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上田哲君 そういう逃げを打ってはいけないですよ。
警察ともあろうものが、当然各紙に
報道されていることでもあり、そしてきのう明らかに
調査を要求していることに関して、これは知らなかったとか、一体それが
沖繩のことですか
本土のことですかなどというようなことは、もし
沖繩のことならば、
管轄権外だから読んでいないというような遁辞を弄する伏線であると思われてもしかたがないでしょう。そういう言い方というのは、私は非常に不満であります。私は、それじゃ事実を申し上げよう。
十一月十八日の午後三時半であります。突然
令状——令状はこれです、これを持って四名の
捜査官が訪れて、あっけにとられる
本人の前で
家宅捜索を行ないました。押収されたものは、
カラーフィルム三十六枚どり未
現像一本、
白黒フィルム二十枚どり未
現像一本、ネガ二十三
こま、同三十一
こま、同十八
こま、そのほかビラ一枚などとなっております。
で、全く御存じないとおっしゃるのだから、一方的に申し上げなければならないが、先ほど申し上げたように、この
報道カメラマンは、すでに
報道カメラマンとして著名な業績をたくさん残しています。本も出しています。
写真集も出しています。賞も受けています。そして、ごらんのように
朝日新聞から、
朝日グラフ編集長伊藤道人さん、前の
編集長の
中村豊さんの名前、捺印もあって、
本人は
朝日の
仕事をしている。これは公的な
立場だと思いますけれ
ども、
朝日にとってオフィシャルな
立場に準ずると思いますけれ
ども、そういう形で
仕事をしているという
証明も出ております。ここにこういう形の
家宅捜索が行なわれた。ひとつ
質問の形で申し上げておきましょう。
当日、
本人は
朝日の
腕章もしておりました。この
被疑事実というものは、この
押収品目録交付書によりますと、
松永優外十数名に対する
殺人並びに
公務執行妨害被疑事件、こうなっております。こういう形で
報道人が
家宅捜索を受け、
フィルムを押収される、これは明らかに従来から問題になっている、
報道の
目的にのみ取材した
データをそれ以外、とりわけ
捜査の
目的に使うということの
可否という問題を、きわめて乱暴に踏みくだいてしまった問題だと思います。
そこで、当日
朝日の
腕章をつけていたこと、そしてこうした
証明書等によって明らかに
報道人として弁別される
状況にあった
カメラマン、この
カメラマンに、そのことを知ってあえて
家宅捜索を行ない、
品目を押収したのかどうか、この点が一点。
それから、これはこの
令状にもございますように、例の十一月十日のゼネストの際に発生した
警官殺人事件の
捜査本部から出ているものでありますけれ
ども、この
事件の
捜査のために
令状が
殺人容疑として出されているということの
問題点は一体何か、その後
本人から再三にわたって
当局に
事情の
説明を求めております。ところがその
説明の中では、あなたはこの問題には
関係がない人だ。たまたま
証拠品としてこれが必要なので、そのままでは協力を求められないと思ったので、この処置をとったのであるという
説明がありました。ところがその後
伊佐警備課長に
質問をしたところが、覚えがあるであろう、あなたはこの
殺人事件に覚えがあるであろう、
容疑者でないとは言えないという
趣旨の
説明が行なわれております。こういうことは非常にゆゆしい問題だと思います。そのこと。
それからその次に、この
捜査データを確保したいために、当初この
令状を発する前に、
朝日、
読売に対して
データの提供を求めた事実があります。
朝日なり
読売なりという
新聞社に
データを要求して、これが拒否された。
朝日、
読売に対しては拒否されれば手をつけないけれ
ども、フリーの弱い個人に対してはこういう乱暴な
令状が出されて、しかも
家宅捜索が行なわれ、そのあとこういう乱暴な、
説明も十分な
説明ではありませんけれ
ども行なわれるということは、たいへん問題だと思います。
朝日、
読売に対してどういうふうな申し入れを行ない、どういう経過であったかという点も明らかにしていただきたい。
それから、
吉岡攻氏並びに
関係者から三点について抗議と要求が行なわれております。押収した
フィルムなどすべての物件を元のまま即時返却せよ、それから
押収物は
捜査上の資料、
証拠にしないと約束をするということ、それから
家宅捜索で名誉が著しく棄損されたので
警察は謝罪する、今後再びこのようなことを起こさないとの保証を約束する、この三点、きわめて私は当然なことだと思いますけれ
ども、とのことが申し入れられております。これについてどのような態度をとられるのか、私はこの点について十分な
調査の上、御
報告をいただきたいと思うが、いま私が申し上げた
状況についてどういうふうにお
考えになるか、
人権擁護局長もお見えになっておりますから、まずそこからひとつ御
意見を伺います。