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1971-12-09 第67回国会 参議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月九日(木曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員異動  十二月八日     辞任         補欠選任      高橋 邦雄君     河本嘉久蔵君      渡辺  武君     加藤  進君  十二月九日     辞任         補欠選任      栗林 卓司君     田渕 哲也君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         前田佳都男君     理 事                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 成瀬 幡治君                 多田 省吾君                 栗林 卓司君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 大竹平八郎君                 河本嘉久蔵君                 栗原 祐幸君                 棚辺 四郎君                 津島 文治君                 西田 信一君                 桧垣徳太郎君                 藤田 正明君                 小谷  守君                 戸田 菊雄君                 松永 忠二君                 吉田忠三郎君                 鈴木 一弘君                 田渕 哲也君                 加藤  進君                 野末 和彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君    政府委員        大蔵政務次官   船田  譲君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        通商産業大臣官        房審議官     牟田口道夫君        中小企業庁次長  進   淳君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        中小企業庁長官        官房調査課長   山田 勝久君        中小企業庁計画        部下請企業課長  植田 守昭君        自治大臣官房参        事官       石川 一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨八日、高橋那雄君及び渡辺武君が委員辞任され、その補欠として河本嘉久蔵君及び加藤進君が選任されました。     —————————————
  3. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、前回趣旨説明及び補足説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 小谷守

    小谷守君 ニクソンショックによりまして、わが国中小企業、とりわけ輸出関連中小企業はたいへんに痛手をこうむってまいっておるわけでありますが、政府はこれに対する救援措置として、九月二十三日の閣議決定をもって幾つかの対策を立てられたのでありますが、今回御提案になっておりますこの法案もその全体的な対策の一環であろうと承知をするのであります。  そこでまず、通産当局のほうから、政府が今回進められようとしております全体政策概要についてお伺いをいたしたいと思います。
  5. 進淳

    政府委員進淳君) 今回のいわゆるドルショックに対します中小企業対策につきましては、九月二十三日に閣議決定をお願いいたしまして、早急に対策をとる必要があるということで、その内容に基づきまして法律改正を要しますものを今回御提案申し上げた次第でございまして、対策の全体について要点を申し上げますと、閣議決定内容でございますけれども、大きく分けますと、金融措置金融に対します信用補完措置、それから為替取引安定措置、それから税制事業転換対策というふうに分かれますが、金融措置内容といたしましては、政府の三金融機関に対しましての融資規模を拡大いたしまして、千五百億円ほどこれにつきまして上乗せいたしまして、融資をするということにいたしたわけでございます。  なお、融資条件につきましては、激甚災害の例にならいまして、六分五厘の特利とする、ただし四年目移行は七%というふうになっておりますが、いずれにいたしましても、特別金利にするということにいたしました。  それからなお、融資限度につきましても、中小企業金融公庫につきましては、通常五千万円でございますが、二千万円ほど上乗せをするということにいたしました。  国民金融公庫につきましては通常ワク五百万円に対しまして五百万円上乗せをするということにいたしました。  で、そのほか、設備近代化資金あるいは高度化資金等につきましても、返済の猶予を認める、これは二年間程度でございます。というような一連の金融措置をとったわけでございます。  これに関します大きな第二の信用補完措置でございますが、今回法律改正をお願いいたしておりますけれども中小企業信用保険公庫の再保険の引き受けにつきましての特例措置をお願いいたしておりまして、これは通常保険限度を別ワクを制定いたしまして、特別小口は八十万円でございますが、さらに八十万円を上乗せする、小口は三百万円でございますが、さらに三百万円上乗せする、それから通常は二千五百万円でございますが、さらに二千五百万円上乗せする、すべて倍ということにいたしております。そういうふうにいたしましてすでに保証が一ぱいになっておりますところも今回のドルショック分につきましては特別の保証ができるようにしたい。  それから、さらにその再保険保険料につきましても、実際にはそういう危険が高い場合には保険料を引き上げるべきが普通でございますけれども、逆に保険料を引き下げまして通常の再保険料の三分の二ということに下げたわけでございます。  それから、なおてん補率でございますが、てん補率につきましても、通常の一般の保険につきまして七〇%のてん補率を八〇%というふうに引き上げまして、保証協会危険負担を軽くしたわけでございます。  第三番目の為替取引安定化措置でございますが、これにつきましては、特にドルショックによりまして輸出契約が急減いたしましたので、早く安定させる必要があるということで、九月の二十五日から——二十三日に閣議決定いたしまして、その後直ちに日銀によります輸出手形買い取り制度を復活していただきまして、これは昨年十一月から停止になっておりましたのを制度を復活していただきました。  それから、その次にさらに輸出契約が非常に停滞いたしましたので、円の自由変動相場制移行に伴いまして非常に為替リスクという問題が発生いたしました。これを何とか安定化する必要があるということで、大蔵当局とも相談をいたしまして、為替予約制度を実施することにいたしました。おかげで今日では、ごく最近の昨日までの調べによりますと八〇%まで、通常ベースの八〇%まで回復してまいっております。  それから、大きな四番目の税制でございますが、税制につきましては特別措置をお願いいたしておりますけれども欠損金、まあこれはドルショック等によります欠損金につきまして繰り戻し還付制度の期間を、一年を三年にしていただくとか、あるいは地方税につきましては繰り越しは五年でありますのを七年にしていただくというようなことを考えたわけでございます。  それから、事業転換円滑化措置につきましては、事業転換にかかります資産減価償却特例をお願いいたしますとか、あるいは納税猶予制度を、活用でございますけれども、お願いをいたしておるわけでございます。  これらを一括いたしまして個別の法律改正でございますけれども、一括いたしまして国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律案ということで、今回御審議をお願い申し上げておる次第でございます。
  6. 小谷守

    小谷守君 このニクソンショックと呼ばれるアメリカの新しい経済政策は、日本産業に、はかり知れぬ打撃を与えたと思うのであります。これは、中小企業貿易というふうなことでなしに、農業——最近の新聞によりますと、もう出かせぎの働き口もだんだん狭められてきた、こういうことも伝えられております。いろんな連鎖反応を起こしておると思うんです。そこで、中小企業庁は、このニクソンショックによってわが国中小企業がどのような被害を、実害をこうむったと推定されておるか、どの部門がどういう打撃をこうむったか、掌握している範囲でお答えを願いたいと思います。
  7. 進淳

    政府委員進淳君) 私ども、八月十六日以降の、特に輸出関連企業が非常に影響をこうむっております実態にかんがみまして、いわゆる輸出産地についての動向を注意深く見守ってまいりたいと存じまして、輸出比率が一〇%をこえております産地統計上ある程度出ておりますので、これが百二十ほどございます。この百二十産地動向につきまして毎月二回産地の状況を調べることにいたしておりまして、今日までずっとまいっておりますが、その概要を申し上げますと、輸出見通しでは、大体全体的に見ますと、四十六年度では、四十五年度の実績に対しまして約一五%程度——産地全体でございます、減るであろう。これは円の表示でございます。したがいまして、円の相場が変わってきますと、多少変動はあろうかと思います、そういうふうな感じでございます。さらに四十七年度について申し上げますと、四十六年度の修正見通し——減った見通しからさらに一二%ぐらい減るんではなかろうかという懸念をいたしておりますが、これは若干少し心配げに見ておるかも存じませんが、そういうふうなところでございます。  それから輸出成約、一番問題は輸出成約なり受注残の推移でございますけれども輸出成約は、直後九月ごろには通常ベースの二割まで急減いたしましたけれども、十月下期に至りまして六割まで復活いたしました。十一月上旬には七割程度まで復活いたしました。ごく最近の調べ、昨日まとめたのでございますが、通常ベースの八割程度まで復活いたしました。これは先ほど申し上げました為替予約制度の効果も相当含まれておると存じておりますが、そうなっております。  それから受注残でございますけれども受注残高につきましては、九月は約平均五十七日分でございまして、十月の下旬が五十一日分、それから十一月の上期では四十七日分ということで漸減いたしておりまして、非常に心配いたしておりましたが、昨日の調べでは四十九日ということで、二日分ではございますが、平均してふえております。まあ大体横ばい程度に落ち着いてきたという感じになっております。  なお、生産出荷稼働率その他でございますけれども生産出荷稼働率等はいずれにいたしましてもやはり通常ベースより少しずつ低下してまいっております。  それから手形受け取り条件その他につきましても、これは受注残ほど、輸出成約のように急な変化はございませんが、やはり若干悪くなっておるという程度で、思ったほど悪くなっておりませんけれども、若干悪くなっておる程度でございます。  以上でございます。
  8. 小谷守

    小谷守君 ありがとうございました。  そこで、こうした中小企業が、参考のために伺いたいのでありますが、日本の総生産の中で一体どの程度の貢献をしておるのか、また日本貿易全体の中でどういう比率をになっておるのか、こういう点参考に伺っておきたい。
  9. 進淳

    政府委員進淳君) 日本鉱工業生産の中で占めます中小企業比率は、生産高の約四九%程度でございます。それからなお、輸出に占めます比率は、これは正確な通関統計がございませんけれども、約四〇%程度、四〇・二%という数字が出ておりますが、約四〇%程度でございます。
  10. 小谷守

    小谷守君 アメリカ向け輸出の中で占める比率はどの程度でしょうか。
  11. 進淳

    政府委員進淳君) 中小企業だけについて申しますと、対米輸出依存度は三一・八%になっております。全体では三〇・九%でございますので、全体より中小企業のほうが若干多くなっております。
  12. 小谷守

    小谷守君 この政策の対象になる中小企業というものの概念といいますか、定義といいますか、これがどうも中小企業基本法を拝見しますと、資本金五千万円以下とか、あるいは、ということで、一応の決定がされておるようでありますけれども、今度の税のほうの措置を拝見しますと、一億円以下というふうに政府中小企業というものに対する概念規定のしかたが二通りあるように思うのでありますが、これはどう理解すればいいか。
  13. 進淳

    政府委員進淳君) 中小企業庁といたしましては、八年前に中小企業基本法を制定いたします場合に、学識経験者の方その他いろいろお集まり願いまして検討いたしました際に、そのときの統計上のいろいろな数字実態等を分析いたしまして、資本金五千万円以下あるいは従業員三百人以下というふうにとってみました。当時いろいろ意見があったのでございますが、最終的にはそういうことにしたわけでございまして、四十四年の工業統計でございますと、日本の総企業数の九九・三%、数においては占めております。その程度まですれば大体中小企業範囲としてはよろしかろうというようなことで、そういうような範囲をきめたわけでございます。その後いろんな近代化関係中小企業構造改善を進めますにつれまして、中小企業近代化促進法をきめます際に、企業によりましては従業員の数が三百人、企業と申しますか業種によりましては三百人ではちょっと少ないというような意見が出てまいりまして、若干の業種につきましては、従業員の数について少しふやした多い規定を設けました。原則といたしましては従業員三百人ということで、そういちいずれかをとるというようなかっこうで規定を置いていたしておりまして、今日までまいったわけでございます。
  14. 小谷守

    小谷守君 中小企業安定法ができましてからかなりな年数も経過しておると思うんであります。今日の実情としてはもう五千万円というふうなことにとらわれるのがおかしいのではないか。対資本金は一億円にして一体どのぐらいな数になりますか。そういうふうに基本法そのもの考え直さなきゃならぬ時期だと思いますが、そういう御用意はあるのか、そういう点ひとつ伺っておきたいと思います。五千万円とした場合にはどのぐらいか、一億円に伸ばした場合にはどのぐらいか。
  15. 進淳

    政府委員進淳君) 現在の定義で申しますと、製造業だけについて申し上げますと、二十四万九千七百五十二企業でございます。で、これをかりに従業員三百人以下、または御指摘のように資本金一億円というふうにいたしますと、二十五万三百四十三企業ということになりまして、数から言いますと五百九十一企業ということで、数は、資本金をふやしましても、資本金五千万円以下あるいは三百人ということでございますので、資本金は御指摘のようにかなりふえてまいっておりますけれども従業員が三百人ということで中小企業が該当いたしますので、数といたしましては五百九十一しかふえないという統計上の数字になっております。
  16. 小谷守

    小谷守君 私が申し上げているのは、この何年か前の中小企業基本法というものにきめておる中小企業というものの概念考え直さなきゃならぬのではないかというように申し上げておるんですが、そういうことはお考えになっておるのかどうか。
  17. 進淳

    政府委員進淳君) 御指摘のとおりでございまして、私どもも全く同じような考えを持っております。実は先月の十二日に中小企業基本法に基づきます中小企業政策審議会を開催していただきまして、御指摘のような御意見が各方面から寄せられておりますので、確かに資本金につきましては、八年前の五千万円と、いまの五千万円では違いますし、また御指摘のように、中小企業につきましても国際化時代に備えまして、資本の充実をはかる必要があるというようなことから、資本金については特にやはりふやす必要があるであろうというような考えもございますので、しかしこれは、中小企業基本法法律改正を要する問題でございますので、基本法改正というものになりますと、どうしてもやはり中小企業政策審議会にはからなければなりません。しかもこういういわゆるドルショックというような重要な事態に遭遇いたしましたので、定義改正のみならず、中小企業政策についてもいろいろ御批判を受けておりますので、あわせて総合的な御検討をいただくということで、いまこれから検討を急いで結論を出すように進めてまいりたいと思っております。
  18. 小谷守

    小谷守君 大体今度のドルショックに対してお考えになっておるお考えのあらましを伺うことができました。  そこで私は、やはり率直な感想でありますが、何かつまづいてからこう薬ばりをするびほう策であるという気持ちがしてならぬのであります。そこでまあ、ニクソンショックは非常にいやなできごとでありましたけれども、この機会にやはり中小企業対策というものを真剣に考え直していくという御努力が必要ではないか、このように思うわけであります。  貿易の面につきましては、やはりアメリカ指向型の貿易といいますか、非共産圏向け貿易という指導法を、やはり方向を改めていく。もっと新しい販路を求めていくという方向に御指導願わなければいかぬのではなかろうか。また企業の側としては、何といいましてもこれは少し非情なことばになるかもわかりませんけれども、安い賃金で安い品物をつくって、そしてどんどんダンピングをしていくと、こういうふうなことがやはりあったと思うのであります。私はやはり大きなニクソンショックによらなくても、大きな頭打ちを迎える時期にきておったのではなかろうか。そういうことではなくてほんとうに国際競争力をまともに身につけるところの体質改善をこの際はかっていくべきではなかろうか、そういう点についてこういうこう薬ばりではなくて、しっかりしたひとつ指導を願いたいと思うのでありますが、お考えはどうでありますか。
  19. 進淳

    政府委員進淳君) 全く私ども先生と同じような考えを持っております。中小企業のいわゆるニクソンショックに対する対応策、今回の対策は一応の対応策でございまして、御指摘のように中小企業の、特に輸出中小企業の今後のあり方というものをどう考えるかということにつきまして、真剣に検討しなければならないと思っております。  先ほど申し上げましたように、今後のあり方についての、何といいますか、ビジョンといいますかをきめなければならないということで御検討を願っておりますけれども、その中に私どもといたしましては、従来考えておりましたような業種別近代化であるとか、あるいは業種全体としての構造改善事業であるとかいうようなことは、当然含めてまいりたいとは存じますが、それ以外にも、ただいま御指摘のように商品の輸出仕向け地につきましても、対米輸出一辺倒でなくて、多角化をはかる。これは非共産圏ばかりという意味でなくて、共産圏はもちろん、東南アヨーロッパ、その他いろんな、各方面を含めまして市場の分散をはかる必要があるということは痛感いたしております。この辺につきましては、ジェトロとも今後、中小企業指導を従来からお願いしておるんでございますが、一そう緊密な連絡をとりまして対策を進めてまいりたいと思います。  なお、中小企業生産性につきましても、従来、先生が御指摘のような低賃金というようなことも国際的に言われた時代はございましたけれども、最近はむしろ中小企業のほうが賃上げ率は高うございまして、急速に大企業との格差は縮まってまいっておりまして、ヨーロッパ格差並み程度までかなり差は縮まってまいっております。しかし、私ども今後とも、中小企業の今後の国際貿易上におけるあり方について、御指摘のような方向検討を進めてまいりたいと思っております。
  20. 小谷守

    小谷守君 ぜひひとつそういう方向で、真剣に体質改善について御苦労願いたいと思うんであります。  これは中小企業庁の直接の所管ではないと思いますが、今度のニクソンショックで、ごらんになったと思いますが、繊維の問題、テレビを拝見しますと、あの繊維工場織機を無残にどんどんこわしておる。私はあの姿を見て、何か戦時中のつり鐘を供出さしてこわしたり、ああいう愚かなできごとを思い起こすんでありますが、あの光景をテレビで見ておる国民のほとんどは、あれでいいのかということを素朴に思っておると思うんです。国民経済全体の上からああいうことをさしていいのかどうか。あの機械にいたしましても、ずいぶんと融資もし、補助もしてきた機械だと思うんです。また業者自身とすれば、まだまだ構造改善の、近代化資金償却も十分できてない。借金のままで残っておると思うんでありますが、それをこわさぬと、政府救援措置が受けられぬというふうな、そういうことに追い込んでいる。あれがニクソンショックに対する政府対策だというふうなことを、あのテレビを見ておる国民は直感すると思うんでありますが、非常に寒々としたものじゃないかと思うんでありますが、お考えはどうですか。
  21. 進淳

    政府委員進淳君) 織機破砕の問題でございますが、これは実はいわゆるニクソンショックの前から織機の、織機と申しますよりも、繊維需給のアンバランスということがございまして、以前から繊維産業需給バランスを安定させる必要があるということで、織機買い上げということは進められておりました。これは日本繊維業というものは一番古い産業でございまして、御指摘のように、設備の中には最新鋭機械から、古い機械までずいぶんいろいろな種類の機械がございます。しかし、御指摘のように、かつて低賃金旧式機械を使っておりましたけれども、どうしても発展途上国との競合であるとか、品質の高級化というふうなことを進めますためには、最新鋭機械を入れる必要があるということは必要でございまして、そういたしますと、どうしても、   〔委員長退席理事柴田栄君着席〕 古い織機というものは供給過剰になるというようなこと、あるいは全体的に申しまして、繊維の供給過剰、業種別需給の安定をはかる必要があるということから、繊維につきましてはスクラップ・アンド・ビルドという方式が以前から採用されておりまして、その際に旧式機械を単に封印するだけでは、やはりその減産の実行上非常に問題があるというようなことから、旧式織機破砕するということはどうしても必要であるということが、業界全体の一致した意見でございまして、通産省といたしましても、そういう方式をとって厳重にそれをむしろ監視するというようなことでまいったわけでございまして、確かに一見いたしますと、ニクソンショックによりまして特にそうなったような点も印象としてあろうかと思いますが、政府としてはその前からやっておったわけでございます。もちろん今回の日米繊維交渉の結果、さらにかなりの量の織機買い上げということが必要にはなってまいったわけでございますが、織機破砕というそのものはやむを得ないことかと私どもは存じておる次第でございます。
  22. 小谷守

    小谷守君 大蔵のほうにお伺いいたしますが、今回の税制措置でありますが、一体これによる税収減はどの程度お見込みになっておられるのか。第一の欠損金の繰り戻し還付制度特例でどのくらいの減収になるのか、また事業転換による資産加速償却によってどのくらいになるのかお伺いをいたします。
  23. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 欠損金の繰り戻しによります還付につきましては、どのくらいの対象の中小企業の方が具体的に還付を求めておられるかということは、なかなか予測がつかないわけでございます。つまり個々の企業がそれぞれの経理状況に基づいていろいろな形で、その経営方針との関連上いろいろな形での決算をされます。その決算に基づいて欠損が出る。そうすると、それに基づいて還付を求められるというかっこうになりますので、個々の企業のどういう決算態度をとられるかということの集積でございますので、的確なる減収の見積もりを立てることは非常に困難でございます。しかし、きわめて達観的と申しますか、大ざっぱにいって、何か一つの見当がつかないだろうかということは私どももいろいろ検討してみたわけでございますが、一つの推定の方法といたしまして、こういう計算をやってみたわけですが、四十五年度に法人税の繰り戻し還付がありました金額が一年間で六十五億円でございます。そのうち、いわゆる中小企業の関連の還付額というものが大体三十五億円と推定されるわけでございます。そこでこれは、従来は欠損金還付は一年だけうしろへ戻れるという制度でございますが、今回はそれが三年に戻れるわけですから、それがどれくらいふえるか、つまり、一年分が三年ということは——倍にふえるかどうかということなんでございますけれども、そうはふえないだろうということで、五割ぐらいになるかなという見当かと見ますと、三十五億の五割ぐらいということになると、大体五十億ぐらいではないだろうか。それがこの法律の適用期間内にどういうテンポで赤——欠損が出てきて、こういう時期に繰り戻しを求められるかということも、これまたわからないのでございますが、この推定がかりに正しいというか、概算としてそういうことが言えるとした場合に、ことし、来年にわたってそれが求められてくるということになれば、ことしはその半分——二十四、五億ということかなというような見当をつけておるわけでございますが、これは最初に申し上げましたように、全くの一つの推定でございまして、特にまた今後の経済事情に応じて中小企業がどのような経理になっていくかということにも影響するわけでございますから、あるいはもっと大きくなるかもしれませんし、あるいはそこまで至らないかもしらぬということでございまして、きわめて申しわけございませんが、一種の達観的な数字だということで御理解願いたいと思います。  それから、加速度償却のほうの減収見込みは、これはさらに見当がつきかねるわけでございます。と申しますのは、この制度は御案内のとおり、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律が施行されまして、どうしても転換をせざるを得ないということで転換計画が立てられ、その転換計画を、認定を受けた後に初めてこれが適用になるという関係になってまいりますから、どのような企業が、どの程度の数の企業が、またどの程度の規模で転換計画を立てられることになるか。これはいわば、この法律のたてまえからいたしましても、決して転換を奨励するということではない。全くほかに道がない、どうするかという場合に転換ということが考えられるのでございましょうから、現在の段階で転換計画そのものの規模というものが予測が不可能な状態でございます。したがいまして、加速度償却によります減収額というものを見込むことは、先ほどの欠損の繰り戻しの場合に比べましてさらに困難というか、ほとんど不可能ということでございます。  で、特にいまのような手続を経て計画が立てられるということから関連いたしまして、本年度におきましては、現実に加速度償却が行なわれるということは考えられませんので、本年度の、先般御審議願い、すでに成立いたしました補正予算におきましては、この分の減収というものは全く見込んでいないということでございます。
  24. 小谷守

    小谷守君 今度の御提案を拝見して非常に不審に思いますことは、青色申告の対象者だけがこの措置の恩恵を受けることになっておるわけであります。白色のほうは、これらの業者も同様なやっぱりニクソンショックによる被害者であるわけであります。ある意味からは、白色のほうがその難渋の度合いにおいてはきびしいものがあると思うのであります。このほうを顧みないという御飯旨に対しては、どうしても納得がいかぬのですが、どういう御所存でありますか。
  25. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) ある意味では、まことに御指摘のとおりの面があるわけでございます。ただ実は、青色というのは帳簿が備わっております。その帳簿に基づいて従来から税務の申告が行なわれ、税務の調査もそれに基づいて行なわれておる。単に帳面を持っておるというだけでなくて、その帳面に基づいて税務の申告が行なわれ、その税務調査の場合も、それに基づいて調査をするということになっておりまして、帳簿そのものが、いわば税務の上では公認のものになっておるわけでございます。したがいまして、それに基づいてなされました申告なり納税なりにつきましては、納税者と税務官庁の間で相互に、いわば了解し合ったものになっておるわけでございますから、そこで、ある年度に欠損が起こりました場合には、当然年度間の黒字、赤字を調整するという意味で、欠損金の繰り戻しということが考えられるということで、従来から現行法上欠損金の繰り戻しの制度が青色の申告者、つまりそういう帳簿に基づいての申告、帳簿に基づいての調査という制度の上にのっとりまして、従来から欠損金の繰り戻しの制度があるわけでございます。ただ現行法上は、それは繰り戻し期間が一年だけに限られておる。しかし今回の場合は、非常に損が大きいことが予想されるから、三年まで繰り戻すことにいたしましょうという制度でございます。  で、一般の場合と申しますのは、白の場合で考えてみました場合、白の方の場合には、帳簿を持っておられる方もございましょう。全く帳簿のない方もございましょう。で、帳簿を持っておられる方でも、しかしそれは、それに基づいて申告されたかどうかは全くわからないわけでございますし、また、そのこと自体は税務署としては全く関知しないところであるわけでございます。したがいまして、一定のルールに従って帳簿がつけられていないわけでございますから、その意味におきまして白について欠損金の繰り戻しということは、従来から通常の場合でも制度上そういうふうに仕組むことは困難だということになっているわけでございまして、したがって、今回の場合にも、何か白についてそれを及ぼすということは、たいへん考えにくいことだと思うわけでございます。  ちなみに今回の場合に影響を受けることが大きいのは、どうしてもやはり個人よりは法人だと思いますが、四十四年の私どものほうの統計によりますと、法人の八〇%をこえる法人が、現在すでに青ということになっておりますから、かなり程度にはこの措置が及ぶものと考えております。  ただ、その白の場合に、しからば何かほかに方法はないかということは、当然検討はしてみたわけでございますけれども欠損金の処理の問題のしかたとしては、現在は繰り戻しなり、繰り越しなりという制度しかございませんので、やはりどうしても帳簿がないという前提では、技術的にやりようがないということであったわけでございます。
  26. 小谷守

    小谷守君 これは主税局長、おっしゃる点は私もよくわかりますが、一番零細なこの白色申告者の対策というものは、何かやはりお考えを願わなきゃいかぬと思います。帳簿が整備されてないということが大きな理由でありますが、たとえば一つのメモ、メモランダムというふうなことで考慮の対象にはならぬかどうか。だめだというふうなことで突っぱねないで、何か救済する措置はないかという立場でお考え願いたいと思うのでありますが、これはいまの御答弁では全然捨てて顧みぬと、こういう冷たい姿勢のようでありますが、もう一歩お考えはございませんか。
  27. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 白色の事業所得者の欠損金の繰り戻しの問題につきましては、これは必ずしも今回のような場合に限りませず、従来あります一年間の繰り戻しの制度につきましても、青だけ、いわばこの青色申告制度の恩典のような形になっておるのはおかしいではないか、本来そういう筋のものではなくて、欠損があれば、前に納めた税金を戻すということは、白色申告者の場合だってあってしかるべきではないかという御議論は、各方面から寄せられている御議論でございます。決して今回に限らず前々からある御議論でございます。まあいろいろと事業の性格によりまして、変動が大きいというような場合があります。あるいは今回ほどの大きなショックではない、まあ好況、不況というものが波がございますので、何らかの形でそういうものは白色でも認めていくことができないだろうかということは、繰り返し繰り返し御議論があり、決してそれは切り捨てごめんというふうなことではなくて、何度も議論を重ねてきたところでございます。そのこまかいところを申し上げるだけの時間はございませんけれどもかなり何度も検討はいたしましたけれども、やはり一定のルールに従って一定の経理をして、そして損益の算定を行なえる。それがまた納税者と税務署との間で、いつでもいわば議論の対象の一つの共通のブッキングになるというものであってはじめてそれができるわけでございまして、いわば他の納税者との課税の公平の観点から申しましても、ふだんは白であって、そして何かトラブルが起こった、不況になったというときにだけ青の扱いにしてくれということは、やはりいかがかというのが今日までの考え方でございます。
  28. 小谷守

    小谷守君 自治省の方お見えになっていますか。  九月二十三日の閣議決定の要綱を拝見しますと、地方税についても欠損金の繰り越し期間の特例を認めるという御方針のようでありますが、自治省としてはどのようにこれを具体化される御所存でありますか。
  29. 石川一郎

    説明員(石川一郎君) ただいま御指摘のありましたような閣議決定がございまして、これに基づきまして地方税につきましても、昭和四十七年度の地方税法の改正にあたりまして、個人につきましては現在欠損金の繰り越しの適用期間が三年になっておりますのを五年に、法人につきましては五年となっておりますのを七年に延長するようにいたしたいと考えております。
  30. 小谷守

    小谷守君 大蔵当局にもう一度伺いますが、先般来この委員会でしばしば議論をされた問題でありますいわゆるニクソンショックドルショックで、深刻な打撃を受けた方々が非常に多いわけであります。これらに対しては金融措置、税法上の措置、その他一連の対策をいまお立てになっておるわけでありますけれども、一方ではこのニクソンショックに便乗して、何回も議論がありましたように、巨額の為替差益金をかせいだ連中もおるわけであります。まさにたくさんの泣く者と、ごく少数の笑いのとまらない者とが出てきたと思うのであります。そこでこの不労所得と申しますか、この時期に大もうけをした者、これを見のがす手はないわけでありまして、ショックによって打撃を受けたたくさんの業者に対しては手厚い措置をとっていただきたいと同時に、こういう少数の不労所得組みに対しては、税当局としてはこれを早い時期に税源として捕捉をしていく努力を払われなくてはならないと思うのであります。先般来の主税局長のお考えを承っておりますと、それはそのとおりだと言って肯定しながら、しかしこれは、やはり法人の損益の決算にあらわれてくる時期を見てということでありますが、そういうようなゆうちょうなことでは、これは法人の損益決算というふうなプラスマイナスの中に埋没してしまって、ますます捕捉が困難になるのではないか。今日の国民感情としては、こういう者からはきびしく取り上げよということが国民の声だと思うのでありますが、これはどうされますか。
  31. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) ただいまのお尋ねの点はいろいろな問題を含んでおると思いますが、先般も当委員会でお答えいたしましたように、現在の現行制度を前提として考えますと、企業の収益をいろいろに区分いたしまして、特別な収益についてだけ特別な課税をするというたてまえが法人税の場合はとられていないわけでございますから、したがって、ただいま御指摘のとおり、全体の中に埋没するというような形にはなりますが、企業全体として捕捉をするということ以外に方法がないと思いますけれども、非常に多くの企業が、特に大企業の場合は三月、九月を決算期としているものが多いわけでございまして、ちょうどいまから十日ほど前、十一月末に九月の決算の申告書が税務官庁のほうに提出になり、そしてそれによって所要の税額が納付になっておるわけでございますので、その申告書に基づきまして、通常の場合とは異なりまして、その種の企業につきましてはすみやかに申告の内容を精査をする、そしてそれに基づいて、必要があれば早く調査をするというようなことを国税庁のほうで具体的に考えておる段階でございます。  で、なおただいまのは現行制度のもとにおける考え方でございますが、いずれにしましても、異常の利益があった場合、異常利益について制度上何かこれを捕捉するという方法がないか、立法上これを解決する方法がないかという問題が別途あるわけでございます。この点につきましては、その後もいろいろ研究はいたしておりますが、ただいま、まあごく一部の方が今度の変動相場制への移行によって利益を得ておるというお話でございましたけれども、どういう事情で利益が出たかというのには、なるほどいろいろ事情があろうかと思いますけれども、私どもが冷たく経理の面からだけ見ておりますと、変動制への移行によって利益が出るという企業は決して少ない企業ではないわけでございます。外貨建ての債権を持っておるところの企業は損が出ますけれども、外貨建ての債務を持っておる企業はすべて益が出てくるわけでございますし、これはどういう企業会計原則をとるかということによりますけれども、したがって、いつの時期にその益を計上すべきかという問題はありますけれども、一般論としては、外貨建て債務を持っておれば、換算レートが変われば益が出るはずのものでございますし、輸入価格が下がる、輸入物資の価格の円表示が下がるということになれば、輸入物資に依存している企業につきましては益が出てくるはずでございまして、かなり広範に益が及んでくるわけでございます。そういう状態のもとにおいて、どのような原因で発生した利益だけについて特別な課税措置をとるかということになりますと、現実的な課税技術といいますか、そういう問題になりますと、どこで区切るかというような問題になりますと、非常にむずかしい問題になるわけでございまして、はなはだ申しわけないと、私たちも気持ちとしては、何か片一方で異常の損が出て、現実に法人税の納付額が減っておりまして、先般の補正予算でお願いしましたように、たいへんな減収を生じておる際でございますので、   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 何とか片っ方において利益があれば、それを特別な方法で捕捉をして、まあ減収の一部を補てんし得るような方法がないものかということは、繰り返し研究してみておるわけでございますけれども、どうもやはり課税技術上、特別にある具体的な原因によって生じた利益だけをとらまえて、特別な方式による課税をするということはむずかしい。まあ過去においてもしばしばこういうことは言われたわけでございます。またこういう事実はあったわけでございます。しかし、そのつどいろいろ議論の末、やはりどうも実行上むずかしいということで見送られた経緯に照してもあるいは御理解いただけるかと思います。いまのところはおそらく非常にむずかしいのではないかと思っております。
  32. 小谷守

    小谷守君 むずかしい、むずかしいということでは国民は納得しないと思いますよ。そういうことでこういう問題を見のがしておるという姿勢は、国民感情として容認しがたい点だと思います。八月十六日から二十七日までのごくわずかの間に、小ずるく立ち回ってほろもうけをした、こういう不労所得を、これを税源としてきびしくやっぱり捕捉していく努力がなければだめだと思います。やがて法人の決算を見て、損益の加減の中で、その中に埋没をさせて、そして法人税という範疇の中でしかこれが取り扱えぬというような、そういうふうな迂遠なお答えでは、今日の国民感情としては納得しにくい点だと思います。これはむずかしい点はよくわかります。何回もの御説明で私も承知をしておりますけれども、もっとしっかりした姿勢でこれは取り組んでもらいたいと思います。  なお、この機会に私は、租税特別措置法一般について少しお尋ねをしたいと思うのであります。ずいぶんの租税特別措置法と称するものがあるようでありますが、この中には明らかに任務を終わったものもあるのではなかろうか。この立法の経過というものは一つ一つそれぞれの理由があってのことだと思いますが、すでに任務を終わったものも何か惰性として残っておるという点もありましょうし、一々のことは申し上げませんが、明らかに一部の富裕の階層を過保護するために温存されておるという向きのものもあると思うのであります。これはできるだけすみやかに整理をされる必要があろうと思うのでありますが、そういう点についての御方針を、これは政務次官から承りましょうか。
  33. 船田譲

    政府委員(船田譲君) ただいまの御質問の前に、先日来、八月の十六日から二十七日までに発生をいたしましたいわゆるドル売りなるものについての貴重な御見解がございましたので、私の考えをちょっと申し上げたいと思います。  すでに国金局等から答弁いたしておりますように、外国為替専門銀行は、確かに東京外為市場において外貨を売ってはおりますけれども、結論的には依然として買い持ちポジションのまま、いわゆる変動相場制に移行したわけでございます。その意味におきましては、外為銀行といたしましてはスクェアーをするためにカバーを取りましたけれども、取り切れないで残っておる。つまり損失を多少減らすことはできたけれども、完全に減らしてゼロにした、あるいはもうけたということにはならないと思うのでございます。  それから商社に関しましては、御承知のように、輸出代金のいわゆるリース——先取りの問題と、それから輸出前受け金と両方ございます。リーズの問題につきましては、いわば当然入るべかりし代金を先に、先にと申しますか、支払いを早めたということでございまするから、これについては、いわゆる小ずるく立ち回ったということにはならないと思います。  輸出前受け金につきましては、御承知のように標準決済規則によりまして認証前一年、プラントにおきましては認証前三年という前受けが認められているわけでございます。したがって、これによる為替差益があったかどうかということは、実際問題といたしまして、船積みをいたしまして引き落としをした時点において、その引き落としをしたときにおいて利益があったかどうかということに、税の対象としてはなってくると思います。そういう意味で、私は必ずしもいま申し上げました為替公認銀行のドル売りの問題及び商社の輸出前受け金の問題につきましては、為替差益があったということをいまこの時点でかちっときめつけることは不可能であると思います。  ただ、たとえば外貨建ての債務を持っている者あるいは外国から輸入を多くしておる者につきまして、それがドル建てで輸入をしておりまして、ドルが円に対して下がってきたということによる差益は確かにあると存じます。こういった面を先ほど主税局長申しましたように、現行の制度におきまして、結局は決算の時期においてこれをどのように企業が乗せてくるかという問題によって処置をしていくべき問題だと思いますが、なお先生の御趣旨は十分わかっておりますので、主税当局もそれに対してさらに研究するところがなければならぬという姿勢でいきたいと思っております。  なお、租税特別措置法につきましては、根本の考え方は、やはり税の公平を失する面と、政策的な効果の面とのバランスであろうと思います。政策的の効果が、税の公平を失する面よりもはるかに多ければ、やはりやるべきものであり、税の公平を失する面のほうが大きいということであれば、多少の政策効果がありましてもそれはやるべきではない。こういう根本姿勢でいかなければならないと思っておりますが、詳細につきましては主税局長のほうから答弁いたさせます。
  34. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 租税特別措置は文字どおり特別措置でございますから、政策目的が達せられたかどうかということをよく見守り、絶えずそれを見ていかなければならないということはまさにただいまおっしゃるとおりでございまして、本年の八月初めに総理大臣に提出されました政府税制調査会からの御答申におきましても、租税特別措置については、医師の社会保険診療報酬課税の特例など、なお解決すべき問題もあるので、今後においても個々の政策の目的と税制の基本的原則との調和という見地に立って、絶えず既得権化や慢性化の排除につとめるとともに、経済、社会情勢の進展に即応し、随時流動的改廃をはかっていくこととすべきであるというふうに指摘されておりますが、私どももただいまの先生の御質問、御指摘のとおりの気持ちで処理してまいりたいと思っております。
  35. 松永忠二

    ○松永忠二君 中小企業庁のほうにお伺いいたしますが、何かお話を聞いていますと、輸出成約も前年同期に比べて八割ぐらいになった、だいぶよくなってきているというお話があるんですけれども中小企業全体について——これからいよいよ円の切り上げがあるわけですし、不況の把握のしかたというのは少しこう甘いのではないかという気持ちもする。新聞によって、書き方によって非常に差があるので、私たちも実ははっきりわからないわけです。二回にわたってお話を聞いていると、だいぶ成約のほうがよくなってきているというお話がありますと同時に、また新聞あたりで見ると、設備投資が非常に落ちているというような状況もある。この点については今度の円レートの切り上げ、課徴金は円レートを切り上げれば全廃するといっておりますけれども、話に聞けば、直ちにそれがすぐ全廃されるという状況でもない。順次やっていくという面も出てきているようなお話もあったわけです。こういう点で直接に外的要因に基づいて出てくる需給のギャップというのはどのくらい一体あると考えているのか。そういう中で中小企業というのはどの程度の一体ギャップが出ているのか。その中で特に輸出の関係としてはどうなのか。この三つに分けて少し数字的なものをあげて、中小企業が受けるであろう今後の不況の波及の状況について、予測の問題を少し聞かしていただきたい。
  36. 進淳

    政府委員進淳君) 中小企業全体の産業界に占める地位と申しますものを最初にちょっと申し上げますと、先ほども御答弁申し上げた次第でございますけれども企業数では、これは四十四年の工業センサスしかございませんけれども、九九・三%が中小企業でございます。しかし製造業——全体の数でいいますと四百六十二万ございますが、そのうちの約七十万が中小企業製造業でございます。これが一番好況、不況の影響を受けるのでございますが、この製造業の中で中小企業生産額が全体の四九%余り、約半分と御理解いただければよろしいかと思います。これがどういうふうになるであろうか、その中で輸出に占める中小企業の製品の比率といいますのは、これは実は通関統計中小企業と大企業と正確に分けておりませんので、その辺がちょっとあいまいでございますが、ほぼ四割程度であろう。大体全体の中小企業生産額と似ておるであろうというふうに私どもは推定をいたしております。  これが今回のドルショックでどういう影響を受けるかということでございまして、私どもといたしましては、中小企業の場合には比較的に、御承知のように雑貨関係でございますとか、完成品が多うございますので、影響は大企業よりは比較的いまは多いであろう。したがって、全体の輸出の中で占める比率は四割程度でございますけれども、減る分のうちの割合からいいますと、五割くらい中小企業がやはり影響を受けるであろうというふうに見ております。  そこで需給のギャップでございますが、その辺につきましては今回のドルショックが一般的な不況と重なってまいっておりますので、その区別、区分といいますか、その辺は全体的には非常にわかりにくいところでございますけれども産地全体につきまして、私ども百二十産地について輸出比率一〇%以上のところを特に調べたわけでございます。その平均を先ほど申し上げたわけでございまして、もちろん個別の産地ごとに見れば、非常に困っている産地もあるわけでございます。特に需給のギャップが鋭敏に出ますのは稼動率に出てくるわけでございまして、需給がアンバランスになるとか、あるいは注文が減りますと、とたんに稼働率が落ちてまいるわけでございますが、御指摘のように、ドルショック以前の八月以前を一〇〇といたしますと、大体九月が八八%ぐらい、それから十月が八〇%ぐらいということで、やはり稼働率から見れば、いわゆるこの輸出関連産地稼働率は下がってまいっております。もちろん全体がこういうふうに下がっておるというわけではございませんが、百二十産地全般的に見れば稼働率はやはり次第に低下する傾向を見せていることは事実でございます。以上でございます。
  37. 松永忠二

    ○松永忠二君 その程度のお話はさっき聞いたわけなんですね。それからまた、あなたのほうでお出しになっている産地速報調査なんかを見ても、その程度のことが書いてあるわけなんですね。まあ経済企画庁の関係なのかもしれませんけれども、しかし、中小企業対策をおやりになっておられるのだから、いま、直接的にその外的要因というものの需給ギャップというものはどのくらいのものだ。もちろんそれは円レートの切り上げがどのくらいのものだろうかということも問題になるわけですけれども、まあ普通言われている三百二十円とか、三百十五円とか、まあそういう常識的に考えて言われている数字で予測も出しているわけですね。それからそういうふうな中で、一体中小企業の中で推定されるその直接的な外的要因に伴う需給ギャップがどのくらいだろうか。こういうような点について何か数字的に、こういう大体推定としてこんなふうだというようなものはお持ちなんでしょうか。
  38. 山田勝久

    説明員(山田勝久君) お答えいたします。本年度当初、政府の経済見通しでは、四十六年度一〇・一%の上昇を見込んだわけでございますが、その後景気の回復がややおくれぎみであること、それからドルショック関係ということで、去る十月十二日にはその改定見通しを発表いたしました。それによりますと、四十六年度の実質経済成長率は五・五%ということになっております。まあ現在もう一回見直しをやっているところでございますが、結局少なくとも一〇%を見込んでいたところが五%程度になってきたということは、一つの需給ギャップの広がりということを意味するかと思います。  それから、中小企業と大企業との関係でございますが、中小企業関係の製造工業生産指数の実績を見ますと、本年の七月から九月までを昨年の七月——九月期と比較いたしてみますと、約五%程度の低下になっておりまして、大企業が大体横ばいでございますので、やや景気の浸透と申しますか、進化と申しますかが、大企業よりも中小企業がやや早目、やや深目に出ておるかと思っております。
  39. 松永忠二

    ○松永忠二君 まあわかりました。ただわれわれが何かいろいろなものを調べると、円レートの切り上げが一四・三%として、それから輸入課徴金と、この二つの直接的な外的要因を調べると、円レート切り上げで約十四億ドル、課徴金で約八億ドルと、二十二億ドルのいわゆる需給のギャップが出てくるのではないかということもいっているわけですね。そうなってくると、こういう中で中小企業というものはどの程度のものなんだろうか。特に輸出関連はどんなところに出てくるのか。もう少しやはり総括的な見方というものをお聞きしたいと思ったわけです。私は少しいまこれは、まあ今度の租税特別措置に関連をして出てきている国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律という関連で御答弁されていると思うのですが、いよいよこれから実は本番へ入ってくるわけで、円の切り上げが本格的になされて、不況が最も深刻になるのは一月から三月ごろだろうというようなことを言われているときに、何か答弁を聞いていると、非常に、そんなたいしたあれはないのだ、いや順次回復もしているのだというようなお話なので、もう少しやはりあまり深刻に考えること自体が景気浮揚に妨げになるというような意見もあるけれども、やはり中小企業としてもう少しそういう点についてこの考え方を明確にしていただくことが非常に必要ではないかという感じを私が受けたので、いまの御質問をしたわけであります。  それからなお、特に業種転換の問題について、むしろ非常にこれは実施が困難になってきている。地方あたりでも、このことは国にまかせて地方はやらぬようにしようというような、そういう動きもあるように一部伝えられているわけですが、中小企業対策としてこういう臨時措置をやられるわけだけれども、この臨時措置の中でも業種転換という問題が出てきているというのは、もう将来の日本輸出構造というようなもの、貿易構造とか、あるいは産業構造というものから考えてみて、もうこういう本格的な対策を進めていかなければできぬということから出てきている問題だと私は思う。これについては実情どんなふうな一体状況にあるのか。そういう点についていろいろな措置もされて、さっきお話しのような中小企業対策として打ち出されてきたわけだけれども、この状況、事業転換の円滑化の措置などというのは実際問題としてはうまくいっているのかどうか、実情はどんなふうなのか、この点をあわせて、前のことで御答弁があるならば御答弁を聞かせていただいて、なおその事業転換の状況についてどんなであろうか、その点をちょっと聞かせてください。
  40. 進淳

    政府委員進淳君) 最初の御質問の点でございますが、御指摘のように、私どもも決して前途を楽観しているわけではございません。現在までの私どもが調査した産地の実情をありのままに申し上げたわけでございまして、しいてあげますと、第一段階が、ドルショック直後の輸出成約が二割ぐらいに急減して、ほとんどまあできなかった時代に比べますと、いわば第二段階に入ったといいますか、輸出の先物契約が実施されましてから成約が回復してまいりまして、やや落ちつきを取り戻した。しかし、決して通常ベースまでいっているわけではございません。  たまたま私ども一番注目しておりますのは、受注残を見ているわけでございます。今回の調査でやっと横ばいという数字が出ました。その辺をまあ申し上げたわけでございますが、もちろんこれから、年末から来年一−三月にかけまして、いわば第三段階といいますか、これからが現在のところ契約内容、特にその採算その他どういうふうになりますか、全般的な景気の成り行き等の関連も含めまして、今後の推移をやはり御指摘のように注意して見守ってまいる必要があると思っておりまして、決して楽観をしておるわけではございません。まあむしろ非常に用心をして注意してまいりたいと存じております。  それから御質問の第二の、業種の転換の問題でございますが、たまたま百二十産地につきまして調べましたときに、転換の実例をいままで調べましたところによりますと、これがすべてかどうか存じませんけれども、現在までのところ十月下旬から十一月の下旬にかけまして、二百二十九の企業が転換をしたという報告がまいっております。で、これは、数からいいますと、全体の調査対象三万三千企業を対象にして調査いたしておりますので、その中の二百二十九でございますから、非常にわずかな数でございます。そういうようなことが参っております。  一般的にこの業種転換でございますが、御指摘のように、これは非常に指導につきましてもむずかしい問題でございまして、全く新しい業種に転換するというのは実際上は非常にむずかしいものでございますから、大体においてみんなが考えておりますのは、従来自分が行なっております仕事に関連のあるところ、一例を申し上げますと、燕の洋食器等で申し上げますと、みがき加工に関連いたしまして、機械関係の部品のメッキであるとか、みがき加工をやる、そういうふうに転換するというようなことの計画が多いようでございます。現在でもそういう意味で、たとえば、めがねワクでございますとか、電機部品でございますとか、アルミ加工品、パイプ継ぎ手、いろんな部品のほうに転換するというような計画がいま地元ではいろいろあるようでございます。一つの例でございまして、いずれにいたしましてもこの転換ということにつきましては、これから産地ごとに、あるいは業種ごとに関連産業への転換ということでできるだけ指導してまいりたいと存じております。
  41. 松永忠二

    ○松永忠二君 大蔵省のほうと関係して聞くわけですが、何かさっき小谷委員の質問だと、このほうのいわゆる減価償却に伴う減税額というものは、ほとんどわからない。わからないとすると、じゃたとえば来年はどのくらいになるだろうか、していかなければわからないという、そういうことの一体政策としての関連というのはあるのですか。ただ出すだけ出しておこうじゃないかというようなことになってしまう欠陥はないのですか。もう少しこの重要項目としては、中小企業対策のところに、ドルショックに対する対策として、こういうことをやりましたと言うんなら、およそこういうふうな金額を考えているのだと、そうしたいのだと、そういう方向へ持っていくのだという、何か政策的な目標というものがなければ、出てきてみなければわかりませんということでは、あまりに何かやり方としてはおかしいんじゃないかと私は思いますがね。この点は大蔵省と中小企業庁とは一体どう話し合いがなされ検討がなされ、そういう中でこれが取り上げられる、金額がわからないものを取り上げたからといって、そんなにえらく政策的に効果があるものじゃないと思う。取り上げる以上はきちっとしたものがなければできぬと思うのだが、この点は大蔵省と中小企業庁は一体どういうふうに考えておりますかね。
  42. 進淳

    政府委員進淳君) これは実は先回の特恵関税を実施いたします場合にも同じような議論がございまして、私ども特恵関税は、御承知のように日本発展途上国の安い産品が入ってくるという影響ということから転換を考えざるを得ないのではないかという議論があったのでございます。幸いにアメリカが実施いたしませんでしたので影響はほとんどございませんで、その関係はあまり実際上影響があらわれてまいりませんでしたが、今回のドルショックについては、相当深刻な影響が参っておりますので、ただいま御質問のように、転換対策をいずれにいたしましても真剣に考えなければいけないという実情にあることは事実でございます。  そこで私どもといたしましては、そうなりました以上は、それにつきましてやはり税制上現在お願いいたしておりますような制度を、ぜひひとつ今度のドルショック転換についても適用していただきたいということでお話し合いをしたわけでございます。しかし制度といいますか、政策といたしましては、そういうことで転換を希望する業者に対する一つの助成と申しますか、考え方について援助したいというような気持ちで政策として出したのでございますが、現実にどの程度転換をするかというのは、実際のところ私どもといたしましても、企業数としては全くつかみ得なかったのが実情でございまして、これはまあ、正直なところなかなか計画的に予測するのがむずかしゅうございますものですから、数字的にはちょっと申し上げにくいというふうに、大蔵省にも言っておるわけでございまして、そういう意味で積算が困難であるということであろうかと存じますが、そういうような実情でございます。
  43. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 私どものほうといたしましては、どうしても税収ということに関連がございますから、本来このぐらいの計画である、よってもってこのぐらい減収が起こるかもしらぬよと、それでどうだと言っていただくほうが、ほんとはありがたいわけでございまして、全くどのぐらいの減収を来たすかわからぬが、こういう制度を認めてほしいと言われるのは、はなはだつらいわけでございます。つまり、ある意味からいうと、無限みたいな話になってしまいますから、それでは非常に困るわけでございますから、本来ならば、何か制度考えるときには、こういう制度がある、これによってこのぐらいの程度の救済であり、国庫への影響はどの程度あるということがわかったほうが、実はわれわれの立場からはありがたいわけなんです。しかし、事の性質上転換というのは、こういう範囲内でならばよろしいが、それをこえてはいけませんというわけにまいりませんものですから、それで、数字的にはわからないが、まあしかしこういう事の性質上それまたやむを得ないでございましょうという気持ちで、制度としてはこういうものは設けるが、減収の見込みはちょっと立てがたい、こういうことになっているわけであります。
  44. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっと関連して。あとで質問を順序立ててやるつもりでありますが、時間があまりありませんから関連で。  業種転換対策の問題ですが、いま松永委員にお答えがあったようでありますけれども、いま通産省としては、中小企業国際経済調整対策臨時措置法、この提起を準備しておると、こう聞いておるのですが、その有無について。  それから、中小企業国際経済調整対策臨時措置法、これは自由化に伴って特恵関税供与に対応した中小企業特恵対策臨時措置法、まあこれと大体同じ流れをくむものだと思うのでありますが、そういう業種転換に対しての特別融資制度あるいは税制上の優遇措置、こういういわば制度業種転換の内容は、すでにこの特恵法で明らかでありますが、次のような問題について私は問題があると思うのです。  それはどういうことかというと、政府の長期低利の転換資金融資、こういうものを受けるためには、転換計画の企業規模、これは一定水準を持たなければならない。大部分の中小企業はこの対象になり得ないのですね。実際この点が問題だ、一つは。  それからもう一つは、かりにこの転換のための融資を受けた場合ですね、結局、融資税制面、この保護制策では私は不完全だ。いわば経営技術、労働者の訓練、市場開拓、こういう問題について、国や地方自治体というものが一体どういう保護政策を具体的にとるのか。これがなければ私は問題の解決にはならない。  それからもう一つは、政府が転換業種を指定した場合ですね、いまの業種でがんばる、こういう業者もおるわけですから、そういう場合には、逆にじゃま扱いをされるというのが法制上のたてまえなんだ。こういう問題に対して明快な回答もやられておらないのですね。  もう一つは、政府対策には廃業対策がない、もうすでに地域産業については、ことにこの輸出関連産業ですよ。そういう地場産業中小企業等は倒産に追いやられているという状況もあるわけですね。そういうものに対して当該市や町が具体的に施策を、いま倒産防止というようなことでだけやられておる。代表的なものが新潟の燕市等だろうと思うんですがね、洋食器等。こういうものに対して何ら政府としては廃業に対する施策を講じておらない。これは緊急対策要綱の中においても一貫してうたっておらないですね。ですからこういうものが転換をする場合に、親切に保護政策を充実をしていただかないと、廃業者はこれはもう野たれ死にということになりかねない、こういうことになってくるんじゃないかと思うんです。  ついでですから、私は転換業に対するところの予後まで含めてお願いをするわけですけれども、一つは機械設備、こういうものは原価に見合う、それに償う、こういうやっぱり買い上げを実行すべきじゃないか。それからもう一つは、買い上げ代金、こういうものについては課税の免除対象にしていくべきじゃないか。今回少なくとも困った業者に対して、中小企業にこの租税特別措置法等をつくって改正をして、一般の業者に対してはそこまでやろうというんですから、一歩進めてそういう廃業者に対するところの各種の機械や何かの買い上げについては課税免除をすべきだ、こういうふうに考えるわけなんです。  それからもう一つは、廃業企業者の機械設備買い上げは無条件で私は行なうべきだと思う。こういう問題についての政府の緊急対策要綱には、こういうものは全部抜けている、転業者に対して。だからそういう面についてあわせて私は考え方と対策をひとつ明確にしていただきたい。
  45. 進淳

    政府委員進淳君) 転換の方法でございますが、私ども中小企業の転換をいたします場合に、本制度を適用いたします場合、知事の認定制度ということをいたしたいと思っておりますが、認定にあたりましては、私どもができるだけ自主性を尊重いたしたいと存じまして、ネガリストといいますか、特にこういうものはいけないというような、ごく少数のものを除いて、いかなるところに転換をしてもそれは認めたい。たとえば風俗営業であるとか、特に現在中小企業団体法で設備制限を現にしておるとか、生産制限をしておるとか、そういうような業種に転換したいというのは、これは困るわけでございますが、たとえばそういうようなごく特殊な、ネガリスト方式でやってもらいたい。したがいまして、できるだけ業者の自主性を尊重いたしまして転換計画を立てます場合に、知事のほうできわめて弾力的に認定ができるようにいたしたいというふうに存じております。  で、融資税制等につきましては、御指摘のように、転換の場合と同じように、理由は特恵関税であれ、ドルショックであれ、転換する場合には同じような制度を適用したいということで……。
  46. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっと。ぼくの質問の要旨は大体六つなんですよ。順序を追って回答していただきたい。  いま前段で答弁したようなことは、衆議院の議事録で全部次長が言っておる、それはね。佐藤委員や広瀬委員の中で、それはわかる。私が言っているのは中小企業国際経済調整対策臨時措置法というものをいま通産省では準備をしておるではないか。これはどういうことなのかですね。準備をしているのじゃないか、法律の制定をですね。それはしているのかしていないのかということが第一点。もししているとすれば、それはかつてのこの特恵関税供与に対応した中小企業特恵対策臨時措置法この流れをくむのではないか、その内容について、一つは。  それからもう一つはですね、転換資金融資を受けるためには、一定の企業の規模ですね、その水準があって、それに到達しないものはだめだということになっておるのだから、だから、そういうものを、この企業水準に到達しないものが大部分だと、私から見れば。だから、これは転換融資の対象にはだいぶはずれてくるじゃないか。特に小零細企業。そういう点はどうなんだ。こういった項目を私はいま言っているのだから、それに応じて要領よく回答してください。時間がないから。
  47. 進淳

    政府委員進淳君) 国際経済調整措置に伴う臨時措置法でございますが、これは実は、今度は中小企業に関して提出した法律のことでございますれば、商工委員会のほうで御審議いただいて御採決いただいたわけでございますが、御指摘の意味は、全般的な広い意味でという意味でございましょうか。
  48. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 だから、そういう臨時措置法というものの制定を準備しているかどうか。しているのかしていないのか。
  49. 進淳

    政府委員進淳君) 私のほうといたしましては、国際経済全体につきまして、中小企業を含めて、法律については私いまちょっと存じておりませんので、私としては聞いておりませんのですが、法律としてどういうふうになっておりますのか、ちょっと中小企業庁としては、全般的な問題につきましては御答弁いたしかねる次第でございます。  それから、まあ基準でございますけれども、基準につきましては、私どもは転換をしたいという場合にですね、基準にまあそうむずかしい——これからつくるわけでございますけれども、御指摘のように、あまりきつい基準と申しますかをつくるつもりはございませんで、できるだけほかの業種に、まあ企業としてもやはり生きていかなければなりませんので、企業自身が転換します場合に、成り立ち得る企業を今後まあ自主的に考えていくと思いますけれども、したがいまして、先ほど申し上げましたように、そういうまあ企業の規模であるとか、その生産性であるとか、そういうものについてあまり制約的な基準をつくるということは現在考えておりません。  ただ、指導といたしまして、かえってあまりあやふやな転換計画を立てますと、企業自身がお困りになるので、今後商工会議所、商工会あるいは府県、市等で、産地においていろいろなまあ協議会等ができて指導しますような場合には、そういう意味でのまあ好意的な指導ということは考えたいとは存じております。
  50. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 関連だから、あとでやります。
  51. 松永忠二

    ○松永忠二君 なお少しお聞きいたします。  いま少し話出ましたが、中小企業倒産ですけれども、何か十月以降から急速にふえてきた。まあ年末ごろから本格的になってくるのだろうということを言っている面もあるわけなんですが、その中小企業の倒産というのは一体どういう状況になるという把握をされておるのか。いかがですか。  それからもう一つ、あわせてお聞きをいたしますが、これは自治省のほうでもけっこうですけれども、各都道府県が、今度のいわゆるドルショックに伴う金融措置等を非常にいまやっているわけなんですが、その現在までにわかっている一体規模、全体的な。そういうものはどの程度になっておるのでしょうか。まあ大体方向として金融的な面以外に何か特にやっておるようなこと、まあ信用補完とかそういうものは別としてですね、特色のある対策をやっている地域があるのか。総体的にそういう金融措置としてどのくらいなことをどういう状況でやっているのか。これを総括してひとつお聞かせ願いたい。
  52. 進淳

    政府委員進淳君) 最近の倒産件数でございますが、九月以降、ドルショックといいますのは八月十六日以降でございますので、九月の倒産件数が七百二十四件でございまして、これは前年同月に比べますと、件数で一〇・二%減となっております。それから金額で四百七十三億で、やはり前年同月比で二三・六%減となっております。それから十月でございますが、件数で八百六十五件やはり九・八%減、金額で六百三十三億円、一三・六%の減。十一月が七百六十八件、二八・三%減、金額で五百三十二億円で三〇・八%減ということで、倒産件数を私ども慎重に注意して見ておるのでございますが、全体的に見ますと、どういうわけか存じませんけれども、これはおそらく私どもがいろいろな意味での不況対策、それから今回のドルショック対策ということで金融措置は十分とったつもりでございますので、おそらくその金融措置のせいであろうかと思っております。  それと一般的に先ほど御指摘ありましたように、金融が緩和しておりますので、そういう意味での影響であろうかと思いますが、倒産件数の実績そのものは昨年同期に比べますと下回っておるわけでございます。もちろん先ほどから御答弁申し上げておりますように、十二月以降このように少ない数字でいくかどうか私ども非常に心配しておりまして、注意深く見守ってまいりたいと思っております。  なお、いまドルショックの関係で先ほどから再三申し上げますように、いろいろな方面から調べておりますが、いわゆるドルショックを原因とする倒産というのはどれだけあるかということで、私ども調べたところによりますと、現在のところでは八月二十九日から以降で三十七件、現在十一月三十日まで全体で三十七件という数字が出ております。  それから第二の御質問の都道府県関係で、単独で措置をとったところでございますが、これは都道府県関係は国よりも自主的に動きがわりととりやすい関係もございまして、東京、大阪、愛知県はじめ、ほとんどのいわゆる輸出産地の関係の府県では何がしかの緊急輸出措置をとっております。ちょっと手元に詳細な資料持ち合わせておりませんが、関係市町村ほとんど、府県ほとんどのところで措置をとっております。  それからなお輸出関連につきましての、今回お願いいたしております特別保証措置でございますが、これは全部の都道府県でまあほとんど実施いたしました。信用保証協会を通じてやりまして、これは全部の都道府県の監督下にございますから、これとあわせて実施することになろうかと思っております。
  53. 松永忠二

    ○松永忠二君 最後に一つ、トータルのようなものはわかっていないんでしょうか。
  54. 進淳

    政府委員進淳君) ちょっとただいま手元にございませんが、後ほど資料を御説明させていただきたいと思います。
  55. 松永忠二

    ○松永忠二君 資料出してください。
  56. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 進次長に伺いますが、いまの資料は提出できますか。
  57. 進淳

    政府委員進淳君) 先生に提出いたします。
  58. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 委員会に提出できますか。
  59. 進淳

    政府委員進淳君) 承知いたしました。提出いたします。
  60. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 最初に通産省に質問してまいりたいと思うのですが、今回の、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律の目的についてでありますけれども、確かにこの法律の第一条目的は、明確に明記されているわけです。しかし四十六年十一月十六日、火曜日ですが、衆議院の大蔵委員会会議録第十号三ページ二段、佐藤委員の質問に対して次長がその目的について「私ども、特に影響がありますのは輸出産業であることは事実でございます」云々とずっといって後段で「全般的に年末金融対策であるとか税制対策であるとかいうことを来年度施策を含めてお願いしているわけでございます」、こういうことで今回の、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置法、この目的はそういうことで考えていいわけですね。どうですか、まずそれを。
  61. 進淳

    政府委員進淳君) これはこの目的にございますように、アメリカ合衆国における輸入課徴金の賦課等の国際経済上の調整措置の実施により事業活動に支障を生じている輸出取りきめや、関連のある中小企業者に対する措置でございまして、国際経済調整措置による影響対策ということでございます。したがいまして、年末対策と申しますのは、先般毎年実施いたしておりまする金融措置として、別途すでに増ワクを三機関につきましていたしましたが、そういう措置はまた別途講じたいのでございまして、この法律に書いております関係につきましては、また、たてまえといたしましては国際経済調整措置に伴います影響ということでございます。  ただこの前申し上げたかと存じますが、実際上どこまでがこの影響で、どこまでが年末金融であるかというような点については、数字の上できっぱりと区分するのがむずかしい点もあるかと存じますというようなことは、御答弁したことがあるかと私思っておりますが、たてまえとしてはそういうふうに区分しているわけでございます。
  62. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 これは直接ドルショックに伴ってそういうところは全般的に判断をして今回の措置を立てられた、こういうふうに思うのであります。ですから一つは緊急対策要綱ですね、政府が出している。そういうものと各般の施策、それ以外のものもあるわけですから、質問の方法としては全般的ということになると、これは総体的にやっていくのが至当だと思うのですね。あなたがいま私が指摘したように佐藤委員の質問に対して、これを読みますと、全般的に対応措置をとりたいということに私は理解するのですが、これは詳細読んでみますと、こういうことでしょう。「私ども、特に影響がありますのは輸出産業であることは事実でございますが、その前に御承知のように、今年当初から一般的な産業界の不況がございまして、その不況がやっと回復のきざしが見えたところにドルショックが起こってまいりましたために、いわゆるなべ底といいますか、不況の回復がいつになるかわからない、全般的に中小企業業界全体が非常に苦境におちいったという事情がございます。特に、私どもが今回の措置といたしまして特別に考えましたのは、輸出関連産業に対する金融税制等を考えたのでございますけれども中小企業全般につきましては、輸出関連を含めまして輸出が停滞いたしますと国内向けにもそれが波及するというようなことを各産地からいってまいっております。」ここなんですね。「そういうようなことから全般的に年末金融対策であるとか税制対策であるとかいうことを来年度施策を含めてお願いしているわけでございますが、」こうなっておる。ですから私の理解では、全体的なそういう波及影響も含めた中小企業総合施策、こういうことにお伺いしているわけですが、そういう意味で私は以下質問を進めてまいりたいというふうに考えるわけです。  私はきょうの質問は時間ありませんから、当初の予定を変更して、主として緊急中小企業対策について、いわゆる政府の九月二十三日の閣議決定内容、これにしぼって質問してまいりたい。その前に事務的な問題でちょっと……。これは答弁ができないものはあとで資料として提出をしていただきたいと思います。  八月十五日以降、ニクソン声明以降、中小企業で契約のキャンセルをしたものがどれくらいあるのか、件数と、その総額をひとつ示してもらいたい。  それからもう一つは、新規契約の停止、この状況は一体どうなっているか、ですね。これは八月十五日以降です。その内容について、ひとつお示しを願いたい。これは、具体的には前年同期比で私はけっこうだと思う。でき得れば今後の見通しを含めて、ひとつ教えてもらいたい。  それからもう一つは、輸出手形の買い取り制限のために、非常に金繰りに困っている業者が非常にふえている。そういう状況は一体どうなっているか。これも件数で出せるものなら、ひとつ出してもらいたい。  それからもう一つは、さしあたってクリスマス用品あるいは毛織物、合成品、人造真珠、こういった季節流行ものですね、こういうものの滞貨は非常にひどいといま言われているのですね。この滞貨状況は一体どうなっているのか。この辺を数字的にひとつ教えてもらいたい。  もう一つは、下請企業の困難は著しいものがあるわけですけれども、仕事は相当カットされてなくなっている。働きたくても働けない、こういうことです。あるいは加工賃がたいへんなダウン、非常に削られて、たたかれている。そういったことから、二重三重の苦しみを受けているわけですけれども、こういった下請中小企業の現在法人数ないし企業数、それからいま現に作業停止をしているという、こういう内容がわかるなら、具体的にひとつ事務的な面で資料として説明をしていただきたいと思うんです。  それで、まず、緊急対策についての第一点は、金融の問題です。今回のこの緊急対策の骨格は、三つだと私は思うんです。その一つは金融上の特別措置、もう一つは税制上の優遇措置、それから転換対策、こういうことだと思うんです。そこで、この金融の問題点について、一つは、滞貨融資を受ける場合、担保となる商品を持っていない企業は特別融資を受けられない。ざっと見てそういうことになっています。ですから、結局、半製品、仕掛け品、部分品、仕込み材料、こういうものを持ってもある工程を分担しているだけの下請企業に対しては、そういうものは融資を受ける場合の担保用商品にはなり得ないですね。こういう欠陥が一つあると思う。  それから第二は、新たな担保を設定し得ない場合、企業は特別融資を受けられない、こういう状況だと思うんです。だから、利益率が低くて自己資本に乏しい中小企業では担保に提供できる物件はないんですね。もし、かりに担保物件があったとしても、もうすでに二重三重に金を借りて、入れて、やっているわけです。ですから、そういうことになれば、衆議院でのあなた方の回答である五十八万何がしかの総数の法人企業の大部分は、これからはずれていくということになりはしないか。以上のような無担保、無保証融資制度はあるが、この限度は非常に低いでしょう。現行の八十万円から百六十万円に、今回しましたけれども。だから、そういう意味合いにおいて、別ワク融資を私は考えてもいいのではないかという気がする。  それから融資でつなぐ場合、当然金利負担を生じますね。そうすると、その金利負担に応じ得ないという会社が一ぱいある。だから金は借りたい、しかし金利負担に応じられないから結局は手が出ないことになっちゃう。こういうものに対する企業の補償措置というものは今回の緊急対策ではないのですね。  それからもう一つは、いま政府は景気浮揚政策のために、金融機関全体に対して低利あるいは条件を緩和して相当数金融対策措置をとりましたよと、こう言っておる。言っておるけれども、いまの金融上から見れば、中小三庫、いわゆる国の関係する金融機関の中で、中小企業に融通する割合というものは、私の理解では一〇・三%くらい。それが間違っていればひとつ指摘していただきたい。そうなると、あとの九〇%近くのものは、皆民間金融から融資されておる。ところが民間金融に対しての融資対策に対しては何ら触れてない。そうだとすれば、全くこれは片手落ちじゃないかという考えを持つのです。そういうもろもろの五点ほどのあなた方が今回出された金融対策措置について相当の抜け穴がある。だからこういうものに対してどう一体今後補償体制というものをつくっていくか、ここを私は聞きたいと思う。具体的にひとつ項目ごとに説明していただきたい。
  63. 進淳

    政府委員進淳君) 最初の御質問の輸出キャンセルでございますとか、新規契約の停止でございますとか、あるいは人造真珠の対策、下請関係等につきまして、私ども全般的にこれは下請関係は毎月調べているわけじゃございませんけれども、月に二回ごと産地の状況を調べておりますので、これはただ速報的に調べます関係で、こまかい数字が出ていないものがございますけれども、概数は出ておりますので、キャンセルの数字だけは後ほど資料として提出さしていただきます。  そのほかの個別的な資料につきましては、輸出産地の関係で、在庫関係でございますが、在庫関係は九月末現在……。
  64. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 在庫じゃなくて滞貨です、私の言っているのは。
  65. 進淳

    政府委員進淳君) 滞貨と同じでございます。滞貨でございますが、一カ月未満が二八%、一カ月から二カ月未満が四〇%、それから二カ月から三カ月未満が二二%、三カ月以上が一〇%の滞貨があったわけでございます。その後十月の下期は若干増加いたしております。十一月の上期は横ばい、それから十一月の下期はやや低下、その程度——速報でございますので、詳細な数字はとっておりませんものですから、傾向調査をいたしておりますので、全般的にそういうような状況でございます。  クリスマス用品の関係でございますが、本年の分につきましては、クリスマス関係は、ほとんど電球関係は終わっておりまして、ほとんど本年に関する限りは影響はございませんでした。むしろこれから来年になりまして新規成約に入ります場合に、その契約単価が問題であるというところが実情でございます。  それから人造真珠でございますが、人造真珠につきましては、九月の中旬ごろまで模様待ちということで、船積みストップということがございましたが、その後交渉によりまして、十月の上旬に至りまして滞貨が出荷されるようになりました。前年同月比でまいりますとかなり回復してまいりました。前年同月比で見ますと、在庫の数字で判断いたしておりますが、七月は前年と同じでございましたが、八月に、いま申し上げましたように、船種みストップで一三七%と急増いたしました。まあ九月横ばいで一三四%、十月にこれが一一三%まで落ちまして、それまでの滞貨がかなり船積みされた実績が出てまいっております。で、十一月に入りまして、まだ数字が到着しておりませんけれども、これは大阪の和泉市が主産地でございますが、報告によりますと、大体横ばいか若干滞貨が減る傾向にあるという報告が参っております。  それから毛織物の関係でございますが、愛知県の尾西、一宮、岐阜県の羽島等でございますが、生産が十月の下期まではやや減少傾向でございましたが、十一月に入りましてから大体横ばい、安定的になってまいっております。  それから在庫も十月の下旬からまあ横ばい程度で、最近、十一月の下期に入りましてからやや減少傾向という、これは時期的にもそういう時期でございますけれども、減少傾向を示しております。まあそういうような状況でございます。  で、輸出の成約状況は全般的に先ほど申しましたような状況でございまして、現在一番新しい数字が昨日まとまりましたのでは、昨年のベースの八割程度まで回復したと、これは新規契約ベースでございます。もちろんこれは昨年の八月でございますから、これで決して十分であるとは申しませんけれども、大体調査するたびにふえてまいっておりますので、私ども次第に回復することを希望して、まあ望みを持っておるわけでございます。  それから御質問の、次の金融上の特別措置でございますが……。
  66. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 下請中小の……。
  67. 進淳

    政府委員進淳君) これは後ほど下請課長から……。
  68. 植田守昭

    説明員(植田守昭君) 下請企業数でございますが、中小企業製造業関係が約五十六万ございますが、そのうちで下請は約三十万、五三%程度になっております。  なお、現に作業を停止している企業数というお尋ねでございますが、その個々の作業を停止した下請企業というものにつきましての調査した数字は、遺憾ながら持ち合わせておりません。
  69. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっといまのことでね、停止したものはないということは、倒産がないということですか。その辺はどうですか。
  70. 植田守昭

    説明員(植田守昭君) 倒産につきましては、先ほど調査課長からお答えしましたような数字がございますが、特に下請という観点からの倒産調査というふうな調査をいたしておりません。
  71. 進淳

    政府委員進淳君) 先ほどまだ答弁残りがございますので、御質問の金融上の特別措置のことでございますが、今回の九月二十三日の閣議決定に基づきます特別措置といたしまして、先ほども申し上げましたように、千五百億の金融措置、特別融資ワクの増額をしたわけでございますが、これにつきまして問題は、御指摘のように、金融の具体的なしかたでございます。私どもとしましては、これは政府三機関につきまして、御指摘のように、まあ一般の分については担保を取るのでございますが、特別の小口につきましては、特に保証をつけました場合に、そういう担保を取らないでも貸し得る体制をとりたいということから、今回の法律をお願いいたしております。中小企業保険公庫によります無担保、無保証保証ワクを倍額まで上積みすることをお願いしておるわけでございまして、まあそういう意味で、政府金融機関につきましては担保等の掛け目をできるだけ安くするという指導をいたしておりますとともに、この信用保証の点につきましては、御指摘のように民間の金融機関が金額としては非常に多うございますので、政府三機関よりもむしろ民間金融機関がこれを大いに活用していただくように指導いたしておりますし、現に民間金融機関も現実にかなり原資はございますので、この信用保険制度を活用したいという希望が非常に出てまいっております。したがいまして、これでいきますと、先生指摘のように、八十万の無担保、無保証保険引き受け額が倍額になりますので、この点が特に中小零細企業にとりましては非常に有効に働くことを期待しているわけでございます。  それからなお、金利負担の問題でございますけれども、この点につきましては、私ども中小公庫の普通金利は八分二厘でございますが、六分五厘ということで災害並みという特利としての最も低い金利を適用するということに踏み切ったわけでございまして、現在のところといたしましては、制度的にはどうしても六・五%以下の金利にすることが困難でございますので、六・五%ということでまあ中小企業界にもこれで了承していただくように指導しておるわけでございます。
  72. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 民間関係選別規制のほうは……。
  73. 進淳

    政府委員進淳君) まあ金融上選別といいますか、これはある程度金融機関の自主性ということがございますので、いろいろな意味での選別ということはいわれているわけでございますが、私どもといたしましては、特に三機関に対しましては、従来いわれておりますように、その担保については非常に過酷な担保を取るとかいろいろな意味で選別します場合に、融資の条件あるいは企業内容等についてできるだけ弾力的にやるように指導をいたしておるわけでございます。と同時に、その融資の期間につきましてできるだけ迅速にやるようにという二点を指導いたしておりまして、この辺はあと個別に、特に産地につきましては、本件の特別金融措置につきましては、産地で協議会をつくらせております。で、三金融機関と府県とが入りまして、特に産地ごとに融資のためのその協議会をつくらせておりますので、その協議会でそういう具体的な運営方法についてできるだけ中小企業のためになるように指導するように、いま私どもで指示いたしております。現にそういうものをつくらせております。
  74. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 次長の答弁、もっともらしいけれども、現状はそういっていないのだよ。いっていないから、私は指摘する。たとえば民間に九〇%寄りかかって融資を受けているわけだけれども、これはものすごくその選別は規制を強めていますよ、民間は、ことにいまドルショック等で倒産寸前なんという企業に銀行は金貸すはずはないですよ。担保能力もない。あったとしても、二重三重にすでに金借り切っちゃっているわけです。能力が全然限界に来ている。そういうものに対する対策というものは何にもない。たとえば、迅速にということを言っていますが、中小三庫を含めた政府関係機関はそういっていますけれども、実際は二カ月かかるのですよ。実際どのくらい次長、かかると思いますね。申し込んで、書類整備して、それで実際金を本人が受け取るまで何カ月ぐらいかかりますか。そういう状態だから緊急の処理に問い合わないという、そういう緊急対策では意味をなさないじゃないか。もう少し、金融対策を総合的にとると言うなら、具体的にそういう現状がどう進行しているのか、この辺まで点検した上で施策をとってもらわなければ、緊急対策、緊急対策と言ったって、意味をなさないんじゃないか。その辺どうですか。
  75. 進淳

    政府委員進淳君) 最初の御質問の、選別でございますが、実はそのために、私ども保証ワクを倍額にふやすという以外に、御指摘のように、実効ある手段としましては、なかなかむずかしいであろうということで、特に中小零細については、御指摘のようにこういうドルショックのような場合には、銀行の選別融資がひどくなるということは一般的に御指摘のとおりかと思います。で、私どもといたしましては、そのために保証協会に対するてこ入れといいますか、を考えまして、その保証ワクを使い果たしておる者もかなりあるということから、保証限度を倍にするということを考えたわけでございまして、これをむしろ政府機関よりも民間金融機関のほうもこれを望んでおるわけでございます。で、保証がございましたら、御承知のように一〇〇%、事故の場合に金融機関に対して代位弁済するわけでございますから、極端に言いますと、保証さえ受ければ目をつぶってでも貸せると、実際は保証があっても審査はしておりますけれども、まあそういうようなことでございますので、この保証協会保証ワクをふやすと、活用するということを私ども政策の最重点と、いわば今回の政策の中心だと考えておりますが、特に無担保、無保証が八十万から百六十万になりますから、これを活用していただきたい。これを保証協会が現地で、大体府県の監督下にございますから、府県の商工担当の部局と、業界なり保証協会との御相談で、現地で、先ほど申し上げましたような協議会をおもな産地でつくることになっておりますから、そこでひとつ運用をうまくやっていただきたいということを考えているわけでございます。  それから審査の期間でございますが、御指摘のように実績から見ますと、大体中小公庫で平均三カ月ぐらいはいままでかかっております。これはどちらかといいますと、中小公庫は設備資金が多いものですから、平均しますと、まあ三カ月ぐらいでございます。中小公庫の場合は運転資金は、設備資金を有しておるところに貸す場合が多うございますので、そんなに長くはかからぬと思いますけれども、従来の実績は平均三カ月でございます。これをできるだけ早くするように、実は毎月一回ぐらいずつ融資担当の理事を集めて督励はいたしております。  それから、国民金融公庫は大体二十日ぐらいです。これは金額が小そうございますので、実際に小さいものですから二十日ぐらいで貸しております。これは運転資金設備資金が半々ぐらいでございますから、これもできるだけ早くあれするようにしたいと思っております。  それから商工中金のほうはその中間程度ということで、これはまあ運転資金手形割引等も全部含んでおりますから、一がいに比較できないと思いますが、その中間になっております。
  76. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そういうおざなりな答弁では、私は解決にならぬと思うのです。確かに国民金融公庫は二十日程度でいっていますよ。だけれども、あとの二庫は、これは二カ月ないし三カ月かかるんです。だからそういうことだとすれば緊急の処理には間に合わない。確かに、いまの政府関係中小三庫というものは、審査能力や店舗の数や民間と比較をしてだいぶ相違があるから、いろいろ隘路も出てくることは私もわかりますよ。わかりますだけに、緊急対策ですから、そういう隘路をどう打開をして緊急にぜひ一カ月でいくような審査をする。だからそういう取り扱い件数については、当然、今回国税庁はいち早く長官通達を出して、ドルショック等に伴う税の還付その他について注意を喚起していますよ。通産省としては、金融面におけるいろいろ各般の施策をとったというけれども、そういう通達を見たことがない。だから、そういう意味合いにおいて、そういう隘路をどう一体打開するのかということを含めて、私は緊急対策に乗せられてこなければいけないと思う。だから、そういう具体策がないじゃないですか、その点はどうですか。年末融資十二月に出したって三月へいっちゃうです。
  77. 進淳

    政府委員進淳君) 金融機関につきましては、八月の二十三日に、この特別措置をとります前に、ドルショックに対しまして金融について特別の配慮をするようにという通達をすでに出しております。その後、この特別措置をとります際に、あらためてまた通達を出しまして、また、最近年末金融について通知を出しております。  それから先ほど答弁の際に一つ間違いがございましたので改めさしていただきたいと思いますが、中小公庫平均三カ月と申し上げましたが、これは直貸しの場合でございまして、今回の措置は急を要しますので、すべて代理貸しということで、中小公庫は、御指摘のように、支店の数が非常に少のうございますので、代理貸し制度を相当広範にとっております。したがいまして、今回の特別措置は急を要しますので、各代理貸しをしております銀行の窓口を通じて早急に貸し出しをするという措置をとっておりますので、これはちょっといまのところ、数字はわかっておりませんけれどもかなり早く貸し出しができるものと存じております。
  78. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それはぜひ次長が言うように、現地支店等が早急にそういう体制がとれるように、非常にまあ緩慢ですから、私の見ている範囲では。それはひとつ促進をしていただきたいと思います。  それから通達が出ていることは、いま答弁なされたとおりだと思うのですが、その資料をあとでひとつ提示してください。  それでこれは要望でありますから、そういう各般の私が質疑をした内容、欠陥というものがございますから、今後の緊急対策の中でぜひ考慮していただきたいことは、一つは、ことに小零細企業ですね、この融資条件の緩和をもっとやはり私は促進をしてもらいたいと思う。ことに国と地方自治体ですね、こういうところで、できれば利子補給等の補給策をとってもらえないかどうか。それから既存の貸し出し期限、これもあわせてひとつ延長するわけにはいかないかどうか。それから新規貸し出しの期限をもう少し延長するような方向にはいかないものかどうか。  それから次に、金利負担の問題ですけれども、審査の簡便化をぜひ私ははかってもらいたい、具体的に。これにかかるのですから、人が不足ですからそういうのに非常に困る。現地では非常に労働強化の中でやっているわけですけれども、無理をしてやっていることは間違いない。だからといって、次長が言うような方向にいっていないですから、この審査方法についてはもっと簡便な方式をとってはどうか、こういうふうに考えるんで、その辺に対しての検討をひとつお願いをしたい。  それから、ことに下請企業等に対して、二重三重の担保保証を認めてやっていいんじゃないか。満ぱいだと、これはもう担保物件として採用しませんから……。で、そういうものに対しての特別融資対策を総合的にとっていただきたいと思う。その辺はどうです。
  79. 進淳

    政府委員進淳君) 小規模零細企業に対します融資条件の緩和でございますが、これは私どもは金利につきましては……。
  80. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 次長、一般論じゃないんですよ。私は項目を指摘して具体的に言っているわけです。利子補給については、国、地方自治体でもって補給体制をとってはどうか。具体的に言っているのですから、具体的内容で答弁してください。
  81. 進淳

    政府委員進淳君) まあ六・五%というのは、先ほど申し上げましたように、現在とり得る最低の特別金利ということになっておりますので、まあこれで国といたしましては実施いたしたい。これはまあ繊維につきましても実質六・五%ということでございますので、そういうことで金利そのものを六・五に下げるということを実施いたしております。  それから期限の延長につきましては、これはすでに通達を出しておりまして満期にきておりますものも、今回ドルショックで運転資金に困るような場合には延期を、便宜を取りはからうようにという通達を出しております。
  82. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 新規の分は。
  83. 進淳

    政府委員進淳君) それから新規の分につきましても、今回は上積み分につきましては、三年ないし五年長期運転資金ということにいたしておりますので、今回のドルショック実態から考えまして、普通運転資金といいますのは一年以下でございます。それを今回は特に長期ということで三年ないし五年ということにいたしておりますので、私どもは運転資金融資の期限、期間といたしましては、まあこの程度見ておけば私はよろしいのではなかろうかというふうに存じております。  それから審査の簡素化でございますが、これは私もできるだけそういうふうにしていただきたいと思いますので、次回三機関の融資担当理事の会議の際に先生の御趣旨を十分伝えまして審査の簡素化をはかるようにさせたいと思います。三機関もすでに早くから今回のドルショックに対する臨時の対策本部をそれぞれつくっておりまして、陣容を内部でどういうようにするかは存じませんが、強化してやっておりますので、御趣旨に沿ってやるように私も次回の担当理事の会合の際に十分趣旨を徹底するようにさしたいと思います。
  84. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間オーバーして申しわけないですが、重要な問題があと二、三あるものですから……。  次に、下請中小企業対策の問題なんですが、さっき私が指摘をしましたように、この製造関係の中小企業の半分以上ですね、これは下請企業だと私は思うんです。私の資料でそうなっておるんですが、時間がありませんから私の資料で進めます。  で、これは非常に古いやつなんですが、衆議院会議録を見ますると、これは四十四年の統計であなた方は答弁していますから、これを使わしてもらいたいと思うんですが、それによりますと、製造業五三・三%、そのうち繊維関係が七八・五%、機械関係六九・六%、こういうふうになっているようでありますが、中小企業の危機打開、こういうものを考える場合にいまの下請企業の関係を放置しては私は考えられないのじゃないか。確かにこの下請に対する賃金防止その他については下請法案というものをつくってやっておりますけれども、しかしこれは法律的な拘束力を持っていませんね。ですからもっとこれに対して私は法律的拘束力を強めていく必要があるんじゃないか、これは経団連や日本商工会議所その他の親企業団体においていろいろ通達を出して、それぞれ自主的に改善策的なものを出したようでございますけれども、しかし政府自体としては、まだそういう問題について下請法案を出した程度であって、この保護政策は一向に進んでおらない、こういうのがいまの実情でございます。こういう問題についてどういう今後の対策を持っているのか、これをひとつ具体的に示していただきたいと思います。
  85. 進淳

    政府委員進淳君) 御指摘のように、下請関係につきましては法的拘束力という点が非常に問題でございまして、取引関係、しかも親子関係の中でございますので、この経済関係を法律だけでどこまで拘束といいますか、下請に有利にし得るかというのも私ども検討しておるわけでございます。そういう関係の中で、実は下請に対する現在のいろんなできるだけいい条件をということで制度をつくっているわけでございまして、私どもも御指摘の点は十分通常意識しておるわけでございますが、実際上その手形の支払い期間あるいは引き取りの問題、その他いろいろございますけれども、私どもとしましては、現在の法律の運営の面でできるだけ下請に不利にならないように、現在の陣容で最大限の実態調査報告なりいたしておりまして、特に問題のものは公正取引委員会に報告して措置するとかいうようなことを実施しておりまして、運営面でできるだけ効果をあげていきたいということを考えております。  特にまた御指摘のように、日本中小企業は下請企業が過半数を占めておりますので、特に今後は機械関係とかそういう産業が伸びることを考えますと、下請企業の数がふえこそすれ減ることはないと思います。そういう意味で、下請企業の合理化なり、近代化なり、発展ということなくして日本産業の発展はないという信念を持っております。そういうことで、まあ先生の御指摘のような効果をできるだけあげるように努力していきたいと思います。
  86. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ぜひいまのようなことを実行していただきたいと思うんですがね。私は三点、ひとつ要望なんですが、もっと下請法案を改正して規制強化の方式をとっていただきたい、これが一つ。  それからもう一つは、下請業者とそれから中小企業団体ですね、こういうものをできれば団体交渉というか——組合というものになるけれども、そういう話し合いの場、こういうものをやっぱり法的に確立する必要があるんじゃないか。  それからもう一つは、親企業が一方的に発注停止、こういうことをやっているわけですね。一貫して独占企業に都合のいいようになっているわけですから、この辺に少し歯どめをかけてはどうかというような気がするんですが、これはひとつ要望として検討していただきたい。  時間がありませんから次にいきますが、さっき松永委員に関連して業種転換で質問したんですが、政府の長期低利のいわゆる転換資金融資、これには一定の水準が必要なんですね、企業水準。これがないと融資対象にならぬ、いまの緊急対策でそうなんです。でさっき次長の答弁では、それはいま検討中だと、こういうことですが、おそらくその検討内容というものは、私の想定では省令に変わっていくんだろうと思うんですね。そういうものがほんとうはこういう審議に必要なものなんです。しかし残念ながらまだできていないというからやむを得ぬけれども、これは将来省令という形でいくわけですか、どうですか。
  87. 進淳

    政府委員進淳君) これは知事が転換する企業を認定することにいたしておりまして、この仕組みを政令で書くことになっておりますが、この政令をきめます場合に、先ほど申し上げましたように、できるだけ弾力的に行ない得るように、ネガリスト方式でこういうものはいけないということで、あとはもう何でもいいというような感じでつくりたいと思っております。あと省令その他で先生指摘のように、特に規模その他について制限的なことをどうするかということは、現在はできるだけそういうことをしないつもりにいたしておりまして、ですから自主的に合理的な転換策を出してくれば、ネガリストに入っていなければ知事で絶対もう認定できるようにしたいと私ども考えております。
  88. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 これは大蔵省と自治省に質問するわけですが、地方自治体に対する国の援助の問題についてですね。で、いまこの市町村段階では、倒産防止その他融資ワクの拡大とか、あるいは信用保証ワクの拡大、そういうことを盛んにやっているわけです。実際市や県が金を使っているわけですね。しかし、一方においてはドルショックその他による減収ですね。これはやはり総体的に平均どのくらいいっているかどうかわかりませんが、とにかく減収。そういうことでやはり地方自治体としては二重三重の苦しみを持っている。しかし中小企業との関係については非常に密着をしておりますから、どうしても保護政策を打ち出さざるを得ないということになっております。  それで国として、そういう地方自治体に対して、もっと財政援助をすべきじゃないかというふうに考えるんですけれども、その辺は大蔵省なり自治省としてはどう考えておりますか、具体的に言えば、結局これは通常予算にからまってくる諸問題になると思いますが、やっぱり交付金の増加をひとつはかるべきじゃないか。それから国庫補助のワクを拡大していくべきじゃないか。それから税制面で地方自治体の財源を補佐するような税改正を行なって、それに伴った措置をとっていくべきではないか、あるいは特別事業債の発行ワク、これを拡大したらどうか。いろんな諸方策があると思いますが、そういうものを個別的にとは言いませんから、総合的にどういう援助体制をとるかということをひとつ教えていただきたい。
  89. 船田譲

    政府委員(船田譲君) 非常に重要な広範な問題でございますので、私から。漏れましたことはそれぞれ担当の者に答弁させたいと思います。  昭和四十六年度の下期の問題につきましては、先ごろ御審議いただいて成立させていただきました補正予算、あの中にございました趣旨で地方に対する手当てを一応考えておるわけでございますが、四十七年度の予算を組むにあたりまして、実は地方側としては、いまの中小企業の問題も含めましてですけれども、地方団体側といたしましては、地方税あるいは地方譲与税、地方交付金、こういうものの総額で、どうも本年度のような一兆二千億円強というような自然増収はとても見込めない。せいぜい五千億円程度の自然増収しか見込めない。しかるに需要の増加は一兆五千億円ぐらいになりそうだ。したがって、それを差し引きずると、逆に一兆円ほどの歳入欠陥になりそうだというような強いお話がございました。これに対しまして、国側も、実は国のほうの税収もどうもあまり大きな自然増収を見込めない。当然増経費をまかなうのにも足りないというような状況でございますので、いま国債をどのくらい発行するかという議論が大きく戦わされているところでございますが、そういう趣旨から考えますと、大蔵の側の考え方といたしましては、原則としては、やはり地方債に依存をしていただきたいということが根本でございます。  なお、昭和四十一年度でしたか、例の交付税率の改正の問題であるとか、あるいはこの間の補正予算のときに出しました特例交付金のようなもの、一般会計の単年度において補てんすべき特例交付金のようなもの、いろいろな点について案が示されておりますけれども、これに対して私どもといたしましては、いま申し上げましたように、まず地方債に依存するのを原則といたしまして、それから先のことにつきましては、ここでこれから検討していこう、こういう状況でございます。
  90. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間がありませんから、二点にしぼって最後にお尋ねをいたしますが、これは十一月三十日ですけれども、衆議院の大蔵委員会会議録十二号、その三ページですね、三段で、いわゆるいままでのこの年末経済とか、あるいは今回のドルショックとか、そういうものを総じて政府で出資した金額、私の計算でこれを試算をして見ますと、六千二百五十億となっておりますね。十一月十六日、すでにいわゆる中小三機関に対しての総額で千八百八十億円、財政投融資で九百九十億円、それ以前にドルショックといたしまして千五百億円、それからそれと合わせて千八百八十億円追加、これを含めまして大体そういうことになっているのですが、これはそういう財政的な裏づけをやったわけですが、中小企業に対して具体的に行き渡っているのか、その辺の点検はどうですか。これが一つ。  それから同じように中小企業の市場問題で、五年前から官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律ということでいままで確保してきたのですが、いま地域の現状というのは、大手メーカーが進出して、一貫して地場産業というものは、二次、三次の下請に追いやられている。どうやらさっきも指摘したように、加工賃も、何といいますか、切り下げているわけですね。それほどたいへんなことになって、もぐり込めないのですね。学校一つ建てるのでも、大手メーカーが進出して、そういう意味合いにおいては国、地方自治体の公共事業等に対する計画なんというものを再検討して、そういう中小企業の市場確保というものをもう一つ根本的に洗い直す必要があるのじゃないか、こう思うのですけれども、その辺の問題についてひとつ。  それから大蔵省に、これは一般の租税特別措置については、当委員会でも衆議院でもやっていますから触れません。ただ問題は、輸出振興税の問題、衆議院の回答でも、高木主税局長は、廃止の方向検討、おおむねそういう回答をしておるようですね。しておるようですが、私は一般の輸出振興税、三税といわれるものがありますが、そういうものの中で、どういうものを廃止をしていくのか、いろいろ項目があるわけですが、この内容。  それからもう一つは、こういう状態になったのですから、輸出関係のドルショックによる影響をこうむる中小企業等に対しては特別措置を存続させて、これは四十九年まで法律としては存続するわけですから、そういう措置をとってもいいじゃないか、中小企業に対して。この辺の考えをひとつお聞かせを願いたいというのが一つ。  時間なくて残念ですけれども、国税の場合は今回の改正ですね、三年間さかのぼって還付もしくは繰り戻し、こういうことをやれるようになったのですね。しかし、地方税の場合全然やらない。いままでこれは論議をされてきたけれども、国税の場合は一連のいわゆる還付もしくは繰り戻しだからということで逃げておった。これを地方税に対してもやっていいじゃないかと私は思うのですが、その辺の考えはどうですか。  それからもう一つは、この税制上の特別措置問題について、政府の緊急対策の一つの柱になっているのですが、政府対策以上に中小企業の法人税率の引き下げをはかってはどうか、いま一般中小は二八%ですね、この税率をもっと下げてやる。それは衆議院のいろいろ論議を見ると、諸外国と比較して非常に安い。だから、もっと上げろという論議になっていますが、私は法人税率の中小企業関係についての税率は引き下げていいんじゃないか、そういうふうに考えるのですけれども、この点についてひとつ。  それから輸出税制中小企業に限って存続させるということは、いま申したとおりでありますから、その辺の見解についてお聞かせを願って私の質問を終わりたいと思います。
  91. 進淳

    政府委員進淳君) 中小企業に対します融資ワクの増額に対しますその実績でございますが、七月の二十七日に第二次の景気振興対策といたしまして、中小企業分として二百六十五億円のワクの増加がございましたが、これは七月から九月にかけまして全額融資済みでございます。それから今回のドルショック分といたしまして、九月に千五百億円の追加のワクの増加がございましたが、これは十月の十六日から融資いたしておりますが、現在までのところ三機関合計で約五百億円の申し込みがございまして、これを緊急に融資をするようにいま審査を急がしております。どの程度実際貸しつけたかはまだ聞いておりませんが、申し込みが五百億円程度でございます。これはまだ今後期間がございますから消化されるものと思っております。  それから年末の財投の追加でございますが、これは千八百八十億円でございますが、これはこれからでございますので、おそらく来年の三月まででございますから、年度内にはおそらく消化されるであろうと思っております。現在までのところまだ実施に入ったばかりでございますので報告を受けておりませんので、御了承お願いいたしたいと思います。
  92. 植田守昭

    説明員(植田守昭君) 官公需の問題につきましては、先生指摘のように、こういう情勢でございますので、たいへん重要なことだと私ども考えております。御承知のように、官公需につきましては法律がございまして、毎年度閣議決定で当該年度の方針をつくることになっております。そういうことで、私どももいままでいろいろな施策につきまして閣議決定をいたしまして推進してきたわけでございますが、特にことしの施策におきましては、たとえば閣議決定した施策の実施状況とか、あるいは実施できない場合にはその理由等について各省庁から報告を求めるというふうなことも新たにつけ加えまして、その決定の確保ということに重点を置いているわけでございます。また、各省に対しましては、十月一日には中小企業庁長官から、ドルショック等の影響もありますので、一そうこの面について努力かた要請いたしましたほか、十一月十五日からは新たに中小企業官公需相談日というふうなものも発足させまして、中央、地方におきまして相談あるいは指導に当たらせるというふうな対策も行なっているわけでございます。  なお、つい最近でございますが、先月の二十九日には、あらためてまた各省から官公需確保のための担当官にお集まり願いまして推進協議会を開きまして、あらためて一そうの御努力を各省にお願いしたわけでございまして、まあこういったような一連の措置を今後とも推進していくことによりまして、御指摘のような官公需の確保ということについて推進してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  93. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっと、その割合どのくらいになっておりますか、中小企業の官公需事業の。
  94. 植田守昭

    説明員(植田守昭君) 官公需につきましては、四十五年で申しますと、予算額につきまして二五・五%でございます。
  95. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 輸出振興税制につきましては、ただいまお話ございましたように、やはりやめる方向検討を続けております。ただ、何のためにやめるのかという点につきましては、実はこの春の国会で御審議願いまして、三年間ということにいまお話しのようになっておるわけでございますから、そういう趣旨から考えましても、何のためにやめるのかといいますと、これは別に輸出が悪いということではなくて、わが国の場合はどうしても輸出は非常に重要なことでございます。ただ、輸出振興というようなことをあまり正面に出しますことが、まあ国際的にも感触がよくないということが主たる理由でございますので、そこで輸出関連産業にとって、企業体質そのものをなお維持強化するということは非常に必要なことでございますから、したがって、これをやめましても、そうだからといって、それだけがいわば増税になるというか増収になるというか、そういうことをねらいにしておるわけではないわけでございます。そうやって考えてまいりますと、これをやめますことと関連いたしまして、また別途何らかの方策を考えなければならぬということで、その具体的な何かいい方策があるか、いい税制があるかということを検討しているところでございます。  そうしますと、中小企業の場合には、非常に業種業態が多種多様にまたがっております関係で、どういう制度考えたならば、まあいわばうまく見合いの制度考えられるかということが、なかなかむずかしいわけでございますので、おっしゃいますように、中小企業だけについては別に今後も存続を考えてはどうかという御意見も、各方面から承っているところでございまして、しかし、私どもといたしましては、部分的に残すというのもいかがかということで、できるならば何かいい知恵を出して、結果として輸出関連中小企業にもあまりこれをやめることの影響が大きくないように、何かいい知恵を出しながら全体としてやめていきたいというふうに思っておるわけでございます。  法人税率の引き下げの問題につきましては、非常に問題がございます。おっしゃるように、中小法人の軽減税率をもう少し下げるとか、あるいは軽減税率適用の所得の幅をもう少し広げるとか、何か考えてほしいということは、非常に強く中小企業関連の皆さま方から承っておるところでございますが、実は一方においで、法人税は御存じのように比例税率でございますので、所得税のような累進税との関係が非常に複雑でございまして、個人の事業者のほうからは、法人税が低くて有利である、もっと所得税のほうを早く下げてほしいというふうに、個人事業者の要求があるわけでございまして、先般所得税の御審議を願いまして所得税の税率を下げていただきましたので、個人の事業者と法人の事業者のバランスが若干改善はされたのでございますけれども、なかなかまだ所得で二百万円前後のところをこえていきますと、個人のほうが重いということになります。  そこでむしろ問題は、個人の事業者についてはどう考えるのだという問題がありまして、御存じのようにだいぶん個人から法人成りをしたわけでございますが、なお個人として残っております企業の中でも、いろいろな事情でとても法人にはなれない、しかし個人では税率が高過ぎるという事情がありますので、むしろ所得税のほうの個人事業者の問題というのがいろいろあるわけでございます。そこらを考えますと、なかなか法人税の税率の問題というのも簡単ではない、個人事業者とのバランスの関係で簡単ではないということで、かなり基本的な問題ということでまあ弱っておるわけでございます。ただし、法人サイドからはやはりどうしても——いつもある議論でございますけれども、特にこういう時期でございますので、法人の税率とは限らず、何らかの形でもいいから負担の軽減をはかってもらえないだろうかという声が強いということはよく承知をしておるわけでございます。  で、まあ私どもは、先ほど政務次官からお答え申しましたように、来年度は税収が非常に伸びが悪いということで全体として弱っておるわけでございますが、それとの関連もありますけれども、一応それと切り離して考えました場合にも、一体そこらの中小企業関係の法人の負担をどういうふうにしたらいいだろうかということは、やはり来年度の税制の一つの問題点として検討中の事項でございまして、現段階ではどちらとも申し上げかねるところでございます。ただ繰り返し申しますが、個人事業者の非常に強い声として、まあ具体的には、たとえば、お聞き及びと思いますが、事業主報酬制度を認めろという声が非常に高まっておりますが、そういう声であらわれておりますように、個人事業者が、法人事業者とのバランス問題をいま非常にやかましく主張しておられるということがありますことを、ひとつお含みおき願いたいと思います。  地方税の問題については、自治省からお答え願いたいと思います。
  96. 石川一郎

    説明員(石川一郎君) 欠損金の繰り戻し制度は、現在地方税で認めておりませんで、今回一年を三年にさかのぼるという措置は、当然私どもとしてはとらなかったわけでございまして、これにかえまして、先ほど申し上げましたように、欠損金の繰り越し期間をそれぞれ延長する措置をとったわけでございまして、地方税につきまして、繰り戻し制度を認めておりませんのは、欠損金が非常に大きい金額になる場合が考えられるわけでございまして、その場合におきまして、それが地方団体、特に財政規模の小さい市町村について認めていく場合におきましては、その金額が大きいために、市町村自体の財政運営が非常に困難におちいるというようなことが考えられますので、そういう点を考慮いたしまして、繰り戻し制度を認めておらないということでございます。
  97. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっとすみません、高木主税局長。私は、多年福田大蔵大臣から、この租税特別措置法は廃止をすべきである、輸出振興税についても廃止をすべきである、こういう原則的な立場、私はそういう立場なんです。ただ、いま輸出関係中小企業の混乱がひどいから、そういう問題について一考すべきだ。お答えはこれで了解しました。その点は誤られると困りますから、あとの論理を進める上において私自身困りますから。私はそういう立場ですから、原則的に。  それから、自治省のほうで、当面私は事業起債等のワク拡大というものができるのじゃないか。地方だって公債を発行するようにもっていこうというのですから、地方財源が困っておるから、ある程度の借金政策はとれないかどうか。さっき回答がなかったから、その点だけはお返事願います。
  98. 石川一郎

    説明員(石川一郎君) それはちょっと私の直接の所管でございませんから、お答えいたしかねます。
  99. 進淳

    政府委員進淳君) 先ほど先生の御質問の際に、輸出契約についてのキャンセルの数字のお問い合わせの御質問がございました。手元になかったのですが、ただいま資料が届きましたので、御報告させていただきますと、十月の下期に、百二十産地のうちでは十産地で百二十三件でございます。金額にいたしますと七億七百万円でございます。十一月上期に五産地で百九件でございまして、金額にして一億一千四百万円という数字がまとまりましたので、御報告させていただきます。資料御提出と申し上げましたけれども、それで御提出にかえさせていただきたいと思います。
  100. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 午後一時三十分から再開いたすこととし、暫時休憩いたします。    午後一時十四分休憩      —————・—————    午後一時四十分開会   〔理事柴田栄委員長席に着く〕
  101. 柴田栄

    ○理事(柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、栗林卓司君が委員辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。     —————————————
  102. 柴田栄

    ○理事(柴田栄君) 休憩前に引き続き、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  103. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、本論に入る前に、まず租税特別措置につきまして、全般的にお伺いしたいと思います。  わが国の租税特別措置は、世界にその類例を見ないほど各種の税目、また項目から成り立っておるといわれておりますが、毎年徐々に整理改廃というものが行なわれてまいりました。現在何項目ぐらいの特別措置があるか、まずお聞きしたいと思います。
  104. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 特別措置の数を数える場合、単位をどういうふうにとるかということによっていろいろ数が多少動きますが、一応現在百四十七項目ある、たいへんだくさんあるということでございます。
  105. 多田省吾

    ○多田省吾君 その中で、本年度末、あるいは来年度中、あるいは再来年度に適用期限が切れるものは何項目ぐらいずつございますか。
  106. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 本年度末つまり四十七年の三月三十一日まで、及び来年中つまり四十七年の十二月三十一日までに期限が到来いたします特別措置と申しますのは、いわば四十七年度の税制改正の際に御検討いただきたいと思っております項目が二十八項目ございます。それから来年度つまり四十八年の三月三十一日まで、及び再来年中、というのは四十八年の十二月三十一日まで、に期限の到来いたします特別措置、これは言いかえれば、四十八年度の税制改正として検討をお願いすべきものというのは、たまたま同じ数の二十八項目でございます。
  107. 多田省吾

    ○多田省吾君 四十七年度税制改正のときに検討をする二十八項目のうち、おもなものはどういう項目ですか。全部必要はございまんが、おもなものをお答えいただきたい。
  108. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) まず所得税の住宅貯蓄控除、それから主として法人でございますが、低開発地域における工業用機械等の特別償却、こういったもの。それからかなり税額も大きく、それから非常に問題になっておりますもので試験研究費の税額控除、中小企業者の機械等の割り増し償却、それから建築物の中の木造でないという意味での耐火用——火事に強い耐火用建築物等の割り増し償却、それから中小企業につきましての貸し倒れ引き当て金の引き当て率の割り増し、それから合併のうちの特定合併の場合の割り増し償却、航空機用のガソリン税の免税措置。こういったものがございますほか、一番大きいのは法人税率の加重税率五%。つまり一・七五と言っておりますあの期限が四月末日をもってまいります。まだほかにもございますが、以上がおもな例でございます。
  109. 多田省吾

    ○多田省吾君 で、昭和「四十六年度租税特別措置による減収額試算」というものが、昭和四十六年の二月に大蔵省から衆参の予特委員会提出資料として出ているわけでございますが、本日また渡辺委員要求の同じく「主要項目」が出ております。二月に出した資料と十二月に出した資料は、調べてみますと、全然変化がないわけでございますが、これはドルショック等による経済事情の変化等を考えに入れて、この十二月の資料は出されなかったのでございますか。
  110. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 租税特別措置による減収額の見積もりをどう見るかというのは、たいへん技術的なことで、恐縮でございますが、むずかしい問題がいろいろあります。従来からしばしば各種の御指摘をいただいておるのでございますが、毎年年度の初めと申しますか、予算を国会に提出いたしまして御審議を求めます際に、といいますことは、つまり歳入の予算を見積もります際に、同時に租税特別措置による減収も計算をいたします。その際に、計算をいたしまして、そこで先ほどおあげになりました四十六年の二月の資料、これは予算委員会に御提出申し上げた資料でございますが、そのときに算定いたしたわけでございます。その後、算定がえと申しますか、そういうことの作業は実はいたしておりませんものですから、そこで新しく御提出申し上げました資料も、この四十六年二月のときの資料の計算経緯を示したのでございまして、事のよし悪しは別として、従来から年一回だけ、歳入見積もりとの関連上、減収額を見積もりいたしておる、計算いたししておるということでございます。
  111. 多田省吾

    ○多田省吾君 そういう御事情がありますので、私も本年二月の試算資料で質問いたしたいと思いますが、わが国は最近の経済事情の変化、あるいは明年度の財政運営上の見地から見まして、当然租税特別措置の整理、合理化が積極的に実施されなければならないと思います。水田大蔵大臣も本委員会等でそのことも言及されております。しかし具体的にどの辺まで整理、合理化が行なわれるか、税調の答申を待ってということもございますけれども大蔵省自体の方針もあろうかと存じますので、お尋ねいたしたいわけです。  また、さらにもう一つ、新たに創設を予想されるものはどういうものがありますか、あわせてお答え願いたいと思います。
  112. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 年々整理、合理化をいたしておるわけではございますが、たとえばこの四十六年度でございますと、輸出振興税制の手直しが行なわれまして、それによりまして約三百億余り、それから交際費の否認割合を六割から七割に上げましたことに伴いまして百五十億余り、これが整理、合理化による増加額の主要なものでございます。  それから、今度は新設拡充等による減少額、これがいわゆる公害関係で約百億、それから海外資源の開発ということで約八十億、それから耐用年数の合理化のための各種の特別償却等で約百億、それから貯蓄並びに住宅対策ということで約八十億、ほぼ整理、合理化の範囲内において新しい政策要請に応ずるところの特別措置が行なわれているということでございまして、最近、四十三年度ぐらいから特別措置の新設拡充によりますところの減収額は、整理、合理化による増収見込み額の範囲内にとどめるという方針でいたそうということで、まあ四十三年から四十六年まで四年間はそういう方針でやってまいったわけでございます。  で、来年度どういうものがあるかということでございますが、来年度につきましては、たいへんな数の項目の御要求が各省各庁から出ておりまして、何項目にのぼりますか、ちょっとわかりませんくらいのたいへんな数の御要求が出ておるわけでございまして、それを現在来年度予算の編成期にあたりまして、各省の担当官との間で毎日折衝が始まっておる段階でございます。その詳細につきまして、あるいはまた、どういうものをどうするかということにつきましては実はまだ各省との間の折衝が煮詰まっておりませんで、ちょっとまだ申し上げることが私できません。現在はあまりにも数多くのものが出ておりますので、それをまず項目整理をしていただくという作業を日夜続けておるところでございます。  ただ、まあ新聞報道等でも御存じでありますように、非常に顕著な例といたしましては、為替の変動に伴う準備金、為替変動によっていつ損失を生ずるかもしれないから、これに対して準備金を認めてほしい。それからアメリカニクソン大統領が新しく始めましたというか、昔ありましたものをアメリカで復活いたしました設備投資についての税額控除制度、これを日本でもやったらどうか。しかし、それを一般的にやるのは弊害もあろうかと思われるので、特に公害防止事業についての投資の促進という趣旨で何かやったらどうかという御要求。あるいはまあ税額控除ではないが、公害防止事業に関して、かなり巨額のお金が一時にかかることになるから、そういう投資のための準備金制度を設けたらどうかといったような御要求。それから都市問題がたいへんな問題になってきているので、もう少し人口の地域分散をはかるべきだということから、何かの方法で、いわば都会地に重課をして、地方の地域に軽課をするという何か措置考えて、事業所等の分散をはかるような方策を考えてはどうか。また、中小企業について、各種のこれはいろいろな内容になっておりますが、何か特別措置考えてはどうか。あるいは、産業優先の時代から国民の生活の充実の時代に移るのについて、住宅を建てること、特に持ち家対策を促進するという見地から、何らかのかっこうで税制上誘導措置を講じてはどうかというような、かなり各省として、来年度以降の重要施策としてお考えのものを、税制考えてほしいというものがございます。ちょっといま私が思い浮かべましたものを並べましたので、若干、漏れがあるかもしれませんが、そんなようなものでございます。
  113. 多田省吾

    ○多田省吾君 それはあれですか、昭和四十三年度から、昭和四十六年度の従来の考え方と同じように、この減収額については、大体一定の額を四十七年度も保っていくというお考えなのかどうか。  それからもう一つは、来年度は極度の歳入欠陥がありまして、財源難が予想されますけれども、この特別措置による減収をどのように処理されようとしておられるのか、この二点をお伺いいたします。
  114. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 来年度も租税特別措置のうち、政策効果が大きいというものであり、かつ、その政策が現在の経済事情から見まして、非常に優先的に取り上げられるべきものであるというのであれば、それは新しいものであっても認められてもしかるべきものだと思いますが、その場合には、ぜひともただいま多田委員指摘のように、特別措置の整理による減収額の範囲内にとどまる程度にいたしたい、そのような腹づもりで取り組んでおります。  で、総体としての租税特別措置の減収額は、先ほどお示しの、私どもがこの二月に提出いたしました資料で御承知のとおり、全体として四千三百九十四億と見積もっておるわけでございますが、この減収を、税収が不足ぎみである際に、もっと圧縮をするような努力をしないかという御指摘かと思いますが、その点につきましては、この中に、たとえば輸出の振興ということで、先ほどの四千四百億の中に七百十億ほど計算をされております。この輸出の振興につきましては、午前の御審議の際にも申しましたように、廃止の方向考えたいと思っておるわけでございますが、そういうものもございますけれども、その他のものにつきましては、四千億の中に貯蓄の奨励というようなものが二千億というようなことになっておりますので、なかなかこの中からこれを圧縮して増収を期待することは困難ではないかと思っております。
  115. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後の御答弁がちょっと聞こえなかったのですが、困難なのではないかということでございますか。
  116. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 四千三百九十四億円にのぼります現在の減収額を、特別措置を整理してこの額を圧縮する、そうして来年の税収の少ないところを埋めるというのはなかなかむずかしいという意味でございます。
  117. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうすると四十七年度は、この四千三百九十四億円の減収試算よりももっと減収の額がふえそうだということなのですか。
  118. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) この表でごらんになりますように、貯蓄だけで二千百三十五億という額でございまして、貯蓄というのは毎年毎年伸びていきます。で、御承知のようにいままでは百万円までが非課税でございますが、来年の一月一日からは百五十万円まで非課税になりますから、たとえば、この非課税制度の利用というのはふえていくわけでございます。そういうことがございますので、私、ちょっとことばが足りませんでしたが、圧縮は困難でございますし、さらにこの額は若干はふえるということになろうかと思います。
  119. 多田省吾

    ○多田省吾君 その問題はあとでまた質問したいと思いますが、政府は、この国際通貨調整が非常に波乱含みであるということから見まして、これに対処をするために本格的に産業界の為替リスクの回避策を検討中だと、このようにいわれております。いまの御答弁の中でも為替変動に伴う準備金等を考えておられるということでございますが、そのほかに具体案というものがどのようにございますか。
  120. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 現在、産業界と申しますか、経済界と申しますか、そういう方面から御要請があります。いろいろ制度としては、為替についての保険制度を設けてはどうかとか、あるいは現在停止しております設備輸出為替損失補償法を動かすようにしてはどうかというような御要請があると聞いております。それと並んで新しく為替変動準備金制度を設けてはどうかという御要望があるわけでございまして、その前の二つにつきましては、私どもの役所の他の局で検討はいたしておることと思いますが、つまびらかに承知いたしておりませんので、お答えができません。  為替変動準備金につきましては、そういう御要請がありますが、率直に申しまして、私どもは現在の段階では、はなはだ消極的に考えております。なぜかと申しますと、為替の変動による損失というのは、非常に損失の面だけが強調されておりますが、為替変動というのは、本来の性質は上がったり下がったりするわけであります。しかもそれは日本サイドの事情によって動くだけでなくて、他国の事情によっても動くわけでございまして、本来的には損失が出る可能性と、利益が出る可能性とはフィフティー・フィフティーであるはずでございます。そこで、損失が出るかもしれないが利益も出るかもしれないという性質の為替の変動について準備金を設けるというのは、まあ私どもから見ますと若干企業の将来の利益調整のための準備金のようになりまして、これは現在の税制上ではきらうところでございます。そういう意味で、税プロパーの立場からいいますと、あまり好ましい制度ではないということで、私どもは実は消極的に考えておるわけでございますけれども、しかし、いま為替問題というのはたいへんな大問題でございますので、また別の見地からどうしても必要だということの要請が強いことも承知をしておるわけでありまして、なお予算編成にからみまして、また、他の、先ほど申しました制度の成り行き等も見まして、総合的に判断して最終結論を大臣に求めたいと思っております。
  121. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま局長は、理論的にいえば為替変動準備金制度の創設はきらうところであり、消極的なお考えに立っておると、こういうことでございますけれども、結局一つには、いま局長がおっしゃったように、大蔵大臣も為替差損補償を実施する考えはない、しかしそれは税制面で考慮するというようなことを何回も発言してきております。また現在の為替差損のリスクから見ましても、これはいまの御答弁のように、創設を認めるようなお考えもあるようでございます。  それからもう一つは、この輸出振興税制を廃止したために、この為替変動準備金制度の創設をその引きかえに認めるというようなお考えもまた一面あるようでございます。そういう面から考えて、あれですか、消極的ではあるけれども、大臣の裁定によって新設される見込みがあると、こういうことでございますか。
  122. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 通貨の問題と、税の制度の問題との関連で問題が二つございまして、一つは、ただいま御質問を受け、お答え申しました為替変動準備金の制度のように、平価の調整がある程度行なわれたあとにおいてもなお起こるであろうところの為替の変動について、税制上何か考えるかどうかという問題でございます。  第二は、それとは別に、近く予想されております通貨の問題がある程度決着がつきました場合に、いわゆる外貨建て債権、債務の換算がえを日本の会社の、あるいは企業の経理上行なうということになりますと、経理上損失が出たり利益が出たりする。で、今度の調整措置といいますか、通貨措置といいますか、それによって具体的に実現をする損益についてどう処理するかという問題があるわけでありまして、ただいま御審議願っております租税特別措置法によって欠損金の繰り戻しを一年から三年に延ばすというようなのは、このあとのほうのように、具体化したものをどう処理するかという問題のうちの中小企業関係、しかも輸出に非常に依存度の高い中小企業関係についての処理の一端を法律でお願いをしておるということでございますが、そのほか他の業種中小企業に限らず、大企業等につきましても輸出に関連があるもので集中的に外貨建て債権あるいは債務を持っている企業について、実現してしまうところの差損益をどういうふうに処理するかという問題はあろうかと思うのでございます。私が先ほどやや消極的だというふうに申しましたのは、そのあとにまた起こってくる変動というものについて備えるための準備金というものについては、私どもはやや消極的であるというふうに申したわけでございますが、ただ御指摘のように、まさに御指摘のように、輸出振興税制の整理改廃の検討ともからみ、また、今後の輸出政策ということとも関連いたしまして、何らかの税制上の処理が必要であれば、いま一般に御要求があり、世の中でいわれておりますような形とは、また違った何らかの形というようなことで、いい知恵があれば何か考えなければならぬかなというようなことでございまして、いずれにいたしましても、鋭意検討中でございますが、まだまだ結論までには至っていないということでございます。
  123. 多田省吾

    ○多田省吾君 一般の新聞の報道によりますと、この産業界の為替リスク回避策のための問題といたしまして、先ほどからお話のある為替変動準備金制度の創設案のほかに、たとえば、いまEC諸国が検討しております為替保険制度の導入案とか、あるいは設備輸出為替損失補償法の復活活用案とか、こういう問題も検討中であるといわれておりますけれども、こういったことも事実検討し、活用されようとしておるのかどうか。ひとつ可能な範囲でお答え願いたいと思います。
  124. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) この二つにつきましては、主税局の関連ではございませんので、詳しく存じませんのですけれども、しかし、大蔵省の中では、通産省その他産業界からの御要請を受けて検討はいたしておるわけでございます。私もよく知りませんものですから、それ以上のことはちょっと申し上げかねるわけでございます。
  125. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから先ほど新しい租税特別措置法について、各省からたくさんの要求があるというお話の中に、建設省の要求の中に、住宅建設促進のために税制上の特別措置を財政当局、大蔵省に要求したといわれておりますけれども、この住宅建設の税優遇策というものを現在大蔵当局はどのようにお考えになっているのか。伝え聞くところによりますと、その中身を見ますと、持ち家贈与税、マンション家賃収入の分離課税である。このようにも報道されております。このような金持ち優遇の税制改正というものは、住宅政策の原点を忘れたところの暴挙である、このように思いますが、こういう租税特別措置はとる必要はなし、またとってはならないと、このように思いますけれども、こういった問題で主税局長はどのようにお考えですか。
  126. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 現在の経済情勢のもとにおいて、どのようにして景気の浮揚をはかっていくべきかということとの関連上、民間の住宅建設意欲というものが非常に高まっておりますので、そこで民間のいわゆる自力住宅建設というものを促進すべきではないかということが、建設省のみならず他の方面からも非常に強く御要請を受けておるわけでありまして、それがために税のほうでも何か考えてくれないかということを、いろいろ言われておるわけでございます。そのいずれをとりましても、まさにただいま御指摘のように、税自体の問題としては、ちょっと難点があるものばかりでございます。住宅対策というのは、もうずいぶん長いことやっているわけでありまして、長いことやっている間に、いままで税制上とっておりました顕著なものは、住宅貯蓄に関する優遇措置というものをやってはおりますけれども、それ以外はあまりやっていない、あるいは新築貸し家住宅の割り増し償却というような制度、また、いろんなことがありますが、今回御提案になりましたようなものは、前々から御提案がありながら、それはまあ税制上非常に困るので、ひとつごかんべん願いたいということであった種類のものでございますので、そのことは、いかに住宅政策が重要であろうといたしましても、税制のほうからは、今回の場合にも、かなり問題であるという立場をとらざるを得ない状況にあるわけでございまして、しかし、本年度の場合には、従来にも増して住宅建設の重要性ということが、単なる住宅政策ということを離れまして、経済全体の問題のうち、一、二の重要問題という形で出てきておりますものですから、私どもも実はいろいろ考えなければならない。基本的には、本来、いままでと変わるはずはないわけではございますが、それでは前に進展しないということで、はなはだ苦慮をしているわけでございます。  で、そのうちの、いま御指摘のありました贈与税の特例の問題につきましては、これは従来から贈与税自体の問題としても、子供さんのために親御さんが家を建ててあげてそこへ住まわせる、自分の敷地の中に家を建てて、そこへ住まわせるというような場合に、その家が子供さんの名義になっておるということで贈与税というのは、少しぎすぎすしているのではないかということが前々からいわれておるところでありまして、しかし住宅だけの贈与の特例を認めるということは、贈与一般に響くので、いままではお断わりをしておったということでありまして、御指摘のように非常に特別な人への優遇になるかということでお断わりをするか、あるいは住宅政策の見地から例外を認めるかというのは非常にむずかしいところでございます。  それからマンションの収入についての分離課税というのは、これはちょっと所得税の総合課税の原則がくずれますので、たいへん問題だと思っております。
  127. 多田省吾

    ○多田省吾君 時間もあまりございませんので、まだ今後中小企業関係の質問もございますので、できればひとつお答えのほうを簡明にお願いしたいと思うのです。  租税特別措置で、あと二つお答え願いたいと思いますが、一つは、昭和四十六年度の租税特別措置による減収額試算、二月時点における資料がございますけれども、先ほどお答えのように、四千三百九十四億円であると、こう言われております。ところが、その中に交際費課税の特例、これは増収額として千百九十六億円含まれておりますから、これを除きますと、五千五百九十億円ということになります。なぜならば、外国では、交際費に関しましては損金算入には入れてないのが多いわけです。ですからこれははずして考えますと、五千五百九十億円というのが昭和四十六年度の見通しであると思いますが、これは間違いございませんね。
  128. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 交際費課税の特例をどう考えるかは、いろいろ見方がありますけれども、ただいまの御質問の御趣旨からすれば、これを抜けば五千億余りだということは間違いございません。
  129. 多田省吾

    ○多田省吾君 それで、交際費課税につきましては、本委員会におきましてもたびたび水田大蔵大臣からも、来年度からの企業の交際費課税は強化するんだと、このようなお答えがあったわけでございます。まあいま税制調査会で審議している途中だと思いますけれども、まあ大蔵省自体のお考えもあろうかと思います。それで、従来福田前大蔵大臣等も、交際費課税強化について一番影響を受けるのは中小企業であるからということで、非常に各野党が強く課税強化を主張するのに対して、消極的なお考えを述べられていたわけでございます。しかし、交際費課税の強化、この特別措置というものが中小企業対策考えるのは、これは本末転倒でございまして、中小企業体質改善あるいは育成強化のためには、ほかになすべきことがたくさんございますし、また税制の面におきましても、先ほど戸田委員からも御指摘があったように、いわゆる中小企業の法人税につきましては二八%よりももっと下げるべきだと、こういういろいろな対案もあるわけでございます。そういう考え方に立って私は質問するわけでございますけれども、たとえば外国はほとんど損金算入を認めていない。この大蔵省から出された資料を見てみますと、昭和四十六年度における交際費の支出総額は一兆一千三百二十五億円という見通しです。もしこれに損金算入を認めないで二八%ないし三六・七五%のいわゆる法人税を課そうとすれば、ちょっとした計算によっても約四千七十億円というものが税金として取れるわけです。ですからそういうことを考えますと、ただいまの昭和四十六年度の租税特別措置による減収額、交際費を入れてないで五千五百九十億円、それに損金算入を認めないで交際費課税をすれば、もう四千七十億円と合わせて九千六百六十億円、約一兆円近くのものが租税特別措置によって減収になっているんだということも考えられるわけでございます。  ですから、特にこの中でも交際費が占めている減収額というものは非常に多い。だから非常に庶民的な素朴な考えに立ちまして、まあ今回の国立大学あるいは私立大学のいわゆる授業料というような問題もありますけれども、あるいは私立大学のいわゆる経常費に対する国庫補助の問題等もありますけれども、これも水田大蔵大臣は、一千億円ほど出せば私立大学の授業料は値上げせずにも済むだろうというようなことを言っております。ですからこの交際費課税を強化すれば、こんな一千億円くらいの金は出せるんだと、こういういわゆる素朴な意見もあるわけです。また、この前も所得税減税の審議の際も、戸田委員あるいは野末委員等から未成年者に対する課税が非常に重いじゃないかと、こういう意見もございました。私もそう思います。そういった面もやはり考えて、国民感情からいっても交際費課税はもっともっと強化すべきであると、こういう考えが強いわけでございます。そういう意味で、いま税制調査会で審議中ではありますけれども、いわゆる来年度からの交際費課税につきましては、一般にいわれているところでは、六〇%から七〇%に引き上げられたあの課税割合というものを、たとえば八〇%に引き上げるとか、あるいはこれがむずかしければ、基礎控除の中の定額控除というものを四百万円から三百万円に引き下げるとか、いろいろ案が考えられているようでございますが、大蔵省当局としては、この交際費課税の強化については、現在どのように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
  130. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 手元に十分な速記録がございませんのですが、四十六年、ことしの、つい先般十一月一日に参議院の予算委員会におきましての大臣の答弁では、「交際費の問題は、ことし六〇%から七〇%課税にしましたので、その結果をもう少し見てもいいんではないかというふうに思ってはおりますが、しかし、所得税はすでに御承知のように来年度相当大きい減税を——来年度につながる減税を行ないましたので、歳入をふやす税制はいま検討中でございますが、これはまとまったら一括して税制調査会に相談して、来年度の税制をきめたいと考えております。」   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 というふうに述べておりますが、大体大臣のこの答弁にありますように、否認割合が六割から七割に上がりましたのはこの四月でございまして、法律上はそれは二年間ということになっておる関係もございますので、七割をさらに上げるということは相当問題であろうと、事のいかんにかかわらず、いろいろ御審議を受け六割から七割に上がったところでございますから、よほど何か急激な事態の変化というものがあれば別でございます。確かに税収が足りないということは一つの問題点でございますけれども、それを動かすというのはちょっと問題があるのではないかというふうに考えております。  一方、下限のほうの問題、三百万、四百万の問題は、かねがね懸案事項でございまして、これは中小企業だけではないのでありまして、足切りでありますから、大企業に非常に影響するわけであります。何か足切りの金額を四百万円を三百万円に切り下げると、中小企業が困るというふうによくおっしゃる方がございますが、これは何か非常に誤解でございまして、足切りでございますから、全企業に影響するわけでございまして、そういう意味でそこのところのほうはむしろいずれかのときに、来年度かどうか別といたしまして、いずれかのときに検討しなければならない事項だと思っております。  確かに交際費の問題は非常に問題なのでございますが、またアメリカ制度を御引用いただきましたけれども、これは諸外国でもいろいろな制度になっておりますけれども、まあ総じて原則は損金でございます。そうしておいて異常な交際費は何らかの意味において損金にはしないというのが原則でございます。交際費は、やはりどうしても企業事業を営む場合に必要なものだという認識がまず第一前提でございまして、ただそれが異常なものである、あるいは交際費に名をかりて関係者の個人的利益に帰する場合があるというところで非常に問題があるわけでございまして、諸外国の税制も多少のあれはありますけれども、この損金制を認めないという国はないわけでございます。先々の問題としては、なおしかし御指摘のように金額もだんだん大きくなってきましたから、よく検討してみたいと思いますが、当面は何千億というような増収をこの交際費のほうから期待をするということは至難のわざだと思っております。
  131. 多田省吾

    ○多田省吾君 租税特別措置についてあと二、三まとめて御質問します。  まあ先ほどは輸出振興税制は四十七年度におきましては手直ししたいとおっしゃっています。四十六年度におきましては総額七百三十七億円の優遇措置を行なっていこうというお考えのようでございますけれども、四十七年度においてはどの程度までこの金額を手直しする予定なのか。  それからもう一つは、いわゆる銀行の貸し倒れ引き当て金は明年度はどの程度まで手直しせられるおつもりか。  それからもう一つ、明年三月で航空機燃料用の揮発油の免税が期限切れとなりますけれども、これを今後どうなさるおつもりか、この三点をひとつお伺いしておきたい。
  132. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 輸出振興税制は、現在これによる減収が七百十億と一応見込んでおります。この中で一番金額が大きいものは輸出割り増し償却でございます。輸出割り増し償却につきましては、これを整理する方向考えたい。技術等海外所得の特別控除と海外市場開拓準備金、これは合わせて二百億足らずでございますが、二百億ちょっと足らないぐらいのところでございますが、これについては若干モディファイをしますか、あるいは全部やめますか、いまのまま存続しますか、これはなお通産省等と議論を詰めていきたいと思っております。しかし、いずれにいたしましても、これは別に、午前中にもお答え申し上げましたとおり、輸出そのものは非常に重要なことでございますから、輸出産業自体の体質を弱くしては何にもならないわけでございますので、何らかの他の形式で輸出関連産業体質が弱体化しないように配慮しなければならぬと思っておりますので、いわゆる増収というわけにはいかないというふうに考えております。  貸し倒れ引き当て金につきましては、これはかねがね御指摘を受けておるところでもございます。これは私どもといたしましては、御存じの貸し倒れ引き当て率千分の十五、これを他の一般企業に対します引き当て率千分の十二と同じようにいたしたいと思っておりますが、問題は、いわば経過措置といいますか、その辺のところで特に弱小金融機関といいますか、都市銀行や中央銀行でない金融機関について一種の経過措置というようなものをどうするかというあたりが今後の課題になろうかと思っております。  航空用ガソリンにつきましては、これは私どもはぜひ特別措置を終わりにしたい。かわって新たに灯油タイプの航空用燃料も含めまして航空機燃料課税という制度を始めてはどうかということで運輸省に提案中でございます。運輸省でもこれをいま検討中でございます。航空会社に対するかなりの負担になり、それは航空料金の値上げにつながる問題でございますので、にわかにまだ運輸省から最終的な御返事はいただけないという状況でございます。
  133. 多田省吾

    ○多田省吾君 時間の関係もありますので本論に入りますけれども、この法律案のいわゆる提案理由の説明あるいは補足説明の中にもありますけれども、まずこの法案で言うところの輸出関連中小企業というものは、中小企業基本法規定する範囲企業をさすだけではないように思います。また、商工委員会で可決された国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置法案の中で言う中小企業とまた違っておりますけれども、この中小企業定義の変更は全然ないのか、定義は変わるのか、あるいはこの法案だけのいわゆる中小企業という題名について、どうその説明をされておるのか、その辺はいかがでございますか。
  134. 進淳

    政府委員進淳君) 中小企業定義につきましては、国際経済調整措置についての臨時措置法に関しましては、現在の中小企業定義と同じ定義にいたしたいというふうに存じておる次第でございまして、その同じ定義中小企業の中で、特に影響を受けました中小企業を知事が認定いたしまして、その認定されました中小企業者を対象として諸般の特例措置を講じたいということを骨子といたしておるわけでございます。ただ、税の繰り戻しの特例だけにつきましては、それに若干プラスいたしまして、税制のほうでは資本金一億円以下というふうに中小企業の扱いをいたしておりますので、私ども中小企業定義と若干違っておりますので、その部分についてのこれに準じますような影響を受けます中小企業について特例措置をお願いしておるわけでございます。
  135. 多田省吾

    ○多田省吾君 この法案の提案理由の中に「事業活動に支障を生じている輸出関連中小企業者に対し、その経営の安定を図るため、純損失又は欠損金の繰戻しによる還付特例を設けるとともに、その事業の転換を円滑にするため、施設の償却特例を定める」、このような税制上の特別措置をとるということでございますけれども、この措置は、中小企業のこれからのあるべき姿はどうなるかという基本的な論議に立っての法律改正なのか、あるいは基本的な問題は別途に譲っても、今回いわゆるこの問題だけ当面とりあえずドルショックが激しいからやってみようかということなのか、そのどっちなのか。  もう一つは、この特別措置によっての減収額はどのくらい見込んでおるのか、その二点をお伺いします。
  136. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 欠損金の繰り戻しということは、やはりいまのところは一年で大体よろしいではないかと思っておるわけでありまして、今回のいわゆるドルショックというのは非常に特例であるということから、この国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置ということに関連して、特例として三年にするということでございまして、将来に向かって一般的に欠損金の繰り戻しを三年のほうに持っていくという前ぶれだという意味ではございませんで、これはあくまで特例だというふうに私ども考えております。  それから、欠損金の繰り戻しに伴います減収額は非常に算定が困難でございまして、何とも正確には見込めないわけでございますが、たくさんの前提を置いて計算いたしますと、本年度で二十五億円くらい、来年度と合わせまして、五十億円くらいかということは、午前中の御質問に対して詳細にお答えしたとおりでございます。
  137. 多田省吾

    ○多田省吾君 この法案の恩恵を受ける中小企業は一体どのくらいあるのか。  それから今回の深刻な不況というのは、単に輸出関連企業のみではなしに、直接、間接的に中小企業あるいは零細企業というものが圧倒的な大きな影響を受けておるわけでございますけれども、この法案の恩恵に浴さない企業に対しての対策は別に考えておられるのかどうか、この二点をお答え願います。
  138. 進淳

    政府委員進淳君) この法案と申しますか、臨時措置法に基きます対象中小企業といたしまして考えておりますのは、おおむね業種といたしまして、私ども輸出比率が二〇%をこえる業種を対象にしたいと思っておりますので、そういう前提で計算をいたしますと、業種の数で約百十七になると思っております。で、この百十七に属します企業数が全国で十五万企業ございまして、これが中小企業の中では、約二三%を占めております。出荷額では約三兆七千億でございまして、全出荷額の一三%、しかし輸出額におきましては、一兆四千億で全体の中小企業の中の六四%という数字を占めております。  このほか、業種に入りませんでも、産地の中で、特定の市町村において二〇%以上の輸出比率があります場合には、これも特別に指定をいたしたいと思っておりまして、まあこの関係では、この業程のほうとダブりますから、企業数は別にいたしまして、出荷額で四・四%、輸出額で二八・四%でございますので、中小企業輸出額に関する限りは、相当の部分がこれによってカバーできるというふうに存じております。
  139. 多田省吾

    ○多田省吾君 それはわかりましたが、二番目の輸出関連企業だけじゃなしに、そのほかの企業に対する対策は……。
  140. 進淳

    政府委員進淳君) これは、信用保証につきまして、特に保険の引き受け額を二倍にするというのが、一番大きな私どものねらいでございまして、そのほか、減税制度もございますけれども、したがいまして、これに漏れました企業は、輸出比率が二〇%以下の企業ということになります。したがいまして、輸出面で直接受ける影響は比較的小さい企業と、一般的にはなろうかと思います。  そこで、そこらにつきましては、保証限度額については二倍にいたしませんけれども、しかし、一般的には、金融措置等については、金利も普通の金利ではございますが、年末の金融措置等を十分配慮いたしておりますので、一般的な中小企業対策の中で救済措置なり指導をしてまいりたいと存じております。
  141. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、八月十六日以降、この十月末までのドルショックをもととする中小企業の倒産件数、これは大体どの程度か、ひとつお調べになっている現状でお答え願います。
  142. 進淳

    政府委員進淳君) 全体で三十七件というふうになっております。
  143. 多田省吾

    ○多田省吾君 午前中も審議が行なわれましたけれども、今回の補正予算でも、中小企業関係金融措置として、政府関係金融機関の予算は増額をいたしましたけれども、その貸し出し利用状況はどうなのか。
  144. 進淳

    政府委員進淳君) 今回の措置で千五百億の上乗せワクの追加をいたしましたが、現在までのところ、三機関を通じまして、申し込みは約五百億参っております。現在鋭意審査を急がしておる状態でございます。
  145. 多田省吾

    ○多田省吾君 中小企業の方々に聞きますと、予算措置千五百億円の割合には、五百億円しかまだ利用してないという利用状況が、あまり良好でないと思いますが、これは、希望は強くありましても書類手続等が非常に複雑なために敬遠されているという向きがあると思います。そういう苦情が多いのでございますが、その実情はわかっていらっしゃいますか。
  146. 進淳

    政府委員進淳君) これはまだ、十月の半ばに実施いたしましたので、三月まで、年度末まで申し込みを受け付けることにいたしておりますので、現在のところで五百億でございますから、まあこれにあと私どものほうの各三機関で対策本部をつくりまして大いに急がしておりますので、できるだけこれを年度末までには消化するようにしたいと思っております。
  147. 多田省吾

    ○多田省吾君 この利用のあり方におきましても、結局幾ら量的にいわゆる利用が全部されたとしましても、量よりもむしろ質的な問題が大事だと思うんです。ほんとうに救済すべき方面に金が回らないで、そしてそうでない方面に案外金が回りやすい、こういう傾向も従来あったようであります。特に利用者が担保能力とか連帯保証人なんかの問題で、ほんとうに借り入れたいような中小企業がなかなか借り入れられない、こういう傾向が従来もありましたし、今回も当然あると思ってよかろうと思うのです。で、こういうことは絶対ないんだと、こういう保障があるのかどうか。どうですか。
  148. 進淳

    政府委員進淳君) 私どもは、御質問の趣旨を体しまして、無担保、無保証の八十万の保険ワクでございますが、したがいまして、信用保証協会もそれに対応いたしまして倍額にしてくれると思いますが、八十万円を百六十万円にしたわけでございます。これは無担保、無保証でございますから、これはその企業の信用だけということになりますので、そういう趣旨でこの法案をお願いいたしておりますので、この申し込みが、現在のところ、全体を含めて五百億程度でございますが、まあできるだけそういう意味で、御趣旨に沿いまして運営できますように指導してまいりたいと思います。
  149. 多田省吾

    ○多田省吾君 同じく今回の補正予算の中で、都道府県のいわゆる信用保証協会に対する補助金が組まれたわけでございますが、これはどの程度の額か。  そしてこの積極的な信用保証について政府はどのように行政指導をするつもりか、この二点をお尋ねいたします。
  150. 進淳

    政府委員進淳君) 今回は五十一の信用保証協会を通じまして、全体で一億円を補助するということでございまして、この配分はいま相談中でございますけれども、これをわずかの金額ではございますけれども、今回のドルショックに関します特別の保証についてのまあ基金として活用していただきまして、信用保証協会の基盤を強化する一助にいたしたいと存じておる次第でございます。
  151. 多田省吾

    ○多田省吾君 少し長期的な展望についてお尋ねいたしますけれども、まあ先日も大蔵大臣がこの委員会で、平価調整はなるべく年度内においてやりたいというような見通しでございます。もし円の大幅な切り上げが実施されたといたしますと、国内経済も大きな打撃もこうむりましょうし、また中小企業輸出関連企業等もさらに不況の追い打ちを受けるという一層深刻な経営難におちいると思いますけれども、こういった差し迫った中小企業のいわゆる苦難に対して、今後中小企業対策として長期ビジョンはどうなっているのか、またこの十二月、一月に予想される円切り上げに対する中小企業育成のお考えはどうなっているのか。
  152. 進淳

    政府委員進淳君) 円の切り上げがどうなりますかはこれからの問題でございますけれども、いずれにいたしましても今回の法律の対象といたしましては、通貨調整によります影響も、その対象救済措置の中に含めて考えておりますので、当面の救済措置といたしましては、長期運転資金を供給するということで、少なくとも金融上の問題によって倒産するとかいうようなことにならないように、特別措置をとりたいという趣旨で三年ないし五年という長期運転資金についての上乗せ特別措置をとった次第でございます。  で、今後の長期ビジョンについての問題はまことにごもっともでございまして、私どももこれと別個に中小企業政策審議会で、今後の中小企業あり方というものを至急検討しようということで、来年の少なくとも五、六月ごろまでを目途にいたしまして、先月の十二日から審議に入っております。問題が非常にございますので、中小企業の今後のあり方についての長期ビジョンをぜひそこで立ててもらいたいというふうに存じております。
  153. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ、現在の不況は、昭和四十年の不況のときよりもいろいろな面でもっともっと量的にも質的にもひどいと、このようにいわれているわけでございますけれども、昭和四十年の不況の際、政府中小企業に対して、官公需についての中小企業者の受注の確保について立法措置を講じたわけでございます。この受注契約の実績はどうだったのか、また中小企業に対する波及効果はどうだったのか、この点を御説明いただきたいと思います。
  154. 植田守昭

    説明員(植田守昭君) 実績につきましては、四十一年から申し上げますと、四十一年が四千八百九十一億円、四十二年は五千九百三十九億円、四十三年は六千六百八十一億円、四十四年は七千四百三十六億円、四十五年は七千六百五十億円、以上のようになっております。  それから中小企業に対する波及効果ということでございますが、先ほども御説明いたしましたように、法律制定以来毎年閣議決定をいたしまして、各省庁の官公需に対する体制の整備、あるいは入札の際における中小企業者の環境の整備等につきましていろいろの施策を施してきましたので、そういった環境面からの中小企業に対する効果というものがかなりあったものかと思っております。  なお、そのほか大企業が受注したものの中にも、二次発注といたしまして中小企業に行くものが相当あると思われますので、そういった波及効果も非常に大きいというふうに考えております。
  155. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま御答弁になった官公需の中小企業者の受注確保については、今回のドルショックの影響を考慮しての特別な対策考えていないのかどうか。  それからもう一つは、先ほどもまあ総括的に御答弁がありましたが、十二月一ぱいに予定される円切り上げ後に対する一時的な景気の落ち込みが十分予想されますけれども、それに対して特別検討する用意があるのかどうか、この二点をひとつお答え願いたい。
  156. 植田守昭

    説明員(植田守昭君) ドルショックの問題が起きましてからの本件に関します私ども措置といたしましては、まず十月一日に中小企業庁長官名をもちまして各省庁あるいは政府機関に対しまして、官公需の中小企業向けの確保につきまして格段の協力方を要請いたしました。それから十一月十五日からは新たに官公需の相談日というものを中央と地方に設けまして、これによりまして中小企業者の官公需に対する関心を高めるというふうな意味合いも含めましてこういう制度を発足せしめております。それからなおPRもしくは政策の浸透のために、テレビやラジオ等を通じてのPRも考えておりまして、十二月におきましてもテレビについて二回、近く放映することにしております。それからさらに十一月二十九日には、各省庁及び関係機関の官公需担当官にお集まり願いまして、官公需確保対策推進協議会を開きまして、あらためてまたこの点について協力を要請した次第でございます。  それから、これから以降の問題でございますが、私どもといたしましては、先ほども申しましたような閣議決定の線に沿いまして、一そう各省庁に御協力を要請するなど、この施策を進めることを考えておりまして、そういうことによりまして所期の目標をできるだけ達成していきたいというふうに考えております。
  157. 進淳

    政府委員進淳君) 円切り上げ後の当面の不況対策でございますが、今回の実情にかんがみまして、年末金融といたしまして千八百八十億円の追加をいたしました。三機関でいま鋭意その受け付けをやっておるところでございます。  二番目に、中小公庫の代理貸し、これを促進する必要がございますので、二千万のところを千万追加して三千万ということで代理貸しの限度を引き上げまして早く消化するという措置を特別にとっておる次第でございまして、なお信用保険公庫の引き受けワクにつきましても、信用保証の再保険の申し込みがふえてまいりましたので、もちろん予算総則の中でワクの追加をいたしまして、五千億円をふやすということで、特に今回の信用保証について、保証協会の再保険の引き受けに遺憾なきを期したいというような措置をとりまして、不況対策を切り抜けてまいりたいと存じておる次第でございます。
  158. 多田省吾

    ○多田省吾君 中小企業庁の調査資料によりますと、昭和四十六年度の中小企業輸出減少見込み及び四十七年度見通しにつきまして、最も大きな打撃を受けるのは繊維業者である。特に日米政府間協定において追い打ちがかかったような姿でございます。特に大手企業よりも、何といっても中小企業の救済対策が急務でございますが、さような壊滅的な打撃を受けているこれらの業者に対する補償について、これは簡明にお答えいただきたいと思いますが、補償についての具体案がどうなっているのか。  それから今回繊維について四十八カ所の対象地域を調査したわけでございますが、この四十八カ所の中で多い順序に、何県が多いのか。  またもう一つは、中小企業向けの年末融資として、政府関係中小三機関の貸し出し計画千八百八十億円の追加が決定したわけでございますが、この中で繊維の対米輸出自主規制に伴う補償が含まれているといわれますけれども、その分はどれだけなのか、その三点をお聞きしたい。
  159. 牟田口道夫

    政府委員牟田口道夫君) お答えいたします。  最初の第一問の補償と申しますか、今度の政府間協定によります影響に対する措置につきまして、先般自主規制のときにいたしました救済措置方式をおおむね踏襲いたしました形、つまり、たとえば繊維設備買い上げ措置あるいは長期低利の運転資金等を中心といたしました措置を、先般のものよりさらに実態に合わしたものを考えて目下検討中でございます。  で、先ほど年末融資の中に繊維がどのくらい入っているか、つまりいまの補償救済措置と申しますか、そういうものの中に一部は含まれているかという御質問に対しましては、そういうことで、目下、政府間協定に伴う一連の救済措置検討中でございますので、先般のものを含まずに、別途検討中でございます。
  160. 山田勝久

    説明員(山田勝久君) 先生指摘の、四十九繊維関係産地の内訳でございますが、地域別に、一応通産局管内と申しますか、地域別に申し上げますと、大阪通産局管内——関西でございますが、ここに十四産地ございます。それから東京通産局管内、これは関東と新潟県でございますが、これに十一産地ございます。それから名古屋通産局管内——中部地方でございますが、ここに九産地ございまして、この三地方で四十九産地のうちの約七割を占めております。
  161. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ちょっと、いま、多田君の質問に対して三十四件と答弁されましたね。  政府ドルを守ると、絶対に円切り上げはやらないと、こう言ってきた。ところが、こうせざるを得なくなっちゃった。為替の買い取りを停止したというようなこと、いろいろなことが出てまいりました。ほんとうのドルショックというのはそこだと思うのです。それに対する答弁を聞いておりますと、約七億ちょっとだとおっしゃる。その七億ちょっとというのは、アメリカ自体がキャンセルをしたものと、それから日本の商社が見込み生産でやっておって、商社がキャンセルしたものも含まれているのか。アメリカ自体からキャンセル食ったのが日本円にして約二千五、六百億あるというのか。
  162. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 関連して。さっき聞こうと思っていたのですが、第三条の業種それから産地告示、この認定を行なっておるわけですね。これはまだ決定されてないと聞いているのですね。今後これはおそらく省令によってきめられていくだろうと思うのですが、この認定を早くやらないと、主税局長のほうでいろいろ説明しても、税制の優遇措置の問題についても金融上の問題についても一切進まない。だから、この認定は一体いつごろなさるのか、その見通し、こういうものについて、ひとつ……。ほんとうは、そういうものは真の実情を述べてもらえば一番いいのですが、まだ聞いていない。見通しも含めてひとつお願いします。
  163. 山田勝久

    説明員(山田勝久君) 第一番目の点につきまして私から答弁さしていただきます。  私ども調査をとっておりますのは、産地、いわばメーカーのサイドでございまして、それが結局アメリカ側、こちらの輸出業者、それから問屋、メーカー、こういう順序で流通チャンネルができておると思いますが、私どもの調査がメーカー段階でございますので、商社の段階での見込み生産をキャンセルされたのか、あるいはアメリカからキャンセルされたのかは、私どもの調査ではさだかではございませんけれども、大体こういう種類のものは、一般的に注文生産と申しますか、受注生産と申しますか、そういうものが多い性格の品物がございますので、私どもといたしましては、大体アメリカ側からキャンセルされたのではないかと一応推測いたしております。
  164. 進淳

    政府委員進淳君) 業種産地の指定の問題でございますが、全く御指摘のとおりでございまして、私どもも早くやりたいと存じまして、実は並行して調査資料、統計等を調べまして、いま用意いたしておりますが、現在の予定では、法律が、実はきょうの次官会議、あすの閣議で月曜日に施行するという段取りになっておりますので、それから各県と相談をいたし、大体資料等整備をいたしておりますが、一番早くやりまして十二月十六日木曜日には告示をいたしたい、これは省令できめることといたしておりまして、従来ですと政令だと思いますが、急ぎますので省令で十六日には一斉に告示をいたしたい、これがどんなに急ぎましても現段階では法律施行後最も早い時期になっております。そういう段取りになっております。
  165. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大臣がお見えになったから私がお聞きをしておきたいのは、キャンセル食って損害を受けるというのは、全く政府のいままで言ってきたことが裏返しになったために被害を受けた人たちです。そういう人たちの、部品を購入して仕掛け品でできておる、それが担保にもならぬ、全く被害者です。普通の思惑生産をやってきた人たちと、オーダーもらって部品まで購入をし、そうしてやったらキャンセル食った、損害賠償を持っていくところがない、それに融資もない。それと、思惑でやり、全体にばく然としたものをひっくるめて取り扱ってくるというところに——私は、政府がぴったり二つに分けて、全くの被害を受けた人たちですね、キャンセルを受けたこういう人たちに対して、もう少し金融上なりあるいは税制上の優遇措置というものを考えなくちゃならない、プリンシプルが、ドルショックですよといって包括したものがあれば、中を見れば二つに割れるわけですよ、整理されるものなんです。そこにはおのずから重いものと軽いものの取り扱いというのがあっていいと思うのです。  ですからいろいろと質問された中で、答弁聞いておって不十分だと戸田君も指摘しておりますが、私の指摘したいのは後者のほうはいい、前者のキャンセル食ったのは——不届きしごくですよ。政府が円の切り上げは絶対にやらないと言ってきた、ところがそうなっちゃった、為替は閉鎖しちゃったんですから。ですからそういうものと区別してめんどう見てもらいたいということだけお願いをしておきます。
  166. 松永忠二

    ○松永忠二君 大臣に一つお聞きします。  きょうは租税特別措置の一部を改正する法律案をいろいろ審議してきた。これは御承知のとおり、今度のドルショックに伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律を基盤にした税の対策として出てきたわけですが、いまその不況の中で近く行なわれようとしている円の切り上げ、あるいは課徴金の問題等を含めて相当今後不況が深刻になるのではないか、そういう考え方を持っているわけなんですが、こういう問題について大蔵大臣は、一体円の切り上げの幅等いろいろ問題あるわけなんですが、不況の問題についてどういう認識を持っておられるのか、またそういう中で特に需給のギャップとして考えられるものは相当大幅にあるというふうに考えておるのか、こういう点についての大蔵大臣の見解をまずお聞かせをいただきたい。
  167. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) ただいま明年度予算の編成中でございまして、政府の編成方針そのワクはまだきまっておりませんが、いまの編成過程中でむずかしい問題は、まず一つは、来年の経済見通しをどう立てるかという、いま御質問になった問題でございますが、これは通貨調整がどういう形で結着するかということにやはり大きい関係があるということが一つ、それから、そういうようなものをいろいろ一応考えて、企画庁が来年度の経済見通しをいま立てているところでございますので、この作業がおそらく今月の半ばまでには終わるのではないかと思われますので、この政府の統一見解が出るところまでいかないというと、私として責任ある見通しを申し上げることはできませんが、いまのところいずれにいたしましても、来年上期にそう経済の好況を期待するということはむずかしいことでございますし、どうしても後年度に行ってある程度の不況の回復をはかって、日本全体の経済成長率を一定のところに持ってくるための施策に万全を期そうというようなことから、いまいろいろな試算をいたしておるところでございます。  が、一方その見通しを中心にしてデフレギャップについての計算が政府の中でも、また民間のいろんな研究団体でも行なわれていまして、この見方によっていろいろ意見が最近は出されて、公債の発行額についてもいろいろ民間側の意見も出てきているところでございますが、いまのところ私ども検討しておるところによりますというと、どうせ来年は財源難でございますから、公債の発行は当然多くなることは予想されますが、いまのところやはり財政法の許す範囲内の建設公債、この範囲にとどめて、いわゆる赤字公債といわれる公債は出さない、そうして相当政府の財政資金も期待できますから、この資金を思い切って総動員すること、それから中央の財政と地方財政で見ますというと、地方財政のシェアは、とにかく中央財政の倍にもなろうという規模でございますので、したがって中央財政政策に地方もやはり歩調を合わせてもらうというようなことによって、地方もある程度の公債をやはり出してもらうというようなことを勘案しますというと、大体それによって私は来年の不況克服の予算は組めるのではないか、いまいわれているような歯どめのない公債政策をとって対処しなければならぬという事態にはならなくて済む、その点は善処できるだろうというのがいまのところの見通しでございますが、これもう少し時間をかしていただきませんというと、一方歳入の問題も入ってきますし、したがって、また予算のワクをどのくらいにするかというようなことも、この景気対策とは当然関係することでございますので、もう少しその点は時間をかしていただきたいと思います。
  168. 松永忠二

    ○松永忠二君 大蔵大臣の答弁は来年の予算のことで一ぱいなので、私の聞いたのを先取りしてどんどん答弁なさって、まあ御苦労なさっていらっしゃるのだと思います。ただ日経あたりが出している数字なんかを見ますと、明年の経済見通しはもう近くできる、現在四十六年度の経済の見通しはすでに経済企画庁が発表して、その後修正をしているわけですね。だからそういうようなことから考えてみて、国民生産が日経あたりでは六十八兆円、それが潜在的な、要するに国民生産の力であろう、それに対して経済成長の伸びは半分、一〇%から五%に落ちてくるという状態から言うと五十九兆円くらい。そうすると、潜在的な能力に対して現実に出てきている国民生産から言えば、九兆円くらいが需給のギャップではないかという数字を出しておるわけです。そういう中で、円の切り上げが一四・三%と考え、それから輸入課徴金があると考えて、輸出によるところの減少は円の切り上げで十四億ドル、それから輸入課徴金の八億ドル、合わせて二十二億ドルという数字を出しておる。まあ大体八千億円という線である。九兆円の需給ギャップに比べてみると、八千億円の直接的な外的要因がそういうところにあるということを考えてみると、日本の不況ということは、これは海外の要因というのは二次的な原因であって、真の原因はやはり国内の需給のアンバランスにあるのである、つまり国内不況というものが中心なんだというようなことを言っていますね。  したがって、そこには対策というものは比較的明確ではないかという議論を展開しているわけですけれども、たとえばアメリカの国は国際収支が赤字で、この原因はまた別である。イギリスあたりは労働生産性が低くなり、意欲が減退しているところに一つのやはり問題があるのだ。これはなかなかそれを解決するのに複雑な要素がある。それに比べれば日本の不況の解決の要素というものは、比較的単純ではないかというような言い方をしている。つまり需給のギャップによる経済不況だと断定していいのではないか。そういう意味から言うならば、これは比較的日本の不況対策はやりやすいのだというような言い方をしている方もあるわけなんですが、私はこの議論というのはなかなか問題を明確にして、単純素朴でわれわれにもよくわかると思うのですが、こういうことについて大蔵大臣の見解というのは別にあるのでしょうか、それは間違いなのか、あるいはこういうふうな考え方について不況の原因を考える場合において、こういう考え方というのはやはり傾聴に値するものでしょうか、それとも見当違いでしょうか。
  169. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 私もある程度その見方のほうにどちらかというと賛成のほうでございますが、ですからこの八月十五日のああいうニクソン政策というものがなかったら、私は政府が七月以来とってきた財政金融政策でいまごろは相当不況の方向を変えることができておったのではないかと思いますが、そこに今度はああいう対外政策の追い打ちというものが加わって、いまの不況を若干あれ以後複雑にしているということでございますので、したがって複雑にはなっておりますが、問題の性質は案外はっきりしておって、したがってここにいままで言われておりますように、財政主導型の予算だ、あるいは単なる財政政策だけではなくて、そのほかのいろいろな総合政策をここで総合的に集中的に実施することによって、私はいま一般に言われているような深刻な不況になるということは避けることができるのではないか、デフレギャップの見方にしましても、私はどちらかといいますというと、まだこの日本の不況といっても大企業の不況は間違いございませんが、たとえば大企業が新規の雇用をことわるということになりますというと、中小企業がすぐにそのあとを引き受けるというようなことで、まだ日本の完全雇用というものがくずれている状態にまではいっていないということになりますと、大きいデフレギャップを持った不況であることは間違いございませんが、この不況の性質というものをそう複雑に見ないで、やはり従来の施策に、それにもう一歩のくふうをこらして対抗することで、案外私は不況回復ができるのではないかというふうに考えております。
  170. 松永忠二

    ○松永忠二君 いま、お話、御意見も出てきているわけですが、そういうふうな点から言えば、私は、いわゆる、あなたがこの最初の委員会で、あなたの今年度の施策をおっしゃったり、その御答弁の中で、いよいよ私の出番が来たようなお話もあった。また、私が年来考えていたことをいわゆる発揮できる時期が来た、こういうお話であったと思います。不況の対策内容自身については、私は必ずしもあなたと御意見を一緒にするものではないと思うんですけれども、しかし、その方向というか、いまの不況の見方という問題については、やはり私はお話のような面が十分あるのじゃないか。そういう点から言うと、そういう話を聞いていた水田さんが大蔵大臣になって、こういう発言をされているのと比べてみると、何かいまの、いわゆる来年度予算に対する大蔵省の考え方と、一部に、それと違った意見が出ているのを考えてみると、もう少し積極的な面が出てきてもいいのじゃないかという感じもするわけです。  たとえば、減税の問題についてもそうだ。いや、もう減税は考えないんであって、今年度やって、平年度で相当あるんだから、これはだめだというような、こうなってくれば、いまのような不況の状態というのであれば、財政支出を拡大し、減税を大幅にしていくということは、少なくとも大きな柱になってくる筋合いのものだと思うんですが、こういう面について、積極的なあなたのお話があった歯どめの議論というのは非常に大事な問題だけれども、基本的な姿勢として、政府にいま期待をしているものは、やはり一歩、二歩前進をするところにあるのじゃないかという感じもするので、こういう点については、いままで発言をされてきたことと一致するような施策が大蔵側のほうから出されていくように、特に私は要望したいと思うんですが、この点については、閣内でも何か意見、もう少しいろいろ違う方もあるようですけれども、不況回復という一つの面から言えば、私たちは、いわゆる施策の中心になるもの、柱がある、その柱を積極的にやっぱり推進をすべきではないかと思うんですが、この点についてはどうでしょうか。
  171. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) きょうも企画庁の長官と話しましたが、企画庁の作業を急いでいただきまして、それができたところで、明確な、一つの来年度に対する予算編成方針をきめようということを、きょう、やはり閣僚間で話し合っているところでございまして、やはり来年度の経済見通しというものが、統一した見通しというものが確定しないというと、ほんとうの予算編成方針というものがやっぱりできませんので、これをもとにして、政府の統一した方針をきめたいと、いま考えております。
  172. 松永忠二

    ○松永忠二君 これは一般的な不況の問題ですけれども、きょう問題にしている中小企業、これの、一体、不況の状況、中小企業の先行きというようなものについては、大蔵大臣としては、どういう見通しを持って、どういう、特に、施策の努力が必要だということをお考えになっておられるのか。これは予算を出す、金を出すほうの立場から、大蔵大臣の考え方をひとつお聞かせをいただきたい。
  173. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 中小企業につきましては、九月二十三日に、政府でいろいろな金融対策をきめましたが、これは早目にきめたことがよかったためでありますか、わりあいに、不況でありながら、この中小企業の倒産件数とか、そういうようなものを見ますというと、いままでよりはむしろ数が非常に少なくなっているというようなことで、これは金融が緩慢になっておるという背景も原因していると思いますが、これらに対しては、政府は、年末金融の問題にしましても、貿易中心の問題にしましても、今度は用心して早く手を打ったつもりでおりますが、いまのところ、そういう状態になっておりますので、あとは、全般的な不況回復ということによって、やはり中小企業の好況をはかっていく。それに期待しながら、当面、中小企業がその間にしわ寄せによって、いろいろな問題が起こらないように、この点を特に気をつけて、こまかい施策をやっておれば、何とかなるんじゃないかというふうに思っております。問題は、やはり、全体としての経済復興の中で中小企業が振興される以外には方法はないんだろうと考えております。
  174. 松永忠二

    ○松永忠二君 いま、大臣がお話しになったようなことを中小企業庁の次長のほうからもだいぶ説明があった。ただ、あなたのように、積極的に政府が早目に手をつけたからだろうというようなお話ではありませんでしたが、しかし、同時に、資料を出していただくようにお願いしたんですが、都道府県も相当積極的にやっているわけですね。で、ずいぶん特別な機関を設けたり、あるいは年末金融を一カ月ぐらい早目にやったり、あるいは金利の補給をやったりして、いろいろ努力をしているわけです。これは中央、地方が協力をしてそういうことをやったということによって、そういう面が幾ぶんカバーできたという面があるのではないかということは、私もそう思います。  しかし、同時に、また、先ほど議論が出ているところであれば、たとえば、信用保証協会の補助金一億円、で、いま、信用保証協会というのは地方において仕事をやってきて、非常に基盤が脆弱になっているというときに、いま一億円ぐらいな金じゃしようがないじゃないか。まあ、知事あたりの話じゃ、少なくとも十億ぐらいの金を出してくれなきゃ困るじゃないかということを言っておられる。この問題は、予算委員会でも、実は、端的に出てきた問題でありますが、あなたがおっしゃったような意味で、こうした予算について、特に、信用保証制度というものがいま非常に有効に活用されている時期、しかも、ドルショックに伴う中小企業対策などでも相当努力をしてやってきている。この問題に特に力を入れて、こういうふうな指摘がなされないように、ひとつ、ぜひ、予算の面で今後努力をしていただきたい、こういう点を御要望しておきます。  次に、お話のありますように、来年は約一兆五千億程度の自然増収になるのではないか。その中で、一兆円がまあ自然増といいますか、当然増の予算で、新規に回す金というのは、新規事業に約五千億だろう。それで、結局、まあ一兆七千億か、二兆というような数字が出てきて、公債の問題がいろいろ話が出てきているわけです。こうなってくると、きょう私たちが議論をしている税の特別措置等の問題について、やはり、この際、取れるものは取る、そうして整理をするものは整理をするし、また、いろいろ先ほどからいわゆる主税局長が話をされているように、各方面から言われる税の特別措置の新設の要望も出ている。そういうことについては、よほどしっかりした考え方をもって処置をしていかなければいけないのではないかということを私たちは痛感するわけです。  事実、昭和三十九年に、税の特別措置あり方について、いろいろ長期答申が出た。あるいは今回昭和四十六年の長期答申なんかにも、税の特別措置に触れている。こういう触れている中を読んでみると、もうこの辺でいいのじゃないか、整理をすべきじゃないかというものもある。特にまあ非常ににこまかく措置をいろいろ勧告されている中には、いわゆる完全免税の措置は負担の公平を害するものがあるので、そういうことには慎重にあるべきだと認めた、あるいは客観的に確認されるような場合に限るという、いわゆる実績主義を貫くことが大切であって、将来の偶発的な損失や、不確実な支出に備える単純な利益の留保のようなものは、減免と同様の性格を持つと考えられ、適当ではないと考えられるということも言われているわけですね。  たとえば先ほどから議論の集中されている為替の変動準備金の新設のような問題、あるいはまた金融機関における貸し倒れ引き当て金の制度の手直しの問題等は、まあ二つの具体的な問題をあげたんですが、一つは新設の問題 一つは手直しの問題で相当やはりこれは問題になることがある。よほどきちっとした考え方で対処していかないと、不景気だから不況だからというような言い方の中で、この税の特別措置というものが乱用をされ、非難をされてくるということが非常にあるのじゃないかということをわれわれは考える。そういう意味でこの、こうした税の特別措置を含めて税収の非常にに少ないとき、このことについてはどうしてもやり抜いていかなきゃならない、このことについては幾ら要望があったとしても、こういう問題については慎重であるべきだと思う。という、こういうことは私は、税制調査会の答申が出ない前だって、税制調査会におはかりをいたしますという言い方じゃなくて、早目に相当言っておかなければ、こういう問題は私たちはきちっと処理することはできないと思う。そういう意味で、この税の特別措置を含めて税制について解決をしなきゃできぬと、明年目ざして解決をしなきゃできぬ。しかし、なかなか容易なことではないけれども、各層の協力を得てやっていきたいというような問題があるならば、ひとつこの点を本日の議論に関連をしてお考え方をお聞かせいただきたい。
  175. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) いまおっしゃられたような方向で、特別措置検討もいたしておりまして、相当手直しによっていろいろ改廃すべき税制がたくさんございますが、まあ、あまり増収にはつながらない問題があると思いますが、筋として、この際見直しをやりたいと思っておりまして、結論が出てきたものから、順次税制調査会の意見も聞いて、来年度の税制改正案として、この国会に御提出したいというふうに考えております。
  176. 松永忠二

    ○松永忠二君 それはお話はわかりましたが、いま頭の中にあるものはないのですか。あったらひとつお聞かせをいただいて、そうして、時間も短かいことですから、私は質問を終わります。
  177. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) いろいろ御批判を受けております輸出振興税制を初めとしまして、毎年五、六回税制調査会から答申を受けておって、ついにできない問題もたくさんございますが、そういう問題も含めて数項目はいま検討している最中でございます。
  178. 多田省吾

    ○多田省吾君 大臣に二、三質問をいたします。  租税特別措置法の一部改正でございますので、いま松永委員からも御質問もございましたが、先ほどの質疑の中にも、現在租税特別措置法は、項目にして百四十から項目があると昭和四十三年から毎年減税額はふえないようにしているのだと、こういうわけでございますが、昭和四十六年度の減税試算も四千三百九十四億円、交際費課税の特例を除きますと、五千五百九十億円というような減税試算のようであります。そうして昭和四十七年度のことを主税局長にお尋ねいたしましたところ、どうも少額貯蓄の利子等の非課税も百五十万円まで非課税ということで、なかなか減税額を減らすことはむずかしい、こういうことでございます。いま御答弁がありましたように、若干輸出の振興等に関して、輸出割り増し償却なんか整理したいと思っておりますけれども、また一面為替変動準備金なんかの制度は、今度はつくりたいということで、なかなかこれは租税特別措置   〔委員長退席理事柴田栄君着席〕 は、昭和四十七年度においても減少しないような傾向があるわけでございます。たとえば二、三いま松永委員がおっしゃったほかにも、たとえばこの委員会においても、いつも言われておりますけれども、交際費課税の強化につきましても、これはだんだん、四十七年度大体はっきりした考え方がきまりそうになりますと、後退していくような傾向があるわけでございます。また利子や配当の分離課税におきましても、これは相当なまだやはり不合理があります。こういった問題で、もっともっと租税特別措置法において、整理合理化はしなくちゃならない面があるのではないかと、こう思いますけれども、ひとつもう一回大臣の御決意、お考えをお聞きしたいと思います。
  179. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) いま言われたようなものの中で、一部は今年度実施したばかりのものもございますので、その結果を見て、これからこの改正をやればいいと思いますが、まだ実施したばかりで、その実績というようなものもはっきりつかめないというような問題もございますので、   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 特別措置につきましては、最近実施したばかりのもの、またいままで実施しようとしてなかなか結論を得ないで、実施できなかったものとか、それから新たに必要に応じてやらなければならぬという政策的な税の措置もいま出てきておりますので、したがって、それと見合ったすでに政策効果を果たしたものは、できるだけこれをやめる、こういうようなことで、全般のやはり見直しをする必要があると思いますので、できるだけ多く改廃というものはやりたいという考えで、いま検討中でございます。
  180. 多田省吾

    ○多田省吾君 この前大蔵大臣のローマ会議における報告を聞き、またいろいろこまかい話も聞きましたけれども、年内に平価調整をやる見通しは七分三分である。大蔵大臣も今度ワシントンにいらっしゃるわけですが、年内解決と申しましても、単にわれわれとしては国益を害することなく、なるべく円の切り上げ幅は少なくしてもらいたいという強い要望が国民、また産業界からあるわけでございますけれども、その点しっかりお願いしたいと思いますとともに、その円切り上げの時点におきまして、やはり中小企業、特に輸出関連中小企業あるいは零細企業において相当なまた新たなショックがあると思いますが、それに対する対策を新たに考えられようとしておるのかどうか、これをひとつ簡明にお答え願いたい。
  181. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 実は通産省のほうではこの円の切り上げの影響というようなもので、一%ごとに日本産業にはどう響くかというような試算もいまやっていただいているところでございます。したがって、円の切り上げが相当大きい切り上げをやってもあまりこたえない企業と、ちょっとやられてもこたえる企業というような、実にこれは千差万別でございますので、したがって、その全体を見て日本経済にショックを与えない程度の切り上げ幅は大体どのくらいであるかというようなことも、産業当局と一緒になっていろいろ研究しているということでございますので、これがどういうところへ決着いたしますか、結局一人できめられないことで、多国間の調整による問題でございますので、その最後の解決いかんによっては、やはりその影響度を、各産業別の影響度に応じたいろいろなこまかい対策もこれからしなければならぬじゃないかというふうに考えております。
  182. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、公益法人の洗い直しについて一言だけお聞きしておきたいと思います。  来年の財政がたいへんむずかしいということはこれは常識だろうと思います。ところが、公共の利益に奉仕、活動するという大義名分で、各省庁から許可される公益法人は非常に数が多い。その実体等は、決算委員会等の指摘にありましたとおり、公益というのは名前ばかりで、営利会社顔負けの金もうけをしたり、高級公務員の天下り先になっておる公益法人が多く問題になっております。その上、税制上の恩典もありまして、設立の申請も絶えない。大蔵省は昭和四十五年度で国庫補助金六十五億円、委託費四十一億円、合計百六億円の支出をしておりますけれども、一度許可されますと、年一度のおざなりの決算報告、それから次年度事業計画を出しておけばよい。よほど悪質でない限り所管官庁からまず指摘はされない。そこで、この甘い監督のすきをついて、営利会社そこのけの事業に精を出して私腹を肥やしたり、あるいは当初の目的を果たしたのに、なお法人を存続させて活動していないところの冬眠法人なんかも非常に数が多い。この不況の中で財政難の中で、大蔵大臣としてこれからこのような質の悪い法人、あるいは冬眠法人に対する国庫補助、これを徹底的に洗い直すお考えがないかどうか、これを最後に御質問して終わりたいと思います。
  183. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、この問題は各省にある問題でございまして、これをいま行政管理庁の手で各省から全部説明を聞いて、事実上活動していない法人というものもございますし、そういうものは廃止するという指導をいま行政管理庁を中心にやっておりますので、その結論によって、私どもはそれに対して、予算の編成もそれによってしたいというふうに考えております。
  184. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  187. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  188. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 私は、ただいま可決されました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の以上四派共同による附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。   租税特別措置法の一部を改正する法律案に対   する附帯決議(案)  一、政府は、激変する経済環境に対処するた   め、輸出関運の中小企業に対する税制上の諸   措置について慎重な検討を加える等指導援助   体制の整備合理化に努めるべきである。  二、政府は、本法の対象となる中小企業者の認   定にあたっては、その効果的かつ弾力的な運   用を行なうとともに、中間申告の活用、納税   の猶予還付事務の促進等税務執行上の諸措   置について、遺憾なきを期すべきである。   右決議する。  以上でございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  189. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ただいまの嶋崎君提出の附帯決議案を議題といたします。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  190. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 全会一致と認めます。よって、嶋崎君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対して、水田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。水田大蔵大臣。
  191. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、今後とも御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。
  192. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  194. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっと資料要求で。先ほど中小企業庁次長の答弁で内容はわかったのですが、その回答で、省令もしくは政令ということになれば、当然官報に掲載になるわけですね、だからいいと思ったのですけれども、これは重要な問題ですから、第三条認定問題については資料として提出していただきたい、この点をお願いしておきます。
  195. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 資料はいいですね。  次回の委員会は、十二月十四日午前十時から開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会      —————・—————