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1971-12-14 第67回国会 参議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月十四日(火曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員異動  十二月九日     辞任         補欠選任      藤原 道子君     和田 静夫君  十二月十四日     辞任         補欠選任      藤井 恒男君     高山 恒雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 英男君     理 事                 鹿島 俊雄君                 大橋 和孝君                 小平 芳平君     委 員                 石本  茂君                 上田  稔君                 上原 正吉君                 川野辺 静君                 田中寿美子君                 柏原 ヤス君                 高山 恒雄君    政府委員        厚生政務次官   登坂重次郎君        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        厚生省薬務局長  武藤一郎君        水産庁次長    藤村 弘毅君        海上保安庁次長  須賀貞之助君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度等に関する調査  (美容使用する香粧品許可及び取扱い基準  に関する件)  (原油による海上汚染使用する処理剤の毒性  に関する件)     —————————————
  2. 中村英男

    委員長中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  藤原道子君、藤井恒男君が委員辞任され、その補欠として和田静夫君、高山恒雄君が選任されました。     —————————————
  3. 中村英男

    委員長中村英男君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 大橋和孝

    大橋和孝君 きょうは少しこのマギー・ブークルという最近新しい技法が出てきたようでありますので、そういうものについてちょっと二、三伺ってみたいと思うのでありますが、このユーザーが開発した画期的なワンタッチパーマネント技法という、こういうキャッチフレーズですでに三十数クラス、千人ほどの受講者が終了され、そして、マギーブークル普及講習会という名をもって行なわれておるのが、これは薬事法違反ではないかということが言われておったわけでありますが、この普及活動をまたやめるというようなことも言われておるようでございますが、この間の詳しい状態をひとつ聞かしてもらいたい。
  5. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 御指摘マギー・ブークルでございますが、これは現在日本特許出願中のものでございますが、本年の六月から全国二十二県でもって御指摘講習会をやっているようであります。ただいままでのところ、受講終了者は約八百人、ちょっと大橋先生と多少の違いがあるかもしれませんけれども、八百人ということでございます。講習日数は五日間で、技術の、その講習の際に技術契約と申しますか、二年間のノーハウの契約を無料で講習するといったようなことをあわせてやっているようであります。なお、受講料は三万円。簡単でございますが、以上でございます。
  6. 大橋和孝

    大橋和孝君 これは厚生省薬事課が、暗示的であると明示的であるとにかかわらなくて、誇大的な宣伝その他を禁止している、薬事法の六十六条——誇大広告等の禁止というのに違反しているから直ちに中止するように強く注意をしたと、こういうふうに言われておる。ところが全美環連の代表を招いて、厚生省環境衛生課東京都の薬務部薬事衛生課係官立ち会いで当局からそういうことが申されて、国家基準その他について説明した後に、こういうことが言われたらしいわけであります。この基準で認めてないところの過酸化水素水を第二液に使用する、つまり何かこの技法に対して、薬事法違反になるのではないかということが言われておるわけでありますが、もしこの技法の中で、そういうものを、過酸化水素水を使うということがまあ厚生省基準の中に入れられてないとするならば、私はここらでもっと厚生省は前向きになって、こういう薬が別に害がなければ入れるようにして、そして違反なんかさせないような方向に、もっと指導する方向に逆にすべきじゃないかと私はむしろ思うわけであります。そういうことをたてまえにしておきながら、禁止しているところはどういうところに原因があるか。過酸化水素水そのもの外国でも使われておると私ども聞いておるわけでありますが、もしそうであるならば、そういうものを使わせるようにデータを集めて前向きに指導しても私はいいんじゃないか。むしろ私は誇大にすることをやめさすことはいいのじゃないかと思うし——、こういうようなことを一方では注意をしておきながら、行なわれておるということに私は非常に了解に苦しむのですが、その点はどう考えたらいいんですか。
  7. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 先生の御指摘のとおり、講習会で使われたものは許可になっていないわけでございます。したがいまして、この無許可のものを講習会等で使うということが適当ではないということで、先生御説明のようにいろいろ注意したわけでございます。  第二に、御指摘のように、そういうものを外国でも使われているようだから許可をしたらどうだろうかというようなお話でございます。現在、厚生省のほうでは、パーマネントウェーブのものにつきましては、既存のものにつきましては基準をつくりましていろいろ許可もしているわけでございますが、この過酸化水素水を用いる製品につきましては、いままでのところ申請がございませんでしたので、そういう点は許可が行なわれてないわけでございます。二、三の会社がそういう意向があるということでございますので、申請を待ちまして早急に基準その他の検討をいたしたいと、かように思います。
  8. 大橋和孝

    大橋和孝君 このときの話をちょっと聞いてみると、やはり消費者の側、いわゆる美容界のほうでこの使用する液のこれをかってに使用変化をする。こういうことが行なわれておるわけのようでありますけれども、これが一番問題になるのは、やはり研究をされて開発されて、これがいいといって国の基準に載せられることが必要であって、載せられないのを使用者がかってに変えるということになると、これはまたいろいろな弊害を起こすこともあり得る。いわゆる今度の、このいまの注意の中にも、そういうことのよしあしの以前に、やはり薬事法六十六条の適用をして、そうして今後いろいろ起こってくるところのそういうような安易に使用変化ができるという風潮を歯どめしたり、あるいは事故防止ができるし、またどんどんと次から次にいろいろな問題で基準外のことが行なわれるようなことに対しても、これは無秩序になるわけですから、厚生省としてもとめなければならぬだろうと思うわけであります。  こういう観点から申しますと、私はもう一つ、こういう問題が起こればもっと科学的なデータを集めて、そうして、この薬品がいいものであるかないかということを早く決定をすることが必要だと、業者のほうの話を聞いてみると、それをやってもらう場合には半年も一年もかかるからかってにこれをやっておるのだという話を聞くのでありますが、そういうことになると、薬務行政なり行政そのものも無秩序になるのじゃないか、私はそう言わざるを得ないと思いますが、そういう観点からやはり過酸化水素水を使うことなんか——もういま市販されている薬の中にかなりパーセントの濃いもの、これが一五%、二〇%もするようなものが売り出されているのですから、これも非常にたいへんな問題で、薬事法関係からいってもそれがまだ基準に入っていないのに、そういうものが含まれているものがどんどん市販されている。これを何もしていないということになると、これもまた問題じゃないか。美容師の話を聞けば、そういう無秩序になっているから、むしろこれを歯どめする意味においても、業界の利益を守る意味においても、やはりどんどんとそういう技術を開発していかなければならぬ。私はまた業者のほうから言えば、一つの無理からぬ点もあると思うのです。だから、そういう観点からいえば、これは厚生省としてはこれらの薬、いろいろなものがこのごろ開発されて新しい技術外国からも入ってくるでしょうから、そういうものに対しても対応できるだけのものをちゃんと持っていなければならぬのじゃないか。それからまた、業界なり団体に対しても指導をして、こういうものがいいかどうかということを科学的にデータを出してぴっちりしなければならぬのじゃないか。この過酸化水素水が悪いということは、ああいう濃いものを使えば毛を損傷して将来悪かろう、こういうことで許可されていないと思うのですが、こういう観点からもやはり検査をして、それに対してはどうあるべきかということをしていかなければ私はいけないのじゃないかと思うのですが、その意味ではこういうやり方を、これはもうすべての薬について、薬品について言えるわけだと思いますが、非常に前向きの姿勢がはっきりされてないから、最近では薬品公害、薬なんかの問題でも、いいと言われていた薬がやはり中毒を起こしてたいへんな危険な状態まで起こるようなことがあるものですから、私は薬務行政の中では相当積極的に、また将来開発されようとする、あるいは将来生み出されようとするものに対しても私は歯どめができることの指導性を持たなければいけない。あとからになってこれはいかぬあれはいかぬといっているんではもうおそいと思うんです。もういろいろ髪に使われる薬なんかも、やはりこれによってかぶれたりする人もいます、いろんな体質もありまして。まあこの間うちからいろいろ調べてみますと、それをチェックするいろんなテスト方法あるいはまた注意事項が示達されているようでありますから、まあ一応のことはやられていると私は思います。厚生省もやっていることは認めますけれども、しかし、私はもっといまの時代において、これほどいろいろ技術も開発されるし、薬も開発されるときには、前向きに先に一歩前進をして検査をしておいて、そういうものが出る前に指導をしていくというぐらいの姿勢がなければ私は対応できぬのじゃないかと思うんです。そういう点はいかがですか。
  9. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 先生指摘のように医薬品につきましては、昨今いろいろの問題が起きておりまして、特に新しいものについては、非常に私どもとしては十分な審査が必要であるというふうに考えます。したがいましておことばの中にありました、何か関係者申請しておると、半年ぐらいかかるんで待っておれぬというようなことを言っておるようでございまして、そういうことははなはだ不謹慎な発言だと私はかように考えます。ただ、いま先生が御指摘のように、たとえ部外品であろうとも、いろいろの新しいものがどんどん出てくる、あるいは改良していくということは、これは非常に必要なことでございます。したがいまして臨床上のいろいろの成績等を出していただいて、十分審議して新しいものに対する許可をすみやかにやるような体制をとりたい、かように考えます。
  10. 大橋和孝

    大橋和孝君 特にその点は留意をして、先手を打って一般の国民に被害のないようなことを十分に考えてもらわなければいかぬし、絶対安全だというもの以外はやっぱりやらぬようにしなければいかぬと私は思うわけですから、特にそういう点については注意をしてもらいたいし、積極的にやってもらいたいと思います。  それから、このマギー・ブークルといいますか、これの講習者募集あるいはこの実施契約書なんかを見せてもらいましたけれども、こういうことに対して環境衛生局あるいは薬務局見解はどうなんでございますか。やはりワンタッチ何とかといって、すばらしい広告ができているんですが、こういうことに対して、あるいはまたついでに話しますと、これ受講料三万円を取って三十人グループで一クラスということで、これは非常に、私が考えるならばセクト的に見えるわけです。それをやったものは特権的な権利がある。しかも、この実施契約を見ますと、それ以外のものは契約をされないんだと。だから、使えばこれはたいへんだということになるわけでございまして、そういうやり方自身にも非常に問題があるんではないか。もしいいものならば全部の人に使えるように教育するのがこういうところの指導者の立場ではないかと考えますので、こういうことに対しての御意見をちょっと伺っておきたいと思うんですが、どうされるつもりですかお考えを聞かせてほしい。
  11. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) この使用液の問題につきましては、薬務局からお答えをいたしますと、先ほどもお答えいたしましたような無許可部外品でございますので、講習会というようなものでいろいろ使用して、そして、たとえばデータをとるとか、いわゆる申請の準備をするとかということは、講習会でそういうことを実験やるというのは私は不適当だとかように考えます。したがいまして、やはり講習会等では現在許可になっているものを使用するということが私は適当であろう、かように考えます。したがいまして、新しいものをいろいろ開発して改良していくということは別のいろいろの臨床上の機会をとらえてやるというのが適当である、かように考えます。
  12. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 御指摘講習会についてでございますが、現在は中止しているわけでございます。しかしながら、いま薬務局長のほうから申し上げましたようなこともこれあり、十分にこれらの点につきましては厚生省環境衛生局といたしましても行き過ぎのないように所要の指導をしてまいりたいと考えております。
  13. 大橋和孝

    大橋和孝君 それから、この技術開発のためにいろいろな高度の衛生知識なるものが必要とされてやられているわけでありますが、私は先ほども触れましたように、今後も目まぐるしい進歩が起こってくるであろうし、技術は非常にもうこういう業界人たちにおそらく要求されると思うのですね。ですから、いまいろいろ各業界の中で地区地区でいろいろ学校をこしらえて、そうして勉強をやっておられるわけでありますが、私は、こういうような学校のもっとレベルアップが必要であって、そうして、何か将来には一元化した学校のような形にしてこういう衛生に、直接婦人のほとんどすべての人に接するのがこの美容師の方々でありますしということから、いろいろ考えてみるならば男の側であってもそうで、末端ではすべての国民衛生的な観点で接触するという非常に重大な職業であります。そういう意味から考えましても私はむしろ一元化された、もう少しいろいろ衛生的な教育というものが非常にレベルアップされたところの教育、いわゆる文部省に一元化されたような学校を将来展望するほうがいいではないかと思うのですが、こういう観点については環境衛生局長やら薬務局長あたりはどんなふうな希望を持っているわけですか。また、次官がおられるので、大臣考え方を聞かなければならぬ点でありますけれども、ひとつ次官のほうから、こういうことに対しては大臣にひとつ聞いてもらいたいと思いますから、心にとめてひとつお伝えを願いたいと思います。そこの点について次官考え方をお伺いしたい。
  14. 登坂重次郎

    政府委員登坂重次郎君) お答えいたします。先生指摘のように、国民の健康、保健に関する問題は、事重大であります。パーマ等については年々いろいろ流行に追われておりまするから、その流行に応じた非常に薬の研究開発と申しましょうか、流行に相応したようなくふうがされることもこれは事実でありましょう。しかし、いずれにいたしましてもそういう許可以外の薬品を使うとか、健康にいかがわしいものを使うというようなことは断じてあってはいけない、こう思うわけでございます。また一貫したそういう施策の統一性というものも必要かと存じまするが、なかなか実際に実施するにあたっては相当研究機関も必要かと思いまして、今後そういう趨勢を見ながら善処してまいるのが適当であろうとこう思います。
  15. 大橋和孝

    大橋和孝君 マギー・ブークルに適合するコールド液、これは実際試験の結果の品目が七十種類以上あげられておるようでありますが、薬務局はこのような薬品に対してのどのような試験なりテストなりあるいはまた実験の結果を持ってこういうふうなことに許可されておるのか。これらの点について、一つ許可をとることはどれくらい、そしてまたどういう観点でそういうものが許可基準になっているのか、これらをお聞かせ願いたい。
  16. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 現在コールドパーマ二浴式メーカー薬務局許可をしておりますのは百十三社でございまして、許可基準薬事法に基づきましてパーマネントウェーブ用剤基準というものを定めまして、第一剤、つまり最初に使う薬ですが、これはチオグリコール酸及びその塩類、これは髪をやわらかにするいわゆる還元剤ですが、これを使う。第二剤は酸化剤弗素酸ナトリウム弗素酸カリウム、または過硼酸ナトリウムを用いるようになっておりまして、第一剤、第二剤につきましてそれぞれいろいろな試験方法がこまかくきめられております。基準そのものは非常にかなり膨大なものでございますので、後ほど先生資料として提出させていただきます。
  17. 大橋和孝

    大橋和孝君 それなんかを見てみますと、マギー・ブークル施術に適合するコールド液の選定について、これは日本コールドウェーブ液工業組合から推薦された品目について実際試験を行なった結果、次の各品目が適合するものとして選出されたというふうに発表もされておるのをちょっと見たのですが、こういうことから見まして、このいわゆる実験試験を行なった結果、次の品目が適合するものとして選出された。これはどういう基準によってやられたのですか。
  18. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) パーマネントウェーブ用溶剤基準というものがこの告示で定められておりますが、これによりましてすべて試験が行なわれたというふうに考えます。
  19. 大橋和孝

    大橋和孝君 それでは、いまちょっと局長からもお話がありましたように、こういうコールド液として認められているというものについて資料としていただいて、そして、それはどういうことで、どういう特徴があって、何がどれぐらい入っているかということがわかりましたら、それをひとつ付記していただきたいと思います。何剤が主体であって、それはPHがどれぐらいで、どういうふうになっておる、それでそれはどういう薬事効果があるということで、それを検査して、その基準に合わせてどうなっているかということをちょっと知らせていただきたい。これは資料としていただけますか。
  20. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 御要望に沿います。
  21. 大橋和孝

    大橋和孝君 それから一つ東京都の薬事衛生課長の談話として載っておったわけでありますが、こういうのを私見まして、いわゆる美容師さんがコールド液使用するその使用変化の責任を負えるかどうかという問題であります。それは立ち会っておられて、そのときのものをちょっと読んでみますと、コールド液使用する場合には、そのメーカーの指定をしたとおりにこれを使えば、それはまた非常にいいことであって、そして、美容師さんが使用変化をしてやっていく場合に、もし何かのことが起こった場合には、それは違反であるとは言えないまでも、何か起こった場合には、非常にたいへんなことが起こる。それから、また変化内容によっては、使用変化してくる内容によっては私は薬事法違反になることもあり得る。だからして、何をやってもいいというふうな、どんどんと変化をさせて、どう使おうともいいという、こういうようなことに安易に風潮が流れていくということが一番困るのだ、こういうようなことが言われております。また第二点は、これを講習したり、指導したりすることは非常に薬事法の六十六条の趣旨からいっても好ましくないのだというようなことを言われておる。第三点には、むしろ国家基準の中に組み込まれるほうが一番望ましいのだから、そういうことをしてもらいたいということをこの青柳さんは言っているわけですが、私はこれのおっしゃられることはわりあい当を得たようなことばのように思えるのですが、薬務局長、あなたの意見はどうですか。
  22. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 部外品使用上の注意でございますが、部外品とはいえ、皮膚についてのいろいろの影響がある問題でございますので、厚生省でも、四十一年でございますが、詳しく関係業界のほうに周知徹底をして、必ずそういうような使用上の注意をつけて販売するように指導しているわけでございます。御意見はもっと強力にやったらどうだということでございますので、そういう点は十分わかりますので、研究させていただきたいと思います。
  23. 大橋和孝

    大橋和孝君 私は先ほども述べましたように、これは業界に対してそういうことをやられていることに対してもそうかもしれませんが、私はもういま売り出されているいろいろな薬ですか、こういうようなヘアカラーとかシャンプーの何とかがいろいろ出ていますけれども、この中にはいま薬務局で認められていないような過酸化水素の一五%、二〇%の液というようなものが入っているやに聞いているわけでありますが、こういうことから考えますと、やはり一方ではきびしく臨んでおられるのに、一方のそういう製品に対しては大まかなことで過ごされておるということでは、私は片手落ちになるような感じがいたします。むしろ美容師さんのほうが教育も受け、衛生思想も持ってやっておられるのですから、その人のほうが間違いがなくて、民間で売られているようなのがどんどん売られているならば、かえってそのほうがあぶないのではないか、こういうようなことを思うのでありますが、そういう点につきましては相当現に調査をして、そうして、そういうようなことが薬事法違反するようなものが出ているか出ていないかというようなことも、調査なんかは相当されているのかどうかということもひとつ伺っておきたい。
  24. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 医薬品部外品につきましてのいろいろ広い意味副作用ないしは使用上の注意につきましては十分なことをやる必要があるのじゃないかということでございます。  こういう点は昨今非常にいろいろ問題が起きまして、私どもも絶えずいろいろな副作用、あるいは問題が起きたときにそれぞれ必要なものは審議会意見を聞く等をして改善をさしております。今後はこういう問題につきましてはさらに厳重にいろいろする必要があろうと考えますので、その方向で現在さらに行政指導を強めたい、かように考えております。
  25. 大橋和孝

    大橋和孝君 それからもう一つ、これは十二月十日ころの新聞にも出ておりました話でありますが、ヘアカラー女性があわや失明をしかけた。こういうような記事が出ていたわけでありますが、これらをひとつついでに例として取り上げまして、一ぺん薬務局の御見解を聞いておきたいと思うのですけれども、この毛の色をブロンドや栗毛に染めるその染毛剤使用が非常に流行しておるのはさっきからのお話のとおりでありますが、使用した女性が誤ってこれを目に入れたら目が非常にただれて、一カ月くらいの重症を負ったという、これは群馬県の渋川市の保健所でそういう例があって、十二月九日の日に届け出があったので初めて明らかになったわけでありますが、皮膚がかぶれたり、あるいはまた何か炎症を起こしたりなんという報告は私も聞いているわけでありますけれども、角膜にかいようができたりまたあるいはただれができたりして、うっかりすれば失明するかもしれぬというような症状が出ておるわけですね。この例を見てみますと、この患者さんは群馬郡の伊香保町の清水治子さんだと聞いております。こういうことが今月の二日ころに、銭湯で、ホーユー株式会社といいますか、名古屋に本社がある会社らしい。その製剤の染毛剤——シェリー・シャンプー・ヘアカラーという名前で売られているものらしいのですけれども、それを使用して目に入ったために、すぐ水で洗眼をしたけれども、また一時間後くらいになってから非常に目がかすんで見えなくなって痛い、すごく痛い。こういうので眼科に見てもらったら、いま言ったように角膜にびらんができて、一カ月くらい要する。これは角膜は非常に、かいようでもできたら視力を失うわけでありますから、これはたいへんな問題であります。こういうことが報告されているわけでありますけれども、こういう点から考えましても、先ほどの例は非常にこわいことも現に起こっておるわけですね。ですから、これはいま局長さんがおっしゃったように、徹底的にこういうようなものを早くあれをしておかないと、しろうとが使うからよけいあぶない、私はこういうふうに思うわけですが、いかがですか。
  26. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 染毛剤の問題でございますが、これもまあ部外品として私どものほうでいろいろ許可をやっておるわけでございますが、最近は非常に染毛剤がいろいろ新しい流行といいますか、社会のいろいろの要望に応じまして、いろいろ新しいのが出てきております。こういう点につきましては、コールド・パーマのように基準が一律にまだきめられておりません。それはやはり染毛剤に用いられるものが、いろいろ多様化しているという点でございますので、こういう点はなるべく早く、安全なものとしての許可ができますように、基準等も多様化して研究したいと、かように考えております。  それから、群馬の点でございますが、現在、そういう事件が起きたということにつきましては、一応、報告だけは参っておりますが、詳細は現在なお調査いたしております。  染毛剤につきましては、パーマ液同様、もしくはそれ以上の、やはりいろいろの問題を含んでおりますので、使用上の注意、あるいはその他の点につきましても、どんどん、きびしい規制なり基準をきめていく必要があろうかと、かように考えます。
  27. 大橋和孝

    大橋和孝君 これは、県の衛生研究所では、実際のも一のを二本取り寄せて——ロット番号が五〇四五と〇二一三というのを取って分析したということで報告されているんですが、この薬品の成分の中には、いまおっしゃっているような形で、基準外のものが入っているんじゃないですか。そういうことも思うんですが、その点、どんな報告になっていますか。
  28. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 群馬県で事件が起きましたものにつきましての、染毛剤の中身、どういうものが含まれておりまして、それについてどういうような審査をして、承認したかということは、詳細、あとで調べたいと思いますけれども、承認になっているものにつきましては、当然、当方で、差しつかえないということで承認をしたと、かように考えます。
  29. 大橋和孝

    大橋和孝君 これはどうかわからないから、私尋ねたいと思って申しているわけですけれども、第一液六〇cc、第二液がやはり六〇cc、リンス二〇cc入りのびんが一組で八百円で売られて、これは一箱一回分というふうになっているようですが、そして、この使用法については、目に入れてはいけない、あるいは目に入ったら、すぐに水で洗え、専門医に見てもらえということも書いてある。ですから、ある程度の使用注意もなされているようですが、第一液は、アンモニアが薬事法に基づいて、ぎりぎりの、基準は一〇%とあるんですが、九・九%で、PHは一二・五の強アルカリ性である。第一液は、本社の話では、エーテルなど界面活性剤が三種類とアルコール、染料が含まれている、こういうことがいわれているわけです。また、第二液は、過酸化水素が使われている。こういうふうな状態で、第三液は、粉末で、脱色助剤と申しますか、そういうようなものでできていると書かれているように聞いておるわけでありますが、これは、私、よくわからないし、また実際どうであるか知らないので、ひとつ、局長さんからも話を聞きたいと思いますが、ちょっとこういうことで見たところでは、やはりこの製品そのものに、私の狭い範囲で調べたところによると、やはりその基準にも漏れているような感じがするわけですね。そういうようなことから考えてみると、やはりこういうものがしろうとによって、どんどん使われているということは危険性もあるんじゃないかと私は考えて、いま質問さしていただいているわけですが、そういう観点から申しましても、私は非常に今後の、先ほど来、十分注意をしてやるというお話がありますから、私はそれでひとつやっていただきたいと思いますけれども、そういう観点で、新しく開発して、新しく出されてくる薬品に対しては、非常に危険なものがあり得るような感じがしますので、私は、先ほどの繰り返しになりますけれども、ことに薬務局としては先手を打って、そういうふうなことが起こり得ないような状態をひとつ十分指導できる体制を持ってもらわなければならぬと思います。ことに、失明をするかもしれぬような事件の起こるということは非常にあぶなっかしいことでございますから、特に注意をしてもらいたいと思うわけです。そういう観点から、ひとつ、この問題についてのいろいろな資料が詳しくおわかりになったらば、その時点でもけっこうですから、知らせていただきたい。
  30. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) いま、先生が例をあげて御説明になりましたように、染毛剤は、第一剤としては染料、アルカリ剤、界面活性剤等が用いられております。それから、第二剤は過酸化水素等が用いられております。  それで、先ほどお話しいたしましたように、非常に多様化なり、新しいものが出てきておりますので、現在、統一した基準というものはつくっておりませんで、ケース・バイ・ケースで十分な審査を行なっているつもりでございます。しかし、なお、いろいろ問題が起こるといけませんので、先生のおっしゃるように、厳重にやっていきたい、かように考えております。
  31. 大橋和孝

    大橋和孝君 私、去年だったと思うんですが、やはり当委員会で、染毛剤といいますか、そういうものについて、いろいろ販売されているものは危険だから、特に注意をしていただくようにということをお願いしながら質問をしたわけですが、その後、ずっと追うて見ましても、先ほどおっしゃるように、非常に各社からたくさん出てきておるわけですが、やはり一年たった今日でもこういうことが例によって起こるということになれば、私は、やはり、普通の、いま局長から答弁していただいているような考え方のもとにやられたんでは、まだまだそういうことが繰り返されていくという感じがしてならぬわけです。ですから、私は、ここでひとつ、薬務局としても、この際、開発されていくことを私はむしろとめようという意味ではなくて、そういうことがどんどんと開発されていくのにより厚生省が力になるような形で指導ができるという、一歩先んじたところに焦点を合わせて、いろいろな問題に取り組んでいかなければいけない。へたにそれをチェックしてもらえば、そういう開発がにぶるということになるわけですから、私は必ずしもそういうことを望んで申し上げているわけじゃありませんけれども、しかし、そういう開発されることが、十分な取り締まりができないために、それが失明を心配されるような問題が起こることになれば、これはやはり国民の側から見れば、そういうことはよっぽど責任を持ってもらわなければならぬわけですから、そういうことに対しては相当の前向きの姿勢をしてもらわなければならぬ。そういう意味でも、私は先ほどちょっと申したんですが、美容師さんの資格あるいは勉強というものは相当高めてもらわなければいかぬ。ただ単に、一部の人の講習だけにしておくとか、あるいはそういうことでおかないで、もっと一元化された形で、そうして必要な条件をそろえてもらうということが私は必要じゃないかと思いますので、そういうことで、きょうは特に申し上げたいと思います。いままでの、私が前回に質問しました問題についての処理方法はどんなふうなことになっているか、ちょっと一言だけ。
  32. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 染毛剤につきましては、先ほどから、先生からの御指摘、あるいは私からお答えいたしたように、いろいろと原料の品質が多様化し、または新しいものが出てきておるわけでございます。その点につきましては、現在、当局でもいろいろ検討しておりまして、製品基準等をもあわせて、これの検討と並行して、基準につきましても、問題がないように、早急に検討してまいりたいと、かように思っております。
  33. 大橋和孝

    大橋和孝君 次に、私、管理美容師制度について、ちょっとお話を伺いたいと思っておったんですが、わりあい、いまの時期ですから、御答弁はいただけなくてもいいけれども、ひとつ、次官、私の意見というものを聞いてもらって、そうして、いろいろな指導的な方面の問題について御配慮をいただきたいというふうに思うわけです。  この管理美容師制度というのは、昭和四十三年の第五十八国会で、理容師法と美容師法の一部が改正されて、そうして、管理理容師、美容師制度が創設されたのでありまして、これは理容師さんまたは美容師さんである従業者の数が常時二人以上いる理容所または美容所においては、それぞれ施設を衛生的に管理するために、管理理容師または管理美容師の設置を義務づけたものである。それから、四十七年一月一日以降は、これに反する理容、美容管理者に対しては都道府県知事が閉鎖命令を出す。第三点は、管理美容師の資格取得のためには、理美容師の免許を受けた後に三年以上理美容師の業務に従事して都道府県知事が指定した講習会に四十八時間以上出席すればよい。こういうことになって三つの骨子がある法律が制定されたわけでありますが、施行後明らかにされました矛盾の点は、右のような管理理美容師制度の創設は理美容団体の全国組織、いわゆる全国の理容美容環境衛生同業組合連合会、これの各党に対する正式要請があって、これを受けた自民、社会、公明、民社各党の共同提案においてこれは成立されたものであるわけでありまして、ちょうど業界内部から批判の声が上がって四十四年の六月には管理美容師制度反対同盟全国連合会が発足して、それがいろいろ主張しておるわけでありますが、この主張を聞いてみますと、国家試験によって得た理美容師の資格だけでは営業できなくなる、この制度は既得権の侵害、営業権の侵害だという議論があるのと同時に、また団体の幹部は、この制度創設は業界の総意として国会や、厚生省に働きかけたが、実際は全国理美容環境衛生同業組合連合会の前会長の山野さんとか、あるいはその理事長安森さんとかが、一部の幹部の方の御意見がおもに通っておったんだ。こういうことも言われてきておるわけです。こういう動きを受けてやはり二つの見解をいろいろと勘案されていまでもいろいろ意見が出ているわけであります。この問題を見てみますと、私は、この出された時期には一致した意見のようであったけれども、実際はそうでなかったということが一つの大きな要因にもなっておるようであります。いずれにいたしましても、やはりこの問題は一度よく考えなきゃならないという段階にきているわけでありまして、やはり二人以上のところに、何と申しますか、業務停止までも、閉鎖命令まで出すということはやはりこれはある程度行き過ぎな点もあると私は思うわけでありまして、そういう観点から申しまして、今後いろいろな時期に私はそういうことはなくて、少なくともこういう管理理美容師というのを特別に制度を設けて勉強して、そして、衛生的な管理をするということに対して、私は非常に先ほど来の議論から申しましても、非常によいことだ、私はそれをやっていいと思いますけれども、一方に閉鎖命令とかという大きな罰則をつけるところに問題があるんじゃないか。私の考えではやはりこういう罰則だけはやめて、そして、そういう教育を受けることに対してはどんどんもっと教育を受けていただいて、そして、その教育を持った方が多ければ多いほど、全員がそれくらい持つようになるのはけっこうですから、私はそういうことに対してはどんどん前向きに管理のできるような資格をとってもらいたい。しかし、それがないからというのでやめて閉鎖命令を下すという、飛躍が少しありそうに思うわけですが、そういう観点からは、何と申しますか、既得権の侵害にもなるだろうし、あるいはいろんな意味において弊害もあるでしょうから、こういうことはひとつやめたほうがいい。こういう考えを持っているわけでありますから、いままで私がきょう質問を起こしてずっと申しましたように、やはりこれからは非常に理容師、美容師さんの責任と申しますか、いろいろおやりくださることに大きなウェートが持たれるでありましょうし、ことにきれいなかっこうをして楽しむという方向もずっと出てきていいわけでありますから、それに対してはどんどん業界も発展をされるでしょうし、また、そういう製品も発展してくる。そういうものに対応するような教育なり、あるいはまた、勉強の場も統一的につくる、こういうようなことも必要でありましょうし、私はこういう制度もけっこうだと思います。しかし、そういうところの裏にすぐ、何と申しますか、罰則なんかをつけて、そうしてこれをくくったり、あるいはまた、お金を出し合っていけるような人だけがうまくやれるような、格差をつけるような制度をつくっていくなり、あるいはまた、そういう運営をしていくなりということは私は厳に慎むべきではないかというふうに思います。だれでも同じようにその権利がやれて、それが国民には非常に害のないという状態をはっきりと見きわめていくのが私は大事であるし、そういう指導をされるのが私は厚生省の立場ではないかと思います。そういう観点で、私はきょうは答弁は求めませんけれども、ひとつ大臣にもよくそういうことを伝えてもらって、そうして、そういう方向でもっと積極的に厚生省指導し、あるいはまた、いろいろな方法で国民の健全なる、被害のないような、非常に安心をしてこれが生かされるような状態にひとつ持っていってもらうための最大の努力をいまこそやってもらう必要がある。たくさん薬品も出てくるときでありますから、あるいはまた、それを駆使されるところの業界の方方に対しても、そういう気持ちでひとつ指導的な立場でしっかりやってもらわないと、これはなかなか国民全体も影響を受けるところが非常に大きいと思う。そういう観点で私は、そういうことをひとつ大臣にもよくお話をしていただいて、そうして今後そういう前向きな姿勢でひとつやってもらいたいことを心から要望して、私の質問を終わります。
  34. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は、十一月三十日新潟港沖で起きたジュリアナ号の事故、このタンカーの事故によって油が大量に海に流れ出た。それに対して海上保安庁等が主体となって中和剤と称するものを大量に海に投入した。この中和剤の毒性について厚生省当局から御意見を伺いたいのです。ただ、海上保安庁と水産庁においで願っておりますが、海上保安庁からは最初にこの事実関係、それからまた、水産庁にも事実関係を述べていただきたいと思います。  まず海上保安庁から、一体どういうものをどれだけの量日本海に投入したのか。その化学成分、それから、生物に対する毒性、影響、あるいは今後の魚族に対する影響はどのような影響があると考えておられるのか。そのことがどの新聞にも明らかになっておりません。したがいまして、いかなる中和剤をどれだけの量投入したのか。その化学成分、毒性、生物に対する影響、これをまずお答え願いたい。
  35. 須賀貞之助

    政府委員須賀貞之助君) お答えいたします。  十一月三十日新潟沖におきましてジュリアナ号が座礁、沈没いたしました。まっ二つに船体が割れている状況でございますが、この船体が人口四十万の新潟市の沖合いと申しますか、非常に近いところで座礁したわけでございますので、これの火災あるいは爆発等の予防のために、緊急に中和剤を各地から集結いたしまして、それに中和剤を投下したわけでございます。船艇並びに航空機より海上保安庁として投下し、また民間においてもこれを投下した、こういうことになっているわけでございます。  集結いたしましたのは六万二千かんでございます。一かん十八リットルでございますが、六万二千かんのうち二万九千八百かんを一週間、七日までに投下しております。その後濃度の濃い油の流出というものにつきまして勢力が衰え、危険が薄らいだという関係で、八日以降はこれを停止しておるという状況でございます。  いま二万九千八百かんのうちどういう成分のものを使ったかと申しますと、これは十三種類のものを各地から集めたわけでございますが、その内訳を申しますと、シーグリーン、ネオス、ガモゾール、クリクリーン、ネオマスター、ユニゾール、オイルクリーン、マグナス、スノーラッブ、イワオール、ニチゾール、シェル分散LT、コレキシット、この十三種類でございます。キロリットルにいたしまして五百四十キロリットルでございます。
  36. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう商品名を言われても成分がわからないわけです。第一、いま保安庁次長は処理剤と言われたのですが、この呼び方も界面活性剤、中和剤、溶剤、乳化剤、あるいは県では中性洗剤——家庭で使う中性洗剤と同じだと、こういうふうにも言う。したがって、われわれしろうとには一体何を使っているのかわからないのです。じゃ、厚生省ではわかりますか、いま言われた特にシーグリーンというのとシェル分散LTというのが大量に使われておりますが、それじゃこの中和剤——まあ中和剤でよろしいです、一番新聞にも中和剤と多く呼んでいるようですから。この中和剤のメーカーがどういうメーカーで、どういう効能があるか、化学成分は何か、使用上の注意は何か、そういうメーカー注意書きなり効能書きなりを持っておられますか、いままで。持っていたら提出していただきたいと思います。
  37. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) いま名前をあげられましたものは中和剤というふうに私どもは連絡を受けておりますけれども薬務局で取り締まりをしております毒物、劇物に基づくものに指定されたものではないというふうに考えております。毒物、劇物に指定されておるものは現在ないというふうに考えますし、その中身につきましては当方で現在のところではわかりません。
  38. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) どうも薬務局との連絡が不十分で申しわけございませんが、現在知り得た中和剤の成分——中和剤と申し上げるのがはたして化学的に正しいのかどうかわかりませんが、その成分といたしましては、御指摘のシーグリーンでございますが、それはケロシン七〇%、ポリオキシエチレン・アルキルフェノールエーテル二七%、ポリオキシエチレン・グリコールアルキレート三%というのが主成分でございます。製造メーカーは松本油脂株式会社でございまして、用途は流出油の処理剤といっております。詳しい使用上の注意その他についてはまだいさいは承知いたしておりません。それから、シェル分散LTでございますが、これはソフト型の非イオン界面活性剤、それから炭化水素系の溶剤が主成分でございまして、流出油の処理剤で、シェル石油がメーカーでございます。ほかにまかれました薬剤の成分といたしましては、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・アルキルアリルエーテル等の非イオン系の界面活性剤として使われておるようでございます。また、溶剤といたしましては、さきに指摘いたしました石油系の炭化水素であるケロシンあるいはパラフィン系統のものが用いられているということでございます。
  39. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃ、それを資料として出してください。
  40. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) はい。
  41. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから、いまのその成分からいいますと、家庭における中性洗剤とどの程度の毒性の違いがありますか。
  42. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 家庭用で使っております中性洗剤につきましては、すでに慢性毒性あるいは催奇形性あるいは急性毒性などについての検査が行なわれておりまして、安全ということが証明され、確認されておる。しかしながら、この御指摘の油処理剤の成分につきましては安全性が確認されていないという違いでございます。
  43. 小平芳平

    ○小平芳平君 家庭における中性洗剤は安全と確認されたのですか。それじゃ、どうして厚生省は昭和四十六年六月十一日、メーカーに対して、合成洗剤については次のような表示をしろと、「幼児の手が届かないところに置くこと」「シャボン玉遊び等の幼児のいたずらに注意すること」、あるいは「使用のときはゴム製または合成樹脂製の手袋を使用すること」、こういうような、毒性があればこそこういう注意をさせているのでしょう。そうじゃありませんか。
  44. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) ことばが足りなくて恐縮でございましたが、いわゆる有害ということと無害、それから毒性があるということの考え方の違いでございますが、この中性洗剤につきましては食品衛生調査会におきましてのいろいろな検討の結果、「食品、食器等の洗浄に際し、通常の使用法から甚だしく逸脱しないかぎり人の健康を害うおそれはない」というのが答申でございまして、これが正しい表現であろうと思うのです。すべての物品につきまして毒性を論ずる場合には、これは量との関係がございます。それから健康を害する、害しないということも、これも量との関連において考えなくてはならない問題であろうかと思いますので、先ほどの答弁で、「通常の使用法から甚だしく逸脱しないかぎり」という字句を補いましてお答えにいたしたいと思います。
  45. 小平芳平

    ○小平芳平君 通常の使用方法と言いますがね、毒性があるから注意書きをつけているのでしょう。毒性があるから。家庭の主婦に聞いてごらんなさい、ゴキブリが出た、その洗剤をかけた、ばったり倒れてちゃうのです。いかれちゃうのです。死んじゃうのです。そういうものでしょう、そういう毒性があるから。それじゃ、園田厚生大臣は参議院の予算委員会でどうしてこういうことを発言しておるのですか。「特に農薬の溶剤と洗剤の溶剤は、近年奇形児、不自由児等がふえておりまする原因も専門家に詳しく検討願えば、あるいはここに原因があるのではないかという気もいたします。」、厚生大臣委員会でこういうふうに発言しているじゃないですか。それを、毒はありません、安全です。そういうふうに黒を白と言うのは一番よくないのじゃないですか、どうですか。
  46. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) すべて何らかの形でもって、ことにその代表的なものは一般薬剤であろうかと思いますが、何らかの形において毒性と申しますか、これはあると思います。しかしながら、問題は、人体に、どの程度で健康に害があるかどうかという、いわば使用上の注意でございまして、この点、先ほど先生が御指摘になりましたとおり、中性洗剤についても同様でございまして、通常の使用方法に逸脱しない限りは健康をそこなうおそれがないと。また、前園田大臣の御発言でございますが、その後あらためてこの件につきまして専門家の御意見を徴しまして、いままでの調査の、あるいは研究の結果でもって、これ以上先ほどの慢性毒性あるいは催奇形性その他についての調査は、いまのところ必要でないという一応の見解をいただいております。
  47. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は中性洗剤の通常の使用を尋ねているのじゃないですよ。家庭における中性洗剤も、これこれの注意をしないと、その毒性のために健康被害が生ずる、間違って飲んでとんでもない健康被害を生ずる、シャボン玉を子供がやってとんでもない健康被害が生ずる。そういうところから注意書きがついているのでしょう。それだけの毒があるわけでしょう。そうならそうですと言ってください。
  48. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) それらの注意書きにつきましては、私どものほうからこのような注意をする必要があると認めたわけでございまして、先生のおっしゃるとおり、そういった意味では毒性がございます。
  49. 小平芳平

    ○小平芳平君 そんな「そういった意味では」に力を入れる必要はない。要するに家庭における中性洗剤はそういうふうに明らかになったけれども、今回新潟の海、日本海に投入した二万九千八百かんのこの中和剤については、その毒性すら明らかでないわけです。それで、局長、これは少なくとも家庭で使っている中性洗剤と比べて、この十三種類——海上保安庁が提出をした十三種類の処理剤は、家庭の中性洗剤よりも毒が高いと見ますか、低いと見ますか、どうです。
  50. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 現在の段階では明らかでございませんが、一般的に石油系の炭化水素を使った溶剤では、芳香族分画と申しますか、これが多いほど乳化効果がよいと、また芳香族分画が多ければ、それだけ生物への毒性は強いというふうなことが言われております。はたしてこれらの成分が生物あるいは植物のほうへの影響がどうかということにつきましては、現在はまだ調査研究の段階でございまして、いさいについては承知いたしておりません。
  51. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、厚生省が、生物に対する影響のわからないそういうものを、海上保安庁はよくも大量に投入したですね。海上保安庁はわかっていますか、その生物に対する影響は。  それからついでに、時間の関係であと三つ質問いたしますから。  ひとつは、新崎東大農学部教授、この方は、こうした中和剤では一PPMでモが死ぬという、そういうひどいのもある、それから魚はメバルが一番弱くて、〇・五PPMでメバルは死んでしまう。こういうことが報道されておりますが、御存じですか。御存じでしたら、これに対する御意見をお述べ願いたい。  それから一九六七年——昭和四十二年にイギリスでトリー・キャニヨン号が事故を起こした。そのときに乳化剤を大量にまいたが、油よりもこのまいた中和剤のほうが毒性が強い、あとで残る影響が心配だと、こういうふうに学者から批判が上がったということが報道されておりますが、これ御存じですか。御存じでしたら、これに対する御意見。  それから、アメリカでも乳化剤の使用はきびしく制限したと、こういうように報道されておりますが、これに対する御意見。  以上四点についてお答え願いたい。
  52. 須賀貞之助

    政府委員須賀貞之助君) お答えいたします。  油処理剤の毒性につきましては、数年前から日本海難防止協会におきまして研究のため委員会が設けられておりまして、東京大学その他の研究機関に委託して研究が行なわれております。その結果、本年度末にはその結果が出るというふうに聞いております。当庁といたしましては、その結果に基づきまして、油処理剤使用についての基本的な方針をきめたいと考えておるわけでございますが、それまでの間は、たとえば流出による火災の危険性がある場合等、ケース・バイ・ケースで慎重にこれを使用しておるわけでございます。  なお、瀬戸内海その他のところにおきまして油の流出がありました場合にも、この処理剤を従来から散布してまいっておるわけでございますが、これにつきまして、漁民の方のほうからも、毒性の少ないものを早く開発していただきたい、こういう声がありまして、そういう声を聞きまして、漸次相当のスピードで改善はしつつあるということでございまして、その一例といたしまして、従来の沈降型と申しますか、下のほうに落ちるという処理剤につきましては、これは全然現在採用しておりませんで、現在は拡散型の処理剤をおもに使っておるわけでございます。そういう状況でございます。現在のところまだはっきりしたことはわかってない、それと緊急の場合だけに限っておる、こういうことでございます。  それから、第二の東京大学の農学部の先生が、いろいろ実験をして発表しておられるということにつきましては承知しておるわけでございます。これも一つのもちろん実験でございまして、水槽その他においての実験でございますので、これがいわゆる大海においてどういうことになるかということについても、なお研究をする必要があるんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、三番目の四十二年のトリー・キャニヨン号事件の際に、中和剤を大量に散布した、こういうことでございます。これによって中和剤の害のほうが油による害よりも多いという意見があったということも十分承知しております。この場合、われわれの二十倍程度の処理剤を、しかもまた、それほど改善されてないものをまいたのではないか、数量は確かに二十倍でございます。そういうことでございまして、このトリー・キャニヨン号事件につきましての中和剤の問題につきましても、われわれは一応承知しておるわけでございます。  それから、アメリカにおきましてこの処理剤を制限しておるということもわれわれは承知しておりますが、それは緊急性の問題、それから環境の問題と、この三つを兼ねあわせて、これを用いるようにということになっておりまして、今回の場合のようにテトラポットから数十メートル、陸岸から百数十メートルというところにおきましてこれを用いたわけでございまして、四十年の五月、室蘭港におきますハイムバルト号の事件のとき、二十八日間油が燃え続けたというような悲劇をもう一度起こしてはならないという意味を含めまして、これは改善されているとは言いながら、毒性が全然ないという保証がもちろんないわけでございますが、これを散布したわけでございます。  以上でございます。
  53. 小平芳平

    ○小平芳平君 それではこの緊急性から判断して、中和剤をまいた責任は海上保安庁ですか。
  54. 須賀貞之助

    政府委員須賀貞之助君) この処理剤の散布につきましては、世界各国いまのような状況で全部やめておるということじゃないわけでございまして、現に今回の事故が起きまして、四日あるいは五日、六日と、それぞれニューヨークあるいはロンドンあるいはロッテルダムというところから、トリー・キャニヨン号事件をはじめとするいろいろな海難、この種の油流出大事件に参画した方がそれぞれやってまいりまして、いろいろわれわれとも相談したわけでございますが、いまやっているいろんな作業、それからいままでやった作業について何らかの助言は与えていただけないかということで、いろいろお尋ねしたわけでございますが、これが一番最善の方法ではないか、これ以上のことは考えられない、こういう御返事であったわけでございます。そういうことでございまして……。
  55. 小平芳平

    ○小平芳平君 責任……。
  56. 須賀貞之助

    政府委員須賀貞之助君) この油の大量流出した場合につきましては、第一に緊急措置をしなければならないわけでございます。船長あるいは船主といった者が防止、除去のために必要な措置をとらなければならないということになっておりまして、船長、船主、最終的にはこれはリベリア船籍の香港に本社がある会社の船主の責任であるわけでございます。しかし、この措置が講ぜられてない。防除——油の流れ出るのを防ぐ、あるいは流れたものを除去するという責任は船主にあるわけでございます。この場合、海上保安庁が、その措置が講ぜられてない、あるいはその措置が不十分であると認めた場合には、海上保安庁がみずからこういう措置をいたしまして、その費用を船舶所有者であります香港の船主に負担させることができるということに、法律上規定されておりますので、そのように取り計らいたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  57. 小平芳平

    ○小平芳平君 とても長く答弁なさるんですが、責任さえ言ってくれればいいんです。それは沈降型をやめて拡散すると言われますが、これがその流れついたものですよ。これは新潟から陸地で六十キロ先です。村上市の瀬波というところの海岸へ、こういうような、おそらく漁民の方のお話では油を中和剤がかためて流れついたんじゃないかと言っておりますが、これではとてもみごとな処理なんかできていないわけです。こんなのが流れついていては困るわけです。これは一体どんな毒性があると思いますか。  厚生省政務次官、どうしますか。この問題は海上保安庁の責任で、要するに緊急時の措置として中和剤をまいたんだと言うんです。その中和剤なるものが先ほど局長の説明でも、家庭用中性洗剤も毒性があるが、それ以上の毒性——界面活性剤として家庭用中性洗剤よりもより以上の毒性のあるものが大量に日本海にまかれた。その毒性の研究厚生省局長もわからない。海上保安庁もわからない。生物への影響もわからない。ただ漁獲を停止させているだけだ。どうしたらいいでしょう、これ。
  58. 登坂重次郎

    政府委員登坂重次郎君) 御指摘のように、こういう緊急の災害時に際しまして、政府としてもいろいろ石油を扱っておる輸入国として、日本も考えなくてはならぬ問題だと思っておりますが、私も前に交通安全のことでこの防染膜とか、油をどうして除去するか、あるいは一定のところで食いとめるかというようなことを、神戸の港外で実施したとき私も行って見たことがありましたが、今度のように悪天候でしかも陸地の近くでこういう大災害が起こったということは、これは想像外のことであり——想像外といってもいつかは除去しなければならない問題でありますが、しかし、行政当局としてもやはりそういうもののできるだけ災害を防ぐということは、これは当然の責務でありまするから、現在研究開発されておるところの最も効果的なものと、こういうふうに判断して使用したものと思いまするが、その結果についてそういうはからざるものが起きたということについては、ただいま環境庁——政府部内としてもできるだけのひとつこれは善後策を講じなければならない、こう思う次第であります。
  59. 小平芳平

    ○小平芳平君 環境庁が出てくる必要はないじゃないですか。早く厚生省で、要するに食品衛生——はたしてモ類なり魚介類が食べられるものなのか食べられないものなのか、それが一番のいまは問題なんです。確かに六十キロ離れたところですとれるサケも油くさい。私も食べてみたら油くさい。油くさいのはがまんのしようがあっても、この毒には困っちゃう。この毒は一体これがどの程度の毒なのか、これが実際毒ならばあるいは将来にわたって魚族が全滅するようなことになればどこが責任をとりますか。まあそれはそれとして、この毒性のいかんを大至急出してもらいたいんです。いかがです。
  60. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) これらの溶剤あるいは界面活性剤につきましては、至急にその毒性について結論を出すように、関係研究機関その他にこちらのほうから強くお願いしたいと思います。それから魚でございますが、それは現在新潟県の水産課のほうで、当分の間自主的に漁獲をとめろということを勧告しておるわけでございますが、私どもやはり毒性がはっきりしないというものである以上は、それを食物として供することは好ましくないと考えております。
  61. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは好ましくないです。それは毒性のはっきりしない魚がこっそり東京あたりへどんどん入り込んで来られたら、たいへんなことになるわけですから、それは好ましくないのですが、局長、大体いつごろまでにそれがわかりますか。
  62. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 急性の毒性については、二、三カ月で結論が一応出ると思いますけれども、慢性あるいは催奇性につきましては、通常の場合二年、三年という期間がどうしても要ると思います。しかしながら、文献その他を十分に調べまして、一応の見通し、結論というものはできるだけ早い機会に出すように、なおこちらとしては努力してまいりたいと考えております。
  63. 小平芳平

    ○小平芳平君 これはたいへんなことですね。二、三年漁ができなくなったんじゃ困るんですね、これは。水産庁はどういうふうにとらえていられますか。水産庁次長も新潟へ行かれていましたね。で、特に同じことをお尋ねしますが、中和剤の毒性についてどのように考えておられるか。  それから、特に水産庁としてはどこまでが汚染されているのか、海はもう海続きですから、したがって、新潟県から山形県、秋田県とずうっと海続きですから、あるいは新潟のこの村上市というのは先ほどから申しますように、六十キロ離れているんです。どの辺までを水産庁は汚染されていると見ておられるか。それをまたいま把握していないなら、早くはっきりしてもらわないとならないと思うんですが、いかがですか。  それから、ついでに時間をあれする意味でもう一つ。さしあたって、漁民は非常に困っているわけです。県では一億円の融資をきめたと、これに対して政府はどうなさるか、その点もつけ加えてお答え願いたい。
  64. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) どこまで汚染されているかという範囲は現在のところ、私どももわかりませんので、これから調査いたすような計画をいたしております。  そこで、調査の計画といたしましては、水産庁のみずほ丸という船がございます。日本海区水産研究所にみずほ丸という船がございます。それから、新潟県に越路丸、苗場丸、弥彦丸という三隻がございます。それから、山形県に最上丸と月峰という船、全部で六隻であります。海の海水と海底のどろと、それからそこに住みます魚族をとって、この実験をいたしたいという計画を立てております。期間といたしましては、採水、採泥いたしますのは明日からいたしますが、大体三月一ぱいをめどにいたしまして、やりまして、三月にもう一度その結果を持ち寄りまして、日本海区水産研究所、東海区水産研究所、それから、山形県水試や新潟県水試の資料を持ち寄りまして、汚染範囲をもう一度検討いたしまして、その四月以降の検討計画を検討いたしたいと考えておりますが、もう一つの毒性につきましては昭和四十三年に、少し古い実験でございますけれども、四十三年に運輸省から一部分担いたしまして十種類の処理剤につきまして、魚を飼って、これで四十八時間につきまして半数致死濃度というものをためしたのがございますが、それによりますと、そのときの一番毒性の強いものが七・五PPM、一番毒性が弱いもので一万三千PPM、非常に大きな違いがございます。現在はそれより改良されていると私どもは聞いておりますけれども実験はごく最近のところはいたしておりません。それで新潟県水試におきましてハタハタがとれましたら、これは水量に飼育試験をいたさなければならないものですから、ハタハタがとれるようになりましたら、さっそくハタハタについて実験をいたしたいと思っておりますから、東海区水研におきましても海水の魚が大量にとれるようになりましたら、これについてできるだけ早く実験いたしたいと考えております。  それから二番目の、融資の点でございますが、県漁連の話といたしまして新潟市以北、新潟県の関係漁民の漁獲高、一部推計もまじりますが、推計もまざりまして、これから三月までの大体水揚げ金額というものを推計いたしますと、六億九千万というふうになりますので、六億九千万について末端三分の利子になるような融資を新潟県に依頼をいたしまして、八分五厘ないし九分の三分との差額につきまして半分を国が助成いたしたいというふうに考えております。  以上でございます。
  65. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、厚生省としてもそれから水産庁としても来年三月までは漁獲停止ということですね。厚生省のほうは来年三月よりも早い機会に毒性について安全を明らかにするということはまずあり得ない。水産庁のほうもいまの調査がまとまるのが四月ごろになるということになれば、現在操業中止中のところは来年三月までは見通しないということですか。両省からお答え願いたい。
  66. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 毒性の調査につきましてはおっしゃるとおりだと思いますが、問題はこれらの物質が消滅する、魚体からもそういったものが証明されなくなればこれは問題が解決するわけでございまして、それがいつの時期かということにつきましては私はいま承知しておりませんけれども、そのいずれかの時期までであろう。こういうふうに指導いたすのが万全を期するということになろうと思います。
  67. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 先生もすでに御承知かと思いますが、新潟市の漁業によります底びき網漁業につきましては現在も佐渡周辺で行なっておりまして、直接この油の被害というのはございません。こういう漁業はもちろん続けてまいりますし、現在私のほうで考えておりますのはジュリアナ号の遭難地点より南約十キロあたりから粟島を結んだ線より以東の部分を調査いたすことを検討いたしております。それより沖合いにつきましてはまず影響がないと考えておりますので、漁業も底びきにつきましては続けて、魚族についても影響がないのではないかというふうに考えられます。
  68. 小平芳平

    ○小平芳平君 いや、ですからね、私も佐渡のほうを問題にしているのではなくて、新潟港から粟島港を結ぶ以東ですね。そういう範囲のことを私も質問しているわけです。したがって、新潟港から粟島港を結ぶ線以東の操業再開は来年三月よりも早まるということはなかろう、こういう見通しですか。それは厚生省局長がおっしゃるように、こういうものがみんなずんずんどっかへ行ってしまって、すっかりもう油くさくもないし、こういう変なものもなくなったということになれば一番いいんですけれども、それはやはり水産庁の調査を待つ以外にないわけでしょう。これはほんの見通しのことですけれどもね。したがって、水産庁としては県漁連から出ましたところの六億九千万、県はすでに一億をきめたというんですが、国があと五億九千万、これを出そうということですか。
  69. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 災害につきましては、天災の場合でも、激甚災の場合でも、地方公共団体が融資をいたしまして、国がそれについて利子助成をいたすというのが原則でございまして、今度の場合も、天災ではございませんけれども、これに準ずるものというような考えで同じような措置を考えております。ただいま先生お話のありましたように、一億は県がきめられておりますが、あと五億九千万につきまして利子助成を考えている次第でございます。
  70. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、漁業者として、計算した六億九千万そのものが渡されるということですね。国が利子補給して、それで県に六億九千万の用立てをさせようというわけでしょう。いいですか。
  71. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 先生指摘のとおりでございます。
  72. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、もう一つ厚生省と水産庁に伺いたいと思いますことは、調査もなるべく早くお願いしたいわけですね。実際問題、食べられる魚を食べないでいる。御承知の新潟の阿賀野川がそうですよね。阿賀野川、松浜というとこですが、この阿賀野川が有機水銀中毒事件以来、もうだいじょうぶだといっても、その魚は第一売れないです。サケなんかは売れるけれども、ニゴイとかフナとか、そういうかつて有機水銀が発見されたものは買い手がつかないからもうだめなんですね。ですから、安全だと発表されてもすぐ買い手がつくかどうか疑問なわけです。安全だと発表されても、買い手がつかないために仕事にならないわけです。現状としては全然買い手がつかないから仕事にならないし、それから、阿賀野川のニゴイやフナのように安全だと言われてもおいそれとは買い手がつかない。ですから、安全なら安全ということを早く発表していただきたい。これはよろしゅうございますね。当然のことですからできる限り早く発表していただきたい。また、区域によっても安全あるいは危険ということを早く調査していただきたい。  そういうことと、それからもう一つは、私は将来に対する影響です。これはいま七キロ、八キロという大きなサケがぼんぼんととれるわけです。そうして、漁民の方は幾らかのサケを毎日とりましては、そして雌のおなかをさいて卵だけ取り出して、それを人工ふ化させて三年先を期そうというわけです。ところが魚そのものは全然買い手がないわけです。油くさくてだめだ。ましてやわけのわからない毒があるかもしれないからだめだということで、村上市の瀬波その他の漁民の方は、サケの卵だけを取り出して人工ふ化させよう、それだけがいまの仕事になっておるわけです。まず、サケそのものはくさいから買い手がないから、ただぶら下げてかわかしてみているだけなんです。ところが、この卵に対して中和剤がどう影響するかということなんです。せっかくそうやって、いまはただ一つの仕事としてやっているところの人工ふ化の作業が、まるっきり奇形魚ができるとかあるいは卵がだめになるとかということなら、いまやっておる作業自体が全然意味ないことになってしまうのです。こういう点も大至急わかっていたら発表していただきたいし、わかっていなかったら、大至急これは検討していただきたいと思いますから、厚生省と水産庁からお答えいただきたい。
  73. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 関係の省庁とも十分連絡しまして、できるだけ御趣旨に沿うように、早くその機会が来るように努力いたしたいと考えております。
  74. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 水産庁といたしましては、いままでウニの卵について卵が死ぬか死なないかという実験はしたことがございますが、卵の異常な細胞分裂をするとか、そういう点につきましてまだ実験いたしておりませんし、また、サケあるいはウニにつきましても、中和剤の中でそういう実験ができるかどうかということを含めまして検討いたしておりますが、そう簡単にできるものとは考えておりません。
  75. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、そういうことでは困るのですよ、実際問題。いまサケはとれれば買い手は一ぱいあるわけでしょう、年末を控えて。それをとることもできない。わずかに三年後を期して卵を人工ふ化させようと、けれども知らないうちに中和剤で全滅しちゃうとか奇形魚ができちゃったとか、そういうことになったら、まずまず新潟の魚はもう永久に買い手がなくなっちゃうわけでしょう。ですから、これは水産庁がやりますか、厚生省がやりますか、どうですか、この点は。
  76. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 魚の実験につきましては、水産庁が中心になってやりますが、もちろん厚生省の御協力を得て、水産庁としてもやっていきたいと思っております。
  77. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 食品を通じての人体の影響という点で、水産庁のほうとも十分連絡しながら厚生省としても早急に結論を出すように努力いたしたいと思います。
  78. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは最後に二点を質問して終わりたいと思いますが、政務次官、この点よく大臣にも報告し、各省、それはあっちの省だ、これはこっちの省だというのではなくて、根本的にタンカー事故による対策を立てていただきたい。そして、無害の中和剤が開発されればいいのですけれども、無害の中和剤が開発されない間どうするか。そして、現に起きてしまった新潟に対する対策をどうするか。これをぜひひとつ内閣の問題としてやっていただきたいのです。どうも各省のいろいろな関係があって、委員会自体がこの社労の委員会ではずいぶんはみ出しちゃうわけです。ですから内閣の問題として、現に起きている新潟の緊急対策、それからもう一つは恒久対策ですね。恒久対策をやっていただきたいこと。これが一つ。  それから、もう一つは、その他たくさん問題があるのですが、時間の関係でもう一つだけ、この漁業組合の方が県へ行きますと、県ではそんな中和剤なんて心配することはないぞと、ちょうど皆さんの使っている、家庭で使っている中性洗剤と同じなのだから、中性洗剤はお台所から川に流れ、川から海へいつも流れているではないか、それと同じものだから心配するなと、こんなことを言ったといって、非常に漁業組合の方が憤慨をしておられましたが、先ほど局長の説明でも中和剤と称するこれはね、少なくとも家庭用中性洗剤よりも毒性が高いと、安全だなんて考えていたら間違いだと、早くその毒性は確認しなければならないと、こういうわけでしょう。その点私は今後注意していただきたいと思うのです。以上二点です。
  79. 登坂重次郎

    政府委員登坂重次郎君) こういう突発的な災害とはいえ行政の責任を持つ政府としてはこれは各省あげて政府の施策として善処しなければならない責任問題を痛感いたします。同時にそういう科学的な処置、薬品等についても今後日本の科学水準の向上と相まって、またわれわれといたしましてそういう研究を十分重ねまして、よりよいものをつくろう、こういうことに努力したいと思います。
  80. 中村英男

    委員長中村英男君) ちょっと委員長からお伺いしたいのですが、関連して。水産庁に。  六億九千万円の中には魚加工業者、運搬業者、箱屋さん、そこに働く人の損失も含まれておるのですか。
  81. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) それは含まれておりません。
  82. 中村英男

    委員長中村英男君) これはまた重大です。仕事を休めば、関連産業は仕事ができないのですからね、その損害はどう考えるのですか。
  83. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 先ほども申し上げましたように、魚、全部休んでおるわけでございませんで、一部の海域についての漁を休んでおりまして、全然休んでおるわけでございませんし、現在も水揚げされておる分もございますので、それで継続していただくというふうに考えております。
  84. 中村英男

    委員長中村英男君) 仕事が減っていることは事実だな——。  他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十三分散会      —————・—————