の警察官の非行の具体的な事例について御報告申し上げますと、今年の十一月の十八日に、警視庁の第七機動隊員が隊舎の警備で休憩中拳銃をもてあそびまして、同僚に命中させて死亡させた事案が発生いたしております。これにつきましては懲戒免職をいたしております。  さらに、同じく警視庁でございますが、十一月の二十二日には、蒲田署の捜査係の巡査が通行中の女性のハンドバッグをひったくった事案でございますが、これも同様懲戒免職にいたしております。  それから十一月二十八日に、警視庁の新宿署の交通係の巡査が飲酒めいていいたしまして、間違えて他人の家に入り込みまして、七十五歳の老人に暴行いたしまして死亡させた、まことに遺憾な事案が発生いたしております。これも直ちに懲戒免職にいたしました。  さらに、これは京都でございますが、十一月二十八日に、川端署の警ら係の巡査が飲酒の上、タクシー運転士と乗車拒否問題で紛争となりまして、暴行をして四日間の負傷を与えた、こういう事案で、これはやはり諭旨免職にいたしております。  なお昨日でございますが、午後一時三十五分ごろ、品川区の小山台の荏原警察署小山台派出所内におきまして、大津という巡査でございますが、拳銃を子供に見せておりましたときに、間違ってこれが発射いたしまして小学生に負傷を与えた、こういう事案が発生いたしました。まことに遺憾に存じておる次第でございます。
  23. 山崎昇

    山崎昇君 この問題はそう短時間で私は特効薬もないと思うのです。ですから、これから公安委員長中心に対策が立てられると私は思うんですね。ただ、私があの新聞報道だけ見ても、若干最近の特徴点だと思うのは、警部とか警部補とか、言うならば警察では中堅以上に属する者の事件がやはり多くなってきているということ、もう一つは、警察官としては初歩的なことといいますか、たとえば拳銃の扱いとか、そういうことのいわば事件が多くなってきておるということ。こう考えますと、単に上意下達という、何といいますか、訓示を与えるとかそういうことだけでこれら問題がなくなるなんという私は問題ではないのではないか、こう思います。  それからさらに私ども考えてみますと、いまの日本の人口構造から考えても、昭和生まれが大半なんですね。言うならば警察官の生活というものは、朝から晩まで緊張状態に置かれる、だからゆるんだときに思わざる事件を起こすといういまの特徴だと思うんですが、そういうことから考えますと、何か古い人に話をする、上の人から訓示を賜わる、そういうふうなことだけでは、私はやっぱりこの問題は解決できないんじゃないか。もう少し横で、友だち同士で、激論でもけっこうだと思うんです、もっと話をする環境というものがあっていいんじゃないかと思う。しかし、どうも私どもが見た限りでは、そういう環境というのは警察というところにはないんではないだろうかと、こう思いますね。ですから、少し話を飛躍して言えば、たとえば、外国でもやっているように、警察官でも労働組合の結成ぐらい認めて、中でもっと発散といいますか、自分たちの意見を戦わして、友だち同士で研さんをするというか、そういうシステムもあっていいんじゃないかと思う。しかし、残念ながらいまの警察には、上下の、縦の関係はあるけれども、横の関係というのは絶無にひとしいんではないだろうか、こういう気がいたします。ですからそういう点を、私は真剣にやっぱり考えてもらいたい。それから任用面についても、秦野さん自身で言っているように、何か法律を習ってきた大学出ばかりが登用されてくる。私は、地方に行って、ほんとうにまじめに、何十年も警察官として、人格的にもりっぱな人がおりますよ。しかし、そういう人は登用の道があまりない。給与面だってきわめて低い。こういう点は、もっと私は考えてしかるべきでないだろうか。もちろん登用試験も心要でしょうけれども、もう少し任用制度そのものについても、私は再検討を要するんではないか。あるいは、刑事の人なんかは、相当な経験を積まなければ仕事ができない。そういう専門家みたいな人は、もう少し給与面でも考える心要があるんじゃないかと思う。こう考えてまいりますと、任用制度、給与制度、あるいは住宅その他厚生制度等についても、私は、もう少し警察は真剣に考えてもらいたいと思う。そうしませんというと、単に警視総監が、異例だというんでありますけれども、訓示だけ二へんぐらいやったって、こういう問題は私はなくならないと思う。  そういう点、きょうは時間がありませんから、一方的に私のほうで意見を申し上げましたけれども、もう少し警察は、こういう機会に真剣に、あらゆる角度からひとつ検討してもらいたいということを述べて、私の質問を終わりたいと思う。どうですか、公安委員長
  24. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 山崎委員から御指摘がありましたいろいろの点は、私はきわめて適切な御意見であると考えております。まあ組合をつくらせるというところまではいまの時点ではいけないと思いますけれども、やはり若い人たちが、若い人たち同士でいろいろ懇談をするとか、何か一つのクラブのようなものを持つということぐらいのものは、私はやっぱり考えてあげていいのではないか。そのほか、学閥の問題等につきましては、私は必ずしも学閥偏重であるとは考えませんけれども、むしろ逆に、実務からたたき上げてきたような人を、処遇を厚くしていくという、そういうことがこれは必要であるということを、公安委員長になりましてから私は痛切に考えておりますので、いま御指摘になった等の問題も含めまして、ひとつ前向きで検討していきたいと思います。
  25. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私もちょっとこの機会に一言だけ長官にお話をしておきたいことがあるんですが、この問題についてはすでに同僚議員からいろいろ話がありましたので、詳しいことは言いませんけれども、要するに、こういうふうな事件が続発するということは、これは非常にたいへんなことだと私は思うんです。そこで、いま話の中にもありましたけれども、こういうふうな事故を起こす警察官というものは、ほとんどが昭和生まれなんですよ。大臣、あなたが、若い人は若い人同士ということをおっしゃいますがね、確かにその点も私は大事だと思うんですけれども、少なくとも、単に通達や、こういうふうな訓示といいますか、こういうものだけで事件が解決すると思ったら大きな間違いだと思うんです。少なくとも、大臣自身が、こういう若い人たちが幾ら給料をもらって、どういうような生活をしているかということは知っていないと、私は何にもならないと思うんです。そういう点で、やはり大臣自身も若い人たちの中に飛び込んでいって、若い人たちの気持ちをくんでちゃんとできるような態勢がなければいけないと思うし、またそういう気持ちでこの問題は解決していかないといけないと思うんですが、この点だけ私は聞いて終わりたいと思うんです。
  26. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) ただいまの御意見でございます。私も実は、公安委員長になりましてから九州、四国等ずっと出先を回った際にも、きわめて若い人、二十歳くらいから二十五、六ぐらいまでの警察官だけを二、三十人ぐらい集めまして、そうしてその地方の、上司をまじえないで、いろいろの問題についてざっくばらんに、ひとつ、処遇の問題あるいは警察行政の問題でも何でもかまわぬ、とにかく思うだけ意見を聞かせてくれということで話も聞いております、それから、特に駐在所なんかも、非常に場末のほうで一人で駐在勤務について、いろいろ問題が社会情勢の変化によって起こってまいっておりますが、やはり、そういう点につきましても、駐在所だけを集めまして、これは変なことばでございますけれども、上司を抜きまして、遠慮のない意見等を聞いて、警察行政の中に取り入れてまいっておるようなわけでございます。私は、いま御指摘になったようなそういう意図というものを、やはり上司の者がいつも機会あるごとに取り上げていくということはきわめて適切なことであると、かように考えておりますから、今後もつとめてまいりたいと思います。
  27. 水口宏三

    水口宏三君 先ほど私から御質問しました点、非常に時間もございませんし、特に公安委員長時間がないということでございますので、一応資料を本委員会を通じ要求いたしておきまして、次の機会にさらにいろいろ御質問したいと思いますけれども、資料の内容につきましては、ここで読み上げるのは何でございますから、一応概略だけ申し上げますが、一つは、この十月からの大衆集会デモについての資料、それからもう一つは、デモコース変更に対する抗告訴訟と内閣総理大臣異議申し立てに関するこれまでの経過、それから警察力の機能別の人員数あるいは昭和四十年以降の警察官の、いまお話しになりました非行、不祥事あるいは犯罪の件数、さらに昭和四十年以降の一般的な犯罪の検挙率、これらについて、本委員会を通じて資料を要求いたしておきたいと思います。この点、ひとつお願いいたします。
  28. 上田哲

    上田哲君 国家公安委員長の時間がないそうですから、結論的に、さかさまになりますけれども、一言だけ御見解を承ります。  沖繩カメラマンに対する不当な家宅捜索の問題につきまして、ただいまの御報告は、まことに前回の委員会指摘した項目にほとんど答えておられませんので、このあと政府委員質疑をいたしたいと思いますけれども、国家公安委員長は、このように明うかに不当かつ違法である事案について、遺憾であるということを、しっかりひとつ御確認をいただきたいということが一つ、それから、現にもう政府としては沖繩復帰ということで、具体的には本国会提出されている関係法令の第五条で、警察法第三十条を改正し、九州管区警察局の管轄区域に沖繩県を加える云々と、こういうことも掲げておられますし、また具体的に警察一体化という指導もなさっておられるわけでありますから、こうした問題について、沖繩警備当局に対して、不当かつ違法なものに対してすみやかに処置をとるように何らかの指示をお出しになるべきだと思います。この二点について御見解をお伺いいたします。
  29. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 上田議員指摘になりました第一点でございますが、この件につきましては、施政権の異なっております沖繩で起こった事件でございますのと、それから、ただいま準抗告中で裁判が進められている途中でございますので、この問題について私から白黒の意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  それから第二点は、いま御指摘になりましたこの処置の問題ですが、これもやはりいま日本の施政権下にございませんので、公安委員長から何らかの処置をするというようなことはできないだろうと思います。
  30. 上田哲

    上田哲君 意思表示も何もしませんか。日本国民の人権を擁護しないのですか。私は、時間がないので、この問題はじっくりデータを積み重ねた上で御見解を承る問題ですが、時間がないから協力して、ひとつ先に御見解を承るのです。これは非常に重要な閣僚としての発言だと思います。明らかに日本国籍を有するカメラマンが、これが報道の自由の問題人権の問題、あらゆる問題で、いま、本来もう目睫の間に迫っている沖繩復帰の段階で——われわれは具体的に反対することはありますけれども、政府側としてはそのことに対して鋭意努力されている復帰が目睫の間になって、こういう不当かつ違法の行為が行なわれていることは、明らかに、管轄権の問題をたてにとられても、もし本土で行なわれるならば違法であり不当である人権問題であることは、人権擁護局長もはっきり前委員会でおっしゃっておられる。こうした問題についてはアメリカで起こった、イギリスで起こったという問題ではない。警察一体化ということがあり、現にコザ事件にしても、あるいは捜査事件でもデモ事件でも、警察庁から係官が行って指導をされているという具体的事実がある関係の中で、一言も管轄権云々ということを口にされて向こうに向かってものを言うことができない。法益を保護するということができないということをおっしゃるなら、どうして沖繩法案なんというものをこの国会に出したのですか。沖繩法案を出していながら、目の前に引き寄せれば来ているというようなところで説明をなさっているあなた、佐藤内閣の閣僚が、明らかに沖繩で起こっている不当かつ違法の事件について、一言も、これは保護しないでいいということをおっしゃることは、沖繩法案全体に対して政府の姿勢が問題になる、重大な閣僚としての失言ですよ。これは政治問題として、さきごろ職を辞された閣僚もおられるが、これはこの問題は明確に追及しなければならね。もう一ぺん御見解を承ります。
  31. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 上田委員の仰せられたような気持ちの上においては私も全くそういう気持ちがいたすのでございますけれども、施政権が日本にない地域に対して、日本政府からとやかくのことを指図するとか注文つけるとかいうようなことは私はできないと思います。
  32. 上田哲

    上田哲君 国家公安委員長、そこにすわっていらっしゃるのなら、もう一ぺん確認して聞きます。あなたの時間に協力しながら、私はこまかいことをのけて結論だけ言っているのです。いいですか。法理論的にいろいろおっしゃるとしても、現実にここにいろいろな措置法があるわけでしょう。具体的に沖繩にあるあらゆる法益というのは、日本国民として国籍を有するものと同列のものとして処理しようというのが政治姿勢じゃありませんか。その政治姿勢を放棄なさるのですか。一片の法令で、いま管轄権を異にしているというそのことのために、具体的に警察庁から向こうに出向職員を送り、いろいろな捜査事件デモ事件その他を一切指導されているじゃありませんか。いまこの事件を扱っている伊佐警備課長がついこの間も本土にやってきて、警察庁の指示を仰いで帰っている。そういう事例があるのです。具体的に押しひしがれている人権の擁護に対しては、あるいは報道の自由に対しては、国家公安委員長としては何も言うことができない。言わないことのほうが正しいとお考えですか。そういう発言であれば、政府全体、佐藤内閣全体がいま取り扱おうとしている沖繩県の基本の精神にかかわりますから、これは本委員会だけじゃなくて、基本的に沖特なり、あるいは協特なり、そうした問題に移して、この問題を基本的な姿勢として総理から伺わなければならない。それでいいですか。
  33. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) さっきから申し上げますように、この事件は準抗告がなされておりまして、沖繩那覇の地方裁判所で審理中でございますから、その結論が出ない過程において、施政権のない日本政府として私はとやかくのことを言うことは、法的に認められないことだと思われます。
  34. 上田哲

    上田哲君 いまのおことばの中では、準抗告の結果が出ればやれるのですか。出ないうちはやれないとおっしゃったことは、出ればいいわけですね。那覇地裁の結論が出ればいいわけですね。
  35. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 日本に施政権が返ってきてから先は、それは別でございますが、返ってこない前は、日本政府としていろいろのことをすることはできないと思います。
  36. 上田哲

    上田哲君 お時間がないということですから、非常に私、はしょって言っているのですよ。データがいろいろありますけれども、はしょって言っているのです。国家公安委員長としては、佐藤内閣としては、このような違法かつ不当なる行為が行なわれているのです。よろしいですか、これは前委員会で明らかに承認されているのです。本土で行なわれたならばこれはたいへん違法かつ不当なことであるということを、あなたも御認識になる延長線の上に乗って、それにもかかわらず、明らかに日本国民であり、日本国民と間もなくなるはずだとあなた方が推進されている沖繩で起こっているこういう不当かつ違法な事件について、あなた方は一言も、何も意見を向こうに向かって表明するということが、ほかの事案では精一ぱい指導していながら、この件に関してはできないと言い切られるわけですね。この失言は辞任問題ですよ。内閣全体の問題になりますよ。
  37. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) いま上田議員から仰せられましたような問題でございますが、警察庁といたしまして、施政権のない地域の問題について指図をするとかいうようなことはできませんが、これはやはり政治的な別な面から、沖繩、琉球政府を通じていろいろのことをやるということはまあ可能だと思いますから、これは佐藤政府としては、そういう方面ではあるいは努力をすることができるかと思いますが、警察庁といたしまして、いま施政権のない地域の問題について、しかも準抗告の案件で裁判所で審理中でございますので、指図がましいことといいますか、指図するということはできない、こういうことでございます。
  38. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先般、上田さんからのお話がありましたから、私、山中君によく言っておきました。山中君が琉球政府に対して調査をし、またその結果に従って琉球政府と交渉する、こういうことになろうかと思います。その点御了承願います。
  39. 上田哲

    上田哲君 確認をいたします。警察としてはできない、しかし佐藤内閣としてはできるとおっしゃる。佐藤内閣としては政治的に何らかの処置をとる、その一つは山中総務長官を通じまして、すでにいろいろやっているということですね。国家公安委員長なり法務大臣として、はっきり具体的姿勢をどのようにおとりになるのか。もう少しいまの区別、私は、佐藤内閣は何かできるだろうが、警察はできないだろうというけれども、よくわからぬのですが、その部分はどうなっているのかということを、法理論的にできれば説明していただきたい。——まあこれは時間がないからよしましょう。しかし具体的には政治姿勢としてはやるのだ——どういうふうにおやりになるのか。決意だけしかないなら、決意だけでもいいですから、もう一言確認をしておきます。
  40. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) これはまあ外国でありましたら、外交交渉ということで、外務大臣が日本人の人権擁護という意味で交渉をするはずです。沖繩の場合におきましては、総務長官が沖繩の南方事務局でありますか、それを通じて琉球政府と交渉する、こういう仕組みになっているわけであります。
  41. 上田哲

    上田哲君 それじゃ時間がありませんから、国家公安委員長、けっこうですが、私はそのことを佐藤内閣の姿勢として、具体的に両大臣の責任において琉球政府に向かって意思表示する、こういうふうに承っておきます。よろしいですね。  全体として時間が制約されておりますので、この骨組みだけを御質問いたします。前委員会に引き続いて今委員会で御報告があるということで、官房長から御報告があったのでありますが、これは御報告とは言えない。私は項目をあげて数点にわたって見解を表明していただくようにお約束していただいたにもかかわらず、きょうの御報告は全くこれを抽象的に、穴だらけの御説明でありまして、はなはだ不満であります。逐一やるわけにはいきませんので、ひとつ簡潔に数点にわたってお尋ねをいたします。  この事件の不当性、違法性ということはこの際繰り返しません。具体的な問題として申し上げたいことは、第一に、この事件が、警察が山川巡査殺害事件捜査目的のために、状況証拠としての写真を手に入れたいということで、まずマスコミ関係、そしてフリーのカメラマン個人で写真を写した人、全くこれは無差別と言っていいくらいに強圧的な提供の依頼をして回っております。これまでのところでは、朝日新聞それからモーニング・スター等々へ写真の提供を依頼に行きまして、断わられております。これは個人では、そのために逮捕されて四十八時間拘留をされて、写真だけ取られて返されたという例もあります。あげればこれはたくさん例があるわけですが、そういう事実が現在厳存している。お答えの中にありませんでしたけれども、具体的に新聞各社へそういう依頼をしたという事実があるわけです。お認めになるのかどうか。そしてそういうような形を伸ばして、個人にまでさまざまな形での提供を求めたという事態が、本来取材のために撮影をしたことが、材料が捜査のために用いられるという、非常に言論の自由のカテゴリーとして許し得ない問題であります。また、一般善良な市民として、全く捜査目的などということではなく写真をとった者が、警察当局から強圧を受けてそのフィルムを取り上げられるということは、そういうことははなはだしく市民の自由を侵す問題になると思います。こうした問題についてはどうお考えになり、どう調査をされたかということを含めて、御見解を承ります。
  42. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 上田先生から御質問のあった件について、沖繩北方対策庁を通じて調査を依頼したわけでございますが、本件は現在やはり捜査中の事件でありますために、ただいま御質問にありましたようなそういった詳細については、私ども知り得なかったわけでございます。まあ状況証拠取得だけのためにそういうふうな、こういった純然たるそれだけのためにこれをやったのかどうかということは、実は遺憾ながら私ども把握できなかったわけでございます。この点について御了承をお願いいたしたいと思います。
  43. 上田哲

    上田哲君 そんなことはですね。問題ですよ。捜査継続中だから、指紋がどうしたとか、そんな話をするんなら、これは問題があるかもしれません。捜査当局が、捜査本部が新聞社へ行ってフィルムの提供を申し入れたというようなことは、どうして明らかになりませんか。そういうことは問題じゃありませんか。答えようとしないのだからこれは聞いたって意味がないでしょうけれども、  もっと問題はですね、第二点です。明らかにこの捜査令状は、殺人並びに公務執行妨害被疑事件につき云々となっているんですよ。殺人事件ということになっているんですよ。ところが、目的は明らかにですね。目的は、こういう令状を出しながら、フィルムがほしかったんですよ。フィルムがほしいからこういう令状を使っているんですよ。これは問題だと思う。こまかい調査をしてみますと、地裁のほうがたばかられたというような疑いを持ちます。いかに何でも沖繩の地方裁判所の判事が、全く殺人事件の容疑に関係のない人に向かって殺人容疑の令状を出すなんということは、これは常識では考えられないですよ。これは殺人容疑事件の中に入っている人間だからといって話をして、令状が出されたと疑ってもしかたのない十分な状況証拠があります。その辺が非常に問題なんです。しかしですよ、実際には、たとえば最近になって伊佐警備課長が、吉岡君という人は警察には決して非協力な人ではなかったということがわかった。そんならこういうことはしないほうがよかったということを言っている、抗議に行った人たちに対して。ところがさらに追及をしていくと、令状のほうに照準を合わせて、令状の正当性を守らなければならなくなったものだから、たとえば十一月二十六日、警察本部において西平警備部長が、いやいやこれは容疑者である、吉岡という人は容疑者であると言っているのです。フィルムをほしいというので、そのことのためにこういう大きな令状をつくっておきながら、問い詰められると、これは明らかに容疑者である。本人に向かっても伊佐警備課長が、あなたは覚えがあるだろうという言い方をしておる。これが殺人の容疑者であるならば、逮捕をするとか事情聴取をするということがせめて一回ぐらいはあるでしょう。それを当該事件についての事情聴取を一回もしていません。逃亡したりしませんけれども、逃亡しようと思えば行けるような状態になっている。殺人事件の容疑は何にもないにもかかわらず、そういう令状で家宅捜索をして、そうしてそれがぐあいが悪くなったものだから、殺人事件の容疑者だということをあとから強弁をして、時間も場所も何もはっきりしていますよ。人権はどうなりますか。それでも捜査中の事件だから答弁できないということになりますか。もしこのような事件があなたのまわりで、本土で起こったらどうなるか。仮定の問題でもいいからお答え願いたい。
  44. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 報道関係者のフィルムを捜査上どうしても必要である。こういう事案は本土内においてもいままでもそういうことは皆無ではなかったように承知しておりますが、まあいずれにせよ、これは報道の自由——憲法保障する報道の自由に関連する問題でありますので、報道の自由と公共の福祉との間に十分考慮を払いまして、その間の均衡というか、そういう点を勘案して、具体的な事案について十分に勘案した上でなければ、これは軽々しく本土におきましては、そういった捜索とかそういうようなことは、これはすることができない、また適当でない、こういうふうに考えます。まあ沖繩の場合において、この裁判官からこういう令状が発せられたということにつきましては、私どもとしては、これはやはりたとえ沖繩においてもおそらく異例のことではないかと、こういうふうに考えますが、いかんせんその具体的な状況がわかりませんので判断しかねますが、まあ準抗告においてその点が審査されておる、こういうふうなことでございますので、その結果を見て判断する以外にいまのところはないのではないかと、こういうふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
  45. 上田哲

    上田哲君 違法であるということは、命令をするというようなことばによって表現されておりすすので、その辺のところ、伺っておきます。準抗告になっておるから、それで明らかになるだろうとおっしゃいますけれども、非常に不可解なことは吉岡氏が準抗告をした、手続をとった、国会でこの前質問をした、そうしたらそのあくる日にですね、警察当局からフィルムを返したいと言ってきているのですよ。これはどういうことですか。むちゃくちゃじゃありませんか。準抗告の手続がとられ、そして国会で問題になった。向こうにはものが言えないとおっしゃるけれども、ここで問題になるとそれだけではっきり効果がありますよ。そこで返したいと言っておる。初めは非公式に言ってきた。本人の名誉もあるから、一回目に言ってきた人の名前は、持っておりますけれども言いません。あくる日は、十二月四日には、これははっきり某捜査官が、吉岡氏の自宅に返したいと言ってきている。また伊佐課長が金城弁護士にはっきりと正式にこれを返したいと言ってきている。フィルムを返してしまえば準抗告は法律的には成り立たないんです。そういう手をとるというのは、いかにも周章ろうばい、みっともないだけではなくて、許しがたいではありませんか。こういう事態が発生してる。こういうことについてどうお考えになるか。こういうようなでたらめな形の中で、一人のカメラマンが、本土の国籍を有するカメラマンが不当な扱いを受けている。これに対しては何らかの措置をとるべきだという見解を含めて、御見解を伺います。
  46. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) ただいまお話にもありましたように、準抗告でその問題が議論されて、審査されておるようでございますが、それがどういうことでその令状が出されたかということについて、私どもとしてもこれは軽々しくは判断はいまはできない、こういうふうに考えてるわけでございます。本土の場合におきましては、先ほど申しましたように、こういう点については本土においては相当これは慎重にやらなきゃならないということだけははっきり申し上げられると思いますけれども、これに対する人権上の問題、かりにこれが人権が侵害されておるということになりました場合に、それについては、先ほどの大臣の御答弁にもありましたように、そちらのほうの筋でそういうふうな措置をとっていただくというふうなことになろうかと存じます。警察として、現在具体的な個々の事件につきまして、その事件捜査のやり方が悪いというふうなことは、私どもとしては現在のこの施政権の違う警察の体制のもとにおきましては、これは困難ではないか。復帰を控えて、復帰の暁におけるいろいろな法律体制とか、警察をもう少し技術的に進歩させるというか、技術の向上をはかるためのいろいろな措置をとるとか、そういうふうな復帰に備えての問題についてはいろいろ考えておるわけでございますけれども、個々の事案について、これについて警察としてどうするということは、ただいまの段階ではこれはちょっとむずかしいのではないかと、こういうふうに考えております。
  47. 上田哲

    上田哲君 じゃ大臣に伺いますけれども、いまの警察当局の見解としては、本土で行なわれればたいへんなことだ、あとは大臣のほうの政治判断だ、こういうことでありますから、いままでのところをお聞き取りいただいて、たいへんおかしいことが積み上がっております。これはやはり捜査の技術とかなんとかいう段階とは少し違い過ぎると思うんで、この点について、先ほどは一般的な御見解でありましたけれども、こうした具体的な事例を踏まえて、御見解をいただきます。
  48. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先ほど申しましたように、実は先般お話を伺って、全部山中君に話しました。そして山中君が琉球政府に対して調査をし、そうしてまたそれに対するこちらの処置をどういうふうにするかというようなことで考えるようにと申しておきました。率直に言いますと、山中君に引き継ぎをいたしておいたわけであります。おそらく調査をしてくれておると思います。ただまあ、いまお話のとおりでまだ裁判になっておるわけでありまするから、いろいろ裁判上の、裁判が出ませんと、沖繩、琉球政府としてもいろんなことはものが言えないんじゃないかと思っておりますが、まあそういうわけで、そっちは当然日本政府としても、山中君が担当になるわけでありまして、やらなきゃならぬ、かように考えております。
  49. 上田哲

    上田哲君 最後にですね、十二月六日、抗議文が警察本部に渡されています。これは六項目にわたっておりまして、何で殺人容疑で家宅捜索をしたのか。それから第二点は、それを急にいまになって返却するのはどういうわけか。それから第三番目には、返却するというけれども、すでにプリントしてあるだろう。プリントした分まで返却しなければ意味がないが、どうか。四番目は、そうした押収した資料を捜査上の資料にしたかどうかを明らかにせよ。五番目に、違法、不当であって名誉を傷つけているのであるから、これについて名誉棄損したということを確認をしろ。六番目に、今後本人及びすべての報道人にこのような強制捜索をしないということを確認をしてもらいたい。以上六項目を要求をいたしました。  ところが、これに対する返答がまことに不可解でありまして、まず第一点は、殺人の容疑があるからである。——ここのところは殺人ということばを使っていないようですが、殺人事件及び公務執行妨害容疑があるからである。フィルムがほしかっただけではなくて、容疑があるからやっているのだということを、ここまでくると強弁をしております。第二番目に、返すというのは、いまや返しても捜査に支障がなくなったから返すのである。三番目に、プリントしたものは警察にあるけれども、これは警察がかってにプリントしたのだから、警察のものであって、だからこれは返さない。ただし、これは捜査には使われない、こういう言い方をしております。まことに不可解な論理です。で、今後は捜査上の資料に使わない。五番目に、今回の家宅捜索は違法でも不当でもないから、名誉棄損にはならない。六番目の、このような家宅捜索は今後も報道関係に対して行なわれるかどうかに対しては、配慮はするけれども何も約束はできない。たいへん理解のできない突っ放しが、ございます。  私どもは、はなはだこういう見解なり姿勢なりということは、人権擁護並びに言論の自由の保障というところから見て、不当であると考えます。警察当局に御質問してもしようがないようでありますから、ひとつ法務大臣から……。山中総務長官との関連があるそうですが、なかなか総務長官がつかまらないという状況でもありますから、広い立場で、佐藤内閣の閣僚という立場も含められて、いま日本国の国民が、しかも報道人が沖繩でこういう処置を受けている。このような姿勢というものをどういうふうにお考えになり、どのように処置をされるかというところを——私は時間がありませんからこれで質問をやめますから、まとめてひとつ前向きに、先ほど申しました一般論から一歩でも半歩でも踏み出して御見解を承りたい。そうでないと、私どもは何のことはない、これはいまのところ目睫の間にあると考えられている沖繩法案なるものも、しょせんは差別法案ではないか。基本的な姿勢としてこれを取り上げなければならないと思います。前向きに、ひとつ言論の自由と人権保障をかけて御答弁をいただきたいと思います。
  50. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先ほどお答えしましたのは何も抽象論ではありませんので、具体的な問題について、当然沖繩・北方対策、それを通じて琉球政府と山中君のところで交渉をすべきだ。そういう意味で私は山中君に引き継いだわけであります。  なお、ただいまのお話、全部また山中君によく話して、今後適当な処置をとりたいと思います。
  51. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 暫時休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時十三分開会
  52. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のあるお方は順次発言を願います。
  53. 水口宏三

    水口宏三君 一時から再開がもう十五分おくれているんでございますけれども、非常にあとの日程も詰まっておるのに所管大臣おくれたのは非常に遺憾でございます。  今回の成田空港の設置に伴って、現在羽田にあります入国管理事務所を成田に移す件につきまして御質問いたしますが、この成田空港につきましては、四十二年の一月三十日の運輸省告示を見ますと、八の「供用開始予定期日」というところに「滑走路A及びこれに対応する諸施設 昭和四十六年四月一日」(二)として「滑走路B及びこれに対応する諸施設 昭和四十九年四月一日」 「滑走路C及びこれに対応する諸施設 昭和四十九年四月一日」というふうになっておりまして、当面問題になりますA滑走路については、この時点では四月一日に供用を開始する。これを前提にしておそらく法務省としても入国管理事務所の設置を御計画になっていると思いますけれども、現実には工事が大幅におくれているのが現状でございます。このような状況に対して、法務省としては、成田空港の機能が発輝されなければ入国管理事務所をつくっても意味がないわけでございますので、どのようなお見通しを持っているか、この点について初めにちょっと伺いたいと思います。
  54. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) これは施行の日から一年……。それじゃ運輸省の政務次官から……。
  55. 水口宏三

    水口宏三君 いや、それなら法務省は運輸省とは御連絡になっていないわけでございますか、全然。それで、ただ管理事務所だけを設置するというようなばかな話はないのであって、当然これまでに運輸省と十分御連絡をおとりになってこの設置をおきめになったことと思いますし、またそれによってわれわれも審議に入ろうとしているので、法務省としてはただつくりさえすればいいんだということじゃ、これは何のための審議かわからなくなる。法務省ではそういう御連絡はとっていないわけでございますか。
  56. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) それは十分連絡をとっておりますので、入管局長から……。
  57. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) この法案は前国会へ上程いたしたわけでございますが、その時点におきましては、明年度の年度内、三月ごろまでに供用開始になるということで、羽田をやめて成田に新しい事務所をつくる必要があるということで案ができたわけでございますが、その後工事のほうが若干おくれるということになりましたので、現在のところは六月に供用開始になる。これは常時運輸省のほうと私たちとは緊密な連絡をとって進めておりますが、何ぶんにも工事がおくれましたために、現在では来年の六月にならないと現実の移転は行なわれない、こういう実情になっておるわけでございます。
  58. 水口宏三

    水口宏三君 それでは、いま法務省のほうとしては運輸省と御連絡をおとりになって、一応この法案が通ればつくられるべき成田の入国管理事務所というのは大体六月ごろまでには供用開始されるだろう、そういうふうなお見込みでおられるわけでございますか。
  59. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 現在の時点では、六月から供用開始というふうに運輸省から連絡を受けております。
  60. 水口宏三

    水口宏三君 それじゃ運輸省のほうにお伺いいたしますけれども、いま法務省からも御答弁がありましたように、先ほど私が申し上げた昭和四十二年一月三十日告示によりますと、今年四月一日に供用開始ということが告示されているにもかかわらず、非常におくれている。この間の経過はいろいろあったと思いますし、われわれも新聞等を通じて知っているわけでございますが、なぜこのように、あれほど運輸省としては鳴りもの入りでといいますか、大がかりに取り組んだこの成田空港の建設が大幅におくれたのか、その経過につきまして御説明いただきたいと思います。
  61. 佐藤孝行

    政府委員(佐藤孝行君) 経過等については、すでに御承知と思いますが、私どもも羽田空港の現在の実情にかんがみ、国際空港をなるたけ早期に完成したい、かような考え方から、成田に新東京国際空港を建設すべく今日までいろいろ努力してまいったわけでございますが、いかんせん、私どもの努力の不足なのかもしれませんが、いろいろ問題がこじれまして、御承知のとおり先般の代執行に際しては関係者にたいへん御迷惑をおかけいたしたような次第でございます。現在、いわゆる平和塔、それから個人住宅、共同墓地、この三点がいまだ話し合いついておりませんが、千葉県側と協力いたしまして、できるだけ早期に話し合いをつけ、予定どおり六月初めには運航開始したいと、かように考えております。
  62. 水口宏三

    水口宏三君 まあ経過の御説明についてはまだ私どもちょっと納得できないんですけれども、当初、運輸省がそういう計画をおつくりになった場合ですね、当然この告示まで出している以上、あらかじめその建設について十分な事前の手だては行なわれていたんじゃないか。何ら手だてなしにこういう告示を行ない、告示が出たからということで無理やりに工事を進めていく、そういうような経過がむしろ地元農民の反発を買い、ああいう代執行ないしは強制収用というような非常手段を考えなければならなかったんじゃないかと推測をいたしますが、この計画の取り組みについて、運輸省としてはそういう単なる、何といいますか、この地域が便利だからというような上からの計画でおやりになったのか。あらかじめそういう手だてをおつけになって、ここなら空港の建設は可能だという、そういう社会的な条件を含めておつくりになったのか、その点について。
  63. 佐藤孝行

    政府委員(佐藤孝行君) いろいろ立地条件その他土地の価値判断、そういうものも含めまして、現在東京周辺で最も適地として選んだのが成田でございます。しかしながら、不幸にして、私どもの努力の不足と存じますが、土地所有者すべての了解をとるに至らず、あのような結果になったことはたいへん申しわけなく思っております。したがって、現在まだ引き続いて第二期工事も控えておりますが、あくまで納得と了解のもとに第二期工事に着手したい、かような考え方で、現在も県と連絡の上、鋭意その方向に努力中でございます。
  64. 水口宏三

    水口宏三君 それでは、一応新しい空港を設置するにあたっての立地条件その他については成田が非常に適当であった、したがってそれを選んだ。ところが、先ほど私が申し上げましたような社会的な条件、土地の所有者との話し合いとか、土地の所有者がどういう状況にあるかということについては十分な調査を行なわずに始めた。そのことによってああいう事態を生じ、いまあなたのおっしゃったような不測の事態と申しますか、非常におくれざるを得なくなったというふうに理解してよろしいのでございますか。
  65. 佐藤孝行

    政府委員(佐藤孝行君) 私どもとしては十分調査もし、また意を尽くしたつもりでございますが、先ほど来申し上げたように、私どもの真意が御理解いただけないで今日まで延びたことをたいへん申しわけなく思っております。
  66. 水口宏三

    水口宏三君 どうも御答弁納得できない。真意が理解できなくて延びたのではなくて、いまだに一いまになって代執行、強制収用をやったということは、真意がいまのところ理解されてないわけでございます。とすると、あらかじめそういうことがあるということを前提にし、必要があれば代執行、強制収用をやるんだという前提でおかかりになったとしか考えられませんね。
  67. 佐藤孝行

    政府委員(佐藤孝行君) 私どもは、なるたけ代執行という手段を選ばないで、話し合いで、了解のもとに進みたい、現在でもそういう考え方には変わりございませんが、不幸にして代執行をやらざるを得なかった点をひとつ御了解いただきたいと思います。
  68. 水口宏三

    水口宏三君 「不幸にして」とおっしゃいますけれども、だれが不幸なんだかわかりませんが、要するに、あなた方のそういう意味での調査、準備が不足だったということはお認めにならないんですか。
  69. 佐藤孝行

    政府委員(佐藤孝行君) できるだけの努力をいたしましたが、結果論から言いますと、必ずしも完璧だったとは言いがたいと思います。
  70. 水口宏三

    水口宏三君 それをお認めいただければ、先ほどお話の六月供用開始を目標にして、今後平和塔と個人墓地その他おやりになるという話でございますけれども、このほかに空港へのパイプラインの問題が必ずしも千葉県側で十分な了解を得ていないということを新聞などで私聞いておるんでございますけれども、それらの事実について教えていただきたいと思います。
  71. 内村信行

    政府委員(内村信行君) ただいま先生お話しのように、パイプラインでございますが、パイプラインにつきましては、千葉市をやはり通っていかなければならないんですが、千葉市におきまして、まだ市会において最終決定が行なわれていたい。先般聞いたところによりますと、来年の一月に決定持ち越しというふうに承っております。ただ、一月の段階において、幸いにして土地を使ってもよろしいというふうな結論が出るといたしますれば、それから鋭意パイプラインの建設を開始していくというふうなことでございます。
  72. 水口宏三

    水口宏三君 ことばじりをつかまえるわけではありませんが、いま航空局長は、幸いにして一月にきまればとおっしゃるし、政務次官のほうは、不幸にしてこうなったと事後報告していらっしゃるわけですけれども、あなた方は、幸いにして自分の思っているとおりになればいいけれども、失敗すれば、不幸にして失敗しましたと言う。私は、これだけ大がかりな仕事に取り組むにしてはちょっと心がまえが納得できないんでございますけれども、幸いにして、あるいは結果的には不幸にしてということじゃ、それでは一般の国民は納得しないんじゃないですか。
  73. 内村信行

    政府委員(内村信行君) パイプラインの建設につきましては、現在公団のほうで非常に努力をしながらお話を進めておるわけでありますけれども、聞くところによりますと、千葉市におきましても、パイプラインを通すことに絶対反対ということじゃありませんで、むしろその間のいろいろな条件というふうなものがございまして、それについていろいろお話し合いをしておるというふうに聞いております。その意味におきまして、幸いにして御納得をいただけまして、できればさっそくとりかかりたい、こういうような意味で申し上げたわけであります。
  74. 水口宏三

    水口宏三君 この点は本日の議題じゃございませんので、この程度にいたしまして、それじゃ幸いにして羽田から成田へ六月に移転できるという事態になった場合に、残された羽田をどういうふうに今後お使いになるおつもりなのか、その計画があればお示し願いたいと思います。
  75. 佐藤孝行

    政府委員(佐藤孝行君) 成田は国際線専用であり、羽田は国内線専用である、かような原則に立って利用したいと思っております。
  76. 水口宏三

    水口宏三君 そうしますと、結局成田のほうが使われるようになった場合には、空港整備法第二条の「第一種空港」から羽田ははずすということですか。
  77. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 第一種空港につきましては、国際線について必要な空港というふうに規定してございますので、その意味から申しますと、第一種からはずれるというふうなことが一応の論理的な帰結ではないかというふうに考えております。
  78. 水口宏三

    水口宏三君 いや、「一応の」ということでなしに、これは法務省の設置法のあれを見ますと、羽田の入国管理事務所を成田に持っていくということになっているわけですね。だから、「一応」ということでなしに、おたくのほうで将来も羽田を国際線として使うというそういう見込みがあるのか、あるいは状況によって第一種空港からはずすけれども、まだその決定がされていないのか、そこらのところを具体的に御説明いただかないと、これはおそらく法務省の今後の事務の運営にも差しつかえると思うのです。
  79. 内村信行

    政府委員(内村信行君) ただいま「一応の」と申し上げましたけれども、少なくとも羽田におきまして国際線を従来どおりに本格的にやるというふうな気持ちはないわけでございます。したがいまして、入管の事務所は成田のほうに持っていっていただいてけっこうである。ただ、私どもちょっと「一応」と申し上げましたのは、羽田におきましても国際線が全然使えなくなるかというと、そこまではきめておりません。たとえばVIPの専用機というものがあるいは来る場合があるかもしれません。そういうようなものがあるいは臨時的に羽田にもちろん着くということもあるかもしれません。ただし、その場合におきましても施設を要する一つまり、入国管理事務所の施設を要するという程度のものではございませんで、臨時的なものとしてそういうものが来る場合があるというふうなことで申し上げたわけであります。
  80. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本件の審査は後刻にいたしたいと存じます。
  81. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 次に、国家公務員法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  82. 山崎昇

    山崎昇君 総務長官はたいへん時間がないそうでありますし、それから公務員制度審議会の問題については別な機会に十分お聞きをしたいと思っておりますので、私はきょうは二点だけお聞きをしておきたいと思います。  第一点は、いま提案をされております公務員法等の改正案が提案されるに至りました公務員制度審議会における経過ですね、もし特徴的な点があればそれをひとつ御説明願いたい。  まとめてお聞きしますが、さらに第三次公務員制度審議会が発足するようでありますが、今後の一体運営について総務長官としてどういうふうにお考えになっているのか。  この二点をまずお聞きしておきたいと思います。
  83. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは公務員制度審議会、いわゆる第三次と呼んでいますが、それが発足して、その昌頭にこの答申があったわけであります。この答申は、いままでの公務員制度審議会の経過を振り返ってみまして異例のことと言ってもよろしいと思うんですが、使用者側、労働者側、それに学識経験者委員、この三者いずれも、一人の異論なく全会一致で採択されたものであります。したがって、この全会一致の合意というものは、非常に公務員制度審議会に関する限り貴重でございますので、答申を受けたあと、いろいろな意見がなかったとは私は申しませんが、しかし、この全会一致で採択されたものも実現しないようなことでは、せっかくお願いをして公務員制度審議会の委員に就任してもらっております皆さま方に、政府として、また当事者たる私として全く申しわけの相立たぬことでありますので、全力をあげて今国会に提案し、通過成立をさしていただくように、誠心誠意、その全会一致の熱望にこたえる努力をいまいたしておるところでございます。  それから今後の運営でございますが、これは前田会長をはじめとする三者の合議によって運営が行なわれていくことになりましょうから、私として特別に注文をつけるというような気持ちは持っておりませんが、今日まで懸案のままで残されております問題、あるいはいままで論じていない分野の問題、こういう問題等が逐次取り上げられていくであろうと思いますけれども、なお今後も、誠心誠意、審議会の運営に対して協力し、その成果のあるものについては、実現のための努力をしていきたいと考えます。
  84. 山崎昇

    山崎昇君 いま長官からお話がございましたが、私は、これからの行政でもそうですし、まあ民間でもそうでありますが、労使間の問題というのはきわめて重要な段階なのであります。わけても公務員の労使間の問題というのは、多少の制限はあるにいたしましても、相当これは重要視をしておかなければならぬのではないだろうか。特に、最近司法畑から、公務員の政治活動なりあるいは争議行為の問題等をめぐりましていろいろ判決が出ております。もちろん控訴中のものもあります。しかし、これらのものを考えてみたときに、やはりこの公務員制度審議会等で一連のこういう問題がこれから議論されると思うんですが、その際に、やっぱり長官の姿勢というものが私は影響を及ぼしてくるのではないだろうか、こう考えますので、これからのこの公務員制度審議会のあり方をめぐりまして、きわめて私も重要視をしている一人なんで、ぜひひとつ慎重な配慮を願いたいというふうに思うわけであります。  あとは、いまお話がありましたように全員一致で出された問題でありますから、こまかなことについてはいろいろ聞きたいこともありますけれども、一応それは次回の公務員制度問題等のときにお聞きをすることにして、きょうはあらためてあなたの、この公務員審議会の今後の運営についての、一応の御説明はありましたけれども、重ねて、重要な内容であるだけに、一応の見解を聞いて、私の質問を終わっておきたいと思います。
  85. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 最近の一審の判決その他において、確かに御指摘のような、刑事罰のみならず行政罰等についても、政府のとっております基本的な姿勢と相いれないような判決が出ておることも承知いたしております。しかし、まだ政府のほうで、公務員制度について、したがって一審のみで姿勢を変えたということでは終局的にございませんし、またそういう方針にも到達いたしておりませんが、逐次この問題は、やはり最高裁の決着まで続くものであろうと思いますけれども、しかしながら、そのような判決等があるということはこれは事実でありますから、当然、司法の権威の名においてなされたものでありますし、われわれとしてもそれらの点は謙虚——謙虚にということばを使うと総理みたいになりますから、すなおにそれを心の中に受けとめておいて、今後の運営にあたって、私たち公務員制度審議会の論議というものに耳を傾けていきたいと思います。
  86. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、国家公務員法の一部を改正する法律案につきまして二、三質問をしたいと思います。  いまの公務員制度審議会の問題でありますが、今回の答申は全会一致であったというお話はいまお伺いしたんですが、この審議会の会議録の問題ですが、これについては、会議録は非公開を原則としていると、こういうぐあいに聞いているわけでありますが、やはり今回のような場合もそうでありますし、また、いままでのように一致しない場合が非常に多いわけでありますが、そういう場合についても、ある程度、その内容は公開したほうがいいんじゃないかということも考えておりますが、この点、どうでしょう。
  87. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 議論はオープンで行なっておるのでありますけれども、何せ、事柄が事柄だけに、ことに、労使の間において著しく見解を異にする議論が多うございます。これを一々公表しておりますと、まとまるはずであったものが、外に出されたためにいろいろな反対運動なり賛成運動なりという、いずれの側にしても、外で論議が巻き起こりますと審議会の場の運営というものがぎくしゃくする可能性があると思うのです。しからば今度のような全会一致の場合にはどうだということですが、全会一致の場合でも、やはり、そこに暗黙に合意的なものもありますし、そういうようなことをオープンに一々していきますと、また、それではというような意見が起こりますし、今回は、これは五年にしろということでありますから、そのまま、答申の文言を法律にしただけであるということで、運営をオープンにすることは原則だと思うのですけれども、事柄によりますので、御意見は承っておきますが、いま、その三者構成の中で、われわれの意見はオープンにしろという意見も内部のほうから特別に強く出されているわけではありませんので、むしろ、みんながフランクに自分たちの立場を代表しつつ、なお、合意点を見出す必要ありというような議論もされるほうが私はよろしいんじゃないかと思っているのです。
  88. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、たとえば、審議内容につきまして、必要に応じて、こちらの要望によって提出をすることはあり得るのかどうか、この点どうでしょう。
  89. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは今後の運営にも非常に大きな関連を持ちますので、選出された前田会長の運営の基本方針というようなものもお聞きしたり、あるいは三者それぞれの立場の御意見もお聞きしませんと、ただ、公表しますというだけでは、ちょっと、責任ある答弁にはならぬと考えます。むしろ、公務員制度審議会の自主性を尊重したいと、こう思っているわけです。
  90. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題は、やはり内容等について、重要な問題をこれからもやるわけでありますし、ぜひとも公開できるように、あるいは公開できないとしても、国会議員等の要望に応じてはその問題について議事録等も提出するように、これは総務長官のほうからお願いしたいと思うのですが、これはどうでしょう。
  91. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 国会で決議して出せとおっしゃればどんなものでも出さなきゃならぬと思うのです。しかし、今回の答申にしても、私は、ただ、満場一致と申しておりますけれども、その答申の文章の外側の議論としてはいろいろあるわけなんです。したがって、そういうものを話をしてみても益のないことであると思って話をしないわけでありますから、適当に質問があれば、私で答えられる範囲は私の責任で答えるというような形で運営をさしていただきたいと思うのです。
  92. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、どうもその話はすれ違いばっかりになりますが、私たちとしては、その委員会の議事録等を必要に応じては出していただきたいということを、できたら総務長官のほうから前田会長のほうに要望もすると、そういうようにできたらお願いしたいわけです。時間がありませんので次にいきます。  今回の場合も、第三次審議会で満場一致で決定したことではあるけれども、この問題を再び議題として取り上げないことを確認したと、こういうふうに、これは何かわかりませんが、いずれにしても、こういうことを聞いているわけですが、こういう問題については、第三次はこの間発足したばっかりでありますけれども、この審議会以降、これからの取り扱いについてはどういうぐあいになっているのか。今回答申のあった在籍専従の問題については、今後はどういうぐあいに扱っていくつもりなのか、この点について。
  93. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは、審議会の中でそういう議論がされたかどうかの確認というような形でなくて、私のほうから答申を受けるにあたって、これは三者構成それぞれ今回限りであるというようなことについて合意された結果、答申が作成されたものであるということは、私の責任において言えると思います。
  94. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、今回限りということでありますと、また今回の法案が、合わせて五年になるわけですけれども、それからあとどうなるのですか。
  95. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは、在籍のまま専従できる期間というものを五年にするわけでありますから、これはいまから五年という意味じゃありませんで、ずっと五年であるということであります。
  96. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまから五年っていうわけじゃなくて、あと二年延長するわけですね。ということは、あと二年延長して、また期限がきますね、そうしたらそのときはまたどうなるんですか。もうちょっとわかりやすい御答弁を願います。
  97. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは非常にわかりやすいんです。在籍のまま専従することを認める期間を五年間と直しただけでありますから、したがって、そのまま、その法律のもとで、在籍専従の期間が五年として今後も運営されるわけでありますから、ある人にとってあと三年の人もありましょうけれども、ある人は何年かあとに五年ということにもなると思うので、これは、私がさっき言ったのは、五年をさらに七年とか六年とかいう議論はもうやめたというお話がありましたから、そういうことも私の責任で、それはそういうことを言われておるということは答弁をするということであります。
  98. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、五年以上は認めないということですか、結局は。
  99. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは三年以上は認めないという約束ごとで出発をしたものであります。しかしながら、わが国の労使、ことに組合関係実情というものから見て、やはり三年の期間では、専従職員、いわゆるプロの養成その他について、やっぱりローテーションとしては、回転率は少し短過ぎて養成しにくい、どうしても五年ぐらいの幅を持ってもらいたい、したがって一年延長なんということは反対であるという組合等の意見もありまして、そこで全会一致の線は二年延長ということに落ち着いたわけであります。
  100. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、この問題をこんなに何回もやる必要はないわけですけれども、これは要するに、もうちょっとそれじゃお伺いしておきますけれども、この問題は、ことしの十二月の十三日ですか、期限がくる人が何人かいると思うんですよ。そういう人たちがこの法律にひっかかってくるために、ぜひともこの法律を早く通す必要があるということ、これを私はお伺いしているわけでありますけれども、そういう人たちは、在籍専従の期間を三年ときめられたのを五年に延長する。そういう人たちは、いまおっしゃったように、あと二年間ありましょうし、また三年の期限のきていない人は、これは四年の人も五年の人もいると思うんですね。そうしますと、これは一般的に考えて、二年間延長して五年になった、これからあと二年先の十二月の十三日には、これはちょうど組合の専従をやめなきゃいけない人が何千人も出てくる——何千人かどうか知りませんが、少なくとも何千人かは出てくるわけですね。そのときになって、今度はもう延長はしない、専従役員も全部かわると、こういうことなんですか。そのところはどうなんですか。
  101. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) 先ほど長官がるる御説明いたしましたように、在籍専従の期間が、現在制限が三年ということになっております。それを五年にしたわけでございまして、したがいまして、ただいま御指摘の場合には、昭和四十三年の十二月十四日から在籍専従をやっておられる役員の方は、その三年目で、現行の制度でございますと、ことしの十二月十三日で在籍専従はできなくなるわけでございますから、五年目までできると、こういうことになるわけでございます。五年たちますと、その方はもはや五年使いましたから、在籍専従はそれ以上はできませんで、本来の公務員の職場に戻られるか、あるいは俗に言うプロ専従の道を選ばなければばならぬ、こいう仕組みでございます。
  102. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると長官、これは要するに——まあこんなに私はこの問題について深入りをするつもりはなかったんですけれども、これは、ここまで言いかけたら深入りしておかなきゃいかぬわけですね。中途はんぱで放っておかれたら実際問題困るわけですね。今後この問題を再度、やはりそのときになってもう一回この問題については再検討しなきゃならない問題だと私は思うんですが、大臣どうですか。
  103. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) ちょっと議論がすれ違っているんですけれども、在籍で専従の仕事をしていい期間を五年にしたわけですから、いつから始まっても五年ということなんですから、ただ、ことしの十二月の切れる時点から始まった人ならば五年目でしょうけれども、それはいつでも五年というものを権利として持ったわけですから、法律上はそういう問題は起こらないし、これは五年をあと六年とか七年とかという議論は別個の議論だと私は思うんです。
  104. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは大臣、違いますよ。これは事務局のほうからでもけっこうですが、ことしの、先ほど説明がありましたように、十二月十三日に一応在籍専従の三年の期間のくる人が何人いるんですか。
  105. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) ことしの十月一日現在で調べました状況でございまして、あるいは非常にこまかい数字は必ずしも正確ではない点があるかとも存じますが、私のほうで調べました限りにおきましては、ことしの十二月十三日に在籍専従の期間が満三年になる人々の数は約千五百八十名程度でございます。
  106. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 在籍専従のトータルの人数は何人ですか。
  107. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) 同じく十月一日の調査の結果、三千名ちょっとこした程度です。
  108. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 けっこうです。  大臣、いま説明がありましたように、在籍専従の三千人のうち、大体千五百人、半分は十二月十三日に三年の期限がくるわけです。三年の期限がくるから、今回のこの法案をどうしても通さないといけないわけです。そうすると、また二年のうちには五年の期間がくる、千五百人の人たちが一ぺんにくる。そうすると、議論がかみ合わないとおっしゃっていますが、どこがかみ合っていないのかわかりませんがね。要するに、二年あとには少なくとも在籍専従の半分の人たちの期限がくるわけです。千五百人の人たちが一ぺんに在籍専従をやめなければいかぬ、そういうことになるわけですね。そこら辺のところ、どうなんですか。
  109. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) それはこういうことなんです。ことしの、いまの法律で、十二月の一定期日になると、なるほど三年に達した人がそれだけ出る。したがって今回の措置は、それらの人たちに二年さらに現状を認めるという措置になるわけですけれども、三年を五年にしたということは、専従になっていていい期間が五年になったわけですから、あと二年になってそれらの人が期限がくることは、これは労働者側も含めて、あと二年余裕を置いてもらえれば自分たち組合管理としての立場からやっていけるという判断があって三者合意されたものでありますから、その点の支障はないことが前提になっておるわけであります。それでよろしいということなんです。
  110. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 確かに、それでよろしいということになっていて、再度私は問題を提起しているわけですから、これは新たな問題かもしれませんけれども、いずれにしても、この問題は、私はそのときになれば問題になってくると考えるわけです、実際のところ。ですから、この点については、やはり再度これは二年あとには検討してもらわなければいかぬことになると、こう私は考えるわけです。しかし、時間の関係もありますので、それでは違う問題にいきます。  実は、いまの在籍専従の問題に関連をいたしまして、ことしの六月二十三日にILOの総会がありまして、その総会の席上、「企業における労働者代表に与えられる保護と便宜に関する勧告」というのがありますのですが、ILO条約の百三十五号条約になりますが、この条約はまだ日本では批准をしていないわけでありますが、この条約に対する考え方について、総務長官、どういうようにお考えでしょうか。
  111. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 大体、労働省でこれは検討しておるところでありますが、しかし今回の措置に関連があるとすれば、勧告の中の「労働者代表に与えられるべき便宜」というところの第10の(1)「企業における労働者代表は、企業におけるその代表任務を遂行するために、賃金又は社会的及び付加的給付を喪失することなく必要な休暇を与えられるべきである。」という点が今回の問題と関連を持つと言えば言えると思います。
  112. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 実は私はその点を、これは関係があるというよりも全くそのものを、組合専従の問題を取り上げているわけなんですけどね。これは要するに日本の場合とILOで主張している場合とはずいぶん違うと私は思うんです、内容的に。たとえばこれは公務員制度の問題にも、在籍専従の問題について前々から議論された問題でありますけれども、諸外国ではこういうふうな在籍専従なんという制度はないというようなことがさんざん言われてきたわけでありますけれども、これは公務員制度審議会の調査によりましても、四十五年の十月十七日に公務員制度審議会の海外調査団が調査報告をしておりますけれども、それに基づいても、調査した国々ではほとんどの国が在籍専従を明らかにしている。しかもそのほかの国におきましても、ベルギーとか、そういう国においては、在籍専従者に対して失業手当とか、そういうふうなもの、たとえば昇任とか昇給とか、そういうふうなものがなされている、こういうぐあいなことがあるわけでありますが、日本においてはそういう点がまだまだ待遇の上から、またいろいろな面から、まだそういう点が落ちている点がずいぶんあると思うのですね。そういう点から考えてみますと、このILOのいま大臣が読みましたところですね、「賃金又は社会的及び付加的給付を喪失することなく必要な休暇を与えられるべきである。」、いろいろありますが、こういう点は、これは大臣は、ILOのいわゆる勧告はもっともである、したがって、日本においてもこの問題を取り上げるべきであると、こういうぐあいにお考えなんでしょうか。この点、どうでしょう。
  113. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 先ほど申しましたように、一義的には労働省においてこれは検討いたしております。ただし、いまの問題にされておる点の「賃金又は社会的及び付加給付を喪失することなく」という点と今回の措置とどうだということであれば、これはまあ今回の措置でありませんが、日本の措置でありますけれども、喪失はしていない、ある程度の調整措置等は講ぜられていますけれども、喪失しているものではないということを私としては考えております。
  114. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣が退席されるそうでありますので、私の質問はまた大臣お見えになってからあらためて……。
  115. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) それでは大臣、退席してください。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  116. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 速記をつけて。  本案の審査は後刻にいたしたいと存じます。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  117. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 速記を起こして下さい。  それでは五分間休憩いたします。    午後二時八分休憩      —————・—————    午後二時十六分開会
  118. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  119. 水口宏三

    水口宏三君 どうも審議が中断いたしましたので、少し続かないかと思いますけれども、先ほど運輸省からの御答弁によりますと、成田空港が完全に使用できるようになった場合、羽田空港の取り扱いについては主として国内空港にしたい、ただし場合によっては国際空港の機能をになう場合もあるであろうというような、その点多少あいまいな御答弁だったのでございますが、いずれにしても、羽田にその後外国機が入ってくるという可能性があるわけです。その場合に、それに対する法務省としての入国管理事務について、どのように対処なさろうとしておるのか、この点についてひとつお尋ねしたい。
  120. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 成田に移りましてから、依然、出入国者の数は非常に激増していくものと予想されるわけでありますが、私のほうといたしましては事務手続の簡素化、合理化というような面を極力さらに進めますとともに、職員を訓練いたしまして、これを迅速適確に処理ができるように対応するとともに、明年度予算におきましては、事務量の絶対増に伴う適切なる増員要求を目下関係方面と交渉中でございます。
  121. 水口宏三

    水口宏三君 いや、その点をむしろ私、お伺いしているのじゃなくて、当面どう対処するのか、来年の六月から。それで、確かにもう入ってくるやつはやらなきゃいかぬわけです。入国管理事務をしなければいけないのですね。当面、どういう形でそれをさばこうとなさっていらっしゃるのか、具体的に。
  122. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 原則は、羽田の入管をたたんで、成田のほうに新しい全事務所を移すということでございまして、その移転の準備を内々行なっておりますが、成田に全部行かないではないか、一部羽田に残るかどうかということに関しましては、先ほど政府側からの御説明があったようでございますが、私たちといたしましては、もし、羽田のほうに若干でもVIPその他の飛行機が入ってくるというようなことになりますと、もよりの東京入管事務所等から審査官を派遣いたしまして、臨時にこれに対応していく。それは税関、検疫その他みんな同様の措置をとられるものだろうと想像いたしております。
  123. 水口宏三

    水口宏三君 いまの御説明で大体わかりましたが、それはあとでも御質問したいんですが、要するにわが国に対する入国者というのは年々激増しておるわけですね。それで、いま運輸省の御答弁では、当面VIP等の発着が若干あり得るというような御説明でしたが、まあその後の状況の中で、私はおそらく東京の入管事務所がそのつど出ていくことに対する繁雑さ、その点結局は羽田にも出張所設置という問題が出るのじゃないかと思いますけれども、それらの点について、むしろ運輸省と十分御連絡になって、一回撤去をした、その後の状況で来年また新しく出張所というような形でやるのは、いかにもぼくは無計画だと思うのですね。それは運輸省自体のほうの成田の空港の建設そのもの自体が無理な面もあるし、おくれている。それに追随して、法務省が何もまねをする必要はないが、その辺、見通しはいかがなんですか。運輸省と十分御連絡をとっていただきたい。
  124. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) ただいま御質問の点は、運輸省と十分連絡をとりまして、現在私たちが了解しておりますのは、国際線は成田の新空港に全部入るという原則でございますので、その方面の仕事をする私たち、先ほど申しました税関その他関連の事務所は、成田のほうへ一応全部移管する。将来の問題に関しましては、一応現在成田に全部入るという方針で私たちは処置いたしておる次第でございます。
  125. 水口宏三

    水口宏三君 いや、成田に全部移るということは、これはもうこの法案の趣旨なんでございますから、それはわかっているのでございます。ただ問題は、来年あたり出張所設置というような問題は出ませんですね、羽田に。
  126. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 私の了解しております範囲では、明年あたりに出張所をつくると、そういう問題は起きないと思います。
  127. 水口宏三

    水口宏三君 それではですね、羽田にある入国管理事務所を全部成田に移すわけでありますけれども、これは当然入国者、出国者が大量に激増しているのに対応して新しく空港がつくられる、そこに新しく入管事務所ができるわけでございますけれども、その定員の関係について少しお伺いしたいのでありますけれども、現在羽田におります入国管理事務所関係は百五十七名と承っておりますけれども、それは羽田が成田に移るにあたって、四十六年度で十七人の増員を予定していらっしゃる。計百七十四人で新しい成田空港の入管事務所の事務を担当するというふうに聞いておりますが、それはそのとおりでありますか。
  128. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 十七名の増員といいますのは、四十六年度で増員になった分が十七名でございまして、明年度は審査官四十五名を含めまして、新成田空港に対しては六十三名の増員要求をしております。
  129. 水口宏三

    水口宏三君 それじゃ、いまの羽田に百七十四人すでにいるということでございますか。
  130. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 先ほど御質問のありましたのは審査官の数でございまして、その他事務管理者その他を入れますと、現在羽田の総員は百七十四名の定員でございまして、その中に十七名がすでに含まれておりますが、四十六年度で増員になった分でございます。
  131. 水口宏三

    水口宏三君 それから、当面羽田から移転するにあたって、いまのお話の四十六年の増員ということをお見込みになっておるようでありますが、これは運輸省あたりの成田空港の今後の見通しを見ますと、六十一年度になりますと、大体国際線旅客というものが千六百万人ぐらいになるであろう。大体そういうものを目途にして、いま成田空港の施設、設備等を準備しているというふうにわれわれは聞いておりますけれども、法務省として、成田に新しい入管事務所をおつくりになる、このような出入国者の激増に対してどのように対応なさるおつもりなのか、その点について伺いたいことと、そういう場合に、一体、成田における入国管理事務所の職員が急にふえていく、こういう場合に、ああいう地帯でございますから、これらの職員の生活条件ですね、こういうもの等についても十分事前に配慮がなされていないと、おそらく急に人が、出入国者がふえたから増員をする、増員で一応定員はとってみたけれども、職員の生活条件が非常に劣悪であるというようなことでは、これは私は少しおかしいと思いますので、そういう意味で、運輸省のそういう計画と十分連絡をとり、打ち合わせをし、見通しを立てておやりになっているのかどうか、もし具体的な点があればお聞かせ願いたいと思います。
  132. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 御質問の第一の点につきましては、遠い先のことはちょっと私たちのほうも予測をいたしかねますが、明年度の出入国者の増加というようなものを算定いたしまして、一応先ほど申しました六十三名という明年度に対する増員要求を概算要求で現在やっておるわけでございまして、その後さらにまたふえていくということになりますと、現在の予算制度上、新しい新々年度におきましてさらにまた手当てをしていく必要があろうかと、かように考えております。ただ、御指摘のように、成田の新空港におきましては、たとえば仕事をやります審査ブースのほうが、入国のブースは、出入り口は現在入国者に対しては羽田二十六でございますが、これが六十八個にふえる。出国者については現在羽田十四個でございますが、これが三十二個にふえる。大体二倍半ぐらい成田の施設では増設されるというふうに了解しておりますが、これは将来起こるであろう出入国者の増加に対しましていまから手当てしてある形でございますが、人員は、とりあえず明年度予算といたしまして、明年度に見合った形の適切な増員要求を目下交渉中である、こういう次第でございます。  第二の御質問の点は、まことに私たちもいろいろ苦慮しているところでございますが、現在百七十四名とりあえず成田に移ります羽田におる職員のうち、百六十四戸分の施設、住宅を確保いたしましたので、大体それ以外の、東京から通う人、あるいは自宅から通う人などもおりますので、当面住宅問題は一応めどがついたのではないかと思います。ただし、将来非常にふえていきます場合の手当てという問題は、今後情勢に応じて再検討していかなければならないかと思います。なおまた、御指摘のように、教育問題とか、それからいろんな施設、マーケット、病院、そういった問題も、成田ニュータウンの発展とか、学校の新設状況等にらんで、私たちもいろいろ厚生面を考えていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  133. 水口宏三

    水口宏三君 もちろんこれからの出入国者の増加の予測というものはいろいろなファクターでめどをお立てになっておると思いますけれども、少なくとも先ほど申し上げたように六十一年には千六百万人ぐらいになるというふうに立てていらっしゃる。それに見合った形で当然法務省の入国管理事務所が増大していく。それで、私どもが一番心配いたしますのは、これまでそういうふうになってくると、まず定員をふやすということ、定員はふやしたけれども実際にそういう適任者がいなくてなかなか充足できない。なおかついま言ったような住宅の問題その他の生活条件等が非常に劣悪になっていくというようなことがありますので、当然これは私は運輸省と十分御連絡になって、成田空港の建設の一環の問題としてこれらの手当てを十分なさるべきじゃないかというように考えておりますが、それらについては運輸省とは十分御連絡になっていらっしゃるのですか。
  134. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) まあ住宅等の問題になりますと、運輸省よりはむしろ大蔵省の公務員宿舎の手当てとか、またそれ以外の学校問題、病院の問題、そういったいろいろな生活施設の問題に関しますと、必ずしも運輸省の問題ではないかと思いますけれども、私たちとしましては、現実に即してとりあえず成田に新空港が発足したときに即応した態勢は大体とれたと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  135. 水口宏三

    水口宏三君 それじゃ、いずれにしましても成田空港の問題につきましてはこれだけの、さっきとぎれます前に運輸省のほうから説明を受けたように、幸いこうできればというような予測であった成田空港の建設が、ああいう形で非常におくれている。しかも最終的には代執行、強制収用というような強行手段をとらなければならない、これはまさに運輸省の失態だと思いますけれども、いずれにしても、とかく官庁のやり方というものが何か机上の計画を立てて、それに何でも押し込めていく。最後になればだれかが無理のしわ寄せをされる。特に入国管理事務の問題、職員の問題については、私は十分御配慮を願いたいということをむしろ申し上げて、一応この点についての質問を終わります。  次に、東京周辺の空港問題について、これはひとつ運輸省にお伺いしたいのでございますけれども、現在の羽田空港の施設について、航空機の発着回数の限界ということがいわれております。限界が近づいたから成田に新空港をつくるということだと思いますけれども、大体言われておる限界というのが、年間でいえば十七万五千回の発着、あるいは一日でいえば四百八十回の発着というのが限界だといわれておりますが、それは事実はそう受け取ってよろしいのかどうかということでございますが、ほんとうに限界にぶつかる時期というものは、いつごろというふうに予測していらっしゃるのか。それを運輸省にちょっとお伺いしたいと思います。
  136. 住田正二

    説明員(住田正二君) 羽田空港の離発着能力につきましては、いま先生のおっしゃいました程度でございます。限界に達しておりますのは昨年ぐらいからでございまして、現在羽田につきましては、増便ができないということでございます。
  137. 水口宏三

    水口宏三君 すでに羽田では現状で限界に達しているということでございますね。
  138. 住田正二

    説明員(住田正二君) そうでございます。
  139. 水口宏三

    水口宏三君 そういう状況というのは、いわば増便をしたいけれども、増便を押えているところが相当あるということになろうかと思いますけれども、成田空港の第一期計画は、四千メートル滑走路、これは第一期計画では一本しかできない。この一本の滑走路に、先ほどの羽田の現在の国際空港としての機能はほとんどそこに持っていくのだというようなお話でございますけれども、私自身は専門家でございませんのでよくわかりませんけれども、四千メートルの第一期工事だけで、現在すでにもう羽田は限界にきて発着についてのある程度の押えをやっている。そういう状況から見て、一体成田空港の第一期工事が完成してどのくらいもつものなのですか。
  140. 住田正二

    説明員(住田正二君) 成田の四千メートル滑走路が一本できた段階において、離発着能力は大体十二、三万回くらいではないかと見ております。第二期工事でもう一本並行滑走路をつくるということになっておりますので、両方できますと、二十五、六万回使えるということでございます。現在羽田の国際線の離発着回数は、本年度で五万五千くらいではないかと思います。したがいまして、一本でもなお数年余裕がある。第二期工事ができますと、昭和六十年くらいまで十分もつというような見通しでございます。
  141. 水口宏三

    水口宏三君 それは大体予測として、第一期工事が完成すれば、何年間くらいは一本の四千メートル滑走路でいけるということなのですか。
  142. 住田正二

    説明員(住田正二君) 何年ということは非常に言いにくいのでございますけれども、まあ数年は十分もつという感じでございます。
  143. 水口宏三

    水口宏三君 それは、先ほどの運輸省の説明によりますと、第一期工事が四十六年四月一日、これは非常におくれて、大体まあ使用開始可能が六月以降になるというお話ですが、第二期工事については、完成の大体の目標は四十九年四月一日でございますね。そうすると、第一期工事が完成すれば数年間だいじょうぶだということになると、別に第二期工事の繰り上げとか、そういうことの必要性というのは生じないと考えてよろしいのですか。
  144. 住田正二

    説明員(住田正二君) 当初の予定では四十八年度一ぱいに第二期工事が完成するということになっておったわけでございますけれども、第一期工事がおくれておりますので、第二期工事を四十九年四月供用開始という目標でいくということは、たいへんむずかしいと思います。どれくらいおくれるかわかりませんが、その間は第一期工事の一本の滑走路で十分もつという見通しでございます。
  145. 水口宏三

    水口宏三君 第二期工事を繰り上げるというような計画は全然おありにならないわけですね。繰り上げて着手するとか、そういうようなあれはないわけですね。
  146. 住田正二

    説明員(住田正二君) 繰り上げるということになりますと、当初の目標が四十八年度一ぱいということでございますので、第一期工事が四十七年の六月以降に完成するわけでございますので、第二期工事を四十八年度一ぱいに完成するということは、非常にむずかしい現状ではないかと思います。
  147. 水口宏三

    水口宏三君 それは事実問題として、むしろ繰り上げをしたくてもできない、むしろ大体予定どおりに完成すれば、現在の第一期工事の四千メートル滑走路で十分さばけるというふうにお考えになっていらっしゃるわけですね。
  148. 住田正二

    説明員(住田正二君) そのとおりでございます。
  149. 水口宏三

    水口宏三君 これはあるいは運輸省直接の関係ではないかもわかりませんけれども、国土総合開発審議会のちょうど四十五年十二月二十三日に出されております意見書の中に、将来の東京を中心とした航空ネットワーク、これの状況を考えてみると、現在の成田の国際空港を早急に完成するだけでなしに、さらにその規模の拡張をはかる、あるいは東京圏の空港の複数化を検討する必要があるんだ、これらの国土総合開発審議会の意見等をわれわれ拝見すると、いまの運輸省からのお話よりは、より急速に出入国者がふえていく、いわば航空回数がふえてくるのじゃないかというふうに受け取れるんですけれども、いまの運輸省の御答弁では、非常に何というか、四千メートル一本できれば数年間だいじょうぶだ、第二期工事を繰り上げることはできない、そういうことで、どうも国土開発審議会の意見書とは非常に食い違いが感ぜられるのでございますけれども、そういうような点についてはどうですか。   〔委員長退席、理事町村金五君着席〕
  150. 佐藤孝行

    政府委員(佐藤孝行君) お答えいたします。  先ほど来監理部長が申し上げておるように、当初は四十八年度末を目途にして第二期工事も着工したわけですが、どうも現時点では四十八年度末というのはいささか心もとない、四十九年度なるたけ早い機会に完成したい、かような考え方から、公団総裁に対しては用地買収について全力をあげるよう指示しております。試みに現在の用地買収の実態を申し上げますと、第二期工事区域のうち、いまだ未買収の地域は約二二%ございます。千葉県側と連絡をとって、先般のような事故がないように全力を尽くして事に当たらしております。
  151. 水口宏三

    水口宏三君 いずれにしましても、羽田から成田に移管の問題につきましては、むしろ計画に対して実施が非常におくれているというのが実情だと思う。現在すでに、先ほど伺えば羽田の離発着というものは限界にきておる、むしろそれを抑制しなければならないような状況である。今後さらに出入国者がふえていく、あるいは航空回数がふえてくるというような状態に対応して、いまのお話のように、第二期工事についてすら確たる自信がないというようなことについて、これは今後十分ひとつ御検討願いたいと思います。その場合に、最初申し上げましたように、何か第一期工事におけるような、幸いみんなが賛成してくれればできたんだ、こういうことではなく、十分説得をし、納得をしてもらった上で完成される。どうも事前の私はそういう作業が、第一期工事については運輸省足りなかったというのが実情だと思う。しかも、第二期工事を急がなければならない、そういう中で、ぜひその点だけはお伺いをしたいと思います。  次に、神奈川県厚木飛行場の問題についてちょっと伺いたいのでございますけれども、この厚木飛行場につきましては、ことしの七月に相当部分が返還をされて、現在自衛隊が、これは下総の海上自衛隊第四航空群の対潜哨戒機が駐とんしているわけですね。昨年の十二月に運輸省のほうでは、民間空港としても使うということをきめていらっしゃる。言いかえますと、結局自衛隊と民間航空との共用ということになろうかと思いますけれども、この点について、これまでの経過と今後の計画を簡単にひとつ御説明願いたい。
  152. 佐藤孝行

    政府委員(佐藤孝行君) 運輸省といたしましては、本年の二月ごろから、羽田空港の過密状態を緩和するために、国内線の一部を厚木に移したい、かような考え方から、具体的には四月以降、主としてYS、これはYSを選んでいるのは、他のジェット機に比較してそれほど、騒音関係はジェット機よりも少ない、かような考え方から、YSを主としてピークどきに厚木を利用させていただきたいと、こういうことで折衝を重ねてまいりましたが、七月以降、同空港は管理権が防衛庁のほうに移管になりましたので、引き続いて現在もなお成田に移転する以前の羽田空港の過密状態を緩和するという意味合いから、現在も鋭意努力中でございますが、地元関係町村においては、民間機の使用も反対という決議等もございまして、いまだ残念ですが結論を得ておりません。当方といたしましては、成田が完成までの羽田の過密状態を緩和するためにも、現在も厚木飛行場を希望しております。この問題については、防衛庁と地元の協議がととのい次第、私どもも重ねて要望して、何とか実現をはかりたい、かように考えております。
  153. 水口宏三

    水口宏三君 いまのお話ですと、むしろ地元から民間空港に使うことに対する反対があるというお話ですが、私の聞くところでは、なにか騒音の問題だということですけれども、これは自衛隊機だって飛べば騒音を出すわけです。むしろ、なるべく騒音の少ない民間機が使うことについては、これはおそらく、これこそ皆さん方の地元との折衝でむしろ十分可能性がぼくはあるのじゃないかという気がいたしますし、特に私ここで申し上げたいのは、厚木飛行場というものは、いわばもうすでに飛行場になっているわけです。しかも面積は五百三十万平方メートルで、現在の羽田よりも一・五倍と、非常に広い飛行場です。たまたま滑走路は二千四百四十メートルちょっと、一本しかございません。しかし、これはむしろ今後の開発のやり方によっては非常に有用な、また飛行場とし民間利用ができる可能性があるわけです。  したがって、それらの点について防衛施設庁にむしろ伺いたいのですけれども、防衛施設庁として、運輸省の申し入れ等との関連で、今後厚木飛行場の利用計画について、民間優先と申しますか、そういう方向へ持っていく可能性はないわけでございましょうか。
  154. 薄田浩

    政府委員(薄田浩君) いま運輸省の政務次官がお答えになりましたように、厚木につきましては、ことしの六月の二十何日でございましたか、いわゆる閣議決定で、米軍から、形から申しますといわゆる日本政府が管理するような形、これは混合でございますけれども、施設提供区域として残る部分もございます。それから、一応政府が返還を受けて米軍にも二4(a)という形でお貸しする、提供する形と、また二4(b)という形でこちらが共用する、こういう混合方式でございまして、先生の御質問の飛行場能力としましては、たいへん程度の高い飛行場だろうという認識を持っております。  それから、先ほど先生、現在自衛隊の航空機が入っておると申されましたが、実は修理のためにたまに入っておりますが、いわゆるこういう一連の流れによる決定では、まだ入っておりません。これは地元の方が、まあ音の点は同じなんでございますが、いろんなこれは議論が地元にございまして、結論だけ申し上げますと、政府として、まず自衛隊が入ってみて、それから第二段階として運輸省の話にしたらどうかというような、こういう話もございます。そのどちらがどうだというようなことを、私から申し上げられないわけでございますが、運輸省ともどもにわれわれ交渉にまいりましたし、ともに折衝をしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、運輸省の問題を一応ペンディングにしてというふうな考え方で、現在地元は言っておられます。そういうことで、当然防衛庁としましては、最初から施設を民航と共同で使用いたしましようというお約束でやっておりますので、優先ということばが必ずしも妥当ではございませんが、自衛隊と民間機の共同ができれば幸いだというふうに、現時点でも考えております。
  155. 水口宏三

    水口宏三君 ちょっと話がわかない点があるのでございますが、要するにあれですか。これは日米共同声明、地位協定でしたか、いずれにしても、米国から返還される、それで自衛隊に移管をする。相当部分をですね。そのほうは一応手続が済んだ。だからこの自衛隊が使ってみて、それで運輸省と民間航空との共用については今後相談をするということなのか、それととも、さっきの運輸省のお話のように自衛隊が使うことには賛成だが、民間航空に使うのは反対だという地元の声があるということなのか、その点どっちなんですか。
  156. 薄田浩

    政府委員(薄田浩君) 地元の声は、先生のおっしゃいました後者のほうでございまます。
  157. 水口宏三

    水口宏三君 どうもその点よくわからないので、これは私たちもいずれ実地調査をさせていただいて、今後、厚木の飛行場の問題については、あらためて御質問いたしたいと思いますけれども、いずれにしましても、私はこれだけ込みあっている現在の東京を中心とする航空路の緩和について、われわれ、優秀な飛行場というものを、単に自衛隊機だけの利用ということでほうっておくということはどうも納得できません。これは私のほうでも調査しまして、あらためて御質問いたしたいと思います。  それとの関連ではございませんけれども、成田空港が完成した場合に、現在、在日米軍のほうから、軍事郵便取り扱い所を、いま羽田にあるものを成田に移さしてくれという申し出があるというふうに聞いておりますが、その点についてどういう状況か、御説明願いたいと思います。
  158. 住田正二

    説明員(住田正二君) ただいまの点につきましては、運輸省といたしましてはお断わりしております。
  159. 水口宏三

    水口宏三君 これはしばしば成田空港については、絶対に軍事的に使用しないという国会答弁が何回かあったわけでありますが、これはそういう御答弁になろうかと思いますが、事実在日米軍から要求された場合に、これをほんとうに運輸省として、あるいは防衛施設庁として、最後まで断われるのでしょうか。
  160. 薄田浩

    政府委員(薄田浩君) ただいまの件は、現実には昨年の暮れごろから、在日米軍から成田の新空港で、羽田でもやっておったので、大体同じような規模、ちょっと多くなりますが、の軍事郵便の荷扱い所でございますか、それを置かしてくれという話が、公式にも非公式にも参っております。ただ、いろいろ国内事情、成田等の現地事情等も、いませっかく米軍にいろいろ説明しまして、何かほかの代替案がないかということで検討しておりますが、いずれにいたしましても、現時点ではまだ結論が出ておりません。
  161. 水口宏三

    水口宏三君 いま運輸大臣も防衛庁長官もおりませんので、ここで明確な御答弁をお願いすることは困難かと思いますけれども、どうもいままでの経過を見ますと、現在、羽田が国際空港である。したがって、その国際空港である羽田に、米軍が軍事郵便の取り扱い所をつくっている。今度羽田は全部国内線にしてしまって、成田を国際線、国際空港にしていくのだ。こういう事態に伴って、米軍からの要求に対して、いまはお断わりになっているというか、どういうふうに措置をしていらしゃるか内容はわかりませんけれども、将来にわたって、成田空港にはそういう軍事施設は一切置かないということはここで確答できますか。これは大臣でないとちょっと無理なんでございますが、一応お伺いしておきたい。と申しますのは、この軍事郵便物取り扱い所をつくるということは、これは私は軍事利用の一つの突破口をつくることになるのではないか、羽田が事実いい例だと思うのです。そういう意味で大臣に御答弁願いたいのですけれども、もしなんでしたら、大臣にかわって御答弁できる自信がおありになったら御答弁いただきたいと思います。
  162. 佐藤孝行

    政府委員(佐藤孝行君) 御承知のとおり、成田は純然たる民間飛行場でございますし、今後ともその方針に変わりございません。したがって、いまの時点でそういう米軍の申し入れば、先ほど監理部長答弁したように、当方としては受け入れる考えはございません。
  163. 水口宏三

    水口宏三君 いまの時点とおっしゃいますけれども、これは当然だと思うのです。いまの時点でそんなことをやられたんじゃ、これは初めからいままでの国会答弁が全くごまかしだということになるんですから。私は今後ですよ。今後。しかも、今後成田空港がつくられて、まあいろいろな意味で成田空港は広過ぎた、余力があるんだというような状況になれば別ですけれども、先ほど伺いますと決してそういう状況ではないんですね。ですから、いまの時点でお断わりになるのは当然なことであって、今後一切そういう軍事的な利用は認めないということが言えるかどうかということなんです。
  164. 佐藤孝行

    政府委員(佐藤孝行君) 私のことば不足であるいは御理解いただけなかったかと思いますが、私の申し上げたのは、成田が民間飛行場である限り受け入れる考えはありません、このように御理解いただきたいと思います。
  165. 水口宏三

    水口宏三君 それでは、大体成田空港に関する質問はこれで終わりたいと思います。  次に、苫小牧市ほか三カ所に対する入国管理事務所の出張所設置について、これは法務大臣に少し伺いたいと思うのでございますけれども、これまで出張所の設置というのは、大体毎年四カ所ぐらい設置をやっておるわけですね。しかも、こういう港の出張所設置基準として大体法務省等でお考えになっているのが、外国船舶の出入回数が年間に百隻以上、それから審査対象が大体一千人以上あるような港には出張所を置くということにしていらっしゃるように伺っておりますが、それで誤りございませんでしょうか。
  166. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 確かにそのとおりでございます。
  167. 水口宏三

    水口宏三君 それでは現在、まあ現在というのは、今度の設置法でもって四カ所ふやすわけでございますね。現在、出入国指定港というものが——現在じゃない、これは前の調査になりますが、四十五年九月ですか、百十三港あるわけですね。このうちでもって出張所のない港というのはどのくらいあるのですか。
  168. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 現在出張所を置いてあるのが八十一港でございます。もしこの四港をお認めいただきますと八十五港になるわけでございます。
  169. 水口宏三

    水口宏三君 八十五港とすると、結局あと二十八港ばかりは置いてないわけでございますね。そういうところに対しては、現在は他の出張所からの出張員とか、そういう形でもって事務を処理していらっしゃるんだろうと思いますけれども、今後の状況で新しくまた出張所を置く必要が出てくるというふうにお考えになっているのか、あるいは現在のような体制で十分事務的に処理できるというふうにお考えになっているのか。もしまた来年置くというような、毎年毎年あとを追っかけて置くというのもおかしなことだと思うのですけれども、どんな港に置く予定でいらっしゃるのか、それらの点をまとめて御答弁いただきたい。
  170. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 大体の基準は先ほどのとおりでございますが、   〔理事町村金五君退席、委員長着席〕 現在、日本の各港における、あるいはその周辺後背地の経済発展が非常に急速に伸びておりますが、こうした産業状況、またそれに伴う出入船舶の増大、外国人の出入の増加、こういった状況をにらんで、また地元からの非常にいろいろな陳情その他事情を聞いてみますと、どうしても置かなければならないという港が毎年出てくるわけでございまして、ただ、一ぺんにある程度のものをつくればいい場合もございますが、予算上、定員上のいろいろな制約がございますので、やはり私たちとしては、いままで毎年四カ所くらいの形で出張所をつくってきたわけでございます。今後の見通しといたしましては、現在かなり強い要望を受けておりまして、来年度の予算要求といたしましては、現在考えておりますのは、大船渡、八代、日立、佐伯、石巻、東播磨及び佐賀関の各港に出張所を設置したらどうかということで、いま関係省庁と協議中でございます。
  171. 水口宏三

    水口宏三君 出張所の問題等についてはまたあとの行政整理の関連で伺いますけれども、一応今回四カ所設置をする、これに要する人員というのは、審査官四人、あるいは警備官四人ということで八人の人が必要になるわけですね。問題はむしろ、これら八人の人が必要になるけれども、来年度の予算によってふやされる人員というのは、ほとんどこれは羽田、伊丹に回されて、これらの港に新しくつくられる出張所にはほとんど回らないのではなかろうかというふうに伺っておるんですけれども、もしそういう場合に、この出張所の設置によって必要とする八人の増員については一体どういうふうに処理なさるおつもりですか。
  172. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 現在この御審議いただいております法案では、四港出張所をつくっておりますが、これは四十六年度の予算でもう決定済みでございまして、その際には実は定員の増加はございません、今後つくっていく出張所につきましては、各港二名程度のものをぜひ確保したいという線で、現在関係省庁と連絡中でございます。
  173. 水口宏三

    水口宏三君 それでは、この四カ所についてはもう定員は確保されておる、増員されたということでございますか。
  174. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) この四カ所につきましては、定員の予算要求はいたしたのでございますが、全般の考慮から、この仕事は事務所の審査官が船が入るたびに臨時出張いたしましてまかなってきておった港でございますが、それではまかない切れなくなったということで、迅速適確を期すために地元に出張所員二名をもって設置するということになったわけでございますが、その仕事量はその分だけ事務所のほうの仕事は減ってきたという一つの筋道もございますが、とりあえず予算節約の意味から、定員の増加はなかったわけでございますが、現在予算的にこの設置という問題は、予算面では一応事務費その他は解決しておる、こうなっております。
  175. 水口宏三

    水口宏三君 それじゃ、一応この四カ所の設置につきましては、これらの事務所の人が出張して事務を処理していた。その出張所ができるので、むしろそれらの人々がそこに定着することによってむしろ人員の補充というものはあらためて行なわないということでございますね。それはわかりました。  そこで、これは先ほどの国際空港の問題とも関連するわけでございますけれども、飛行機によって、あるいは船によっての出入国者数というものは急速にふえていきつつあるのが現状だと思う。当然出入国者数は非常にふえていく、たとえばこれまで十年の統計を見ても、大体入国者は三・五倍になっておる、外国人の入国数は。それから日本人の出国数は六倍になっておる。こういう状況は今後ますますふえこそすれ減らないのが実情だと思いますけれども、それに伴って当然出入国管理事務は非常に繁忙になり、ふえていくと思いますけれども、こういう業務量の急増に対して、一番短絡的に言えばそれだけ人をふやせばいいということになるだろうと思いますし、また、法務省のほうでもそういう定員増を要求なさっていらっしゃるでしょうけれども、いま私の伺った範囲では、当面むしろ定員増ということではなしに、職員の研修と申しますか、そういうものを充実されて、できるだけ一人一人の職員の資質を向上さしていく、事務能力を向上さしていく。なおかつ、施設、機動力を充実して業務の合理化をはかっていく。そういうことによってできるだけ対応をしていくんだというような計画はお持ちだと伺っておりますが、とかくこういう状況というのはそれを担当する職員の労働強化につながると思うのでございますけれども、それらの点について法務省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。これは特に法務省全体の労務管理の問題とも関連すると私は思うので、法務大臣に伺えれば非常にいいと思います。
  176. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 法務省全体に、たとえば民事局にしましても何にいたしましても、事務分量がだんだんふえてきておることは事実でございます。そういう意味からいたしますと、ただいまお話しのように、できるだけ研修をやる、あるいは手続の簡素化、あるいは定員増加ということでありますが、何しろ人手不足の時代でもありますし、適当な人がなかなか得られない、こういうような事情もございます。そういう意味からいたしますと、できるだけ機械化、それから出入国管理につきましてはやはり法制上の欠陥があるのじゃないか。でありまするから、出入国管理法、ことに、これは船舶で長期滞在を要するような時代のことでありまするから、飛行機で、しかも大量に外国人が来るというような状態には適合しない面がかなりあると思います。また手続にいたしましても、そういうような状態のもとに考えられた手続でありまするから、もっともっと簡素化する余地はありますので、ただいま鋭意検討して、新出入国管理法というようなものを将来出したい、こういうように考えております。
  177. 水口宏三

    水口宏三君 これはきょう私が申し上げましたように、そういう出入国者が急増しているのに対応していく対応のしかたとして、いま法務大臣最後におっしゃいました、手続を簡素化する、これは一つの方法だと思うのです。ところが、なかなか簡素化といってもやりにくい面、これは実際の官庁事務というものはなかなか、何回も言っても簡素化されないのが実情だと思うのです。むしろ問題はそれ以前に、現在のこういう状況に対応するために、先ほど申し上げたように、研修によって個々の職員の資質を向上さしていく。あるいは新しい施設をつくって、機動力を合理化をはかっていくというようなことを伺っておるのでございますけれども、繰り返すことになりますけれども、こういうことが職員のむしろ労働強化につながるおそれがあるということを私は非常に心配しておる。したがって、法務大臣のおっしゃった基本的な対策は対策として、これまでに、それじゃあそういう業務量の増加に対応してどのような研修を行ない、どういう効果を上げているのか。あるいは、施設等を新しくつくって業務を合理化したと言うけれども、予算上どういう施設を新しくつくって、どういう合理化をすることによってそういう事務量の増加をさばいていらっしゃったのか、その点を伺いたいと思います。
  178. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 詳細は入管局長なりから御説明させますが、いずれにいたしましても、現在までは非常に、機械化することなどによってやってきておるわけであります。また、人員、定員の増加によりまして、労働強化されているというところまでは、一般の事務についてはまだいっていないのじゃなかろうか、私はかように考えておるのであります。まあ、労働強化にならないようにいままではどうにかやってきたということではないかと思いますが、詳細は入管局長から説明させます。
  179. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) こまかい予算の数字はいまここで持ち合わせておりませんので、概略申し上げますが、事務の簡素化の点は、法制にかかる面と、それから行政運営上合理化できる面と、そういった面をそれぞれ探求いたしまして、能率をあげるように簡易化しておるわけでございます。施設のほうにつきましては、職員の厚生施設などの充実をできるだけはかるようにし、勤務に対して過重負担にならないような配慮をいたしておるつもりでございますが、心ずしもまだ十分といえない状況でございます。もちろん訓練のほうはいろいろな、高等科研修、普通科研修、事務官研修の初等科研修とか警備官の初任科研修とか、いろんな研修コースがございますし、また語学力その他が非常に事務能力に、あるいはまた本人の事務促進上も関係があるわけでございますが、それぞれ会話学校へ通わせたり、大学に委託いたして特殊な研修をさせまして、また庁内におきましても自庁研修で、テープレコーダーその他先生を呼んできたりして研さんにつとめている、そういう状況で、できるだけ能率をあげて、事務負担を適確迅速にさばいていくというような方法を常時心がけているつもりでございます。
  180. 水口宏三

    水口宏三君 これはむしろ質問よりあれでございますけれども、いま御説明のように、実際に働いている人たちがいろんな研修を受ける——英語を習うとかさまざまなことをやるということ、そのこと自体がその人にとって非常に負担になるわけです。やはり事務量がふえていくのだから手は休められない。それをさらに本人に対していろんな研修とか、こういう形でもって能率をあげるようなことを、いろんなことをやらせるということは、二重に職員の負担というものが重くなっているのじゃないか、こういう気がいたしますが、それらの点については十分御配慮願いたいと思いますし、今後機会がありましたら具体的事例についていろいろ御質問申し上げたいと思います。  最後一つ、現在政府で実施中の計画的な人員削減についての法務省の対応のしかたについて伺いたいと思うのですけれども、大体人員削減につきましては、政府計画として、四十五年度四百十九人、四十六年度四百十八人というふうに要求されていらっしゃるのだろうと思うのです。問題はむしろ、一番国民生活に関係の深い登記所等の人員の増加というのはあまり考えられてない。逆に公安調査庁では、四十五年、四十六年とそれぞれ二人くらい公安調査官が増員されているというふうに私聞いているのでございますけれども、これが事実といたしますと、むしろ公安調査官の任務、しかもその根拠法である破壊活動防止法というものが成立したそのときの状況等を振り返っていただくならば、いまの状況であえて公安調査官をふやし、最も国民生活に密接な関係があり、むしろサービスを増加しなければいかぬ登記所等が、職員の過重負担、事務の渋滞を引き起こす、こういう形の中で人員削減をやるのは納得できないのです。これらの点についてどのように考えているか、これはむしろ法務大臣に伺いたい。
  181. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 人員の問題になりますと、率直にいってどれも事務分量はふえているという、こういうことでございます。ただ機構の問題になりますと、率直にいいまして登記所のほうは、だんだん過疎地帯で仕事の分量が少なくなっている面、それから非常に仕事のふえている地帯、こういうような問題があるわけであります。ただ、これを急速にそういう配置転換をやるということになりますと、なかなか地方の人に不便をかける。と申しまして、現在いわゆる一人庁という一人だけの登記所もずいぶんあるわけでありますが、そういうところでは、まあ人間が必ずしも合理的に使われていないのでありまするから、まあ徐々ではありますけれども配置転換をやって、合理的にいわゆる増員ももちろんやらなければなりませんが、事務の結局合理化ということに相なるかと思います。また公安調査庁のほうは、機構的にいいますと各府県に一支部といいますか、そういうものがあるわけであります。機構上はこれはただいまのところ廃合整理というようなわけにはまいりません。まあ仕事の分量からいいますと、やはりふえておるということに相なるかと思いすすが、まあそういう点で、増員をしてただいままできたのだと思っておりますが、いずれにしましても、まことに、最も合理的に人の配置を考えていかなきゃならぬということにつきましては、法務省全体として常に注意を怠らないつもりでやっております。
  182. 水口宏三

    水口宏三君 じゃあこれで質問を終わりますけれども、最後に、いまの法務大臣の御答弁で納得できないのは、公安調査庁の事務がふえるというのは、これは国民の要求ではないわけなんですね。これは全く政府の、いわゆる公安調査という形での、いわばわれわれに言わせれば戦前の特高的な事務を意識的にふやしていくからふえるのであって、国民生活の中から要求されている事務量の増加ではないと私は思う。ところが登記所等については、これはもう当然、こう社会が複雑になってくればますます事務がふえてくるのは当然なんです。そういう場合には、もちろん過疎過密の問題はありましょうけれども、ただ、いきなり配置転換ということで地方から東京のまん中に生活を移すということは、職員にとっては非常に大きな犠牲を払わなければならない。これはぜひ慎重にやらなければならないと思います。これこそ国民生活から出てくる要求であり、この国民生活に有効に対応することが私は行政の基本だと思う。行政需要に対する有効な対応が基本じゃないか。いま法務大臣のお話を伺っておりますと、公安調査庁のほうもふえてくるからこれはやむを得ない、登記所のほうは多少過剰負担になるかもわからないけれどもある程度人員の配置転換でまかなっていくというふうに私聞きとれたのですけれども、これはどうも何か考え方が逆ではないかと思うのですね。その点についてさらに法務大臣の御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  183. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ちょっとその前に数字的に……。
  184. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) ただいま水口委員指摘の公安庁の増員の数字でございますけれども、御指摘のように公安庁は昨年の増員で二十名ふえましたが、別途三・五%削減計画に基づきまして十九の削減がございますので、プラス一のネット増でございます。これに対しまして法務局は、二百人の増員で削減が百二十二でございますから、ネット七十八ということで、御指摘のように公安庁がネット増で法務局がふえないということではない。むしろ法務省の増員の重点は法務局にあった。法務省全体の増員は全部で四百八十四でございますから、そのうちの二百は法務局にいっておりますので、法務省といたしましては最も増員の重点を法務局に置いているということは事実でございますので、御理解いただきたいと思います。
  185. 水口宏三

    水口宏三君 それではぜひ、むしろ公安調査庁のほうは減員していただいて、その分だけできるだけひとつ登記所等の、国民の要求する事務に対応するように今後法務省がおとりになるように大臣にお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  186. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御趣旨につきましては私も全く同感でございます。
  187. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私も、今回の設置法の改正にあたりまして、二、三関連をいたしまして質問いたしたいと思います。  もうすでに同僚議員から話がいろいろあったと思いますので、できるだけダブらないようにしたいと思うのでありますが、初めに、今回羽田から成田のほうへ移るにあたりまして、私は成田のほうへ移っていく職員の処遇の問題、これをちょっといろいろお伺いしたいのでありますが、先日私も羽田のほうへ参りまして種々お話をお伺いしました。まだ学校の関係とか、あるいは夫婦共かせぎの関係とか、そういうふうな関係で成田のほうに移ることがきまっていない職員の方がたくさんいらっしゃるようなことをお聞きしたのですが、どの程度の方が向こうのほうへ移ることになったのか、またどの程度の方が残ることになったのか、また移らない職員の方々のために現地でどの程度の補充でやるおつもりなのか、そういう点、初めにお伺いしたいと思います。
  188. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 現在羽田の定員百七十四名でございますが、そのうちその家族構成、子弟の教育状況、住居問題、そういった問題で各人につきましてきめこまかく相談いたしまして調べた結果、現在八〇%、約八〇%の現職員が成田のほうに転勤することに同意しておるわけでございます。残りの二〇%の補充転換につきましては、この三月末が定期異動の時期でございますが、それまでにいろんな近辺——その他の事務所、港出張所、そういったところとの配置転換を考えて補充する所存でございます。
  189. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その程度では、それじゃあ概略ですね。私はもうちょっと突っ込んでお伺いしたいのでありますが、まず初めに、局長は羽田の入管の所長さんの部屋には何回も行かれたことがありますか。
  190. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 参っております。
  191. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 何か感じたことないですか。
  192. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) たびたび参っておりますが、特に感じたといま新しく申し上げるようなことも思い至りません。
  193. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それではそれでいいです。私、実は先日委員長と一緒にお伺いしました。所長さんの隣の部屋ね、あれ総務課ですね。空気悪いね、あれは。感じませんか。あれ、とにかくもうものすごく空気悪いですわ。あれどうなっているのですか。
  194. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 私もしばしば参りましたが、短時間しかおらなかったせいか、特に呼吸困難を感ずるような空気の悪さまでは気がつきませんでした。全般的にあのあたりはやはり空気は汚染しているのではなかろうかということは心配しております。
  195. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その程度じゃいかぬ。われわれも局長の部屋に何十時間もおったわけじゃない。ほんのわずかしかおらなかったのですよ。ぼくは何でこんなことを言うかというと、職員の皆さん方の勤務状態といいますか、そういうような勤務態勢、あるいは勤務の時間帯、あるいは勤務の場所、そういう場所をきめる場合、私も何も現地へ行っていろいろ見る心要はなかったわけでありますけれども、やはり実際にどういうぐあいになっているかということを確認する必要がありますからね。成田にも皆さんと一緒に参りましたし、また今回も現地へ行ってまいりました。非常に空気は悪いのですよ。あなた呼吸困難なんて言いますけれども、呼吸困難じゃなかったらだいじょうぶだなんてあなた思っているのですか。とにかくあの総務課の部屋がかすんで先が見えないのですよ。これはそんな大きな部屋じゃないのですよ。これはちょっとオーバーかもしれませんが、けれども非常に悪いのです、ほかの部屋と比べて。全般に悪いのかもしれませんけれども、あの部屋は特に悪い。隣の所長室はものすごくいい。ほんとうですよ、行ってごらんなさいよ。委員長、そうだったでしょう。事実そうなんですよ。ですから、これから少なくとも羽田へ転勤する前の何カ月間はあの部屋で働く人がいるわけですよ、現実にね。私はああいう人たちのいわゆる勤務状況、環境というものをよくしていかないといけないというのが、私はまず第一だと思うのです。だから私はよけいなことを言うのですがね。その点について、やはり慎重に調査をして、それで、やっぱり勤務環境をよくしていくというのが私は皆さんのつとめじゃないかと思うのです。これはどうですか。
  196. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 御指摘のように、羽田の事務所の環境は全般的に見まして必ずしも良好でないという点は私たちもかねて懸念しておったわけでございますが、いろいろ予算その他の面で制約のある点もございまして、できる限り通風機その他を配置するようにして改善はいたしていきたいというふうに心がけるつもりであります。
  197. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その辺私はあまり一々ひっかかりたくないのですがね。非常にいろいろな問題があるんですよね。何かその初めて聞くような、びっくりした顔をしてあなた見ておられますけれども、そうじゃないんだ。やっぱり皆さんが本気になって職場の状況を見ようと思っていけば、幾らでも直さなければいかぬところはあるんですよ。現実の成田の場合、羽田と比べれば、もう業務量もうんとふえるし、それから設備関係も十分拡充されるとは思うのですよ、私は。けれども、やはり羽田の感覚と同じような目で見ていけば、今度の新しいところは、わあものすごくよくなった——ほんとうはそれがあたりまえであるにもかかわらず、よくなったという見方しかできないのです。やはりそれでは私はいけないと思うのです。少なくとも勤務状態はちゃんといい——いまあなたは予算のことをおっしゃいましたが、現実に私はおたくの事務所へ参りまして、あの所長さんはじめ皆さんからいろいろ状況をお伺いしました。そういうときに、やっぱりそういうことばがぼっと出てくるのですよ。ぽっと出てきたというのは何が出てきたかといいますと、要するに、これはちょっとお伺いしたいのですが、入管の皆さんの職員の働くところと、税関の皆さんの働くところというのは大体同じですか。勤務態様はどうですか。
  198. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 私の了解しております限りでは、どちらも三交代制で二十四時間オープンということになっておりますので、ほぼ基本的な線は同待遇になっておると思います。
  199. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうなんですよ。あなたのおっしゃるとおり、法律上、私も法律をずいぶん調べてみましたが、みんな一緒なんです。給料も手当もみな一緒なんです。ところがあなたのほうの所属長からは違うという、待遇が違うという話が出てきたのです。どういう点が違うのですか。
  200. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 原則としてほぼ同様であると了解しておりますので、もう一度どういうふうに違うというふうに現地の者は申しましたか、調べてみてから御返事申し上げることにいたします。
  201. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは私だけ聞いたわけではない。違うんです。委員長も一緒に聞いたんですから、ほんとうなんですよ。違うと言うているのです。あなたの下の次長さんも一緒にいなさって、そのことは、私が質問するぞということはもう言うているのです。それをあなたが聞いていないということはいかぬな。これはきょう通すわけにいかんぜ。これは具体的に言いますと、あなたは税関のほうと勤務の状態はみんな一緒だと、法律上も一緒だと心得ていると、こうおっしゃいましたね。それは私もいろいろ帰りまして給与の体系やらいろいろな点調べてみましたら、みんな一緒なんです。一体どこが違うのかと調べてみたら、やっぱり違うんですわ。もう一回具体的に、これは私から申し上げるよりもあなたから回りの人に聞いてみて下さい。
  202. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 相違があるとしますと、各官庁ごとにいろいろ超過勤務とかその他の施設をつけるぐあいが、各省の予算によってまかなわれておりますので、そういう面からの相違が出てくる、あるいは服装などにいたしましても、それぞれの省のほうの規定で服装その他も、被服を支給しておりますので、そういった点で差異が出てくるのはやむを得ないかと思います。
  203. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 わかっているじゃないか、ちゃんと。いまあなたがおっしゃいましたように、私たちが現場では要するに税関のほうと待遇が違うのだという話を聞いたわけです。ところが、よくよく調べてみると、法律上はそう変わらないようになっている。しかしながら、いまあなたがおっしゃったように、先ほども私が環境の問題を話をしたら予算という問題が出てきた。また今回もその超過勤務手当の問題等をいろいろ詰めていきますと、やっぱりまた予算という問題が出てきた。私は、働いている場所が違い、勤務態様が違うならば、これはかまわないと思うのですね。しかしながら、少なくとも省庁は違え、同じ勤務態様、同じようにつとめているならば処遇は同じでなくちゃいけないと思うのです。これは大臣どうですか。
  204. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) おっしゃるとおりで、もちろんちゃんとつり合いをとっていかなければならぬことは事実であります。ただ、まあ従来からそういうようなことがあるのではないかと私も想像いたします。したがって、それはできるだけ直していかなければならぬという問題だと思います。
  205. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまの大臣の答弁、直していかなければならないという大臣の答弁を私は了としますけれども、これはやっぱり大臣がこういう点について知らないというのではいけないと思うのですよ。やっぱり現実にどういうぐあいになっているかという点は具体的に調査をして、そうして現場の皆さんの声も聞いて、そうしてそういう点を具体的に一つずつ直していかなければこれはいけないと私は思うのですよ。これはいろいろと予算的の面の締めつけは大蔵省のほうからあるかもしれませんけれども、それだけでこれを処理してしまったのでは、私は現場の皆さんはやはり働く意欲をなくしてしまうと思うのです。だから、そういう点ではこれは各省庁違いはあると思うのです。思うけれども、先ほどから言っておりますように、少なくとも働く場所が同じで、それで同じような仕事をしているような場合は、しょっちゅう顔を見合わせているわけでありますし、これは要するに違ったらおかしいわけです。そういう点はいま大臣からもお話がありましたが、さっそく調査をしてちゃんと取り組んでもらいたいと思うのですが、どうですか、局長
  206. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 御指摘の点は、重ねて、私たち心配しておる点でございますので、できる限りの調査をしまして、是正していくように努力いたすつもりでおります。
  207. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 しかも、私が先ほどから言っておりますように、こういう環境で働いている方々はとにかく平均年齢が四十歳だというのですね。若い人がそういう環境で働いているのではなくて、年がいってから働いている。そういう人ですね。これはやっぱり、——私は先日の衆議院の議事録等も読みましたけれども、こういうところで働いている皆さん方が非常に病気にかかる可能性も強いし、いろいろな面で苦労していらっしゃる話を聞いてまいりました。こういう方々の健康管理という面については、これはどういうぐあいにお考えなんですか。
  208. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) できるだけ厚生施設その他を充実しまして、また勤務が過重にならないように平均化し、そういう遺憾な事態を防ぐように努力していきたい思います。
  209. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまの答弁、あまりうまいことを言わなくてもいいですから、やっぱり実のあるあれをやってもらわぬとね。やっぱり実際にこういう方々は年もいっていらっしゃる方も多いわけですし、やっぱりそういう方々の健康を管理する面については、具体的に、たとえば普通の人よりも健康診断の回数をふやすとか、また、胸のレントゲンのぐあいをもっとふやすなり、またあるいは皆さん方の専門の方が現場に行って——われわれしろうとが見ても、こんな澄んでないですよ。さっき言いました総務課の部屋なんというのはほんとうに曇っているわけです。とにかくこんな広い部屋じゃないですよ。この中ぐらいですかね。その部屋に、人間がいないんじゃない、いるのですよ。それで、しかもだいぶ空気が濁っているというのがすぐわかるのですから、ですからそういうような問題を具体的に皆さん方が現場へ乗り込んでいって、そして現場の状況をちゃんとつかんで、そしてそういうような問題は早急に手当てをする。それが結局は親身になっての健康管理だと私は思うですよ。ただ単に模範答案を書くみたいな答弁では私はなかなか納得できないですがね。その点はどうですか。
  210. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 先生御指摘のとおりに、こまかい点についてさらに調べまして、これは羽田だけではございませんので、ほかの入管関係の事務所にも問題があり得るわけでございますので、具体的な措置を講じていくように努力いたしたいと思います。
  211. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それからもう一点私の心配のことがあるのですが、いま羽田にいらっしゃって成田へ行けない事情のある方が二〇%いらっしゃいますね。こういう方々の処遇についてどうお考えですか。
  212. 吉田健三

    政府委員(吉田健三君) 第一義的には、本人たちの希望を聴取いたしまして、希望の事務所への配置転換を考える、あるいは先ほどおっしゃいましたような夫婦共かせぎとか、あるいは住宅の関係でその地を離れられないような事情の人につきましては、近辺の事務所がございますので、そういったところで仕事をやっていただくと、そういうことに相なろうかと思います。
  213. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まあこの問題については、これは非常に一人一人働いていらっしゃる皆さんにとりましては、これは勤務場所がそういうように大きく変わるというのは非常に大きな問題だと私は思うのですね。そういう点から考えてみますと、一人一人やっぱり事情がおありと私は思うんです。そのためにはそういう方々を、先ほど私、答弁聞いておりますと、来年の六月移転までは相当日にちもあるから、これからねんごろにじわじわと締め上げて、それまで来年の六月ごろまでには全部納得させてやろう、そういうふうなお考えではないと私は思いますがね。いまおっしゃったようにそれぞれ本人の希望を聞いて配置転換をさせるのだと思うんですがね。そこら辺のところ、やっぱり慎重にやっていただきたい、このことを要望しておきたいと思うんですが、この辺のことも含めまして、大臣どうですか。
  214. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまお話しのとおりだと思います。私みずからも、やはり家庭のいろんな状況を書いた調査票をつくって、それによっていろいろとむしろ異動する側から十分事情を考えてやっていくべきである、なかなか本人に希望をと言いましても、言いにくかったりあるいは理由をよう言わぬ人もあるし、いろいろありますから、それくらいの配慮はしてやるべきだと、かように考えます。
  215. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃあと二つ、三つお伺いしておきたいと思います。  一つは、先般の予算委員会の分科会でも質問したことでありますが、登録免許税ですか、の問題についてちょっと二、三お伺いしておきたいのですが、この問題ですね、まず一つ——大体三つほど問題点があるのですが、まず一つは、清算結了の登記というのがありますね。この登記は、実はここに法律を持ってきておりますが、これは一表の中に出ておりまして、この中の別表第一の十九の(一)のツ、「清算の結了の登記」というのが、これは一件千円なんですがね、これは本店の場合は。支店でやりますとこの登記は三千円と、こういうようになっている。この点は非常に不合理じゃないかということを法務省当局に質問しましたら、この問題については、これは大蔵省の管轄であるから大蔵省のほうと相談をして、それでこういう問題について是正をするかどうか相談をする、こういう答弁を法務省当局がしていらっしゃるんですが、こういう点についてはどういうぐあいにお考えか。これは法務省当局と大蔵省当局にお伺いしたいと思います。
  216. 福田幸弘

    説明員(福田幸弘君) いま先生御指摘のとおりになっておりまして、本店で各種登記事項を登録する場合は、清算の場合は一件につき千円、支店の場合は三千円でございます。本店についての各種の登録がございまして、その場合にはいろいろその内容によって、率でいく場合もありますれば、また金額、一万円から最低が清算結了の千円でございます。こういうふうに非常にケースに応じた区分を設けておるわけですが、支店の場合は、理由としましては、簡素化と申しますか、一律一本で三千円ということになっておりまして、御指摘の点だけ見ますと、千円と三千円という点は確かに問題があるかと思いますが、これは法務省と連絡して、今後いかにこれを全体の税負担ということでバランスを見るかということで、検討したいと思います。
  217. 川島一郎

    政府委員(川島一郎君) ただいま大蔵省のほうから説明がございましたように、私どもといたしましてもこの点は確かに不均衡を生じているというふうに考えますので、大蔵省といろいろ御相談いたしまして改善の措置を講じたい、このように考えております。
  218. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はそのほかの——また同じ答弁になると思うんですよね。私は、両方いるんですからすぐ相談したらいいんですよ。これは要するに、前の予算委員会のときに1私が問題にしたいのは、昭和四十五年の四月十三日の予算委員会のときに答弁をしているわけです。それが一年たっても何ら処置がなされていないということが私は問題だと思うんですよ。相談すると言ったからには、国会の席上で、委員会なら委員会の席上でこういうふうにしたいと答弁されたからには、やはり具体的に何らかの答弁をしてもらいたいと思うし、処置をしてもらいたいと思うんですよ。そうでないと、こういうような問題を委員会で取り上げて質問する値打ちがないんですよ。ですからそういう点ではさっそく、いま両方から相談するという話があったわけでありますので、やってもらいたいと思うのであります。  もう一つは、商業登記の場合も同じなんですね。これは要するに、たとえば役員変更の登記の場合は五千円になっているわけですね。ところがたった一字間違えたというような場合、更正登記をやる場合、これは更正登記ですと一万円かかる。これもやはりちょっと不合理じゃないか。この問題についても現実に司法書士会とかそういうところから請願とかいろいろな形で出ているわけですね。たとえば役員変更という問題は、二年に一ぺんなら二年に一ぺんありますので、そういう点も考えてやっていらっしゃると思うんですが、たとえば、現実に役員変更の登記を申請をするという場合、司法書士の場合は手数料が大体二千円です。ところが実際の場合、司法書士が一字間違えた、一字訂正するのに一万円かかる。やはりちょっと一般的に考えておかしいんじゃないかと思うんですよね。これはおかしくないと言われればそれまでですがね。  それからもう一つ、不動産の登記の場合も、これも司法書士会のほうからいろいろと請願の書類等が出ていると思うんですけれども、これも抵当権の設定の場合と抹消の場合の登記のやり方が、また手数料の問題ですけれども、これもまた、これは大蔵省の管轄だなんて法務省はずいぶん言ったらしいんですけれども、きのう大蔵省に聞いてみたら、大蔵省の人はこれは法務省のほうが問題なんだ、こう言っているわけです。これはやはり抹消するときには、これは手数料的な意味があるんだ、これは一筆五百円なんだ、こういうふうに互いに同じ仕事をやっていて、これはそういうように食い達っちゃいけないと思うんです。こういうふうな不審の出てくる問題、また不合理な問題等は、これは早急に改めてもらわなくてはいけないと思いますし、処理をきちんとしてもらわなきゃいけないと思うんですが、大蔵省並びに法務省当局は、それぞれの問題についてどういうぐあいにお考えか、お伺いしたいと思うんです。
  219. 福田幸弘

    説明員(福田幸弘君) 最初の清算の関係の、支店につきまして細分化することがいいか悪いかという問題があるわけです。それからあと御指摘の点、選任登記と更正の場合でございますが、更正は非常に例外だと存じますし、錯誤とか遺漏による場合もあるわけですが、この辺の税負担との関係、抵当権の抹消登記の点、これは手数料的な問題ですが、これは当然のことながら十分検討するということで御了解いただきたいと思います。
  220. 川島一郎

    政府委員(川島一郎君) お示しのその他の問題につきましても十分検討をいたしたいと存じます。ただ、御指摘になりました問題のうち更生登記の関係でございますが、まあこれは考えようによりましては、更正登記はほかのいろいろな更正の場合との均衡、これをどうするかというような問題もございますので、そういう点も含めまして十分に研究をさしていただきたいと、このように考えます。
  221. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 登録免許税のお話でございますが、確かに先ほどから承っておりまして、特に清算登記のところのあたりは、かなりその部面だけを見ますと非常に検討を要することではないかと思うのでございます。ただ、私が知っております限り、この登録免許税は終戦後からずっと問題になっておりまして、昭和四十二年に初めて明治以来の登録免許税の抜本的な改正をやったわけでございます。おそらくこの問題を検討するにあたっては、ひとりいま先生の御指摘の問題だけでなくて、さらに通じて全部にそういう不均衡がないかどうかということもあわせて検討を要するのではないかという感じ、これは私の個人的な意見でございますが、率直にそういう感じがいたすわけでございます。この点、われわれも御指摘に従いまして直ちに検討を開始いたしたいと思います。そして明らかに不合理な問題につきましては、大蔵当局とも相談いたしまして是正いたしたいと思いますが、全般的ないろんな議論のある問題については、何ぶんにももう二十年間研究のものとして四十二年にやったわけでございますので、かなり広範な再検討が必要ではないかと、こういうふうに率直に思うわけでございます。
  222. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣がもうおりませんので、これで終わりますけれどもね。いまの政務次官のお話を聞いていますと、これから検討をしようという面と、やめておこうという面と、両方あるな。言うたら、要するに長年明治以来のやつを四十二年に改めた、確かに不均衡な面もあるだろう、非常に広範囲な問題だ、だからそう簡単にはいかぬぞと、そうはおっしゃっていないですけれどもそういうような面と、おっしゃったことはよくわかるから前向きで検討したいという面と、両方ある一わけですよ。そうでなくて、やっぱり具体的に昭和四十五年からもう指摘しているわけですよ。そのときも、ちゃんと打ち合わせして、一ぺん読んでみましょう、これ。「十分そういった点を是正する必要がございますので、大蔵省に、関係当局とも十分相談いたしてみたいと思います。」と、ちゃんとこう——全部読みません、最後のほうだけ読んだわけですがね。こういうぐあいに出ているわけですよね。それをいつまでもほうっておくというのはよくない。委員会等でやっぱり答弁をしたら、その問題については少なくとも何らかの処置をとる、処置をするというのが私は少なくとも政府側の姿勢でなくてはいけないと思うんですよ。その点を再度指摘をして、私の質問はこれで一応終わりたいと思います。
  223. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) いま峯山先生のおっしゃったことは全く同感でございます。いずれ具体的に御指摘の問題を詰めまして、そして具体的な回答を出したいい思っております。
  224. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  225. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 速記を起こしてください。  それではしばらく休憩いたします。   午後三時四十八分休憩      —————・—————    午後三時五十一分開会
  226. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  国家公務員法等の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  227. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間の制限のあることだから多くを聞きません。ただ、一点についてただしたいと思うんですがね。  それは、この専従の問題ですが、専従を制限して大きく公務員法を改正したりしてきました。しかしこれは一体本筋なのかどうか。これは経過というものを考えてみますというと、労働三権を非常にこれは制約してきました。そういう中で、公務員労働組合がいままで、戦後歴史的に確保されてきたところの在籍専従、こういうものを認めておった。そういうものを非常に制約したんです。したがって、その点で一体この問題、どう考えるのか。単にこれは、三年を五年に延ばした、これは一つの現時点においての改善だということは、これは私も認めます。しかし、基本的にはやはり公務員労働者の基本権、ことに労働三権、こういうものを一体尊重するのかしないのか。そうして、一体こういうような形でもって専従を政府の制限下に置いて、そして期間を単に操作するということだけでこの問題をいつまでまかなっていくのか。これは、私はいままでの歴史的な立場から、また公務員というものは、これは諸外国の例から見ましても、当然これは労働三権、そういうものを守られるべき日本の立場、そして米軍の半ば占領下にあるそういう状態の中でこういうものを押しつけられてきた。これをそのまま一体継続するのかどうかということは非常に基本的な重大な問題であります。したがいまして、私はこの一点について現状のままでこれはいいのか、それともはっきり、これはいままで認められてきたILOやあるいはこの労働者の当然の基本権利として公務員労働者もこのような権利のもとにこれは立ち戻らなきゃならない、こういう要求もこれは持っているわけです。いままで絶えずその主張がなされてきた。しかし、これが一方的に政府によって制限されてきたというのがいままでの経緯だと思うんです。したがって、この問題を基本的な問題として、一点、私ははっきりただしておきたいと思います。
  228. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) まさにその問題が、第三次公務員制度審議会でもやはり議論の中心点の一つになるだろうと思います。ことに最近では、司法の立場において、行政罰まで含めて刑事行政罰等に対する処分に対する否定的な一審等の裁判結果等も出ておりますから、確かにそういう問題点は私もあることは認めます。しかしながら、政府としてはそれぞれの当事者においてやはり控訴しておりますし、最終的な最終審というものでもありませんから、政府の姿勢というものは、いまのところ変わったかと言われれば、変わっていないということであります。それに対する論議は、今後第三次公務員制度審議会の論議について耳を傾けていきたいと思うんです。
  229. 岩間正男

    ○岩間正男君 結局は、基本的なそういう権利というもの、そういうものは尊重しなきゃならないし、また国際的にもそういう点を明らかにされているし、それから当然、これは労働者の基本的な立場に立てば、そういうものを尊重するたてまえに立たなくちゃならない。しかし、従来の慣例とか政府の措置、そういうものによって、このたび期間の延長ということで、中間的な暫定的な措置をやっておるんだ、こういうふうにわれわれは考えたいと思うのですけれども、長官の答弁の中にもそういうところはにおわしておったのですけれども、しかし、この点については十分これは今後検討すべき問題じゃないか、制度審議会でもこういう意見が出されておるんでありますから、そういう結果は、ほんとうに部分的に期間の改善をしていく、そういうふうにこれはわれわれとして考えざるを得ない。この点明確にしておきたいと思います。答弁はどうせできないでしょうから、これでいいです。
  230. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間の関係があるそうですから、この問題は、公務員制度審議会の問題については、これはこの次の給与等の委員会のときに質問したいと思います。  最後一つだけ、先ほどの質問の続きとして、ILOの条約の問題ですけれども、日本ではまだこれを、ILOの総会で、六月二十三日ですから、その後批准をしていないわけですね、日本としては。先ほど専従職員のところはこうだとおっしゃったその答弁ですが、確かに賃金とかあるいは社会的及び付加的給付、これは喪失はしてない——確かに喪失はしてないけれども、今回の法律の改正によりましても、やっぱり復職時の昇給の問題とか、それから給与そのものに対する問題とか、退職年金、退職手当等、やはりある程度いろんな面で差別はあるから、全然ないのじゃない、そういう面から考えてみても、これはやっぱりある程度今後検討しなければならない問題だと私は思うのです。この点も含めて、このILOの勧告に対しては、総務長官としてはどのように考えていらっしゃるのか、この二点をお伺いして、きょうの質問はとりあえず終わりたいと思います。
  231. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) ILOの条約、あるいは勧告、そういうものは、これは労働省を中心にして検討をしておりますし、私の立ち会って聞いておりました範囲では、労働大臣は非常に積極的な姿勢を示していたようでございます、全体的に。したがって、それを中心に今後検討されることになりましょうが、いまの問題点となっている、「喪失することなく」ということについては、やはり喪失はしてないことは認めておられますが、専従期間というものがデメリットになっている点があるじゃないかということは確かにあります。しかしながら、それはバランスの問題であって、公務病傷による休暇等と同じように扱っていいかどうかについても問題のあるところでありましょうし、それぞれにバランスのとれた三分の二以内、二分の一以内等の区別がしてございますので、これらの問題点はバランスの問題として考えなければならぬと思いますから、この勧告があったからといって、わが国がとっておる措置はこれらの三つの並べられておる給付に対して、それを喪失したものということは断定しがたいものであると考えるわけであります。
  232. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ほかに御質疑はありませんか。——別に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  国家公務員法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  233. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  審査報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。暫時休憩いたします。   午後四時一分休憩      —————・—————    午後四時四十四分開会
  235. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のあるお方は順次御発言を願います。
  236. 岩間正男

    ○岩間正男君 この法案に関連する問題につきましては、結局大臣の都合があるそうでありますから、これはあとに譲りまして、いまこの問題になっています出入国管理法案の問題について関連してお聞きしたいと思います。  最近の新聞報道によると、法務省は、一昨年と今年の通常国会で野党の反対にあって廃案に追い込まれた出入国管理法案を次の通常国会に三たび提出する方針を固めて、法案の一部手直しに取りかかった、こういうことが伝えられているのでありますが、事実はどうなんですか、お聞きしたい。
  237. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) いずれにしましても、出入国管理法案、御承知のようにポツダム勅令で、現在の事例に合わないことについては、これは何人も認めておられるところであると思います。ただ、まあ次の国会に必ず出すという、そこまではきまっておりません。率直に申しまして、われわれも、私自身もまだ研究が十分だと思うところまでまいっておりません。いろいろとまた各方面の意見も聴取し、できるだけ早い機会に出したいとは思っておりますが、きまったわけではありません。
  238. 岩間正男

    ○岩間正男君 きまったわけではないというのですが、まあ報道の伝えるところによると、この次の国会に出したい、この次の通常国会をはずすと、先にいってなかなか困難だ、こういうようなことも伝えられているわけでありますね。そうしますと、二度出したが、これは非常に多くの反対がありまして、結局流れた法案であります。これを次の通常国会に出すというのには、それだけの理由がなければならないと思うのです。この点については、まあいろいろ技術的な問題でどうしても出すんだというようなことでありますが、もっと大きな立場から考えてみたら、どうなんですか。いままでの法案そのものが非常に問題になったのは、ある特定の第三国人に対してだけ非常に強圧を加える、こういうことなんでありますが、最近の情勢から考えると、これを強行しなければならないというどういう政治的理由、そういうものがあるのですか。この点どうなんですか。
  239. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまお話しのような点でわれわれ出そうという考えは持っていないのであります。要するに、現在の法制から言いますと、率直に言いましてまあ外国人が船舶だけでやってくる時代と、いまのような飛行機でどんどん人が大量に来るという時代、これはもう全く、手続から何から言いましても、変わっていかなければ時代に即応できないということであります。また、特殊の人に対してどうこうしようというような考えは毛頭ないのであります。まあ国全体として、外国でももちろんいろいろ措置をすることが規定されておりますので、外国と同様な、あるいは外国の例を調べまして、そうして国として当然講じ得るようにしなければならぬ点については、われわれもそういう措置を考えたいとは思っております。特定の国に対して、あるいは特定の人を特別にどうこうしようというような、こういうものは毛頭持っていない。少なくとも現在においては、そういう考え方でわれわれは臨んでおるわけではありません。まあその点、私も法案を検討してみたいと思っております。
  240. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう御答弁ですが、この前この法案が流れた。これは非常に多くの反対があった。その多くの反対というのは、いまの問題なんです。ですから、そういう問題というものはですね、これはこの法案から今度実際は抜くんですか。そういうものは抜いていくんですか。たとえば中止命令等の問題につきましては、活動の種類、場所の指定に関したもの、政治活動を行なった者に対する中止命令等についての規定、こういうことがあるわけですけれども、これは前回の法案と同じになるわけですか、それとも政治活動に対する中止命令の適用除外、こういうことを考えているのか、こういう点はどうなんですか。
  241. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 活動の種類とか場所の指定、政治活動の規制というようなことは、これは考えなければならぬかと思いますが、実は私、現在の法文なりいままで提案したものがどういう条文であり、またそれに対してどういう考え方を持つべきかというところまで作業が進んでおりません。今後私も大いに検討して、最もいい案をつくり上げたいと、かように考えております。
  242. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあこの前、前回の法案で問題になった点は法相も御存じだと思うんですね。その中で、戦前から日本に住む朝鮮人、台湾人などを政治活動中止命令の適用除外とせず、それから日韓地位協定による協定永住者のみを適用除外とするのは、朝鮮籍の在日朝鮮人をねらい撃ちにしたものである、こういう点から、ことに在日朝鮮人の方々は非常にこの法案に対して反対の意向を述べられた。それからまた日本の民主勢力も、こういう措置は断じてこれはとってはいかぬというので、この点が非常にこの法案の一つの焦点になったことは争えない事実だと思うんです。したがって、この点がどうされるのかということがこの法案を出される——これをこのまま、前回のこういう方針をどこまでも貫いていくというかっこうで出されるのか、あるいはこの点について、これは現情勢とも関連して、この問題について十分に検討するという方針を持っておられるのか、ここのところが基本的にきまらなければ、この法案に対する態度というのは実際にこれは明らかにならぬじゃないか、こういうふうに思うんですが、この点重ねてお聞きしたいと思います。
  243. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) いまのところそういう規定をどうするかという方針をきめていないので、白紙で検討しようと、私自身におきましてはですが、検討しようと、こういう考えであります。特段にいろんな、まあいままでにもしかしずいぶんいろいろと御意見伺ったりなんかして、最初の原案より変わってきておるようでありますが、その辺のことも十分検討し、また一般に非常に誤り伝えられている点もあるということでありますので、そういう点も十分吟味をいたしまして、私としてどういうふうに取り扱うか考えてみたいと思います。
  244. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、一番基本的な問題については態度は何らこれは明確にされていないわけですね。そうしていて、実際はこれは通常国会が来るというと法案が出されるというようなことがいままで行なわれておるわけですね。この点は私はこれはやっぱりまずいんじゃないかと思うんです。まあいまの段階では、法相はこれについてはっきり態度をここで明確にされない、こういう形なんですけれども、この中でさらに突き詰めてみますというと、たとえば法案に幾ぶん緩和的な規定を設けると、たとえば戦前から日本に住む朝鮮人、台湾人などを政治活動中止命令の適用除外とするなどのかりに措置がとられたとしても、政治活動を行なった者に対する中止命令、さらに退去強制を行なうこと自体、こういうことというのはこれは非常に不当なことだと思うわけですね。これは元来、選挙権や被選挙権等の政治的権利、そういう問題と、それから意見を発表するとか集会・結社の自由等の市民的な権利、こういうものは別々の問題だと思うんです。政治的権利と市民的権利というものが混同されがちになって、そうして一緒くたにこれは処理されるというので、在日朝鮮人に対するいろいろな規制、これがまあ弾圧的なものにまでなっておったというのがいままでのやり方だと思いますが、これはどうでしょうか。  こういう点については、当然世界人権宣言の立場から見て、「すべて人は、思想、良心及び宗教の自由に対する権利を有する。」そういう問題とか、それから、「すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。」さらに第二十条には、「すべて人は、平和的な集会及び結社の自由に対する権利を有する。」こういう数々の規定があるわけです。それを日本だけにおいてこういう差別待遇をしなければならない、こういうような形でこの法案が出される。そこにこの法案の反動性があり、これが非常に大きな論議を呼んできたところだと思うのです。しかも、その結果は、これは在日朝鮮人に対する実際は政治思想の弾圧、こういう形になってきたとこれは思うのです。この点はやはりはっきり法務大臣としてこれは明確にしてほしい。とにかく二回もあのような反対にあってつぶれた法案、それを出す、そういうためには、何かこれは必要がなければならぬわけですけれども、それは何ですか。一方では日本の軍国主義復活が非常に問題にされている、あるいは沖繩協定との関連において、日本のアメリカの核戦略体制にもっとこれは従属的なそういう体制をとる、そういう背景とこれは関係ないですか。こういうことになってくると、私はこれは非常に重大な問題になってくると思う。平和や民主主義に対する一つの挑戦になると思うのですが、この点いかがですか。
  245. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまいろいろお話しの点は、外国でどういう制度をとっておるか、あるいはいろいろなことを検討した上でないと、私も判断するわけにいかぬわけであります。いずれにいたしましても、まだ法案を出すときめたわけでもありませんし、さらにまた、来国会提出すると言ったわけでもないのであります。そうしてまた、特別にただいまお話しのような点で急ぐというわけではない。ただ率直に、先ほど申しましたように、もう時代の波に合わなくなっておるという点では、これは早晩直さなければならぬ。第一、ポツダム勅令というようなものであります。これはやはり法律的な体制にしなければおかしくなってきておる、こういうことであります。ただいまお話しのような点で急いでやらなければならぬとは私は考えておりません。
  246. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、そのような特定の第三国人の実際は思想弾圧をやるようなそういう政治活動、そういうものの自由を奪うというようなそういうものについてはどういう態度をとっておられますか。この法案を離れてもいいですけれども。こういう法案を出さないという、これははっきり言明されますか、この国会を通じて。いわゆる人権宣言違反ですよね。
  247. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先ほど来から言っておりますように、必ず法案を提案すると言っているわけでもありませんし、また、ただいまお話しのような点をこれから検討しようということで、いま直ちにどういうことにしようということを申し上げる段階ではない。こういうことを先ほどから繰り返し申し上げておるわけです。
  248. 岩間正男

    ○岩間正男君 特にまあ私は、法務大臣は閣僚の中でもものわかりのいい方だというふうに思っておるのですね。そういう中で、世界の情勢を見ても、これはまあ非常に情勢が変わりつつある。朝鮮民主主義人民共和国をはじめ、アジア諸国民との平和な友好関係というものが進められなきゃならない、そういう方向にきている。ところが、いまのような法案が出されれば、明らかにこれを阻害する。むしろあと戻りにこれはするわけでありますね。さらに、まあこれは中国の国連復帰等に見られる最近の国際情勢、それからわが国における日朝議連、こういうものも、国会議員の中から日朝議員連盟というものが発足しておるのですね。そういう情勢から考えますと、明らかにこのようないままでの、従来のあのようなやり方を、そういう骨子を持ったところのこの出入国管理法案というやつは、明らかに時代に逆行だというふうに考えられる。これはまあ政治的見解から特に法相はどういう立場をおとりになるか、そういう見解もお聞きしておきたいのです。
  249. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 最近の世界情勢が変わりつつあることについては、私も決してその認識について人後に落ちるとは思っておりません。非常な情勢の変わり方でもあるし、またその方向を誤ってはならないということは私もよくわかっております。したがって、それに即応するものをつくりたいという考えでありますが、しかし、まあ国としてやはり、実質的な権限を持っておるわけでありますから、それをどういうふうな法文によっていくかということは、これはもうそういう問題とは別個に考えていくべき問題だと、かように考えております。
  250. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあとにかく国際法的な立場から見ても、また最近の国際情勢の立場から見ても、とにかく、特にまあ在日朝鮮人に対するそういう特定の弾圧的なねらいを持った法案というのは出すべきじゃないのじゃないか。これは日本の戦争犯罪に対する当然の反省からいったって、むしろ保護しなければならない、そういう立場ですね。そうしてこれは外国人の民主的、民族的権利保障する、こういう責任がある。ところが、まるで反対のこのような法案が出されているところに大きな問題があり、反撃も高まり、そうしてこの法案が通らなかったわけですね。こういう点について、時間もありませんので、もっと詳細にお聞きしたいのでありますが、これくらいにしておくわけですけれども、とにかくそのほかにも出入国管理法案にはずいぶん問題がありますね。たとえば在日外国人の生活と人権の問題、それから社会、政治活動の自由、こういうものに対して非常に侵犯する、そういうものが出てくる。これはまあほんとうに日本のそういう反動的な軍国主義復活のそういう体制の中でそういうものが必要だというなら別でありますが、そうでない限り、こういうような法案というものは絶対に出すべきではない、こういうふうに思うわけです。これは法務大臣が御答弁されるならされてもいいですけれども、なくてもいいです。いかがでしょうか。
  251. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまの御意見は私も御意見として十分拝聴いたしました。あらゆる点から検討して、最も進歩した、しかも時代に適応した法案をつくりたいと、かように考えております。
  252. 山崎昇

    山崎昇君 法務大臣がたいへん沖繩特別委員会出席等で時間がないということで、質問もはしよらなければなりませんけれども、少しちぐはぐになるかもしれませんが、一、二点聞いておきたいと思います。  第一点は、昭和四十四年の六月二十四日の本委員会で、私から監獄法の改正について当時の法務大臣にいろいろ見解を聞きました。いま法務省では検討しておりますか。近くそれらについては何らかの処置をしたいという答弁があり、それからもうすでに二年経過しておりますが、監獄法の改正についていま法務省ではどういう状況にあるのか、聞いておきたいと思います。
  253. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 監獄法につきましては、従来からできるだけ早い機会に成案を得て、法制審議会なりに回したい、こういうことで鋭意努力をしておるのでありますが、ただ、刑法改正との関連がありましたためにおくれておるように聞いております。私も法務大臣になりまして以来、非常に督励をいたしまして、十一月には成案を得たいと思っておりました。ところが、御承知のように非常にこの方面の権威でありました正木さんがなくなったり、いろいろなことがあり、いま来年早々には大体成案を得られるんじゃないか、かように考えておるわけであります。
  254. 山崎昇

    山崎昇君 いま大臣から刑法の改正にも関連しておるというお話がありました。刑法の改正についてもかなり新聞ではいろいろ報道されております。けさの新聞では、大阪の弁護士会が大反対だと、こういう報道もありました。私どもはいま法制審議会で議論されておるということはわかっておりますが、新聞報道しかわかりませんので、あわせて、できたらこの機会に刑法の改正案等については法務省としてはどの程度把握をして、また監獄法についてはできれば来年の二月ごろに成案を得たいというお話でありますが、そうすると刑法についても大体そういう方向で確認していいのかどうか、あるいは切り離してやられるのか、あわせて刑法の問題についてもお聞きをしておきたい。
  255. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 刑法の改正は、刑事特別部会で成案ができまして、そうして先月の二十九日に一応特別部会の案ができたわけであります。これから総会にかけるわけでありまして、この総会が約一年かかるんじゃないかと言われておりますが、総会にかけましたものをわれわれとしては検討していかないと、その前に法務省の案とかいろいろなことを申しましたのでは審議会に対する関係でぐあいが悪いと、こういう段階であります。しかし、もちろん内容につきましては、方向なりあるいは制度の改正の案についてはわれわれも承知しておりますので、いろいろ監獄法をつくります場合にも参考にして考えていっておるわけであります。
  256. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、大臣、重ねてお聞きしますが、監獄法については来年の二月ごろ成案を得たい、刑法についてはいま御答弁がありましたように、これから総会にかければまあ一年ぐらいかかるんじゃないか、そして監獄法と刑法とは関係があるから切り離して考えることはできないというふうになってきますと、当然監獄法についても、これから一年か二年くらい検討されて、言うならば法務省のある程度の案として国会等に出すということはかなり先になる、こう理解していいのか、あるいは、監獄法についてはもう少し早目になるのか、その辺のことだけひとつ確認をしておきたい。
  257. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私が成案と申しましたのは法務省の案で、それをまた法制審議会にかけるわけでございます。そういうわけでありますから、法制審議会の審議がどの程度に終わりますか。これはまあ刑法と両方、総会の方はよく知っておられるというわけでありまするから、必ずしも同時に提出しなければならぬとは考えておりませんけれども、しかし、法務省の成案ができたらすぐ提案をすると、こういうものではないと考えております。
  258. 山崎昇

    山崎昇君 私の頭を整理する意味でもう一ぺん確認しておきますがね、刑法についてもあれですか、来年の二月ごろに法務省としての成案をつくって法制審議会にかけるのだ、こういうふうなことですか。監獄法についてはいま何かそういうらしい答弁だったのですが、どうも私、その辺がちょっと明確でありませんでしたので、もう一ぺん聞いておきたいと思います。
  259. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) いずれにしましても、法制審議会を通ったものを今度は、刑法にしましても、われわれ検討して出すということでありますし、監獄法につきましても、われわれの一応の案をつくって、そうして法制審議会にかけて、その結果によってまた法案をつくって議会に提出すると、こういうことであります。
  260. 山崎昇

    山崎昇君 わかりました。手続的なことはわかりました。要は、監獄法についても、刑法についても、最低といいますか、まだ一、二年先の話になる、こういう状況であるということだけ明快ですか。こういうふうに理解していいですか。
  261. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 国会提出するのは、結局来年度といいますか、来年の——再来年になるわけですか、再来年の二月とか三月とかということになるんじゃないかと思います。
  262. 山崎昇

    山崎昇君 次にお聞きしておきたいのは、最近、公務員の争議行為、それから政治活動をめぐっていろいろ地裁なりで判決が出ております。そこでこれに関連して、大臣が、戦前は行政裁判所があったからそこでいろいろ判断をしたんだが、戦後それがないので、司法が直接いろいろ行政問題を扱うようになって、たいへん官庁としては困っている、あるいは、司法の行政介入というような疑いもあるというような趣旨の発言がありましたが、そこであなたにお聞きしたいのは、どういう点がいま行政官庁で困っているのか。そしてどういう点が司法の行政介入というふうにあなたが判断されたのか、聞いておきたいと思います。
  263. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 新聞をごらんになりますと——要するに介入するかっこうになるということを言ったわけであります。それは結局において、率直に言いますと、行政事件にたんのうな方が地方裁判所に少ない。また最高裁も行政事件に対する専門的な裁判官をつくろうというので非常に努力はされておりますが、なかなかそれがいかない。でありまするから、かなり行政事件が多い中に、まあ率直に言えば法の解釈を誤っているじゃないかという事案がずいぶん最近出てまいったわけであります。それが最高裁にいけばおそらくそれは訂正されるでありましょうが、その間は、まあわれわれ省務担当の大臣の立場からいたしますと、最高裁へいくまでの間かなりの時間がかかって、それがいかにも介入した形になるということを申したわけでありまして、で、まあ私は何も戦前の行政裁判所に返ろうなどということは全然思っておりません。ただ、制度的に現在の憲法におきましてもいろいろなことが考えられることは事実なんです。要するに最高裁で最終的な判決をするということは、これはもう動かすわけにはまいりませんが、たとえば行政専門の裁判所というものを下級審に設けることは何も憲法違反ではない、まあ憲法上違反ではないと言われているわけであります。そういうような制度で、制度的に司法裁判所と行政裁判所と下級審の並列をやって、そうして最高裁をその上に乗せるという考え方でいけば、行政事務にたんのうな裁判所ができるというようなことが頭にありまして、そういうような意味合いから申したわけであります。
  264. 山崎昇

    山崎昇君 たいへん時間のないのが残念なんですが、ただ、最近の判決というのは、中身を分けますと、一つは公務員の争議行為で刑事罰からの解放が一つと、それから政治活動等の場合には行政罰からある程度解放すべきだという判決にほぼ分かれると思う。もしそうだとすれば、昭和二十二年ごろにできたこの公務員法自体をある程度検討しなければならぬのではないだろうかと私ども思うのだが、ただ大臣から言えば、出た結論だけで、何か司法が行政に介入しているような談話の発表のしかたというものは私は納得できない。しかし、これはきょう時間がありませんからこれ以上のことは申し上げませんけれども、いずれにしても、法務省としてはそういう感覚でなしに、むしろ時代が進んでいるわけですから、そうして政治参加ということは、公務員といえども、これは一定の制限はいま課せられているものの、本来は課すべきものではないので、そういう点に法務省の頭も切りかえてもらって、この点については私のほうから指摘をしておきたいと思う。  最後に、私は、この間名古屋で公安調査官の問題が出されました。これもずっと調べてみると、最初は、やったことが何が悪いのだというような言い方だった。だんだん突っ込まれていったら、いやあれは個人的な行為なんだと、こうだんだんだんだん変わっていってしまった。そこでもし、私は、これが個人的行為だとしたら、その個人に対してどういう処分をするのですか。これは明らかに逸脱した行為だと思う。だから、法務省としては、この行なった調査官に対してどう一体処分をするのか。任務でないものをかってにやって世間を騒がしたわけです。そういう者に対する措置について、あなたの見解をひとつ聞きたいということ。  もう一つ私が聞きたいのは、破壊活動防止法を見ても、あるいはまたこの間やった人の談話を見ても、どうして共産党員ならば調べなければならぬのか。最後を見ると、共産党員であろうと見られる裁判官、弁護士には調査第一部一課の調査官が言動、活動を調べるのだと答えている。なぜ共産党員ならばこういう調査が行なわれなければならぬのか。これと破壊活動防止法ですか、これとの関係は一体どうなるのか。まず、これを明確にしてもらいたい。
  265. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 名古屋の事件につきましては、われわれもさっそく係官をやって調べたわけであります。私は個人的な調査とは思っておりませんが、公的な調査ということだと思います。そうしてまたいろいろな新聞によって表現がおかしい点も気がつくのでありますが、何も裁判官の行為そのものが破壊活動防止法なりそういうようなことにつながるものだとは考えておりませんし、要するにいろいろな、新聞紙の報道によりましてもいろいろな報道があるので、それに関連して調査しようということであったようであります。ただ、自分の知り合いであったがために、個人の発言とも公的な発言ともわからぬような点が非常に多かったんじゃないか、そういうふうに私は考えておりますが、やっております調査そのものは、必ずしも私は私的な調査という意味で行なったものではないと思います。また共産党なるがゆえにというわけではありませんが、従来から、いろいろと破壊活動防止法にいわれておるような行動があるという疑いを持って調査することは、これは公安調査庁としてはやむを得ないというところで、特段にどうこうという考えではございませんが、調査調査として進めておるということだと思います。
  266. 山崎昇

    山崎昇君 大臣、あなたの答弁は私は納得できないのです。破壊活動防止法によれば、「公安調査官は第二十七条で規定されている、任務が。二十七条によれば、公安調査官は、この法律による規制に関し、第三条に規定する基準の範囲内において、心要調査をすることができる。」第三条とは何か。「この法律による規制及び規制のための調査は、第一条に規定する目的を達成するために」——第一条というのは、「破壊活動を行った団体に対する心要規制」だと。したがって、どう強弁しようとも、この間のやり方というのは行き過ぎである。ましてや、個人の行為なんぞということでこの問題を打ち切るわけにはいかない。もし個人だとしたならば、断固たる処断をとらなければならぬと思うのですよ。この法律に違反をして行き過ぎた行為をとるのですから。それが一つ。どうしても私はその点が納得できないのです。  それから第二は、ここにも報道されておるけれども、裁判官全体を調べるものではない。だが共産党員であろうと認められる裁判官等については調べるということを言っている。一体、共産党員は、破壊活動防止法のどこに違反をするのか。なぜ共産党員ならば調べなければならぬのか。私の聞いているのは、破壊活動防止法と公安調査官の任務と共産党員というものに関連をしてあなたにお聞きをしている。どうしてそうしなければならぬのか、明快にし七ください。これは第三条の違反になってきますよ。どうですか。
  267. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) その前に公安調査庁長官からひとつ答弁をいたさせます。
  268. 川口光太郎

    政府委員川口光太郎君) 大臣にかわりましてお答えいたします。  まず、古市調査官の行為が個人的行為であれば問題であるというお尋ねでございますが、これは、古市調査官は正当な職務権限に基づいてやったというように私たちは信じております。御指摘の朝日新聞の十一月十九日の報道は、川上判事補のことばを一方的に聞いて報道された記事ではないかと思いまして、私たち、あの記事を見まして、さっそく本庁の調査官を現地へ派遣いたしまして、その実情調査いたしました。その結果、ああいう趣旨の発言をしたことは事実でございますが、若干ことばのニュアンスが違いまして、たとえば司法担当というようなことを言っておりますが、これは、そう言ったわけではございません。古市調査官は金沢大学で川上判事補とは同窓でございまして、二年先輩でございまして、一緒に司法試験の受験勉強をした仲でございます。そういう昔からの友だちでございまして、後輩の女性が司法試験に通る、自分は先輩の男性でありながら司法試験に通らないというようなことで、若干コンプレックスといいますか、そういう感じを持っていたので、若干いばってみせるつもりで、名古屋の公安調査局で、司法関係に通じておって、金澤大学の法科も出ておって裁判官と対等にものを言えるのは自分一人だというような趣旨のことを言って、それを川上判事補が取りまとめて、ああいうように誤解したのではないか。  はっきり申し上げますが、古市調査官は一課の担当でございます。一課と申しますのは、大体日本共産党はじめそれにつながるいろいろな外郭団体あるいは全学連、そういうものの調査を担当している課でございます。で、古市調査官が川上判事補にああいうことを尋ねましたのは、もちろんそういう個人的なつながりから、親しさのあまり何か話してくれるかと思って接近したことは事実でございますが、その動機は、やっぱり日本共産党の活動の調査の一環としてやったのでございます。それは、ことしの六月ごろでございますが、某方面から、ある共産党の者が名古屋の裁判官のグループにある種の働きかけをしたという情報があったわけでございまして、何とかしてその裏づけをとりたいと思っていたところ、たまたま、十月二日の裁判官の懇話会の記事が十月の上旬の朝日新聞その他に載りました。それで、その働きかけを受けたという裁判官がその懇談会に出たであろうか、あるいは、出て、その朝日の報道によれば一部非公開と書いてございます、非公開の席上何らか発言していないかということを聞こうとしたわけでございます。しかし、いきなりそういうことを聞くわけにいきませんので、そういう裁判官懇話会があったが、あなたは行ったかというようなことから、雰囲気をやわらげるためにいろいろと聞いた。それが、裁判官懇話会そのものを調査したということの印象を川上判事補が受けた。そういう誤解を招くような行動をしたことは非常に私ども残念だと思って、口頭で注意をいたしました。決して個人的行為でありませんので処分はいたしません。  それからもう一つ、なぜ日本共産党を調べるのかというお尋ねでございますが、これは、暴力主義的破壊活動を一これは破防法の規定でごさいますが——過去においてやって、将来もこれをまたやる危険、おそれのある団体調査しろというのは、これは破防法の精神でございまして、そのように規定しております。日本共産党だけではございません。私どものほうでは昭和二十七年開庁以来、左翼右翼を含めまして十数団体を指定いたしまして一かってにいろいろな団体調査すると三条に違反いたしますので、公安調査庁の長官がいろいろな事情から調査すべき団体を指定いたしまして、それに基づいて各地方の公安調査官が調査しているのでございます。(「でたらめきわまるじゃないか」と呼ぶ者あり)ちょっと待ってください。日本共産党が過去において暴力主義的破壊活動を行なったことは、これはもう公然たる事実でございます。その後路線を変更して、いろいろ、平和戦術と申しますかソフトムードでやっておられますが、いろいろな私どもの調査によりますと、将来においてまた路線変更をして、暴力主義的破壊活動をやるおそれがあるというように考えますので、引き続き調査をしていると、(「証拠をあげろ」と呼ぶ者あり)幾らでもございます。もう時間……(「そんな思いつきじゃだめだ」と呼ぶ者あり)思いつきじゃありません。(「証拠をあげろ」と呼ぶ者あり)幾らでもございます。  大体そういうわけでございます。
  269. 山崎昇

    山崎昇君 いま長官から答弁あったんだが、名古屋の中部公安調査局の松田という局長は、古市調査官が川上判事補と会ったのは職務上ではなく個人的なものである、調査するようなにおいをさせたのはまずかった、たいへん申しわけない、こういう談話なんですね。そうすると、あなたは個人的でない、現地の局長個人的だと言う。どっちが正しいのですか、まずそれが一つ。  それから、あなたはそれを受けて談話を発表している。それを見ると、自分の職務を誇大に考え過ぎ、指摘されたような行為をとったと思われる、裁判官のつどいについては調査対象にすべきものではないのでまことに遺憾だと、こうなんですね。そして青法協等を中心にして共産党の調査をやらしていますと、こうなんです。そこでいまのあなたの答弁ですが、私はきわめて重大な内容を含んでいると思う。少なくとも共産党は合法政党として国会に籍を置き地方議会に籍を置き、堂々と発言をしているのですよ。これが破壊活動防止法にいわれるような団体の疑いだということになったらたいへんなことになりますよ。私はいまのあなたの答弁というのはきわめて重要な内容を含んでいると思う。破壊活動防止法に私は違反すると思う。これは単なるあなた方の判断だけで思想の自由や信教の自由が侵されたんではたまったものではない。この点は私は、あなたはいまの答弁を取り消したほうがいいのではないかと思う。どうですか。  それから第一点の個人的なことは、この新聞報道が間違いならば間違いでいいと思う。しかし少なくとも現地の局長は、交渉に来られた方に対してそういう答弁を行なっている。もしあなた方が職務上だということになったら、これまたたいへんなことになる。いずれにしてもあの古市調査官のやったことというのは言語道断だと思う。法を曲げて行動していると私は思うのだが、どうですか。
  270. 川口光太郎

    政府委員川口光太郎君) お答えいたします。  松田中部公安調査局長が申しましたのは、裁判官懇話会について調査を指示したことがないという事実ですね。それから、そういう上で古市調査官が川上判事補にそういう質問をしたということは、かねてから古市調査官と川上判事補は友人であるということを課長を通じて聞いていたもんですから、それでそういう発言をしたのだということでございます。これは十一月の二十五日に松田局長が上京しましたときに本人に確かめたところ、そういうことでございました。それから共産党を職務上調べるとすれば破防法違反ではないかということでございますが、共産党を調査団体に指定いたしましたのは、初代長官の藤井長官でございまして、昭和二十七年発足直後でございます。それから引き続き調査しているものでございまして、先ほど申し上げましたように、共産党だけではございません。全学連のいろんな団体、それから右翼の過去において事件を起こした、破壊的活動をやった団体、それで今後もまたそういう活動をやるおそれのある団体、こういうのを十幾つ、いまちょっと覚えておりませんが、指定いたしまして、かってな調査をやらないように、常々職員に戒めているわけでございます。
  271. 山崎昇

    山崎昇君 この問題は、私はほんとに重要な内容を含んでいるだけに、本来ならば、私はもっとこれは究明しなきゃならぬと思っているのです。しかし、きょうは時間がないという制約がありますから、私はこの程度で打ち切りますけれどもね。いずれにしても、これは重要な内容をあなたはお答えになった。別な機会にこの点は私ども追及したいと思っています。きょうは時間がないそうでありますから、一応これで打ち切りましょう。
  272. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいまの問題と関連して、法務大臣にお聞きします。  将来破壊活動をするおそれがある、共産党について、公安調査庁長官が言ったわけです。法相もそう考えておられますか。
  273. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) おそれがあるかないかという問題もさることながら、そういうことのないような場合、まあそういうことになってもらったら、これはたいへんだと思いますが、しかし、調査調査としてやるもんだと、私は、先ほどお話があって、合法的政党だからどうこうということもお話がありました。しかし、合法的政党だからというだけではいかないんで、やはり破壊活動が行なわれているかどうかという調査は、これはやるべきものだと思います。
  274. 岩間正男

    ○岩間正男君 重要な答弁ですよ。そういう容疑団体とか何とかかってにつけて、そしてそれを今度はもう全然変えないのだ。時代が変わっている。そういう時代の中で、しかも共産党ははっきり先ほどから話をされているように、国会に議席を持ち、そして公然と活動をやっているこの党に対して、法務大臣までがそういうことをこれは言い出すというのは、実に重大な問題ですよ。この公安調査庁というのが、大体がもうすでにおかしくなっているのだ。われわれはもういままで何回も言いました。第一課などというのを置いているでしょう。しかもここにはたくさん人員だって配置している。右翼を見てごらんなさい。この委員会でも問題になったのだ、十分の一も持ってないじゃないか。ところが、どちらが一体暴力活動をやっているのだ。でたらめもはなはだしいのですよ。そういう事態というものについて、これは明確な見解を述べるべきですよ。これも時間の関係から、私はこの問題だけを追及しようとは思っていないが、これはあらためてやりますよ。しかし、法務大臣、いまのような答弁でいいのですか。重大な政治責任の問題になりますよ、いいですか。他の議員からの質問を受けているわけだ。そうしてほんとうにそれで民主主義を論ずることができるのですか。一体、破壊活動の容疑があると言い出したら、これは全部があるんじゃないか。全部の政党だって、そういうことを言い出したら限りがないじゃないか。そういう基礎の上に立って国会の運営をやっているのですか。政治責任としては実に重大ですよ。そばにあなたの部下がいるから、これとの関連で言わざるを得ないというようなことなんだろうが、そんなことでは一国の国務大臣としての見識がないですよ。はっきり、国務大臣としての責任においてもう一度明確に答弁を求めます。
  275. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先ほど申しましたことを取り消す意思も何もありません。これは過去においてそういうことがあったということで、ただ単にそれだけで現在いろいろ調査をやっておるわけではないと私は信じております。
  276. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは委員長にもお願いしておきますけれども、大体、証拠なしにこういうことを言われては迷惑です、天下の公党として。将来、破壊活動をするおそれがあるという証拠があるだろうか。その証拠をお目にかけなさい。これは当委員会にこの資料を、私ははっきり出すことを要求したいと思いますが、委員長からこれは何とかしてください。証拠なしに言ったとしたら重大な問題です。証拠を出してごらんなさい。どういう一体、証拠があるのか、今日の時点で。
  277. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 後日、理事会にはかって……。
  278. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは当然、証拠を出さなければ誣告になりますよ。証拠なしにそんなこと言えますか。国会のこの場所を使って、こんな疑惑のあるものを言えますか。証拠を出せないとしたら、全く、あなた自身は辞任しなさい。そのくらいの責任のある問題だ。出せるか。出しなさい。どうです。
  279. 川口光太郎

    政府委員川口光太郎君) 日本共産党が将来また暴力的破壊活動を行なうおそれがあると私どもの見ている理由はいろいろございます。これは、党のたびたびの会議におけるいろいろな発言、あるいは党の綱領、そのほかいろいろな文献、あるいは発言、あるいは「赤旗」に載っている記事、その他いろいろな資料を総合して判断しているわけでございまして、それを一々読み上げておったんでは何時間もかかりますので、この席では申し上げませんが、また機会がありましたならばお答えしたいと思っております。
  280. 岩間正男

    ○岩間正男君 そんなのは推量だ。確固たる証拠がなくて言っているのかね。いまのようなことを言っていても、どれを持っているのか。綱領をもってやってごらんなさい。記事を出してやってごらんなさい。どれが破壊主義活動になるのか。そんなことは今日、天下のもの笑いだ。それをいまそんなことばで、もうたくさん資料があるから読めないとかなんとかでごまかしていますけれども、出せるならば出してごらんなさい。これは出すべきです。出さなかったらわれわれは誣告罪です。どうですか。法務大臣だってこれはおとなげないじゃないですか。公安調査庁のあなた召使じゃないだろう。だらしがないよ。何で見識のある国務大臣といえますか。この問題だけやっているとこれだけで時間になるから——しかしいまの資料要求は理事会でこれはははっきり要求して、そしていやしくもこれはそういうものは検討してもらって、そういう検討の中で、実際はそうでないというそういう事態の中では誣告罪ですからね、はっきり覚悟しておきなさい。  じゃ、次の問題に入ります。  水口議員の先ほどの質問に対しまして、これは運輸省の当局から答弁がありました。それは、成田が民間空港である限りこれは米軍の用に供さないというような答弁があったと思うんですね。これはどういうふうに、何か一つの根拠がありますか。
  281. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 私、先ほど留守をした間の答弁だと思いますけれども、それに対するお答えを申し上げます。  成田を米軍が使うか使わないかということでございますが、まず第一に、その提供地域あるいは施設、施設提供する意図は毛頭これはございません。それからまた米軍に共同使用させるという意図も毛頭ございません。ただ、米軍機が燃料補給、こういった技術的な理由等によりましてときたま成田を使うということは、これはあり得るかもしれません。これまでも断わるということは、地位協定上これはできないと思います。しかしこれも、われわれとしてはこれは望ましいことではないわけでありまして、やはり成田は純然たる民間空港として使っていきたいというのがわれわれの本旨でございます。また国民の皆さん方の本旨でもございます。したがいまして、合同委員会を通じまして極力これを制限するように調整してまいるということをやってまいりたいというのが私どもの考えでございます。
  282. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまはニクソン新戦略によっていわば目玉商品の一つともいわれるC5Aギャラクシー、このC5Aは羽田にすでに何回か来ています。そうしてこれが、この前の視察によりますというと、むろんこれは成田空港には楽々入ることができる。むろんそうでしょう。厚さが一メートル、六十メートルの幅、そうして長さが四千メートル、これは嘉手納空港のあの滑走路、むしろそれよりもすぐれたものでしょう。そういうものを持っているんだから、当然C5Aギャラクシーは楽々入りますね。これはどうですか。簡単にやってください、時間の関係上。
  283. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 物理的に入るということは確かでございます。しかし入れたくないということは先ほど申し上げたとおりです。
  284. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、現在、ジャンボ、それからSST、これは将来予想されているんですね。こういうものと——C5Aギャラクシーというのはどれくらいの重量、それから搭載量、それから長さ、幅、こういう点で、つかんでおられるだけでもいいですけれども、ジャンボと比較して教えてください。
  285. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 技術的なことでございますから、技術部長から答弁させます。
  286. 金井洋

    説明員(金井洋君) ジャンボは運輸省みずから検査しておりますので正確な資料ですけれども、C5Aにつきましては、米空軍のものであり、また運輸省は検査しておりませんので、私どもが入手しておる資料に基づいて説明いたします。  まず、最大離陸重量、ボーイングのジャンボは三百五十一トンで、C5Aは三百四十七トン、それから最大搭載量、これは人間に直しまして、ジャンボが四百九十六人、それからC5Aは完全武装の兵隊が七百人乗れるということです。それから離陸距離は、ジャンボが三千四百メートル、C5Aが二千五百メートル、着陸距離はジャンボが二千百メートル、C5Aが千七十メートル、航続距離、ジャンボが八千四百キロメートル、C5Aが四千七百五十キロメートル、巡航速度は、ジャンボがマッハ〇・八四、C5Aがマッハ〇・八、それから車輪数はジャンボは全部で十八個、それからC5Aは二十八個であります。一車輪当たりの荷重キロ数は、ジャンボが二十二トン、C5Aが十四・五トン、したがいまして、以上の性能から見ましてもジャンボの入れるところはC5Aはすべて入れるということでございます。
  287. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、防衛庁見えておりますが、防衛庁どうですか。
  288. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) ただいま内村航空局長から御説明申し上げましたとおりでございます。
  289. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはわかります。民間空港の立場としては運用に供したくない。臨時の何か起こった場合、特例を認めなきゃならないんだということを言っておられるわけですけれども、しかしそれははっきり断わる根拠がありますか。これはできますか、一体。単なる希望にすぎないのじゃないか。日本のいまの体制下において、はたしてこれができますか。
  290. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 先ほども申し上げましたとおりでございまして、たまに着くということを条約上の権利としては断わることはできません。しかし合同委員会というものがございまして、そこで合同委員会を通じて極力そういう利用を制限するということは、希望を申し述べることは可能であり、それはある程度現実的にできるというふうに感じます。
  291. 岩間正男

    ○岩間正男君 私が問題にしたいのは、やはり非常事態が起こってくる。そういう場合、ニクソンの戦略構想によれば当然これは嘉手納と並んで横田がC5Aの大量輸送の大きな足がかりになっておることは、この前のフリーダムボールド作戦を見たって明らかです。そういう体制の中で、当然これは単に横田だけで間に会わない、こういう事態が起こる、あるいはまたいろいろな非常事態の中で将来入ってくるということが起こってくる、そういうものを要求された場合には、これは地位協定の立場で、断われないことは明らかですね。これは念を押します。どうですか、これは防衛庁。
  292. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 私の直接の担当でございませんが、私が理解しております範囲でその点をちょっと……。  C5Aが日本の施設・区域を使う場合には、合同委員会でその施設・区域の使用について申し入れをして、双方の間で協議が整った場合には可能であるということでございます。
  293. 岩間正男

    ○岩間正男君 現在民間空港で、米軍の使用をちゃんと約束されているところは幾つありますか。
  294. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 米軍に共同使用を認めておるものはございません。ただ緊急として、先ほど申しましたように一時的に使うということがあることはどの空港も同じでございます。
  295. 岩間正男

    ○岩間正男君 これははっきりしていると思うのです。これは私が四十三年の十二月十三日付請願を出した在日米軍基地に関する質問主意書、この中で、民間空港の米軍使用についてちゃんと答えている。稚内、帯広、函館、秋田、花巻、山形、新潟、東京国際、大島、三宅島、名古屋、大阪国際、広島、宇部、高松、松山、高知、大分、大村、福江、宮崎、鹿児島、屋久島、奄美、この二十四空港は米軍が使えるという協定になっているわけですね。そうなんでしょう。これにならないという保証はありますか。ただあくまで拒否するのだと、こういうのですか。これにならないという保証はありますか。東京国際空港も入っておる、大阪国際空港も入っておる。それで現にMACチャーター機もどんどん入っておる。当委員会でもずいぶん問題になったものです。そうなんでしょう。そうすると、もう輸送という立場でC5Aギャラクシーが成田の空港に入ってこないという保証はどういうふうにしてこれはつけますか。
  296. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 先ほどからしばしばお答え申し上げておりますが、地位協定第二条一項に基づく施設・区域の提供、あるいは四項による共同使用区域としての提供、これはいたしません。ただ、先ほど申し上げましたとおり、五条によりまして、ときどき入るということは、これはできるわけでございます。いま先生がおあげになった空港は、わが国におけるほとんどの空港でございまして、そういったものはみんな五条では入ることはできるわけでございます。したがいまして、成田の場合も、先ほど申し上げたように、ときたま五条によって入ることはあるかもしれない、それは条約上拒否することはできません。しかし、これは合同委員会によって極力制限してまいるということを申し上げたわけであります。
  297. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはあなたたち国会論議の中で非常に大きな問題になったのは三矢作戦、それからそれのもっと具体的に拡大したブルラン作戦、このブルラン作戦の条項というのは当時非常に大きな問題になっておる。非常事態が起こるというと、これらの民間空港というものは、その要員を含め全部これは軍の支配下に入るのじゃないですか。こういう条項がはっきりブルラン作戦にあるということは、いままでの国会論議の中でずいぶん問題になった。そういう事態を考えますと、今度の成田空港の民間の平和的な利用、そういうものに徹するためには、どういった措置をはっきり考えているのか。これはどうですか。新しい戦略体制の中で、沖繩協定、それが結ばれるそのねらいは何だということは、明らかに日米共同声明、それを基礎にして、その上にアメリカの新たな核戦略体制を、しかも安保も拡大強化する、そういう形で行なわれているということはまぎれもない事実ではないですか。そういう体制の中で、これは私は問題にしているのです。そうして一方で、そのために基地を軍用地として取り上げる今度の非常立法の措置、戦時中の非常立法のような形で取り上げる、そういうことがすでに始まってきている、こういう体制の中で、ほんとうにこれは成田空港をどういうように守っていくかということは非常に大きな問題になってくる。法務大臣に伺いますが、この点について、これはどういうようにお考えになっているのですか。私はいろいろなそういう具体的な例をあげて、そういう事態に処して、今度の成田空港は民間の平和的利用だけに局限するのだという、そういう保証はありますか。
  298. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私、担当でありませんので、実際のことはよくわかりませんが、しかし先ほど来運輸省から答弁しているとおりで、その点については、特に成田空港におきましては、極力軍事的使用はさせないというように努力していくものだと思いますし、またそれは可能なことだと、かように思っているわけです。
  299. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもただいまの答弁だけでは非常にこれは納得できないですね。非常にいまの防衛のあり方という形で沖繩協定を中心にいま議論が展開されているまっ最中、その中で、成田の問題というのは将来大きな問題を持っているのじゃないか、沖繩関係もあります。大臣間もなく退席される予定ですから、これ以上はやめます。こういう点について、ほんとうにこの航空の要員まで含めて全部軍の支配下に入る。米軍の支配下に入る。これはブルラン作戦の立場でしょう。ブルラン作戦は図上の演習だと言っているが、今日ではそうではない。一つ一つの具体的な事実が行なわれているのが、いまのまさにニクソン戦略下における日本の体制じゃないですか。そうして本土の沖繩化ということが問題になっていく。具体的にそうだ。横田を見てごらんなさい。横須賀を見てごらんなさい、岩国は言うまでもないこと、富士の演習場、こういうところを見てみると、具体的にそういうことが始まっている。そういう体制の中で、私はやっぱりこの問題を論議しておくことが非常に重大だと思います。事はまあここに配置される出入国管理関係の公務員の問題でありますけれども、この背景にあるものをやはり明確にするということは私は非常に重大だというふうに考えるわけです。だからこのような質問をしたわけでありますが、これでやめておきます。
  300. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ほかに御質疑はありませんか。——別に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  法務省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  301. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  302. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十七分散会      —————・—————