○大橋和孝君 看護婦さんの養成ということの考え方を十分前に出してもらっておっても、いま現在なかなか進んでいないというのが現状だと思います。私、これ個人の
意見も含めてでございますけれ
ども、医者も不足しておるというので、このごろはあちらこちら一ぱい医科
大学が新設されます。私この間もちょっとこの問題について触れさしてもらって、文部省からあるいはまた
厚生省から
お話を承りました。まだいまいろいろ
審議の中であることでありますから、私はあまり決定的な
意見を申し上げてはちょといけないかもしれないということで、非常にそうしたことを配慮しながらの
質問をいたしましたので、十分なところまではいっていないのでありますが、私はいまのように看護婦さんの不足を考えましたときに、この医者の不足を解消するためのいまの
大学の設置ということに対しても、非常に私は危機を感じておるわけです。おそらくこの看護婦さんの教育に対しましても、ひとつ誤れば同じようなことが出てくるのではないかと思いますが、この間もちょっと触れましたけれ
ども、医者の
大学をつくるために、何と申しますか、三つの
方向が出てきた。たとえば自治医科
大学をつくるためにはこれはお金を貸す制度をこしらえて、そして九年間何かそういうことにつとめれば棒引きにして、今度は非常にお金がかからなくて医者になれるコースができた。一方私立
大学のほうでは非常にこの設備をりっぱにしなければならぬから、高額な負担金といいますか補助をもらって、そしてそれを運用していかなければならぬのだ、こうするのがあたりまえではないかということでおそらくスタートされておる。こういうことが一方でできております。それで官公立がいままでの中間をいくというような形で、医学教育そのものの中に三つのシステムができておる。私はこれは非常に格差があると思うのです。差がある教育の体系になってくると思う。医者をつくる上において、こういう三つの差があっていいのかどうなのか、私はこれは非常に将来に大きな禍根を残すことになるのではないかというふうに考えます。またそこへ防衛医大もできて、今度はまたそれをやる、二百億もほうり込んでやる。こういうようなことになって、この医者をつくるためにもそういう三つの
方向が出てきて、ばらばらのことをやって、そして、出てきた医者は一緒だ、こういうことになるわけです。こういうようなことで、私は言い過ぎかもしれませんけれ
ども、ほんとうに
国民が信頼することができる医者の教育がどうあるべきかどうかということが心配である。ということは、いま私立
大学の月謝をまた上げなければならぬ、これは物価が上がってきますからそれもあるでしょう、そうなってくれば相当の月謝のアップになるというようなことがいわれておる。だからして今度
政府のほうから、
国民の税金から、国から、私立
大学に補助をしなければならぬ、これも私は一つのやむを得ない
方向だ、こう思います。そうなってみれば、私立の
大学が去年は三つですか、ことしは二つ、来年以後に出てきているのは七つ八つくらいある、九つくらいあるということで、これは私立
大学がたくさんできますから、これはみな高額の寄付をもってやらなければ採算が合わない、成り立たないようになるわけでありますから、これに対してもみな考え方をひとしくやろうと思えば国から補助を出さぬならぬ、補助を出さぬならぬものを無秩序につくる、無秩序じゃない、それは
大学設置
審議会の一つのルールに乗ってきたものはどんどんそれでやらざるを得ない、こういうような形になっておるわけであります。いままで既存の私立の
大学でも、やっぱりこれは歯科
大学から医科
大学を見ましても、みな幾らかの、高額といっていいのか、中額といっていいのか知りませんけれ
ども、相当な
施設に対する父兄負担がなければ、これが運営できないような
状態になっているわけですね。こういうようなことを考えますと、やはり私は医者の教育に対しても非常に暗い反面を感じて、もっと教育をするならば国がまともに取り組んで教育に当たらなきゃならぬ、こういう趣旨で私はこの間
質問をしたわけでありますが、そういうことに対しては特に私は
厚生省としても、あるいはまた文部省としてもかなり
責任を持って先のことを見通さないと、私はそこから出てくるお医者さんがどうなるのかという心配があるわけであります。この看護婦の問題でも私は同じことが言えると思うわけでありまして、看護婦が不足だから、この前出されたように高校卒業して一年ぐらいで准看にしたらどうかという、私はいま先ほどからちょっと触れさしていただきましたけれ
ども、准看あるいは正看というものをつくっておいて、実際業務の中では差別がないわけですね。同じように使っているわけであります。同じように働かしているわけであります。こういうことから考えますと、私はそこに非常な大きな矛盾を感ずるわけです。そしてまた、その看護婦さんをつくるための
施設、この間も石本さんも
指摘されたようでありますけれ
ども、私系統のところでは
医療費の中に組み込まれている、せざるを得ぬような
状態になっている、独立採算でやっているということになってまいりますからして、これは言うならば、一面では看護婦さんをつくる費用まで患者さんが負担しているという
状態になる、こういうようなことが一方にはあるというふうな
状態であって、しかも看護婦さんのレベルはある程度保たなきゃ、
国民は健康、命をまかせることができない
状態にある。一方では間に合わせに高校一年で済まそうかという法案も出たわけであります。また今度はどうせ、いろいろPRが足らなかったからというような
お話ですから、それに似たようなものが出るとするならば、私はまたこの看護教育という問題に対しても同じことが言えると思う。これは一本化しようということで高校卒業して三年の教育をして、そして看護婦さんのレベルを最低に保つという意向があるわけであります。私はそのくらいのことがあってしかるべきだというふうに思います。私はそれ以上に四年制の
大学に看護婦さんの課程をもっとふやして、そこで
研究室でもつくって
研究してもらって、看護婦さんの養成するための
先生といいますか、資格を持った人をうんとつくらなければ、看護婦学校つくろうといったって看護婦学校つくれない。教える人も少ない。そういう意味のことを考えてみますと、私は非常にいまの取り組み方としてよほど積極的な気持ちを持ってやってもらわぬ限り、私は看護婦さんはふえないと思うのです。私は先ほどから申したように、私見を含めてということで、これはほんとうにまだ私の私見でありますから、まだいろいろ
批判をしてもらいたいと思いますけれ
ども、もっと看護婦さんという、正看、准看いうようなものを廃止したらどうなのか。たとえば国家公務員というのは何々公務員。何々公務員で差別はなくて公務員ひとりであります。私は同じような業務をするんだったら、やはりいまの
状態で名前は看護婦さん一本にしたらいいと思う。そして、その中で、公務員の中でも高等学校出た公務員もいれば、また短大出た公務員もおれば、東大のエリートを出られた公務員もいられる。しかし、この公務員といえ
ども、たとえば警官なんかを見ましても、
大学出た人でも初めは平の巡査から始まる。公務員であっても初めは平の公務員である。学力があり、あるいはまたいろんな点があれば昇進も早いし、あるいはポストグラデュエートにおいても教育ができるというシステムがあれば、下からこれらた高等学校程度の公務員でも
局長にもなれるという道が開かれて私はいいじゃないか。こういうことを考えますと、看護婦というものの考え方をもっと抜本的に考えて、そしてそのあとの教育というものをもっとどんどんとやって、いま正看護婦の資格をとったら永久に正看であって、正看よりもよく間に合うような准看もあるじゃないか、こういう
状態であってはならぬわけでありまして、やはり正看といえ
ども、今後いろいろな勉強過程、
研究過程を経て、そしていい地位にどんどん抜てきされる、やはり男女同権でありますから、女でも男でも同じじゃありませんか。そういう観点からいえば、やはり
大学出のそうした看護婦さんができて、これが院長以上の働きをしてもよかろうし、そして、必ずしも医者の下に看護婦が働くというような昔の考え方は一切切ってしまって、ほんとうに
大学院出て進んでいかれるところの看護婦さんがあらゆる方面に活躍して教育に当たり、あるいは指導に当たり、そして看護業務のほんとうに大きな地位を獲得していくというような形をもっとぴっちりとつくることのほうが私は大事じゃないか。そうするためにはたとえば小学校を卒業した、あるいは中学校を卒業した、義務教育を終えた人でもそういうところにいけるようなシステムをぴっちり打ち立てて、たとえば夜間
大学を出るなり、あるいは働きながらでも夜間
大学を出て、そういう形にするには、もっと制度化をする必要がある。私は看護婦養成所だとかいうものでなくして、いままで立てられた学校教育の中にぴっちりと入れて、ほんとうにその教育を受けてその地位を獲得してもらう、こういう道をもっと開くならば、私はできぬことはないのじゃないかと思うのです。ですから、
厚生省のほうとしても、大蔵省との折衝あるいは文部省との折衝の中で、看護婦さんをつくる、たくさん補給をする意味において、私立
大学もまねてくれという意味でなくして、もっと
大学教育を受けられるような、私立
大学の中にもそういう看護科を新設できるような運動をするとか、もっと着実な方法が考えられるのじゃなかろうかということを考えますときに、私はもうとみこうみせずに、この問題に対してはひとつやってもらいたい。それに対してはいまの医学教育のようなミステークをしないようなやはり地位を獲得できるような、あるいはまた機会平等で、どういう人でもそういう地位に上がっていけるような新しい方法を考えてもらいたい。こういうぐあいに私は思うわけでありますが、こういう点につきまして、一ぺんとくと考えて、大蔵省と打ち合わせ、文部省と打ち合わせて、ほんとうに
厚生省が中心になって動く、こういうようなことをひとつ徹底的にやってもらいたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。