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1971-12-23 第67回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会、逓信委員会、建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二十三日(木曜日)    午後二時三十六分開会     —————————————   委員氏名    沖繩及び北方問題に関する特別委員     委員長         長谷川 仁君     理 事         鬼丸 勝之君     理 事         楠  正俊君     理 事         剱木 亨弘君     理 事         丸茂 重貞君     理 事         松井  誠君     理 事         森中 守義君     理 事         矢追 秀彦君     理 事         高山 恒雄君     理 事         岩間 正男君                 稲嶺 一郎君                 今泉 正二君                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 片山 正英君                 亀井 善彰君                 古賀雷四郎君                 柴立 芳文君                 鈴木 省吾君                 園田 清充君                 竹内 藤男君                 西村 尚治君                 初村瀧一郎君                 宮崎 正雄君                 山内 一郎君                 若林 正武君                 占部 秀男君                 大橋 和孝君                 川村 清一君                 田中寿美子君                 田中  一君                 宮之原貞光君                 村田 秀三君                 森  勝治君                 内田 善利君                 上林繁次郎君                 原田  立君                 栗林 卓司君                 渡辺  武君                 喜屋武眞榮君    逓信委員     委員長         横川 正市君     理 事         植竹 春彦君     理 事         長田 裕二君     理 事         古池 信三君     理 事         森  勝治君                 今泉 正二君                 郡  祐一君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 松平 勇雄君                 鈴木  強君                 野上  元君                 松本 賢一君                 山田 徹一君                 木島 則夫君                 青島 幸男君                 松岡 克由君                 森 八三一君    建設委員     委員長         小林  武君     理 事         中津井 真君     理 事         丸茂 重貞君     理 事         山内 一郎君     理 事         田中  一君                 大谷藤之助君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 竹内 藤男君                 田中 茂穂君                 米田 正文君                茜ケ久保重光君                 沢田 政治君                 松本 英一君                 沢田  実君                 塩出 啓典君                 村尾 重雄君                 春日 正一君                 喜屋武眞榮君     —————————————   出席者は左のとおり。    沖繩及び北方問題に関する特別委員会     委員長         長谷川 仁君     理 事                 鬼丸 勝之君                 楠  正俊君                 剱木 亨弘君                 丸茂 重貞君                 松井  誠君                 森中 守義君                 矢追 秀彦君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君     委 員                 今泉 正二君                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 片山 正英君                 柴立 芳文君                 鈴木 省吾君                 園田 清充君                 西村 尚治君                 初村瀧一郎君                 宮崎 正雄君                 山内 一郎君                 若林 正武君                 占部 秀男君                 川村 清一君                 田中  一君                 宮之原貞光君                 森  勝治君                 内田 善利君                 栗林 卓司君                 喜屋武眞榮君    逓信委員会     委員長         横川 正市君     理 事                 植竹 春彦君                 古池 信三君     委 員                 白井  勇君                 野上  元君                 松本 賢一君                 木島 則夫君                 青島 幸男君                 松岡 克由君    建設委員会     委員長         小林  武君     理 事                 中津井 真君     委 員                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 米田 正文君                茜ケ久保重光君                 沢田 政治君                 松本 英一君                 沢田  実君                 村尾 重雄君                 春日 正一君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        外 務 大 臣  福田 赳夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君        国 務 大 臣  江崎 真澄君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        内閣法制局沖繩        法制参事官    系  光家君        内閣法制局第二        部長       林  信一君        内閣法制局第四        部長       角田礼次郎君        人事院事務総局        管理局長     茨木  広君        総理府総務副長        官        砂田 重民君        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛施設庁長官  島田  豊君        防衛施設庁総務        部調停官     銅崎 富司君        沖繩北方対策        庁長官      岡部 秀一君        沖繩北方対策        庁総務部長    岡田 純夫君        沖繩北方対策        庁調整部長    田辺 博通君        外務省アジア局        長        須之部量三君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君        外務省条約局長  井川 克一君        大蔵大臣官房審        議官       前田多良夫君        大蔵省主計局次        長        吉瀬 維哉君        大蔵省理財局次        長        小幡 琢也君        郵政大臣官房長  森田 行正君        郵政大臣官房電        気通信監理官   柏木 輝彦君        郵政大臣官房電        気通信監理官   牧野 康夫君        郵政省郵務局長  溝呂木 繁君        郵政省電波監理        局長       藤木  栄君        郵政省人事局長  北 雄一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○沖繩振興開発特別措置法案内閣提出衆議院  送付) ○沖繩における公用地等暫定使用に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家公務員法第十三条第五項および地方自治法  第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の  地方事務所設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出衆議院送付) ○沖繩平和開発基本法案衆議院送付予備審  査) ○沖繩における雇用促進に関する特別措置法案  (衆議院送付予備審査)     —————————————   〔沖繩及び北方問題に関する特別委員長谷川仁委員長席に着く〕
  2. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会逓信委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律案沖繩復帰に伴う関係法令改廃に関する法律案沖繩振興開発特別措置法案沖繩における公用地等暫定使用に関する法律案国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件、沖繩平和開発基本法案沖繩における雇用促進に関する特別措置法案  以上の各案件を一括して議題といたします。  これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 野上元

    野上元君 私は、いわゆる沖繩返還協定が成立して以後、電波法にも、あるいは安保条約に基づく地位協定規定も受けない、適用も受けない怪しげな外国電波放送局が残るという問題について、逓信委員会として重大な関心を実は持っておったわけでありますが、今日まで逓信委員会がついに開かれないままに来ております。したがいまして、この機会に、すなわちVOA及び極東放送電波法関係等について若干の質問をしたいと考えるわけでございます。  まず、最初にお聞きしたいのは、この問題が日米間でお互いに議論され始めたのが三月ごろだと言われておりますが、大体五月ないし六月ごろの新聞を読んでおりますと、政府間の中においても相当意見の対立があったというふうに見られるわけであります。とりわけ、主務官庁であります郵政省としては、あるいは郵政大臣としては、電波法適用を受けない外国電波放送局がわが領土内に残るということについては、とうてい許されないというような強い意見が出ておったように聞いておりますが、まず廣瀬郵政大臣、その点についてお伺いしたいのですが、なぜ郵政当局はこれらの問題について反対の態度をとっておられたのか、その理由をお聞かせ願いたいと思います。
  4. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記をとめて。   〔速記中止
  5. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記をつけて。
  6. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) お答え申し上げます。  VOAについてのお尋ねと思いますが、これは、御承知のように、アメリカ政府の一機関でございます海外広報庁放送でございまして、したがいまして、御承知電波法にはなじまない事業でございます。つまり、電波法の第五条外国政府放送日本で許されないということになっておりますが、ただ、御承知のように、第三条で、条約で別段の定めがあります場合はその定めに従うということになっておるのであります。したがって、条約と同等の協定の第八条で認めることになりましたので、わが国内法におきましても特例法をつくりまして認めることになったわけでございます。ただいま御指摘のように、当時は、私、郵政大臣でございませんでしたけれども、前大臣が、電波法を守るという立場からそのような意見は述べたと思うのでございますけれども沖繩返還という大目的外交折衝の段階におきまして、最終的に、この問題が最後まで残ったそうでございますけれども、やむを得ず妥協しまして、日本放送を認めることになったというものだと私は承っておりますわけでございます。
  7. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記をとめて。   〔速記中止〕   〔委員長退席沖繩及び北方問題に関する特別委員会理事剱木亨弘君着席〕
  8. 剱木亨弘

    委員長代理剱木亨弘君) 速記を起こしてください。
  9. 野上元

    野上元君 まことに恐縮なんですが、委員長のお許しをいただきまして、すわったまま質問さしていただくことをお許し願いたいと思います。  いま郵政大臣から、電波法五条に抵触するので郵政省としては反対しておった、しかし、第三条というものがあるので認めざるを得なかったというようなことでございますが、当初あなた方が反対されておったときも第三条はあったはずなんです。当然そのぐらいのことはわかっておったと思うのです。にもかかわらず、最後になって第三条を持ち出したという理由は何ですか。
  10. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 第五条というのがあくまで電波法の本筋でございまして、しかし、ただいま私が前大臣が反対したと申しましたのは、沖繩協定ができますまでの過程におきまして、その五条精神によりまして反対したということを申し上げたわけでございます。
  11. 野上元

    野上元君 その五条精神というのが電波法の中核をなしておるということでありますから、本来、郵政当局としては第五条によってあくまでも反対しなきゃならぬはずなんですが、最終的には賛成の立場をとられたということは、第五条というものは一体どういうことになるのか。第五条解釈が変わったのか、それとも他の圧力が加わったのか、それはどちらなんですか。
  12. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) これは、さっき御説明申し上げましたように、沖繩返還という大きな目的外交折衝最後過程におきまして、妥協せざるを得なかったというわけのものございます。
  13. 野上元

    野上元君 私どもが心配しておるのは、そういう大きな一つ事件があると、法律がかってに解釈をされるというようなことになると、将来大きな禍根を残すんではないかというふうに考えるわけです。したがいまして、その大きな事件であるかどうかという認識判断政府当局が持つとするならば、ある一つ事件によって、またまたそういう法律解釈をゆがめて領土内にそういうものを残すということも、へ理屈になるかもしれぬが、あり得るわけです。それを私は心配しておるんですが、そういうことは予見できませんか。
  14. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) どうも、おっしゃるお気持が、お尋ねの趣旨がよくわかりませんけれども、私ども郵政省といたしましては、電波法を守る立場から一応は主張いたしましたけれども外交折衝過程におきまして最終的に妥協せざるを得なかった。そういうことになりますれば、第三条が適用されるというわけのものだと思います。
  15. 野上元

    野上元君 当時の新聞を読んでみますと、外務当局も、また佐藤ニクソン共同声明精神から見て、完全主権のもとにおけるそういう主権を排除するようなVOA領土の中に残るということについては好ましくないという態度を持ち続けられたように記憶しておるわけですが、なぜ変わったのですか。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まさにお尋ねのとおりであります。外務当局最後までVOAは撤去してもらいたいと、こういう主張をいたしたわけです。最後最後まで二つ三つ問題が残った。その中の一つが、まさにこのVOAであります。私ども最後まで粘りましたのは、これは、とにかく電波というものは国の大事な資産である。これを統一的に国が管理しておる。それに対して、外国電波使用を許すと、こういうことでありますから、これは重大な問題である。かような認識のもとに最後まで抵抗いたしたのです。しかし、沖繩返還という大きな問題がある。これの決着をつけなけりゃならぬと、そういうような立場から、最後には妥協をせざるを得ない。そこで、期限と、それからこの放送内容を規制すると、こういう二つの歯どめをいたしまして最後妥協案をつくったと、こういう次第でございます。
  17. 野上元

    野上元君 このVOAの問題を煮詰めるときに、日本外務当局あるいは郵政当局は、これを撤去してもらいたいという希望を強く要請したはずですね。ところが、アメリカは譲らなかった。なぜアメリカVOAを固執するのですか。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アメリカ主張によりますと、これは非常に平和的なものである、世界各地に置いているんだ、それを友邦日本に存置をすると、こういうことで、どこに不都合があるのでありましょうかと、こういうことでございます。無期限で置いてもらいたいと、こういう主張最後まで言っておったわけであります。
  19. 野上元

    野上元君 私も、VOA世界各国に相当散在しておるということは聞いております。しかしながら、アメリカが言うように、それが平和なものであり、何ら意図がないんだということであるならば、なぜ世界各国に出ていってそういう中継局を設けなけりゃならぬのか。そういう必要は考えられないんじゃないですか。観点を変えれば、VOA性格についてお尋ねしたいのですが、VOAというのは、一般的に謀略的なものであるというふうにいわれております。外務省当局としては、どういうふうにお考えになっておりますか。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国といたしましては、アメリカがこの性格について説明をしておりますが、これは平和的なものである。事実、このVOAというものは、軍の機関じゃございませんで、これは大統領直属対外広報庁所属放送事業であります。また、その放送内容政府においても、抜き取りではございまするが点検をしてみる、そうすると、いわゆる謀略的、特に軍事的なにおいというものはない、そういうようなことでアメリカのそういう説明が裏づけされると、こういうような状況であったわけであります。つまり、アメリカは世界じゅうに網を張っているというか、世界政策を展開しておる。その政策の浸透のためには、各地にそういう機関を持ちましてアメリカ考え方というものを世界各地に知ってもらわなければならぬ、つまり情報の提供及び解説、こういうことですね。これがアメリカ大統領直属機関たるVOAの任務であると、こういうふうに理解いたしております。
  21. 野上元

    野上元君 その謀略的であるかどうかという問題については、これは主観的な判断になると思います。しかし、客観的に見て、世界各国十何カ国にもVOA中継局を置いて、そしてアメリカ政策を訴えていく、あるいは共産主義そのもの欺瞞性を暴露していくという、そういう目的でつくるということがはたして謀略でないと言えるのですか。何でそういう必要があるんですか。
  22. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どうも、わが国のように、いわゆる世界政策というか、そういうような規模の政策を展開していない国、これと違いまして、世界各地に軍隊を駐とんせしめておる、もうほとんど世界各国に対して経済上の援助をしておる、そういうような立場アメリカであります。そういうアメリカといたしますと、アメリカ考え方はこうなんだということを解説し、あるいは情報を提供する、これはそういう必要が私はあろうかと思うんです。それで、まあ私どもテープをとりまして聞いてみる、そうすると、そういうような、まさにアメリカ政府が言っているようなことなんです。また、当然に中国放送沖繩からは行なわれておりまするけれども中国から文句が出たというような事実は聞いておりません。そういうようなことから見て、きわめて平和的なもので、かつ謀略的なものではないと、こういうふうな理解を持っておる、そういう次第でございます。
  23. 野上元

    野上元君 そうしますと、外務当局が当初反対したのは、単に電波法五条関係だけですか。
  24. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりでございます。
  25. 野上元

    野上元君 しかし、当時の新聞解説等を見ますると、むしろ、その点は郵政省の管轄であるけれども外務当局としては、いわゆる中国の雪解けをいま見ようとしておるときに、何も好んでこういうものをわが領土内に置いて、いたずらに刺激することは避けるべきではないか、そういう観点に立ってこのVOAの撤去を要望しておる、こういうふうに解説されておるんですが、その解説は間違いですか。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ、副次的にはそういうことも考えられます。しかし、わが国はいま中国との間に国交の正常化をしようという考えを持っておる、そういうやさきに、まかり間違うと日中国交正常化を妨げするような作用をなすおそれはないとしない、そういうようなことも感ずる次第でございますが、中心は、どこまでもわが国の貴重な財産たる電波に対する例外を外国に対し設定すると、こういうことでございます。
  27. 野上元

    野上元君 いま外務大臣は、副次的にはそういうことは考えられると言われたのですが、外務当局として副次的というのは、電波法五条のほうが副次的なんじゃないですか。いま私が質問したやつが主眼じゃないんですか。郵政省から見れば中国を刺激する問題は副次的かもしれぬけれども外務当局から見れば副次的なのは電波法五条なんじゃないですか。
  28. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 外務省は、一外務省立場で事を考えているんじゃないんです。政府全体の立場、国全体の立場に立って、ものを考えているんです。そういう立場から言いますると、何としても貴重な電波というものを外国に対して例外的にも分け与える、この問題が第一であります。それから、かたがた、これはよけいな心配かもしれませんけれども、そういう物騒なものであるというふうに批判の起こりそうなことをやらせたくない、こういうふうなこと、これが副次的にあった、こういうふうに申し上げるわけであります。
  29. 野上元

    野上元君 あなたが物騒なという表現をされたんですがね、外務当局としては、やはりVOAは物騒な報道機関だというふうに思っておられる、腹の中では。おそらく、それがことばとして出たと思うんですがね。
  30. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いや、物騒なという御批判をいただくようなことのあるようなものを置いちゃぐあいが悪いんじゃないかというようなことも副次的にはあったんです。しかし、先ほども申し上げましたとおり、期限を設け、また、その内容も規制いたしまして、そういうことが杞憂に終わるような措置を十分講じた上妥結をした、こういうことでございます。
  31. 野上元

    野上元君 外務当局がやはりVOAに相当神経を払ったということは私も理解できるんです。というのは、VOAというのは必ずしも世界各国から見て好評じゃないんです。特に共産圏から見れば目の上のこぶでしょうというのが、もうこれは通説ですよ、そのためにこそVOAがあるんですからね。そういうふうに言われてきているんです。したがって、これができたのは、第二次大戦直後ほとんどできているわけですね。したがって、当時は、いわゆるダレスの封じ込め政策というものが全地球に展開されたときです。したがって、この全地球をおおうような一つVOA網というものができ上がっておるわけですから、その目的は、いまさら私があなたに言わなくともわかっておると思うんですよ。ですからこそ、外務当局は心配しているんじゃないですか、何とか歯どめをしようなんと言っているでしょう。しかし、この協定を見ると、あるいは取りきめを見ると、この放送に関する、プログラムに関する一切の責任はアメリカ政府が負うというんでしょう。一切の責任を負うものに歯どめするとか、しないというのはおかしいじゃないですか。半々責任を持つなら歯どめをしていいんですがね。向こうはどんなことがあっても私のほうが責任を持つと言っているんですからね。歯どめをするということが実際にはおかしいじゃないですか。だから、外務当局の腹の中が見えるように私にはわかるんですがね。VOAというのは、ないほうがいい、もしもまかり間違って中共非難の放送でもやったらたいへんなことだ、しかも、今度は日本領土内にあるんですから、外務省が心配されておる共同正犯ということになるんですからね。非常に重要な問題だと思うんです。私は、これを軽々しく認めたということは重大な禍根を将来に残すのじゃないかというような気がするわけですが、そういう点はどうですか、VOA性格について。
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 五年の期限を区切り、それから、先ほども申し上げました歯どめがしてありますので、私どもは、このVOAがさほど心配の種になる、こういうふうには存じておりません。一切の放送の内容についての責任はアメリカが負うと、確かにそういうふうになっております。なっておりますけれども、その番組に対しましてわが国はあらかじめ意見を述べることができるわけであります。また、番組の態様につきましては、あらかじめこれは向こうのほうから開示がある、こういうことになっておる、わが国が申し述べました意見につきましては、相手は、アメリカはこれを尊重する、こういうことになっておるわけですから、これはもう私は万間違いはない、こういうふうに思います。しかし、統一電波行政という見地から見まして、まことにこれは重大な問題である、こういうふうに考えますので、五年の期限である、こういうふうにしてあるわけであります。
  33. 野上元

    野上元君 私は、その精神条項の問題については、また時間があれば触れたいんですが、これは、いま日米間における精神条項というものがどれだけ信憑性があるものか、どれだけ有効性があるものかについては、残念ながら国民の間には相当疑惑があるわけですよ。これはもう佐藤総理も苦い汁を飲まれたわけですから、よく体験されると思うんですが、その問題はいま触れませんが、もう少し具体的に触れていきますが、要するに、VOAというものはきわめて物騒なものであるということだけは間違いないと思うんですよ。いま、あなたが五年の期限が切ってあると言っておるけれども、実際に協定の中を見ていくと、ずっと幾らでもできるようになっておるのですよ、これ。協議するということになっておるわけですからね、二年後には。この運営について継続するかどうかを協議するということになっている。協議には同意がなければならぬ、合意がなければならぬわけですから、合意しない場合にはどうするんだというものがないわけですよ。私は、いま西ドイツとアメリカのものを持っておりますが、これは外務省からもらったんですが、一九五二年に結ばれておるんですね。いまだにあるわけです。しかも、五年後、五年後で切っておるけれども、いまだに存続しておるわけです。だから、最近の新聞を見ると、ブラント首相が、戦後二十何年にもなってなおかつVOAがミュンヘンにあり、そして共産圏に放送されることは迷惑千万だと、こういうような発言を新聞に書いてありますけれども、そういうことになるんだと思うんですよ。特に私は、いまおそらく日本の外交で最も重要な問題は、何といっても中華人民共和国との問題だと思いますが、これにひびが入るようなことがあるということになると重大な問題だと思うんですよ。その犠牲を払ってまでこれを沖繩に置かなければならぬという理由は私にはわからぬし、アメリカがなぜそこまでこれをがんばらなければならぬのかという理由が私にはわからないんです。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほどから申し上げておりまするように、VOAは平和的な機関である、大統領直属機関アメリカ政府政策解説し、また情報を提供する、こういう性格のものである、それを、友邦日本にいままであった、沖繩にあった、それから施政権が日本国に移っていきますと、その後において直ちに撤廃をしなければならぬという要求を受けるとは思われない、こういうことなんです。先ほどから野上さんが、永久にこれが存続するような感触のお話をしておりますが、そうじゃないんです。これは五年で期限が区切ってある。この五年の期限が来た後にはどうなるかというと、これは撤去する、こわしちゃう。そういう場合か、あるいは国外にこれを移転をするか、この二つしかないんです。国外の移転の場合におきまして、これはもう二年後からずっと相談していきますが、また、移転という場合につきましては、工事も始まっておるはずですが、天変地変などで工事が間に合わなくなったという際には、それだけ延びるということを書いておるわけでありまして、永久に五年、また五年だ、その先も五年だ、そういうような性格ではこれは絶対にありませんから、その辺はひとつ確信を持っていただきたい、かように存じます。
  35. 野上元

    野上元君 私は、外務大臣の話を聞いておると、このVOA沖繩に置くことに賛成なのか、反対なのか、どうもよくわからないんですよ。反対のようでもあるし賛成でもある。アメリカは世界に援助を与えておる、あるいは軍隊を展開しておる、したがって、これらの政策について世界各国情報を提供していくというのは当然の話なんだ、こういうお話があります。かつてのマーシャルプランみたいなものです。ということになると、なぜ沖繩から撤去せよ撤去せよとあなたが言わなければいかぬのですか。むしろ、本土に持ってくるように勧奨したらどうですか、そんな必要なものなら。その点が私よくわからぬのです。だから、五年間は認めたなんというのは本質的な問題じゃないです。本質は撤去さるべきなんだ、撤去さるべきであるならば、何か理由がなければならぬということなんですよ。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほどから、もう何回も申し上げているとおり、これは私ども反対なんです。反対の理由は、わが国はもうほんとうに主権国家である、その主権の行使として重要な資産であるこの電波外国に差し許す、これはほんとうに例外中の例外でなければならぬというので、この際はその例外にいたしたわけなんです。どこまでもこれ、反対です。反対ですが、沖繩交渉というものも妥結しなければならぬ、そういうような大きな見地から、まあ期限を限り、また放送内容にも規制を加えるということにして妥結をした、こういうことであります。
  37. 野上元

    野上元君 アメリカは、先ほどのお話を聞くと、世界各国に十何カ所持っておる、VOAの施設を友好国に。みんな主権国です。ちゃんと持っておるわけですね。それでもなおかつ日本はどうして反対するのだと、こう言っておるわけです。それを、日本は反対しなければならぬわけでしょう、反対するわけでしょう。ただ電波法五条だけじゃなくて、その副次的なほうが問題なんじゃないですか、外務当局としては。その点をはっきりしてもらいたい。
  38. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私が申し上げておりますのは、統一電波行政ができなくなる、そういうことです。とにかく電波というものは、これは今日この時勢におきましては大事な国の資産である、そういうふうに考えておるわけです。これはどうしても統一的に国で管理をしたいと、こういうふうに考えているのですが、VOAを存置するということは、それに対する例外である。そこで、これは反対だと、こういうふうに申し上げておるわけです。これは郵政当局が最も強く主張しておるところです。わが外務省外務省だけの見解で動くのではありません。国全体の立場を踏んまえて行動するのです。そういうことであります。ただ、これを存置した結果、副次的に間違いがあっちゃいかぬ、そういうふうに考えまして、いろいろな歯どめもしてある、こういうことですが、本質は、どこまでも貴重な財産を外国に与える、こういうことに対する抵抗であったわけであります。
  39. 野上元

    野上元君 歯どめも別の取りきめになっているわけですね、歯どめは。しかし、先ほど言ったように、協議がととのわなかった場合には一体どうなるかという最終的なものはないわけですね。協議がなければ、協議が成立しない場合にはどうするのだというような細目にわたっての取りきめはないわけですよ。そこにしり抜けだといわれる問題がひそんでおるのじゃないですか。二年後に継続するかどうかについて協議をするということだけが書いてあるわけです。
  40. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはかなり詳しく書いてあるのです。協定第八条に、「この協定の効力発生の日から五年の期間にわたり、沖繩島におけるヴォイス・オヴ・アメリカ中継局の運営を継続することに同意する。」、それで、あと、「二年後に沖繩島におけるヴォイス・オヴ・アメリカの将来の運営について協議に入る。」と、そこで、また交換公文があります。これはお読みになっておると思いますが、詳細に書いてあります。二年後に協議がととのわなかったらどうすると、こう言えば、五年でおしまいであります。もうわが国は譲歩はいたしませんです。
  41. 野上元

    野上元君 協議がととのわなかった場合に、それが終わりだということですがね。しかし、いわゆる天変地変だとか、あるいはその他予見できない事態に遭遇した場合には存続を認めるとなっているわけでしょう。幾らでも抜け穴はあるんじゃないですか。天変地変だけじゃなくていいでしょう。天変地変なんていうものは、お互いに交換公文も何もありゃしないでしょう。予見せざる事態、持っていこうとしたところがいやだと言ったときには、これもやっぱり予見せざる事態ですよね。いままでいいと言っていたところが、政変があって、そこはだめだということになったら、これも一つの予見せざる事態でしょう。そういう場合には、やっぱりずっと継続して存続させるということになるわけですね。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この辺は、この前の委員会でもかなり詳しく御説明いたしまして、予見せざる事情とは一体何ぞやと、こういう御質問がありました。これは、二年後に協議に入るわけなんです。その協議は何だというと、まず、これは五年後になったら撤去しますから——撤去というか、まあ打ちこわしですね。こういうふうにいたしますか、あるいは他の沖繩以外の地に移転いたしますかと、こういうことが中心になるわけです。そして、撤去、つまり打ちこわしをするんだということになりますれば、これはもう問題なく五年で終了する。その工事も、そう天変地異、予見せざる事情というものも、そうそうはなかろうと思います。問題は、他の地域に持っていくという際に、はからずも大台風がありましたとか、あるいは大地震がありましたとかいって、その二年後に始まる協議におきましては、五年後に移転先の施設が完成をするという順序で仕事は始まりまするけれども、そういう天変地変のためにその工事がおくれたという際には、その工事がおくれた期間だけ延ばしましょうと、こういうわけなんです。ですから、それはもう常識的に限度のある問題で、これが二年も三年も延びると、そんなような問題じゃございません。これは、その工事の残存期間だけが延びると、こういう性格のものです。この点も非常に日米間ではっきりしておりますから、これも御心配ないようにお願い申し上げます。
  43. 野上元

    野上元君 これは二年後に協議に入ることになっていますね。二年後でなければ協議に入れないんですか。
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 条約上の権利として、こちらから話を申し上げるわけにはまいりません。しかし、実際問題としては、これはまあ郵政当局は向こうの郵政当局としょっちゅう会うことでしょう。外務当局も向こうの外務当局としょっちゅう会う。そういう際に——この間、郵政大臣がぼつぼつと言ったんですが、ぼつぼつ話が出るという事態はある。また、そういうふうにしたいと、こういうふうに考えております。
  45. 野上元

    野上元君 たとえば、来年早々だと思いますが、ニクソン米大統領が訪中しますね。そのときに私はVOAの問題が出ると思うんです。あんなものを沖繩に置いておいたんじゃ困るという話が出たらどうしますか。それで、アメリカもそれに考慮を払うということになれば。
  46. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 向こうからそういう話が出れば、大いにこれは歓迎します。そして、受けて立ちます。しかし、こちらからVOAの話を総理大臣ランクの話として、まあこういう二年後になったら話し合いましょうと言ってある現在の時点において、話を持ち出すということをいたすことは適当でない、こういうふうに考えております。
  47. 野上元

    野上元君 総理、いままでのやりとりで、大体VOAを認めた経緯というものが、だんだんこう、わかるような気がしてきたんですが、最終的には、これは総理の裁断によったんですか。
  48. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 最終的には、双方の話を聞き取りまして、外務、郵政両省の考え方を調整した。最終的には私が決定した。さようでございます。
  49. 野上元

    野上元君 そこでお聞きしたいのですが、外務省の中にもこういう意見があったということを聞いておるのです。たとえば、放送の内容について日本がタッチしたほうがいいのか、それともタッチしないほうがいいのか、いわゆる共同正犯論というのが出たように報道では聞いておるわけです。タッチすればタッチしたで、その放送内容がある国を刺激したということになると、日本政府もタッチしておるのだからということで、これは重大な、共同正犯も直ちに問われるという心配がある。したがってこれはいっそアメリカの責任においてやってもらったほうがいいのだ、歯止めなんかやってみたって意味がないのだというような意見もあったというふうに聞いておるわけですが、それはどうですか。
  50. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 最終的には、中継局を通じて中継される番組に関する責任はアメリカ合衆国のみが負う、こういうふうになっておるのです。私は、そのいきさつですね、いま野上さんの触れられたいきさつについては聞いておりませんけれども、これでよかったなあと思っております。これが両方側に責任が相分かれるような、こういう状態だと、これは非常に困る。やっぱり日本が責任を負うのか、あるいはアメリカ側が責任を負うのか、これは、どちらか一方に責任というものはしておく必要がある、こういうふうに思います。しかし、VOAアメリカ大統領府の直属の機関であるという性格にかんがみまして、アメリカ側が責任を負うと、こういうふうにしてある、たいへんこれはよかったと、こういうふうに思っております。
  51. 野上元

    野上元君 歯どめをしたいという真意は何ですか。   〔委員長代理剱木亨弘君退席、委員長着席〕
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、日本電波法の監理に服しないという性格のものです。それでありまするものですから、何らかの形においてわが国の上において放送される外国機関が、これが公序良俗に反する放送をするというようなことがあったり、あるいはわが国の外交に悪い影響があるというような放送があったり、そういうことじゃ困る、その他わが国政策に背馳するような放送内容であっては困る、こういうことを心配するわけです。そとで、それに対する歯どめを取りつけてある、こういう次第でございます。
  53. 野上元

    野上元君 その歯どめを取りつけてあるというのは、条文にそれが書いてあるというだけですね。番組に対して日本政府意見を開陳することができる、見解を表示することができる、それに対してアメリカは尊重しなければならぬ、尊重するのだというような条文ですね。しかし、どうやって毎日聞いているんですか、放送を。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、郵政省でしさいに検討している問題です。たとえば、傍受を行ないますとか、あるいは番組の概要をあらかじめ聞き取っておくとか、いろいろなことを考えておるようでありまするが、詳細なこの条項の執行、これは郵政省が全責任を持つ、こういうことになっております。
  55. 野上元

    野上元君 VOA放送しておる内容というのは膨大なものですよね。これを全部傍受するというようなことが技術的に可能なんですか。
  56. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) VOAは各国に向けて放送いたしまするラジオでございまして、したがって、電波に非常に指向性が強いということになりますわけでございます。でございますから、これはなかなか一カ所では容易に聞き取れないというような性質の放送でございますけれども、幸いに沖繩の送信所に近い、五、六キロのところだそうでございますが、適当な場所がございまして、ここの一カ所に傍受の設備をいたしますと全部の波が聴取できる、こういうように技術的になっております。郵政省といたしましても、かなりの経費がかかりますけれども、明年度、予算要求いたしましてそのような設備をいたしたい。それとまた、放送内容が数カ国語によって放送されますので、これにつきましては外務省のほうで相当多額な予算を要求いたしまして、各国語の翻訳をするというようなことにいたしておるのであります。傍受につきましては万遺憾なきを期したいと、かように考えております。
  57. 野上元

    野上元君 私は、傍受の設備あるいはその規模等についても聞きたいのですけれども、それよりも、傍受をして、それを常に監視してやっていかなきゃならぬというところに、むしろ問題の本質があるのではないかというふうに思うのですが、その点どうなんですか。傍受して常に監視していかなきゃならぬという考え方日本政府にある、それがVOAなんだということになると、話はまた逆戻りになってきましたけれども、そのほうがむしろ問題なんじゃないですかね。
  58. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私どもは、当初、VOAは穏やかな、刺激的のものでないというような放送だというように解釈をしておりましたけれども、いろいろ国会方面にも、ぜひ傍受をやるようにというような御意見も出ましたので、最初はそういうことを考えてなかったわけでございますけれども、そういうような御意見に基づきまして、万一放送の内容が国際友好を阻害するような放送であってはならないというのが私どもの監理の目標でありますわけでございますから、念のために傍受の設備をすることにいたしたわけでございます。
  59. 野上元

    野上元君 郵政当局は、VOAについては平和的であって、何ら傍受する必要もないのだというふうに考えておられたけれども、どうもわれわれがやかましいから傍受するのだ、せざるを得ないのだというようなことを言っておられるのですが、そんなことでいいのですかね、主務官庁として。それならば、何もそんなに、むきになって反対されることないじゃないですか。
  60. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 反対いたしましたというのは、先ほど申しましたように、外国放送日本放送されることはよろしくないという意味でございまして、放送の内容についてではなかったわけであります。しかし、そのような御意見が出ましたので、念のために傍受の設備をやるということにいたしたわけでございます。
  61. 野上元

    野上元君 外務大臣、いまお聞きのように、郵政省も、傍受設備をして常にこれを傍受しながら、監視と言いますかね、内容の監視をするというようなことを言っておるわけですが、これは外交上にとっても非常に重要な問題だと思うわけですよ。特にVOAというのは、一千キロワットという膨大な超大型電力を使って、しかも一方に指向して放送するわけですから、相当な距離まで届くんじゃないかと思う。相当のサービスエリアがあるんだと思うのですね。したがって、問題は非常に国際的になると思います。したがって、この放送番組を流すことによって国際的な紛争が起きる可能性というのは非常に強いと思うのです。それこそ予見せざる紛争が起きるかもしれないということになりますと、本来は日本領土内にあるのですからね、何といっても日本の責任は免れないと思うのですよ。外務省の言うように、番組にタッチしたら共同正犯になるのだというふうに言っておられるけれども、タッチしなければアメリカの一方的な責任だと言っておるけれども、私は、日本領土内にVOAが設置されておるということがすでに共同正犯だと思うのです、相手方から言わせれば。これは重大な問題だと思うのです。したがって、そういう問題については、もう少しきめのこまかい協定がなきゃならぬというような気がしておったのです。それで、実は米国と西独との間において結ばれておるこのVOA協定を見ますと、非常にそういう点は克明に書かれておるわけです。あなたはお読みになったことがありますか。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ありませんです。
  63. 野上元

    野上元君 私は、日本外務大臣VOA協定を結ぶのに、世界にもう先例があるのですから、その先例を全然研究されないで結ばれたというのは非常に不見識だというふうな気がするのですが。
  64. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 野上さんは私が読んだかと言うから、私は読みませんと、こう言うのですが、私の部下の皆さんは、これは読んで、よく検討しております。これは一々私がそこまでやるわけにはいかぬ、そういうふうに思います。
  65. 野上元

    野上元君 外務省を代表するのは外務大臣でしょう。外務大臣が読んでなければ部下は読んでないということになるのですよ、何にもならぬです。あなたが知らなければ何にもならぬじゃないですか。で、私は、別に外務当局、事務当局について質問しようとは思っておらぬのですが、実は私もにわか勉強です、正直言って。しかし、アメリカと西ドイツとの間に結ばれておるこの協定を読んでみますと、ちゃんとそういうきめこまかい協定ができておるわけです。しかも、放送をやるのに、両国の共同の利益のためにこのサービスを行なうのだということをうたっているわけです。日本の場合はそうじゃない。これはアメリカの国益のためだけにやるんでしょう。日本はわれ関せずで、巻き込まれたら損だという考え方なんでしょう。根本的に違うんじゃないですか。したがって、紛争が起きたときの取り扱いについても、国際裁判所まで持って行って、お互いに争うことまで書いてあるのですね。なぜ日本もそういうきめこまかいことがやれなかったのか。あなたが知らなかったからでしょう。西ドイツのを読んでないし、知らないんでしょう。知っておるのですか。
  66. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 外国協定につきましては私は承知しておりません。しかし、この交換公文で詳細な取りきめはしておるのです。しかも、その中で歯どめもしてある。これを具体的に実行していくということになりますれば何の支障もない、これで不安は感じない、こういうふうに判断したがゆえに、諸外国にあるというような協定例、そういうものによらなかった。しかも、これは暫定的なものです。五年間、あるいは五年以前にやまるかもしれない、こういう性格のものであるということをお含みおき願いたい、かように存じます。
  67. 野上元

    野上元君 私も、その点は、こうなった以上は希望しますけれども、しかし、西ドイツだって希望しておるけれども二十何年も続いておるのです。アメリカに弱い日本政府は、やっぱり西ドイツと同じ轍を踏むんじゃないですか。
  68. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どうも野上さんの話を聞いておりますと、これが五年ときまっておるけれども、これは更新され、また更新されて、未来永劫続いていくような頭でお話をされておるようでありますがそうじゃないのです、これは。五年たったら、きっぱりやまっちゃう、日本では。ただ、天変地異なんかありまして、移転というような場合におきまして、その工事がととのわぬ場合があるかもしらぬ。その工事の残存期間だけ沖繩におるのが延びると、こういうことでありまして、どうもいろいろお話がありますが、前提が幾らでも延びるんだ、ドイツのように二十何年も延びることになるかもしらぬというようなことじゃ絶対にありませんから、その辺は、そういうことじゃなくて、五年でやまるんだ、天変地異の場合だけ、しかも国外に移転をされるその場合における天変地異だと、その場合だけが、その残存期間だけ延びるんだと、こういう前提でいろいろお考えくださり、お尋ねくださるようお願い申し上げます。
  69. 野上元

    野上元君 あなたの頭の中はそうなんでしょうね、おそらく。しかし、相手がおるんですから、これ。しかも強大な相手が。だから問題なんです。たとえば、電波法五条を侵害するような、こんなものは困るというのが日本政府考え方だったんでしょう。しかし、実際には認めたじゃないですか。しり抜けになっちゃって。いつもそうなんです。あなた方の頭の中はなかなかいいことを考えておっても、相手がおるので、交渉しておる間におかしくなっていく、水田さん笑っておられるけれども、ドル・ショックの問題でもそうです。あなたは一五%で絶対にまとめると言っておったけれども、やっぱり一六・八八%になってしまった。あなた方は頭はいつもそうなんだけれども、交渉相手がおるんです。だから、われわれは心配しておるんです。しかも、協定の中にはそういうことがはきっりしておらぬ。
  70. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、ただ単なる話し合いじゃないんです。ちゃんと協定に書いてあるんです。
  71. 野上元

    野上元君 協定がしり抜けだと言うんです。
  72. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 協定にちゃんと書いてあることであり、かつ、はっきり申し上げておきますが、もし五年をこえるという際には新たなる協定を要すると、こういうことになる。それに伴う国内立法も必要である、こういうことになるんです。これは非常にはっきりしておりまするから、その点は一点の疑問のないように、ひとつお願いしたいと思います。
  73. 森中守義

    森中守義君 議事進行。  十五時三十分に、衆議院において佐藤内閣の不信任案が提出されたそうです。したがって、内閣の不信任案を受けた佐藤内閣、総理以下各閣僚に連合審査の質問をすることは不可能であります。おそらく多数をもって可決をされるでありましょうが……。その時期までこの審査会の暫時休憩を要求いたします。
  74. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ただいまの森中君の発言につきまして、その取り扱いを理事会において協議いたしたいと思いますので、暫時休憩いたします。    午後三時三十三分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕