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1971-11-11 第67回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十一月十一日(木曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————    委員異動  十一月六日     辞任         補欠選任      松井  誠君     秋山 長造君  十一月十日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     津島 文治君      秋山 長造君     小谷  守君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         前田佳都男君     理 事                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 成瀬 幡治君                 多田 省吾君                 栗林 卓司君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 大竹平八郎君                 河本嘉久蔵君                 棚辺 四郎君                 津島 文治君                 西田 信一君                 桧垣徳太郎君                 藤田 正明君                 小谷  守君                 竹田 四郎君                 戸田 菊雄君                 吉田忠三郎君                 渡辺  武君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君    政府委員        大蔵政務次官   船田  譲君        大蔵大臣官房長  竹内 道雄君        大蔵省主計局次        長        平井 廸郎君        大蔵省主計局次        長        吉瀬 維哉君        大蔵省主計局次        長        大倉 眞隆君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省理財局長  橋口  收君        大蔵省銀行局長  近藤 道生君        大蔵省国際金融        局長       稲村 光一君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査  (当面の財政及び金融等に関する件)     —————————————
  2. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  十一月六日、松井誠君が委員辞任され、その補欠として秋山長造君が選任されました。  また、昨十日、田中茂穂君及び秋山長造君が委員辞任され、その補欠として津島文治君及び小谷守君が選任されました。     —————————————
  3. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) それでは、租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  前回の大蔵大臣の所信並びに当面の財政及び金融等に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まず第一に、コナリー財務長官が来日されまして、きのうは大臣自身が二回会談をして、当面の諸問題について日米間の経済関係調整に入った、こういうことでありますが、その会談の具体的な内容等について説明していただきたい。
  5. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) すでにコナリー長官が来日される前に、いろいろお話はございましたが、このたびは南ベトナム大統領就任式に出席した途次、アジアの各国をたずね、日本にも立ち寄って——一度も日本をたずねたことがないので、この機会日本のいろいろな実情も知り、いろいろの日本の御意見も伺いたいと思うが、いわゆる今回の訪日を交渉の場にするということは一切考えない。したがって、要求とか解決とかというような、問題の協議というものは一切自分のほうはしないつもりだということをあらかじめ申してありましたので、私どももそのつもりになっておりましたのですが、きのうの会談におきまして、劈頭このことを確認しまして、一切自分は、自分のかばんの中にそういう具体的な問題を今回は入れてこないからというので、いろいろこれからの問題、外交、政治、経済、いろんな問題について日本のできるだけ多くの人に会って、そういう意見を聞いて帰りたいということでございましたので、私ども管轄の問題としては、必然的にいろいろ日本経済現状、来年度の見通しというようなものについて、これを中心に質問がございましたので、私どもとしてはいろんな角度からの説明をいたしました。  まあ、私は申しましたのですが、基軸通貨国というものは、いままであまり苦労がなくて、むしろうらやましいと思っている。ということは、通貨安定について自分の国は国際収支そのほかについて、ほんとう国内政策というものをやって苦労していない、だからその間の事情がわからないところがあるかもしれぬが、ほかの国はそうではないんだ、国際収支を常に改善し、調節するというためには、国内政策で非常な苦労をしているんだということで、日本のこれまでの国際収支の調節についてのいろいろ苦労の話をしましたが、こういう点について、やはり基軸通貨国としてはいままで相当理解の足りなかったところがあったんじゃないかと思う。むしろそういう点に非常に興味を持って、日本不況輸入を減らし、輸出を伸ばしているという、この特別な現象というようなものについて、特に私どもはいろいろな説明をいたしましたが、ドイツにおいても不況ということが言われているが、完全雇用状態にあって、しかも外国からの労働者が多数、国に入っておって、そうして経済一定成長を確保しているという国の不況というものが、自分はぴんとこない。同様に日本の現在の不況というようなものについてもいろいろ疑問があるので、特にそういう点を知りたいんだというようなことがございましたので、日本現状というものは、いわゆる不況状態であるというようなことを私ども説明するのに、これは相当な時間をとりました。  それから、やはり各国ともこういう世界の主要国不況状態になっているという現状から見たら、ここで国際通貨の不安をこのままにしておくことは問題である。どうしてもこれを無期限に、来年までこの平価調整の問題を延期するということは、国際経済にとっては非常に大きい障害となるであろうと自分たちは思われるので、できたら年末にもこの問題の解決をはかりたいということを中心に、米国いろいろ意見をただしました。  これはもう御承知と思いますが、欧州諸国意見も大体統一されてきまして、これが早期妥結を望めるか望めないかということは、いまでは米国態度が従来の会議におけるような態度であるのか、柔軟性を示す態度で今度の会談に臨まれるのか、これが一つのかぎとなると思いますので、そういう点についての打診をいたしましたが、これはコナリー長官旅行中でもあるし、またその後の欧州の具体的な動きというものを十分に自分は知っていないので、日本事情も聞くし、これから本国へ帰って欧州事情も十分聞いた上で、これからほんとう態度はきめるんだというようなことで、この問題についての米国のこれからの態度ということははっきりと示しませんでしたが、しかし、お互い努力によって、できるだけ早期解決すべきであるというようなことについては、大体私ども意見が一致したつもりでおりますが、しかし、通貨の問題は、日米の問題だけではございませんし、やはり欧州諸国が一応まとまる方向へいくかいかぬかということも、大きいこれは要素でございますので、そういう点の動きをもう少し見届けないと、通貨問題の見通しというものは、依然としてまだ見通しがつきにくいという状態には変わりないと思いますが、しかし、いろいろな情勢がもうそれぞれ解決へ向かって努力をしておるということは事実でございますので、日本としても必要な協力はしますが、できるだけ早くこの解決ができることをまあ望んでおる次第でございます。  そういう事情があるとき、二十二、二十三日に一応十カ国蔵相会議が開かれるという、開きたいという予定だが、都合はどうかという問い合わせが早くから参っておりましたので、一応これは都合はよろしいという返事を私どもはしておりましたが、長官自身がこの会議の議長でもございますし、そういうことに対する準備不足という点もあるとみえまして、この点についてはいまのところそれでいきたいと思っているが、しかしこれは、これから相談をするつもりであるということをきのう申しておりました。きのうの段階でははっきりきまっておりませんでしたが、けさ段階におきまして、月末にずらすか、あるいは十二月になるか、いま少しずらしたいということを考えておるということだけ言ってまいりましたが、まだこの日はきまっていない。しかし二十二日、二十三日は、これは延期になりそうだということは、けさ段階でややはきっりしてきたということでございます。  そのほかは、いろいろの問題をお話ししましたが、大体大筋は以上述べたようなことでございまして、具体的な協議ということはきのういたしておりません。
  6. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ、おおよその会談情勢やりとりについては、いま大臣が言ったとおりだ。しかしその程度のことはもうすでに新聞に出ているんですね。たとえば、十カ国蔵相会議は二十二、三日はやや無理であろうというようなことは、大体いま大臣が言われたようなことは、これは新聞に報道になった。これは日経でありますけれども全部出ている。もっと私は具体的な、いまコナリー財務長官アメリカを代表して来日をされた。確かにそれは南ベトナムチュー大統領就任式に出席して帰りかもしれません。しかし、いま日米間の経済関係調整というものは、数多くあるのですね。ことにその中で指摘されているのは、一つは、やはり日本円切り上げ問題が当然これは最大の焦点としていま話題になっておるわけです。また早期にそういう問題に対して一定見通しを立てて、そうして解決をしなければならない、これは早期にですね。日本のいまの国内の各般の影響を考えてもそうだと思う。  もう一つは、やはり指摘されているように、ドルの切り下げを要求したというんですが、こういう問題について一体どうなっているのか。  もう一つは、輸入課徴金を撤廃しなさいという要求をしたというんですが、これは当然こういった三つの問題というのは、当面の経済諸問題の中心なんですから、そういう問題については、大臣はきのう二回、とにかく九時半から十時半までですか、それから昼食会を含んでやっておるわけですね。そういう中で、ずばりもう——いままでの情勢やりとりは、私は、閣僚会議その他で、日米のそういうところでやられているわけですから、もう焦点に入って話をされたのだと思うのですね。そういう点をもう少し具体的に、新聞の領域を出て、国会ですから、国民に発表していただきたいと思う、具体的な内容を。もう少しひとつ続けてください。
  7. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) その点が、勢頭もうコナリー長官が断わっているように、まあ日本新聞コナリー旋風と書いておりますし、すでに日本相当要求を持って乗り込むというような印象を与えておるせいでございますか、その種類のことは一切ないんだと、そういう意味で日本へ立ち寄ったのだから、今度は聞き手であって、いろんなことを聞いて日本実情を十分知って帰りたいという、もう壁頭の話でございまして、したがって、交渉的な話には入りませんでしたが、私のほうとしましては、こういう機会にやはりアメリカの意向、考えをはっきり聞くことは最も必要なことでございますので、まず早期妥結ということで意見が一致するなら、まずこの場合はアメリカ側態度が一番重要であるということから、いまおっしゃられたような問題は、これは全部一応こちらからは当然質問することでございまして話しましたが、それがさっき申しましたように、まだ旅行先であるし、これから本国へ行って会議に臨むために——アメリカもやはりこの点については相当重大な相談によって最後に態度をきめるべき問題だと思いますので、現在まだそれをはっきりきめてないんだと言う以上、これはそれ以上私どもが聞き出すということはできませんでした。ただ、はっきりいたしましたことは、課徴金という問題については、相当弾力的な考えを持っているということと、将来金とドルを交換するということに復帰するという考えアメリカ側が持っていない。非常にこれはアメリカにとってむずかしいことで、そういう方向考えていないということだけは、大体いろいろ意見の交換の間にわかったことでございますが、今度のGテンにこれをまとめるために、どういう柔軟な態度をもって臨むか、いままでの態度をどういうふうに変更して臨むかというところまでは、今回は向こうではっきりとしたことを言いませんでした。
  8. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大臣答弁を聞いていますと、非常に日本は受動的ですね。新聞にもあるように、「「通貨」米、強硬姿勢変えず」、何かアメリカの脅迫的な行為ですね。どんどん押し込められているような印象を受けるんですが、やはりこの問題について、私は、この前も大臣に質問したのですけれども政府としての当面のドル・ショックに対する対応措置をどうするか、こういう問題についてきちっとした見通しと、今後の態度交渉姿勢ですね、そういうものを持ってしかるべきだと思うのですけれども、そういう点はどう考えておりますか。
  9. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) もういまあらためて言うまでもなく、今日までいろんな場を通じて日本主張というものは十分しておりますし、向こうもそれを知っている。したがって、日本に対する考えも、向こうはここで固めなければならないでしょうし、そのためには、やはり日本のいろいろな人の意見も聞くし、実情を見てそれを参考にしたいという気持ちだったと思いますが、きょうは引き続いて関係閣僚一人一人に会っておりますし、また日本の他のいろんな代表と思われる人たちにも、きょうは会うということをやっておりますので、もう日本主張というものは十分アメリカ側に通じているはずでございます。
  10. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 きのうからの新聞によりますと、コナリー財務長官を迎えて会談するにあたって、日本の対交渉姿勢というものを三点きめておりますね、経済閣僚会議で。そのことに対して具体的な折衝に入ったわけですね。たとえば、円切り上げの問題一つとらえてみても、水田大蔵大臣コナリー長官会談をされて、根回しができたところで、最終的に円切り上げ幅というものは首相が判断する。最終的にコナリー長官と会うんじゃないかということまで新聞に出ている。こういうところまで具体的に問題は煮詰められていっているのじゃないですか。
  11. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まだそこまでの段階に至っていないというのが、いまの国際交渉実情だろうと思います。したがって、特に今回の場は、向こう要望というような形で出さないで、日本からも要望という形でいったら、これは協議の形式をとってしまうことになりますので、そういうことには触れないという約束での会談でございますので、したがって、いまおっしゃられるようなことを、強く日本主張するということではなくて、全体としてこれをまとめるためには、アメリカはこういう考えを知ればいいじゃないかというような、まとめ方についての日本意見というようなものを中心に私どもはきのうもっぱら述べたという段階でございます。じゃあ日米間でこの問題をどうするかというのは、これはこれからの話でございまして、きのうの段階の話ではないということを、区切りをつけて会談しておったものですから、この問題には入りません。
  12. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 きのうの経済閣僚会議できめられた日本の路線というものは、内容はどういうのですか、具体的に内容答えてください。
  13. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) きのう閣議あと関係閣僚が何人かお会いしました。そのときのお話は、それぞれ向こう一定交渉題目を持ってこられるというなら、みんな関係閣僚のいろんな態度について相談が必要なんだが、今回はそういうことがないのだから、それぞれ別々にお会いして、自分管轄範囲内におけるいろんな実情説明、あるいはそれについてこちらが質問すべき、ただしたい問題はただすというようなことで、それぞれが懇談をやろうと、そうして円問題というようなことについても、各閣僚がばらばらにそういう問題には、もし出ても触れない。おそらく出ないと思うが、この問題は窓口を大蔵大臣に統一しようというような話し合いをしたということだけでございます。
  14. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私が聞いている範囲内では、きのうの閣議では三つですね。  一つは、当面の日米両国経済現状認識をし合おうじゃないか、これが一つ。  もう一つは、できれば円切り上げのおおよそのめど、最終的にコナリー長官佐藤首相が会見できるようなその下打ち合わせを、根回しをしようじゃないか。この円の切り上げ問題について、具体的に新聞には大体一〇%ないし一五%あたりまで切り上げるべきことをちょっとにおわせている。そこまで煮詰められて検討されたことは事実じゃないか。円切り上げ問題についていずれにしてもどうするか。  もう一つは、日本政府としては、この経済項目政策その他を含めて、そういうものについて具体的に実行方式というものをこれから推進をする。  こういう三点をおおむね経済閣僚会議でもって了承し合って、そしてそれぞれの各大臣というものがコナリー折衝をする、こういう状態でいっているのじゃないでしょうか。違いますか、認識は。
  15. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いわゆる日本の八項目というものは、これはもう日本独自できめている政策でございますので、まあそういう問題が出た場合には、これは引き続き日本側としては、最初の予定どおり遂行するのだということがこちらの方針だということをお互いに確認し合ったということはございますが、いま言った円のレート問題をどうこうというようなのは、そういうことは相談しなかったと言っても、いま皆さんの想像が、集まればそういうことを当然にするだろうという、もう推測でいろいろ報道されるのは、これはやむを得ないと、こう思っておりますが、事実はそうではございません。
  16. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ時間が過ぎますから、いずれドル問題については、時期を見て十分時間をかけて質問してまいりたいと思います。  きょうは、大綱四点について大臣に質問する予定をしてまいったのですが、時間がちょっと過ぎましたから若干省いてまいりますが。  その第一点は、経済一般について質問したいと思うんですが、四十六年度の経済成長率一〇・一%、今回の補正改定で五・五%、いわゆる半分になったのですね。四十七年度の経済成長見通しというのは、大蔵大臣自身としてはどう見ているのですか。
  17. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 経済企画庁との打ち合わせでは、できるだけ十二月ごろまでに、来年度の経済見通しを立てたいということで、経済企画庁がいま作業をしておりますが、むずかしい問題は、この通貨問題がやはりどうなるかというようなことと、日本の来年度の経済不況度というようなものは大きく関係がございますので、この問題の見通しとからむものでございますので、この点について私どももいまはっきりした来年度の見通しは持てないところでございます。しかし、いずれにしましても、来年度のデフレギャップ相当大きくなるということだけは現在見通せますので、そのデフレギャップを埋めるだけの財政政策というものがとれるかとれないかということは、来年度予算編成上の大きい問題で、たとえば、公債の発行ということによっても限度はございますし、限度内のいろんな活用政策をとって、そのほかのあらゆる有効と思われる政策を全部総合的に動員して、このデフレギャップを埋めて不況を食いとめ、回復の方向へ持っていくことができるかどうかということが、いま予算編成上の一番大きい問題でございます。  希望としては、八%ぐらいの成長率に持っていけるというようなことだったら、非常にこれはありがたいと思っておりますが、いまのところ政府総力をあげてやっても、なかなかそこまでの成長達成というのはむずかしいのじゃなかろうかと思っております。現にことしの予想が五・五%といっておりましても、今度の補正予算の効果がどういうふうに出てくるか、注目しておりますが、なかなかそこまで今年度はいかないんじゃないかということをいまわれわれ心配しておりますので、それの延長ということになりますと、ほっておくとたいへんですが、来年思い切ったいろいろな措置はとりますので、とった結果どの程度まで経済成長を持っていけるかというのは、やはり最終的にはこの通貨問題の決着というようなことを早くしないというと、これがはっきりしないことになりますので、そういう点からも私はできるだけ国際間の協調を急ぎたいと思っておるところでございます。
  18. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ大体七、八%に持っていきたいという大臣のお考えのようですが、しかし大臣は、大臣就任時に、私は、何回かやった大蔵大臣時代積極財政を展開できなかった。今回は積極財政を展開する。こういうことを繰り返して言っておられるわけですね。ですから、いま大臣がおっしゃった七、八%ということでは、大臣考えている積極財政とほど遠いものじゃないかと考えるのですが、その辺の心境はどうですか。
  19. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 従来の日本成長率平均一〇%以上になっておりますので、七、八%ということになりますというと、相当不況感というものがまだ残るだろうと思いますが、しかし、いまの経済現状から見ますというと、そこまで持っていくというためには、相当積極政策が必要だ。財政主導型とか言われておりますが、財政総力をあげて、いろいろの政策をやってみても、それだけの積極政策をとっても、そこまで成長率を持っていくということは、私は、なかなか容易なことではないというふうに思っております。
  20. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 実際の見通しとしてはそういう心境にならざるを得ないかと思いますが、大蔵大臣積極財政論者として、目ざす年間経済成長は一体どの程度のことが望ましいか。その辺のところはどうですか。
  21. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま、その問題は、財政政策転換として、国民生活質的向上というものに、いままでの成長国際収支のゆとりを結びつけるのだという転換政策をとっております以上は、設備投資を刺激して、高度成長政策をとった従来の政策転換ということでございますので、したがって、設備投資をそう刺激しないで、国民生活に結びついた環境の整備というためのいろいろな公共事業を興すというようなことをやる場合に、当然この経済成長率というものは下がってまいりますので、それがどの程度に下がることがバランスがとれることであるかということについて、経済企画庁がここで全体の見直し作業をするということになっていまやっておりますので、それによってこの形が大体適当だろうというようなものが近く出てくると思いますので、やはり政府としては、それらの見解によった来年度からの財政政策を立てたいというふうに考えております。
  22. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これで私は三十分ですから終わりますけれどもあと明年度予算関係する問題、税制問題、財政主導型等の問題については、あしたまた取り上げますから、この次に質問します。  いまの成長率のことですが、これいま大臣答弁があったのですけれども、新経済社会発展計画の目標、四十五年から五十年まで六カ年平均が一〇・一%という見通しを立てているわけですね。ですから、この経済社会発展計画にのっとった積極財政ということで今後も臨んでいくのか。  それから、大臣は、七、八%まで成長率を高めていくのは容易なことではない、しかし、その辺に当面の目標を置きたい、こういうふうなことを言われているのですが、その七、八%を積極財政でそこまで高めていく、いわば新経済社会発展計画と同率まで高めていく、こういう方向で今後進められていくのか。その辺の見解をもう少し具体的にお聞かせいただきたいと思うのです。  それからもう一つは、四十七年度の経済成長、これが七ないし八%、それで予算の規模は、本来質問すればいいのですけれども、およそ私の予想としては十一兆台、公債が一兆五千億ないし七千億、こういうことになっているんじゃないかと思うんですが、これらの成長率は、そういう施策を含めた上での七、八%ということを考えておるのかどうか、これはどうですか。これで私終わります。
  23. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は、もう今後一〇%以上の成長率を確保するという目標は、当然手直しをしなければならないと思っています。これは、ここまで大きくなった経済が、さらに一〇%以上毎年成長していくというためには、やはり依然として設備投資の力をかりなければいけない、それがいいか悪いかということでございまして、そうでなくて、生産力には直接はね返ってこないいろいろ公害対策であるとか、下水事業であるとか、国民の生活に結びついた方面への投資を強化するということにしますというと、当然成長率というものは設備投資に期待するときよりも下がってくるのがあたりまえでございますので、そういう点でこの訂正は必要だというふうに考えておりますので、いまは経済企画庁もそういう方向作業をしておることと思っております。
  24. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 先ほど戸田さんの発言に関連して若干お聞きしたいと思いますが、新聞報道によりますと、コナリー長官は十三日か十四日あたりに帰るんではないかという話でございますが、昨日会談をして、大蔵大臣は、コナリー日本を離れるまでにまだ今後会見の予定があるのかないのか、この点が第一点であります。  それから、きのうの会談の中でEC関係の話、特にフランス関係の話も出たと思いますけれども、まあ非常にきのうの会談——通貨の安定を早くしてほしいという要望というのは各方面からかなり出てるわけです。きのうの会談を通じまして、どうも大蔵大臣の、先ほども自主的な立場というものがかなり欠けてるというお話があったわけですが、まあいつまでもこういう状態というのは困るわけです。あなたの感触として、大体どのくらいがめどになり得るか、これはたいへんむずかしい問題だと思うんですが、あなたの感触でよろしゅうございますから、その二点をひとつお聞きしておきたいと思います。
  25. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) アメリカの見た各国事情、したがって、通貨調整のむずかしいということについては相当いろんな話がございました。で、日本にも情報があったら、そういう各国の情報について聞きたいということで、私どもの得てる情報も提供いたしましたが、米国側で見た情報もいろいろ話されましたが、要するにこれは他国の話をしたことであって、このことだけは、どんなことがあってもこれはもうここだけの話ということで、これは当然でございますので、そういうお約束を両方でしましたから、この他国についての話はここで申し上げることはできませんが、相当いろんなそういう話にまで触れなければ、これから通貨調整をやる場合に、アメリカにもこういう点を考えてくれなければ困る、ああいう点を考えてくれなければ困るというような私ども考えも述べられませんので、そういう点でそういうお話はしました。  そこで、日本の問題でございますが、これは最初からそういう話でございましたので、日本日本でいろいろそういう問題について考えておることがあっても、まだ、日本大蔵大臣日本のどこの中——政府の中でもどこへ行っても、自分の腹を一ぺんも言ったことはないんで、あなたにもその話はきょうは全然言いませんと言って笑ったんですが、それはもう聞かないと、自分のほうも言わないというので、その話だけは今度は特に避けて、そうじゃなくて、全般的の意見交換で、まとめるとすればどういう点が一番必要なことかとういような問題について、特にわれわれの意見を聞きたいということで、その意見を私どもは述べたということで、二国間のその問題についての話だけはきのう避けたということでございます。したがって、いつかは、そういう話もしなければ話が進まないと私は思いますが、それはこのG次テンが開かれて、いよいよ一回開かれただけで、その日にきまるということはございませんで、話し合って、これからそれじゃあお互いに協力して、この年末までに具体案をこしらえようというような話になってからが、ほんとう各国間のそういう話に入る時期である。それまでの間は、なかなかこういう交渉というものはむずかしいと私も思っておりますので、時期は、二国間のいろいろな話、三国間の話というような、各国別とのいろいろな事前の話し合いなりというものは、もっとこの先、このG次テンが開かれたあと段階ということになるのじゃないかというふうに私自身はプログラムとしては考えています。
  26. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 コナリーに会うかどうか。
  27. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今晩、これは私が歓迎の個人的な会を開くことになっておりますが、これは宴会でございますので、当然こういうむずかしい協議をする場として予定はしておりませんが、必要な話があれば、またそういうときにいろいろ話は出るかもしれませんが、いまのところは特別に別個に会談する予定というものを持っていない。
  28. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これにかかっていると長くなりますからほかに移りたいと思いますが、この間の大臣の所信表明をお聞きをいたしまして、私非常に痛感したことは、まあ時期が時期だということもあるでしょうし、補正予算関係もあろうかと思いますが、今度の所信表明では、この前、三カ月前といいますか、四カ月——七月に述べられた大臣の所信とはかなり違っているわけであります。この前の所信表明の中で述べられていることの中では、物価の上昇とか、公害とか、過密過疎、こうしたひずみ現象を直していかなくちゃならない。そういう意味で、いまは一大転換の時期である。こういう現状認識をいたしまして、そうしたものの改善に全力をあげて、真に人間性の豊かな福祉社会の建設に向かって前進をする転機だ。こういうふうに非常に強く述べられた。もちろん国際経済の問題についても述べられているわけでありますが、今度の所信では、そういうことは一言隻句も触れられていないわけです。  しかし一方においては、物価の高騰はかなり激しいものがあるわけであります。これは九月の物価にいたしましてもたいへんな値上がりで、二十何年来の物価の高騰だと——消費者物価ですが、言われております。さらに公害においてもこれは同じであります。公害病患者が次から次へと命を失っていっていることも事実であります。さらに過密過疎の問題にいたしましても、何ら改善されているという方向というのは一向に出ていない。こういう時期にですね、確かに景気の浮揚をはかるということは大きな問題ではありますけれども、しかし、景気の浮揚ということだけに重点が注がれて、その他のことが忘れられていくということになりますれば、悪循環を重ねるだけだと、こう思います。  そういう意味で、今度の所信表明にそういうことについてほとんど触れられていない、全然触れられていない。これではどうも、七月に大臣が大みえを切った点とかなり逆な方向に流れていってしまう可能性が非常に強いように思うのです。で、ここで重ねてそうした点で、七月に述べられました特に物価、公害、過密過疎あるいはその他の交通難の問題もあるでしょうし、住宅や下水の問題もあるでしょうけれども、そうした問題について一体どうなのか。どうも私の受けた感じでは、逆行しているんではなかろうかという感じを受けますけれども、この際あらためて大臣のそうした面についての御見解を承っておきたいと思います。
  29. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 一番最初の、財政についての所信表明のときの考えは、もちろん今度の補正予算においても、これはその方向に沿ってすべきであり、来年度の予算編成においてこれを実現するということでいかなければならないことは十分承知しておりますが、今回の場合は、あとから、いわゆる八月十五日のああいう政策によって、日本経済に対する不況要因が加わったことに対する応急と申しますか、臨時的な不況対策という必要からの補正でございますので、したがって、その目的の一番有効なものは何かということを中心にやったために、いま御質問のような形のものが若干出ざるを得なかったというふうに考えております。  しかし、下水あるいは住宅というような問題については、今回の補正予算でも相当力を入れておりますし、住宅は、特に財政投融資のほうで相当の金額を見て、民間に住宅建設の促進をしてもらうというような方針をとっておりますし、それからまあ国民の生活向上云々ということになりますというと、社会保障費の部面において考えられることも当然ございますが、しかし、今回のような臨時的な目標を置いた予算の補正というときに、他の政策全般との均衡を特に必要とするような、長期的に見なければなかなかむずかしい社会保障制度というようなものを、臨時的な対応策として一つ二つを抜き出すということは非常にむずかしい。たとえば、生活保護費を一つ変えるということにいたしましても、失対事業の賃金と関係するし、あらゆるものに、いままで均衡をとってきたものに関係いたしますので、そういう点で、そういう点は次の予算編成にやはり譲ることが一番いいだろうということで、当面景気浮揚策になるものをいろいろ検討してきめたのが、今度の予算でございますが、同じ公共事業費でも、ただ金額をふやせばいいということではなくて、むずかしい問題はもうずいぶん——これ以上いまの機構では三月までに事業の強化が間に合わないといって、予算増額を遠慮したいという部署もずいぶんございまして、これは当然だと思います。  たとえば、いまから設計をやったんでは、三月までの事業として間に合わないというようなところも出てまいりますし、いろんなことがありますので、そういう実情を全部見て、もう軌道に乗って、これを伸ばすのだったら、三月までに間に合うというようなものに効率的な配分をしようということでやったんでございますから、したがって、やりたいいろんなことでも、今回の補正予算としては妥当でないというので、省いたものも非常に多いというのが実情でございます。
  30. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 おっしゃっていることは非常によくわかるんです。国民は、ドル・ショックの上で仕事が少なくなって、収入が少なくなって、物価は上がっている。こういうときに、本会議での所信表明でも同じでありましたが、そういうものに触れる面が非常に少ない。国民としては非常にことしの暮れは冷たい風が吹きまくる、こういうふうに私は感ぜざるを得ない。そういう点では、そういう補正予算に関連しての趣旨はよくわかります。しかし、そういうものに対しての国民に希望を与えていないということについては、私は、この所信表明は、国民にとっては非常に冷たい所信表明であったというふうな評価をするわけでありますが、まあ、その論議をやっておりますとまた時間が長くなりますから、次に進みたいと思います。  先ほど戸田委員に対する御答弁で、はたして補正予算が、当初補正を組んだ当時の景気浮揚というようなことが、できるかどうか疑問であるというふうに、あまり確信のある補正予算ではないというような御答弁があったわけですが、こういう状態でさらに今後景気の浮揚がいかないということになりますと、財政投融資の追加とか、あるいは二回目の補正予算を組まなくちゃならないというような事情に一体なるのかならないのか、そうしたことも考慮をせざるを得ないのではないかと思われる節もあるのですけれども、そうした問題について、特に国際通貨の不安定が続いている中で、しかも、その当面の責任者であります大蔵大臣としては、そうしたものに対してはどのようにお考えになっておりますか。
  31. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は、この予算が来年度の予算に順調に続いてくれれば、補正予算の必要はないだろうと思います。もし来年度の予算を、たとえば、暫定予算を組むとかいうような事態になりますというと、間の続かない、せっかくの不況対策の効果をそぐという問題も考えられますが、そうでなくて、来年度、いま考えておりますような予算編成が順調にいって、今度の補正予算と続くというようなことでしたら、もう私は今年度の補正予算の必要はないものと思っております。
  32. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それは順調にいってという話なんです。順調にいきますか、つながるように。ただ、今度の補正予算を決定するときの閣議の当面の見通しとしては、四十七年度の上期には安定成長の軌道に乗るだろう、そして通貨の決定についても、こんなに延びるというようなことではなしに、おそらく年内くらいには何とかなるだろうと、こういう見通しの中でやったわけでありますけれども、先ほどのお話にもありましたように、経済成長率五・五%もあぶない、もっと低いだろう、おそらく四%台ではないかと、経済企画庁あたりはおっしゃっておるわけであります。そういう状態で、やはり景気の落ち込みというものはまだまだ続くのではないか。今度の補正予算でそれを食いとめるということは可能なんですか。
  33. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この補正予算がすぐに所期どおりの効果を生ずるということでしたら、今年度企画庁の言う五%前後の成長率も私は考えられると思いますが、しかし、この公共事業費の量を、いまになって五千億円という事業量をふやすということでございますから、これが三月、四月以後に本格的に動くというようなことでしたら、今年度の成長率ということには間に合わないということになりますので、いずれにしろ、それだけの効果を一応予想したこの補正予算を組んであるのでございますから、時期の問題で、この成長率の問題が若干ずれるというようなことがあっても、全体としては日本のいまの不況に対する浮揚効果というものは必ず発揮されるというふうに考えております。
  34. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 その次に、国債発行の問題について伺ってみたいと思いますが、今年度国債発行が七千九百億の追加になるわけでありますけれども、それを年内、さらに一月−三月消化をしなければならないと思いますけれども、さらに来年度は、いわゆる新聞報道でいわれるところの一兆七千億近くの国債発行をするわけですが、国債発行をそれだけするということ自体、いろいろ財政法上の問題がおそらくあろうと思いますが、私どもは、そういう問題についてどうも財政法にかなった国債発行であるとは思いませんけれども、いまその問題には触れませんけれども、実際これだけの国債発行を連続続けて——なるほどいまは金融緩和していると思います。ある程度、今度の七千九百億のうちの年内消化分については市中銀行の消化もできると思うのですけれども、しかし、市中一般の——大体一割分ですか、こういう消化の問題、さらに来年度の消化の問題というのは、それほど多額のものを出してもはたして消化できるかどうか。この辺の見通しについてお伺いしたいと思うのです。  まあおそらく国際通貨の決定がいずれ行なわれるであろうと思いますが、いまの金融緩和の大きな原因というのは、外為資金の散布というものが非常に大きい金融緩和の原因をなしていると思う。これが決定されるということになりますと、おそらく今度は外為会計のほうは揚げ超の形になっていく可能性が非常に強いと思うわけです。そういう形の中で、はたして日銀の引き受けということを考えないで、これだけ大量な国債を消化することができるかどうか、非常に疑問を持っているわけでありますけれども、その辺についてできたら計数的に、可能である根拠をひとつ示していただきたい。
  35. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 七千九百億円の国債発行のうち、いまのところ二千四百億円は、これは資金運用部資金で引き受ける予定になっておりますので、市中で公募するものは五千五百億円であろうと思います。年内の発行は二千七百億円を考えており、来年の三月までに二千八百億円の発行を予定しておりますが、いまの金融の緩和状況では、おそらくこれはもう問題はございませんが、問題は今後やはり公債の個人消化ということに力を入れるべきであるというふうにも考えますので、したがって、いろいろなことを考えて、来年は一月から利回りのいい十年債というものを発行するということを予定しております。同時に、この手数料についても、発行条件について考えますし、また、公債の非課税限度を、いまの五十万円を百万円にするというような税制で優遇する措置もあわせてとりたいというようなことを考えておりますので、そうしますというと、私は今年度予定された国債の消化にはほとんどこれは問題ないと思っております。  あとは、さらに引き続いた来年度の、いまから予想される相当の量になろうと思いますが、この消化の問題ですが、これはいまのところ来年度も金融緩和の基調というものにそう大きい変化はないというふうに私どもいま考えております。で、よく来年度通貨の問題がきまったら多量にドルが流出するのではないか、そうしたら金融市場を圧迫するのじゃないかということも皆さんで心配されておりますが、今度のドル借りの問題を見ましても、やはり一応前受け金というものが多かったということはわかりますが、しょせんこれは実需に基づいたものでございまして、思惑資金の流入ということではございませんので、この外貨が急速に多量に一時に流出するというようなことは、いまのところそう考えられないので、かりに若干の流出があったというような場合でも、金融市場が梗塞するかといいますというと、いまの状態ではそういう懸念はございませんし、現に日銀自身が古い公債も——新しい公債も持ってないが、古い公債もほとんど持っておりませんし、市中がみんな公債を相当多量に持っておるという状態、また、いわゆるオーバーローンというものがなくなって、銀行に対する日銀の一般貸し出しなんというものはいまないのですから、そうしますというと、通貨供給についてのいろいろな弾力性というものは十分確保されておりますし、少しぐらいの公債を出しても、日銀が引き受けなければならぬというような事態というものはいまのところ全然考えられないということでございますので、私は、いまの金融事情から見て、来年のこの公債の消化というものはあまり心配しておりません。公債を出すには、むしろきわめていい環境が整えられているとさえ思っているところでございまして、その心配はないのじゃないかと思います。
  36. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 ここでひとつ資料をお願いしたいと思うのですが、いまの大臣答弁の中でも、レートが将来きまっても、投機的な資金は流れていないということであるから、流出はおそらくないだろうというようなお話もありましたので、この前いただいた大蔵省から出されております十月二十五日ですかの資料で、これは非常に、何といいますか、為替銀行のものにしても、それから商社のものにしても、これは一括書いてあるわけですね。十六日から二十七日、あるいは十七日から三十一日までですか、そういう形で一括書いてありますから、ひとつこの点、毎日毎日の様子を明らかにした資料をひとつ出していただきたい。それから外国銀行からドルを借りた問題についても、この点ひとつ各銀行ごとに資料を出していただきたいことをお願いをいたします。この資料をひとつ出していただきたい。  それから、ちょっと時間をいただきたいのですが、先ほどの国債の発行にいたしましても、非常に大量の発行がされる。そうして発行されたあと国民の立場に立って見ますと、結局産業基盤整備のほうにそのお金が行ってしまう。何ら、国民が大きな犠牲を受けても、それに報いられる結果は、国債発行の場合非常に少ない。いま大臣は、きわめて国債発行をするいい時期だと言っておりますけれども、私どもはそう考えていないわけであります。おそらく、今後の経済情勢の中では、かなり国債発行が、財政の一そうの硬直化を生むし、一方には物価に影響をしてくるであろうと思うわけでありまして、私は、ここで一つの提案をしたいと思うのです。  ただ単に、国債七千九百億ということだけでなくて、この七千九百億では具体的にこうこうこういう仕事をします、言うならば、具体的に七千九百億を事業別に位置づけてひもつきにしてしまう、こういうようなことで、七千九百億の国債が発行されて、そうして具体的にこういうものができた。国民に、具体的に七千九百億でこういうものが残ったのだ、こういうことを明示されていかないと、国債発行というものは歯どめなしにどんどんどんどん伸びてしまう。私は、ぜひそういう形に、この次の国債発行については、一つ一つ、これでは何をする。一兆七千億ではこれとこれとこれとこれをするのだという形を、ひとつ明示するような、そういう形での今後のあり方というものを考えていただきたいと思います。時間が過ぎましたから詳しいことを述べられませんけれども、それについても御意見を承っておきたい。  それから、資料についてはひとつお願いしておきます。
  37. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連。資料要求で。  いま竹田さんから、先般来問題になっておりますドルを売った状況についての資料の要求が二、三点あったようであります。これは前々から、この委員会の経過をたどってみますと、九月の二日にはたしか戸田委員、それから十月の十二日の本委員会では松井委員が資料を要求しておる。ただいま、御案内のとおり、今度竹田委員から要求されていますが、これに追加して、私はもう一つ、この問題が新聞等で非常に疑惑を招いておりますから、その疑惑を解消するためにも私は使いたいので、ぜひ出していただきたいという点が一つあります。  それは、いまちょっと触れられましたが、外国銀行から借り入れたドル、これについて、各商社別の金額、各商社の名前、これはいま竹田委員から要求されたのでありますけれども、さて私は、もう一つそれにプラスして、手持ちのドルが売られた、それぞれの関係ドルに占める割合も明らかにしてもらいたい、これが一つであります。  あと、関連でありますから、他の委員の発言をじゃましてはいけませんからやめて、この点についての質問は、それぞれの方々の質問が終わったあとで、私は、少し疑義を持っておりますから伺いたい、こう思っております。
  38. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私のほうでは、前から、資料の要求を受けたたびごとに、これは衆参両院からの御希望がございましたので、そのつど御相談をして、できる範囲のことをやってまいりましたし、また公表を、これは私のほうがどうこうするものじゃございませんで、むしろわかる範囲においては公表して、もし疑惑があるとするならば、これを解くほうがいいと思って、私のほうは積極的でございますが、しかし問題は、一つの商社が、一つの銀行だけで取引してやっておるのでしたら、金額が非常に単純に出てきますが、実清はそうでなく、いろいろむずかしい問題があるようでございますし、実務の問題は私あまり詳しくございませんが、いまの点、そういう資料が準備できるかどうかというのを、事務のほうからちょっと説明していただきます。
  39. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいま御要求の資料の件でございますが、ただいま大臣から御答弁申し上げましたが、われわれ事務当局といたしましても、できる限り作成をいたしまして、できるものから提出をいたしたいというふうに思っておるのですが、中には、相当為替銀行なり、商社の協力を得ませんとできません資料もございます。そういう点もございますので、できる限りのことをいたしまして御要望に沿いたいと思いますが、たとえば、いま吉田先生のおっしゃいました、それぞれのドル売りと、その原因と申しますか、との関係というのは、これはなかなか、実際問題として個々には非常に判断のむずかしい問題もあるかと存じますが、これは、全体としてそういう点がなるべくわかるような資料をうまく作成できますかどうかという検討をさしていただきたいと存じます。
  40. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも、いま大臣が、大蔵省から積極的に資料は出すようにしていますと、こう言っていますが、どうですか大臣、いまの局長の答えは、努力するというようなことですね。  ここに、やはり十月の三十一日の各それぞれの新聞に出ていますがね、私いま手元に持っているのは毎日新聞でありますよ、「三十九億ドル売り逃げ」と、売り逃げたと。これはトップ記事ですよ。大臣、いいですか。あなた首振っていますが、これは新聞に書かれていることを私は言っているのですよ。売り逃げた。しかも為銀、商社は八百億円の利益を得たと書いてある。なおこれは、解説が出ておりまして、大蔵省がここに出したといま竹田委員が読み上げました資料は全く大ざっぱです。まだこの程度の書き方はいいですよ。私はこれは、ただ一片の紙きれだと思っていますよ。このくらい疑惑があるのですよ、疑惑が。わかりますかね。だからこういう資料の要求になる。ここは国会、特に大蔵委員会ですからね、もっと、大臣が言われるように、積極的に資料を出しなさいよ。しかも、あなたは、いろいろとこれから各商社と相談して検討すると言っていらっしゃいますけれどもね、そこにでたらめがある。十一月の九日の日経新聞を見てごらんなさい、日経新聞。十月の三十一日の毎日なり朝日新聞に書き立ててあった「売り逃げ」とか、あるいは朝日新聞の場合は、やはりもうけた大手商社と大蔵省の癒着が指摘されているのです。これは新聞ですよ、大臣。これを裏づけるように、十一月の九日の日経新聞を見てごらんなさい。三菱、三井、住友の三社の、商社ですよ、商社の決算が出ていますよ。そうして、今日までのアメリカ経済不況、わが国の経済不況、特にドル問題等々の問題があって、決算状態必ずしもよくありません。ありませんけれども、この為銀の差益によって穴埋めをいたしているごとが具体的に数字に出ているじゃないですか。だからこそ、各社がこういうふうに書いている。結果的にはこの取り扱いにいろいろな問題がありましたね、これは。井上君の問題が問題になったでしょう。本会議以来ですね。そういうことがあったかないかは、ここで私はあらためて議論する気持ちはただいまはないが、結果的に、新聞に出ているように、大手の商社が、全部今度、三十九億ドルというものを、ドルショック来、この新聞そのまま読みますと、売り逃げたのです。この結果、利益、為銀の差益金というものが出たんじゃないですか。それが決算にあらわれている、新聞に。  こういう関係を大蔵省が国会に資料を提示をして明らかにしない限りは、国民新聞を見ますから、依然として、大蔵省と大手の為銀、大手商社の癒着が、つまり疑惑だと、癒着しているのだと。特にこういう諸君は、今回のこういう問題をとらえて、これは益金が出たということですから、利益ですよ、もうけた。その結果が大臣どうですか、為銀の赤字はだれが埋めるのですか。大蔵省が埋めざるを得ないでしょう。それは一体だれの金で埋めるのですか。結果は国民の税金でしょう。そういうことが、ここに書かれておりまするように、たいへんな、国民の側から見ますると、今回の措置については疑惑が一ぱいだと、こういうことになる。これを解くために私は資料要求しているわけですからね。そういう局長のように、でたらめな、なまぬるい答弁では私は承知しませんよ。大臣は積極的に資料を出すように協力します、こう言っておるでしょう。それは約束しなさい。
  41. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 私の先ほどの御答弁が若干誤解を生んだかと思いますが、その点はおわび申し上げますが、私の申し上げましたのは、すぐにわれわれが手持ちの資料で作成できる計数もございますが、そうでないものもございまして、その計数を得るにつきましていろいろ御協力を得なければとり得ないというものも中にはございますと思われましたので、そう申し上げましたわけでございます。むろん大臣の御指示のとおり、われわれ事務当局といたしましては、物理的に可能なものは作成をいたしまして提出いたすことに全く変わりはございません。その点、若干誤解を招くような答弁をいたしました点はおわび申し上げます。
  42. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私の第二点の質問の答弁をいただきたい。
  43. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今度の建設公債七千九百億をどこへという具体的な使い道ということは、これはできないことでございます。と申しますのは、これはいままで一般会計で、一般歳入でまかなうことになっておった公共事業費、これをはずして建設公債でまかなうという補正でございますので、その七千九百億円がどの部分のものであるかということをびっしり当てはめるということはできませんが、全体としてこの公共事業費が一兆何千億になって、それがこういう方面に使われるということは言えますが、今度の発行だけのものをどこでどう使うのだということは……。
  44. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 次年度以降でいいですよ。
  45. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 次年度以降は、全体として公共事業費はどこへ使われるかということは、当初予算において国会の議決を得るときに全貌が示されるということでございます。
  46. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 不満ですけれども、いいです。
  47. 多田省吾

    ○多田省吾君 昨日の水田・コナリー会談のことでございますが、けさコナリー長官のほうから、いわゆる蔵相会議が今月の末か来月の初めにおくれる見通しであるという通報があったと、こういうことを述べられましたが、それによって年内解決という線がおくれるのじゃないかという心配があります。しかも、EC諸国等が、今回のいわゆる水田・コナリー会談等によって相当話が進むのではないかと期待をしておりましたけれども、先ほどの話では、こちらから一方的にコナリー長官のほうに日本不況を訴えただけだと、こういう話でございますから、これはなおさら話し合いがおくれると見なければならぬ。ほんとう蔵相会議がこのようにおくれても、年内解決の線に向かって、水田大蔵大臣としての見通しはどうなのか、まずそれをお伺いします。
  48. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 月末にずれるか、来月の初旬にずれるか、これはまだきまっていないようでございますが、いずれにしろおくれるということは間違いないんじゃないかと思いますが、私が思いますのに、これが全く解決見通しが立たないというようなことでございましたら、あるいは代理者会議でもいいはずでございますし、この蔵相会議を開くということは、あんまり意味のないことというふうに思われますので、開かれる以上は、これは相当前進が予想されるということでございますので、私は、月末あるいは来月の初めごろに開かれるという段取りになることは、やはり年内妥結の可能性もあるというふうに、いまのところは考えております。
  49. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから水田大蔵大臣は、新国際通貨につきましては、今後はSDR本位制になるだろうと、こういう話をしております。また今回は、水田・コナリー会談において、コナリー長官からも、金とドルの交換性の回復はむずかしいという話があったそうです。それによって、きのうの衆議院大蔵委員会でも、水田大蔵大臣は、対ドル基準相場制ということを主張されておりますけれども、私は、将来にわたって新国際通貨というものが金を全然はずすということは非常に不安定の要素になるんじゃないか、何らかの形で、やはり金とは密着させておく必要があるんじゃないかと、こう思いますけれども大蔵大臣のお考えはいかがですか。
  50. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 金についての考え方は、いまのところ各国みなまちまちでございますので、この問題をからませておる限りは、この平価調整早期解決というのはむずかしいというのが現状でございますので、私は、この問題は今後の各国の検討問題にして、二段目の問題として。第一段目にはこれを省いた平価調整ということを考えていく。この解決をはかることが、やはり一番妥当な措置ではないかというふうに考えております。
  51. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうすれば、まあ第二段目の考え方としては金との密着性もやはり考慮に入れる用意があるということでございますか。
  52. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そうでございます。これとからんで、同時にこの平価調整の問題を解決しようとしたら、これは長引くだけであるというふうにいまの状態から見ては考えられます。
  53. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあニクソン米大統領のグアム・ドクトリン以来、日本のいわゆる防衛費負担の肩がわり等をいつもいわれておりまして、今回の沖繩返還協定の審議におきましても、そのことがいわれております。まあレアード国防長官が北海道を視察したときも、やはりアメリカの武器を買ってほしいというような要望があったと伝えられておりますし、また伝え聞くところによりますと、いわゆる四次防の問題にからみまして、高等練習機、ジェット練習機であるところのT2ですか、それも三菱重工で国産する予定だったのが、一部アメリカからジェット練習機も買うんじゃないかというようなことも云々されておりますし、またF4Eファントムですか、それをアメリカから買うようになるんじゃないかというようなことも、いろいろいわれておりますけれども、きのうの水田・コナリー会談では、こういった防衛費負担の問題は全然話し合われなかったのですか。それとも話、少しは出たんですか。
  54. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) きのうの会談では、防衛費の問題は一切長官から出ませんでした。
  55. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、水田大蔵大臣からも全然話を持ち出さなかったということになりますから、それはそれといたしまして、きょうの午後から佐藤総理とコナリー長官会談が行なわれる。それで水田大蔵大臣は、この円ドル問題、あるいはコナリー長官との平価調整問題につきましては、政府の一本化した窓口になって話をするということに閣議決定したそうでございますから、そういう観点からお尋ねするのですが、まあ佐藤総理がコナリー長官と会う前に、当然水田大蔵大臣が佐藤総理とその辺の調整をなさると思います。そうして佐藤総理がコナリー長官と会う場合は、日本側からの一方的な話のみでは済まないと思います。それで、一体水田大蔵大臣としては、佐藤・コナリー会談における日本側態度としての重点をどこに置くか、どこに置かれようとするのか、お答えいただたい。
  56. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 佐藤総理にはきのう会談の済んだあとで逐一全部報告いたしてございます。したがって、その後外務大臣がお会いしておりますので、この報告も受けておられると思います。きょうは午前中企画庁長官、農林大臣、通産大臣それぞれ会談されたあとで、総理大臣がお会いするということになっておりますので、総理大臣としては、きのう各閣僚が会った結果、様子を全部総理は聞いて、そうしてそのあとにお会いすることになるんだから、もしその場合、一応相談が必要だというようなことを考えられるのでしたら、いつでも呼んでほしいということを言っておきましたので、もし必要があれば総理からそういう問題の相談があると思いますが、しかし、いままでの——けさ外務大臣に会っていろいろ御報告を聞きましたが、やはり今回は外務大臣に対しても、そういう要望とか、協議というものを自分は持ってこないというようなことできのうお会いしているようでございますから、おそらく総理に対しましても、いろいろ日本の協力、そのほかについて——国連における問題もございますし、そういう問題であいさつをされる程度に今回は終わるんではないかというふうに私は考えております。
  57. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、私は、来年度の予算の編成方針について二、三お尋ねしたいと思います。  今回の補正予算審議における参議院予算委員会の席上でも、佐藤総理は、福祉優先の政策に切りかえたい、しかし、今回の補正予算ではその片りんしかあらわれていない、また水田大蔵大臣も、やはり生活基盤の調整をしっかりやっていきたいと、こういう所信を表明されているわけでございます。いままで水田大蔵大臣の記者会見等によって、来年の予算は十一兆一千億程度とか、あるいは国債発行は一兆七千億とか、あるいは税金の問題でも——ギャンブル税とかその他の税源を全部洗いざらいやっていくと、こういうお話もあったわけです。またさらに厚生省あたりからも、社会保障問題で、あるいは文教問題でも授業料の問題とか、いろいろ各省からも予算要求が出るわけでございますが、また出たわけでございますけれども、まあ具体的にそういったことをからめて大蔵大臣は、来年の予算編成に対してどういうお考えを持っておられるのか、あらためてここでひとつお話ししていただきたいと思います。
  58. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 一応、いままで述べました財政政策の線に沿った予算編成はいたすつもりでございますが、まだ各省から概算要求として出ておったものの査定も済んでおりませんし、したがって、来年度の歳入の見通し、歳出の見通しというようなものも、まだこの段階では予想することはむずかしいので、いまのところ、ここをこうするという、来年度の予算編成方針はまだ固まっていない状況でございますので、もう少し予算作業が進んでからでないと、また同時に、経済企画庁がやっております来年度の経済見通しというものができる段階でないと、ほんとう予算編成方針がきまらないということでございます。
  59. 多田省吾

    ○多田省吾君 きのう行なわれた税制調査会の総会におきましても、いわゆる不況対策のためにも、また国民生活優先のためにも、国債発行をしてでも所得税減税はまた新しくさらにやるべきだ、という意見が強く述べられたと聞いております。いままでのところでは、法人税も所得税も来年度は据え置くという大蔵大臣考え方が出ておりますけれども、もし、税制調査会におきまして強力な——法人税は別といたしまして、所得減税の答申が出た場合には、大蔵大臣としてはその答申に従って所得減税は新たに考えるという、そういうお考えはありますか。
  60. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 来年度の税収の模様、いろいろなものがわかった結果、そういう余力が出てきますかどうか、そういう問題とあわせて、また税制調査会においてもいろいろな意見があることでございますので、税制調査会がそういうような意見を言われるときには、やはり財政実情を見た上の意見になることでございましょうし、私はそういう意見が出たら、十分これはやはり尊重して考えたいと思います。
  61. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、きのう高見文部大臣が、国立大学の授業料につきましては据え置きたいという意見を述べたわけです。昨年もいまごろ、国立大学の授業料をどうするかということでいろいろ検討されたわけです。その結果、ことしは据え置かれました。来年度の予算におきましても——大蔵省あるいは自民党の文教部会等においては、強力に国立大学の授業料は二倍、三倍に増額すべきであるという強い意見が出ました。まあしかし、文部省等におきましても、やはり、これからの学園紛争の新しい火種にもなりかねない、あるいは私立大学の授業料も値上げされる口実になる、あるいは物価対策の面から、公共料金値上げの反対の上からも好ましくないとか、いろいろな意見があります。また、確かに国立大学、私立大学の授業料の差はございますけれども、やはり教育の機会均等という面から考えれば、値上げしないほうが望ましいのじゃないか、こういう意味で文部大臣も据え置きの方針を述べたのだと思います。私も当然、いろいろ問題がありましょうけれども、そういった観点から国立大学の授業料は、来年度の予算には増額しない、据え置くべきじゃないか、このように思います。大蔵大臣としては現在どのように——これは文部大臣意見も出たわけでございますが、国会でも、あるいは自民党の文教部会においても正式に表面化したわけですから、大蔵大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  62. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私立大学の授業料が平均九万円をこしているというときに、官立大学の授業料が一万二千円、七倍も、八倍も違うということについての議論というものは、毎年各方面から指摘されている問題でございまして、そのつど私どもは、これは合理的に解決すべきだということで、やはり官立大学の授業料は値上げすべきだというのが、従来から大蔵省の主張でございました。毎年の予算折衝で、文部省とのいろいろ協議段階で、これはとうとう今日まで実現しなかったということは事実でございますが、来年度はどうするかの相談は、まだ文部省と正式な相談が始まっておりませんので、来年度については私どもはまだ据え置きという方針をいまのところきめているわけではございません。
  63. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、いまのところは据え置きという方針でございますね。
  64. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いや、そうじゃなくて、私は、やはりこれはある程度の値上げが妥当であるというふうに考えます。
  65. 多田省吾

    ○多田省吾君 育英会の奨学資金等を見ましても、昭和二十五年当時ですら二千百円でございました、月。それで下宿料の六割、七割をまかなえたわけです。現在はやっと三千円です。もう下宿料から見ても二、三割しかなっていない。そういう育英会の奨学資金なんかは全然値上げしないで、それで国立大学の授業料だけを上げていこうということは、そういった点から考えても、非常にこれは私はよくないと思います。またさらに、私立大学の授業料問題で、早稲田大学をはじめ、すでに私立大学、短大等百八十五校がもう値上げを予定しているそうでございます。この前の予算委員会でも高見文部大臣は、この私立大学の授業料を押えるためにも、私立大学への補助金をことしの分の約二倍予算請求する予定であると、はっきり総理大臣大蔵大臣の前で述べているわけでございますが、現在のところ大蔵大臣は、この私立大学補助金を大幅にふやすという文部省の意見に対して、前向きにお考えになるお考えはございませんか。
  66. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は、私立大学の授業料はもう限度にきておると思いますので、これをなるたけ上げないように、昨年から経常費の補助ということに踏み切っておりますので、この点はだんだんに強化して、できるだけ私立大学の学生の父兄負担を軽くするということを一方はやると同時に、何といっても官立大学のこの一万二千円という授業料は、経費の三%にもならないものでございますので、父兄の負担を軽くするということは必要ではございますが、いろいろの点から見て、この三%の負担というものは決して合理的なものではないということが言われるだろうと思います。現にいろいろな方面からこれは指摘され、またすでに中学を卒業してすぐに働かれる人たちから見ましたら、大学入学の機会を与えられている一部の人に、それだけの国民の税の負担をやった、特権を与えて、われわれとの均衡をどうするんだというような、いろんな声まで各所からきているこの実情を見ますときに、やはり国民の税金が、一人について八十万、九十万かかるものを、そのごくほんの一部だけ取って、あとは取ってはならぬということは、いろんな点から見て不合理な点が多い。したがって私は、やはり一方私学の授業料はできるだけ上げなくて済むように押えると同時に、この不均衡は少しずつ直していくかわりに、育英資金も同時にそれに伴って増額していくということをやるほうが、私は、政策としては正しいんじゃないかというふうに考えるんですが、この交渉はなかなかこれからまた政府部内でもむずかしい交渉になると考えております。
  67. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあいろいろ理由はありますし、またこちらもその論争の点はわかっているつもりです。それゆえにやはり私は、文部省の今回のまあ意見というものは妥当であるという考えで質問を申し上げたわけです。まあこの問題は長引きますのでやめますが。  もう一点、来年度の予算にからんで、まあ一つは、社会保障の中でも老人福祉に政府は力を入れて、たとえば、厚生大臣は老齢福祉年金二千三百円を三千六百円にしたいとか、あるいは七十歳以上の老齢者に対する医療補助を強化したい、あるいは税金の問題でも優遇措置考えたい、いろいろ案を出しているわけでございます。その点に対して大蔵大臣は前向きにそれを行なおうとしておられるのか。  それからもう一点は、防衛費、四次防五兆八千億円という、まあ防衛庁の考えがありましたけれども、まあ今回のドル・ショック等、あるいは国際情勢の変化に応じて、われわれはどうしてもこの四次防は削減すべきである。つまり、五兆八千億なんということじゃなくて、もっともっとこれはできるだけ少なくすべきである、こう考えております。まあ大蔵省も、理由は別にしましても、この削減ということは考えておられると思いますけれども、そのお考えをお聞きしたいと思います。
  68. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 社会保障費については前向きに考えたいと思います。  それから、四次防の計画については、御承知のように国力に応じて防衛力を増加するという大きい基本方針もございますが、また日本経済力について相当いろいろの変化が出てきたところでございますので、その前に立てた防衛庁の最初の原案というようなものも、これは少し修正されてしかるべきであるというようなことを、防衛庁自身からそういう問題を取り上げてきまして、いま防衛庁の手でこの手直し作業が行なわれておるときでございまして、まだその最終案が大蔵省へも届いていないということでございますので、当然最初の案は相当これは縮まった案になって出てくるというふうに思っております。
  69. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、最後にですね、まあ先ほど吉田委員から強く言われましたあの八月十六日から二十七日までの、いわゆるまあドル売り、円買いという問題につきまして、まあ資料の提出が非常に私はおそかったと思うのです。九月二日に各党から一斉に資料要求が本委員会で出ました。それからすでに七十日たっております。まあ実際資料が出た時点は、最後に出たのが十月三十日ですから、二カ月近くかかっておる。で、大蔵大臣は積極的にこのような資料は出すつもりだとおっしゃいましたけれども、この十月二十五日ごろ出た資料では、まだ銀行とか商社の内訳はA、B、Cで示されております。やっと十月三十日に銀行名が書かれたわけでございますが、なぜ最初からですね、銀行名あるいは商社名をはきっり、A、B、Cじゃなくて、固有名詞で書かれなかったのか。それが私たちは大きな疑問があるわけです。できるのだったら最初から出すべきだと思う。  それから、もう一点はですね、まあ時間がありませんので。総額で三十八億九千五百万ドルの直物売り越し額が出た。このうちいろいろ輸出前受け金とか、あるいは外国銀行から借り受けたお金とか計算してみますと、二十五億ドルは投機的と見られるものであると私たちは承知しております。で、この委員会におきましても、大蔵大臣は、機会あるごとにこのような不正は許せない、あるいは投機ではないと言っておりましたけれども、現実に投機と思われるものがありますし、また私は、外為管理法から見ましても、大蔵大臣としてこれは処断すべきだ、このように思いますけれども大蔵大臣はどのようにお考えになっておりますか、この二点を最後にお伺いいたします。
  70. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まず一番初めの問題でございますが、これは特に発表を渋るという問題でございませんでしたが、実はこれについてはいろいろ意見がございまして、たとえば、税務署の職員が職務上知り得たものを公表するというような、世間にそれを漏らしたというようなときには、いままでは処分するというようなことで、職務上知り得た問題については、そういう点を相当厳格にやっておったものでございますので、そういう点から見て、これは大蔵省じゃなくてよその省からも今後そういうものを監査した結果を発表するということと、官吏の、いまの現在の各省の服務規律というべきものとの関係をどうするか、そこらを検討した上で措置してもらいたいという要望も出ましたので、これは人事院と相談していろいろ検討しました。で、国会に対して別に隠すということでなくて、国会の調査権が発動すれば、どういう問題でもこれは示せる問題でございますが、そこまで国会の調査権を発動させてやらなくっても、ほかのいろんなところへ影響しないで、この程度の発表はしてもいいじゃないかというようなことから、そういう点について、各省大臣の認可があれば下のほうは出せるのだというようなことで、それで済むのなら、これはもう名前を書いてよろしいと、大臣が認可するからというような——許可するから、認可じゃなくて許可するからというようなことで、いろいろ各省との関係もございますので、簡単なものでございますが、やはりこれはいろいろ各省が職務上知り得ている問題の公表という点にも関係しますし、それからまた商社は、各国に対していろんな商売の秘密を持っておりますが、どこでどうしたというものを、みんな政府の手によって発表されるということについてはどうかという疑問もありましたし、そういうものを全部調整して、私どもはもう発表する方向へ話をきめてやったために、その間若干手間どったということでございまして、A、B、Cでならそういう問題ございませんでしたが、国会の強い要請がございましたので、そこまできつい調査権の発動というようなことなしにこの問題を片づけたいと思って、ああいう措置をとったということでございます。  それからもう一つは、大蔵省だけで調査ができない。これは通産省にお願いしなければならぬ部門がありますし、また外為会計の代理人として日本銀行が出て実務をやっております関係で、日銀にも頼まなければ集まらぬ数字もございますし、そういうようなことでなかなかすぐに資料を簡単に整えるということもできなかったという事情は御了解を願いたいと思います。  もし、事実上は前受け金でなかった、取引のなかったものを装って、前受け金としたというようなことで、あとからキャンセルになったからこれを返済するのだというような問題が起こった場合には、これは金を返すという場合には、当然通産大臣の許可が必要になりますし、そうでなくて、これが事実でなかったということがわかれば、為替管理法違反として問われる問題でございまして、こういうものは十分処罰の対象になる事項でございます。
  71. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 予定した質問もありましたけれども、先ほどの、コナリー財務長官が来られて、それに対する日本側の姿勢について納得がいきませんので、重ねて伺いたいと思います。  コナリー長官が、交渉ではなくて理解のために日本に来た、現在日本経済不況の実態なり、あるいは国際収支について苦労してきた経緯についていろいろ説明をして、たいへん興味を示しだという大臣の発言がありました。私は、それを聞いておりまして、一体日米関係というのはいつから始まったのだろうかという気がしたのです。たとえば、中国のように、国交がない国から初めてナンバー・ツーの人が来て日本の各閣僚がそろって説明するというならそれはわかりますけれども日本経済が現在深刻な不況に立って、またこれまで国際収支の天井の厚さということでたいへん苦労した経緯を、この時期にいまさら説明しなければほんとうにいけないのですか。しかも、コナリーさんというのは、岸元総理に全権を託してあるというニクソン大統領の話もあったと聞いております。その人がこの時期に交渉でなくて理解のために来るというのは、日本からいえばこんな失礼千万なことはないと思うんです。これは八月十六日のニクソン新経済政策を発表する前に日本に来ていろいろただすというのならまだわかります。困ったところに追い込んでおいて、さあ皆さんどうですかと、こんな人をばかにした話はないと思うんです。一体、日本がニクソン新経済政策で困っているのか、困っていないのか。困っているから大臣苦労されているのだと思います。そう考えますと、コナリーのかばんの中に何が入っていようと、日本の姿勢というのは交渉であるべきだと思うのです。その点大臣の御意見いかがですか。
  72. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 交渉ということばの問題でございますが、交渉の今度は場ではないと、日本へ寄るのはベトナムの帰りに日本へ表敬のために寄って、そうしてそのついでにいろいろと日本実情自分は知って帰りたいというのが目的だということでございますので、したがって、その目的に沿うようないろいろの協力をしたということでございます。  いまさらそんなことを聞くような日米関係かということでございましたが、私は、先ほど申しましたように、基軸通貨国というのはやはりうらやましいと思います。自分通貨を動かさなくて済むんですから、いままで。だから、国際収支が赤字になろうとなるまいと、われわれが考えていたのとは相当違う。したがって、国際収支が悪くなったときには、われわれは国内政策としていままでこういうつらい政策をとってきた、国際収支がよくなったら逆に今度は金融を通してこういうふうに調節をするんだという、いままで基軸通貨国以外がやっている措置というものは、これはアメリカも非常に参考にしたいと私は思っておると思います。と申しますのは、いままで動かなかったドルが、金とのリンクがないんですから、ドル自身が今度は動くということになるんですから、ドルとしてもやはり各国のそういう国際収支に対する苦心ということは当然興味を持って聞いていい問題だろうと思いますし、一番の経験者は日本でございますので、日本がこれを十分に説明したということでございまして、ちっともふしぎはないことだろうと思います。
  73. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 日本のほうが、繊維交渉問題がアメリカの重要な国内問題だということを十二分に理解できるほどアメリカのことを知っているのに、コナリー長官が、八月十六日にニクソン声明を出したあとで教わりに来るということは、大臣の御発言であったと思うんですが、とうてい納得ができません。時間がありませんから深くは申し上げませんけれども基軸通貨国としての責任はやはりきびしく追及していただきたいと思います。  そこで、コナリーさんから受けた心証として、課徴金についてはたいへん流動的だと。それはあたりまえだと思います。円の切り上げとの見合いの問題ですから当然流動的だと思います。  もう一つ、金・ドルの交換については将来とも回復する気持ちがない、そのことから、金と結びつけては国際通貨調整は短期的にはむずかしいという御判断、全く同感に思います。そうすると、途中でどこに落ちつくかということで伺うんですけれども、かつてのように、五%円の切り上げというきわめて小幅なところで論議が、検討が進んでいた時期と、一〇%に変動幅が広がってきた現在とは、いささか模様が違うように思います。現在の国内通貨不安というのは、どういう姿勢で政府が臨んでいくかということがあいまいで示されないから不安が増幅されているのであって、かりに、たとえばドル基準といい、ドルと円との交換率をきめていくしか当面はしようがないんだということになれば、現在の変動幅の拡大ということも当面の一つ解決であることは事実です。残る問題は、輸入課徴金問題が当然あります。これは別に性格の問題ですから、いまは特に触れません。  そこで、年内ということを日本政府が特に固執したほうが有利なのか、有利じゃないのかという点で困っているのは事実です。外国の印象も含めて、アメリカはいま困っていないわけですから、身がってに一〇%輸入課徴金日本に、各国を変動相場に追い込んできたわけですから、アメリカは長期戦にたえられるわけです。経済指標も短期、長期は別にして、回復のきざしは見せておりますから、そうなれば、なるほどそこのところは日本としては内情は困ったことがあったとしても、年内かそうでないかということは慎重に考えていかなければならない気がいたします。そこで、特に年内ということを主張される意味と、見通しはいかがでしょうか。
  74. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) やはり問題は、あぶらが乗ってきたときに解決することがいいことでございます。各国も協力——お互いの協力によってこの問題を解決して、国際通貨のとにかく安定をはかろうじゃないかという気運が乗っているときでございますから、これを年を越して無期限に、来年いつになるかわからないというところで越してしまったら、この先行きの不安に対する、また国際経済のいろんな問題が起こってくるということも考えられますので、決していいことではない。できるだけこれは年内に片づけるのがいいだろうというのが私の考えでございますので、そうかといって、なりふりかまわず何でもいいから今年度日本は片づけてもらいたいという立場を当然とっているわけではございませんで、各国が公平な分担によって、納得のいく線で協力するということを前提にして、とにかく話し合いをを進めて年内の解決に持ち込もうじゃないかというのが私ども考えでございますので、その点は不利でもかまわないから年内にしなければいけないという事情に、特に日本が置かれているというわけでは別に私はないものと思っております。
  75. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 大臣の時間が迫っておりますので、お伺いしたいんですが、これでやめます。  ただ言いづらい立場、お気持ちはわかりますけれども、心情ではなく、やはり日本の立場を踏まえ、これからの国際情勢を踏まえた交渉の一部面として、今回のコナリー長官の来日を有効に使っていただきたいと思います。どう考えてみても、今回のことを、交渉ではなくて理解のためにという態度は私は理解できません。またおそらくそういう交渉が背後にあることを信じたい気がいたしますけれども、ぜひその線で基軸通貨国の責任はきびしく追及していただきたいと思います。
  76. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いまむずかしさは、日本米国のことをどうきめるのか、各国別にきめればそれでいいようでございますが、欧州、ECの関心をいいますと、たとえば、ある国は対ドルのレートというよりも、隣の国とのレートのほうがその国の経済にとっては重要だ、だから、そこのきまり方によってでなければこちらのほうはきめられないという、この対ドルじゃなくて、今度はそれぞれの各国別のレートが非常に問題になっておるというようなことでございますので、したがって、円の問題も当然これとの関係を持ってくるというようなことでございますので、そこら辺にまだまだむずかしい問題が残っておるために、そこらがもう少し動いてこない限りは、この二十二、三日の会合は早いというような結論になったんではないかと思いますが、そこらにむずかしさが残っておるということでございます。
  77. 渡辺武

    ○渡辺武君 私も、時間がないのでコナリー来日問題にしぼって幾つか伺いたいと思います。  新聞などによりますと、大臣コナリー米財務長官とお会いになって、最初に国際通貨調整の年内妥結、失礼しました。短期、早期妥結という点で意見が一致したということは、先ほど御答弁があったとおりですが、そのほかに、日本アメリカとは、政治、軍事、経済の面で協力していくんだということも話し合われた。それでそういうふうにきまったということが出ておりますが、その点どうですか。
  78. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それは、こういう調整問題のいかんにかかわらず、日米経済は今後より緊密な体制をとらなければ、両国のためによくないという意見はこれはもうそのとおりでございます。
  79. 渡辺武

    ○渡辺武君 先ほど大臣御自身も認めておられますように、アメリカドル危機の最大の根源は、アメリカのベトナム侵略戦争にある。ですから、いまのドルの危機を解決する最大の手段は、これはもうベトナム侵略戦争をやめることが最も重要な点だと思うのですね。ところが、政治、軍事、経済の面で、日本アメリカとの協力体制をとっていくのだということが、最初に話し合ってきめられたということですと、これは事実上アメリカのベトナム侵略戦争を不問に付して、そうしてニクソンのドル防衛政策の協力をするということになっていかざるを得ないと思いますが、その点どうでしょう。
  80. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま、アメリカ自身が、アジアに対するいろいろな政策転換と申しますか、そういう点について苦心しているときでございまして、日米の今後いろいろ経済的、政治的に組むということが、同時にベトナム戦争をさらに続けて、これを強化するという方向につながっているということは私は言えないだろうと思います。
  81. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま、アメリカドルの危機、そのしわをひっかぶって、日本が円の切り上げその他に追い込まれている。いわば最大の犠牲者は日本国民だと思うんですよ。ですから、せっかくアメリカのその方面の責任者が来て、そうして日本意見を聞きたいと言っているから、私は、日本大蔵大臣としては、ドル危機の原因はベトナム侵略戦争にあるのだ、日本国民アメリカのベトナム侵略戦争のしりぬぐいを自分の犠牲でやられちゃ困るのだ、その点ははっきりさして、コナリー長官にも日本政府意見としてベトナム侵略戦争をやめることを述べるべきだったと思いますが、どうでしょう。
  82. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この間も申しましたように、各国ではどういう点において協力すべきかということをきめ、また、米国自身のすべき問題は、米国自身にしてもらうということの中には、いま言われたような一連のものがあると思いますが、これは他国に対する——国内問題でございますから、他国の国内政策に一々干渉するというようなことを避ける、そういう問題は米国自身において解決してもらいたい、そうして各国が協力すべき点においては協力するということをきめたのがこれまでの国際会議で、いまでもその方向をずっとたどっておるということでございます。  そこで、全部日本がベトナム政策の犠牲になっておるというようなお話でございましたが、円の問題に関する限り、このベトナム戦争によるアメリカ財政赤字が、アメリカ国際収支の危機につながって、ドルの不信というものを起こしたということがはっきりしておりますが、そのドルの不信を大きくしている、それに貢献している——貢献というと何ですが、影響しているものとして、いまみな世界じゅう日本というものを見ているので、したがって、アメリカから見ますというと、日米交渉においてアメリカの赤字は一番多く出ているのだというようなことになっておりますので、この調整はもう少し日本考えてくれいというようなことから、やはり円の問題も起こっているのでございますからして、アメリカから見ますというと、との円調整の問題は、日本へ大きい犠牲をアメリカがかけているというのじゃないので、アメリカのほうが日本の競争力に負けて、この国際収支の不均衡に拍車をかけさせているのだという感情を向こうは持っていると思いますし、事実がまたそうなっておる。日本の輸出は米国に対してこの期間に二十何%か伸びておる。で、日本からの輸入のほうは逆に〇・何%ですか、一%前後減っているということで、この開きは大きい。この開きがアメリカのいまの赤字を形成する一つの要素になっておるということをアメリカが言っているのでございまして、私はそういう意味で、この円の調整というようなものは、アメリカから受けた犠牲を、この日本がこうむっているというふうなだけの頭でこれに臨んでいくわけにはまいらないだろうと思います。
  83. 渡辺武

    ○渡辺武君 時間がないので、いま大臣おっしゃったことについて私はまた一定意見を持っております。  いま申しましたように、アメリカ国際収支の赤字の原因は、貿易収支の問題はこれは大事なことじゃなくて、貿易収支以外のところで、侵略戦争その他で大幅な赤字を出しているというところに根源があると思う。それを取り違えて議論をされたら、日本の立場はアメリカの言い分をうのみにしている立場だというふうにしか考えられない。その問題はこれ以上議論しませんけれども。  さて、先ほど大臣は年内妥結の可能性があるというふうにおっしゃられた。いままでの経過から考えてみましても、この通貨調整の問題には、各国の鋭い利害関係がからまっておるのですから、なかなかこれは国際的に意見が一致して妥結をしていくというのは困難だと思うのですね。中でも、先ほど大臣が言っておられましたけれどもアメリカがどういう態度をとるかが一番大事な問題だというふうに言っておられまして、十カ国蔵相会議のいきさつなどを見てみましても、アメリカがなかなか横暴な要求をしている。いまベトナム侵略戦争の問題を申しましたけれども、それ以外にも百三十億ドルという要求を出して、これを各国で分担しろというような横暴な要求を出しておるわけですけれども、一体年内妥結の可能性があると御判断なさったその根拠ですが、アメリカがどの点でどのような譲歩をすれば年内妥結をする可能性がありというふうに考えておられるのか、その点をお伺いしたい。
  84. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま調整されるべき赤字幅という見方については、各国意見が一致しなくて暗礁に乗り上げておるというのが実情でございますので、それかというて、これをこのままにしていいかと申しますと、さっき私が申し上げたように、これは決していいことではないというふうに思いますので、そうしますというと、これをやはり何らかの形で妥結しようというからには、もうこういう数字にこだわってこの論議を続けておったら、これは解決を延ばすだけだと思いますので、やはりここで、それとは離れて大局的な立場で、EC諸国もアメリカに対して要望する事項はきめておりますので、その点ではEC諸国の意見もやや一致しているというところまできておるのですから、そういう要望事項についてある程度アメリカ柔軟性考え方を持って今度臨んでもらいたい。そうすればそれによって妥結の可能性も出てくるのだということで、アメリカに特にその問題の考慮を私どもはきのうからいろいろ促してきているということでございます。したがって、これから帰っていろいろアメリカの内部でも意見調整が行なわれるでしょうが、Gテンが今度開かれるというときには、アメリカはいままでと違って何らかの態度をきめてくるのじゃないかと私は思いますので、そうすればそこに打開の余地は十分出てくるだろうというふうに考えます。
  85. 渡辺武

    ○渡辺武君 どうも数字の問題はもうあまり出さないのだという御趣旨の答弁で、これはまことに危険だと思うのですね。  ところで先ほど伺いますと、アメリカは金とドルとの交換回復ということについてはどうも考えていないようだということをおっしゃいましたが、この金とドルとの交換を停止したということ、さらにアメリカは一〇%の輸入課徴金の制度をつくったということ、   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 これが他国に通貨の切り上げを要求するいわば重要な責め道具であったことは、大臣御自身も御存じであったと思います。そうしますと、金とドルの交換の回復をやらないということは、なかなかこれは、アメリカは頑迷な態度を依然として堅持しているというようにわれわれには判断できるわけですが、ところが、先ほどの大臣の御答弁では、輸入課徴金については弾力的な態度をとるようだというように言っておりまして、これも何らかの引きかえ条件をもって、アメリカがやはり課徴金の問題を考えていると思うのですけれども、この弾力的だということの内容、引きかえ条件、この辺をどういうように思っておられるのか。
  86. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) アメリカのいままでの国際会議における態度は、自分のほうは各国に何らの要望もしない、各国に別にこうしろ、ああしろという平価調整についての要望はしない。自分のほうはするだけのことを政府としてしておるのだから、あと各国相談していろいろな対策を、強力な対策を考えてもらいたい。で、それが話がきまったようなときには、課徴金考えるというのが向こうのいままでの態度でございましたが、欧州諸国はそうではなくて、それを取るということを先にきめてくれなければ、国際間のこの調整がまとまらないのだというのが欧州考えで、そこらにいままで食い違いが非常にあったのでございますが、ここらについては、問題はそういうところにきているんですから、アメリカが何らかこれの弾力的な、弾力性を示すのじゃないかというようなことを私どもは察しているというだけでございまして、    〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 こうする、ああするということを、いまアメリカ態度は明確にはしておりません。
  87. 渡辺武

    ○渡辺武君 時間がないので具体的に伺いますが、アメリカはそういう態度だと、相当頑強な態度、だとすれば、今度は早期妥結のために日本はどういうようにすればいいのか、たとえば、円の切り上げの問題ですが、大臣、昨晩の衆議院の大蔵委員会で、対米、この通貨調整ですね、基準レートの調整、暫定的にそういう措置が好ましい方向だというような趣旨の御答弁をなさっておられますが、それに加えて変動幅の拡大という形で当面乗り切れるんじゃないかという予想も新聞などに出ておりますけれども、この辺はどうですか。
  88. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は、変動幅の拡大ということには限度がございますし、それだけではこの事態は乗り切れないというように思います。
  89. 渡辺武

    ○渡辺武君 いやいや、態度ですね。アメリカに対する基準相場の暫定レートをつくってやっていくという……。
  90. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それがさっきちょっと触れましたように、対米だけの問題ではない。ドイツ、フランス、そのほかと、米国とのこの比率の問題を考えまして、それと均衡がとれたものでなければなりませんので、そういう点から見ますというと、単なるワインダーバンドだけでドルと円との関係が処理されて安定するというような事態にはならないだろうと思います。
  91. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に一問だけ。すでに、円の変動相場ですね。これはIMF方式で九・五四%というように、きのうあたりの新聞に出ておりましたが、ところで、アメリカは一〇%の輸入課徴金をかけているわけでありますから、円のアメリカに対する切り上げ幅というのは、これは九・五四%よりもはるかに大きいというように私ども考えておりますが、その点大臣どれくらに、実質上いま円はアメリカに対して切り上げになっているとお考えになっておられるのか、これが第一点。  もう一点は、これは私は、やはり円が単独切り上げに事実上追い込まれている。その姿だというように見ざるを得ないと思いますけれども、その点について、大臣はどういうようにお考えになっておられるのか、これが第二点。  それから第三点は、先ほどアメリカとの間の貿易収支の問題は大事だとおっしゃいましたが、きのうコナリー長官は、いまの日本不況程度では、まだ不況とは言えないのだというようなことを言って、貿易収支の改善を強く求めるかまえをはっきり示しているわけですが、これとの関連で、日本がいわゆる国際経済政策項目を、これはアメリカ要求に屈服して進めていることだというように見ざるを得ないのですけれども、その点今後も八項目政策を強硬に進める御意思なのかどうか。  以上、三点をお伺いいたします。
  92. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 最後の八項目の問題ですが、これはきのう話に出まして、私が説明しましたが、私が内閣に入る前の方針について述べたんですが、この八項目政府がやることによって、対外均衡をある程度回復する、したがって、円のレートを変更する必要はない、変更しないという方針のもとにこれまで政府はきたんだと、しかし、実際においてこれはもっと早く行なわれればともかくとして、それがなかなか実行に移されなかった間に、こういう不均衡を起こしてしまったんで、こうなった以上は、ある程度円の切り上げというようなことについて、政府もこれはもうやらなきゃいかぬということを考えているんだが、もともとこの八項目というのは、そういうものをやらずに済むという目標のもとに日本自身できめた問題だから、これは依然としてこの方向はずっとやっていくというんで、それがもしできるということになるというと、この方向ほんとうにやるだけでも、ある程度対外均衡というものはよくなるはずだというようなことについて私は説明しましたが、これはアメリカに強要されてやっている政策では全くございません。だから、もうそれ以前に政府がやろうとしてきめた政策がなかなかうまく進んでいかなかったというだけのことでございますが、さらに今後これは関税の引き下げにしろ、いろいろやるべきことは予定どおりこれからだんだんにやっていくつもりでおります。  事務的なことは局長から……。
  93. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいまの御質問の、現状において為替市場、東京市場で円がIMFの方式で九・五ぐらいに実際上切り上げになっておる、それに課徴金が一〇%というのがございますけれども、これを合わして考えるとどのくらいになるんだということでございますが、この課徴金のほう、レートの幅で計算いたしますとどのくらいのあれに当たるのかという点は、いろいろ、必ずしもはっきりいたさない点もございます。御承知のとおり輸入課徴金のほうは、日本から申しますと輸出だけにかかる問題でございます。それから品目別にも、かからぬもの、かかるものいろいろございます。それからまた御承知のとおり一〇%と申しますのは最高限でございます。したがいまして、それは具体的にそれじゃどのくらいになるんだという点につきましては、実は率直に申しまして非常に計算がむずかしいということでございます。
  94. 渡辺武

    ○渡辺武君 そんなことも計算してないんですか。  単独切り上げの問題はどうですか。
  95. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 単独切り上げの問題につきましては、先ほど大臣がお答え申し上げましたようなことで、これは日本が対ドルだけで特に何か別途にレートをきめるというようなことは全く考えておりません。これは先ほど大臣の御答弁にもございましたとおり、全体としてのこのヨーロッパ通貨その他の各国通貨間の多角的な問題でございますから、そういうものと合わせてでないときめがたいということでございます。
  96. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 渡辺さん、時間がきましたので……。  ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  97. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記を起こして。
  98. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大臣に、あしたから所得税に関係する法案の審議に入るわけですが、特別措置法も入りますね、それから農業共済の再保険問題、三法がかかってくるわけでありますが、あしたは大臣が出られないというような話だものですから、これは委員長、あした税法等の審議をするにあたって資料要求をしておきたいんですが、一つは、四十七年度の予算の規模、そのワク組み、これについて一つ。もう一つは、国債の依存率、これは四十七年度でどの程度で、それから補正で何%になるか、この二つ。それからあとは、四十七年度の自然増収の見込み額、それから公債発行の見込み額、それから税金のほうでは所得減税の見通しがあるのかないのか、その辺の見解をひとつ資料として出していただきたい。  もう一つは、来年度増税体制が必ず私はしかれると思うんですが、新規増税、こういうものは考えておられるのかどうか。それからもう一つは、増税の総額見通し、あればですね。  もう一つは、税外負担、これはひとつ質問でやっていかなければむずかしい問題ですが、国鉄運賃値上げをするのか、消費者米価をどうするのか、医療費をどうするのか、でき得ればその辺は税制等を検討する前哨として当然これは問題になっていかなければいけない問題ですね。で、大臣が出られないというから、何かくふうをしてその辺の見解を大臣説明がいただければ幸いだと思います。  以上、資料としてお願いいたしたいと思います。
  99. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この来年度の予算編成につきましては、先ほど申しましたように、まだ経済見通しもできてこないという段階でございますので、予算のワクやそのほかがまだきまる段階ではございませんし、この資料はいまのところ無理でございます。  ただ税制についてはどうするかといういろいろ考え方、検討している問題もございますので、それは主税局長から御質問によってはお答えできると思いますが、しかしまだ、政府としてはもちろんですが、大蔵省としてこういう方針でというものが、指標らしいものをきめる段階には全然至っておりませんし、国会に十二月二十五日までくぎづけにされるということで、予算編成がおくれてはならぬと思って、いま非常にいろんな作業を急いでいるところでございますが、まだもう今月一ぱい少なくともたたない限りは、いまおっしゃられるような資料というものを、責任をもってこの委員会に出すというところまで私いかないというふうに思いますので、その点はあとからまたいろいろ御相談によって出せる範囲内のものということにしていただきたいと思います。
  100. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大臣の見解わからないでもないんですけれども、今度の減税は、十五カ月予算でしょう、補正で組んできて。ですから当然この通常国会に持ち込まれる一般予算と並行していくんですよね。その辺のことがわからなければ、この税制の審議というものはなかなかむずかしいと思うんです。そういう意味合いで私は言っているんであって、それから予算編成は少なくとも十二月にはやる、片やこれ税調も再答申をするというのでしょう、だから十二月にはほとんど予算編成体制に入らなければ——告示はいつされるか、内示はいつされるかは別にいたしまして、そうでなければこれは予算編成といってもできないんじゃないですか。来年に持ち越すなら別ですよ。そういう意味合いにおいて非常に密接不可分の関係にあるわけですから、私はそういう資料を要求しているわけです。ここを、審議する立場からすれば当然差し示してもらわなければ、これは審議にならないじゃないですか。いかがですか。
  101. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ですから、まだ最後的な考えでなくても、こういう程度考えはいまのところしているというようなことについては適宜お答えいたしますが、資料としてどういうふうな形で出すというのは、ひとつ御相談で、あとから、この程度のものとかなんとかいうのは、もう一ぺん相談させていただきたいと思います。  それからもう一つ、私からちょっと訂正のお願いがございますが、いま渡辺委員の質問中に、日本アメリカからの輸入、昭和四十六年の一月から九月までの輸入は一%程度減っているというのは一〇%の間違いでございましたので、訂正いたします。
  102. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 委員長にぜひいまのことは検討していただいて、それからきめていただきたい。  それから大臣、原則的にはいまの審議に関係した資料は提示をしていただくと、こういう原則的な立場での、その上に立って委員長なり理事でいろいろ検討してもらう、こういう運びでひとつ御了承願いたいと思います。大臣、いかがですか。
  103. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ですから、具体的にこの程度ならどうとかいうようなものは、事務当局の局長が一番よく知っておると思いますので、そこで御相談していただきたいと思います。
  104. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大臣ね、事務当局の関係はわかるんですよ。政策的な問題ですから、どうしてもその辺のおおむねの見解を示してもらわないといけません。そういう意味で大臣に要請しているんです。それでひとつお願いします。
  105. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ただいまの戸田君の御要求に対しましては、委員長、理事そのほかにおいてよく検討いたして、できるだけ善処したいと思います。それでは、よろしゅうございますか。
  106. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 はい。
  107. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  108. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記を起こして。
  109. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣が帰られたから、これはあまり——ほんとは大臣に聞くべきことですから、意味がないように感じますが、事が事柄だけに、稲村局長並びに政務次官に若干私伺っておきます。  それは、先ほどぼくが資料要求のときに申し上げたように、新聞等で明らかなとおり、三十九億ドル売り逃げをしたと、それから朝日のほう、これ同じくそのためにやはりもうけた者がいるとか、そのもうけがしらが三井物産であると、こういうことが同じ日の新聞に出ているんです。出ていますね。この中で私ども特にこの際聞いておかなきゃならぬのは、大蔵省が——だんだんドル・ショック以来ドルの売りが激しくなったわけですね。したがって、それに対処せねばならぬということだと思いますが、八月の十九日に大手為銀——四つの銀行ですわ。それから大手の商社九社の立ち入り検査を為替検査官によって行ないましたね。通常でありますれば、検査官十六人も動員してやるということはないですね。ですから、異常な状態だと私は思うんですが、その結果、この新聞によりますれば、商品名を「雑貨」と記して、しかもこの架空の輸出の前受け代金を受けているものが四十九件もあった。四十九件。これは為銀の関係ですよ。それから仕向けの地名をただ単に「北米」とだけ書いて、これは普通輸出入の場合、通常で考えたらこれはでたらめだと思うんですが、こういうでたらめなような輸出の前受けが五十一件もあったと、こう書かれているんです、新聞にね。これはいままで大蔵省から明らかにされておりませんが、これは事実ですか。局長のほう、先に聞いておきますがね。
  110. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいまのお尋ねの輸出前受けの件でございますが、この点につきましては、先般御要求によりまして輸出前受け金の検査結果の資料を提出いたしておりますので、その点につきまして、表示がまあ「雑貨」と申しますか、「ゼネラル・マーチャンダイズ」と、「商品一般」というような表現のものがあった。それから仕向け地が特定の所でなくて、若干、二カ所あるいは三カ所にわたっておったというようなものがあったということにつきましての結果につきましては、資料で御提出申し上げておるわけでございますが、これにつきましては、輸出前受けということ、そのものの性格と申しますか、この問題が、輸出の関係で通産省の問題でもございますので、通産省とも打ち合わせ、いろいろ検討をいたしておったわけでございますが、まあこの「ゼネラル・マーチャンダイズ」というような表示とか、あるいは仕向け地が若干、二つあるいは三つという所にわたっておったものというのが、これが全部いわば一種の投機的な輸出前受けを仮装するためのそういうものであったかどうかという点につきましては、従来の商慣習等からいたしまして、こういうようなやり方のものも商慣習としてあったということでございますので、これがそれだけで非常に何といいますか、違法であるとか、あるいはこれが投機的なものであったという判断をいたすわけにはまいらないと存じます。  そういうものでほんとうにやはり一種の投機的な目的というものが、あるいはこういう中にあったのかもしれないという点は考え得るわけでございますが、こういうものをそれだけで、これは違法なものであるというふうには即断できないものではないかというふうに判断をいたしております。
  111. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あのね、局長、ぼくはいまあなたが答えたようなことを聞いているわけじゃないんだ。  十月の三十一日の読売新聞と朝日に件数が出ていますよ、いまぼくが言ったようなね。これは事実かどうかということです。しかも、君のほうの検査官が検査したわけだからね。その結果が出ているので、それがほんとうかどうかということだけ聞いているんで、それが投機的なものであったとか、あるいはないとか、前受け金の性格がどうか、聞いているわけじゃない。前受け金の性格は、わが国の通常の商取引で考えてみれば、融手のようなものなんだ、これはね。そういうぼくは性格を聞いているんじゃないんだ。これが事実であるかどうか、こういうことを聞いている。それだけ答えればいいんです。
  112. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) あの新聞に出ております記事は、おそらく御提出をいたしました資料の「ゼネラル・マーチャンダイズ」という表示のものという欄の件数を足しましたもの、それから仕向け地が複数となっているもの、この件数を足しましたものが新聞記事になっているものだと思いますが、この新聞記事において、不審なものがこういう件数あったというふうに書いてございます点は、まさに先ほど申しましたように「ゼネラル・マーチャンダイズ」と書いてあったもの、それから仕向け地が複数となっているものの合計のようでございます。この意味で検査をいたしました結果は、ここに資料で御提出申し上げているとおりでございます。
  113. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 局長ね、もっと自信を持って答えてくださいよ。ようでございますとか、模様でございますというのはどうも自信がなさ過ぎる。合わしたらこれがそうだと、そうでないと、それ答えなさい。
  114. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) いま不確かなことを申し上げて失礼いたしましたが、いま申し上げました提出いたしております資料の「ゼネラル・マーチャンダイズ」のものを合計いたしますと、四十九件でございます。それから仕向け地が複数となっているものというふうに提出資料にございます点を合計いたしますと、五十一件でございまして、まあ重複分が八件ございますから、したがって、それを両方合わせますと九十二件というふうに相なります。
  115. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうすると、これを認めたことになりますがね、その後にこの種の問題が出ていませんか。この調査をしたものは、いま認めましたね。その後にこの種の問題が発生しているかどうか。
  116. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) その後にと申されました意味は必ずしもはきっりいたしませんが、こういうようなことで、変動相場制に移ります前にこういうような事態が看取されましたので、通産省ともいろいろと相談をいたしまして、現在におきましては、輸出前受けというのは、そのまま自動的には認めないという制度を九月からとっておりますので、現在におきましてはそういう意味での輸出前受けの多額の流入ということは起こっていないというふうに理解しております。
  117. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 じゃそれはそれであとで、前受け金の性格であるとか、あるいは先ほど来資料要求いたしましたからね、その資料が出てきてから私は質問いたすことにいたしますが、四十九件と五十一件の事実件数が発覚したわけですね、検査の結果。これに対して大蔵省はどういう手だてをしていますか。
  118. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、この「ゼネラル・マーチャンダイズ」と表示のもの、それから仕向け地が複数となっているもの、それ自体が全部違法であるとか、あるいは投機的なものであるとかということではございませんので、従来の商慣習からいたしましても、こういうものがすでにあったということでございますので、この点はやはり先ほど大臣からも御答弁がありましたとおり、こういうことで一応やっておいて、あとでキャンセルをするとか、そういうかっこうで出てまいりますと、これは初めてやはり投機的な目的でやったものであるというふうになるかと思いますが、その後キャンセルの状況その他につきましては、大蔵省よりも通産省のほうが所管でございますから、そちらから御答弁いただいたほうがよろしいかと存じますが、これ自体では、これで直ちに不審であるとか、あるいは違法であるというふうには申されないと存じます。
  119. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 稲村君ね、君は全部投機的なものではない、全部がそうでないと思うということは、幾らか投機的なものが含まれる、投機的な要素が含まれているという意味にも解釈されるわけですがね。そういうことでしょう。それからキャンセル分については、通産省のほうですからなんて適当に逃げているが、ぼくはキャンセル分を聞いているわけじゃない。具体的に出てきた数字をいま確かめている。いま答えられた中でも、全部が投機的なものではないようです、あなたはこう言う。そうすると、幾ぶんなりともこの中には投機的な要素があるということにも解釈されるので、もしそれがおわかりでしたら、あなたの考え方でけっこうですよ、これは別にあとでぼくは私の見解申し上げますが、だから大蔵省として、現時点で投機的なつまり部分がどの程度この中に含まれているか、その割合をちょっと聞かせてください。
  120. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいまの御質問でございますが、実は「ゼネラル・マーチャンダイズ」と書いてあって、前受け金を受け取って、それを売ったという場合でございまして、ただし、それがそれぞれ実際問題として、その後ほんとうに輸出が出れば、これは投機的というふうには申せませんので、やはりそれは輸出のほんとうの意味の前受け金であったというふうに判断せざるを得ないことだと存じます。  それから仕向け地が複数というものにつきましても、たとえば、アメリカに一応仕向けまして、直ちにそこで売れないときにはヨーロッパに持っていって売るというようなことは、商慣習としてもどうもあるようでありますから、そういう意味におきまして、そういうものが、輸出前受けの期間は船積み前一年になっておりますので、こういうものがほんとうにその一年の間に輸出されてまいりますと、これは投機的なものとは言いがたいわけでございまして、やっぱりほんとうの輸出前受けであったというふうに判断をせざるを得ないわけでございますので、この点がそういう意味でちょっと時間がたってみませんと、ほんとうに仮装したものであったかどうかということがわかりがたいということでございます。
  121. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ちょっと関連して。あのね稲村君、みんなが心配していることは、とにかく七百五十億もうげたとか、八百億片っ方でもうけた、そういうことは国損をしたということなんです。だからそのもうけた人はけしからぬじゃないかと、こう思っているわけです。大蔵省はそう思っておらぬかもしらぬけれども、みんなそう思っているんだから、そういう姿勢で私は検査されるべきだと思うのです。だからあなたのほうは検査項目をきめて、十六名なり何名かを動員して監査されたと思うのです。だからその項目を全部正直に資料として出して、やったらこうなったんだ、そうしたらこういうものがこうなったんだということをただすことが非常に大切だと思うのです。これが第一。  二つ目としては、ドル売りというのは、これで輸出の——日本の為替管理法というものは非常に万全なもので、そんなことがないだろうと思っておったら、締めなきゃならぬ、とうとう締めた。ぼくは、ドルというものはこのままいくと一、二年先にまた落ちてくるだろうと思うのです。当然為替管理法の改正もある程度やらなくちゃならぬだろうと思っているわけです。そういう立場からも、この苦い経験を再び繰り返さない、そういう立場で国会議員としては審議する必要があると思う。ですから私は、ここに銀行局長もおられるけれども、銀行も特別監査をやらなければいかぬですよ。この問題について特別監査をやらなければいかぬ。そしてこういう項目でぴしっとやるということをやらなければ、姿勢が正されないと思うのです。国民は納得せぬと思う。  ですから、あなたにそのことを責めておるわけじゃないですよ、もうけた人はあなたじゃないんだからね、商社や銀行なんですから。どうやってもうけたかということを正直に出す、そういう姿勢がまず大事だと思う。あなたが悪くてやったわけじゃないので、それは法律が悪かったのだ。悪かったからそれが不法でもなければ不当でもない、ノーマルな取引になったかもしれない。あるいは通産省がそう言うかもしれない。だから、そういうことじゃなくて、いま言ったような、そういう姿勢で、みんな心配をして質問しているので、みんなに資料をくださいと、こう言っているのだからね。資料もそういう意味で出してもらいたい。  いま申しましたように、あなたもそれじゃどういう品目で、いつ幾日この銀行はこういうふうにこの問題で調査した、そうしたらこうなったんだという日記的なものでも出てこなければだめですよ。もう少し資料などを的確にお出しになったらどうですか。こんなことをしていたら、いつまでたってもみんな疑惑が残って、おかしなことになる。だから、日銀の井上理事なんかでも疑うというのは、そういうことなんです。ですから私は、先ほど質問資料として竹田君なり、あるいは吉田君から出た、もっと言えば、日計なんか出してもらっても、ほんとうの話は、私らも日計出してくださいと、こう言いたい。ところが、日計なんか出してもらっても意味ない、ほんとうのことを言うと、そんなものは。そうじゃなくて、あなたのほうが、こういう品目を調査した、そうしたらこの銀行なり、この商社では、こういうことの違反があったのだということさえざっくばらんに出してさえもらえば、あとの善処のしかたはみんながするわけです。そういう資料はお出しできませんか。
  122. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 御趣旨は十分にわかってはおるつもりでございますが、先ほど申し上げましたとおり、現行法におきましてはこういうものをそのまま違法だというふうに断じかねるものがございます。  また、これは輸出前受けと申しますのは、現実に輸出として物が出てまいりますと、これはほんとうの前受けであったわけでございますから、従来の、いまの法制上は、これは管理法に違反しておるということと断定するわけにはまいりませんので、その意味で、将来の問題といたしまして、どこに一体こういう点の抜け穴と申しますか、不備な点があったかということを検討するという点は、まさに御指摘のとおりでございまして、われわれのほうといたしましても、こういうものを踏まえまして検討を続けたいと存じておりますが、現実、現在におきましては、八月三十一日からこの輸出前受けにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、全部許可制にいたしまして、まあ一万ドル以下のわずかなものは別といたしまして、許可制に移しておりまして、全面的に許可にかけておると、こういうことでございます。  それから、為替管理の、先ほど大臣の申し上げました点で若干補足いたしますと、投機的なものがなかったということを大臣答弁で申されましたが、これは非居住者の投機資金と申しますか、まあドイツその他で起こりましたような、外国人が非常に円を買ったというような意味での投機的な資金の流入というものは、これは厳重に監視をいたしておりまして、その点においては、結果から見ましても、投機的な資金の流入というものは、まあほとんどなかったというふうに考えられますが、このいまの輸出前受け金と申しますのは、居住者の行為に基づくものでございまして、この点が確かに現在の為替管理制度におきまして、一つの抜け穴であったということは、今回の問題で非常に明らかになってまいりましたので、この点は先ほど申しましたとおり、現在においてはとめておりますが、今後も大きな問題として検討を続けたいというふうに存じております。
  123. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、しろうととして、あなたのほうが、たとえば、輸出前受け金の例だけ一つとりますと、だれが何月幾日に幾らのものを出す、その会社はどことどことの契約であるということがびっしりなるわけでしょう。単価から数量から、船積みするのはいつだということがびっしりきまるわけですね。それをあなたのほうは、どの点とどの点とをチェックしたら、これが正常なものか、正常でないものかということは、商取引としては、前受け金制度というものがありますんですよ。だから、それはそれでいいんです。全部が私は不法だとは決して言わない。またそうは言いたくない。そこであなたのほうは、こことここのこの点はチェックしたのだ、そうしたらこの点についてはおかしいものが出てきた、この点についてはおかしいものが出てきたという、そういうチェックしたもの、その件数を資料としてお出しすることができますか、できないのですか。
  124. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) それは、実は検査が全部の銀行、全部の商社につきまして、とうては検査をいたす人手もございませんし、あれでございますので、非常にアトランダムな検査ということにならざるを得ませんので、たまたま検査をいたしました結果、たとえば、どこの銀行で、どこの商社であるということを申し上げますことは、これは今後の検査に非常に支障を来たしますので、この点は御容赦願いたいと思うのでございますが、その内容につきまして、たとえば、一つの前受け金の、これは為替銀行が確認をいたしますと、その点でわかるわけでございますが、確認をした結果をひとつずっと追跡していって、はたして、ほんとうの前受けかどうかというのを調べるということは、ひとつのあれであると存じますが、そうしますとその件数はわかります。その点につきましてはわかりますが、なかなか全体についてそれをいたすと、検査をいたしましたものについてだけでも、それをさらに続けてまいりますということは、なかなか人手の問題もございまして、むずかしゅうございますので、この点はもしそういう意味で、さらに不備な点がございましたら、その資料を、いまのように検査をした相手の名前をあかしがたいという点を御容赦願えますならば、さらに必要な資料についてお出しできると存じますが、そういうようなことで、必ずしも各行ごとに一つの取り引きをとことんまでずっと追求していくということによりまして得られる、わかります点というのが、必ずしも、非常に特殊なケースもあると存じますが、どのくらい一体あれがあるか、ちょっといまのところ判断いたしかねますが、御趣旨のような線に沿いまして、前受けのキャンセルとか、輸出契約のキャンセルとか、そういうことが出てまいりますと、これは通産省のほうの検討の対象になり得るわけでございます。  そういう意味で、ほんとうの意味の前受けであったかどうかということの判断も、そういうことによっていたすよりほかないのではないかというふうに存ぜられますが、いまのような一つのケースについて、さらに追求していくということも、まあそれは全体に対していたせれば、一つの大きなあれが出てくると思いますが、なかなかこれは人手の関係その他もございまして、むずかしいという点も御了承いただきたいと思います。
  125. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私が聞こうとしたことを、関連で成瀬さんが聞いたんですが、どうも答弁が依然として釈然としません。しかも、私ども大蔵省の方たちが、このことによって金もうけしたとかなんとかちっとも考えておらぬわけです。この新聞を見ると、解説でも、非常に資料そのものについても疑惑があるというんですよ、新聞国民の世論喚起の機関でしょう。ですからその疑惑を解かなければならぬのですね。どうも私自身もまだ疑惑が解けない。なぜかというと、あなたの答弁がそうなんです。  さっきもちょっと触れたが、十一月の九日の、今度は朝日ですが、これを見ますと、大手四社の決算状況が出ています。やはりでっかく「〃売逃げ〃たのに」、こういう見出しで、これはドルの売り逃げのことを書いてある。これと、あなた方からいままで出てきた前受け金の資料ですね、これを見ると、期せずしてぴったり一致するんですね。だからこそ、この十月の三十一日の新聞でですね、大蔵省がさんざん国会への資料提出を渋ってきたことを考え合わせると、大蔵省と大企業との癒着が具体的にここに端的にあらわれてきたと、こう見られてもしようがないじゃないかと、こう書いているんです。私もそう思うんです、この関係だけ追っていくと。いまのこの成瀬さんへの答えに対しても、まだはっきりしません。  それから、金融局長、ぼくはここにちょっといま週刊誌を持ってきましたが、週刊東洋経済というのがございます。十一月の十三日号、この中の七一ページ、これは全部読みますと時間がございませんから、委員長に迷惑かけますから読みませんが、やはりこのくだりがありますよ。で、大蔵省はいろいろ資料を出し渋ってきたけれども、最初はちょっと先ほどの時間にぼくが触れましたが、九月二日に戸田委員がこの問題について指摘しております。そうして今度は十月の五日に参議院の決算委員会で社会党の和田君がこの問題を指摘して、例のA、B、Cのアルファベット符号で出てきた。それから十月の十二日に、これも社会党の松井議員、それから共産党の渡辺議員もこの席上で触れているんです、触れているんですよ。その時に、ややいいかげんなものであるけれども、やや全貌がわかるような程度のものが出てきた。最後に、この間の衆議院の予算委員会でこの問題を指摘されて、私は先ほどから一片の紙切れだとこう言ったんでありますが、いま私が指摘しているような新聞等でも「大ざっぱな資料、疑惑は消えず」、こう書かれるようなものより出ていない。  この東洋経済というのを見ますと、ある為銀の首脳は、何で大蔵省は公表したのかあれだけの資料では片手落ちだ、中途半ぱで、かえって疑惑を深めるもんだと、たいへんな不満をぶちまけている、ここで。だからやっぱり、つまりそういう関係者が不満だというなら、不満なようなものを明らかにあなた方承知しているなら出すべきです。一面、私ども国民の側は疑惑を持っているのだから、この疑惑を解消するために、あなた方は出さなくちゃならぬわけでしょう。それを関連質問で成瀬さんは聞いているわけだから、ぼくは聞こうと思ったが、関連で出ましたからダブったこと聞きませんが、これを出してくださいよ。  それから君も見たと思うよ、この雑誌を。この一五ページ、これは一体何ですか、この一五ページ。これは非常に問題ですよ。この一五ページに書かれておりまして、「ドル売り追及でなめられたか国会議員」、こうなっている。ここで、「当初、大蔵省は資料要求に対してA・B・Cと実名を伏せた資料を提出し、お茶を濁そうとした。大蔵委員会だけならば、“大蔵省シンパ”も多いのでなんとか切り抜けられそうな気配だったが、衆院予算委できびしく催促され、ハタと困った。事務当局はA・B・Cであくまで通そうとしたが」、ここに写真が入っています。こぶだけが非常に印象的に出ておりますが、似顔が。「国連、中国で大ゆれの予算委審議を“円問題”でさらに紛糾させたくないという政治的決断から「実名を出してもいいじゃないか」といい出した。」  このあとが問題だ、このあとが。驚いたのは大蔵省内、金融局——金融局長はあなたでしょう。あんたも驚いたんだ、これ。驚いたのはしようがない。「国際金融局は「実名を明らかにしてしまうと、これからの為替行政が行ないにくくなる」といい、銀行局なども「これが前例」——そこに銀行局長もいますがね、「「これが前例になって、実名による資料をつぎからつぎへと要求されたら困る」と強く難色を示した。だが、大臣の意向がOKとあってはやむなし。」そこであなた方大蔵官僚は何を考えたかということがこの末尾のほうに記されているんでありますが、ここにちゃんと輸出の前受け金、こういうものがちゃんと出てきます、出てきますね。同時に一番私はここで問題にしなければならぬのは、私個人じゃありませんよ、ここに書いているのは、これはほんの、そのくだりだけ読みますが、「大蔵省の作戦がアリアリと読みとれる手口。大蔵官僚の中には「なーに、これだけの資料でつっこんだ質問ができるほどの勉強家は国会議員の中にいるかなア」とナメた発言をする向きもあったが、このへんで実名を」あの段階で公表しても何ら影響ないという陰の真意があった。  これはいまあれですよ、東洋経済というのの一五ページの全部じゃないですよ、いま読んだのは。その関係のくだりを読んだ、どうですか、これは。こういうあなた方に考え方が出たから、いまの成瀬さんの質問に対しても、どうものらりくらりしている。資料を出す姿勢になっていないんじゃないですかこれがやはり新聞紙上にトップ記事を出される、疑惑が解けないと言われている原因じゃありませんかどうですか。あまり国会をなめちゃいけませんよ、国会をなめちゃいけませんよ。ですから、いままで各商社の実名をあげたけれども、そのあとに先ほど来私たちが要求した資料が出てこなければわかるはずがない。ないから実名を明らかにしても、これ以上質問を続行してこれを明らかにできるような国会議員がいないじゃないかと、こういうことを言って、きわめて不謹慎な、国会議員を小ばかにしたようなことをあなた方やっているじゃないか。どうだ、これは。政務次官どうです。これは大臣がおれば私は大臣にこれを聞くんですがね。まずこの点は政務次官答弁。それからその他の資料については金融局長、君が答えなさい。
  126. 船田譲

    政府委員(船田譲君) ただいま吉田先生並びに竹田先生から資料の御要求があり、成瀬先生からも関連の御質問がありました。実は私も去る十月十二日の委員会のときに、資料の関係で御答弁を申し上げたことがございますので、同じように責任のあるものと考えております。  さて、先ほども国金局長が申しましたように、大臣も、いま吉田先生の言われたように、固有名詞をこの際むしろ出すべきだという御指示がございましたから、私どもも三十日に固有名詞を出したわけでございますが、八月十九日の段階で、また十月十二日の委員会の段階で、たまたまあの時期に検査いたしました四つの外為銀行、九つの商社につきまして、その名前を明らかにいたしますことは、局長申しましたように、全部悉皆調査をしたわけではございませんから、一部の銀行、一部の商社のみの名前を出されるという形になりまして、不公平のそしりを免れないということで考えましたので、あのときもそういう御答弁を申し上げて、A、B、Cでごかんべん願いたいということで二十五日の資料を提出したわけでございます。しかし、二十五日の資料になりまして、わが国のおもな外為銀行十四行、おもな外国商社、総合商社十社のすべての数字が出てまいりまして、このトータルの数字を個別にどこが何ドルということを出しますことは、不公平のそしりは受けないであろうという判断をおそらく大臣なさったのであろうと思いますが、そこで名前を出してもよろしいということになりましたので、三十日に予算委員会に名前を出すということでございましたが、私はその前に、大蔵委員会で衆参ともに名前を申し上げないできておったのに、先に予算委員会に出されることはまことに私としては合点がいかぬということで、非常に、実は私個人の意見でございますけれども、たびたび反対いたしたんでございますけれども大臣のたっての御指示がございましたから、それでは両院の大蔵委員会にまずお示しをして、それから予算委員会に出したいということでああいう資料の提出をいたしたわけでございます。  さて、これから先のことでございますが、先ほども国金局長大臣が申しましたように、できる限り資料の提出に努力をするつもりでございます。ただ姿勢の問題でございますから、私からあえて申し上げるんでありますけれども、決して私は日本の大蔵省が、大手の為銀及び商社と癒着をしておるという姿勢はないと内部にあって感じております。ただ私自身が外国為替の全くのしろうとでございますから、資料のどういう点についてはどうだということにつきましては、ここでつまびらかにお答えできませんけれども、これは局長のほうに譲りたいと思いますけれども、そういう根本の姿勢はあくまで国益を守るために大蔵官僚一生懸命やっておるということだけは申し上げておきたいと思うのでございます。
  127. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 私どもの姿勢といたしまして、これはまさにいま政務次官から御答弁がございましたように、その週刊誌でいろいろと何か出ているようでございますが、全く私自身としてはそういうあれは全くございません。できるだけ、物理的に不可能なものはこれまた別でございますし、また検査その他、いま政務次官が申されましたような意味で、実名をあかすというものが不公平にあたるというものにつきましては、これは御容赦願いたいと存じますが、そうでないものにつきましては、この疑惑を明らかにするという意味で、これは前向きにできる限りの資料をつくりまして提出申し上げたいというふうに存じております。
  128. 渡辺武

    ○渡辺武君 関連して資料要求、一言だけ。  いま問題になっております検査官の立ち入り検査の結果ですね、この前いただいた資料では、ぼくの記憶ですと十月二十日までの調査の結果の資料なんですね。それで、それ以後にも立ち入り検査やっているはずです。ですからそれもひとつ立ち入り検査の結果を追加して資料として出していただきたい。  それからもう一つは、やはり立ち入り検査のいままで提出された資料を見てみますと、非常に疑わしい。ですから、これはどうしても固有名詞をつけて、銀行、商社——A、B、Cで出ておりますけれども、固有名詞をつけて発表していただきたい。この点立ち入り検査の問題については資料要求として申し上げたい。  それからもう一つ。この前いただいた資料で、為替銀行の外貨資産ですね、外貨資産のポジションについての七月末、八月末の資料いただきました。しかし、これはもう私ども要求したのとほど遠い資料です。先ほども吉田委員から、議員の中にわかるやつがいるかというようなことを、不遜なことを言っているようですけれども、大体、要求した資料も正確に出しもしないで、そんなことを言うのはけしからぬですよ。あなた方ね、この七月末と、それから月中の検査もやっているはずですから、八月の十五日と、それから八月末について為替銀行の外国資産負債がスクエアしていたかどうか、円転換規制の中でスクエアしていたかどうかということを示す資料を提出してほしいと思います。いいですか、七月末とそれから八月、これは月中もやっているはずですから、八月の十五日と八月末と、いいですね、外為銀行の外貨資産負債がスクエアしていたかどうかということを示す資料を提出してほしいと思います。
  129. 船田譲

    政府委員(船田譲君) 一点だけ申し上げたいんですが、先ほど来、ある雑誌に、大蔵省の公務員が国会議員を愚弄するようなことばを言ったかのごとき記事を引用せられておりますけれども、私の知ります限りにおきましては、そういうようなことを申した者はございませんし、われわれも、この大蔵委員会は、特に金融財政につきまして権威のある委員会と考え、各役人もそのつもりでおりますことを申し上げておきたいと思います。
  130. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 私から申し上げます。先刻来吉田先生並びに成瀬先生、渡辺先生、各先生からいろいろ御指摘があり、御心配をされる点も全く私もごもっともだと思うんであります。その点については極力これを解明しなくちゃいけません。そういう意味において、資料の提出について、どうぞいま船田政務次官からもおっしゃいましたけれども、積極的な姿勢でやっていただきたい。  なお、その要求資料の提出の問題につきましては、さらに委員長、理事会において具体的にいろいろ打ち合わせもいたしたいと思います。
  131. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 資料のことについてそれでけっこうです。  それとあわせて、いまの、国際金融局長は週刊誌を読み上げたのですが、ぼくは捏造して言っておるわけじゃない、そのまま活字を読んだのですが、私はそういう覚えはありませんし経験ありません、こう言っているんですね。たいへんな問題ですよ、これはね。これはあなたお読みになったでしょう、なっていませんか、見てくださいよ。ここには、この記事を書いた人が「Z」というペンネームで記載されていますがね、まず読んでいただくということと、それから、これはかなりの雑誌ですから。委員長、資料を出すということと同時に、これはひとつ真相を究明してください、委員長、理事会において。そうすると、私はまあこれできょうのところはやめたいと思います。きょうのところは。  再三くどいようだけれども、私どもはここで国民的立場に立って疑惑を晴らそうとしているわけですよ。あなた方をいたずらに痛めつけてやろうなんという、そういうけちな考えを私は持っているわけじゃない。ですから、そういう意味で、資料を出すものは出す。これは委員長もいま先ほど計らいをいたしましたから、私はこれを了といたしますが、具体的に前の新聞に書かれたものが、十一月の九日になって、大手の商社四社が九月期の決算をやっていますよ。この中に、あなた先ほど来くどくどしく何かわかったかわからぬような答弁をしておりましたが、そういうことをいたすことが、国会答弁としては常道だなどというような昔流の答弁をやっていたんですが、とにもかくにもこう書いていますよ、ここの中にも。為替損がそれぞれ数十億あると、あるけれども、この決算は好況時代の積み上げてきた内部保留、それと問題の輸出前受け金などを利用して穴埋めをした、まさにこれは外貨の売り逃げがものを言って、しかも配当は堅持されているわけです。あなた方もご承知のとおり、これは資料にも出ていますが、三菱の商社は五千九百万ドル、それから三井物産が三億三千百万ドルですよ。丸紅飯田が一億四千二百万ドル、伊藤忠商事が六千百万ドル、こうちゃんと出ているんですよ。三菱の場合は約三十億円、伊藤忠十四億円、丸紅飯田十億円、それぞれ新聞の決算状況を見ますと吸収しているんですね。ですから、幾らあなた、それは不公正な投機的なものであったかないか、一年経ってみなければわからぬ、契約が一年ですから、一年の経過を見なければ追跡ができない。こう言っていますけれども国民の側から見ると、すでに、これは次々に何回も順を追って、しかも何カ月も経って出たわけじゃないです。十月三十一日から、あるいは十一月の九日という、わずか十日間の間に次々にこういう問題が出ているのですから、どうしてもやはり、これは私のみならずそういう疑惑を持たれますよ。そうしておって、先ほど読み上げたような、こういう国会議員を小ばかにしたような記事が載ってきたら、一体どうなりますかね、金融局長。ここを晴らそうじゃないかと言っているのです。ぜひひとつ、先ほど大臣答弁したように、この際は大蔵省は姿勢を正して、積極的に国会の資料提示に応じて、国民の負託にこたえるべきだと思うのです。おどかしじゃありませんよ、こんなことをのろのろやっていますと、やがてあなた、水田さんの問責決議が出てきますよ。これはおどかしじゃない。わかりますか、この点。ぜひそういうことにしていただきたいことを重ねて申し上げて、私の質問を終わります。
  132. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  133. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記を起こして。  本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  次回の委員会は、明十二日午前十時から開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十六分散会      —————・—————