○国務大臣(大石武一君) どうもおそくなりましたが、衆議院の特別
委員会の都合で、まことに恐縮に存ずる次第でございます。
午前中の
委員会で、
政務次官からいろいろと
瀬戸内海の問題についてお聞きと思います。御承知のように、
政府部内に、各省間の総合的な
対策を立てるために、
瀬戸内海保全の
会議をつくりまして、私が議長でございますが、特に
政務次官が一生懸命にその
中心となって働いておるのでございます。いま、いろいろお尋ねがありましたことについて、まとめて申し上げたいと思いますが、
赤潮につきましては、これはすでに御承知のように、科学技術庁におきまして、
昭和四十二年からですか、三年ほどの継続で
調査をいたしてございます。その結果、その
原因の一部は究明されたわけでございます。ただ、どうしてそのような爆発的なプランクトンの増殖が起きるかという、そのいわゆる引き金については、まだはっきりしないところがありますので、今後もう少し
努力すればその
原因がおそらく究明されるのではなかろうか。また、
原因を一日も早くさがさなければならぬと思います。その
原因をさがすことが何よりも大事だと思います。そういうことで力を入れますが、同時に、その
赤潮の一番
発生の何といいますか、基盤でございますが、基盤というのは、何といっても
瀬戸内海の海水の
富栄養化にございますから、その栄養化を減らすためには、やはり何と申しましても、
工場の
排水処理とか、
屎尿処理、
下水道の処理といったような、いわゆる
下水道の汚水策対をまず一番強力にやることがどんな場合にも必要だ、こう思いまして、そういう方面にも懸命の力を入れたいと
考えている次第でございます。
われわれは、
瀬戸内海がいま非常に
汚染されまして、すばらしい景観も失われつつございます。しかし、何と申しましても、
瀬戸内海はやはり
日本の代表的な地域だと思います、景観におきましても、すべての点において。ですから、やはりわれわれは、
日本の
一つの象徴として
瀬戸内海をできるだけ清潔な、そうしてりっぱなすばらしいものに復元して残したいものだと心から願って、このような
対策を進めているわけでございます。はたして何年かかってこのような希望が達成されるか、また、どの
程度まで復元ができるか、これは自信がありませんけれ
ども、とにかく
努力さえすればある
程度の効果はあがる、こう信じまして、全力をあげて働いてまいりたいと、こう願っておる次第でございます。
大王製紙の問題もございましたが、これなんかも、伊予三島では、あそこの海水
汚濁の非常に大きな
汚染源になっているわけでございますが、幸いに、世論に従いまして、これも一生懸命に
対策に
努力するということでございますので、それは
政務次官から御
報告があったと思いますが、そういうことで、われわれも多少意を強くして、希望を持って
努力したいと
考えておる次第でございます。
次に、
瀬戸内海の
沿岸には十一の府県がございます。この府県がやはりばらばらに、いまの
状態では、すべて公害防止
対策というものは各県単位でやることになっておりますから、このような
考えで各県ばらばらに
対策を行ないましたのでは、どうしても大きな効果をあげることはできません。したがって、これらを打って一丸とした総合的な組織をつくりまして、そうしてまた、そこに
対策も総合的な強力なものをやらなければならないと
考えております。そこで、私は、いま
考えているのですが、何か新しいひとついままでになかったような
行政機構をここに
考え出しまして、たとえてみれば、小さな
考え方ですが、よく各町村が集まりまして一部事務組合をつくってやりますように、十一府県の公害に関する一部事務組合をつくろう。そういったようなひとつ構想をもちまして、新しい
行政機構をここへ
考えまして、それを
中心にやらなければ効果をあげ得ないと
考えているわけでございます。そういうことで、先日のこの
会議の第一回の会合の前に、この
関係府県知事の方にお集まりを願いまして、いろいろと
政府の態度、決意も申し上げて御協力を仰ぎ、理解をいただいたわけでございますが、そのおりにも、兵庫県知事から、ぜひともその十一府県を集めた中に何か
一つの連絡機関を置いて、
政府との連絡機関を置いて、意見の調整につとめたいという御希望がございました。これもけっこうだと思います。そういうことで、やはり十一府県の方々から代表的な駐在員なんか出してもらいまして、地方にわれわれのほうからも人を派遣しまして相談をしながら、いわゆるその新しい
行政機構のつくり方にまでもっていけるような基盤をつくりたい、こう私はひそかに
考えておるわけでございます。
そういうことで、ぜひ一生懸命がんばりたいと思いますが、いままでのようなやり方で、お互いに自分の市、自分の
関係する地域、自分の県の地域はできるだけりっぱに復元したい、
環境保全をしたいと希望しながら、一方では、そう言っては、はなはだしく悪いことばでございますが、かってに島や入り江を埋め立てたり、めちゃくちゃに環境をこわしているのが
現状でございます。これはいろいろな経済発展のいままでの趨勢でやむを得なかったと思いますが、こういうことも今後は自覚してもらいまして、たとえば新全総におきましても、あの計画を見ますと、
大阪湾なんかもほとんど半分くらい埋まってしまいます。
周防灘も、大分県とか、
山口県が埋め立てしますと、半分くらい埋まる計画でございますが、こういうことでは、ほんとうに
瀬戸内海の
環境保全はできないと思います。そこで、こういうふうな新全総にも十分に
環境保全、そういったような
考え方を今後取り入れてもらいまして、新しい
瀬戸内海の正しい開発、一番自然保護と公害とを防ぐことのできるような開発、そういうものをあわせて持っていけるような形に進めてまいりたい、こういうことを念願している次第でございます。