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1971-12-02 第67回国会 参議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二日(木曜日)    午前十時十四分開会     —————————————    委員異動  十二月一日     辞任         補欠選任      杉山善太郎君     戸田 菊雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 英男君     理 事                 鹿島 俊雄君                 高田 浩運君                 大橋 和孝君                 小平 芳平君     委 員                 石本  茂君                 上田  稔君                 上原 正吉君                 山下 春江君                 須原 昭二君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 和田 静夫君                 小笠原貞子君    政府委員        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        人事院事務総局        職員局長     島 四男雄君        大蔵政務次官   船田  譲君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        労働省労政局長  石黒 拓爾君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        行政管理庁監察        審議官      鈴木  博君        大蔵大臣官房審        議官       植松 守雄君        国税庁次長    村田  博君        国税庁長官官房        総務課長     横井 正美君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道副        総裁       山田 明吉君        日本国有鉄道職        員局長      原田 種達君        日本国有鉄道施        設局長      北岡寛太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働問題に関する調査  (日本国有鉄道不当労働行為に関する件)  (国税庁等における労働問題に関する件)     —————————————
  2. 中村英男

    委員長中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、杉山善太郎君が委員を辞任され、その補欠として戸田菊雄君が選任されました。     —————————————
  3. 中村英男

    委員長中村英男君) 労働問題に関する調査を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 須原昭二

    須原昭二君 お許しをいただきまして、若干国鉄のいわゆるマル生運動関連をしてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、磯崎総裁お尋ねをいたしますが、去る十一月二十一日仙台での東北新幹線建設起工式出席をされたそうでありますが、その際におけるお話が、先般のわが党の議員団とのいろいろの折衝の中で、磯崎総裁生産性運動にかかわる不当労働行為の問題については、きびしく関係当局の幹部の皆さんに訴えられてきたとおっしゃいましたが、その点は間違いございませんか。
  5. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いまのおっしゃったことは、きびしく訴えてきたというのは、私が部内に対してという意味ですか。
  6. 須原昭二

    須原昭二君 そうです。
  7. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) そういうふうに申したと思います。
  8. 須原昭二

    須原昭二君 その当日、起工式が終わったあと記者会見があったと私は聞いておりますが、その際、いろいろ新幹線の問題、あるいは在来線の問題等々、お話願った。それに関連をして、生産性運動について、あるいははまた不当労働行為についての談話を発表されたように私は聞いておりますが、   〔委員長退席理事大橋和孝君着席〕 その点の中で生産性運動が行き過ぎであった点については、率直にあやまった。しかし、大多数の職員はこの運動にまじめに当たっている。このまじめな気持ちをくじけさせず、経営合理化に当たる国鉄の姿勢を示したい。したがって、二カ月の総点検を終えたら来年一月からでも運動を再開させたい、こう談話を出されたというふうにお話しになったと聞いておりますが、不当労働行為については、この中には触れられていませんけれども、この点は表明されたのですか。
  9. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 新聞記者会見起工式の前の日でございますが、それで起工式が日曜日の朝で、新聞記者会見は土曜日の午後でございましたので、日にちが逆になっております。不当労働行為については、そのときはほとんど触れません。悪いことは悪いとしてあやまったということだけに触れました。新聞記者諸君質問もむしろ前向きのこと、これからどうするのだという質問が大部分であったと思いますので、私の手元にまいっております当日の記者会見の記録を見ましても、前の話についてはほとんど触れておりません。私が読みましたものにつきましては、そういうふうに記憶いたしております。
  10. 須原昭二

    須原昭二君 その点について多少私もお話をいただいたときには不当労働行為はきびしく管理者皆さんに伝えてきた、こうおっしゃったものですから、新聞記者会見でもそのような発言があったのではないかと、いま御質問いたしたわけですが、ついてはこの下部伝達徹底について私はお尋ねをいたしたいのですが、不当労働行為は遺憾であったと、いわゆる丹羽運輸大臣から総裁が厳重に注意されたのは十月の二十三日ですね。同日九時四十五分から国鉄本社記者会見で、あなたも不徳のいたすところを恥じ入りながら、山田総裁真鍋常務理事厳重注意をされ、真鍋職員局長を更迭することを発表されて、二度と再び不当労働行為は起こさない、そのためには生産性運動を洗い直すと決意を発表されたように私は聞いております。また二十九日にはマル生教育中止すると発表されております。この点は間違いありませんね、事実経過です。
  11. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 時日的にちょっと記憶の不正確なところもございますが、たしか土曜日の朝だったというように記憶しております。それから、生産性運動を二カ月間中止すると申しましたのはいつだったですか、二十九日だったか……、いま中止のほうはちょっと調べますが、私が処分その他発表いたしましたのはたしか土曜日の朝だったように記憶いたしております。
  12. 須原昭二

    須原昭二君 二十三日あるいは二十九日、マル生運動中止発表は、これは新聞に出ておることですから、時日関係は間違いないと思います。実はこれらの声明不当労働行為国鉄職場からなくなるものであると大きく私は期待をいたしておりました。しかし、ここにたくさん私は資料を持ってきておりますけれども、非常にたくさんの不当労働行為あるいはまた組織介入あるいはまたマル生教育等は実質に現実に行なわれておるわけです。全国至るところでいまなお続出いたしておることは、私は非常にふかしぎな現象ではないかと実は思っております。というのは、総裁のあのような声明、そうしたものが正しく下部管理者伝達されておるのかおらないのか、ここに私は一つの大きな問題があるのではないかと実は思うのです。したがって、その伝達方法についてどのような措置をされておるのか、この点をまずもってお尋ねをしておきたいと思います。
  13. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 伝達方法につきましては、まず二十三日の処分あと、その翌週でございました。三回に分けまして現地の総局長並びに管理局長東京に招集いたしまして、いずれも一日かかりましてゆっくり私自身の考えを申し述べ、十一日の私の発表文と申しますか、命令書を受託するに至ったいきさつを書いたものがございます。新聞に出したものです。これを逐一私自身で一字一句残さず説明をいたしたわけでございます。その後管理局長会議をたしか三日間やりまして、その次の週から今度は管理局における総務部長、これを集めて——これは全員一緒に集めましてもなかなか内容が違いますので、三人、四人とこまかく分けまして招集いたしまして、話の徹底をはかったわけでございます。一方、通達等につきましても、そういった問題についての通達をたしか三回ぐらい出しました。まあ私自身の口あるいは副総裁その他関係者の口から直接現場管理者に対する説示と、それから書面による説示と、それから、今度は逆に私自身あるいは副総裁自身現地へ出かけますほかの、たとえば先ほど先生のおっしゃったように、現地へ出かけるチャンスがございますので、その機会に現場長を集めまして、先般も仙台で約三時間にわたって、私自身から現場長に話をするということをいたしました。  ただ、その後あとを断たないというお話でございますが、いわゆる不利益処分その他については、私は現実においてはもうほとんどなくなっていると思っておりますが、非常に企業体として大きいものでございますから、あるいは徹底のしかたに欠ける点があるかとも思いますが、私は全力をあげて徹底さしておるつもりでございます。また、私自身が言うことは裏を返したりするんじゃないぞと、私の言ったとおり、額面どおり受け取ってもらわなければ困るという、非常に言いにくいことまで申しまして、趣旨徹底をはかっておるつもりでございます。もう大体二カ月たちましたので、おおむね趣旨徹底しておる、こういうふうに私は思っております。
  14. 須原昭二

    須原昭二君 実はいまお話を聞きますと、総裁自身直接管理者皆さんと数回に分けて口頭で逐一御説明を願って徹底をされたと、通達等々について、出されたのかどうか、その点については、その後三回ほど出された——口頭はともかくとして、文書通達ですね、これはどのようにされておるのですか。
  15. 原田種達

    説明員原田種達君) 通達につきましては、不当労働行為の禁止、生産性研修の取り扱い、あるいは旅費、超過勤務その他服務厳正等に関する通達について、十月の二十一日に総裁通達といたしまして、公労委命令受託に伴う管理者の心がまえという問題につきまして、不当労働行為をしてはならないということを徹底いたしております。それから、十月の十九日に、服務厳正等につきまして副総裁通達をもちまして徹底いたしております。それから十月の十六日でございますが、職員局長名をもちまして、生産性研修会出席について特に出席希望十分確認の上手続をとるように、こういう通達を出してございます。
  16. 須原昭二

    須原昭二君 いま十月十六日、十月十九日、十月二十一日、それぞれ文書によって通達されておる。にもかかわらず、十一月十二日です。仙台鉄道管理局局報においては、「新しい国鉄づくりに邁進しよう」と題して、実はその前日に、いわゆる十一月の十三日に予定されておるマル生地区大会中止はきわめて遺憾であるというような趣旨を盛った仙台鉄道管理局長鈴木秀昭さんの名前部内通達が出されておるわけです。この文書の中を見ましても、三回にわたって文書通達がなされたにもかかわらず、きわめて遺憾であるというような公文書鉄道管理局内に出されておる。こういう点はどういうことなんですか。局報や号外などで——当然文書通達によって、不当労働行為をするな、あるいはマル生教育はするな、そういう通達を出されたにもかかわらず、下部においてはこういうものが出ておる。そういたしますと、総裁意向、あるいは国鉄本社気持ちというものは下部徹底をしておらない。徹底をされておると言われるけれども、現実には徹底をしておらないという証左がここに出てきておるわけですが、いま裏を返すなという総裁お話がございましたが、全くその総裁意向と違った伝達下部において現実に行なわれておる。この点をどう思われますか。
  17. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私の手元にもいまお示しの局報がここにございます。この中にやはり仙台管理局長としては私の言いましたことをそのまま繰り返しまして、「もとより、国鉄再建運動は、明日の国鉄をめざして企業を繁栄に導き、」云々と、そうして「国民への誠意」、「国鉄への愛情」が必要であるということを繰り返し述べております。これは私の声明と同じでございます。そうして自分は「誤解があればこれを解き、歪曲があればこれを正して、新たな躍進のために更に職員と共に努力する覚悟」であると、こういうふうに申しております。それから遺憾であると申しましたのは、「誠に残念でなりません。」ということは、その前に「一部の地区において、集会、言論の自由が暴力によって踏みにじられ、妨害されたということを聞き、民主主義法治国家のもとにおいてかかることが行なわれること」は残念でならない、こういうことが書いてございます、私の手元にございますものは。私は、ですから、私の申しましたことを、私の声明をそのままここへ書いたものでございます。  それから、生産性大会につきましては、これはもうこの前の当委員会でいろいろお話がございまして、ことに十一月二十七日に予定されておりました東京全国大会、これをぜひやめるべきだ、やめるようにしろという当委員会での強いお話しがあったことを記憶いたしております。その十一月二十七日の大会の前に、各地でもって各地生産性大会が催されることになっておったわけでございますけれども、それにつきましても、私のほうから指導いたしまして、これは天下りの大会じゃなしに、いわゆる生産性教育を受けた連中が、ぜひ大会をやりたいというのを、まあ時節がら非常に問題も多いからやめなさいといって、説得したわけでございます。これは命令じゃなしに説得したわけでございます。諸君が自由にやるべき生産性大会、しかも、名前国鉄再建大会管内職員自由意思による再建大会そのものをいろいろな事情でやめなさいと説得した。そのことについて、非常に遺憾であったと述べている。私はこのように解釈いたします。
  18. 須原昭二

    須原昭二君 これは総裁意思文章にされたと理解をしてもいいということなんですが、この表現はきわめて敵対的に対置をさせるような表現であり、きわめて誤解を生む表現だと思うわけです。そういう点についても、私は特にこの際要望しておきたいと思います。  さらに国鉄総裁が陳謝をされ、そして、厳重注意をされ、真鍋常務理事職員局長が更送をされたその日の翌日ですね、実はここに私は持ってきておりますが、交通新聞が出ているわけで、この交通新聞の中に日曜評論というところがあるわけですが、ここに梅原一雄さんが「克服しよう「精神上の欠陥」」と書いてあるわけです。そして大要を御説明申し上げますと「国鉄赤字経営は今に始まった問題ではない。借金だけで三兆円」云々から始まって「これは「構造上の欠陥」であるというよりは「精神上の欠陥」である。」こういうふうに位置づけておる。「それでは「欠陥」とは何であるか。」こういうことについて、ここに書いてあるわけですが、「国鉄労働組合の中にいまだに巣食っている“闘争至上主義”がそれである。」こういうことを断言しております。「経営に対して戦いをいどむ。政治に対して反旗をひるがえす。体制に対する反体制闘争を展開する。そこから生活の向上がうまれ、労働者の幸福が招来され、世界の平和につながるのだという古い、古い迷信。これが「欠陥」の一つだ。」とここに表現がなされておる。さらに労働者の「労働条件の改善を強く要求し、不当な待遇に対しては団結してこれに抵抗するのである。なるべく働かずに賃金だけ多くとるなどというのは錯誤も甚しい。まるでユスリ、タカリの精神ではないか。世界に誇るべき日本国有鉄道組合に、こんな精神が残存しているとすれば、それこそ「精神上の欠陥」である。」さらにことばを加えて、「現在の労働組合が「なるべく仕事をせず、なるべく多くの賃金をとる」ことを信条としているなら、これは生産向上とは全く相容れない。そんな組合からはなるべく早く脱退し、労働者本来の誇りと責任を有する人々の組合に加入することを奨励するのが、当然の措置である。もし、国鉄生産向上に協力せず、賃金だけを獲得しようとする者があれば、こういうものを却け、積極的に働くものを重用するのが上級職員の使命である。」こうつづっております。そして「国労動労も古い迷信を断ちきり、見栄も外聞も捨てて企業再建の闘いに挺身したらどうか。」こういうふうにこの論評は言っておるわけですが、実は、この日曜評論総裁のあのような画期的な声明を出された翌日の日付ですよ。こういう内容記事が実はここに出ておるわけですが、梅原さんがそういう考え方を持たれることは自由です。言論の自由です。私はその点は非難をするわけではございませんけれども、この記事が実はその後全国国鉄職場で、管理者側で大々的に活用されている事実があります。たとえば、私は資料をたくさん持ってきておりますが、ここに四つくらいの問題の個所を申し上げましょう。秋田鉄道管理局管内に大館という機関区があるそうでありますが、十一月四日の区報にこれを出してそんな国鉄労働組合からは脱退し鉄労へ加入をとあおっているわけです。さらに大阪鉄道管理局管内では、西宮駅長は十月二十六日朝点呼の際に全職員を集めて、これを堂々と全部朗読をして紹介しておる。鶴橋駅ではマル生掲示板にこれを張ってあるんです。そうして全職員に披露しているわけです。あるいは厄神という駅があるそうでありますけれども、厄神駅では、この記事をこともあろうに実は拡大増印刷をして、職員一人一人に配付をしているんですね。こうした文章を、あの声明後に職場の中に配付をしたり、増刷をして個人に配ったり、こういうことは明らかに組織破壊であり介入である、こういうことにつながると私は思うわけでありますが、その点はどうですか。
  19. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私もその梅原さんという方の日曜論評は読んだことがございます。もちろん先生がいまおっしゃったとおり、いろいろな新聞雑誌等で私のとった態度に対していろいろ批判があったことも事実でございます。けしからぬという批判もあれば、正しいという批判もあった。いろいろあったそのうちでもそれはどちらかといえば、いままでの生産性運動をエンカレッジする論評であるというふうに私は思います。ただ、それが私の声明直後に出て、そうしてそれがそのまま、特にそこに脱退をしたほうがいいというふうなことが書いてある、いまお読みになりました。その点などにつきましては、たとえ論評であったとしても、それをそのまま伝える一むしろ現場長がそれに自分なりの解釈を加えると非常に問題ですが、こういう意見もあるんだという意味で配ったのであるというふうに思います。しかし、その論評の中にもございますとおり、国鉄自体の現在置かれておる地位というものは、先生御承知のとおり、全く動きのつかない状態になっていることは事実でございます。それに対して四十数万の職員がどうあるべきかということについての一つ考え方として、それを出したんだと思います。したがって、梅原個人の御意見は適当不適当別でございますが、それに対して自分はこういう論評があるがこれが正しいんだ、こうすべきだと言ったかどうかこれは別といたしまして、そういうことを、紹介したこと自身は、私は新聞と同じだと思います。しかしながら、時期が時期であったということについては、必ずしも論文の内容自体が、いまの私のほうのムードにそぐわなかった点があるというふうに考えます。
  20. 須原昭二

    須原昭二君 きわめてあなたの答弁は不満といたしますよ。国鉄の一職員がこういう論評があるからといって討議するならけっこうなんです。いやしくも、管理者がこういう意見があるといって出すところに問題があるわけなんですよ。  さらに私はここにも資料を持ってきておりますが、長野鉄道管理局能力開発課文書に、わざわざこれをコピーにたくさん刷って、組みかえてコピーにしてみんなで討議しよう、十月二十四日付交通新聞の日曜評論を掲載し、あなたの職場でもあなたの仲間と討議してみてください——管理局長あるいは機関を通じてこういう討議を要請するということがそもそも問題ではないんですか。一職場職員個人的に討議をするということなら私は何も言いませんよ。いやしくも管理者がこれを討議をしなさいと言うことをあなた認めるのですか。
  21. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その討議をしましょうという意味でございますが、総裁はこういうことを言っている、それに対してこういう批判がある、一体その批判がどうかということを討議することは、これは差しつかえないと思います。総裁のやっていることは、これは命令でございますから、これは下部機関として受けなきゃいけません。しかしながら、それに対して世間でこういう批判もあるんだということを教えてやること、先ほど申しましたように賛成反対いろいろございます、だから、こういう意見もある、ああいう意見もあるということを教えてやること自身は、私はそれは一つ部内に対する教育であると思います。しかし、逆にほかの新聞でもって、国鉄総裁態度はよろしいということがあったとすれば、それを討議させることも大事なことだろう、私はこう思います。
  22. 須原昭二

    須原昭二君 そういうことになれば、じゃ国鉄総裁お尋ねしますが、これに反論をする記事能力開発課から発行して、扱われて張りますか。
  23. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それはすでに私の言ったこと、十月十一日に私の発表した声明文、それを全部各現場に配り、そしてその交通新聞にももちろん全文掲載してございます。ですから国鉄としての趣旨ははっきり現場通達してあると思います。それに対してこういう批判があるということだと私は考えております。
  24. 須原昭二

    須原昭二君 私はそういうことを言っているのじゃないですよ。ああいう意見もある、こういう意見もあるといってあなたが言うから、あなたの意見管理者意見、そして背馳いたしておるところの国労動労諸君意見、こうしたものを公平に扱いなさいよ。そういうこと言うなら。  そこで、時間がないですから私は先に進んでいきますが、国鉄広報宣伝内部伝達方法についてさらに加えて私はお話をお伺いしておきたいのですが、国鉄には私の記憶するところ「つばめ」というやつがありますね。あるいは雑誌では「国有鉄道」がありますね。業務上の伝達方法としては広報局報、あるいは下部、末端へいきますと区報というものがありますね。内部外部を問わず、広報方法を通じて総裁及び本社意向がこうした問題について下部伝達されたことがありますか。この点をお尋ねしておきたい。
  25. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 国鉄広報あるいは局報区報というものは、主として公の業務の遂行のしかた、たとえば列車の時間とか、あるいは工事の内容とか、そういうものを通達する機関でございまして、そういう現場に対する事業内容命令伝達形式でございます。それから、もう一つ先生のおっしゃったいわゆる広い意味広報、いわゆるPRでございますが、それは仕事内容でなしに、職員としての知っておくべき事象の推移あるいは事柄の内容、そういうものをわかりやすく職員PRするという二つの部内周知徹底方法があるわけでございます。したがいまして、いま先生の御質問のほうはどちうのほうでございますかはっきり私は了解いたしかねましたけれども、どの事業所におきましても、いわゆるその事業所なり工場なりとしてのいわゆる業務上の命令伝達のしかたと、そうでない一種の社内報PRのしかた、会社の仕事内容、製品の内容等宣伝、紹介、これはどこでもやっていることであると、こういうふうに私は思います。
  26. 須原昭二

    須原昭二君 外部に対しましてもあれほど一貫し、日本の多くの新聞国鉄マル生運動推移について大々的に報道して、一般国民利用者も非常に関心を持っておるわけですね。そういう問題について、国鉄の「国有鉄道」あるいは「つばめ」に何ら書いてない。そういう点に私は疑問があると同時に、部内報は業務上の内容だと言われますけれども、こうした不当労働行為をするような生産性教育中止せよ、こうしたことも業務内容じゃございませんか。そういう問題については通達を出されておられる気配がないと思うのですが、その点はどうですか。
  27. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) そういうことをいわゆる広報局報等に掲載する慣例はございません。先ほど申しましたように、広報局報と申しますものは、純粋に鉄道を動かすための必要な仕事、あるいは営業するための必要な仕事内容、これを現場伝達するための機関でございます。方法でございます。そのほかの一般的にいまおっしゃったようないわゆる社内報的なものは、いろいろな方法がございます。先ほど職員局長から申し上げました通達、これはその一つ方法でございまして、すでにその通達も三つ続けて出しているということはもう申し上げたとおりでございますし、私自身の十月十一日における心境、声明等はもちろん広く現場伝達されているというふうに私は思っております。
  28. 須原昭二

    須原昭二君 そこで私はお尋ねするのですが、そうした下部伝達がうまくいっておらない。また私は怠慢をされているとは言いませんけれども、その下部伝達機関があるにもかかわらず、そういう機関的な新聞といいますか速報というものがあるにもかかわらず徹底をしておらない。そういう点について私は非常に遺憾と思うわけです。もっとこうした区報なり局報なり広報なりというものを活用して下部伝達徹底をする、この点約束できますか。
  29. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先ほど申しましたとおり、私の十月十一日における声明と申しますか、これは前回の当委員会で私自身朗読いたしました。それは十月十六日の「つばめ」というこれは全職員に配っておる社内報でございます、これに全文掲載し、それの説明をしてございます。
  30. 須原昭二

    須原昭二君 一ぺんですか。
  31. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) この「つばめ」は一ぺんでございます。その後まあ「つばめ」につきましてはいろいろ問題も多いものでございますから、当分の間この問題に私の声明以後触れませんで、そうしてあとは新賃金の問題そうした問題について編集をして配っているというふうに私は見ております。その他の通達のしかたは、先ほど申しましたとおり、私と申しますか、本社から管理局長から現場長というふうな形をもって伝達をしているわけでございます。
  32. 須原昭二

    須原昭二君 そういう機関内部にあるんですから、それを十二分に活用することなんですよ。活用しないで実はほかのルートであなたたちはほかのことを宣伝をしている気配があるんです。これが交通新聞です、私は交通新聞について若干お尋ねしておきたいと思うのですが、この交通新聞は、発行所が財団法人の交通協力会であります。これは間違いありませんですね。この歴史的経過を見ますると、この財団法人は昭和十八年の二月十一日、当時の運輸大臣だったと思いますが八田嘉明さんですかの寄付五万円を基金として設立されたもので、そして定款は、私は「寄付行為」を持ってきておりますが、これを見ますと、「本会は交通事業の円滑なる運営に協力すると共に、交通に関する一般の認識と理解を深め、且つ交通従事者の教養の向上に努め、もって交通事業の健全なる発展と、公共の福祉の増進に寄与することを目的」とした公益法人である。そして新聞は公益法人の一事業であることが明記されているわけです。これは、いわゆる民法の三十四条に基づく一般社会の公益を目的とした運輸大臣が許可をした法人なんです。しかるに、この新聞記事内容を通覧をして見ますると、実は私は重要なところを最近のやつをずっと読みました。幸い私の国会の事務所のほうにも毎日きておりますから、私はそのつど読んでおります。しかし、その記事内容をずっと読んでまいりますと、さきにあった梅原一雄さんの論評といい、国労あるいは動労についての中傷記事は言うに及ばず、第二組合支持に関するいろいろ特別な記事が出されておる。特に「発言」欄を見ますると、匿名が半分。その匿名の半分はほとんど国労動労組合の中傷です。  そして、ここで書いてあるのを多少読んでみますると——時間の関係がございますから、あまり多くは語れませんけれども——ほんとうに、たとえば鉄労の分会の結成というわざわざ見出しまで凸版でちゃんとつくってありましてね、どこどこに鉄労という第二組合ができた、どこに全施労の組合ができたと、分会結成を克明に毎日速報しております。鉄労地区大会も逐次これを掲載をしております。鉄労本部の組織局長磯崎——ちょうど総裁と一緒の名前ですがね、これは鉄労の南東京地本の委員長に就任、こんな記事が三段とか四段抜きで大きく書かれるのですよ。投書欄では、マル生万歳、国労動労けしからぬ、総裁気持ちはよくわかる、国労から脱退しよう、こういうのが投書欄に山積しているわけです。あるいはまた、国鉄各地生産性運動という見出し、凸版をわざわざつくって、それが連日掲載をされる。こういうものを中心に紹介をされているわけです。  一方、国労動労記事はどういう記事が出ておるかといいますと、十月二日の処分反対闘争で、旭川局では国労が二十二名、動労が八名処分されたというような大きな見出しで、九月十日付では、東京地裁の、田町電車区での「手ぬぐい行動」に対する仮処分申請却下など、国労動労に不利になるような記事ばかりで、こういう記事が山積をされているのです。  私は、もちろん憲法で明示する出版、言論の自由、これは私はぜひとも守らなければならない。しかし、しかしですよ、少なくとも公益法人たる団体が発行している新聞が、一党一派に偏するような記事を掲載をするということは、私は認めるわけにはまいりません。政治的中立、公平の原則で記事を取り扱うべきがほんとうだと思いますが、その点は行政管理庁はどう考えておるのか、御答弁を願いたい。
  33. 鈴木博

    説明員鈴木博君) お答え申し上げます。  公益法人が出しております機関紙が、その内容において公益性を阻害しておるかどうかと、こういう点に対する御質問と承ったわけでございますが、公益性というその観点から、記事がそれを害しているかどうかということにつきまして……。
  34. 須原昭二

    須原昭二君 一党一派に偏していいのか、明確に答弁しなさい。
  35. 鈴木博

    説明員鈴木博君) これは、その点だけを取り上げて考えますならば、たとえば政党でつくっております法人の中にも公益法人はあると思いますので、必ずしも公益性を害したいと言い切れないものがあるのではなかろうかと存じます。
  36. 須原昭二

    須原昭二君 ほめられるべき行為であるか。
  37. 鈴木博

    説明員鈴木博君) 公益性という概念がまた非常にむずかしゅうございますし、われわれの立場といたしましては、行政官庁が公益法人に対して適正な監督をしておるかどうかという点を主として監察をしておる立場でございますので、これ以上、非常にむずかしい問題かと思います。
  38. 須原昭二

    須原昭二君 これは論争すれば切りがございませんから、先に進みます。きわめてその点の答弁については不満であることだけは表明をしておきましょう。  ただ、国鉄のこの財団法人交通協力会の会長は、この二、三日前かわられましたけれども、元国鉄総裁の天坊さん。いま空席になっております。理事長は、私がずっと調べますと、これはまた、国鉄の元船舶局長安田正三さん。専務理事は元国鉄中央学園学長の星野守之助さんですよ。その他役員の理事、監事、評議員など総計二十一名でございますが、運輸省並びに国鉄本社の元高級官僚ばかりなんです。もしくは、現職の主要幹部なんです。ここに問題がある。行政管理庁がこの六月に日本全国の本庁関係四千三百九十六の公益法人があるということを指摘をして、この実態調査に入っております。そして、八月に終了しておるはずです。この十一月上旬に結果がまとまったと私は聞いておりますが、こうした天下り的な人事、国家公務員の役員の兼職は禁止する方向だとかねがね聞いておったのですが、その検討はどうなったのですか。こうした団体に対して国の補助金や関係公的機関から金をもらっている関連公的法人と、いわゆる監督官庁とのなれ合いにメスを入れなければいけない、こういう点が指摘をされておるのですが、そういう点はどうなっておるのか。六月から四千三百九十六件の公益法人の調査に当たられて、しかも全部やれないから、その中の百六件だけを抽出をして、調査をしたと私は聞いておりますが、その中に交通協力会が入っておるかどうか。入っていないとするならば、直接の担当の監督機関であります運輸省の監督局では、年一回事業報告、決算報告等を出すことになっておりますが、調査をしておるのか、国鉄本社から交通協力会に幾ら金が出ているのか、以上、五点についてお尋ねをしておきます。
  39. 鈴木博

    説明員鈴木博君) お答え申し上げます。  御質問に対しまして非常に消極的な答弁になります点恐縮ございますが、当庁の権限、機能といたしましては、行政がどのように公益法人に対して対応しているかという点のみしか、監察できないことになっておりますので、人事上のことにつきましては、今回の監察では取り上げておらない次第でございます。  なお、交通協力会につきましては、百六の抽出法人の中には入っておりません関係で、簡単な調書、一枚の調書でございますが、これで監察する以外にはないわけでございます。それによりますと、まあ収入、支出の総額、あるいは目的あるいは登記されております事務所の住所でありますとか、その程度のことしかわからないようになってございます。
  40. 須原昭二

    須原昭二君 行政管理庁に特に要望しておきたいのですが、調査をされるという報告を聞いたときに、私はいいことをやられるなと。しかしながら、こうしたやはり高級幹部が天下りに入っている機関が、また後輩の官僚の皆さんのいわゆる監督官庁とが、一緒にやって調査ができるものであろうか、特に行管だけでは強制権がないから、監督官庁と一緒に行って、公益法人を調査することになっているのですが、そういうことでは、このなれ合いぶりを見ると、メスを入れられない、こう私は危惧の感を持っておったのでありますが、まさにいまの答弁を聞いても、歴然たると言わざるを得ません。この点は厳重に言わなければならないわけです。特に抽出の百六件の中に、交通協力会が入っておらないとするならば、これは運輸省の監督局の統括になるわけです。そちらのほうから、もし、先ほどの私の質問に答えられましたら、ひとつ答えていただきたいと思います。
  41. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 交通協力会は、先ほど先生御指摘がありましたように「交通事業の円滑なる運営に協力する」さらに「交通に関する一般の認識と理解を深め、交通従事者の教養の向上に努め」るというようなことで、「交通事業の健全なる発展と、公共の福祉」を増進することを目的として設立されております。それで、その活動といたしましては、先ほど御指摘のように、交通、運輸に関する新聞雑誌、あるいは図書の出版であるとか、あるいは交通道徳の高揚運動、あるいは交通従事員に対する褒賞、その他の事項。その他教養の向上等に関する事業をやっておるわけでございます。  それから、役員でございますが、先ほど御指摘がございましたように、この事業をおもに担当しておりますのは会長、理事長、理事ございますが、現在常勤が四人でございましたが、先生御指摘のように、先般会長が辞任をいたしまして、現在理事長とも三人の常勤の役員で運営をいたしております。  それから、交通協力会に対しまする公益法人としての監督でございますが、これは運輸省が所管いたしておりまして、監督をいたしまして、年に一回監査をいたしております。監査の内容といたしましては、事業の遂行の状況、それから経理の状況、その他ということでございまして、前回も四十五年の八月に監査をいたしております。それで、その監査の結果、特別に問題はないというふうに私ども考えておりますが、ただその事業の遂行の内容につきましては、具体的に、これの発行をしている細部にわたって、たとえば交通新聞その他の記事内容というようなところまで私ども監査をいたしておるわけではないわけでございまして、総括いたしまして、交通に関する一般の認識と理解を深めるというようなための事業として、そういう新聞その他の発行というものを見ているわけでございます。私どもの監査の結果は、特別に問題はないということでございます。
  42. 須原昭二

    須原昭二君 そこで、年一回いわゆる事業の内容を報告させて、それを監査している。あるいは会計の状態、いわゆる決算の内容について報告書を出さしている。これの去年、おととしの、要するに報告書を、ひとつ資料として提供していただきたい。提出を願いたい。この点をまず委員長を通じてお願いをいたしておきたいと思います。会計報告が入っておりますから、したがって、この会計の中に国鉄本社から交通協力会、その事業体でありますところの交通新聞社に対してどれだけ金が支払われているのか。そういう点はわかりませんか。
  43. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 会計報告の中身は、事業の収入といたしまして、たとえば新聞事業の収入は幾ら、出版事業の収入は幾らというようなことが記載されておりまして、さらにそれに対応する新聞事業費はどうかというようなことが記載され、あるいは出版事業に対する、そういう費用その他が記載されております。なお、それによって収益の状況がどうかということが記載され、あるいは現在の財産状況がどうかということで、財産目録といたしまして、財産の内容がこまかく記載されてございます。それから貸借対照表といたしまして、貸借対照表の具体的な内容、資産、負債の状況というようなものが書いてございますが、特にその新聞の売り上げの中身というものを、どこにどれだけ売ったかというようなことは、収入・支出予算の決算の内容とはなっておりません。
  44. 須原昭二

    須原昭二君 それじゃ、その新聞の事業の中における収支決算、一年間の総額はどれだけになっていますか。
  45. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 一年間の収益でございますが、新聞事業の収入といたしましては、二億七千四百万円ほどでございます。
  46. 須原昭二

    須原昭二君 そこで、まあ、あとでこれは委員長を通じて、ひとつ資料として提出されるよう、業務内容報告、決算報告を……。  そこで、私はお尋ねをさらに進めていきたいと思うのです。いま、一年間の新聞の収入が二億七千四百万円、これを明らかに明示をされました。交通新聞は毎日約十万部発行されていると聞いています。そのうち五万部は、国鉄本社広報部が購入しているといわれ、そして私たち地方の調査をいたしますると、地方局の広報課に地方分がまいりまして、そしてその地方局の広報課を通じて職場に無料で配付をされております。その数がいわゆる五万部。一部、私たち——議員の皆さん全部一人ずつもらっておられるわけですが、これも国鉄から、実はこの分の中から郵送されておると聞いておる。交通新聞は定価一カ月三百十円です。送料一部十五円ですよ。一年間一部とりますと、三千七百二十円、五万部で一億八千六百万円ですよ。もちろん、新聞でありますから、一部買うよりたくさん、五万部を一ぺんに買えば安くなる原理は、ダースになれば安くなると同じように安くなることは認めましょう。送料はほとんど国鉄機関を通じて、列車を通じて輸送いたしますから、これは無料で提供なんです。こういう実態で扱われておるわけでありますが、送料を実費として計算をすると、約二億七千四百万円のうちのこの二億円というもの程度は国鉄本社から交通新聞に払っていることに相なるわけです。そこで、最大のスポンサーは国鉄本社である、こう言わなければなりません。ですから、交通協力会に対して国鉄が金を出すということではなくして、購読料として金を出しておる、こういうことに実は裏書きされるわけでありますけれども、このような、実際多額の金を払っていると、こういわれておりますが、国鉄本社はほんとうに幾ら払っておるのか、この点、本社からひとつ御報告を願います。
  47. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私のほうの交通新聞の購読料は、年間一億六千五百九十万円であります。この中には——私のほうは買ったときから私のほうの所有物になりますので、私どものほうの物として送っております。また、先生方にも全部これはお送りいたしております。これはやはり国鉄内容を知っていただきたいという意味で、国会の諸先生あるいは部外の有識者等には全部国鉄でもって郵送しているわけでございます。   〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
  48. 須原昭二

    須原昭二君 そこで問題なんですよ。そこでスポンサーというものと、編集者の筆の書き方というものは、ここに密着するところが出てくるわけなんです。多額の金、ほとんどいま国鉄が金を出してくれる、買ってくれるということになれば、交通新聞は、最大のスポンサーだから、スポンサーのためには、それの有利のためには筆に手かげんをしようというのは、これは世の常識なんじゃありませんか。公益法人が、公共の福祉の目的からはずれてしまって、公共の利益、すなわち公益ですね、公益から私益、さらには、私がいま言わんとする役所の益、役所益につながろうとしている、この現実をわれわれはいま端的に指摘をせざるを得ない。御案内のとおり、先ほど私が申し上げましたように、国鉄労働組合動労組合に対しては痛烈な批判や、不利になるような記事をどんどん掲載をさせ、分裂した組合、第二組合の支持の記事はどんどん書き上げ、当局のマル生運動については、それをどんどん評価して、これに対峙するところの声を封殺をしている、そういう記事内容ではありませんか。一億六千五百万円も支払えば、それは国鉄様々ですよ。国鉄本社様々ですよ。こういう記事を書かれて、それがあたかも国鉄部内紙のような形で下部機関伝達をされ、各管理者がこれを掲示板に張ったり、一部の職員に全員の前で朗読をさしたり、あるいはマル生教育の掲示板に張ったり、そういう経過が裏表として密着してくるじゃありませんか。私は、国鉄は特定業者との関係をこの際断ち切るべきだと、こう思いますが、国鉄総裁はどうお考えになっておられますか。
  49. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 国鉄といたしましては、現在の財政上の危機、あるいは輸送事業体としての危機について、あらゆる方々に事業の内容を御説明し、また、今後いかに国鉄があるべきか、あるいは交通機関がいかにあるべきかということをPRしなければならない使命を持っております。したがって、それに最も適した実際の専門家が編集するこういった新聞が必要であるということは、私は否定するわけにはまいりません。
  50. 須原昭二

    須原昭二君 国鉄は、あなたが生産性運動をやらなきゃならない原因は赤字経営である、多くの借金を持っている、三兆円も借金を持っている、利子が一日で五億円ともいわれておる、だから生産性向上運動が必要なんだと言いながら、こうした不必要な金を支払っているといっても私は過言ではないと思う。すなわち、下部伝達する内容を知ってもらいたい、皆さんがこれを認識してもらいたいというならば、やはり国鉄の中には、部内伝達ならば広報があるし、局報があるし、区報もあって、活用すればいいじゃないですか。外部に対して言うならば、「つばめ」だとか、「国有鉄道」なんという機関紙や雑誌があるんだから、こういうもので徹底したらいいじゃないですか。なぜそうした外部機関紙を通じて、多額の金を出して、そして伝達しなきゃならないんですか。私はこれはきわめて疑問ですよ。あえて再び答弁を要求いたします。
  51. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 鉄道事業と申しますのは、毎日毎日、日夜分かたず動いている仕事でございまして、月刊あるいは週刊等では新しいニュースを伝えるわけにはいかない面がたくさんございます。また、日々刻々、最近の時勢のように変わる事態になりますれば、新しいことをなるべく知っていただく、そして新しい今後の行き方を検討していただくという意味で、私は、毎日毎日のニュースを提供したいと、こういうふうに思っております。
  52. 須原昭二

    須原昭二君 私はそれを認めるわけにはまいりませんけれども、現実に行なわれておるこの交通新聞内容から見れば、きわめてこれは生産性運動にかかわる不当労働行為をあふっておる、外部で。そうすると、あなたたちは、この交通新聞意思を通じてやっているということになるわけですよ。いま委員部のほうから、総裁が何か御用事があってよそにお出かけだということですけれども、私はもう時間がございませんから、特にこの点について、あなたの意思が、あなたの意思といいますか、国鉄生産性運動というものが、あなたたちが言えないことを、あたかもこの機関を通じて言わしているんじゃないですか。この記事内容をどう思いますか、御答弁を願いたい。いいことですか、悪いことですか。
  53. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 最近の新聞の編集方法として、いろいろの人の、新聞に直接関係のある人、ない人の意見を、商業紙でも、また一般の業界紙でも入れていることは事実でございます。したがって、その編集者だけでなく、広く意見を求めて、そしてその意見新聞に掲載する、これは業界紙によくあることでございまして、私は、いま先生の摘出された論文の適否の問題は一応別といたしまして、私は、全般として、業界紙は、あらゆる業界の新しいニュースを伝える、そしてその業界に対する各界の批判をそこに出すということを、どこの業界紙でもやっておることであると思います。
  54. 須原昭二

    須原昭二君 どの業界紙でもやっておられるといっても、業界紙でも、これは公益法人の新聞ですよ。そして国鉄の幹部と運輸省の元幹部、現幹部がこの役員なんですよ。これは表面は違うけれども、内容になると一緒なんですよ。そしてやっていることは、中では生産性運動は再検討します、不当労働行為はやめます、こう言っておいて、こちらでは生産性運動はけっこうです、不当労働行為はもっとやりなさいと書いているんですよ。そしてその結ばれているのは、一億六千五百万円で位置づけられているんですよ。そして高級幹部——現、元幹部によって結びついているんですよ。金と人によってつながっているんですよ。まことに遺憾と言わなければなりません。この点については、十二分にわれわれは警戒をすると同時に、この善処を私は要望しておきたい、と同時に、行政管理庁は交通新聞、交通協力会の監査報告、いわゆる業務報告あるいは会計の内容資料としてひとつ御提出を願いたい。これを特にお願いをしておきます。そして国鉄本社については、交通協力会——交通協力会というよりは、特に交通新聞との便宜供与を断つべきである、手を切るべきである。これを強く要望して、あと時間がございませんから、私の質問を終わりたいと思います。
  55. 中村英男

    委員長中村英男君) 資料はよろしいですね。
  56. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) ただいま御要求がございました決算報告書等につきましては、提出をいたします。
  57. 鈴木博

    説明員鈴木博君) ちょっと意味がわからない点がございましたのでお尋ね申し上げたいんですが、公益法人の概況調べという一枚の個票が提出されておりますので、これを提出するということで御了承いただけますでしょうか。行管には、それだけの資料しか現在ありません。
  58. 須原昭二

    須原昭二君 あなたのほうで持っている資料は全部出しなさい。
  59. 鈴木博

    説明員鈴木博君) はい。
  60. 和田静夫

    ○和田静夫君 過ぐる十月の二十日、二十一日の両日、管理局長会議国鉄で開かれているようですが、そこでは一体どういう論議がかわされましたか。
  61. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その会議は、私みずから司会いたしております。そして、端的に申しますれば、十月十一日の私の声明文につきまして、私が先ほど須原先生に申し上げましたように、全部読み上げまして、一字一句私の気持ち説明し、あるいは解釈をした、ほとんどそれに尽きたわけでございます。
  62. 和田静夫

    ○和田静夫君 国鉄総裁がまあ特に発言をされたと、何に重点を置いて発言されたか、ちょっと述べてもらいたい。
  63. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点につきましては、前回の当委員会で申し上げましたので重複することを避けますけれども、十月十一日の各新聞社に対する発表、当日は御承知のとおり公労委の命令を受諾するということを公にした日でございます。それの発表といたしまして、約一ページぐらいのものを、私、自分で書きまして、そして発表したわけでございます。内容は、ちょっと詳しくなりますから、どういたしますか、読み上げますか。それとも前回御説明申し上げましたが、どういたしますか。持っておりますので、読み上げることは少しもいといませんけれども。
  64. 和田静夫

    ○和田静夫君 前回説明文章になっている内容ではなくて、あなたが社会労働委員会などの討論経過を踏まえながら、今後不当労働行為はやらない、しかしながら純粋な生産性向上運動というのはやっていくんだと、こういうことを言明されているわけです。そこで、あなたのほうからは、不当労働行為を伴わないところの生産性向上運動というものはできないだろう、こういうような趣旨発言をなされていますか。
  65. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私は、十一日の私の声明の中でも申しましたとおり、これまで純粋な生産性運動がいわゆる不当労働行為によって歪曲されて理解された事例があったことははなはだ遺憾であるという、率直に遺憾の意を表しております。したがいまして、逆に申しますれば、そういったことと関係ない、まあ不当労働行為の中でも特に問題になりました点、利益誘導、組織介入等と関係ない、たとえばごく端的に申しますれば、国労組合員であってこの運動を一生懸命やっている人もおります。そういうものとは全く関係がない、不当労働行為とは関係がない点でございます。そういう純粋な生産性運動、あるいはこれは国労に限らず、動労でも鉄労でも、いままでの組合に属しながら国鉄の生産性向上に努力しようという職員が多数おります。そういった者とこの不当労働行為とは関係がないわけでございまして、それを私は純粋な生産性運動と、こういうふうに申したわけでございます。
  66. 和田静夫

    ○和田静夫君 いや、私の言っている趣旨は、生産性向上運動不当労働行為が伴わないという、そういうような状態でマル生運動というものをやっていくことはできないか、こういうふうにあなたは述べていらっしゃいませんか。
  67. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それは会議の席上のことでございますね。その席上は、実はまだそういう前向きな話をするまでの段階よりも、むしろどういういきさつでこういうものを受諾したか、また国会においてどういう論議がされたかという点、むしろうしろ向きのほうの話を重点にいたしました。今後の問題は、もうしばらく本社で考えるからということで、ほとんど今後の問題には触れないで、私は自分のこの過去の問題についての信念を吐露した、こういうふうに私は記憶いたしております。
  68. 和田静夫

    ○和田静夫君 私の調査結果によれば、各地方からお集まりになったところの管理局長の半数をこえる部分が、その生産性向上運動が歪曲をされたとかなんとかといったような言い方があったところで、結果的には不当労働行為を伴わずに現場において生産性向上運動を指導する、計画する、そういうようなことは不可能だと、こういう形の現場の声というものが非常な勢いで出ている、こういうふうに私の調査に基づけばなるわけです。地方の局長たちの声というものをお聞きに全然なりませんでしたか。
  69. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) もちろん、まる一日やった会議でございますから、地方からも十分——十分といかないまでも、相当発言がございました。ことに、先生御承知のとおり、この八日に公労委の命令が出ました。そのときに私はちょうど国会に出ておりまして、たまたま労働大臣からお呼び出しがありましたので労働省へ参りまして、石黒労政局長ここにおられますけれども、私は公労委の命令内容を見ないままに、無理やりに記者会見をさせられたわけでございます。したがって、その記者会見の席上において、私はどういう命令が出たか知らぬというふうに申しております。したがいまして、翌日の土曜日の新聞では、非常に磯崎総裁が高姿勢であったという新聞が出ておる。これも御記憶のとおりでございます。その翌々日のことでございます、この十一日のことは。ある程度非常に意外だったという印象を私は世間一般も受けられたようでございます。当時の新聞記事を見ましても、豹変したという率直な批判をされましたけれども、そのくらい急激に事態が変わっております。したがって、その直後の管理局長会議におきましても、私自身のその辺の急激な変化と申しますか、状況の変化に対して、まだ事情がよくわからない——地方におりますから。そういう意味で、いろいろな発言のあったことは事実でございますが、先生のおっしゃったように、不当労働行為なしでは生産性向上運動はやれないというふうなことを申した局長は一人もおりませんでした。これは管理局長と私だけの会議でございますから、どういうふうに御調査なさったかは存じませんけれども、いやしくも私は会議の責任者でございますから、私自身終始出席しておりましたのですが、そういう意見を聞いた記憶は全くございません。
  70. 和田静夫

    ○和田静夫君 終日の会議を通じて、生産性向上運動の進め方というものについて、現場局長たちはやっぱりたいへんな苦慮をした。そこでそれらの意見をあなた自身は集約をされながら、それでもなお今後マル生運動をお続けになる、そういうふうにお考えになっているわけですか。
  71. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その会議ではその話はまだ具体的にいたしておりません。その後二十九日に至りまして二カ月間検討するということを申したわけでございます。その前に私は、御記憶かと存じますが、当委員会におきまして、テキストその他の内容において必ずしも感心しない面があるので、そういうものは再検討したいということを当委員会の席上で申しております。しかし、まだ具体的にそれにどのくらい日にちがかかるということを申しておりませんでしたので、二十九日すなわち管理局長会議あとになりまして二カ月間この問題を検討するということを申したわけでございます。事実は管理局長会議の話を聞いたあとで延期するということをきめたわけでございます。
  72. 和田静夫

    ○和田静夫君 私はこういうふうに実は類推をするのですが、たとえば、生産性コーナーあるいはさまざまなスローガンを掲げる、それから、例の能力開発課長の会議、これら自体は、総裁流にいえば純粋の生産性向上運動の一環である、こういうことになるかもしれません。しかし、これらでさえ御存じのとおり中止をした地方が多くなっていますね。これは一体何を意味するか。生産性コーナーの設置、あるいはスローガンを掲げるといったこと、あるいはいろいろな情報を出すといったそれ自体機械的な行為が、不当労働行為を伴わない限り意味がなくなってきてしまっている、そういうことが結果的には中止に通じていっているのではないか、こう第三者としては判断をする。したがって、そういう意味のなくなってきていることでありますから、この機会に総裁はそれらはやっぱり集約をされながら、マル生運動そのものというものをおやめになる、こういう考え方を明らかにされるほうがより正しいのだと私は思うのですが、いまいかがお考えですか。
  73. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) きょうの時点で、まだはっきり申し上げるまでに至っておりませんが、先般の当委員会並びに衆議院の社労におけるいろいろな諸先生方の御意見も拝聴いたしましたけれども、私としましては、現在の国鉄の直面しているこの難局——有史以来の難局を迎えるにあたって、ただ座して税金をくださいとか、政府の援助をくださいとか、運賃を上げてくださいということだけでは私は済まないと、これは昨日のテレビでもはっきり申し上げておりますが、私はそう思っております。したがって、四十数万のマンパワーを結集して、やはり全国民の協力を得なければ、百年たった国鉄は私は衰亡の一途をたどる。ベースアップどころではない、衰亡の一途をたどるという信念を持っております。したがって、この状況を脱却するためには、私自身国鉄自身で、四十数万職員自身で、この難局に立ち向かう決意がなければならないという信念でございます。
  74. 和田静夫

    ○和田静夫君 信念の披瀝はわかりましたが、問題は具体的なやり方、しかも、それは利用者国民の目から見て、あるいは諸権利が基本的に保障されている働く労働者の目から見て、そのことが納得できるやり方でなかったら意味がないわけですね。私が提起をしているのは、常識的に納得のできるやり方というのは、いま中止をされていますが、しかし、必ずしも中止をされていない。たとえば、昇給昇格の問題であなたが陳謝されたあと不当労働行為について陳謝されたあとに、十月三十日に豊橋の変電支区と、十月十六日伊那松島機関区でと、数え上げればきりがないほど現場では不当労働行為が起こっています、同種類の、そういうものをなくするためには、具体的なやり方としては、過去においてやられてきたような、そして現在もなお現場では無理解に継続をされているような、そういうマル生運動というものを、あなたの名前でやめさせる、そのことが一番常識的な道です。その意見を十分に組み入れながらあなたは処置をされるおつもりはありませんか。
  75. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いま中止をしておりますのは、いわゆる生産性教育でございます。生産性運動と申しますのは、私どもの職員自分たちの力で運動する、そのあらわれが、先ほど御質問にもございました全国大会、あるいは地方の大会でございます。しかし、これは予測の事態も予見されましたので、一応私どもが仲に入って、中止を勧告したという形になったわけでございます。しかし、私は、この、いま国鉄以外に、日本全体、すでに昭和三十年から日本に入ってまいりました、先生よく御承知のこの生産性運動、しかもILOからの脈絡のあるこの生産性運動が、国鉄にだけアプライできないということは、私はあり得ないと思います。日本じゅうのあらゆる産業がこの問題を取り上げてきている、それにもかかわらず、国鉄だけが違うんだということは、私はあり得ないと思います。ただ、これはこの前も申し上げましたように、私のほうには、現在、大きな組合が三つ、まあ四つと申しますか、ございます。若干ものの考え方あるいは立場が違っております。もう、こういう現象は非常によその企業には少ないことでございます。まあせいぜい、よその企業組合が二つぐらいが大体普通でございますが、私どものほうは三つないし四つある。しかも、おのおのの考え方が違っている、こういう点で、非常にむずかしいことがあるのは事実でございます。したがって、私は、前回も申しましたとおり、その組合を構成している国鉄職員の最大公約数、かなめとしての最大公約数、これは私は常に申しておりますが、国民への誠意と国鉄を利用する人への真心、こう申しておりますが、この二つだけは私は国鉄職員として、いかなる場合にも持っていなきゃならない、どの組合に属そうとも持っていなければならない。これは国鉄生産性運動の基調であります。この基調については、私はこれを否定することはできない、こういうふうに思っております。結局、これを発展さすのは職員各自の信念と自覚以外にない。これを不当労働行為によって歪曲したり、これを逆に生産性運動に名をかりて不当労働行為を行なうということは全く許されない、ということは十月十一日の私の声明で明白に私自身言っておるわけでございます。
  76. 和田静夫

    ○和田静夫君 組合が四つある、五つある、十あると、いわゆるそういう、言ってみれば本流の組合以外の組合をつくっていくことに手をかした、結果的には。そしてそこがふえていくことに努力をしてきた。それがマル生運動の本質であったということは、今日もう明らかであって、その辺はまさに語るに落ちたという感じでありますが、私が先ほど言っているのは、教育は十一月までに一応おやめになった。しかしながら、私は、全体としてやめる意思はないのか、そういう意味で言っているのであります。で、自発的に進めているところのマル生運動、こういうふうなお話しがありました。他の企業においても行なっているところのものを国鉄だけが間違いではない、こうも言われました。そうならば、いわゆるマル生グループから当局が手を引く、このことが必要だ。国鉄はそのグループにあまりにも介入をし過ぎている。国鉄当局の指導の方針が、あなた方は、誤り伝えられた、それが本心ではなかったと言われるかもしれないが、明確にあなた方の意思を受けて、現場ではそういう形の介入が行なわれてきたことが論議の対象になってきているんですから、その辺のことをやっぱりこの機会にお考えになる必要があるだろう。少なくとも私は常識的にそう思う。いかがですか。
  77. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点は、私はやはり先ほど申しましたとおり、結局は、組合を構成する以前の、国鉄職員としての各自の信念と自覚の問題であるというふうに思います。また、組合が多数あるように当局が指導したというようなお話もございましたけれども、たとえば、動労などはすでに昭和三十年前後にできておるわけでございますからして、国労の次に古い歴史を持っております。そういうものとは関係がないわけでございまして、私どもといたしましては、あくまでも純粋な生産性運動国鉄を再建しなければならないという職員運動、これはぜひとも続けていかなければならないというふうに思っております。
  78. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうだから、自発性を尊重されるのならば、その自発的なグループの運動ということにしておけばよろしいわけでしょう。昭和三十年から機関労働組合が存在し、動力車労組になってきたという歴史はちゃんと私も知っています。しかし、それに向けても、言ってみれば、分裂の行為というものは続いて起こってきているわけです。私の指摘しているのはそういうことをさすわけです。したがって、何としても、いろいろの抗弁をされたところで、いわゆるマル生グループから当局自身が手を引く、そういうことが今日やはり一番大切なことだ。国鉄労使間の問題あるいは国鉄全体の、言ってみれば、運営の向上、そういうものを考える場合に、そういう視点を大切にすることを私のほうは要求をしておきたいと思います。  そこで、昇職、昇格あるいは昇級を通じての不当労働行為というものは一番多かったわけですね。で、このことは総裁だって認められたと思います。ところが、総裁不当労働行為についての陳謝後も、なお現場では続いています。で、私は、ここで、昇級あるいは昇職、昇格の制度をきっちりとした基準のもとで運用する、そういうことが必要だと思うんです。で、今後、そうした差別を通じての組合分断現実に起こった不当労働行為、そういうものが起こらないという保障が、何といっても今日必要です。その点について、国鉄当局はどういうふうにお考えになっているのか。あるいは組合との間では、一体、その後この点についてはどのような合意に達せられたのか、明らかにしてほしい。
  79. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これは、先生も御承知のとおり、十一月二日に本社国労動労鉄労の間におきまして、紛争処理委員会をつくりました。で、初め十四日までの予定が三十日まで延びました。三十日に、さらに各組合とも若干意見も違いますので、その調整の意味もございまして、もうしばらく延期して、大体五項目ございますが、いま先生がおっしゃいましたようなことを含めまして、方向をきめて、そうして、具体的には国鉄内部の問題として団体交渉できめていく、こういう考え方でございます。
  80. 和田静夫

    ○和田静夫君 それは具体的にはすでに妥結をしましたか。
  81. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) まだ具体的に妥結の段階までには至っておりませんが、徐々にそういうふうに集約をしている最中でございまして、これはあくまでも私のほうの紛争処理委員会として国鉄労使の中で、しかも三組合を個々別々に控えまして、同じものをまとめるという努力をしている最中でございます。いま交渉の内容等は申し上げる段階ではございませんが、私どもとしては、何とか事態を収拾してまいりたいというふうな気持ち、その点については組合諸君のほうもそう変わりないというふうに私は考えております。
  82. 和田静夫

    ○和田静夫君 その収拾の段階に向かっている、それは組合との合意に基づくものである、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  83. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 内容はまだ申し上げる段階でございませんが、おおむね先生のおっしゃられた方向で進んでおるわけでございます。
  84. 和田静夫

    ○和田静夫君 最後ですが、今後こういう問題を起こさないために、一体どういう措置が必要であるかということは、やはり非常な焦点です。私はこの機会に、何といっても現場で具体的にこういう問題を惹起した行為者、当局側のそういう行為者の処分が行なわれることが必要だと思う。それについては、国鉄当局はいまだやられていないわけです。やられてないということは、一体、ほんとうに不当労働行為をやめる意思があるのかどうか疑いを与えるに十分だと思います。この辺あたりはどういうふうに処理をされるつもりですか。
  85. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) すでに公労委の命令の出ましたものについては、私もあと始末をいたしております。またその際、前回申し上げましたように、今回の問題は、端的に申しますれば中央における指導のしかた、具体的やり方についてのこまかい指示、ものの考え方についてのあやまちやすい点等についての十分な指摘が足りなかったという意味におきまして、総括的な責任を私自身、また副総裁自身、あるいは職員局長自身がとったわけでございます。したがって、そういう線に沿いまして、今後の問題につきましては総合的に考えてまいりたいというふうに思っております。
  86. 和田静夫

    ○和田静夫君 私も第三次の調査団で東京を歩きました。そうして私はそれぞれの駅長とも調査の責任者としていろいろなやりとりをしました。一番悪いのは、労働関係諸法は熟知をいたしております、しかし、その上でこういうことが起こりました。だんだんだんだん問い詰めていったら、たとえば、解決をしたそうでありますが、国労のバッジを胸につけていることなどについて、それを取れということは不当労働行為ではない、労働組合の団体の自由な行動というものを実は意識的に排除するものではないと法律解釈をしていました。あなたがしたわけですね、という形でだんだん問い詰めていくと、いや、それは生産性向上運動の一環として上から流れてきたものでした、こういう形のものが明らかになったのですね。そうすると、一方では労働関係諸法というものを私は熟知をいたしています。しかし、上から流れてきたものについては、労働関係諸法規を熟知していて、これが不当労働行為になるということはわかっているけれども、自分の立身出世のためにはそれをやる、こういうことになるのですから、悪いことをわきまえておってやるのですから、したがって、これが解決をする段階においては、みずからは法を犯していることをちゃんと理解しているのですから、結果的には労使間の問題としては自分処分を受けることはあり得る、そういう考え方のもとで現場の当局者たちはやったと見なければなりません。よって、あなたが一切の責任をとっておやめになるというのなら、それでもけっこうでございますけれども、その前に、あなたはやはり国鉄総裁として、こういう社会的な大きな問題を惹起をしたそれぞれの現場の、しかも、法を熟知していると過信をしている諸君に対して処分をする、処置をする、それが至当なことじゃありませんか。
  87. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先般、先生方がいらっしゃいました現場についての話、後刻いろいろ現場長からも聞きました。しかし、私どもと違って、先生方にお目にかかる機会はほとんどない連中でございます。日夜現場の作業をやっている連中でございまして、いろいろその場の雰囲気その他で、たとえば熟知しているかしていないかというふうに聞かれた場合に、私は知りませんと言えないということも私はあったと思います。それはこういう場でもって始終私がお目にかかっている先生方に御答弁するのとは事情が違うということは、私は御了察いただけると思います。初めて先生方にお目にかかる、しかも多数の先生方が一緒にいらっしゃる、とすれば、私は労働法規知りませんと、私は言えないと思います。そういう意味で、熟知していると言ったじゃないかとおっしゃっても、それはそういうふうに言わざるを得なかったような気持ちで言ったかもしれません。いずれにしましても、そういう問題の中で、先生も御承知のとおり、非常に明白なものと、裁判なんかの仮処分を見ましても、どっちにもとれるものとか、いろいろあるわけでございます。明白なものはもちろん知っていると思いますが、いま例にお出しになったような問題につきましては、非常に判断もむずかしい。また労働省の解釈も非常にむずかしいというふうな点で、私自身、先般実は労政局長に、一体非常に不当労働行為はむずかしいけれども、何かもう少し分類してわかりやすくしてくれないかといって、関係書類をほしいといったら、実にこれくらいの高さの書類をいただきました。これを一々熟知するのはたいへんなことでありまして、したがいまして、そういうものについては、もっとサマライズして、やさしく書いて渡さないと、実際一件一件になりますとむずかしいと思います。したがって、そういうことについて、手を取り足を取った指導が必要であるということでございます。  それから、先生、私自身の責任のことをおっしゃいました。私は総裁就任以来、日夜どこにおりましても、私自身の責任を忘れたことはないつもりでございます。したがって私は、私自身のことは私自身で決定いたすという気持ちでございます。
  88. 和田静夫

    ○和田静夫君 時間があれなんですが、私の言っているのは、あなたが少なくとも国鉄の当局側の人事を管理する者として、時間がないから例は一例しかあげませんでしたが、あなたが頭を下げられておるところの不当労働行為は、現実現場の当局者によって行なわれたわけです。そしてそれが不当労働行為であるということを知っているわけです。たくさんの国会議員がと言われましたが、私は一人と一人で会った。私は一人でしかない。そして、私は気が小さいですから、たいへん私は紳士的な話をしたつもりです。そして、私は国鉄内部服務規律、規程その他については全然知りません。知らないがゆえに、こういうことが規程にありますとかありませんとかという言い方になるのでしょう。しかし、それはアマチュアとして、私は常識的に考えて、そういうものが規程にあるわけはないでしょう、こう問いただしていくと、規程にない、そういうことが判明をしていく。そういう事実関係の上に立って述べているわけです。よって不当労働行為であるということを理解をしながらおやりになって、組合脱退工作までやられたわけですから、これはね、総裁の責任において、言ってみれば、そのやられた事件事件に対応をする措置のしかたというものは当然あってしかるべきである、全部これがほおかぶりで済んでいいということにはならない、そのことはそういうふうに御理解になっているでしょうね。
  89. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点につきましては、やはり前回のこの委員会でいろいろ御質疑のあった点でございまして、私は個々の事件ごとに適切な処置をとると、措置をとるというふうに申しております。
  90. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いままでの質問や答弁の中で、大体国鉄マル生運動にからむ不当労働行為等については、具体的な事実をもって多く論争されてきたと思うのですが、私は施設労働組合関係について、まず、北岡局長来ておられますから、具体的に質問してまいりたいと考えるのであります。  そこで、まず最初に、施設局長局長在任期間はどのくらいですか。それが一つ。  もう一つは、施設局長の職務内容、権限、これはどういうことか。  それからもう一つは、国鉄の施設関係における命令系統、組織、機構、これはどうなっておりますか。  それから、施設局のいま労務担当はだれがやっていますか。  その四点について、時間がありませんから、まず具体的に私聞きますから、具体的に回答してください。
  91. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 私が施設局長に参りましたのは、昨年の十月の二十日付でございます。  それから、権限というお話でございますけれども、仕事内容は、施設局の仕事といたしますと、主として保線を中心にいたしまして、施設、建造物等の維持管理、土地を含みます。そのようなことをするように定められております。  それから、労務担当につきましては、管理課長というのがおりますが、これが現在時点では担当しております。
  92. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 労務調査役というのはおりませんか。
  93. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 労務調査役というのは、つい最近まで一人おりました。これは施設局の中で各種の近代化等を行ないますために、その内容について及びそれに伴いまして組織、要員が変えられるという場合がございますので、それを担当する調査役を別個に一人つくっておりました。ただ、十一月の初めの時点で、実はエカフェという国際会議が来年六月に行なわれます。それの鉄道小委員会に保線を中心にいたしました問題のレポーターを送るということで、労務担当調査役をその仕事に専任させることにいたしまして、現在はその仕事は管理課長がやるということになっております。
  94. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 従来調査役として労務担当してきたのはどなたですか、具体的に氏名を言ってください。
  95. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 伊能調査役でございます。
  96. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 施設局長のもとにあって伊能調査役が労務担当して、主として労務担当の任務、役割りはどういう方向に重点を置かれて指導、監督、こういうものをやられたんですか。
  97. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 伊能調査役のあれは、労務だけの担当じゃなくて、近代化あるいは最近のエレクトロニクスその他全般にわたりますけれども、先ほど申し上げましたように、仕事内容の中に各種の近代化、合理化に関する仕事がございます。これが必然的に労務に結びつくという意味で労務担当と申し上げたわけです。保線と申しますると、保線の仕事をやる仕組みを変える仕事、あるいは機械化を中心にいたしました各種の計画を立てること等が含まれます。したがって、それに伴います組織の変更も伴いますし、機械化等に関しましては、たとえば作業の間合いをとるというようなことで各方面との連絡等もございます。そういうような仕事を伊能調査役のところで立案し、計画し、協議の結果まとまったものを実施に移すということを担当しております。
  98. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私の聞いているのは、そういう全般業務に関することもあるでしょう。同時に、労務政策上どういうところに重点を置いて指導、監督、こういうことをやられたかということを聞いておるわけです。機械化、近代化というのは、そういうことは当然あるでしょう、一般業務ですから。そうじゃなくて、労務管理の関係においてどういうことになりますか。
  99. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 労務管理と申しますと、直接的には職員局で担当してやられるということですから、職員局との連絡において仕事を進めるのがたてまえでございます。ただ現実の場合には、保線の仕事はいろいろな職場仕事がからんでまいります。仕事のやり方のシステムの問題もからんでまいります。そういう場合に仕事を進めていく場合の職場規律の問題そのような問題について当然仕事の中に入ってまいります。そのようなことをいたしましたことは事実でございますけれども、本筋といたしましては、職員局担当ということで、職員局と連絡をとりながらやるというのがたてまえでございます。
  100. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 結局職員局は、国鉄内部における労務管理、そういうものをやられる。系統別的には施設局長におりてきたものを、さらに伊能調査役が中心になって地方の管理局長ないし保線区、支区、こういったところに伝達もしくは管理、こういうものをやっていかれるものでしょう。そういうことでしょう。
  101. 原田種達

    説明員原田種達君) 職員管理、労務管理全般につきましては、これは職員局でやっていることでございまして、先ほど申し上げましたように、職員の正しい労務管理の教育あるいは管理者教育、先ほどいろいろ先生からお話がございましたような職場の紛争の種になるような団結権と職場規律の問題、どういうふうにして正しい労使関係のあり方を立てるか、そういうことを私どもの責任において教育し、かつ指導していっているわけでございます。したがいまして、特定の局がそういうことを離れて独自の指導なり教育をやることはございません。
  102. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 施設局長は、十月八日公労委から国労静岡事件について国鉄に対して出された裁定に従って、国鉄総裁が陳謝を国労動労に行なった、こういう事実については知っておりますね。内容はどういうことだったかわかっていますね。
  103. 原田種達

    説明員原田種達君) 十分承知しておるつもりでございます。
  104. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 内容はどういうことですか。
  105. 原田種達

    説明員原田種達君) 現実職場管理者層の中で不当労働行為——これは個々の件名についてはちょっと私いまあれでございますけれども、不当労働行為に当たるものがあるということで裁定を受けまして、それに対してその裁定に服したという事件だと思います。
  106. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ総裁が書面を持って国労本部、動労本部にそれぞれ行って陳謝をした事実は、これはいまおっしゃったとおりであります。その骨格は、一つはやっぱり不当労働行為は一切やらない。これは十一月の二日、三日——三日の日は、参議院の運輸、社労の合同審査会でも同様の答弁を総裁が行なったわけです。同時に、管理者に対しては総合的判断で人事的措置をとる、そのことはいろいろ具体的に言われておりますから、あとでそれはいろいろ解決策についてはお尋ねをしてまいりますが、いういった趣旨の最高責任者としての総裁の陳謝ないしは意見表明、こういうものがなされておったわけであります。残念ながらこの施設関係を見ますると、そういうものは徹底をしておらないのですね。これはさっき総裁もいろいろとそういう部面については何とか徹底するようにいろいろと方法を変えて状況を判断しながら一生懸命やっている、こういう話でしたけれども、どうも職場内を眺めてまいりますと施設関係がいま非常にひどいのですね。特に施設関係はあなたも御存じのように非常に親分子分的な環境がえてしてあるわけです。これは長い伝統でそういうふうにはぐくまれている。そういうものを利用して区長や支区長が、何といいますか、いまの生産教育とかあるいは施設脱退、加入、こういうものをいろいろやっている。こういう事実がまだまだこの施設内には数多くある。これは事実行為としていっぱい持っておりますから、あとで具体的にあなたに質問してまいりますが、そういういわば徹底について、業務系統別にやられたわけですか。
  107. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 先ほどの公労委からの指示に対する一連の動きについては十分承知しておりますし、その内容についても私は十分承知しておるつもりでございます。特に御指摘のように、ことしは春からでございますけれども、施設労働組合というのができた経緯がございます。したがって、そういった点は重大な関心を持たざるを得ないという立場で、先ほど来の、総裁管理局長を呼んでやられた以外に、特に施設部長を三回に分けて呼びまして、諸般の情勢というものがどうなっているかということを十分説明し、また現場の状況についても聞きまして、少なくとも疑わしいようなものを含めて不当労働行為にわたるものは絶対ないようにということについては厳重に示達したつもりでございまして、それについてもそれ以後そういうものはないというぐあいに私は承知しております。
  108. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま施設関係従業員は全国でどのくらいおりますか。非組合員数幾ら、労働者数幾ら、それに労働者内部には、総裁が先ほど説明したように施設労働組合鉄労国労動労、こうありますが、その組合別にひとつ発表してください。
  109. 原田種達

    説明員原田種達君) 御質問のございました施設労働組合は約一万足らずでございます。それから国労が約二十二万……
  110. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いや、施設関係だけ。
  111. 原田種達

    説明員原田種達君) はあ、施設だけでございますか。失礼いたしました。国労が施設の中で約二万、鉄労が約八千足らず、それから非組合員が約六千足らずと、こういう数字になっております。
  112. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この施設労働組合が発足したのは大体いつごろからですか。時期的な内容について説明してください。
  113. 原田種達

    説明員原田種達君) 発足いたしましたのは、本年の四月に大阪の鉄道管理局、四国総局などの施設関係職員をもって結成されたのでございますが、先ほど申し上げましたように、その後約三分の二の管理局で大体伸びまして、約一万足らずという数字に達しているわけでございます。
  114. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ数字的な発表はありましたけれども、従来施設関係従業員は約六万ですね。六万おりまして、鉄労が当初六千名ぐらい、現在、発表された八千名ですね。施設労働組合九千名、約一万、その後若干ふえております。国労が三万、こういうことになっておるわけですが、これが時期的な発生状況を見ますると、ことしの四月ころからですね。それで、ここ半年ぐらいの間に急速に組合というものが結成された。その結成をされたのは、一番最初は大阪で四月の十日、これが施設労働組合結成に踏み切った。四月の二十六日に大分で施設労働組合が同様に結成をされた。二十七日に大阪で全国の施設労働組合の結成をやった。この中には大阪三十五名の代議員、大分が五名、四国が十名、代議員としては計五十名、それに北海道、米子、高崎、秋田、岡山、静岡、南近畿、大阪工事局、広島等々がオブザーバーとして本大会に参加をしておる。この参加をする場合の結成の内容について、さっき施設局長が発表したように、みずから伊能調査役が管理局長その他を通じて猛烈なハッパをかけている。同時に、現地におきましては施設部長等と施設協議会というかつての職能協議会の役員、これは具体的に名前もわかるんですが、ここで発表は控えますが、そういう者にいろいろ相談を持ちかけて各般の援助をやっている、こういう事実については施設局長御存じですか、どうです。
  115. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 四月十日に大阪にできたということはもう聞きましたし、それから、その後の経過も大体いま先生おっしゃったような経過をしているということは、私も承知しておるつもりでございます。ただ、その結成の段階で御指摘の伊能調査役がその結成大会出席するとか、あるいは具体的に指導するというようなことがあったということは聞いてもおりませんし、現実にそういうことをやったというぐあいには私は考えておりません。当時すでに生産性向上運動というものが全社的にあげて行なわれておりました。そういう問題についての動きが労務担当という中から若干あったということは承知しておりますけれども、それが今度の施設労働組合の結成ということに直接的に結びついておるというぐあいには考えておりません。
  116. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 伊能調査役が直接分裂指導に当たったということはないと、こういうことですね。
  117. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) そのとおりでございます。
  118. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 もしあとでそういう確証があがってきたら、責任をとりますか、施設局長
  119. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 私と同じところで仕事をしておる男でございますから、ずうっと動きについては私は十分承知しておるつもりでございます。私の承知しておる限りにおいてはないというふうに信じております。もしありましたならば、そのことについては私の責任でございます。
  120. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 あなたは施設労働組合の発足のときの声明書を見られましたか。
  121. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 読んでおります。そのあとで、綱領とともにこの声明書についても一応目を通しております。
  122. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それに対して、あなたはだれに感想を申し上げておりませんか、声明書の感想。
  123. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 感想と申しますか、私自身の感想を特に言ったという記憶はございません。ただ、施設関係の職員組合ができたということについては、私としては重大な関心を持たざるを得ませんので、これについてはどうなるかという点について、非常に関心があるということは申したことはございます。
  124. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大阪の地方本部での施設労働組合の発足、大分での発足、大阪で全国施設労働組合の発会式、こういうものが逐一施設局長には報告になっておるのですね。どういう経路であなたに報告になるのですか。
  125. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) これは一つ職員局を通じてそういう話が私どもにまいります。もう一つは、現地の局から、こういう動きがあったということの報告がまいります。直ちにということでなしに、たとえば先ほど言われました声明書等につきましても、数日後に私が読んでおりまして、そういう一般の組織を通じて、動きとして私は承知をいたしました。
  126. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 現地というのはどこですか。局の施設部長ですか。それともどこかの保線区長とか、そういう系統はどうなっておりますか。
  127. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 私どもに入ってくる経路といたしましては、施設部長を通じて動きが報告されておるということでございます。
  128. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうすると、すべてそういう組合の発足とか、あるいは施設関係の労働者の動きとか、そういうものは地方のものについてはすべて施設部長ですね、それから直接局長に報告になる、こういうことになっておるのですね。いいですね、それで。
  129. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) これは、施設の組合だけには限りませんで、すべての労働問題につきましてのいろいろな動きというものは、逐次私どもに報告がくるように一応はなっております。
  130. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 職員局長のほうも同様な角度で各組合の動きというものは、局であれば総務部長、これから集約をして職員局長に報告になる、こういう仕組みですか。
  131. 原田種達

    説明員原田種達君) 原則といたしまして、地方の各総務部には労働課というものがございます。したがいまして、現場と密接に連絡しておりますし、組合とも密接な連絡をとっておりますので、そういう動きについては、ただいまおっしゃったような、形はそういう形になりますが、直接には本社の労働課また地方の労働課、こういうところに連絡し、そういう動きを把握するという形になっております。
  132. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、横の連携はどういうことになるのですか、職員局長
  133. 原田種達

    説明員原田種達君) それぞれの系統がございますけれども、各系統がそれぞれの所管の業務をやっております。したがいまして、それぞれの動きにつきましては労働課を通じてやるのが原則でございますが、そういう問題が労働課からまたそれぞれの系統のほうに連絡がいくということでございまして、また現地のあるいは現場長なりそういうところで把握した場合には直接その系統から上がってくるということもございます。
  134. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 さっき施設局長は、ある人に施設労働組合声明書を見てその感想を述べられたというけれども、端的に言って好ましいと思う感想だったのか、それともそれは悪いやつだと、こういう感じだったのか、どういう感想だったのですか。
  135. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 好ましいとか好ましくないとかいう感想よりも、施設系統といたしまして、初めて施設系統の組合ができたということについて非常に強い関心を持ったというのが偽わらない気持ちでございます。
  136. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 あなたは四月ですけれども、克明な期日は省略をしますけれども、これはある人との会見で、こういうふうに言っておるのじゃないでしょうか。施設労働組合が発足をし、その声明発言の中で、施労の方針は当局の施設の新しい運動として理解し、したがって、当局との窓口も開けている。非常に好ましいことだ。こういうことをあなたは発言しておりませんか。
  137. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 何べんも申し上げますけれども、好ましいとか好ましくないとかいうことではなしに、施設関係として組合ができたということ、それから綱領にも書いてあるのでございますけれども、施設関係の職員組合だということは強調されているものですから、それについては私どもとしては重大な関心を持たざるを得ない、そのことについてはあるいは方々で言っているかもしれません。以上でございます。
  138. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 どういう点が好ましいのですか。声明書はあなた持っているでしょう。
  139. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 好ましいとか好ましくないということは私は申し上げておりませんので、重大な関心を持っておったということを申し上げたというぐあいに申し上げております。
  140. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これはいずれあなたがしらを切るならば具体的な実証を証人を連れてきてあなたと対決させてもけっこうなのです。きょうはそれを省略しますけれども、具体的な事実を私は持っているのですから、いいですか。そう間違いなく言っているのです。少なくとも私はいま国鉄全体の中においてこの労務対策を通じて現地労働者に非常に混乱を起こしている。片や鉄労がある。施設労働組合ができている。国労があり、動労がある。こういう中において当局のいろいろな作戦も入って、職場はほんとうに暗いです。ことに施設労働組合なんというものは、そうでなくても縁の下の力持ちをやっているのです。たいへんな過酷な労働でもって毎日の仕事をやっているのです。もっとやはり明るい環境をつくってやるというのが私は労務管理者としての責任じゃないか、こう思うのです。それにもかかわらずあなたはそういう暗い職場にもっと突っ込んでいくような内容を歓迎するかのような組合づくりをあなた自体が陰に陽に声明を見ては発表し、発言し、あるいは具体的に管理課長や施設課長にハッパをかける。事実はいくらでもありますよ。だから、そういう意味合いにおいて、あなたがその道の最高責任者として施設関係の、それでやってきた事実はあるのですから、それでいいと思うのですが、一体どうですか。
  141. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 繰り返して申し上げますけれども、好ましいとか好ましくないということよりも、重大な関心を持つのだということで、これは先ほど先生お話の中にいわゆる当局といいますか、私どもに対するパイプが開かれているとかいないとかいうお話もされましたけれども、これは私はいままでどの人に対しても話し合いのパイプを通ずるべきだという信念を持っていままできております。それと同じことを言ったことはあるかもしれませんけれども、少なくともある特定のグループに窓口を開くというようなことは申したことはございません。  それからもう一つ、この組合ができたことを歓迎するかしないかと言われるのですけれども、結成した当時から申しましても好ましい好ましくないという感じよりも、重大な関心——これはたいへんな組織になったという意味での重大な関心を持ったことは事実でございますけれども、当時好ましい好ましくないということは私は申しているつもりはございません。これがこの先どうなっていくかということに対して強い関心を持っているという意味での強い関心を持ったという意味でございます。  もう一つ別の言い方といたしまして、一つの組織、一つの作業体の中に幾つかの相いれないグループができるということは、特に保線のような集団的な作業をするということから申しますと、好ましくないということを言ったことはございます。しかし、それはたとえばレールを張る場合に前とあと考え方がまるきり違うということではレール一本も張れないじゃないかということは私は言ったことはございますけれども、好ましいとか好ましくないというようなことについては少なくとも発表するとかあるいはだれかに言ったと言われましても私自身現在記憶がございません。
  142. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いろいろむずかしいところですがね。あなたも、公式の場だからそうすぱっと言えないでしょうけれども、結局、組合が二つあるより一つになったほうが全体としてまとまりがつくわけですね。だから、そういう意味合いでの質問をするわけじゃありません。もっとやはり働きがいのある、現地職場環境が非常に明朗な職場で、あるいは明るい環境で励みの持てるような、そういう相互、切磋琢磨できるような集団体制というものが一番好ましいのだ。だから、責任者の地位にある者はやはりそういう立場で現地指導というものが、ことに労務政策としては私は必要なことじゃないかと、そういう考えについてはどう考えますか。
  143. 原田種達

    説明員原田種達君) いま先生おっしゃいましたように、明るい職場づくりということは、私自身も信念としてやってきておりますし、全面的に賛成でございます。それからいろいろと異ったグループが一つ職場の中で渦を巻くというような形になるということは好ましくないことも十分承知しておるつもりでございます。そういうことは極力避けるべきだ、そういうことのないように一つのパイプの通じ合った明るい職場をつくるべきだという指導はしばしば私は現在までやってきておるつもりでございます。
  144. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 今後もそういう面についてはあなた努力していくという決意があるのですね。
  145. 原田種達

    説明員原田種達君) そのとおりでございます。
  146. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 一応施設局長への質問あとへ回しまして、総裁が一時までだそうですから、田中委員のほうも同時に質問があるそうですから、三点ほど総裁にこの際質問しておきたいのでありますが、先ほど和田委員から今後の紛争解決の見通しと対策の内容、これは現実の問題として労使双方で煮詰めるということでありますから、国会でいろいろ問題になった処分の問題とか、あるいは昇給、昇格、昇職等の不利益の回復の措置の問題あるいは今後の不当労働行為をやれない歯どめの問題こういう幾つかの重要な問題がありましたけれども、それがいま具体的に紛争対策委員会の中で労使双方が土俵に入って具体的な作業に入っていると、この見通しについていつごろまでに大体決着がつくという見通しを持っておりますか、その辺の見解をひとつ聞かせてもらいたい。
  147. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これは先ほども申し上げましたとおり、ただいま三組合といろいろ話をしている最中でございまして、どことどうなったということはちょっと申し上げかねる状況でございます。しかし、私といたしましては極力早く三組合と話し合いを煮詰めたいというふうに思っておりますので、目下の進行状況その他は、ちょっと、部内でやっておりますのでいまこの場で発表するのは差し控えさしていただきたいと思っておりますが、私は何とかまとめたいというふうに思っております。
  148. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 内容について二点ほどお伺いしますが、まず、何回かいままでも、あまりに奥行きに触れたくないのですけれども、どうしても聞いておかなければいけないのは、処分の問題ですね。現在労使紛争によって処分をされるときには公労法しかないというわれわれ法律的には見解をとっております。しかし、それもいままでの処分の慣行からいけば、あるときは公労法でやる、あるときは日鉄法でやる、こういう状況ですね。だからいままで実績から見れば二つの処分方式しかないような気がするわけです。ことに労働紛争関係について管理者から処分をするという場合も私はこの二つしかないのじゃないかという考え方を持つわけですけれども、その辺の根拠ですね、やはり処分するわけですから、ある一定の土台がなければいけないと思うのですね。ですからこの点はどう一体、総裁自身としては判断をされたか、この点が一つです。  それから、もう一つは、昇給、昇格・昇職等でたいへんな不利益というものを多くの職員が受けているわけですけれども、この職員の回復をいま具体的に紛争対策をやっているのですから、これは早期に進めてもらいたいというのがわれわれの希望なんです。この昇職、昇格、昇給、これ、どうしても出てくるゆえんは、私はいまの労使協約における、昇給に関する協約、協定とか、いろいろあります、ありまするけれども、その中の制度上の欠陥があるのじゃないかという気がするのです。だから、こういうものを一度両者話し合いをして何かの歯どめをひとつ考慮してみたらどうか、そういうようなパイプを持てていいのじゃないかと考えるのですけれども、その辺の何らかの基本方針というか、そういうものを持ち合わされているかどうか。話を聞けば、組合では具体的に案を出したというわけですね。その中で話をしたい、こういうことでありますけれども、その辺の見解がもし発表できれば発表していただきたい。その二つ。
  149. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それもいまいわゆる労使双方で話をしている最中でございますので、あまり申し上げないほうが私は事態の円満な収拾になると思います。  ただ一つのひな形として、御承知のとおり動労に対しまして公労委から調停案が出ております。これなどは、一つの参考になる調停案であるというように私は考えております。それ以上のことはひとつもう少しごかんべんいただきたい、こういうふうに思っております。
  150. 田中寿美子

    田中寿美子君 前回の運輸・社労連合審査のときからあと総裁とはいろんな機会に私ども議員団との話し合いもございました。そのたびに総裁はケース・バイ・ケースで総合的に措置するということで、一貫して現場不当労働行為の実行行為者に対する処分のことについてお触れになりませんでした。これはいま労使の間の紛争処理委員会にもかかっていることで、ここではおっしゃりはしないと思いますけれども、その現場の実際の不当労働行為をやった者、不当差別をやった者への処分がなかったら、この問題は労使の間の正常化などということは考えられないと思うのですね。  それで、私、きょうは第三次調査で行った田端機関区の問題に集中してお尋ねいたしますけれども、昨日——一昨日でしたか、総裁はこのような不当労働行為はもう幾らでも数限りなくあって、これを収拾するのには非常に時間がかかると、総裁のことばで言えば措置ですけれども、措置をするのにも大体二月の人事異動のころまではかかるという含みのお話がありました。そのときに一番どうしてなかなか是正されないのかというのは、どうも東京に問題があるということをおっしゃったように覚えていますけれども、私、まさにそのとおりだと思います。東京現場長はもうたいへんものすごい人がたくさんいて、総裁局長を集められて、それから現場のそういう行為を行なう人たちに対して総務局長とか課長に一人一人説得させているようなお話でございました。総裁自身東京鉄道管理局内現場長にお会いになったことありますか、区長段階でお会いになったことありますか。
  151. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 一昨日のことはまあ非公式でございますので、私は申し上げませんが、私がちょっとあのときことばが足りなかったかと思いますのは、東京と申しましたのは本社ということなんです。私の場合はそういう意味なんです。したがって、私は今度の問題につきましては、ああいう席でございますから、東京と申し上げたわけでございまして、実は本社という意味だったんです。それは決して私はあのときの言を左右する意味じゃなしに、本社という、それがすなわち職員局長の更迭なんだと、こういうふうに申し上げたわけでございまして、物理的な東京ということではなしに本社という意味で申し上げたんで、もう少しはっきりあるいは申し上げればよかったと思うのですが、私は東京と申しましたのはそういう意味でございまして、若干先生に御理解がいかなかった。私ども実は本社のことを東京東京としょっちゅううちで言っているものですから、ああいう席でそういう不正確に申し上げたかもしれません。東京ということばを使ったことは事実でございますが、いわゆる東京現場長なり、東京管理局に問題があるという意味ではなくして、本社に問題があったというふうに私は申し上げたのでございます。
  152. 田中寿美子

    田中寿美子君 たいへん修正なすったと思います。私、そのあとで田端の区長のことをちょっと言ったときにも、総裁は別にそれを訂正なさいませんでした。  それはそれとしまして、田町は国労の拠点、田端は動労の拠点である。そういうところには、格別マル生のチャンピオンのような人を配置しているわけですね。私は田端へ行って非常に問題だったと思いますのは、現場のことをよく知らなかったら処置——総裁の言われる措置ですね——は、できないと思いますのでよくお聞きいただきたいと思うのですけれども、これは昇給に関する不当差別あるいは抜てき昇給に関する、あるいは登用試験などに関して不当な差別がずいぶん行なわれている事実は、調査に行った者がみんな山ほど持っているわけです。特に田端の事例で申し上げますけれども、あそこの区長は岩下区長という、たいへんこれは有名な、岩下定寛さんとおっしゃいますが、マル生にこり固まったような区長でございますが、ちょうど私ども行きましたのは十月二十七日。十月二十五日が定期昇給の発表の日ですね。これは本社と本部の間の確認事項であったはずなんです。そうして、そういう慣行がいままであった。その定期昇給の発表がおくれておりまして、二十七日私ども参りましてから後、それから後に発表されたように私思いますが、そのときに私どもは区長に、なぜ定期昇給の発表をおくらしたのかということを尋ねましたら、岩下区長は、昇給の申請が非常に多くて計算事務に手間取ったのだと初めは申しました。それから、局からの昇給の調書の来るのがたいへんおそかった、二十五日の十六時に来ましたので、事務に手がかかって二日もおくれたのだ。本来十月の九日に現場からは申請している。それがそのようにおくれた理由は局からおくれたという初めは話だった。ところがだんだんだんだん私どもが問い詰めてまいりますと、現場のほうからの申請した抜てき昇給の数と、それから局からのおろしてきたのと食い違いがある、それだもので手間取ったということがわかったのですね。どうも、ですから想像しますのに、現場の区長は非常にたくさんの抜てき昇給を申請し、局のほうはそれを切ってきた、こういうことだと思うのですが、その辺の事情を御存じですか。御存じでしたら説明していただきたい。
  153. 原田種達

    説明員原田種達君) 具体的なお話でございますので、私から答えさしていただきます。  私も一カ月ほど前東京の南局におりましたので、いま言ったような事情をちょっと聞いておりますが、十一月の、先ほど先生がおっしゃいましたように二十五日をおくらしたというのは、もう純然たるコンピューターの物理的な作業の関係から、十月二十五日に一応コンピューターに入れないとなかなか十一月の二十日の支給に間に合わないということだったわけでございますけれども、何せ東京の三局は非常に五万人以上もおりまして、その昇給事務は一人一人の非常に重大な問題に関連いたしますので、一々全部チェックいたします。そういう作業が非常に時間がかかるので、物理的におくれる。しかし、発令というのは、いわゆる四月の一日に組合との協定によりましてさかのぼって発令するわけでございます。したがって、この問題における私は実害はないのじゃないか。ただ、現場においては発令通知というものを早くもらいたい、こういう気持ちはわかるわけでございますが、そこのところが、そういういきさつでこれはおくれたというふうに私は理解しております。  それから現場の関係の抜てきの申請がたくさんあって、しかも、局のほうでは一々査定したらもっと少なかったとおっしゃいますが、何せ現場全国でも約六千ございますし、東京三局でも合わせて数百という……
  154. 田中寿美子

    田中寿美子君 田端のことだけでいいです。
  155. 原田種達

    説明員原田種達君) 田端のことでございますが、そこの横の関係とかそういうものを見ないと公平なる運用はできない。特にやはり組合とのいわゆる協定の内部におきまして、ここで申し上げるのはどうかと思いますけれども、そういうものの資金の原資というのもきめられておるわけであります。そういたしますと、それぞれの違ったところの現場長がそこの勤務成績で出してきたものであっても、そこらのやはり横のにらみ合いとかいろいろ具体的に見なければならぬというのが局の人事の仕事になります。したがって、そういうことの結果が、申請したけれどもはずされたということであろうと思うわけでございます。
  156. 田中寿美子

    田中寿美子君 それじゃ、全国的に延びたわけですか。全国的に二十五日とかきめられた組合との間の確認されている日より延びたわけですか。
  157. 原田種達

    説明員原田種達君) 東京三局だけでございます。
  158. 田中寿美子

    田中寿美子君 三局全部二日延びたわけですか。
  159. 原田種達

    説明員原田種達君) 一日だけと思います。早いところは二十五日の夕刻に間に合わせております。ですから、乗務員の関係や何かは、その二十五日に間に合うものは、日勤のところは間に合わせてあると思いますけれども、一日なり二日なりおくれておるかと思います。
  160. 田中寿美子

    田中寿美子君 私どもは二十七日に調査団を派遣するということをずいぶん大きく宣伝しております。  それで、田端の抜てき昇給に関して非常に不当なものがあるように思われますが、私どもみんなが入っていくことがあるもんだから少しおくらせたんではないかというぐらいに勘ぐったわけです、一つは。しかし、当の岩下区長が、自分らの現場の申請と局からの査定とは食い違っていたということをちゃんと言っているわけです。ですから、いまあなたのおっしゃったのは、ほんとうの答えになっていないということが一つです。  それから、いま全国的に資金源があるとおっしゃいましたね。一体抜てき昇給はどのぐらい資金を充てていらっしゃるんですか。各局あるいは各区ごとに職員の昇給資金の中で、抜てき昇給資金というのはどのくらいを割り当てるのですか、パーセントで言ったら。
  161. 原田種達

    説明員原田種達君) 大体二%ぐらいだと思っております。
  162. 田中寿美子

    田中寿美子君 大体二%というふうに私も聞いているんですね。  ところでこの田端の場合、百十九人が抜てき昇給を受けたんです。私どもが行ったときにはまだわからなかった、非常におくれていたんですね。その後調べてみますと、百十九人が抜てき昇給を受けている。そして、現場長の岩下さんの言うには、自分らのほうと食い違っていたということは、おそらく現場のほうからはもっとたくさんの申請をしたんだろうと、それを局のほうでもっと少なく切ってきた。ところが、その百十九というのは、田端に働く動労国労鉄労、無所属を全部入れて大体千人ぐらいの職員、それに百十九というのは、これはまあ数で比率を見るのはちょっと違うかもしれませんけれども、資金源からすれば大体一〇%ぐらいの資金を使っているんです。何でそんなにたくさんここで特に抜てき昇給をしたのかという疑問が持たれるわけです。大体二%平均なのにどういうわけですか。
  163. 原田種達

    説明員原田種達君) 昇給の間差額というものは、御承知のように一号から四号ございます。したがいまして、いま先生のおっしゃいましたのは人数でございますけれども、おそらく一号の人が多ければ人数が多くなる。それから四号の人が多ければいわゆる少なくなる、こういう仕組みでございます。したがいまして、いまの原資の問題と人数の問題とは食い違っていると。
  164. 田中寿美子

    田中寿美子君 それも私はさっき申し上げた、人数で直ちに比率を言うわけにはいかないけれども、全体として二%を見ている場合に、一千人のうちの百十九人もが抜てき昇給を受けるというのはとても資金源が二%とは考えられない。だからこれをはっきりと私は資料あとでいろいろ要求したいものもございますが、それで抜てき昇給を受けた者の内訳は、動労五十六、これは七百五人のうちの五十六ですよ。国労は三百三十二人のうちの二十七、鉄労二十一人中十九人、二人だけ落ちているんです。だからこれは九〇%以上。動労の場合は六%。国労の場合は八%、抜てき昇給がね。それから、無所属といいますか、組合から脱退しちゃって、マル生運動で脱退した人が十七人入っている。だから、たいへんな大きな比率でこういう人たちが抜てき昇給を受けているんですね。  そこで、抜てき昇給をする基準というものはどういうところにあるんですか。
  165. 原田種達

    説明員原田種達君) 昇給と申しますのは、組合との協定によりまして毎年毎年定めておるわけでございますが、ことしは四十六年の八月の十三日にだいぶおそくなりましたが組合との協定ができております。その中で、「昇給は、平素の勤務成績を十分調査して行なう。」というのが主眼になっておるのでございまして、昇給の所要期間と申しますのは、毎年四月一日から翌年の三月三十一日まででございますが、その期間において一定の昇給の欠格条項に該当する場合は、その昇給から減ずるというのがその三項にございまして、その三項の八号というのは、「勤務成績が特に良好でない者」というものについては、一号俸以上を減ずる。それから、抜てきの関連は四項でございまして、「勤務成績が特に優秀な者及び他との均衡上特に考慮すべき者については、四号俸以内を増加することができる。」と、こうなっておるわけでございます。ただいま申し述べましたようなことでございまして、その協定に基づいて平素の勤務成績を査定した結果であろうかと思いますが、当面そういう問題がいろいろ不当差別であるとかいうことがございますので、現在御承知のように、地方に特別苦情処理会議というものを設けまして紛争解決の一環としてやっておるわけであります。
  166. 田中寿美子

    田中寿美子君 昇給に関する組合との間の協定に基づいて抜てき昇給させたり、あるいは三項八号で罰則があるというような話、その一般的なことは私も承知しておりますけれども、現場からの申請がなければわからないわけでしょう。勤務成績が優秀な者とかあるいは勤務成績が悪い者というのはわからないわけですね。そうしますとこの場合、これは総裁ね、先ほど戸田委員も言われたけれども、昇給、昇格、抜てき昇給あるいはそういう事柄について組合との間で一定の線を設けるということについて、いまお話し合い中でそれは答えられないとおっしゃいましたけれども、十分いまのことを参考に聞いていただきたいのですがね。それで岩下区長は食い違いがあったと言っている。それはどういうことですか。どんな食い違いがあったのですか。職員局長としては知っているわけでしょう。
  167. 原田種達

    説明員原田種達君) ただいま先生がおっしゃいました食い違いと申しますのは、局の査定との食い違いでございますか。
  168. 田中寿美子

    田中寿美子君 そうです。
  169. 原田種達

    説明員原田種達君) たぶん局のほうが少なかったということでございますね。
  170. 田中寿美子

    田中寿美子君 そうです。
  171. 原田種達

    説明員原田種達君) それはやり方といたしまして、それぞれ局のほうに現場長から平素の勤務成績を参酌し一定の——出てまいりますと……。
  172. 田中寿美子

    田中寿美子君 それはいいです。時間がありませんので単刀直入に答えていただきたい。
  173. 原田種達

    説明員原田種達君) それでその関係を現場長のあれで特に一定の機関区が多いとか、あるいは他の機関区に比して著しく均衡を失しておるというようなものも人事課で局全体として見るわけでございます。同じような条件のものはこういうふうにするということでまた現場にもそういうことを問い合わせる、こういう形でやっておりますのでいま言ったような問題が起こると思います。
  174. 田中寿美子

    田中寿美子君 それで、いまそれは非常に不明確でわかりにくいので、十月九日に田端機関区長から申請されたものとそれから局のほうからの査定との食い違いの数とか理由とか内容を知りたいのですがね、これは資料として出していただけないでしょうか。——うしろから知恵つけちゃだめですよ。
  175. 原田種達

    説明員原田種達君) いわゆる個人的な問題でございますので、この資料は従来から出しておりませんので御容赦願いたいと思います。
  176. 田中寿美子

    田中寿美子君 これは非常に重大な、労働者にとってはこれは当然知る権利のあるものです。それから私ども国政に携わっているものがどうしてそういうことが起こるのかを知りたいわけですね。さっき、資金源があって、大体二%だ。ところがあまりにここでは多かったから減らしたんだろうという推定をしていらっしゃるんですね。そして食い違いがあったという事実は、これはちゃんと岩下区長言っているんですね。テープがあるので、ほんとうは時間があったらテープをかけていろいろお聞かせしたいのですけれども。それではなぜそういう食い違いがあったのか、なぜあそこで。どうも推測いたしますのに、非常にたくさんの申請をしたんではないかと思われる。なぜそういうことを、田端といえばたいへん動労がたくましい、ああいうところにたくさんの抜てき昇給をさせておけばいいと考えたのかどうかですね、非常に私もその辺をはっきり知りたいわけです。そういうことがあるから不当差別や不当労働行為が起こってくるわけですから。さっき申しましたように、結果としては非常に数においてたいへんな違いがあるでしょう、動労国労鉄労、無所属。それですから、しかも、その中で私は鉄労の方二十一人のうち十九人の方が抜てき昇給を受けて、そして二名が落ちている。その二名のうちの一人は、特に名前を秘しますけれども、運転事故で人をひきそうになったことがある人なんです。これはさすがに抜てき昇給できなかったのですね。それから、もう一人は長岡駅で飲酒して管理者に暴行した、こういう前歴を持っているのですね。本来これは動労国労だったら首になるか停職ですね。それをやらないで、三項八号にもかけないで、抜てき昇給だけしない、こういうやり方をしているのですよ。こういう差別があるということを知っていただかなければならないのです。総裁現場の姿勢を正すというが、こういうことを正してもらわなければならない、こういうことですね。これは不当だとお思いになりませんか。こういうつまり抜てきしなかった人については私はおかしいと思うけれども、しかし、そういう事故があったり、本来なら三項八号にかからなきゃならないような人を、鉄労であるからそのままにしておく、そして、動労国労の人のほうではそういう場合は非常にきびしく落としておるのですね。そういうことを不当とお思いになりませんか、総裁どうお思いになりますか。
  177. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点は前回いろいろ具体的なお話があった点でありますが、まあ昇給とか昇格とかいうことになりますと、一応基準をつくって、まあことしの昇給ですと八月に基準をつくってやった。しかし、いま先生がおっしゃったように、三項八号ですか、いろいろな欠格条項がございますね、ですから、そういう欠格条項との見合いの上でやる。たとえば大きな闘争があったとか、そうすると処分があったというようなことになると、これは欠格者になるというようなことになるわけですから、ですから私どもとしてはあくまでも結果的な数字だと、こういうふうに申し上げざるを得ない。しかし、そういう問題と同時に、もしそういうふうなにおいがあれば、それはご承知のとおりすでに救済機関をつくっておりまして、苦情処理会議がございます。したがって、もしそういうふうな組合によって違った扱いというふうなことがはっきりすれば、それは苦情処理をもってやっていくということだと私は思います。ですから、不当とか不当でないかというようなことは、これは八月の組合との間できめたその選考基準に合っている、合っていないかということの認定であるというふうに私は思います。
  178. 田中寿美子

    田中寿美子君 さっき職員局長、昇給に関する協定の中の条項をおっしゃいましたけれども、そんなことでは優秀か優秀でないか、あるいは欠格者であるかということはきめられない、こんな抽象的なことで。そこで現場ではいろいろ具体的な基準をもってやっている。現場長が基準をつくっているのですね。それでその岩下さんというのは岩下基準というのをつくっている。それを一つ一つ聞いてきたのですがね。たとえばこういうふうにやっている。事故を防止した人、これは抜てき昇給の条件ですね。国鉄に協力した人。どういう形で協力したか。公休を変更した人、自分の公休を、すなわちほかの人が足りなくなったときに変更して自分の公休を出した人。それから、提案した人というのです。作業の改善をした人、増収をはかった人、タオルの多い人。タオルの多い人というのはどういうことかわかりますか、職員局長総裁ももちろんおわかりになりませんでしょう。
  179. 原田種達

    説明員原田種達君) おそらく現場長の褒賞だろうかと思いますが、そういうものを、軽微な問題は現場長の褒賞としてできるということなんでございます。おそらくそのことだと思います。
  180. 田中寿美子

    田中寿美子君 いままで提案した人というのは、これは勤務の成績をあげたり、生産をあげるためにこういうことをしたらいいだろうと、いまはやっていますね。しかし、ここでは、いままで抜けがけの功名をしたりすることはいけないから、組合を通して提案していたんです。こういうふうにしたらどうだろう、作業のやり方。それを岩下区長が来て、二年間に過去の慣行を全部破っちゃった。もうこれは、みずから自分は慣行を破るということを宣言しているといいます。そうして個別に一人ずつ提案させた。何でも言ってこい。それで、たとえば機関区内にゴキブリが多いので、あれは清掃すべきだというようなことを提案した人がタオルになっております。それから根太板がちょっとこわれていた、あれは修繕せよと言ったらタオルをもらったんです。だから、タオルを乱発しているのですね。タオルの多い人が抜てき昇給の基準になる、こんなことが妥当だとお思いになりますか。
  181. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私のほうのようなこういう非常に各セクションの多い、しかも百年間こういう積もり積もってやってきた仕事の中には、当然改善し、直していかなければならないことがたくさんあるわけでございます。ただ単に大きな意味の技術の開発というふうなばく大な金のかかる問題と同時に、やはり日常の作業の中からいろいろな発明、考案、くふうというものがあるという意味で、私はそれはもう職員が直接やるのが当然だ。それを組合を通さなければならないということは、私はおかしいと思います。これは職員としてやることであって、いまのゴキブリの話その他は一応別としまして、たとえば工具の改善にいたしましても、あるいは機械等のちょっとした修繕のやり方にいたしましても、これは当然もう業務遂行上の問題でございます。したがいまして、これは直接提案することはかまわないし、これは現に私どものほうの職場でも、たとえば工場なんか非常に提案が多い、年間に数万件の提案がございます。これは全部工場長にじかに提案している。それで工場長が自分でじかに見る、そういう制度になっております。そういうこまかい日常の作業の中からの改善、くふうがなければ、大きな技術の開発、発展はない、こういうふうに私は思っております。
  182. 田中寿美子

    田中寿美子君 その辺もう議論になりますから、これは組合が督促して、そうして組合と当局との間に抜てき昇給でも昇格でも、あるいはタオルでも、労働条件になりますから、だから話し合いをしていたら、やっぱりそれのルールに従う。しかし、岩下さんはこれ全部を破棄して、いままでの慣行をみんな破っちゃった。それじゃ三項八号の内容職場規律を乱した人、職業能力の落ちた人、不品行な人、作業意欲のない人、勤務成績不良の者、職場規律を乱した人、——職場規律を乱すというのは、大体どういうことを意味しますか。
  183. 原田種達

    説明員原田種達君) これは判例、学説もまちまちでございますけれども、やはりそれぞれの職場の規律というものが、国鉄の日夜分かたぬ輸送にはどうしても必要でございます。したがいまして、どういうのかというと非常にむずかしいのでございまして、たとえば局の方針でありますとかいうものに明示されておる、あるいはそれの年度の計画によりまするいろいろな方針、そういうものに沿わない場合には、これはやっぱり規律違反であるということも言えるかと思いますし、その他まあいろいろ具体的に所属長なりあるいは現場長が指示している問題、こういう問題に従わないという場合には、当然それは規律違反になるのじゃないかと思います。
  184. 田中寿美子

    田中寿美子君 ここでは職場規律を乱したということは、組合活動を活発にやったというようなことに使われている。それで、勤務時間内に一分ぐらいの組合活動をやってもこれは賃金カットだ。これは岩下さんがやっていることなんです。勤務時間中に組合事務所にちょっと入ったというと、タイムウォッチで見る。そんなことをしている。まあ過去の慣行ではある程度そういうことは許されていた。それを全部慣行を破ってしまっただけでなくて、それを勤務成績不良だとか、職場規律を乱すものであるというふうな判断をしているんですがね。そして三項八号にひっかけて、定期昇給ストップした人が八人出ているんです。これは動力車労組の人ですけれどもね。それの中には、五・二〇の闘争に参加した、そういうことが理由になっているんです。ですから、これは労働運動に対して非常にあなた方の考え方が、本来持っているような権利を侵害するような立場にあるということを、私はこれはいま議論している時間がないので、次のことに進みたいものですからはしょりますけれども、明らかに鉄労動労国労、あるいはそういう動労国労から脱退してしまった人とを差別して、抜てき昇給させるというようなことであれば、これは一種の支配介入、不当差別、労働基本権の侵害だというふうに私は言わなきゃならないと思います。  それで、先ほど現場長の要求した、申請した数、抜てき昇給ですね。それと、それから局側との食い違いについて、私はその資料を見たいと言ったら、後のほうから、これは人事の秘密だから言わないようにと、局長に知恵をつけていましたね。しかし、私はこれはもしも労働者としては、どういうときに自分から抜てきになり、どういうときに罰を受けるのかということを知る権利があると思いますけれどもね。そういう意味では、その資料をほしいと思います。しかし、もしどうしてもそれがいやだと言われるなら、私はやはり国会議員は国政調査権もあることですから、その内容を、これは資料として出せないんなら、私のところへ説明に来ていただきたいのですが、いかがでしょう。これは委員長資料をまず要求していただいて、どうしてもだめならば、私はそういうふうにお願いしたいと思います。
  185. 原田種達

    説明員原田種達君) 平素の勤務成績は、いろんな面から勘案しまして定めております。したがいまして、個人に属する問題でございますので、これをだれだれというふうな、こういうふうなことを公表することは、これは差し控えたいということにしておりますので、資料の提出だけは御容赦願いたいと思います。
  186. 田中寿美子

    田中寿美子君 全体の数はどうですか、数の食い違いは。
  187. 原田種達

    説明員原田種達君) 全体の食い違いでございますか。
  188. 田中寿美子

    田中寿美子君 それだけ出していただきたい。
  189. 原田種達

    説明員原田種達君) 全体の食い違いの問題は、先生のところに御説明に上がってもいいと思います。もし現場のほうの、私どもも調べますのに時間がかかると思いますけれども。(「できるだけ資料は出しなさいよ」と呼ぶ者あり)
  190. 中村英男

    委員長中村英男君) それでは、数の資料は出せるわけですね、数だけは。
  191. 原田種達

    説明員原田種達君) 全体としております数は……(「われわれだって知りたいんですから、出しなさい」と呼ぶ者あり)
  192. 田中寿美子

    田中寿美子君 それを要求しておきます。  それで、次には、裏面監査のことをお伺いいたします。総裁、裏面監査ということを現場でやっている事実があるということを御存じでしょうか。
  193. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 裏面監査ということばは先生、どういうふうに御了解になっているか知りませんが、これは非常に意味が広いと思います。これは昔から、たとえばこれは外国でやっているサドンリーチェックということばで呼ばれております。たしかこれは三河島事故直後でございましたか、国会で非常に問題になりましたときに、事故の監査、事故のチェックのしかたが非常に悪い、これは事故問題は労使問題以前の問題だというお話が非常に強く諸先生方から出まして、そしてそこでもって、たしか労使間で労使問題以前の問題として、事故防止の問題をやろうじゃないかというふうに話がきまったわけです。そのときの一番の問題が、いまおっしゃった裏面監査ということばはちょっとおかしいのですが……。
  194. 田中寿美子

    田中寿美子君 サプライズテスト……。
  195. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 日本語で申して、実設訓練……。
  196. 田中寿美子

    田中寿美子君 サプライズテストですか。
  197. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 外国ではサプライズテストといっております。サドンリーチェックとか、いろいろなことばがありますけれども、実設訓練というのがその当時私のほうと組合とで使ったことばでございます。これはそういうことばでもって労使で事故防止の話をした、こういうことでございまして、そのことばのよしあしは別として、双方で使っていることばでございます。
  198. 田中寿美子

    田中寿美子君 いま総裁のほうからサプライズテストのことを言われたので、私はおそらくそのサプライズテストはやっておりませんということでお逃げになるんじゃないかと思ったのですが、サプライズテストというのを実設訓練、これもたいへんごまかしですね。ちょうど日米共同声明のように、アメリカのほうではアメリカ人に基地はだいじょうぶ使える、日本のほうには、そうでないような言い方の翻訳をするんですが、それとよく似ています。サプライズというのは奇襲攻撃です。真珠湾攻撃は奇襲攻撃、あれはサプライズ。だからサプライズテストというのは、本人が運転をしてわからないときに不意にこっそりとテストしてみるということなんで、これは非常にあぶないからやめたんでしょう。そうじゃないでしょうか。もうやめていますね。
  199. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先生、非常にその実設訓練ということばはおかしいとおっしゃいますが、これは労使双方で使っていることばですからあしからず。国鉄内部のことばでございますので、御容赦願います。それとサプライズテストとは少し違うのでございます。ただ、そういう種類のことばが外国ではサプライズテストといわれ、あるいはサドンリーチェックというふうにいわれていると、こう申したわけです。
  200. 田中寿美子

    田中寿美子君 それでは実設訓練というのは裏面監査と同じことですか、あなたのおっしゃる。
  201. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先生のおっしゃっている裏面監査ということばはどういう行動を指しておっしゃられたかちょっとわかりませんが、実設訓練というのはわりあいに広いいろいろな訓練のしかたでございます。実際にあり得るようなこと、あるいは実際にやっているときにこれをどういうふうな、ほんとうに規則どおりやっているかどうかということのチェック、それが実設訓練でございます。
  202. 田中寿美子

    田中寿美子君 それは何も隠密覆面でやる訓練じゃないでしょう、あなたのおっしゃっている実設訓練というのは。それは正々堂々と正面で姿をあらわしてする監督や監査や訓練ですか。
  203. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 鉄道の仕事の中には人間がやる場合もありますし、それから、たとえば出発信号機が赤である、それに出発合図をした、そのときに動いてしまったというのが実設訓練でございます。ですから、すぐ人がいるとかいないとかという問題でなしに、やはりいろいろな総合的な保安装置との関連で考えていただかなければいけない、こういうふうに私思います。
  204. 田中寿美子

    田中寿美子君 ちょっと、私はそこでたいへん疑問を抱き始めたのですけれども、信号が赤のときはとまれ、青のときは進めというのを、当然進めのときに急に赤を出してみて、そうして、とまるかどうか調べるというようなのも実設訓練ですか。
  205. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 信号はそういうふうな簡単に操作できないことになっております。
  206. 田中寿美子

    田中寿美子君 あぶないからやめたというのはそういうことじゃないですか。このごろでは全部自動的になってしまっているけれども、サプライズテストというのはあぶないというのは、不意にホームの端っこに隠れていて、そうして、運転の状況をちょっと見たり、あるいはカメラでとってみたり、こういうようなことをするのも実設訓練の中に入るんですか。
  207. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) どうもこまかい実態的なことで、どういう事態をおっしゃっているかちょっとわからないんですけれども、たとえばほんとうに信号を確認しているかどうかということを見る、これは訓練でございます。訓練というよりも実際のやり方でございます。
  208. 田中寿美子

    田中寿美子君 当然ですね。
  209. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 当然でございます。信号を確認しなければならぬということ、これは保安につながり、安全につながる問題でございます。それをしているか、してないかを見る。これは訓練以前の問題だというふうに私思います。しかし、たとえば青できたやつをその場ですぐ赤に変えるなんということはいまできないわけです。
  210. 田中寿美子

    田中寿美子君 私はそれを例に引いたので、そんなことを聞いているんじゃない。それは岩下区長は、ちゃんと自分は裏面監査をしていると、こう言っているんですよ。これはテープがありますから、お聞きになりたかったら聞いてください。自分はあそこに来て以来もう二年間になるけれども、大体三項八号に該当するのはどういうものかと聞いたときに幾つかあげた中で、裏面監査でよくなかった者というふうに答えられたものですから、裏面監査というのは一体何ですかと言ったら、これは隠密でやるんだよ、隠密にやるのが商売だからわからないようにやるんだということを、たいへん胸を張って言っている。これはもうたいへんなことだと思うんですね。こんなことをしているところが日本じゅうほかにもあるんでしょうか。指導訓練とは違うと思うんです。総裁の言われたような指導訓練なら当然です。しかし、こっそりと覆面で助役だの、指導助役だのを使って、そして、これは技術上の指導じゃなくて、この人が組合事務所に一分間入るか、入らないかを見に行く。ストップウォッチで時間を見たりするというところまで発展しているということでは、これはたいへんなことでしょう。
  211. 原田種達

    説明員原田種達君) いまのおっしゃいました問題は、この点、事故防止上のためにどこの区でも非常に基本動作の励行ということをされております。たとえばその一つの中で、信号の確認という問題もそうでございますし、あるいは応急措置の場合もそうでございます。あるいは乗務しているときのやはりいろいろな有無の関係、そういうものも事故を起こさないために管理者としては当然やることだろうと思います。しかしそれが即、いわゆる勤務成績に反映してやっているかということでは私はないと思います。そういう問題について本人に聞く、区に帰ってきてから一応注意を与える、きょうのあれではこういうことは危険だよということを注意を与えるということの私は監査であると、こういうふうに考えております。
  212. 田中寿美子

    田中寿美子君 違うんですよ。だから調べてください。総裁ね、現場でこういうことをしている現場長というのは、はたしてこれが労使の慣行を正常化する、これは無理なことだと思うんです。これ、ぜひ調べてください。実際やっていると答えても、局長のところへあとで交渉に行ったらそんなことをやっておりませんと。しかし、区長は現に誇らかに言っている。テープをとってありますからね。そのことは絶対隠密にやっているということまで裏面監査だと言っています。ですからぜひ調べてください。そしてこの有無、この次答えていただきたい。  総裁がもうお出かけだそうですのでもう一点だけ。不当差別の中にいろいろありますけれども、見習い機関士の登用試験ですが、先ほどマル生運動に反映されて、それが入っているか、いないかということが非常に登用の基準になっていることが事実上多いのですね。それで、最近の例で関東学園のEL八回生終了者七人のうち一人不合格、この人はたいへん成績がいい人です。理由は過去に処分を受けている。処分というのは五・二〇ストに参加した。この問題は、組合闘争に参加するために年休を要求した。それを与えないという方針を本社がとられた。それで参加したから処分になった。それを理由にして登用試験落第している、一人だけ。もう一人、やっぱりELの試験、十四回生九名中二人だけ合格して、あとは全部五・二〇スト参加して——。いまやこうなりますと機関士への登用というのは技術の優秀さとか、そういう問題じゃなくて、思想性だとか、あるいは組合のどこに所属しておるかというようなことできめられる。こういうことでは非常に不安なんです。先ほどの裏面監査でこの点保安上という理由で実は思想調査したり、組合の所属を調査したり、組合活動を誹謗している。登用試験に技術のほうをあんまり問題にしないという事例はもう全国たくさん出ているんですが、これ一々言えません。そこで、そういうことになりますと非常に危険じゃないかということが一つ。  それから総裁ね、組合闘争に参加するために年休を請求して、それを与えないということについては係争中のものなんですね。これはたとえば水戸の闘争に参加するために東京の人たちが年休を請求いたしました。そうして、それに対して年休を与えなかった。処分になった。それが裁判になっているのですね。三十六年の三月十五日に水戸の闘争東京から参加した。そうして東京地裁の判決で四十二年十月十二日、これは賃金カットになった分を払えという判決が出ております。ですから、年休を与える、与えないの問題について、つまり年休というものは労働者が要求したら、それはもう、それをどう使うかは労働者の自由なんではないかと思うのですが、これはあとで労政局長意見を聞きますが、総裁はこんなようなことを、登用試験に差別をつけるというようなことがあったら正しくないとお思いになりませんか。
  213. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 登用試験、私のほうでは、いわば昇職と申しております。機関士見習いから機関士になる、この昇職の際には、受験の成績、勤務成績それから職務の能力、こういうような三つの基準で判断するようにいたしております。試験のない昇職は大体昇格と同じ扱い方になっております。過般、昇格につきまして公労委から出ました調停案も大体試験のあるものについてはこういうふうな感覚でやるべきであるというふうな調停が出ております。ただ、いまおっしゃった組合の所属でもってきめるということは、これはもう不当差別がはっきりしておりますが、そうでなしに、勤務成績あるいはいかに技術がよくても、しょっちゅう休んでしまうとか、出てくる日にぽかっと休みをとるということは、単に技術だけの問題じゃないと思います。したがって、やはり試験の成績と、それから、日常の勤務成績、それからぺーバーの上だけじゃなしに、実際の職務の能力の問題こういった問題が総合的に判断された上で昇職ということが行なわれるのじゃないか。これは過般の昇格についての公労委の調停とほぼ似たことを私は申し上げたわけでございます。
  214. 田中寿美子

    田中寿美子君 もう総裁、帰られるそうですから、私はこれでやめますけれども、何か聞き足りませんけれども、多分にマル生運動参加か不参加か、あるいは組合はどこに所属しているかがいろいろな試験に影響している、こういう実態もよく調べてください。いまおっしゃっているようなことが東京のおひざ元にもある。裏面監査なんということを総裁は認めるべきではないと私は思うのです。ですからこういう現場管理者を一体総裁は、そういうものは好もしい管理者と思われるのですか。それともそれは総裁のいわゆるケース・バイ・ケースで総合的な措置というものの中に入っているのか。
  215. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先生個人のお名前をお出しになりましたので、こういう席で個人の問題についてのことを言うべきではないと思います。しかし、全体として現場長というものは人格の円満な、全体の職員を率いていけるものでなければいかぬと、私はそう思っております。
  216. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 途中若干中座をいたしましたけれども、施設局長に続いて質問いたします。  さっきもいろいろ数字的に発表していただきまして、たいへんな、半年ぐらいの間に一万近く施設労ができた。その陰に数多くの不当労働行為、スキャンダルが一ぱいあるのですね。そういう不当労働行為等について局長は聞いていますか、内容を。
  217. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 先ほどおっしゃいました、四月に、最初に千名余から約一万近くまで、半年間にふえたことは事実でございます。しかし、その間において、いわゆる不当労働行為というものがあったというぐあいには聞いておりませんし、私どもとしてはそういうことのないように、非常に早い時期から、部下といいますか、組織的にも指導しておったつもりでございます。
  218. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私は数百件にのぼる、保線区関係だけでの不当労働行為、不当介入、不当差別、こういった各般の実証を全部持っています。これはもし何だったら、あと局長に全部資料として点検をしてもらいたいと思うのですが、局長は知らないと言うからその一、二を紹介します。  これは十月の二十七日、私は直接三鷹保線区を実態調査をしたときに確認をしてきております。当該支区長、当該保線区長と一時間程度にわたって話をして、出しました。その原本もこれはちゃんと保管されておる、いま。というのは、三鷹保線区の中野支区、この支区長、これは田中常吉というのですが、重要な問題がありますからこの内容を読んでみます、ちょっと長いですけれども。  「前略 私は現在御子息教男君をお預りしている中野保線支区長で御座います。御存知とは思いますが、教男君は三月一日付で準職員となり、その後四月二十日付で新宿駅から当保線支区に配属されて参りました。現在職員となるための教育、訓練を行っており、職員としての適格性を判断される期間にある訳です。教男君は現在毎日、一諸に駅の方から配属されて来た同僚達三十数名と教育を受けており、仕事の方は誠に頑張りがきき、良くやっておりますが、実は誠に申し憎い事ですが、先日来私共管理者に対し、仕事はよくやる反面、反抗的な態度が見受けられ、又私共の忠告を無視するようになりました。七月に入ってから数度の注意(職員として守らなければならない服務の規則)を致しましたが、受付けないようになりました。不審に思いまして一昨日」——ですから、この手紙を出しているのは七月十六日ですから十四日と私は解釈しているのですけれども、「一昨日朝、本人を別室に呼んで不平、不満等について何かあるのかと話合いを致しました所、実は思想的に大分左傾の激しい一面を持っておる事が解りました。本人の申しますには、中学時代から、所謂、反体制の側から資本主義社会を否定する方向の勉強に力を入れていた様子で、二時間余り色々話をしたり、討論したり、又説得を致しましたが、自分の思想を押通すとの意志を変えません。現在国鉄の現状は御存知のように、財政再建の途上にあり、合理化、近代化を推し進め、なんとか立直るべく懸命の努力をしている時であり、厳しい世論に見守れている時であります。又、公共の立場から法律によってストも禁止されており、過日の五月二十日の違法ストに参加した者には全国で二万四千二百九十一名の免職を含む厳しい処分かなされております。  教男君の思想から行きますと、法で禁じられていても労働者の権利であるから、やるのが当然であるという、法を無視した激しい考へ方を持っております。非常に残念な事です。教男君の場合、職員になる前の教育期間であり、又適格性を判断される大事な時機に、しかもこれから入らうとする国鉄という企業に対して、既に、反抗の矢を向けている訳で、私共として、本人が何を考へているのか、判断に苦しんでおります。数日来、又一昨日半日を費やし悔を残さないよう説得を致しましたが、教男君の少年時代からの思想とその意志は強く、変へさせる事が出来得ません。  誠にお気毒ですが、正規の職員になる以前から、自分職場を敵視されているのでは、同僚に対しても悪影響を及ぼしまして、職員としての適格性が悪いものと判断せざるを得ません。当方としても上部機関に報告し、その指示を得て処置する外ありません。恐らく国鉄職員として迎え入る事は困難と思れますので、予め御知せ致しておきます。主義、主張は自由でありますが、自分がこれから或いは生涯を託して入る職場に真向から敵対意識を宣言して来るのは例を見ません。  此の際、教男君には自分の主義、主張を通せる他の職業なり、方向などを選んで、自分の実力を発揮される方が本人のためと存じます。  至りませんで申し訳け御座いませんが、一応御連絡を申し上げました。」  という趣旨で、教男君というのは志賀喜男様という方のむすこさんです。「中野保線支区長、田中常吉」、こちらの出し人で、「東京都中野区中野5丁目31番25号中野保線支区長」「日本国有鉄道」と印を押して、「福島県双葉郡浪江町大堀中平二」「志賀喜男様」「親展」これで手紙を全部出している。この保線支区長が出した手紙の原文を持っておりますから、それをリコピーにして持ってきた。こういうことなんですよ、内容は。これは明らかに不当労働行為でないということが言えますか、どうです、局長
  219. 原田種達

    説明員原田種達君) 私もその話はちょっと聞いておりましたが、思想、信条の自由を侵す、これは憲法に保障されておりますことでございますからいかぬことでございますが、いまの先生のお読みになった中身を聞いておりますと、やはり支区長は自分の部下を思うあまりに、用語としては非常に適当でないようなことばもございましたけれども、最後のところに、やはり「主義主張は自由でありますが」ということが書いてございますように承りました。やはりこれから職員になろうという準職員にある者が一生を託す企業に対して初めから反抗的な態度をとるということでは、これは将来何のために職業を選んだかというふうに思うのが、やはり支区長として管理者として私は当然の考えだ。そういう職員が初めから入って、自分の敵視するところから給料をもらうということは、これは私はとうてい考えられない。そういう意味でそういう反抗的な態度はよろしくない。将来自分の一生を託す企業に、これは中で働くのだから、ひとつそういう意味の反抗的な態度を改めなさい、こういう意味が主だろうと思います。ただ初めの問題にございました、思想がどうのこうのという問題は、おそらく支区長としてのことばの表現に配慮が欠けたというふうに思いますが、私は真意としてはそこにあったというふうに思っております。
  220. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 職員局長がそういう回答をするのはこれは重大問題ですよ。あなたはそういうことで労務政策を指導しているとすれば、これは私は直ちに法律的に争わなくてはいけないと思います。そういうことで指導されているから、現場長がこういうことをぬけぬけやって、それで当然だと胸を張っておる。じゃ一つ一つ職員局長にあなたの見解を聞いていきますよ。  あなたはいま、主義主張は自由だという一節だけをとっているけれども、これ全体をながめてみなさい。何を言っている。一番最初に、まず職員としての適格性とはどういうことですか。これはあなたの指導でやったのですか。どうですか。そこを明確にしなさい。適格性とは何だ。
  221. 原田種達

    説明員原田種達君) 適格性と申しますと、国鉄職員としていわゆるどうあるべきかということはやはり国有鉄道法にもいろいろ基本的な事項がございます。やはり規定あるいは命令に忠実に従う、すなおに従うというような趣旨のことでございます。順守する、こういうことでございまして、私はそういう、職員として初めから反抗的であるということは適格性がないということの判定といいますか、適格性の有無に関する一つの要素である。ちなみにこの人は職員として採用になっておりますけれども、そういう適格性の問題については一つのやはり要素になるのじゃないかというようなことは当然考えられると思います。
  222. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 「実は思想的に大分左傾の激しい一面を持っておる事が解りました。」、これなんですよ。中野支区長が適格性の判断の主要な方向というのはこれにある。明確じゃないですか。  それから、もう一つ、いまあなたが言ったように、職務に対して忠実である、職制に対して。間違っているとか、みずから自分の生活を守るということは、これは憲法だって明らかにしているじゃないですか。その一点だけで一体——憲法の十四条ないし十三条読み上げてください。どういうことがありますか、憲法の十三条。
  223. 原田種達

    説明員原田種達君) ただいまその法規を持ち合わせておりませんので御猶予願いたいと思います。  私先ほど申し上げました、先生の御質問ございました思想の左翼的でございますか、この問題については、私は先ほど申し上げましたように、表現に対する配慮が足りないという点は、私はそこの点を言っているわけでございます。これは、いかなる思想であろうと信条であろうと自由であるということにつきましては、私どもといたしましてもこれはもう憲法に言っているとおりのことでございます。ただ、そのいわゆる主義主張は自由であるけれども、反抗的に……
  224. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そんなことは一節だよ。全体的に言ってごらんなさい。  じゃあ要点をしぼって質問しますから——。「実は思想的に大分左傾の激しい一面を持っておる」、これが一つありますよ。それからもう一つは、「所謂、反体制の側から資本主義社会を否定」云々、そういうことについて具体的に二時間余にわたって説得をしているんですよ、説得を、このことについて。いいですか。それから、もう一つは、教育期間の適格性の判断の主要な目的は、いわゆる右か左か、所属組合国労動労か、こういうことなんですよ。いままでマル生のいろんな論議をやってきたけれども、生産性本部のマル生の指導は三つでしょう。この前総裁もそれをはっきり言っている。一つは雇用の拡大、一つは成果の配分、一つは労使協議ですよ。いまの国鉄の実態から言って、成果の配分や雇用拡大はできないでしょう。これははっきりしているんだから、ねらうのは労使協議だけですよ。そういうものがマル生運動としてあなたが現地に行って指導しているその端的なあらわれがここにきているのですよ。それでいま教育期間において適格性の判断をやっている。いいですか。そしてさらに暗黙のうちに施労に入れということを言っているのですよ、裏を言えば、この文面は、そして数日来、一昨日も半日を費やしてさらに説得しているのですよ、当該問題について。そしてなおかつ、国鉄職員には適格でないと断定しているのですよ。これは言ってみれば職員の首切りの通告じゃないですか。そしてなおかつ、あなた自身も主義主張に生きられる職に行ったらいいじゃないですか。——退職勧告じゃないですか。これをつぶさにやっているのですよ。原文で。——憲法の十三条、十四条、ひとつ読み上げてください。もう一つは労組法の五条二項四号、労基法の三条。どういうことありますか。
  225. 原田種達

    説明員原田種達君) 十三条には、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」。第十四条「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」「華族」以下、これは省略させていただきます。
  226. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 労組法五条二項四号を読んでください。
  227. 原田種達

    説明員原田種達君) だいぶ時間を取らせまして申しわけございません。  第五条二項四号「何人も、いかなる場合においても、人種、宗教、性別、門地又は身分によって組合員たる資格を奪われないこと。」、これでよろしゅうございましょうか。
  228. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 労基法三条。
  229. 原田種達

    説明員原田種達君) 続きまして労基法の三条を読まさせていただきます。「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」
  230. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 あなたが当初答弁したようなことだったら、この法律にどういうふうに違反しておりますか。具体的に答弁してください。
  231. 原田種達

    説明員原田種達君) 私はこの書いてあります法律の——この支区長の申しました思想云々のところは穏当でないということを先ほどから申し上げておるわけであります。ただ、まあ本人の態度がいわゆる初めから、国鉄に入る前から、職員として採用になる前から反抗的であるということでは、いわゆる国鉄職員として命令に服従する義務、あるいは諸規程を順守する義務ということに対する危惧があったかと思うわけです。ここで本人の適格性が云々という問題は、私はこの点も断定したということは穏当でないと思います。したがいまして、そういう表現については非常に配慮に欠けていたということを痛感している次第でございます。しかし、言わんとしている中身につきましては、こういう初めから、職場で上司に対する敵対意識という問題を先ほどお読みになった中にもございましたが、そういうことでは将来が思いやられるという本人を思うあまり私は言ったと思うわけです。そういうことでございまして、また私といたしましては、先生のおっしゃることも、法律の問題についてまことに当然そのとおりでございまして、異議を唱えているわけではございません。一言釈明させていただきます。
  232. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 穏当ではないということは、法律に違反しているということですか。具体的にどういうことですか。
  233. 原田種達

    説明員原田種達君) 法律に違反しているということがどういうことかということは、私が申し上げるべき性格ではないと思うのでありますが、やっぱり法律の解釈その他は、第三者の権威のあるところに聞いていただかなきゃわからないと思うわけでありますが、私の申しますのは、常識の範囲内では穏当ではないと思いますと申し上げたわけでございます。
  234. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 労政局長にその点お伺いしますか、結果的にいまの——これは原文ですから、この内容を読みますると、私がいま指摘したような諸点がどうしても理解できるんですね、解釈されるんですね。だとすれば、当然この憲法の十四条の法のもとの平等、こういうものからくる精神に全く違反するし、あるいは職員局長がいまおっしゃられたように、職場内における管理者としての、それに従順でない……。しかし、複雑多岐ですから、職務運用は、国鉄内部では。社会人として生活をしてるわけですから、そういうものを全部混同して、そして、すべて自分の思うとおりにならなければだめだという、また、それに文句言う者は反抗だと。この文面の内容というものは全くこの支区長の一方的独断的判断ですよ。もうとにかく根底に一定の目的があって教育をするわけですから、これからワクからはずれた者はすべて左であるとか、思想的に判断をしているわけですから。そういうことであるなら、常時幸福追求のためには自分みずから努力をしなければいけないと、憲法十三条のね、これを抹殺することになりゃしないか。そしてなおかつ、それから受けて労基法や労組法がつくられておるわけですけれども、そういうものの中においても、屋に屋を重ねてこの点は大事だからということで入れてるわけでしょう。だから、そういうものに対して結論的に労組法に違反しないかどうかということなんですね。労政局長の見解をひとつ。
  235. 石黒拓爾

    政府委員(石黒拓爾君) 具体的な正当な業務命令等に違反ということであればこれはいけないことでございますが、資本主義がいいか、社会主義がいいかというような思想によって、労働者の取り扱いを差別するということは労働基準法に違反いたしまするし、同時に憲法にも反するものでございます。  それから、それが特定の労働組合に入ることを誘導しまたは脱退することを慫慂するということに至れば不当労働行為になることはもちろんでございます。
  236. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そういう見解なんですが、職員局長どうですか。
  237. 原田種達

    説明員原田種達君) 私もただいまの労政局長のおっしゃったような趣旨のことを申し上げたつもりでございますが、ことばが足りないのであるいは誤解を生じたかと思いますが、その点はひとつお許し願いたいと思います。
  238. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは決して一通だけじゃないんですね、もっと出されてる。ですから、こういう指導者に対してどういう一体今後職員局長として指導されるか。このことを施設局長は聞いてるのか聞いてないのか、もし聞いてないとするならば——これは現地に行って、出しました支区長は、本区の区長も知ってます、こういうことです。そこまでは確認してきてる。なおかつ本人は文面の中において、その処断——国鉄におらせるかそれとも首を切るかということについては上部に報告をし、と言ってる。上部というのはどこかと言ったら、それは局であり本社であり、こういうことです。しかし、それは支区長や区長が直接言ったんではなくて、こっちから、上部とはどこですか、こう言ったら黙ってるから、それは局、本社か、ということです。その辺の事情は聞いてますか。
  239. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) これ実は私、このことがあるというのを昨日聞きまして、まだ十分私自身納得いくまで事情がわかっているわけではございませんけれども、ただいま先生がお読みになった手紙の中身から申しまして、私自身の経験から徴しまして、この前提になっておりますのは、この臨時職員——職員でございますね。これが本職員に採用されるか、されないかというその前提での話であろうと思います。したがいまして、上司の判断云々というのは、採用する、しないということに対する考え方を上司に述べて、そうして、判断を仰ごうという意味であって、現在ある職を首にする、しないというようなことではないというぐあいに私はお聞きいたしました範囲内から解釈いたしております。  それから、もう一つ組合員のお話がございましたけれども、その手紙の中にも組合云々のことはなかったように記憶いたしますが、おそらく二時間の説得というのも、これから本職員として保線支区につとめる上で、特に保線の場合に、先ほども申し上げましたように、共同作業というような特殊な性格がございますので、職場の中で融和してやっていくということが非常に大切だという意味から、反抗的という性格では困るのだという、融和してやってもらいたいということを説得したものであろうというぐあいに私は解釈いたします。
  240. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そういう単なる予断と偏見を持った解釈はだめです。これは明らかに、おそらく国鉄職員として迎えることは困難と思いますのであらかじめお知らせいたします。そうして、そのことは当方として上部機関に報告し、その指示を得て処置するほかありません。明確にそう言っている。だからいま労政局長もおっしゃられたように、明らかに思想上、信条、そういうものは全くこれは自由なものでしょう。職場管理者としてそういう領域まで、説得や拷問や、そういう中でこれを変えるというのは、あるいはレッテルを張るとか、そういうこと自体がこれはいけないことでしょう。それはどうですか。
  241. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) いま先生おっしゃいましたように、思想の中身云々によって判断を変えるということはいけないことであるというようなことは十分承知しております。ただ、左傾ということばを使ってありまして、若干職員局長が申しましたように、やや誤解を招くことばであったかと思いますけれども、ただ私の立場から一応弁護さしていただきますと、主義主張ということについては全く自由なんだけれども、ただ職場の中で融和してやっていくということについては、ぜひそういうぐあいに指導してもらいたいということで、これは本人の父親に説得といいますか、訴えたということだろうと思います。かように解釈しております。
  242. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これ、実際見てないでしょう。施設局長は見てないでしょう。
  243. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 見ておりません。
  244. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 では、ちょっと見てもらいます。
  245. 田中寿美子

    田中寿美子君 いまちょっと時間がかかるようですから、あれを読んでいらっしゃる間に労政局長にひとつお聞きしたいのですが、先ほど私質問しましたときに、抜てき昇給やら、それから機関助士からの昇職ですか、それをするときの不利益な処分といいますか、取り扱い方として、組合闘争に参加するということ。そのために年休を要求した。そうして、年休がもらえなかったので、それに参加したら賃金カットされたという問題ですね。これを前に、水戸であった闘争に対して東京の動力車の地本の人が応援に出かけていって、そうして、賃金カットを受けたから裁判に出したわけですね。それで東京地裁で判決が出て、そして被告は原告に対してその賃金カットした分を払えという判決が出ているのですね。労政局長のお考えでは、その年次有給休暇というものは当局側は単なる請求権、組合のほうはこれは形成権、休暇を申し出たら、それをどういうふうに使うかということは、自分たちのほうでやっていいんだというような考え方ですね。こういうことに対しては労政局長のお考えはどうですか。
  246. 石黒拓爾

    政府委員(石黒拓爾君) 年次有給休暇は御指摘のとおり、原則として何に使おうと自由でございますので、たとえば組合のデモ等に参加するという目的で年次有給休暇を請求し、それに使用しても差しつかえないものでございます。ただ、しかしながら、休暇闘争というようなことで、多くの者が一斉に休暇という名目でストライキをするという場合には、そのストライキが実質ストライキであれば、その場合には年次有給休暇は成立しないという判例が仙台高裁でございました。私どもそのとおりであろうと思っております。
  247. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 どうですか、読んだ感想は。あなたが指摘するような解釈ができますか。
  248. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 私も保線の現場の経験がございます。保線の現場の中の空気から一応私なりに類推いたしまして、私がさっき申し上げましたように、これは親御さんに話をする、できれば親御さんにもわかってもらいたいという気持ちで出した手紙というふうに私は受け取りたいと思います。これは支区長の立場としては、若い人を一人預かるという立場でございますから、そういう意味で親御さんにわざわざ手紙を出したというぐあいに、私は拝見した中で総体的には感じました。中に若干、たとえば処分云々というようなことば、あるいはなくもがなという感じはいたしましたけれども、ことばに若干不備な点があったことは感じますけれども、総体的に私が受け取る感じからいたしまして、やはり本職員として一人の部下を預かる立場で、その本人の親御さんに相談したんだというぐあいに私は受け取りました。
  249. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 非常に弁護論なんですがね。私はこの手紙を公労委なり、あるいは裁判なり、こういうところにいったら即座にこれは不当労働行為ですね。それも極端に憲法や労基法に違反する。まさしく思想判断で、そういうものの一語に尽きておりますよ。だから、あなた方がどうしてもそういう見解で今後もおやりになるというなら、これはやっぱりわれわれとしても考えなければいけない、そういう気分で今後も指導するなら。これはいろいろと話を聞いておって副総裁どう感じられますか、いまの件について。
  250. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 私もその手紙はこの席で初めて承知したわけでございます。どういう当時の雰囲気で出されたか、詳細にはもちろん存じませんが、施設局長が申しておりますように、私自身がやはり支区長の立場にいたとすれば、準職員を本職員に採用する問題として受けとめただろうと思うのです。それで保線の仕事は最近ギャング組織で集団的に協力してやる作業でございますので、その中に、ことばの端々で判断するのはちょっと軽率かと思いますけれども、反抗的だとかというような表現で行なわれております。そういう態度では先が思いやられるというところで、何とかみんなと仲よくやってもらいたいという親心と申しますか、そういう気持ちで本人に話したんではないかと、そういうふうに私いま先生がお読みになったのを拝聴しておりまして感じたわけでございます。国鉄と言わずどの企業でも、その企業でめしを食うために入ってくる人は、やはりその企業を大事にもり立てるといいますか、その気持ちで入ってきてもらわなければ、入ってくる人も困るし、それを受け入れる側でも困る。そういう単純な気持ちで書いたようにいま感じ取ったわけでございます。
  251. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間がないからあまり論争していられないのですけれども、実際これを考えてみると、はっきり支区長も指摘をしておるように、仕事の関係についてはこれははっきり言っておるんですよ。仕事は非常にまじめだ、そしてねばり強い、がんばりがある、そういうことは認めておるのですよ、仕事に対して。ただ、指摘をされるのは、思想的に左傾である、資本主義社会を否定をしておる、ストライキには参加をすると、こういうものが一連の考えとしてあるから、あなたは国鉄職員として迎えることはできません。もっぱら思想を言っておるのですよ。だからこういうことは現場長として行き過ぎであるし、誤りである。各種法律上からいってもこれは誤りである。いま労政局長が言ったような見解は私はそのとおりであると思う。そういう角度に世の中は進んでおるわけですから、この近代民主化の関係において、もう少し頭の転換をやってもらわなければ、現地においてこういう各般の問題についてたいへんな人権無視的な、あるいは憲法無視的なこういうものが数多くやられる。それをあなた方が正当化するということは、これまた二重、三重の誤りをおかすということになるだろうと思います。きょうはあまり意見は言いませんけれども、そういう意味合いにおいて具体的な問題が中野支区で実際あるのです。これは明らかに労組法七条にひっかかるもので、不当労働行為である。そのほか各保線区でこのようなことがあります。不当労働行為、不当差別、不当介入、全部具体的な問題です。だから、これはあとで全部施設局長のほうに見せてもいいです。これは全部当たってもらえますか。不当労働行為とか、そういうものについてはあなたは一件も聞いておりませんか。ほんとうに聞いておりませんですか、どうですか。
  252. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) いまたくさんあるというお話でございますけれども、私先ほど申しましたように、この問題が起きましてから三回にわたりまして施設部長を呼びまして私としては極力現地の事情も聴取したつもりでございます。その間にも出てきておりません。承知しておりません。
  253. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは八王寺保線区でありますが、同じように不当労働行為関係。点呼の席上、八王寺支区長が具体的に施設労働組合に加入しなさい、こういうことを八月二十二日ですかに呼びかけておる。八月十日には新宿保線区の吉田検査長ですか、この方も施設労働組合加入を明確に点呼の際に言っておる。それから七月二十七日には同じようにこれは区長ですか、みずからまたこれは今度は出て行って、なおかつ、なかなかこれは手ごわいわいと思うようなやつを五人ほど呼んで、区長室へ連れ出してきて、そしてここで約二時間、国労脱退、施設労働組合加入、こういうことをやっておる。そのほかに新宿保線区にもあります。それから上野保線区、国府津、大船保線区というように、これは全保線区に、全部具体的に、それくらい現地へ行きますると不当労働行為、不当介入、不当差別、こういうものが数多くやられている。これが、総裁国鉄に陳謝をしたあとも十数件出ているのですよ。だから、これを施設局長が知らないということはないわけです。その中心になってやっておるのが、前に言った伊能調査役だと、こう言うのです。だから、すべては、局長にそれらのことが報告になっているはずだと思う。これはどうですか。
  254. 北岡寛太郎

    説明員北岡寛太郎君) 先ほども申し上げましたように、いま幾つか例を引かれたことにつきましても私は承知しておりませんし、それから、それらのことをやらせるように伊能調査役が動いたということも私はないと思っております。で、現実にもしそういう事実がはっきりいたしましたならば、これは明らかに先生のおっしゃるとおりでございましたならば、不当労働行為ということになると思います。そういう場合には処置しなければいかぬと思いますけれども、これは私といたしましては全然聞いておりませんし、それから、現在の気持ちといたしましては、そういうことはなかったというぐあいに信じておりますので、事実について、もしあれでしたら、資料をいただきまして幾らでも私どもといたしましては調べたいと思っております。
  255. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 もしそういうことで具体的事実があったと、これは中野支区の場合にはこれがはっきりしている。こういうものについては、明らかに、総裁が言うように、総合的判断に基づいて人事的措置をとる、こういうことを考えておりますか。
  256. 原田種達

    説明員原田種達君) 先生の御質問に必ずしも当てはまるかどうかと思いますが、現在そういうような問題を含めまして、労使間で紛争の処理委員会というものを設けております。ただ、一々ここでもって先生のおっしゃったようなことを私ども存じませんので、私どものほうといたしましても、そういうものは地方の実態でそれぞれのところへ出ております。何かそういうところで円満に解決していきたいというふうに思いますし、またそのように指導いたしたいという所存でございます。そういう方向で私どもは考えておりますので御了承願いたいと思います。
  257. 大橋和孝

    大橋和孝君 関連。午後私質問をしたいと思っておりますが、施設局長は午前中で戸田さんで終わりだろうと思いますから、施設局長に、関連してちょっとお願いしておきたいのですが、いま戸田さんのほうから、いろいろな事例をもって、あると言っておられますが、あなたは知らぬと言っている。そこで、施設局長の立場でそうしたものを調査して、どういうことであったかということをひとつ資料としていただきたい。私は、これからまたあと、決算委員会においても、決算の立場からもまたいろいろなことを調べてみたいし、またこの問題に対してはいろいろ調査もしたいと思っておりますから、そういう意味におきまして、施設局長の責任において——いまあなたの話を聞いておりますと、たくさんいろいろな問題があるらしいが、いろいろなことをやっておられて、そうしてそれが不当労働行為であるかないかということで、あなたは弁護をして、そうじゃないとおっしゃる。私もそれを一ぺんよく検討してみたい。だから、戸田さんの持っておられる資料だけじゃなくて、あなたの持っている資料をもっと見たいから、徹底的にそれを調べて、あなたの管轄の中で行なわれているような、そういう不当労働行為に準ずるようないろいろな行為がある、このすべての問題に対して、ひとつ資料的に集めて私に報告していただきたいと思います。
  258. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは委員長にお願いしたいと思うのですが、いままで数多く実証を持っておるのだけれども、職員局長も施設局長も、それは全然知らない。こういうことを言うのですから、私はこの際委員長に、これはこっちが言ったことがうそになっちゃ困りますから、国政調査権を発動して、参議院の社労、それで直ちに調査をする、こういうことが事実かどうか。こういうことでひとつ議事を進めてもらいたい。この実証全部ありますから、これは正式国政調査権を発動してもらって、ほんとうに洗いざらいやってもらいたい。このことを委員長に要求したいと思います。そうして、いままでの回答じゃ、知らぬ存ぜぬですよね。責任者が知らないというようなことはない。本社も含めてこの際私は要求しておきたいと思います。  これで私は終わります。
  259. 中村英男

    委員長中村英男君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  260. 中村英男

    委員長中村英男君) 速記を始めてください。
  261. 原田種達

    説明員原田種達君) 個々の具体的な問題につきましては、先ほど申し上げましたように、地方の実情を調べまして、できるだけ、事実がつかめる資料がとれますれば御報告申し上げたいと思っております。そういうことで……。
  262. 田中寿美子

    田中寿美子君 関連。  もう一ぺん確認を私資料要求でしておきたいと思うのですが、先ほど総裁のいられるところで要求した点をもう一ぺん申し上げますと、第一は、田端機関区から十月九日抜てき昇給についての申請を出した。その数と局のほうの意見との食い違いの資料がほしいのです。これはさっき、うしろのほうから、出しにくいように言われたと思いますが、もしも出せないようなら、私にその説明に来ていただきたい。  それから第二点としては、田端百十九人の抜てき昇給の原資、さっきは抜てき昇給の原資は全体の昇給原資の二%ぐらいということを言われた。これは、この原資が幾らであって何%に当たるのかということを知りたいのです。  それからもう一つは、田端区長による裏面監査の実情を、さっきそれを調べてほしいと申しました。  その三点です、委員長お願いします。
  263. 中村英男

    委員長中村英男君) 職員局長よろしいですか。
  264. 原田種達

    説明員原田種達君) かしこまりました。私どものほうで調べまして、出せないものは先生のほうへ上がって御説明申し上げたいと思います。
  265. 中村英男

    委員長中村英男君) 戸田君の発言につきましては、後刻理事会で協議いたします。  他に御発言なければ、本件に対する午前の調査はこの程度といたします。  午後三時まで休憩いたします。    午後一時五十七分休憩      —————・—————    午後三時八分開会
  266. 中村英男

    委員長中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  午前に引き続き労働問題に関する調査を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  267. 大橋和孝

    大橋和孝君 午前中にも当委員会でいろいろ詳しく質問が行なわれました。また衆参両院の各委員会におきましても、国鉄マル生問題といわれます不当労働行為、これに対して非常にいろいろな追及もされておりますが、同時にまたこれは全国非常に大規模にこの運動が行なわれておりますために、昨年四月から今日までいろいろ続いているわけでありますが、いろいろこの委員会でも同僚委員から追及されているように、非常に問題が深刻なように思います。また当局におかれましても、この問題を相当取り上げられ、いままで比較的前向きにこれを処理されようとしているように伺っておりまして、そういう点についても、ある程度了解はいたしておるわけでありますけれども、しかし、いろいろこの問題の質疑がされているのを聞いておりまして、結局国鉄の中央のほう、総裁、副総裁、そういうところが考えられているようなことが、まだまだ下のほうに徹底をしていないという感が非常に私は深いと思います。そういう点がございますので、非常にこれをどうすればいいのか、当局の幹部の方としてはいまこそほんとうに徹底的に考えてもらわなければ、この解決はなかなかむずかしいんじゃないかというふうな観点から、私はきょう労働省のほうからもおいで願っておるし、また運輸省のほうの鉄監局長のほうにもおいでを願っているわけでありますから、副総裁並びに人事を担当しておられる局長もおられます。こういう中で私は二、三の問題をひとつ提起をしながら、ほんとうに総裁、副総裁あたりが真にこれを完全に、こういう問題を起こさないようにされるのかどうなのかということを、ほんとうの腹を私はきょうは主体として聞きたいと思います。それについて、やはり労働省側でも他山の事柄と受け取らないで、やはり労働省の立場とすれば、働いている労働者を守るという意味で、やはりその一番の責任を持ってもらわなければならぬから、広い意味で私は労働省、労働大臣をはじめ局長あたりが、相当積極的にこういう問題に対しても意見を差しはさんで、そして前向きにこれが処理されるようにしていかないと、やはりきょう議論されておりましたように、この不当労働行為あるいはまた人権にまで影響するような、憲法違反、労働法規違反、いろんなものの違反というものが考えられるわけでありますから、こういうことが考えられるような問題がなお国鉄の場において行なわれておるということは、私は日本国鉄として恥ずべきことであるし、またそういうことがあってはならないことだという観点から私はきょうは質問をして、御意見を伺いたいと思いますから、各出席者の方々には、そのおつもりでひとつ前向きな答弁をいただきたいし、そして、こういう委員会でこういう質疑をすることは国民全体の前でやることでありまして、われわれ議員と、そして当局者が話をするだけじゃありません。それを聞いた方によって国民全体にこれを及ぼして、私もしゃべるのは国民の側に立ってものを言っているわけでありますから、そういうことから考えて、どうかひとつこういう中で行なわれている議論は、また当局の考えというものがやはり国民全体に及ぼして、ああなるほどそれであれば国鉄が信頼ができるということにまでいかなければならない問題だと思いますから、そういう意味でこれからの質疑に対しては真剣な御答弁をいただきたい。私は、これをちょっとつけ加えて初めに申し上げたいと思いますが、きょうの質疑でいろいろのことができなければ、私は決算委員をやっておりますし、決算委員会におきましても、あるいはまた今後のいろいろの労働問題として、この社労の委員会の場におきましても、私は徹底的に追及をしていきたいと思います。ですから、そういうことを含めて私は考えて、きょうの質問に立っているということを御理解あって、そして答弁もそういうつもりで私は御答弁をいただきたいと思います。  特に、きょうはそういう意味で、私は鉄道監督局長にもおいでを願っているわけであります。いろいろそういうような意味で、私は非常に誠意を込めてひとつこれから質問をさせていただくわけです。同時に、この不当労働行為というものがほんとうに根絶をするということを期待をして質問に立っておるのでありますから、特にその点を御了解いただきたいと思います。  まず、この不当労働行為を行なったところの管理者の懲戒処分を含めて日本国有鉄道法三十一条による免職とかあるいは停職とか減給とか戒告とかいうものがあるわけでありますが、これらが全然されていない。ここらにも一つ私は大きな問題があると思うのであります。また、その逆には不利益をこうむるような処分を受けている組合員がおるわけでありますが、こういうものに対する救済と回復を具体的に措置すべきであると思うんでありますけれども、これが十分行なわれていない。こういうところに私は一つの大きな問題点があると思うんです。  それからこれはこのことについてこれからお伺いするわけでありますが、その前に、いままでに追及されていろいろ問題になっているところの管理者名前、あちらこちらにあります。私ども、党としましてもあちらこちらを調査いたしましていろいろな話を聞いております。先ほど午前中の質疑の中にも施設局長のほうに対してもそういうようなことがありましたから、私は資料を要求いたしておきましたが、少なくともいままでで国鉄管内でいろいろ問題になった、あるいはまたいろいろなことを追及されて、あるいはまた労働組合からいろいろなことが話題になって出ている。こういうものについて関係をされたいわゆる管理者側のお名前を私は一ぺん資料としていただきたい。あるいはどこのどういう役職をやっておった人である。それから何年から何年までの間にどこにおったのかということを聞かしていただけたらありがたいと思いますが、その資料、いただけますか。
  268. 原田種達

    説明員原田種達君) ただいま御要求のございました問題につきまして、不当労働行為の提訴されておりますのは現在、いままでに十三件ございまして、命令書の出ましたものは静岡の関係と大阪の関係でございます。したがいまして、その関係の管理者がどういう者か、資料を後ほど先生にお届けしたいと思います。
  269. 大橋和孝

    大橋和孝君 それにつきまして、その十三件についていまのお名前を聞くと同時に、私はそのほか、その事件が起こったときにおられたいわゆる管理者、その方々がやっておられたときのいわゆる予算関係、事業費ですね。御存じのように、いろいろ使用された使用区分についての予算関係を聞かしていただきたい。  それから、もう一つは、そのおられた管理者がどこかへ出張命令をされたその出張の行き先と、目的と、そして、それの予算、どれくらい消費されたかというようなことがありましたら、ひとつ一緒にいただきたい。事業関係では、組合運動に対してどれくらい使っているのか。いろいろあるでしょうと思いますが、いろいろその事業費、そういうふうなものの内訳をあなたのほうでどういうふうにしておられるか私のほうでよく存じませんが、その範囲内でけっこうですからひとつ資料としていただきたいと思いますが、いただけますか。
  270. 原田種達

    説明員原田種達君) いま御質問ございましたうちで、まだ十一件は公労委に係属中でございまして結論が出ておりません。  それからいま先生の御質問がありました内容が私どもにちょっとわかりかねるのでありますが、もう一度おそれ入りますけれども、どういうことでございましょうか。
  271. 大橋和孝

    大橋和孝君 その所属の鉄道局ですね。またそこの、たとえばその所属しているところで予算関係でどうせ分けておられると思うんですが、その中で、事業費だけでいいと思います、経常費、事業費の部分だけを内訳にしていただけたらありがたいと思います。
  272. 原田種達

    説明員原田種達君) いまおっしゃいました事業費、そういうのがどういうのか私ちょっと見当がつきかねるのでありますが。
  273. 大橋和孝

    大橋和孝君 それでは、あなたのほうで経理の中でやっておられることで、日常の運営上に必要な経費はどこどこで出しておられるか、それを聞かしていただきたい。それをもらえればいい。
  274. 原田種達

    説明員原田種達君) それでは後ほど御趣旨に沿うように一応伺いまして、それから提出さしていただきます。
  275. 大橋和孝

    大橋和孝君 同時に、たとえばどこどこの、たとえば関西で言えば、私どもちょっと調査に行きましたけれども、高槻の操車場の中の、助役ですか、あるいはまたそういうふうな方々が出張あたりに出られるやつが、出張旅費と申しますか、そういうものの区分が、大阪の局の中で大まかにどういうふうに分けられて、どういうふうに出ているか、そういうことなんかも聞かしていただきたいと思いますので、それもお願いいたしたいと思います。
  276. 原田種達

    説明員原田種達君) 御趣旨に沿えるものはできるだけ出したいと思います。  なお、先ほどの、先般の参議院の社会労働委員会で御要求のございましたものにつきましては提出しております。
  277. 大橋和孝

    大橋和孝君 それも私はまだ十分精査しておりませんので、精査した上でもう一度要求さしていただきますが、それについてはこの委員会で了承のもとにもらうことに関連することと思いますから、あとの注文を私どものほうでさしていただきたいと思いますから、それについての資料を出していただきたいと思います。  それから、この不当労働行為に使われた当局のお金というのは、概算して百二十億ほどあると私は伺っているわけですが、非常にばく大なものだと思います。その費用の品目はどこから出ているのかよく私はわからないわけでありますが、そういうものはどこから出ておるのか。それからまた、食糧費だとかあるいは学園の教育予算だとか、そういうふうなことについてのまたひとつ細目のデータを示していただきたいと思うのですが、これはどれくらいになっているかひとつ聞かしていただきたいと思います。いままでこのようなデータの提出は、わりあいいただいていないわけでございますが、特にこのデータは、私将来いろんなことに対してどうしても必要でありますので、こういうふうにいわれているものが、あなたのほうの把握のしかたと、私どものほうの聞いている把握のしかたでは多少差はあるかもしれませんけれども、少なくともそういうふうなものの細目をひとつできるだけ好意的に集めていただいて、データをいただきたいと思いますが、どうですか。
  278. 原田種達

    説明員原田種達君) 教育に使われた部分はおおむねわかると思いますが、その他一般の仕事の関係の会議とか、そういうことで触れたものが地方の実情にございますので、先生の御要求の問題は必ずしもちょっと私どもでは把握いたしかねるわけでございます。その点あらかじめ御了承いただきまして、こちらのほうでわかります教育の部分につきましては御報告申し上げたいと思います。
  279. 大橋和孝

    大橋和孝君 教育の部分ももちろんほしいんですが、そのほか食糧費だとか、何かいろいろ私どもはまだよくわからないのですがね、その会計の内容が。もっと私の知りたいのは、いわゆるマル生の問題、あるいはまたそのほかきょうのいろんな議論の的になっているような、いろいろ教育をする意味に使われる費用、あるいはまたその他いろいろあるわけでありますから、そういうことに類似しておるようなものはひとつ好意的にまとめていただきたいので、特にそれをお願いいたしておきますが、よろしゅうございますね。
  280. 原田種達

    説明員原田種達君) もちろん教育の問題は、いわゆる生産性本部に委託したものと、うちの部内でやっておるものとございます。したがいまして、わかる範囲内におきましてできるだけ把握して御提出いたしたいと思います。
  281. 大橋和孝

    大橋和孝君 どうかひとつ生産性本部に使われる費用も含めてお願いしたいと思います。  それからもう一つ、次にお尋ねしたいことは、国有鉄道広報部から「こだま」というのが出ております。ここにも一部ちょっと持って参りましたが、この機関誌がずっと発行されているようでありますが、この発行責任者は、広報部長の柳井乃武夫さんだと聞いておるわけでありますが、その十一月十一日号でこういうことが出ているわけであります。「公労委命令受諾に伴う管理者の心構えについて」という題で書かれておるわけでありますが、この内容を見てみますと、不当労働行為の限界を示しておるわけでありまして、一見しますと、不当労働行為の解説のように書いてありますけれども、中身をよく見てみますと、その限界以外は何をやってもかまわない、もうすれすれのところまでやるやつはかまわないということを教えている文章に、私ども詳しく読まさしてもらったんですが感じられるわけであります。さらに組合を弾圧する一つの示唆とも考えられるわけでありますから、これに対して当局の見解は一体どう思っておられるのか。あるいは総裁並びに副総裁あたりがこの問題に対しては相当前向きで下のほうにそういうことをおろしておられるわけでありますけれども、それがまた次にはすぐこういうことでいって、逆に言うならば、すれすれのところまでやるならばこれは不当労働行為にならないんだよ、この程度まで組合を弾圧してもいいんだよというふうな解釈、裏返してとれば解釈のできるものもまた堂々と出しておられるわけですね。  こういうようなことから見ましても、私が先ほどから一番当局の御意見を伺いたいと思う理由も——この間から総裁にお目にかかってお話をしても、職員局長お話を聞いても相当前向きにやられている。また団交も持たれて、話を聞けばだんだんそういうふうに進んでおるという一面にも、私は何といいますか、前向きの姿勢ということは非常に私は好意を持って受け取っているわけですね。なかなか努力をしておってくれるというふうに受け取っているわけですけれども、同時に、そう思っているやさきに、裏から見ればこういうものがつうつうと出てきております。むしろこれまでぐらいは組合を弾圧してもいいんだよというようなことが出ているとすれば、私はいかに好意を持って、好意を示してやっておられても、これがまた下のほうにまで徹底しないのは当然じゃないかと感じられるので、これは一つの例でありましてまだほかにたくさんございまして、けさの御議論を聞いておりましても解釈の違いであって、それがまだまだ末端には徹底せずに行なわれているという事例は一ぱいございました。ございましたが、そういうことも含めまして、ことに「こだま」という雑誌に出ていること一つ取り上げましても、事実上同じことが言える。私はこの問題で、当局の見解を聞きたいのは、いかに当局から、われわれがこうやって話しているときに、こうやって前向きにやっているというお話を承っても、下のほうにいつでもそういうものが徹底していない。こういうことに対して当局のほうではどうお考えになっておられるか、副総裁いらっしゃっておりますので、特に副総裁はこの問題に関しては主役となって活躍していただいておられるわけでありますから、副総裁のお気持ちも特に承っておきたいと思いますから、こういう問題についてのお考えのほどをしっかりと私は聞かせていただきたいと思います。先ほど申したように、やっぱりこれからの副総裁発言のしかたは、国民がほんとうに喜ぶような方向でなければならぬと思いますから、どうかそういう意味でひとつお願いをしたいと思います。
  282. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いま御指摘がございました点、過去のいきさつはもう先生御承知だと思いますのでそう詳しく申し上げる必要はないと思いますが、不幸にして不当労働行為という事例が起きまして、当時労働大臣からも労使間の不信感を一掃する必要があるんじゃないかというようなおことばもございまして、その線に沿って私ども事態の改善に努力してまいったいきさつはもう御承知だろうと思います。その趣旨徹底するために、再々いろいろな人間を集めて会議もいたしました。それからまた通達も出しておりますが、いま御指摘の「こだま」の、これは管理者向けに出している教養資料でございますが、これに不当労働行為そのものの説明といいますか、これは法律ではっきり出ておりますが、これをさらにわかりやすく説明をして管理者徹底をさせる。先生はこの逆のことならやっていいんじゃないかというふうにもとれるというおことばございましたが、おことばを返すつもりはございませんけれども、やはり表現の上でこれは不当労働行為だからやっちゃいかぬということをまず第一に徹底させなければいかぬという趣旨で、手をかえ品をかえ具体的な指示をいままでやっておりましたし、これからもその努力はいたし、現場の末端まで不当労働行為というような事例が起きないように私ども全力をあげてやっているところでございます。  それで、言いわけがましくなりますが、この前から申し上げておりますように、組織が非常に膨大でございますので時間がかかるかもしれないということは申し上げたわけでございますが、しかし、私ども一日も早くこの不信感という、そういう目で世間から見られている部内の空気を一日も早く一新して、もっと大きな国鉄再建に取り組んでまいりたい、そういうことで努力しているところでございます。
  283. 大橋和孝

    大橋和孝君 どうせこの問題に触れると、そういうおことばが出るだろうと思って私は質問の中で先にそう申し上げたわけでありますが、実際、言うならば社会党のほうにおきましても、先般来三次にわたっていろいろマル生の実態調査をやったわけであります。これももう御存じだと思うのであります。そして、いろんな問題がほぼその全貌が明らかになってきているわけでありますが、そういうことをして、しかも、総裁のほうからも、それはたいへんだから今後は一切させませんということで取り組んでもらっておる。しかし、その後におきましても、やっぱり静岡の地本もそうであります。大阪の地本も、それから秋田の地本でもそういうような問題がある。東京にもあるというような形で一ぱい不当労働行為が次々とあとを断たないわけでありますからね。そのことからしても、この「こだま」なんかを見て特に強く私は感じたのでありますが、不当労働行為にはこういうことは抵触する、これまでは抵触しないというようなことがすれすれの点までが出て、このマル生運動を含めて不当労働行為を続けていくのにそういうふうな限度を示したということは、むしろ私は労使間の正常な関係を結ぶためには、何かかえって逆な影響を及ぼしておると私は考えます。いま副総裁のおっしゃるのは、それは不当労働行為をやらせぬための教育だというふうにおっしゃいますけれども、逆にそれを下のほうで、あなたはそう思ってこれを書かしておられるかもしれませんけれども、逆のほうにとるならば、ここまではいいのだ、ここまではやったらいいんだな、このすれすれの程度でやったらいいんだなというふうな受け取り方をされて実際行なわれているとすれば、あなたの考えておられるようなことが下のほうに徹底していないから、やはりこの問題は依然として続いておる。この続いておることは、いろいろな調査で出てきているわけですが、そういうことにも原因していると私は解釈するわけですね。  そういう意味から申しましても、私は、やはりこの国鉄当局が組合に対して、具体的にそれじゃいまの「こだま」のようなことがほんとにうまく将来この問題が解決する、それが非常にいいものと思っていらっしゃるのかどうか。もっとそのことを離れて、一体国鉄の幹部の方々は、いま一切そういうことが起こらないように、とめるためには一体どうしようと考えていらっしゃるのか。こういう「こだま」に出ていること自身は、これは一例ですよ。一例ですから、まだ例はたくさんありますから、いろいろなものをあげたいと思いますけれども、それをあげるまでもなく、この問題一つ取り上げただけでも、私はそういう疑義があるわけですから、もっとよっぽど抜本的な気持ちで考えてもらわない限り、まだ続くのですよ、これはおそらく。私はそう思うわけですね。ですから、そういうことに対して一体当局のほんとうの責任者としてどうお考えになっていらっしゃるのかどうか。いままでもう組合員の不信感は相当強まっているわけですからね。ですからそれは、午前中の質疑でもありました、一方のほうでは二十  一人の中の十九人までが抜てきされていると。こっちは三百何十人の中で、三、四人しか抜てきされない。こういうことが出てきていれば、不信感は非常に深いわけですよね。そういうことに対して、私はまたこういうことも一つの悪い影響を及ぼしているという例をあげたわけですが、そういう例に対して、私は副総裁考え方が多少違うわけですけれども、いずれにしましても、それなら一体副総裁としてはこの問題を徹底的にするためにはどうしたらいいんだという問題に対して、いまのままではいかぬと私はお思いになるのじゃないかと思いますが、その点についてどうでしょうか。もっと何らかの手を打たなければいけない、こう思わなければならぬと思うのですが、どうですか。
  284. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いろいろ御指摘がございまして、それで現在、きょうの時点でも依然として不当労働行為あとを断っていないんじゃないかというおことばに伺いましたのですが、私はその点はないと確信をいたしておるわけでございます。ただ、過去において指摘されました事件で、静岡なり大阪で公労委の決定が出ました。これは時間的に申しますと、去年の暮れから、ことしの初めの事件でございまして、その当時、それから、それ以後もあとを断たないというような御指摘もあったわけでございますが、静岡の公労委の決定が出ましたあと、ただいま申しましたように部内徹底をはかっていたわけでございます。その効果が私はだんだん出てまいってきていると思うわけでございます。  それで、私どもがかりに不当労働行為をうまくやればいいんだと思っていて、そういうことをやっているとすれば、これはまことに申しわけないことで、総裁をはじめ私、そういう下心は全然ございません。したがいまして、こういう不当労働行為はやっちゃいかぬという、そういう抽象的な言い方でなくて、一々具体的な例をあげて、その行動、言動を慎むような指導を現にやっているところでございます。  それから、それによりまして、不信感の払拭を期したいということは、先ほど申したわけでございますが、現実国鉄の中には、これは法律に基づく組合に所属していない職員もございますし、組合国労鉄労動労という三つの組合、最近はまた施労という、これも、法的には合法的な組合でございます。これが現実にあることも事実でございます。それと片一方、国鉄が民間会社なら、もう破産状態になっていると指摘されているような財政状態でもございます。私は、やはり、われわれの使命というのは、国鉄法第一条を引用するまでもなく、国民に対して輸送を確保するというのが私どもの唯一最大の使命であると思いますので、それにつきましては、労使あげて取り組んでまいっておるわけでございますから、この問題につきましても、各方面の御理解と御協力を得なければできない問題ではございますけれども、私ども、まず第一にそれに徹していかなければならないと考えておるわけでございます。  それから過去におきまして、不当労働行為に類する事案が各地で指摘されているのもこれは事実でございまして、その点につきましては、本社、本部間で、紛争処理委員会も持って現に協議をいたしておりますし、それと同じような方法で、地方の対応機関でも、紛争処理についての努力もいまやっている最中でございます。この努力が効を結んでまいりますならば、不信感も払拭できるという期待を持っておるわけでございます。
  285. 大橋和孝

    大橋和孝君 副総裁のおっしゃるとおりに、私もこの間うちからいろいろされて、総裁自身が、今後そういうことを十分にやってみるといって、まあ陳謝をされた。それの時点から、もう私が見る目でも、前向きに非常に取り組んでおられるということは、一面認めているんです。それはいまあなたがおっしゃったように、そうしたふうにして、だんだん改良をされつつある。もう少し見てもらいたいというお気持ちのあることもわからぬことはないのですけれども、じゃそういうような気持ちになった場合を考えて、私がいま申し上げたように、実際、末端の組合のほうにいって、それじゃそういうふうになっていっているか。これは私ども第三次で調査いたしました結果でもわかっておりますように、あちらこちらに、まだ不当労働行為として認めなければならぬとわれわれが感ずるような、あるいはまた場合によってはまだこんなことが行なわれているじゃないか、これは言語道断じゃないかというような、あきれるようなことがあるわけです。  けさからも田中委員からも、あるいはまた戸田委員のほうからも、須原委員のほうからもあったのもごく最近の例ですね。そういうことから考えまして、非常にあるわけですよ、あなたいまないとおっしゃっているならば、あった例は私も知っていますから、一ぱいあります。静岡にもあるし、大阪にもあるし、秋田の方面にもある。全部あることは、私どものほうはある程度調査にまいりましたから。長野の方面にもある、福知山の地方にもある、私ども調査に参ったわけでありますから。私は京都のほうですので、福知山のほうのことも若干調べております。あるいはまた、操車場あたりのあちらこちらにも行きましたから、みな知っています。中には非常に若いまだ二十幾つの区長が、もうてんでわれわれ話をしても、話がとても合わぬのですね。その人が考えておる頭の中の内容と、われわれがほんとうにいまの日本の労使間の問題を、標準からおりた話をしたら、あまりに隔絶しているものだから、あ然とせざるを得ないようなことばを、私、実際直接聞いてきました。この人が一体どうなるのだろうという話を聞くと、もうこの次は、どこかへ抜てきされて、しまいには、とんとんとエリートコースをいくんだと、大学出だという二十幾つの人です。これはえらいことだなと、私は身をもって体験をしているわけです。そういう気持ちでもってあなたに質問しているわけです。もうだんだん改善しました、これからは不当労働行為は起こらぬと思います。そんなことを言っているけれども、不当労働行為というのは、提訴されて、そして判決が下って、初めて不当労働行為というのと違うわけです、私どもが解釈しているのは。おそらく副総裁もそう思っていらっしゃると思いますから、やはり法の精神から考えて間違っていることが不当労働行為なんです。そういう観点からいえば、てんでお話にならぬような状態を実際見てきているわけです。見てきた実感から話しているのに、あなたは通り一ぺんに、そんなことはありませんと、そういうふうに言われると、私はそういうお考えでは、今後を考えてみて、下のほうに、実際、あなたの部下のほうの、末端の組合に行って、組合員がなるほどといって納得していける状態になぬのではないかと心配しているんです。ですから、そういう意味では、もう少し副総裁も、職員局長もおられますから、今後そういうふうな、こういう不当労働行為の見方をもう少し原点に返ってもらって、そして、どうするかということを私は編み出してもらいたい。真剣にやはり組合員と話し合いをして、そして前向きにやりますということの姿勢をいただきたい、こういうふうに思っているんです。実際、きょう私は質問に立つ前から、あるいはまたきのうあたりの労使のお話し合いの様子も承っておりますから、やはりそれは総裁側としても、当局側としても前向きの姿勢のあることは評価をしてきょうは質問に立っているわけです。ちょっとそういう意味からいえば、うしろへ戻るようなことを、かみしもを着たような答弁をされるならば、私ももう一ぺん開き直らなければならぬので、私はそういうことは言いたくない。今後はもう真に労働組合の納得するような前向きの姿勢で心を割って提案をしていくようにしてもらいたい。すなわち私どもも出していきます、よろしく頼みますと言って、そして今後も話し合いを進めて、そして、ほんとうにこのマル生運動がなくなるような、不当労働行為というものがなくて、しかも、国鉄としての気持ちよい職場であるようにわれわれは念願をしているわけですから、そういう方向に持っていきたいと思っているのに、それが開き直ったような、かみしもを着たようなことはひとつ抜きにして、今後答弁をしてもらいたいと思うんですが、どうですか。
  286. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 私のことばが足りなかったせいかと思いますが、これは決してかみしもを着て形式的なお答えをしたつもりではございません。先生が御指摘のとおりの、まず労使間の不信感を一掃するのにどんな方法でやるか、いまその一点にしぼりまして、労使間の話し合いを進めているところでございまして、私は組合諸君もその点では何とか話を煮詰めたいという気持ちを持っていると考えておりますし、それで、いま過去の不当労働行為の取り扱い、これをどう処理するか、先ほど申しましたように本社、本部間でもやりますし、それから地方の対応機関でも話し合っていこうじゃないかという線が出ておりますし、それから昇給、昇格、昇職、これらについての基準の問題もこれは長年の問題でございまして、午前中に総裁動労に関する公労委の調停が出たということを御説明いたしました。その内容も参考にいたしまして、現在話を詰めている最中でございまして、決して私どもかみしもを着て、何か下心を持ってというようなことは毛頭ございません。その努力をいま一生懸命やっている最中であるというふうに御了解いただきたいと思います。
  287. 大橋和孝

    大橋和孝君 ちょっと話が前後しましたけれども、先ほど「こだま」の話をしまして、何かちょっと考え方において、私の考えとあなたのほうの、副総裁の考えとちょっと違ったわけでございますが、この「こだま」が、これは三十一号ですが、現在何号が出ているか知りませんが、一号から現在出ているものを資料として二部ぐらいいただけませんか。お考えが違いますから私は全部ひもといてみたいと思いますから、私どもいただいておりませんから、この「こだま」の一号から現在出ているものまで二部ずつ資料としていただきたい。いいですか。
  288. 山田明吉

    説明員山田明吉君) たぶんあると思いますが、バックナンバーでございますから、できるだけ早急にそろえるようにいたします。
  289. 大橋和孝

    大橋和孝君 リコピーでもいいからください。  ちょうどいま副総裁がおっしゃいましたように、やはりこの不当労働行為がなくなるために、ほんとうに誠意を持ってやっていただいているその誠意を私は認められぬわけではない。先ほどから申しておるとおりですが、それでは一体こういうことのないことを、ほんとうに誠意を持ってやるとするならば、一体どういうことをなさるのか、私はそれを伺いたいわけです。しかし、この紛争を解決するためには、労使がどうしても正常化しなければいかぬということは私思うわけでありますが、その不当労働行為の事案を、当局のおっしゃるのには、公労委に提訴しているものを取り下げなさいというようなことも言っていらっしゃったようでありますが、今後同時にまた提訴をしないようにせいというような、そういうようなことを言っていらっしゃるようであります。また組合側としては、それは取り下げるなら取り下げてもいいけれども、不当労働行為を行なった管理者の人たちに、懲戒処分も含めた日本国有鉄道法の三十一条による、いわゆる先ほど申したような免職だとか、停職だとか、減給だとか、戒告、こういうようなものも含めて完全な処分を行なうかどうか、行なうべきではないかということも主張しておられるようであります。またそれが十分でない場合でも、少なくとも管理者の依願免職なり、あるいはまた降職なり、あるいはまた配置転換なりを行なうべきだと、こう言っておるわけですね。またそれから逆には、不利益処分をこうむった組合員に対しては、その救済方を具体的に要求していろいろいままでやられているようでありますが、こういうような問題から考えても、やはりそこらにほんとうの誠意が出て、労使間でいつでも話し合いができる、そういうような立場で、しかも、その実績を示していかなければどうもうまくいかぬと思うのです。総合的に地方の紛争対策委員会に問題を移して話し合いをする。また地方のほうは中央にといって、まりの投げ合いみたいなことも行なわれていることも私ども聞いておるわけでありますが、こういうようなことでは私はなかなか十分にいかないんですから、ひとつこういう場合は、現場管理者処分ですね、これに対してはもっと徹底的にやるというかまえを見せてもらわなければいけないし、この間うちから総裁に話をしましても、それは私を含めて、べールをかぶされたことばでごまかしている。こういうような態度が見えるわけでありますから、これは非常に不信感を買うもとだと思うのです。  この人事の措置というものは、やはり本社で十分考えて、それが下のほうまで徹底しなければいけない。特にまりの投げ合いのような、下のほうに行って聞けば、本社のほうが、上が立てたとか立てないとか、そういうことになったら、よけい進まないわけでありますし、いろいろな問題でそこに問題があるわけでありまして、どうしても総裁、あるいは副総裁にこの紛争を解決する気持ちが十分あるとするならば、私はこういうところに相当き然たる態度を示さなければならないと思うのでありますが、これはどうですか。これは非常に今後の不信感を生む一つの大きなキーポイントになると思いますから、やはり悪い人は悪いように処罰したらいいと思います。そういうことは徹底したらいいと思うのでありますが、そういうことはどうですか。
  290. 山田明吉

    説明員山田明吉君) その問題はどういうふうにして不信感が一掃されるかというのが、これは最終の目標でございます。これは先生も御指摘のとおりでございまして、そのために、それができる一つの原因でございました不当労働行為は、これは絶対根絶する、こういう気持ちでやっておることも申した次第でございまして、そのためには人事管理上の問題も当然処理してまいらなければならないと思いますし、ただいろいろな事案が各地でいろいろなニュアンスで出てまいります。いわばケース・バイ・ケースでいろいろな差がございます。したがいまして、それに応じて私どもはそれぞれの立場で十分な措置はやっていくつもりでございます。
  291. 大橋和孝

    大橋和孝君 そのケース・バイ・ケースでいろいろ差があることも私もよくわかると思うのです。それからそれに対応して適当に考えてもらう、それでいいと思うのですが、その中で私いま聞きたい一点は、もうその国鉄法の中にきまっておる三十一条に照らして、悪いのはもう懲戒免職も含めてやるのだ、徹底的に悪いものは悪いものとして処分をし、いいものはいいとして進めていく、こういうことを徹底するという気持ち、これを持ってもらわぬといかぬ。この間うちから私ども聞いておりますと、なかなかそういう指導者、現場管理者処分することに対して非常に抵抗があるように思うんですよ、総裁なりのことばの中にもね。だから、そういうことはやはり私は信賞必罰なんですから、法もあるわけなんですから、少なくとも法に間違っている者に対してはやっぱり処罰をするんだというき然たる態度を示してもらうことが、まず私はひとつそういう不当労働行為の処理に対してやはり当局が前向きになって進んでやるんだという気持ちのあらわれに出てくると思うんですね。それはやった者に対しては、できるだけそういうことは言いたくないという気持ちがあってはいけないので、私はそのことばだけでいいですから、そういうものを含めて——だれにこうするとかどうするとかいうことは私は聞いていない、全体を含めてケース・バイ・ケースで、悪いものがあるときにはやるんだと、不当労働行為をやった者、指導した者、あるいはマル生運動なんかをきびしくやったような現場の指導者に対しては、そういうことがきちっとあらわれて、それが法に照らし合わせて匹敵するものがあったらそれは処罰するんだと、こういう気持ちをはっきりさせてもらうことが一つのポイントになると思うんですね。それはどうですか。
  292. 山田明吉

    説明員山田明吉君) まあ労働問題だけでなくて、われわれの行動に対して信賞必罰ということは、これはもうほかの世界でもある当然のことでございます。それで、いま先生が御指摘の不当労働行為関連する問題これは繰り返すようでございますけれども、ケース・バイ・ケースでございますし、それから、その処分というような人事管理の問題は、これは総裁の権限でございます。総裁の責任でやらせていただきたいと思っております。
  293. 大橋和孝

    大橋和孝君 もちろん総裁の責任をわれわれがとってやるわけじゃございませんので、当然総裁がやられるわけです。ぼくが一番言いたいことは先ほどからもう言っているわけだ。横から局長言わぬでもいいんですよ、副総裁気持ちを聞いているんだから。要らぬことを言うてからに、副総裁が言いたいということを君が押えるわけだ。そんなよけいなことを言わぬでくれ。とにかく総裁なり副総裁なりがやられるんだから、やられる際にはそういうものも含めているんだという気持ちぐらいをここであらわしてもらわぬと.それは含めないとおっしゃるなら含めないとおっしゃってもいいですよ。ですけれども、そういう事柄も含めてわれわれはこうしているんだ、しかしその最後の責任は総裁がやるんだと、それはそれで当然でございますけれども、こういうような現場管理者不当労働行為をそそのかしている管理者には一切しないんだというようなことが言われていて、またそれがされるんですか。そういうようなものは結局は懲戒処分まで含まれているんですからね、この中の問題は。ですから、そういうものも含まれているんですねと言っても、そうだと言って、それはケース・バイ・ケースでわれわれのほうはやるんですよということでいいと思うんですが、そういう点はどうしても言われなくて、原点に立った答弁しかされないんですか、どうですか、お気持ちを聞きたいんです。
  294. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 同じことを繰り返すようでございますけれども、ケース・バイ・ケースで私は当然処置していくべきものだと考えております。それで、大原則と申しますか、信賞必罰というのはどこの世界でもあることでございます。これは当然われわれもそういう基本的な考え方で処置すべきものと思っております。
  295. 大橋和孝

    大橋和孝君 そういうようなことばを聞くと、もう私がいまくどく言ったことも含まれていると解釈していいようなものですね。ですから、信賞必罰でやるというふうにおっしゃるんですから、私はそういうふうに解釈いたしておきます。  それからもう一つ、将来のこういうことが起こらないようにするためには、やはり不利益処分をしておられる人たちにも考えなければいかぬ。それからまた、いま行なわれているいわゆる昇格とか昇職とか昇給、その他配置転換、こういうような問題について、いままでの調査の結果いろいろなものがあがっているわけですね。先ほどもちょっと触れましたが、組合に属していても多少取り扱いが違うというようなそういう点があって、非常にこれが問題になっているわけでありますが、こういうことに対して、その組合のほうで主張しておる労使の対立の点も、調査の結果非常にいろいろな点を指摘されているわけでありますが、どうかひとつこの問題に対して、これもいろいろ交渉の結果で前向きに考えていただいて、いま、けさの質問の中で、前向きに進んでおるからひとつそれをよく見守ってほしいというお気持ちもありましたから、私はそれは了解いたしておきます。  それから非常に好意を持って、今後こういう問題が起こらないためにいまのような問題も組合とよく話し合いをしていこうという御姿勢だと私は考えているんですが、そういう意味では一歩前進だと、こう思いますけれども、まだまだこういう問題に対して、その後いろいろな起こっている事柄を考えてみますと、相当副総裁なり当局の中央幹部の方がほんとうに前向きな姿勢でやらない限り、また末端で同じようなことが起こる、私はなぜこういうことを非常に強調したいかと申しますと、いままで当局の中央のほうからこういう路線でやれという路線が示されたわけですね。いわゆる生産性の運動、こうやれというレールが敷かれた、ところがそれが行き過ぎてしまって非常にトラブルが起こってきた、ですからこれを少し戻したいというときに、百八十度転換しなさいという命令が出しにくいという点があるだろうと私は想像するわけなんです。それが徹底をしないものだからして、末端のほうではいままでのレールどおり進みますから、総裁やらなんかと話をすると、あるいはまた副総裁なんかと話をするとこうだと、こういうふうにして徹底的に取り締まっていますのだと、今後も組合と話し合っていきましょうと、また話し合いの機会も先に延ばしましょうと、いろいろ前向きの姿勢がありますけれども、そういう話し合いができておるのに、現場のほうにいきますと同じようなことが行なわれていて、こういうようなことでは非常に労使間の信頼度というか、信ずるという気持ちというものに格差が出てくるわけですね。あんなことを上では言っておるけれども、下のほうではこうなっている、こういうことが非常にいま問題になっている点なんですね。いま答弁を聞いておると、こうやります、ちょっと待ってください、それならやりましょうというようなことだけではいかない。私はもう少しくどくそのことを詰めてみたいと思うのですね。私か、いま話し合いが——組合との話し合いもあるでしょう、あるいはまたいろいろ分かれているところだから、そういうところを調整する点もあるでしょう、いろいろと困難な点はあるだろうと思いますけれども、そういうようなものも含めて相当やるということをここで決意を持って、ほんとうに組合の人たちも関心を持っているところでありますし、末端のほうでも非常にそういうきびしい問題も控えているところですから、やはり不利益を受けた人には不利益にならないように戻してやるということの徹底をした一つの方針、方式、それからまた、そういう問題が起こってきたときには起こらないような——一いわゆる事件の問題だとか、いろいろありますね、いま話しておられることが、そういう問題に対してよく話し合いをして、ほんとうに労使が納得していかれるような線を出していただかないと、私はなかなかいかぬと思う。少なくともそういうレールが敷かれたところをぐっとひん曲げて、これからはこういうふうに修正していくんだよということを示される必要があると思うのですよ。それをせずに、下のほうに対しては言いにくいことを言わずに、上のほうだけでこうするのだああするのだと言っていることが、まだ幹部との話し合いの中で、私どもが受けている受け取り方が、下へいって聞けば全然それが徹底していない、相変わらずそうやっている人が抜てきされていく、私が言ったように、二十七、八の区長さんが、ああいう態度でおった人が、あれは最も優秀な職員として、次にどこへ抜てきされるというような形になれば私はたいへんだと思うのです。  これは郵政のほうにもそういう例はたくさんあります。ですから、私も今後郵政の問題に対しても取り組むつもりでおりますが、この国鉄の問題でも同じことであると私は思う。だからこういうことに対して私はほんとうに徹底的に取り組まなければ、今後の労使関係の問題というものは依然としてトラブルを起こし、一方では「ひかり」とか「こだま」とか、非常にりっぱな、世界でも有名な鉄道が走っておりながら、中の労使の問題からいえば最低のことが行なわれている。こういうような状態であっては、いかに二重構造、三重構造を非難されている日本の状態とはいいながら、こういうことが許されては私はならぬと思う。ですから、そういう意味から考えて、この問題に対して私はくどいようでありますけれども、もうそういう方向を見出して努力をしてもらっておるということを評価しながら——評価しているんですよ、評価しながら私はこういうことに対してもっと詰めておきたいと思うわけです。ですからひとつ、副総裁も先ほどからそれを一生懸命やるとおっしゃっていただくのだから、こういう問題に対しても労使ともに徹底的にひとつ組合のみんなも納得できるような線でやるということだけぐらいは、ここで大筋の方針を示してもらうことが私はどうしても必要だと思います。私はそういうことが相当前向きにやられぬ限り、ほんとうに徹底的に取り組みたいと思うんですよ。ですから、いろいろな意味でもしあなたのほうがいろいろな資料を出さなければ、私のほうは国会の調査権を発動してでも出ていって、個人でもいいからいろいろなものを見せてもらって、そういうものに使われるものを一ぺん徹底的に洗ってみたいと思うんですよ。これに対しては、民間で聞くだけで真偽のほどはわかりませんけれども、こういうものに百二十億も使われているというんですからね。それなら、まだこれから鉄道の運賃上げようかと言われているときに、国民に対して大迷惑。ですから、私は国民の期待にこたえる意味からも、一ぺんいろいろな費用の使い道に対しても調査をしてやりたいというぐらいに憤りを持って考えているんですから、そういう意味におきましてもあなたのほうの考え方をぴっちり出していただいて、ほんとうに真剣に取り組んでいるんだと、そのくらいのことをおやりになるには相当な日にちがかかるからそれならお待ちいたしましょうと、そういうふうに誠意を示していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  296. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 御懇篤な御示唆、御叱正をいただきましたが、先生のおっしゃるとおりに、たびたび申しますように、労使間の不信感の一掃、これが国鉄再建のやはりかなめになるという確信のもとに努力いたしているわけでございます。今後ともその努力は続けてまいりたいと思います。  それから、百二十億円とおっしゃいました。これ後ほど資料をととのえますが、あの教育の金とすればちょっと……非常に大きいように思いますし、これは後ほどまた正確な資料で御説明させていただきます。
  297. 大橋和孝

    大橋和孝君 じゃあ、また違ってたら修正しますわ。  これでいいです。
  298. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 資料で御説明いたします。
  299. 小平芳平

    ○小平芳平君 この国鉄当局のマル生運動に対しての考え方でありますが、前回の運輸委員会との連合審査のときに私も発言いたしましたが、私自身として、機械化、近代化、生産性向上そのこと自体に頭から反対ということは考えておりません。それは、どこの企業でも産業でも、近代化し生産性を向上するというその基本線に異論はございません。ところが、国鉄当局がいままでやっていたマル生運動というこの運動は、非常に脱線し過ぎてしまって、生産性運動という本来の生産性運動、成果の配分あるいは雇用の拡大、そういうことは現在の国鉄としては期待できない。ただ現在の国鉄として期待できることは、労使の協議制であり、信頼を取り戻すことだと、深めていくことだという結論は、ほとんど各委員共通の御意見だったように私は考えました。私はそのときにとにかくいままでのマル生運動は一時中止して洗い直す、出直すということを強く主張したわけですが、その後国鉄当局もマル生運動教育は一時中止という措置をとられたということが発表になりました。そこでマル生教育は一時中止、それでまた再開されるわけですが、マル生教育を再開するにあたってはいつから再開されるのか、少なくとも前提条件として労使の不信感をなくして、信頼感の上に労使協議、労使合意の上で再開されるのが本来の筋である、それを一方的にある期間を定めて、ばたばたと始めるとまたあちこちで問題が起きやしないかというふうにも考えますが、いかがでしょう。
  300. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 生産性運動不当労働行為であると、そういう御議論とは伺いませんですが、不幸にして生産性運動をやっておる過程におきまして不当労働行為が起きた、これは事実でございます。それで、私ども生産性運動そのものはこれもたびたび申し上げておりますので、くどくなりますので申しませんが、国鉄の再建ということはこれはもう労使の問題を超越した大きな問題でございまして、その再建というためにやはり生産性運動を取り上げたわけでありまして、その過程において残念な不当労働行為という事犯が出てまいりまして、どういう因果関係があったのかどうか、そういう点で生産性運動を見直そうということで、現在点検中でございまして、したがいまして、再建運動という看板、これは私どもおろすことはむしろ国民に対しての非常な義務違反だと、私ども国民の足として国鉄をますますりっぱに育てていかなければならぬという信念でございますし、そういう考え方からして再建運動につながる生産性運動の本来のあるべき姿、これをいま点検中でございまして、したがいまして、その点検の期間、これを一応一、二カ月と考えております。それが同時に労使間の不信という問題にもいま取り組んでおるわけでございます。その再建という旗じるしはこれは一日もおろすべきではないのでありまして、その意味では一日も早く純粋の意味生産性運動は再建の運動として取り上げていくつもりでございます。
  301. 小平芳平

    ○小平芳平君 私が国鉄再建運動が悪いと言っているのではないのです。ただ従来の国鉄当局がおやりになったマル生運動は、国鉄再建どころか労使信頼どころか、労使不信のそれこそもう事故が起きないのがふしぎぐらいの、そういう職場をわざわざ当局がつくっちゃったというふうなところから不当労働行為の問題として提起されてきたのではないかと思うのです。したがいまして、一時中止して一、二カ月点検をしておられるということですが、再開する場合は、いわゆるそのマル生教育を再開する段階では労働組合がまた幾つもあるということもたびたび発言がありましたが、その労働組合が了解の上で、これなら不当労働行為になるおそれはない、不当労働行為とこれは別問題だと、その再建のための国鉄当局の努力だというふうに了解の上で出発するのが当然じゃございませんか。
  302. 山田明吉

    説明員山田明吉君) これは法律的に、非常に形式的に申しますと生産性運動のみでなく、いわゆる教育の問題はこれは管理運営事項でございますので、団体交渉の内容ではございませんけれども、特に生産性運動を今後ぐういうふうに進めていくかについては組合意見も十分聞いてやりたいと考えております。
  303. 小平芳平

    ○小平芳平君 十分聞いて、いままでの生産性運動はこれはもう前回の委員会でも強く指摘されたように、労使不信運動になっちゃったわけですよ。そのところから、けさからも指摘のありましたような問題が全国的に起きちゃったわけです。したがって、労使信頼の上に再建に取り組める、そういう態勢がなくちゃならない、そういう態勢の上で生産性教育も行なわれないことには、それは教育管理者の責任だといってもまたやり始めてまた同じことをやったら何にもならないじゃありませんか。
  304. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 適切な御指示でございまして、私どももその気持ちで、また同じ轍を踏まないようなやり方でやらなければならない、そういう考えでいま検討しているところでございます。
  305. 小平芳平

    ○小平芳平君 なかなか労使合意とはおっしゃいませんけれども、とにかく同じ轍を踏まないといということが大前提であると思います。  そこで、次に、いまのマル生運動に百二十億という発言がございましたが、百二十億はちょっと多過ぎるんじゃないかということですが、どのくらいかけたわけですか。そして、教育費のほかにも、いろんな費目があるんだというお話ですが、いまわかっている範囲でお答えください。
  306. 原田種達

    説明員原田種達君) 四十五年度の実績でございますけれども、生産性本部委託経費が千七百五十万円、それから、中央学園の教育によりますものが九百七十二万、それから、地方計画によりますものが約七千八百万、合計一億五百二十二万円、こういう数字でございます。大体、四十五年度の決算といたしまして、鉄道の経費、これが九千百三十六億ございまして、このうち教育費が鉄経の約〇・九五%に当たります八十七億円でございまして、うち、生産性教育の金が一億五百万円でございますから、大体教育費の一・二%、こういう数字になっておるわけでございます。
  307. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうすると、一億五百二十万の内訳は、教育費と、そのほかに何ですか、おもなものは。
  308. 原田種達

    説明員原田種達君) もう一度ちょっと伺いたいと思いますが、一億五百万円のあれでございますか、その中の何でございましょうか。
  309. 小平芳平

    ○小平芳平君 中身。
  310. 原田種達

    説明員原田種達君) 中身でございますか。中身は、先ほど申し上げました本社計画と地方計画によるもので、地方計画のものが、先ほど申し上げましたように、七千八百万、本社計画によりますものが生産性本部の委託経費と中央学園の経費、こういうものでございます。
  311. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっと具体的に、私のほうからお尋ねいたしますから。  池袋駅ではいろんな問題が起きたことは、本社も御存じですね。地袋駅では、その池袋駅へ調査に行きましたときに、運転掛です、ある運転掛の方が助役から言われて、それで、ある人をこっちの組合へ入れと勧誘したわけです。助役からは——労政局長にも聞いていてもらいたいです。助役から、その運転掛は、金は幾らでも出すから、ひとつ二人くらい獲得してくれ、頼むぞと、こう言われたというのです。そこで、組合のほうからの報告書には、金は幾らでも出すから二人獲得してくれと助役から言われたと、こうなっているわけです。ところが、実際に運転掛御本人が来まして——ちょっと来ていただいたわけです。それで、駅長さんの前で言うには、とにかく一人くらい頼むと言われたと。御本人が、これはOKと言った。ですから、そういうことを言われますと、いまの労働運動の中で、そういう上のほうから組合を切りくずしてくれと。これはOKだと、まあ金は幾らでも用意してあるということでしょう。そういうようなことは考えられますか。じゃ、そのお金は、一体、どこから出るか、こういうことになる。
  312. 原田種達

    説明員原田種達君) そういうことは考えられないんでございまして、おそらく、たまたまそういう事実と申しますか、そういうことがございましたといたしましても、それはおそらく駅長が自腹を切ったのか、そういうような現場におきまして、そのための金を支出するなんということは全然ございません。
  313. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃ、労政局長は、駅長が自腹を切ったら、どうなるんですか。
  314. 石黒拓爾

    政府委員(石黒拓爾君) 職員が、管理職でない職員同士の間で、どっちの組合に入るとか、介入するとかいうことは、これは問題ございませんけれども、行為者当人が管理職に属する者でなくても、管理職から頼まれて、組合の切りくずし等をやるということになりますと、これは間接手段による不当労働行為になるということで、もちろん、その場合、金品を贈与するというのは、使用者のふところから出ようと、ポケットマネーから出そうと、不当労働行為だというふうに考えております。
  315. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうことは、本社は御存じないですか、こういう膨大な資料があるのを。その中には、金はOKだということもあれば、あるいは、ある国鉄労働組合の方ですけれども、この方が三十万円の労金からの借金がある。三十万円、それはこっちで用意するから心配するな、そういうことが私は職場の中で話に出てくるということは、きわめて生産性向上運動あるいは労使信頼とは、まるっきり似ても似つかぬことになってしまったんじゃないか。それこそ総裁が、あるいは副総裁国鉄再建といって、ここでもうおっしゃることと、実際現場で行なわれておることとは、全然、とんでもないことになっているんではないか。そういう実態を御存じなくて、これから気をつけますと言ったって、気のつけようがないじゃありませんか。
  316. 原田種達

    説明員原田種達君) ただいまの先生お話、全くどういう事実でございますのか、よく存じておりません。また、その時点がいつの時点であるかということにつきましても、よく存じておりません。あとお教え願いまして、私どものほうでも調査さしていただきたいと思います。
  317. 大橋和孝

    大橋和孝君 関連して。  私はね、いま、先ほど私の質問の中には、午前中にもそういう例が出されたし、また、いままでの間に、非常に衆議院においても参議院においてもやられている。ですから、私は個々の例はあげなかったんですよ。しかし、あげなさいというんなら、私のほうも例はたくさんある。それをいま知らぬなんといってしらを切っておっちゃいかぬので、私は、もう積極的にそういう例があるということは、いままで例示されているんだから、当局としては、それを積極的に調べられているもんだという前提でものを言っている。それも知りません、あれも知りませんというんだったら、私もこれは一ぺん出してやらなければいかぬことになる。だから、私どもの把握のしかたと、いま当局の把握のしかたとは、あまりにもずれがあるわけです。労政局長もそれをお聞きになってあ然としていると思うのです。これは私は大問題で、労政局長にもお願いしておきたいのですが、どうか労働大臣にも伝えていただいて、労働者のほんとうの基本権を守るのは労働省なんです。労働省としてこの問題に対してはもう少し総裁のほうと連絡をとりながら、もっと独自の立場でこういう不当労働行為があるということに対してはもっとメスを入れてください。調査してください。  こういう話を聞いておりますと、国鉄当局、ことに局長あたりの最高の責任者がいまのようにもっと積極的に調べようとしないのです。そんなことあるならこれから調査しますなんて、そんなこと評論家みたいです、いまの返事は。私はこういうようなことで実際ほんとうに局長としての職責を果たしておられるか心配するのです。  労働省に対しても一ぺんお願いをして、どうかひとつこういう私の意見も労働大臣にも伝え、労働者の側から不当労働行為が相当行なわれているという立場から考えて、もっときびしくメスを入れて調査をしてください。これをひとつお願いをしておきます。
  318. 原田種達

    説明員原田種達君) ちょっと補足させていただきますと、私も職員局長を拝命いたしましてからまだ一カ月早々でございまして、この問題をいま拝見させていただきまして、池袋の不当労働行為内容というものが私も人権にからむ問題であるということは存じております。ただ、先ほど小平先生おっしゃいましたように、金の問題とかそういう問題につきましては現地管理局で調べておりまして、この問題を紛争処理委員会の中での地方の局でやられておりますものですから、その点のこまかい点が私わかりませんでしたので、ちょっとまた別の問題かと誤解したわけでございます。その点ひとつ御了承いただきたいと思います。
  319. 中村英男

    委員長中村英男君) 委員長からも申し上げますが、この調査をされておるのです、この調査を、当局のほうはそういう調査を十分されていないのじゃないかという感じがしたとみえて戸田君が国会で調査したらどうか、してもらいたいという午前中発言がありまして、後日理事会で相談しましょうということにしておりますが、あなたのほうで調査が十分できないということになれば、理事会のほうでもそれじゃ委員会として調査をするかということにもなりますから、十分ひとつ委員の御発言を御理解いただいて、調査をして午前中の質問にひとつ善処をしていただきたい、こう思っております。
  320. 小平芳平

    ○小平芳平君 もう一つ労政局長お尋ねしたいのですが、労政局長は長年労働界で事務を担当しておられたわけですが、労政局長が直接民間企業にしても、こうした公営企業にしましても、公共企業にしましても、そういう現場の駅長さんに当たる方が、あるいは助役のような方が、お金は心配ないから組合切りくずしてくれと、こういうような例を直接労政局長として担当されたことありますか。
  321. 石黒拓爾

    政府委員(石黒拓爾君) 中小企業等におきましては、不当労働行為というのはいまなおあとを絶っておらないことは御承知のとおりでございます。しかしながら、一応近代的な体系のできております大企業におきましての不当労働行為というのは比較的まれであります。特に、いまお話のごとく、金は幾らでも出すから組合切りくずせというような事案というのは私、目下のところちょっと記憶いたしておりません。
  322. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、それを副総裁総裁ともよく相談してもらいたいわけですよ、この、何十年もやってこられた労政局長——金は心配ないからくずしてくれなんていう、それほど国鉄の中堅幹部といいますか、現場国鉄の幹部の人は労働運動に対する認識がないというか、あるいはきょうの午前中の質疑のように、法規は知っているけれども上からの指示で動いているのか、やっていることは近代化どころじゃない、まるっきり町の中小企業でもほとんど例がないようなことが起きていたのだという認識の上に立っていかなくちゃならない。それこそ前回の委員会、連合審査のときにもそういう発言がありましたが、こうした生産性教育どころか駅長教育のほうが、そうした幹部教育のほうがまだ大事じゃないか、先決問題じゃないかという御意見もありましたが、いかがですか。
  323. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 労使間の不信感の一掃、それと不当労働行為の根絶という点、先ほどからるる申し上げましたように、人を集めて話をいたしましたりあるいは書面で落としたり、その中には当然管理者の自覚といいますか、管理者がしっかりするということが当然入るわけでございます。その点についても私ども努力を怠っていないつもりでございます。今後ともしっかりした管理者を育てるように努力してまいりたいと思っております。
  324. 小平芳平

    ○小平芳平君 いや、そのしっかりがね、組合切りくずすようなしっかりしたのじゃなくて、近代産業、世界の技術の先端を行く国鉄、そういうふさわしい幹部を養成できなくちゃならないわけです。ですからそれは御了解の上だと思います。  それから、昇給昇職についての苦情についてはいろいろお話がもうございましたので繰り返しませんが、昇給昇職についてはそうした苦情が起きないように公平なものができるわけですね、とともに、福利施設ですね、福利厚生施設の利用、たとえば木造の共同住宅から鉄筋のいいほうの共同住宅へ、鉄筋住宅へ移りたいという希望者がある中で、やはりその組合によって差別を受けたということが強く訴えがありましたが、この点についても昇給昇職も含めてこうした福利厚生施設の利用についても、そうした不公平は一切なくすと、なくすためにこうしますというのがありませんか。
  325. 原田種達

    説明員原田種達君) いまおっしゃいました、二点ございますと思いますが、いまの昇給昇格、昇職の問題は、現在小委員会を設けまして、国労動労鉄労と交渉し、先生のおっしゃいましたような趣旨で大体整理する方向でいまだいぶ進んでおるところでございます。  いまの宿泊の問題につきましては、そういうような苦情もいろいろ地方によってございます。それで、この小委員会を地方にも設けておりまして、個々の、今次の紛争に関する特別の苦情処理委員会でそういう問題を扱いまして具体的に処置するということにいたしております。
  326. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは差別扱いをされて苦情のある人が持ち込むという、そういう委員会ですか。
  327. 原田種達

    説明員原田種達君) 個人から申し出ることもできますけれども、まとまったものは組合から申し出ることもできるということでございます。いま形式ばったものの言い方をしますと、具体的には東京の西の局でこういう不当差別の問題ということで組合から宿舎入居団交確認義務の訴えというのが出ております。本来でございますればそういう問題の、いまの訴えの事態を見なければならぬということになっておりますけれども、そういうことよりも今回の紛争の中でそういうものを含めて差別をなくすような問題が——差別という問題があるならば、それをひっくるめて解決しようではないかということを申しておるように聞いております。
  328. 小平芳平

    ○小平芳平君 何かよくわかりませんけれども、要するに昇給昇職の場合でもそうですし、それから宿舎の場合でもそうですが、とにかくできちゃったあとですね、いわば不当差別をしたあとです。はっきり言えば、不当差別をされた人に対して文句があるなら苦情を持っていけというようなことじゃうまくないわけでしょう。もともと福利厚生施設は従業員のみんなに喜んでもらうための、喜んでもらうというか、待遇の一環をなすものであって、そうした宿舎があるために職場に反目が起きるとか、あるいは差別扱いをするとか、そういうためにあるんじゃないわけでしょう、宿舎は。ですから、そういう不利益な扱いをしてから苦情処理へ行けというんじゃなくて、先ほど来るるお話がある趣旨も、そういう差別が起きないための話し合いをしっかり煮詰めてもらいたいということだと思うんですが、いかがですか。
  329. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いま先生、宿舎の問題を例にとってお話しになりました。例とあえて申しますのは、従来甲の組合から乙の組合へ移るのに、いわゆる利益誘導的なことがあったという申し立ての事案が、各所に現実に起こったのは事実でございまして、昇給昇職等のみならず、一切の業務上の運営につきまして、組合の所属あるいは組合に入っていないとかいうことで差別をしてはいけないということを、厳重な通達を出しております。その趣旨で今後ともやっていくつもりでございます。  それで、職員局長が申しましたのは、現に発生した手直しの方法をいま申し上げたわけでございまして、むしろ問題は、そういうことを今後絶対起こさないような指導という意味の御発言だったかと思います。そのつもりで指導してまいるつもりでざいます。
  330. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは私の質問はこれで終わりますが、これはちょっといままでの問題とは違うのですけれども、「第三次マル生不当労働行為調査団」「配達荷物万年滞貨対策のためにお願い」という、こういう書類を私たちはいただきました。大塚駅分会です。それはどういうことかといいますと、国鉄からは配達料一個百二十円で出ているはずなんです。それが合理化のしわ寄せで、請負請負でいくものですから、実際日通の下請人が配達する場合は一個四十二円から四十八円の配達料になってしまう。こういうようなところから三、四日の滞貨は普通で、五日、七日も滞貨が年じゅうたまっている。このことについては労働組合の方としては、国鉄の合理化が国民を無視した弱い者いじめの合理化になっちゃっている、つまり百二十円で国鉄が出す、実際配達する人は四十二円、四八十円しかもらえない、そうして能率があがらない、万年滞貨になっているという実情を訴えておられましたが、いかがですか。
  331. 原田種達

    説明員原田種達君) 担当がちょっと違いますので、いまの御質問の中身につきまして私よく存じませんので、追って調べまして御報告申し上げたいと思います。
  332. 小平芳平

    ○小平芳平君 副総裁どうです。
  333. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 合理化にいろいろな方法を講じておりますが、いまの金額の点につきましても、私ちょっと予備知識がございませんで、調べてまた御報告申し上げたいと思います。
  334. 中村英男

    委員長中村英男君) では国鉄関係はこれで終わります。
  335. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 国鉄マル生問題について、私のほうの質問が終わったというわけではありませんので、また時を改めていろいろと質問させていただくわけですけれども、これは単に国鉄とか、動労とか、全逓とかというところだけがこのマル生運動をやられているんではなくて、政府機関の中にもこのマル生運動というのが、国鉄やなんかにも劣らず前から、しかも形は非常に陰湿な形で、しかも徹底的な不当労働行為、差別というものが行なわれていると、こういうことを考えてみますと、決してこれは国鉄動労、郵政というだけの問題ではなくて、非常に広範なところにこのマル生運動というのが行なわれている。特に政府機関の中に行なわれているということを考えますと、これは単に偶発的なものではなくて、いまの政府の姿勢そのものが全般的に労働組合を敵視し、そして自分の思いどおりに押えていこうというような形で出てきているということを考えましたものですから、きょうは全国税と、それから全税関労組を取り上げてこれから伺いたと思うわけです。——政務次官は四十分ですね——。大臣集ていただきたいところですけれどもおいでになりませんし、この問題は毎回うちのほうの渡辺委員が決算委員会やなんかでも問題にしていましたけれども、一向に善処されていないということからまた取り上げたわけなんで、政務次官がいらっしゃってからもまたちょっとダブるようになるかもしれませんけれども、進めていきたいと思います。  まず、全国税ですが、形は国鉄動労もみんな同じような方針を出されているからでしょうか、同じような形で出ているわけなんですけれども、たとえば荻窪の税務署の管理二係として働いていらっしゃる天野文秀さんという方が全国税のほうの組合にかわられたというそのときに、渡辺総務課長さん、一月の二十二日と一月の二十九日にわざわざ、親御さんは甲府にいらっしゃるんですけれども、そこへ電話をおかけになっていらっしゃいますし、また直接の上司に当たる相川しづ子さんとおっしゃる女の方ですけれども、たいへん丁寧な、心を打つような表現ではあるけれども、結果的には、そういう組合に入ると損するぞと、やめろというような手紙が出されているわけなんですね。そういう電話を親御さんのところにかけられる、また手紙で綿々と組合を脱退せいというようなことが言われているということは、私は親御さんの気持ちにしてみたらたいへんびっくりなさったんじゃないだろうか、こういうことが事実としてございます。こういうことは一体いいことなのか悪いことなのか、いいとはおっしゃれないと思いますけれども、こういう事実があると、証人もあるし証文もちゃんとあるというようなことについては、政務次官いらっしゃいましたからお伺いしたいと思いますけれども、こういう問題、端的に言って許されてもいいとお考えになりますか。
  336. 村田博

    説明員(村田博君) ただいまのお尋ねの件につきまして、私のほうで調べた事情をちょっと申し上げてみたいと思うんでございますが、当該職員は実は山梨県の出身でございまして、総務課長はたまたま同郷の人間であったということで、その職員の両親からいろいろその職員の将来あるいは身分上のことについて頼まれておったということがございまして、本人が一月の二十二日でございましたか、全国税にお入りになったというときに、いろいろ総務課長の目から見ますというと本人が悩んでいるように見えたと、そこで本人を呼び出していろいろ事情を聞いてみたということがあったようでございます。それからまた、お話のように、同君の父親から年賀状がまいっておりまして、その年賀状には将来むすこのことをよろしく頼むということがありましたので、それともからめまして、同君の近況について後日報告したということがあったようでございます。  それから、係長の問題でございますけれども、係長が手紙を出したということにつきましては、この係長は女性の方でございまして、非常にきめのこまかい指導をふだんからやっておったということで、両親にいろいろ手紙を出しておりまして、その手紙は必ずしも同君の場合に限りませんで、係の職員に全部出しておったようですが、その中にお尋ねになる手紙があったのかもしれません。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、本件の場合は同県人のよしみということで、同君のことについていろいろめんどう見るという立場から相談に乗ったというふうにご理解願いたいと思うわけでございます。私どもとしましては、特に総務課長を通じて組合に不当な干渉をするというふうな気持ちは毛頭持っておりません。
  337. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私どものほうも事実を調べておりますが、ちょっといまのところお伺いしたいんですけれども、天野君が悩んでいると、そこで同郷関係で責任を持って親心でその天野君と話し合ったと、それはいつですか。
  338. 村田博

    説明員(村田博君) 私どもが調べたところでは一月二十二日のように聞いております。
  339. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 一月の二十二日の夜に天野さんが悩んでいるから渡辺課長さんがお会いになったと、こういうわけですね。じゃあ、私のほうでまたもう一つあるんですけれどもね。「全国税おぎくぼ」という機関紙があります。これは一月の二十二日付でナンバー六九です。このビラの中に、天野君がもうすでにみずからの意思で生きがいを感じたと、全国税に加入して初めて生きがいを感じたというのがここで手記が出ているわけですね。「今まで、無気力に過していた私が惨めにおもえてならなかった。悩み、苦しみ、無気力であった私を救ってくれたのは、少数ではあるが信念に燃えた彼らだった。」と、こう言ってるわけですね。一月二十二日号でビラ出てるんですよ。かれ、悩んでないんですよ、そのとき、二十二日というのは。それで、二十二日号でこれが出ているのに、あなたがおっしゃるのは二十二日に悩んでいるから聞いたんだと、また二十九日にも電話をかけたんだと。それじゃあんた、すっきりしてからかけているんじゃないですか。
  340. 村田博

    説明員(村田博君) 悩んでいるというのは主観的な問題でございまして、いろいろ見方があろうかと思うんでございますけれども、問題としましては本人がそういう告白をなすっておられたということもありまして、総務課長としてはその経過を聞いてみた。これは以も組合だけの問題ではございませんで、いろいろ職員の身分上の問題、生活上の問題があれば、当然上司としてそれを聞きたいというのは当然だと思うのでございます。そういう立場から組合に入った経過等を開いたというようなことはあったようでございます。
  341. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だんだんあなたのほうはおかしくなってきたんですよ。だから、聞くのはいいですよ、どうなんだと。聞くのはいいけれども、おたくのむすこさんが組合に入っていると差別されると、将来性がないと、だからもとに戻るようにということまで言う必要はないわけです、いまの答弁だったら。それから相川しづ子さんがお出しになったのは、消し印は一月二十三日になっておりますよ。そうすると彼がもうしっかりして、はっきり労働者として同君が生きがいを感じておると言っておるからこそ電話をかけたり、綿々たる手紙を出して不当労働行為をやっておるのじゃないですか。事実関係違うじゃないですか。
  342. 村田博

    説明員(村田博君) 総務課長がそういう相談に乗りましたのは、総務課長としてもいろいろ考えたのだろうと思うのでございますけれども、総務課長という肩書きでお話ししたというのじゃなくて、あくまでも同郷の先輩として個人的な形で御相談に乗ったということもありまして、したがって、そういう意味では職制のいろいろな関係がそこに反映しておったというふうには私ども考えないのでございます。
  343. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それは同郷だったから、つごうがいいからお前やれと、こういうふうにやったわけですよ、考えようによっては。それは個人的な問題ですと言ったって、切り離せない問題です。幾ら同郷人であったって、現実に課長であり、そうして係長であり、そこは離せないでしょう。こっちは個人の人格であり、こっちは同郷の人格でやりましたと言っても、くっついておるのですね。だから幾ら弁明なさろうとも全く不当労働行為を事実職制がやっておるのじゃないかと、こういうふうに客観的に判断できますよ、これは。そうでしょう。うんと言って、あれをお認めになるのでしょう。うんと言ってらした。みんな見ておりますよ。
  344. 村田博

    説明員(村田博君) 総務課長が、たびたび申し上げますように、県人のよしみで個人的にいろいろと同君のめんどうを見るという立場もございました。そういう立場からいろいろ相談に乗ったということもございます。そういう点で、一部の方に誤解を与えたということを私どもも残念に思っておりますが、国税庁といたしましては、従来から組合員に対してこのような形であるいは誤解を受けますような形での働きかけというのはやってはいけないと、これは三十七年十一月にそういう通達を出しておりますので、その点は十分自戒しているつもりでございます。
  345. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 誤解されるような、それがほかのお嫁さんの話で相談に乗ったというので誤解されるのじゃなくて、やはり労働者の権利としてのそういうものに対しての干渉ですから、これは単なる誤解なんというもので済まされないと思いますから、これはもうこういうことはしちゃいけない、幾ら同郷であろうとも、ここまでやったらやり過ぎになる。そうして、本人にも非常に迷惑をかけておるし、お父さんにも心配をかけておるのだから、そういうことをやった渡辺課長さん、それから相川しづ子さん、この人がこういうことをやって誤解を生んだ。そうじゃなかったらそうじゃなかったでいいです。弁解なすってもいい。一応のごあいさつを私はさしてほしいと思います。御本人なり、お父さん、それから組合なんかにもしてほしい。そうでなかったらやられっ放しになってしまいますよ。
  346. 村田博

    説明員(村田博君) 実は私どもこの点につきましてはまだ不勉強な点も多々ございますので、事実関係を調べさしていただきたいとこのように考えます。その上で善処させていただきたいと思います。
  347. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 事実関係、はっきりしておるじゃありませんか。あなたの言った事実とその事実関係違いますか。あなたの事実、ほんとうでしょう。うそをおっしゃったわけじゃないでしょう。私のほうもほんとうを言ったわけです。だから、そこのところ事実関係はこうなんだということだから、だから、こういうふうにしたことはたいへん行き過ぎでございましたと、陳謝されるように御指導をしていただきたいと思います。いいですね、事実がそうなら。
  348. 村田博

    説明員(村田博君) それはことばの内容いろいろ私よく聞いてみませんと、私自身も率直に申し上げまして、間接的に話を聞いておりますので、責任のある立場から言えば、もう少し調べさしていただきたい。その上で善処してみたいと思います。
  349. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 御本人からお聞きになるなり、また渡辺課長なり相川係長なりに事実をお聞きになって、私どものほうも調べております、あなたのほうで調べてなければだめなんです、少し手おくれですがやってもいいですから。そういうときにはそういう不当なことをやったということについて誠意を持って陳謝するというふうにお願いしたいと思います。  それから、その次にまたお伺いしますけれども、今度は、一ぱいあるのです、国税庁の不当労働行為が。たとえば時間がないから一つだけ言いますけれども、千葉県の成田税務署においてもやられている。これも成田税務署で一つじゃないのですね、これ調べてみますと。ここでも近藤金作君という方が国税労組を脱退して全国税に入るということになって、きまったら、これまた勤務時間中にもかかわらずなんです、勤務時間中に宇井統括調査官が署内の休養室に呼び出して、全国税に入ると仕事の上で秘密を話せなくなる、差別せざるを得ないと本人に言っておるわけですよ。それから、今度、やはり同じ成田税務署で、もう一人の人が、これもやはり前の組合をやめて全国税に入るということを決意したら、またここでも職場に差別があると、全国税に入ることによって不利益を受けることは損ではないかと言って、全国税加入を妨害していますし、またもう一人の人にもここでは成田税務署長の樋竹さんという方から言われている。それから、まだあるんです。成田税務署だけでも四つあります。  それから、今度は千葉県の木更津税務署においても上司から、二時間にわたってそういうことをすることはきみのためにならないというような脅迫めいた不当な介入が行なわれている。こういうのを考えてみますと、まあ、きょうは時間がないから一つだけ出しましたけれども、これを政務次官にお尋ねしますけれども、大蔵省としてこの全国税というのはもう徹底的にやっちまえという方針があるんですか。
  350. 船田譲

    政府委員(船田譲君) 大蔵省といたしましては、その職員がいかなる職員団体に所属していようと、いま申し上げましたような措置をとろうという気持ちはございません。
  351. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 気持ちがあったらたいへんなことで、当然なお答えだと思います。事実こういうことがやられておりますので、これも職場の中で、勤務時間中に二時間にわたってやられております。だから、それは大蔵省としてはそういう方針でもないし、当然こういう労働組合のどこに入るかというのは労働者自身の権利に関する問題で、不当労働行為になるわけだから、こういうことがありますからこういうことは以後やめなさいというふうに、一つずつ是正していっていただかないと、なかなか一片の御答弁だけじゃだめなんで、ここにも、こういうことが、小笠原がこういうことを言った、こういうことは事実だからやめろというふうに訂正なさる通達でも何でも出していただきたいと思います。どうですか。
  352. 横井正美

    説明員(横井正美君) 総務課長でございますが、私、木更津の件はよく調べておりませんけれども、成田の件につきましては、先生のおっしゃいましたような事実ではございませんで、統轄調査官あるいは上席調査官というふうな方が組合に加入した経緯あるいは労働組合に対する考え方というふうな事情を聴取したというだけにとどまっておるというのが私どもの調べでございます。
  353. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そこのところ食い違いますですね。だからおたくのほうで、それじゃ、私これを四つ言いましたけれども、この事実だけでも突き合わせましょう。そうして、どちらが事実かということを客観的に見ないと、おたくのほうはそういうことはありませんということだけでは、私のほうも困るわけです。私のほうは信頼できる組合からもらっているものだし、おたくのほうはそちらさまのほうに忠実な報告をなすっていらっしゃる。そこに食い違いが出たと思いますから、じゃ私が言いました全国税の千葉県の成田税務署の場合、それから、木更津税務署も御存じないようですから、そちらのほうも調べていただいて、おたくとしてどういうのをやったというのを出してください。そうしたら、私のほうも事実と突き合わせて、またそこに問題が出てくると思いますから……。お調べになったのあるわけでしょう。
  354. 村田博

    説明員(村田博君) いずれにしましても、私のほうも一応の調査はしたのでございますけれども、先生のいまのお話もございますので、なお慎重に調べました上で善処してまいりたいと思います。
  355. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それはいつごろになりますか。
  356. 村田博

    説明員(村田博君) まあ慎重を期したいので、若干時間をいただきたいと思います。
  357. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まあ常識的に考えていきたいと思いますから、何日間とは言いませんけれども、これでずるずる延ばさないように。——私のほうも別に荒ら立てていじめるわけじゃありませんけれども、やはり客観的に冷静にものごとを進めたいと思いますので、それじゃ、そのほうの調査はよろしくお願いいたします。  それじゃ、次に、ビラまきなんかすることに対して、非常に圧迫をされているというのがあるわけです。これは組合のほうに張ってあったのを、出しておられたのを、私もらってきて見たのですけれども、二月の二十日より本所税務署でビラまきをしたわけです。そうしてそのビラまきをしたというのは、時間内にがちゃがちゃやったというわけじゃなくて、朝出勤してきて、そして、始まる前の、だから勤務時間前ですね。勤務時間前に、旗を立てて大騒ぎでたくさんの人が来たというわけじゃなくて、静かにまいていたというのに、ここに写真、そちらにあとでお渡ししてもいいですけれども、本所税務署の総務課長の横田敏雄さんという方が、ビラまきしている組合員を押し出しているのですね。こんなことをするから、かえってたいへんになるのですよ。静かにまかしておけば、おとなしく職場の秩序が守られるでしょう。それから、またここのところでは、同じ人だけれども、まいたビラを回収していらっしゃるのですね。こういうふうにビラまきということに対して力づくで妨害して押し出す。そうして、まいたものを回収するというようなことが行なわれているわけなんです。これは本所税務署ですけれども、これが全国的に方々あります。  もう一つだけお話しますと、名古屋の国税局の管内でも、たとえば熱田、それから四日市ですね、それから富士というところでもビラまきをしたと、これは机の上にみんな置いておくわけですね、ビラを。そうすると、それを全部回収してしまうというようなことが行なわれているわけなんですね。これは労働者にとってみれば当然の、憲法でいう表現の自由に基づく権利であるし、また団結権、団体行動権という保障されたものにも立っているわけなんですから、これはもう決していいことだと思わない、当然これはやめてもらいたいと思うのですけれども、その辺どういうふうにお考えになりますか。こういうことがこのごろずっと行なわれるようになりました。たいへん危険な徴候だと思うのです。どうお思いになりますか。
  358. 村田博

    説明員(村田博君) 私どものほうとしましては、税務署という環境は一般の役所以上に納税者の方の出入りが多い。したがって、どちらかといいますと、外部のお客さまが多く出入りなさる場合がございますので、それだけ神経をいろいろ使っておるわけでございますが、庁舎の中でビラをまくということは、やはりそういう意味では必ずしも納税者にいい感じを持たれないのじゃないか。こういう点で、やはり私どもとしましては庁舎管理の責任者の立場から適当でない、こういうわけでございまして、庁舎の外でまかれる分には何ら私は申し上げることはないと考えております。
  359. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 庁舎のドアの外でまいているのもやられているのですね。  それからいまの御発言の中で、いろいろな団体が入ってくるしいろいろな人が来るからあまりよろしくないと、そのことで労働者の正当な権利を妨害していいのですか。そこのところをどっちをおとりになりますか。これが労働者がたくさんでわっと言って出てくれば、それは当然もう税務署へ来るたくさんの住民のためにはならない。しかし、八時前ですから、これは出勤前の時間ですね。納税者はそんなに出勤前に仕事にならないから来ていませんから、たいへん静かなところで、職場の人が来ているところで何人でもないわけですわ。そんなにたくさん組合員がいればいいと思うのですけれども、そんなにいませんから、静かにまいているということですね。だからいまおっしゃった理由にはならないわけです。もしもそういう理由があったとすれば、そういうみんなが来るときにぐあい悪いというそのことで労働者の基本的な権利というものを押えるということは、私は間違いだと思います。どうですか。
  360. 村田博

    説明員(村田博君) 税務署というところは、これは確定申告の時期になりますと早朝から実はお客さまがお見えになりますので、一がいにそうとも言えないことがあるわけでございまして、それのみならず、われわれとしましては、やはりビラの内容その他によりまして、やはり勤務時間内にそういうものが配られたり、そういうことがもしございますと困るわけでございますから、そういう意味の取り締まりをお願いしておるわけでございます。
  361. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 勤務時間じゃありません。勤務時間の前の時間でございます。  それからビラの内容ですけれども、そのビラの内容もたとえばクーラーをつけてくれとか、職場仕事をこうしようとか、組合員としての当然の権利を守るための要求なんですね。これはひとつデモでもやってがんばれとか、そういうような過激な、おそれられているような内容じゃないわけでございますね。だから当然それは組合として出してしかるべき内容なんです。それが実際そこまで調べを受けられた。だからそうなりますと、勤務時間外である、そうして来る人の迷惑にもなりません、出されているビラの内容についても当然組合員の職場の要求なんかが中心になっているものだと、だからおたくのおっしゃった反論というのは全部だめなんですね、三つ。それにもかかわらず、ビラをまかせないというのがとみに出てきています。しかも、これはもう労使慣行で二十年から続いていることなんです。それを突如としてそういうことをやって、そうして力で追い出す、それから回収するということについてはどうにもこれは間違いですし、まさに組合を不当に弾圧していく介入になりますから、これはぜひやめてもらいたいと思います。いかがですか。
  362. 横井正美

    説明員(横井正美君) いま先生から突如としてというようなお話でございましたけれども、私ども実は税務行政のたてまえからいたしまして、納税者の方々からもこういう問題について非常に多くの御苦情がございます。早朝だからお客さんはないだろうというお話でございますけれども、実は出勤時間の猶予制度がございまして、九時でございます。したがいまして、そのころには、確定申告の時期に限りませんで、かなりのお客さんがございます。そういう方から、事務室でビラをまいておるというふうなことにつきまして、かなりの御苦情もいただいておりまして、そういう点考えますと、やはり事務室の中でということは避けていただきたい、かように思っておるわけでございます。
  363. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 出勤猶予時間だということも私のほうは知っているのです。しかし、出勤猶予時間であっても、勤務時間というのは、東京の場合だったら九時十五分ということになれば、タイムレコーダーはそれまでいいわけですね。そうしたら、それまで猶予という時間でもあるわけでしょう。だから実務の妨害にもならないし、また納税者からいろいろくると言われたけれども、いろいろくるなんというのは全く抽象的なことで、いろいろなんて、どの程度きているのか全然わからないですわね。それを、そうじゃなくて、客観的に言えば、さっき言ったように、別に業務に差しさわる時間じゃない。猶予時間と言われても、勤務時間と言われても、静かにやっているのですね。ビラの中身というものも妥当な組合員の要求だということになれば、しかも、二十年ずっといままでやってきたということになれば、それは問題ないですね。それから、名古屋でさっき言いました、富士だとか四日市というのは、これは組合員の机の上に置いたのですから、全くこれはじゃまにならないわけですよ、机の上に置いたのですから。納税者等から反対の意見もこないのです、組合員の机の上に置いたんだから。だから、これを回収して歩くということはいけないでしょう。そういうことはそれはまさに不当労働行為だと、こういうことはやめてもらいたい。どうですか。
  364. 横井正美

    説明員(横井正美君) 九時前からかなりお客さんがあるという場合が多いということは先生もある程度おわかりいただけるかと思います。また事務室の中に、早朝事務室の机の上にビラを置いてあるというふうな場合に回収するという問題でございますが、御承知のように納税者の方は事務室の中に入りまして、税務職員と向かい合っていろいろと対話をするわけでございます。そういうたてまえからいたしまして、机の上に必ずしもいい感じを与えないような文書があるということはいかがなものであろうか、こう考えておるわけでございます。
  365. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だからさっき言ったんですよ。そういう理由でおっしゃるならば、ビラがあって納税者にいい感じを与えない。納税者にいい感じを与えないからといって、労働者の正当な権利を押しつけてもいいのですかと言うのです。納税者の方にいい感じを与えないからということで労働者の基本的な権利に介入していっていいのですか。
  366. 横井正美

    説明員(横井正美君) 先ほど申し上げましたように、九時前におきまして、庁舎の外でビラを配るということは私ども長い間ずっと認めております。また事務室内でのビラの配布あるいは机の上に置くというふうなことにつきましては、これを遠慮願っておる、こういうことでございます。また私ども、二つ組合ございますが、それぞれに掲示板を与えてございまして、そこに掲示物が自由にできる、こういう状態に置いておることも御考慮願いたいと思います。
  367. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ちょっと平行線なんですけれども、おたくのほうは御遠慮願いたいとおっしゃるけれども、労働者としての当然の権利を御遠慮願いたいという、納税者にあんまりいい感じを与えないからということで、それが理由で労働者の権利を圧迫して不当労働行為をやってもいいと言いきれますか。
  368. 横井正美

    説明員(横井正美君) 私どもは現在の扱いで労働者の基本的な——労働者というか、職員の基本的な権利、これは十分守っておる、かように信じております。
  369. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 守ってないじゃないですか、回収しちゃったりなんかするということは。守ってないから言っているのですよ。もし十分守っているといったら、そのビラがあって、そして、悪い感じを与えるのだったら、そのビラを、それじゃ早く見て、机の引き出しに入れなさいというなら話はわかりますよ。見ない先から回収しちゃうというのは不当労働行為でしょう。権利守っていないでしょう。どうですか。
  370. 横井正美

    説明員(横井正美君) 先ほど来私の申し上げますように、意思伝達ということは十分機会が与えられておる、かように考えます。
  371. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それはいろいろな方法が与えられなければいけないわけですよね。だから、その組合だとか何だとか掲示されればよろしいというけれども、それはもうこの場所でなければしてはいけないというのだったら、ほんとうの労働者の権利守れないわけですよね。だから、労働者というものは、いつでもどこでも知る権利があるのですから、そんなに職務の妨害になるというようなことでない。チラシがここに置かれているんだということも、当然知る権利があるのだから、だから、それも理由にならないのですよね。だからもしもそういうことをおっしゃるならば、職場の中、組合の中じゃなくて、組合忙しいのです。おたく税務署、おっしゃったように忙しいから一々組合の掲示板まで見るなんということはできないわけですよ。そうすると知る権利がないんだから、そうなると職場の部屋にそういうビラをちゃんと張っていいのですか。
  372. 横井正美

    説明員(横井正美君) 私どもは現在のやり方で十分であると思いますし、御承知のように、税務署というのはそれほど大きな人員をかかえているところじゃございません。したがいまして、掲示板でありますとか、あるいは入り口でビラをもらうとかいうことで十分組合なり職員団体の権利は守られておると、このように考えます。
  373. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 庁舎管理規則というような声もありましたので、私のほうもそれもちゃんと調べてきているわけですけれども、私のここで言いたいことは、やはり労働者が知る権利があるのにそれを不当に押えられてきているということですね。これはもうまさに妨害している、不当労働行為に匹敵するということを私ははっきり言いたかったわけなんです。まあそういうことをぜひやめてもらいたいということなんですが、おやめになる気はないですか。
  374. 横井正美

    説明員(横井正美君) 現在はそれで十分だと考えております。
  375. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ平行線になりますから、時間もかかりますから、あなたのほうは、あくまでそういう考えだと、だからドアの中でじゃいけないけれども、ドアの外でまくならよろしいという、そういうことでございますね。またその問題あとから引き続いてやらせていただきたいと思います。  次に、昇格と昇任の問題ですが、これも国鉄やなんかもみんな同じなんですけれども、全国税の場合もみごとに差別がされているわけなんですね。たとえば、幾つもの例ある中で、ちょっともうこれだけ言いたいと思うのですけれども、たとえば大阪の国税局管内で、それから、税大十八期生というのを調べてみました。十八期生卒業の中で、大阪国税局管内につとめている人八十六名おります。その八十六名を分けてみますと、調査官になっている人が五十六人ある。それから主任になっている人十三人。この八十六名のうち調査官五十六人、主任十三人というのに、この全国税の組合員というのは一人も入っていないわけです。残りが平ですね、役がついていない。平が十七人いるが、これが全国税の組合員。全部十七人というのが、こういう組合員になっているわけなんですね。これみごとに、もう組合員である者は平だと、役ついているのは一人もない、全部それは全国税の組合員なんですわ。  それから、今度昇格のほうを調べてみますと、これは税大の二十一期生なんですけれども、百十七名いるわけです。百十七名いまして、大多数が五等級に上がっているわけで、それで、六等級六号で残っているのが三人しかいないわけですね。その三人がこれまた全国税の組合員だと、こういうことなんです。それから、また全国税の組合員だったときには全然役づきにも、給料も上がらなかったけれども、やめたとたんに上がるという者もあるわけなんですね。非常にみごとに差別がはっきり数字で出ているわけなんですね。こういうのを見ますと、非常に差別というのがものすごく厳密によくやられているわけなんですけれども、こういうことはやっぱり私は意識的に組合を敵視している結果、勤務評定というのは組合員であるかないかということが大きな原因になっているというふうに思うわけですけれども、どうお考えになりますか。
  376. 村田博

    説明員(村田博君) 職員の転任でございますとか、昇給昇格、その他人事上の問題につきまして、任命権者である各国税局長が責任を持ってやっているわけですけれども、その管内においてそれぞれの職員の勤務成績を判定いたしまして、それぞれの実情に合わしてやっているということでございます。そういった場合に、私どもは決して所属組合がどうであるこうであるというようなことを判断の要素に入れることはいたしておらないつもりでございますので、私どもとしては適正に人事行政をやっておると考えております。
  377. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そちらでは勤務評定によって適正に行なわれているという、その適正がみごとに組合員であるかないかということで出ている。そっちは適正にやっておる、こっちはどうもおかしいということになるとすれ違いになりまして、客観的に判断はできません。そこでおたくのほうで、これはこういうわけでという勤務評定の内容ですね、こういうわけでこれはこの人とは違うんだというのは、それぞれ勤務評定というのは職員について出されているわけです、一人一人に。それを保管する義務があるんだから保管されていると思うんです。客観的に出されたものから適正であるかどうかということを判断していきたいと思うんです。それで税大の普通科の十、十七、二十二期生の昇任昇格のいまの資料ですね、勤務評定によって、こうこうこういうふうになってこれはこうだというのを出していただきたいと思います。税大普通科十、十七、二十二期の場合です。
  378. 村田博

    説明員(村田博君) 勤務評定によって職員の人事行政がとられておるかということでございますけれども、これに対する資料は各個人の機密に属することでございますので、資料としてはお許し願いたいと思います。
  379. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 当然、勤務評定というのは公開しないというふうに書かれていますし、それを公開することによって、あれはこうなんだ、ああなんだとみんなの中で格づけされるというのは本人に不利益になるということを考えての、公開しないというあの条文になってきていると思うんですが、しかし、本人はそれによって不利益を受けている。しかも、私が号外を出して知らせるわけではございませんし、ここで客観的に突き合わせて、そちらが正当だとおっしゃるけれども、これは時間がないから言えませんけれども、各地で出ていることでそれがみごとにぱっぱと差別されていますので、やはり差別される身になって考えれば、やはりこれは納得できないということになるし、非常に社会的にも、経済的にも犠牲を受けているものですから、やはりその立場に立って正しい解決をするためには公開するという、あの意味の公開ではなくて、客観的に私たちが判断をする、そして、お互いにどうなんだということを突き合わせるためにもこれがなければ、あなたのほうは正当に評価していると言われるけれども、客観的に証拠になるような、裏づけになるようなものはないわけですから、そういう御心配はなさらないで私たちに見せていただくというふうにしていただかないと問題解決つかないと思うんです。たとえば勤務成績が悪いというような事実がみんなに納得できればそこまで言わないのですけれども、同僚に聞いてもそうだ、なぜこうなんだと聞きに行ったら、よくやってくれるのだ、しかし、これは局長が発令するんだというようなことで、結局上司もよくやってくれるのだというふうに認めていて、ずっと置いていかれるということもありますし、もしもそういう昇任昇格もできないような、いささか成績の悪いという者に対しては当然指導しなければならないわけです。具体的に指導をしなければならないのに、それもされていないことになると、どうにもこっちとしては差別だと言わざるを得ない結果が出てまいります。だからそれはどうぞ出していただきたいと思います。
  380. 村田博

    説明員(村田博君) 先生お話でございますけれども、従来こういった問題が出ましたときにも、先ほど申し上げましたように、人事管理上の問題でございまして、やはりその職員個々にとりましてはいろいろな機密になる問題でございますし、私どもといたしましては現段階では何とぞお許し顔いたいと思います。
  381. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしたら、そういうふうに全然納得できない。本人も納得できない、私も調べたけれども納得できない。そういうことで明らかに結果的には差別になっている。そうして、労働者が非常に精神的にも経済的にも社会的にも犠牲を受けている。しかし、労働者はそういう犠牲を受けてもいいのだとお考えになるわけですね。
  382. 村田博

    説明員(村田博君) 私どもといたしましては、決して組合によるそういった差別をつけておるつもりはございませんので、そういう点から言いまして、いま先生の御指摘のような問題はまずないのじゃないかと理解いたしておりますので、そういう意味から、私どもの立場はやはり依然、職員の諸般の勤務成績であるとか、その他のことを考えてやっておるわけでございまして、もっぱらそこに依存しておるということで判定しておるわけでございまして、それ以上のことになりますと、今度は個々の職員内容につきましてお話ししなければならなくなりますし、そうしますと個人個人にも迷惑をかけることになりますので、私としては忍びがたいということでお許し願いたいと思います。
  383. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃこの問題、時間がありませんから、私のほうでまた再度質問もいたしますし、本人が迷惑をかけられるといまおっしゃいましたけれども、本人の迷惑になるかならないか、本人にも聞いて、そうして、文書で出すのがめんどうだったら、私がまた伺って聞くということであとに残したいと思いますが、そのときには御協力をいただきたいと思います。  時間がございませんので、次に全税関の労組の場合の問題をちょっと伺っておきたいのですが、ここもほんとうに、いままでうちの渡辺議員が追及していましたけれども、実にみごとな差別ということが行なわれているわけなんですね。これはちょっとだけ言いますと、昭和二十五年の五級職採用者、この中で、これは横浜税関が近いから、そこから調べたのですけれども、横浜税関で二十五年に五級職採用者が二名いるわけです。その二名の一人は四等級、一人は六等級なんです。この六等級というのは全税関だということで、非常に差別もあるわけです、四等級と六等級という。それから二十五年の税講卒の採用者で在職者が三人いるわけです。三人のうち二人は五等級で組合員をやめているわけです。それから六等級に残されているのが、これが全税関の組合員だ。それから、二十五年の高卒採用者が現在二十名いるわけです。これも五等級十八名というのはオール非加盟、非組合員なんです。そうして六等級に残されている、二人。それから昭和二十六年、旧高専から五級職採用者になって横浜在職者二十六名を見ますと、四等級四名、これも非組合員だ。五等級十七名も非組合員だ。六等級で残されている組合員、全部全税関だ。こういうことになるわけですね。そうすると、どこか偶然に全部残されているのが全税関の組合員だというなら、それはそういうこともあるかもしらぬ。だけれど、みごとにあるのですね、みごとに。整理してみますと、はっきり出てくるわけなんですよ。これはいかにいろいろおっしゃっても、客観的にみたらみごとに並んじゃうんですからね。これはまさに差別されているということを言わざるを得ないわけなんです。けれども、具体的な資料というのもお出しにならないのだから、ますますそういうふうに思われてもしようがないと思うのです。差別されているということが一体どういうことになるかということを私は考えてもらいたいと思うのです。これは人ごとじゃなくて調べて考えていただきたいのですが、たとえば服部正治さん、具体的に申し上げたほうがいいと思うのですが、服部正治さんという人は四十五歳なんです。昭和三十三年に税関監査部の係長に昇任して以来、昭和三十三年から十三年間、係長待遇のまま据え置かれて現在に至っているわけなんです。俸給は行政職五等級十三号俸だ、こういうわけです。十三年間係長のままずっときているわけです。その同僚の方を見ますと、二等級に昇格している人もいます。この人は十三年間係長待遇で現在五等級十三号で、それと一緒に入った人は二等級に昇格しているという人もいるし、たいへんな差ですね。この二等級の、一番いいところのと比べるとまずいと思いましたので、その次の方を調べてみましたけれども、同僚の岸田さんという人は三等級の八号俸、こういうふうになっているわけなんです。そうすると、二等級、五等級というふうに比べてみますと、たいへんな経済的にも差が出てまいります。で、ちょっと調べましても、これで毎月——年間調べてみますともう三十万くらいになりますね。そうすると十年間で三百万円だと。これが退職金、年金というものにずっと加算されてきますから、そうするとたいへんな不利益になるわけですね。そうするともうこれは、単に勤評によって正当にあれしましたと言われても、やっぱりこれだけの経済的な差別というものをされているんだから、やはりそこのところで、もっと客観的な納得できるものがなければ、これだけの差別を受けた者にとってはもうどうしようもないわけですよね。そういうことをほんとに考えていただきたいと、こう思うわけですわね。これはまさに組合敵視ということにほかならないと言わざるを得ないですね。また、この組合員も、これだけの差別されても自分の信念は曲げないというふうにやってくださっているのだから、私はりっぱな人だと思いますね。こっちのほうはそういうわけで非常に差別されている。こういうこともやっぱり労使間で話し合いをして、そしてこう荒立てて話しなくても、もっと改善される道はないんだろうかと私も考えます。で、その中で具体的にお伺いしたいんですけれども、関税局長さんいらしてますか。
  384. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 植松審議官です。
  385. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうですか。じゃ、そこをお伺いしたいんですけれども、全税関の組合員との団体交渉というのがありますね。それは一体四十五年、去年一体どれくらい交渉をなすって、そして、何らか改善しようと努力なさったか、具体的に伺いたいと思います。
  386. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 昨年は全税関との組合交渉は二、三回は関税局長とやっておるわけでございます。それからあとは各税関でそれぞれそういう会合を持っていると思います。
  387. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、その一回の時間はどれくらいおとりになりましたか。それからまた年に二、三回というその回数ですね。一ぱいこんなに問題を持っているわけですね。こんなものを持っているのに年に二、三回で、それでいいとお思いになっていらっしゃるかどうか。
  388. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 局長の交渉だけではございませんで、いろいろ組合の要求も多岐にわたったものがございますから、それぞれそのために——いまうしろに参っております担当官でございますけれども、担当官あるいは総務課長のところでこなしまして、それで問題を局長交渉に持ち上げるということになるわけでございます。そこで、局長交渉そのものは一回一時間くらいだそうでございますけれども、その前にいろいろそのそれぞれのチャネルを通しましてこなしております。議題を整理してやるという形になっております。
  389. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それも私のほうで調べてみましたけれども、いろいろその前に予備交渉やっていらっしゃいますけれども、その議題の中身、問題についての交渉じゃないですね。予備交渉はいつ、幾日、何を議題にしましょうかということですから、だから予備交渉の時間を含めてと言われると困るわけですね、ほんとうの交渉になっていないんですから。だから、ほんとうの交渉になっているのが一回一時間足らずということで、また大事なことは、ここで合意されていること何にもないですね。話を煮詰めていいところへいきそうだ、そこで、もうちょっと時間やってほしいと思うのに、一時間たちました、さようならということで、何ら積極的に当局として労働者意見を聞いてという姿勢がないわけなんですね。だから、その辺を私は非常に残念に思いますし、ぜひそういう問題について今後もっと組合員とゆっくり話し合うということをしていただかないと、ますます不信がつのるばっかりだし、問題も多くなっていくわけです。
  390. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) それぞれのこの議題となる項目によりまして、それをすべて局長交渉に持ち上げるのがいいかどうかということは、これは問題があろうかと思います。やはりそれぞれの担当でこなせるものもございますし、現場の税関でこなせるものもございますし、やはりそれぞれの項目によって違うかと思います。しかし、いずれの交渉におきましても、御指摘のように、ただ議論が平行線ではこれは実りございませんので、お互いにやはりそれぞれの立場に立って十分に協議すべきものは協議するという態度でなければならないと思います。
  391. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは、そういうことで今後誠意をもって、時間きましたなんというて立つのじゃなくして、誠意をもって交渉に当たっていただくというふうにしていただきたいと思います。  時間ありません。ちょっと急ぎますけれども、決算委員会でうちの渡辺委員質問をいたしまして、この差別の問題を話しました。そのときに谷川さんとおっしゃる前の関税局長だけれども、やっぱりそこでも私どもは差別しておりませんというお答えをいただいたわけなんですね。しかし、ここのところ、国鉄から何からマル生運動が非常に出てきて差別の問題も大きくなったということで、実はこういうのが出てきていたというのがあるわけですね。  これは神戸税関の場合ですけれども、たとえば普通科研修の研修生ですね、この研修生の推薦をしなさいという文書をお出しになりますね。その推薦しなさいという、いろいろと書いてあるこの最後のほうに、「なお思想穏健な者を推せんされたく活動家はなるべく御遠慮下さるよう併せて申し添えます。」と、こういうふうになっているわけです。谷川関税局長は差別していませんとおっしゃったけれども、実はこういうのが出てくるわけですね。そうすると、やっぱり思想穏健——組合の活動家というのはなるべく除けというのは明らかに差別しているという証拠が出てきているわけですね。これは現物もありますし、それから出せるわけなんですけれども、そうすると、もう明らかに差別しているということになるのですね。
  392. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 先ほどのお話組合交渉の問題、ちょっと補足さしていただきたいと思いますが、先ほど申しましたような態度でこれは交渉に臨むべきであるということは、これはおっしゃるとおりだと思います。ただし時間の問題等につきましては、これはやはりそれぞれ仕事のスケジュールを持っているわけでございますので、それは約束した時間内で私はその間に実りのある話し合いをするということであろうかと思います。  それから先ほどの税関研修所の神戸支所のお話でございますが、確かに御指摘ございまして、われわれで調べましてもそういうような文言の文書があったようでございます。あったようでございますけれども、趣旨は、結局、基礎科の研修でございますので、それでまだ全体の普通科の研修でございますので、これから税関の経験を踏んで第一線で活躍してもらうという方々の研修でございますから、できるだけその研修効果をあげなければならない、そこで研修態度のまじめな者というような意味だと思います。それがその御指摘のような表現になっておるとすれば、いささか文言の上においてどうかという感じがいたしますけれども、真意としては、とにかくまじめで研修を受けるにふさわしい人物を選んでほしいというように御理解を願いたいと思いますが、そういうつもりでございます。
  393. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 御理解願いたいとおっしゃってもちゃんと書いてあるわけですよね。思想穏健な者——活動家はなるべく御遠慮くださいと。ことばというのは思想をあらわして文章になってきますから、やっぱりこれが出ている以上は、こういうことで差別しているのだという姿勢になってくるわけですよね。気持ちはそうでございませんなんと言っても、それは通りません。やっぱり文書として出ているということをお認めになったのだから、こういうことをやった者については、これは間違っていたのだということで何らかの処置をしていただきたいと思います。お認めになった、事実として出てきているのですから。どう思いますか。
  394. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) この問題につきましては、関係のところにもわれわれの担当官のほうで調べたのでございますけれども、それの責任者の言い分はいま申し上げたことでございまして、あくまで研修効果を考えまして、それで、できるだけせっかくの基礎科の研修でございますから、普通科の研修でございますから十分に研修効果があげられるようなまじめな人を推薦してほしいという意味であったのだ。それに他意はなかったのだということでございます。
  395. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まじめな人を推薦してほしいということで他意はなかったということの弁解があれば、それで済むのですか。それじゃ、あなたの気持ちはそうでしたかということで、間違ったこういう差別をしていたことが許されるのですか。そう言って、私の気持ちは間違いございませんと言ってよろしいのですか。
  396. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 日本語というのは、なかなかこれ善処いたしますとか何とかということが、国際的に誤解を生んでどうだというようなお話もございまして、その辺はことばの使い方、十分に法律的に洗練されてない面があると思うのですね。それでまあ思想穏健ということを言いますと、まあまじめということとそれほど差がないんじゃないかというように思うわけでございまして、それほど特に先生おっしゃるように、取り上げて特別に特定の組合に入っている者をやり玉に上げているというようにお取り上げになるほどの心要もないんじゃないかというように感じます。
  397. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ところが思想穏健ということばで全部出てきているんですね。このねらっているところが出てきているんですね。だからそこは主眼が違いますから水かけ論になるけれども、そういう気持ちでございませんでしたと言えば、管理者のほうはそれで済むわけですわね。で組合活動家のほうには正当な理由があっても差別されたり、何かされていくわけですね。そういう態度が私は問題だというふうに言いたいわけです。それはあとで最後に政務次官からもお伺いしたいと思いますが、時間でございますので、あともう一つ二つ簡単にしたいと思いますけれども、答弁がはっきりすれば簡単に済むんですけれども、長いことになりすみません。  一つ、十一月の二十五日に全税関労働組合が申し入れをしていることがあるのです。それは研修所がございますね。税関研修所と言うんですか、そこで新規採用者を全寮制で教育していらっしゃいますね。そこのところに全税関の組合がポスターを張らせてください。また組合加入の訴えをやらしてくれという申し入れをしているんですけれども、それも勉強の妨害になるように毎日やらしてくれとか、ガーガーやらしてくれというのじゃなくて、その研修が済むまでのうちに一度そのポスターも張らせて、組合加入の呼びかけもしたいし、労働者がどこに入るかというその権利を正しく自由に使えるその手だてとしてやりたいと申し入れしているわけです。これは当然ILOの八十七号条約公務員の団結権を保障されているというようなことから考えれば、私は正当な申し入れである。これは拒否するという何ものでもないと思うんですけれども、それは私の考え方ですが、人事院の職員局長来ていらっしゃいますか。人事院のほうとしてこういう申し入れということは不当なものとお考えになるのか、それは当然の権利だというふうにお考えいただけるのか、ちょっと御意見を伺いたい。
  398. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 恐縮ですが、もう一度。
  399. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 全税関に就職いたしますと、研修所に入りまして、そして教育されるわけなんですね。そこのところに全税関の組合として、全税関の組合というのはこういうのだと、組合に入るときには自分はこういう組合をやっていますというような宣伝をさせてもらいたいという申し入れをしたわけですね。それでポスターを張らせてくださいということと、それから、組合加入の訴えをやらせていただきたいという申し入れをしているわけなんですね。これは勉強のじゃまになるわけでもないし、組合をどこを選ぶかということは、労働者にとっては自由なことですから、そこで全税関という組合はこういうのだということで宣伝するということは、当然やらせてもいいことだと思うわけなんですけれども、これは間違いだとお考えになりますでしょうか。
  400. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 職員の勤務条件であれば当然交渉事項になるわけですが、いまお話しの向きが必ずしも勤務条件そのものとは私はちょっと理解しがたい面もあろうと思います。ただ、そういう意味の当局に一応希望を表明するということ自体は、あながち不当とは言えないではなかろうかというふうに思います。
  401. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それを申し入れて拒否されたわけなんですね。そうすると、組合としては妨害しているわけではなくて、当然これは団結権も許されているしという、当然の行為として許可されてしかるべきだと思うのに、これが拒否されてきているということは、私は間違いじゃないかとそう思うわけなんですね。申し入れについて拒否されているわけなんですね。
  402. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 先ほど申しましたように勤務条件そのものであれば、これは正当の理由なく拒否するというのはいかがかと思いますが、直接勤務条件にかかわるとも思いませんので、当局のお考えがどういうことで拒否したか知りませんが、法律上の問題として直ちにそれが不当だということにはならないと思います。
  403. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ最後の一つの問題と合わせてお聞きしたいと思いますけれども、全税関の組合で集会を持ちます。たとえば七月十五日に東京税関のところで集会を持ったわけなんですけれども、こういういろんな、芝浦の出張所での集会を持つとか、横浜税関での集会を持つとかいうような、公務員の統一行動日に組合自身として参加する集会、これに監視がつくわけなんですね。それで、たとえば一番はっきりしているのは、芝浦出張所で組合員が十五、六名集会に出席したと、そうしますと、所長から、輸入統括審査官だとか、輸入審査官、輸出審査官、まあまあいろんな偉い人が十二人そこに入ってくるわけなんですね。十五、六人の公務員の統一行動で集まったのに、十二人も入ってきて、そして、圧力をかける。そしていろいろと現認するというようなことがされているわけなんですね。こういうふうなことがもうまさにじかにやられていることは、妨害というふうな形にとらざるを得ないと思うわけなんですけれども、そういうことはぜひやめてもらいたい。そういうように私は思うんですが、やめさせていただくようにしていただけますでしょうか。
  404. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) この七月十五日の集会のことでございますけれども、そういう御質問の旨を伺いまして、私のほうでも東京税関に、当時の事情を調べてみたわけでございます。そうしますと、十五日の集会の以前に、いわゆる統一ストライキ入りの宣言、いわゆるスト宣言文といいますか、あるいはポスターなんかの張り出しがございまして、それは公務員として非常に違法にわたるからとってもらいたいという要求をいたしまして、それがいれられませんで、官側のほうでそれをとる。そうするとまたそのポスターを張られるというようなことが幾度かございまして、担当者が調べたところによりますと、七月十五日集会につきまして、羽田で三回、それから東京税関の本館で六回、いま御指摘の芝浦で二回ございました。そこで、確かに結果的には、いまのように十五、六名の集会で十二名も出たのはどうかということでございますけれども、やはりその前の事情から、役所側としてもだいぶ気を配って、まあ結果的にはそこまでやらなくてもよかったじゃないかと、大ぎょうに過ぎるじゃないかという御批判があるかもしれませんけれども、役所というのは、非常にその点につきましては、慎重を期する、万全を期するという、まあ習性がございまして、それでいまのようなことになったのではないか。そこで、その後十一月になりまして、例の沖繩協定反対その他の集会がどっとございました。そのときには、われわれのほうも判断をいたしまして、先ほどの芝浦の御指摘の例につきましても、職制のほうでその問題について早出をいたしましたのは御指摘の数の半分以下になっております。そういうふうに、われわれとしては、むろん必要以上にそれで組合活動が何か抑圧されるというようなことがないように必要最小限にとどめるように配慮は払っていきたい、こういうふうに思っております。  それから、ついでにこの場で答えさせていただきますが、先ほどの研修生の件でございます。この研修生につきましては、何といっても研修というのは全国から優秀な職員を集めまして静かな環境のもとで税関職員として必要な知識技能の研修につとめるということが目的でございますので、まあここの問題については、われわれの気持ちとしては中立でありたいという気持ちがございましたし、それでどういう内容のポスターか、このポスターの内容私よくいまここでは存じないのでございますけれども、ある組合に勧誘をする。その研修を終わって、それぞれの現場へ入りまして、勧誘するというような内容のものじゃないかと思います。そういうものにつきましては一切別にどの組合がどうということじゃございません。まあ研修所の静かな環境のもとで研修を十分にやっていくという立場から中立的な立場をとりたいということから御遠慮願っているというような趣旨でございます。
  405. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これで終わります。  いまの集会も時間外でやっているわけですよね。時間外で当然の権利としてやっているのにたくさんの人が出ていって圧力をかける。しかも、監督に行った者には時間外手当というのが出されているということになりますと、私たちの税金をそんな組合弾圧のために使われたらとんでもないことだし、少しはよくなったとおっしゃったから、それならけっこうでございますけれども、こういうやり方で不当な介入をして、敵視されるという政策はこれからはもうやめていただきたいと思います。最後だから、いままでのお話を聞いていただきまして、大蔵政務次官にお答えいただきたいんだけれども、これは大蔵省関係が多いんですね。全税関、全国税、大蔵省関係で国会でも、うちの渡辺委員だけでも、五、六回やっているんですよ。それがいまだにこういう陰湿な徹底した差別というので改善されていないということは、やはりこれは考えていただかなければならない問題じゃないか。ほかの役所と比べて全然大蔵省は私に言わせれば悪いですね。こういう組合弾圧、そちらのほうではやり手でいらっしゃるから評価なさるかもしれないけれども、こういうことはやはりやめていただきたいと思います。不利益な扱いをされているという人たちのことを考えても、私はとてもこのままでは黙っていられませんので、当然こういうものに対しての不利益な処置に対して回復さしてもらいたいと思いますし、正当な組合活動というものは今後とも保障していただいて、労使慣行も尊重していただいて、こういう問題が起きないようにしていただきたいと思うので、政務次官として大臣にかわって、今後どういうふうにお考えいただけるかお伺いしたいと思いますし、それから、労働省の労政局長にも残っていただいて申しわけありませんでしたけれども、こういう事態が起こっているということについて、やはり聞いていただきたいと思ったわけなんで、こういうことをまたいろいろ労働省の立場でも考えて、今後どういうふうに考えていただけるだろうかということをお伺いしておしまいにしたいと思います。
  406. 船田譲

    政府委員(船田譲君) 大蔵省といたしましては、先ほど申しましたように、勤労者がその所属する職員団体のいずれに属しているからということによって差別をするというつもりはございません。ただ、先ほどことばの問題がちょっと出ましたのですけれども、日本語のあいまいさから誤解を受けるようなことがないように十分今後は注意してまいりたいと思います。  また、昇任昇格等につきましても、私どもはその職員がいかなる団体に属しているかということを判断の材料にしながらやるということはございません、ということを申したいと思います。
  407. 石黒拓爾

    政府委員(石黒拓爾君) 御承知のごとく、非現業公務員の国家公務員は労働省の所管するところではございませんけれども、いまお話を承りましたので非常に参考になりました。
  408. 中村英男

    委員長中村英男君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十三分散会      —————・—————