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杉山善太郎君 私は、ちょうど数えてきょうで満十七日目になるのでありますけれども、新潟の
——これには港の外と書いてありますけれども、これは法律的に、また慣行的に国際路線からいきましても、これは新潟の港域内でありまして、外国船が入ってきて、かってにアンカーを港にぶち込んでわれ関せずえんといっていたわけではなくて、いわゆる第九管区保安部長が港長でありまして、そしてここヘアンカーを置けということでありますので、法律的にも、国際的にも慣行上これは港の外でなくて、港域ということです。これはまあ事務当局も、そういう意味でひとつ重大なこれはポイントでありますから……。
御承知のように、十一月の三十日に、これは海岸でこの大きな事故を起こした。国際的に見ても、港内で二万重量トンというような、そして実質一万八千トン以上の原油を積んだ船が海難を受けて、そして大量の油が流出したということは、四年前に起きたトリー・キャニオンですか、あれは海洋の中で起きた大げさなやつでありますけれども、これは港内で、こういう
一つの港域で起きたということは、歴史的にも、世界的にも大きな大事故であります。私は、この問題に関連いたしまして、三つの視点をとらえて、
政府あるいは自治体、それから
関係方面に向かって、被災を受けられた側のサイドに立って、要求といいますか、要望といったほうが穏当だと思いますけれども、意見を含めて……。時間は往復六十分であるそうでありますから。
だいぶマスコミにも取り上げられまして、朝日ジャーナルが、油濁ですね、油でよごれた海の上に浮かんでおる日本列島という記事を載せている。まさにこれは、私も実は船乗り上がりでありまして、日本列島がどのような状態に立地的に位置づけられているかということから、けだし当然だと思うんです。今日、油濁の海の上の日本列島、日本海水域においてもこのタンカーの大事故が
発生しまして、起算してもうきょうで十七日目です。
そこで、この被害者といいますというと、具体的に言って、日本海沿線の漁民、それから内水面の漁業者、これは零細漁業者でありますが、それと
関係業者ですね。さらに、大量の油がやはり日本海に流れておるわけでありまするから、海岸線も相当に油で汚濁をされてくることになるわけであります。で、政治の日が当たっておりませんから、夏にもなればせめてこの海水浴場へ行くということが庶民のレジャーで、たいへんに海岸線には浜茶屋もありますし、最近ではやはり釣りですね。私もいろいろ陳情を受けましてびっくりしたわけでありまするけれども、この日本海の沿岸では、釣り堀だとか、ああいうちゃちなものじゃないですよ。自然の
環境相手に、水ぎわに行って釣りをする、それを商売にしておる人もあるし、また、レジャーに来ておる人々に対してもその釣り道具を売る。これは新潟だけでも
年間二億五千万円くらいの道具を仕入れておるわけなんです。こういう人たち、それから
関係地域の住民ですね。最近、直接の第一次
公害を受けておられる人がだいぶ
地域から陳情に来ておられまするけれども、これはひとり新潟県だけではなくて、当然
富山であるとか、あるいは秋田にしても、それから山形にしても、だんだんと第二次
公害は広がっていくものである。そういったような被害者サイドに立って一応若干の質問をしたいと、こう思うわけであります。
で、長官は非常にお忙しいと思いますので、まず私のものの考え方を申し上げたい。一体、日本海水域において大体油の基地というものをしいて言えば新潟、タンカーの入る
数量からいきましても、それから油の輸送の総量からいきましても。それで、タンカーが入ってまいりますと、これは海洋
汚染防止法でみんなが
環境をよごすことになるからということで、技術的な規制も必要でありましょうけれども、そういっても、先ほど
加瀬先生が言っておったように、この油、石油の扱いが、結局、評価の上では「油濁の海に浮ぶ日本列島」というようなことに回り回ってなるわけであります。
そこで、私は、どうしても日本海というものを死なしてはならないと思うのです。このままほっていけば、いま申し上げたような油の
公害も大きく、第一次
公害は、ともかくもいろいろな処置によって無難に越えましたけれども、その後においては第二次
公害も当然出てくるのだ。かてて加えて、私は、実は多少の先取りはしておりましたわけでありますけれども、若狭湾で現に原子力発電が機能を発揮してございます。私どもは、いずれこれは新潟も例外でないのだというような形で、そうしてみまするというと、日本海は、御承知のように、一例を申し上げますれば、佐渡の島の両津湾に加茂湖というのがあります。これは日本海の水域に通じておるのでありまするけれども、今日、赤潮でカキであるとか海藻というものはもうほとんど、あの手この手を加えても、うまくいかぬようになってきております。日本海全体は、御承知のように、宗谷海峡とそれから対馬海峡にはさまれておりまして、これは
一つの見方によっては静かな平和である湖であって、とにかく死の日本海にしてしまったらたいへんでありまするから、どうしても私は実は先取りをして、若狭湾や新潟その他、昭和六十年あるいは八十年と展望すれば、だいぶやはり自然保護
地域であろうと公園であろうと、この原子力発電所のマークが……。だから私が恐れますのは、石油でそううるさいことになるならば、これは
公害の少ないというPRで、ひとつエネルギーの科学化によって原子力にかえられようというようなことを私は心配して、それなりに見よう見まねで勉強しておったわけです。そこにもってきて、いまの石油
公害が出ますのでたいへんだと思うのでありますが、日本海を死の海にしてはならない。少なくとも原形に回復しないまでも、そういう手だてをひとつ
環境庁長官にがんばってもらいたい、そういうふうに考えておるわけであります。そういうようなわけでありまするから、具体的には一体その
環境の問題について、いま加茂湖の例を一、二あげましたが、これが広がって日本海全体が、あるいはかてて加えて若狭湾の原子力の
公害水等を含めて、もうコバルト60も出てきておる。そういうものが合体をしたならば、これはほっておけば海は死んでしまうということになります。そのほかに都市下水であるとか工場
排水であるとか、あるいはタンカー船、大型、小型によらず、まあ新潟に限らず、
富山でも、敦賀でも、舞鶴でも、どこでもタンカーはそのように入っておるわけでありまするから、やっぱりタンカー船から陰に陽に廃油が出てくるわけであります。ことに、まあかりにジ号と言いますけれども、ジュリアナ号、このようなものは、一度あったことが二度あっちゃたいへんだと思いますよ、実際問題は。たとえば水俣病の例にとりましても、これは熊本の水俣だけで済めば一番よかったのでありますけれども、これは
行政も自己批判してもらわなきゃならぬけれども、第二の水俣病は阿賀野川で、まあ裁判、人権擁護
委員会等々含めまして、とにかくここで食いとめるというようなことで、一度あることが二度ある、二度あることが三度あるというようなことじゃいけませんので、この非常な不幸な事態でありまするけれども、このジュ号がしかも港域内で海難をして、しかも、大きな石油
公害といいまするけれども、もっと鉱毒の大きい原油が少なくとも、まあ四千トンとかなんとかいわれますけれども、実質は一万トン近い油が結果的には海に流れるということになると思います。そういうようなわけでありまするから、これはこれだけでとめていただく。一度あることは二度あるということがないようにするということが
一つと、いま申し上げたところの
環境を十分ひとつあの手この手で整備してもらって、生き生きとした日本海、そうして日本海の沿岸のすべての、今日的に被害を受けた人たちも受けない人たちも、ともかくもやはり被害者にならないように、特にひとつ大所高所から御配慮いただきたい。大局的な意味では、
環境庁の長官にはその点についてひとつ見解と所信を承っておきたいと思います。