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須原昭二君 ただ疑問に残った点は、医道
審議会の答申の中に、この問題について公表しないという何か付記がついておったというふうに聞いておるわけです。そういう点がやはり国民の疑問を抱く原因になるのではないか、こういう点を私は
指摘をしておきたいと思うわけで、いまの
医務局長の御答弁は非常に前向きですから、そういう形で、少なくとも人間の命と健康に携わる、きわめて重要な立場にある
医療機関の担当者については、厳密にやっぱりやっていく、この基本方針をくずさないようにひとつしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
さらに、それに
関連いたしまして、いわゆる悪徳
医師というものは実はあとを断っておらないわけでありまして、実は私の地元の問題で恐縮でありますが、この三日前の十一月二十七日の朝日新聞の朝刊に大々的に出ておりますが、もう現地では実は九段抜きの記事で地方版ではその大半を埋めているわけです。「また恐怖の
精神病院」、「重患見殺し、私刑横行」、「警察も乗出す」、「診療、無
資格医まかせ」と、こういう大きな記事が出ているわけです。この問題については、私は実はことしの二月ごろ私の耳に入りました。しかし、この問題については、事、人権の問題にかかわるし、いまおっしゃる
医師の名誉との問題もありますから、あまり軽々に動くべきではない。こういう
考え方で実はその
病院の勤務者皆さんに、自主的に内部で、院長等々と当該者と話し合って、そういうことの絶滅を期すように実は指導した経験を持っております。しかし、なかなかそれでも改善をされない。そういう中から朝日新聞がスクープしたのではないかと実は
考えるわけでありますが、これは言うまでもなく、もうすでにお読みになっておると思いますけれ
ども、無
資格の医者が十年近く診療を続けているということ、その精神病棟に入る性格異常者であるボスの患者がほかの患者にリンチをするような、いわゆる病棟支配が行なわれている。一部の
関係者に言わしめると、
精神障害者の収容所そっくりだと言っているほどなんです。これは一宮市の佐藤神経科
病院で、現在地元では人権問題、人間性無視だというようなこの新聞記事によって大きく論争をされておるわけです。無
資格医は——はっきりここには「A」、「K」と書いてありますけれ
ども、久野信行、三十六年ごろケースワーカーとして佐藤
病院に就職をして、約一年後から患者の診察、注射、投薬の指示、けがの縫い合わせなど、無
資格なのに診療を始めて、実は佐藤院長もこれを認めておるというおそるべき
状態なのであります。特にこの四月の二十二日午前十一時四十分ごろに
入院しておった——ここには「A君」と書いてありますけれ
ども、
入院しておった十一歳の森尾友則君が麻痺性腸閉塞ですか、これで死んだわけです。しかし、この佐藤院長は、男子閉鎖、
児童両病棟を実はこの久野信行にまかせておりまして、無
資格の久野が森尾君を担当しておるわけです。同君が死んだときは強心剤の注射あるいはまた高圧かん腸などはしたんですが、佐藤院長の診療や指示は、従来からそうでありますから、診療、診察や指示は求めておらないのです。森尾君は
病院の中で無
医師の
状態で死んだと言っても私は過言でないと思うわけです。この問題については、実はたまたま私の近くにもう一人ケースワーカーとしてここにつとめておった一宮女子短大の教授だったと思いますが、この人が一応ケースワーカーとして嘱託におるわけで、この人は山田光遵という人でありますが、との人の歌にこういう歌があるわけです。「一人の
医師にも診られずこくこくと血をはきて死ぬあわれこの児は」と、こういう和歌をこの間私は見せてもらったわけですが、実に遺憾千万と言わなければならないわけです。
一件だけではないのです。この七月の十七日、またこの三カ月前に精神分裂症で
入院した三十二歳の女性患者でありますが、これがなくなっております。しかも、それは
入院してから七カ月後、肺結核だと診断されたのはなくなる一週間前です。こういう結核で死ぬというのだったら一週間前にわかるようなばかなことはないわけなんで、診療が十分になされておらなかった事実を裏書きするものです。
また四月中旬ごろには、森尾君がなくなって間もない深夜、容体が悪化した女性一人が、死んでからあとでわかったのですが、放置されたまま息を引き取っておる事件があるわけです。
さらに驚くことは、この病棟管理がきわめてずさんです。病棟から配ぜん室まで非常に遠くて、体力のない結核患者が雨の漏る渡り廊下で食事を立ち食いをするような
状態です。去年の秋にはふろ場で他の患者から熱湯をかけられて患者が死んだこともあります。無
資格の久野なんかは、無意識
状態で担架で運ばれてあばれる患者をくつで踏みつけるというようなことが数限りない。これは内部の従業員が証言に立つと言っておるわけです。まさに収容所でも余りあると言わなければなりません。こんなことが白昼堂々と行なわれている
病院というものは、私は言語道断と言わなければならないわけです。
特にこれは
医療法の立場からいって
考えますと、佐藤
病院は、
入院患者は実に現在でも二百人ぐらいおります。
医療法から言えば
医師の
定員は十六名要るんでしょう。しかし、
現状では院長と日勤のパート四人のお医者さん、これだけです。しかも、
看護婦さんは
医療法から言うならば
定員は三十九名必要です。
現状は十七名。こういう
人員の配置
状態でいいかどうか。この点をまずお尋ねをしておきたいと思うわけです。さらに時間の
関係がございまして、他の
先生方にも御迷惑をかけますから、全貌を明らかにしてまいりたいと思いますが、病棟では毎日の検温、二週間に一回の検尿はありますけれ
ども、血沈検査は実は結核患者のみだ、最低限の診療
体制も確立されておらない、こういわれてもいたし方がないと言うんです。まさに
医療荒廃の典型である。こんなひどい
病院は私は診しいと思うわけです。しかも、特殊なものだと
考えるにはまだまだ私は早いわけでありまして、他の
精神病院や内科あるいは外科の、あるいは救急
病院などの
病院でも重症患者がいても忙しいといって
看護婦さんにその処置をまかしておることが多くの
病院にも見られるわけでありまして、この際私はこういう
医療法にのっとらない、
医療法から見て
体制がきわめて不十分な
状態というものは再点検すべき必要があると思うわけです。特に
精神病院においては、相手が気違いでありますから、気違いであるからこちらはまともだから相手はどうでもいいんだというような、人権が無視をされている事実がここに顕著にあらわれていると思います。この際すべての
精神病院を総点検をする必要があると私は感じますけれ
ども、
厚生省の御見解をひとつお聞かせをいただきたいと、かように思います。