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加藤進君 先ほど山中長官は、制度にはよしあしがあるからこれは言わぬこと、などというようなふうに表現されました。
沖繩の公選制のいいことも一部認められていると思います。しかし、同時に、本土には任命制という、りっぱな教育制度があるじゃないか、こういうお考えがその根底にあると思います。はたして、本土における任命制の教育委員会の制度、これはよきものでしょうか。私は、こまごま説明を申し上げる時間はありませんけれ
ども、かつて
政府は、この教育委員会制度について、こう申しています。その
一つは、第二国会における教育委員会法の趣旨説明——森戸辰男文相が行なっています。この中身は、私は申し上げる時間がありません。第二に、
文部省の著作「教育委員会設置の手引」をごらんください。この中には何とあるかといえば、これは、公選制教育委員会こそ憲法、教育基本法の基本的理念を具体化したものであるということが強調されておるわけであります。ところが、このような教育委員会を——先ほど文部大臣も触れられましたけれ
ども、昭和三十一年、どういう仕打ちでこれを破壊したんでしょうか。国会には、かつてこんなことのなかったような警官隊が導入されました。強行採決がやられました。
国民の世論も無視し、議会制民主主義をも破壊して、この教育委員会の公選制がついに廃止されたんです。この歴史をわれわれ
国民は忘れることはできません。こういう歴史の上に今日任命制教育委員会が存続しておるんじゃないでしょうか。どれほどいいことをやっているのですか、任命制教育委員会は。
私は、こまかい実例をあげる時間はありませんが、第一、任命制教育委員会が今日の段階においてやっていること、その
一つ、教師は不足だといいながら、政治的、思想的な理由を理由にして、教員の不採用は今日千名をこえています。この事実は、文部大臣の地元である静岡大学教育学部において顕著です。時間内に食い込む職場集会をやったという理由で行政処分を受けた教師は、なんと二十六万をこえています。しかも、このような行政措置に対しては、すでに佐賀県教組、東京都の教組判決で明らかにしたように、これが違法であることまで明確になっています。にもかかわらず、
文部省は、今日なおこのような判決に服しておらぬじゃないですか。国鉄や全逓におけるマル生が国会においても問題になり、たびたび郵政大臣や運輸大臣は頭を下げました。このことについては、文部大臣もまた国会において頭を下げる必要があるんですよ。しかも、このような任命制教育委員会自身が腐敗しています。汚職が頻発しています。その証拠は、最近の大阪の大阪市教育委員会に起こった事件です。ついに自殺までされているではありませんか。自殺をせざるを得ないような悪いことをやったんです。こんなことは、公選制教育委員会には、かつてなかったということを忘れずにおいていただきたいと思います。
沖繩では、こんなことは起こりましたか。
以上は、ほんの一例です。一例ですけれ
ども、憲法と教育基本法に基づいて直接
国民に責任を負う真の教育の道を踏みはずして、教育に対して時の
政府の政治介入を許し、教育を腐敗と荒廃に追いやってきた、その
一つの大きな根源は、まさに任命制教育委員会にあると言っても過言ではないと思います。平和と民主主義教育をみずからの手でつくり上げた
沖繩県民が、一体どうしてこのような教育委員会制度を受け入れることができるでしょうか。このことをよく反省していただかなくてはならぬと思います。
沖繩に従来育ってきた教育慣行、これは尊重さるべきであります。これは、
佐藤総理もその気持ちになってもらわなきゃ困ると思います。現行公選制はそのままにさせて、できるだけ早く、本土もまた、かつての公選制教育委員会に復活すべきであると、私たちは主張いたします。これでなくては、ほんとうの民主的教育は実現されません。
私は、もう
一つ事例をあげます。過去十年間に、教員の行政処分の行なわれた数字は前に申しました。つい最近、佐賀教組の公判、東京都教組の公判に
政府が使った費用は、一体どれくらいありますか。行政処分をしておいて、訴訟になったら、これをさらに押えつけるために、あたら
国民の費用をこれだけ使っております。どれだけでしょうか。佐賀県教組では千六百五十六万円、東京都教組においては三千八百七十五万円が使われているのです。しかも、これには弁護料や、手当や旅費その他は含んでおりません。こういう状態を今日まで続けてきておるのは、教育委員会制度じゃないでしょうか。
私は、この立場から、あえて結論として申します。本土と
日本の教育行政の一体化ということを主張されるなら、いいほうに一体化したらよろしい。悪いものを捨てるにやぶさかであってはなりません。
沖繩に育ち、
沖繩県民を、あれだけ
日本の
国民の誇りを持って育ててきたあの教育、その教育の根幹をなす公選制教育制度、この制度こそ生かして、真に本土にも移し、本土にもこれをさらに発展させて、文字どおり民主的な本土・
沖繩の教育行政の一体化をはかるべきである、このことを、強く、まず要求するものであります。
第二の問題です。これは先ほ
ども他の委員が触れられましたけれ
ども、文部大臣は、
沖繩の教育の振興のために、本土との格差是正五カ年計画をつくって、これこれしかじかの学校の建設の計画があると、こうおっしゃいました。私はあえて聞きたいのは、計画はあるかもしれない。予算はそれにつけ加えられたかもしれない。しかし、
沖繩にそのような校舎を建設する土地は、どうやって求められるでしょうか。私は、たぶん苦労をしておられると思いますけれ
ども、その苦衷の一端をでもいいですから、ひとつ文部大臣の口からお聞きしたいと思います。