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国務大臣(
田中角榮君) やみ織機の問題、非常に問題になっておるのでございますが、いま慎重に検討いたしております。これはもう慎重にということ以外にありません。この種のもう特性でございます。私もよく知っておりますが、父祖三代にわたっておりますと、とにかく十台持っている者は、五台は蔵の二階に置いておきたい、こういうことでございます。これはもう、出したがらないのであります。そのうちにいいときがあると。こういうことがずっと過去続いてまいりましたから、そういうことでございますが、私はそういう
状況では今度はないのではないか。先ほど申し上げたように、いまの織機そのものがもうスクラップ化の運命にある。これは、構造改善をやっていけばほとんど全部が入れかえなければならないような織機そのものを、蔵の上へ上げておって、また時が来たらうまくやろうというような、もう、そういう情勢ではないと私は思います。ですから、今度は織機は、買い上げの対象になれば全部さらけ出してくるなという感じでございます。そのときに、無登録のものは一切受け取れぬ、買わぬということができるのかどうか、それが一体、救済
対策になるのかどうかという問題もありますし、今度は、買った以上、これからふやされてはかなわないので、これをどうするかという問題があるので、そういう
一つだけでもって片づかないのです、そこらは。なに、
政府はせつなくなれば買ってくれるから買っておけということになれば、これは国民の税金を使うのに、そんなに甘く使えるはずはありません。そういう
意味で、現にある織機を、まだその中で全部登録しようとしていない、幾らか登録して、幾らか無登録のままにしておこう、こういう業態のむずかしさからくる問題でもあるし、これは
業界の歴史的な問題からくるものでありますので、これは慎重に検討いたしておりますので、結論はいずれにしても出したい、こう思います。
それから第二の、七百五十一億はもう全部大体うまく出ておりますし、この中で六百億の融資も、十一月で四百億以上出ましたので、これは十二月の年末までには全部出る、こういうことでございます。それから五万三千台の買い上げ、百十一億に対しては、これはむろん順調に進んでおるということでございます。ただ、先ほど御指摘のように、いろいろな週刊誌などのグラビアで紹介をされて、ほんとうにいい気持ちではない、こういう問題が残っておりますが、いずれにしても予算は執行せられております。
それから四十七年度予算につきましては、いま大蔵省に折衝中でございまして、ざっくばらんに
国会で御答弁申し上げておりますように、二千億、それは、私自身がこの種の問題のむずかしさを前提として考えた金でございますが、まあ対
米輸出が六億ドル弱でございますので、ラウンドな
数字で申し上げると二千億でございます。一年間全部、年間五%ずつ減っていけば綿製品よりも減るわけです。四%ずつ減れば綿製品と同じくなるのです。そんなにはしませんと、こう言っているのですが、いずれにしても、理由のいかん、状態のいかんを問わず、
政府も
国会も、この
繊維の救済に対して一年間の対
米輸出の全額くらいのものをやれば、いかに何でも理解はいただけるだろう、政治というものはそういうものだという私の考え方に立って二千億、こう言ったわけであります。これは大蔵省も、相当荒らっぽい議論であると言っておりますけれども、二千億から七百五十一億引けば、大体千二、三百億になるわけでございますから、これは千二、三百億何とかしてくれ、その中で織機
対策十万台、二百五十億は、もう私は
国会で答弁しているからこれは
法律だ、こういうことで大蔵省と話をしているわけですが、二百五十億の十万台に対しては、これは
承知いたしましたと、これはもう予算編成前であっても、けっこうでございますと、こういうことでございますが、そのほかに、まあその千二、三百億をどういうふうに計上できるのか、それが年度間というよりも、先ほど申し上げた
業界のむずかしさであるので、ずっと後年度に、これで済むわけじゃありませんから、
業界は四千八百億と、こう言っておりますし、これは三年間でやれるのか、一年間でやれるのか、二年になるのか、五年になるのか、四年になるのかというものでひとつ計算をしよう、こう言っているのでございますから、これは四十七年度予算編成の間に十分大蔵省と理解を深めてまいろう、こういうことでございます。
それから、借りたい人には金を貸さない、借りられない、これは担保や
ワクがないという具体的な問題でございますが、これは私のところにももうたくさんございますが、今度は工業組合とか協同組合とか企業合同体とか、こういうものがやはりだんだん出てこないと、無担保、無
保証の
ワクをはるかにこしておって、そうして今度出しておる
法律等でもって救済をされる、担保を持っておらなくても信用提供によって借りられるもののその
ワクをこえる金でございますし、時借りとか、生産をするまでの間、物をかかえておる間だけつなぎたいという、つなぎ
資金という問題で、これは個々にみんな違う問題でございます。これは無
制限に無担保、無
保証ということができるわけではないのであって、やはりおのずから限度があるわけでございます。まあ私は、四十七年度予算の中で、どうせ予算案に計上をして、法案も提案をしなければならないというようにきまったものについては、やはりその間のつなぎ
資金をどうして出すのかというので、県とか市とか、ちょうど新潟の燕でもって、三分の一に減る業態に対して何とかスクラップ・アンド・ビルドを進めていくためには、もう地方公共団体が介入せざるを得ないというところまでやっておりますから、いろいろな具体的な救済的な手段を考えていかなきゃならぬと思います。
制度上、無
制限に無担保、無
保証ということは、それは考えられないことであって、ものには際限がある。その際限をどうつかむかということで、皆さんの御意見も
伺いながらやってまいりたい。これはもう無
制限に、際限のない話ということがありますが、そういうわけには、国民の税金を使うわけにはまいりません。しかしながら、限度一ぱい、際限内の問題として効率的なことを考究してまいりたいと考えます。
あと、
国民金融公庫や
中小企業の問題は、私が答弁した問題と同じようだと思いますが、これは具体的な立場から
お答えを申し上げます。
第五点、
日米協定が三年間、たな上げ三年というのは、これはまあ理論的に合う話でございまして、これは何かひとつ通産省でも知恵を出せと、こう言っておるのです。これも全部が全部、三年間たな上げして、転業する人が三年間は転業しないでがまんしてもらうというのでは、ますます混乱するわけでありますから、何か組合とか
業界が整理をして、企業合同をするものに関しては、この
基準の
ワクに入る、いわゆるスクラップにならないビルド部分のものに対してどうするかということは、これは、何か結論を出さなきゃならない問題だと思って、いま検討いたしております。
最後に申し上げることは、石炭のように臨時立法を行なえということでございますが、これは必要があればそういうふうになるわけでございまして、これはまあ
繊維業界の実態というものを通産省はどう把握するかというので、来年度の予算や、
金融や、
税制上どうできるかということで、立法が必要であれば当然いたします。いまも御
審議いただいておるのはそういう
趣旨の
法律でございますから、そういう
意味で、何も立法を避けるような気持ちはありません。
ただ、
繊維の問題は、ここで
お互いにひとつ考えていただきたいのは、まあ、われわれ子供のときから問題になっておるわけです。戦争が始まった
昭和の初年ごろは、安かろう悪かろう、今度は、よかろう安かろうということであって、これはたいへんな問題だ。
日米間だけではなく、日韓、日台、
日本と香港との間をどうするか。中国大陸の問題を考えるときに、避けがたい問題である。私はそういう
意味で、今日これを取り上げて、これがうまく処理ができれば、長い歴史の上から見れば、早くてよかったなということになると思うので、これは私は率直に言って、専門家の皆さんおられますが、去年この問題が起こっておれば、私はもう千億少なくても、まあ出す金の千億じゃないんですが、
業界の苦しみは半分で済んだと私は思います。そういう計算を、いま私は通産省でやっているんです。無責任な
発言はしておりません。私が実際そういうことを考え、それは、石炭においても同じことが言えるわけであります。私はそういう
意味で、まじめな立場で、これだけ両院において注目をされておるのでございますし、
繊維対策に関してはひとつ完ぺきだと言われるものをやりたい、こういう考えであることを念のため申し上げておきます。